説明

情報処理装置

【課題】3次元グラフィック処理をソフトウェア及びハードウェアの適切な一方を利用して行う。
【解決手段】3次元描画エンジン切替機能は、3次元描画を含むアプリケーションコンテンツの実行に際し、そのコンテンツが3次元描画をソフトウェアと、ハードウェアとのいずれによることを想定しているかを属性情報で調べ(ステップS11−1b)、ソフトウェアによることと、ハードウェアによることとの両方を想定していれば(ステップS11−1bの「ANY」)、そのコンテンツの上記以外の属性や、そのコンテンツに係わらない装置の状態によって判断し(ステップS11−1f)、ソフトウェアで(ステップS11−1c)、又は、ハードウェアで実行させる(ステップS11−1e)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は情報処理装置に係り、特に3次元グラフィック処理に関する。
【背景技術】
【0002】
3次元グラフィック処理の描画によって得られた画像を表示部に表示する処理が知られており、例えば、ゲームの画面表示や、移動通信装置の待ち受け画面の表示に用いられている。3次元グラフィック処理は、オープンジイエル(登録商標、OpenGL)や、ダイレクトエックス(登録商標、DIRECTX)等のAPIを用いて記述され、このAPIの実装は、汎用のコンピュータ(CPU)を利用して動作するソフトウェアによることもあり、また、専用のハードウェア(3次元グラフィックアクセラレーションチップ)を利用することもある。いずれによっても、同じAPIを用いると、原則として、同じ画像が得られる。
【0003】
ハードウェアを利用した場合、高速な処理が可能であり短時間の処理で高精細な描画を行うことができるが、より多くの電力を消費する。そこで、ジョブの種類毎に、ソフトウェアで処理、ハードウェアで処理、及び、ソフトウェアかハードウェアかを問わずに処理のいずれか1つを設定しておき、複数のジョブを同時実行する際、消費電力を管理しつつ、ソフトウェア及びハードウェアを効率的に使用して処理パフォーマンスを向上させる処理が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−173843号公報(第4、7、12頁、図15、16)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した特許文献1に開示されている方法では、3次元グラフィック処理にあたり、ソフトウェアかハードウェアかを問わずに処理が可能な場合、いずれに処理させることが適切かの判断基準が明らかでない問題点があった。
【0006】
本発明は上記問題点を解決するためになされたもので、3次元グラフィック処理をソフトウェア及びハードウェアの適切な一方を利用して行う情報処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の情報処理装置は、入力手段と、画像を表示する表示手段と、描画して、その描画によって得られた画像を前記表示手段に表示させる第1の描画手段と、描画して、その描画によって得られた画像を前記表示手段に表示させ、前記第1の描画手段よりも描画のための消費電力が少なく、かつ、描画速度が遅い第2の描画手段と、描画指示を含むコンテンツを実行するアプリケーション手段と、前記アプリケーション手段が前記コンテンツの実行を開始する際、そのコンテンツに含まれる描画指示を前記第1の描画手段に実行させるか、又は、前記第2の描画手段に実行させるかを選択する描画手段選択手段とを有し、前記描画手段選択手段は、前記アプリケーション手段が実行を開始するコンテンツが前記入力手段からの入力によって指定された場合、前記描画指示を前記第1の描画手段に実行させ、及び/又は、そのコンテンツが前記入力手段からの入力によらずに指定された場合、前記描画指示を前記第2の描画手段に実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、3次元グラフィック処理をソフトウェア及びハードウェアの適切な一方を利用して行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施形態に係る移動通信装置の構成を示すブロック図。
【図2】本発明の実施形態に係るアプリケーションコンテンツの属性情報の第1の例を示す図。
【図3】本発明の実施形態に係るアプリケーションコンテンツの属性情報の第2の例を示す図。
【図4】本発明の実施形態に係るアプリケーションコンテンツの属性情報の第3の例を示す図。
【図5】本発明の実施形態に係る3次元描画エンジン切替機能の3次元描画をソフトウェア及びハードウェアのいずれに行わせるかを選択する制御動作のフローチャート。
【図6】本発明の実施形態に係る3次元描画エンジン切替機能の3次元描画をソフトウェア及びハードウェアのいずれに行わせるかを選択するための第1の表。
【図7】本発明の実施形態に係る3次元描画エンジン切替機能の3次元描画をソフトウェア及びハードウェアのいずれに行わせるかを選択するための第2の表。
【図8】本発明の実施形態に係る3次元描画エンジン切替機能の3次元描画をソフトウェア及びハードウェアのいずれに行わせるかを選択するための第3の表。
【図9】本発明の実施形態に係る3次元描画エンジン切替機能の3次元描画をソフトウェア及びハードウェアのいずれに行わせるかを選択するための第4の表。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明の実施形態に係る情報処理装置が適用された移動通信装置の実施の形態を、図面を参照して説明する。図1は、本発明の実施形態に係る移動通信装置の構成を示すブロック図である。この移動通信装置は、装置全体の制御を行う制御部11と、移動通信網の基地局(図示せず)との間で電波の送受信を行うアンテナ12aと、通信部12bと、送受信部13と、受話に用いられるスピーカ14aと、送話に用いられるマイクロフォン14bと、通話部14cと、表示部15と、入力部16と、待受画面処理部21と、ゲーム処理部22と、3次元アクセラレーションチップ23と、コンテンツ記憶部24と、近距離無線通信部31と、電源部41とからなる。
【0011】
CPUを利用してプログラムを動作させることで実現される本発明に関する機能として、制御部11には、3次元描画エンジン切替機能11−1と、3次元描画エンジンライブラリ11−2と、チップ利用3次元描画エンジンライブラリ11−3とが含まれる。また、コンテンツ記憶部24には、3次元描画用APIによって記述された3次元描画指示を含むアプリケーションコンテンツが記憶される。このアプリケーションコンテンツは、例えば、ジャバ(登録商標、JAVA)で記述される。
【0012】
上記のように構成された、本発明の実施形態に係る移動通信装置の各部の動作を、図1を参照して説明する。
【0013】
3次元描画エンジン切替機能11−1は、アプリケーションコンテンツを実行する処理部(後述するように、待受画面処理部21及びゲーム処理部22。)がアプリケーションコンテンツを実行する際、そのコンテンツ中に記述された3次元描画用APIの処理を、3次元描画エンジンライブラリ11−2及びチップ利用3次元描画エンジンライブラリ11−3のいずれか一方に行わせ、その描画によって得られた画像を表示部15に表示させる。いずれに行わせるかは、そのコンテンツ等によって判断する。チップ利用3次元描画エンジンライブラリ11−3に行わせる場合、3次元アクセラレーションチップ23に電源を供給させる。
【0014】
なお、3次元描画用APIには、3次元物体の定義、その物体の移動指示、その物体の回転指示等がある。物体の定義には、その物体の解像度を含む。
【0015】
3次元描画エンジンライブラリ11−2は、3次元描画用APIの処理を、コンピュータ(CPU)を利用して実行するプログラムのライブラリである。チップ利用3次元描画エンジンライブラリ11−3は、3次元描画用APIの処理の少なくとも一部を、3次元アクセラレーションチップ23を利用して行うためのプログラムのライブラリである。
【0016】
なお、1つのアプリケーションコンテンツが3次元描画エンジンライブラリ11−2によって実行された場合と、チップ利用3次元描画エンジンライブラリ11−3によって実行された場合と、同じ3次元描画が行われるので、同じ画像が表示部15に表示されるが、これに限るものではない。例えば、両者が処理する3次元描画用APIに差異がある場合、この差異に係わるAPIを用いるアプリケーションコンテンツは、いずれか一方によってのみ、動作する。
【0017】
また、3次元描画エンジンライブラリ11−2は、3次元描画用APIを介して与えられた3次元物体の解像度を下げ、また、移動や回転の際の最低移動量や最低回転角度を上げ、また、単位時間に行う描画回数を少なくしても良い。このようにすることにより、画質は劣るものの、より高速で、例えば、チップ利用3次元描画エンジンライブラリ11−3による場合と同じ速度での描画が可能である。また、消費電力の削減が可能である。
【0018】
通信部12bは、アンテナ12aが受信した高周波信号を送受信部13へ出力し、また、送受信部13から出力される高周波信号をアンテナ12aより送信する。
【0019】
送受信部13は、通信部12bからの高周波信号を増幅、周波数変換及び復調し、それによって得られたディジタル音声信号を通話部14cへ、制御信号を制御部11に送る。更には、通話部14cから出力されるディジタル音声信号、制御部11から出力される制御信号を変調、周波数変換及び増幅し、高周波信号を得て、それを通信部12bに送る。
【0020】
通話部14cは、送受信部13から出力されるディジタル音声信号をアナログ音声信号に変換し、それを増幅してスピーカ14aに送る。また、マイクロフォン14bから出力されるアナログ音声信号を増幅し、それをディジタル音声信号に変換して送受信部13に送信する。
【0021】
表示部15は、使用者に操作を促す表示や、使用者が操作した内容の表示や、装置の動作状態の表示等に用いられるバックライト付きのLCDであり、制御部11に制御されることで、カーソルや文字・数字を含む画像を表示し、表示されているデータは、入力部16からの入力操作や制御部11からの指示を受けることで切換わる。
【0022】
入力部16は、通信相手の電話番号等を指定し、また、トグル式の入力方式によってひらがな文字、アルファベット文字及び記号文字を入力するための数字キーと、カーソル移動キーやスクロールキーを含む複数の機能キーとを含むキーからなる。そして、入力部16のキーが押下されると、そのキーの識別子を制御部11に通知する。
【0023】
待受画面処理部21は、装置に電源が投入されており、かつ、装置の使用者の操作に従って動作中の装置の各部(この実施形態では、通話部14c、ゲーム処理部22及び近距離無線通信部31。)によって表示部15に表示がされていない場合、制御部11によって起動され、コンテンツ記憶部24に記憶されたアプリケーションコンテンツの1つの実行による描画を行い、描画された画像を待受画面として表示部15に表示させる。このように、待受画面処理部21は、装置の使用者による直接の動作指示に従って動作するものではない。
【0024】
ゲーム処理部22は、入力部16の所定のキー操作に従って選択された、コンテンツ記憶部24に記憶されたアプリケーションコンテンツの1つを対話型で実行する。即ち、入力部16のキー操作に応じた描画を行い、描画された画像を表示部15に表示させる。
【0025】
3次元アクセラレーションチップ23は、チップ利用3次元描画エンジンライブラリ11−3の指示に従って、3次元グラフィック処理による描画を行うハードウェアである。
【0026】
近距離無線通信部31は、ブルートゥース(登録商標、Bluetooth)方式による通信を行う。この通信は、例えば、ハンズフリー装置(図示せず)を介した通話等に用いられる。なお、近距離無線通信部31は、赤外線を用いた通信を行っても良い。この通信は、例えば、アドレス帳(図示せず)の送受に用いられる。
【0027】
電源部41は、蓄電池を有し、制御部11の制御に従ってその蓄電池から装置の各部へ電力を供給する。また、充電器(図示せず)が接続された場合、その充電器から供給される電力によって、その蓄電池を適切に充電する。なお、電源部41は、蓄電池に代えて、一次電池を有しても良い。
【0028】
続いて、コンテンツ記憶部24に記憶されるアプリケーションコンテンツを説明する。このコンテンツは、例えば、JAVA(R)による、3次元描画用APIの記述を含むプログラムと、属性情報とからなる。なお、アプリケーションコンテンツの実行とは、アプリケーションコンテンツに含まれるプログラムの実行である。
【0029】
このコンテンツの属性情報を説明する。図2〜図4は、コンテンツの属性情報の例を示す。このコンテンツの属性情報は、名称(MIDlet-Name)24aと、指定3次元描画(MIDxlet-3dRender)24bと、指定スクリーンサイズ(MIDxlet-ScreenSize)24cと、指定起動(MIDxlet-Resident)24dとが関連付けられた情報である。
【0030】
名称24aは、アプリケーションコンテンツを識別する名称である。指定3次元描画24bは、アプリケーションコンテンツが想定している、その実行の際に用いられるリソース、即ち、ソフトウェアによるか、ハードウェアによるかを示し、「SW」、「HW」、若しくは「ANY」なる値が記憶され、値が記憶されず、又は、指定3次元描画24bがコンテンツの属性情報に含まれない。なお、以後、値が記憶されないことは、指定3次元描画24bがコンテンツの属性情報に含まれないことを含む。
【0031】
「SW」が記憶されている場合、実行は3次元描画エンジンライブラリ11−2によることを示し、描画負荷は小さく、少ない消費電力での動作が想定されている。また、「HW」が記憶されている場合、実行はチップ利用3次元描画エンジンライブラリ11−3によることを示し、描画負荷は大きく、短時間の処理で高精細な描画が行われることが想定されている。
【0032】
「ANY」が記憶されている場合、実行は3次元描画エンジンライブラリ11−2及びチップ利用3次元描画エンジンライブラリ11−3のいずれによっても良く、いずれを選択するかは、3次元描画エンジン切替機能11−1に委ねられることを示す。値が記憶されていない場合、この実施形態では、「HW」が記憶されているとみなす。しかし、これに限るものではなく、「ANY」が記憶されているとみなしても良い。
【0033】
指定スクリーンサイズ24cは、アプリケーションコンテンツが想定している、それに含まれる描画指示の実行によって得られた画像を表示する表示画面の大きさ、即ち、表示可能な画素数である。アプリケーションコンテンツのプログラムは、指定スクリーンサイズ24cが示す表示画面の大きさでの表示に適したパラメータ、例えば、物体の解像度を用いた描画指示を含んでいる。ここで、大きい表示画面への表示に適したプログラムの実行には、多くの処理が必要であって、多くの電力を消費する。
【0034】
指定起動24dは、アプリケーションコンテンツが想定している、その実行の起動方法であって、「常駐」又は「通常」なる値が記憶される。「常駐」が記憶されている場合、予め定められた設定に従って起動されることを示し、装置の使用者の直接の操作によって起動されないので、少ない消費電力での動作が想定されている。「通常」が記憶されている場合、入力部16の操作に従って起動されることを示し、装置の使用者の直接の操作によって起動されるので、使用者へ特に良い印象を与える画像を表示すべく、短時間の処理で高精細な描画が行われることが想定されている。
【0035】
ここで、図2〜図4に示すコンテンツの属性情報は、如何なるアプリケーションコンテンツに含まれるものかを説明する。図2に示すコンテンツの属性情報は、「SW」なる指定3次元描画24bと、「常駐」なる指定起動24dとを含み、予め定められた設定に従って起動される、描画負荷が小さいアプリケーションコンテンツに含まれるものである。このコンテンツは、主に、待受画面処理部21によって実行され、表示される。
【0036】
図3に示すコンテンツの属性情報は、「HW」なる指定3次元描画24bと、「通常」なる指定起動24dとを含み、入力部16の操作に従って起動される、描画負荷が大きいアプリケーションコンテンツに含まれるものである。このコンテンツは、主に、ゲーム処理部22によって実行されるゲームである。
【0037】
図4に示すコンテンツの属性情報は、「ANY」なる指定3次元描画24bを含み、描画負荷が中程度、また、3次元描画エンジンライブラリ11−2によって実行されても、チップ利用3次元描画エンジンライブラリ11−3によって実行されても適切な画像を作成するアプリケーションコンテンツに含まれるものである。ここで、いずれによって実行されるかに依存して、描画された画像の、例えば、精細さに差があっても良い。
【0038】
次に、図5に示すフローチャートを参照して、上記構成の移動通信装置におけるアプリケーションコンテンツの実行の際、3次元描画エンジン切替機能11−1がそのコンテンツ中に記述された3次元描画用APIの処理を、3次元描画エンジンライブラリ11−2及びチップ利用3次元描画エンジンライブラリ11−3のいずれに行わせるかを選択する制御動作を説明する。
【0039】
3次元描画エンジン切替機能11−1は、アプリケーションコンテンツの実行が開始される際、制御動作を開始し(ステップS11−1a)、まず、実行が開始されるアプリケーションコンテンツのコンテンツ属性情報の指定3次元描画24bによっていずれを選択するかを判断する(ステップS11−1b)。
【0040】
指定3次元描画24bが「SW」である場合、3次元描画エンジン切替機能11−1は、上記アプリケーションコンテンツを3次元描画エンジンライブラリ11−2で実行させると決定して(ステップS11−1c)、選択する制御動作を終了する(ステップS11−1d)。一方、「HW」である、又は、値が記憶されていない場合、3次元描画エンジン切替機能11−1は、上記アプリケーションコンテンツをチップ利用3次元描画エンジンライブラリ11−3で実行させると決定して(ステップS11−1e)、選択する制御動作を終了する(ステップS11−1d)。これらの決定は、上記アプリケーションコンテンツの実行の終了に至るまで有効である。
【0041】
ステップS11−1bで、指定3次元描画24bが「ANY」である場合、3次元描画エンジン切替機能11−1は、実行が開始されるアプリケーションコンテンツの指定3次元描画24b以外のコンテンツ属性情報と、そのアプリケーションコンテンツに係わらない装置の状態とによって3次元アクセラレーションチップ23を使用することが適切か否かを判断し(ステップS11−1f)、3次元アクセラレーションチップ23を使用しないことが適切と判断された場合、上記アプリケーションコンテンツを3次元描画エンジンライブラリ11−2で実行させると決定して(ステップS11−1c)、選択する制御動作を終了する(ステップS11−1d)。
【0042】
一方、3次元アクセラレーションチップ23を使用することが適切と判断された場合、3次元描画エンジン切替機能11−1は、上記アプリケーションコンテンツをチップ利用3次元描画エンジンライブラリ11−3で実行させると決定して(ステップS11−1e)、選択する制御動作を終了する(ステップS11−1d)。
【0043】
ステップS11−1fの判断の詳細を説明する。3次元描画エンジン切替機能11−1は、以下の判断基準のいずれか1つ、又は、以下の判断基準の複数の組み合わせによって、判断する。
【0044】
第1の判断基準は、実行が開始されるアプリケーションコンテンツの指定起動24dが「通常」である場合、3次元アクセラレーションチップ23を使用することが適切と判断し、「常駐」である場合、使用しないことが適切と判断する。なお、指定起動24dを参照することなく、そのアプリケーションコンテンツが入力部16の所定のキー操作によって指定された場合、3次元アクセラレーションチップ23を使用することが適切と判断し、指定されない場合、使用しないことが適切と判断しても良い。
【0045】
第2の判断基準は、電源部41に蓄電池の状態を問い合わせ、蓄電池に所定の閾値以上の電力量が蓄えられている場合、及び、蓄電池が充電中である場合、3次元アクセラレーションチップ23を使用することが適切と判断し、それら以外の場合、即ち、蓄電池に所定の閾値以上の電力量が蓄えられておらず場合、かつ、蓄電池が充電中でない場合、使用しないことが適切と判断する。
【0046】
第3の判断基準は、消費電力が多い処理部、即ち、近距離無線通信部31が動作中でない場合、3次元アクセラレーションチップ23を使用することが適切と判断し、動作中である場合、使用しないことが適切と判断する。
【0047】
第4の判断基準は、実行が開始されるアプリケーションコンテンツの指定スクリーンサイズ24cと、表示部15の表示画面の大きさ、即ち、表示可能な画素数とを比較する。そして、後者を前者で除した商が所定の閾値以下である場合、3次元アクセラレーションチップ23を使用することが適切と判断し、所定の閾値を超える場合、使用しないことが適切と判断する。
【0048】
ここで、表示画面の画素数には、通常縦方向の画素数と横方向の画素数の2つがあるが、これらの比は概ね同じであるので、いずれかの方向の画素数で商を計算する。又は、それぞれの方向の画素数で商を計算して、2つの商の平均を計算する。また、所定の閾値は、1以上の正数である。
【0049】
この判断基準によれば、アプリケーションコンテンツが想定しているより大きい表示画面に描画された画像を表示させる場合、精細な表示は不可能であるのだから、3次元アクセラレーションチップ23を使用しても精細な表示をさせる効果が得られない結果、無用に電力を消費させることを避ける効果が得られる。
【0050】
なお、以上の説明では、ステップS11−1bの指定3次元描画24bによる判断と、ステップS11−1fの指定3次元描画24b以外のコンテンツ属性情報と、そのアプリケーションコンテンツに係わらない装置の状態とによる判断との2つの判断を別個に行うとしたが、これに限るものではない。特に、ステップS11−1fで、いずれか1つの判断基準による場合、上記2つの判断は、表を参照した1回の判断とみなすことができる。
【0051】
図6は、ステップS11−1fで第1の判断基準による場合、上記判断のために用いられる表を示す。表の横方向は、指定3次元描画24bに記憶される値、一方、縦方向は、指定起動24dに記憶される値を示す。表中の「使用」は、3次元アクセラレーションチップ23を使用する、即ち、チップ利用3次元描画エンジンライブラリ11−3によると判断することを示し、「使用せず」は、3次元アクセラレーションチップ23を使用しない、即ち、3次元描画エンジンライブラリ11−2によると判断することを示す。
【0052】
図7〜図9は、それぞれステップS11−1fで第2〜第4の判断基準による場合、上記判断のために用いられる表を示し、上述した図6と同じことは説明を省略する。図7で、表の縦方向は、電源部41中の蓄電池の状態を示す。図8で、表の縦方向は、近距離無線通信部31が動作中であるか否かを示す。図9で、表の縦方向は、表示部15の表示画面の大きさを示す。
【0053】
以上の説明は、本発明を移動通信装置に適用した形態を例にとって行ったが、これに限るものではない。本発明は、パソコンを含む、あらゆる情報処理装置に適用することが当然に可能である。本発明は以上の構成に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。
【符号の説明】
【0054】
11 制御部
11−1 3次元描画エンジン切替機能
11−2 3次元描画エンジンライブラリ
11−3 チップ利用3次元描画エンジンライブラリ
15 表示部
16 入力部
21 待受画面処理部
22 ゲーム処理部
23 3次元アクセラレーションチップ
24 コンテンツ記憶部
24a 名称
24b 指定3次元描画
24c 指定スクリーンサイズ
24d 指定起動
31 近距離無線通信部
41 電源部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力手段と、
画像を表示する表示手段と、
描画して、その描画によって得られた画像を前記表示手段に表示させる第1の描画手段と、
描画して、その描画によって得られた画像を前記表示手段に表示させ、前記第1の描画手段よりも描画のための消費電力が少なく、かつ、描画速度が遅い第2の描画手段と、
描画指示を含むコンテンツを実行するアプリケーション手段と、
前記アプリケーション手段が前記コンテンツの実行を開始する際、そのコンテンツに含まれる描画指示を前記第1の描画手段に実行させるか、又は、前記第2の描画手段に実行させるかを選択する描画手段選択手段とを有し、
前記描画手段選択手段は、前記アプリケーション手段が実行を開始するコンテンツが前記入力手段からの入力によって指定された場合、前記描画指示を前記第1の描画手段に実行させ、及び/又は、そのコンテンツが前記入力手段からの入力によらずに指定された場合、前記描画指示を前記第2の描画手段に実行させる
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
入力手段と、
画像を表示する表示手段と、
描画して、その描画によって得られた画像を前記表示手段に表示させる第1の描画手段と、
描画して、その描画によって得られた画像を前記表示手段に表示させ、前記第1の描画手段よりも描画のための消費電力が少なく、かつ、描画速度が遅い第2の描画手段と、
描画指示を含むコンテンツを実行するアプリケーション手段と、
前記アプリケーション手段が前記コンテンツの実行を開始する際、そのコンテンツに含まれる描画指示を前記第1の描画手段に実行させるか、又は、前記第2の描画手段に実行させるかを選択する描画手段選択手段とを有し、
前記コンテンツは、そのコンテンツの属性情報として前記入力手段からの入力によって指定されるか否かを含み、
前記描画手段選択手段は、前記コンテンツが前記入力手段からの入力によって指定される旨の属性情報を含む場合、前記描画指示を前記第1の描画手段に実行させ、及び/又は、そのコンテンツが前記入力手段からの入力によって指定されない旨の属性情報を含む場合、前記描画指示を前記第2の描画手段に実行させる
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項3】
電池に蓄えられた電力量によって動作する情報処理装置であって、
画像を表示する表示手段と、
描画して、その描画によって得られた画像を前記表示手段に表示させる第1の描画手段と、
描画して、その描画によって得られた画像を前記表示手段に表示させ、前記第1の描画手段よりも描画のための消費電力が少なく、かつ、描画速度が遅い第2の描画手段と、
描画指示を含むコンテンツを実行するアプリケーション手段と、
前記アプリケーション手段が前記コンテンツの実行を開始する際、そのコンテンツに含まれる描画指示を前記第1の描画手段に実行させるか、又は、前記第2の描画手段に実行させるかを選択する描画手段選択手段とを有し、
前記描画手段選択手段は、前記電池に蓄えられた電力量が所定の閾値以上である場合、前記描画指示を前記第1の描画手段に実行させ、及び/又は、その電力量が前記所定の閾値未満である場合、前記描画指示を前記第2の描画手段に実行させる
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項4】
画像を表示する表示手段と、
近距離無線通信手段と、
描画して、その描画によって得られた画像を前記表示手段に表示させる第1の描画手段と、
描画して、その描画によって得られた画像を前記表示手段に表示させ、前記第1の描画手段よりも描画のための消費電力が少なく、かつ、描画速度が遅い第2の描画手段と、
描画指示を含むコンテンツを実行するアプリケーション手段と、
前記アプリケーション手段が前記コンテンツの実行を開始する際、そのコンテンツに含まれる描画指示を前記第1の描画手段に実行させるか、又は、前記第2の描画手段に実行させるかを選択する描画手段選択手段とを有し、
前記描画手段選択手段は、前記近距離無線通信手段が動作中でない場合、前記描画指示を前記第1の描画手段に実行させ、及び/又は、前記近距離無線通信手段が動作中である場合、前記描画指示を前記第2の描画手段に実行させる
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項5】
画像を表示する表示手段と、
描画して、その描画によって得られた画像を前記表示手段に表示させる第1の描画手段と、
描画して、その描画によって得られた画像を前記表示手段に表示させ、前記第1の描画手段よりも描画のための消費電力が少なく、かつ、描画速度が遅い第2の描画手段と、
描画指示を含むコンテンツを実行するアプリケーション手段と、
前記アプリケーション手段が前記コンテンツの実行を開始する際、そのコンテンツに含まれる描画指示を前記第1の描画手段に実行させるか、又は、前記第2の描画手段に実行させるかを選択する描画手段選択手段とを有し、
前記コンテンツは、そのコンテンツの属性情報として表示画面の大きさを含み、
前記描画手段選択手段は、前記表示手段の表示画面の大きさが前記コンテンツに含まれる表示画面の大きさの所定数倍以下である場合、前記描画指示を前記第1の描画手段に実行させ、及び/又は、前記表示手段の表示画面の大きさが前記コンテンツに含まれる表示画面の大きさの前記所定数倍を超える場合、前記描画指示を前記第2の描画手段に実行させる
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項6】
前記表示画面の大きさは、その表示画面に表示される画素数である
ことを特徴とする請求項5に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記第1の描画手段は、少なくとも描画の一部に描画用ハードウェアを利用し、
前記第2の描画手段は、コンピュータで利用されるプログラムによって描画する
ことを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の情報処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−13783(P2011−13783A)
【公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−155386(P2009−155386)
【出願日】平成21年6月30日(2009.6.30)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】