説明

情報表示用パネルの製造方法

【課題】隔壁の形成の際に、泡噛み込みをすることなく隔壁を形成し、隔壁材料不要部分に残膜が形成されることを防止することができる情報表示用パネルの製造方法を提供する。
【解決手段】少なくとも一方が透明な対向する2枚の基板の一方の表面に、型を用いて隔壁を形成して、その基板間に該隔壁により画成された多数のセルからなる空間を設け、それぞれの空間に帯電性を有する多数の粒子から構成される表示媒体を封入する情報表示用パネルを製造する方法であって、前記隔壁の形状の反転パターンが形成された前記型61のキャビティ61aに、隔壁材料63を、真空下においてスクリーン印刷することにより充填する工程;前記隔壁材料を充填した型61を、前記2枚の基板の一方の基板62の表面に載置し、加圧する工程;及び前記隔壁材料63を硬化させ、次いで離型することにより前記隔壁64を形成する工程;を含む情報表示パネルの製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報表示用パネルの製造方法に関し、特に情報表示用パネルの製造における隔壁形成工程に特徴を有する情報表示用パネルの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置(LCD)に代わる情報表示装置として、帯電粒子を液体中で駆動させる方式(電気泳動方式)の情報表示装置や、帯電粒子を気体中で駆動させる方式(例えば、電子粉流体方式)の情報表示装置が知られている。
【0003】
帯電粒子駆動方式の情報表示装置に用いる情報表示用パネルとしては、少なくとも一方が透明な対向する2枚の基板間の隔壁によって互いに隔離されたセル内に、少なくとも1種類以上の粒子から構成される所定の光学的反射率および帯電性を有する電解駆動可能な表示媒体を封入し、基板に設けた電極から、表示媒体に電界を付与することによって、表示媒体を移動させて画像等の情報を書き換え可能に表示する方式の情報表示用パネルが知られている。
【0004】
このような情報表示用パネルにおいて、隔壁は、基板平行方向の余分な粒子移動を阻止し、表示を繰り返すことにより粒子が偏在しないようにするため、また、基板間の間隔を均一にかつ補強し、画像表示板の強度を高めるために設けられている。
【0005】
隔壁の形成方法としては、一般に、フォトリソ法、インプリント法、スクリーン印刷法、凸版印刷法、凹版印刷法、サンドブラスト法等が挙げられる。その内、インプリント法は、図5(a)〜(c)に示すように、液状の紫外線硬化性樹脂材料53を、基板52の表面全面にスピンコート法等により塗布し(a)、所定のパターン(隔壁のパターンの反転パターン)の凹凸形状が形成された金型51を基板52の所定の位置に押しつけながら紫外線照射することにより樹脂材料を硬化させ(b)、基板52上に所定のパターン形状の隔壁54を形成させる(c)方法が挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−039106
【特許文献2】特開2006−133449
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述したインプリント法では、紫外線硬化性樹脂材料を基板の全面に塗布していることから、スタンパを押圧して隔壁を形成する際に、隔壁を形成することが必要な場所以外の基板上(以下「隔壁材料不要部分」ともいう。)にも紫外線硬化性樹脂材料が硬化して形成される場合がある。隔壁材料不要部分に形成された硬化材料を残膜(図5(c)の符号55で示した部分)というが、残膜55が残った状態で情報表示用パネルを製造すると、画像の表示を繰り返すうちに表示媒体の移動に伴って、残膜が帯電し、表示に悪影響を及ぼす場合がある。また、残膜の厚さは均一ではないことが多いため、ディスプレイ特性が低下する場合があった。一方、残膜の形成を防止するために、基板全面に塗布する樹脂材料の量を少なくした場合は、隔壁の形成が不良となる。
【0008】
形成された残膜を除去するために、特許文献1では、プラズマエッチングやリアクティブイオンエッチング等のドライエッチングより残膜を除去する方法が用いられている。しかしながら、このようなエッチング法は、基板上の電極などに傷をつける可能性があり、また工程数が増加するため、生産性に問題があった。
【0009】
一方、残膜が形成されることを予め防止するために、隔壁のパターンの反転パターンが形成された金型のキャビティに、隔壁材料を充填し、次いでこの金型を基板に載置し、隔壁材料を硬化させる隔壁形成方法も知られている。金型のキャビティに充填する方法としては、特許文献2において接着剤を金型のキャビティに充填する工程のように、まず、金型のパターンが形成された側の面に材料を塗布し、その後スキージで不要材料を除去する方法や、マスキング材を用いてスプレー塗付をする方法等がある。
【0010】
しかしながら、このような充填方法では、キャビティ内の隅々まで完全に充填できず、泡噛み込みが生じ、良好な隔壁を形成することができない場合があった。
【0011】
従って、本発明の目的は、情報表示用パネルの製造方法における隔壁形成工程において、隔壁材料不要部分に残膜が形成されること、及び隔壁形成の際に泡噛み込みが生じることを防止することができる情報表示用パネルの製造方法を提供することにある。また、この方法により製造された情報表示用パネルを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的は、少なくとも一方が透明な対向する2枚の基板の一方の表面に、型を用いて隔壁を形成して、その基板間に該隔壁により画成された多数のセルからなる空間を設け、それぞれの空間に帯電性を有する多数の粒子から構成される表示媒体を封入することにより、電界により表示媒体を移動させて情報を表示する情報表示用パネルを製造する方法であって、前記隔壁の形状の反転パターンが形成された前記型のキャビティに、隔壁材料を、真空下においてスクリーン印刷することにより充填する工程;前記隔壁材料を充填した型を、前記2枚の基板の一方の基板の表面に載置し、加圧する工程;及び前記隔壁材料を硬化させ、次いで離型することにより前記隔壁を形成する工程;を含む情報表示パネルの製造方法により達成することができる。
【0013】
このように、型のキャビティに材料をスクリーン印刷により充填し、基板に隔壁を形成することで、基板の隔壁材料不要部分に残膜が形成されることを防止することができる。更に、このスクリーン印刷を真空下で行うことで、隔壁材料をキャビティ内の隅々までバブルレスで確実に充填することができるため、泡噛み込みを防止することができる。
【0014】
本発明に係る情報表示用パネルの製造方法の好ましい態様は以下の通りである。
(1)隔壁材料の粘度が、スクリーン印刷を行う温度条件、及びずり速度1000s−1において、1〜100Pa・sである。
(2)真空下でのスクリーン印刷を行う際の真空度が50〜1000Paである。
(3)型が樹脂製のスタンパである。
(4)隔壁材料が紫外線硬化性樹脂組成物である。
【0015】
更に、本発明は、上記情報表示用パネルの製造方法により製造した情報表示用パネルによっても達成される。
【発明の効果】
【0016】
本発明の情報表示用パネルの製造方法によれば、隔壁の必要な所定位置に隔壁を形成させることができ、隔壁と隔壁の間に残膜が形成することを防止することができる。また、隔壁材料をバブルレスで確実に充填することができ、泡噛みを防止することができる。従って、従来のインプリント法に比べて、隔壁の形成に必要な材料を低減させることができ、より良好な隔壁を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の情報表示用パネルの一例を説明するための概略断面図であり、図1(a)は白色表示の場合、図1(b)は黒色表示の場合の図である。
【図2】本発明の情報表示用パネルの別の一例を説明するための概略断面図であり、図2(a)は白色表示の場合、図2(b)は黒色表示の場合の図である。
【図3】本発明の情報表示用パネルの別の一例を説明するための概略断面図であり、図3(a)は白色表示の場合、図3(b)は黒色表示の場合の図である。
【図4】一般的な情報表示用パネルを説明するための概略図である。
【図5】インプリント法を使用した従来の隔壁形成工程を示す概略説明図である。
【図6】本発明の製造方法における隔壁形成の際の材料充填工程を示す概略説明図である。
【図7】本発明の製造方法における隔壁形成の際の加圧・硬化・離型工程を示す概略説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0019】
まず、本発明に係わる情報表示用パネルの基本的な構成について説明する。この情報表示用パネルでは、少なくとも一方が透明な対向する2枚の基板間の隔壁により画成されたセルからなる空間に、少なくとも1種類以上の光学的反射率と帯電性を有する粒子(電界駆動可能な粒子ともいう)から構成される表示媒体が封入されている。その表示媒体に電界を付与することによって、付与された電界方向にそって、帯電した表示媒体が電界による力やクーロン力などによって引き寄せられる。そして、電界方向の変化によって表示媒体が移動することにより、画像等の情報表示がなされる。従って、表示媒体が均一に移動し、且つ繰り返し表示を書き換えるとき、あるいは表示情報を継続して表示するときの安定性を維持できるように、情報表示用パネルを設計する必要がある。ここで、表示媒体を構成する粒子にかかる力は、粒子同士のクーロン力により引付け合う力の他に、電極や基板との電気鏡像力、分子間力、液架橋力、重力などが考えられる。
【0020】
本発明に係わる、ドットマトリックス型情報表示用パネルの例を、図1〜3に基づいて説明する。
【0021】
図1(a)、(b)は、本発明に係わる情報表示用パネルの一例を説明するための概略断面図である。図1においては、少なくとも光学的反射率および帯電性を有する粒子の粒子群から構成される互いに光学的反射率および帯電特性が異なる少なくとも2種以上の表示媒体13(ここでは表示用白色粒子13Waの粒子群からなる白色表示媒体13Wと表示用黒色粒子13Baの粒子群からなる黒色表示媒体13Bを示す)を、隔壁14で形成された各セルに封入している。そして、基板11に設けたライン電極15と基板12に設けたライン電極16とが対向直交交差して形成する画素電極対に電圧を印加することにより発生する電界に応じて、基板11、12と垂直に移動させる。これにより、図1(a)に示すように白色表示媒体13Wを観察者(矢印方向)に視認させて白色ドット表示を行うか、又は図1(b)に示すように黒色表示媒体13Bを観察者に視認させて黒色ドット表示を行っている。電極は基板の外側に設けても、基板の内部に埋め込むように設けてもよい。ここでは隔壁によって形成されるセルと対向する個別電極対とを対応させて表示単位(1ドット)を構成している。
【0022】
図2(a)、(b)は、本発明に係わる情報表示用パネルの別の一例を説明するための概略断面図である。図2においては、少なくとも光学的反射率と帯電性を有する粒子の粒子群から構成される表示媒体23(ここでは表示用白色粒子23Waの粒子群からなる白色表示媒体23Wを示す)を、隔壁24で形成された各セルに封入している。そして、基板21に設けた電極25と電極26との間に電圧を印加することにより発生する電界に応じて、基板21、22と平行方向に移動させる。これにより、図2(a)に示すように、白色表示媒体23Wを観察者(矢印方向)に視認させて白色ドット表示を行うか、又は図2(b)に示すように、黒色板27Bの色を観察者に視認させて黒色ドット表示を行っている。ここで、白色表示媒体23Wを黒色表示媒体とし、黒色板27Bを白色板としても同様の表示を行うことができる。電極は基板の外側に設けても、基板の内部に埋め込むように設けてもよい。ここでは隔壁によって形成されるセルが表示単位(1ドット)となる。
【0023】
図3(a)、(b)は、本発明に係わる情報表示用パネルの別の一例を説明するための概略断面図である。図3においては、基本の構成としては、図1に示す例と同じあるが、3個のセル(各セルが単位画素となり、この場合3色単位画素で1表示単位(1ドット)としている)で表示単位を構成することによりカラードット表示を行っている。即ち、表示媒体としてはすべてのセル31−1〜31−3に白色表示媒体33Wと黒色表示媒体33Bとを充填し、第1のセル31−1の観察者側に赤色カラーフィルター32Rを設け、第2のセル31−2の観察者側に緑色カラーフィルター32Gを設け、第3のセル31−3の観察者側に青色カラーフィルター32BLを設け、第1のセル31−1、第2のセル31−2および第3のセル31−3の3個のセルで表示単位を構成している。図3(a)では、1表示単位中のすべての第1セル31−1〜第3のセル31−3において白色表示媒体33Wを観察者側に移動させることで、観察者に対し白色ドット表示を行い、図3(b)では、1表示単位中のすべての第1セル31−1〜第3のセル31−3において黒色表示媒体33Bを観察者側に移動させることで、観察者に対し黒色ドット表示を行っている。各セルにおける表示媒体の移動のさせ方で多色カラー表示が可能となる。
【0024】
[本発明の情報表示用パネルの製造方法]
本発明の情報表示用パネルの製造方法は、上述したように隔壁形成工程に特徴を有する。この隔壁形成工程は、型のキャビティに隔壁材料を充填する工程、隔壁材料を充填した型を基板に載置し、加圧する工程、及び隔壁材料を硬化し、離型する工程に分けられる。以下、それぞれの工程について図面を用いて説明する。
【0025】
図6(a)〜(c)は、隔壁材料の充填工程を示す説明図である。図6(a)に示すように、隔壁の平面パターンを形成した印刷マスク66を、隔壁の形状の反転パターンが形成された型61の上に所定の距離をおいて版枠68により固定する。この際、印刷マスク66は、その開口部66aと型61のキャビティの位置が合うように配置するが、この位置合わせは、適宜アライメントマークを用いて自動又は手動で行う。印刷マスク66はスクリーン版でもメタルマスク版でもよい。そして、印刷マスク66上に隔壁材料63を供給する。
【0026】
次に、図6(b)に示すように、印刷マスク66上で、スキージ67を移動させて隔壁材料63を延ばし、印刷マスク66の開口部66aからキャビティ61aに隔壁材料63を充填する。このスクリーン印刷による充填工程は真空下で行う。真空下で行うことにより、型61のキャビティ61a内から空気が抜け、キャビティ61内の隅々まで完全に隔壁材料63を充填することができ、泡噛み込みを防止することができる。
【0027】
この場合の真空度は、使用する隔壁材料63の粘度にもよるが、一般に50〜1000Pa、好ましくは50〜200Paである。真空度が50Paよりも低いと沸点が低い成分が蒸発する恐れがあり、1000Paよりも高いと充填部の泡が除去できず、十分な充填を行うことができない場合がある。真空下でスクリーン印刷をするには、市販されている真空スクリーン印刷機を用いるか、真空機器内にスクリーン印刷機を設置して行う。以上のようにして、隔壁材料が充填された型61を得る(図6(c))。
【0028】
次に、隔壁材料を充填した型を基板に載置して加圧する工程、及び隔壁材料を硬化して離型する工程について説明する。図7(a)のように、型61のパターン側の面を基板62の所定の位置に合わせて載置する。次に、図7(b)に示すように、加圧(例えば、1〜10気圧)を行い、隔壁材料63と基板62の接着を行う。そして、この状態で紫外線の照射を行うことにより隔壁材料63を硬化させる。硬化後、離型して基板62に形成された隔壁64を得る(図7(c))。
【0029】
上述した方法により、隔壁を形成した場合には、隔壁と隔壁の間の隔壁材料不要部分に残膜が形成されること、及び隔壁に泡噛み込みが生じることを防止することができる。従って、良好な隔壁を形成することができ、残膜を除去する工程を必要としないため、生産性が向上した情報表示用パネルの製造方法を提供することができる。
【0030】
[型]
本発明の製造方法において、型は、金属製又は樹脂製モールド、金属製又は樹脂製スタンパ、及び金型からIPSフィルム(中間樹脂スタンプフィルム)に転写した中間スタンパ等を含む。特にナノインプリント法に使用できるスタンパ又は中間スタンパが好ましい。材質はどのようなものでも良いが、好ましくはニッケル、チタン、シリコン、石英、樹脂等が適用できる。特に、隔壁材料として紫外線硬化性樹脂組成物からなる樹脂材料を用いる場合は、紫外線透過性の金型が好ましく、特に紫外線透過性のスタンパ又は中間スタンパが好ましい。特に、石英や紫外線透過性の樹脂製のスタンパ、及びニッケル製等の金属製スタンパから熱インプリント法等により転写した紫外線透過性の樹脂フィルム製の中間スタンパが好ましい。
【0031】
[隔壁材料]
本発明の方法において、隔壁材料は紫外線硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂等どのようなものでもよい。熱による基板、モールド間の線膨張係数差による歪が発生しにくく、高精度のパターン形成ができる点で紫外線硬化性樹脂組成物を用いることが好ましい。隔壁材料の粘度は、スクリーン印刷を行う温度条件、及びずり速度1000s−1において、1〜100Pa・sが好ましく、特に、40〜80Pa・sが好ましい。粘度が1Pa・sよりも低いと材料の流動性が高く、パターン形成の必要のない個所へ材料が塗布され残膜につながり、粘度が100Pa・sよりも高いと塗付表面の平滑化が難しく、残膜が広がる恐れがある。また、この範囲外の場合、隔壁材料をキャビティに十分に充填できなくなる等の不都合が生じる場合がある。スクリーン印刷を行う温度条件は、通常室温であるが、必要により温度調節を行ってもよい。
【0032】
紫外線硬化性樹脂組成物の場合は、紫外線硬化性樹脂と光開始剤を含む組成物が好ましい。
【0033】
紫外線硬化性樹脂としては、例えば、ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、エポキシアクリレート、エポキシ樹脂、イミド系オリゴマー、ポリエン・チオール系オリゴマー等が挙げられる。
【0034】
ウレタンアクリレートは、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、メチレンビス(4−シクロヘキシルイソシアネート)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート等のジイソシアネート類とポリ(プロピレンオキサイド)ジオール、ポリ(プロピレンオキサイド)トリオール、ポリ(テトラメチレンオキサイド)ジオール、エトキシ化ビスフェノールA等のポリオール類と2−ヒドロキシエチルアクリレート2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、グリシドールジメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート等のヒドロキシアクリレート類とを反応させることによって得られ、分子中に官能基としてアクリロイル基とウレタン結合を有するものである。
【0035】
ポリエステルアクリレートとしては、例えば、無水フタル酸とプロピレンオキサイドとアクリル酸とからなるポリエステルアクリレート、アジピン酸と1,6−ヘキサンジオールとアクリル酸とからなるポリエステルアクリレート、トリメリット酸とジエチレングリコールとアクリル酸とからなるポリエステルアクリレート等が挙げられる。
【0036】
エポキシアクリレートは、エピクロルヒドリン等のエポキシ化合物とアクリル酸又はメタクリル酸との反応により合成されたものであり、例えば、ビスフェノールAとエピクロルヒドリンとアクリル酸との反応により合成されるビスフェノールA型エポキシアクリレート、ビスフェノールSとエピクロルヒドリンとアクリル酸との反応により合成されるビスフェノールS型エポキシアクリレート、ビスフェノールFとエピクロルヒドリンとアクリル酸との反応により合成されるビスフェノールF型エポキシアクリレート、フェノールノボラックとエピクロルヒドリンとアクリル酸との反応により合成されるフェノールノボラック型エポキシアクリレート等が挙げられる。
【0037】
エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂等のビスフェノール型エポキシ樹脂;フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂等のノボラック型エポキシ樹脂;トリスフェノールメタントリグリシジルエーテル等の芳香族エポキシ樹脂、及び、これらの水添化物や臭素化物等が挙げられる。
【0038】
光重合開始剤としては、光ラジカル重合開始剤及び光カチオン重合開始剤が好ましく、光ラジカル重合開始剤としては、例えば、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、α−ヒドロキシ−α−α’−ジメチルアセトフェノン、メトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン等のアセトフェノン誘導体;ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテル等のベンゾインエーテル系化合物;ベンジルジメチルケタール等のケタール誘導体;ハロゲン化ケトン、アシルフォスフィンオキシド、アシルフォスフォナート、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−N,N−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−1−ブタン、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキシドビス−(2,6−ジメトキシベンゾイル)2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキシド、ビス(η5−シクロペンタジエニル)−ビス(ペンタフルオロフェニル)−チタニウム、ビス(η5−シクロペンタジエニル)−ビス[2,6−ジフルオロー3−(1H−ピリ−1−イル)フェニル]−チタニウム、アントラセン、ペリレン、コロネン、テトラセン、ベンズアントラセン、フェノチアジン、フラビン、アクリジン、ケトクマリン、チオキサントン誘導体、ベンゾフェノン、アセトフェノン、2−クロロチオキサンソン、2,4−ジメチルチオキサンソン、2,4−ジエチルチオキサンソン、2,4−ジイソプロピルチオキサンソン、イソプロピルチオキサンソン等が挙げられる。光カチオン重合開始剤としては、例えば、鉄−アレン錯体化合物、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族ヨードニウム塩、芳香族スルホニウム塩、オニウム塩、ピリジニウム塩、アルミニウム錯体/シラノール塩、トリクロロメチルトリアジン誘導体等が挙げられる。上記オニウム塩やピリジニウム塩の対アニオンとしては、例えば、SbF6−、PF6−、AsF6−、BF4−、テトラキス(ペンタフルオロ)ボレート、トリフルオロメタンスルフォネート、メタンスルフォネート、トリフルオロアセテート、アセテート、スルフォネート、トシレート、ナイトレート等が挙げられる。
【0039】
光重合開始剤の添加量は、一般に紫外線硬化性樹脂100質量部に対して、0.1〜15質量部であり、好ましくは、0.5〜10質量部である。
【0040】
上記紫外線硬化性樹脂組成物には、反応性希釈剤が添加されてもよく、反応性希釈剤としては、例えば、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、2−(2−エトキシエトキシ)エチルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、2−フェノキシエチルアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジアクリレート等が挙げられる。
【0041】
上記紫外線硬化性樹脂組成物には、更に、必要に応じて、一般に添加されている光重合開始助剤、熱重合禁止剤、充填剤、接着付与剤、チクソ付与剤、可塑剤、着色剤等が添加されていても良い。
【0042】
上述の本発明の方法において、紫外線硬化性樹脂組成物を硬化する場合は、光源として紫外領域光を発光する多くのものが採用でき、例えば超高圧、高圧、低圧水銀灯、ケミカルランプ、キセノンランプ、ハロゲンランプ、マーキュリーハロゲンランプ、カーボンアーク灯、白熱灯、レーザー光等が挙げられる。照射時間は、ランプの種類、光源の強さによって一概には決められないが、0.1秒〜数十秒程度、好ましくは0.5〜数秒である。紫外線照射量は、300mJ/cm以上が好ましい。また、硬化促進のために、予め積層体を30〜80℃に加温し、これに紫外線を照射してもよい。
【0043】
[隔壁形状]
隔壁の高さや幅は表示にかかわる表示媒体の種類により適宜最適設定され、一概には限定されないが、隔壁の幅は2〜100μm、好ましくは3〜50μmに、隔壁の高さは10〜500μm、好ましくは10〜200μm、さらに好ましくは10〜100μm、特に好ましくは10〜50μmに調整される。隔壁の高さは基板間ギャップ(基板間隔)に合わせるか、部分的に基板間ギャップよりも低い高さとすることもできる。
【0044】
表示側基板と背面側基板とを重ね合わせて得られる情報表示用パネルにおけるセルは、基板平面方向からみて四角状、三角状、ライン状、円形状、六角状等の多角形や、円形、楕円形、レーストラック形などいずれでもよいし、異なる形状を組み合わせてもよい。セルの形状は表示媒体が移動しやすいものとして角丸付きの多角形(特には角丸付き四角形)、円形、楕円形、レーストラック形が好ましい。セルの配置の例としては格子状やハニカム状や網目状が挙げられる。隔壁形状によって様々な形状のものが用いられる。このうち、角丸付き四角形のセルを格子状に配置する構成が好ましく、表示面側から見える隔壁断面部分に相当する部分(隔壁の幅によって形成されるセルの枠部の面積)はできるだけ小さくした方が表示状態の鮮明さが増すので好ましい。
【0045】
本発明の情報表示用パネルの製造方法は、上述のように基板表面上にセルを画成するための所定の隔壁を形成する工程に特徴を有する。従って、その他の工程については、種々の従来公知の方法を使用して情報表示用パネルを製造することができる。
【0046】
[情報表示用パネル]
図4は、本発明の情報表示用パネルを示す概略図である。情報表示用パネル80は、情報表示用パネル80の2枚の基板81、82を張り合わせ、基板81、82の間に、情報表示領域88を構成している。情報表示領域88の基板81、82の端部には情報表示領域88に電界を印加するための電極に電力を供給するための入力電極部84がそれぞれ設けられている。また、情報表示領域88の周囲の2枚の基板81、82の最外縁部に、シール剤によって2枚の基板間の空間をシールするシール剤形成部83と、両基板を加圧して接合する際に、基板がたわみ基板間のギャップ(間隔)が不均一になるのを防止するために、シール剤形成部83と情報表示領域88との間にギャップ確保用部材(ダミーリブ)85とが配置されている。そして、シール剤形成部83は開口部86を有し、パネル内の余分なガスやパネル製造時に発生する不要なガス等を外部に逃がせるように構成され、製造後に開口部86を封止部87で封止されている。
【0047】
以下、本発明の情報表示用パネルを構成する各部材について説明する。
【0048】
基板については、少なくとも一方の基板(表示面側基板)は情報表示用パネル外側から表示媒体の色が確認できる透明な基板であり、可視光の透過率が高くかつ耐熱性の良い材料が好適である。背面側基板は透明でも不透明でもかまわない。基板材料を例示すると、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルサルフォン(PES)、ポリエチレン(PE)、ポリカーボネート(PC)、ポリイミド(PI)、アクリル等のプラスチック系基板やガラス基板を用いる。基板の厚みは、2〜5000μmが好ましく、さらに5〜2000μmが好適であり、薄すぎると、強度、基板間の間隔均一性を保ちにくくなり、5000μmより厚いと、薄型情報表示用パネルとする場合に不都合がある。
【0049】
情報表示用パネルに設ける電極の形成材料としては、アルミニウム、銀、ニッケル、銅、金等の金属類や酸化インジウム錫(ITO)、亜鉛ドープ酸化インジウム(IZO)、アルミニウムドープ酸化亜鉛(AZO)、酸化インジウム、導電性酸化錫、アンチモン錫酸化物(ATO)、導電性酸化亜鉛等の導電金属酸化物類、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェンなどの導電性高分子類が例示され適宜選択して用いられる。電極の形成方法としては、上記例示の材料をスパッタリング法、真空蒸着法、CVD(化学蒸着)法、塗布法等で薄膜状に形成する方法や、金属箔をラミネートする方法(例えば、圧延銅箔)や、導電剤を溶媒や合成樹脂バインダーに混合して塗布したりする方法が用いられる。視認側であり透明である必要のある表示面側基板に設ける電極は透明である必要があるが、背面側基板に設ける電極は透明である必要はない。いずれの場合もパターン形成可能で導電性である上記材料を好適に用いることができる。なお、電極の厚みは、導電性が確保でき光透過性に支障がなければ良く、0.01〜10μm、好ましくは0.05〜5μmが好適である。背面側基板に設ける電極の材質や厚みなどは上述した表示面側基板に設ける電極と同様であるが、透明である必要はない。なお、この場合の外部電圧入力は、直流あるいは交流を重畳しても良い。
【0050】
[表示用粒子]
次に、本発明の表示媒体とする粒子群を構成する表示用粒子(以下、粒子ともいう)について説明する。表示用粒子は、そのまま表示用粒子だけで構成して表示媒体としたり、その他の粒子と合わせて構成して表示媒体としたりして用いることができる。
【0051】
粒子には、その主成分となる樹脂に、必要に応じて、従来と同様に、荷電制御剤、着色剤、無機添加剤等を含ますことができる。以下に、樹脂、荷電制御剤、着色剤、その他添加剤を例示する。
【0052】
樹脂の例としては、ウレタン樹脂、ウレア樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アクリルウレタン樹脂、アクリルウレタンシリコーン樹脂、アクリルウレタンフッ素樹脂、アクリルフッ素樹脂、シリコーン樹脂、アクリルシリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ポリスチレン樹脂、スチレンアクリル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ブチラール樹脂、塩化ビニリデン樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、フッ素樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスルフォン樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリアミド樹脂等が挙げられ、2種以上混合することもできる。特に、基板との付着力を制御する観点から、アクリルウレタン樹脂、アクリルシリコーン樹脂、アクリルフッ素樹脂、アクリルウレタンシリコーン樹脂、アクリルウレタンフッ素樹脂、フッ素樹脂、シリコーン樹脂が好適である。
【0053】
荷電制御剤としては、特に制限はないが、負荷電制御剤としては例えば、サリチル酸金属錯体、含金属アゾ染料、含金属(金属イオンや金属原子を含む)の油溶性染料、4級アンモニウム塩系化合物、カリックスアレン化合物、含ホウ素化合物(ベンジル酸ホウ素錯体)、ニトロイミダゾール誘導体等が挙げられる。正荷電制御剤としては例えば、ニグロシン染料、トリフェニルメタン系化合物、4級アンモニウム塩系化合物、ポリアミン樹脂、イミダゾール誘導体等が挙げられる。その他、超微粒子シリカ、超微粒子酸化チタン、超微粒子アルミナ等の金属酸化物、ピリジン等の含窒素環状化合物及びその誘導体や塩、各種有機顔料、フッ素、塩素、窒素等を含んだ樹脂等も荷電制御剤として用いることもできる。
【0054】
着色剤としては、有機または無機の各種、各色の顔料、染料が使用可能である。
【0055】
黒色着色剤の例としては、カーボンブラック、酸化銅、二酸化マンガン、アニリンブラック、活性炭等が挙げられる。
【0056】
青色着色剤の例としては、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー15、紺青、コバルトブルー、アルカリブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、フタロシアニンブルー、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー部分塩素化物、ファーストスカイブルー、インダンスレンブルーBC等が挙げられる。
【0057】
赤色着色剤の例としては、ベンガラ、カドミウムレッド、鉛丹、硫化水銀、カドミウム、パーマネントレッド4R、リソールレッド、ピラゾロンレッド、ウォッチングレッド、カルシウム塩、レーキレッドD、ブリリアントカーミン6B、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、アリザリンレーキ、ブリリアントカーミン3B、C.I.ピグメントレッド2等がある。
【0058】
黄色着色剤の例としては、黄鉛、亜鉛黄、カドミウムイエロー、黄色酸化鉄、ミネラルファーストイエロー、ニッケルチタンイエロー、ネーブルイエロー、ナフトールイエローS、ハンザイエローG、ハンザイエロー10G、ベンジジンイエローG、ベンジジンイエローGR、キノリンイエローレーキ、パーマネントイエローNCG、タートラジンレーキ、C.I.ピグメントイエロー12等が挙げられる。
【0059】
緑色着色剤の例としては、クロムグリーン、酸化クロム、ピグメントグリーンB、C.I.ピグメントグリーン7、マラカイトグリーンレーキ、ファイナルイエローグリーンG等が挙げられる。
【0060】
橙色着色剤の例としては、赤色黄鉛、モリブデンオレンジ、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、バルカンオレンジ、インダンスレンブリリアントオレンジRK、ベンジジンオレンジG、インダンスレンブリリアントオレンジGK、C.I.ピグメントオレンジ31等が挙げられる。
【0061】
紫色着色剤の例としては、マンガン紫、ファーストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ等が挙げられる。
【0062】
白色着色剤の例としては、亜鉛華、酸化チタン、アンチモン白、硫化亜鉛等がある。
【0063】
体質顔料の例としては、バライト粉、炭酸バリウム、クレー、シリカ、ホワイトカーボン、タルク、アルミナホワイト等が挙げられる。また、塩基性、酸性、分散、直接染料等の各種染料の例として、ニグロシン、メチレンブルー、ローズベンガル、キノリンイエロー、ウルトラマリンブルー等が挙げられる。
【0064】
無機系添加剤の例としては、酸化チタン、亜鉛華、硫化亜鉛、酸化アンチモン、炭酸カルシウム、鉛白、タルク、シリカ、ケイ酸カルシウム、アルミナホワイト、カドミウムイエロー、カドミウムレッド、カドミウムオレンジ、チタンイエロー、紺青、群青、コバルトブルー、コバルトグリーン、コバルトバイオレット、酸化鉄、カーボンブラック、マンガンフェライトブラック、コバルトフェライトブラック、銅粉、アルミニウム粉などが挙げられる。
【0065】
これらの顔料および無機系添加剤は、単独であるいは複数組み合わせて用いることができる。特に、黒色顔料としてカーボンブラック、白色顔料として酸化チタンを好ましく用いることができる。
【0066】
上記着色剤を配合して所望の色の表示用粒子を作製できる。
【0067】
また、本発明の表示用粒子は平均粒子径d(0.5)が、1〜20μmの範囲であり、均一で揃っていることが好ましい。平均粒子径d(0.5)がこの範囲より大きいと表示上の鮮明さに欠け、この範囲より小さいと粒子同士の凝集力が大きくなりすぎるために表示媒体としての移動に支障をきたすおそれがある。
【0068】
更に本発明の表示用粒子では、各粒子の粒子径分布に関して、下記式に示される粒子径分布Spanを5未満、好ましくは3未満とする。
Span=(d(0.9)−d(0.1))/d(0.5)
(但し、d(0.5)は粒子の50%がこれより大きく、50%がこれより小さいという粒子径をμmで表した数値、d(0.1)はこれ以下の粒子の比率が10%である粒子径をμmで表した数値、d(0.9)はこれ以下の粒子が90%である粒子径をμmで表した数値である。)
【0069】
Spanを5以下の範囲に納めることにより、各粒子のサイズが揃い、表示媒体としての均一な移動が可能となる。
【0070】
さらにまた、使用した表示用粒子の内、最大径を有する粒子のd(0.5)に対する最小径を有する粒子のd(0.5)の比を10以下とすることが重要である。たとえ粒子径分布Spanを小さくしたとしても、互いに帯電特性の異なる粒子が互いに反対方向に動くので、互いの粒子サイズが近く、互いの粒子が当量ずつ反対方向に容易に移動できるようにするのが好適であり、それがこの範囲となる。
【0071】
なお、上記表示用粒子の粒子径分布および粒子径は、レーザー回折/散乱法などから求めることができる。測定対象となる粒子にレーザー光を照射すると空間的に回折/散乱光の光強度分布パターンが生じ、この光強度パターンは粒子径と対応関係があることから、粒子径および粒子径分布が測定できる。
【0072】
ここで、本発明における粒子径および粒子径分布は、体積基準分布から得られたものである。具体的には、Mastersizer2000粒度分布測定装置(マルバーン社製)測定機を用いて、窒素気流中に粒子を投入し、付属の解析ソフト(Mie理論を用いた体積基準分布を基本としたソフト)にて、粒子径および粒子径分布の測定を行うことができる。
【0073】
表示用粒子の帯電量は当然その測定条件に依存するが、情報表示用パネルにおける表示用粒子の帯電量はほぼ、初期帯電量、隔壁との接触、基板との接触、経過時間に伴う電荷減衰に依存し、特に表示用粒子の帯電挙動の飽和値が支配因子となっているということが分かっている。例えば、ブローオフ法において同一のキャリア粒子を用いて、表示用粒子の帯電量測定を行うことにより、表示用粒子の適正な帯電特性値の範囲を評価できる。
【0074】
[その他]
更に、本発明の情報表示用パネルを、気体中空間で帯電性粒子を含んだ粒子群として構成した表示媒体を駆動する帯電粒子移動方式の情報表示用パネルとする場合、表示媒体を取り巻く空隙部分の気体の管理が重要であり、表示安定性向上に寄与する。具体的には、空隙部分の気体の湿度について、25℃における相対湿度を60%RH以下、好ましくは50%RH以下とすることが重要である。
【0075】
この空隙部分とは、例えば図1(a)においては、対向する基板11、基板12に挟まれる部分から、電極15、16(電極を基板内側に設けた場合)、表示媒体13の占有部分、隔壁14の占有部分、情報表示用パネルのシール部分を除いた、いわゆる表示媒体が接する気体部分を指すものとする。
【0076】
空隙部分の気体は、先に述べた湿度領域であれば、その種類は問わないが、乾燥空気、乾燥窒素、乾燥アルゴン、乾燥ヘリウム、乾燥二酸化炭素、乾燥メタンなどが好適である。この気体は、その湿度が保持されるように情報表示用パネルに封入することが必要であり、例えば、表示媒体を構成する粒子の充填、情報表示用パネルの組み立てなどを所定湿度環境下にて行い、さらに、外からの湿度侵入を防ぐシール剤、シール方法を施すことが必要である。
【0077】
本発明の情報表示用パネルにおける基板と基板との間隔は、表示媒体が移動できて、コントラストを維持できればよいが、通常10〜500μm、好ましくは10〜200μm、さらに好ましくは10〜100μm、特に好ましくは10〜50μmに調整される。
【0078】
対向する基板間の気体中空間における表示媒体の体積占有率は5〜70%が好ましく、さらに好ましくは5〜60%である。70%を超える場合には表示媒体としての移動に支障をきたし、5%未満の場合にはコントラストが不明確となり易い。
【0079】
本発明の情報表示用パネルの駆動方式については、パネル自体にスイッチング素子を用いない単純マトリックス駆動方式やスタティック駆動方式、また、薄膜トランジスタ(TFT)で代表される三端子スイッチング素子あるいは薄膜ダイオード(TFD)で代表される二端子スイッチング素子を用いたアクティブマトリックス駆動方式など、種々のタイプの駆動方式を適用することができる。
【0080】
なお、本発明は上記の実施の形態の構成に限定されるものではなく、発明の要旨の範囲内で種々変形が可能である。
【実施例】
【0081】
(実施例)
1.中間スタンパへの隔壁材料充填
隔壁の形状を反転したパターンを形成した中間スタンパのキャビティに、真空下(1000Pa)で、マスキング材としてスクリーン版を用いてスクリーン印刷により隔壁材料(アクリレート系光硬化性樹脂、粘度:3Pa・s)を充填した。真空下でのスクリーン印刷は、真空スクリーン印刷機(東レエンジニアリング社製、VE500C)により行った。隔壁の平面方向からみた形状は格子状であり、隔壁の幅は20μm、高さは40μmとし、隔壁と隔壁の間の長さは、270μmとした。なお、中間スタンパの材料はポリシクロオレフィンを用い、隔壁と同形状のパターンが形成された金型を用いてインプリント法により作製したものを使用した。
【0082】
2.加圧、硬化及び離型
隔壁材料を充填した中間スタンパを、基板の所定の位置に合わせて載置した。次に、加圧(15bar/cm)し、高圧水銀のUVランプを用いて紫外線を照射して隔壁材料を硬化させた。硬化後、中間スタンパから隔壁材料を離型し、基板に形成した隔壁を得た。
【0083】
(比較例)
1.中間スタンパへの隔壁材料充填
隔壁の形状を反転したパタンーンを形成した中間スタンパのキャビティに、大気圧下、実施例1と同様の隔壁材料を、マスキング材としてSUS枠を用いてスプレー塗付により充填した。
【0084】
2.加圧、硬化及び離型
実施例と同様にして基板に形成された隔壁を得た。
【0085】
(評価)
実施例及び比較例で得られた隔壁について、泡噛み込みの有無を電子顕微鏡を用いて観察した。実施例で得られた隔壁は泡噛み込みが発生せず、良好な隔壁であったが、比較例で得られた隔壁は、泡噛み込みが発生していることが確認された。
【0086】
以上により、型のキャビティへの隔壁材料の充填を、真空下でのスクリーン印刷により行えば、泡噛み込みが生じず、良好な隔壁が得られることが示された。また、型のキャビティのみに隔壁材料を充填しており、それ以外の場所には塗付していないため、残膜は生じない。従って、残膜除去工程を行う必要はなく、生産性を向上させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0087】
本発明の情報表示用パネルの製造方法によれば、ノートパソコン、電子手帳、PDA(Personal Digital Assistants)と呼ばれる携帯型情報機器、携帯電話、ハンディーターミナル等のモバイル機器の表示部、電子書籍、電子新聞、電子マニュアル(取扱説明書)等の電子ペーパー、電子看板(デジタルサイネージ)、ポスター、黒板(ホワイトボード)等の掲示板、電子卓上計算機、家電製品、自動車用品等の表示部、ポイントカード、ICカード等のカード表示部、電子広告、情報ボード、電子POP(Point Of Presence、Point Of Purchase advertising)、電子値札、電子棚札、電子楽譜、RF−ID機器の表示部、POS端末、カーナビゲーション装置、時計など様々な電子機器の表示部、及び書き換え装置に装着して表示書き換えを行うリライタブルペーパーを高品質に且つ低コストで製造することができる。
【符号の説明】
【0088】
11、21、31 裏側基板
12、22、32 表示側基板
13、23、33 表示用媒体
14、24、34 隔壁
15、16、25、26、35、36 電極
51、61 型
52、62 基板
53、63 隔壁材料
54、64 隔壁
55 残膜
66 印刷マスク
67 スキージ
68 版枠
81、82 基板
83 シール剤形成部
84 入力電極部
85 ギャップ確保用部材
86 開口部
87 封止部
88 情報表示領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一方が透明な対向する2枚の基板の一方の表面に、型を用いて隔壁を形成して、その基板間に該隔壁により画成された多数のセルからなる空間を設け、それぞれの空間に帯電性を有する多数の粒子から構成される表示媒体を封入することにより、電界により表示媒体を移動させて情報を表示する情報表示用パネルを製造する方法であって、
前記隔壁の形状の反転パターンが形成された前記型のキャビティに、隔壁材料を、真空下においてスクリーン印刷することにより充填する工程;
前記隔壁材料を充填した型を、前記2枚の基板の一方の基板の表面に載置し、加圧する工程;及び
前記隔壁材料を硬化させ、次いで離型することにより前記隔壁を形成する工程;
を含む情報表示パネルの製造方法。
【請求項2】
前記隔壁材料の粘度が、スクリーン印刷を行う温度条件、及びずり速度1000s−1において、1〜100Pa・sであることを特徴とする請求項1に記載の情報表示用パネルの製造方法。
【請求項3】
前記真空下の真空度が、50〜1000Paであることを特徴とする請求項1又は2に記載の情報表示用パネルの製造方法。
【請求項4】
前記型が、樹脂製のスタンパであることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の情報表示用パネルの製造方法。
【請求項5】
前記隔壁材料が紫外線硬化性樹脂組成物であることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の情報表示用パネルの製造方法。
【請求項6】
請求項1〜5の何れか1項に記載の方法によって製造された情報表示用パネル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−2963(P2012−2963A)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−136774(P2010−136774)
【出願日】平成22年6月16日(2010.6.16)
【出願人】(000005278)株式会社ブリヂストン (11,469)
【Fターム(参考)】