説明

情報表示媒体

【課題】対向配置された2つの電極間の電位差によって第1の情報と第2の情報とを基材の同一面側にて表示する場合に、第1の情報を表示する領域が電極とこれに接続された配線とが絶縁層を介して接続され、第2の情報を表示する領域が電極とこれに接続された配線とが絶縁層を介さずに基材の同一面上に形成されていても、これら2つの領域間に段差を生じさせない。
【解決手段】二次元コード領域20には、複数のセル電極21に接続された配線22をベース基板11上に形成し、セル電極21のそれぞれを、ベース基板11の配線22が形成された面上に積層された絶縁層12上に、絶縁層12に形成されたスルーホール13を介して配線22と接続して形成する一方、バーコード領域30には、ベース基板11上に絶縁層12を積層し、この絶縁層12上に帯状電極31及び配線32を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対向配置された2つの電極間の電位差によって第1の情報と第2の情報とを基材の同一面側にて表示する場合に、第1の情報を表示する領域と第2の情報を表示する領域との段差の解消技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、物品を管理するためにバーコードが利用されている。このバーコードは、白色領域にて識別情報を複数本からなる黒色線の幅及び間隔で表したものであり、バーコードリーダで読み取ることにより識別情報を認識することができる。また、近年では、識別情報を、互いに異なる色に塗り分けられたドットで表されるセルの分布パターンで表現した二次元コードが利用されている。二次元コードは、上述したようなバーコードと比べて、ドットで表されるセルの分布パターンという二次元で識別情報を表現するものであることから、多くの情報を表現することができる。
【0003】
このようなバーコードや二次元コードは、物品に直接印刷されたり、ラベルに印刷されて物品に貼付されたりして利用されている。そのため、一度印刷されたバーコードや二次元コードを変更することができず、バーコードや二次元コードを変更する場合は、物品にバーコードや二次元コードを印刷しなおしたり、変更したバーコードや二次元コードが印刷されたラベルを貼りなおしたりしなければならない。
【0004】
ここで、対向する電極間に液晶や表示媒体を配置し、その電極に印加する電位を用いて液晶や表示媒体の状態を変化させて情報を表示する情報表示パネルを用いてバーコードや二次元コードを表示する技術が考えられている(例えば、特許文献1参照。)。そこで、これらの技術を組み合わせることにより、対向する電極間の電位差によって液晶や表示媒体の状態を変化させてバーコードと二次元コードとを基材の同一面側にて可変表示することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−234911号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上述したように液晶や表示媒体を用いてバーコードや二次元コードを表示する場合、これら液晶や表示媒体を挟み込む電極間の電位差を可変することになるため、バーコードを構成するバーや二次元コードを構成するセルドット毎に電極を配置し、この電極のそれぞれに、電圧を印加するための配線を接続することになる。
【0007】
ところが、液晶や表示媒体を用いて二次元コードを表示するものにおいては、二次元コードを構成するドット毎に設けられた電極のそれぞれに配線を接続する場合、セルドットが密に配置されていると、電極に接続された配線を他の電極間を介して外部に引き出すことが困難となるため、配線と電極との間に絶縁層を介在させ、絶縁層に形成されたスルーホールを介して配線と電極とを接続することになる。一方、液晶や表示媒体を用いてバーコードを表示するものにおいては、バーが非常に細いものとなる場合、そのバーに対応する電極にスルーホールを形成することが困難であるため、配線と電極とを絶縁層を介さずに基材の同一面上に形成することとなる。
【0008】
そのため、バーコードと二次元コードとを基材の同一面側にて可変表示する場合、二次元コードが表示される領域においては、電極と絶縁層と配線とが積層された状態となっている一方、バーコードが表示される領域においては、電極と配線とが絶縁層を介さずに基材の同一面上に形成された状態となっており、それにより、二次元コードが表示される領域とバーコードが表示される領域とで段差が生じてしまい、光の乱反射や光のノイズが生じてしまうという問題点がある。
【0009】
本発明は、上述したような従来の技術が有する問題点に鑑みてなされたものであって、対向配置された2つの電極間の電位差によって第1の情報と第2の情報とを基材の同一面側にて表示する場合に、第1の情報を表示する領域が電極とこれに接続された配線とが絶縁層を介して接続され、第2の情報を表示する領域が電極とこれに接続された配線とが絶縁層を介さずに基材の同一面上に形成されていても、これら2つの領域間に段差を生じさせることがない情報表示媒体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために本発明は、
ベース基材の一方の面側に配置された複数の表示電極からなる第1の電極層と、前記ベース基材の前記一方の面側に前記複数の表示電極に接続されて配置された配線と、前記第1の電極層の前記ベース基材とは反対側に対向配置された第2の電極層と、前記第1の電極層と前記第2の電極層との間に挟み込まれた情報表示層とを有し、前記複数の表示電極と前記第2の電極層との間の電位差に応じた前記情報表示層による色が前記第2の電極層側から視認される情報表示装置において、
前記配線が前記ベース基材上に形成され、前記第1の電極層が、前記ベース基材の前記配線が形成された面上に積層された絶縁層上に、該絶縁層に形成された導通部を介して前記配線と接続されて形成された第1の領域と、
前記ベース基材上に前記絶縁層が積層され、該絶縁層上に前記第1の電極層及びこれに接続された前記配線が形成された第2の領域とを有することを特徴する。
【0011】
上記のように構成された本発明においては、ベース基材の一方の面側に配置された複数の表示電極と、この複数の表示電極からなる第1の電極層のベース基材とは反対側に対向配置された第2の電極層との間の電位差に応じて、これら第1の電極層と第2の電極層との間に挟み込まれた情報表示層による色が第2の電極層側から視認されることになる。第1の領域においては、複数の表示電極に接続された配線がベース基材上に形成され、第1の電極層が、ベース基材の配線が形成された面上に積層された絶縁層上に、絶縁層に形成された導通部を介して配線と接続されて形成されている。このため、第1の領域においては、二次元コードのように複数の表示電極に接続された配線を他の表示電極間を介して外部に引き出すことが困難となるものを表示することができる。一方、第2の領域においては、複数の表示電極からなる第1の電極層とこれに接続された配線とが同一面に形成されている。このため、第2の領域においては、バーコードのように表示電極を非常に細いものとする必要があることにより、その表示電極にスルーホールを形成することが困難なものを表示することができる。そして、第2の領域においては、ベース基材上に絶縁層が積層され、その絶縁層上に第1の電極層及び配線が形成されているので、この絶縁層によって、第1の領域との間の厚みの差が吸収され、第1の領域と第2の領域との間にて段差が生じることがなくなる。
【発明の効果】
【0012】
以上説明したように本発明においては、二次元コードのように複数の表示電極に接続された配線を他の表示電極間を介して外部に引き出すことが困難となるものを表示する第1の領域には、複数の表示電極に接続された配線がベース基材上に形成され、第1の電極層が、ベース基材の配線が形成された面上に積層された絶縁層上に、絶縁層に形成された導通部を介して配線と接続されて形成されている一方、バーコードのように表示電極を非常に細いものとする必要があることにより、その表示電極にスルーホールを形成することが困難なものを表示する第2の領域には、ベース基材上に絶縁層が積層され、その絶縁層上に第1の電極層及び配線が形成されているので、この絶縁層によって、第1の領域と第2の領域との間の厚みの差が吸収され、それにより、第1の情報を表示する第1の領域が表示電極とこれに接続された配線とが絶縁層を介して接続され、かつ、第2の情報を表示する第2の領域が表示電極とこれに接続された配線とが絶縁層を介さずに同一面上に形成されていても、これら2つの領域間に段差を生じさせることを回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の情報表示媒体によって表示されるコード情報の一例を示す図である。
【図2】本発明の情報表示媒体の実施の一形態に用いられる配線電極基板の構成を示す図であり、(a)は表面から見た図、(b)は(a)に示したA−A’断面図である。
【図3】図2に示した配線電極基板を用いた情報表示媒体の構成を示す図であり、(a)は表面から見た図、(b)は(a)に示したA−A’断面図、(c)は(b)に示したA部拡大図である。
【図4】図3に示したコード表示カードの製造方法を説明するための図である。
【図5】図3に示したコード表示カードによって図1に示したコード情報を表示する際の動作を説明するための図であり、(a)はセル電極と透明電極との間における電位差による帯電性粒子の移動を示す図、(b)はコード表示カードを透明導電膜基板側から見た場合の見え方を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0015】
まず、本発明の情報表示媒体によって表示されるコード情報について説明する。
【0016】
図1は、本発明の情報表示媒体によって表示されるコード情報の一例を示す図である。
【0017】
本例におけるコード情報1は図1に示すように、第1の情報となる二次元コード2と、第2の情報となるバーコード3とを有している。
【0018】
二次元コード2は、黒色を具備するドットで表されるセルドット2aと、白色を具備するドットで表されるセルドット2bとが、表現する情報に応じたパターンで分布して表示されたものである。また、その3つの隅には、二次元コード2の向きや位置を正しく認識するための固定パターン2cが表示されている。
【0019】
バーコード3は、黒色を具備するバー3aと、白色を具備するバー3bとが交互に並んで表示され、これらバー3a,3bの幅によって識別情報が表現されたものである。
【0020】
図2は、本発明の情報表示媒体の実施の一形態に用いられる配線電極基板の構成を示す図であり、(a)は表面から見た図、(b)は(a)に示したA−A’断面図である。なお、図2に示す配線電極基板10は、図1に示したコード情報1を表示するための情報表示媒体に用いられるものである。
【0021】
本形態における配線電極基板10は図2に示すように、図1に示したコード情報1のうち二次元コード2を表示するための第1の領域となる二次元コード領域20と、図1に示したコード情報1のうちバーコード3を表示するための第2の領域となるバーコード領域30とを有している。
【0022】
二次元コード領域20には、ベース基板11の一方の面上に配線22が形成されており、この配線22が形成された面上に、導通部となるスルーホール13を有する絶縁層12が積層されている。また、絶縁層12上に、図1に示したセルドット2a,2bのそれぞれに対応して1つのセルドット2a,2bと同一の形状を有するセル電極21がマトリックス状に形成されているとともに、図1に示した固定パターン2cに対応する電極23が形成されている。そして、セル電極21及び電極23は、スルーホール13を介して配線22と接続されている。なお、配線22は、セル電極21に選択的に電圧を印加できるようにベース基板11上にて所定のパターンを有して形成されている。このように、二次元コード領域20においては、セル電極21のそれぞれが絶縁層12上に形成されており、この絶縁層12に形成されたスルーホール13を介してセル電極21が絶縁層12下の配線22に接続されているので、セル電極21がマトリックス状に密となって配置された状態において、セル電極21に接続された配線を他のセル電極21介して外部に引き出す必要がなくなる。
【0023】
バーコード領域30には、ベース基板11の一方の面の全面に絶縁層12が積層されており、この絶縁層12上に、複数の帯状電極31が微小間隔で並んで形成されているとともに、帯状電極31に接続された配線32が形成されている。このように、バーコード領域30においては、帯状電極31とこれに接続された配線32とが絶縁層12の同一面上に形成されているので、帯状電極31が非常に細いものであって二次元コード領域20のように絶縁層12にスルーホール13を形成することが困難となる場合に、スルーホール13を介することなく帯状電極31に配線32を接続することができる。
【0024】
なお、セル電極21、電極23及び帯状電極31が、本発明における表示電極となり、これらから第1の電極層が構成される。
【0025】
図3は、図2に示した配線電極基板10を用いた情報表示媒体の構成を示す図であり、(a)は表面から見た図、(b)は(a)に示したA−A’断面図、(c)は(b)に示したA部拡大図である。
【0026】
本形態における情報表示媒体は図3に示すように、図2に示した配線電極基板10のセル電極21、電極23及び帯状電極31が形成された面に、情報表示層40と、透明基材である透明導電膜基板50とが積層されて構成された薄型のコード表示カード4であり、配線電極基板10と同様に、二次元コード領域20とバーコード領域30とを有している。
【0027】
透明導電膜基板50は、ガラス等からなる透明基板51の一方の面に第2の電極層となる透明電極(例えば、ITO)52が形成されて構成されており、また、情報表示層40は、隔壁41とシール層44とで囲まれた領域に、帯電性粒子43が分散した隔壁内液体42が収容されて構成されている。そして、これら配線電極基板10、情報表示層40及び透明導電膜基板50は、透明電極52と、セル電極21、電極23及び帯状電極31とが、隔壁41とシール層44とで囲まれた領域に収容された隔壁内液体42を介して対向するように積層されている。なお、隔壁41は、底部と、情報表示層40の外周部となる側部と、側部で囲まれた領域を、例えば130μm□で複数の領域に区画するための壁部とからなり、底部とは反対側の面が開口した形状となっている。そして、底部側が透明導電膜基板50に対向するように積層されており、開口した側にシール層44が積層されている。
【0028】
また、透明導電膜基板50は、セル電極21、電極23及び帯状電極31に対向しない領域に、例えば黒色等のマスク印刷53が施されており、それにより、配線電極基板10に形成された配線32が透明導電膜基板50を介して視認されないようになっている。
【0029】
このようなコード表示カード4は、作業指示書や棚札として利用することができ、また、カードの形態ではなく、ベース基板11としてラベル基材を用いることによりラベルとしても利用することが考えられる。
【0030】
以下に、上記のように構成されたコード表示カード4の製造方法について説明する。
【0031】
図4は、図3に示したコード表示カード4の製造方法を説明するための図である。
【0032】
図3に示したコード表示カード4を製造する場合は、まず、ベース基板11の一方の面のうち二次元コード領域20に導電性ペースト等の導電性のインキを用いた印刷によって配線22を形成する(図4(a))。
【0033】
次に、ベース基板11の配線22が形成された面の全面に、スルーホール13を具備する絶縁層12を積層する(図4(b))。この絶縁層12はベース基板11の配線が形成された面に絶縁性のインキを用いた印刷によって積層することが考えられるが、そのように絶縁層12を印刷によって積層する場合、スルーホール13が配置される領域に絶縁層12が積層されないようなパターンで印刷を行うことにより、絶縁層12を積層すると同時にスルーホール13を形成することができる。また、絶縁層12を印刷以外の方法によって積層する場合は、ベース基板11の配線22が形成された面の全面に絶縁層12を積層した後、絶縁層12にスルーホール13を形成することが考えられる。
【0034】
このようにベース基板11の配線22が形成された面の全面に絶縁層12が積層された状態においては、絶縁層12が、ベース基板11の一方の面のうち二次元コード領域20に形成されている配線22の厚みに追従しないため、配線22による二次元コード領域20とバーコード領域30との間の厚みの差が絶縁層12によって吸収され、絶縁層12の表面はスルーホール13を除いてフラットな状態となっている。
【0035】
次に、絶縁層12上に、導電性ペースト等の導電性インキを用いた印刷によって、二次元コード領域20にセル電極21及び電極23を形成するとともに、バーコード領域30に帯状電極31及びこれに接続された配線32を形成する(図4(c))。すると、二次元コード領域20においては、導電性インキがスルーホール13内に流れ込み、セル電極21及び電極23のそれぞれが、ベース基板11上に形成された配線22と接続されることになる。
【0036】
このように、その表面がフラットな状態となっている絶縁層12上に、二次元コード領域20にはセル電極21及び電極23を形成し、また、バーコード領域30には帯状電極31及び配線32を形成することにより、ベース基板11からセル電極21及び電極23の表面までの高さと、ベース基板11から帯状電極31及び配線32の表面までの高さとが同一となる。
【0037】
その後、ベース基板11のセル電極21、電極23、帯状電極31及び配線32が形成された面上に、情報表示層40と、その表面にマスク印刷53が施された透明導電膜基板50とを順次積層し、これらを粘着剤(不図示)によって貼り合わせることによって図3に示したコード表示カード4が完成する(図4(d))。
【0038】
このように完成したコード表示カード4においては、ベース基板11からセル電極21及び電極23の表面までの高さと、ベース基板11から帯状電極31及び配線32の表面までの高さとが同一となっており、これらベース基板11からの高さが同一のセル電極21、電極23、帯状電極31及び配線32上に情報表示層40及び透明導電性基板50が積層されるので、透明導電性基板50上には、セル電極21及び電極23が設けられた二次元コード領域20と、帯状電極31及び配線32が設けられたバーコード領域30との間に段差が生じずに、透明導電性基板50の表面がフラットな状態となる。
【0039】
すなわち、本形態のコード表示媒体4においては、二次元コード領域20には、複数のセル電極21及び電極23に接続された配線22がベース基板11上に形成され、セル電極21及び電極23のそれぞれが、ベース基板11の配線22が形成された面上に積層された絶縁層12上に、絶縁層12に形成されたスルーホール13を介して配線22と接続されて形成されている一方、バーコード領域30には、ベース基板11上に絶縁層12が積層され、その絶縁層12上に帯状電極31及び配線32が形成されているので、この絶縁層12によって、二次元コード領域20とバーコード領域30との間の厚みの差が吸収され、それにより、二次元コード2を表示する二次元コード領域20においてセル電極21及び電極23とこれに接続された配線22とが絶縁層12を介して接続され、また、バーコード3を表示するバーコード領域30において帯状電極31とこれに接続された配線32とが絶縁層12を介さずに絶縁層12の同一面上に形成されていても、これら二次元コード領域20とバーコード領域30との間に段差を生じさせることを回避することができる。
【0040】
以下に、上述したコード表示カード4によるコード情報1の表示動作について説明する。
【0041】
図5は、図3に示したコード表示カード4によって図1に示したコード情報1を表示する際の動作を説明するための図であり、(a)はセル電極21と透明電極52との間における電位差による帯電性粒子43の移動を示す図、(b)はコード表示カード4を透明導電膜基板50側から見た場合の見え方を示す図である。
【0042】
図3に示したコード表示カード4によって図1に示したコード情報1を表示する場合、例えば、透明電極52を0Vとし、また、二次元コード領域20においては、ベース基板11に形成されたセル電極21のうち、表現したい情報に応じて黒色のセルドット2aを表示するためのセル電極21に配線22を介してマイナスの電圧を印加とするとともに、白色のセルドット2bを表示するためのセル電極21に配線22を介してプラスの電圧を印加する。また、固定パターン2cを表示するための電極23に対しても、表示する色に応じて黒色を表示する部分に配線22を介してマイナスの電圧を印加するとともに、白色を表示するための部分に配線22を介してプラスの電圧を印加する。また、バーコード領域30においては、絶縁層12上に形成された帯状配線31のうち、表現したい情報に応じて黒色のバー3aを表示するための帯状電極31に配線32を介してマイナスの電圧を印加するとともに、白色のバー3bを表示するための帯状電極31に配線32を介してプラスの電圧を印加する。
【0043】
このように、透明電極52が0Vとされた状態で、セル電極21や帯状電極31にマイナスあるいはプラスの電圧が選択的に印加されると、マイナスの電圧が印加されたセル電極21や帯状電極31に対向する領域においては、セル電極21や帯状電極31に対して透明電極52側がプラスとなる電位差が生じ、また、プラスの電圧が印加されたセル電極21や帯状電極31に対向する領域においては、セル電極21や帯状電極31に対して透明電極52側がマイナスとなる電位差が生じる。すると、隔壁41及びシール層44で囲まれた領域に収容された隔壁内液体42が誘電性物質からなり、帯電性粒子43がプラス電位に帯電しているものであることから、図5(a)に示すように、マイナスの電圧が印加されたセル電極21や帯状電極31に対向する領域においては、帯電性粒子43がセル電極21や帯状電極31側に引き寄せられていき、また、プラスの電圧が印加されたセル電極21や帯状電極31に対向する領域においては、帯電性粒子43が透明電極52側に引き寄せられていく。
【0044】
そして、隔壁内液体42が染料または顔料で黒色に着色されており、帯電性粒子43が高屈折率の光散乱成分を含むため、このコード表示カード4を透明導電膜基板50側から見た場合、マイナスの電圧が印加されたセル電極21や帯状電極31に対向する領域においては、情報表示層40による黒色が透明導電膜基板50を介して認識され、また、プラスの電圧が印加されたセル電極21や帯状電極31に対向する領域においては、情報表示層40による白色が透明導電膜基板20を介して認識されるようになり、二次元コード領域20においては、黒色のセルドット2aと白色のセルドット2bとが、表現する情報に応じたパターンで分布して表示され、また、バーコード領域30においては、黒色のバー3aと白色のバー3bとが、表現する情報に応じた幅で交互に並んで表示されることとなる。
【0045】
なお、本形態のコード表示カード4のように薄型の表示媒体においては、外力によって歪みが生じる場合があるが、その場合、二次元コード領域20とバーコード領域30との間にて段差が生じていると、その段差の部分において外部からの光が乱反射したり光のノイズが生じたりしてしまい、情報表示層40による表示色が見にくくなってしまう。ところが、本形態のコード表示カード4においては、上述したように二次元コード領域20とバーコード領域30との間にて段差が生じていないため、外力によって歪みが生じた場合であっても、情報表示層40による表示色が見にくくなってしまうことがない。
【0046】
また、本形態においては、二次元コード2を表示するための二次元コード領域20と、バーコード3を表示するためのバーコード領域30とを有し、これら二次元コード領域20とバーコード領域30との間に段差が生じることを回避するものを例に挙げて説明したが、本発明はこれに限らず、ベース基材上に配線が形成されるとともにこの配線上に絶縁層が積層され、絶縁層上に配線と接続された第1の電極層が形成された第1の領域と、ベース基材上において配線とこれに接続された第2の電極層とが基材の同一面上に設けられた第2の領域とを有するものであれば、第2の領域において、ベース基材上に第1の領域と同様に絶縁層を積層し、その絶縁層上に配線及びこれに接続された第2の電極層を形成することにより、これら層構成が互いに異なる第1の領域と第2の領域との間に段差が生じることを回避することができる。
【符号の説明】
【0047】
1 コード情報
2 二次元コード
3 バーコード
2a,2b セルドット
2c 固定パターン
3a,3b バー
4 コード表示カード
10 配線電極基板
11 ベース基板
12 絶縁層
13 スルーホール
20 二次元コード領域
21 セル電極
22,32 配線
23 電極
30 バーコード領域
31 帯状電極
40 情報表示層
41 隔壁
42 隔壁内液体
43 帯電性粒子
44 シール層
50 透明導電膜基板
51 透明基板
52 透明電極
53 マスク印刷

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベース基材の一方の面側に配置された複数の表示電極からなる第1の電極層と、前記ベース基材の前記一方の面側に前記複数の表示電極に接続されて配置された配線と、前記第1の電極層の前記ベース基材とは反対側に対向配置された第2の電極層と、前記第1の電極層と前記第2の電極層との間に挟み込まれた情報表示層とを有し、前記複数の表示電極と前記第2の電極層との間の電位差に応じた前記情報表示層による色が前記第2の電極層側から視認される情報表示装置において、
前記配線が前記ベース基材上に形成され、前記第1の電極層が、前記ベース基材の前記配線が形成された面上に積層された絶縁層上に、該絶縁層に形成された導通部を介して前記配線と接続されて形成された第1の領域と、
前記ベース基材上に前記絶縁層が積層され、該絶縁層上に前記第1の電極層及びこれに接続された前記配線が形成された第2の領域とを有することを特徴する情報表示媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−73480(P2012−73480A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−219133(P2010−219133)
【出願日】平成22年9月29日(2010.9.29)
【出願人】(000110217)トッパン・フォームズ株式会社 (989)
【Fターム(参考)】