説明

情報表示システムおよび方法

【課題】個々のユーザの要求に応じた情報を個別に提供する。
【解決手段】ユーザ端末1は、ディスプレイIDとポイント位置情報とをディスプレイ2から取得し、ユーザ端末IDとディスプレイIDとポイント位置情報とを少なくとも含むユーザ端末情報をID管理サーバ3に送信する。ID管理サーバ3は、ユーザ端末情報に基づいてディスプレイ2に対するユーザの行動を推測し、ユーザの行動に応じたコンテンツを作成するコンテンツ作成部31と、ユーザ端末情報に基づいてディスプレイ2を操作しているユーザを割り出し、ユーザの人数に応じてディスプレイ2の表示領域を分割して各ユーザに割り当て、各ユーザに割り当てた表示領域に、それぞれ各ユーザ用のコンテンツを表示させる表示制御部32とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、公共の場所等に比較的大型のディスプレイが配置された環境において、複数のユーザが1つのディスプレイを共有して使用できるようにし、ユーザ毎に異なるコンテンツを表示する情報表示システムおよび方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、ユーザに適した広告やコンテンツ等の情報を、ユーザの現在位置に近い場所に設置された公共情報ディスプレイに表示するシステムが提案されている(特許文献1参照)。特許文献1に開示されたシステムは、情報配信サーバ装置がユーザの携行する携帯電話などの移動通信端末から現在位置の情報を取得して、その位置に近い場所に設置された公共情報ディスプレイを選択すると共に、情報配信サーバ装置自身が保持する広告情報から当該ユーザに適した広告情報を選択して公共情報ディスプレイに表示するようにしたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3907997号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されたシステムでは、個々のユーザの要求に応じた情報を個別に提供することが難しいという問題点があった。したがって、状況や目的の異なる複数のユーザが同時に同じ表示情報に接した場合に、他人の操作による外乱が生じるため、ユーザ個人の意図した表示制御の実現が難しかった。
【0005】
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、公共の場所等にディスプレイが配置された環境において、個々のユーザの要求に応じた情報を個別に提供することが可能な情報表示システムおよび方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の情報表示システムは、ユーザが所持するユーザ端末と、画像を表示するディスプレイと、このディスプレイの表示を制御する管理サーバとから構成され、前記ユーザ端末は、前記ディスプレイに固有のディスプレイIDと前記ディスプレイの表示領域上の位置を示すポイント位置情報とを前記ディスプレイから取得する情報取得手段と、前記ユーザ端末に固有のユーザ端末IDと前記ディスプレイIDと前記ポイント位置情報とを少なくとも含むユーザ端末情報を前記管理サーバに送信する送信手段とを備え、前記管理サーバは、前記ユーザ端末情報を受信する受信手段と、前記ユーザ端末情報を記憶する記憶手段と、最新の前記ユーザ端末情報と前記記憶手段に記憶された過去のユーザ端末情報の少なくとも一方に基づいて、前記ディスプレイに対するユーザの行動を推測する行動推測手段と、前記ユーザの行動に応じたコンテンツをユーザ毎に作成するコンテンツ作成手段と、最新の前記ユーザ端末情報および前記記憶手段に記憶された過去のユーザ端末情報に基づいて、前記ディスプレイを操作しているユーザを割り出すユーザ特定手段と、このユーザ特定手段が割り出したユーザの人数に応じて前記ディスプレイの表示領域を分割して各ユーザに割り当て、各ユーザに割り当てた表示領域に、それぞれ各ユーザ用に前記コンテンツ作成手段が作成したコンテンツを表示させる表示制御手段とを備えることを特徴とするものである。
【0007】
また、本発明の情報表示方法は、ユーザ端末が、ディスプレイに固有のディスプレイIDと前記ディスプレイの表示領域上の位置を示すポイント位置情報とを前記ディスプレイから取得する情報取得手順と、前記ユーザ端末が、ユーザ端末に固有のユーザ端末IDと前記ディスプレイIDと前記ポイント位置情報とを少なくとも含むユーザ端末情報を管理サーバに送信する送信手順と、前記管理サーバが、前記ユーザ端末情報を受信して記憶手段に記憶させる受信手順と、前記管理サーバが、最新の前記ユーザ端末情報と前記記憶手段に記憶された過去のユーザ端末情報の少なくとも一方に基づいて、前記ディスプレイに対するユーザの行動を推測する行動推測手順と、前記管理サーバが、前記ユーザの行動に応じたコンテンツをユーザ毎に作成するコンテンツ作成手順と、前記管理サーバが、最新の前記ユーザ端末情報および前記記憶手段に記憶された過去のユーザ端末情報に基づいて、前記ディスプレイを操作しているユーザを割り出すユーザ特定手順と、前記管理サーバが、前記ユーザ特定手順で割り出したユーザの人数に応じて前記ディスプレイの表示領域を分割して各ユーザに割り当て、各ユーザに割り当てた表示領域に、それぞれ各ユーザ用に前記コンテンツ作成手段が作成したコンテンツを表示させる表示制御手順とを備えることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、複数のユーザが、他のユーザの操作の影響を受けることなく、同じディスプレイを利用することができる。また、本発明では、ユーザ端末の情報取得手段がディスプレイの表示領域上の位置を示すポイント位置情報を取得し、このポイント位置情報を含むユーザ端末情報をユーザ端末の送信手段が管理サーバに送信することで、ユーザ側から自由にディスプレイのポイント位置を指示することができる。また、本発明では、ユーザ端末情報を管埋サーバの記憶手段に蓄積することにより、ユーザの行動履歴を利用したコンテンツ表示やコンテンツ操作が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施の形態に係る情報表示システムの構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る情報表示システムのユーザ端末の構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る情報表示システムのディスプレイの構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の実施の形態に係る情報表示システムの動作を示すフローチャートである。
【図5】本発明の実施の形態における情報表示の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。図1は本発明の実施の形態に係る情報表示システムの構成を示すブロック図である。情報表示システムは、ユーザが所持する小型のユーザ端末1(1−A,1−B,1−C,・・・・,1−N)と、公共の場所に設置されたディスプレイ2(2−a,2−b,2−c,・・・・,2−m)と、ディスプレイ2の表示を制御するID管理サーバ3とから構成される。
【0011】
図2はユーザ端末1の構成を示すブロック図である。ユーザ端末1は、画像を撮影するイメージセンサ10と、ユーザ端末1に固有の識別情報であるユーザ端末IDを記憶する記憶部11と、ユーザ端末全体を制御する制御部12と、ユーザ端末情報をID管理サーバ3に送信する送信部13と、ユーザ端末1に対するユーザの操作を受け付ける入力部14とを備えている。イメージセンサ10と制御部12とは情報取得手段を構成し、また制御部12と送信部13とは送信手段を構成している。
【0012】
各ユーザ端末1は、それぞれ固有のユーザ端末IDを有する。このユーザ端末IDは、記憶部11に格納されている。
また、各ユーザ端末1は、それぞれイメージセンサ10を備えている。このイメージセンサ10をディスプレイ2に向けることにより、ディスプレイ2に表示された図形や文字等を読み取ることができる。
【0013】
送信部13は、無線LAN等により、ID管埋サーバ3と無線通信できる機能を有している。
制御部12は、イメージセンサ10が読み取った画像を解析することにより、後述するディスプレイIDとポイント位置情報とを取得し、さらに記憶部11からユーザ端末IDを取得して、ユーザ端末IDとディスプレイIDとポイント位置情報と現在時刻を示す時刻情報とからなるユーザ端末情報を送信部13を通じてID管理サーバ3に送信する。
【0014】
後述のように、ユーザがユーザ端末1のイメージセンサ10を、利用したいディスプレイ2のマーカに向けると、ユーザ端末情報がユーザ端末1からID管理サーバ3に送信され、以後、ユーザがユーザ端末1を使ってディスプレイ2にコンテンツを表示させたり、コンテンツを操作したりすることが可能になる。本実施の形態では、このようなディスプレイ2に対する行為を「操作」と呼ぶ。
【0015】
図3はディスプレイ2の構成を示すブロック図である。ディスプレイ2は、ID管理サーバ3から送信された画像を受信する受信部20と、例えば液晶パネル等の表示部21と、受信部20が受信した画像を表示部21に表示させる表示制御部22とを備えている。
【0016】
各ディスプレイ2には、それぞれ固有の識別情報であるディスプレイIDが割り当てられている。このディスプレイIDは、ID管理サーバ3の記憶部33に格納されている。受信部20は、無線LAN等により、ID管埋サーバ3と無線通信できる機能を有している。
【0017】
図1に示すように、ID管理サーバ3は、ユーザ端末1から送信されたユーザ端末情報を受信する受信部30と、最新のユーザ端末情報と過去のユーザ端末情報の少なくとも一方に基づいて、ディスプレイ2に対するユーザの行動を推測し、ユーザの行動に応じたコンテンツをユーザ毎に作成するコンテンツ作成部31と、最新のユーザ端末情報および過去のユーザ端末情報に基づいて、ディスプレイ2を操作しているユーザを割り出し、ユーザの人数に応じてディスプレイ2の表示領域を分割して各ユーザに割り当て、各ユーザに割り当てた表示領域に、それぞれ各ユーザ用にコンテンツ作成部31が作成したコンテンツを表示させる表示制御部32と、ユーザ端末情報を記憶する記憶部33と、ディスプレイ2に画像を送信する送信部34とを備えている。コンテンツ作成部31は行動推測手段を構成し、表示制御部32はユーザ特定手段を構成している。
【0018】
受信部30は、ユーザ端末1から送信されるユーザ端末情報(ユーザ端末ID、ディスプレイID、ポイント位置情報、時刻情報)を受け取り、このユーザ端末情報を一括して記憶部33に格納すると共にコンテンツ作成部31に送る。
送信部34は、無線LAN等により、ディスプレイ2と無線通信できる機能を有している。
【0019】
コンテンツ作成部31は、受信部30から受け取った最新のユーザ端末情報に含まれるユーザ端末IDと同じユーザ端末IDを持つ過去のユーザ端末情報を記憶部33から検索する。コンテンツ作成部31は、現在と過去のユーザ端末情報に基づいて、ユーザ向けのメッセージ等のコンテンツを作成する。そして、コンテンツ作成部31は、受信部30から受け取ったユーザ端末情報と生成したコンテンツとを表示制御部32へ送る。
【0020】
表示制御部32は、コンテンツ作成部31から受け取った最新のユーザ端末情報と記憶部33に格納されているユーザ端末情報に基づいて、現在同じディスプレイ2を操作しているユーザをディスプレイ2毎に割り出す。そして、表示制御部32は、同じディスプレイ2を操作しているユーザの人数に応じてディスプレイ2の画面を分割し、このディスプレイ2を操作しているユーザ毎に異なる表示領域を割り当てるように画像をディスプレイ2毎に作成する。
【0021】
このとき、表示制御部32は、ユーザに割り当てた表示領域に、このユーザ用にコンテンツ作成部31が作成したコンテンツが表示され、さらに領域の片隅にマーカが表示されるように、画像を作成する。マーカは、マーカ位置情報とディスプレイIDとを表す特定のパターン(QR(Quick Response )コードやバーコード等)である。そして、表示制御部32は、ディスプレイ2毎に作成した画像を送信部34を通じて対象となるディスプレイ2に送信する。
【0022】
以下、本実施の形態の動作を図4、図5(A)〜図5(C)を用いて説明する。図4は情報表示システムの動作を示すフローチャート、図5(A)〜図5(C)は情報表示の例を示す図である。
【0023】
まず、ID管理サーバ3のコンテンツ作成部31は、ディスプレイ2を操作しているユーザがいない状況では、このディスプレイ2の場所や現在時刻等に依存したコンテンツを作成する。表示制御部32は、コンテンツ作成部31が作成したコンテンツが表示され、さらに当該ディスプレイ2のディスプレイIDとマーカ位置情報とを表すマーカが表示されるように画像を作成し、作成した画像をディスプレイ2に送る。こうして、図5(A)に示すように、ディスプレイ2の画面に、コンテンツ200とマーカ201とが表示される(図4ステップS1)。
【0024】
次に、ユーザ4−Aは、ユーザ端末1−Aのイメージセンサ10を、利用したいディスプレイ2のマーカ201に向ける。イメージセンサ10は、前方の画像を撮影する。ユーザ端末1−Aの制御部12は、イメージセンサ10が読み取った画像を解析することにより、ディスプレイIDとポイント位置情報(マーカ位置情報)とを取得し、さらに記憶部11からユーザ端末IDを取得して、ユーザ端末IDとディスプレイIDとポイント位置情報と時刻情報とからなるユーザ端末情報を送信部13を通じてID管理サーバ3に送信する(ステップS2)。なお、イメージセンサ10の視野角は一般に30度程度あるいはそれ以上あるので、制御部12は、イメージセンサ10がマーカ201を向いていない場合でも、ディスプレイ画面上のポイント位置を画像解析で認識することが可能である。
【0025】
ID管理サーバ3の受信部30は、ユーザ端末1−Aから送信されたユーザ端末情報を受け取り、このユーザ端末情報を記憶部33に格納すると共にコンテンツ作成部31に送る(ステップS3)。なお、本実施の形態では、ユーザ端末1−Aが時刻情報を送信するようにしているが、これに限るものではない。ユーザ端末1−A側では、上記のユーザ端末情報のうち時刻情報を除いた情報をID管理サーバ3に送信し、受信部30がユーザ端末情報を受信したときの時刻情報をユーザ端末情報に加えるようにしてもよい。
【0026】
続いて、ID管理サーバ3のコンテンツ作成部31は、受信部30から受け取った最新のユーザ端末情報に含まれるユーザ端末IDと同じユーザ端末IDを持つ過去のユーザ端末情報を記憶部33から検索する。コンテンツ作成部31は、これらのユーザ端末情報に基づいて、ユーザの行動(ユーザがどのディスプレイ2をいつどのように操作したか等)とその行動の過去の履歴を推測し(ステップS4)、ユーザの行動に応じたコンテンツを作成する(ステップS5)。
【0027】
例えば、コンテンツ作成部31は、過去のユーザ端末情報に含まれるディスプレイIDと最新のユーザ端末情報に含まれるディスプレイIDとから、このユーザの移動距離を算出し、算出した移動距離が例えば5kmであるとすれば、「5km移動しました」というようなメッセージ(コンテンツ)を作成する。また、コンテンツ作成部31は、最新のユーザ端末情報に含まれる時刻情報に応じて、気温や天気などの天候情報を例えばインターネットから検索し、天候情報を表すコンテンツを作成してもよい。コンテンツ作成部31は、以上のようなコンテンツ作成を、ユーザ毎(ユーザ端末ID毎)に行う。
【0028】
ID管理サーバ3の表示制御部32は、コンテンツ作成部31から受け取った最新のユーザ端末情報と記憶部33に格納されているユーザ端末情報に基づいて、現在同じディスプレイ2を操作しているユーザをディスプレイ2毎に割り出す(ステップS6)。表示制御部32は、ユーザ端末情報をいったん受信した後は、このユーザ端末情報とユーザ端末IDが同一でディスプレイIDが異なるユーザ端末情報を受信するまで、ディスプレイIDに変化はないものとし、このディスプレイIDに対応するディスプレイ2をユーザが操作しているものと見なす。また、表示制御部32は、ユーザ端末情報をいったん受信した後に、一定期間以上経過しても、このユーザ端末情報と同一のユーザ端末IDを含むユーザ端末情報を新たに受信できない場合には、ディスプレイIDに対応するディスプレイ2の場所からユーザが離れたと見なしてもよい。こうして、表示制御部32は、ディスプレイ2を操作しているユーザをディスプレイ2毎に割り出す。
【0029】
そして、表示制御部32は、ディスプレイ2を操作しているユーザの人数に応じてディスプレイ2の表示領域を分割して各ユーザに割り当て、各ユーザに割り当てた表示領域に、それぞれ各ユーザ用にコンテンツ作成部31が作成したコンテンツが表示されると同時に、表示領域の片隅にマーカが表示されるように画像を作成して、ディスプレイ2に送る(ステップS7)。表示制御部32は、このような画像の作成・送信をディスプレイ2毎に行う。こうして、各ディスプレイ2にユーザに応じた画像が表示される(ステップS8)。
【0030】
例えば、ユーザ4−Aだけがディスプレイ2を操作しているときは、図5(B)に示すように、ディスプレイ2の全表示領域がユーザ4−Aに割り当てられる。図5(B)における202は、ユーザ4−Aに応じたコンテンツである。
【0031】
次に、ユーザ4−Bがユーザ端末1−Bのイメージセンサ10をディスプレイ2のマーカ201に向けると、ステップS2以降の処理が実行される。ID管理サーバ3のコンテンツ作成部31は、ユーザ4−A用のコンテンツだけでなく、ユーザ4−B用のコンテンツも作成する(ステップS5)。表示制御部32は、ディスプレイ2を操作しているユーザの人数を2名とし(ステップS6)、ディスプレイ2の表示領域を2分割し、分割した表示領域にそれぞれのユーザ4−A,4−Bに対応する異なるマーカと異なるコンテンツとを表示させる(ステップS7,S8)。
【0032】
図5(C)の例では、ディスプレイ2の表示領域は203−A,203−Bの2つに分割される。表示領域203−Aには、片隅にマーカ204−Aが表示され、さらにユーザ4−A用に作成されたコンテンツ205−Aが表示される。表示領域203−Bには、片隅にマーカ204−Bが表示され、さらにユーザ4−B用に作成されたコンテンツ205−Bが表示される。マーカ204−Bが表すディスプレイIDは、マーカ204−Aが表すディスプレイIDと同一である。ただし、マーカ204−Bが表すポイント位置情報(マーカ位置情報)は、マーカ204−Aが表すポイント位置情報(マーカ位置情報)とは異なる。
【0033】
また、ユーザ4−Aまたは4−Bが、ユーザ端末1−A,1−Bのイメージセンサ10をマーカ以外の別の場所に向けると、ID管理サーバ3のコンテンツ作成部31は、そのユーザの行動に応じたコンテンツを作成する。例えばユーザ4−Aがユーザ端末1−Aのイメージセンサ10をコンテンツ205−Aに向けると、イメージセンサ10のセンシング方向のポイント位置情報が取得される。このとき、ユーザ4−Aがユーザ端末1−Aの入力部14を操作すると(クリック)、コンテンツ作成部31は、ポイント位置情報で指定される箇所をユーザ4−Aが選択したものと見なし、この選択に応じたコンテンツを作成する。
【0034】
また、ユーザ4−Aが上記のように入力部14を操作したままユーザ端末1−Aを動かすと、所謂ドラッグ操作をしたことになり、コンテンツ作成部31は、ユーザ端末1−Aの移動に応じたポイント位置情報の変化に応じてコンテンツを移動させる。さらに、ユーザ4−Aがドラッグ操作をした後に入力部14の操作を止めると、所謂ドロップ操作をしたことになり、コンテンツ作成部31は、このとき得られたポイント位置情報で指定される箇所でコンテンツを停止させる。こうして、各ユーザは、コンテンツを操作することができる。なお、コンテンツ作成部31は、ポイント位置情報で指定される箇所にカーソルを表示させるようにしてもよい。
【0035】
ID管理サーバ3は、ディスプレイ2を操作しているユーザがいないと見なした場合には、ステップS1に戻り、ディスプレイ2を操作しているユーザがいる場合には、ステップS2に戻る。
【0036】
以上のように、本実施の形態では、複数のユーザが、他のユーザの操作の影響を受けることなく、同じディスプレイを利用することができる。また、本実施の形態では、ディスプレイの一部に表示されたマーカを、ユーザ端末のイメージセンサで検知することで、ユーザ側から自由にディスプレイのポイント位置を指示することができる。また、本実施の形態では、ユーザ端末IDとディスプレイIDとポイント位置情報と時刻等をID管埋サーバの記憶部に蓄積することにより、ユーザの行動履歴を利用したコンテンツ表示やコンテンツ操作が可能となる。
【0037】
なお、本実施の形態では、ディスプレイ2の表示領域の割当をユーザ毎に行っているが、これに限るものではない。例えば各ユーザに属性を割り当て、同じ属性を有する複数のユーザを同じグループに属するものとして、グループ毎に表示領域を割り当てるようにしてもよい。この場合、同じグループに属するユーザは、1つの表示領域を共有することになる。ユーザ毎の属性はID管理サーバ3の記憶部33に格納しておき、表示制御部32が各ユーザの属するグループを判断する。また、表示制御部32は、同じディスプレイ2を操作しているユーザが同じグループに属している場合、これらのユーザ用にコンテンツ作成部31が作成したコンテンツを合成した上で、グループに対応する表示領域に画像を表示させる。
また、ディスプレイに表示されている映像によっては、バーコードよりもQRコードの方が認識誤りが少ない場合や、逆にQRコードよりもバーコードの方が認識誤りが少ない場合が考えられる。そこで、コンテンツの状態に応じてマーカを変更するようにしてもよい。
また、ディスプレイ上では、マーカ近くの領域の方が位置認識精度が高いと思われるので、ユーザに対し、数多くの選択肢の中からいずれかを選択させるような操作を要請する場合、選択肢の近くにマーカを移動させた方が好都合な場合がある。そこで、このような場合にマーカを移動させてもよい。
【0038】
本実施の形態において、ユーザ端末1とID管理サーバ3の少なくとも一部の構成は、それぞれCPU、記憶装置および外部とのインタフェースを備えたコンピュータと、これらのハードウェア資源を制御するプログラムによって実現することができる。ユーザ端末1とID管理サーバ3を構成するそれぞれのコンピュータにおいて、本発明の情報表示方法を実現させるためのプログラムは、フレキシブルディスク、CD−ROM、DVD−ROM、メモリカードなどの記録媒体に記録された状態で提供され、コンピュータの記憶装置に格納される。各々のコンピュータのCPUは、記憶装置に格納されたプログラムに従って本実施の形態で説明した処理を実行する。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明は、複数のユーザが1つのディスプレイを共有して使用できるようにし、ユーザ毎に異なるコンテンツを表示する技術に適用することができる。
【符号の説明】
【0040】
1…ユーザ端末、2…ディスプレイ、3…ID管理サーバ、10…イメージセンサ、11…記憶部、12…制御部、13…送信部、14…入力部、20…受信部、21…表示部、22…表示制御部、30…受信部、31…コンテンツ作成部、32…表示制御部、33…記憶部、34…送信部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザが所持するユーザ端末と、
画像を表示するディスプレイと、
このディスプレイの表示を制御する管理サーバとから構成され、
前記ユーザ端末は、
前記ディスプレイに固有のディスプレイIDと前記ディスプレイの表示領域上の位置を示すポイント位置情報とを前記ディスプレイから取得する情報取得手段と、
前記ユーザ端末に固有のユーザ端末IDと前記ディスプレイIDと前記ポイント位置情報とを少なくとも含むユーザ端末情報を前記管理サーバに送信する送信手段とを備え、
前記管理サーバは、
前記ユーザ端末情報を受信する受信手段と、
前記ユーザ端末情報を記憶する記憶手段と、
最新の前記ユーザ端末情報と前記記憶手段に記憶された過去のユーザ端末情報の少なくとも一方に基づいて、前記ディスプレイに対するユーザの行動を推測する行動推測手段と、
前記ユーザの行動に応じたコンテンツをユーザ毎に作成するコンテンツ作成手段と、
最新の前記ユーザ端末情報および前記記憶手段に記憶された過去のユーザ端末情報に基づいて、前記ディスプレイを操作しているユーザを割り出すユーザ特定手段と、
このユーザ特定手段が割り出したユーザの人数に応じて前記ディスプレイの表示領域を分割して各ユーザに割り当て、各ユーザに割り当てた表示領域に、それぞれ各ユーザ用に前記コンテンツ作成手段が作成したコンテンツを表示させる表示制御手段とを備えることを特徴とする情報表示システム。
【請求項2】
ユーザ端末が、ディスプレイに固有のディスプレイIDと前記ディスプレイの表示領域上の位置を示すポイント位置情報とを前記ディスプレイから取得する情報取得手順と、
前記ユーザ端末が、ユーザ端末に固有のユーザ端末IDと前記ディスプレイIDと前記ポイント位置情報とを少なくとも含むユーザ端末情報を管理サーバに送信する送信手順と、
前記管理サーバが、前記ユーザ端末情報を受信して記憶手段に記憶させる受信手順と、
前記管理サーバが、最新の前記ユーザ端末情報と前記記憶手段に記憶された過去のユーザ端末情報の少なくとも一方に基づいて、前記ディスプレイに対するユーザの行動を推測する行動推測手順と、
前記管理サーバが、前記ユーザの行動に応じたコンテンツをユーザ毎に作成するコンテンツ作成手順と、
前記管理サーバが、最新の前記ユーザ端末情報および前記記憶手段に記憶された過去のユーザ端末情報に基づいて、前記ディスプレイを操作しているユーザを割り出すユーザ特定手順と、
前記管理サーバが、前記ユーザ特定手順で割り出したユーザの人数に応じて前記ディスプレイの表示領域を分割して各ユーザに割り当て、各ユーザに割り当てた表示領域に、それぞれ各ユーザ用に前記コンテンツ作成手段が作成したコンテンツを表示させる表示制御手順とを備えることを特徴とする情報表示方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−211677(P2010−211677A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−59189(P2009−59189)
【出願日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.QRコード
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【出願人】(504139662)国立大学法人名古屋大学 (996)
【Fターム(参考)】