説明

情報出力装置、方法、およびプログラム

【課題】 推薦対象の各属性が取りうる各値に対して、提示対象者の各コンテキストの直近の値が与える影響の程度を提示する。
【解決手段】 本発明の情報出力装置は、複数のコンテキストの値とコンテンツの1以上のユーザモードの値との組を含むイベント情報を複数記憶するイベント情報記憶手段と、各ユーザモードが取りうる複数のモード値各々及びユーザ端末から入力した前記複数のコンテキストの各カレント値に対して、前記イベント情報の当該モード値を含む組の中の、当該カレント値を含む組の確率を算出し、前記確率を、当該ユーザモードの各モード値及び当該カレント値に対応する確率の和で割った値を、当該カレント値の当該モード値に対する影響度とする影響度算出手段と、各カレント値と、少なくとも1つのモード値と、各カレント値の当該モード値に対する影響度を対応付けて出力する情報出力手段とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、影響情報出力装置、方法、プログラムに関し、特に、提供する情報の選択に影響の大きいユーザの状況を提示する影響情報出力装置、方法、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、行動ログを収集・分析し、ユーザのコンテキスト(属性)に応じて変化する情報ニーズを推測して、情報推薦や検索に役立てようとすることが考えられている。コンテキストは、例えば、ユーザの年齢層、所在地、時間帯など、現時点のユーザの状況や特徴を表す属性の種類である。コンテキストの値は、ユーザは20代であり、新宿におり、時間は17時台であるといった、ユーザの属性の値である。ユーザのコンテキストに応じて変化する情報ニーズを推測して情報推薦を行い、情報を推薦する理由を表示する技術には、以下のような例がある。
【0003】
特許文献1には、選択した推薦コンテンツの文字列により構成される情報から、所定の数のフレーズを抽出し、推薦理由として表示するコンテンツ推薦サーバが記載されている。
【0004】
特許文献1に記載のコンテンツ推薦サーバは、コンテンツ情報記憶部と、コンテンツ推薦部と、推薦理由生成部と、表示データ生成部とを含み、次のように動作する。
【0005】
コンテンツ情報記憶部は、例えば、テレビジョン放送などにより放送されるコンテンツの、タイトル、ジャンル、概要、放送日時やチャンネル番号、詳細を表す情報を記憶する。
【0006】
コンテンツ推薦部は、コンテンツ情報記憶部が記憶する情報を参照し、ユーザの視聴履歴、録画履歴をもとに、ユーザに推薦するコンテンツを選択する。コンテンツ推薦部は、選択したコンテンツの、タイトル、サブタイトル、出演者の名前、詳細の各項目の情報を、テキスト文書として推薦理由生成部と表示データ生成部に供給する。
【0007】
推薦理由生成部は、コンテンツ推薦部から供給された、選択したコンテンツの各項目の情報であるテキスト文書に対し、形態要素解析を行い、所定のルールに従って所定の数のフレーズを抽出する。推薦理由生成部は、抽出したフレーズを、推薦理由として表示データ生成部に出力する。
【0008】
表示データ生成部は、コンテンツ推薦部から供給されたユーザに推薦するコンテンツの各項目の情報であるテキスト文書と、推薦理由生成部から供給された推薦理由に基づいて、推薦画面を表示するためのデータを生成し、推薦画面をユーザ端末に表示させる。
【0009】
特許文献2には、ユーザの番組内容に対する嗜好を分析し、番組情報の中からユーザの嗜好に対応する番組を自動的に検索して推薦する際、推薦番組毎にその推薦理由を表示する情報推薦装置が記載されている。
【0010】
特許文献2の情報推薦装置は、ユーザの番組内容に対する嗜好を分析する嗜好分析制御部と、分析結果に基づいてユーザの嗜好に対応した番組を検索し推薦番組リストを生成し、推薦番組リストに含まれる各推薦番組の推薦理由を表示する推薦番組検索制御部を含む。特許文献2の情報推薦装置は、次のように動作する。
【0011】
嗜好分析制御部は、ユーザが過去に行った視聴や記録、記録予約などの行動履歴から、番組の属性別に統計を取り、各属性の各属性値の評価値を増減することで、ユーザの嗜好を分析する。嗜好分析制御部は、例えば、視聴した番組の属性値の評価値は+1し、記録したが視聴せずに消去した番組の属性値の評価値は−1する。推薦番組検索制御部は、嗜好分析制御部が得たユーザの嗜好に基づき、電子番組情報の中からユーザの嗜好に対応する番組を自動的に検索する。情報推薦装置は、嗜好分析制御部が検索した番組の情報の表示に、推薦理由を付加する。推薦理由は、例えば、属性別に集計した各属性値の評価値を棒グラフとして表示し、推薦した番組の属性値は棒グラフの色を変えて表示する。
【0012】
特許文献3には、例えばレストラン情報である提示対象と、該提示対象を提示する理由とを被提示者に提示する、ベイジアンネットを使用した情報提示装置が記載されている。特許文献3に記載の情報提示装置は、モデル記憶部と、提示対象推論処理部と、影響度測定処理部と、理由生成処理部と、提示部とを備える。特許文献3の情報提示装置の第1〜第4の実施形態は、次のように動作する。
【0013】
モデル記憶部は、提示対象を求めるためのベイジアンネットのモデルを記憶している。
【0014】
提示対象推論処理部は、ベイジアンネットのモデルをモデル記憶部から読み出し、予め記憶してある被提示者の年齢及び性別の情報を、それぞれ前記ベイジアンネットの親ノードに値として設定する。また、提示対象推論処理部は、レストラン情報記憶部からレストラン情報を一つ読み出し、読み出したレストランのカテゴリ及び予算を、それぞれ前記ベイジアンネットの他の親ノードに値として設定する。提示対象推論処理部は、値を設定した各親ノードからの確率伝搬により前記ベイジアンネットのレスポンスノードの確率分布を求める。提示対象推論処理部は、レスポンスノードが肯定レスポンスを取る確率をスコアとする。提示対象推論処理部は、順次レストラン情報を読み出してスコアを算出し、算出したスコアが最も高いレストランを提示対象として選択する。
【0015】
影響度測定処理部は、各親ノードに設定された値が、被提示対象のユーザの情報及び求めた提示対象のレストラン情報である場合のモデルにおいて、レスポンスノードに肯定レスポンスを設定して確率推論を行い、値を設定した各親ノードの確率分布を求める。また、影響度測定処理部は、各ノードに設定された値が、被提示対象のユーザの情報であり、求めた提示対象のレストラン情報である場合のモデルにおいて、レスポンスノードに否定レスポンスを設定して確率推論を行い、値を設定した各親ノードの確率分布を求める。影響度測定処理部は、それぞれのノードの、肯定レスポンスを設定した時の確率分布の情報量と否定レスポンスを設定した時の確率分布の情報量の差を、そのノードの影響度とする。
【0016】
理由生成処理部は、情報量の差が最も大きいノードを求め、そのノードの情報に基づいて提示対象のレストラン情報を選択した理由を生成する。例えば、予算のノードの情報量の差が最も大きい場合は、「予算が1500円だから」等の理由を生成する。
【0017】
提示部は、提示対象のレストランの情報と、提示対象を選択した理由を表示する。
【0018】
また、特許文献3の情報提示装置の第5の実施形態のベイジアンネットのモデルは、親ノードが被提示者の属性情報であり、レスポンスノードがコンテンツの属性であり、親ノードとレスポンスノードの間に存在するノードは選択基準であるモデルである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0019】
【特許文献1】特開2009−064187号公報
【特許文献2】特開2007−282042号公報
【特許文献3】特開2006−127452号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
特許文献1に記載の推薦サーバは、コンテンツの内容を表す文字情報から、所定のパターンに合致するフレーズを推薦理由として抽出する。特許文献1に記載の推薦サーバは、推薦の理由となるユーザのコンテキストの値を抽出し表示できない。また、特許文献1に記載の推薦サーバは、それぞれの推薦の理由が、推薦するコンテンツを選択した基準となる属性値に対して及ぼした影響の程度を表す値を算出できない。
【0021】
特許文献2に記載の情報推薦装置は、過去にユーザが番組を視聴や記録した回数を番組の属性値別に集計した集計結果に基づき、推薦する番組を選択し、選択した番組の属性値に評価値の高い(回数の多い)属性が存在する場合、その属性を推薦理由とする。特許文献2に記載の情報推薦装置は、番組の属性値から推薦理由を選択するが、推薦の理由となるユーザのコンテキストの値を抽出し表示することはできない。また、特許文献2に記載の情報推薦装置は、それぞれのコンテキストの値が、推薦する番組を選択した基準となる属性値に対して及ぼした影響の程度を表す値を算出できない。
【0022】
特許文献3における各ノードの影響度は、レスポンスノードに肯定レスポンスを設定した時の各ノードの確率分布の情報量と、否定レスポンスを設定した時の各ノードの確率分布の情報量の差である。特許文献3の第1〜第4の実施形態の情報提示装置は、提示対象が選択された場合とされなかった場合で、ユーザ属性及びコンテンツ属性でそれぞれの確率分布の差が大きいものを選択理由とする。
【0023】
特許文献3の第5の実施形態の情報提示装置では、親ノードがユーザ属性であり、レスポンスノードがコンテンツ属性である。また、親ノードとレスポンスノードの間のノードが選択基準である。特許文献3の第5の実施形態の情報提示装置は、レスポンスノードに対する親ノードの影響度を算出しない。該情報提示装置がレスポンスノードに対する親ノードの影響度を算出した場合、算出した影響度は、レスポンスノードの値の変化に応じた親ノードの値の確率分布の変化の程度を表す。しかし、この影響度は、親ノードの直近の値が、レスポンスノードが取りうる各値に対して与える影響の大きさを表さない。
【0024】
特許文献3の情報提示装置は、コンテンツを選択する基準となるコンテンツ属性が取りうる各値に対する、各ユーザ属性の影響の程度を表す値を算出できない。
【0025】
本発明の目的は、情報推薦や検索時の情報提示において、推薦対象を選択するための基準となる、推薦対象の各属性が取りうる各値に対して、提示対象者の各コンテキストの直近の値が与える影響の程度を提示する情報出力装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0026】
本発明の情報出力装置は、コンテンツへのアクセス時にユーザ端末から入力した、複数のコンテキストの値と、前記コンテンツの1以上のユーザモードの値との組を含むイベント情報を複数記憶するイベント情報記憶手段と、各ユーザモードについて、当該ユーザモードが取りうる複数の値(モード値)おのおの及びユーザ端末から入力した前記複数のコンテキストの各値(カレント値)に対して、前記イベント情報の当該モード値を含む組の中の、当該カレント値を含む組の確率を算出し、前記確率を、当該ユーザモードの各モード値及び当該カレント値に対応する確率の和で割った値を、当該カレント値の当該モード値に対する影響度とする影響度算出手段と、各カレント値と、少なくとも1つのモード値と、各カレント値の当該モード値に対する影響度を対応付けて出力する情報出力手段とを含む。
【0027】
本発明の情報推薦方法は、コンテンツへのアクセス時にユーザ端末から入力した、複数のコンテキストの値と、前記コンテンツの1以上のユーザモードの値との組を含む複数のイベント情報をイベント情報記憶手段に記憶し、各ユーザモードについて、当該ユーザモードが取りうる複数の値(モード値)おのおの及びユーザ端末から入力した前記複数のコンテキストの各値(カレント値)に対して、前記イベント情報の当該モード値を含む組の中の、当該カレント値を含む組の確率を算出し、前記確率を、当該ユーザモードの各モード値及び当該カレント値に対応する確率の和で割った値を、当該カレント値の当該モード値に対する影響度とし、各カレント値と、少なくとも1つのモード値と、各カレント値の当該モード値に対する影響度を対応付けて出力する情報出力手段とを含む。
【0028】
本発明の情報推薦プログラムは、コンピュータを、コンテンツへのアクセス時にユーザ端末から入力した、複数のコンテキストの値と、前記コンテンツの1以上のユーザモードの値との組を含むイベント情報を複数記憶するイベント情報記憶手段と、各ユーザモードについて、当該ユーザモードが取りうる複数の値(モード値)おのおの及びユーザ端末から入力した前記複数のコンテキストの各値(カレント値)に対して、前記イベント情報の当該モード値を含む組の中の、当該カレント値を含む組の確率を算出し、前記確率を、当該ユーザモードの各モード値及び当該カレント値に対応する確率の和で割った値を、当該カレント値の当該モード値に対する影響度とする影響度算出手段と、各カレント値と、少なくとも1つのモード値と、各カレント値の当該モード値に対する影響度を対応付けて出力する情報出力手段ととして動作させる。
【発明の効果】
【0029】
本発明には、情報推薦や検索時の情報提示において、推薦対象を選択するための基準となる、推薦対象の各属性が取りうる各値に対して、提示対象者の各コンテキストの直近の値が与える影響の程度を提示することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】第1の実施形態に係る情報出力装置の構成を表すブロック図である。
【図2】イベント情報記憶部が記憶するイベント情報における、各モード値及び各カレント値を含むイベント情報の集合の例を表す模式図である。
【図3】第1の実施形態に係る情報出力装置の動作を表すフローチャートである。
【図4】第2の実施形態に係る情報出力装置の構成を表すブロック図である。
【図5】第2、第3の実施形態に係る情報出力装置のイベント情報送信時の動作を表すフローチャートである。
【図6】第2の実施形態に係る情報出力装置の情報出力時の動作を表すフローチャートである。
【図7】イベント情報を、各モード値及びコンテキストが取りうる各値で集計した頻度の例である。
【図8】イベント情報を、各モード値及びコンテキストが取りうる各値で集計した頻度の例である。
【図9】イベント情報を、各モード値及びコンテキストが取りうる各値で集計した頻度の例である。
【図10】ユーザモードが各モード値である場合の、コンテキストが取りうる各値の条件付き確率の例を表す図である。
【図11】ユーザモードが各モード値である場合の、コンテキストが取りうる各値の条件付き確率の例を表す図である。
【図12】ユーザモードが各モード値である場合の、コンテキストが取りうる各値の条件付き確率の例を表す図である。
【図13】各モード値とコンテキストが取りうる各値の同時確率の例を表す図である。
【図14】各モード値とコンテキストが取りうる各値の同時確率の例を表す図である。
【図15】各モード値とコンテキストが取りうる各値の同時確率の例を表す図である。
【図16】各モード値の確率を当該モード値に対する各カレント値の影響度により案分したグラフの例である。
【図17】第3の実施形態に係る情報出力装置の出力画面の例である。
【図18】影響度の出力を行わない情報出力装置の出力画面の例である。
【図19】影響度の出力を行わない情報出力装置の出力画面の例である。
【図20】第3の実施形態に係る情報出力装置の構成を表すブロック図である。
【図21】第3の実施形態に係る情報出力装置の情報出力時の動作を表すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0031】
(第1の実施形態)
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0032】
図1は本発明の第1の実施形態に係る情報出力装置の構成を表すブロック図である。
【0033】
図1を参照すると、本実施形態の情報出力装置1は、イベント情報記憶部11と、影響度算出部12と、情報出力部13とを含む。情報出力装置1は、ユーザ端末2と接続され、互いに通信可能である。ユーザ端末2の数は1台とは限らない。
【0034】
イベント情報記憶部11は、例えば、ユーザ端末2からコンテンツへのアクセス時に、ユーザ端末2から入力した複数のコンテキストの値と、前記コンテンツの1以上のユーザモードの値との組を含むイベント情報を、複数記憶する。イベント情報記憶部11が記憶するイベント情報は、ユーザ端末2からコンテンツへのアクセスの記録ではなく、図示しない管理用端末等がイベント情報記憶部11に格納した、管理者等が生成したイベント情報であってもよい。また、イベント情報記憶部11は、イベント情報をユーザ毎に分けて記憶していてもよい。
【0035】
コンテキストは、ユーザの状態を表す情報である。ユーザの状態は、例えば、「年齢」、「性別」、「職業」、アクセス時のユーザの所在地である「場所」、アクセスを行った「時間帯」、アクセス時の「天気」等である。コンテキストは、このような、ユーザの「年齢」、「性別」、「職業」、「場所」等ユーザの状態を表す個々の情報である。おのおののコンテキストが取りうる値は、各コンテキストに対応した複数の値のうちのいずれかの値である。例えばコンテキストが「性別」である場合、コンテキストの値は「男」又は「女」のいずれかである。コンテキストには、「性別」のように通常は変化しないものもあるが、「場所」や「時間帯」のように、刻々と変化する可能性があるものもある。
【0036】
前述のように、コンテキストは、例えば、「年齢」、「性別」、「職業」、アクセス時のユーザの所在地である「場所」、アクセスを行った「時間帯」、アクセス時の「天気」等である。以下では、例えばユーザの「性別」は「男」と「女」のうちの「女」であると言ったように、それぞれのコンテキストは、それぞれのコンテキストに対応した複数の値のうちのいずれか一つの値を取るものとして説明する。しかし、一つのコンテキストが複数の値を取ってもよい。また、一部のコンテキストに値がないユーザがいてもよい。この場合、例えば、複数の値を取るコンテキストはアクセス回数を重複してカウントし、値がないコンテキストはカウントしないようにすることができる。コンテキストの値のうち、例えば場所や時刻などのように連続値でも表現できる値は、場所であればある程度の広がりを持った領域を特定できる、例えば地名などで表現し、時刻であれば所定の時間の幅である、例えば19時台などの時間帯で表現すればよい。
【0037】
コンテキストは、ユーザ端末2に記憶されている情報や、ユーザ端末2が含むセンサの測定値などであり、コンテンツへのアクセス時にアクセスを行ったユーザ端末2によって端末内に蓄積又は情報出力装置1に送信される。また、端末内に蓄積されたコンテキストは、適宜情報出力装置1に送信される。
【0038】
コンテンツは、例えば文字や画像、音声等で表現される情報のことである。コンテンツは、例えばURI(Uniform Resource Identifier)のような情報の所在を表し情報を特定できる情報であってもよい。また、コンテンツは、文字や画像、音声などで表される情報やURLを組み合わせたものであってもよい。
【0039】
コンテンツの属性は、そのコンテンツのそのものに係る性質もしくはコンテンツの内容に係る性質のことである。コンテンツの属性の例として、例えばコンテンツが店舗や施設などの情報である場合、その店舗や施設を利用する「目的」や、その店舗や施設の所在地を表す「所在地」がある。他のコンテンツの属性の例としては、その店舗や施設の人気、利用者の人数、店舗や施設の情報の閲覧回数などの順位を表す「ランキング」等がある。また、飲食店の属性の例としては、例えば「予算」や「駅からの距離」等がある。また、例えば、画像を含むもの、映像を含むもの、音声を含むもの、文字だけのものなど、コンテンツを構成する媒体の種類が、コンテンツの属性であってもよい。さらに、店舗利用時の割引券やクーポン等の有無などがコンテンツの属性に含まれていてもよい。
【0040】
ユーザモードは、コンテンツを選択するためのコンテンツの属性の情報である。ユーザモードは、具体的には、上記の「目的」、「所在地」などコンテンツの属性を記述する個々の情報である。
【0041】
各ユーザモードは、当該ユーザモードに応じた複数の値のうちのいずれかの値を取る。例えば、ユーザモードが「ジャンル」である場合、ユーザモードが取りうる値(モード値)が「安い」、「高い」、「酒」、「カフェ」であるとすると、それぞれのコンテンツのユーザモードのうちの「ジャンル」は、これらの値のうちのいずれかの値を取る。しかし、一つのユーザモードが複数の値を取ってもよい。その場合、複数の値を取るユーザモードはアクセス回数を重複してカウントするようにすることができる。また、値が無いユーザモードを持つコンテンツが存在してもよい。この場合、ユーザモードに値がなければカウントしないようにすることができる。また、ユーザモードの値のうち、例えば場所などのように連続値で表現できる値は、場所であればある程度の広がりを持った領域を特定できる、例えば地名などで表現すればよい。
【0042】
イベント情報におけるコンテキストの情報は、コンテンツへのアクセス時におけるコンテンツにアクセスしたユーザの各コンテキストの値を含む。また、コンテンツ利用履歴の情報におけるコンテンツの属性の情報は、ユーザが利用したコンテンツの各ユーザモードの値を含む。
【0043】
コンテンツへのアクセスは、コンテンツの閲覧だけでなく、ブックマークや画面スクロールなどを含んでいても構わない。
【0044】
以下の、本実施形態を説明するための例では、イベント情報記憶部11が記憶するイベント情報は、2つの値を取りうる1つのユーザモードと、それぞれ2つの値を取りうる2つのコンテキストの組を含む。しかし、ユーザモードの数は1に限らない。ユーザモードの数は1以上である。また、各ユーザモードは複数の値を取りうる。同様に、コンテキストの数は2に限らない。コンテキストの数は、複数である。また、各コンテキストが取りうる値は複数である。
【0045】
本実施形態を説明するための例では、ユーザモードは、例えば、飲食店の「ジャンル」(M1)である。ジャンルM1が取りうる値は、例えば、「安い」(M11)と「高い」(M12)である。また、コンテキストは、例えば、「年代」(C1)と「場所」(C2)である。年代C1が取りうる値は、例えば、「20代」(C11)、「30代」(C12)、「40代」(C13)、「50代」(C14)である。場所C2が取りうる値は、例えば、「銀座」(C21)、「渋谷」(C22)、「新宿」(C23)である。また、本実施形態を説明するための例では、情報提供の対象となるユーザは、渋谷(C22)にいる20代(C11)である。従って、当該ユーザのコンテキストの値は{C11,C22}である。しかし、以上は説明のための例であり、本発明の範囲はこの例に限られるものではない。
【0046】
図2は、イベント情報記憶部11が記憶するイベント情報を、各イベント情報が含むユーザモードの値及び各コンテキストの値によってグループ化し、グループ内のイベント情報の数に応じた面積の円形で表示した例である。
【0047】
図2のS(All)は全てのイベント情報を含むグループである。S(M11)は、「安い」M11を含むイベント情報のグループである。S(C11|M11)は、「安い」(M11)を含むイベント情報の中で、「20代」(C11)を含むイベント情報のグループである。S(C22|M11)は、「安い」(M11)を含むイベント情報の中で、「渋谷」(C22)を含むイベント情報のグループである。また、S(M12)は、「高い」(M12)を含むイベント情報のグループである。S(C11|M12)は、「高い」(M12)を含むイベント情報の中で、「20代」(C11)を含むイベント情報のグループである。S(C22|M12)は、「高い」(M12)を含むイベント情報の中で、「渋谷」(C22)を含むイベント情報のグループである。
【0048】
影響度算出部12は、ユーザ端末2から受信したコンテキストの各値(カレント値)に基づき、各ユーザモードの各値(モード値)に対する、受信したコンテキストの各値の影響の度合いを表す影響度を算出する。
【0049】
影響度算出部12は、例えば、ユーザ端末2からコンテンツ推薦の要求があった場合、ユーザ端末2から各カレント値を受信し、影響度の算出を行う。また、影響度算出部12は、推薦情報の送信先であるユーザ端末2以外の、例えばサービスプロバイダやコンテンツプロバイダの装置、ユーザ端末2を管理するユーザの友人の端末など、他の装置からの要求に応じて、影響度を算出してもよい。
【0050】
また、影響度算出部12は、ユーザ端末2の状態が所定の条件に合致した場合に影響度を算出するようにしてもよい。影響度算出部12は、例えば、一定時間毎に影響度の算出を行っても良い。また、影響度算出部12は、例えば、ユーザ端末2が、所定のエリアに入った場合、あるいは、別のエリアに移動した場合に、影響度の算出を行っても良い。
【0051】
この場合、ユーザ端末2の状況を監視する、図示しない検知サーバによってユーザ端末2の状態を検知することができる。そして、例えば、該検知サーバが検知したユーザ端末2の状態が、該検知サーバが保持する所定の条件に合致した場合、該検知サーバがユーザ端末2へのコンテンツ推薦の要求を情報出力装置1に送信すればよい。検知サーバが保持する、コンテンツ推薦の要求を情報出力装置1に送信する条件は、例えばサービスプロバイダやコンテンツプロバイダの管理者などが適宜設定すればよい。また、ユーザ端末2がコンテンツ推薦の要求を情報出力装置1に送信する条件を保持し、自端末の状態が所定の条件に合致した場合、ユーザ端末2が自動的にコンテンツ推薦の要求を情報出力装置1に送信すればよい。
【0052】
ユーザ端末2は、コンテキストの各値(カレント値)を、例えばコンテンツの推薦の要求に含めて情報出力装置1に送信すればよい。この場合、カレント値は、コンテンツ推薦の要求時におけるコンテキストの各値である。また、ユーザ端末2は、情報出力装置1等他の装置からのカレント値の要求に応じて、カレント値を情報出力装置1に送信してもよい。前述のように、ユーザ端末2は、コンテキストの値を、コンテンツの推薦の要求時に限らず、適宜情報出力装置1に送信してもよい。この場合、カレント値は最も新しいコンテキストの値である。影響度の算出法は後述する。
【0053】
情報出力部13は、ユーザ端末2に表示するために選択したコンテンツと共に、少なくとも1つのユーザモードの少なくとも1つの値と、該値に対する、カレント値の影響度を対応付けて出力する。
【0054】
情報出力部13が出力するコンテンツは、情報出力部13が、イベント情報記憶部11が記憶するイベント情報と、コンテンツの属性値と、カレント値の関連性に基づき、既存の任意の方法で選択したものである。
【0055】
なお、情報出力部13は、コンテンツを選択及び出力せず、1つ以上のユーザモードの値と、該ユーザモードの値に対する各カレント値の影響度のみを出力してもよい。
【0056】
情報出力部13は、全てのモード値に対する影響度を出力する必要はない。情報出力部13は、例えば、ユーザ端末2を介してユーザが指定したモード値、予め指定したモード値、出力するコンテンツを選択する際、例えば選択したコンテンツに最もよくマッチする値など、一部のモード値に対する影響度を出力すればよい。また、情報出力部13は、後述の数3で算出される確率が最も大きいモード値に対する影響度を出力してもよい。
【0057】
情報出力部13は、各カレント値の影響度を、表示する順番を固定して表示してもよく、影響度の大きさに応じて表示する順番を入れ替えて表示してもよい。
【0058】
次に、影響度算出部12による影響度の算出方法について、図2の例に基づき詳細に説明する。
【0059】
図2の例の、以下に示す各確率の値は、例えば以下の式の通りである。これらの確率は、ユーザモードがある値であるイベント情報の中の、いずれか一つのコンテキストがある値であるイベント情報の割合を表す。
【0060】
P(C11|M11)=0.5
P(C22|M11)=0.5
P(C11|M12)=0.1
P(C22|M12)=0.5
上記のP(C11|M11)は、「安い」(M11)を含むイベント情報が、「20代」(C11)を含む確率を表す。P(C11|M11)は、図2のS(M11)に含まれるイベント情報の中の、S(C11|M11)に含まれるイベント情報の数の割合である。また、P(C22|M11)は、「安い」(M11)を含むイベント情報が、「渋谷」(M22)を含む確率を表す。同様に、P(C22|M11)は、図2のS(M11)に含まれるイベント情報の中の、S(C22|M11)に含まれるイベント情報の数の割合である。P(C11|M12)は、「高い」(M12)を含むイベント情報が、「20代」(C11)を含む確率を表す。P(C22|M12)は、「高い」(M12)を含むイベント情報が、「渋谷」(M22)を含む確率を表す。
【0061】
情報出力部13が出力するコンテンツの選択はカレント値に基づき行うので、例えば、選択されたコンテンツのジャンルが「安い」(M11)であった場合、該コンテンツが選択された理由は、「20代」(C11)及び「渋谷」(C22)の双方又はいずれか一方であると言える。
【0062】
前述のように、P(C11|M11)及びP(C22|M11)は、共に0.5である。従って、これらの確率のみによって、「20代」(C11)及び「渋谷」(C22)のどちらが、ジャンルが「安い」(M11)であるコンテンツを選択した選択結果に大きい影響を与えたか判断することはできない。
【0063】
ところが、上記の例では、P(C11|M12)は0.1であるのに対し、P(C22|M12)は0.5である。すなわち、「安い」(M11)及び「高い」(M12)を含むイベント情報が「渋谷」(M22)を含む確率は、どちらも0.5である。一方「安い」(M11)を含むイベント情報が、「20代」(C11)を含む確率は0.5であるのに対し、「高い」(M12)を含むイベント情報が、「20代」(C11)を含む確率は0.1である。
【0064】
イベント情報が「安い」(M11)及び「高い」(M12)のどちらを含んでいる場合でも、該イベント情報が「渋谷」(C22)を含む確率は変わらない。従って、選択されたコンテンツのモード値が「高い」(M12)であった場合、「場所」のカレント値が「渋谷」(C22)であったためにモード値が「高い」(M12)であるコンテンツが選択されたとは言えない。同様に、選択されたコンテンツのモード値が「安い」(M11)であった場合、「場所」のカレント値が「渋谷」(C22)であったためにモード値が「安い」(M11)であるコンテンツが選択されたとは言えない。
【0065】
一方、「安い」(M11)を含むイベント情報が「20代」(C11)を含む確率は、「高い」(M12)を含むイベント情報が「20代」(C11)を含む確率より高い。選択されたコンテンツのモード値が「高い」(M12)であった場合、「年代」のカレント値が「20代」(C11)であったからではなく、他のコンテキストのカレント値によって、モード値が「高い」(M12)であるコンテンツが選択されたと推定できる。一方、選択されたコンテンツのモード値が「安い」(M11)であった場合、「年代」のカレント値が「20代」(C11)であったことは、モード値が「安い」(M11)であるコンテンツが選択された原因の一つであると推定できる。
【0066】
2つのカレント値が「20代」(C11)と「渋谷」(C22)であり、選択されたコンテンツのジャンルが「安い」(M11)であった場合、「場所」のカレント値が「渋谷」(C22)であったためにモード値が「高い」(M12)であるコンテンツが選択されたとは言えない。一方、この場合、「20代」(C11)はモード値が「安い」(M11)であるコンテンツが選択された原因の一つであると推定できる。従って、この場合、場所が「渋谷」(C22)であったことより、年代が「20代」(C11)であったことが、選択された理由としてもっともらしい。すなわち、「渋谷」(C22)より「20代」(C11)の方が、モード値「安い」(M11)に大きい影響及ぼすと言うことができる。
【0067】
すなわち、ユーザモードが「安い」(M11)であるコンテンツが選択された結果に対して、カレント値が「渋谷」(C22)であることより、カレント値が「20代」(C11)であることの方が大きい影響を与えたと言える。
【0068】
2つのカレント値が「20代」(C11)と「渋谷」(C22)であり、選択されたコンテンツのジャンルが「高い」(M12)であった場合、「20代」(C11)以外のコンテキストのカレント値によって、モード値が「高い」(M12)であるコンテンツが選択されたと推定できる。一方、この場合、前述のように「場所」のカレント値が「渋谷」(C22)であったためにモード値が「高い」であるコンテンツが選択されたとは言えない。しかし、「20代」(C11)と「渋谷」(C22)を比較した場合、「20代」(C11)がカレント値であるためではなく、「渋谷」(C22)がカレント値であるためにモード値が「高い」(M12)であるコンテンツが選択されたと推定することができる。すなわち、「20代」(C11)より「渋谷」(C22)の方が、モード値「高い」(M12)に大きい影響及ぼすと言うことができる。
【0069】
このような、ユーザモードの各値に対して各カレント値が与える影響の大きさを、以下に示す影響度によって表す。
【0070】
本実施形態の例では、影響度は下記の式の通りである。
【0071】
【数1】

【0072】
例えば、数1のF(M11,C11)は、「20代」(C11)の「安い」(M11)に対する影響度である。F(M11,C22)は、「渋谷」(C22)の「安い」(M11)に対する影響度である。F(M11,C11)は、F(M11,C22)より大きいので、「20代」(C11)の「安い」(M11)に対する影響度は、「渋谷」(C22)の「安い」(M11)に対する影響度より大きいことが分かる。
【0073】
一方、F(M12,C22)は、F(M12,C11)より大きいので、「渋谷」(C22)の「高い」(M12)に対する影響度は、「20代」(C11)の「高い」(M12)に対する「影響度より大きいことが分かる。
【0074】
一般的には、影響度を表す式は次の通りである。
【0075】
【数2】

【0076】
F(Mpq,Crs)は、p番目のユーザモードのq番目の値に対する、r番目のコンテキストが取りうるs番目の値の影響度を表す。数2の右辺の和は、p番目のユーザモードが取りうる全ての値についての和である。
【0077】
影響度算出部12は、イベント情報記憶部11が記憶するイベント情報を参照し、数2に基づいて影響度を算出する。
【0078】
次に、本実施形態の動作について図面を参照して詳細に説明する。
【0079】
図3は、本実施形態の動作を表すフローチャートである。
【0080】
まず、情報出力装置1は、ユーザ端末2からコンテキストのカレント値を受信する(ステップS11)。受信したコンテキストのカレント値は、影響度算出部12に入力される。
【0081】
影響度算出部12は、所定のユーザモードの値と、受信したカレント値を含むイベント情報をイベント情報記憶部11から読み出し、数2に従って所定のユーザモードの値に対する各カレント値の影響度を算出する(ステップS12)。
【0082】
情報出力部13は、影響度算出部12が受信した各カレント値を元に、ユーザ端末2に出力するためのコンテンツを選択する(ステップS13)。情報出力部13は、イベント情報記憶部11が記憶するイベント情報と、コンテンツの属性値と、カレント値の関連性を元に、既存の任意の方法により、コンテンツを選択する。また、選択するコンテンツの情報は、図示しない記憶部や他の装置などに格納しておき、情報出力部13は、図示しない記憶部や他の装置などに格納されているコンテンツの情報から、ユーザ端末2に送信するコンテンツを選択すればよい。
【0083】
情報出力部13は、選択したコンテンツと共に、所定の1つ以上のユーザモードの値と、該値に対する各カレント値の影響度を、対応付けて出力する(ステップS14)。なお、情報出力部13は、前述のように、ステップS13においてコンテンツを選択せず、ステップS14において選択したコンテンツを出力しなくてもよい。
【0084】
次に、本実施形態の効果について説明する。
【0085】
本実施形態の情報出力装置は、影響度算出部を含むことにより、ユーザのコンテキストの各カレント値が、ユーザモードの値に与える影響の大きさの程度を算出することができるという効果がある。
【0086】
その理由は、本実施形態の影響情報出力装置は、影響度算出部を含み、ユーザモードの値に対する各カレント値の影響度を算出するからである。
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0087】
図4は、本実施形態の情報出力システムの構成を表すブロック図である。
【0088】
図4を参照すると、本実施形態の情報出力システムは、情報出力装置1Aとユーザ端末2とを含む。図4の情報出力システムは情報出力装置とユーザ端末を各1台含んでいるが、情報出力装置及びユーザ端末は、どちらも複数台あっても構わない。
【0089】
ユーザ端末2は、イベント情報送信部21と、コンテキスト送信部22と、表示部23とを含む。
【0090】
ユーザ端末2のイベント情報送信部21は、ユーザ端末2からコンテンツへのアクセスがあった場合、アクセス先のコンテンツの各ユーザモードの値とユーザの各コンテキストの値の組を含むイベント情報を、情報出力装置1Aに送信する。
【0091】
コンテキスト送信部22は、例えばユーザ端末2から情報出力装置1Aへの推薦するコンテンツの要求を行う際、各コンテキストのカレント値を情報出力装置1Aに送信する。コンテキスト送信部22は、各コンテキストのカレント値を、例えばコンテンツの要求を行うクエリと共に情報出力装置1Aに送信する。また、コンテキスト送信部22は、各コンテキストのカレント値を、クエリとは別に適宜送信してもよい。
【0092】
表示部23は、情報出力装置1Aが出力する各種情報を表示する。
【0093】
情報出力装置1Aは、イベント情報記憶部11と、影響度算出部12と、情報出力部13Aと、確率算出部14と、イベント受付部15を含む。
【0094】
図1に示す本発明の第1の実施形態とを比較すると、本実施形態の情報出力装置1Aは、情報出力部13の代わりに情報出力部13Aを含む点と、確率算出部14と、イベント情報受付部15を含む点が異なる。以下の説明は、本実施形態と第1の実施形態との相違点を中心にした説明である。
【0095】
イベント情報受付部15は、ユーザ端末2が送信するイベント情報を受信し、イベント情報記憶部11に格納する。
【0096】
本実施形態のイベント情報記憶部11及び影響度算出部12は、第1の実施形態のイベント情報記憶部11及び影響度算出部12と同じである。よって、イベント情報記憶部11及び影響度算出部12の説明は省略する。
【0097】
確率算出部14は、コンテキストの各カレント値の組に対して、各ユーザモードの各値の確率を算出する。確率算出部14は、Naive Bayesモデルに基づき前述の確率の算出を行う。
【0098】
【数3】

【0099】
数3は、コンテキストが各カレント値である場合の、各ユーザモードの各値の確率(モード値確率)をNaive Bayesモデルで表した式である。本モデルでは、各ユーザモードの各値の確率は、数3の左辺によって算出される値である。また、数3の左辺によって算出した各ユーザモードの各値の確率を、ユーザモード毎に足した値が1になるように正規化した値を、数3の左辺の値としてもよい。
【0100】
数3のMkikはk番目のユーザモードが取りうるik番目の値である。C1i1、C2i2、...、Cninがコンテキストのカレント値である。nはコンテキストの数である。C1i1は1番目のコンテキストのカレント値が、該コンテキストが取りうるi1番目の値であることを表す。
【0101】
【数4】

【0102】
本実施形態では、数3の右辺を数4で置き換えた式により、各ユーザモードの各値の確率を算出する。α、βj(j=1,...,n)は、値が0以上の調整パラメータである。これらの調整パラメータは、例えば、影響度出力装置1Aの管理者が予め装置に入力しておけばよい。
【0103】
αが1よりも大きい場合、数4の値は、コンテキストの各カレント値の確率の影響を受けづらい。αが1よりも小さくゼロに近い場合、数4の値は、コンテキストの各カレント値の確率の影響を受けやすい。また、βjが1よりも大きい場合、数4の値は、j番目のコンテキストのカレント値の確率の影響を受けやすい。βjが1よりも小さくゼロに近い場合、数4の値は、コンテキストのカレント値の確率の影響を受けにくい。α、βj(j=1,...,n)はデフォルトですべて1である。
【0104】
以下では、α、βj(j=1,...,n)は、全て1であるとして説明する。
【0105】
コンテキストが3種類の場合、コンテキストのカレント値は3個である。また、ユーザモードは1種類である。この場合のユーザモードの各値の確率は、以下の式で算出される値である。
【0106】
【数5】

【0107】
数5のC1i1、C2i2、C3i3は、3種類のコンテキストのカレント値である。
【0108】
情報出力部13Aは、影響度算出部12が数5によって算出した、各ユーザモードの各値に対するコンテキストの各カレント値の影響度を、影響度算出部12から受け取る。また、情報出力部13Aは、確率算出部14が数4によって算出した、コンテキストの各カレント値における各ユーザモードの各値の確率を確率算出部14から受け取る。
【0109】
【数6】

【0110】
次に、情報出力部13Aは、数6に従って正規化した影響度R(Mkik,Cjij)を算出する。数6のF(Mkik,Cjij)は、k番目のユーザモードのik番目の値に対する、j番目のコンテキストのカレント値Cijiの影響度である。なお、この場合、j番目のコンテキストのij番目の値が、j番目のコンテキストのカレント値である。数6の右辺の分母は、k番目のユーザモードのik番目の値に対する、全てのコンテキストのカレント値の影響度の和である。
【0111】
【数7】

【0112】
次に、情報出力部13Aは、数7によって、正規化した影響度に確率算出部14から受け取った確率を加味した、影響度スコアL(Mkik,Cjij)を算出する。数7で表される影響度スコアは、コンテキストがカレント値である場合の、ユーザモードの各値の確率を、当該値に対する各カレント値の影響度の大きさで案分した値である。
【0113】
情報出力部13Aは、ユーザ端末2に表示するために選択したコンテンツと共に、ユーザモードの複数の値と、該値に対する影響度スコアを対応付けて出力する。ユーザモードの複数の値は、一つ又は複数のユーザモードのいずれかが取りうる値である。
【0114】
情報出力部13Aは、必ずしも全てのユーザモードの全てのモード値に対する影響度スコアを出力する必要はない。情報出力部13Aは、例えば、数3の確率が最も大きいモード値及び最も小さいモード値や、数3の確率が最も大きいモード値及び次に大きいモード値など、適宜選択した複数のモード値に対する影響度スコアを表示すればよい。
【0115】
情報出力部13Aが出力するコンテンツは、情報出力部13Aが、イベント情報記憶部11が記憶するイベント情報と、カレント値に基づき、既存の任意の方法で選択したものである。
【0116】
また、情報出力部13Aは、影響度スコアの数値をそのまま表示することもできるが、影響度スコアを表す図形で表示してもよい。影響度スコアを表す図形は、値の大きさの違いを判別できるものであり、ユーザ端末2の表示部23に表示可能な図形であればどのような図形であってもよい。情報出力部13Aは、影響度スコアを図形で表示する場合、影響度スコアの大きさを、例えば、図形のサイズで表現する。図形のサイズは、図形が線である場合は線の長さ、図形が2次元の図形である場合は面積や辺の長さ、図形が立体である場合は体積などである。図形のサイズは、円や扇形等の中心角であってもよい。影響度スコアを表す図形として、例えば、棒グラフや円グラフ、折れ線グラフなどがある。また、影響度スコアを表す他の画像として、影響度スコアの値の大きさに応じて濃淡値や色を変えた四辺形や円等の図形がある。
【0117】
影響度スコアを棒グラフで表示する場合、情報出力部13Aは、例えば、ユーザモードの各値(モード値)に対する各カレント値の影響度スコア全体を、コンテキストが各カレント値である場合の各モード値の確率の大きさに比例する長さの棒で表せばよい。情報出力部13Aは、さらに、当該モード値の確率に対応する棒を、当該モード値に対する各カレント値の影響度の大きさで案分した長さで分割すればよい。また、情報出力部13Aが表示する棒グラフの、棒の方向は自由である。ユーザ端末2からの指示により、棒のの方向を切り替えることが可能であってもよい。
【0118】
影響度スコアを円グラフで表示する場合、情報出力部13Aは、例えば、各モード値に対する各カレント値の影響度スコア全体を、各モード値の大きさが半径に比例する円や扇形で表せばよい。情報出力部13Aは、さらに、当該モード値の確率に対応する円や扇形の中心角を、当該モード値に対する各カレント値の影響度の大きさで案分し、当該円や扇形を分割すればよい。
【0119】
次に、本実施形態の動作について、図面を参照して詳細に説明する。
【0120】
図5は、本実施形態の情報出力装置1Aが、ユーザ端末2からイベント情報を受け取る場合の動作を表すフローチャートである。
【0121】
図5を参照すると、まず、情報出力装置1Aのイベント情報受付部15は、ユーザ端末2のイベント情報送信部21が送信したイベント情報を受信する(ステップS21)。
【0122】
情報出力装置1Aのイベント情報受付部15は、次に、受信したイベント情報を、イベント情報記憶部11に格納する(ステップS22)。
【0123】
図6は、本実施形態の情報出力装置1Aが、ユーザ端末2に推薦する情報を送信する場合の動作を表すフローチャートである。
【0124】
図6を参照すると、情報出力装置1Aは、ユーザ端末2からコンテキストのカレント値を受信する(ステップS31)。
【0125】
以下の説明の例では、ユーザモードは飲食店のジャンル(M1)である。ジャンル(M1)が取りうる値は、「安い」(M11)、「高い」(M12)、「酒」(M13)、「カフェ」(M14)の4種類である。
【0126】
また、以下の説明の例では、コンテキストは、年代(C1)、場所(C2)、時間帯(C3)の3種類である。年代(M1)が取りうる値は、「20代」(C11)、「30代」(C12)、「40代」(C13)、「50代」(C14)である。場所(C2)が取りうる値は、「銀座」(C21)、「渋谷」(C22)、「新宿」(C23)である。時間帯が取りうる値は、「0:00-4:00」(C31)、「4:00-8:00」(C32)、「8:00-12:00」(C33)、「12:00-16:00」(C34)、「16:00-20:00」(C35)、「20:00-24:00」(C36)である。
【0127】
ただし、前述のように、ユーザモードの数は1以上である。また、各ユーザモードは複数の値を取りうる。同様に、コンテキストの数は、複数である。また、各コンテキストは複数の値を取りうる。
【0128】
ステップS31で情報出力装置1Aが、「20:00」に送信した「新宿」にいる「40代」の人のコンテキストの情報を受信した場合、情報出力装置1Aが受信したコンテキストのカレント値は、C13(40代)、C23(新宿)、C36(20:00-24:00)である。情報出力装置1Aが受信したコンテキストのカレント値は、まず確率算出部14に入力される。以下、{C13,C23,C36}が、情報出力装置1Aが受信したコンテキストのカレント値の組である。
【0129】
コンテキストのカレント値を受け取った確率算出部14は、数4に従って、コンテキストのカレント値に対応する、各ユーザモードの各値の確率を算出する。コンテキストの種類は3種類なので、数4は数5と同じになる。さらに、ユーザモードの種類は1種類であり、コンテキストのカレント値の組は{C13,C23,C36}なので、数5の右辺は次に示す数8と同じになる。
【0130】
【数8】

【0131】
数8を算出するために、確率算出部14は、イベント情報記憶部11からイベント情報を読み出して頻度を算出し、確率P(M1i1)及び確率P(Cjij|M1i1)を算出する。確率算出部14は、さらに、数8の確率を算出する(ステップS32)。
【0132】
図7、図8、図9は、それぞれ、コンテキストC1、C2、C3が取りうる各値について集計した、ユーザモードが取りうる各値の頻度(各値を含むイベント情報の数)を表す図である。
【0133】
ただし、ユーザモードは「ジャンル」であり、上述のように「ジャンル」は4種類の値を取りうるので、i1は1から4までの整数である。従って、MkikはM11〜M14のいずれかである。また、コンテキストのカレント値の組は{C13,C23,C36}なので、CjijはC13、C23、C36のいずれかである。
【0134】
図10、図11、図12は、それぞれ、コンテキストC1、C2、C3が取りうる各値について集計した、ユーザモードがM11〜M14の各値である場合の、ユーザモードが取りうる各値の確率を表す図である。
【0135】
ただし、確率算出部14は、数8の計算に必要な確率P(Cjij|Mkik)だけをを算出すればよい。
【0136】
【数9】

【0137】
数9は、数8の算出に必要な確率P(Cjij|Mkik)を表す数式である。
【0138】
図13、図14、図15は、それぞれ、ユーザモードが取りうる各値と、コンテキストC1、C2、C3が取りうる各値の同時確率を表す図である。これらの図から、それぞれの確率P(M1i1)は次式の数値になることが分かる。
【0139】
【数10】

【0140】
ただし、確率算出部14は、それぞれの確率P(M1i1)を算出するのに、図13、図14、図15に示す確率を全て算出する必要はなく、P(M11)、P(M12)、P(M13)、P(M14)を直接算出すればよい。
【0141】
【数11】

【0142】
数11は、確率算出部14が数5によって算出した、コンテキストがカレント値である場合の、ユーザモードの各値の確率である。
【0143】
【数12】

【0144】
数12は、4つの値の和が1になるよう正規化した、数11の確率である。
【0145】
確率算出部14は、数12で表される確率を、情報出力部13Aに出力する。
【0146】
次に、影響度算出部12は、所定のユーザモードの値と、受信したカレント値を含むイベント情報をイベント情報記憶部11から読み出し、数2に従って所定のユーザモードの値に対する各カレント値の影響度を算出する(ステップS33)。
【0147】
【数13】

【0148】
次式の数値は、影響度算出部12が算出した影響度の値である。ただし、次式のFkik,jijは、数13のように表した影響度である。
【0149】
【数14】

【0150】
影響度算出部12は、数14で表される影響度を、情報出力部13Aに出力する。
【0151】
情報出力部13Aは、情報出力装置1Aが受信した各カレント値を元に、ユーザ端末2に出力するためのコンテンツを選択する(ステップS34)。情報出力部13Aがコンテンツを選択する方法は、既存の任意のもので構わない。また、選択するコンテンツの情報は、図示しない記憶部などに格納しておき、情報出力部13Aは、図示しない記憶部などに格納されているコンテンツの情報から、ユーザ端末2に送信するコンテンツを選択すればよい。
【0152】
次に、情報出力部13Aは、確率算出部14から受信した確率と、影響度算出部12から受信した影響度を元に、正規化した影響度(数6)を算出し、影響度スコア(数7)を算出する(ステップS35)。
【0153】
【数15】

【0154】
数15は、数6に基づき、数14の影響度を正規化した影響度の値を表す式である。
【0155】
【数16】

【0156】
数16は影響度スコアを表す式である。数16のCjijは、C13、C23、C36のいずれかである。上述のように、数16で表される値は、各コンテキストの値がカレント値である場合の、ユーザモードの各値の確率を、当該値に対する各カレント値の影響度の大きさで案分した値である。
【0157】
図16は、各コンテキストの値がカレント値である場合の、ユーザモードの各値の確率を、当該値に対する各カレント値の影響度の大きさで案分した値を、棒グラフで表した図である。
【0158】
情報出力部13Aは、選択したコンテンツと共に、所定の複数のユーザモードの値と、該値に対する各カレント値の影響度スコアを、対応付けて出力する(ステップS36)。なお、情報出力部13Aは、前述のように、ステップS34においてコンテンツを選択せず、ステップS36において選択したコンテンツを出力しなくてもよい。
【0159】
図17は、情報出力部13Aがユーザ端末2に対して出力する情報の例である。
【0160】
図18及び図19は、数16で表される値ではなく、数3で表される、ユーザモードの各値の確率の値に応じたグラフを生成して出力した場合の、表示の例である。
【0161】
図18及び図19を参照すると、これらの表示では、各カレント値に応じて、推薦されやすいコンテンツのユーザモードの値や、推薦されにくいコンテンツのユーザモードの値を、知ることができる。しかし、これらの表示では、ユーザモードのそれぞれの値を持つコンテンツが、どのカレント値が原因で推薦されやすいか、あるいは推薦されにくいかを、知ることはできない。
【0162】
一方、図17の表示は、コンテキストが各カレント値である場合の各モード値の確率を、当該値に対する各カレント値の影響度によって案分している。従って、図17の表示により、あるモード値の確率が高く、該モード値をユーザモードの値として持つコンテンツが推薦されやすいのは、該モード値に対する、あるコンテキストのカレント値の影響度が大きいためであると言うような、推薦されやすさの理由を知ることができる。逆に、あるモード値の確率が低く、該モード値をユーザモードの値として持つコンテンツが推薦されにくいのは、該モード値に対する、あるコンテキストのカレント値の影響度が小さいためであると言うような、推薦されやすさの理由を知ることができる。
【0163】
図17の例では、図17に示す表示により、「高い」の確率が高いのは、コンテキストのうち「場所」のカレント値の「高い」に対する影響度が大きいためであることを知ることができる。また、「カフェ」の確率が低いのは、コンテキストのうち「年代」及び「時間帯」のカレント値の影響度が小さいためであることを知ることができる。
【0164】
次に、本実施形態の効果について説明する。
【0165】
本実施形態の情報出力装置1Aには、さらに、どのコンテキストのカレント値の影響で、各モード値を持つコンテンツが推薦されやすいか、あるいは推薦されにくいかを、複数のモード値で比較可能な表示を行うことができるという効果がある。
【0166】
その理由は、情報出力装置1Aは、確率算出部14と影響度算出部12と情報出力部13Aを含むからである。情報出力部13Aは、確率算出部14が算出した、各モード値を持つコンテンツの推薦のされやすさの指標となる確率を、影響度算出部12が算出した各モード値に対する各カレント値の影響度で案分して表示する。
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0167】
図20は、本実施形態の情報出力システムの構成を表すブロック図である。図20の情報出力システムは情報出力装置とユーザ端末を各1台含んでいるが、情報出力装置及びユーザ端末は、どちらも複数台あっても構わない。
【0168】
図20を参照すると、本実施形態の情報出力システムは、情報出力装置1B及びユーザ端末2を含む。
【0169】
ユーザ端末2は、第2の実施形態のユーザ端末2と同じであるので、説明を省略する。
【0170】
情報出力装置1Bは、イベント情報記憶部11と、影響度算出部12と、情報出力部13Aと、確率算出部14と、イベント受付部15と、高次コンテキスト追加部16と、高次コンテキスト推定部17と、高次コンテキスト記憶部18を含む。ただし、情報出力装置1Bは、高次コンテキスト追加部16と、高次コンテキスト推定部17のいずれか一方のみを含む構成であってもよい。以下では、主に、情報出力装置1Bが、高次コンテキスト追加部16と、高次コンテキスト推定部17の双方を含む構成である場合の説明を行う。
【0171】
情報出力装置1Bは、高次コンテキスト追加部16と、高次コンテキスト推定部17と、高次コンテキスト記憶部18を含む点が、図4に示す第2の実施形態の情報出力装置1Aと異なる。また、イベント情報記憶部11が記憶するイベント情報は、高次コンテキスト追加部16及び高次コンテキスト推定部17を経由して、影響度算出部12と、情報出力部13Aと、確率算出部14に入力される点が異なる。ただし、情報出力装置1Bが高次コンテキスト追加部16(または高次コンテキスト推定部17)のみを含む場合、前記イベント情報は、高次コンテキスト追加部16(または高次コンテキスト推定部17)のみを経由する。
【0172】
イベント情報記憶部11と、影響度算出部12と、情報出力部13Aと、確率算出部14と、イベント受付部15は、第2の実施形態と同じであるので、説明を省略する。
【0173】
高次コンテキスト記憶部18は、コンテキストの値に関連する情報を記憶する。高次コンテキスト記憶部18は、例えば、日付とその日付の平均気温や、様々な情報提供の対象者の自宅やオフィスの所在地の地名や、地名とその地名の場所が住宅地、商業地、工場地帯などどのような場所であるのかと言った情報を記憶する。
【0174】
高次コンテキスト追加部16は、コンテキストの値に関連する情報を高次コンテキスト記憶部18から読み出し、カレント値が読み出した情報である新しいコンテキストを作成して追加する。コンテキストとして追加する情報は、例えば、コンテキストが「場所」の場合、コンテキストの値の場所が、情報提示の対象者であるユーザにとって自宅であるのかオフィスであるのかといった情報や、その場所が住宅地、商業地、工場地帯などどのような場所であるのかと言った情報である。高次コンテキスト追加部16は、読み出した情報を値とする新しいコンテキストを作成して追加するのではなく、既存のコンテキストの値のいずれかを、読み出した情報で置き換えてもよい。
【0175】
高次コンテキスト推定部17は、例えばコンテキストのカレント値と、例えばユーザの過去の行動を記録した行動履歴を元にして、未来のユーザの属性値を推定する。未来のユーザの属性値を推定した高次コンテキスト推定部17は、新しいコンテキストを生成し、推定した属性値を、新しく生成したコンテキストのカレント値として追加する。行動履歴などを元に推定して追加するコンテキストは、例えば、現在の場所の値と、行動履歴を元に推定した、移動先の場所である。ユーザの行動履歴は、例えば、イベント情報記憶部11が記憶するイベント情報である。高次コンテキスト推定部17は、推定した情報を値とする新しいコンテキストを作成して追加するのではなく、既存のコンテキストの値のいずれかを、推定した情報で置き換えてもよい。
【0176】
影響度算出部12、情報出力部13A、及び確率算出部14は、高次コンテキスト追加部16及び高次コンテキスト推定部17が新たに追加したコンテキストを、他のコンテキストと区別しないで扱えばよい。
【0177】
次に、本実施形態の動作について図面を参照して詳細に説明する。
【0178】
ユーザ端末2が情報出力装置1Bにイベント情報を送信する場合の動作は、図5に示す第2の実施形態の動作と同じである。
【0179】
図21は、本実施形態の情報出力時の動作を表すフローチャートである。
【0180】
図21を参照すると、情報出力装置1Bは、ユーザ端末2から受信した各カレント値を、まず高次コンテキスト追加部16に入力する(ステップS41)。ただし、高次コンテキスト追加部16が存在しない場合、情報出力装置1Bは、ステップS41で、ユーザ端末2から受信した各カレント値を、高次コンテキスト推定部17に入力する。
【0181】
高次コンテキスト追加部16は、受け取った各カレント値に関連する情報を、高次コンテキスト記憶部18から読み出して、新しいコンテキスト及びそのカレント値として追加する(ステップS42)。高次コンテキスト追加部16が存在しない場合、ステップS42はスキップする。
【0182】
高次コンテキスト推定部17は、各カレント値と、イベント情報記憶部11が記憶するイベント情報を元に、未来のユーザの属性値を推定し、新しいコンテキストを生成し生成したコンテキストのカレント値として追加する(ステップS43)。高次コンテキスト推定部17が存在しない場合、ステップS43はスキップする。以下のステップでは、情報出力装置1Bの各部は、ステップS42及びステップS43で追加したカレント値を、ユーザ端末2から受信した各カレント値と同等に扱う。
【0183】
ステップS44〜ステップS48は、図6に示す第2の実施形態の動作のステップS32〜ステップS36と同じである。
【0184】
次に、本実施形態の効果について説明する。
【0185】
本実施形態の情報出力装置1Bには、さらに、きめ細かい推薦の理由を出力することができるという効果がある。
【0186】
その理由は、本実施形態の情報出力装置1Bは、追加する高次コンテキスト追加部16及び高次コンテキスト推定部17を含み、コンテキストの数を増やすことができるからである。
【産業上の利用可能性】
【0187】
本発明は、ユーザの特徴やユーザの状況に応じて情報を提示する情報推薦・情報検索の分野に適用できる。
【符号の説明】
【0188】
1、1A、1B 情報出力装置
11 イベント情報記憶部
12 影響度算出部
13、13A 情報出力部
14 確率算出部
15 イベント情報受付部
16 高次コンテキスト追加部
17 高次コンテキスト推定部
18 高次コンテキスト記憶部
2 ユーザ端末
21 イベント情報送信部
22 コンテキスト送信部
23 表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンテンツへのアクセス時にユーザ端末から入力した、複数のコンテキストの値と、前記コンテンツの1以上のユーザモードの値との組を含むイベント情報を複数記憶するイベント情報記憶手段と、
各ユーザモードについて、当該ユーザモードが取りうる複数の値(モード値)おのおの及びユーザ端末から入力した前記複数のコンテキストの各値(カレント値)に対して、前記イベント情報の当該モード値を含む組の中の、当該カレント値を含む組の確率を算出し、前記確率と、当該ユーザモードの各モード値及び当該カレント値に対応する確率を用いて算出した値を、当該カレント値の当該モード値に対する影響度とする影響度算出手段と、
各カレント値と、少なくとも1つのモード値と、各カレント値の当該モード値に対する影響度を対応付けて出力する情報出力手段と
を含む情報出力装置。
【請求項2】
前記イベント情報の全ての前記カレント値を含む組の中の、前記モード値を含む組の確率(モード値確率)を算出する確率算出手段を含み、
前記情報出力手段は、前記複数のモード値のおのおのについて、当該モード値及び各カレント値と、各カレント値の当該モード値に対する前記影響度の大きさで、当該モード値の前記モード値確率を案分した値を対応付けて出力する、
請求項1に記載の情報出力装置。
【請求項3】
前記情報出力手段は、各モード値及び各カレント値と、当該モード値及び当該カレント値に対応する前記案分した値に応じて算出したサイズの図形を対応付けて出力する
請求項2に記載の情報出力装置。
【請求項4】
コンテキストの1つの値(第1のコンテキスト値)に関連する他のコンテキストの値(第2のコンテキスト値)を記憶する高次コンテキスト記憶手段と、
前記カレント値が、前記第1のコンテキスト値のいずれかとして前記高次コンテキスト記憶手段に記憶されている場合、該カレント値に関連する前記第2のコンテキスト値を新たなコンテキストの値とするカレント値の追加又は、該第2のコンテキスト値を前記カレント値のいずれかと置き換えるカレント値の置き換えを行う高次コンテキスト追加手段及び、
前記イベント情報記憶手段が記憶するイベント情報を元に、前記カレント値から推定することができるコンテキストの値(推定コンテキスト値)が存在する場合、前記推定コンテキスト値を新たなコンテキストのカレント値とするカレント値の追加又は、前記推定コンテキストを前記カレント値のいずれかと置き換えるカレント値の置きかえを行う高次コンテキスト推定手段の、いずれか一方又は双方
を含む請求項1乃至3に記載の情報出力装置。
【請求項5】
コンテンツへのアクセス時にユーザ端末から入力した、複数のコンテキストの値と、前記コンテンツの1以上のユーザモードの値との組を含む複数のイベント情報をイベント情報記憶手段に記憶し、
各ユーザモードについて、当該ユーザモードが取りうる複数の値(モード値)おのおの及びユーザ端末から入力した前記複数のコンテキストの各値(カレント値)に対して、前記イベント情報の当該モード値を含む組の中の、当該カレント値を含む組の確率を算出し、前記確率と、当該ユーザモードの各モード値及び当該カレント値に対応する確率を用いて算出した値を、当該カレント値の当該モード値に対する影響度とし、
各カレント値と、少なくとも1つのモード値と、各カレント値の当該モード値に対する影響度を対応付けて出力する情報出力手段と
を含む情報出力方法。
【請求項6】
前記イベント情報の全ての前記カレント値を含む組の中の、前記モード値を含む組の確率(モード値確率)を算出し、
前記複数のモード値のおのおのについて、当該モード値及び各カレント値と、各カレント値の当該モード値に対する前記影響度の大きさで、当該モード値の前記モード値確率を案分した値を対応付けて出力する、
請求項5に記載の情報出力方法。
【請求項7】
各モード値及び各カレント値と、当該モード値及び当該カレント値に対応する前記案分した値に応じて算出したサイズの図形を対応付けて出力する
請求項6に記載の情報出力方法。
【請求項8】
コンピュータを、
コンテンツへのアクセス時にユーザ端末から入力した、複数のコンテキストの値と、前記コンテンツの1以上のユーザモードの値との組を含むイベント情報を複数記憶するイベント情報記憶手段と、
各ユーザモードについて、当該ユーザモードが取りうる複数の値(モード値)おのおの及びユーザ端末から入力した前記複数のコンテキストの各値(カレント値)に対して、前記イベント情報の当該モード値を含む組の中の、当該カレント値を含む組の確率を算出し、前記確率と、当該ユーザモードの各モード値及び当該カレント値に対応する確率を用いて算出した値を、当該カレント値の当該モード値に対する影響度とする影響度算出手段と、
各カレント値と、少なくとも1つのモード値と、各カレント値の当該モード値に対する影響度を対応付けて出力する情報出力手段と
として動作させる情報出力プログラム。
【請求項9】
コンピュータを、
前記イベント情報の全ての前記カレント値を含む組の中の、前記モード値を含む組の確率(モード値確率)を算出する確率算出手段
として動作させ、
前記情報出力手段は、前記複数のモード値のおのおのについて、当該モード値及び各カレント値と、各カレント値の当該モード値に対する前記影響度の大きさで、当該モード値の前記モード値確率を案分した値を対応付けて出力する、
請求項8に記載の情報出力プログラム。
【請求項10】
前記情報出力手段は、各モード値及び各カレント値と、当該モード値及び当該カレント値に対応する前記案分した値に応じて算出したサイズの図形を対応付けて出力する
請求項9に記載の情報出力プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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