説明

情報処理装置

【課題】ペンの収納状態を小型・簡素な構造で、かつ高い操作性で検出して各種の処理モードを制御することができる情報処理装置を提供する。
【解決手段】本発明に係る情報処理装置は、ペン入力用のパネルと、前記パネルに先端を接触させて情報を入力するペンと、前記ペンを、半挿入状態と全挿入状態の少なくとも2つの挿入状態で挿入して収納することができる筒形状のペン収納部と、を備え、前記ペン収納部は、前記半挿入状態では前記ペンを回動可能に収納する、ことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置に係り、特に、タッチペン等を用いてタッチパネルから情報を入力することができる情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、PDA(Personal Digital Assistant)やタブレット型パーソナルコンピュータ等の携帯型の情報処理装置では、表示パネルと兼用のタッチパネルからタッチペン(スタイラスペンともいう。以下単にペンという)を用いて情報を入力する形態が増えてきている。
【0003】
これらのタッチパネル入力型の情報処理装置では、情報の入力の大半をペンとタッチパネルとを用いて行うことを前提としているため、従来の情報処理装置に比べると操作キーや操作ボタン等の外部に露出した情報入力用の操作部位が少なくなっている。
【0004】
このような操作部位の減少を補う意味もあって、例えば特許文献1には、ペンの収納状態を検出し、検出した収納状態に応じて各種の動作や制御を行う技術が開示されている。
【特許文献1】特開2005−339264号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1が開示する情報処理装置は、ペンを寝かせた状態で収納する収納部と、ペンを立てた状態で収納する収納部の2つの異なる収納部を有しており、夫々の収納部におけるペンの収納状態の変化を検出することによって各種の制御を行っている。
【0006】
しかしながら、特許文献1が開示する情報処理装置はペンの収納部が2つあるため、装置の小型化に制約が生じる。また、夫々の収納部におけるペンの収納状態の変化を検出し、検出結果に応じて異なった処理を行っているため、ペンの収納状態の検出機構が複雑となり、また検出結果に基づく制御も複雑となる。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、ペンの収納状態を小型・簡素な構造で、かつ高い操作性で検出して各種の処理モードを制御することができる情報処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明に係る情報処理装置は、ペン入力用のパネルと、前記パネルに先端を接触させて情報を入力するペンと、前記ペンを、半挿入状態と全挿入状態の少なくとも2つの挿入状態で挿入して収納することができる筒形状のペン収納部と、を備え、前記ペン収納部は、前記半挿入状態では前記ペンを回動可能に収納する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る情報処理装置によれば、小型で簡素な構造で、かつ高い操作性でペンの収納状態を検出して動作を制御することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明に係る情報処理装置の実施形態について、添付図面を参照して説明する。
【0011】
図1は、本実施形態に係る情報処理装置1の一例として、PDA(Personal Digital Assistant)を表側から見た外観例を示す斜視図である。
【0012】
情報処理装置1は、本体部2とペン5(図2等参照)を有しており、本体部2の表側には、表側の大半の領域にタッチパネル(ペン入力用のパネル)2が配設されている。タッチパネル3の下側に領域には、いくつかのキーから構成される操作部4が配設されている。タッチパネル3の下層には、ほぼ同じ面積のディスプレイパネルが重ねられており、ユーザはディスプレイパネルの表示を見ながらタッチパネル3をペン5でタッチし、各種の情報入力や操作を行うことができる。
【0013】
図2(a)は、ペン(タッチペン又はスタイラスペン)5の外観例を示す斜視図である。また、図2(b)は、ペン5を頭部側から見た平面図である。図2(a)、(b)に示すようにペン5は、円柱形状であり、全体が、例えば樹脂で形成されている。ペン5の先端52は、タッチパネル3上の細かな位置を指定しやすいように細くなっている。ペン5の頭部51から所定の距離、例えば1乃至3cm程度の位置には、孤立した突起53が設けられている。
【0014】
本体部2には、ペン5を挿入して収納するための筒形状のペン収納部10が設けられている。図3は、本体部2を裏側から見た外観例を示す斜視図である。図3に示すように、ペン収納部10は、例えば、本体部2の裏側の側方部に設けられており、ここにペン5を挿入して収納する。
【0015】
図4は、ペン収納部10の挿入口近傍を拡大して示した図である。ペン収納部10の横断面は、ペン5の形状に対応して円形状となっている。ペン収納部10の挿入口側には、2つのスロットが対向して設けられている。一方のスロットは、本体部2の外側に向って開放されているスロットであり、以下外側スロット(第2のスロット)12と呼ぶ。他方のスロットは、本体部2の内側に向って開放されているスロットであり、以下内側スロット(第1のスロット)11と呼ぶ。
【0016】
外側スロット12は挿入口側が開放されており、その反対側は閉端12aで閉じている。同様に、内側スロット11も挿入口側が開放されており、その反対側は閉端11a(図6、図7参照)で閉じている。また、内側スロット11の開放端には、ペン5の突起53を下方へ通過させるための切欠13が形成されている。
【0017】
本実施形態に係る情報処理装置1では、ペン5をペン収納部10に収納するとき、全挿入状態と半挿入状態の少なくとも2つの挿入状態で挿入して収納することができる。図5及び図6は上記の2つの挿入状態を説明する図である。全挿入状態とは、ペン5の頭部51を含めてほぼ全体がペン収納部10に収納される挿入状態のことである。一方、半挿入状態とは、ペン5が、その頭部51から所定の距離までペン収納部10から突出した状態で収納される挿入状態のことである。
【0018】
図5(a)及び図6(a)は、ペン5を全挿入状態でペン収納部10に挿入した状態を示す図である。全挿入状態とする場合、ペン5の突起53が本体部2の外側に向くようにしてペン5を挿入する。このとき、ペン5の突起53は外側スロット12内をスライドして下降し、突起53が外側スロット12の閉端12aに当接して止まる。
【0019】
一方、図5(b)及び図6(b)は、ペン5を半挿入状態でペン収納部10に挿入した状態を示す図である。半挿入状態とする場合、全挿入状態のときとは逆に、ペン5の突起53が本体部2の内側に向くようにしてペン5を挿入する。このとき、ペン5の突起53は内側スロット11内をスライドして下降し、突起53が内側スロット11の閉端11aに当接して止まる。
【0020】
ここで、外側スロット12の長さL2は内側スロット11の長さL1よりもΔLだけ長くなるように夫々のスロットが形成されている。つまり、外側スロット12の閉端12aは、内側スロット11の閉端11aよりも挿入口からΔLだけ遠い位置に設けられている。この結果、全挿入状態では、ペン5の頭部51が本体部2の上端とほぼ同じ高さであっても、半挿入状態ではペン5の頭部51が本体部2の上端からΔLだけ突出した状態で収納されることになる。後述するように、半挿入状態ではペン5を円周方向に回動可能に収納されるが、ユーザはペン5の頭部51近傍を指でつまんで容易に回動させることができる。
【0021】
図7は、ペン5が半挿入状態で収納されたときの本体部2の内部構造を示す図である。図7に示すように、半挿入状態では、ペン5の突起53は内側スロット11の閉端11aに当接している。一方、図7に示すように、内側スロット11の閉端11a近傍には、ペン5の回転方向に広がる切欠14が内側スロット11を中心にして両側に形成されている。この切欠14によって、内側スロット11の閉端11aに当接した突起53は、ペン5の左右の回転方向に対して回動可能となる。
【0022】
上記のように、半挿入状態ではペン5を挿入したまま回動させることができる。本実施形態に係る情報処理装置1では、半挿入状態でのペン5の回転位置を検出するセンサを設け、ペン5の回転位置に応じて種々の制御が可能となるようにしている。
【0023】
図8は、ペン5を頭部51の方向から見た図であり、ペン5の周囲に配設されるセンサ(1)20、センサ(2)21も併せて図示している。
【0024】
センサ(1)20、センサ(2)21の種類は特に限定するものではないが、例えば、ペン5の突起53の内部にマグネット54を内蔵させ、センサ(1)20、センサ(2)21を磁気センサとすることで、ペン5の回転位置に応じてセンサ(1)20、センサ(2)21の検出状態を変化させることができる。
【0025】
この場合、ペン5が図8の位置(中立位置)にあるときには、センサ(1)20、センサ(2)21はいずれもオフ(非検出)の状態である。ペン5を図8において左(反時計方向)に回転させ、マグネット54をセンサ(1)20に近づけると、センサ(1)20がマグネット54の磁気を検出して、センサ(1)20のみがオン(検出)となる。但し、センサ(2)21はオフの状態のままである。逆に、ペン5を図8において右(時計方向)に回転させ、マグネット54をセンサ(2)21に近づけると、センサ(2)21がマグネット54の磁気を検出して、センサ(2)21のみがオンとなりセンサ(1)20はオフの状態のままである。
【0026】
このように、ペン5の回転位置に応じて、センサ(1)20、センサ(2)21のオンオフ状態を変化させることができる。
【0027】
図9は、センサ(1)20、センサ(2)21の検出信号を用いて処理モードを判定する機能を主に示す情報処理装置1の機能ブロック図である。
【0028】
情報処理装置1は、処理判定部30と情報処理部31を有しており、センサ(1)20、センサ(2)21の出力信号は処理判定部30に入力される。処理判定部30では、センサ(1)20、センサ(2)21のオンオフ状態に対して予め割り当てられた処理モードを決定し、情報処理部31へ出力する。
【0029】
情報処理部31は、情報処理装置1が有する各種の機能を実行する。例えば、音楽再生機能、映像再生機能、表計算機能、文書作成機能、インターネット機能、電子メール機能等の機能を夫々のアプリケーションソフトウェアで実行する。
【0030】
情報処理部31で実行される機能に応じて、センサ(1)20、センサ(2)21のオンオフ状態と割り当てられる処理モードとを変更するようにしてもよい。
【0031】
例えば、情報処理部31で実行する機能が音楽再生機能であるとする。このとき、例えば、ペン5を時計方向に回転させたときに音量を増加させ、反時計方向に回転させたとき音量を減少させ、ペン5を中立位置にしたとき現在の音量を維持するものとする。この場合、処理判定部30は、センサ(2)21がオンでセンサ(1)20がオフの場合、処理モードを「音量増加」モードに設定して情報処理部31へ出力する。逆に、センサ(2)21がオフでセンサ(1)20がオンの場合、処理モードを「音量減少」モードに設定して情報処理部31へ出力する。また、センサ(2)21とセンサ(1)20が双方オフの場合には、処理モードを「音量維持」モードに設定して情報処理部31へ出力する。
【0032】
上記は、センサ(1)20、センサ(2)21のオンオフ状態と処理モードの割り当ての一例に過ぎず、この他にも様々なセンサ検出状態と処理モードとの割り当てが可能である。
【0033】
センサの種類も上記の磁気センサとマグネットに限定されるものでなく、例えば2つの磁気センサを2つのプッシュスイッチに換えた構成とすることもできる。この場合、マグネット54は不要であり、ペン5の回転によって突起53が各プッシュスイッチを押下することによって、各プッシュスイッチをオンオフさせることになる。
【0034】
また、センサの数や位置も図8や図9の例示に限定されるものでなく、例えばセンサの数を3以上にして、ペン5の回動可能範囲全体に適宜の間隔で分散させるようにしても良い。センサの数が増えることによって、より複雑な処理モードの選択が可能となる。
【0035】
また、上記の例では、センサの出力がオンオフの2値出力であるとして説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、検出する磁気の大きさに対応する多値出力、或いはアナログ値出力としてもよい。
【0036】
以上説明してきたように、本実施形態に係る情報処理装置1によれば、ペンの収納状態を小型・簡素な構造で、かつ高い操作性で検出して各種の処理モードを制御することができる。
【0037】
なお、本発明は上記の実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせても良い。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の実施形態に係る情報処理装置を表側からみた外観例を示す斜視図。
【図2】(a)は本発明の実施形態に係るペンの外観例を示す斜視図、(b)は平面図。
【図3】本発明の実施形態に係る情報処理装置を裏側からみた外観例を示す斜視図。
【図4】ペン収納部の挿入口近傍の拡大図。
【図5】(a)はペンの全挿入状態での外観斜視図、(b)はペンの半挿入状態での外観斜視図。
【図6】(a)はペンの全挿入状態での側方断面図、(b)はペンの半挿入状態での側方断面図。
【図7】半挿入状態に係るペン収納部の内部構造を示す図。
【図8】ペンの回転位置を検出するセンサと位置検出の概念を示す図。
【図9】センサの検出信号を用いて処理モードを判定する機能を主に示す機能ブロック図。
【符号の説明】
【0039】
1 情報処理装置
2 本体部
3 タッチパネル(パネル)
5 ペン
53 突起
54 マグネット
10 ペン収納部
11 内側スロット(第1のスロット)
12 外側スロット(第2のスロット)
14 切欠
20、21 磁気センサ(センサ)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ペン入力用のパネルと、
前記パネルに先端を接触させて情報を入力するペンと、
前記ペンを、半挿入状態と全挿入状態の少なくとも2つの挿入状態で挿入して収納することができる筒形状のペン収納部と、
を備え、
前記ペン収納部は、前記半挿入状態では前記ペンを回動可能に収納する、
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記ペンは、その頭部から所定の距離の位置に孤立した突起を有し、
前記ペン収納部は、前記ペン収納部の挿入口側で夫々の一端が開放され、かつ長さの異なる第1のスロットと第2のスロットとを円周方向の異なる位置に有し、
前記突起が前記第1のスロットをスライドするように前記ペンが挿入されたときは、前記半挿入状態で前記ペンは収納され、前記突起が前記第1のスロットよりも長い前記第2のスロットをスライドするように前記ペンが挿入されたときは、前記全挿入状態で前記ペンは収納される、
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記全挿入状態では、前記ペンは実質的に全体が前記ペン収納部に挿入される、
ことを特徴とする請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記全挿入状態では、前記突起は前記第2のスロットから外に向って露出し、外部から前記突起を操作可能である、
ことを特徴とする請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記半挿入状態では、前記ペンは、その頭部から所定の距離まで前記ペン収納部から突出して収納される、
ことを特徴とする請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記第1のスロットの閉じた他端には、前記ペンの回転方向の切り欠きが形成されており、前記半挿入状態では、前記突起が前記回転方向の切り欠きをスライドすることにより前記ペンが回動する、
ことを特徴とする請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記第1のスロットと前記第2のスロットは、前記ペン収納部の円周方向で互いに対向する位置に形成され、前記第2のスロットは装置筐体の外部に向って開き、前記第1のスロットは前記装置筐体の内部に向って開いている、
ことを特徴とする請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記ペン収納部の外周に、前記ペンが半挿入状態で挿入されたときに前記ペンの回転位置を検出するセンサ、をさらに備える、
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記ペンはその周方向の特定の位置にマグネットを有し、
前記センサは前記マグネットの磁気を検出する磁気センサである、
ことを特徴とする請求項8に記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記ペンはその周方向の特定の位置に突起を有し、
前記センサは、前記突起による押圧によって作動するプッシュスイッチである、
ことを特徴とする請求項8に記載の情報処理装置。
【請求項11】
前記サンサの検出信号に基づいて、本装置の処理モードを判定する処理判定部、
をさらに備えることを特徴とする請求項8に記載の情報処理装置。
【請求項12】
前記センサは、前記ペンの複数の回転位置を検出する複数のセンサであり、
前記処理判定部は、複数の処理モードの中から、前記回転位置に予め対応付けられている処理モードを選択して判定する、
ことを特徴とする請求項11に記載の情報処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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