説明

情報提供装置および端末装置ならびに情報提供システム

【課題】 システム全体の通信料金を少なくすることができるとともに、情報提供装置に記憶される配信情報が更新されてから、端末装置に配信されるまでの時間を短縮することができる情報提供装置を提供する。
【解決手段】 情報提供装置1は、提供装置記憶手段に記憶される配信情報が更新されると、発信者識別番号の付加を選択して端末装置Tに発呼し、発呼に対する端末装置Tの応答後、更新後の配信情報のバージョンに対応する呼出し回数だけ呼出して公衆電話回線3を開放する。また情報提供装置1は、更新後の配信情報のバージョンの通知後に端末装置Tから発呼されると、その発呼に基づいて、提供装置記憶手段に記憶される配信情報を端末装置Tに配信提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報提供装置および端末装置ならびに情報提供システムに関する。
【背景技術】
【0002】
配信情報、たとえば端末装置で利用されるソフトウェアを、情報提供装置が公衆電話回線を介して端末装置に配信提供することによって、端末装置に記憶されるソフトウェアを更新するといった技術が実用されている。第1の従来の技術として、端末装置が公衆電話回線を介して情報提供装置から配信提供されるソフトウェアをダウンロードすることによって、端末装置のソフトウェアを更新する技術がある(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
第1の従来の技術では、情報提供装置に記憶されるソフトウェアが更新されると、情報提供装置は、端末装置に記憶されているソフトウェアのバージョンを通知するように、端末装置に対して呼出信号を発信する。端末装置は、情報提供装置からの呼出信号に応答し、端末装置に記憶されているソフトウェアのバージョンを通知する。端末装置に記憶されているバージョンが通知されると、情報提供装置は、情報提供装置に記憶される更新後のソフトウェアのバージョンが、通知されたバージョンよりも新しいか否かを判定する。情報提供装置は、更新後のソフトウェアのバージョンが、通知されたバージョンよりも新しいと判定すると、更新後のソフトウェアを端末装置に配信提供する。端末装置は、配信提供された更新後のソフトウェアをダウンロードし、ソフトウェアを更新して記憶する。
【0004】
第1の従来の技術では、情報提供装置に記憶されるソフトウェアが更新されると直ちに、情報提供装置から公衆電話回線を介して端末装置に呼出信号が送信され、端末装置に記憶されるソフトウェアが更新される。これによって、情報提供装置に記憶される更新後のソフトウェアを、速やかに端末装置に配信提供することができる。
【0005】
しかしながら第1の従来の技術には次のような問題がある。第1の従来の技術では、端末装置に記憶されているソフトウェアのバージョンを通知するように端末装置に呼出信号が送信される。これによって、毎回端末装置と情報提供装置との通信が確立され、通信料金が課金される。したがって、情報提供装置に記憶される更新後のソフトウェアのバージョンが端末装置に記憶されるソフトウェアのバージョンよりも新しくない場合など、端末装置が更新後のソフトウェアのダウンロードを必要としない場合にも、端末装置と情報提供装置との通信が確立され、通信料金が発生してシステム全体の通信料金が過大となるという問題がある。
【0006】
このような問題を解決する第2の従来の技術として、更新後のソフトウェアをダウンロードしない場合には通信料金が発生しない情報提供システムがある(たとえば、特許文献2参照)。
【0007】
第2の従来の技術では、端末装置が公衆電話回線を介して情報提供装置に対して呼出信号を送信する。情報提供装置は、端末装置の発信者識別番号と、端末装置に記憶されているソフトウェアのバージョン情報とを記憶している。情報提供装置は、情報提供装置に対して呼出信号を発信している発呼側の端末装置を、発信者識別番号によって認識する。また情報提供装置は、発呼側の端末装置が記憶しているソフトウェアのバージョン情報を認識する。これによって、情報提供装置は、情報提供装置に記憶された更新後のソフトウェアのバージョンが、発呼側の端末装置が記憶しているソフトウェアのバージョンよりも新しいか否かを判定する。情報提供装置は、更新後のソフトウェアのバージョンが、発呼側の端末装置が記憶しているバージョンよりも新しいと判定すると、端末装置から発信される呼出信号に応答し、更新後のソフトウェアを端末装置に配信提供する。端末装置は、提供された更新後のソフトウェアをダウンロードし、端末装置に記憶されるソフトウェアを更新する。
【0008】
第2の従来技術では、更新後のソフトウェアのバージョンが、発呼側の端末装置が記憶しているバージョンよりも新しくない場合、情報提供装置が端末装置からの呼出信号に応答しない。したがって、端末装置が更新後のソフトウェアをダウンロードしない場合には通信料金が発生しないので、通信料金を不必要に支払うことが防止される。
【0009】
【特許文献1】特開平6−350791号公報
【特許文献2】特開平9−130426号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
第2の従来の技術では、端末装置が公衆電話回線を介して情報提供装置に呼出信号を送信する。したがって端末装置が呼出信号を送信するタイミングによっては、情報提供装置に記憶されるソフトウェアが更新されても、更新されたソフトウェアが速やかに端末装置に配信提供されない場合がある。ソフトウェアは、たとえば、古いバージョンのソフトウェアに何らかの問題があることを理由に更新されるので、更新後、できるだけ早く配信提供されることが望まれる。
【0011】
本発明の目的は、システム全体の通信料金を少なくすることができるとともに、情報提供装置に記憶される配信情報が更新されてから、端末装置に配信されるまでの時間を短縮することができる情報提供装置および端末装置ならびに情報提供システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、公衆電話回線を介して端末装置に通信可能に接続される情報提供装置であって、
端末装置と通信するための提供装置通信手段と、
端末装置で利用される配信情報を記憶する提供装置記憶手段と、
提供装置記憶手段に記憶される配信情報が更新されると、発信者識別番号の付加を選択して端末装置に発呼し、発呼に対する端末装置の応答後、更新後の配信情報のバージョンに対応する呼出し回数だけ呼出して回線を開放することによって、更新後の配信情報のバージョンを端末装置に通知させ、更新後の配信情報のバージョンの通知後に、端末装置から発呼されると、その発呼に基づいて、提供装置記憶手段に記憶される配信情報を端末装置に配信させる提供装置制御手段とを備えることを特徴とする情報提供装置である。
【0013】
本発明に従えば、情報提供装置は、提供装置記憶手段に記憶される配信情報が更新されると、発信者識別番号の付加を選択して端末装置に発呼し、発呼に対する端末装置の応答後、更新後の配信情報のバージョンに対応する呼出し回数だけ呼出して回線を開放することによって、更新後の配信情報のバージョンを端末装置に通知する。また情報提供装置は、更新後の配信情報のバージョンの通知後に端末装置から発呼されると、その発呼に基づいて、提供装置記憶手段に記憶される配信情報を端末装置に配信提供する。
【0014】
また本発明は、公衆電話回線を介して情報提供装置に通信可能に接続され、情報提供装置から配信提供される配信情報を利用して動作する端末装置であって、
情報提供装置と通信するための端末通信手段と、
配信情報を、その配信情報のバージョンの情報とともに記憶する端末記憶手段と、
情報提供装置を示す発信者識別番号を伴う着呼に応答することによって呼出しを受けた後に回線が解放されると、回線が開放される前の呼出し回数に対応する配信情報のバージョンが、端末記憶手段に記憶される配信情報のバージョンよりも新しいバージョンか否かを判定し、新しいバージョンであると判定すると、情報提供装置に発呼させ、この発呼に基づいて、情報提供装置から配信情報が配信されると、その配信情報およびその配信情報のバージョンの情報を、端末記憶手段に更新して記憶させる端末制御手段とを備えることを特徴とする端末装置である。
【0015】
本発明に従えば、情報提供装置を示す発信者識別番号を伴う着呼に応答することによって呼出しを受けた後に回線が解放されると、端末装置は、回線が開放される前の呼出し回数に対応する配信情報のバージョンが、端末記憶手段に記憶される配信情報のバージョンよりも新しいバージョンか否かを判定する。また端末装置は、回線が開放される前の呼出し回数に対応する配信情報のバージョンが新しいバージョンであると判定すると、情報提供装置に発呼する。この端末装置からの発呼に基づいて、情報提供装置から配信情報が配信され、配信された配信情報およびその配信情報のバージョンの情報を端末記憶手段に記憶する。
【0016】
また本発明は、着呼に応答することによって呼出しを受けたとき、呼出しに合わせて鳴動する鳴動手段を備え、
端末制御手段は、情報提供装置を示す発信者識別番号を伴う着呼に応答することによって呼出しを受けても、呼出しに合わせた鳴動手段の鳴動を禁止することを特徴とする。
【0017】
本発明に従えば、情報提供装置を示す発信者識別番号を伴う着呼に応答することによって情報提供装置からの呼出信号を受信した場合、鳴動手段の鳴動が禁止される。これによって、情報提供装置から配信情報が配信されるときに、鳴動手段が不必要に鳴動することを防止することができる。
【0018】
また本発明は、発信者識別番号を伴う着呼に応答することによって呼出しを受けたとき、発信者識別番号を表示する表示手段を備え、
端末制御手段は、情報提供装置を示す発信者識別番号を伴う着呼があっても、表示手段による発信者識別番号の表示を禁止することを特徴とする。
【0019】
本発明に従えば、情報提供装置を示す発信者識別番号を伴う着呼に応答することによって情報提供装置からの呼出信号を受信した場合、表示手段による発信者識別番号の表示が禁止される。これによって、情報提供装置から配信情報が配信されるときに、表示手段に不必要に発信者識別番号が表示されることを防止することができる。
【0020】
また本発明は、前記本発明の情報提供装置と、
前記本発明の端末装置とを備えることを特徴とする情報提供システムである。
【0021】
本発明に従えば、前述の作用を達成する情報提供装置および前述の作用を達成する端末装置によって情報提供システムが実現される。したがって前述のような各作用を達成可能な情報提供システムを実現することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、情報提供装置は、提供装置記憶手段に記憶される配信情報が更新されると、発信者識別番号の付加を選択して端末装置に発呼し、発呼に対する端末装置の応答後、更新後の配信情報のバージョンに対応する呼出し回数だけ呼出して回線を開放することによって、更新後の配信情報のバージョンを端末装置に通知する。また情報提供装置は、更新後の配信情報のバージョンの通知後に、端末装置から発呼されると、その発呼に基づいて、提供装置記憶手段に記憶される配信情報を端末装置に配信する。
【0023】
情報提供装置は、提供装置記憶手段に記憶される配信情報が更新されると、端末装置に対して発呼する。これによって端末装置に配信情報の更新があったことを通知することができる。また情報提供装置に記憶される配信情報が更新されてから、直ちに配信情報の更新があったことを通知することができるので、たとえば端末装置から情報提供装置に対して配信情報の提供を要求するシステムに比べて、端末装置に配信されるまでの時間を短縮することができる。さらに情報提供装置は、更新後の配信情報のバージョンに対応する呼出し回数だけ呼出して回線を開放することによって、情報提供装置と端末装置との通信を確立することなく、端末装置に対して更新後の配信情報のバージョンを通知することができる。これによって、通信料金を不必要に支払うことを防止することができ、システム全体の通信料金を少なくすることができる。
【0024】
また本発明によれば、情報提供装置を示す発信者識別番号を伴う着呼に応答することによって呼出しを受けた後に回線が解放されると、端末装置は、回線が開放される前の呼出し回数に対応する配信情報のバージョンが、端末記憶手段に記憶される配信情報のバージョンよりも新しいバージョンか否かを判定する。また端末装置は、回線が開放される前の呼出し回数に対応する配信情報のバージョンが新しいバージョンであると判定すると、情報提供装置に発呼する。この端末装置からの発呼に基づいて、情報提供装置から配信情報が配信されると、その配信情報およびその配信情報のバージョンの情報を端末記憶手段に記憶する。
【0025】
情報提供装置を示す発信者識別番号を伴う着呼に応答することによって呼出しを受けた後に回線が解放されることによって、情報提供装置と端末装置との通信を確立することなく、端末装置は、情報提供装置に記憶される配信情報が更新されたこと、および更新された配信情報のバージョンの情報を取得することができる。このように、端末装置は、情報提供装置に記憶される配信情報が更新されると直ちに、情報提供装置から通知を受けるので、情報提供装置に記憶される配信情報が更新されてから、端末装置に配信されるまでの時間を短縮することができる。
【0026】
また端末装置は、情報提供装置と端末装置との通信を確立することなく更新後の配信情報のバージョンを取得し、呼出し回数に対応する配信情報のバージョンが端末記憶手段に記憶される配信情報のバージョンよりも新しいバージョンであると判定される場合にのみ、情報提供装置に発呼する。したがって、通信料金を不必要に支払うことを防止することができ、たとえば端末装置が配信情報を更新しないときに通信料金が課金されるシステムに比べて、システム全体の通信料金を少なくすることができる。
【0027】
また本発明によれば、情報提供装置を示す発信者識別番号を伴う着呼に応答することによって情報提供装置からの呼出信号を受信した場合、鳴動手段の鳴動が禁止されるので、情報提供装置から配信情報が配信されるときに、鳴動手段が不必要に鳴動することを防止することができる。これによって、応答する必要のない情報提供装置からの呼出信号によって鳴動手段が鳴動する煩わしさを解消することができる。
【0028】
また本発明によれば、情報提供装置を示す発信者識別番号を伴う着呼に応答することによって情報提供装置からの呼出信号を受信した場合、表示手段による発信者識別番号の表示が禁止されるので、情報提供装置から配信情報が配信されるときに、表示手段に不必要に発信者識別番号が表示されることを防止することができる。これによって、使用者が折り返し発呼する必要のない発信者識別番号が表示手段に表示されるという煩わしさを解消することができる。
【0029】
また本発明によれば、前述の効果を達成する情報提供装置および前述の効果を達成する端末装置によって情報提供システムが実現される。このような情報提供システムでは、情報提供装置と端末装置との通信を確立することなく、情報提供装置が端末装置に更新後の配信情報のバージョンを通知することができる。これによって、システム全体の通信料金を少なくすることができるとともに、情報提供装置に記憶される配信情報が更新されてから、端末装置に配信提供されるまでの時間を短縮することができる。
【0030】
またこのような情報提供システムは、呼出しに応答する前に発信者識別情報を送出するという公衆電話回線のサービスを利用して実現される。このようなサービスは既存である。したがって情報提供装置と端末装置との接続のために新たな通信網を構築する必要がなく、設備投資などに要する費用を抑えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
図1は、本発明の実施の一形態である情報提供装置1と端末装置T1,T2,…,Tn−1,Tnとを備える情報提供システム2の構成を示すブロック図である。本実施の形態の情報提供システム2は、情報提供装置1と、複数の端末装置T1,T2,…,Tn−1,Tn(以後、特定の端末装置を示す場合を除いて、端末装置Tと記載する)とを含む。情報提供装置1は、公衆電話回線3(以後、単に回線3とも記載する)を介して端末装置Tに通信可能に接続される。
【0032】
本実施の形態の情報提供システム2は、公衆電話回線(Public Switched Telephone
Network)3を利用して、情報を伝達する通信システムである。情報提供システム2は、情報の伝達にあたって、通信事業者が提供する公衆電話回線網の発信者番号通知サービスを利用する。
【0033】
本実施の形態において、発信者番号通知サービスとは、発信者識別情報(Caller
Identification code)を、着呼側の通信装置である端末装置Tに通知するサービスである。発信者番号通知サービスでは、発呼側の通信装置が発信者識別番号の付加を選択して発呼する場合、発信者識別情報として、発呼側の通信装置の識別番号を示す情報(以後、発信者識別番号と記載する)が、端末装置Tに通知される。また発呼側の通信装置が発信者識別番号を付加しないことを選択して発呼する場合、発信者識別番号通知を禁止する旨を示す情報が、端末装置Tに通知される。
【0034】
公衆電話回線3は、モデム4を介して情報提供装置1と接続される。モデム4は、デジタル信号をアナログ信号に変調し、アナログ信号をデジタル信号に復調する。
【0035】
図2は、情報提供装置1の構成を示すブロック図である。情報提供装置1は、たとえばサーバコンピュータによって実現され、提供装置通信手段5と、提供装置記憶手段6と、提供装置制御手段7とを備える。提供装置通信手段5は、モデム4および公衆電話回線3を介して、端末装置Tと通信可能に構成される。
【0036】
提供装置記憶手段6は、端末装置Tで利用される配信情報を記憶する。端末装置Tで利用される配信情報とは、たとえば、端末装置Tで用いられるソフトウェアである。端末装置Tで用いられるソフトウェアとしては、たとえば、端末装置Tの動作を制御するプログラムが挙げられる。このようなプログラムは、フラッシュメモリなどの後述する端末記憶手段10に格納される。端末装置Tに電源が投入されると、後述する端末制御手段11のCPUがフラッシュメモリからプログラムを読込み、プログラムの実行が可能となる。また端末装置Tで利用される配信情報としては、プログラムに限定されることなく、たとえば端末装置Tの後述する表示装置13に表示される画像のデータ、または端末装置Tのスピーカから出力される音楽情報などであってもよい。配信情報は、更新手段8によって提供装置記憶手段6に記憶されている配信情報よりも新しいバージョンの配信情報が提供装置記憶手段6に記憶される。これによって配信情報は不定期に更新され、提供装置記憶手段6に上書き保存される。
【0037】
配信情報のバージョン番号は、たとえば、1から始まり、バージョンが新しくなるにつれてその数字が大きくなる。配信情報のバージョン番号は、算用数字によって表されることに限定されず、たとえばアルファベットなどの文字で表されてもよい。また提供装置記憶手段6は、表1に示すように、複数の端末装置T1,T2,…,Tn−1,Tnの電話番号のデータベースを記憶している。
【0038】
【表1】

【0039】
提供装置制御手段7は、たとえばCPU(Central Processing Unit;中央演算処理装置)と、CPUによって実行処理される制御プログラムを備えるメモリとによって実現される。提供装置制御手段7は、情報提供装置1全体の動作を制御する。提供装置制御手段7による制御の動作の詳細は、後述の図6において説明する。
【0040】
図3は、端末装置Tの構成を示すブロック図である。端末装置Tは、情報提供装置1から配信提供される配信情報を利用して動作する。情報提供装置1が配信情報を配信提供することを、単に配信、または単に提供とも記載する場合がある。端末装置Tは、端末通信手段9と、端末記憶手段10と、端末制御手段11とを備える。本実施の形態の端末装置Tは、公衆電話回線3を介して情報提供装置1と通信可能に構成されるファクシミリ装置である。
【0041】
端末通信手段9は、公衆電話回線3を介して、端末装置Tと情報提供装置1とを通信可能に構成する。端末通信手段9は、公衆電話回線3を介して与えられる情報提供装置1の発信者識別番号を取得可能に構成される。
【0042】
端末記憶手段10は、情報提供装置1から配信提供される配信情報を、その配信情報のバージョンの情報とともに記憶する。配信情報のバージョンの情報は、配信情報のバージョン番号を含む。また端末記憶手段10は、情報提供装置1の発信者識別番号である情報提供装置1の電話番号の情報を記憶している。
【0043】
端末装置Tは、鳴動手段12および表示手段13を備える。また端末装置Tは、入力手段、画像読取手段および印刷手段などのファクシミリ装置に備えられる手段を備える。
【0044】
鳴動手段12は、着呼に応答することによって呼出しを受けたとき、呼出しに合わせて鳴動する。鳴動手段12は、たとえばスピーカ用の増幅器と、スピーカとによって構成される。表示手段13は、着呼に応答することによって呼出しを受けたとき、発呼側の通信装置の発信者識別番号を表示する。表示手段13は、たとえば液晶表示装置(Liquid
Crystal Display:略称LCD)によって構成される。
【0045】
端末制御手段11は、たとえばCPUと、CPUによって実行処理される制御プログラムを備えるメモリとによって実現される。端末制御手段11は、端末装置T全体の動作を制御する。端末制御手段11による制御の動作は、後述の図7において説明する。
【0046】
図4は、情報提供装置1から端末装置Tに更新後の配信情報のバージョン情報を与えるための動作を示すシーケンス図である。以下図4を用いて、情報提供装置1が端末装置Tに発呼し、発呼に対する端末装置Tの応答後、更新後の配信情報のバージョンに対応する呼出し回数だけ呼出して回線を開放するまでの流れを説明する。
【0047】
公衆電話回線3は、送出部である交換機14を含む。交換機14は、発呼後で、かつ、この発呼に基づく呼出しに対する応答によって通信が確立される前に、発信者識別番号を送出する。
【0048】
提供装置記憶手段6に記憶される配信情報が更新されると、情報提供装置1は、発呼信号21を交換機14に送信する。交換機14は、情報提供装置1から送信される発呼信号21を受信すると、発信音22を情報提供装置1に送信する。情報提供装置1は、交換機14から発信音22を受信すると、この発信音22を可聴音として出力する。発信音22が可聴音として出力されると、情報提供装置1は、通信相手である端末装置Tの電話番号を選択する選択信号23を交換機14に送信する。選択信号は、DTMF(Dual Tone
Multiple Frequency)信号またはパルス信号である。本実施の形態では、交換機14に発呼信号21を送信し、かつ交換機14に選択信号23を送信することを、発呼と記載する。
【0049】
交換機14は、情報提供装置1から選択信号23を受信すると、通信相手として選択された端末装置Tに起動信号24を送信する。起動信号24とは、端末装置Tに発信者識別番号を通知する着信があることを伝える信号である。端末装置Tは、起動信号24を受信すると、一次応答信号25を交換機14に送信する。一次応答信号25とは、端末装置Tが発信者識別番号などの発信者識別情報を受信可能となったことを示す信号である。端末装置Tが起動信号24を受信することを、着呼と記載する。
【0050】
起動信号24は、情報提供装置1からの発呼信号21および選択信号23を受取ることによって送信される信号である。したがって本実施の形態では、発呼によって送信される起動信号24に対して一次応答信号25を送信することを、発呼に対する応答と記載する。
【0051】
交換機14は、端末装置Tからの一次応答信号25を受信すると、発信者識別情報信号26を端末装置Tに送信する。端末装置Tは、交換機14から発信者識別情報信号26を受信することによって、発呼側の通信装置の発信者識別番号を取得することができる。また端末装置Tは、交換機14から発信者識別情報信号26を受信すると、受信完了信号27を交換機14に送信する。
【0052】
交換機14は、端末装置Tから受信完了信号27を受信すると、端末装置Tに呼出信号28を送信するとともに、情報提供装置1に呼出音29を送信する。情報提供装置1は、交換機14から呼出音29を受信すると、この呼出音29を可聴音であるリングバックトーン信号として出力する。
【0053】
情報提供装置1は、リングバックトーン信号として出力される呼出音29の出力回数である呼出し回数をカウントし、更新後の配信情報のバージョンに応じて決定される呼出し回数に達すると、交換機14に切断信号30を送信する。更新後の配信情報のバージョンに応じて決定される呼出し回数は、たとえば更新後の配信情報のバージョン番号に応じて決定される。情報提供装置1は、前述のようにモデム4を介して公衆電話回線3に接続される。モデム4は、リングバックトーン信号の周波数を検出する機能またはキャリア検出機能を有する。以下呼出回数をカウントする方法の一例として、リングバックトーン信号の周波数を検出することによって呼出回数をカウントする方法を説明する。
【0054】
情報提供装置1は、公衆電話回線3からの信号を受信している。提供装置制御手段7は、受信信号がオンである状態に変化した時点から、信号がオン状態であるときの時間(以下「信号オン時間」という)の計測を開始する。信号がオフ状態となると、信号オン時間の計測値Tonを提供装置記憶手段6に記憶し、信号がオフ状態であるときの時間(以下「信号オフ時間」という)の計測を開始する。信号がオン状態となると、信号オフ時間の計測値Toffを提供装置記憶手段6に記憶する。情報提供装置1の提供装置制御手段7には、リングバックトーン信号がオン状態であるときの予め定める時間、およびリングバックトーン信号がオフ状態であるときの予め定める時間が記憶されている。
【0055】
提供装置制御手段7は、信号オン時間の計測値Tonが、前記リングバックトーン信号がオン状態であるときの予め定める時間の範囲内であるか否かを判断する。信号オン時間の計測値Tonが、前記リングバックトーン信号がオン状態であるときの予め定める時間の範囲内でなければ、受信した信号はリングバックトーン信号ではないと判断する。また信号オン時間の計測値Tonが、前記リングバックトーン信号がオン状態であるときの予め定める時間の範囲内であれば、信号オフ時間の計測値Toffが、前記リングバックトーン信号がオフ状態であるときの予め定める時間の範囲内であるか否かを判断する。信号オフ時間の計測値Toffが、前記リングバックトーン信号がオフ状態であるときの予め定める時間の範囲内でなければ、受信した信号はリングバックトーン信号ではないと判断する。また信号オフ時間の計測値Toffが、前記リングバックトーン信号がオフ状態であるときの予め定める時間の範囲内であれば、受信した信号がリングバックトーン信号であると判断し、ここで呼出信号を1回としてカウントする。これを繰返すことによって、呼出し回数をカウントする。
【0056】
更新後の配信情報のバージョンに応じて決定される呼出し回数の決定方法について以下説明する。たとえば、更新前の提供装置記憶手段6に記憶される配信情報のバージョン「A」の呼出し回数が1回であり、更新後の配信情報のバージョンが「C」である場合、2回の更新があったとして呼出し回数を2回増加し、バージョン「C」の呼出し回数を3回に決定する。また呼出し回数は、たとえば、更新前の提供装置記憶手段6に記憶される配信情報のバージョンの呼出し回数であるN回(Nは自然数)に1回の呼出し回数を加え、更新後の配信情報のバージョンについての呼出し回数を(N+1)回とする、というように決定されてもよい。
【0057】
交換機14は、情報提供装置1から切断信号30を受信すると、端末装置Tに切断信号31を送信する。端末装置Tに切断信号31が送信されることによって、公衆電話回線3が開放される。
【0058】
図5は、端末装置Tが情報提供装置1に記憶される更新後の配信情報を取得するための動作を示すシーケンス図である。以下図5を用いて、端末装置Tが情報提供装置1に発呼し、情報提供装置1から配信される配信情報を取得するまでの流れを説明する。
【0059】
提供装置記憶手段6に記憶される更新後の配信情報のバージョンが、端末記憶手段10に記憶される配信情報のバージョンよりも新しいと判定されると、端末装置Tは、発呼信号32を交換機14に送信する。交換機14は、端末装置Tから送信される発呼信号32を受信すると、発信音33を端末装置Tに送信する。端末装置Tは、交換機14から発信音33を受信すると、この発信音33を可聴音として出力する。このときに端末装置Tは、通信相手である情報提供装置1を選択する選択信号34を交換機14に送信する。
【0060】
交換機14は、端末装置Tから選択信号34を受信すると、通信相手として選択された情報提供装置1に呼出信号35を送信するとともに、端末装置Tに呼出音36を送信する。端末装置Tは、交換機14から呼出音36を受信すると、この呼出音36を可聴音として出力する。
【0061】
情報提供装置1は、交換機14から呼出信号35を受信すると、応答信号37を交換機14に送信する。本実施の形態では、呼出信号35に対して応答信号37を送信することを、呼出しに対する応答、または呼出信号に対する応答と記載する。呼出しに対する応答と、発呼に対する応答とが混同されることを防止するために、呼出信号35に対して送信される応答信号37を、二次応答信号37と記載する。
【0062】
交換機14は、情報提供装置1から二次応答信号37を受信すると、情報提供装置1が端末装置Tの呼出しに対して応答したことを伝えるもう1つの応答信号38を端末装置Tに送信する。これによって、情報提供装置1と端末装置Tとの通信が確立される。情報提供装置1と端末装置Tとの通信が確立されると、通信料金が発生する。
【0063】
情報提供装置1と端末装置Tとの通信が確立されると、情報提供装置1は、端末装置Tからの発呼によって送信される交換機14からの呼出信号に応答して、提供装置記憶手段6に記憶される更新後の配信情報のデータを送信する。端末装置Tは、この送信される配信情報のデータを受信する。情報提供装置1は、配信情報のデータの送信を終了すると、交換機14に終話信号39を送信する。これによって、情報提供装置1と端末装置Tとの通信が切断される。情報提供装置1と端末装置Tとの通信が切断されると、通信料金の課金が停止する。
【0064】
交換機14は、情報提供装置1から終話信号39を受信すると、端末装置Tに話中音40を送信する。端末装置Tは、交換機14から話中音40を受信すると、この話中音40を可聴音として出力する。また端末装置Tは、交換機14から話中音40を受信すると、交換機14に切断信号41を送信する。これによって、公衆電話回線3が開放される。
【0065】
図4に示すように、情報提供装置1は、提供装置記憶手段6に記憶される配信情報が更新されると、端末装置Tに対して発呼する。これによって、端末装置Tに配信情報の更新があったことを通知することができる。また情報提供装置1に記憶される配信情報が更新されてから直ちに、配信情報の更新があったことを端末装置Tに通知することができるので、たとえば端末装置から情報提供装置に対して配信情報の提供を要求するシステムに比べて、端末装置Tに更新があったことを通知するまでの時間を短縮することができる。
【0066】
さらに情報提供装置1は、更新後の配信情報のバージョンに対応する呼出し回数だけ呼出して回線3を開放することによって、情報提供装置1と端末装置Tとの通信を確立することなく、端末装置Tに対して更新後の配信情報のバージョン番号を通知することができる。これによって、通信料金を不必要に支払うことなく端末装置Tが更新後の配信情報のバージョン番号を取得することができ、システム全体の通信料金を少なくすることができる。
【0067】
また図5に示すように、更新後の配信情報のバージョンが、端末記憶手段10に記憶される配信情報のバージョンよりも新しいと判定されるときに、端末装置Tから配信情報を送信するように情報提供装置1に要求することによって、配信情報が端末装置Tに取得される。これによって、更新後の配信情報のバージョンが、端末記憶手段10に記憶される配信情報のバージョンよりも新しいと判定されると直ちに、情報提供装置1に配信情報の送信を要求することができ、たとえば端末装置から情報提供装置に対して配信情報の提供を要求するシステムに比べて、端末装置Tに更新後の配信情報が配信されるまでの時間を短縮することができる。
【0068】
図6は、情報提供装置1に備えられる提供装置制御手段7の動作の手順を示すフローチャートである。情報提供装置1の提供装置制御手段7を、図6のフローチャートに示すように動作させることによって、図4に示されるシーケンスを実現することができる。
【0069】
提供装置記憶手段6に記憶されている配信情報よりも新しいバージョンの配信情報が提供装置記憶手段6に記憶され、提供装置記憶手段6に記憶される配信情報が更新されると、ステップa0からステップa1に移る。
【0070】
ステップa1では、更新後の配信情報のバージョンに応じて、端末装置Tに対する呼出し回数mを提供装置制御手段7が決定する。呼出し回数は、前述のように配信情報のバージョン番号に応じて決定され、本実施の形態ではm回に決定される。ステップa1において端末装置Tに対する呼出し回数がm回に決定されると、ステップa2に移る。
【0071】
ステップa2では、提供装置記憶手段6に記憶されるデータベースから、提供装置制御手段7が端末装置Tの電話番号を取得する。本実施の形態では、第1端末装置T1、第2端末装置T2、…、第n−1端末装置Tn−1、第n端末装置Tnの順に電話番号を取得し、発呼する。したがって、提供装置制御手段7は、まず第1端末装置T1の電話番号を取得する。第1端末装置T1の電話番号は、表1に示すように、(0555−22−xxxx)である。ステップa2において端末装置Tの電話番号が取得されると、ステップa3に移る。
【0072】
ステップa3では、提供装置制御手段7は、提供装置通信手段5を制御し、ステップa2において電話番号を取得した端末装置Tに対して発信者識別番号の付加を選択して発呼させる。情報提供装置1は、交換機14に発呼信号21を送信する。交換機14が情報提供装置1から発呼信号21を受信すると、発信音22が交換機14から情報提供装置1に送信される。情報提供装置1に発信音22が送信されると、情報提供装置1は、発信音22を可聴音として出力する。また情報提供装置1に発信音22が送信されると、ステップa2において電話番号を取得した端末装置Tを選択する選択信号23を交換機14に送信する。
【0073】
情報提供装置1が端末装置Tに対して発信者識別番号の付加を選択して発呼すると、発呼側の情報提供装置1の識別番号を示す情報が、交換機14を介して端末装置Tに通知される。情報提供装置1が端末装置Tに対して発信者識別番号の付加を選択して発呼すると、図4に示すように端末装置Tから交換機14に受信完了信号27が送信される。交換機14が受信完了信号27を受信すると、交換機14は情報提供装置1に呼出音29を送信する。情報提供装置1は、呼出音29を可聴音であるリングバックトーン信号として出力する。ステップa3において、端末装置Tに対して発信者識別番号の付加を選択して発呼し、呼出音29を受信すると、ステップa4に移る。
【0074】
ステップa4では、提供装置制御手段7が呼出音29の回数である呼出し回数をカウントし、カウントした呼出し回数が、ステップa1で決定された更新後の配信情報のバージョンについての呼出し回数であるm回に達したか否かを判定する。提供装置制御手段7によってカウントされた呼出音29の呼出し回数が、更新後の配信情報のバージョンについての呼出し回数であるm回に達していないと判定されると、再びステップa4に戻る。これによって、提供装置制御手段7によってカウントされた呼出音29の呼出し回数が、更新後の配信情報のバージョンについての呼出し回数であるm回に達するまで、ステップa4が繰返される。
【0075】
ステップa4において、提供装置制御手段7によってカウントされた呼出音29の呼出し回数が、更新後の配信情報のバージョンについての呼出し回数であるm回に達したと判定されると、ステップa5に移る。
【0076】
ステップa5では、提供装置制御手段7が提供装置通信手段5を制御することによって、公衆電話回線3を開放させる。提供装置制御手段7は、提供装置通信手段5を制御することによって情報提供装置1から切断信号30を交換機14に送信する。これによって、公衆電話回線3が開放される。公衆電話回線3が開放されると、端末装置Tへの呼出信号28の送信は停止される。ステップa5において公衆電話回線3が開放されると、ステップa6に移る。
【0077】
ステップa6では、ステップa2で電話番号を取得し、ステップa3で発呼した端末装置Tが、最終の端末装置であるか否かを提供装置制御手段7が判定する。本実施の形態では、前述のようにまず第1端末装置T1の電話番号を取得し、発呼する。その後、第2端末装置T2、…、第n−1端末装置Tn−1、第n端末装置Tnの順に電話番号を取得し、発呼する。したがって、本実施の形態では、第n端末装置Tnが最終の端末装置となる。
【0078】
ステップa6では、ステップa3で発呼した端末装置Tが第n端末装置Tnであればステップa7に移って制御の動作を終了する。ステップa2で電話番号を取得し、ステップa3で発呼した端末装置Tが第n端末装置Tnでなければ、ステップa2に戻り、次の端末装置Tの電話番号を取得する。たとえばステップa2で電話番号を取得し、ステップa3で発呼した端末装置Tが第1端末装置T1である場合、ステップa2に戻り、第2端末装置T2の電話番号を取得する。このようにして、本実施の形態のように第1端末装置T1、第2端末装置T2、…、第n−1端末装置Tn−1、第n端末装置Tnの順に電話番号を取得し発呼して、呼出し回数がm回に達したときに回線3を開放する一連の動作を繰返す。
【0079】
図7は、端末装置Tに備えられる端末制御手段11の動作の手順を示すフローチャートである。端末装置Tの端末制御手段11を、図7のフローチャートに示すように動作させることによって、図4および図5に示されるシーケンスを実現することができる。
【0080】
情報提供装置1を含む通信装置から公衆電話回線3に含まれる交換機14に発呼信号および選択信号が送信され、交換機14から端末装置Tに起動信号が送信されると、ステップb0からステップb1に移る。
【0081】
ステップb1では、発信者識別情報信号26によって通知される発信者識別番号が、端末記憶手段10に記憶される情報提供装置1の発信者識別番号であるか否かを端末制御手段11が判定する。
【0082】
ステップb1では、交換機14から端末装置Tに起動信号24が送信されると、この起動信号24に対して応答する一次応答信号25を端末装置Tが交換機14に送信する。端末装置Tが一次応答信号25を交換機14に送信すると、交換機14から発信者識別情報信号26が送信される。端末装置Tは、この発信者識別情報信号26を受信することによって、発呼側の通信装置の発信者識別番号を取得することができる。発信者識別情報信号26を受信すると、端末装置Tは交換機14に受信完了信号27を送信する。
【0083】
ステップb1において、取得した発呼側の通信装置の発信者識別番号が、情報提供装置1の発信者識別番号でないと判定されると、通常の着信であるので、ステップb11に移る。ステップb11では、鳴動手段12および表示手段13を制御し、鳴動手段12および表示手段13を動作させる。ステップb11において鳴動手段12および表示手段13が動作されると、ステップb10に移り、情報提供システム2を実現するための制御の動作を終了する。通常の着信とは、本実施の形態の情報提供装置1を除く通信装置からの着信であり、たとえば通常の電話機またはファクシミリ装置による呼出しである。
【0084】
ステップb1において、取得した発呼側の通信装置の発信者識別番号が、情報提供装置1の発信者識別番号であると判定されると、ステップb2に移る。
【0085】
ステップb2では、情報提供装置1に送信される呼出音の呼出し回数を端末制御手段11がカウントする。端末装置Tが発信者識別番号を取得し、交換機14に受信完了信号27を送信すると、交換機14から情報提供装置1に呼出音29が送信される。また交換機14から端末装置Tに呼出信号28が送信される。
【0086】
端末装置Tは、公衆電話回線3からの信号を受信している。端末制御手段11は、入力信号がオンである状態に変化した時点から、信号がオン状態であるときの時間(以下「信号オン時間」という)の計測を開始する。信号がオフ状態となると、信号オン時間の計測値Tonを端末記憶手段10に記憶し、信号がオフ状態であるときの時間(以下「信号オフ時間」という)の計測を開始する。信号がオン状態となると、信号オフ時間の計測値Toffを端末記憶手段10に記憶する。端末装置Tの端末制御手段11には、呼出信号がオン状態であるときの予め定める時間、および呼出信号がオフ状態であるときの予め定める時間が記憶されている。
【0087】
端末制御手段11は、信号オン時間の計測値Tonが、前記呼出信号がオン状態であるときの予め定める時間の範囲内であるか否かを判断する。信号オン時間の計測値Tonが、前記呼出信号がオン状態であるときの予め定める時間の範囲内でなければ、受信した呼出信号ではないと判断する。また信号オン時間の計測値Tonが、前記呼出信号がオン状態であるときの予め定める時間の範囲内であれば、信号オフ時間の計測値Toffが、前記呼出信号がオフ状態であるときの予め定める時間の範囲内であるか否かを判断する。信号オフ時間の計測値Toffが、前記呼出信号がオフ状態であるときの予め定める時間の範囲内でなければ、受信した信号は呼出信号ではないと判断する。また信号オフ時間の計測値Toffが、前記呼出信号がオフ状態であるときの予め定める時間の範囲内であれば、受信した信号が呼出信号であると判断し、ここで呼出信号を1回としてカウントする。これを繰返すことによって、呼出し回数をカウントする。信号オフ時間計測中に端末記憶手段10に記憶されるあらかじめ定める呼出信号終了時間が経過したにもかかわらず、次の信号がオン状態となることが検出できない場合、呼出信号が終了したと判断する。以上のようにして、呼出し回数をカウントすることができる。ステップb2において端末制御手段11が呼出し回数をカウントすると、ステップb3に移る。
【0088】
ステップb3では、交換機14からの呼出信号28が停止しているか否かを、端末制御手段11が判定する。交換機14からの呼出信号28が停止しているか否かは、呼出信号28を受信しない時間が規定時間経過したか否かによって判定される。規定時間とは、たとえば呼出信号28が送出される時と次の呼出信号28が送出される時との間の時間よりも長い時間である。ステップb3において、交換機14からの呼出信号28が停止していないと判定されると、ステップb2に戻る。ステップb3において、交換機14からの呼出信号28が停止していると判定されると、ステップb4に移る。
【0089】
ステップb4では、ステップb2でカウントされた呼出し回数に基づく更新後の配信情報のバージョンが、端末記憶手段10に記憶される配信情報のバージョンよりも新しいか否かを、端末制御手段11が判定する。
【0090】
たとえば端末制御手段11は、前回の情報配信時における呼出し回数をバージョン番号とともに記憶している。端末制御手段11は、ステップb2でカウントされた呼出し回数が、記憶されているバージョン番号の呼出し回数よりも多いか否かを判定することによって、更新後の配信情報のバージョンが、端末記憶手段10に記憶される配信情報のバージョンよりも新しいか否かを判定する。
【0091】
また端末制御手段11は、情報提供装置1と端末装置Tとの間で取り決められている呼出し回数を取得することによって、更新後の配信情報のバージョンの情報を取得してもよい。たとえば、呼出し回数が1回である場合はバージョン「A」、呼出し回数が2回である場合はバージョン「B」、呼出し回数が3回である場合はバージョン「C」、…のように、呼出し回数が取り決められることによっても、更新後の配信情報のバージョン情報を端末制御手段11が取得することができる。
【0092】
ステップb4において、更新後の配信情報のバージョンが、端末記憶手段10に記憶される配信情報のバージョンよりも新しくないと判定されると、ステップb10に移り、情報提供システム2を実現するための制御の動作を終了する。ステップb4において、更新後の配信情報のバージョンが、端末記憶手段10に記憶される配信情報のバージョンよりも新しいと判定されると、ステップb5に移る。
【0093】
ステップb5では、端末制御手段11は、端末記憶手段10から情報提供装置1の電話番号を取得し、端末通信手段9によって情報提供装置1に発呼するように、端末通信手段9を制御する。ステップb5では、端末装置Tが交換機14に発呼信号32を送信し、交換機14から発信音33を受信する。受信された発信音33は、可聴音として出力され、発信音33を受信すると、端末装置Tは選択信号34を送信する。このようにして、端末装置Tが情報提供装置1に対して発呼する。ステップb5において、端末装置Tが情報提供装置1に発呼すると、ステップb6に移る。
【0094】
ステップb6では、端末装置Tからの発呼に基づいて配信される情報提供装置1からの配信情報のデータを受信する。情報提供装置1は、端末装置Tからの発呼によって送信される交換機14からの呼出信号35に応答して、更新後の配信情報のデータを送信する。端末装置Tは、この送信される配信情報のデータを受信し、DRAM(Dynamic Random
Access Memory)に格納する。ステップb6において、送信される配信情報のデータの受信を終了すると、ステップb7に移る。
【0095】
ステップb7では、端末制御手段11が端末通信手段9を制御することによって、公衆電話回線3を開放させる。情報提供装置1によって終話信号39が交換機14に送信されると、交換機14から端末装置Tに話中音40が送信される。端末装置Tは、話中音40を受信すると、交換機14に切断信号41を送信する。これによって、公衆電話回線3が開放される。公衆電話回線3が開放されることによって、端末装置Tと、発呼された情報提供装置1との通信状態が切断される。ステップb7において公衆電話回線3が開放されると、ステップb8に移る。
【0096】
ステップb8では、端末制御手段11は、受信した配信情報のデータを端末記憶手段10に記憶させる。ステップb6で受信されたデータは、DRAMなどの一時的ではあるけれども高速に書き込み可能なメモリに格納されている。ステップb6で受信されるデータはフラッシュメモリなどの不揮発性メモリに格納されるのが望ましいけれども、ステップb6では公衆電話回線3から高速でデータを受信しており、データを受信しながら不揮発性メモリにデータを書込もうとすると、データの受信に対して書込みが間に合わないという問題が発生する場合がある。したがって、ステップb8では、公衆電話回線3からのデータ受信終了後に、ステップb6でDRAMに格納されたデータを不揮発性メモリに転送し、データを記憶する。ステップb8において、受信した配信情報のデータが端末記憶手段10に記憶されると、ステップb9に移る。
【0097】
ステップb9では、端末制御手段11が、端末装置Tのシステムをリセットする。端末装置Tのシステムをリセットすることによって端末装置Tが再起動されると、ステップb8において記憶された最新の配信情報を利用して端末装置Tを動作させることができる。ステップb9において端末装置Tのシステムがリセットされると、ステップb10に移って制御の動作を終了する。
【0098】
以上のように本実施の形態の情報提供システム2によれば、システム全体の通信料金を少なくすることができる。またたとえば端末装置Tから情報提供装置1に最新の配信情報を要求するように発呼するシステムに比べて、情報提供装置1に記憶される配信情報が更新されてから、端末装置Tに配信されるまでの時間を短縮することができる。
【0099】
また情報提供装置1に記憶される配信情報が更新されてから、端末装置Tに配信されるまでの時間をさらに短縮するシステムとして、情報提供装置1を複数備えることが好ましい。複数の情報提供装置1を備える場合、複数の情報提供装置1のうち、たとえば1個の情報提供装置1を、更新後の配信情報のバージョンを端末装置に通知するための専用の情報提供装置とする。また複数の情報提供装置1の残りを、端末装置Tからの発呼によって提供装置記憶手段6に記憶される配信情報を端末装置Tに配信させるための情報提供装置とする。このとき、端末装置Tには、バージョン通知用の情報提供装置1の発信者識別番号と、少なくとも端末装置Tが発呼する対象の情報提供装置1の電話番号を記憶させておく。このようなシステムでは、情報提供装置1が他の端末装置Tに発呼していることによって端末装置Tからの発呼に情報提供装置1が応答できない、という不具合を解消することができ、システム全体の均衡化を図ることができる。
【0100】
このような情報提供システムの構成は、上記の構成に限定されることなく、種々の変更が可能である。また情報提供装置1および端末装置Tの構成についても、上記の構成に限定されることなく、種々の変更が可能である。
【0101】
本実施の形態では、情報提供装置1の提供装置記憶手段6に記憶される配信情報は、不定期に更新されて上書き保存される。提供装置記憶手段6の構成としてはこれに限定されることなく、上書きされずに更新後の配信情報が保存されてもよい。このような場合、提供装置制御手段7は、端末装置Tからの着呼に基づく配信情報の送信において、更新後の最新の配信情報を読出し、読出した配信情報を端末装置Tに配信提供する。
【0102】
また本実施の形態では、情報提供装置1は、同じ種類の配信情報を利用する端末装置T1,T2,…,Tn−1,Tnに配信情報を提供する場合について説明したけれども、異なる種類の配信情報を利用する複数の端末装置Tに配信情報を提供してもよい。たとえば、第1端末装置T1が配信情報S1を利用し、第2端末装置T2が配信情報S2を利用し、第n−1端末装置Tn−1が配信情報S2を利用し、第n端末装置Tnが配信情報S1を利用する場合、提供装置記憶手段6には、表2に示すようなテーブルデータが記憶される。
【0103】
【表2】

【0104】
異なる種類の配信情報を利用する複数の端末装置Tに配信情報を配信提供する情報提供装置1では、たとえば配信情報S1が更新された場合、配信情報S1を用いる端末装置Tの電話番号を取得し、発呼する。配信情報S1を用いない端末装置Tについては発呼しない。このようなテーブルデータを設けることによって、異なる種類の配信情報を利用する複数の端末装置Tに対しても、配信情報の提供が可能となる。
【0105】
本実施の形態では、端末装置Tは、着呼に応答することによって呼出しを受けたとき、呼出しに合わせて鳴動する鳴動手段12を備える。このような鳴動手段12は、端末制御手段11に制御され、情報提供装置1を示す発信者識別番号を伴う着呼に応答することによって呼出しを受けても、呼出しに合わせた鳴動が禁止されることが好ましい。
【0106】
情報提供装置1に記憶された更新後の配信情報のバージョンは、情報提供装置1からの発呼に伴う呼出し回数によって端末装置Tに取得される。したがって端末装置Tは、情報提供装置1からの発呼に伴う呼出信号28に対して応答することはない。応答する必要のない情報提供装置からの呼出信号の受信をするときに鳴動手段12が鳴動することは、使用者にとって煩わしいものとなる。情報提供装置1を示す発信者識別番号を伴う着呼に応答することによって情報提供装置1からの呼出信号28を受信した場合、鳴動手段12の鳴動が禁止されると、上記のような鳴動手段12が鳴動する煩わしさを解消することができる。
【0107】
また本実施の形態では、端末装置Tは、発信者識別番号を伴う着呼に応答することによって呼出しを受けたとき、発信者識別番号を表示する表示手段13を備える。このような表示手段13は、端末制御手段11に制御され、情報提供装置1を示す発信者識別番号を伴う着呼があっても、発信者識別番号の表示が禁止されることが好ましい。
【0108】
端末装置Tが情報提供装置1に対して発呼するのは、情報提供装置1に記憶された配信情報が更新され、かつ更新後の配信情報のバージョンが、端末装置Tに記憶される配信情報のバージョンよりも新しい場合である。またこのような場合における端末装置Tからの発呼は、端末制御手段11の図7に示す一連の制御の動作に基づくものであるので、使用者が情報提供装置1に対して発呼することはない。したがって情報提供装置1を示す発信者識別番号を伴う着呼がある場合に、表示手段13による発信者識別番号の表示が禁止されると、使用者が折り返し発呼する必要のない発信者識別番号が表示手段13に表示されるという煩わしさを解消することができる。
【0109】
また本実施の形態の情報提供システムでは、図5に示すように、端末装置Tから交換機14に選択信号34を送信することによって、交換機14から情報提供装置1に呼出信号35が送信される。図5に示すシーケンスでは、情報提供装置1は、発呼側の通信装置の発信者識別番号を取得可能に構成されないけれども、発呼側の端末装置Tの発信者識別番号を取得可能に構成されてもよい。
【0110】
情報提供装置1が発呼側の端末装置Tの発信者識別番号を取得可能に構成される場合、端末装置Tから交換機14に選択信号34が送信された後、端末装置Tに呼出音36が送信され、かつ情報提供装置1に呼出信号35が送信されるまでのシーケンスは次のようになる。
【0111】
端末装置Tから交換機14に選択信号34を送信すると、交換機14から情報提供装置1に起動信号が送信される。情報提供装置1は、交換機14から起動信号を受信すると、交換機14に一次応答信号を送信する。交換機14は、情報提供装置1から一次応答信号を受信すると、情報提供装置1に発信者識別情報信号を送信する。情報提供装置1は、交換機14から発信者識別情報信号を受信すると、交換機14に受信完了信号を送信する。交換機14は、情報提供装置1から受信完了信号を受信すると、情報提供装置1に呼出信号35を送信し、かつ端末装置Tに呼出音36を送信する。
【0112】
また本実施の形態では、端末装置Tは、公衆電話回線3を介して情報提供装置1と通信可能に構成されるファクシミリ装置であるけれども、これに限定されない。端末装置Tは、公衆電話回線3を介して情報提供装置1と通信可能に構成されればどのような通信装置であってもよく、複合機、携帯電話機などであってもよい。端末装置Tが携帯型の通信装置である場合、公衆電話回線3として携帯電話回線を用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0113】
【図1】本発明の実施の一形態である情報提供装置1と端末装置T1,T2,…,Tn−1,Tnとを備える情報提供システム2の構成を示すブロック図である。
【図2】情報提供装置1の構成を示すブロック図である。
【図3】端末装置Tの構成を示すブロック図である。
【図4】情報提供装置1から端末装置Tに更新後の配信情報のバージョン情報を与えるための動作を示すシーケンス図である。
【図5】端末装置Tが情報提供装置1に記憶される更新後の配信情報を取得するための動作を示すシーケンス図である。
【図6】情報提供装置1に備えられる提供装置制御手段7の動作の手順を示すフローチャートである。
【図7】端末装置Tに備えられる端末制御手段11の動作の手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0114】
1 情報提供装置
2 情報提供システム
3 公衆電話回線
4 モデム
5 提供装置通信手段
6 提供装置記憶手段
7 提供装置制御手段
8 更新手段
9 端末通信手段
10 端末記憶手段
11 端末制御手段
12 鳴動手段
13 表示手段
14 交換機
T,T1,T2,Tn−1,Tn 端末装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
公衆電話回線を介して端末装置に通信可能に接続される情報提供装置であって、
端末装置と通信するための提供装置通信手段と、
端末装置で利用される配信情報を記憶する提供装置記憶手段と、
提供装置記憶手段に記憶される配信情報が更新されると、発信者識別番号の付加を選択して端末装置に発呼し、発呼に対する端末装置の応答後、更新後の配信情報のバージョンに対応する呼出し回数だけ呼出して回線を開放することによって、更新後の配信情報のバージョンを端末装置に通知させ、更新後の配信情報のバージョンの通知後に、端末装置から発呼されると、その発呼に基づいて、提供装置記憶手段に記憶される配信情報を端末装置に配信させる提供装置制御手段とを備えることを特徴とする情報提供装置。
【請求項2】
公衆電話回線を介して情報提供装置に通信可能に接続され、情報提供装置から配信提供される配信情報を利用して動作する端末装置であって、
情報提供装置と通信するための端末通信手段と、
配信情報を、その配信情報のバージョンの情報とともに記憶する端末記憶手段と、
情報提供装置を示す発信者識別番号を伴う着呼に応答することによって呼出しを受けた後に回線が解放されると、回線が開放される前の呼出し回数に対応する配信情報のバージョンが、端末記憶手段に記憶される配信情報のバージョンよりも新しいバージョンか否かを判定し、新しいバージョンであると判定すると、情報提供装置に発呼させ、この発呼に基づいて、情報提供装置から配信情報が配信されると、その配信情報およびその配信情報のバージョンの情報を、端末記憶手段に更新して記憶させる端末制御手段とを備えることを特徴とする端末装置。
【請求項3】
着呼に応答することによって呼出しを受けたとき、呼出しに合わせて鳴動する鳴動手段を備え、
端末制御手段は、情報提供装置を示す発信者識別番号を伴う着呼に応答することによって呼出しを受けても、呼出しに合わせた鳴動手段の鳴動を禁止することを特徴とする請求項2に記載の端末装置。
【請求項4】
発信者識別番号を伴う着呼に応答することによって呼出しを受けたとき、発信者識別番号を表示する表示手段を備え、
端末制御手段は、情報提供装置を示す発信者識別番号を伴う着呼があっても、表示手段による発信者識別番号の表示を禁止することを特徴とする請求項2または3に記載の端末装置。
【請求項5】
請求項1に記載の情報提供装置と、
請求項2〜4のいずれか1つに記載の端末装置とを備えることを特徴とする情報提供システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−306253(P2007−306253A)
【公開日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−131994(P2006−131994)
【出願日】平成18年5月10日(2006.5.10)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】