説明

情報提供装置および情報提供方法

【課題】現在位置に基づいて利用者の行動範囲を反映した情報を提供する。
【解決手段】利用者の行動履歴をクラスタリング処理して算出した行動クラスタ情報と、指定の日時と、位置情報と、を用いて、行動クラスタの優先度(参照するときの優先順位)を算出する(ステップS502)。そして、その優先度上位M個の行動クラスタ情報と、指定の日時と、現在位置情報と、を用いて、情報提供する最小エリアを算出し、サービスを呼び出すコマンドを作成する(ステップS506〜S507)。そして、呼び出されたサービスを提供するサービスサイト19から、最小エリアに対応する情報を取得し、その情報を利用者へ提供する(ステップS510)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話やカーナビゲーション装置等の利用者端末に対して、その利用者端末の位置情報に応じたサービス情報を提供する情報提供装置および情報提供方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、GPS機能を備えた利用者端末(携帯電話やカーナビゲーション装置等)が取得した自身の位置情報に基づいて、その位置から一定範囲にある店舗等のサービス情報を検索可能とするサービスが提供されている。
例えば、特許文献1では、「銀座」と「日比谷」が別の地区として登録されていた場合に、「日比谷」に隣接した「銀座」に利用者がいた場合であっても、検索条件として、別途「日比谷」を入力する必要がない。すなわち、地図上の特定位置の指定とその検索対象範囲(距離や時間)の指定とによって、その指定した位置から検索対象範囲内に存在する飲食店を検索することが可能となる。
【特許文献1】特開2003−167971号公報(段落0051〜0052)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、特許文献1に記載の方法では、利用者ごとの行動範囲を検索対象範囲として考慮していなかった。
例えば、図9(a)に示すように、利用者が会社の最寄駅であるA駅周辺、および、乗換駅であるB駅周辺でよく飲食する傾向にあるとすると、その利用者の行動範囲(以降、行動クラスタともいう)は、2つの実線の円に示されることになる。しかし、特許文献1に記載の方法では、破線の円に示されるように、A駅周辺の検索に限られてしまう。すなわち、B駅周辺については、検索位置を改めて入力しなければならないという問題がある。
【0004】
また、図9(b)に示すように、利用者の行動範囲(行動クラスタ)がC駅の周辺であり、現在の利用者の位置がC駅とD駅との中間であったとする。その場合には、特許文献1では、現在位置を中心とした破線の円に示される範囲のサービス情報を提供してしまう。そのために、利用者の行動範囲(実線の円)以外の不要なサービス情報を多く提示することになるだけでなく、検索したいエリア(行動クラスタの範囲)を直に閲覧することができないという問題がある。
【0005】
さらに、天気情報と交通情報とレストラン情報等の、複数の情報提供サービスから、同一エリアにおけるサービス情報を得ようとしたときに、サービス側から提供されるエリアが異なってしまう場合がある。このような場合には、図9(c)に示すように、利用者の行動クラスタが各地域分類指定A町〜D町に跨っているので、それぞれの町(サービスエリア)を特定してサービス情報の提供を受けなければならないという問題もある。
【0006】
本発明は、以上のような問題点に鑑みてなされたものであり、位置情報に応じたサービス情報を提供する情報提供方法および情報提供装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記した課題を解決するため、本発明に係る情報提供装置は、ユーザ端末から指示される位置情報に応じたサービス情報を、該サービス情報を蓄積するサービス装置を参照して、提供する情報提供装置であって、前記サービス装置が、前記サービス情報を、地域細分類ごとに蓄積しているか、またはサービスの中心位置とそのエリアサイズとを指定可能に蓄積していて、前記情報提供装置が、制御部と、ユーザの行動履歴を記憶する記憶部と、を備え、前記制御部が、前記ユーザの行動履歴に含まれる位置情報についての距離について、クラスタリング処理を行い、前記算出したクラスタの中心位置とそのクラスタサイズとを関連付けて記憶部に記憶し、前記サービス装置が前記サービス情報を地域細分類ごとに蓄積している場合、前記クラスタが重なる前記地域細分類の全ての領域を、最小エリアとして算出し、前記サービス装置が前記サービス情報をサービスの中心位置とそのエリアサイズとを指定して蓄積している場合には、前記クラスタの中心位置を前記サービスの中心位置に設定して、前記クラスタサイズ以上、かつ前記サービス装置の提供する最小のエリアサイズとなる領域を、最小エリアとして算出し、算出された前記最小エリアに係るサービス情報を取得し、前記取得した前記最小エリアに係るサービス情報を、前記ユーザ端末に送信すること、を特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、現在位置に基づいて利用者の行動範囲を反映したサービス情報を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
次に、本発明を実施するための最良の形態(以降、「実施形態」と称す)について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
【0010】
本発明の実施形態に係る情報提供システムの構成について、図1を用いて説明する。図1は、本発明の実施形態に係る情報提供システムの構成を示す図である。
情報提供システム1は、利用者の現在位置と行動クラスタとに基づいて検索用の表示を決定する情報提供装置10が、ネットワーク15と基地局16とを介して、自動車に搭載されたカーナビゲーション装置17やGPS機能付携帯電話18と通信可能に接続されている。また、サービスサイト19は、天気予報情報サービス、交通情報サービス、およびレストラン案内情報サービス等のサービス情報(以降、単に情報ともいう)を配信するサーバ等であって、ネットワーク15を介して、情報提供装置10と通信可能に接続されている。なお、図1に記載されている、基地局16、カーナビゲーション装置17、およびGPS機能付携帯電話18の数は、1台に限られない。
【0011】
情報提供装置10は、主制御部11、入出力部12、通信制御部13、および記憶部14を備えている。
主制御部11(制御部)は、演算処理を実行する図示しないCPU(Central Processing Unit )と、このCPUが演算処理に用いる主記憶装置である図示しないメインメモリとを備える。メインメモリは、RAM(Random Access Memory)等により実現される。そして、図示しないハードディスク等によって構成される記憶部14に格納されたアプリケーションプログラムがRAMに展開され、CPUが、それを実行することにより種々の機能を具現化する。また、主制御部11は、情報提供装置10内の各部(12〜14)を制御し、各部(12〜14)間の情報の伝達を司る。
【0012】
入出力部12は、図示しない入力部と表示部とで構成される。表示部は、CRT(Cathode Ray Tube)やLCD(Liquid Crystal Display)等によって構成され、情報提供装置10を操作するオペレータが入力データや処理結果等を確認する画面を表示する。また、入力部は、マウスやキーボード等によって構成され、オペレータによる情報入力を受け付ける。
通信制御部13は、主制御部11がネットワーク15を経由する情報の送受信を制御する。
【0013】
記憶部14は、主制御部11が実行するアプリケーションプログラムや実行に必要なデータ、演算処理結果、および各部(12〜13)が受け付けた種々の情報を蓄積する機能を有する。
また、記憶部14は、利用者ごとの行動履歴を保持する行動履歴DB(141)と、情報提供サービスから情報提供を受けるときに使用する変数等を保持するサービス位置情報DB(142)と、都道府県名および市区町村名とそれらの位置データとを保持する地理情報DB(143)とを記憶する。なお、行動履歴DB(141)およびサービス位置情報DB(142)の詳細については後記する。
【0014】
ネットワーク15は、携帯電話網とインターネットとにより構成されている。そして、基地局16は、携帯電話網に接続されて、携帯電話網用プロトコルと携帯電話の無線プロトコルとを変換する機能を備えている。さらに、ネットワーク15には、携帯電話網用プロトコルとインターネット用のTCP/IP(Transmission Control Protocol/Internet Protocol )とを変換する図示しない交換機が備えられている。そのため、情報提供装置10とカーナビゲーション装置17およびGPS機能付携帯電話18との間で通信が可能となる。
また、情報提供装置10とサービスサイト19との間は、TCP/IPによって通信が可能である。
【0015】
カーナビゲーション装置17は、図示しない制御部、表示部、入力部、記憶部および通信制御部を備えている。制御部は、CPUに相当し、表示部、入力部、記憶部および通信制御部を制御する。表示部は、LCD等によって構成され、受信した情報や処理結果等を表示する。入力部は、文字を入力するボタンやカーソル操作に使用する入力キー等によって構成され、情報入力を受け付ける。そして、カーナビゲーション装置17は、地図情報を記憶部に記憶しており、GPS機能により取得した現在位置を地図上に表示する。また、ネットワーク15を介して、サービスサイト19との通信を行って、現在位置における天気情報や交通情報等を取得することもできる。
【0016】
GPS機能付携帯電話18は、少なくとも図示しない制御部、入力部、表示部およびカメラを備えている。制御部は、CPUに相当し、入力部、表示部およびカメラを制御する。表示部は、LCD等によって構成され、受信した情報や処理結果等を表示する。入力部は、文字を入力するボタンやカーソル操作に使用する入力キー等によって構成され、情報入力を受け付ける。また、GPS機能付携帯電話18は、ネットワーク15を介して、サービスサイト19との通信を行って、現在位置における天気情報や交通情報等を取得することもできる。
【0017】
次に、主制御部11の機能について、図1を用いて説明する。
主制御部11は、行動履歴受信部111、行動履歴クラスタリング部112、行動クラスタ評価部113、サービスマッピング部114、およびサービス提供部115を機能として含む。
行動履歴受信部111は、GPS機能付携帯電話18やカーナビゲーション装置17から、利用者の行動履歴や位置情報を取得する。そして、行動履歴受信部111は、取得した利用者の行動履歴や位置情報を、行動履歴DB(141)に記憶する。
行動履歴クラスタリング部112は、本発明の実施形態では、行動履歴を、位置情報を変数として、いくつかの行動クラスタに分類する。
行動クラスタ評価部113は、行動クラスタの参照順についての優先度を評価する。
サービスマッピング部114は、提供するサービスの範囲について、行動クラスタを含むサービス範囲(情報提供エリア)を算出し、そのサービス範囲に係る情報をサービスサイト19から取得する。
サービス提供部115は、サービスマッピング部114が取得したサービス範囲に係る情報を、Webや電子メール等でGPS機能付携帯電話18やカーナビゲーション装置17等の利用者端末に通信制御部13を介して配信する。
【0018】
次に、記憶部14に格納されている行動履歴DB(141)およびサービス位置情報DB(142)について説明する。
行動履歴DB(141)は、行動履歴テーブル1411と行動クラスタテーブル1412とを含む。また、サービス位置情報DB(142)は、サービス位置情報テーブル1421を含む。
なお、行動履歴テーブル1411、行動クラスタテーブル1412、およびサービス位置情報テーブル1421については、図2を用いて説明する(適宜、図1参照)。図2の(a)は、行動履歴テーブルの一例を示す図であり、(b)は、行動クラスタテーブルの一例を示す図であり、(c)は、サービス位置情報テーブルの一例を示す図である。
【0019】
まず、行動履歴DB(141)は、利用者ごとの行動履歴を格納している。まず、行動履歴テーブル1411は、図2(a)に示すように、利用者ID、日時、位置情報、履歴情報、履歴内容等を格納する。利用者IDは利用者を識別する符号であり、日時は年月日時であり、位置情報は緯度経度であり、履歴情報は行動種別であり、履歴内容は行動の詳細である。なお、これらの情報は、利用者が操作したとき、利用者によって指定されたとき、または所定の周期ごとに、利用者の保持しているGPS機能付携帯電話18または利用者の行動履歴が登録されている図示しないサーバから、行動履歴受信部111によって、取得される。
【0020】
行動クラスタテーブル1412は、図2(b)に示すように、利用者ID、クラスタID、クラスタ名称、クラスタ中心位置、クラスタサイズ等を格納する。利用者IDは利用者を識別する符号であり、クラスタIDは行動クラスタを識別する符号であり、クラスタ名称は位置情報に係る名称であり、クラスタ中心位置はクラスタの中心位置の緯度経度であり、クラスタサイズはそのクラスタの範囲の半径である。ただし、クラスタ名称には、本発明の実施形態では、位置情報によってクラスタリングを行っているので、直感的に分かりやすい地名を用いている。
【0021】
なお、行動クラスタの中心点の緯度経度は、行動履歴クラスタリング部112によってランドマークに変換され、クラスタ名称が作成される。例えば、クラスタ中心位置が(緯度,経度)=(35,691253,139.699651)であった場合は、「新宿駅」に変換される。なお、この変換は、情報提供装置10の記憶部14に保持している図示しない変換テーブルを使用するか、または、図示しない外部の変換サービスを利用することによって実行される。
また、クラスタサイズは、行動クラスタ内のデータとクラスタ中心位置との距離によって決められる。すなわち、その距離は、クラスタ中心位置とそのクラスタ中心位置から最も遠いデータとの最大距離であっても、その最大距離の何%かであっても構わない。また、この実施形態では、行動クラスタは真円として説明しているが、行動クラスタを複数の真円の組み合わせとして表現することもできる。その場合のクラスタ中心位置は、複数の真円を含む最小の真円の中心である。
【0022】
次に、サービス位置情報DB(142)(図1参照)は、サービスサイト19(図1参照)によって提供される各サービスに係る情報を、サービス位置情報テーブル1421に格納している。サービス位置情報テーブル1421は、図2(c)に示すように、サービスID、サービス名称、サービスURI(Uniform Resource Identifier)、中心位置指定、距離範囲指定、地域細分類指定を格納する。サービスIDはサービスを識別する符号であり、サービス名称はサービスに付された名称であり、サービスURIはインターネットにおけるアクセス先に付された住所に相当する識別子である。また、中心位置指定は、サービスエリアの中心を指定可能な場合において、そのサービスエリアの中心位置のパラメータである。距離範囲指定は、サービスエリアの中心を指定可能な場合において、距離範囲指定のパラメータとサービスエリアの範囲の半径とその識別符号である。地域細分類指定は、パラメータと地域細分類名称とその識別符号である。
【0023】
ここで、サービス位置情報テーブル1421の地域細分類指定についての具体例を以下に説明する。
例えば、天気予報サービスにおいて、そのサービスが市区町村単位で行われている場合、「area,{(北海道札幌市,01001),(北海道江別市,1002),・・・}」が、地域細分類指定の欄に登録される。これらの情報は、地域細分類指定のパラメータが「area」で、北海道札幌市を指定するときは「01001」、北海道江別市を指定するときは「01002」、・・・というように用いられる。ただし、この地域細分類指定の欄の表現形式は、サービスサイト19の受付形式に適合させる必要があるので、図2(c)の表現形式に限られない。
【0024】
次に、サービス位置情報テーブル1421の距離範囲指定についての具体例を以下に説明する。
例えば、レストラン情報サービスにおいて、そのサービスが中心位置を指定可能な場合、「r,{(500m,r1),(1000m,r2),・・・」が、距離範囲指定の欄に登録される。これらの情報は、距離範囲指定のパラメータが「r」で、500mを指定するときは「r1」、1000mを指定するときは「r2」・・・というように用いられる。ただし、この距離範囲指定の欄の表現形式は、サービスサイト19の受付形式に適合させる必要があるので、図2(c)の表現形式に限られない。
【0025】
次に、利用者の行動履歴を、位置情報を変数として、クラスタに分類するクラスタリング処理の流れについて、図3を用いて説明する。図3は、クラスタリング処理の流れを示す図である。
なお、図3に示すクラスタリング処理の流れは、「神嶌敏弘著、“データマイニング分野のクラスタリング手法(1)−クラスタリングを使ってみよう!−”、人工知能学会誌、人工知能学会、Vol.18、No.1、p.59-65、(2003)」または「非特許文献2:神嶌敏弘、“データマイニング分野のクラスタリング手法(2)−大規模データへの挑戦と次元の呪いの克服−”、人工知能学会誌、人工知能学会、Vol.18、No.2、p.170-176、(2003)」に記載されている手法である。
まず、N個のデータが与えられたとき、1個のデータだけを含むN個のクラスタを初期状態として設定する(ステップS301)。この初期状態から、データ間の距離が最も近いクラスタ同士を併合する(ステップS302)。そして、クラスタ併合を終了する条件を満たすか否かを判定する(ステップS303)。クラスタ併合を終了する条件を満たさない場合(ステップS303でNo)、ステップS302へ戻る。クラスタ併合を終了する条件を満たす場合(ステップS303でYes)、クラスタリングを終了する。そして、行動クラスタ(クラスタともいう)が算出される。
【0026】
本発明の実施形態では、このクラスタリング処理は、行動履歴クラスタリング部112(図1参照)によって、行動履歴テーブル1411に格納された利用者の行動履歴が読み出され、実行される。そして、図3に示すクラスタリング処理における距離の算出には、位置情報(図2(a)参照)を用いることとした。また、クラスタリングの併合を終了する条件は、クラスタの中心(クラスタに含まれるデータの平均)間の距離の最小値が所定の値以上であることとした。その所定の値は、経験的に2kmである。
なお、このクラスタリング処理を実行するタイミングは、所定の周期であっても、利用者の行動履歴の数が所定の件数まで蓄積されたときであってもよい。
【0027】
ここで、行動履歴の具体例について、図4を用いて説明する。図4は、行動履歴の具体例を示す図である。
図4は、クレジットカードの利用履歴に基づいて、品物を購入した店の位置を地図上にプロットしたものである。利用履歴は、GPS機能付携帯電話18に備えられているクレジットカード支払い機能を利用することによって、取得することができる。ただし、紙面の都合上、東京近郊のみを示しているが、他の道府県に履歴が存在しても構わない。
【0028】
次に、利用者からサービス提供の要求を受け付けたときの、情報提供装置10における処理の流れについて、図5および図6を用いて説明する(適宜、図1参照)。図5は、情報提供装置における処理の流れを示す図である。図6の(a)は、利用者端末の画面に表示されるメニュー選択画面の一例を示す図であり、(b)は、利用者端末の画面に表示される天気予報画面の一例を示す図であり、(c)は、利用者端末の画面に表示されるレストランガイドの一例を示す図である。
【0029】
まず、情報提供装置10のサービス提供部115は、利用者端末(カーナビゲーション装置17、GPS機能付携帯電話18等)から、サービス情報提供の要求を受け付ける。その際、利用者端末の画面には、図6(a)に示すような、提供される情報サービスの種類を選択可能にする画面が表示されている。そして、「天気予報」が選択されると、サービスID=「S0123」(図2(c)参照)、利用者ID、指定の日時、および現在位置情報(緯度,東経)=(35.686917,139.702309)が送信される。
サービス提供部115は、サービスID、利用者ID、および現在位置情報を受信すると、利用者IDに該当する行動クラスタ情報を、行動クラスタテーブル1412から読み出す。例えば、図2(b)に示される、{CL0123,新宿駅周辺,(35.691253,139.699651),1200m}、{CL0124,浦和駅周辺,(35.860738,139.651629),1500m},{CL0125,青山周辺,(35.671337,139.724848),100m}を取得する。
そして、サービス提供部115は、指定の日時、現在位置情報、および行動クラスタ情報を、行動クラスタ評価部113に送信する(ステップS501)。
【0030】
ステップS502では、行動クラスタ評価部113は、受信した行動クラスタに対して、情報提供するときに参照する優先度(優先順位)を算出する。ここでは、優先度が高い順に、行動クラスタが参照されるものとする。
なお、優先度の算出方法には、2つの方法がある。
第1の方法では、現在位置と各行動クラスタの中心位置との間の距離を算出し、その距離の近い順に優先度が高いものとする。
第2の方法では、第1の方法によって算出される距離だけでなく、各行動クラスタに含まれる行動履歴について、指定の日時の時間帯および曜日の双方またはいずれか一方が同じである割合(適合率)を算出し、距離と適合率とを用いて、例えば、距離×(1/適合率)によって優先度を算出する。
ただし、現在位置情報が、いずれの行動クラスタにも含まれない場合、現在位置情報をクラスタ中心位置として、予め決められた所定のクラスタサイズによって構成されるクラスタを、最大の優先度として作成する。
なお、優先度の算出を、第1の方法または第2の方法のどちらで行うかは、選択されるものとする。
そして、行動クラスタ評価部113は、行動クラスタと優先度とを関連付けた情報を、サービス提供部115へ送信する(ステップS502)。
【0031】
次に、サービス提供部115は、サ−ビスIDを、サービスマッピング部114に送信する(ステップS503)。
【0032】
サービスマッピング部114は、サービス位置情報テーブル1421(図2(c)参照)を参照して、受信したサービスIDに対応するサービスに係る情報を取得する(ステップS504)。例えば、サービス位置情報テーブル1421において、サービスID=「S0123」であれば、「ABC天気予報サービス」に係る情報を取得する。
【0033】
次に、サービス提供部115は、優先度上位M個の行動クラスタ情報、指定の日時、および現在位置情報を、サービスマッピング部114に送信する(ステップS505)。
サービスマッピング部114は、受信した行動クラスタ情報、指定の日時、および現在位置情報を用いて、利用者に提供するサービスの最小エリアを算出する(ステップS506)。
【0034】
ここで、最小エリアの算出の流れについて、図7を用いて説明する。図7は、最小エリアの算出の流れを示す図である。
まず、サービスサイト19において提供される情報サービスが、中心位置指定を可能か否かが判定される(ステップS701)。なお、サービスサイト19は、サービス情報を、地域細分類ごとに蓄積する、またはサービスの中心位置とそのエリアサイズとを指定して蓄積しているものとする。
中心位置指定が可能である場合(ステップS701でYes)、行動クラスタの中心位置をサービスの中心位置に設定する(ステップS702)。そして、クラスタサイズ以上で、サービスの最小提供範囲が、最小エリアに設定され(ステップS703)、処理は終了する。
また、中心位置指定が可能でない場合(ステップS701でNo)、行動クラスタとの間に共通領域(重なる領域)を有する地域細分類指定が選択される(ステップS704)。そして、選択した地域細分類指定が最小エリアに追加される(ステップS705)。次に、未処理の地域細分類指定が有るか否かが判定される(ステップS706)。未処理の地域細分類指定が有る場合(ステップS706でYes)、処理はステップS704へ戻る。また、未処理の地域細分類指定が無い場合(ステップS706でNo)、処理は終了する。そして、最小エリアが算出される。
【0035】
ここで、サービスの中心位置指定が可能な場合(ステップS702〜S703)と、サービスの中心位置指定が可能でない場合(ステップS704〜S706)とによって、算出される最小エリアの違いについて、図8を用いて説明する。図8の(a)は、サービスの中心位置指定が可能な場合における最小エリアを示す図であり、(b)は、サービスの中心位置指定が可能でない場合における最小エリアを示す図である。
図8(a)に示すように、サービスの中心位置指定が可能な場合には、まず、行動クラスタの中心位置がサービスの中心位置に設定される。そして、行動クラスタより大きなサイズであって、サービスサイト19により提供されるサービスの最小提供範囲が、最小エリアとして設定される。
図8(b)では、サービスの中心位置指定が可能ではないので、地域細分類01〜08に対して、行動クラスタと重なり合う領域(共通領域)を有する地域細分類03〜06が、最小エリアとして設定される。
【0036】
図5に戻って、サービスマッピング部114は、サービスを呼び出すためのコマンドを、サービスサイト19に送信する(ステップS507)。
例えば、図8(b)に示すように、サービスの中心位置指定が可能ではない場合において、ABC天気予報サービスを呼び出す具体例について、以下に説明する。
いま、新宿駅周辺の行動クラスタ、浦和駅付近の行動クラスタ、青山周辺の行動クラスタに対して、それぞれ、(東京都新宿区,13003)および(東京都渋谷区,13005)、(埼玉県さいたま市,12001)、(東京都港区,13002)および(東京都新宿区,13003)および(東京都渋谷区,13005)が最小エリアであったとする。この場合、サービスを呼び出すために、サービスURIと地域細分類指定を連結して、「http://www.abcweather.com?area=12001+13002+13003+13005」としてコマンドを作成する。
【0037】
そして、サービスサイト19は、コマンドに対応する結果を返信する(ステップS508)。次に、サービスマッピング部114は、受信した結果をサービス提供部115へ返信する(ステップS509)。
そして、サービス提供部115は、利用者端末に、サービス提供の要求に対応する結果を送信する(ステップS510)。
【0038】
ステップS510によって、結果を受信した利用者端末の画面の表示例が、図6(b)および(c)に示される。
図6(b)は、天気予報の例であり、行動クラスタに対応したエリアについて表示したものである。詳細をクリックすると、その行動クラスタにおける時間ごとの降水確率や、風向、気温等が表示される。
図6(c)は、レストランガイドであり、行動クラスタに対応したエリアについて表示したものである。一覧をクリックすると、さらに多くの店名が表示される。また、店名をクリックすると、その店の提供するメニューやお得情報等が表示される。
【0039】
(変形例)
前記した実施形態では、利用者端末が、自身の現在位置情報を送信する場合について説明した。この変形例は、利用者端末が、現在以降の日時とその日時における位置情報を指定して、情報提供装置10に送信する場合である。
例えば、利用者端末のスケジューラと連動させて、スケジュールに記載されている出張の予定を選択すると、その日時および位置情報(出張先等)を送信するようにしてもよい。
【0040】
なお、本発明の実施形態および変形例では、現在位置情報だけでなく、行動クラスタの範囲を反映したエリア係る情報を提供するので、位置の入力の手間を省くことが可能となる。
また、利用者端末は、GPS機能付携帯電話機18やカーナビゲーション装置17に限られることは無く、パソコンであっても構わない。
また、サービスサイト19は、図1に示すWebサイトではなく、情報提供装置10に備えられた記憶装置であっても構わない。
また、サービスマッピング部114が、サービスの最小エリアを自動的に算出するので、行動クラスタを含む的確なサービス情報を提供することが可能となる。
また、サービスマッピング部114が、サービスの最小エリアを自動的に算出するので、天気情報と交通情報とレストラン情報とを同時に提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の実施形態に係る情報提供システムの構成を示す図である。
【図2】(a)は、行動履歴テーブルの一例を示す図であり、(b)は、行動クラスタテーブルの一例を示す図であり、(c)は、サービス位置情報テーブルの一例を示す図である。
【図3】クラスタリング処理の流れを示す図である。
【図4】行動履歴の具体例を示す図である。
【図5】情報提供装置における処理の流れを示す図である。
【図6】(a)は、利用者端末の画面に表示されるメニュー選択画面の一例を示す図であり、(b)は、利用者端末の画面に表示される天気予報画面の一例を示す図であり、(c)は、利用者端末の画面に表示されるレストランガイドの一例を示す図である。
【図7】最小エリアの算出の流れを示す図である。
【図8】(a)は、サービスの中心位置指定が可能な場合における最小エリアを示す図であり、(b)は、サービスの中心位置指定が可能でない場合における最小エリアを示す図である
【図9】本願の課題を説明する図である。
【符号の説明】
【0042】
1 情報提供システム
10 情報提供装置
11 主制御部
12 入出力部
13 通信制御部
14 記憶部
15 ネットワーク
16 基地局
17 カーナビゲーション装置
18 GPS機能付携帯電話
19 サービスサイト(サービス装置)
111 行動履歴受信部
112 行動履歴クラスタリング部
113 行動クラスタ評価部
114 サービスマッピング部
115 サービス提供部
141 行動履歴DB
142 サービス位置情報DB
143 地理情報DB
1411 行動履歴テーブル
1412 行動クラスタテーブル
1421 サービス位置情報テーブル


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザ端末から指示される位置情報に応じたサービス情報を、該サービス情報を蓄積するサービス装置を参照して、提供する情報提供装置であって、
前記サービス装置は、前記サービス情報を、地域細分類ごとに蓄積しているか、またはサービスの中心位置とそのエリアサイズとを指定可能に蓄積していて、
前記情報提供装置は、制御部と、ユーザの行動履歴を記憶する記憶部と、を備え、
前記制御部は、
前記ユーザの行動履歴に含まれる位置情報について、クラスタリング処理を行い、
前記算出したクラスタの中心位置とそのクラスタサイズとを関連付けて記憶部に記憶し、
前記サービス装置が前記サービス情報を地域細分類ごとに蓄積している場合、前記クラスタが重なる前記地域細分類の全ての領域を、最小エリアとして算出し、
前記サービス装置が前記サービス情報をサービスの中心位置とそのエリアサイズとを指定して蓄積している場合には、前記クラスタの中心位置を前記サービスの中心位置に設定して、前記クラスタサイズ以上、かつ前記サービス装置の提供する最小のエリアサイズとなる領域を、最小エリアとして算出し、
算出された前記最小エリアに係るサービス情報を取得し、
前記取得した前記最小エリアに係るサービス情報を、前記ユーザ端末に送信する
ことを特徴とする情報提供装置。
【請求項2】
前記サービス装置は、前記情報提供装置に備えられた記憶部である
ことを特徴とする請求項1に記載の情報提供装置。
【請求項3】
前記サービス装置は、前記情報提供装置と通信可能に接続されたWebサイトである
ことを特徴とする請求項1に記載の情報提供装置。
【請求項4】
前記制御部は、
前記クラスタリング処理によって算出されたクラスタに対して、前記位置情報と前記クラスタの中心位置との距離を算出し、その距離に応じて、優先度を設定し、
前記優先度の順に、前記最小エリアを算出して、その最小エリアに係るサービス情報を、前記ユーザ端末に送信する
ことを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の情報提供装置。
【請求項5】
前記制御部は、
前記ユーザ端末から指定の日時を受信し、
前記クラスタリング処理によって算出されたクラスタに対して、前記指定の日時と同じ時間帯および曜日の双方またはいずれか一方を含む割合を算出し、その割合を優先度として設定し、
前記優先度の順に、前記最小エリアを算出して、その最小エリアに係るサービス情報を、前記ユーザ端末に送信する
ことを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の情報提供装置。
【請求項6】
前記ユーザ端末から指示された位置が、いずれの前記クラスタにも含まれない場合、前記位置を中心位置とし、所定のクラスタサイズに設定されたクラスタを新たに作成し、そのクラスタに最高の優先度を付与する
ことを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の情報提供装置。
【請求項7】
ユーザ端末から指示される位置情報に応じたサービス情報を、該サービス情報を蓄積するサービス装置を参照して、提供する情報提供装置において用いられる情報提供方法であって、
前記サービス装置は、前記サービス情報を、地域細分類ごとに蓄積しているか、またはサービスの中心位置とそのエリアサイズとを指定可能に蓄積していて、
前記情報提供装置は、制御部と、ユーザの行動履歴を記憶する記憶部と、を備え、
前記制御部は、
前記ユーザの行動履歴に含まれる位置情報についての距離について、クラスタリング処理を行い、
前記算出したクラスタの中心位置とそのクラスタサイズとを関連付けて記憶部に記憶し、
前記サービス装置が前記サービス情報を地域細分類ごとに蓄積している場合、前記クラスタが重なる前記地域細分類の全ての領域を、最小エリアとして算出し、
前記サービス装置が前記サービス情報をサービスの中心位置とそのエリアサイズとを指定して蓄積している場合には、前記クラスタの中心位置を前記サービスの中心位置に設定して、前記クラスタサイズ以上、かつ前記サービス装置の提供する最小のエリアサイズとなる領域を、最小エリアとして算出し、
算出された前記最小エリアに係るサービス情報を取得し、
前記取得した前記最小エリアに係るサービス情報を、前記ユーザ端末に送信する
ことを特徴とする情報提供方法。
【請求項8】
前記サービス装置は、前記情報提供装置に備えられた記憶部である
ことを特徴とする請求項7に記載の情報提供方法。
【請求項9】
前記サービス装置は、前記情報提供装置と通信可能に接続されたWebサイトである
ことを特徴とする請求項7に記載の情報提供方法。
【請求項10】
前記制御部は、
前記クラスタリング処理によって算出されたクラスタに対して、前記位置情報と前記クラスタの中心位置との距離を算出し、その距離に応じて、優先度を設定し、
前記優先度の順に、前記最小エリアを算出して、その最小エリアに係るサービス情報を、前記ユーザ端末に送信する
ことを特徴とする請求項7ないし請求項9のいずれか一項に記載の情報提供方法。
【請求項11】
前記制御部は、
前記ユーザ端末から指定の日時を受信し、
前記クラスタリング処理によって算出されたクラスタに対して、前記指定の日時と同じ時間帯および曜日の双方またはいずれか一方を含む割合を算出し、その割合を優先度として設定し、
前記優先度の順に、前記最小エリアを算出して、その最小エリアに係るサービス情報を、前記ユーザ端末に送信する
ことを特徴とする請求項7ないし請求項9のいずれか一項に記載の情報提供方法。
【請求項12】
前記ユーザ端末から指示された位置が、いずれの前記クラスタにも含まれない場合、前記位置を中心位置とし、所定のクラスタサイズに設定されたクラスタを新たに作成し、そのクラスタに最高の優先度を付与する
ことを特徴とする請求項7ないし請求項9のいずれか一項に記載の情報提供方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2010−49295(P2010−49295A)
【公開日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−210275(P2008−210275)
【出願日】平成20年8月19日(2008.8.19)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【Fターム(参考)】