説明

情報管理システム

【課題】複数の設備機器を対象として制御や管理を行う場合において、設備機器において採用されているプロトコルが異なる場合であっても、管理装置の負荷を抑えつつ設備機器毎の機器データを取得することが可能な情報管理システムを提供する。
【解決手段】複数の空調機の制御もしくは管理を個別に行うための空調監視システムであって、PLCと、中継装置とを備えている。PLCは、所定の基本通信プロトコルに沿った空調機に関する機器データを複数の空調機それぞれについて管理する。中継装置は、収集部と、プロトコル変換部とを有している。収集部は、所定収集条件に基づいて空調機の機器データの収集処理を行う。プロトコル変化部は、取得した空調機に関する機器データが基本通信プロトコル以外の他の通信プロトコルに沿ったものである場合にのみ機器データを基本通信プロトコルに沿うように変換してPLCに対して送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報管理システム、特に、設備機器の制御もしくは管理に関する情報管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、空気調和装置や照明機器等の設備機器について制御したりデータ管理したりするシステムとして、設備機器管理システム等が知られている。
【0003】
例えば、以下に示す特許文献1の情報管理システムでは、制御や管理を行う主体として汎用のコントローラが採用され、このコントローラによって各設備機器が制御・管理されている。そして、このコントローラには、プロトコル変換機能が採用されている。このため、汎用のコントローラにおいて用いられている基準プロトコルと異なる非基準プロトコルによって情報のやりとりが行われる設備機器を制御対象や管理対象に含める場合であっても、このプロトコル変換機能によって基準プロトコルを変換することで、制御・管理対象として含めることができる。すなわち、設備機器において採用されているプロトコルが非基準プロトコルであっても、プロトコルを変換することによって、制御対象や管理対象としてシステムに取り込むことができる。
【特許文献1】特開2004−232980号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述した特許文献1に記載のシステムでは、基準プロトコルが採用された設備機器だけでなく非基準プロトコルが採用された設備機器についても監視対象として含めて監視対象の自由度を広げているため、各設備機器の機器データを基準プロトコルが採用された管理装置で収集する場合に一部のデータについてはプロトコルを変換して収集する必要がある。
【0005】
ここで、管理装置が設備機器の機器データを収集する場合に、例えば、定期的に情報の収集を行う指令を各設備機器に対して送信する等の処理を行う場合には、管理装置は、定期収集のタイミングを図ったり機器データの要求信号を送信する処理等の操作が必要となる。このため、管理装置は、機器データの分析だけでなく、これらの機器データ収集のための処理を行う必要が生じるため、処理負荷が増大してしまう。
【0006】
本発明の課題は、複数の設備機器を対象として制御や管理を行う場合において、設備機器において採用されているプロトコルが異なる場合であっても、管理装置の負荷を抑えつつ設備機器毎の機器データを取得することが可能な情報管理システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1発明に係る情報管理システムは、複数の設備機器の制御もしくは管理を個別に行うための情報管理システムであって、管理装置と、中継装置とを備えている。管理装置は、所定の通信プロトコルに沿った設備機器に関する機器データを複数の設備機器それぞれについて管理する。中継装置は、収集部と、プロトコル変換部とを有している。収集部は、所定収集条件に基づいて設備機器の機器データの収集処理を行う。プロトコル変換部は、取得した設備機器に関する機器データが所定の通信プロトコル以外の個別通信プロトコルに沿ったものである場合にのみ機器データを所定の通信プロトコルに沿うように変換して管理装置に対して送信する。ここで、所定収集条件としては、例えば、定期的、所定設定範囲を超えた旨の報知があった場合等が含まれる。
【0008】
この情報管理システムでは、所定の通信プロトコルを基本として制御装置が各設備機器の機器データを収集することで監視を行うシステムである。そして、この情報管理システムでは、所定の通信プロトコル以外の個別通信プロトコルが用いられている設備機器についてもプロトコル変換装置を介して機器データを収集する対象として含め、多様な設備機器を監視することが可能になっている。
【0009】
そして、ここでは、各設備機器の機器データの収集処理を中継装置に行わせている。そして、管理装置は、中継装置のプロトコル変換部によって所定の通信プロトコル変換されて送信されてくる機器データを管理する。
【0010】
これにより、プロトコル変換のために機器データの経由する中継装置が収集処理を担うことにより、機器データの管理を行う管理装置には収集処理の負荷が掛からないため、管理装置の処理負荷が低減される。
【0011】
第2発明に係る情報管理システムは、第1発明に係る情報管理システムにおいて、中継装置は、収集を許容する収集許容データを複数の設備機器毎に予め格納している収集許可データ記憶部をさらに有している。そして、プロトコル変換部は、複数の設備機器から収集した機器データが収集許容データに対応するか否か設備機器毎に判断し、対応すると判断された場合であって設備機器において所定の通信プロトコル以外の個別通信プロトコルが用いられている場合にのみ機器データを所定の通信プロトコルに沿うように変換して管理装置に対して送信する。なお、ここでの収集許可データとしては、例えば、中継装置が管理装置に対して要求して受信することで有するようになった場合も含まれる。
【0012】
ここで、収集許可データ記憶部には、各設備機器から収集した機器データのうち管理装置に対して送信することが許容されているか否かを判断するための収集許容データが予め格納されている。プロトコル変換部は、この予め格納されている収集許容データに基づいて、各設備機器から収集される機器データが収集許容データに対応しているか否かを判断している。このため、例えば、予め設定されてる収集許容データに対応していない不必要な機器データや誤った機器データが各設備機器から中継装置において収集されることがあったとしても、この不要な機器データや誤った機器データを識別することができる。
【0013】
よって、プロトコル変換部は、各設備機器から収集された全ての機器データをプロトコル変換するという高負荷が掛かる処理を行うのではなく、収集許容データに対応する機器データのみを抽出してプロトコル変換するという負荷を低減させた処理を行うことができ、不要な機器データや誤った機器データの変換処理等の不要な処理負担を回避することができる。
【0014】
これにより、複数の設備機器を対象として機器データを収集する場合において、設備機器において採用されているプロトコルや制御内容や管理内容が異なる場合であっても、プロトコル変換処理が必要な機器データについてのみに限定して行われ、プロトコル変換処理の負荷を低減させることが可能になる。
【発明の効果】
【0015】
第1発明の情報管理システムでは、プロトコル変換のために機器データの経由する中継装置が収集処理を担うことにより、機器データの管理を行う管理装置には収集処理の負荷が掛からないため、管理装置の処理負荷が低減される。
【0016】
第2発明の情報管理システムでは、複数の設備機器を対象として機器データを収集する場合において、設備機器において採用されているプロトコルや制御内容や管理内容が異なる場合であっても、プロトコル変換処理が必要な機器データについてのみに限定して行われ、プロトコル変換処理の負荷を低減させることが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
<空調監視システム100の全体構成>
図1に、本発明の一実施形態に係る空調監視システム100の概略構成図を示す。
【0018】
空調監視システム100は、通信プロトコルが異なる複数種類の空調機に対して運転指令を送って制御したり、空調機データを収集して管理したりするシステムである。
【0019】
この空調監視システム100は、主として、PLC10、中継装置20、基本空調機群30、非基本空調機群40、50、遠隔監視装置90等によって構成されている。
【0020】
ここで、遠隔監視装置90とPLC10とは、インターネット等の公衆回線91によって通信可能に接続されている。また、PLC10と中継装置20とは、各空調機31、32、33の管理に適した独自の基本通信プロトコルに従った通信が行われる。ここで、基本空調機群30は、中継装置20との間でこの基本通信プロトコルP1に従った通信を行う。これに対して、非基本空調機群40、50は、基本空調機群30とは製造メーカーが異なる等により、中継装置20との間で基本通信プロトコルP1とは通信規格の異なる他の通信プロトコルP2、P3に従った通信が行われる。
【0021】
なお、各空調機31〜53は、それぞれに固有のアドレスが割り振られることで管理されており、複数の室内機および室外機を備えるマルチタイプの空調設備であってもよいし、熱源機器および二次側空調機器を備えるセントラル空調設備であってもよい。
【0022】
これらの各空調機31〜53においては、いずれの空調機群30、40、50についても共通する基本的な空調制御については、中継装置20が格納している基本制御データに基づいて実行される。そして、基本制御データでは対応できないような物件毎に応じた制御であって、PLC10においてオプショナルとして設定されるような特殊な制御については、PLC10からの中継装置20を介して各空調機31〜53に送信される制御指令データに基づいて実行される。このように、基本的な空調制御とオプショナルな特殊制御とを分けることにより、物件毎のアプリケーションとしての制御指令データの追加・変更について、少行程数で、低負荷によって迅速に対応することができるようになる。また、空調機31〜53の監視負荷をPLC10と中継装置20とに分けることで、PLC10のCPU負荷と中継装置20のCPU負荷とに分散させている。
【0023】
また、ここでのオプショナルな特別制御としての制御指令データの例としては、複数の熱源装置が設けられている物件において、空調負荷の大きい状態では多くの台数を駆動させて、空調負荷の小さい状態では少ない台数を駆動させる等の熱源駆動台数制御等がある。
【0024】
以下、空調監視システム100の各構成について、それぞれ説明する。
【0025】
PLC10は、中継装置20を介して、複数の空調機31〜53と通信可能に接続されている、いわゆるプログラマブル・ロジック・コントローラと称される制御装置である。このPLC10は、各空調機31〜53に対して各種制御指令データを送信して制御したり、各空調機31〜53から中継装置20を介して空調機データを収集して管理したりする等により、デマンド制御やスケジュール調節制御等によって省エネ運転制御等を行う。ここでの空調機データとしては、例えば、空調機の稼働時間、運転・停止の状態、風量、風向、消費電力量、稼働時の運転モード、センサ等で検出された室内温度、設定温度・室外温度、冷媒圧力、空調機構成する部品の状態、空調機における異常の発生とその異常内容、室外機の冷媒蒸発温度設定値および建物の発熱負荷の設定値等がある。ここでのPLC10での異常の判断としては、例えば、収集された空調機データが、設定されている範囲内でない場合等がある。
【0026】
また、後述する各空調機31〜53の不揮発性メモリ31m〜53mについて、書換寿命に近づいているものがあるとの情報を得た場合には、交換させるように表示出力したりする。ここでの制御指令データの送信や、空調機データの受信に際しては、基本通信プロトコルP1に従った通信により行われる。また、このPLC10は、各空調機31〜53から収集した各種データをインターネット等の公衆回線91を介して遠隔監視装置90に対して送信する。
【0027】
また、中継装置20との通信および遠隔監視装置90との通信を行って空調機31〜53を監視制御するために、PLC10は、PLC管理情報領域、PLC受信情報領域およびPLC送信情報領域の3つの領域からなるPLCメモリ11を有している。PLC管理情報領域では、破棄された制御指令データ、空調機31〜53のハートビートの有無に関するデータ、通信データ、ステータスデータ、アドレスが重複している機器の特定データ等の通信の全体に関わるようなデータが記録される。PLC受信情報領域では、中継装置20が空調機31〜53から収集した空調機データを空調機のアドレス毎に、例えば、“アドレス○○の空調機は現在××状態である”等のようにしてデータを記録する。PLC送信情報領域では、遠隔監視装置90等から受信したPLC10が空調機31〜53に対して送信したいオプショナルな制御指令データ等が記録される。中継装置20は、この領域に記録されている制御指令データを読み出すようにしてデータを受信することになる。
【0028】
中継装置20は、上述したように、PLC10と各空調機31〜53との通信に介在しており、プロトコル変換部21、指令メモリ22、収集メモリ23、通信部24、収集部25、書換制御部26とを有している。
【0029】
プロトコル変換部21は、PLC10と中継装置20との通信に用いられる基本通信プロトコルP1に従っていない他の通信プロトコルP2、P3等の通信データを基本通信プロトコルP1に従ったデータに変換する処理を行う。また、逆に、基本通信プロトコルP1の通信データを他の通信プロトコルP2、P3等に従ったデータに変換する処理を行う。この際、プロトコル変換処理は、後述する指令メモリ22、収集メモリ23に格納されているデータの内容との対応を判断した後に行われる。
【0030】
指令メモリ22は、PLC10から中継装置20を介して各空調機31〜53に対して送信される制御指令データのうち、空調機において対応でき、実現できる、または、設定に従っている基本制御データと、指令許容データと、が格納されている。基本制御データは、上述した各空調機31〜53に共通する空調の基本的な制御に関するデータである。そして、中継装置20は、指令メモリ22の基本制御データを通信部24を介して各空調機31〜53に対して送信することで、各空調機31〜53の空調制御のうちの基本的な制御を可能にしている。ここでの基本制御データについては、中継装置20の指令メモリ22において予め格納させておいてもよいし、初期の設定通信時において、中継装置20がPLC10から取得するようにしてもよい。そして、指令許容データは、PLC10から中継装置20に送信されてくる空調機のオプショナルな制御指令データが、当該制御を行おうとする空調機において実行可能か否か、または、実行可能なように設定されているか否かを判断するためのデータとして扱われる。例えば、PLC10から送信されてくる制御指令データとしては、オペコードと呼ばれるバイト可変長な様々なデータ形態をとることができるものであって、指令許容データでは、そのうちの許容できるデータ形式を定めている、という場合が考えられる。この場合、データ形式が合わない場合に、想定外の制御指令データであると判断することが可能になる。また、例えば、中継装置20から各空調機31〜53に対する制御指令データの送信が1秒間に16個と規制されている設定において、PLC10側からより多くの制御指令データが送信されてきた場合に、指令許容データと対応しないと判断する場合も考えられる。
【0031】
収集メモリ23は、各空調機31〜53から収集される空調機データのうち、予め収集することが設定されている所定の種類の収集許容データが格納されている。ここでの収集許容データとしては、例えば、各空調機31〜53の運転モード、各センサの検知値、設定情報等が設定される。この収集許容データについては、予め収集メモリ23において保持しておく構成であってもよいし、PLC10との通信によって取得できるような構成としてもよい。
【0032】
通信部24は、中継装置20とPLC10との通信や、中継装置20と各空調機31〜53との通信を行う際の各種インターフェイスである。
【0033】
収集部25は、各空調機31〜53からの空調機データを収集するタイミングや、条件等を判断する。そして、収集する際には、収集部25は、通信部24に各空調機31〜53に対して空調機データを要求する信号を送信させるように収集処理を行い、その応答として各空調機31〜53の空調機データを収集する。ここで、収集するタイミングは、各種設定を行うことができ、例えば、定期的に収集するようにタイミングを設定したり、空調機のあるデータが所定値範囲から外れて異常を発報した場合に収集するような設定にしたりすることが可能である。
【0034】
書換制御部26は、後述する空調機31〜53に設けられている不揮発性メモリ31m〜53mの書換回数をカウントし、書換回数が所定回数を上回った場合に、制御指令データの送信頻度を抑えるような制御を行うことで、不揮発性メモリ31m〜53mの書換寿命が早く到来してしまうことを避けるように制御する。具体的には、書換回数が所定回数を超えたことをPLC10に通知することで、PLC10からの制御指令データの頻繁な送信を抑えるようにする。ここでの制御としては、この他に、単位時間当たりの書換回数が所定頻度を超えた場合に制限するような制御とすることも可能である。また、書換回数が寿命間近の不揮発性メモリ31m〜53mがあると判断した場合には、通信部24からPLC10に対してその旨を通知する。
【0035】
基本空調機群30は、空調機31、32、33・・・の複数の空調機から構成されており、中継装置20と基本通信プロトコルP1に沿った通信を行う。また、各空調機31、32、33は、送信されてくる空調指令データや、空調機の温度センサや圧力センサ等の各種センサや設定値等の履歴情報を格納する不揮発性メモリ(例えば、EEPROM)31m、32m、33mをそれぞれ有している。
【0036】
非基本空調機群40は、空調機41、42、43・・・の複数の空調機から構成されており、中継装置20との通信には、基本通信プロトコルP1とは通信規格が異なる他の通信プロトコルP2に従って通信を行う。また、各空調機41、42、43についても、同様に、送信されてくる空調指令データや、空調機の温度センサや圧力センサ等の各種センサや設定値等の履歴情報を格納する不揮発性メモリ(例えば、EEPROM)41m、42m、43mをそれぞれ有している。
【0037】
非基本空調機群50は、空調機51、52、53・・・の複数の空調機から構成されており、中継装置20との通信には、基本通信プロトコルP1とは通信規格が異なる他の通信プロトコルP3に従って通信を行う。また、各空調機51、52、53についても、同様に、送信されてくる空調指令データや、空調機の温度センサや圧力センサ等の各種センサや設定値等の履歴情報を格納する不揮発性メモリ(例えば、EEPROM)51m、52m、53mをそれぞれ有している。
【0038】
これらの不揮発性メモリ31m〜53mには、例えば、10万回などの書換回数の制限があり、それを超える書換については保証されていないものが相当する。
【0039】
また、これらの不揮発性メモリ31m〜53mに関して、各空調機31〜53に隣接して設けられている手動コントローラ(図示せず)からの設定変更等の指令についても書換記憶され、書換の1回としてカウントされる。
【0040】
これらの不揮発性メモリ31m〜53mには、例えば、停電等によって電力の供給が予定しないタイミングで停止されてしまうことがあっても、必要なデータを保持できるように構成されており、設定温度等が格納されている。これにより、復電後においても、停電前と変わらない設定温度により空調が行われ、ユーザの快適性を損なうことがないようにされている。
【0041】
遠隔監視装置90は、空調機31〜53、中継装置20、PLC10が配備された物件の遠隔に存在しており、PLC10から公衆回線91を介して送信されてくる空調機データを管理したり、各空調機31〜53に対して制御指令を送信するために中継装置20に対して指令データを送信したりする。この遠隔監視装置90は、空調監視システム100により収集された空調機31〜53に関する空調機データに基づいて、空調機31〜53のメンテナンスに関連するサービスをPLC10の管理者等に提供するために設けられている。PLC10のメンテナンスに関連するサービスとしては、PLC10の異常監視、故障予知、PLC10の使用に伴う電気料金等の料金管理、データ解析によるPLC10の使用態様の改善提案、各種報告書の作成等が挙げられる。
【0042】
<PLCからの制御指令データの送信>
PLC10からの制御指令データとしては、通信プロトコルの種類(基本通信プロトコル、非基本通信プロトコル)およびそれによって構成されるネットワークの種類に無関係に、様々な制御指令データを作り出して、各空調機31〜53に対して送信することができる構成になっている。ところが、このような制御指令データのうち、空調機31〜53側において対応不可能な指令や、指令に応じた対応を行わないように予め設定がなされている制御指令がある。ここでは、このような場合に、PLC10から空調機31〜53に向けて送信される制御指令データを特定できるようにしている。
【0043】
具体的には、PLC10から各空調機31〜53に対して制御指令データが送信される際には、図2に示すように、プロトコル変換部21が、指令メモリ22に格納されている指令許容データを読み出して、PLC10から送信されてきた制御指令データが指令許容データに対応しているか否か判断する。そして、プロトコル変換部21は、指令許容データに対応している制御指令データのみを通信部24から各空調機31〜53に対して送信できるように、指令許容データに対応している制御指令データのみを特定する。
【0044】
ここで、プロトコル変換部21は、特定された制御指令データのみについて、他の通信プロトコルP2、P3の制御指令データである場合いにはプロトコル変換処理して基本プロトコルP1に沿うように変換し、基本通信プロトコルP1である場合には変換しないままでそのまま維持する。
【0045】
これにより、通信部24は、指令許容データに対応した制御指令データのみを、それぞれ各空調機31〜53に対して送信する。ここで、各空調機31〜53は、送信されてきた制御指令データを各自の有する不揮発性メモリ31m〜53mにおいて書き換えることで格納し、空調制御に反映させる。
【0046】
なお、指令許容データに対応しない制御指令データがあった場合には、プロトコル変換部21は、その制御指令データについては、プロトコル変換処理を行うことなく、通信部24を介した各空調機31〜53に対する送信を行うこともなく、破棄する。
【0047】
これにより、不必要な制御指令データのプロトコル変換処理による負荷を回避している。
【0048】
<各空調機からの空調機データの収集>
収集部25が空調機データを要求する信号を通信部24を介して各空調機31〜53に対して送信すると、各空調機31〜53からは、膨大な量の空調機データが中継装置20に対して送信されてくる。
【0049】
ここで、中継装置20が各空調機31〜53から空調機データを収集する際には、図3に示すように、プロトコル変換部21が、収集メモリ23に格納されている収集許容データを読み出して、膨大な量の空調機データを対象として、各空調機31〜53から収集されてくる空調機データが収集許容データに対応しているか否か判断する。
【0050】
そして、プロトコル変換部21は、膨大な量の空調機データのなかから、収集許容データに対応している空調機データのみを抽出して、抽出した空調機データのみを通信部24からPLC10に対して送信できるように、収集許容データに対応している空調機データのみを特定する。
【0051】
ここで、プロトコル変換部21は、特定された空調機データのみについて、他の通信プロトコルP2、P3の空調機データである場合いにはプロトコル変換処理して基本プロトコルP1に沿うように変換し、基本通信プロトコルP1である場合には変換しないままでそのまま維持する。
【0052】
これにより、通信部24は、収集許容データに対応した空調機データのみを、PLC10に対して送信する。
【0053】
なお、収集許容データに対応しない空調機データがあった場合には、プロトコル変換部21は、その空調機データについては、プロトコル変換処理を行うことなく、通信部24を介したPLC10に対する送信を行うこともなく、破棄する。
【0054】
このため、不必要な空調機データが破棄されることで、不必要なデータのプロトコル変換処理を回避しつつ、PLCメモリ11の容量を少なく設計できるようになっている。
【0055】
<不揮発性メモリの書換回数制限制御>
書換制御部26は、不揮発性メモリ31m〜53mの書換回数を(手動コントローラからの設定変更回数も含めて)、それぞれ空調機31〜53毎にカウントし、予め設定入力されている寿命書換回数に従って、所定書換回数を超えたか否かによって寿命に近いか否かを各不揮発性メモリ31m〜53m毎に判断する。なお、ここでの寿命の判断は、書換頻度に基づいて行うようにしてもよい。
【0056】
そして、寿命に近いと判断された不揮発性メモリがあった場合には、書換制御部26は、通信部24を介してPLC10に対して通知し、PLC10において表示制御等を行わせる。さらに、遠隔監視装置90に対してメール送信する等によって、監視を行っている者に知らせる。
【0057】
ここで、このようなメールの受信をトリガーとして、寿命間近の不揮発性メモリについて、遠隔監視装置90からPLC10に送信される制御指令データの送信頻度を落とすような制御が行われたり、通知を受けたPLC10が、その寿命間近の不揮発性メモリを備える空調機に対する制御指令データの送信頻度を低減させる制御を行う。
【0058】
これにより、不揮発性メモリ31m〜53mの寿命をできるだけ長くすることが可能になる。
【0059】
<空調監視システム100の特徴>
(A)
本空調監視システムでは、中継装置20がプロトコル変換部21を有していることから、通信プロトコルが基本通信プロトコルP1異なる他の通信プロトコルP2、P3が基調となっている空調機群40、50についても監視対象として含めることが可能になっている。
【0060】
また、本実施形態の空調監視システム100では、空調機データの収集処理の実行主体が、PLC10ではなく、プロトコル変換処理を行う中継装置20となっている。このため、空調機31〜53の管理・制御を行うPLC10に収集処理の負荷が掛からないようにすることが可能になる。
【0061】
また、空調機の監視対象の自由度を広げるために通信プロトコルに規制を緩和した本システムにおいて、プロトコル変換処理を行うことは必須である。そして、このプロトコル変換処理を行う中継装置20に空調機データの収集処理を行わせる構成とすることで、システム構成が容易になっている。
【0062】
(B)
本実施形態の空調監視システム100では、中継装置20において必要なプロトコル変換処理の処理負荷について、プロトコル変換処理を行う前に、各空調機31〜53から収集されてくる空調機データを収集メモリ22の収集許容データと対応させて判断することで、必要な空調機データのみを抽出してプロトコル変換処理を行い、不必要なプロトコル変換処理を無くすることで、処理負荷を低減させている。
【0063】
<他の実施形態>
以上、本発明の実施形態について図面に基づいて説明したが、具体的な構成は、これらの実施形態に限られるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
【0064】
例えば、上述の実施形態では、PLC10と中継装置20とが別々に設けられたシステム構成を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限られるものではなく、各装置の機能はそのままにして、例えば、PLC10が中継装置20を内蔵しているようなシステム構成としてもよい。この場合であっても、上記実施形態と同様の効果を奏することができる。
【産業上の利用可能性】
【0065】
本発明を利用すれば、システムの負荷を抑えつつ空調機毎の機器データを収集することができるため、複数の空調機を対象として制御や管理を行う場合において、各空調機において採用されているプロトコルや制御内容や管理内容が異なる場合における一括監視システムへの適用が特に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本発明の一実施形態にかかる空調監視システムの概略構成図。
【図2】空気調和装置の制御ブロック図である。
【図3】試運転モードのフローチャートである。
【符号の説明】
【0067】
10 PLC(制御装置)
11 PLCメモリ
20 変換装置(中継装置)
21 プロトコル変換部
22 指令メモリ(指令許可データ記憶部)
23 収集メモリ(収集許可データ記憶部)
24 通信部
25 収集部
31〜33 空調機(設備機器)
41〜43 空調機(設備機器)
51〜53 空調機(設備機器)
100 空調監視システム(情報管理システム)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の設備機器(31〜53)の制御もしくは管理を個別に行うための情報管理システム(100)であって、
所定の通信プロトコルに沿った前記設備機器に関する機器データを前記複数の設備機器それぞれについて管理する管理装置(10)と、
所定収集条件に基づいて前記設備機器の機器データの収集処理を行う収集部と、前記取得した設備機器に関する機器データが前記所定の通信プロトコル以外の個別通信プロトコルに沿ったものである場合にのみ前記機器データを前記所定の通信プロトコルに沿うように変換して前記管理装置に対して送信するプロトコル変換部(21)と、を有している中継装置(20)と、
を備えた情報管理システム(100)。
【請求項2】
前記中継装置(20)は、収集を許容する収集許容データを前記複数の設備機器毎に予め格納している収集許可データ記憶部(23)をさらに有しており、
前記プロトコル変換部(21)は、前記複数の設備機器(31〜53)から収集した前記機器データが前記収集許容データに対応するか否か前記設備機器毎に判断し、対応すると判断された場合であって前記設備機器において前記所定の通信プロトコル以外の個別通信プロトコルが用いられている場合にのみ前記機器データを前記所定の通信プロトコルに沿うように変換して前記管理装置に対して送信する、
請求項1に記載の空気調和装置(1)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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