情報提供システム、サーバ装置および情報提供方法
【課題】電車内の混雑を平均化する情報提供システムを提供する。
【解決手段】駅の改札に設けられた第1の非接触型ICカード読取器と接続される情報提供システムであって、電車の乗降口毎に設けられ、乗降口を通過する乗客が携帯するリモートカードのカード識別子を検出する第2の非接触型ICカード読取器と、利用者のカード識別子とともに携帯端末の端末識別子が記述された利用者情報が格納された記憶部と、第2の非接触型ICカード読取器から受信するカード識別子の情報に基づいて混雑度を示す混雑情報を乗降口毎に生成して記憶部に格納し、第1の非接触型ICカード読取器から利用者のカード識別子を受信すると、駅に進入する前の電車の乗降口毎の混雑情報を記憶部から読み出し、複数の混雑情報から利用者の乗降口を決定し、決定した乗降口から乗車することを提案する旨の乗車提案情報を携帯端末に送信する制御部とを含むサーバと、を有する。
【解決手段】駅の改札に設けられた第1の非接触型ICカード読取器と接続される情報提供システムであって、電車の乗降口毎に設けられ、乗降口を通過する乗客が携帯するリモートカードのカード識別子を検出する第2の非接触型ICカード読取器と、利用者のカード識別子とともに携帯端末の端末識別子が記述された利用者情報が格納された記憶部と、第2の非接触型ICカード読取器から受信するカード識別子の情報に基づいて混雑度を示す混雑情報を乗降口毎に生成して記憶部に格納し、第1の非接触型ICカード読取器から利用者のカード識別子を受信すると、駅に進入する前の電車の乗降口毎の混雑情報を記憶部から読み出し、複数の混雑情報から利用者の乗降口を決定し、決定した乗降口から乗車することを提案する旨の乗車提案情報を携帯端末に送信する制御部とを含むサーバと、を有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報提供システム、サーバ装置および情報提供方法に関する。
【背景技術】
【0002】
都市の通勤圏が拡大するにつれて、電車を運行させる会社では、いかにして効率よく乗客を運ぶかが検討事項になっている。その対策の一例として、混雑度の低い車両を検索できるシステムが開示されている(特許文献1参照)。また、非接触式読取装置にて混雑度を監視するシステムが開示されている(特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2006−244069号公報
【特許文献2】特開2004−243791号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
乗客は、自分が降りる駅の改札に近い車両や、別の路線への乗り換えのための階段に近い車両に殺到する傾向がある。一方、自分が降りる駅または乗り換える駅での利便性を考えるよりも、空いている車両に乗りたいという乗客もいる。しかし、どの車両が混雑するかという情報を入手する手段がなかった。そのため、自分が乗ろうとする車両が混雑していても他の車両も同じと考え、無理してその車両に乗ろうとしていた。その結果、ダイヤの乱れ/乗降の混乱に繋がり、効率的な運行が妨げられるという問題があった。
【0004】
特許文献1の技術による検索や特許文献2の技術による監視ができるだけでは、その情報を元に乗客が空いている車両に殺到してしまうおそれがある。その場合、空いている車両が逆に混雑し、混雑の緩和を実現するのは困難である。
【0005】
本発明は上述したような従来の技術が有する問題点を解決するためになされたものであり、電車内の混雑を平均化する情報提供システム、サーバ装置および情報提供方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するための本発明の情報提供システムは、駅の改札に設けられ、電車の利用者および該利用者以外の乗客が携帯するリモートカードのカード識別子を検出する第1の非接触型ICカード読取器と、接続される情報提供システムであって、
電車の乗降口毎に設けられ、該乗降口に対応する車内の混雑度を算出するために、該乗降口を通過する乗客が携帯するリモートカードのカード識別子を検出する第2の非接触型ICカード読取器と、
前記第1および前記第2の非接触型ICカード読取器ならびに前記利用者の携帯端末と接続され、前記利用者のリモートカードのカード識別子とともに前記携帯端末の端末識別子が記述された利用者情報が格納された記憶部と、前記第2の非接触型ICカード読取器から受信する前記カード識別子の情報に基づいて前記混雑度を示す混雑情報を前記乗降口毎に生成して前記記憶部に格納し、前記第1の非接触型ICカード読取器から前記利用者の前記カード識別子を受信すると、前記駅に進入する前の電車の前記乗降口毎の前記混雑情報を前記記憶部から読み出し、複数の該混雑情報から前記利用者の乗降口を決定し、決定した乗降口から乗車することを提案する旨の乗車提案情報を前記端末識別子を宛先にして前記携帯端末に送信する制御部とを含むサーバと、
を有する構成である。
【0007】
また、上記目的を達成するためのサーバ装置は、駅の改札に設けられ、電車の利用者および該利用者以外の乗客が携帯するリモートカードのカード識別子を検出する第1の非接触型ICカード読取器、電車の乗降口毎に設けられ、該乗降口に対応する車内の混雑度を算出するために、該乗降口を通過する乗客が携帯するリモートカードのカード識別子を検出する第2の非接触型ICカード読取器、および前記利用者の携帯端末のそれぞれと接続されるサーバ装置であって、
前記利用者のリモートカードのカード識別子とともに前記携帯端末の端末識別子が記述された利用者情報が格納された記憶部と、
前記第2の非接触型ICカード読取器から受信する前記カード識別子の情報に基づいて前記混雑度を示す混雑情報を前記乗降口毎に生成して前記記憶部に格納し、前記第1の非接触型ICカード読取器から前記利用者の前記カード識別子を受信すると、前記駅に進入する前の電車の前記乗降口毎の前記混雑情報を前記記憶部から読み出し、複数の該混雑情報から前記利用者の乗降口を決定し、決定した乗降口から乗車することを提案する旨の乗車提案情報を前記端末識別子を宛先にして前記携帯端末に送信する制御部と、
を有する構成である。
【0008】
さらに、上記目的を達成するための本発明の情報提供方法は、駅の改札に設けられ、電車の利用者および該利用者以外の乗客が携帯するリモートカードのカード識別子を検出する第1の非接触型ICカード読取器、電車の乗降口毎に設けられ、該乗降口に対応する車内の混雑度を算出するために、該乗降口を通過する乗客が携帯するリモートカードのカード識別子を検出する第2の非接触型ICカード読取器、および前記利用者の携帯端末のそれぞれと接続されるサーバ装置による情報提供方法であって、
前記利用者のリモートカードのカード識別子とともに前記携帯端末の端末識別子が記述された利用者情報を格納し、
前記第2の非接触型ICカード読取器から受信する前記カード識別子の情報に基づいて前記混雑度を示す混雑情報を前記乗降口毎に生成して格納し、
前記第1の非接触型ICカード読取器から前記利用者の前記カード識別子を受信すると、前記駅に進入する前の電車の前記乗降口毎の前記混雑情報を読み出し、
複数の前記混雑情報から前記利用者の乗降口を決定し、
決定した乗降口から乗車することを提案する旨の乗車提案情報を前記端末識別子を宛先にして前記携帯端末に送信するものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明では、電車の全体の混雑状況を把握したサーバより、これから乗車しようとしている人に対して最適な乗降口が指示されるため、混雑集中を抑制し、混雑を緩和することができる。混雑が緩和されることで、乗降時の混乱を防ぎ、電車を効率的に運行することができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本実施形態の情報提供システムの構成を説明する。図1は本実施形態の情報提供システムの一構成例を示すブロック図である。
【0011】
図1に示すように、本実施形態の情報提供システムは、電車の乗降口毎に設けられ、電車の利用者および乗客のリモートカードを検出するカードリーダ31と、カードリーダ31が検出した情報を集計するサーバ100とを有する。
【0012】
サーバ100は、駅の改札に設けられたカードリーダ20、およびカードリーダ31と接続されている。また、インターネットなどのネットワーク10を介して、利用者が所有する携帯端末50と接続される。カードリーダ20が本発明の第1の非接触型ICカード読取器に相当し、カードリーダ31が本発明の第2の非接触型ICカード読取器に相当する。
【0013】
カードリーダ31は、電車の乗降口に対応する車内の混雑度を算出するために、乗車する乗客が所持するリモートカード60のカード識別子を検出する。カードリーダ20は、改札を通過する利用者および乗客が所持するリモートカード60のカード識別子を検出する。
【0014】
サーバ100は、記憶部102と、制御部103とを有する。記憶部102には、本システムのサービスの提供を受ける利用者のリモートカードのカード識別子とともに携帯端末の端末識別子が記述された利用者情報が格納されている。
【0015】
制御部103は、カードリーダ31から受信するカード識別子の情報に基づいて混雑度を示す混雑情報を乗降口毎に生成して記憶部102に格納する。そして、カードリーダ20から利用者のカード識別子を受信すると、駅に進入する前の電車の乗降口毎の混雑情報を記憶部102から読み出し、複数の混雑情報から利用者の乗降口を決定する。続いて、決定した乗降口から乗車することを提案する旨の乗車提案情報を携帯端末50に送信する。
【0016】
なお、電車の乗降口とは、電車のドアに限らず、ホームドアも含まれる。また、混雑度は、単位床面積あたりの人数、混雑率、ドア毎の乗車人数などのうちいずれかである。「混雑率」には、一例として、座席、つり革、およびドア近くの柱のそれぞれに乗客が埋まっている場合を「100%」とし、車内で立っている乗客が隣同士で体が触れ合い、互いに圧迫感を感じる場合を「200%」と定義されているものがある。
【0017】
本実施形態の情報提供システムでは、サーバが電車の混雑情報を予め集計し、混雑情報に基づいて乗車に適切な乗降口を決定し、決定した乗降口を通知するための乗車提案情報を、乗車前の利用者の携帯端末に送信する。事前に電車の混雑情報を予めサーバが集計し、これから乗車する利用者に対して、乗車に適した乗降口を指示しているので、利用者が一部の乗降口に集中して混雑してしまうことを防げる。
【実施例1】
【0018】
本実施例の情報提供システムの構成について図面を参照して詳細に説明する。
【0019】
説明を簡単にするために、本実施例では、電車の運行経路が1つである場合とする。この運行経路の駅の数をm(mは1以上の整数)とする。電車の進行方向右側または左側の面のドアの数をn(nは1以上の整数)とする。駅の数mとドアの数nは、本実施例に限らず、実施例2および実施例3についても同様とする。また、各駅には電車のドアに対応してホームドアが設けられているものとする。
【0020】
図2は本実施例の情報提供システムの一構成例を示すブロック図である。
【0021】
図2に示すように、本実施例の情報提供システムは、非接触型ICカード(以下では、リモートカードと称する)の読取器である複数のカードリーダ20,31と、カードリーダ20,31で検出された情報を集計するサーバ100とを有する。
【0022】
カードリーダ31は各駅のホームドア毎に設けられている。カードリーダ31は、各駅に設けられた中継装置41を介してネットワーク45と接続されている。ネットワーク45には、図に示さないが、受信するパケットをその宛先に応じて送出するルータが1つ以上設けられている。
【0023】
カードリーダ31は、ホームドアが開いているか閉まっているかを検出する開閉センサ(不図示)と接続されている。ホームに電車が止まり、電車のドアが開くと、電車のドアに連動してホームドアが開く。ホームドアが開いていると、開閉センサは、「開」状態を示す信号を出力する。一方、電車のドアが閉まると、電車のドアに連動してホームドアが閉まる。ホームドアが閉まっていると、開閉センサは、「閉」状態を示す信号を出力する。
【0024】
サーバ100はネットワーク45およびm個の中継装置41を介して各駅のn個のカードリーダ31と接続される。また、サーバ100は、各駅の改札機に設けられたカードリーダ20とネットワーク45を介して接続される。また、サーバ100は、ネットワーク10および基地局15を介して、電車の利用者の携帯端末50と接続される。ネットワーク10の一例として、インターネットがある。
【0025】
電車の利用者は携帯端末50とリモートカード60を携帯している。携帯端末50は、基地局12および無線機150を介してサーバ100と接続される。以下に、各構成について詳細に説明する。
【0026】
はじめに、携帯端末50について説明する。図3は携帯端末の一構成例を示すブロック図である。
【0027】
図3に示すように、携帯端末50は、無線通信部51と、端末記憶部52と、端末制御部53と、表示部54と、操作部55とを有する。端末制御部53は、プログラムにしたがって処理を実行するCPU(Central Processing Unit)(不図示)と、プログラムを格納するためのメモリ(不図示)とを有する。
【0028】
携帯端末50には、端末毎に異なる識別子が付与されている。以下では、この識別子を端末識別子と称する。端末記憶部52には、自装置の端末識別子の他に、サーバ100を特定するためのサーバ100の識別子が格納されている。携帯端末50とサーバ100との間で送受信される情報はパケットに分割され、パケットには、送信先と送信元のそれぞれを特定するための識別子が添付されるものとする。
【0029】
利用者が操作部55を操作して乗車駅と降車駅を入力すると、端末制御部53は、乗車駅および降車駅の情報と端末識別子の情報を含むルート情報を無線通信部51を介してサーバ100宛に送出する。利用者が乗車駅から降車駅の途中で異なる路線に乗り換えることを予定し、操作部55を操作してその経路を入力すると、端末制御部53は、経路の情報もルート情報に含むようにする。乗車する際のホームドアの位置を示す乗車提案情報を無線通信部51を介して受信すると、その情報を表示部54に表示させる。
【0030】
次に、リモートカード60について説明する。図4はリモートカードの一構成例を示すブロック図である。
【0031】
リモートカード60は、カードを携帯する人を識別するための役目がある。図4に示すように、リモートカード60は、アンテナを含む通信部61と、記憶部62とを有する。記憶部62には、カード毎に異なるカード識別子が登録されている。なお、リモートカード60には、乗車券または定期券としての役目もあるが、乗車券または定期券としての機能については、本発明に関連しないため、その詳細な説明を省略する。
【0032】
次に、ホームドアに設けられたカードリーダ31について説明する。図5はカードリーダの一構成例を示すブロック図である。
【0033】
カードリーダ31は、リモートカード60との距離が70cmまで通信可能な近傍型ICカード読取器である。図5に示すように、カードリーダ31は、電波インタフェース部32と、記憶部33、制御部34と、通信部35とを有する。制御部34は、プログラムにしたがって処理を実行するCPU301と、プログラムを格納するためのメモリ302と、クロック信号を生成する信号発生器303と、クロック信号を計測して時刻をCPU301に通知するカウンタ回路304とを有する。
【0034】
電車のドアの位置に対応して、ホームドアの位置を特定するための識別子である位置識別子が各ホームドアに付与されている。記憶部33には、自装置が設置されたホームドアの位置識別子が格納されている。電車のドアは駅によって進行方向右側が開く場合と左側が開く場合とがあり、それに連動してホームドアも右側または左側が開くことになるが、右側ドアと左側ドアの区別をせず、同じ位置識別子とする。
【0035】
制御部34は、ホームドアの開閉センサ(不図示)から「開」状態の信号を受信すると、電波インタフェース部33を動作させる。そして、開いたホームドアを通り抜ける人が所持するリモートカード60に電波インタフェース部33を介して接続し、リモートカード60の記憶部62に登録されたカード識別子を検出し、その検出時刻を計測する。ホームドアが開いている間、制御部34は、検出したカード識別子、検出時刻および位置識別子の情報を含むドア検出情報を通信部35を介して中継装置41に送信する。その後、開閉センサから「閉」状態の信号を受信すると、制御部34は、その信号を受信したときの時刻であるドア閉時刻を中継装置41に送信する。このドア閉時刻は、その駅における、電車の発車時刻に相当する。
【0036】
このようにして、制御部34は、ホームドアが開いている時間毎に、カード識別子を検出し、検出したカード識別子毎にドア検出情報を中継装置41に送信する。
【0037】
次に、中継装置41について説明する。図6は中継装置の一構成例を示すブロック図である。
【0038】
図6に示すように、中継装置41は、記憶部42と、通信部43と、制御部44とを有する。記憶部42には、自装置が設置されている駅に対応して、駅毎に異なる識別子である駅識別子の情報が登録されている。
【0039】
制御部44は、プログラムにしたがって処理を実行するCPU(不図示)と、プログラムを格納するためのメモリ(不図示)とを有する。制御部44は、カードリーダ31から受信するドア検出情報を記憶部42に保存する。カードリーダ31からドア閉時刻の情報を受信すると、制御部44は、記憶部42に保存したドア検出情報にドア閉時刻および駅識別子の情報を添付した駅集計情報を生成する。そして、制御部44は、駅毎に、ホームドアに対応して検出したカード識別子を集計したデータとして駅集計情報をパケットにして、通信部43およびネットワーク45を介してサーバ100に送信する。
【0040】
次に、改札機に設けられたカードリーダ20について説明する。カードリーダ20は、カードリーダ36と基本的な構成は同様であるため、ここではカードリーダ36と異なる点について図5を参照して説明する。
【0041】
カードリーダ20は、リモートカード60との距離が10cmまで通信可能な近接型ICカード読取器である。記憶部33には駅識別子が格納されている。制御部34は、改札を通ってホームに入る人のリモートカード60のカード識別子を検出し、カード識別子、その検出時刻、および駅識別子の情報を含む改札情報をパケットにして、通信部35およびネットワーク45を介してサーバ100に送信する。
【0042】
なお、リモートカード60を乗車券または定期券として扱う機能については、本発明に関連しないため、その詳細な説明を省略する。
【0043】
次に、サーバ100について説明する。図7はサーバの一構成例を示すブロック図である。図7に示すように、サーバ100は、通信部101と、記憶部102と、制御部103とを有する。制御部103は、プログラムにしたがって処理を実行するCPU(不図示)と、プログラムを格納するためのメモリ(不図示)とを有する。
【0044】
記憶部102には、各電車について停車駅での出発時刻が記述された時刻表が格納されている。各駅に関して改札に最も近いホームドアの位置識別子と、他の路線との乗り換え可能な駅に関しては乗り換え階段に最も近いホームドアの位置識別子の情報を含む混雑予想位置情報が格納されている。また、利用者毎に異なる情報として、リモートカード60のカード識別子と携帯端末50の端末識別子とが組になった利用者情報が登録されている。また、記憶部102には、各駅についての、その日以前に記録された、過去の混雑情報である混雑履歴情報が現在に至るまで格納されている。
【0045】
制御部103は、時刻表にしたがって、各電車の車内の混雑度を示す混雑情報を、次のようにして記録する。ここでは、1つの電車の場合を例に説明する。はじめに、始発駅における駅集計情報を受信すると、時刻表の始発駅出発時刻に対応して、駅集計情報を混雑情報として記憶部102に記録する。続いて、2つ目の駅における駅集計情報を受信すると、制御部103は、始発駅の混雑情報に含まれるドア検出情報と、2つ目の駅における駅集計情報を合わせて、2つ目の駅における混雑情報を生成する。その際、始発駅の混雑情報に含まれるカード識別子と2つ目の駅の駅集計情報のカード識別子とを比較する。比較の結果、同じカード識別子があれば、そのカード識別子のリモートカード60を所持する人が2つ目の駅で降りたものと判断して、2つ目の駅の混雑情報からそのカード識別子を含むドア検出情報を消去する。このようにして、降車した人についてのドア検出情報を取り除いた混雑情報を、2つ目の駅の出発時刻に対応して、記憶部102に記録する。
【0046】
これ以降については、上述したのと同様にして、制御部103は、降車した人についてのドア検出情報を取り除くとともに、新たに乗車した人についてのドア検出情報を追加した混雑情報を停車駅に対応して記録していく。
【0047】
上述したように、混雑情報には、乗客に対応したドア検出情報、ドア閉時刻に相当する発車時刻、および駅識別子の情報が含まれることになる。ドア検出情報には位置識別子が含まれているので、混雑情報に対して位置識別子でドア検出情報を分類すれば、どの車両のどのドア付近にどのくらいの乗客がいるかを調べることが可能となる。そして、この情報は駅毎に変化しても、その変化に伴って更新される。
【0048】
また、制御部103は、携帯端末50から受信するルート情報を記憶部102に保存する。カードリーダ20から改札情報を受信すると、改札情報に含まれるカード識別子と組になって保存されている端末識別子を、利用者情報で特定する。続いて、特定した端末識別子を送信元とするルート情報が記憶部102に格納されているか否かを調べる。調査の結果、対応するルート情報が格納されていなければ、何も処理しない。
【0049】
一方、調査の結果、対応するルート情報が格納されていれば、混雑履歴情報を参照してシミュレーションを行い、そのルート情報を入力した利用者が乗車する予定の電車についての各ドアに対応する混雑率を予想する。
【0050】
また、制御部103は、混雑予想位置情報を参照して混雑が予想される車内の位置に対応するホームドアを調べる。そして、利用者の乗車する電車の混雑率と混雑予想位置情報とから、混雑率のより低い車内の位置に対応するホームドアを決定し、その位置識別子と位置識別子で特定されるホームドアから乗車することを提案する旨の情報を含む乗車提案情報を携帯端末50に送信する。乗車提案情報を受け取る利用者が多い場合、制御部103は、混雑率が平均化するように、混雑率の低い位置に対応する複数のホームドアに利用者を振り分ける。
【0051】
さらに、制御部103は、電車内の位置識別子毎の混雑率を算出し、その平均値を求めると、平均値より大きい混雑率の位置識別子を含むドア検出情報を抽出する。抽出したドア検出情報のカード識別子を読み出し、読み出したカード識別子と組になって登録されている端末識別子があるか、利用者情報を参照する。カード識別子に対応して登録されている端末識別子が複数あれば、複数の端末識別子のうち所定の割合の端末識別子を選択する。そして、選択した端末識別子を宛先にして、混雑率が平均値よりも下回っている位置識別子とその位置識別子で特定されるドア付近への移動を提案する旨の移動提案情報を送信する。
【0052】
次に、本実施例の情報提供システムにおいて、各駅での電車の混雑情報を記録するまでの手順を説明する。ここでは、1つの駅において、混雑情報を記録する場合とする。
【0053】
図8は本実施例の情報提供システムによる、混雑情報を記録する動作手順を示すフローチャートである。
【0054】
電車が駅に到着し、電車ドアおよびホームドアが開き、人が電車を乗り降りすると、カードリーダ31がリモートカード60を検出する。ホームドアに設けられたカードリーダ31がリモートカード60を検出すると、ドア検出情報を中継装置41に送信する(ステップ1001)。中継装置41は、カードリーダ31から受信するドア検出情報を記憶部42に保存する(ステップ1002)。
【0055】
電車の発車時刻になり、電車ドアおよびホームドアが閉まると、カードリーダ31は発車時刻に相当するドア閉時刻の情報を中継装置41に送信する(ステップ1003)。中継装置41は、ドア閉時刻の情報を受信すると、電車が停車している間に受信したドア検出情報にドア閉時刻および駅識別子の情報を添付した駅集計情報を生成してネットワーク45を介してサーバ100に送信する(ステップ1004)。
【0056】
サーバ100は、中継装置41から駅集計情報を受信すると、駅集計情報のドア閉時刻と時刻表に記述された発車時刻とを対応させる。そして、前駅の混雑情報と駅集計情報とを比較して、降車した人についてのドア検出情報を消去して混雑情報を生成し、混雑情報を記憶部102に記録する(ステップ1005)。ステップ1001からステップ1005の動作を、運行経路の各駅について、運行経路を走行する各電車について、繰り返し行う。
【0057】
このようにして記録される混雑情報に基づいて、本実施例の情報提供システムが、利用者に対して最適な乗車位置を提案するまでの手順を説明する。
【0058】
図9は利用者への情報提供までの動作手順を示すフローチャートである。ここでは、利用者の乗車駅をk番目(kは1以上m以下のいずれかの整数)の駅とする。
【0059】
利用者が携帯端末50を操作して乗車駅と降車駅を入力すると、携帯端末50はルート情報を基地局15およびネットワーク10を介してサーバ100に送信する(ステップ1101)。この際、他の路線への乗り換えがあれば、利用者が携帯端末50に経路も入力することで、ルート情報に経路の情報も含まれる。
【0060】
サーバ100は、携帯端末50から受信するルート情報を記憶部102に保存する(ステップ1102)。利用者が乗車駅の改札機のカードリーダ20にリモートカード60をかざして改札を通過すると、カードリーダ20はリモートカード60のカード識別子を検出し、改札情報をネットワーク45を介してサーバ100に送信する(ステップ1103)。
【0061】
サーバ100は、カードリーダ20から改札情報を受信すると、改札情報に含まれるカード識別子を読み出し、読み出したカード識別子と組になって登録されている端末識別子を、利用者情報を参照して特定する。続いて、その端末識別子を送信元とするルート情報が保存されているか否かを記憶部102で調べる(ステップ1104)。判定の結果、対応するルート情報が保存されていない場合、何もせずに、次の改札情報を受信するまで待機する。
【0062】
一方、ステップ1104の判定の結果、対応するルート情報が保存されている場合、サーバ100は、利用者が乗ろうとしている電車をルート情報で認識し、改札情報の検出時刻と時刻表の発車時刻を比べて利用者が乗車可能な電車を調べる。そして、(k−1)番目の駅を既に発車した電車には乗れないと判断すると、(k−2)番目の駅に停車中の電車の混雑情報を記憶部102から読み出す。
【0063】
続いて、サーバ100は、記憶部102に格納された混雑履歴情報を参照してシミュレーションを行い、利用者が乗車する予定の電車についての混雑率を予想する(ステップ1105)。ここで、そのシミュレーションの具体例を説明する。
【0064】
始発駅をある時刻に出発する電車の過去の10回分の混雑情報により、所定のホームドアの位置に対応する車内の混雑率の平均値が(k−2)番目の駅で100%だったのが、k番目の駅で150%になるという混雑履歴情報があったとする。サーバ100は、現在、利用者が乗車しようとする電車の所定のホームドアに対応する車内の混雑率が(k−2)番目の駅での混雑情報から120%と算出すると、この混雑率に混雑履歴情報の増加率(1.5倍)を掛け合わせて、k駅での混雑率が180%に達するというシミュレーション結果を得る。上記混雑履歴情報の増加率が0.8倍であれば、k駅での混雑率は100%より小さくなるというシミュレーション結果を得る。
【0065】
ステップ1105で電車の混雑率を予想すると、サーバ100は、ルート情報で降車駅を調べ、混雑予想位置情報を参照して混雑する可能性の高い車内の位置を調べる。そして、サーバ100は、利用者の乗車する電車の混雑率と混雑予想位置情報とから、混雑率のより低い車内の位置に対応するホームドアを決定し、乗車提案情報を携帯端末50に送信する(ステップ1106)。乗車提案情報を受け取る利用者が多い場合、サーバ100は、混雑率が平均化するように、混雑率の低い位置に対応するホームドアに利用者を振り分けるようにする。
【0066】
携帯端末50は、サーバ100から乗車提案情報を受信すると、乗車提案情報を表示部54に表示する(ステップ1107)。利用者は携帯端末50に表示された乗車提案情報から、指定されたホームドアから乗車すれば、車内での混雑を避けることができる。
【0067】
図9で説明した手順では乗車前に利用者に対して提案するものであるが、本実施例の情報提供システムでは、次のようにして、混雑した車内にいる乗客に対して他の場所に移動することを提案することも可能である。
【0068】
サーバ100は、電車内の位置識別子毎の混雑率を算出し、その平均値を求める。そして、平均値より大きい混雑率の位置識別子を含むドア検出情報を抽出する。抽出したドア検出情報のカード識別子を読み出し、読み出したカード識別子と組になって登録されている端末識別子があるか、記憶部102の利用者情報を参照する。カード識別子に対応して登録されている端末識別子が複数あれば、複数の端末識別子のうち所定の割合の端末識別子を選択する。
【0069】
選択基準の一例として、ドア検出情報とともに登録された駅識別子が終点の駅(m番目の駅)に近いほど選択優先順位が高いものとする。始発よりも終点に近い方の駅で乗車した人は座席に座れないだけでなく、ドア付近に立っている可能性が高いためである。サーバ100は、選択した所定の割合の端末識別子のそれぞれで特定される携帯端末50に対して、混雑率が平均値よりも下回っている位置識別子のドア付近への移動を提案する旨の移動提案情報をネットワーク10を介して送信する。
【0070】
このようにして、既に乗車した後の乗客に対して、混雑率のより低い場所への移動を提案することで、車内の混雑を緩和することも可能である。
【0071】
本実施例では、利用者は乗車前にサーバから適切な乗車位置に関する情報が配信されるため、事前に必要な情報を入力しさえすれば、乗車する際、利用者は混雑したところを避けて乗車することができるだけでなく、電車全体として車内での混雑を緩和させることができる。
【0072】
また、電車が駅に到着してから出発するまでの間の混乱を緩和することができるため、ラッシュ時の混雑を緩和させ、電車を円滑に運行することができる。
【0073】
なお、カードリーダ31を近傍型ICカード読取器としたが、カードリーダ20と同様な近接型ICカード読取器としてもよい。この場合、利用者は電車に乗る際にホームドアに設けられた近接型ICカード読取器に自分のリモートカード60をかざせばよい。
【0074】
また、本実施例では、中継装置41がドア検出情報にドア閉時刻および駅識別子の情報を添付してドア検出情報をまとめた駅集計情報をサーバ100に送信したが、カードリーダ20のように、カードリーダ31の記憶部33に予め駅識別子を登録し、カードリーダ31がドア検出情報にドア閉時刻および駅識別子の情報を添付してサーバ100に送信してもよい。
【実施例2】
【0075】
実施例1では、電車に乗る人、電車から降りる人のリモートカードを検出するためにカードリーダをホームドアに設けたが、本実施例は電車ドアにカードリーダを設けるものである。
【0076】
本実施例の情報提供システムを説明する。ここでは、実施例1と異なる点について詳細に説明し、実施例1と同様な構成の説明を省略する。
【0077】
図10は電車の混雑情報を取得するための別の構成例を示すブロック図である。
【0078】
各電車には、各ドアに設けられたカードリーダ36と、カードリーダ36で検出された情報を外部に送信するための無線装置70とが設けられている。無線装置70と無線で通信接続される無線装置75が中継装置41と接続されている。
【0079】
次に、電車ドアに設けられたカードリーダ36について説明する。カードリーダ36は、カードリーダ31と基本的な構成は同様であるため、ここではカードリーダ31と異なる点について図5を参照して説明する。
【0080】
制御部34は、電車のドアが開いた時刻を記録し、その時刻からドアが閉まるまでの時刻の間、開いたドアを通り抜ける人が所持するリモートカード60のカード識別子を検出すると、その検出時刻を計測する。そして、カード識別子、検出時刻および位置識別子の情報を含むドア検出情報を通信部35を介して無線装置70に送出する。
【0081】
このようにして、制御部34は、電車ドアが開いている時間毎に、カード識別子を検出し、検出したカード識別子毎にドア検出情報を無線装置70に送信する。
【0082】
次に、無線装置70について説明する。図11は無線装置70の一構成例を示すブロック図である。
【0083】
図11に示すように無線装置70は、受信部71と、制御部72と、無線部73とを有する。制御部72は、プログラムにしたがって処理を実行するCPU(不図示)と、プログラムを格納するためのメモリ(不図示)とを有する。制御部72は、受信部71を介してドア検出情報を受信すると、ドア検出情報を無線部73を介して無線装置75に送信する。
【0084】
次に、無線装置75について説明する。図12は無線装置75の一構成例を示すブロック図である。
【0085】
図12に示すように無線装置75は、無線部76と、制御部77と、送信部78とを有する。制御部77は、プログラムにしたがって処理を実行するCPU(不図示)と、プログラムを格納するためのメモリ(不図示)とを有する。制御部77は、無線部76を介してドア検出情報を受信すると、ドア検出情報を送信部78およびネットワーク45を介してサーバ100に送信する。
【0086】
なお、本実施例の情報提供システムの動作は実施例1と同様になるため、詳細な説明を省略する。
【0087】
本実施例は、実施例1と同様な効果が得られるだけでなく、電車の混雑情報を取得するためのカードリーダを各駅のホームドア毎に設ける必要がなく、各電車のドア毎に設ければよい。また、ホームドアが設けられていない路線に有効である。
【実施例3】
【0088】
実施例1または実施例2の情報提供システムでは、必ずしも乗客全員がサーバからの提案にしたがうとは限らず、混雑緩和の効果が充分ではないこともある。本実施例は、実施例1または実施例2による乗車提案情報にしたがう利用者に対して何らかのメリットを与えるサービスを提供するものである。
【0089】
本実施例の情報提供システムの構成を説明する。ここでは、実施例1と異なる構成について詳細に説明し、実施例1と同様な構成についての詳細な説明を省略する。
【0090】
カードリーダ31の記憶部33には駅識別子が登録されている。カードリーダ31の制御部34は、ドア閉時刻および駅識別子の情報を含むドア検出情報をサーバ100に送信する。なお、本実施例では、中継装置41を設けなくてもよい。
【0091】
サーバ100の制御部103は、携帯端末50に送信する乗車提案情報を複写して記憶部102に保存する。異なる駅のカードリーダ31から受信するドア検出情報により、利用者が降車したことを認識すると、その利用者の乗車提案情報の位置識別子と、カードリーダ31から受信したドア検出情報の位置識別子とが一致するか否かを判定する。
【0092】
また、その利用者のルート情報の降車駅と、カードリーダ31から受信したドア検出情報の駅識別子で特定される降車駅とが一致するか否かを判定する。上記2つの判定の結果、位置識別子が一致し、かつ、降車駅が一致している場合、制御部103は、その利用者に対してポイント加算および乗車価格割引などの付加価値サービスを提供する。なお、上記2つの判定のうち、いずれか1つでも「No」であれば、利用者に対するサービスの提供はない。
【0093】
付加価値サービスがポイント加算であれば、上記2つの判定を満たす毎に、制御部103は、利用者情報のカード識別子と端末識別子の組に対応して、予め決められた数のポイントを加算して登録する。ポイントとは、その数により様々なサービスに置き換えたり、種々の商品に交換したりすることが可能となるものである。
【0094】
制御部103は、利用者に提供するサービスの内容を利用者情報に記録する。そして、そのサービス情報を利用者に通知するために、利用者情報を参照して端末識別子を読み出し、読み出した端末識別子を宛先にして、サービスの情報を含むサービス提供情報を送信する。
【0095】
このようにして、サーバ100は、利用者が乗車提案情報にしたがって正しく乗車したか否かを判断し、指示通りに乗車した乗客に対して、何らかのメリットを付与する。
【0096】
次に、本実施例の情報提供システムの動作手順を説明する。なお、利用者が入力したルート情報の乗車駅が運行経路のi番目の駅であり、降車駅がj番目の駅とする。ただし、iは1以上(m−1)以下の整数であり、jは2以上m以下の整数であり、かつ、i<jであるとする。
【0097】
図13は、本実施例の情報提供システムの動作手順を示すフローチャートである。i番目の駅のカードリーダの符号を31iとし、j番目の駅のカードリーダの符号を31jとしている。
【0098】
利用者が、i番目の駅で携帯端末50に表示された乗車提案情報にしたがって、指定されたドアから乗車する。その際、利用者が所持するリモートカード60のカード識別子を、ホームドアに設置されたカードリーダ31iが検出する。そして、ドア検出情報をサーバ100に送信する(ステップ1201)。
【0099】
サーバ100はカードリーダ31iからドア検出情報を受信すると、記憶部102に保存する(ステップ1202)。その後、利用者は、目的地のj番目の駅で降車する。利用者が降車した際、カードリーダ31jは、リモートカード60のカード識別子を検出する。そして、ドア検出情報をサーバ100に送信する(ステップ1203)。サーバ100はカードリーダ31jからドア検出情報を受信すると、ドア検出情報を記憶部102に保存する(ステップ1204)。
【0100】
サーバ100は、混雑情報を更新する際、ステップ1201で検出されたカード識別子の所持者がステップ1203で降車したことを認識すると、カード識別子と組になって登録されている端末識別子を、利用者情報を参照して特定する。続いて、その端末識別子を宛先にして送出した乗車提案情報がないか記憶部102内を探し、乗車提案情報に含まれる位置識別子を読み出す。
【0101】
続いて、サーバ100は、乗車提案情報の位置識別子とドア検出情報に含まれる位置識別子とが一致するか否か判定する(ステップ1205)。なお、ここでいうドア検出情報は、ステップ1202またはステップ1204のいずれの処理で保存されたものであってもよい。ステップ1205で両者の位置識別子が一致しない場合、何も処理をせずに終了する。
【0102】
また、サーバ100は、ルート情報の降車駅とステップ1204で保存したドア検出情報の駅識別子で特定される降車駅とが一致するか否か判定する(ステップ1206)。この判定で降車駅が一致しない場合、何も処理をせずに終了する。なお、ステップ1205とステップ1206の前後は問わない。
【0103】
ステップ1205の判定で位置識別子が一致し、かつ、ステップ1206の判定で降車駅が一致する場合、サーバ100は、ドア検出情報のカード識別子で特定される利用者に対して、ポイント加算および乗車価格割引などの付加価値サービスを提供する。ここでは、付加価値サービスがポイント加算であるものとする。サーバ100は、記憶部102の利用者情報を参照し、カード識別子と組になって登録された端末識別子を読み出す。そして、その組の情報と一緒に登録されたポイントの情報に、さらに予め決められたポイントを加える。そして、ポイントを加算した旨の情報を含むサービス提供情報を、読み出した端末識別子を宛先にして送信する(ステップ1207)。
【0104】
利用者の携帯端末50は、サーバ100からサービス提供情報を受信すると、サービス提供情報を表示部54に表示する(ステップ1208)。利用者は、携帯端末50に表示されるサービス提供情報を見て、提供されたサービス内容を確認できる。
【0105】
なお、利用者がルート情報で登録した降車駅で最終的に電車を降りたとしても、途中の駅で乗降してしまうことがある。一旦ホームに降りていた時間が数秒から数分で、また同じ電車に乗るのであれば問題ないが、途中駅から別の電車に乗ってしまう場合、上記サービスを受けることができなくなる。この場合、サーバ100が、図13で示したステップ1205とステップ1206の判定を1つの電車を対象とするのではなく、その路線にその日に運行した全ての電車にまで対象を広げればよい。これにより、利用者は上記サービスを受けることが可能である。
【0106】
本実施例では、指定されたドアから乗車する乗客に対して何らかのサービスが提供される形になるので、高い割合でサーバからの指示通りに乗客の乗車位置をコントロールすることができる。よって、混雑緩和の効果がより期待できる。
【0107】
本実施例では実施例1と組み合わせた場合で説明したが、実施例2と組み合わせてもよい。
【0108】
本発明によれば、電車の全体の混雑状況を把握したサーバより、これから乗車しようとしている人に対して最適な乗降口が指示されるため、混雑集中を抑制し、混雑を緩和することができる。混雑が緩和されることで、乗降時の混乱を防ぎ、電車を効率的に運行することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0109】
【図1】本実施形態の情報提供システムの一構成例を示すブロック図である。
【図2】実施例1の情報提供システムの一構成例を示すブロック図である。
【図3】携帯端末の一構成例を示すブロック図である。
【図4】リモートカードの一構成例を示すブロック図である。
【図5】カードリーダの一構成例を示すブロック図である。
【図6】中継装置の一構成例を示すブロック図である。
【図7】サーバの一構成例を示すブロック図である。
【図8】実施例1の情報提供システムによる、混雑情報を記録する動作手順を示すフローチャートである。
【図9】実施例1の情報提供システムによる、利用者への情報提供までの動作手順を示すフローチャートである。
【図10】電車の混雑情報を取得するための別の構成例を示すブロック図である。
【図11】図10に示す無線装置70の一構成例を示すブロック図である。
【図12】図10に示す無線装置75の一構成例を示すブロック図である。
【図13】実施例2の情報提供システムによる動作手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0110】
20、31、36 カードリーダ
50 携帯端末
60 リモートカード
100 サーバ
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報提供システム、サーバ装置および情報提供方法に関する。
【背景技術】
【0002】
都市の通勤圏が拡大するにつれて、電車を運行させる会社では、いかにして効率よく乗客を運ぶかが検討事項になっている。その対策の一例として、混雑度の低い車両を検索できるシステムが開示されている(特許文献1参照)。また、非接触式読取装置にて混雑度を監視するシステムが開示されている(特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2006−244069号公報
【特許文献2】特開2004−243791号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
乗客は、自分が降りる駅の改札に近い車両や、別の路線への乗り換えのための階段に近い車両に殺到する傾向がある。一方、自分が降りる駅または乗り換える駅での利便性を考えるよりも、空いている車両に乗りたいという乗客もいる。しかし、どの車両が混雑するかという情報を入手する手段がなかった。そのため、自分が乗ろうとする車両が混雑していても他の車両も同じと考え、無理してその車両に乗ろうとしていた。その結果、ダイヤの乱れ/乗降の混乱に繋がり、効率的な運行が妨げられるという問題があった。
【0004】
特許文献1の技術による検索や特許文献2の技術による監視ができるだけでは、その情報を元に乗客が空いている車両に殺到してしまうおそれがある。その場合、空いている車両が逆に混雑し、混雑の緩和を実現するのは困難である。
【0005】
本発明は上述したような従来の技術が有する問題点を解決するためになされたものであり、電車内の混雑を平均化する情報提供システム、サーバ装置および情報提供方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するための本発明の情報提供システムは、駅の改札に設けられ、電車の利用者および該利用者以外の乗客が携帯するリモートカードのカード識別子を検出する第1の非接触型ICカード読取器と、接続される情報提供システムであって、
電車の乗降口毎に設けられ、該乗降口に対応する車内の混雑度を算出するために、該乗降口を通過する乗客が携帯するリモートカードのカード識別子を検出する第2の非接触型ICカード読取器と、
前記第1および前記第2の非接触型ICカード読取器ならびに前記利用者の携帯端末と接続され、前記利用者のリモートカードのカード識別子とともに前記携帯端末の端末識別子が記述された利用者情報が格納された記憶部と、前記第2の非接触型ICカード読取器から受信する前記カード識別子の情報に基づいて前記混雑度を示す混雑情報を前記乗降口毎に生成して前記記憶部に格納し、前記第1の非接触型ICカード読取器から前記利用者の前記カード識別子を受信すると、前記駅に進入する前の電車の前記乗降口毎の前記混雑情報を前記記憶部から読み出し、複数の該混雑情報から前記利用者の乗降口を決定し、決定した乗降口から乗車することを提案する旨の乗車提案情報を前記端末識別子を宛先にして前記携帯端末に送信する制御部とを含むサーバと、
を有する構成である。
【0007】
また、上記目的を達成するためのサーバ装置は、駅の改札に設けられ、電車の利用者および該利用者以外の乗客が携帯するリモートカードのカード識別子を検出する第1の非接触型ICカード読取器、電車の乗降口毎に設けられ、該乗降口に対応する車内の混雑度を算出するために、該乗降口を通過する乗客が携帯するリモートカードのカード識別子を検出する第2の非接触型ICカード読取器、および前記利用者の携帯端末のそれぞれと接続されるサーバ装置であって、
前記利用者のリモートカードのカード識別子とともに前記携帯端末の端末識別子が記述された利用者情報が格納された記憶部と、
前記第2の非接触型ICカード読取器から受信する前記カード識別子の情報に基づいて前記混雑度を示す混雑情報を前記乗降口毎に生成して前記記憶部に格納し、前記第1の非接触型ICカード読取器から前記利用者の前記カード識別子を受信すると、前記駅に進入する前の電車の前記乗降口毎の前記混雑情報を前記記憶部から読み出し、複数の該混雑情報から前記利用者の乗降口を決定し、決定した乗降口から乗車することを提案する旨の乗車提案情報を前記端末識別子を宛先にして前記携帯端末に送信する制御部と、
を有する構成である。
【0008】
さらに、上記目的を達成するための本発明の情報提供方法は、駅の改札に設けられ、電車の利用者および該利用者以外の乗客が携帯するリモートカードのカード識別子を検出する第1の非接触型ICカード読取器、電車の乗降口毎に設けられ、該乗降口に対応する車内の混雑度を算出するために、該乗降口を通過する乗客が携帯するリモートカードのカード識別子を検出する第2の非接触型ICカード読取器、および前記利用者の携帯端末のそれぞれと接続されるサーバ装置による情報提供方法であって、
前記利用者のリモートカードのカード識別子とともに前記携帯端末の端末識別子が記述された利用者情報を格納し、
前記第2の非接触型ICカード読取器から受信する前記カード識別子の情報に基づいて前記混雑度を示す混雑情報を前記乗降口毎に生成して格納し、
前記第1の非接触型ICカード読取器から前記利用者の前記カード識別子を受信すると、前記駅に進入する前の電車の前記乗降口毎の前記混雑情報を読み出し、
複数の前記混雑情報から前記利用者の乗降口を決定し、
決定した乗降口から乗車することを提案する旨の乗車提案情報を前記端末識別子を宛先にして前記携帯端末に送信するものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明では、電車の全体の混雑状況を把握したサーバより、これから乗車しようとしている人に対して最適な乗降口が指示されるため、混雑集中を抑制し、混雑を緩和することができる。混雑が緩和されることで、乗降時の混乱を防ぎ、電車を効率的に運行することができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本実施形態の情報提供システムの構成を説明する。図1は本実施形態の情報提供システムの一構成例を示すブロック図である。
【0011】
図1に示すように、本実施形態の情報提供システムは、電車の乗降口毎に設けられ、電車の利用者および乗客のリモートカードを検出するカードリーダ31と、カードリーダ31が検出した情報を集計するサーバ100とを有する。
【0012】
サーバ100は、駅の改札に設けられたカードリーダ20、およびカードリーダ31と接続されている。また、インターネットなどのネットワーク10を介して、利用者が所有する携帯端末50と接続される。カードリーダ20が本発明の第1の非接触型ICカード読取器に相当し、カードリーダ31が本発明の第2の非接触型ICカード読取器に相当する。
【0013】
カードリーダ31は、電車の乗降口に対応する車内の混雑度を算出するために、乗車する乗客が所持するリモートカード60のカード識別子を検出する。カードリーダ20は、改札を通過する利用者および乗客が所持するリモートカード60のカード識別子を検出する。
【0014】
サーバ100は、記憶部102と、制御部103とを有する。記憶部102には、本システムのサービスの提供を受ける利用者のリモートカードのカード識別子とともに携帯端末の端末識別子が記述された利用者情報が格納されている。
【0015】
制御部103は、カードリーダ31から受信するカード識別子の情報に基づいて混雑度を示す混雑情報を乗降口毎に生成して記憶部102に格納する。そして、カードリーダ20から利用者のカード識別子を受信すると、駅に進入する前の電車の乗降口毎の混雑情報を記憶部102から読み出し、複数の混雑情報から利用者の乗降口を決定する。続いて、決定した乗降口から乗車することを提案する旨の乗車提案情報を携帯端末50に送信する。
【0016】
なお、電車の乗降口とは、電車のドアに限らず、ホームドアも含まれる。また、混雑度は、単位床面積あたりの人数、混雑率、ドア毎の乗車人数などのうちいずれかである。「混雑率」には、一例として、座席、つり革、およびドア近くの柱のそれぞれに乗客が埋まっている場合を「100%」とし、車内で立っている乗客が隣同士で体が触れ合い、互いに圧迫感を感じる場合を「200%」と定義されているものがある。
【0017】
本実施形態の情報提供システムでは、サーバが電車の混雑情報を予め集計し、混雑情報に基づいて乗車に適切な乗降口を決定し、決定した乗降口を通知するための乗車提案情報を、乗車前の利用者の携帯端末に送信する。事前に電車の混雑情報を予めサーバが集計し、これから乗車する利用者に対して、乗車に適した乗降口を指示しているので、利用者が一部の乗降口に集中して混雑してしまうことを防げる。
【実施例1】
【0018】
本実施例の情報提供システムの構成について図面を参照して詳細に説明する。
【0019】
説明を簡単にするために、本実施例では、電車の運行経路が1つである場合とする。この運行経路の駅の数をm(mは1以上の整数)とする。電車の進行方向右側または左側の面のドアの数をn(nは1以上の整数)とする。駅の数mとドアの数nは、本実施例に限らず、実施例2および実施例3についても同様とする。また、各駅には電車のドアに対応してホームドアが設けられているものとする。
【0020】
図2は本実施例の情報提供システムの一構成例を示すブロック図である。
【0021】
図2に示すように、本実施例の情報提供システムは、非接触型ICカード(以下では、リモートカードと称する)の読取器である複数のカードリーダ20,31と、カードリーダ20,31で検出された情報を集計するサーバ100とを有する。
【0022】
カードリーダ31は各駅のホームドア毎に設けられている。カードリーダ31は、各駅に設けられた中継装置41を介してネットワーク45と接続されている。ネットワーク45には、図に示さないが、受信するパケットをその宛先に応じて送出するルータが1つ以上設けられている。
【0023】
カードリーダ31は、ホームドアが開いているか閉まっているかを検出する開閉センサ(不図示)と接続されている。ホームに電車が止まり、電車のドアが開くと、電車のドアに連動してホームドアが開く。ホームドアが開いていると、開閉センサは、「開」状態を示す信号を出力する。一方、電車のドアが閉まると、電車のドアに連動してホームドアが閉まる。ホームドアが閉まっていると、開閉センサは、「閉」状態を示す信号を出力する。
【0024】
サーバ100はネットワーク45およびm個の中継装置41を介して各駅のn個のカードリーダ31と接続される。また、サーバ100は、各駅の改札機に設けられたカードリーダ20とネットワーク45を介して接続される。また、サーバ100は、ネットワーク10および基地局15を介して、電車の利用者の携帯端末50と接続される。ネットワーク10の一例として、インターネットがある。
【0025】
電車の利用者は携帯端末50とリモートカード60を携帯している。携帯端末50は、基地局12および無線機150を介してサーバ100と接続される。以下に、各構成について詳細に説明する。
【0026】
はじめに、携帯端末50について説明する。図3は携帯端末の一構成例を示すブロック図である。
【0027】
図3に示すように、携帯端末50は、無線通信部51と、端末記憶部52と、端末制御部53と、表示部54と、操作部55とを有する。端末制御部53は、プログラムにしたがって処理を実行するCPU(Central Processing Unit)(不図示)と、プログラムを格納するためのメモリ(不図示)とを有する。
【0028】
携帯端末50には、端末毎に異なる識別子が付与されている。以下では、この識別子を端末識別子と称する。端末記憶部52には、自装置の端末識別子の他に、サーバ100を特定するためのサーバ100の識別子が格納されている。携帯端末50とサーバ100との間で送受信される情報はパケットに分割され、パケットには、送信先と送信元のそれぞれを特定するための識別子が添付されるものとする。
【0029】
利用者が操作部55を操作して乗車駅と降車駅を入力すると、端末制御部53は、乗車駅および降車駅の情報と端末識別子の情報を含むルート情報を無線通信部51を介してサーバ100宛に送出する。利用者が乗車駅から降車駅の途中で異なる路線に乗り換えることを予定し、操作部55を操作してその経路を入力すると、端末制御部53は、経路の情報もルート情報に含むようにする。乗車する際のホームドアの位置を示す乗車提案情報を無線通信部51を介して受信すると、その情報を表示部54に表示させる。
【0030】
次に、リモートカード60について説明する。図4はリモートカードの一構成例を示すブロック図である。
【0031】
リモートカード60は、カードを携帯する人を識別するための役目がある。図4に示すように、リモートカード60は、アンテナを含む通信部61と、記憶部62とを有する。記憶部62には、カード毎に異なるカード識別子が登録されている。なお、リモートカード60には、乗車券または定期券としての役目もあるが、乗車券または定期券としての機能については、本発明に関連しないため、その詳細な説明を省略する。
【0032】
次に、ホームドアに設けられたカードリーダ31について説明する。図5はカードリーダの一構成例を示すブロック図である。
【0033】
カードリーダ31は、リモートカード60との距離が70cmまで通信可能な近傍型ICカード読取器である。図5に示すように、カードリーダ31は、電波インタフェース部32と、記憶部33、制御部34と、通信部35とを有する。制御部34は、プログラムにしたがって処理を実行するCPU301と、プログラムを格納するためのメモリ302と、クロック信号を生成する信号発生器303と、クロック信号を計測して時刻をCPU301に通知するカウンタ回路304とを有する。
【0034】
電車のドアの位置に対応して、ホームドアの位置を特定するための識別子である位置識別子が各ホームドアに付与されている。記憶部33には、自装置が設置されたホームドアの位置識別子が格納されている。電車のドアは駅によって進行方向右側が開く場合と左側が開く場合とがあり、それに連動してホームドアも右側または左側が開くことになるが、右側ドアと左側ドアの区別をせず、同じ位置識別子とする。
【0035】
制御部34は、ホームドアの開閉センサ(不図示)から「開」状態の信号を受信すると、電波インタフェース部33を動作させる。そして、開いたホームドアを通り抜ける人が所持するリモートカード60に電波インタフェース部33を介して接続し、リモートカード60の記憶部62に登録されたカード識別子を検出し、その検出時刻を計測する。ホームドアが開いている間、制御部34は、検出したカード識別子、検出時刻および位置識別子の情報を含むドア検出情報を通信部35を介して中継装置41に送信する。その後、開閉センサから「閉」状態の信号を受信すると、制御部34は、その信号を受信したときの時刻であるドア閉時刻を中継装置41に送信する。このドア閉時刻は、その駅における、電車の発車時刻に相当する。
【0036】
このようにして、制御部34は、ホームドアが開いている時間毎に、カード識別子を検出し、検出したカード識別子毎にドア検出情報を中継装置41に送信する。
【0037】
次に、中継装置41について説明する。図6は中継装置の一構成例を示すブロック図である。
【0038】
図6に示すように、中継装置41は、記憶部42と、通信部43と、制御部44とを有する。記憶部42には、自装置が設置されている駅に対応して、駅毎に異なる識別子である駅識別子の情報が登録されている。
【0039】
制御部44は、プログラムにしたがって処理を実行するCPU(不図示)と、プログラムを格納するためのメモリ(不図示)とを有する。制御部44は、カードリーダ31から受信するドア検出情報を記憶部42に保存する。カードリーダ31からドア閉時刻の情報を受信すると、制御部44は、記憶部42に保存したドア検出情報にドア閉時刻および駅識別子の情報を添付した駅集計情報を生成する。そして、制御部44は、駅毎に、ホームドアに対応して検出したカード識別子を集計したデータとして駅集計情報をパケットにして、通信部43およびネットワーク45を介してサーバ100に送信する。
【0040】
次に、改札機に設けられたカードリーダ20について説明する。カードリーダ20は、カードリーダ36と基本的な構成は同様であるため、ここではカードリーダ36と異なる点について図5を参照して説明する。
【0041】
カードリーダ20は、リモートカード60との距離が10cmまで通信可能な近接型ICカード読取器である。記憶部33には駅識別子が格納されている。制御部34は、改札を通ってホームに入る人のリモートカード60のカード識別子を検出し、カード識別子、その検出時刻、および駅識別子の情報を含む改札情報をパケットにして、通信部35およびネットワーク45を介してサーバ100に送信する。
【0042】
なお、リモートカード60を乗車券または定期券として扱う機能については、本発明に関連しないため、その詳細な説明を省略する。
【0043】
次に、サーバ100について説明する。図7はサーバの一構成例を示すブロック図である。図7に示すように、サーバ100は、通信部101と、記憶部102と、制御部103とを有する。制御部103は、プログラムにしたがって処理を実行するCPU(不図示)と、プログラムを格納するためのメモリ(不図示)とを有する。
【0044】
記憶部102には、各電車について停車駅での出発時刻が記述された時刻表が格納されている。各駅に関して改札に最も近いホームドアの位置識別子と、他の路線との乗り換え可能な駅に関しては乗り換え階段に最も近いホームドアの位置識別子の情報を含む混雑予想位置情報が格納されている。また、利用者毎に異なる情報として、リモートカード60のカード識別子と携帯端末50の端末識別子とが組になった利用者情報が登録されている。また、記憶部102には、各駅についての、その日以前に記録された、過去の混雑情報である混雑履歴情報が現在に至るまで格納されている。
【0045】
制御部103は、時刻表にしたがって、各電車の車内の混雑度を示す混雑情報を、次のようにして記録する。ここでは、1つの電車の場合を例に説明する。はじめに、始発駅における駅集計情報を受信すると、時刻表の始発駅出発時刻に対応して、駅集計情報を混雑情報として記憶部102に記録する。続いて、2つ目の駅における駅集計情報を受信すると、制御部103は、始発駅の混雑情報に含まれるドア検出情報と、2つ目の駅における駅集計情報を合わせて、2つ目の駅における混雑情報を生成する。その際、始発駅の混雑情報に含まれるカード識別子と2つ目の駅の駅集計情報のカード識別子とを比較する。比較の結果、同じカード識別子があれば、そのカード識別子のリモートカード60を所持する人が2つ目の駅で降りたものと判断して、2つ目の駅の混雑情報からそのカード識別子を含むドア検出情報を消去する。このようにして、降車した人についてのドア検出情報を取り除いた混雑情報を、2つ目の駅の出発時刻に対応して、記憶部102に記録する。
【0046】
これ以降については、上述したのと同様にして、制御部103は、降車した人についてのドア検出情報を取り除くとともに、新たに乗車した人についてのドア検出情報を追加した混雑情報を停車駅に対応して記録していく。
【0047】
上述したように、混雑情報には、乗客に対応したドア検出情報、ドア閉時刻に相当する発車時刻、および駅識別子の情報が含まれることになる。ドア検出情報には位置識別子が含まれているので、混雑情報に対して位置識別子でドア検出情報を分類すれば、どの車両のどのドア付近にどのくらいの乗客がいるかを調べることが可能となる。そして、この情報は駅毎に変化しても、その変化に伴って更新される。
【0048】
また、制御部103は、携帯端末50から受信するルート情報を記憶部102に保存する。カードリーダ20から改札情報を受信すると、改札情報に含まれるカード識別子と組になって保存されている端末識別子を、利用者情報で特定する。続いて、特定した端末識別子を送信元とするルート情報が記憶部102に格納されているか否かを調べる。調査の結果、対応するルート情報が格納されていなければ、何も処理しない。
【0049】
一方、調査の結果、対応するルート情報が格納されていれば、混雑履歴情報を参照してシミュレーションを行い、そのルート情報を入力した利用者が乗車する予定の電車についての各ドアに対応する混雑率を予想する。
【0050】
また、制御部103は、混雑予想位置情報を参照して混雑が予想される車内の位置に対応するホームドアを調べる。そして、利用者の乗車する電車の混雑率と混雑予想位置情報とから、混雑率のより低い車内の位置に対応するホームドアを決定し、その位置識別子と位置識別子で特定されるホームドアから乗車することを提案する旨の情報を含む乗車提案情報を携帯端末50に送信する。乗車提案情報を受け取る利用者が多い場合、制御部103は、混雑率が平均化するように、混雑率の低い位置に対応する複数のホームドアに利用者を振り分ける。
【0051】
さらに、制御部103は、電車内の位置識別子毎の混雑率を算出し、その平均値を求めると、平均値より大きい混雑率の位置識別子を含むドア検出情報を抽出する。抽出したドア検出情報のカード識別子を読み出し、読み出したカード識別子と組になって登録されている端末識別子があるか、利用者情報を参照する。カード識別子に対応して登録されている端末識別子が複数あれば、複数の端末識別子のうち所定の割合の端末識別子を選択する。そして、選択した端末識別子を宛先にして、混雑率が平均値よりも下回っている位置識別子とその位置識別子で特定されるドア付近への移動を提案する旨の移動提案情報を送信する。
【0052】
次に、本実施例の情報提供システムにおいて、各駅での電車の混雑情報を記録するまでの手順を説明する。ここでは、1つの駅において、混雑情報を記録する場合とする。
【0053】
図8は本実施例の情報提供システムによる、混雑情報を記録する動作手順を示すフローチャートである。
【0054】
電車が駅に到着し、電車ドアおよびホームドアが開き、人が電車を乗り降りすると、カードリーダ31がリモートカード60を検出する。ホームドアに設けられたカードリーダ31がリモートカード60を検出すると、ドア検出情報を中継装置41に送信する(ステップ1001)。中継装置41は、カードリーダ31から受信するドア検出情報を記憶部42に保存する(ステップ1002)。
【0055】
電車の発車時刻になり、電車ドアおよびホームドアが閉まると、カードリーダ31は発車時刻に相当するドア閉時刻の情報を中継装置41に送信する(ステップ1003)。中継装置41は、ドア閉時刻の情報を受信すると、電車が停車している間に受信したドア検出情報にドア閉時刻および駅識別子の情報を添付した駅集計情報を生成してネットワーク45を介してサーバ100に送信する(ステップ1004)。
【0056】
サーバ100は、中継装置41から駅集計情報を受信すると、駅集計情報のドア閉時刻と時刻表に記述された発車時刻とを対応させる。そして、前駅の混雑情報と駅集計情報とを比較して、降車した人についてのドア検出情報を消去して混雑情報を生成し、混雑情報を記憶部102に記録する(ステップ1005)。ステップ1001からステップ1005の動作を、運行経路の各駅について、運行経路を走行する各電車について、繰り返し行う。
【0057】
このようにして記録される混雑情報に基づいて、本実施例の情報提供システムが、利用者に対して最適な乗車位置を提案するまでの手順を説明する。
【0058】
図9は利用者への情報提供までの動作手順を示すフローチャートである。ここでは、利用者の乗車駅をk番目(kは1以上m以下のいずれかの整数)の駅とする。
【0059】
利用者が携帯端末50を操作して乗車駅と降車駅を入力すると、携帯端末50はルート情報を基地局15およびネットワーク10を介してサーバ100に送信する(ステップ1101)。この際、他の路線への乗り換えがあれば、利用者が携帯端末50に経路も入力することで、ルート情報に経路の情報も含まれる。
【0060】
サーバ100は、携帯端末50から受信するルート情報を記憶部102に保存する(ステップ1102)。利用者が乗車駅の改札機のカードリーダ20にリモートカード60をかざして改札を通過すると、カードリーダ20はリモートカード60のカード識別子を検出し、改札情報をネットワーク45を介してサーバ100に送信する(ステップ1103)。
【0061】
サーバ100は、カードリーダ20から改札情報を受信すると、改札情報に含まれるカード識別子を読み出し、読み出したカード識別子と組になって登録されている端末識別子を、利用者情報を参照して特定する。続いて、その端末識別子を送信元とするルート情報が保存されているか否かを記憶部102で調べる(ステップ1104)。判定の結果、対応するルート情報が保存されていない場合、何もせずに、次の改札情報を受信するまで待機する。
【0062】
一方、ステップ1104の判定の結果、対応するルート情報が保存されている場合、サーバ100は、利用者が乗ろうとしている電車をルート情報で認識し、改札情報の検出時刻と時刻表の発車時刻を比べて利用者が乗車可能な電車を調べる。そして、(k−1)番目の駅を既に発車した電車には乗れないと判断すると、(k−2)番目の駅に停車中の電車の混雑情報を記憶部102から読み出す。
【0063】
続いて、サーバ100は、記憶部102に格納された混雑履歴情報を参照してシミュレーションを行い、利用者が乗車する予定の電車についての混雑率を予想する(ステップ1105)。ここで、そのシミュレーションの具体例を説明する。
【0064】
始発駅をある時刻に出発する電車の過去の10回分の混雑情報により、所定のホームドアの位置に対応する車内の混雑率の平均値が(k−2)番目の駅で100%だったのが、k番目の駅で150%になるという混雑履歴情報があったとする。サーバ100は、現在、利用者が乗車しようとする電車の所定のホームドアに対応する車内の混雑率が(k−2)番目の駅での混雑情報から120%と算出すると、この混雑率に混雑履歴情報の増加率(1.5倍)を掛け合わせて、k駅での混雑率が180%に達するというシミュレーション結果を得る。上記混雑履歴情報の増加率が0.8倍であれば、k駅での混雑率は100%より小さくなるというシミュレーション結果を得る。
【0065】
ステップ1105で電車の混雑率を予想すると、サーバ100は、ルート情報で降車駅を調べ、混雑予想位置情報を参照して混雑する可能性の高い車内の位置を調べる。そして、サーバ100は、利用者の乗車する電車の混雑率と混雑予想位置情報とから、混雑率のより低い車内の位置に対応するホームドアを決定し、乗車提案情報を携帯端末50に送信する(ステップ1106)。乗車提案情報を受け取る利用者が多い場合、サーバ100は、混雑率が平均化するように、混雑率の低い位置に対応するホームドアに利用者を振り分けるようにする。
【0066】
携帯端末50は、サーバ100から乗車提案情報を受信すると、乗車提案情報を表示部54に表示する(ステップ1107)。利用者は携帯端末50に表示された乗車提案情報から、指定されたホームドアから乗車すれば、車内での混雑を避けることができる。
【0067】
図9で説明した手順では乗車前に利用者に対して提案するものであるが、本実施例の情報提供システムでは、次のようにして、混雑した車内にいる乗客に対して他の場所に移動することを提案することも可能である。
【0068】
サーバ100は、電車内の位置識別子毎の混雑率を算出し、その平均値を求める。そして、平均値より大きい混雑率の位置識別子を含むドア検出情報を抽出する。抽出したドア検出情報のカード識別子を読み出し、読み出したカード識別子と組になって登録されている端末識別子があるか、記憶部102の利用者情報を参照する。カード識別子に対応して登録されている端末識別子が複数あれば、複数の端末識別子のうち所定の割合の端末識別子を選択する。
【0069】
選択基準の一例として、ドア検出情報とともに登録された駅識別子が終点の駅(m番目の駅)に近いほど選択優先順位が高いものとする。始発よりも終点に近い方の駅で乗車した人は座席に座れないだけでなく、ドア付近に立っている可能性が高いためである。サーバ100は、選択した所定の割合の端末識別子のそれぞれで特定される携帯端末50に対して、混雑率が平均値よりも下回っている位置識別子のドア付近への移動を提案する旨の移動提案情報をネットワーク10を介して送信する。
【0070】
このようにして、既に乗車した後の乗客に対して、混雑率のより低い場所への移動を提案することで、車内の混雑を緩和することも可能である。
【0071】
本実施例では、利用者は乗車前にサーバから適切な乗車位置に関する情報が配信されるため、事前に必要な情報を入力しさえすれば、乗車する際、利用者は混雑したところを避けて乗車することができるだけでなく、電車全体として車内での混雑を緩和させることができる。
【0072】
また、電車が駅に到着してから出発するまでの間の混乱を緩和することができるため、ラッシュ時の混雑を緩和させ、電車を円滑に運行することができる。
【0073】
なお、カードリーダ31を近傍型ICカード読取器としたが、カードリーダ20と同様な近接型ICカード読取器としてもよい。この場合、利用者は電車に乗る際にホームドアに設けられた近接型ICカード読取器に自分のリモートカード60をかざせばよい。
【0074】
また、本実施例では、中継装置41がドア検出情報にドア閉時刻および駅識別子の情報を添付してドア検出情報をまとめた駅集計情報をサーバ100に送信したが、カードリーダ20のように、カードリーダ31の記憶部33に予め駅識別子を登録し、カードリーダ31がドア検出情報にドア閉時刻および駅識別子の情報を添付してサーバ100に送信してもよい。
【実施例2】
【0075】
実施例1では、電車に乗る人、電車から降りる人のリモートカードを検出するためにカードリーダをホームドアに設けたが、本実施例は電車ドアにカードリーダを設けるものである。
【0076】
本実施例の情報提供システムを説明する。ここでは、実施例1と異なる点について詳細に説明し、実施例1と同様な構成の説明を省略する。
【0077】
図10は電車の混雑情報を取得するための別の構成例を示すブロック図である。
【0078】
各電車には、各ドアに設けられたカードリーダ36と、カードリーダ36で検出された情報を外部に送信するための無線装置70とが設けられている。無線装置70と無線で通信接続される無線装置75が中継装置41と接続されている。
【0079】
次に、電車ドアに設けられたカードリーダ36について説明する。カードリーダ36は、カードリーダ31と基本的な構成は同様であるため、ここではカードリーダ31と異なる点について図5を参照して説明する。
【0080】
制御部34は、電車のドアが開いた時刻を記録し、その時刻からドアが閉まるまでの時刻の間、開いたドアを通り抜ける人が所持するリモートカード60のカード識別子を検出すると、その検出時刻を計測する。そして、カード識別子、検出時刻および位置識別子の情報を含むドア検出情報を通信部35を介して無線装置70に送出する。
【0081】
このようにして、制御部34は、電車ドアが開いている時間毎に、カード識別子を検出し、検出したカード識別子毎にドア検出情報を無線装置70に送信する。
【0082】
次に、無線装置70について説明する。図11は無線装置70の一構成例を示すブロック図である。
【0083】
図11に示すように無線装置70は、受信部71と、制御部72と、無線部73とを有する。制御部72は、プログラムにしたがって処理を実行するCPU(不図示)と、プログラムを格納するためのメモリ(不図示)とを有する。制御部72は、受信部71を介してドア検出情報を受信すると、ドア検出情報を無線部73を介して無線装置75に送信する。
【0084】
次に、無線装置75について説明する。図12は無線装置75の一構成例を示すブロック図である。
【0085】
図12に示すように無線装置75は、無線部76と、制御部77と、送信部78とを有する。制御部77は、プログラムにしたがって処理を実行するCPU(不図示)と、プログラムを格納するためのメモリ(不図示)とを有する。制御部77は、無線部76を介してドア検出情報を受信すると、ドア検出情報を送信部78およびネットワーク45を介してサーバ100に送信する。
【0086】
なお、本実施例の情報提供システムの動作は実施例1と同様になるため、詳細な説明を省略する。
【0087】
本実施例は、実施例1と同様な効果が得られるだけでなく、電車の混雑情報を取得するためのカードリーダを各駅のホームドア毎に設ける必要がなく、各電車のドア毎に設ければよい。また、ホームドアが設けられていない路線に有効である。
【実施例3】
【0088】
実施例1または実施例2の情報提供システムでは、必ずしも乗客全員がサーバからの提案にしたがうとは限らず、混雑緩和の効果が充分ではないこともある。本実施例は、実施例1または実施例2による乗車提案情報にしたがう利用者に対して何らかのメリットを与えるサービスを提供するものである。
【0089】
本実施例の情報提供システムの構成を説明する。ここでは、実施例1と異なる構成について詳細に説明し、実施例1と同様な構成についての詳細な説明を省略する。
【0090】
カードリーダ31の記憶部33には駅識別子が登録されている。カードリーダ31の制御部34は、ドア閉時刻および駅識別子の情報を含むドア検出情報をサーバ100に送信する。なお、本実施例では、中継装置41を設けなくてもよい。
【0091】
サーバ100の制御部103は、携帯端末50に送信する乗車提案情報を複写して記憶部102に保存する。異なる駅のカードリーダ31から受信するドア検出情報により、利用者が降車したことを認識すると、その利用者の乗車提案情報の位置識別子と、カードリーダ31から受信したドア検出情報の位置識別子とが一致するか否かを判定する。
【0092】
また、その利用者のルート情報の降車駅と、カードリーダ31から受信したドア検出情報の駅識別子で特定される降車駅とが一致するか否かを判定する。上記2つの判定の結果、位置識別子が一致し、かつ、降車駅が一致している場合、制御部103は、その利用者に対してポイント加算および乗車価格割引などの付加価値サービスを提供する。なお、上記2つの判定のうち、いずれか1つでも「No」であれば、利用者に対するサービスの提供はない。
【0093】
付加価値サービスがポイント加算であれば、上記2つの判定を満たす毎に、制御部103は、利用者情報のカード識別子と端末識別子の組に対応して、予め決められた数のポイントを加算して登録する。ポイントとは、その数により様々なサービスに置き換えたり、種々の商品に交換したりすることが可能となるものである。
【0094】
制御部103は、利用者に提供するサービスの内容を利用者情報に記録する。そして、そのサービス情報を利用者に通知するために、利用者情報を参照して端末識別子を読み出し、読み出した端末識別子を宛先にして、サービスの情報を含むサービス提供情報を送信する。
【0095】
このようにして、サーバ100は、利用者が乗車提案情報にしたがって正しく乗車したか否かを判断し、指示通りに乗車した乗客に対して、何らかのメリットを付与する。
【0096】
次に、本実施例の情報提供システムの動作手順を説明する。なお、利用者が入力したルート情報の乗車駅が運行経路のi番目の駅であり、降車駅がj番目の駅とする。ただし、iは1以上(m−1)以下の整数であり、jは2以上m以下の整数であり、かつ、i<jであるとする。
【0097】
図13は、本実施例の情報提供システムの動作手順を示すフローチャートである。i番目の駅のカードリーダの符号を31iとし、j番目の駅のカードリーダの符号を31jとしている。
【0098】
利用者が、i番目の駅で携帯端末50に表示された乗車提案情報にしたがって、指定されたドアから乗車する。その際、利用者が所持するリモートカード60のカード識別子を、ホームドアに設置されたカードリーダ31iが検出する。そして、ドア検出情報をサーバ100に送信する(ステップ1201)。
【0099】
サーバ100はカードリーダ31iからドア検出情報を受信すると、記憶部102に保存する(ステップ1202)。その後、利用者は、目的地のj番目の駅で降車する。利用者が降車した際、カードリーダ31jは、リモートカード60のカード識別子を検出する。そして、ドア検出情報をサーバ100に送信する(ステップ1203)。サーバ100はカードリーダ31jからドア検出情報を受信すると、ドア検出情報を記憶部102に保存する(ステップ1204)。
【0100】
サーバ100は、混雑情報を更新する際、ステップ1201で検出されたカード識別子の所持者がステップ1203で降車したことを認識すると、カード識別子と組になって登録されている端末識別子を、利用者情報を参照して特定する。続いて、その端末識別子を宛先にして送出した乗車提案情報がないか記憶部102内を探し、乗車提案情報に含まれる位置識別子を読み出す。
【0101】
続いて、サーバ100は、乗車提案情報の位置識別子とドア検出情報に含まれる位置識別子とが一致するか否か判定する(ステップ1205)。なお、ここでいうドア検出情報は、ステップ1202またはステップ1204のいずれの処理で保存されたものであってもよい。ステップ1205で両者の位置識別子が一致しない場合、何も処理をせずに終了する。
【0102】
また、サーバ100は、ルート情報の降車駅とステップ1204で保存したドア検出情報の駅識別子で特定される降車駅とが一致するか否か判定する(ステップ1206)。この判定で降車駅が一致しない場合、何も処理をせずに終了する。なお、ステップ1205とステップ1206の前後は問わない。
【0103】
ステップ1205の判定で位置識別子が一致し、かつ、ステップ1206の判定で降車駅が一致する場合、サーバ100は、ドア検出情報のカード識別子で特定される利用者に対して、ポイント加算および乗車価格割引などの付加価値サービスを提供する。ここでは、付加価値サービスがポイント加算であるものとする。サーバ100は、記憶部102の利用者情報を参照し、カード識別子と組になって登録された端末識別子を読み出す。そして、その組の情報と一緒に登録されたポイントの情報に、さらに予め決められたポイントを加える。そして、ポイントを加算した旨の情報を含むサービス提供情報を、読み出した端末識別子を宛先にして送信する(ステップ1207)。
【0104】
利用者の携帯端末50は、サーバ100からサービス提供情報を受信すると、サービス提供情報を表示部54に表示する(ステップ1208)。利用者は、携帯端末50に表示されるサービス提供情報を見て、提供されたサービス内容を確認できる。
【0105】
なお、利用者がルート情報で登録した降車駅で最終的に電車を降りたとしても、途中の駅で乗降してしまうことがある。一旦ホームに降りていた時間が数秒から数分で、また同じ電車に乗るのであれば問題ないが、途中駅から別の電車に乗ってしまう場合、上記サービスを受けることができなくなる。この場合、サーバ100が、図13で示したステップ1205とステップ1206の判定を1つの電車を対象とするのではなく、その路線にその日に運行した全ての電車にまで対象を広げればよい。これにより、利用者は上記サービスを受けることが可能である。
【0106】
本実施例では、指定されたドアから乗車する乗客に対して何らかのサービスが提供される形になるので、高い割合でサーバからの指示通りに乗客の乗車位置をコントロールすることができる。よって、混雑緩和の効果がより期待できる。
【0107】
本実施例では実施例1と組み合わせた場合で説明したが、実施例2と組み合わせてもよい。
【0108】
本発明によれば、電車の全体の混雑状況を把握したサーバより、これから乗車しようとしている人に対して最適な乗降口が指示されるため、混雑集中を抑制し、混雑を緩和することができる。混雑が緩和されることで、乗降時の混乱を防ぎ、電車を効率的に運行することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0109】
【図1】本実施形態の情報提供システムの一構成例を示すブロック図である。
【図2】実施例1の情報提供システムの一構成例を示すブロック図である。
【図3】携帯端末の一構成例を示すブロック図である。
【図4】リモートカードの一構成例を示すブロック図である。
【図5】カードリーダの一構成例を示すブロック図である。
【図6】中継装置の一構成例を示すブロック図である。
【図7】サーバの一構成例を示すブロック図である。
【図8】実施例1の情報提供システムによる、混雑情報を記録する動作手順を示すフローチャートである。
【図9】実施例1の情報提供システムによる、利用者への情報提供までの動作手順を示すフローチャートである。
【図10】電車の混雑情報を取得するための別の構成例を示すブロック図である。
【図11】図10に示す無線装置70の一構成例を示すブロック図である。
【図12】図10に示す無線装置75の一構成例を示すブロック図である。
【図13】実施例2の情報提供システムによる動作手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0110】
20、31、36 カードリーダ
50 携帯端末
60 リモートカード
100 サーバ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
駅の改札に設けられ、電車の利用者および該利用者以外の乗客が携帯するリモートカードのカード識別子を検出する第1の非接触型ICカード読取器と、接続される情報提供システムであって、
電車の乗降口毎に設けられ、該乗降口に対応する車内の混雑度を算出するために、該乗降口を通過する乗客が携帯するリモートカードのカード識別子を検出する第2の非接触型ICカード読取器と、
前記第1および前記第2の非接触型ICカード読取器ならびに前記利用者の携帯端末と接続され、前記利用者のリモートカードのカード識別子とともに前記携帯端末の端末識別子が記述された利用者情報が格納された記憶部と、前記第2の非接触型ICカード読取器から受信する前記カード識別子の情報に基づいて前記混雑度を示す混雑情報を前記乗降口毎に生成して前記記憶部に格納し、前記第1の非接触型ICカード読取器から前記利用者の前記カード識別子を受信すると、前記駅に進入する前の電車の前記乗降口毎の前記混雑情報を前記記憶部から読み出し、複数の該混雑情報から前記利用者の乗降口を決定し、決定した乗降口から乗車することを提案する旨の乗車提案情報を前記端末識別子を宛先にして前記携帯端末に送信する制御部とを含むサーバと、
を有する情報提供システム。
【請求項2】
前記利用者の降車駅の情報を含むルート情報が前記記憶部に予め格納され、
前記サーバは、
前記利用者の降車駅が前記ルート情報に含まれる降車駅と同一であり、かつ、前記利用者が前記乗車提案情報で提案された乗降口から乗車したことを、前記第2の非接触型ICカード読取器から前記利用者のカード識別子を受信することで認識すると、前記利用者に提供するサービス内容を前記利用者情報に記録し、サービスを提供した旨の情報を前記携帯端末に送信する、請求項1記載の情報提供システム。
【請求項3】
前記サーバは、
前記利用者が乗車した後、前記電車が路線の各駅を発車する度に前記混雑情報を更新し、更新した複数の前記混雑情報から改めて前記乗降口を決定し、決定した乗降口付近に移動することを提案する情報を前記携帯端末に送信する、請求項1または2記載の情報提供システム。
【請求項4】
前記サーバは、
複数の前記混雑情報から前記利用者の乗降口を決定する際、前記乗降口毎に混雑率を算出し、該混雑率が所定の値よりも低い乗降口に決定する、請求項1から3のいずれか1項記載の情報提供システム。
【請求項5】
駅の改札に設けられ、電車の利用者および該利用者以外の乗客が携帯するリモートカードのカード識別子を検出する第1の非接触型ICカード読取器、電車の乗降口毎に設けられ、該乗降口に対応する車内の混雑度を算出するために、該乗降口を通過する乗客が携帯するリモートカードのカード識別子を検出する第2の非接触型ICカード読取器、および前記利用者の携帯端末のそれぞれと接続されるサーバ装置であって、
前記利用者のリモートカードのカード識別子とともに前記携帯端末の端末識別子が記述された利用者情報が格納された記憶部と、
前記第2の非接触型ICカード読取器から受信する前記カード識別子の情報に基づいて前記混雑度を示す混雑情報を前記乗降口毎に生成して前記記憶部に格納し、前記第1の非接触型ICカード読取器から前記利用者の前記カード識別子を受信すると、前記駅に進入する前の電車の前記乗降口毎の前記混雑情報を前記記憶部から読み出し、複数の該混雑情報から前記利用者の乗降口を決定し、決定した乗降口から乗車することを提案する旨の乗車提案情報を前記端末識別子を宛先にして前記携帯端末に送信する制御部と、
を有するサーバ装置。
【請求項6】
前記利用者の降車駅の情報を含むルート情報が前記記憶部に予め格納され、
前記制御部は、
前記利用者の降車駅が前記ルート情報に含まれる降車駅と同一であり、かつ、前記利用者が前記乗車提案情報で提案された乗降口から乗車したことを、前記第2の非接触型ICカード読取器から前記利用者のカード識別子を受信することで認識すると、前記利用者に提供するサービス内容を前記利用者情報に記録し、サービスを提供した旨の情報を前記携帯端末に送信する、請求項5記載のサーバ装置。
【請求項7】
駅の改札に設けられ、電車の利用者および該利用者以外の乗客が携帯するリモートカードのカード識別子を検出する第1の非接触型ICカード読取器、電車の乗降口毎に設けられ、該乗降口に対応する車内の混雑度を算出するために、該乗降口を通過する乗客が携帯するリモートカードのカード識別子を検出する第2の非接触型ICカード読取器、および前記利用者の携帯端末のそれぞれと接続されるサーバ装置による情報提供方法であって、
前記利用者のリモートカードのカード識別子とともに前記携帯端末の端末識別子が記述された利用者情報を格納し、
前記第2の非接触型ICカード読取器から受信する前記カード識別子の情報に基づいて前記混雑度を示す混雑情報を前記乗降口毎に生成して格納し、
前記第1の非接触型ICカード読取器から前記利用者の前記カード識別子を受信すると、前記駅に進入する前の電車の前記乗降口毎の前記混雑情報を読み出し、
複数の前記混雑情報から前記利用者の乗降口を決定し、
決定した乗降口から乗車することを提案する旨の乗車提案情報を前記端末識別子を宛先にして前記携帯端末に送信する、情報提供方法。
【請求項8】
前記利用者の降車駅の情報を含むルート情報を予め格納し、
前記利用者の降車駅が前記ルート情報に含まれる降車駅と同一であり、かつ、前記利用者が前記乗車提案情報で提案された乗降口から乗車したことを、前記第2の非接触型ICカード読取器から前記利用者のカード識別子を受信することで認識すると、前記利用者に提供するサービス内容を前記利用者情報に記録し、サービスを提供した旨の情報を前記携帯端末に送信する、請求項7記載の情報提供方法。
【請求項1】
駅の改札に設けられ、電車の利用者および該利用者以外の乗客が携帯するリモートカードのカード識別子を検出する第1の非接触型ICカード読取器と、接続される情報提供システムであって、
電車の乗降口毎に設けられ、該乗降口に対応する車内の混雑度を算出するために、該乗降口を通過する乗客が携帯するリモートカードのカード識別子を検出する第2の非接触型ICカード読取器と、
前記第1および前記第2の非接触型ICカード読取器ならびに前記利用者の携帯端末と接続され、前記利用者のリモートカードのカード識別子とともに前記携帯端末の端末識別子が記述された利用者情報が格納された記憶部と、前記第2の非接触型ICカード読取器から受信する前記カード識別子の情報に基づいて前記混雑度を示す混雑情報を前記乗降口毎に生成して前記記憶部に格納し、前記第1の非接触型ICカード読取器から前記利用者の前記カード識別子を受信すると、前記駅に進入する前の電車の前記乗降口毎の前記混雑情報を前記記憶部から読み出し、複数の該混雑情報から前記利用者の乗降口を決定し、決定した乗降口から乗車することを提案する旨の乗車提案情報を前記端末識別子を宛先にして前記携帯端末に送信する制御部とを含むサーバと、
を有する情報提供システム。
【請求項2】
前記利用者の降車駅の情報を含むルート情報が前記記憶部に予め格納され、
前記サーバは、
前記利用者の降車駅が前記ルート情報に含まれる降車駅と同一であり、かつ、前記利用者が前記乗車提案情報で提案された乗降口から乗車したことを、前記第2の非接触型ICカード読取器から前記利用者のカード識別子を受信することで認識すると、前記利用者に提供するサービス内容を前記利用者情報に記録し、サービスを提供した旨の情報を前記携帯端末に送信する、請求項1記載の情報提供システム。
【請求項3】
前記サーバは、
前記利用者が乗車した後、前記電車が路線の各駅を発車する度に前記混雑情報を更新し、更新した複数の前記混雑情報から改めて前記乗降口を決定し、決定した乗降口付近に移動することを提案する情報を前記携帯端末に送信する、請求項1または2記載の情報提供システム。
【請求項4】
前記サーバは、
複数の前記混雑情報から前記利用者の乗降口を決定する際、前記乗降口毎に混雑率を算出し、該混雑率が所定の値よりも低い乗降口に決定する、請求項1から3のいずれか1項記載の情報提供システム。
【請求項5】
駅の改札に設けられ、電車の利用者および該利用者以外の乗客が携帯するリモートカードのカード識別子を検出する第1の非接触型ICカード読取器、電車の乗降口毎に設けられ、該乗降口に対応する車内の混雑度を算出するために、該乗降口を通過する乗客が携帯するリモートカードのカード識別子を検出する第2の非接触型ICカード読取器、および前記利用者の携帯端末のそれぞれと接続されるサーバ装置であって、
前記利用者のリモートカードのカード識別子とともに前記携帯端末の端末識別子が記述された利用者情報が格納された記憶部と、
前記第2の非接触型ICカード読取器から受信する前記カード識別子の情報に基づいて前記混雑度を示す混雑情報を前記乗降口毎に生成して前記記憶部に格納し、前記第1の非接触型ICカード読取器から前記利用者の前記カード識別子を受信すると、前記駅に進入する前の電車の前記乗降口毎の前記混雑情報を前記記憶部から読み出し、複数の該混雑情報から前記利用者の乗降口を決定し、決定した乗降口から乗車することを提案する旨の乗車提案情報を前記端末識別子を宛先にして前記携帯端末に送信する制御部と、
を有するサーバ装置。
【請求項6】
前記利用者の降車駅の情報を含むルート情報が前記記憶部に予め格納され、
前記制御部は、
前記利用者の降車駅が前記ルート情報に含まれる降車駅と同一であり、かつ、前記利用者が前記乗車提案情報で提案された乗降口から乗車したことを、前記第2の非接触型ICカード読取器から前記利用者のカード識別子を受信することで認識すると、前記利用者に提供するサービス内容を前記利用者情報に記録し、サービスを提供した旨の情報を前記携帯端末に送信する、請求項5記載のサーバ装置。
【請求項7】
駅の改札に設けられ、電車の利用者および該利用者以外の乗客が携帯するリモートカードのカード識別子を検出する第1の非接触型ICカード読取器、電車の乗降口毎に設けられ、該乗降口に対応する車内の混雑度を算出するために、該乗降口を通過する乗客が携帯するリモートカードのカード識別子を検出する第2の非接触型ICカード読取器、および前記利用者の携帯端末のそれぞれと接続されるサーバ装置による情報提供方法であって、
前記利用者のリモートカードのカード識別子とともに前記携帯端末の端末識別子が記述された利用者情報を格納し、
前記第2の非接触型ICカード読取器から受信する前記カード識別子の情報に基づいて前記混雑度を示す混雑情報を前記乗降口毎に生成して格納し、
前記第1の非接触型ICカード読取器から前記利用者の前記カード識別子を受信すると、前記駅に進入する前の電車の前記乗降口毎の前記混雑情報を読み出し、
複数の前記混雑情報から前記利用者の乗降口を決定し、
決定した乗降口から乗車することを提案する旨の乗車提案情報を前記端末識別子を宛先にして前記携帯端末に送信する、情報提供方法。
【請求項8】
前記利用者の降車駅の情報を含むルート情報を予め格納し、
前記利用者の降車駅が前記ルート情報に含まれる降車駅と同一であり、かつ、前記利用者が前記乗車提案情報で提案された乗降口から乗車したことを、前記第2の非接触型ICカード読取器から前記利用者のカード識別子を受信することで認識すると、前記利用者に提供するサービス内容を前記利用者情報に記録し、サービスを提供した旨の情報を前記携帯端末に送信する、請求項7記載の情報提供方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2009−45951(P2009−45951A)
【公開日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−210755(P2007−210755)
【出願日】平成19年8月13日(2007.8.13)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年8月13日(2007.8.13)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】
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