説明

情報提供システム

【課題】施設利用者に対してより適切な情報を提供することができ、施設利用者がその提供情報を施設内の様々な場所で容易に且つ確実に確認することができる構成を提供する。
【解決手段】情報提供システム1は、発券端末13で生成された発券情報と、基地局17を介して無線タグ18から取得される固有情報及び位置情報とに基づき、無線タグ18毎に発券情報と位置情報とを対応付けた無線タグ管理データを生成している。更に、その無線タグ管理データに含まれる発券情報及び位置情報の少なくともいずれかに基づいて、当該無線タグ管理データで特定される無線タグ18への提供情報を選択して当該無線タグ18に送信し、当該無線タグ18の表示手段に表示させている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報提供システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
空港やアミューズメントパークなどの施設では、施設利用者に対して適切な情報を提供するサービスが求められている。例えば、空港などでは、航空機の出発までの待ち時間に搭乗予定者が空港内の様々な設備(トイレ、売店、喫煙所等)を利用することが多く、利用者は、必要な時にこれらの設備をすぐに特定できるような有益な情報表示を求めている。
【0003】
施設利用者に対して適切な情報を提供することを目的とする技術としては、例えば特許文献1のようなものが提案されている。この技術では、利用者に識別タグを所持させると共に、空港内のターミナル内に配置された複数の認識装置によってこの識別タグと通信を行い、識別タグの位置を検出している。そして、このように識別タグの位置を検出して利用者の位置を特定した上で、複数の画像投影装置により、その特定された位置の床面に提供すべき情報(案内しようとする設備の名称や設備までの道筋など)を投影することで、利用者毎に適切な情報を提供している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平2004−110377公報
【特許文献2】特開平10−188056号公報
【特許文献3】特開平2008−181301公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の技術は、利用者毎に割り当てられた投影装置によって情報表示を行っているため、装置構成が非常に大掛かりとなるという問題がある。また、多数の利用者が想定される施設では、投影装置を必要数確保することが極めて困難であり、特に利用者同士が近い距離で密集するような施設では、各利用者に対する表示情報が他の利用者に遮られやすいため、各利用者が表示情報を把握できない虞がある。
【0006】
一方、空港などにおいて、無線タグ等を用いて利用者を管理するシステムとして特許文献2、3のようなものが提供されている。例えば特許文献2では、利用者の所持するICカードを利用して空港内での利用者の移動を管理し、利用者の流れを良くすると共に、搭乗時間の短縮化を図っている。しかしながら、この特許文献2のシステムは、あくまで施設やサービスを提供する側の利便性を向上しようとするものであり、利用者の利便性を向上する効果はそれほど大きくはない。
【0007】
また、特許文献3では、空港内にRFIDタグリーダ(搭乗者情報用RFIDリーダ3)を設置し、このRFIDタグリーダによって搭乗者が所持するRFIDタグを読み取るようにしている。そして、出発時刻の所定時間前となった場合、その後にRFIDタグリーダがRFIDタグを読み込んだ時点で当該RFIDタグが未搭乗者のものであるか否かを判断し、未搭乗者のRFIDタグである場合には、RFIDタグリーダに設けられたランプ等によってアラームを発するようにしている。この構成によれば、搭乗者が直接的に有益な情報(アラーム情報)を受けることができるため、ある程度は利用者の利便性向上が期待できる。しかしながら、特許文献3の技術は、利用者がRFIDタグリーダのアラームに気付かない虞があり、利用者に情報が伝わらないことが懸念される。特に、複数の利用者が密集するような環境では、たとえアラームによって報知したとしてもどの利用者に対するアラームなのかを特定しにくいため、アラームが無視されやすいといった問題もある。
【0008】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、施設の利用者に情報を提供する情報提供システムにおいて、利用者に対してより適切な情報を提供することができ、利用者がその提供情報を施設内の様々な場所で容易に且つ確実に確認することができる構成を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1の発明は、施設利用者に関する情報を管理する利用者管理サーバと、表示手段と、固有情報を記憶するメモリとを備えた無線タグと、前記無線タグと無線通信を行うことで前記メモリに記憶された前記固有情報を読み取り可能な複数の基地局と、前記施設利用者に割り当てる券を発行する発行手段と、当該施設利用者に与える前記無線タグの前記固有情報と前記発行手段によって発行される券の内容とを対応付けた発券情報を送信する発券情報送信手段とを備えた発券端末と、前記発券情報送信手段によって送信される前記発券情報を取得する発券情報取得手段と、前記基地局によって読み取られた前記無線タグの前記固有情報と、当該無線タグを読み取った前記基地局の位置情報とを対応付けて取得する無線タグ情報取得手段と、前記発券情報取得手段によって取得された前記発券情報と、前記無線タグ情報取得手段によって取得された前記固有情報及び前記位置情報とに基づき、無線タグ毎に前記発券情報と前記位置情報とを対応付けた無線タグ管理データを生成する無線タグ管理データ生成手段と、前記無線タグ管理データ生成手段によって生成された前記無線タグ管理データを記憶する無線タグ管理データ記憶手段と、前記無線タグ管理データ記憶手段に記憶された前記無線タグ管理データに含まれる前記発券情報及び前記位置情報の少なくともいずれかに基づいて、当該無線タグ管理データで特定される前記無線タグへの提供情報を選択する情報選択手段と、前記情報選択手段によって選択された前記提供情報を、送信対象となる前記無線タグと通信可能な前記基地局に送信させる送信制御手段と、を備え、前記無線タグが、前記基地局から前記提供情報を受信したときに、その受信した前記提供情報を前記表示手段に表示させる表示制御手段を有することを特徴としている。
【0010】
請求項2の発明は、請求項1に記載の情報提供システムにおいて、更に、前記施設において前記発券端末とは異なる所定の確認場所に配置され、前記発券端末によって発行された前記券の情報を確認する情報確認端末と、前記情報確認端末にて確認された前記券の情報に基づいて、前記確認場所を通過した通過者の情報を記憶する通過者情報記憶手段と、が設けられ、前記情報選択手段が、前記通過者情報記憶手段に記憶された前記通過者の情報に基づいて、前記無線タグへ提供する前記提供情報を選択することを特徴としている。
【0011】
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2に記載の情報提供システムにおいて、前記無線タグが、前記表示手段に表示可能となる1又は複数の表示フォーマットを記憶したフォーマット記憶手段を備え、前記表示制御手段が、前記基地局から前記提供情報を受信したときに、その受信した提供情報と、前記フォーマット記憶手段に記憶された前記表示フォーマットとを組み合わせて前記表示手段に表示させることを特徴としている。
【0012】
請求項4の発明は、請求項3に記載の情報提供システムにおいて、前記フォーマット記憶手段に、複数の言語の前記表示フォーマットがそれぞれ記憶され、前記無線タグには、いずれかの言語を指定可能な言語入力手段が設けられており、前記表示制御手段が、前記言語入力手段によって指定された言語の前記表示フォーマットと、前記提供情報とを組み合わせて前記表示手段に表示させることを特徴としている。
【0013】
請求項5の発明は、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の情報提供システムにおいて、前記無線タグ管理データが、前記無線タグの前記固有情報と当該無線タグの利用者の属性情報とが対応付けられた構成をなし、前記情報選択手段が、前記無線タグ管理データに含まれる前記属性情報に基づいて、当該無線タグ管理データで特定される前記無線タグへの前記提供情報を選択することを特徴としている。
【0014】
請求項6の発明は、請求項1から請求項5の少なくともいずれか一項に記載の情報提供装置において、更に、前記施設に設けられた各設備の情報を、それぞれ各設備の位置と対応付けて記憶する設備情報記憶手段が設けられ、前記情報選択手段が、前記設備情報記憶手段に記憶された各設備の位置と、前記無線タグ管理データに含まれる前記位置情報とに基づき、当該位置情報に応じた設備の情報を前記提供情報として選択することを特徴としている。
【0015】
請求項7の発明は、請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の情報提供システムにおいて、前記無線タグの前記表示制御手段は、複数の情報種別をメニュー表示として前記表示手段に表示する制御が可能とされており、前記無線タグは、前記表示手段に表示される前記複数の情報種別のいずれかを選択する入力操作が可能な種別入力手段と、前記種別入力手段によって選択された選択種別を前記基地局に送信する選択種別送信手段と、を備えており、前記情報選択手段が、前記無線タグから前記基地局に送信された前記選択種別に基づいて、当該無線タグに提供する前記提供情報を選択することを特徴としている。
【0016】
請求項8の発明は、請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の情報提供システムにおいて、前記基地局が、前記情報選択手段によって選択され且つ前記無線タグに送信された前記提供情報を所定時間記憶する提供情報記憶手段と、前記提供情報記憶手段に記憶される前記提供情報を、前記所定時間経過後に消去する消去手段と、を備えたことを特徴としている。
【0017】
請求項9の発明は、請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の情報提供システムにおいて、前記無線タグが、前記基地局に対して前記固有情報記憶手段に記憶される前記固有情報を送信する固有情報送信手段と、所定の周期で前記基地局からの電波を受信する電波受信手段と、前記電波受信手段によって電波を受信したときに、その電波の送信元の基地局が、前回電波を受信した基地局から変化したか否かを判断する判断手段と、を備え、前記固有情報送信手段が、前記判断手段によって基地局が変化したと判断された場合に前記固有情報を送信することを特徴としている。
【0018】
請求項10の発明は、請求項1から請求項9のいずれか一項に記載の情報提供システムにおいて、前記表示手段が、電子ペーパによって構成されることを特徴としている。
【0019】
請求項11の発明は、請求項1から請求項10のいずれか一項に記載の情報提供システムにおいて、前記無線タグが、外部から受信した電波に基づいて電力を発生させる電力供給手段を備えたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0020】
請求項1の発明は、施設利用者に関する情報を管理する利用者管理サーバと、表示手段と、固有情報を記憶するメモリとを備えた無線タグと、無線タグと無線通信を行うことでメモリに記憶された固有情報を読み取り可能な複数の基地局と、施設利用者に割り当てる券を発行する発行手段と、当該施設利用者に与える無線タグの固有情報と発行手段によって発行される券の内容とを対応付けた発券情報を送信する発券情報送信手段とを備えた発券端末と、発券情報送信手段によって送信される発券情報を取得する発券情報取得手段と、基地局によって読み取られた無線タグの固有情報と、当該無線タグを読み取った基地局の位置情報とを対応付けて取得する無線タグ情報取得手段とを備えている。
更には、発券情報取得手段によって取得された発券情報と、無線タグ情報取得手段によって取得された固有情報及び位置情報とに基づき、無線タグ毎に発券情報と位置情報とを対応付けた無線タグ管理データを生成する無線タグ管理データ生成手段と、無線タグ管理データ生成手段によって生成された無線タグ管理データを記憶する無線タグ管理データ記憶手段とが設けられている。
この構成によれば、施設利用者に与えた無線タグがどの位置に存在するかを、当該無線タグと通信を行う基地局の位置情報によって特定できるようになる。また、施設利用者に与えた無線タグの固有情報と、当該施設利用者に対して発行される券の情報とを対応付けた情報(発券情報)が生成されるため、この発券情報と位置情報に基づいて、各利用者がどのような券を所持し、現在どの位置にいるのかを特定可能なデータ(無線タグ管理データ)を生成、管理することができる。
更に、無線タグ管理データ記憶手段に記憶された無線タグ管理データに含まれる発券情報及び位置情報の少なくともいずれかに基づいて、当該無線タグ管理データで特定される無線タグへの提供情報を選択する情報選択手段と、情報選択手段によって選択された提供情報を、送信対象となる無線タグと通信可能な基地局に送信させる送信制御手段と、が設けられており、無線タグは、基地局から提供情報を受信したときに、その受信した提供情報を表示手段に表示させる表示制御手段を有している。
この構成によれば、利用者がどのような券を所持し、施設内のどの位置にいるのかを具体的に特定した上で、利用者の券の内容或いは利用者の位置を考慮した適切な情報(提供情報)を選択することができ、このように利用者とって有益な情報を、各利用者が所持する無線タグに対して個別に提供できるようになる。そして、利用者は、その取得した提供情報を、無線タグの表示手段により、施設内の様々な場所で容易に且つ確実に確認できるようになる。
【0021】
請求項2の発明は、施設において発券端末とは異なる所定の確認場所に配置され、発券端末によって発行された券の情報を確認する情報確認端末と、情報確認端末にて確認された券の情報に基づいて、確認場所を通過した通過者の情報を記憶する通過者情報記憶手段とを備えている。そして、情報選択手段は、通過者情報記憶手段に記憶された通過者の情報に基づいて、無線タグへ提供する提供情報を選択している。
この構成によれば、確認場所を通過した通過者の情報を適切に管理することができ、通過済みか否かを考慮した具体的な情報を提供(例えば、通過済みでない施設利用者を特定し、当該施設利用者に対して通過を促す情報を提供、或いは、通過済みでない施設利用者に対し集合時刻などの当該未通過利用者にとって有益な情報を提供)できる。
【0022】
請求項3の発明は、無線タグが、表示手段に表示可能となる1又は複数の表示フォーマットを記憶したフォーマット記憶手段を備えており、表示制御手段は、基地局から提供情報を受信したときに、その受信した提供情報と、フォーマット記憶手段に記憶された表示フォーマットとを組み合わせて表示手段に表示させている。このようにすると、汎用的な表示フォーマットについては予め無線タグ内にもたせておくことで基地局から無線タグへの送信を省略することができ、その都度送るべき具体的な有益情報については、情報量を抑えて適切な時期に提供できるようになる。これにより、より迅速な送受信処理が可能となり、タイムラグを一層抑えて有益情報を提供できるようになる。
【0023】
請求項4の発明は、フォーマット記憶手段に、複数の言語の表示フォーマットがそれぞれ記憶され、無線タグには、いずれかの言語を指定可能な言語入力手段が設けられており、表示制御手段は、言語入力手段によって指定された言語の表示フォーマットと、提供情報とを組み合わせて表示手段に表示させている。このようにすると、様々な言語での情報提供が可能となり、施設内を利用する様々な国の利用者が情報を把握し易くなる。更に、各言語での汎用的な表示フォーマットを予め無線タグ内にもたせておくことができるため、提供する情報量の抑制をも図ることができる。
【0024】
請求項5の発明は、無線タグ管理データが、無線タグの固有情報と当該無線タグの利用者の属性情報とが対応付けられた構成をなし、情報選択手段は、無線タグ管理データに含まれる属性情報に基づいて、当該無線タグ管理データで特定される無線タグへの提供情報を選択している。このようにすると、無線タグの利用者の属性情報(性別、国籍、年齢等)を考慮して、利用者毎に属性に適した具体的な有益情報を提供できるようになる。
【0025】
請求項6の発明は、施設に設けられた各設備の情報を、それぞれ各設備の位置と対応付けて記憶する設備情報記憶手段が設けられ、情報選択手段は、設備情報記憶手段に記憶された各設備の位置と、無線タグ管理データに含まれる位置情報とに基づき、当該位置情報に応じた設備の情報を提供情報として選択している。このようにすると、各施設利用者の位置に応じた設備の情報を提供できるため、無秩序に施設情報を提供する方法と比較して、各利用者が自身の位置を考慮して適切な設備を選択、利用し易くなる。
【0026】
請求項7の発明では、無線タグの表示制御手段が、複数の情報種別をメニュー表示として表示手段に表示する制御を実施し得るように構成されている。更に、無線タグには、表示手段に表示される複数の情報種別のいずれかを選択する入力操作が可能な種別入力手段と、種別入力手段によって選択された選択種別を基地局に送信する選択種別送信手段と、が設けられており、情報選択手段は、無線タグから基地局に送信された選択種別に基づいて、当該無線タグに提供する提供情報を選択している。
このようにすると、施設利用者は、所持している無線タグを操作して必要な情報種別を選択できるようになり、自己の望む種別の情報であって且つ当該設備利用者の券の内容或いは位置を考慮した有益情報を、無線タグによって取得し確認できるようになる。
【0027】
請求項8の発明は、基地局において、情報選択手段によって選択され且つ無線タグに送信された提供情報を所定時間記憶する提供情報記憶手段と、提供情報記憶手段に記憶される提供情報を、所定時間経過後に消去する消去手段とが設けられている。このようにすると、情報選択手段によって選択され且つ無線タグに送信された提供情報を所定時間内は再利用(例えば、再送信等)することができ、再利用される可能性が低くなる所定時間経過後には当該提供情報を消去することで次の情報のためにメモリ領域を確保することができる。
【0028】
請求項9の発明では、無線タグにおいて、基地局に対して固有情報記憶手段に記憶される固有情報を送信する固有情報送信手段と、所定の周期で基地局からの電波を受信する電波受信手段と、電波受信手段によって電波を受信したときに、その電波の送信元の基地局が、前回電波を受信した基地局から変化したか否かを判断する判断手段とが設けられている。そして、固有情報送信手段は、判断手段によって基地局が変化したと判断された場合に固有情報を送信している。このようにすると、無線タグと通信する基地局に変化がない場合に無線タグからの固有情報の送信処理を省略することができ、通信処理時間の削減や、省電力化を図ることができる。基地局側では、前回電波を送信したときに無線タグから応答があったのに今回の電波送信に対して応答がない場合にも無線タグが通信可能範囲内に存在すると推測して通信を行うことができるため、今回の通信で特に支障が生じにくい構成となる。
【0029】
請求項10の発明は、表示手段が、電子ペーパによって構成されている。この構成によれば、無線タグに表示手段を設ける構成を、より低消費電力で実現できる。
【0030】
請求項11の発明は、無線タグが、外部から受信した電波に基づいて電力を発生させる電力供給手段を備えている。この構成によれば、無線タグ内に頻繁に着脱する電池を設ける必要がなく、電池交換や充電の手間や時間を省略できるため、一層利便性に優れた構成となる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】図1は、本発明の第1実施形態に係る情報提供システムを概略的に例示するブロック図である。
【図2】図2は、第1実施形態の情報提供システムにおける航空会社サーバ、発券端末、搭乗口端末、タグ管理サーバ、サービスサーバの電気的構成を概略的に例示するブロック図である。
【図3】図3(A)は、図1の情報提供システムにおける基地局の電気的構成を概略的に例示するブロック図である。図3(B)は、基地局毎の通信エリアを説明する説明図である。
【図4】図4は、第1実施形態の情報提供システムで用いられる無線タグの外観を例示する説明図である。
【図5】図5は、図4の無線タグの電気的構成を例示するブロック図である。
【図6】図6は、航空会社データベースの構成を概念的に説明する説明図である。
【図7】図7は、タグ管理データベースの構成を概念的に説明する説明図である。
【図8】図8は、空港のチェックインカウンタで行われる発行処理の流れを例示するフローチャートである。
【図9】図9は、顧客に貸与された無線タグで行われる通信処理の流れを例示するフローチャートである。
【図10】図10は、各基地局で行われる通信処理の流れを例示するフローチャートである。
【図11】図11は、タグ管理サーバにて行われる通信・位置情報取得処理の流れを例示するフローチャートである。
【図12】図12は、無線タグに送信すべきメッセージが発生したときの、タグ管理サーバでのメッセージの準備・送信処理の流れを例示するフローチャートである。
【図13】図13は、未搭乗客の検索処理を例示するフローチャートである。
【図14】図14は、各表示情報の種類とメッセージ番号との対応関係を概念的に示すと共に、各メッセージ番号に対応する可変データを概念的に示す説明図である。
【図15】図15(A)は、無線タグにおいて表示言語を選択するための選択画面の表示例を示す説明図である。図15(B)は、無線タグにおいて要求する情報種別を選択するための選択画面の表示例1を示す説明図であり、図15(C)は、無線タグにおいて要求する情報種別を選択するための選択画面の表示例2を示す説明図であり、図15(D)は、図15(C)のように選択されたときに無線タグが受け取るメッセージの表示例を示す説明図である。
【図16】図16は、無線タグの表示部に表示される表示フォーマットを例示する説明図である。
【図17】図17(A)は、無線タグの表示部において特定の言語で表示したときの表示例を示す説明図であり、図17(B)は、図17(A)とは同内容の情報を、図17(A)とは異なる言語で表示したときの表示例を示す説明図である。
【図18】図18は、無線タグについての図5とは異なる構成を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
[第1実施形態]
以下、本発明の情報提供システムを具現化した第1実施形態について、図面を参照して説明する。
(情報提供システムの全体構成)
まず、図1から図5を参照して、第1実施形態に係る情報提供システムのハードウェア構成を概説する。なお、図1は、本発明の第1実施形態に係る情報提供システムを概略的に例示するブロック図であり、図2は、第1実施形態の情報提供システムにおける航空会社サーバ、発券端末、搭乗口端末、タグ管理サーバ、サービスサーバの電気的構成を概略的に例示するブロック図である。図3(A)は、図1の情報提供システムにおける基地局の電気的構成を概略的に例示するブロック図であり、図3(B)は、基地局毎の通信エリアを説明する説明図である。図4は、第1実施形態の情報提供システムで用いられる無線タグの外観を例示する説明図である。図5は、図4の無線タグの電気的構成を例示するブロック図である。
【0033】
図1に示すように、本実施形態に係る情報提供システム1は、航空会社サーバ11と、発券端末13と、搭乗口端末14とを備えている。更に、タグ管理サーバ15と、基地局17と、無線タグ18と、サービスサーバ19とを備えており、無線タグ18を用いて施設利用者に有益な情報を提供するシステムとして構成されている。
【0034】
航空会社サーバ11は、施設利用者に関する情報を管理する管理装置であり、例えば、図2のように構成され、LAN等の通信ネットワークを介して後述するタグ管理サーバ15等と通信可能に接続されている。この航空会社サーバ11は、例えばコンピュータとして構成され、CPU31、ROM、RAM、HDD等からなる記憶部32、マウスやキーボード等として構成される入力部33、液晶モニタ等として構成される表示部34、LANインタフェース等として構成される通信インタフェース35などを備えている。また、記憶部32には、空港利用者に関する情報を記憶したデータベース(航空会社データベース12:図1)が格納されている。航空会社データベース12は、少なくとも、第1実施形態に係る情報提供システム1が使用される施設(空港)で航空機を運行する航空会社の顧客に関する情報が記憶されたものであり、図6に示すように、顧客毎の、氏名、出発日、搭乗便名、クラス、席番号、受付番号がそれぞれ記憶されている。
【0035】
発券端末13は、施設利用者に割り当てる券(具体的には、航空会社サーバ11を管理する航空会社が運行する航空機についての搭乗者ごとに割り当てる搭乗券)を発行するように構成されるものである。具体的には、例えば、空港のチェックインカウンタに設置されて搭乗券の発行処理を行うことが可能とされており、図2のように、LAN等の通信ネットワークを介して前述の航空会社サーバ11や後述するタグ管理サーバ15等と通信可能に接続されている。この発券端末13も、例えばコンピュータとして構成され、CPU41、ROM、RAM、HDD等からなる記憶部42、マウスやキーボード等として構成される入力部43、液晶モニタ等として構成される表示部44、プリンタとして構成される印刷部45、LANインタフェース等として構成される通信インタフェース46などを備えている。
【0036】
搭乗口端末14は、発券端末13によって発行された券の情報を確認する「情報確認端末」の一例に相当するものであり、施設内において発券端末13とは異なる所定の確認場所に配置されるものである。具体的には、空港内において、航空会社サーバ11を管理する航空会社が運行する航空機の搭乗口に配置され、搭乗時刻の変更や搭乗開始の案内、搭乗客の搭乗状況や未搭乗客の確認などの処理を実行可能に構成されており、当該搭乗口を通過する搭乗者の搭乗券を読み取る構成をなしている。この搭乗口端末14は、図2のように、通信ネットワークを介して前述の航空会社サーバ11や後述するタグ管理サーバ15等と通信可能に接続されており、CPU51、ROM、RAM、HDD等からなる記憶部52、搭乗券を読み取る読取部53、液晶パネル等として構成される表示部54、LANインタフェース等として構成される通信インタフェース55などを備えている。
【0037】
なお、記憶部52は、「通過者情報記憶手段」の一例に相当し、搭乗口端末14(情報確認端末)にて確認された券の情報(即ち、読取部53で読み取られた搭乗券の情報)に基づいて、搭乗口(確認場所)を通過した通過者の情報を記憶するように機能している。また、読取部53は、搭乗券を読み取り可能な様々な構成を採用することができ、搭乗券が磁気方式の搭乗券であれば、この搭乗券の磁気情報を公知の方法で読み取るように構成される。
【0038】
タグ管理サーバ15は、航空会社サーバ11、発券端末13、搭乗口端末14、サービスサーバ19と通信可能に接続されており、無線タグ18に関する後述のタグ管理データを記憶し、且つ無線タグ18に対して各種処理を行う構成をなしている。このタグ管理サーバ15は、例えばコンピュータとして構成され、図2のように、CPU61、ROM、RAM、HDD等からなる記憶部62、マウスやキーボード等として構成される入力部63、液晶モニタ等として構成される表示部64、LANインタフェース等として構成される通信インタフェース65などを備えている。また、記憶部62には、後述する無線タグ管理データを記憶したデータベース(タグ管理データベース16:図1、図7)が格納されている。
【0039】
サービスサーバ19は、施設利用者(搭乗客)に提供すべき施設サービスに関する情報を生成し、提供するサーバであり、LAN等の通信ネットワークを介して少なくともタグ管理サーバ15と通信可能に接続されている。このサービスサーバ19は、例えばコンピュータとして構成され、図2のように、CPU71、ROM、RAM、HDD等からなる記憶部72、マウスやキーボード等として構成される入力部73、液晶モニタ等として構成される表示部74、LANインタフェース等として構成される通信インタフェース75などを備えている。
【0040】
各基地局17は、ハードウェア的には公知の無線タグリーダとして構成されており、無線タグ18と無線通信を行うことでメモリ部92に記憶された固有情報(タグ番号(タグID)等)を読み取り可能に構成されている。基地局17は、図3(A)に示すように、全体的制御を司る制御回路81を備えており、この制御回路81に、無線通信部85、メモリ87、入力部88、通信インタフェース89などが接続されている。制御回路81は、例えばマイコンを主体として構成され、CPU、システムバス、入出力インタフェース等を有し、メモリ87とともに情報処理装置として機能している。また、メモリ87は、ROM、RAMなどの半導体メモリとして構成されており、各種情報を記憶する構成をなしている。入力部88は、操作ボタンなどによって構成されており、外部操作に応じた信号を制御回路81に与える構成をなしている。通信インタフェース89は、外部装置(例えばタグ管理サーバ15等)との間での通信を行うためのインタフェース(例えばLANインタフェース)として構成されており、制御回路81と協働してタグ管理サーバ15と通信処理を行う構成をなしている。
【0041】
無線通信部85は、公知の無線タグリーダ部として機能するものであり、制御回路81と協働し、無線タグ50との間で公知の電波方式にて無線通信を行い、無線タグ50に記憶されるデータの読み取り、或いは無線タグ50へのデータの書き込みを行うように機能している。この無線通信部85は、具体的には、図2(A)に示すように、送信回路82、受信回路83などを有しており、送信回路82は、キャリア発振器、符号化部、増幅器、送信部フィルタ、変調部などによって構成され、キャリア発振器から所定周波数のキャリア(搬送波)が出力される構成をなしている。また、符号化部は、制御回路81に接続されており、当該制御回路81より出力される送信データを符号化して変調部に出力している。変調部は、キャリア発振器からのキャリア(搬送波)、及び符号化部からの送信データが入力される部分であり、キャリア発振器より出力されるキャリア(搬送波)に対し、通信対象へのコマンド送信時に符号化部より出力される符号化された送信符号(変調信号)によって変調された被変調信号を生成し、増幅器に出力している。増幅器は、入力信号(変調部によって変調された被変調信号)を所定のゲインで増幅し、その増幅信号を送信部フィルタに出力しており、送信部フィルタは、増幅器からの増幅信号をフィルタリングした送信信号をアンテナ84に出力している。このようにしてアンテナ84に送信信号が出力されると、その送信信号が電波として当該アンテナ84より外部に放射されるようになっている。
【0042】
一方、アンテナ84によって受信された電波信号は、受信回路83に入力されるようになっている。この受信回路83は、受信部フィルタ、増幅器、復調部、二値化処理部、複号化部などによって構成されており、アンテナ84を介して受信された信号を受信部フィルタによってフィルタリングした後、増幅器によって増幅し、その増幅信号を復調部によって復調する。そして、その復調された信号波形を二値化処理部によって二値化し、復号化部にて復号化した後、その復号化された信号を受信データとして制御回路81に出力している。
【0043】
本実施形態では、上記のように構成される基地局17が施設内において互いに間隔をあけて複数設けられ、それぞれの基地局17において、無線タグ18と通信を行う通信エリアが設定されている。なお、図3(B)では、それらの一部(第1基地局17a、第2基地局17b、第3基地局17c)を概略的に例示しており、通信エリアを破線にて概念的に示している。図1、図3(B)に示すように、いずれの基地局17も所定の範囲を通信エリアとして当該通信エリアに存在する無線タグ18と無線通信を行う構成をなしており、且つ、いずれの基地局17もタグ管理サーバ15と通信可能に接続されている。このように、複数の基地局17が互いに間隔をあけて配置されているため、いずれかの基地局17が無線タグ18と通信を行ったときに、その通信を行う基地局17を特定することで当該無線タグ18が存在するエリアを把握できるようになっている。
【0044】
次に、無線タグ50について説明する。無線タグ50は、例えば公知のアクティブタグとして構成され、電池96を内蔵しており、この電池96からの電力を受けて各種動作を行う構成をなしている。この無線タグ50は、例えば、図4のような外観をなし、図5のような電気的構成を備えており、制御部91、メモリ部92、無線部93、表示部94、キー入力部95、電池96、充電端子97などを備えている。
【0045】
制御部91は、無線タグ50全体の制御を司るものであり、CPUを備えた構成をなし、無線部93に対するデータの出力や無線部93からのデータの取得、或いは表示部94の表示制御などの各種情報処理を行っている。メモリ部92は、ROM,EEPROM等の各種半導体メモリによって構成されており、制御プログラム、無線タグ18を識別するための固有情報(タグID)、無線タグ18の用途に応じてユーザが設定したデータなどが記憶されている。無線部93は、送信回路、受信回路、アンテナなどを備えており、例えば、送信回路は、キャリア信号を制御部91からの送信データで変調し、これを電波信号としてアンテナから送信するように構成されている。また、受信回路は、復調回路などを備え、送信信号(キャリア信号)に重畳されているデータを復調して制御部91に出力している。
【0046】
表示部94は、液晶表示パネルやELパネル等の公知のディスプレイによって構成されており、制御部91の制御に応じた情報を表示するように構成されている。キー入力部95は、例えば操作ボタンなどによって構成されており、制御部91に対して外部操作に応じた信号を出力する構成をなしている。電池96は、例えばリチウムイオン電池などの二次電池によって構成されており、充電端子97を介して外部の充電装置から電力供給を受ける構成をなしている。また、無線タグ18には、外部機器を接続可能な通信端子98が設けられ、この通信端子98を介して外部機器と通信を行うことができるようになっている。
【0047】
(情報提供システムを構成する各部分の動作)
図8に示すように、まず、顧客(搭乗予定者)が既に予約している搭乗券の予約情報を発券端末13に入力(例えば、オペレータ等が入力)することで、予約情報が受け付けられる(S31)。そして、予約情報が入力されると、発券端末13にて、その予約情報に対応した搭乗券のデータが生成され、印刷される(S32)。このとき、各搭乗券の発行毎に受付番号が自動的に付され、図6のように、受付番号と搭乗券のデータ(氏名、日時、便名、クラス、席番号等)とが対応付けられた顧客情報が航空会社データベースに登録される。
【0048】
その後、オペレータ等によって、当該顧客に貸与する無線タグ18のタグ番号(固有情報)が入力される(S33)。なお、顧客に貸与する無線タグ18は、図4のように、視認できる場所にラベルが貼り付けられており、発券端末13でのタグ発行処理時には、ここに示されるタグ番号を目視してキーボードから入力しても良い。或いは、番号の入力ミスを避けるため、図4のように、ラベルにタグ番号を表すバーコードや2次元コードを印刷しておき、これをスキャナで読み取ることで入力してもよい。或いは、発券端末13にリーダライタを用意し、タグ発行時に無線タグ18に記録されるタグ番号を無線通信によって読み取ってよい。
【0049】
そして、このように入力されたタグ番号(固有番号)と、そのタグ番号が付された無線タグ18を貸与する顧客が取得した搭乗券の内容に関する情報(便名、受付番号)とを対応付けてタグ管理サーバ15に送信する。なお発券端末13のCPU41及び印刷部45は、「発行手段」の一例に相当し、施設利用者に割り当てる券を発行するように機能する。また、発券端末13のCPU41及び通信インタフェース46は、「発券情報送信手段」の一例に相当し、施設利用者に与える無線タグ18の固有情報と発行手段によって発行される券の内容とを対応付けた発券情報(具体的には、タグ番号、便名、受付番号を含んだデータ)を送信するように機能する。
【0050】
発券端末13から発券情報(無線タグ18の固有情報と受付番号等とを対応付けた情報)が送信されると、タグ管理サーバ15は、この発券情報を受信し、各無線タグ毎に管理されるデータ(無線タグ管理データ)としてデータベース(タグ管理データベース)に記憶する。なお、タグ管理データベースに記憶される各タグ管理データは、図7のような構成をなしており、発券端末13から受信した発券情報(固有情報(タグ番号)、便名、受付番号)を含むと共に、後述する通信処理によって位置情報が取得されたときに、これら発券情報に対応付けて位置情報が格納されることとなる。なお、タグ管理サーバ15のCPU61及び通信インタフェース65が「発券情報取得手段」の一例に相当し、発券情報送信手段によって送信される発券情報を取得するように機能する。
【0051】
次に、図9を参照し、顧客(施設利用者、即ち搭乗予定者)に貸与された無線タグ18で行われる通信処理について説明する。本実施形態で用いられる無線タグ18は、S41の前において、電池の消耗を抑えるために電力を極力消費しないスタンバイモードで待機する待機処理(図示略)が行われるようになっており、決められた周期(例えば3秒間隔)で動作モードに入り、基地局からの電波を検出する処理を行うようになっている。なお、動作モードに入った時に、一定時間(1秒、カッコ内の数字は一例を示す)受信が無い場合には基地局の通信範囲に無いと判断して再びスタンバイモードに入り、基地局からの電波が検出された場合には、S41以降の処理を行っている。
【0052】
動作モードに入った後、基地局17からの電波が検出された場合には、まず、基地局からの電波を受信する処理を行う(S41)。そして、S41で受信した情報が複数の基地局17からのものであるか否かを判断する(S42)。なお、各基地局17から無線タグ18に送信されるデータには、各基地局17に固有に割り当てられた基地局番号が含まれるようになっており、S42では、S41で受信したデータに複数の基地局番号が含まれているか否かを判断する。そして、複数の基地局17から情報を受信した場合には、S42にてYesに進み、受信電波強度が最も大きい基地局17からの情報を選択する。なお、S41で受信した情報が単一の基地局17からのものである場合にはS42にてNoに進む。
【0053】
S42にてNoに進む場合、或いは、S43の後には、受信相手となっている基地局と、前回に基地局情報を受信した基地局(前回のS41の受信処理で通信相手となった基地局、なお、前回のS41の処理の後にS43の処理を行った場合には、S43で選択された基地局)とを対比する処理を行い(S44)、一致しているか否かを判断する(S45)。今回の受信相手とされている基地局の基地局番号が、前回の受信相手の基地局番号と同じでない場合には、S45にてNoに進み、S47以降の処理を行う。一方、今回の受信相手とされている基地局の基地局番号が、前回の受信相手の基地局番号と同じである場合には、S45にてYesに進み、当該基地局に自己宛のメッセージが保存されているか否かを判断する(S46)。メッセージがある場合には、S46にてYesに進んでS47以降の処理を行い、メッセージがない場合には、S46にてNoに進み、再びS41以降の処理を繰り返す。
【0054】
なお、本実施形態では、無線タグ18の制御部91及び無線部93が、「固有情報送信手段」の一例に相当し、基地局17に対してメモリ部92(固有情報記憶手段)に記憶されるタグ番号(固有情報)を送信するように機能する。また、無線部93は、「電波受信手段」の一例にも相当し、所定の周期で基地局17からの電波を受信するように機能する。また、S44、S45の処理を行う制御部91は、「判断手段」の一例に相当し、電波受信手段によって電波を受信したときに、その電波の送信元の基地局が、前回電波を受信した基地局から変化したか否かを判断するように機能する。そして、「固有情報送信手段」に相当する制御部91は、判断手段によって基地局が変化したと判断された場合にタグ番号(固有情報)を送信するように機能している。
【0055】
具体的には、S45にてNoに進む場合、或いはS46にてYesに進む場合に、現在通信相手となっている基地局に対して自己の固有情報(タグ番号)を送信し(S47)、この基地局からメッセージを受信する処理を行う(S48)。S48の処理では、通信相手の基地局に自己宛のメッセージが保存されている場合には当該メッセージを受信して、表示部94に表示する処理を行い、通信相手の基地局に自己宛のメッセージが保存されていない場合には、特にメッセージを受信せずに当該処理を終了する。S48の処理の後には、予め設定された一定時間スタンバイモードに設定変更し、省電力処理を行う(S49)。この省電力処理としては、例えば、無線部93の電源オフなどが挙げられ、これにより、電池96の消耗を防止することができる。或いは、省電力処理として、制御部91をスタンバイモード(例えば、通常モードよりもCPUのクロック周波数を低くしたり、CPUを間欠駆動することで、消費電力を抑えるモード)に切り替える処理を行うようにしてもよい。このように、無線タグ18は、一定時間内(例えば、3秒待機+1秒受信待ち=4秒)に必ず表示すべきデータが有るか確認するため、基地局17は無線タグ18に表示させるべきデータを必要以上に長い時間保持しておく必要は無い。
【0056】
次に、図10を参照し、各基地局での動作を説明する。図10は、各基地局で行われる通信処理の流れを例示するフローチャートである。
基地局17は、タグ管理サーバ15からメッセージを送るべき無線タグ18のタグ番号とメッセージの具体的な内容を受取り、一定時間(例えば5秒間)メモリ87で保持するようになっている。そして、S51以降の処理を予め設定された一定周期で行っており、まず自己の基地局番号を送信する処理を行い(S51)、更に、メッセージのあるタグ番号を送信する処理を行っている(S52)。このように、基地局17では、決められた周期(例えば1秒間隔)ごとに自局の基地局番号と表示メッセージのあるタグ番号を送信し、タグからの応答を待つ待機処理を行っている。なお、本実施形態では、メモリ87が「提供情報記憶手段」の一例に相当し、情報選択手段によって選択され且つ無線タグ18に送信された提供情報を所定時間記憶するように機能する。
【0057】
その後、無線タグ18からタグ番号を受信したか否かを判断し、受信した場合には、S53にてYesに進み、その受信したタグ番号に対応するメッセージが存在するか否かを判断し(S54)、存在する場合には、そのタグ番号の無線タグ18に対してメッセージ番号と、可変データを送信する。本実施形態では、各無線タグ18が固有情報(タグ番号)と共に、各メッセージ番号毎に予め決められた表示フォーマットの情報を備えており、S55では、表示フォーマットを特定するためのメッセージ番号と、その特定される表示フォーマットと組み合わせるべきデータ(可変データ)とを受信している。S55のデータ送信に対して送信対象の無線タグ18から受信完了の通知を受け取った場合には、そのタグ番号及び受信時刻をタグ管理サーバ15に送信する(S56)。なお、無線タグ18に送る表示メッセージはタグの応答周期に応じた一定時間(例えば5秒)で破棄しており、これにより基地局内のデータが増えることを防止している。なお、このような破棄処理を行う制御回路81は、「消去手段」の一例に相当し、メモリ87(提供情報記憶手段)に記憶される提供情報を、所定時間経過後に消去するように機能する。
【0058】
次に、図11を参照して、タグ管理サーバでの処理について説明する。
図11は、タグ管理サーバにて行われる通信・位置情報取得処理の流れを例示するフローチャートである。
図11の処理は例えば所定の短時間毎に定期的に行われる処理であり、まず、いずれかの基地局からタグ番号を受信したかを判断する。図10のように、各基地局17では、S56の処理にてタグ管理サーバ15にタグ番号を送信するようになっており、タグ管理サーバ15では、いずれかの基地局17からこのようなタグ番号の送信があったか否かを判断する(S61)。そして、タグ番号の送信があった場合には、そのタグ番号に対応するタグ管理データと対応付けて、そのタグ番号を送信した基地局の番号と、受信時刻とを登録する(図7参照)。このようにして、各タグ番号が付された各無線タグ18の最新の位置が登録されることになる。
【0059】
なお、本実施形態では、タグ管理サーバ15のCPU61及び通信インタフェース65が「無線タグ情報取得手段」の一例に相当し、基地局17によって読み取られた無線タグ18のタグ番号(固有情報)と、当該無線タグ18を読み取った基地局17の位置情報(基地局番号)とを対応付けて取得するように機能する。また、CPU61は、「管理データ生成手段」の一例に相当し、発券情報取得手段によって取得された発券情報(タグ番号、便名、受付番号などを含んだ情報)と、無線タグ情報取得手段によって取得された固有情報及び位置情報(基地局17を介して得られたタグ番号及び基地局番号)とに基づき、無線タグ毎に発券情報と位置情報とを対応付けた無線タグ管理データを生成するように機能する。更に、記憶部62が、「無線タグ管理データ記憶手段」の一例に相当し、管理データ生成手段によって生成された無線タグ管理データを記憶するように機能する。
【0060】
更に、そのタグ番号の無線タグ18からメッセージ要求があったか否かを判断し、メッセージ要求があった場合には、S63にてYesに進む。S63にてYesに進む場合には、サービスサーバ19に対し、搭乗者の位置(即ち要求元の無線タグ18と通信を行う基地局17の位置)と共に、メッセージ要求の種類を送信し、サービスサーバ19からこのメッセージ要求に対応する応答メッセージを取得する。そして、そのサービスサーバ19から取得した応答メッセージをタグ番号と共に基地局17に送信する(S65)。
【0061】
ここで、無線タグ18の表示部94で表示されるメッセージについて説明する。本実施形態では、無線タグ18のメモリ部92において、表示部94に表示可能となる複数の表示フォーマットが記憶されている。図16(A)〜(E)は、無線タグ18に記憶される表示フォーマットの一例を示すものであり、図16(A)〜(E)の各表示フォーマットは、それぞれメッセージ番号に対応付けられて記憶されている。そして、いずれかのメッセージ番号が指定されたときに、そのメッセージ番号に対応する表示フォーマットが呼び出され、表示部94に表示されるようになっている。なお、図16(A)〜(E)のX印は、基地局17を介して送信される可変データであり、基地局17からメッセージ番号と共に可変データが送信されてきた場合には、制御部91は、このメッセージ番号に対応する表示フォーマットを読み出し、X印に対応する部分を受信した可変データに置き換えて表示部94に表示させるように表示制御を行うようになっている。なお、メモリ部92は、「フォーマット記憶手段」の一例に相当する。
【0062】
また、本実施形態では、メモリ部92において、他の複数の言語についての図16(A)〜(E)のような表示フォーマットも記憶されており、無線タグ18のキー入力部95によっていずれかの言語を指定できるようになっている。例えば、所定の設定処理において、図15(A)のような選択情報が表示されるようになっており、キー入力部95によっていずれかの言語をする操作が行われたときに、その言語に対応する表示フォーマットであって、且つメッセージ番号に対応する表示フォーマットを表示するように制御がなされる。このようにすることで、例えば、選択操作によって日本語が指定される場合には、後述する図17(A)と同様に汎用部分を日本語で表示することができ、英語が指定されたときには、図17(B)と同様に、汎用部分について日本語と同内容の英語表記に切り替えることができる。なお、可変データは、いずれの言語にも対応可能な数字やアルファベットによって構成されるもの(番号や時刻など)を表わすものとして構成されている。
【0063】
本実施形態では、キー入力部95が、「言語入力手段」の一例に相当する。また、制御部91は、「表示制御手段」の一例に相当し、基地局17から提供情報を受信したときに、その受信した提供情報と、フォーマット記憶手段に記憶された表示フォーマットとを組み合わせて表示部94に表示させるように機能しており、具体的には、言語入力手段によって指定された言語の表示フォーマットと、提供情報とを組み合わせて表示部94に表示させるように機能している。
【0064】
なお、図16(A)の表示情報は、搭乗便の基本情報を示しており、例えば無線タグ18の初期状態においてこのような表示が行われるようになっている。また、図16(B)は、搭乗時刻の変更が生じたときの表示フォーマットを示しており、図14のメッセージ番号「2」に対応するものとして記憶されている。また、図16(C)は、搭乗ゲートの変更が生じたときの表示フォーマットを示しており、図16(D)は搭乗が開始されたときの表示フォーマットを示している。なお、搭乗客の座席のクラス(ビジネス、エコノミー)や子供連れなどの搭乗客の属性に応じて時間をずらして表示することも可能である。図16(E)は搭乗開始時刻を過ぎても未搭乗の搭乗客に対する表示フォーマットを示してる。
【0065】
また、本実施形態では、無線タグ18において、図15(B)(C)のように、複数の情報種別をメニュー表示として表示部94に表示する制御が可能とされており、無線タグ18では、キー入力部95により、表示部94に表示される複数の情報種別のいずれかを選択する入力操作が可能とされている。そして、その選択された選択種別を基地局17に送信するように構成されている。なお、本実施形態では、無線タグ18のキー入力部95が、例えば図15のようなメニューを表示させる「メニュー」キーと、メニューの中から必要な情報を選択する「選択」キーと、選択した項目を決定する「決定」キーの最低3つのキーで構成される。
本実施形態では、キー入力部95が、「種別入力手段」の一例に相当する。また、制御部91及び無線部93が「選択種別送信手段」の一例に相当し、種別入力手段によって選択された選択種別を基地局17に送信するように機能している。
【0066】
このように選択種別が送信されたときには、タグ管理サーバ15では、図11のS63にてYesに進むことになり、この選択種別のデータをサービスサーバ19に送信することになる。そして、サービスサーバ19から、当該選択種別に関する何らかのメッセージの応答があった場合には、このメッセージを取得し(S64)、要求元の無線タグ18のタグ番号と共に基地局17に送信する(S65)。
【0067】
例えば、図15(C)のように、選択表示画面において、薬局が選択されたとき、無線タグ18から基地局17へ「薬局」の情報が送信され、タグ管理サーバ15は、その送信を行った無線タグ18のタグ番号と共にこの「薬局」の情報を取得する。そして、サービスサーバ19に対して、この「薬局」の情報と、当該無線タグ18の位置情報(当該無線タグ18と現在通信を行っている基地局の番号)を送信する。サービスサーバ19は、各カテゴリ毎に、設備の位置情報が登録されており、タグ管理サーバ15から無線タグ18の位置情報と対応付けていずれかのカテゴリを指定するデータが送信されてきた場合、予め登録されている設備情報の中から空港内における当該カテゴリの設備(図15(C)の場合は薬局)を検索する。そして、複数の設備が検索された場合には、その検索された設備の中から、当該無線タグ18の位置(即ち当該無線タグ18と通信を行っている基地局17の位置)に最も近い設備を無線タグ18の位置情報(具体的には、タグ管理サーバ15から取得した基地局番号)に基づいて選択し、この情報をタグ管理サーバ15に対して送信する。なお、サービスサーバ19の記憶部72は、「設備情報記憶手段」の一例に相当し、施設に設けられた各設備の情報(例えば、薬局、本を売っている店、免税店、コンビニなどの各施設の情報)を、それぞれ各設備の位置と対応付けて記憶している。
【0068】
タグ管理サーバ15は、サービスサーバ19からこのような設備情報を受け取ったときには、この設備情報を要求元の無線タグ18に対して送信する。具体的には、S62で基地局番号が登録された基地局17に対し、要求元の無線タグ18のタグ番号(即ち、S61で受信したタグ番号)と共にサービスサーバ19から取得したメッセージ(設備情報)を送信する。これにより、基地局17から要求元の無線タグ18に対してメッセージ(設備情報)が送信され、この無線タグ18において、図15(D)のような設備情報が表示されることとなる。なお、「表示制御手段」に相当する制御部91は、基地局17から提供情報を受信したときに、その受信した提供情報を表示部92に表示させるように機能する。
【0069】
なお、図15(D)では、無線タグ18にて「薬局」が選択された場合に、サービスサーバ19にて当該無線タグ18の位置から最も近い薬局を検索し、これを無線タグ18に表示させる例を示しているが、他のカテゴリが選択された場合も同様であり、例えば、無線タグ18にて「本」が選択された場合に、サービスサーバ19にて、本を売っている店(書店やコンビニ等)の中で当該無線タグ18の位置から最も近い店を検索し、これを無線タグ18に表示させるようにしてもよい。
【0070】
この場合、サービスサーバ19のCPU71が、「情報選択手段」の一例に相当し、無線タグ管理データに含まれる位置情報に基づいて、当該無線タグ管理データで特定される無線タグへの提供情報を選択するように機能し、具体的には、無線タグ18から基地局17に送信された選択種別と当該無線タグ18の位置情報に基づいて、当該無線タグ18に提供する提供情報を選択するように機能する(より詳しくは、要求元の無線タグ18から基地局17に送信された選択種別と、設備情報記憶手段に記憶された各設備の位置データと、無線タグ管理データに含まれる当該無線タグ18の位置情報とに基づき、当該位置情報に応じた設備の情報を提供情報として選択するように機能する)。また、S65の処理を行うCPU61及び通信インタフェース65は、「送信制御手段」の一例に相当し、情報選択手段によって選択された提供情報を、送信対象となる無線タグ18と通信可能な基地局17に送信させるように機能する。
【0071】
次に、図12を参照し、無線タグに送信すべきメッセージが発生したときのメッセージの準備・送信処理を説明する。本実施形態では、搭乗開始時刻などの変更があった場合など、特定の無線タグに送信すべきメッセージが発生したときに、当該無線タグに対してリアルタイムにメッセージを送信するようになっている。
【0072】
例えば、搭乗開始時刻などの変更があった場合、搭乗口端末14からタグ管理サーバ15に対して変更情報を送信できるようになっており、この変更情報を、タグ管理サーバ15から関係する搭乗者の無線タグ18に対して送信することができるようになっている。具体的には、オペレータが搭乗口端末14にて特定の便についての搭乗開始時刻の変更情報を入力した場合に、この便名、搭乗開始時刻の変更があった旨、及び変更された搭乗開始時刻がタグ管理サーバ15に送信されるようになっている。このような変更情報が搭乗口端末14から送信されると、タグ管理サーバ15は、図12に示すように、この送信された変更情報(例えば、変更があった便名を指定すると共に、変更された搭乗開始時刻の情報と、変更があったことを示す変更メッセージとを含んだ情報)を受信し(S71)、タグ管理サーバを参照して該当便のタグ番号を抽出する(S72)。そして、それら抽出したタグ番号と搭乗開始時刻の変更があった旨のメッセージを全基地局17に送信する。各基地局17は、これらの情報を受信したときには、図10のS52にてそれら抽出されたタグ番号を送信し、応答があったタグに対して、搭乗開始時刻の変更に対応するメッセージ番号と可変データを送信することになる。例えば、図14のようにメッセージ番号が設定されている場合、「搭乗開始時刻の変更」に対応するメッセージ番号「2」を送信すると共にこれに対応する可変データ(即ち変更された搭乗開始時刻)を併せて送信する。この場合、図16(B)のように、当該メッセージ番号「2」に対応した表示フォーマット(即ち、搭乗開始時刻の変更に対応したフォーマット)が読み出され、その読み出された表示フォーマットと、受信した可変データ(例えば、変更後の搭乗開始時刻等)とを組み合わせて表示される。
【0073】
この例では、タグ管理サーバ15のCPU61が「情報選択手段」に相当し、無線タグ管理データ記憶手段に記憶された無線タグ管理データに含まれる発券情報に基づいて、当該無線タグ管理データで特定される無線タグへの提供情報を選択するように機能する。
【0074】
なお、変更情報を送信する方法は上記の例に限られず、例えば、タグ管理サーバ15から、全基地局17に対し、タグ番号を指定せずに便名を指定した変更情報を送信するようにしてもよい。この場合、各無線タグ18に予め便名を記憶しておき、自己の便名を指定する情報のみを選択して扱うようにすればよい。
【0075】
次に、図13を参照して未搭乗客の検索処理について説明する。
本実施形態では、搭乗口端末14において、搭乗者がリスト化されて記憶されるようになっており、未搭乗客を検索してリストアップできるようになっている。未搭乗者に対して所定情報を送信する場合には、まず、搭乗口端末14にて未搭乗客をリストアップし(S81)、次いで、この搭乗客の便名と受付番号をタグ管理サーバ15に送信する(S82)。タグ管理サーバ15は、このような未搭乗客の情報に基づいて、これら未搭乗客の無線タグ管理データを検索し(S83)、検索されたタグ番号の位置情報として基地局番号と受信時刻を搭乗口端末に送る(S84)。搭乗口端末14では、このように送信された基地局番号に基づき、この基地局番号に対応する位置情報の表示(例えば「22番ゲート付近」といった位置情報の表示)、或いは位置情報と時刻情報の表示(例えば、「13:00、22番ゲート付近」といった表示)を行う(S85)。
【0076】
なお、このように未搭乗客を検索する場合、当該未搭乗客に対して所定の呼出し情報(提供情報)を送信するようにしてもよい。例えば、搭乗時刻の所定時間前になったときに、搭乗口端末14の記憶部52(通過者情報記憶手段)に記憶された搭乗者(通過者)の情報に基づいて、未搭乗客のタグ番号をリストアップし、これをタグ管理サーバ15に送信するようにしてもよい。そして、タグ管理サーバ15は、搭乗時刻の所定時間前に、予め決められた呼出し情報(例えば、図16(E)のような情報を選択すると共に、タグ管理データに基づいて、未搭乗客の所持する無線タグ18へ提供するようにしてもよい。
【0077】
(第1実施形態の主な効果)
本実施形態に係る情報提供システム1によれば、施設利用者に与えた無線タグ18がどの位置に存在するかを、当該無線タグ18と通信を行う基地局17の位置情報によって特定できるようになる。また、施設利用者に与えた無線タグ18の固有情報と、当該施設利用者に対して発行される券の情報とを対応付けた情報(発券情報)が生成されるため、この発券情報と位置情報に基づいて、各利用者がどのような券を所持し、現在どの位置にいるのかを特定可能なデータ(無線タグ管理データ)を生成、管理することができる。
更に、無線タグ管理データ記憶手段に記憶された無線タグ管理データに含まれる発券情報及び位置情報の少なくともいずれかに基づいて、当該無線タグ管理データで特定される無線タグ18への提供情報を選択する情報選択手段と、情報選択手段によって選択された提供情報を、送信対象となる無線タグ18と通信可能な基地局17に送信させる送信制御手段と、が設けられており、無線タグ18は、基地局17から提供情報を受信したときに、その受信した提供情報を表示部94に表示させる表示制御手段を有している。
この構成によれば、利用者がどのような券を所持し、施設内のどの位置にいるのかを具体的に特定した上で、利用者の券の内容或いは利用者の位置を考慮した適切な情報(提供情報)を選択することができ、このように利用者とって有益な情報を、各利用者が所持する無線タグ18に対して個別に提供できるようになる。そして、利用者は、その取得した提供情報を、無線タグ18の表示部94により、施設内の様々な場所で容易に且つ確実に確認できるようになる。
【0078】
また、本実施形態では、既存のシステムを大幅に変更せずにシステム導入が可能であり、空港の出発ゲート付近など特定のエリアに数百人規模の多数の利用客がいる場合にも、個々の利用客の位置や時刻などに応じて適切な情報を手軽に提供するとともに、利用客の位置を施設管理者が把握することにより適切な処置を取ることができ航空機の出発遅れを防止できる。
【0079】
また、空港の場合では、例えば、利用当日の便名と便毎に利用客に割り付けられる4桁の受付番号(シーケンシャルナンバー)で個人を特定でき、既存の航空会社データベースへの照会が行えるため、利用客を特定するための管理番号はこの便名および受付番号とし、これをシステム上でタグ番号と紐付けることにより、タグ番号で利用客の個人がシステム上で特定できるとともに、タグに個人情報を持たせないため、たとえタグを紛失したとしても個人のプライバシー流出が問題となることは無い。
【0080】
また、本実施形態の情報提供システム1には、施設において発券端末13とは異なる所定の確認場所に配置され、発券端末13によって発行された券の情報を確認する情報確認端末と、情報確認端末にて確認された券の情報に基づいて、確認場所を通過した通過者の情報を記憶する通過者情報記憶手段とが設けられている。そして、情報選択手段は、通過者情報記憶手段に記憶された通過者の情報に基づいて、無線タグ18へ提供する提供情報を選択している。
この構成によれば、確認場所を通過した通過者の情報を適切に管理することができ、通過済みか否かを考慮した具体的な情報を提供(例えば、通過済みでない施設利用者を特定し、当該施設利用者に対して通過を促す情報を提供、或いは、通過済みでない施設利用者に対し集合時刻などの当該未通過利用者にとって有益な情報を提供)できる。
【0081】
また本実施形態の情報提供システム1は、無線タグ18が、表示部94に表示可能となる1又は複数の表示フォーマットを記憶したフォーマット記憶手段を備えており、表示制御手段は、基地局17から提供情報を受信したときに、その受信した提供情報と、フォーマット記憶手段に記憶された表示フォーマットとを組み合わせて表示部94に表示させている。このようにすると、汎用的な表示フォーマットについては予め無線タグ18内にもたせておくことで基地局17から無線タグ18への送信を省略することができ、その都度送るべき具体的な有益情報については、情報量を抑えて適切な時期に提供できるようになる。これにより、より迅速な送受信処理が可能となり、タイムラグを一層抑えて有益情報を提供できるようになる。
【0082】
また、本実施形態の情報提供システム1は、フォーマット記憶手段に、複数の言語の表示フォーマットがそれぞれ記憶され、無線タグ18には、いずれかの言語を指定可能な言語入力手段が設けられており、表示制御手段は、言語入力手段によって指定された言語の表示フォーマットと、提供情報とを組み合わせて表示部94に表示させている。このようにすると、様々な言語での情報提供が可能となり、施設内を利用する様々な国の利用者が情報を把握し易くなる。更に、各言語での汎用的な表示フォーマットを予め無線タグ18内にもたせておくことができるため、提供する情報量の抑制をも図ることができる。特に、タグが表示のイメージ情報をあらかじめ持つことで、基地局からタグに送る表示データは、便名、搭乗ゲート、搭乗開始時刻などの英数字データのみで良いため、特定の基地局の周辺に多数の利用客が集まっている場合にもここのタグとの通信時間を短く出来るとともに、多言語のイメージをあらかじめ持つことにより、多言語表示への対応も容易となる。
【0083】
また、本実施形態の情報提供システム1は、施設に設けられた各設備の情報を、それぞれ各設備の位置と対応付けて記憶する設備情報記憶手段が設けられ、情報選択手段は、設備情報記憶手段に記憶された各設備の位置と、無線タグ管理データに含まれる位置情報とに基づき、当該位置情報に応じた設備の情報を提供情報として選択している。このようにすると、各施設利用者の位置に応じた設備の情報を提供できるため、無秩序に施設情報を提供する方法と比較して、各利用者が自身の位置を考慮して適切な設備を選択、利用し易くなる。
【0084】
また、本実施形態では、無線タグ18の表示制御手段が、複数の情報種別をメニュー表示として表示部94に表示する制御を実施し得るように構成されている。更に、無線タグ18には、表示部94に表示される複数の情報種別のいずれかを選択する入力操作が可能な種別入力手段と、種別入力手段によって選択された選択種別を基地局17に送信する選択種別送信手段と、が設けられており、情報選択手段は、無線タグ18から基地局17に送信された選択種別に基づいて、当該無線タグ18に提供する提供情報を選択している。
このようにすると、施設利用者は、所持している無線タグ18を操作して必要な情報種別を選択できるようになり、自己の望む種別の情報であって且つ当該設備利用者の券の内容或いは位置を考慮した有益情報を、無線タグ18によって取得し確認できるようになる。
【0085】
また、本実施形態では、基地局17において、情報選択手段によって選択され且つ無線タグ18に送信された提供情報を所定時間記憶する提供情報記憶手段と、提供情報記憶手段に記憶される提供情報を、所定時間経過後に消去する消去手段とが設けられている。このようにすると、情報選択手段によって選択され且つ無線タグ18に送信された提供情報を所定時間内は再利用(例えば、再送信等)することができ、再利用される可能性が低くなる所定時間経過後には当該提供情報を消去することで次の情報のためにメモリ領域を確保することができる。
【0086】
また、本実施形態では、無線タグ18において、基地局17に対して固有情報記憶手段に記憶される固有情報を送信する固有情報送信手段と、所定の周期で基地局17からの電波を受信する電波受信手段と、電波受信手段によって電波を受信したときに、その電波の送信元の基地局17が、前回電波を受信した基地局17から変化したか否かを判断する判断手段とが設けられている。そして、固有情報送信手段は、判断手段によって基地局17が変化したと判断された場合に固有情報を送信している。このようにすると、無線タグ18と通信する基地局17に変化がない場合に無線タグ18からの固有情報の送信処理を省略することができ、通信処理時間の削減や、省電力化を図ることができる。基地局17側では、前回電波を送信したときに無線タグ18から応答があったのに今回の電波送信に対して応答がない場合にも無線タグ18が通信可能範囲内に存在すると推測して通信を行うことができるため、今回の通信で特に支障が生じにくい構成となる。
【0087】
[他の実施形態]
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0088】
上記実施形態では、施設として空港を挙げ、空港利用者を施設利用者として情報を提供するシステムを例示したが、施設の例は空港に限られず、遊園地やイベント会場などの他の施設であっても同様に提供できる。例えば、遊園地を「施設」として本発明を適用する場合、遊園地入場者に無線タグ18を渡しておくことで、利用客の場所に応じて空いている施設への案内、待ち時間の表示、目的とする施設への道案内、迷子になった人の位置検索などが可能であり、利用客の利便性を高めることが出来る。
【0089】
上記実施形態では、無線タグ18を介して提供する情報の一例を示したが、提供情報は上記の例に限られない。例えば、タグ管理サーバ15の記憶部62において、無線タグ18のタグ番号に(固有情報)に対応付けて当該無線タグ18の利用者の性別、国籍、年齢などの属性情報を記憶するようにしてもよい。この場合、タグ管理サーバ15やサービスサーバ19では、属性ごとに提供すべき情報を区分しておき、取得した無線タグ18のタグ番号と対応付けられた属性に応じた情報を提供するようにしてもよい。例えば、空港内の各設備を、男性用の設備と女性用の設備とに区分けして記憶しておき、タグ番号に対応付けられた属性に対応する設備の情報を選択して提供するようにしてもよい。例えば、無線タグ18において図15(B)のようなメニュー画面によってトイレが指定された場合、当該無線タグ18のタグ番号に対応付けられた性別のトイレの位置情報を提供するようにしてもよい。或いは、タグ管理サーバ15やサービスサーバ19の記憶部に年齢層ごとの施設情報を記憶しておき、定期的に或いは無線タグ18から要求があった時に、各年齢層毎に各年齢層に応じた施設情報を提供するようにしてもよい。このようにすると、無線タグ18の利用者の属性情報(性別、国籍、年齢等)を考慮して、利用者毎に属性に適した具体的な有益情報を提供できるようになる。
【0090】
上記実施形態では、液晶表示器によって構成される表示部94を例示したが、この表示部94は、表示の書き換え時以外には電力を消費しない電子ペーパによって構成されていてもよい。このように電子ペーパを用いることで、無線タグに表示手段を設ける構成を、より低消費電力で実現でき、更に電池寿命を延ばすことが可能となる。
【0091】
上記実施形態では、図5のような無線タグを例示したが、これはあくまで一例であり、他の構成であってもよい。例えば、通信端子98が設けられていない構成であってもよく、充電端子97が設けられていない構成(電池96が充電不能な構成)であってもよい。
【0092】
例えば、図17のようなタグ構成及び表示例を用いてもよい。この図17の構成は、無線タグ100が搭乗券と兼用されており、無線タグ100の外面には、磁気ストライプの代わりに、便名、氏名、座席クラス、座席番号などを記録した二次元コードQが付されている。この構成によれば、発券端末13での紙の搭乗券の発券を省略することが可能となる。なお、搭乗口のゲートでタグは回収されるが、このとき搭乗客には座席番号を示す紙片をプリントして渡すようにすれば搭乗客の利便性を損ねることもない。なお、無線タグ100は、内部のハードウェア構成は、第1実施形態と同様の構成(図5参照)を用いることができる。
【0093】
上記実施形態では、図5のような無線タグを例示したが、例えば図18に示す無線タグ200のように、外部から受信した電波に基づいて非接触で充電用の電力を発生させる電力供給部201(非接触処理部:「電力供給手段」の一例に相当)を備えていてもよい。なお、このような充電技術としては、例えば、特表2001−5028974公報のような公知技術を用いることができる。
【0094】
また、上記実施形態では、無線タグ18が電池を備えた構成としているが、無線タグ18を、いわゆるパッシブタグとして構成し、受信した搬送波を整流して動作用電力を生成する電源回路を設けるようにしてもよい。この場合、電源回路としてはパッシブタグの公知の電源回路を用いることができ、この電源回路が「電力供給手段」の一例に相当することとなる。この構成によれば、無線タグ18内に固定の電池を設ける必要がなく、電池交換や充電の手間や時間を省略できるため、一層利便性に優れた構成となる。
【符号の説明】
【0095】
1…情報提供システム
11…航空会社サーバ(利用者管理サーバ)
13…発券端末
15…タグ管理サーバ
17…基地局
18,100,200…無線タグ
61…CPU(無線タグ情報取得手段、発券情報取得手段、無線タグ管理データ生成手段、情報選択手段、送信制御手段)
62…記憶部(無線タグ管理データ記憶手段)
65…通信インタフェース(無線タグ情報取得手段、発券情報取得手段)
71…CPU(情報選択手段)
72…記憶部(設備情報記憶手段)
81…制御回路(消去手段)
87…メモリ(提供情報記憶手段)
91…制御部(表示制御手段、固有情報送信手段、判断手段)
93…無線部(電波受信手段、固有情報送信手段)
94…表示部(表示手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
施設利用者に関する情報を管理する利用者管理サーバと、
表示手段と、固有情報を記憶するメモリとを備えた無線タグと、
前記無線タグと無線通信を行うことで前記メモリに記憶された前記固有情報を読み取り可能な複数の基地局と、
前記施設利用者に割り当てる券を発行する発行手段と、当該施設利用者に与える前記無線タグの前記固有情報と前記発行手段によって発行される券の内容とを対応付けた発券情報を送信する発券情報送信手段とを備えた発券端末と、
前記発券情報送信手段によって送信される前記発券情報を取得する発券情報取得手段と、
前記基地局によって読み取られた前記無線タグの前記固有情報と、当該無線タグを読み取った前記基地局の位置情報とを対応付けて取得する無線タグ情報取得手段と、
前記発券情報取得手段によって取得された前記発券情報と、前記無線タグ情報取得手段によって取得された前記固有情報及び前記位置情報とに基づき、無線タグ毎に前記発券情報と前記位置情報とを対応付けた無線タグ管理データを生成する無線タグ管理データ生成手段と、
前記管理データ生成手段によって生成された前記無線タグ管理データを記憶する無線タグ管理データ記憶手段と、
前記無線タグ管理データ記憶手段に記憶された前記無線タグ管理データに含まれる前記発券情報及び前記位置情報の少なくともいずれかに基づいて、当該無線タグ管理データで特定される前記無線タグへの提供情報を選択する情報選択手段と、
前記情報選択手段によって選択された前記提供情報を、送信対象となる前記無線タグと通信可能な前記基地局に送信させる送信制御手段と、
を備え、
前記無線タグは、前記基地局から前記提供情報を受信したときに、その受信した前記提供情報を前記表示手段に表示させる表示制御手段を有することを特徴とする情報提供システム。
【請求項2】
前記施設において前記発券端末とは異なる所定の確認場所に配置され、前記発券端末によって発行された前記券の情報を確認する情報確認端末と、
前記情報確認端末にて確認された前記券の情報に基づいて、前記確認場所を通過した通過者の情報を記憶する通過者情報記憶手段と、
を備え、
前記情報選択手段は、前記通過者情報記憶手段に記憶された前記通過者の情報に基づいて、前記無線タグへ提供する前記提供情報を選択することを特徴とする請求項1に記載の情報提供システム。
【請求項3】
前記無線タグは、前記表示手段に表示可能となる1又は複数の表示フォーマットを記憶したフォーマット記憶手段を備え、
前記表示制御手段は、前記基地局から前記提供情報を受信したときに、その受信した提供情報と、前記フォーマット記憶手段に記憶された前記表示フォーマットとを組み合わせて前記表示手段に表示させることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の情報提供システム。
【請求項4】
前記フォーマット記憶手段には、複数の言語の前記表示フォーマットがそれぞれ記憶され、
前記無線タグには、いずれかの言語を指定可能な言語入力手段が設けられており、
前記表示制御手段は、前記言語入力手段によって指定された言語の前記表示フォーマットと、前記提供情報とを組み合わせて前記表示手段に表示させることを特徴とする請求項3に記載の情報提供システム。
【請求項5】
前記無線タグ管理データは、前記無線タグの前記固有情報と当該無線タグの利用者の属性情報とが対応付けられてなり、
前記情報選択手段は、前記無線タグ管理データに含まれる前記属性情報に基づいて、当該無線タグ管理データで特定される前記無線タグへの前記提供情報を選択することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の情報提供システム。
【請求項6】
前記施設に設けられた各設備の情報を、それぞれ各設備の位置と対応付けて記憶する設備情報記憶手段を備え、
前記情報選択手段は、前記設備情報記憶手段に記憶された各設備の位置と、前記無線タグ管理データに含まれる前記位置情報とに基づき、当該位置情報に応じた設備の情報を前記提供情報として選択することを特徴とする請求項1から請求項5の少なくともいずれか一項に記載の情報提供システム。
【請求項7】
前記無線タグの前記表示制御手段は、複数の情報種別をメニュー表示として前記表示手段に表示する制御が可能とされており、
前記無線タグは、
前記表示手段に表示される前記複数の情報種別のいずれかを選択する入力操作が可能な種別入力手段と、
前記種別入力手段によって選択された選択種別を前記基地局に送信する選択種別送信手段と、
を備え、
前記情報選択手段は、前記無線タグから前記基地局に送信された前記選択種別に基づいて、当該無線タグに提供する前記提供情報を選択することを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の情報提供システム。
【請求項8】
前記基地局は、
前記情報選択手段によって選択され且つ前記無線タグに送信された前記提供情報を所定時間記憶する提供情報記憶手段と、
前記提供情報記憶手段に記憶される前記提供情報を、前記所定時間経過後に消去する消去手段と、
を備えたことを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の情報提供システム。
【請求項9】
前記無線タグは、
前記基地局に対して前記固有情報記憶手段に記憶される前記固有情報を送信する固有情報送信手段と、
所定の周期で前記基地局からの電波を受信する電波受信手段と、
前記電波受信手段によって電波を受信したときに、その電波の送信元の基地局が、前回電波を受信した基地局から変化したか否かを判断する判断手段と、
を備え、
前記固有情報送信手段は、前記判断手段によって基地局が変化したと判断された場合に前記固有情報を送信することを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の情報提供システム。
【請求項10】
前記表示手段が、電子ペーパによって構成されることを特徴とする請求項1から請求項9のいずれか一項に記載の情報提供システム。
【請求項11】
前記無線タグは、外部から受信した電波に基づいて電力を発生させる電力供給手段を備えたことを特徴とする請求項1から請求項10のいずれか一項に記載の情報提供システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2011−253227(P2011−253227A)
【公開日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−124755(P2010−124755)
【出願日】平成22年5月31日(2010.5.31)
【出願人】(501428545)株式会社デンソーウェーブ (1,155)
【Fターム(参考)】