説明

情報収集装置

【課題】大量の用紙を使用することなく低コストで情報を収集できる情報収集装置を提供する。
【解決手段】用紙判定部401は、画像読取部120が生成した画像データに基づいて、原稿が指定用紙であるか否かを判定する。原稿が指定用紙である場合、記述抽出部402は、画像読取部120が生成した画像データからユーザの記述を抽出する。記述判定部403は、記述抽出部402が抽出した記述が、予め指定された条件を満足するか否かを判定する。そして、記述判定部403が条件を満足すると判定した場合、情報印字部404は、当該条件に対応づけられた追記情報を、画像読取部120が画像データを生成した指定用紙に印字する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、利用者が指定用紙にした記述を収集する情報収集装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、商品やサービス等についての利用者の意見を収集する手法としてアンケートが利用されている。このようなアンケートにおいて、回収した回答を分析して利用者の意見の傾向を把握するためには、アンケートの回答精度を高める必要がある。すなわち、利用者全体から、偏りなく回答を回収する必要がある。そのため、アンケート等の回収率を高めるための種々の技術が提案されている(例えば、特許文献1〜3等参照。)。
【0003】
例えば、特許文献1は、アンケートを印刷したクーポン券を発行するとともに、当該クーポン券に記述された回答を読み取り、読み取った回答に基づいて新たなクーポン券を発行するアンケート回収装置を開示している。同様に、特許文献2は、配信されたアンケートに対する累積回答回数が所定回数以上である回答者に対して、次回のアンケート配信の際にクーポン券を含むアンケートを配信する市場調査システムを開示している。特許文献3は、アンケートの回答に際して、クーポン券等の謝礼情報を紙等に印刷して回答者に提供する意見収集装置を開示している。
【0004】
これらの技術では、アンケートの回答に際して、クーポン券等の報奨を提供するため、利用者の回答意欲を誘うことができ、結果として、アンケート回収率を向上させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−282886号公報
【特許文献2】特開2004−151834号公報
【特許文献3】特開2009−037431号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、クーポン券にアンケートが印刷される特許文献1の技術では、アンケート回答前でもクーポン券として機能するため、アンケート回答前にクーポン券として使用される可能性がある。この場合、クーポン券を商品・サービス等と引き替えに回収する運用では、利用者はアンケートに回答できなくなってしまう。クーポン券の提示により商品・サービス等を提供する運用とすれば、利用者がアンケートに回答可能になる。しかしながら、アンケート回答時にクーポン券が使用済であると、利用者は回答により新たに発行されたクーポン券のみを回収し、回答を記述した使用済クーポン券をそのまま放置する可能性がある。アンケート回収装置が店舗等に設置されることを鑑みると、当該装置の周囲にアンケート付クーポン券が放置される状況は美観上も好ましくない。
【0007】
また、特許文献1が開示する技術では、アンケート回答の都度、新たなクーポン券が印刷されるため、多くの利用者に対してアンケートを実施しようとすると、大量の用紙が必要になる。また、これらの用紙も使用後には不要となるため、大量の廃棄物が発生することになる。このような問題は、クーポン券を別途の紙等に印刷する特許文献2および特許文献3が開示する技術によっても解決することはできない。
【0008】
本発明は、このような従来技術の課題を鑑みてなされたものであり、大量の用紙を使用することなく低コストで情報を収集できる情報収集装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述の目的を達成するために、本発明に係る情報収集装置は以下の技術的手段を採用している。すなわち、本発明は、指定用紙になされた利用者の記述を収集する情報収集装置であって、画像読取部、用紙判定部、記述抽出部、記述判定部および情報印字部を備える。画像読取部は、原稿の画像データを生成する。用紙判定部は、画像読取部が生成した画像データに基づいて、原稿が上記指定用紙であるか否かを判定する。記述抽出部は、原稿が指定用紙である場合、画像データから利用者による記述を抽出する。記述判定部は、記述抽出部が抽出した記述が、予め指定された条件を満足するか否かを判定する。そして、情報印字部は、記述判定部が上記条件を満足すると判定した場合、当該条件に対応づけられた追記情報を上記指定用紙に印字する。
【0010】
この情報収集装置によれば、利用者が指定用紙にした記述に応じて、記述を行った指定用紙に追記情報を印字することができる。そのため、例えば、利用者が、アンケート回答やクイズ回答、あるいは懸賞応募等のために、指定用紙に回答内容や必要事項を記述した場合、新たな用紙を使用することなく、その用紙に、クーポン券やポイント、あるいは応募受付番号等を印字することができる。その結果、大量の用紙を使用することなく低コストで、利用者が記述した情報を収集することができる。
【0011】
上記情報収集装置において、用紙判定部は、個々の指定用紙を特定するために指定用紙に付された識別子を、画像読取部が生成した画像データに基づいて取得するとともに、情報印字部が指定用紙になした印字の履歴を、用紙判定部が取得した識別子と対応づけて記録する履歴保持部をさらに備えてもよい。この構成では、情報印字部は、用紙判定部が取得した指定用紙の識別子と、履歴保持部に保持された当該識別子に対応する印字履歴とに基づいて、印字をするか否かを決定する。この構成では、同一の指定用紙に対して、複数の追記情報を、時期を変えて順に印字する場合でも、同一の追記情報が重ねて印字されることを防止できる。
【0012】
また、以上の情報収集装置は、指定用紙を、情報印字部に搬入するための用紙搬送口と、要求を利用者に通知する通知部とをさらに備えてもよい。この構成では、記述抽出部が抽出した記述が予め指定された条件を満足すると記述判定部が判定した場合、通知部は、画像データを取得した指定用紙を用紙搬送口に設置することを利用者に要求する。そして、情報印字部は、用紙搬送口に設置された指定用紙に追記情報を印字する。この構成では、画像読取部に載置された指定用紙を、情報印字部へ搬送する機構が不要であり、低コストで情報収集装置を実現することができる。例えば、コンビニエンスストアや公共施設等に広く設置されている課金式の画像形成装置(複写機)を情報収集装置として利用することが可能になる。なお、当該構成では、情報印字部は、予め指定された時間内に用紙搬送口へ指定用紙が設置された場合に、設置された指定用紙に追記情報を印字する構成であることが好ましい。これにより、用紙搬送口への指定用紙の設置待ちの状態で情報収集装置が占有されることがなくなり、稼働率を向上させることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、大量の用紙を使用することなく低コストで、利用者が記述した情報を効率よく収集することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施形態における複合機の全体構成を示す概略構成図
【図2】本発明の一実施形態における複合機の操作パネルを示す模式図
【図3】本発明の一実施形態における複合機のハードウェア構成を示す図
【図4】本発明の一実施形態における複合機を示す機能ブロック図
【図5】本発明の一実施形態における指定用紙の一例を示す図
【図6】本発明の一実施形態における複合機が実施する情報収集手順の一例を示すフロー図
【図7】本発明の一実施形態における複合機が表示する操作要求画面の一例を示す図
【図8】本発明の一実施形態における複合機が表示する操作要求画面の一例を示す図
【図9】本発明の一実施形態における複合機が表示する異常回避要求画面の一例を示す図
【図10】本発明の一実施形態における複合機が表示する異常回避要求画面の一例を示す図
【図11】本発明の一実施形態における指定用紙の他の例を示す図
【図12】本発明の一実施形態における複合機の変形例を示す機能ブロック図
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照しながらより詳細に説明する。以下では、デジタル複合機として本発明を具体化する。本実施形態のデジタル複合機は、画像読取機能および画像形成機能を含む複数の機能を実行可能に構成されている。このデジタル複合機は、例えば、コンビニエンスストアや公共施設等に設置され、不特定多数の利用者(ユーザ)に使用される。
【0016】
図1は本実施形態におけるデジタル複合機の全体構成の一例を示す概略構成図である。図1に示すように、複合機100は、画像読取部120および画像形成部140を含む本体101と、本体101の上方に取り付けられたプラテンカバー102とを備える。本体101の上面には原稿台103が設けられており、原稿台103はプラテンカバー102によって開閉されるようになっている。また、プラテンカバー102は、原稿搬送装置110を備えている。
【0017】
原稿台103の下方には、画像読取部120が設けられている。画像読取部120は、走査光学系121により原稿の画像を読み取りその画像のデジタルデータ(画像データ)を生成する。原稿は、原稿台103や原稿搬送装置110に載置することができる。走査光学系121は、第1キャリッジ122や第2キャリッジ123、集光レンズ124を備える。第1キャリッジ122には線状の光源131およびミラー132が設けられ、第2キャリッジ123にはミラー133および134が設けられている。光源131は原稿を照明する。ミラー132、133、134は、原稿からの反射光を集光レンズ124に導き、集光レンズ124はその光像をラインイメージセンサ125の受光面に結像する。この走査光学系121において、第1キャリッジ122および第2キャリッジ123は、副走査方向135に往復動可能に設けられている。第1キャリッジ122および第2キャリッジ123を副走査方向135に移動することによって、原稿台103に載置された原稿の画像をイメージセンサ125で読み取ることができる。原稿搬送装置110にセットされた原稿の画像を読み取る場合、画像読取部120は、第1キャリッジ122および第2キャリッジ123を画像読取位置に合わせて一時的に固定し、画像読取位置を通過する原稿の画像をイメージセンサ125で読み取る。イメージセンサ125は、受光面に入射した光像から、例えば、R(レッド)、G(グリーン)、B(ブルー)の各色に対応する原稿の画像データを生成する。
【0018】
生成された画像データは、画像形成部140において用紙に印刷することができる。また、ネットワークアダプタ161によりネットワーク162を通じて他の機器へ送信することもできる。さらには、FAXアダプタ163により公衆通信回線164を通じてファクシミリ送信することもできる。
【0019】
画像形成部140は、画像読取部120で得た画像データや、ネットワーク162に接続された他の機器(図示せず)から受信した画像データや、公衆通信回線164を通じてFAXアダプタ163が受信した画像データを用紙に印刷する。
【0020】
画像形成部140は、感光体ドラム141を備える。感光体ドラム141は一定速度で一方向に回転する。感光体ドラム141の周囲には、回転方向の上流側から順に、帯電器142、露光器143、現像器144、中間転写ベルト145が配置されている。帯電器142は、感光体ドラム141表面を一様に帯電させる。露光器143は、一様に帯電した感光体ドラム141の表面に、画像データに応じて光を照射し、感光体ドラム141上に静電潜像を形成する。現像器144は、その静電潜像にトナーを付着させ、感光体ドラム141上にトナー像を形成する。中間転写ベルト145は、感光体ドラム141上のトナー像を用紙に転写する。画像データがカラー画像である場合、中間転写ベルト145は、各色のトナー像を同一の用紙に転写する。なお、RGB形式のカラー画像は、C(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)、K(ブラック)形式の画像データに変換され、各色の画像データが露光器143に入力される。
【0021】
画像形成部140は、手差しトレイ151、給紙カセット152、153、154等から、中間転写ベルト145と転写ローラ146との間の転写部に用紙を給送する。手差しトレイ151や各給紙カセット152、153、154には、様々なサイズの用紙を載置または収容することができる。画像形成部140は、ユーザの指定した用紙や、自動検知した原稿のサイズに応じた用紙を選択し、選択した用紙を給送ローラ155により手差しトレイ151やカセット152、153、154から給紙する。給紙された用紙は搬送ローラ156やレジストローラ157で転写部に搬送する。トナー像を転写した用紙は、搬送ベルト147により定着器148に搬送される。定着器148は、ヒータを内蔵した定着ローラ158および加圧ローラ159を有しており、熱と押圧力によってトナー像を用紙に定着する。画像形成部140は、定着器148を通過した用紙を排紙トレイ149へ排紙する。
【0022】
図2は複合機が備える操作パネルの外観の一例を示す図である。ユーザは、操作パネル200を用いて、複合機100に複写開始やその他の指示を与えたり、複合機100の状態や設定を確認したりすることができる。操作パネル200には、タッチパネル付きディスプレイ201や操作キー203が配置されている。ディスプレイ201は、操作ボタンやメッセージ等を表示する液晶ディスプレイ等からなる表示面と、当該表示面上の押圧位置を検出するセンサとを備える。押圧位置の検知方法は特に限定されない。抵抗膜方式、静電容量方式、表面弾性波方式、電磁波方式等、任意の方式を採用することができる。ユーザは、自身の指やタッチペン202を使用して、ディスプレイ201を通じて入力を行うことができる。
【0023】
ディスプレイ201は、ボタン表示部204およびステータス表示部206を有する操作画面を表示する。ボタン表示部204には、複数の操作ボタンからなるボタン群205が表示されている。図2の例では、ボタン群205として、モノクロコピー、モノカラーコピー、フルカラーコピー、情報読取、FAX送信の各機能を選択するための操作ボタンと、これら以外の機能を選択する場合に使用する操作ボタンとが配列されている。例えば「モノクロコピー」ボタン207を押圧する操作をユーザが行うと、複合機100に併設された課金装置(図示せず)への、金銭やプリペイドカード等の金員の投入を要求するポップアップ画面が操作ボタン群205上に重ねて表示される。ユーザが課金装置に金員を投入すると、複合機100は、モノクロコピーを実行可能な状態になる。なお、ユーザが「モノカラーコピー」ボタン、「フルカラーコピー」ボタン、「FAX送信」ボタンを押圧した場合も、金員の投入を要求するポップアップ画面が操作ボタン群205上に重ねて表示される。また、ユーザが「その他」ボタンを押圧した場合、チケット購入等の他の機能を選択するための操作ボタンを含むポップアップ画面が操作ボタン群205上に重ねて表示される。
【0024】
ユーザが「情報読取」ボタン208を押圧した場合、複合機100は、情報読取モードになる。情報読取モードでは、以下で詳述するように、複合機100は、原稿台103や原稿搬送装置110に載置された指定用紙の画像データを取得し、ユーザが当該指定用紙になした記述を取得する。ここで、指定用紙とは、複写機100に予め登録された用紙であり、用紙の記述面に予め記載された文字、罫線等の用紙フォーマットや、用紙の記述面に予め付されたバーコード等のマークにより、種別を特定できる用紙を意味する。
【0025】
ステータス表示部206には、必要に応じて装置ステータス情報が表示される。この表示には、複合機100が備える各種センサの検知結果が反映される。装置ステータス情報とは、装置は動作可能な状態にあるが、異常への対応を促す警告をユーザに通知するメッセージを意味する。例えば、用紙残量が少ない旨、原稿台103が汚れている旨等が含まれる。また、用紙切れや搬送ジャム等が装置ステータス情報に含まれてもよい。
【0026】
操作キー203は、電源キー209、テンキー210やスタートキー211、クリアキー212等を含む。例えば、電源キー209は、複合機100のON、OFFの切り替えに使用される。テンキー210は、複写部数の指定やFAX送信の宛先指定等に用いることができる。スタートキー211は、複写、FAX送信、画像読取の開始指示に使用される。ユーザは、自身でした設定を解除する場合、クリアキー212を操作する。
【0027】
図3は、複合機における制御系のハードウェア構成図である。本実施形態の複合機100は、CPU(Central Processing Unit)301、RAM(Random Access Memory)302、ROM(Read Only Memory)303、HDD(Hard Disk Drive)304および原稿搬送装置110、画像読取部120、画像形成部140における各駆動部に対応するドライバ305が内部バス306を介して接続されている。ROM303やHDD304等はプログラムを格納しており、CPU301はその制御プログラムの指令にしたがって複合機100を制御する。例えば、CPU301はRAM302を作業領域として利用し、ドライバ305とデータや命令を授受することにより上記各駆動部の動作を制御する。また、HDD304は画像読取部120により得られた画像データの蓄積にも用いられる。
【0028】
内部バス306には、操作パネル200や各種のセンサ307も接続されている。操作パネル200は、ユーザの操作を受け付け、その操作に基づく信号をCPU301に供給する。また、ディスプレイ201は、CPU301からの制御信号にしたがって上述の操作画面を表示する。センサ307は、プラテンカバー102の開閉検知センサや原稿台103上の原稿検知センサ、定着器148の温度センサ、搬送される用紙または原稿の検知センサなど各種のセンサを含む。CPU301は、例えばROM303に格納されたプログラムを実行することで、以下の各手段(機能ブロック)を実現するとともに、これらセンサからの信号に応じて各手段の動作を制御する。
【0029】
図4は、本実施形態の複合機の機能ブロック図である。図4に示すように、本実施形態の複合機100は、用紙判定部401、記述抽出部402、記述判定部403および情報印字部404を備える。また、ディスプレイ201の表示面に対してなされた操作および操作パネル200の操作キー203の押下を認識する操作認識部411を備える。
【0030】
用紙判定部401は、画像読取部120が生成した画像データに基づいて、画像読取部120により読み取られた原稿が指定用紙であるか否かを判定する。このような判定は、例えば、生成された画像データから、用紙識別情報を認識することにより実施することができる。例えば、用紙判定部401に予め用紙識別情報を登録しておき、生成された画像データに当該登録された用紙識別情報が含まれているか否かにより、指定用紙であるか否かを判定することができる。特に限定されないが、本実施形態では、複合機100が情報読取モードである場合、画像読取部120は、生成した画像データを一時的に保持する構成になっているおり、当該保持された画像データに対して用紙判定部401が上述の判定を実施する。なお、用紙識別情報は、指定用紙を識別可能な情報であればよい。例えば、用紙の記述面に予め記載されている文字や罫線等を含む用紙フォーマットを使用することができる。あるいは、用紙に予め付されたバーコード等のマークを用紙識別情報として使用することができる。なお、バーコード等のマークを使用する場合は、用紙上のマークの位置を示す情報も用紙識別情報として用紙判定部401に登録される。
【0031】
図5は、本実施形態における指定用紙の一例を示す図である。この例では、指定用紙にアンケートが記載されており、複合機100は、ユーザが指定用紙に記述したアンケートに対する回答を収集する。図5に示すように、指定用紙501は用紙識別情報502として用紙右上に記載されたバーコードを含む。本実施形態では、この例では、用紙識別情報502は、画像データの方向判定(天地判定)にも利用することができるようになっている。すなわち、画像読取部120が生成した画像データ中の位置に基づいて、指定用紙の右上を検出することができる。
【0032】
また、指定用紙501には、アンケートとして複数の質問事項が記載されている。質問事項には、それぞれ回答を記述する領域が設けられており、ユーザは、各対応する質問事項の回答を記述領域に記述する。なお、ユーザの回答が容易になるという観点では、質問事項と対応する記述領域とは隣接していることが好ましい。しかしながら、質問事項に対する記述領域が特定されていれば、記述領域は用紙記述面の任意の位置に配置することができる。例えば、質問事項を列挙した下方に各質問についての記述領域を配置してもよい。
【0033】
図5では、商品の品揃えに対する満足度に対する回答を求める質問事項503と、販売要望商品に対する回答を求める質問事項505とを例示している。この例では、質問事項503については、回答用の正方形がそれぞれ併記された「はい」、「いいえ」を含む記述領域504が設けられている。ユーザは、一方の正方形を塗りつぶすことにより質問事項503に対して回答する。また、質問事項505については矩形状の回答欄からなる記述領域506が設けられている。ユーザは、矩形欄内に希望商品名等を記述することで質問事項505に対して回答する。
【0034】
また、指定用紙501には、追記領域507が配置されている。追記領域507には、追記情報が印字される。本実施形態では、追記情報としてクーポン情報(クーポン券やポイントを示す情報)が印字される。なお、図5の例では、追記領域507を矩形で示しているが、矩形を付すことは必須ではなく、また、用紙上の配置位置も任意である。
【0035】
記述抽出部402は、用紙判定部401により原稿が指定用紙であると判定された場合、画像読取部120が生成した画像データからユーザによる記述を抽出する。本実施形態では、記述抽出部402は、指定用紙501に配置された記述領域504、506に対する記述を抽出する。例えば、記述領域504については、記述抽出部402は、いずれの正方形が塗りつぶされているかを識別することにより、「はい」または「いいえ」を抽出する。上述のように、記述領域の位置は特定されているため、いずれの正方形が塗りつぶされているかは比較的容易に識別することができる。また、記述領域506については、記述抽出部402は、記述領域506内に相当する部分の画像データを抽出することによりユーザの記述を抽出する。また、記述抽出部402は、記述領域506に対して文字認識を行うことにより、ユーザの記述を文字情報として抽出してもよい。なお、本実施形態では、指定用紙に含まれる記述領域の位置を示す情報が用紙識別情報と対応づけて用紙判定部401に格納されており、記述抽出部402は、用紙判定部401に格納された当該情報に基づいて記述領域を特定する構成になっている。
【0036】
記述判定部403は、記述抽出部402が抽出した記述が、予め指定された条件を満足するか否かを判定する。当該条件は、追記情報を印字するか否かを判定するための条件であり、任意の条件を設定することができる。例えば、アンケートの回答を収集する場合には、「全記述領域に記述があること」や「少なくとも必須の記述領域に記述があること」を判定条件として設定することができる。本実施形態では、図5に示す指定用紙501について、「記述領域504の一方の四角が塗りつぶされていること」を判定条件としている。なお、追記領域507に、重ねて追記情報が印字されることを避ける観点では、当該判定条件として、「追記領域507に追記情報の印字がないこと」を合わせて設定してもよい。このような追記情報の有無の判定は、例えば、記述抽出部402が追記領域507内に相当する領域を抽出する構成とすることで実現可能である。
【0037】
記述判定部403が条件を満足すると判定した場合、情報印字部404は、当該条件に対応づけられた追記情報を指定用紙に印字する。情報印字部404は、画像形成部140を通じて当該印字を実施する。追記情報は、指定用紙に対して追記される情報であればよい。本実施形態では、情報印字部404は、指定用紙501の追記領域507に、追記情報としてクーポン情報を印字する。
【0038】
複合機100は、通知部405をさらに備える。通知部405は、ユーザに種々の要求を通知する。通知部405は、表示、音声等、ユーザが内容を認識可能な任意の手法により通知を実行する。本実施形態では、通知部405は、ディスプレイ201への表示により要求事項を通知する。なお、通知部405は、以下で詳述するように、次操作の実行や異常の回避をユーザに対して要求する。
【0039】
図6は、上述した複合機100が実施する情報収集手順の一例を示す図である。当該手順は、例えば、複合機100が情報収集モードになったことをトリガとして開始する。なお、上述したように、ディスプレイ201に表示された「情報読取」ボタン208をユーザが押圧した場合、複合機100は情報読取モードになる。
【0040】
「情報読取」ボタン208の押圧を認識した操作認識部411は、通知部405に指定用紙設置要求の通知を指示する(ステップS601)。当該指示を受けた通知部405はディスプレイ201に、指定用紙の設置を要求する画面を表示する。
【0041】
図7は、このとき通知部405がディスプレイ201に表示する表示画面の一例を示す図である。この例では、表示画面701には、「用紙を原稿台にセットした後スタートボタンを押してください」という要求メッセージが示されている。また、表示画面701は、「読取スタート」ボタン702を備える。ユーザが「読取スタート」ボタン702またはスタートキー211(図2参照)を押下するまで、原稿の読み取りは開始されない(ステップS602No)。なお、この例では、原稿台103への指定用紙の設置を要求しているが、原稿搬送装置110への設置を要求する構成であってもよい。
【0042】
ユーザによる読取開始指示を認識した操作認識部411は、画像読取部120にその旨を通知する。当該通知を受けた画像読取部120は、原稿台103に設置された指定用紙の読み取りおよび画像データの生成を開始する(ステップS602Yes)。画像データの生成を完了した画像読取部120は、その旨を用紙判定部401に通知する(ステップS603)。
【0043】
当該通知を受けた用紙判定部401は、予め登録されている用紙識別情報に基づいて、画像読取部120により読み取られた原稿が指定用紙であるか否かを判定する(ステップS604)。ここでは用紙判定部401は、画像読取部120が生成した画像データに含まれる用紙識別情報(指定用紙501の用紙識別情報502)が、予め登録されている用紙識別情報と一致する場合には原稿が指定用紙であると判定する(ステップS604Yes)。また、画像読取部120が生成した画像データに含まれる用紙識別情報が、予め登録されている用紙識別情報と一致しない場合、あるいは画像データに用紙識別情報が含まれていない場合には原稿が指定用紙でないと判定する(ステップS604No)。
【0044】
画像読取部120が読み取った原稿は指定用紙であると判定した用紙判定部401は、その旨を記述抽出部402に通知する(ステップS604Yes)。当該通知を受けた記述抽出部402は、画像読取部120が生成し保持している画像データから、上述のようにユーザによる記述を抽出する(ステップS605)。記述抽出部402は、抽出したユーザによる記述を記述判定部403に入力する。
【0045】
記述判定部403は、記述抽出部402が抽出した記述が、予め指定された条件を満足するか否かを判定する(ステップS606)。ここでは、上述のように、図5に示す指定用紙501について、「記述領域504の一方の四角が塗りつぶされていること」を判定条件としているため、記述判定部403は、記述領域504の一方の四角が塗りつぶされている場合は、追記情報を印字すると判定する(ステップS606Yes)。また、記述領域504の両方の四角が塗りつぶされていない場合、および記述領域504の両方の四角が塗りつぶされている場合は、追記情報を印字しないと判定する(ステップS606No)。
【0046】
追記情報を印字すると判定した記述判定部403は、情報印字部404にその旨を通知する。当該通知を受けた情報印字部404は、画像読取部120が読み取った指定用紙に追記情報を印字するため、通知部405に、用紙搬送口への指定用紙設置要求の通知を指示する(ステップS606Yes、S607)。当該指示を受けた通知部405はディスプレイ201に、用紙搬送口への指定用紙の設置を要求する画面を表示する。なお、本実施形態では、手差しトレイ151が用紙搬送口として機能する。
【0047】
図8は、このとき通知部405がディスプレイ201に表示する表示画面の一例を示す図である。この例では、表示画面801には、アンケート回答に対する謝意を示す文章とともに、「右側面のトレイに用紙をセットしてください」という要求メッセージが示されている。また、表示画面801には、手差しトレイ151への指定用紙の設置方向を示す図が表示されている。なお、ユーザが指定用紙を手差しトレイ151に設置するまで、追記情報の印字は開始されない(ステップS608No、S611No)。
【0048】
手差しトレイ151に指定用紙が設置されると、情報印字部404は、画像形成部140を通じて、設置された指定用紙の追記領域507に、追記情報としてクーポン情報を印字する(ステップS608Yes、S609)。手差しトレイ151への指定用紙の設置は、例えば、手差しトレイ151に設けられた用紙検知センサにより検知することができる。なお、この例では、記述領域504の一方の四角が塗りつぶされている場合、一様に、追記領域507に追記情報が印字される。しかしながら、ユーザの記述に応じて、追記するクーポン情報を異ならせてもよい。例えば、「はい」のみを塗りつぶした場合、「はい」を塗りつぶし、かつ記述領域506に記述がある場合、「いいえ」を塗りつぶした場合の3つの場合についてそれぞれ異なるクーポン情報を追記領域507に記述する構成であってもよい。このような、場合分けは、記述判定部403が当該場合分けの種別を、情報印字部404に通知する構成とし、情報印字部404が当該種別と対応づけて予め登録された追記情報を印字することにより容易に実現することができる。
【0049】
また、本実施形態では、手差しトレイ151に指定用紙以外の用紙が設置された場合でも、その用紙にクーポン情報が印字されることになるが、店舗等において、指定用紙以外の用紙に印字されたクーポン情報を使用不可とすれば、特に、問題は発生しない。また、上述のように、「追記領域507に追記情報の記述がないこと」を判定条件に含めれば、一度、追記情報が印字された指定用紙を用いて、クーポン情報が複数回印字されることもない。なお、追記情報の印字は、例えば、ユーザがスタートキー211や、表示画面801に設けられた「印字スタート」ボタンの押下をトリガとして開始されてもよい。
【0050】
画像形成部140における追記情報の印字が完了すると、複合機100は、設定がリセットされて手順が終了する(ステップS610)。設定がリセットされると、複合機100は、図2に示す操作画面を表示する指示待機状態になる。
【0051】
なお、追記情報を印字すると記述判定部403が判定してから予め指定された時間内に、指定用紙が手差しトレイ151に設置されない場合も、複合機100は、設定がリセットされる(ステップS608No、S611Yes、S612、S610)。この場合、ディスプレイ201には、例えば、「操作が長時間中断されました。もう一度、最初から操作をやり直してください。」等の警告メッセージが通知部405により表示される。このようにすると、複合機100が、手差しトレイ151への指定用紙の設置待ちの状態で放置された場合であっても、自動的に設定をリセットすることができ、複合機100の稼働率の低下を抑制することができる。
【0052】
一方、ステップS604において、画像読取部120が読み取った原稿は指定用紙でないと判定した用紙判定部401は、その旨を通知部405に通知する(ステップS604No)。当該通知を受けた通知部405は、ディスプレイ201に、異常の回避を要求する画面を表示する(ステップS612)。
【0053】
図9は、このとき通知部405がディスプレイ201に表示する表示画面の一例を示す図である。この例では、表示画面901には、原稿台103に設置された用紙が指定用紙ではない旨を示す、異常回避要求メッセージが示されている。また、指定用紙であるにも関わらず、指定用紙であることを認識できない異常である場合もありうるため、店員等へ連絡を要求する要求メッセージも合わせて示されている。表示画面901が予め指定された時間だけディスプレイ201に表示された後、複合機100の設定がリセットされる(ステップS610)。
【0054】
また、ステップS606において、追記情報を印字しないと判定した記述判定部403は、その旨を通知部405に通知する(ステップS606No)。当該通知を受けた通知部405は、ディスプレイ201に、異常の回避を要求する画面を表示する(ステップS612)。
【0055】
図10は、このとき通知部405がディスプレイ201に表示する表示画面の一例を示す図である。この例では、表示画面1001には、指定用紙への記述が不適切である旨を示す、異常回避要求メッセージが示されている。また、指定用紙への記述が適切であるにも関わらず、適切であることを認識できない異常である場合もありうるため、店員等へ連絡を要求する要求メッセージも合わせて示されている。表示画面1001が予め指定された時間だけディスプレイ201に表示された後、複合機100の設定がリセットされる(ステップS610)。
【0056】
以上説明したように、この複合機100では、ユーザが指定用紙にした記述に応じて、記述を行った指定用紙に追記情報を印字することができる。そのため、アンケート回答等のために指定用紙に回答内容や必要事項を記述した場合、新たな用紙を使用することなく、その用紙にクーポン券やポイント等を印字することができる。したがって、従来のように大量の用紙を使用することなく、低コストでユーザが記述した情報を収集することができる。また、上述の事例では、アンケートの回答に際して、クーポン情報等の報奨が提供されるため、ユーザの回答意欲を誘うことができる。その結果、アンケート回収率を向上させることができ、効率よくアンケート回答を収集することができる。なお、収集した情報は、HDD304に蓄積したり、ネットワークアダプタ161によりネットワーク162を通じて、あるいは、FAXアダプタ163により公衆通信回線164を通じて、サーバ等の情報集積装置へ送信したりすることができる。そして、収集された情報に対して分析がなされる。
【0057】
なお、上記では、用紙の一方面のみを使用する事例を示したが、用紙の両面を使用してもよい。例えば、ユーザによる記述面を一方面とし、他方面に追記情報を印字する追記領域を配置してもよい。この場合、多くの追記情報を印字することが可能になる。
【0058】
ところで、上述の事例では、1枚の指定用紙に対して1つの追記情報が印字される構成を説明したが、1枚の指定用紙に対して複数の追記情報が印字されてもよい。図11は、複数の追記情報が印字される指定用紙の一例を示す図である。この例においても、指定用紙には、図5に示す指定用紙501と同様にアンケートが記載されており、複合機100は、ユーザが指定用紙に記述したアンケートに対する回答を収集する。
【0059】
図11に示すように、指定用紙1101は用紙識別情報1102として用紙右上に記載されたバーコードを含む。この例では、当該バーコードは、指定用紙の種別を識別可能な情報だけでなく、個々の指定用紙を特定するために指定用紙に付された用紙ID等の識別子を含む。すなわち、用紙識別情報1102を認識することで、個々の指定用紙を特定することができる。なお、用紙の記述面に予め記載されている文字や罫線等を含む用紙フォーマット等により用紙種別を認識する構成では、個々の指定用紙を特定する識別子は別途付与される。この場合、識別子は、バーコード等のマークあるいは文字等により表現することができる。
【0060】
指定用紙1101の設問領域1103にアンケートとして記載された複数の質問事項には、図5に示す指定用紙501と同様に、回答を記述する領域がそれぞれ設けられている。ユーザは対応する質問事項の回答を各記述領域に記述する。これらの記述領域に対する記述に対応して追記情報が印字される追記領域1104が配置されている点も指定用紙501と同様である。
【0061】
さて、指定用紙1101は、質問事項および記述領域が印字される第1追加設問領域1105および第2追加設問領域1107をさらに備える。また、指定用紙1101には、第1追加設問領域1105に含まれる記述領域に対する記述に対応して追記情報が印字される追記領域1106と、第2追加設問領域1107に含まれる記述領域に対する記述に対応して追記情報が印字される追記領域1108とが配置されている。すなわち、記述領域に対する記述に応じて追記情報が印字される追記領域を複数備えている。なお、第1追加設問領域1105および第2追加設問領域1107には、当初から質問事項および記述領域が印字されていてもよいが、この例では、第1追加設問領域1105および第2追加設問領域1107に事後的に質問事項および記述領域が印字される構成になっている。このように、事後的に質問事項および記述領域が印字される構成とすることで、ユーザによる回答(記述)に応じて、追加のアンケート等を実施することも可能になる。この場合、事後的に印字される質問事項および記述領域も追記情報の一種といえる。
【0062】
特に限定されないが、ここでは、設問領域1103に対する回答が適切(記述判定部403の判定条件を満足する)である場合、設問領域1103の回答に応じたクーポン情報が追記領域1104に印字されるとともに、当該回答に応じた質問事項および記述領域が第1追加設問領域1105に印字される。また、第1追加設問領域1105に対する回答が適切である場合、第1追加設問領域1105に対する回答に応じたクーポン情報が追記領域1106に印字されるとともに、当該回答に応じた質問事項および記述領域が第2追加設問領域1107に印字される。さらに、第2追加設問領域1107に対する回答が適切である場合、第2追加設問領域1107に対する回答に応じたクーポン情報が追記領域1108に印字される。
【0063】
図12は、図11に示す指定用紙の使用に特に好適な複合機の構成を示すブロック図である。この複合機1200では、用紙判定部401は、画像読取部120が生成した画像データに基づいて、個々の指定用紙を特定するために指定用紙に付された識別子を取得する。上述のように、図11の指定用紙1101では、用紙識別情報1102に基づいて識別子が認識される。
【0064】
また、複合機1200は、上述の複合機100の構成に加えて履歴保持部406を備える。履歴保持部406は、情報印字部404が指定用紙になした印字の履歴を、用紙判定部401が取得した識別子と対応づけて記録する。他の構成は、複合機100と同様であるため、以下での詳細な説明は省略する。
【0065】
この構成では、図6に示すステップS604において、用紙判定部401により、識別子が取得される。そして、ステップS609において、情報印字部404が追記情報を印字する際に、印字内容を示す情報を印字履歴として履歴保持部406に記録する。特に限定されないが、印字内容を示す情報には、例えば、各印字内容を一義的に特定可能なID等の識別情報を使用することができる。当該印字内容を示す情報は、用紙判定部401が取得した指定用紙の識別子と対応づけて履歴保持部406に記録される。
【0066】
また、この構成では、図6に示すステップS606において、記述判定部403により追記情報を印字すると判定され、その旨が情報印字部404に通知された際に、情報印字部404が、用紙判定部401が取得した指定用紙の識別子と、履歴保持部406に保持された当該識別子に対応する印字履歴とに基づいて、印字をするか否かを決定する。すなわち、情報印字部404は、既に印字されたことが印字履歴に格納されている追記情報については印字を実行せず、印字履歴に格納されていない追記情報についてのみ印字を実行する。
【0067】
例えば、図11に示す指定用紙1101において、ユーザがアンケートに回答し、当該回答に応じた追記情報(ここでは、追記領域1104に印字するクーポン情報と、第1追加設問領域1105に印字する質問事項および記述領域)が印字された場合、履歴保持部406に、その印字履歴が格納されている。
【0068】
この状況下において、第1追加設問領域1105の記述領域に記述がなされていない状態で、複合機1200の情報読取モードにより情報の読み取りが実施された場合、記述判定部403は、既に記述されている設問領域1103の記述が適切であるため、情報印字部404にその旨を通知する。しかしながら、本構成では、記述判定部403からの通知に対応する追記情報が印字された印字履歴が履歴保持部406に存在するため、情報印字部404は印字を実行しない(ステップS606No)。したがって、この構成では、同一の指定用紙に対して同一の追記情報が重ねて印字されることを防止できる。なお、この場合、指定用紙1101から取得された情報は蓄積されることなく破棄される。
【0069】
一方、記述判定部403からの通知に対応する追記情報が印字された印字履歴が存在しない場合には、情報印字部404は印字を実行する(ステップS606Yes)。例えば、第1追加設問領域1105の記述領域にユーザによる記述がなされた状態で、複合機1200の情報読取モードにより情報の読み取りが実施された場合、記述判定部403は、第1追加設問領域1105の記述が適切であれば、情報印字部404にその旨を通知する。当該通知を受けた情報印字部404は履歴保持部406を参照する。この場合、記述判定部403からの通知に対応する追記情報が印字された印字履歴が履歴保持部406に存在しないため、情報印字部404は印字を実行することになる。なお、この場合に印字される追記情報は、追記領域1106に印字するクーポン情報と、第2追加設問領域1107に印字する質問事項および記述領域とを含む。
【0070】
以上のように、この構成では、同一の指定用紙に対して、複数の追記情報を、時期を変えて順に印字する場合でも、同一の追記情報が重ねて印字されることを防止することができる。
【0071】
なお、上記では、指定用紙を使用してアンケートの回答を収集する事例について説明したが、クイズ回答や懸賞応募等のために、回答内容や必要事項(氏名や連絡先等)が記述される指定用紙を使用することもできる。この場合、指定用紙から、回答内容や必要事項を含む情報が取得され、追記情報として、例えば応募受付番号等の情報読取をした事実を特定するための情報が指定用紙に印字されることになる。
【0072】
以上説明したように、本発明によれば、大量の用紙を使用することなく低コストで、利用者が記述した情報を収集することができる。
【0073】
なお、上述した実施形態は本発明の技術的範囲を制限するものではなく、既に記載したもの以外でも、本発明の範囲内で種々の変形や応用が可能である。例えば、図6に示したフローチャートは、等価な作用を奏する範囲において、各ステップの順序を適宜変更可能である。
【0074】
また、上述の実施形態では、特に好適な事例として、画像読取機能および印刷機能を有するデジタル複合機により本発明を具体化したが、このようなデジタル複合機に限らず、画像を読み取り、情報を収集可能な任意の装置により実現することもできる。例えば、用紙挿入口に挿入された指定用紙が画像読取部を通過し、その後、自動的に画像形成部に搬入される、専用の構成を有する情報収集装置に本発明を適用することもできる。
【産業上の利用可能性】
【0075】
本発明によれば、大量の用紙を使用することなく低コストで効率的な情報収集が可能であり、情報収集装置として有用である。
【符号の説明】
【0076】
100、1200 複合機(情報収集装置)
120 画像読取部
140 画像形成部
151 手差しトレイ(用紙搬送口)
201 ディスプレイ
401 用紙判定部
402 記述抽出部
403 記述判定部
404 情報印字部
405 通知部
406 履歴保持部
501、1101 指定用紙
502、1102 用紙識別情報
504、506 記述領域
507、1104、1106、1108 追記領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
指定用紙になされた利用者の記述を収集する情報収集装置であって、
原稿の画像データを生成する画像読取部と、
前記画像読取部が生成した画像データに基づいて、原稿が前記指定用紙であるか否かを判定する用紙判定部と、
前記原稿が指定用紙である場合、前記画像データから利用者による記述を抽出する記述抽出部と、
前記記述抽出部が抽出した記述が、予め指定された条件を満足するか否かを判定する記述判定部と、
前記記述判定部が前記条件を満足すると判定した場合、当該条件に対応づけられた追記情報を前記指定用紙に印字する情報印字部と、
を備える情報収集装置。
【請求項2】
前記用紙判定部が、前記画像読取部が生成した画像データに基づいて、個々の指定用紙を特定するために指定用紙に付された識別子を取得するとともに、前記情報印字部が指定用紙になした印字の履歴を、前記用紙判定部が取得した識別子と対応づけて記録する履歴保持部をさらに備え、
前記情報印字部は、前記用紙判定部が取得した指定用紙の識別子と、前記履歴保持部に保持された当該識別子に対応する印字履歴とに基づいて、印字をするか否かを決定する、請求項1記載の情報収集装置。
【請求項3】
前記指定用紙を、前記情報印字部に搬入するための用紙搬送口と、
前記利用者に、要求を通知する通知部と、
をさらに備え、
前記記述抽出部が抽出した記述が予め指定された条件を満足すると前記記述判定部が判定した場合、前記通知部は、前記画像データを取得した指定用紙を前記用紙搬送口に設置することを利用者に要求し、前記情報印字部は、前記用紙搬送口に設置された指定用紙に前記追記情報を印字する、請求項1または2記載の情報収集装置。
【請求項4】
前記情報印字部は、予め指定された時間内に前記用紙搬送口へ指定用紙が設置された場合に、設置された指定用紙に前記追記情報を印字する、請求項3記載の情報収集装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−159867(P2012−159867A)
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−16986(P2011−16986)
【出願日】平成23年1月28日(2011.1.28)
【出願人】(000006150)京セラドキュメントソリューションズ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】