説明

情報表示パネルモジュール

【課題】背面側パネル基板の表面に沿って配置される可撓性の接続用基板が、背面側パネル基板の端縁の角部に当たったり、角部で擦られたりすることで発生する可撓性の接続用基板の接続用電極の断線を回避し、もって表示品質の向上を図る。
【解決手段】背面側パネル基板の表面に沿って接続用基板を折り返すことなく配置すると共に、接続用基板を撓ませつつ、表示面側パネル基板の接続用端子部と接続用基板の接続用電極の端子部とを近接対向配置とし、これら二つの端子部を異方性導電材により接続した構造になる、情報表示パネルモジュールであって、導電実装部において、少なくとも接続用端子部および接続用電極の端子部それぞれの異方性導電材から露出した電極部分を防湿性絶縁材で覆うと共に、背面側パネル基板の少なくとも導電実装部側端面および該端面の角部を含む端部領域を被覆するように防湿性絶縁材を形成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報表示パネルの背面側パネル基板の表面に沿って、外部駆動回路への接続に用いるTCP(Tape Carrier Package)やFPC(Flexible Printed Circuit)などの可撓性の接続用基板を折り返すことなく配置すると共に、表示面側パネル基板の内側に設けられ、接続用基板(TCPやFPC)と接続される接続用端子部と、接続用基板の接続用電極の端子部とを対向配置して互いに異方性導電材により接続した構造になる情報表示パネルモジュールに関し、特に、背面側パネル基板の上記した接続部側の端面近傍において懸念された接続用基板の接続用電極の断線を回避し、もって表示品質の向上を図ろうとするものである。
【背景技術】
【0002】
情報表示パネルに情報を表示するためには、その表示手段を電気的に制御する必要があるが、そのためにはこの電気的な制御を行う外部駆動回路に情報表示パネルを接続する必要があり、その接続には通常、TCPやFPCなどの可撓性の接続用基板が用いられる。そして、この情報表示パネルに可撓性の接続用基板を接合したものを情報表示パネルモジュールとして予め用意することにより、情報表示装置の組付け作業性を向上させることができる。
【0003】
このような情報表示パネルモジュールとして、例えば特許文献1や特許文献2に記載されているものが知られている。
かような情報表示パネルモジュールの構造の一例を図1および図2、他の例を図3および図4を用いて説明する。
まず、従来の情報表示パネルモジュールの構造の一例について説明する。
図1(a)は表示面側パネル基板、図1(b)は背面側パネル基板、図1(c)は可撓性の接続用基板をそれぞれ示す。図2(a)は図1(a)〜(c)にそれぞれ示した各基板を用いて構成した情報表示パネルモジュールの平面図である。また、図2(b)は、図2(a)のA−A断面拡大図である。
【0004】
図1、図2に示す従来例において、1で情報表示パネルモジュールを示し、2は表示面側パネル基板、3は背面側パネル基板、4は可撓性の接続用基板、5は表示面側パネル基板の表示用電極(本例ではストライプ電極を示す)、6は表示面側パネル基板の表示用電極の端子部となる接続用端子部、7は可撓性の接続用基板の接続用電極、8は可撓性の接続用基板の接続用電極の端子部、9は異方性導電材である。なお、10は背面側パネル基板の表示用電極(本例ではストライプ電極を示す)、11は背面側パネル基板の表示用電極の端子部、12はTCP、13は基板間ギャップ確保用隔壁、14は情報表示画面領域の周囲に枠状に形成したシール材である。
【0005】
表示面側パネル基板2は、情報表示画面領域が透明な基板で構成されていて、その片面には、図1(a)に示すように、情報表示画面領域(図中点線で囲まれた領域)に透明なストライプ電極(表示用電極)5が形成され、また情報表示画面領域の外側には表示用電極5から引き出した接続用端子部6が設けられている。
【0006】
また、背面側パネル基板3の片面には、図1(b)に示すように、情報表示画面領域(図中点線で囲まれた領域)にストライプ電極(表示用電極)10が形成され、また、情報表示画面領域の外側には表示用電極10から引き出した端子部11が設けられている。
さらに、図1(c)に示すように、可撓性の接続用基板4には、外部駆動回路への接続配線用のライン電極(接続用電極)7が形成され、その一方の端部に接続用電極の端子部8が形成されている。
【0007】
そして、表示面側パネル基板2、背面側パネル基板3および可撓性の接続用基板4を、図2(a)に示したように、可撓性の接続用基板4を折り返すことなく重ね、図2(b)に示したように、可撓性の接続用基板4を撓ませつつ、表示面側パネル基板2の接続用端子部6と可撓性の接続用基板4の接続用電極7の端子部8とを近接対向配置とし、これら二つの接続用端子部(表示面側パネル基板2の接続用端子部6と可撓性の接続用基板4の接続用電極7の端子部8)を異方性導電材9により接続している。この表示面側パネル基板2の接続用端子部6と可撓性の接続用基板4の接続用電極7の端子部8とを異方性導電材9により接続した構造になる領域を、以下、「導電実装部」と称する。
【0008】
また、表示面側パネル基板2と背面側パネル基板3との間には、基板間ギャップ確保用隔壁13の外周部すなわち情報表示画面領域の周囲にシール材14が枠状に設けられ、基板間ギャップ確保用隔壁13の内側には電気的制御により駆動する表示媒体が封止された表示媒体層が設けられている(不図示)。電気的制御により駆動する表示媒体には、例えば、帯電性粒子を含んだ粒子群を気体中(真空中を含む)や絶縁液体中で駆動させるものや、コレステリック型液晶などの液晶を駆動させるものなどがある。
【0009】
そして、図2(a)に示されるような対向配置になる、表示面側パネル基板2の表示用電極5と背面側パネル基板3の表示用電極10とで形成される電極対を介して表示媒体を電気的に制御して駆動させて情報表示を行っている。
帯電性粒子を含んだ粒子群を表示媒体とする例においては、この電極対を対向するストライプ電極を互いに交差、好ましくは直交交差させて形成した電極対に電圧を印加して形成した電界によって、表示媒体を構成している帯電性粒子を移動させて情報表示を行う。
【0010】
次に、従来の情報表示パネルモジュールの構造の他の例について説明する。
図3(a)および図3(b)はそれぞれ、表示面側パネル基板の表側から見た場合の、第1および第2の可撓性の接続用基板4−1,4−2の実装前、および実装後を示す模式図である。図4(a)は、表示面側パネル基板の裏側から見た場合の、情報表示パネルの一部を示す図である。図4(b)は、図4(a)において第1の可撓性の接続用基板4−1を横切るA−A断面拡大図である。図4(c)は、図4(a)において第2の可撓性の接続用基板4−2を横切るB−B断面拡大図である。
【0011】
図3、図4に示す従来例において、図1、図2に示した構成と同一の構成には同一の符号を付して示し、30は表示面側パネル基板の内側に設けられた接続用電極、31はこの接続用電極30と背面側パネル基板の内側に設けられた表示用電極とを接続するACS(Anisotropic Conductive Seal)、すなわち導電性粒子を含んだシール剤である異方導電シール剤、32は駆動回路基板、33−1,33−2は駆動回路基板32に設けられたコネクタである。
【0012】
図4(b)に示すように、第1の可撓性の接続用基板4−1の一方の端部は、表示面側パネル基板2に設けられ、背面側パネル基板側の表示用電極10とACS31を介して接続された接続用電極30の接続用端子部に異方性導電材9を介して接続される。また、第1の可撓性の接続用基板4−1の他方の端部は、背面側パネル基板3の裏側に配置された駆動回路基板32に設けられたコネクタ33−1と接続される。
【0013】
また、図4(c)に示すように、第2の可撓性の接続用基板4−2の一方の端部は、表示面側パネル基板2の表示用電極の接続用端子部6に異方性導電材9を介して接続される。第2の可撓性の接続用基板4−2の他方の端部は、駆動回路基板32に設けたコネクタ33−2と接続される。
【0014】
このように、可撓性の接続用基板を、その駆動回路側との接続端が内向きになるように実装することで、可撓性の接続用基板を折り返すことなく、情報表示パネルを駆動装置の駆動回路側と接続している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】特開2010−145722号公報
【特許文献2】国際公開第2010/073716号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
上記構成の情報表示パネルモジュールでは、その情報表示装置への組み付け作業時や、情報表示装置とした後の使用時などに、背面側パネル基板3の端縁に被さるように配置される可撓性の接続用基板4と背面側パネル基板3との間に相対的な位置ずれを生じさせる力が繰り返し作用する場合がある。かような場合、従来の上記構成の情報表示パネルモジュールでは、可撓性の接続用基板4が背面側パネル基板3の導電実装部側端面3aの角部に擦られることによって、また、背面側パネル基板3の導電実装部側端面3aの角部による局所変形を繰り返し受けることによって、絶縁膜で被覆されている接続用電極7であってもその接続用電極7が断線することがあった。その結果、表示不良を余儀なくされる場合があった。図2(b)、図3(b)、図3(c)において可撓性の接続用基板4の接続用電極7を被覆している絶縁膜は図示を省略している。
【0017】
ところで、情報表示パネルモジュールの導電実装部には、従来、防湿性絶縁材を配置している。上記構成の情報表示パネルモジュールにおいても、例えば、図5(a)、(b)、(c)に示すように防湿性絶縁材を導電実装部に配置していた。図5(a)にその平面図を、また、図5(b)、(c)にはそれぞれ、図5(a)のB−B断面拡大図および側面拡大図を示す。図中、15で情報表示パネルモジュールを示し、16が防湿性絶縁材である。なお、図5(a)においては、表示面側パネル基板2の表示用電極5、背面側パネル基板3の表示用電極10などは図示を省略し、表示面側パネル基板2と防湿性絶縁材16のみを示している。また、図5(b)、図5(c)において可撓性の接続用基板4の接続用電極7を被覆している絶縁膜は図示を省略している。
【0018】
ここに示すように、上記構成の情報表示パネルモジュール1に、従来にしたがって防湿性絶縁材16を形成した情報表示パネルモジュール15では、表示面側パネル基板2と可撓性の接続用基板4の導電実装部側の先端面において異方性導電材9の外側に露出している表示面側パネル基板の接続用端子部6の電極部分および可撓性の接続用基板4の接続用電極の端子部8の電極部分を防湿性絶縁材16によって被覆することにより、外気が含む水分による電極の腐食を防止していた。
【0019】
そこで、発明者らは、この防湿性絶縁材16をさらに、導電実装部と枠状に形成したシール材14との間隙S側にも形成した構造とすれば、防湿性絶縁材16の接着力によって上述した可撓性の接続用基板4と背面側パネル基板3との相対的な位置ずれを抑制し、可撓性の接続用基板4が背面側パネル基板3の導電実装部側端面3aの角部に擦られることによって、また、背面側パネル基板3の導電実装部側端面3aの角部による局所変形を繰り返し受けることによって、可撓性の接続用基板4の接続用電極7が断線するという問題を回避できるのではないかと考えた。
しかしながら、この構造、すなわち、異方性導電材9の両側に防湿性絶縁材16を形成しただけの構造では、若干の改善効果は認められたものの、可撓性の接続用基板4と背面側パネル基板3との間のずれを十分に抑制することができず、ずれに伴う可撓性の接続用基板4の動きにより、可撓性の接続用基板4の接続用電極7が背面側パネル基板3の導電実装部側端面3aの角部に何度も擦られるために、接続用電極7の断線を確実に回避することは困難であった。
【0020】
本発明は、上記の現状に鑑み開発されたもので、背面側パネル基板の表面に沿って配置した可撓性の接続用基板を折り返すことなく表示面側パネル基板に実装した構造になる情報表示パネルモジュールにおいて、背面側パネル基板の導電実装部側端面近傍における可撓性の接続用基板の接続用電極の断線を回避し、もって表示品質を向上させた情報表示パネルモジュールを提案することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0021】
すなわち、本発明の要旨構成は以下のとおりである。
1.互いに対向して配置された表示面側パネル基板および背面側パネル基板と、
上記の対向するパネル基板間で表示用電極を介して電気的な制御により情報を表示する表示手段と、
上記表示用電極を外部駆動回路に接続するための可撓性の接続用基板と、
上記表示面側パネル基板の内側面に設置され、上記可撓性の接続用基板に設置された接続用電極の端子部と接続される接続用端子部と、
を備え、
上記背面側パネル基板の表面に沿って上記可撓性の接続用基板を折り返すことなく配置すると共に、上記可撓性の接続用基板を撓ませつつ、上記表示面側パネル基板の上記接続用端子部と上記可撓性の接続用基板の接続用電極の端子部とを近接対向配置とし、これら二つの端子部を異方性導電材により接続した構造になる、情報表示パネルモジュールであって、
上記した表示面側パネル基板の接続用端子部と可撓性の接続用基板の接続用電極の端子部とを異方性導電材により接続した構造になる導電実装部において、少なくとも上記接続用端子部および上記接続用電極の端子部それぞれの上記異方性導電材から露出した電極部分を防湿性絶縁材で覆うと共に、上記背面側パネル基板の少なくとも導電実装部側端面および該端面の角部を含む端部領域を被覆するように上記防湿性絶縁材を形成したことを特徴とする情報表示パネルモジュール。
【0022】
2.前記導電実装部の近傍領域において、前記した防湿性絶縁材を、前記表示面側パネル基板の上記導電実装部面から端面および前記可撓性の接続用基板の上記導電実装部面から端面ならびにこれら二枚の基板それぞれの両側面側縁の端面まで延在させて形成し、上記導電実装部および上記表示面側パネル基板の端部領域および上記可撓性の接続用基板の端部領域を上記防湿性絶縁材で包み込んだことを特徴とする上記1に記載の情報表示パネルモジュール。
【0023】
3.前記背面側パネル基板の外側表面において、上記背面側パネル基板の前記導電実装部側端面の角部まで延在する緩衝材層を形成したことを特徴とする上記1または2に記載の情報表示パネルモジュール。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、少なくとも接続用端子部および接続用電極の端子部それぞれの異方性導電材から露出した電極部分を防湿性絶縁材で覆うと共に、背面側パネル基板の少なくとも導電実装部側端面および該端面の角部を含む端部領域を被覆するように防湿性絶縁材を形成したので、防湿性絶縁材によって電極の腐食を効果的に防止するだけでなく、背面側パネル基板の少なくとも導電実装部側端面および角部を含む端部領域を被覆するように形成した防湿性絶縁材により、可撓性の接続用基板の位置ずれが抑制されるとともに、背面側パネル基板の導電実装部側端面の角部が、可撓性の接続用基板に当たることによって起こる接続用電極の局所変形を防止することができる。可撓性の接続用基板の位置ずれが抑制されるので、可撓性の接続用基板が、背面側パネル基板の導電実装部側端面の角部に何度も擦られることを防止することができ、かつ、接続用電極の局所変形を防止できるので、可撓性の接続用基板の接続用電極の断線を回避することができる。その結果、情報表示パネルの表示品質を向上させることができる。
【0025】
また、本発明に従い、導電実装部の近傍領域において、防湿性絶縁材を、表示面側パネル基板の導電実装部面から端面および可撓性の接続用基板の導電実装部面から端面ならびにこれら二枚の基板それぞれの両側面側縁の端面まで延在させて形成し、導電実装部および表示面側パネル基板の端部領域および可撓性の接続用基板の端部領域を防湿性絶縁材で包み込んだことにより、可撓性の接続用基板と背面側パネル基板との相対的な位置ずれを防湿性絶縁材でより効果的に防止することができるため、可撓性の接続用基板の接続用電極の断線を有利に回避することができる。その結果、情報表示パネルの表示品質を向上させることができる。
【0026】
また、本発明に従い、背面側パネル基板の外側表面において、背面側パネル基板の導電実装部側端面の角部まで延在する緩衝材層を形成したことにより、背面側パネル基板の少なくとも導電実装部側端面および角部を含む端部領域を被覆するように防湿性絶縁材を形成した場合の効果に加えて、可撓性の接続用基板の位置ずれが、緩衝材層との摩擦力によってより抑制される効果および背面側パネル基板の導電実装部側端面の角部と可撓性の接続用基板との間に配置された緩衝材層が接続用電極の局所変形をより抑制する効果が得られる。従って、可撓性の接続用基板の接続用電極の断線を回避することができ、その結果、情報表示パネルの表示品質を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】従来の情報表示パネルモジュールの一例を説明するための図であり、(a)は表示面側パネル基板、(b)は背面側パネル基板、(c)は可撓性の接続用基板をそれぞれ示す。
【図2】(a)は図1(a)〜(c)にそれぞれ示した各基板を用いて構成した従来の情報表示パネルモジュールの一例を示す平面図である。(b)は(a)のA−A断面拡大図である。
【図3】従来の情報表示パネルモジュールの他の例を説明するための図であり、(a)および(b)はそれぞれ、表示面側パネル基板の裏側から見た場合の、第1および第2の可撓性の接続用基板の実装前、および実装後を示す模式図である。
【図4】従来の情報表示パネルモジュールの他の例を説明するための図であり、(a)は、表示面側パネル基板の裏側から見た場合の、情報表示パネルの一部を示す図である。(b)は、(a)のA−A断面拡大図である。(c)は、(a)のB−B断面拡大図である。
【図5】(a)は従来の情報表示パネルモジュールの他の一例を示す平面図である。(b)、(c)はそれぞれ、(a)のB−B断面拡大図および側面拡大図である。
【図6】(a)、(b)はそれぞれ、本発明に用いる情報表示パネルの一例においてその表示原理を説明するための図である。
【図7】(a)は本発明に係る情報表示パネルモジュールの第1実施形態を示す平面図である。(b)、(c)はそれぞれ、(a)のB1−B1断面拡大図および側面拡大図である。
【図8】(a)は本発明に係る情報表示パネルモジュールの第1実施形態の変形例を示す平面図である。(b)、(c)はそれぞれ、(a)のB2−B2断面拡大図および側面拡大図である。
【図9】(a)は本発明に係る情報表示パネルモジュールの第1実施形態の他の変形例を示す平面図である。(b)、(c)はそれぞれ、(a)のB3−B3断面拡大図および側面拡大図である。
【図10】(a)は本発明に係る情報表示パネルモジュールの第2実施形態、(b)はその変形例、(c)は他の変形例をそれぞれ示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明を具体的に説明する。
(本発明に用いる情報表示パネルの基本的な構成)
まず、本発明に用いる情報表示パネルの基本的な構成について、図6を用いて説明する。なお、図1〜5に示した構成と同一の構成については、同一の符号を付して示す。
本発明に用いる情報表示パネルの表示手段としては、対向するパネル基板間で、電気的な制御により駆動して情報を表示する表示媒体を備える表示手段であれば特に限定はなく、公知の種々の方式のものを用いることができる。以下、対向するパネル基板間に配置した光学的反射率と帯電性とを有する粒子群を表示媒体として、これらパネル基板それぞれに設置された表示用電極間に、電気的に制御した電界を形成して、この電界で表示媒体を移動させて情報を表示する方式を用いた場合について説明する。
【0029】
本発明に用いる図6(a)、(b)に示す例の情報表示パネルは、少なくとも光学的反射率と帯電性とを有する粒子を含む粒子群であって、互いに光学的反射率および帯電特性の異なる少なくとも2種類の表示媒体(ここでは負帯電性白色粒子17Waを含んだ粒子群として構成した白色表示媒体17Wと正帯電性黒色粒子17Baを含んだ粒子群として構成した黒色表示媒体17Bを示す)を、パネル基板間の隔壁18で形成された各セル内に配置し、パネル基板2に設けた表示用電極5(ストライプ電極)とパネル基板3に設けた表示用電極10(ストライプ電極)とが対向交差(好ましくは対向直交交差)して形成する画素電極対の間に電圧を印加することにより発生する電界に応じて、パネル基板2とパネル基板3との間を移動させる。そして、図6(a)に示すように白色表示媒体17Wを観察者に視認させて白色表示を、あるいは、図6(b)に示すように黒色表示媒体17Bを観察者に視認させて黒色表示を、白黒のドットでマトリックス表示させる。なお、図6(a)、(b)において、手前にある隔壁は省略している。また、パネル基板2,3のうち観察側となるパネル基板2と、このパネル基板2に設けられる表示用電極とはいずれも、少なくとも情報表示画面領域においては透明な素材で構成される。
【0030】
なお、本発明に用いる図6(a)、(b)に示す例の情報表示パネルは、パッシブ駆動方式としているが、背面側パネル基板に設けた表示用電極をTFT付きの画素電極として構成し、観察側パネル基板に設けた表示用電極をべた導電膜で構成した共通電極としたアクティブ駆動方式としてもよいことは言うまでもない。
また、帯電性粒子を含んだ粒子群を絶縁液体とともに前記セル内に封止した構成や、帯電性粒子を含んだ粒子群を絶縁液体とともにカプセルに封止したカプセル型の表示媒体を対向電極対間に配置した構成の情報表示パネルとすることもできる。
【0031】
(本発明に係る情報表示パネルモジュールの第1実施形態)
次に、本発明に係る情報表示パネルモジュールの第1実施形態について、図7を用いて説明する。なお、構成の骨子は前掲図5と共通するので、同一の構成については同一の符号を付して示す。ここに、図7(a)は、本発明に係る情報表示パネルモジュールの第1実施形態を示す平面図、図7(b)、(c)はそれぞれ、図7(a)のB1−B1断面拡大図および側面拡大図である。
図7において、20で情報表示パネルモジュールを示し、21は防湿性絶縁材である。なお、21a,21b,21c,21dはそれぞれ、防湿性絶縁材の外側部分、内側部分、側縁部分および背面側パネル基板の端面とその角部を被覆する部分である。
【0032】
本例に係る情報表示パネルモジュール20は、図7に示したように、表示面側パネル基板の接続用端子部6および可撓性の接続用基板の接続用電極7の端子部8それぞれの露出した電極部分を防湿性絶縁材21で覆うと共に、背面側パネル基板3の導電実装部側端面3aおよび角部を含む端部領域を被覆するように防湿性絶縁材21を形成したところに特徴がある。
防湿性絶縁材21は、図7(a)、(b)に示す例のように、図5(a)、(b)に示す間隙Sを埋めるように形成するのが好ましい。その際に、背面側パネル基板3の表面にまで架かるように防湿性絶縁材21を配置することで、図7(a)、(b)に示す構造が得られる。
ここに、背面側パネル基板3の導電実装部側端面3aおよび角部を含む端部領域を被覆するように形成した防湿性絶縁材が背面側パネル基板3の角部を覆う部分21dの厚さは、1.0 μm 以上あればよい。あまり厚くするとその分可撓性の接続用基板を大きく撓めて導電実装部を形成しなければならなくなり可撓性の接続用基板の接続用電極7が過分に曲げられ断線しやすくなるため、防湿性絶縁材が背面側パネル基板3の角部を覆う部分21dの好適な厚さは、1.0 μm 〜 100 μm の範囲である。
【0033】
具体的には、導電実装部において、異方性導電材9の内外両側に露出した、表示面側パネル基板2の接続用端子部6および可撓性の接続用基板4の接続用電極7の端子部8の電極部分を防湿性絶縁材の外側部分21aおよび防湿性絶縁材の内側部分21bによって覆う。防湿性絶縁材の内側部分21bは、導電実装部と枠状に形成したシール材14との間隙Sを埋めるように形成する。防湿性絶縁材の内側部分21bと防湿性絶縁材の外側部分21aとが、防湿性絶縁材の側縁部分21cで連結された構造とすることが好ましい。
上記の構造とすることにより、電極の腐食を防止することができるだけでなく、導電実装部近傍における接続用基板4と背面側パネル基板3との相対的な位置ずれをより効果的に防止することができる。
【0034】
以上説明した本発明に係る情報表示パネルモジュールの第1実施形態によれば、電極の腐食を効果的に防止することができるだけでなく、防湿性絶縁材21の上記した背面側パネル基板3の導電実装部側端面3aおよび角部を含む端部領域の被覆部21dにより、可撓性の接続用基板の位置ずれが抑制されるとともに、背面側パネル基板の導電実装部側端面の角部が、可撓性の接続用基板に当たることによって起こる接続用電極の局所変形を防止することができる。可撓性の接続用基板の位置ずれが抑制されるので、可撓性の接続用基板が、背面側パネル基板の導電実装部側端面の角部に何度も擦られることを防止することができ、かつ、接続用電極の局所変形を防止できるので、可撓性の接続用基板の接続用電極の断線を回避することができる。その結果、情報表示パネルの表示品質を向上させることができる。
【0035】
(本発明に係る情報表示パネルモジュールの第1実施形態の変形例)
次に、本発明に係る情報表示パネルモジュールの第1実施形態の変形例について、図8を用いて説明する。なお、構成の骨子は前掲図7と共通するので、同一の構成については同一の符号を付して示す。
図8において、22で情報表示パネルモジュールを示し、23は絶縁性防湿材である。なお、23a,23b,23c,23d,23e,23fはそれぞれ、防湿性絶縁材の外側部分、内側部分、側縁部分、背面側パネル基板の端面とその角部を被覆する部分、表示面側部分、背面側部分である。
【0036】
本例に係る情報表示パネルモジュール22は、図8に示したように、防湿性絶縁材23を、表示面側パネル基板の導電実装部面から端面および可撓性の接続用基板4の導電実装部面から端面ならびにこれら二枚の基板それぞれの両側面側縁の端面まで延在させて形成し、導電実装部および表示面側パネル基板2の端部領域および可撓性の接続用基板4の端部領域を防湿性絶縁材23で包み込んだところに特徴がある。
【0037】
具体的には、防湿性絶縁材23は、図7で示した外側部分、内側部分および背面側パネル基板の端面とその角部を被覆する部分に加え、表示面側パネル基板2の表面を覆う表示面側部分23e、可撓性の接続用基板4の表面を覆う背面側部分23f、およびこれら二枚の基板の両側縁を覆い、かつ外側部分23aと内側部分23bとを連結する側縁部分23cを有する構造とすることが好ましい。
【0038】
上記の構造とすることにより、電極の腐食を防止することができるだけでなく、導電実装部近傍における可撓性の接続用基板4と背面側パネル基板3との相対的な位置ずれをより効果的に防止することができ、かつ、接続用電極の局所変形を防止できるため、接続用電極7の断線を有利に回避することができる。
【0039】
(本発明に係る情報表示パネルモジュールの第1実施形態の他の変形例)
次に、本発明に係る情報表示パネルモジュールの第1実施形態の他の変形例について、図9を用いて説明する。なお、構成の骨子は前掲図8と共通するので、同一の構成については同一の符号を付して示す。
図9において、24で情報表示パネルモジュールを示し、25は防湿性絶縁材である。なお、25a,25b,25c,25d,25e,25fはそれぞれ、防湿性絶縁材の外側部分、内側部分、側縁部分、背面側パネル基板の端面とその角部を被覆する部分、表示面側部分、背面側部分である。
【0040】
本例に係る情報表示パネルモジュール24は、図9に示したように、防湿性絶縁材25の表示面側部分25eおよび背面側部分25fを、図8に示した例よりも導電実装部から遠ざかる方向へ延在させたところに特徴がある。
【0041】
以上説明した本発明に係る情報表示パネルモジュールの第1実施形態の他の変形例によれば、可撓性の接続用基板4と背面側パネル基板3との相対的な位置ずれを防湿性絶縁材25でさらに効果的に防止することができ、かつ、接続用電極の局所変形を防止できるため、接続用電極7の断線をさらに有利に回避することができる。
【0042】
なお、第1実施形態の変形例および他の変形例において、防湿性絶縁材で包み込む領域は、表示面側パネル基板2の導電実装部側の先端から1mm 〜5mm 程度、可撓性の接続用基板4の導電実装部側の先端から5mm 〜20 mm 程度とし、表示面側パネル基板2の表面側においては、情報表示画面領域に届かない範囲とするのが好適である。
【0043】
(本発明に係る情報表示パネルモジュールの第2実施形態)
次に、本発明に係る情報表示パネルモジュールの第2実施形態について、図10(a)を用いて説明する。なお、構成の骨子は前掲図7と共通するので、同一の構成については同一の符号を付して示す。
図10(a)において、26で情報表示パネルモジュールを示し、27は緩衝材層である。
【0044】
本例に係る情報表示パネルモジュール26は、図10(a)に示したように、背面側パネル基板3と可撓性の接続用基板4との間に緩衝材層27を形成したところに特徴がある。
ここに、緩衝材層27の厚さは、1 μm 以上あればよい。あまり厚くするとその分可撓性の接続用基板4を大きく撓めて導電実装部を形成しなければならなくなり可撓性の接続用基板4の接続用電極7が過分に曲げられ断線しやすくなるため、緩衝材層27の好適な厚さは、1 μm 〜 100 μm の範囲である。
【0045】
以上説明した本発明に係る情報表示パネルモジュールの第2実施形態によれば、緩衝材層27により、可撓性の接続用基板4に背面側パネル基板3の導電実装部側端面3aの角部が直接当たることを防止して接続用電極7の局所変形を防止でき、かつ、可撓性の接続用基板4と背面側パネル基板3との相対的な位置ずれを防湿性絶縁材21で効果的に防止することができるため、可撓性の接続用基板4の接続用電極7の断線を回避することができる。
【0046】
(本発明に係る情報表示パネルモジュールの第2実施形態の変形例)
次に、本発明に係る情報表示パネルモジュールの第2実施形態の変形例について、図10(b)を用いて説明する。なお、構成の骨子は前掲図8と共通するので、同一の構成については同一の符号を付して示す。
図10(b)において、28で情報表示パネルモジュールを示し、27は緩衝材層である。
【0047】
以上説明した本発明に係る情報表示パネルモジュールの第2実施形態の変形例によれば、緩衝材層27により、可撓性の接続用基板4に背面側パネル基板3の導電実装部側端面3aの角部が直接当たることを防止して接続用電極7の局所変形を防止でき、かつ、可撓性の接続用基板4と背面側パネル基板3との相対的な位置ずれを防湿性絶縁材23でより効果的に防止することができるため、可撓性の接続用基板4の接続用電極7の断線を有利に回避することができる。
【0048】
(本発明に係る情報表示パネルモジュールの第2実施形態の他の変形例)
次に、本発明に係る情報表示パネルモジュールの第2実施形態の他の変形例について、図10(c)を用いて説明する。なお、構成の骨子は前掲図9と共通するので、同一の構成については同一の符号を付して示す。
図10(c)において、29で情報表示パネルモジュールを示し、27は緩衝材層である。
【0049】
以上説明した本発明に係る情報表示パネルモジュールの第2実施形態の変形例によれば、緩衝材層27により、可撓性の接続用基板4に背面側パネル基板3の導電実装部側端面3aの角部が直接当たることを防止して接続用電極7の局所変形を防止でき、かつ、可撓性の接続用基板4と背面側パネル基板3との相対的な位置ずれを防湿性絶縁材25でさらに効果的に防止することができるため、可撓性の接続用基板4の接続用電極7の断線をさらに有利に回避することができる。
【0050】
(本発明に用いる情報表示パネルの一般的な構成要素について)
以下、本発明に用いる情報表示パネルの一般的な構成要素について説明する。
異方性導電材は、前述のとおり例えばACFやACP、ACSであり、フィルム状やペースト状の接合性材料中に導電性粒子を含むものである。
フィルム状やペースト状の接合性材料が硬化して機械的接合強度を発現し、導電性粒子が、対向する電極端子間の電気的接続を発現する。ストライプ状に形成された接続用電極端子部の電極端子間ギャップをこの導電性粒子の粒子径よりも大きくしないと、隣接電極端子間に配置された導電性粒子によって隣接電極端子間でリークが発生するおそれがある。したがって、接続用の電極端子部の隣接電極端子間ギャップを考慮して、適正な粒子径の導電性粒子を含む異方性導電材を用いることが肝要である。情報表示パネルモジュールを設計する際には、接続用電極端子部の隣接電極端子間ギャップを、異方性導電材が含む導電性粒子の粒子径の3倍以上にするとリークを発生しにくくなるのでさらに好ましい。
【0051】
防湿性絶縁材としては、少なくとも耐透湿性、可撓性、絶縁性、耐マイグレーション性を有し、パネル基板、電極端子部、接続用基板と接着する材料が用いることができる。
溶剤除去硬化系、湿度硬化系、紫外線硬化系のいずれかの硬化系としてある、シリコーン系樹脂やアクリル系樹脂やエポキシ系樹脂を用いることができる。
防湿性絶縁材はディスペンス、スプレーコート等の方法で配置することができる。
防湿性絶縁材の物性は次の通りであることが、製造の容易性や、製品に組み込んだ後の信頼性の観点でより好ましい。
・粘度 0.1〜10 Pa・s (25℃)
・硬化条件 紫外線硬化系の場合は500 mJ〜2500 mJ
湿度硬化系、溶剤除去硬化系の場合 25℃ 6時間〜30時間
・体積抵抗 1.0×1013 Ω/m 〜 1.0×1016 Ω/m
・透湿度 1000 g/m2・24 h 以下
・イオン濃度 Naイオン、Clイオン共に10 ppm以下
【0052】
導電実装部と枠状に形成したシール材との間に配置する防湿性絶縁材と、表示面側パネル基板および可撓性の接続用基板の導電実装部側の先端に配置する防湿性絶縁材とは、その硬化系を揃えることが好ましい。また、上記した防湿性絶縁材の双方が、それらの配置の後、硬化中に互いに一体化することが望ましく、互いに相溶する素材を用いることが好ましい。
【0053】
緩衝材層は、背面側パネル基板の外側表面に形成するのが好ましいが、シート状の緩衝材層を、背面側パネル基板と可撓性の接続用基板との間に挿入するようにしてもよい。
また、シート状の層でなくてもよく、点在した緩衝材料のドットが形成する層としてもよい。
緩衝材層の材料は、貯蔵弾性率(E’)が1.0×104 Pa 〜1.0×109 Pa の範囲にあって緩衝性を発現できる材料を用いる。貯蔵弾性率が1.0×104 Pa 未満であると、可撓性の接続用基板に背面側パネル基板の導電実装部側端面の角部が直接当たったときに十分な緩衝性を発現できず、接続用電極に断線が発生するおそれがあり、貯蔵弾性率が1.0×109 Pa を超えると、フレキシブルな情報表示パネルモジュールとする際に、曲がりにくい情報表示パネルとなってしまうおそれがある。
【0054】
緩衝材層は、上記を満足するものであればその形成方法は自在であるが、例えば、市販の粘着剤や液状ゴムを背面側パネル基板の外側表面に一面に塗布したり、ドット状に配置したりした後、乾燥させて形成したり、天然ゴムシートや合成ゴムシートを背面側パネル基板の外側表面に貼り合わせて形成したり、発泡ウレタンシートや発泡ゴムシートなどのスポンジシートを背面側パネル基板の外側表面に貼り合わせて形成したりすることができる。
【0055】
表示面側パネル基板の厚さは、25 μm〜1000 μmの範囲が好ましいが、薄型の情報表示パネルとするには、25 μm〜500 μmの範囲が好ましく、さらには、25 μm〜200 μmの範囲が好ましい。表示面側パネル基板としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリイミド、ポリエチレンサルフォネート(PES)等の樹脂基板のほか、ガラス基板を用いることができる。
【0056】
背面側パネル基板の厚さは、25 μm〜1000 μmの範囲が好ましいが、薄型の情報表示パネルとするには、25 μm〜500 μmの範囲が好ましく、さらには、25 μm〜200 μmの範囲が好ましい。背面側パネル基板としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエチレン(PE)、ポリカーボネート(PC)、ポリイミド(PI)、ポリエーテルサルフォン(PES)、アクリル等の有機高分子材料シートやガラス基板、絶縁膜で表面を被覆した金属基板などを用いる。
【0057】
全体を曲げることができる情報表示パネルモジュールとするには、情報表示パネルは可撓性を有する必要があり、この場合のパネル基板は、上記したパネル基板のうち、有機高分子材料基板や金属基板や200 μm以下の厚さのガラス基板などの可撓性を有する、言い換えれば、フレキシブルな基板を用いる。フレキシブルな基板としては、樹脂基板や金属基板が好適であるが、ガラス基板でも厚さを200 μm 以下にすればフレキシブル性が得られるので好適である。樹脂基板であれば、厚さを5000 μm 以下にすればフレキシブル性が得られる。
【0058】
情報表示画面領域に対向して配置する表示用電極(画素用電極)において、表示面側パネル基板の透明な情報表示画面領域には透明電極を設ける。透明電極の材料としては、酸化インジウム錫(ITO)、酸化インジウム、亜鉛ドープ酸化インジウム(IZO)、アルミニウムドープ酸化亜鉛(AZO)、アンチモン錫酸化物(ATO)、導電性酸化錫、導電性酸化亜鉛等の透明導電金属酸化物類、ポリアニリン、ポリピロール、Poly (3, 4-ethylenedioxythiophene)-poly(Styrenesulfonate)(PEDOT:PSS)等のポリチオフェンをはじめとする透明導電性高分子類が挙げられる。なお、情報表示画面領域に設ける電極の厚みは、導電性が確保でき光透過性に支障がなければ良く、0.01 μm〜10 μmが好ましく、0.05 μm〜5 μmがより好ましい。
【0059】
情報表示画面領域に対向して配置する表示用電極(画素用電極)において、背面側パネル基板に設ける電極としては、酸化インジウム錫(ITO)、酸化インジウム、亜鉛ドープ酸化インジウム(IZO)、アルミニウムドープ酸化亜鉛(AZO)、アンチモン錫酸化物(ATO)、導電性酸化錫、導電性酸化亜鉛等の導電金属酸化物類、ポリアニリン、ポリピロール、Poly (3, 4-ethylenedioxythiophene)-poly(Styrenesulfonate)(PEDOT:PSS)等のポリチオフェンをはじめとする導電性高分子類や、金、銀、銅、アルミニウム、ニッケル、クロム等の導電性金属や、これらの導電性金属を主成分とする合金が挙げられる。背面側パネル基板の情報表示画面領域に設ける表示用電極(画素用電極)は透明であってもよいし、透明でなくても良い。また、背面側の情報表示画面領域に設ける表示用電極(画素用電極)の厚みは、導電性が確保できれば良く、0.01 μm〜10 μmの範囲で設ける。この表示用電極(画素用電極)および表示用電極(画素用電極)から延びる配線電極および接続用端子部を構成する導電膜を同じ導電性金属材料で形成することもできる。例えば、銅薄膜を背面側基板上に形成した後、それぞれの電極にパターニングすればよく、上記三者を同時に形成することも可能である。
【0060】
電極の形成方法としては、上記例示の材料をスパッタリング法、真空蒸着法、CVD(化学蒸着)法、塗布法等で薄膜状に形成する方法や金属箔(例えば圧延銅箔)をラミネートする方法、導電剤を溶媒や合成樹脂バインダーに混合して塗布したりする方法が用いられる。パターン形成可能で導電性である上記材料を好適に用いることができる。
【実施例】
【0061】
以下、本発明の実施例について説明する。
発明例および比較例では、表示媒体として、帯電特性の異なる白黒2色の表示媒体(粒子群A、粒子群B)を用いた。
【0062】
粒子群Aは、メチルメタクリレートモノマー(関東化学試薬)60重量部、及び、1分子中に重合反応基を複数持つ多官能性モノマーとしてエチレングリコールジメタクリレート(和光純薬試薬)40重量部(約25 mol%)に、正帯電の荷電制御剤としてニグロシン化合物(ボントロンN07:オリエント化学製)3重量部、及び、黒色顔料として、カーボンブラック(スペシャルブラック:デグッサ製)5重量部をサンドミルにより分散させ、(アクリル系及びメタクリル系)樹脂−炭化水素系樹脂ブロックコポリマー(モディパーF600:日本油脂製)5重量部を溶解させた後、さらに2重量部のラウリルパーオキサイド(パーロイルL:日本油脂製)を溶解させた液を、界面活性剤としてポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム(ラテムルE−118B:花王製)を0.5 %添加した精製水に懸濁、重合させ、濾過、乾燥させた後、分級機(MDS−2:日本ニューマチック工業)を用いて平均粒子径9.2 μmの正帯電性黒色粒子群として得たものである。
【0063】
粒子群Bは、ポリメチルペンテンポリマー(TPX-R18;三井化学社製)100重量部と、着色剤として二酸化チタン(タイペークCR-90:石原産業社製)100重量部と、負帯電の荷電制御剤としてフェノール系縮合物(ボントロンE89:オリエント化学製)5重量部とを二軸混練機により溶融混練し、ジェットミル(ラボジェットミルIDS-LJ型:日本ニューマチック(株)製)で細かく粉砕し、分級機(MDS-2:日本ニュ−マチック工業)を用いて分級し、溶融球状化装置(MR-10:日本ニュ−マチック工業)を用いて溶融球状化して得た、平均粒子径が、9.5 μm の負帯電性白色粒子群として得たものである。
【0064】
以上説明した表示媒体ならびに、以下諸元になる表示面側パネル基板、背面側パネル基板、可撓性の接続用基板、異方性導電材、防湿性絶縁材を用い、発明例1,2としてそれぞれ、図7,8に示した構造の情報表示パネルモジュールを200個ずつ作製した。また、同様に、発明例3として、図10(a)に示した構造の情報表示パネルモジュールを200個作製した。但し、発明例3については、さらに以下諸元になる緩衝材層も用いた。さらに、比較例として、発明例1と同様の構成部材を用い、図5に示した構造の情報表示パネルモジュールを200個作製した。
・表示面側パネル基板および背面側パネル基板:厚さ125 μm の透明ポリエチレンテレフタレート(PET)シート。
・表示面側パネル基板および背面側パネル基板の表示用電極:ITOストライプ電極、電極間距離20 μm 、電極厚0.1 μm。
・表示面側パネル基板の接続用端子部:ITOストライプ電極、電極間距離20 μm 、電極厚0.1 μm。
・可撓性の接続用基板:厚さ70 μm のポリイミドフィルムに、L字型配線銅電極(厚さ18 μm )が形成され、絶縁膜で被覆されるとともにその一方の端部が、導電実装部を構成する接続用電極の端子部としてあるFPC。
・可撓性の接続用基板の接続用電極の端子部:銅ストライプ電極、電極間距離20 μm 、電極厚18 μm。
・異方性導電材:ソニーケミカル&インフォメーションデバイス社製 CP9842KS(導電性粒子径:6μm )。
・防湿性絶縁材:ソニーケミカル&インフォメーションデバイス社製 SA3220 をディスペンサーで配置し、紫外線照射スポットランプを用いて硬化させた。硬化条件は1000 mJ/cm2、硬化後弾性率を2.0×108 Paとした。
・緩衝材層:背面側パネル基板の表面全体に厚さ1mm の発泡ウレタンシートを配置した。
【0065】
(情報表示パネルモジュールの評価1:断線防止効果の確認)
発明例1〜3および比較例の情報表示用パネルモジュール各100個に対して、25 ℃、50 %RH の環境下で、X方向(図7(a)における左右方向)の曲げ試験を100回、Y方向(図7(a)における上下方向)の曲げ試験を100回実施した後、白べた画像および黒べた画像を表示させて、表示状態に不具合がないかどうかを調べた。X方向の曲げ試験は、情報表示用パネルモジュールを水平に設置し、その両端部をX方向にチャックではさみ、情報表示用パネルモジュールのX方向長さの3分の2のチャック間距離まで狭めては元に戻すことによって実行した。同様に、Y方向の曲げ試験は、情報表示用パネルモジュールを水平に設置し、その両端部をY方向にチャックではさみ、情報表示用パネルモジュールのY方向長さの3分の2のチャック間距離まで狭めては元に戻すことによって実行した。その結果を表1に示す。
【0066】
(情報表示パネルモジュールの評価2:耐腐食性の確認)
発明例1〜3および比較例の情報表示用パネルモジュール各100個に対して、25 ℃、80 %RH の環境下に30日間置いた後、白べた画像および黒べた画像を表示させる表示試験を行なって、表示状態に不具合がないかどうかを調べた。なお、上記の環境下に置く前に、情報表示パネルモジュールに実装された可撓性の接続用基板の接続用電極のもう一方の端子部である外部駆動装置の回路側端子部は、シリコーンゴムシートで挟んで湿分が端子部に入り込まないようにしておき、このシリコーンゴムシートを取り外してから端子部を外部駆動装置の回路側の接続用端子に接続して表示試験を行った。その結果を表1に示す。
【0067】
【表1】

【0068】
表1に示したとおり、本発明に従えば表示状態に不具合の発生は全くなく、背面側パネル基板の導電実装部側端面近傍における可撓性の接続用基板の接続用電極の断線を完全に回避することができ、その結果、表示品質を向上させた情報表示パネルモジュールを安定して供給できることが確認された。
【産業上の利用可能性】
【0069】
本発明に従い背面側パネル基板の導電実装部側端面近傍における接続用基板の接続用電極の断線を回避し、表示品質を向上させた情報表示パネルモジュールは、ノートパソコン、電子手帳、PDA(Personal Digital Assistants)と呼ばれる携帯型情報機器、携帯電話、ハンディターミナル等のモバイル機器の表示部、電子書籍、電子新聞、電子マニュアル(電子取扱い説明書)等の電子ペーパー、看板、ポスター、黒板やホワイトボード等の掲示板、電子卓上計算機、家電製品、自動車用品等の表示部、ポイントカード、ICカード等のカード表示部、電子広告、情報ボード、電子POP(Point Of Presence、Point Of Purchase advertising)、電子値札、電子棚札、電子楽譜、RF−ID機器の表示部のほか、POS端末、カーナビゲーション装置、時計など様々な情報表示装置の表示部に好適に用いることができる。他に、外部書き換え手段に電気的に接続して表示書き換えを行った後、接続を切り離しても継続して表示させておくことができるリライタブル型の電子ペーパーの表示部にも好適に用いられる。
なお、情報表示パネルの駆動方式については、パネル自体にスイッチング素子を用いないパッシブマトリックス駆動方式やスタティック駆動方式、また、TFT素子を用いたアクティブ駆動方式など、種々のタイプの駆動方式が適用できる。
【符号の説明】
【0070】
1 情報表示パネルモジュール
2 表示面側パネル基板
3 背面側パネル基板
4 可撓性の接続用基板
5 表示面側パネル基板の表示用電極
6 表示面側パネル基板の接続用端子部
7 可撓性の接続用基板の接続用電極
8 可撓性の接続用基板の接続用電極の端子部
9 異方性導電材
10 背面側パネル基板の表示用電極
11 背面側パネル基板の接続用端子部
12 TCP
13 基板間ギャップ確保用隔壁
14 枠状シール材
15、20、22、24、26、28、29 情報表示パネルモジュール
16 防湿性絶縁材
21、23、25 防湿性絶縁材
21a、23a、25a 防湿性絶縁材の外側部分
21b、23b、25b 防湿性絶縁材の内側部分
21c、23c、25c 防湿性絶縁材の側縁部分
21d、23d、25d 防湿性絶縁材の背面側パネル基板の端面とその角部を被覆する部分
23e、25e 防湿性絶縁材の表示面側部分
23f、25f 防湿性絶縁材の背面側部分
27 緩衝材層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに対向して配置された表示面側パネル基板および背面側パネル基板と、
上記の対向するパネル基板間で表示用電極を介して電気的な制御により情報を表示する表示手段と、
上記表示用電極を外部駆動回路に接続するための可撓性の接続用基板と、
上記表示面側パネル基板の内側面に設置され、上記可撓性の接続用基板に設置された接続用電極の端子部と接続される接続用端子部と、
を備え、
上記背面側パネル基板の表面に沿って上記可撓性の接続用基板を折り返すことなく配置すると共に、上記可撓性の接続用基板を撓ませつつ、上記表示面側パネル基板の上記接続用端子部と上記可撓性の接続用基板の接続用電極の端子部とを近接対向配置とし、これら二つの端子部を異方性導電材により接続した構造になる、情報表示パネルモジュールであって、
上記した表示面側パネル基板の接続用端子部と可撓性の接続用基板の接続用電極の端子部とを異方性導電材により接続した構造になる導電実装部において、少なくとも上記接続用端子部および上記接続用電極の端子部それぞれの上記異方性導電材から露出した電極部分を防湿性絶縁材で覆うと共に、上記背面側パネル基板の少なくとも導電実装部側端面および該端面の角部を含む端部領域を被覆するように上記防湿性絶縁材を形成したことを特徴とする情報表示パネルモジュール。
【請求項2】
前記導電実装部の近傍領域において、前記した防湿性絶縁材を、前記表示面側パネル基板の上記導電実装部面から端面および前記可撓性の接続用基板の上記導電実装部面から端面ならびにこれら二枚の基板それぞれの両側面側縁の端面まで延在させて形成し、上記導電実装部および上記表示面側パネル基板の端部領域および上記可撓性の接続用基板の端部領域を上記防湿性絶縁材で包み込んだことを特徴とする請求項1に記載の情報表示パネルモジュール。
【請求項3】
前記背面側パネル基板の外側表面において、上記背面側パネル基板の前記導電実装部側端面の角部まで延在する緩衝材層を形成したことを特徴とする請求項1または2に記載の情報表示パネルモジュール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−255844(P2012−255844A)
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−127630(P2011−127630)
【出願日】平成23年6月7日(2011.6.7)
【出願人】(000005278)株式会社ブリヂストン (11,469)
【Fターム(参考)】