説明

情報取得装置

【課題】 本発明は、2者の間でのデータの受け渡しに伴う物理的な制約や技術的な制約を減らし、データの受け渡しを容易にすることが可能な情報取得装置を提供する。
【解決手段】 RFIDタグの識別コードを読み取り可能なRFIDリーダ40に接続された情報取得装置であって、所定のサーバ55との間で通信する閲覧制御部45を備え、前記閲覧制御部45は、録画ボール10内のRFIDタグ12から前記RFIDリーダ40により読み取られた識別コードに対応するデータを、前記サーバ55から取得する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、データの受け渡しに利用される情報取得装置に関し、特にRFID(Radio Frequency Identification)タグを利用する情報取得装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像や音楽などを含むデータを2者の間で受け渡ししようとする場合には、例えば、従来よりFD(フロッピーディスク)、CD(コンパクトディスク)、USBメモリ、ビデオテープ、DVDのような物理的な記録媒体を用いてこれを手渡しする方法と、通信ネットワークを利用してパーソナルコンピュータのような情報通信機器同士の間で受け渡す方法と、などが用いられる。
【0003】
なお、本発明に関連のある従来技術としては、非特許文献1〜非特許文献3に開示される研究資料が知られている。
【0004】
【非特許文献1】Hiroshi Ishil 、 Brygg Ullmer、 Tangible bits: towards seamless interfaces between people、 bits and atoms、 Proceedings of the SIGCHI conference on Human factors in computing systems、 p.234-241、 March 22-27、 1997、 Atlanta、 Georgia、 Uuited States
【非特許文献2】Brygg Ullmer 、 Hiroshi Ishil 、 Dylan Glas、 mediaBlocks: physical containers、 transports、 and controls for online media. Proceedings of the 25th annual conference on Computer graphics and interactive techniques、 p.379-386、 July 1998
【非特許文献3】Roy Want 、 Kenueth P. Fishkin 、 Anuj Gujar 、 Beverly L. Hanison、 Bridging physical and virtual worlds with electronic tags、 Proceedings of the SIGCHI conference on Human factors in computing systems: the CHI is the limit、 p.370-377、 May 15-20、 1999、 Pittsburgh、 Pennsylvania、 United States
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、通信ネットワークを利用してデータの受け渡しを行う場合には、パーソナルコンピュータのような情報通信機器及び通信用の伝送路を使わなければならないので、情報通信機器が存在しない環境や通信用の伝送路が利用できないような環境ではデータの受け渡しができない。また、受け渡し対象データを保持するサーバをインターネット上などに配置した場合、不特定多数の人がサーバにアクセスできるため、特定の人との間だけでデータの受け渡しを行うことができない。
【0006】
また、FD、CD、ビデオテープ、DVDのような物理的な記録媒体は比較的形状が大きく、持ち運びに不便な場合がある。しかも、この種の記録媒体は予め形状が定まっているので、用途などに応じて形状を選択することはできない。
【0007】
また、USBメモリのような記録媒体は、小型化したり、形状を変えることは可能であるが、特に大量の情報を蓄積するためには高価な半導体メモリを使用する必要があり、高価になるのは避けられない。従って、USBメモリのような記録媒体自体を2者の間でやりとりすることによりデータの受け渡しをすることはできず、USBメモリからデータを読み出してデータだけをコピーする機器を事前に用意しなければ受け渡しができないのが実情である。
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、2者の間でのデータの受け渡しに伴う物理的な制約や技術的な制約を減らし、データの受け渡しを容易にすることが可能な情報取得装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の情報取得装置は、RFIDタグの識別コードを読み取り可能なRFIDリーダに接続された情報取得装置であって、所定のサーバとの間で通信する通信部を備え、前記通信部が、前記RFIDリーダにより読み取られた前記RFIDタグの識別コードに対応するデータを、前記サーバから取得する、ものである。
【0010】
この構成によれば、RFIDタグが付加された物体を介して、データの受け渡しを行うことを想定している。すなわち、RFIDタグの識別コードに対応付けたデータを事前にサーバ上に登録しておき、受け渡した物体に付加されたRFIDタグの識別コードを利用して前記サーバから該当するデータを取得する。
【0011】
従って、2者の間で物理的に受け渡される物体については、少なくとも1つのRFIDタグが付加されたものであればよく、形状や大きさの制約は特にない。また、安価なRFIDタグを利用することにより、受け渡される物体も安価に構成できる。このため、2者の間で物理的に物体を手渡しするだけで、物体を受け取った人だけに該当するデータを渡すことができる。
【0012】
また、本発明の情報取得装置は、前記RFIDタグが付加された物体を収容可能な容器を備え、前記容器が、少なくとも、前記RFIDリーダによる識別コードの読み取りに利用されるアンテナを装着しているものを含む。
【0013】
この構成によれば、RFIDタグが付加された物体を容器内に入れるという本装置利用者による簡単な作業で、受け取った物体から該当するデータを取得することができる。また、容器が複数の物体を収容できる程度の容量であれば、容器に収容された複数の物体の各々のRFIDタグの識別コードに対応する複数のデータをそれぞれ取得することができる。従って、容器内に収容する複数の物体を管理することにより、取得するデータ全体を管理することができる。さらに、複数のアンテナ素子が前記容器上の互いに異なる位置に配置するようにすれば、前記容器内に複数の物体が立体的に収容されているような場合であっても、それぞれの物体に近いアンテナ素子を利用して各RFIDタグの識別コードを容易に読み取ることも可能になる。
【0014】
また、本発明の情報取得装置は、各種情報を表示可能な表示部を備え、前記表示部が、前記通信部が取得したデータを表示するものを含む。
【0015】
この構成によれば、映像のようなデータを受け渡しした場合に、受け取ったデータの内容を表示部の表示により確認することができる。
【0016】
また、本発明の情報取得装置は、入力操作を受け付ける操作部と、複数のRFIDタグの識別コード毎に対応付けられた複数のデータを表示する順序を、前記操作部が受け付けた入力操作に応じて決定する表示制御部と、を備えるものを含む。
【0017】
この構成によれば、複数の物体の受け渡しにより映像のようなデータを複数組受け渡しした場合に、受け取った複数組のデータの表示順序を操作部に対する入力操作により変更することができる。
【0018】
また、本発明の情報取得装置は、画像を撮像する撮像部を備え、前記通信部が、前記撮像部により撮像した画像データを、前記RFIDリーダにより読み取られた前記RFIDタグの識別コードと対応付け、前記サーバに送信するものを含む。
【0019】
この構成によれば、受け渡し対象の物体に付加されたRFIDタグの識別コードを読み取って、受け渡し対象のデータをサーバに登録することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、RFIDタグが付加された物体を介して、データの受け渡しを行うことができる。また、2者の間で物理的に受け渡される物体については、少なくとも1つのRFIDタグが付加されたものであればよく、形状や大きさの制約は特にない。また、安価なRFIDタグを利用することにより、受け渡される物体も安価に構成できる。このため、2者の間で物理的に物体を手渡しするだけで、物体を受け取った人だけに該当するデータを渡すことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明の情報取得装置を含む具体的なシステムの構成例を1つの実施の形態として図1〜図5に示す。
【0022】
図1は実施の形態のシステムを構成する主要な構成要素の外観を示すブロック図である。図2は実施の形態のシステムにおいて映像を録画する場合に用いられる装置の構成を示すブロック図である。図3は実施の形態のシステムにおいて映像を閲覧する場合に用いられる装置の構成を示すブロック図である。図4は実施の形態のシステムにおいて映像を録画する場合の各部の動作を示すシーケンス図である。図5は実施の形態のシステムにおいて映像を閲覧する場合の各部の動作を示すシーケンス図である。
【0023】
図1に示すシステムには、主要な構成要素として、録画ボール10と、カメラユニット20と、閲覧ユニット30とが備わっている。カメラユニット20は、映像を録画する場合に用いられる。閲覧ユニット30は、映像を閲覧する場合に用いられる。録画ボール10は、映像などのデータの受け渡しの媒体として用いられる。
【0024】
但し、録画ボール10は一般的な記録媒体のようにそれ自身がデータを記録するのではなく、録画ボール10はデータ記録の際に単なる鍵として利用される。この例では、図1に示すように録画ボール10は球形に構成してあるが、録画ボール10の形状や大きさには特別な制約はない。
【0025】
図2に示すように、録画ボール10の内部には、制御部11と、RFIDタグ12と、赤外線受光部13と、3つの発光ダイオード(LED)14(R)、14(G)、14(B)とが備わっている。なお、録画ボール10は、最低1つのRFIDタグ12を備える必要があるが、これ以外の構成要素は必須ではない。
【0026】
RFIDタグ12は、一般的なRFIDタグと同様の構成を有している。すなわち、このタグに事前に割り当てられた固有の識別コードの情報を保持しており、所定のRFIDリーダとの間で非接触で通信が可能になっている。正規のRFIDリーダは、RFIDタグ12との間で通信を行うことにより、RFIDタグ12の識別コードを読み取ることができる。RFIDタグ12の1例として、パッシブタグまたはセミパッシブタグなどがある。
【0027】
制御部11は、マイクロプロセッサで構成されており、予め組み込まれたプログラムを実行することにより所定の制御動作を実現する。赤外線受光部13は、赤外線センサであり、外部から到来する赤外線の信号を検出するために利用される。互いに発光色の異なる3つの発光ダイオード14(R)、14(G)、14(B)は、発光によりシステムの動作状態を利用者に知らせるために利用される。
【0028】
一方、カメラユニット20は、映像を撮影し録画するために利用される。図1に示す例では、カメラユニット20は円筒形状に形成してあり、その頂部に1個の録画ボール10を配置できるように構成してある。映像を録画する場合には、1個の録画ボール10をカメラユニット20上に配置する必要がある。カメラユニット20により録画する映像のデータは、使用する録画ボール10に組み込まれたRFIDタグ12の識別コードに対応付けて、制御用コンピュータ28に登録される。
【0029】
図2に示すように、カメラユニット20には録画制御部21と、カメラ22と、マイク23と、ステッピングモータ24と、パンボタン25と、録画ボタン26とが備わっている。
【0030】
カメラ22は、例えば二次元CCDイメージセンサのような撮像デバイスが組み込まれた撮像装置(WEBカメラ)であり、受光面がカメラユニット20の外側に向けて配置してある。また、パンボタン25の操作によりステッピングモータ24が駆動されると、カメラユニット20の筐体に対するカメラ22の向き(水平方向)が変化するように構成されている。
【0031】
録画制御部21は、マイクロプロセッサで構成されており、予め組み込まれたプログラムを実行することにより所定の制御動作を実現する。具体的には、録画制御部21はパンボタン25の操作に応答してステッピングモータ24を駆動制御し、録画ボタン26の操作に応答して録画のための制御を実施する。また、録画制御部21はカメラユニット20上に配置された録画ボール10の制御部11と電極を介して接続され、録画制御部21と制御部11との間で通信を行う。また、録画制御部21には制御用コンピュータ28が接続されている。
【0032】
制御用コンピュータ28は、録画した映像のデータを所定のネットワーク(例えばインターネット)上に接続されたサーバ55に対して送信し登録するために設けてある。従って、制御用コンピュータ28としては、通信が可能な一般的なパーソナルコンピュータを利用することが可能である。また、映像のデータを処理するために、制御用コンピュータ28は例えばFlashプログラムのようなプログラムを実行する。なお、録画制御部21と制御用コンピュータ28とを一体に構成することもできる。
【0033】
図2に示す構成要素を用いて録画を実施する場合には、図4に示すような手順により処理が実施される。録画の場合の具体的な動作について以下に説明する。
【0034】
図1に示すようにカメラユニット20上に1個の録画ボール10を配置した状態で、利用者が録画ボタン26を操作すると、カメラユニット20内の録画制御部21がこれを検出する。すなわち、カメラユニット20の処理は図4のステップS11に進む。
【0035】
次に、カメラユニット20の録画制御部21は、ステップS12で録画ボール10に対してID(識別コード)を要求する。この場合、録画ボール10内の制御部11は、予め制御部11自身が記憶しているRFIDタグのIDをステップS13でカメラユニット20に送信する。なお、録画ボール10内の制御部11は、同じ録画ボール10に組み込まれているRFIDタグ12からそれに割り当てられたIDを読み取り、その読み取ったIDをステップS13でIDをカメラユニット20に送信する構成としても良い。
【0036】
次に、カメラユニット20の録画制御部21は、ステップS14で録画開始指示とIDとを制御用コンピュータ28に送信する。ここで送信するIDは、ステップS13で録画ボール10が送信したIDと同じものである。
【0037】
制御用コンピュータ28は、カメラユニット20から録画開始指示を受信すると、ステップS15で撮影開始指示をカメラユニット20内のカメラ22に送る。カメラ22は、撮影開始指示を受信すると、一定の周期で画像を繰り返し撮影し、撮影した画像のデータ及びマイクで集音した音声のデータを含む映像のデータを制御用コンピュータ28に継続的に送出する(S16)。
【0038】
制御用コンピュータ28は、カメラ22から受信した映像のデータを処理して蓄積すると共に、蓄積するデータの長さを時間により管理する。そして、撮影を開始してからの経過時間の長さが所定の制限時間(例えば15秒)に到達すると、ステップS17からS18に進み、撮影終了指示をカメラ22に送出する。この指示により、カメラ22は撮影を終了する。
【0039】
この後、制御用コンピュータ28はカメラ22から受信した映像のデータとカメラユニット20から受信した録画ボール10のIDとを互いに関連付けてサーバ55に送信する。サーバ55は、制御用コンピュータ28から受信した映像のデータを、同時に入力された録画ボール10のIDと関連付けた状態で所定の記憶装置(例えばハードディスク)に保存する(S20)。
【0040】
なお、録画制御部21と制御部11との通信によって得られる情報に基づき、制御部11は録画ボール10内の3つの発光ダイオード14(R)、14(G)、14(B)を次のように制御する。すなわち、カメラ22の撮影中には赤色の発光ダイオード14(R)が点灯し、残り撮影時間(前記制限時間までの残り時間)が短くなると発光ダイオード14(R)が点滅する。また、それ自身のIDに対応する映像がサーバ55に既に登録されている場合には、緑色の発光ダイオード14(G)が点灯する。なお、発光ダイオード14の点灯方法は、これに限るものではない。
【0041】
一方、サーバ55に登録されている映像データをサーバ55から取得する場合には、撮影の際に用いた特定の録画ボール10と、図1に示す閲覧ユニット30を含む映像閲覧装置50とを用いる。
【0042】
図1に示すように、閲覧ユニット30の本体は球形に似た透明な容器31で構成されている。また、容器31の上部には録画ボール10の通過が可能な大きさの開口部32が形成されている。また、開閉可能な蓋33が開口部32の近傍に設置されている。蓋33には複数のボタンが装着された操作部34が設けてある。
【0043】
また、容器31の周辺部に表示部35が設けてある。表示部35は、映像などの二次元画像を表示することが可能な液晶表示器が備わっている。利用者は、開口部37を介して表示部35に表示された映像を見ることができる。
【0044】
容器31の内部には、同時に5個程度の録画ボール10を収容可能な大きさの立体的な空間が形成されている。容器31の内壁に沿って、RFIDアンテナ36が配置されている。このRFIDアンテナ36は容器31内の各録画ボール10のRFIDタグ12との間で非接触通信するために設けてある。図1に示す例では、ループ形状の2つのアンテナ素子を容器31内の互いに異なる位置に配置してRFIDアンテナ36を構成してある。このような構成の容器31により、前記容器内に複数の物体が立体的に収容されているような場合であっても、それぞれの物体に近いアンテナ素子を利用して各RFIDタグの識別コードを容易に読み取ることができる。
【0045】
RFIDアンテナ36にはRFIDリーダ40が接続してある。また、閲覧制御を行うために閲覧制御部45が設けてある。閲覧制御部45は、例えば通信機能を有する一般的なパーソナルコンピュータを用いて構成することができる。RFIDリーダ40及び操作部34はそれぞれ閲覧制御部45に接続されている。また、表示部35はAVコンバータ(信号変換器)46を介して閲覧制御部45と接続されている。
【0046】
サーバ55に登録された映像のデータを取得して閲覧しようとする場合には、図3に示すように、少なくとも1つの録画ボール10と、映像閲覧装置50と、前述のサーバ55とを利用する。つまり、録画の際に使用した録画ボール10を、図1に示すように閲覧ユニット30の容器31の中に収容してからデータを取得する。
【0047】
なお、図3において録画ボール10の構成は図2と同一である。図3に示すように、映像閲覧装置50には、主要な構成要素としてRFIDリーダ40と、閲覧制御部45と、操作部34と、表示部35と、赤外線発光ダイオード(LED)38とが備わっている。なお、映像閲覧装置50を構成している操作部34と表示部35と赤外線LED38とは図1に示す閲覧ユニット30の一部である。
【0048】
閲覧制御部45は、通信機能を有しており、例えばインターネットのようなネットワークを経由して、サーバ55との間で通信することができる。なお、例えばサーバ55のアドレスあるいはURL(Uniform Resource Locator)を事前に決定して制御用コンピュータ28及び閲覧制御部45に登録しておくことにより、録画時と閲覧時とで共通のサーバ55にアクセスすることが可能になる。閲覧制御部45は、映像などを処理するために、C#、Flashなどのプログラムを実行する。
【0049】
閲覧ユニット30に内蔵されている赤外線発光ダイオード38は、閲覧制御部45が出力する信号に従って赤外線を発光する。赤外線発光ダイオード38の発光した赤外線は、容器31内に収容された各録画ボール10の赤外線受光部13によって受光される。つまり、RFIDタグ12の通信とは別に、映像閲覧装置50と録画ボール10とが赤外線で通信することができる。
【0050】
図3に示す構成要素を用いて映像の閲覧を実施する場合には、図5に示すような手順により処理が実施される。この場合の具体的な動作について以下に説明する。
【0051】
図1に示すように閲覧ユニット30の容器31内に録画ボール10が収容された状態、あるいは、録画ボール10がRFIDアンテナ36を通過する時点で、各録画ボール10に内蔵されるRFIDタグ12が送出する信号(IDを含む高周波信号)が、RFIDアンテナ36を介してRFIDリーダ40に入力される(図5のS31)。
【0052】
この場合、RFIDリーダ40は、信号を送出したRFIDタグ12をステップS32で認識し、RFIDタグ12のIDを閲覧制御部45に送出する(S33)。閲覧制御部45は、RFIDタグ12のIDを受信すると、サーバ55との間で通信経路を確保し、受信したIDを含む映像要求をサーバ55に送信する(S34)。
【0053】
サーバ55は、閲覧制御部45からの映像要求を受信すると、映像要求に付加されているRFIDタグ12のIDと一致するIDが割り当てられた映像データを自分自身の管理しているデータベースの中から検索する(S35)。そして、IDの一致する映像データが見つかった場合には、該当する映像データをステップS36で閲覧制御部45宛に送出する。
【0054】
閲覧制御部45は、ステップS34で要求した映像データをサーバ55から受信すると(ステップS36)、次のステップS37を実行する。ステップS37では、映像データに対応付けられたRFIDタグ12のIDを表す固有の識別コードを含む情報を用いて赤外線LED38を発光制御する。つまり、特定のRFIDタグ12のIDを含む情報を赤外線信号の形式で送出する。
【0055】
容器31内の各録画ボール10においては、赤外線受光部13が受信した信号に自分のRFIDタグ12のIDが含まれている場合には、ステップS38を実行する。すなわち、制御部11は赤外線受光部13が受光した赤外線信号の内容に応じて、録画ボール10内の3つの発光ダイオード14(R)、14(G)、14(B)の発光を制御する。
【0056】
また、閲覧ユニット30の利用者が操作部34に設けられた特定のボタン(閲覧ボタン)を操作した場合には、閲覧制御部45はステップS39でそれを検出し、次のステップS40に進む。ステップS40では、サーバ55がステップS36で送出した映像データを再生し、表示部35上に映像を表示する。表示部35は、閲覧制御部45によりデータ編集された映像データを表示するようにしても良い。また、表示部35に万華鏡機構(鏡3枚を正三角形に組んだもの)を別途設置して、閲覧ユニット30の利用者がその機構を覗くようにしても良い。これにより、単なる映像の閲覧を超えて、娯楽性のある映像の閲覧が可能になる。
【0057】
次のステップS41では、閲覧制御部45は映像データに対応付けられたRFIDタグ12のIDを表す固有の識別コードを含む情報を用いて赤外線LED38を発光制御する。つまり、特定のRFIDタグ12のIDを含む情報を赤外線信号の形式で送出する。
【0058】
容器31内の各録画ボール10においては、赤外線受光部13が受信した信号に自分のRFIDタグ12のIDが含まれている場合には、ステップS42を実行する。すなわち、制御部11は赤外線受光部13が受光した赤外線信号の内容に応じて、録画ボール10内の3つの発光ダイオード14(R)、14(G)、14(B)の発光を制御する。
【0059】
例えば、図1に示すように、同じ容器31の中に同時に複数の録画ボール10が収容されている場合には、RFIDリーダ40は複数の録画ボール10のそれぞれからRFIDタグ12のタグIDを読み取り、閲覧制御部45はそれぞれのタグIDに対応付けられた複数組の映像データをサーバ55からそれぞれ取得する。
【0060】
また、複数組の映像データをサーバ55から取得した場合には、閲覧制御部45はステップS40で複数組の映像を順次に再生し表示部35に表示する。また、表示部35に表示する映像の表示順序を、操作部34に対する利用者からの入力操作に応じて決定する。従って、利用者は操作部34の入力操作により、複数組の映像が表示される順序を自分の意志で変更することができる。また、初期状態では、複数の録画ボール10が容器31内に投入された時間的な順番に従って、映像の表示順序が決定されるようにしても良い。
【0061】
各録画ボール10内の制御部11は、映像閲覧時には3つの発光ダイオード14(R)、14(G)、14(B)を次のように発光制御する。まず、録画ボール10が容器31内に入ると、赤外線LED38から出力される赤外線を赤外線受光部13が受光し、それに応答して、赤色の発光ダイオード14(R)が点灯するように制御する。また、サーバ55から自分のタグIDに対応する映像データが取得された時にはステップS38が実行され、自分のタグIDに対応する映像データが表示部35で表示されている時にはステップS42が実行され、現在の状態を表す表示制御が実施される。例えば、自分のタグIDに対応する映像データが表示部35で表示されている時には、青色の発光ダイオード14(B)が点滅するように制御する。
【0062】
いずれにしても、図1に示すようなシステムにおいては、物理的な物体である共通の録画ボール10を利用することにより、録画側の人間と閲覧側の人間(両者が同一の人であってもよい)との間で情報の受け渡しを録画ボール10だけで確実に行うことができる。録画ボール10の受け渡しを行う場合には、カメラユニット20や閲覧ユニット30は不要であり、一般的なディスクのような記録媒体と同様に扱うことができる。但し、録画ボール10自体には情報が記録されないため、録画ボール10から情報が漏洩する心配はない。また、録画ボール10自体は基本的には最低限1つのRFIDタグを備えるだけでよいので、非常に安価に構成することが可能であり、形状や大きさには全く制限がない。
【産業上の利用可能性】
【0063】
以上のように、本発明の情報取得装置を用いる場合には、RFIDタグの識別コードを鍵として利用し情報の受け渡しを行うことができるので、記録機能のない物体の受け渡しだけで情報を受け渡しすることができる。また、録画ボール10のような物体は安価であり、形状や大きさの自由度が高いので、様々な用途に利用できる。
【0064】
録画ボールの用途としては、映像メッセージを録画した録画ボールをプレゼントに用いることにより、個性ある映像メッセージを簡易にプレゼントすることができる。また、サービス促進用映像(例えば、観光地の観光名所の映像、ある製品やその製品を提供する企業の宣伝映像など)を録画した録画ボールをサービス対象者に配布することにより、サービス対象者の購買意欲を促進することができる。また、利用者が撮影した画像を形のある録画ボールとして残すことができるため、その録画した映像を思い出としてより印象付けて利用者に残すことができる。
【0065】
また、録画ボール10のような特定の物体を所有していない限りネットワーク上のサーバからデータを取得できないので、安全性の高いデータの受け渡しを必要とする用途に適している。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本発明の実施の形態のシステムを構成する主要な構成要素の外観を示すブロック図
【図2】本発明の実施の形態のシステムにおいて映像を録画する場合に用いられる装置の構成を示すブロック図
【図3】本発明の実施の形態のシステムにおいて映像を閲覧する場合に用いられる装置の構成を示すブロック図
【図4】本発明の実施の形態のシステムにおいて映像を録画する場合の各部の動作を示すシーケンス図
【図5】本発明の実施の形態のシステムにおいて映像を閲覧する場合の各部の動作を示すシーケンス図
【符号の説明】
【0067】
10 録画ボール
11 制御部
12 RFIDタグ
13 赤外線受光部
14 発光ダイオード
20 カメラユニット
21 録画制御部
22 カメラ
23 マイク
24 ステッピングモータ
25 パンボタン
26 録画ボタン
28 制御用コンピュータ
30 閲覧ユニット
31 容器
32 開口部
33 蓋
34 操作部
35 表示部
36 RFIDアンテナ
37 開口部
38 赤外線発光ダイオード
40 RFIDリーダ
45 閲覧制御部
46 AVコンバータ
50 映像閲覧装置
55 サーバ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
RFIDタグの識別コードを読み取り可能なRFIDリーダに接続された情報取得装置であって、
所定のサーバとの間で通信する通信部を備え、
前記通信部は、前記RFIDリーダにより読み取られた前記RFIDタグの識別コードに対応するデータを、前記サーバから取得する情報取得装置。
【請求項2】
請求項1に記載の情報取得装置であって、
前記RFIDタグが付加された物体を収容可能な容器を備え、
前記容器は、少なくとも、前記RFIDリーダによる識別コードの読み取りに利用されるアンテナを装着している情報取得装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の情報取得装置であって、
各種情報を表示可能な表示部を備え、
前記表示部は、前記通信部が取得したデータを表示する情報取得装置。
【請求項4】
請求項3に記載の情報取得装置において、
入力操作を受け付ける操作部と、
複数のRFIDタグの識別コード毎に対応付けられた複数のデータを表示する順序を、前記操作部が受け付けた入力操作に応じて決定する表示制御部と、
備える情報取得装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載の情報取得装置であって、
画像を撮像する撮像部を備え、
前記通信部は、前記撮像部により撮像した画像データを、前記RFIDリーダにより読み取られた前記RFIDタグの識別コードと対応付けて、前記サーバに送信する情報取得装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−26282(P2007−26282A)
【公開日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−209951(P2005−209951)
【出願日】平成17年7月20日(2005.7.20)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.フロッピー
【出願人】(899000079)学校法人慶應義塾 (742)
【Fターム(参考)】