情報表示装置
【課題】1つのページに含まれるコマ画像を、読者の読みやすさと作者が意図した印象を阻害しないように順次表示させること。
【解決手段】1つのページが場面枠で区切られた複数のコマ画像からなるコンテンツを表示する情報表示装置であって、表示部と、1つのページに属するコマ画像を表示させる移動方向を特定する遷移順序とコマ画像の拡大率とを入力する入力部と、入力された遷移順序に基づいて、表示部に表示するコマ画像を選択するための基準となる最初の表示基準点を設定する基準点設定部と、表示基準点と拡大率に基づいて、表示すべきコマ画像を含むページ内の表示領域を決定して、その表示領域を表示部に表示させる拡大表示処理部とを備え、遷移順序に基づいて表示領域を移動させて、1つのページに属するコマ画像を、表示部に順次表示させることを特徴とする情報表示装置。
【解決手段】1つのページが場面枠で区切られた複数のコマ画像からなるコンテンツを表示する情報表示装置であって、表示部と、1つのページに属するコマ画像を表示させる移動方向を特定する遷移順序とコマ画像の拡大率とを入力する入力部と、入力された遷移順序に基づいて、表示部に表示するコマ画像を選択するための基準となる最初の表示基準点を設定する基準点設定部と、表示基準点と拡大率に基づいて、表示すべきコマ画像を含むページ内の表示領域を決定して、その表示領域を表示部に表示させる拡大表示処理部とを備え、遷移順序に基づいて表示領域を移動させて、1つのページに属するコマ画像を、表示部に順次表示させることを特徴とする情報表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、情報表示装置に関し、特に、1つの頁が複数の場面枠(コマ)から構成されている画像コンテンツを表示する情報表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
今日、デジタル化された情報を受信あるいは格納し、利用者が受信等された情報の中の必要な部分を拡大表示させて閲覧することができる携帯端末(たとえば、電子書籍端末、タブレット端末)が利用されている。
デジタル化された情報は、一般的にはページ単位で管理および記憶されているので、一つのページ全体が表示画面に表示される。
【0003】
一つのページが複数の場面枠(以下、コマと呼ぶ)に区切られた画像コンテンツからなる場合、たとえば電子コミックなどの場合に、表示画面に、そのページに含まれるすべてのコマを表示させると1つのコマの画像は非常に小さくなる。
そこで、1つのコマ内の細部を確認したい場合は、所定の操作を行うことにより、確認したい画像のある部分を画面内に拡大表示させるようにしたり、拡大表示をした後所望の画像部分が画面内に表示されるように表示画像を移動させることが行われている。
すなわち、1つのページ内に含まれる複数のコマを順次確認していくために、利用者自らが、表示画像の拡大操作、縮小操作および移動操作を必要に応じて繰り返し行っている。
【0004】
特に、漫画の場合は、1つのページに含まれるコマの数、配置およびそれぞれのコマの大きさは、読者に与える印象を考慮した作者の意図によりさまざまであり、統一されていないのが通常であるので、利用者が、その漫画のストーリーに沿って各コマを適切な大きさで順次表示させていくためには、拡大、縮小および移動という操作を適切に繰り返す必要があり、利用者の操作負担は大きい。
【0005】
そこで、このような1つのページに複数のコマを含む画像コンテンツを、コマごとに順次表示させることが可能な装置が提案されている。
たとえば、特許文献1には、1つのコマごとの文字データと、画像データと、複数のコマを表示させる順序情報、コマの移動時間情報等からなる閲覧制御情報を予め含んだ書籍データを記憶しておき、この閲覧制御情報に基づいて、所定の順序で各コマの画像を表示画面に拡大表示する電子情報処理装置が提案されている。
【0006】
また、特許文献2には、1つのページにストーリーに沿って並べられた複数のコマからなる画像データと、1ページ内に含まれるコマの表示順序と、各コマの表示倍率とが予め設定された電子コンテンツファイルを表示する場合に、まず、頁全体の画像データを表示画面に表示させた後、各コマが画面領域にちょうど表示されるように、コマごとに設定された表示倍率で、順次表示させ、再度その頁全体の画像データを縮小表示させるようにしたコンテンツ表示方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2011−39520号公報
【特許文献2】特開2007−164550号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、従来のように、利用者が、拡大、縮小および移動という操作を必要に応じて繰り返し行う場合は、ストーリーの順序にコマを表示させるのは、操作負担が大きく、利用者はストーリーへの集中ができず、作者が意図した読者への印象が阻害されてしまう場合もあり得る。
また、上記した特許文献のいずれも、コンテンツ作成時に予め設定された表示順序で、各コマを表示画面内に拡大表示させて閲覧することができるが、各コマの大きさが異なる場合には、拡大表示されるコマ内の画像や文字の大きさが途中で変化することになるので、急に画像や文字が見にくくなる場合もあり、利用者によっては読みにくいと感じる場合がある。
コマの大小も作者が意図したストーリーの一部と考えられるので、コマの表示が切りかわるごとに画像のサイズがその都度変化したのでは、作者の意図する感性が読者に十分伝わらない場合もある。
【0009】
そこで、この発明は、以上のような事情を考慮してなされたものであり、画像コンテンツを閲覧する利用者が自己にとって好ましい表示倍率等を設定できるようにし、利用者の操作負担の軽減を図り、利用者の読みやすさや、作者の意図した読者に与える印象等をできるだけ阻害しないようにして、場面単位の画像を順次見ることができるようにした情報表示装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明は、1つのページが場面枠で区切られた複数のコマ画像からなるコンテンツを表示する情報表示装置であって、表示部と、1つのページに属するコマ画像を順次表示させるための移動方向を特定する遷移順序とコマ画像の拡大率とを入力する入力部と、前記入力された遷移順序に基づいて、前記表示部に表示するコマ画像を選択するための基準となる最初の表示基準点を設定する基準点設定部と、前記表示基準点と前記拡大率に基づいて、表示すべきコマ画像を含むページ内の表示領域を決定して、前記表示領域を前記表示部に表示させる拡大表示処理部とを備え、前記遷移順序に基づいて前記表示領域を移動させて、1つのページに属するコマ画像を、前記表示部に順次表示させることを特徴とする情報表示装置を提供するものである。
【0011】
これによれば、入力された拡大率で、1つのページに含まれるコマ画像が表示部に順次表示されるので、利用者の操作負担を軽減させ、かつ拡大率を入力されたものに一定とすることにより、利用者のコンテンツの読みやすさと、作者の意図した読者に与える印象とを阻害させないようにすることができる。
【0012】
また、前記遷移順序が、1つのページ内の横方向の表示順序を規定する情報と、1つのページ内の縦方向の表示順序を規定する情報と、移動方向のうち横方向および縦方向のどちらを優先するかを示す優先方向情報とからなることを特徴とする。
さらに、1つのページに属するコマ画像ごとに、1つのコマ画像を画定する交点を抽出する交点抽出部と、現在の表示基準点と前記遷移順序に基づいて、前記抽出された交点の位置のうち前記表示基準点との位置関係が所定の相対関係を満たす1つの交点を選択し、選択された交点から次に表示すべきコマ画像の表示基準点を設定する基準点更新部とを、さらに備えたことを特徴とする。
【0013】
また、前記基準点更新部は、前記交点抽出部によって抽出された交点のうち、現在の表示基準点から見て、前記遷移順序の優先方向情報が示す移動方向についての移動距離が最も短い交点を選択し、前記優先方向情報が示す移動方向について前記選択された交点と同じ座標を有する点を新たな表示基準点に設定することを特徴とする。
【0014】
また、前記拡大表示処理部が、前記入力された拡大率で表示する表示領域を決定したときに、前記表示基準点に基づいて定められた表示すべきコマ画像の全体を、その表示領域に表示できない場合に、前記表示すべきコマ画像を分割して、複数回に分けて前記コマ画像の全体を表示させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
この発明によれば、入力した遷移順序に基づいて、コマ画像を含む表示領域を決定して、入力された拡大率で、1つのページに含まれるコマ画像を表示部に順次表示させるので、利用者の操作負担を軽減させ、拡大率を入力されたものに一定とすることにより利用者のコンテンツの読みやすさを維持し、かつ作者の意図した読者に与える印象をできるだけ阻害しないようにした各コマ画像の表示ができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】この発明の情報表示装置の一実施例の構成ブロック図である。
【図2】この発明の遷移ルールの設定処理の一実施例のフローチャートである。
【図3】この発明のコンテンツの表示処理の一実施例のフローチャートである。
【図4】この発明の拡大表示処理の一実施例のフローチャートである。
【図5】この発明の表示基準点の初期設定処理の一実施例のフローチャートである。
【図6】この発明のコマの拡大表示処理の一実施例のフローチャートである。
【図7】この発明の表示基準点の更新処理の一実施例のフローチャートである。
【図8】この発明の表示位置情報の更新処理の一実施例のフローチャートである。
【図9】この発明の表示画面に、1つのページ全体を表示させた状態の一実施例の説明図である。
【図10】この発明の1つのコマの拡大表示を行う場合の一実施例の説明図である。
【図11】この発明の横方向移動点C1の設定の具体例の説明図である。
【図12】この発明の縦方向移動点C2の設定の具体例の説明図である。
【図13】この発明の拡大表示するコマと表示画面のサイズとの関係の説明図である。
【図14】この発明のコマの全体を表示画面内に表示させるようにした場合の説明図である。
【図15】この発明におけるコマの拡大表示の表示順序の一実施例の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を使用して本発明の実施の形態を説明する。なお、以下の実施例の記載によって、この発明が限定されるものではない。
<この発明の情報表示装置の構成>
図1に、この発明の情報表示装置の一実施例の構成ブロック図を示す。
図1において、情報表示装置は、主として、制御部1、表示部2、入力部3、拡大表示処理部4、基準点設定部5、基準点更新部6、記憶部7および交点抽出部8とを備える。
このような構成を備えた情報表示装置は、特に、1つのページが場面枠で区切られた複数のコマ画像からなるコンテンツを表示する機能を有する。
【0018】
制御部1は、この発明の情報表示装置の各種機能を実現するために、各機能ブロックの動作を制御する部分であり、主として、CPU、ROM、RAM、I/Oコントローラ、タイマー等からなるマイクロプロセッサから構成される。
また、ROM等に記憶された制御プログラムに基づいて、CPUが各種ハードウェアを動作させることにより、この発明の情報表示装置の機能が実現される。
この発明の情報表示装置は、たとえば、パソコン、電子書籍端末、タブレット端末、携帯電話、その他の携帯端末などに組み込まれ、以下に示す機能が、これらの電子機器の一部の機能として実現される。
【0019】
表示部2は、LCD、有機EL表示等の表示装置が用いられ、携帯端末の場合は、比較的小型の表示装置が用いられる。
入力部3は、各種情報を入力する部分であり、キーボード、マウス、タッチパネル等が用いられる。
この発明では、入力部3は、後述するような遷移ルールを入力する部分であり、特に、1つのページに属するコマ画像を順次表示させるための移動方向を特定する遷移順序と、コマ画像の拡大率とを入力する。
この発明の情報表示装置が、小型軽量の持ち運び可能な携帯端末である場合には、表示部2の表示画面に重ねて、タッチパネルを配置し、ペンや指などを使用して、表示画面の任意の位置をタッチすることにより、文字などの情報入力や、画像等の拡大、縮小および移動の指示入力をさせることが、操作性の観点で好ましい。
【0020】
拡大表示処理部4は、表示部2に表示されている画像の一部分を、所定倍率あるいはタッチ操作によって指示された倍率で拡大して、表示画面に表示する部分である。
たとえば、複数のコマからなるページにおいて、所定の遷移ルールRに従って選択された1つのコマが表示画面内にほぼ収まるように拡大表示する。
【0021】
特に、拡大表示処理部4は、後述する基準点設定部5によって設定された表示基準点と、入力部3によって入力された拡大率に基づいて、表示部2に表示すべきコマ画像を含むページ内の表示領域を決定して、その表示領域を表示させる部分である。
また、入力された遷移順序に基づいて、表示領域を設定された移動方向に移動させて、1つのページに属するコマ画像を、表示部2に順次表示させていく。
【0022】
また、拡大表示処理部4は、後述する図13に示すように、コマ画像の分割表示を行う。
たとえば、入力された拡大率で表示する表示領域が決定されたとき、表示基準点に基づいて定められた表示すべきコマ画像の全体を、その決定された表示領域の中に表示できない場合に、その表示すべきコマ画像を分割して上記表示領域に表示させ、複数回に分けてそのコマ画像の全体を表示させる。この拡大表示の詳細については、図4および図6等のフローチャートを用いて説明する。
【0023】
基準点設定部5は、表示基準点Cを初期設定する部分である。
特に、入力部3によって入力された遷移順序に基づいて、表示部2に表示するコマ画像を選択するための基準となる最初の表示基準点を設定する部分である。基準点設定部5は、後述する図5のフローチャートに示した処理を行う。
表示基準点Cとは、1つのコマAを拡大表示するために、そのコマAを含むページに対するコマAの位置を特定するための基準となる点の座標を意味する。
図9に、表示部2の表示画面に、1つのページの全体を表示させた状態の一実施例の説明図を示す。
図9(a)において、1つのページ画像が、5つの場面枠(コマ)で区切られた5つのコマ画像(G1〜G5)からなるものを示している。
以下、場面枠とコマ画像は1対1に対応するので、コマ画像もコマと呼ぶことにする。
1つのページ画像の情報は、そのページに含まれる各コマごとの画像情報に加えて、コマの数と、どのコマがページ内のどこに表示されているかを示す情報(座標値)とから構成される。
【0024】
図9(b)は、各コマの表示基準点Cの位置と、表示基準点Cの座標、そのコマを画定する交点の一実施例を示している。
ここで、1つのコマが複数本の直線で囲まれた領域であることを前提とした場合、その直線のうち2本の直線が交わる点が交点である。たとえば、1つのコマが4本の直線で囲まれた領域であるとすると、そのコマの位置は、4つの交点の座標によって画定される。交点の座標は、横方向のX座標と、縦方向のY座標から定められ、ページの右上を原点(0、0)とする。
【0025】
たとえば、図9(a)の最も右上のコマG1は、4つの交点(P0、P1、P5、P4)で囲まれた四辺形の領域であり、図9(b)には、4つの交点のうち右上の交点P0を表示基準点Cとし、この表示基準点のページ全体に対する座標は、(X0、Y0)であることを示している。
また、同様に、最も左下のコマG5は、4つの交点(P6、P8、P11、P10)で囲まれた四辺形領域で、表示基準点CがP6(X6、Y6)であることを示している。
1つのコマだけを表示画面内に拡大表示する場合は、そのコマの交点および表示基準点Cに基づいて表示する領域が決定される。
【0026】
表示基準点Cとしては、1つのコマを特定する複数の交点のうち1つの交点が選択される。図9(b)のように右上の交点を表示基準点Cとしてもよく、あるいは、右下の交点を表示基準点Cとしてもよい。
表示基準点Cは、たとえば、後述する図5のフローチャートによって初期設定される。
図9(b)では、コンテンツのストーリーが、コマG1、G2、G3、G4、G5の順序で進行する場合に対応して、各コマの右上の交点を表示基準点Cとして選択する例を示している。ただし、これに限るものではなく、作者が意図したコンテンツのストーリーの展開に対応したコマの配置順序とコマの大きさと形状とによって、表示基準点Cを設定するものとする。
たとえば、ストーリーがコマG3、G2、G1の順序で左から右へ進行するとした場合、コマの表示基準点Cとしては、各コマの左上の交点が設定される。
なお、表示基準点Cの初期設定は、入力される遷移ルールRに基づいて設定される。
【0027】
図10に、1つのコマの拡大表示を行う場合の一実施例の説明図を示す。
図10(a)において、表示するコマとして、右上のコマG1が選択され、表示基準点CとしてP0(X0、Y0)が設定されたとする。この状態で、表示基準点C(P0)を基準として、コマG1の拡大表示を行った場合、たとえば図10(b)のように、コマG1が表示される。
すなわち、表示基準点Cが設定されると、この基準点Cを含む1つのコマの領域を特定する交点が抽出できるので、表示基準点と抽出した交点によって画定されるコマの領域が、所定の拡大率で拡大され、表示画面内に表示される。
【0028】
図1に示す交点抽出部8は、1つのコマ画像を画定する交点を抽出する部分である。
上記したように、四辺形等の形状をしたコマ画像の位置を特定するために、コマの外枠を特定する交点を抽出する。
【0029】
図1に示す基準点更新部6は、拡大表示を行っている場合に、次のコマを表示するために表示基準点Cを新たに設定する部分である。
さらに詳しくは、基準点更新部6は、現在の表示基準点と入力された遷移順序に基づいて、交点抽出部8によって抽出された交点の位置のうち、現在の表示基準点との位置関係が所定の相対関係を満たす1つの交点を選択し、選択された交点から次に表示すべきコマ画像の表示基準点を設定する部分である。
【0030】
上記所定の相対関係とは、ページを横と縦の方向に、それぞれX軸とY軸を設定した場合に、交点と表示基準点の(X、Y)座標値の関係を意味する。
また、1つの交点の選択基準としては次のようなものがある。
すなわち、交点抽出部8によって抽出された交点のうち、現在の表示基準点から見て、遷移順序の優先方向情報が示す移動方向についての移動距離が最も短い交点を選択する。そして、基準点更新部6は、その優先方向情報が示す移動方向について選択された交点と同じ座標を有する点を新たな表示基準点に設定する。
基準点更新部6は、後述する図7のフローチャートに示した処理を行う。
【0031】
たとえば、図10(b)に示すようにコマG1が拡大表示されている状態で、次に表示すべきコマがコマG2である場合、表示基準点Cを、交点P0から交点P1へ変更する。
これにより、新たな表示基準点P1に基づいて表示すべきコマG2の領域(交点P1、P2、P7、P5によって画定される領域)が選択され、拡大表示される。
また、図11に示す3つのコマ画像(G1、G2、G3)を、G1、G2およびG3の順序で表示させる場合、表示基準点は、図11(a)の点P0、図11(b)の点P1、図11(c)の点C1の順に更新される。
次に表示すべきコマの選定は、予め定められる遷移ルールRに従って行われる。
【0032】
記憶部7は、この発明の拡大表示等に必要な情報を記憶しておく部分であり、ROM、RAM、ハードディスクなどが用いられる。
この発明の表示制御等をするためのプログラムは、予めROMやハードディスクに記憶され、設定された遷移ルールRや各処理を行うときに利用されその都度変更される情報はRAMやハードディスクに記憶される。
図1に示すように、記憶部7には、主として、遷移ルールR、文字や画像等の情報からなる表示対象のコンテンツ73、コマを特定する交点情報74、コマを表示するための基点となる基準点情報75、1つのページに対する表示位置を特定する表示位置情報76、各処理が実行されるときに用いられる変数77などが記憶される。
【0033】
遷移ルールRは、1つのページに含まれるコマを表示する順序を示す情報(遷移順序)71と、拡大率K72とからなる情報である。ただし、これ以外の情報を含めてもよい。
遷移順序71は、1つのページに属する複数のコマ画像を順次表示させるための移動方向を特定する情報を意味し、主として、1つのページ内の横方向の表示順序を規定する情報と、縦方向の表示順序を規定する情報と、表示領域の移動方向のうち横方向と縦方向のどちらを優先するかを示す情報(優先方向情報)とからなる。
【0034】
横方向の表示順序を規定する情報としては、右側にあるコマを先に表示し、左側にあるコマをその後に表示することを意味する「左」か、あるいは左側にあるコマを先に表示し、右側にあるコマをその後に表示することを意味する「右」のいずれかが設定される。
たとえば、ストーリーが右側のコマから左側のコマへの順序で進行する場合、表示するコマも右側から左側へ移動させた方がよいので、「左」に設定される。
【0035】
縦方向の表示順序を規定する情報としては、上側にあるコマを先に表示し、下側にあるコマをその後に表示することを意味する「上」か、あるいは下側にあるコマを先に表示し、上側にあるコマをその後に表示することを意味する「下」のいずれかが設定される。
拡大率K72は、1つのページに含まれる各コマを拡大表示する場合の倍率を意味し、たとえば、1つのページ全体を表示画面に表示するときの倍率を1とし、これに対する表示倍率が設定される。
【0036】
この遷移ルールRは、コンテンツ73に予め付属する初期情報として与えてもよく、あるいは、そのコンテンツ73をこれから表示させようとする利用者によって予め設定してもよい。
コンテンツ73によっては、通常1つのページ内での各コマの配置はすでに固定的に決定されているので、遷移順序71は予め固定されていることが好ましい。
ただし、表示される画像や文字の大きさについて、読者の読みやすさは読者によって異なるものと考えられるので、拡大率K72は、利用者によって、表示を行う前に設定できるようにすることが好ましい。
【0037】
コンテンツ73は、表示部2に表示される情報であり、たとえば本、漫画、パンフレットなどの情報である。また、コンテンツ73は、文字、図形、画像などを含むいわゆるマルチメディア情報から構成されるものであってもよい。
枠がない媒体では、ページ全体を1コマとして拡大表示を行う。
コンテンツ73は、主として、ハードディスクに記憶されるが、USBメモリやCD、DVDなどの記録媒体に格納されたコンテンツ、あるいはネットワークを介してダウンロードされたコンテンツであってもよい。
【0038】
交点情報74は、上記した図9などに示した交点を特定する情報であり、主として、各コマを特定する四辺形の頂点の座標値(X、Y)によって与えられる。この交点情報74は、たとえば、上記したように、ページ画像の情報から、抽出することができる。
基準点情報75は、上記した表示基準点Cを特定する情報であり、表示基準点C、横方向移動点C1、縦方向移動点C2から構成される。表示基準点Cは、1つのページに対する座標値(X、Y)により特定される。
横方向移動点C1は、表示すべき次のコマを選択する場合、現在の表示基準点Cから見て横方向に移動したときに、次の表示基準点の候補となる点を意味する。
縦方向移動点C2は、表示すべき次のコマを選択する場合、現在の表示基準点Cから見て縦方向に移動したときに、次の表示基準点の候補となる点を意味する。
【0039】
横方向移動点C1、縦方向移動点C2としては、主として、コマの交点が選択されるが、コマの形状によっては、コマの交点でない点が選択される場合もある。
たとえば次に表示すべきコマとして左側にあるコマを選択する場合において、その左側のコマを特定する交点のうち、現在の表示基準点Cから見て横方向のX座標の移動距離が最も短い交点のX座標と、表示基準点Cと同一のY座標を持つ点を、横方向移動点C1とする(図11(c)参照)。
また、次に表示すべきコマとして下側にあるコマを選択する場合において、その下側にあるコマを特定する交点のうち、現在の表示基準点Cから見て縦方向のY座標の移動距離が最も短い交点のY座標と、表示基準点Cと同一のX座標を持つ点を、縦方向移動点C2とする。
【0040】
図11に、横方向移動点C1の設定における具体例の説明図を示す。
図11(a)は、1つのページに3つのコマ(G1、G2、G3)があり、コマG1を表示している場合において、表示基準点CがコマG1の右上の交点P0の位置にあることを示している。交点P0の座標は、ページの原点の座標(0、0)とする。
【0041】
図11(a)の状態で、次に横方向に移動して、コマG1の左隣のコマG2を表示する場合、横方向移動点C1は、図11(b)のように設定される。
図11(a)の場合、現在の表示基準点Cである交点P0よりも左側にある交点で、コマG2を画定する交点は、Y座標が交点P0と同じP1、P2と、Y座標が交点P0と異なるP5、P6である。ここで、X座標値を比較すると、図11(a)の場合、0<X1<X5<X6<X2という関係にある。
【0042】
この場合、表示基準点Cの交点P0から見て、横方向への移動距離が最も短いのは、交点P1である。
横方向への移動距離とは、2つの交点のX座標方向の距離(X座標値の長さ)を意味する。
したがって、図11(b)に示すように、横方向移動点C1として、交点P1が設定される。
遷移ルールRの遷移順序が右から左への移動を示す「左」である場合、この横方向移動点P1が新たな表示基準点Cに設定される。この新たな表示基準点Cとなった交点P1を基準として、コマG2の表示が行われることになる。
【0043】
図11(c)には、図11(b)の状態からさらに左側に移動して、コマG2の左隣のコマG3を表示する場合の横方向移動点C1の設定について示している。
図11(b)において、表示基準点Cが交点P1であったので、交点P1よりも左側にある交点のうち、コマG3を画定する交点は、4つの交点(P2、P3、P7、P6)である。
ここで、4つの交点のX座標値を比較すると、X1<X6<X2<X3という関係にある。交点P3とP7のX座標は、どちらもX3とする。
したがって、この4つの交点の中で、表示基準点Cである交点P1から見て横方向(X座標方向)への移動距離が最も短いのは、交点P6である。
ただし、交点P6のY座標(Y4)は、表示基準点P1のY座標(0)と異なる。
【0044】
そこで、横方向移動点C1としては、X座標が移動距離の最も短い交点P6のX6であって、Y座標が表示基準点P1と同じ値(0)の点が選択される。
すなわち、図11(c)に示すように、横方向移動点C1として、座標値(X6、0)の点が設定される。
遷移ルールRが右から左への移動を示す「左」である場合、この座標値(X6、0)の点が、新たな表示基準点Cに設定される。その後、新たな表示基準点(X6、0)を基準として、コマG3が表示されることになる。
【0045】
図12に、縦方向移動点C2の設定における具体例の説明図を示す。
図12(a)は、表示基準点Cが交点P0の場合を示している。
このような状態で、次の表示するコマが下方向のコマG4であったとすると、コマG4を画定する4つの交点(P4、P6、P9、P10)のうち、表示基準点P0から見てY座標方向の移動距離が最も短い交点P4(0、Y4)が、縦方向移動点C2として選択される。
したがって、図12(b)に示すように、コマG4を表示する場合の縦方向移動点C2として、交点P4が設定される。
この縦方向移動点P4が表示基準点Cとして設定されると、この交点P4を基準として、コマG4の表示が行われる。
【0046】
図1において、表示位置情報76は、コマの拡大表示をする場合に、そのコマを分割表示するときに利用する情報である。これは、後述する図6および図7のフローチャートに示す処理で利用される情報である。
この表示位置情報76は、分割表示の基準となる位置の表示位置C1’(X、Y)と、分割表示の位置を決めるための横方向移動点C1’と、縦方向移動点C2’とからなる。
【0047】
コマの実際の大きさと、指定された倍率でコマを拡大表示するときの表示画面のサイズとの関係で、そのコマ全体を表示画面内に表示しきれない場合がある。
図13に、拡大表示するコマと、表示画面のサイズとの関係の説明図を示す。
図13(a)は、コマG1を拡大表示したときに、コマG1と表示画面サイズとの関係の一実施例の説明図を示したものである。
図13(a)に示すように、表示部2の表示画面21のサイズが、コマG1のすべてを含み、左隣のコマG2の一部分も表示可能なサイズであったとする。
【0048】
たとえば、図9(a)に示したように、1つのページの全体画像を表示していた状態で、利用者がコマG1を拡大表示させる操作を行ったとき、表示基準点Cとして交点P0が設定され、予め設定されていた拡大率K72に基づいて、コマG1が表示される。
すなわち、図9(a)で表示されていたコマG1を含む領域が、拡大率K72として設定されていた倍率で拡大され、表示部2の表示画面21の中に表示される。
【0049】
拡大率K72が、自分が見やすい倍率として利用者が予め設定したものである場合、以後倍率の変更を指示するような入力がない限り、すべてのコマはこの設定倍率Kで表示されるものとする。
したがって、その後に他のコマの拡大表示をする場合、各コマの実際の大きさと、表示画面サイズとの相対的な関係は同一である。
コマの大小関係に対応させて、各コマの全体が常に表示画面内に収まるようにその都度拡大率を変更して表示させることも可能であるが、この場合は、コマの大きさが変化するごとに、画面に表示される画像や文字の大きさもその都度変化することになり、利用者にとっては見にくい場合もある。
そこで、この発明では、利用者の見やすさを考慮し、利用者の設定した拡大率Kを尊重して、原則として拡大率を一定としたまま、各コマの拡大表示を行う。
【0050】
しかし、拡大率Kを一定とした場合、図13(a)の場合、コマG4の大きさ(面積)は、コマG1の大きさ(面積)よりも大きいので、下方向へ移動してコマG4を表示しようとした場合、同じ表示画面サイズの中には、コマG4全体を表示できない。
そこで、このように、1つのコマが表示画面サイズの中に表示できずに、はみ出る部分がある場合は、分割表示をさせる。
【0051】
まず、図13(b)に、コマG4を分割して拡大表示する場合において、コマG4の上側部分を表示させた場合を示している。
ここでは、表示位置情報76の表示位置C’として、コマG4の右上の交点P4が設定され、コマG4のうち、図13(a)に示した表示画面21と同じサイズの画面内に収まる領域だけが表示される。
図13では、説明を簡単にするために、コマG4の縦方向(Y座標)の長さを、コマG1の縦方向の長さのほぼ2倍としている。この場合、コマG4のほぼ上半分の領域が表示されることになる。
【0052】
次に、図13(c)のように、コマG4の残りの下半分を表示するとき、分割表示のための縦方向移動点C2’が設定される。
ここで縦方向移動点C2’としては、現在の表示位置C’である交点P4から見て、表示画面21の縦方向(Y座標)の長さに相当する長さだけ、下方向に移動した点が設定される。
表示画面の縦方向の長さをLyとし、交点P4の座標(0、Y4)とした場合、縦方向移動点C2’の座標は、(0、Y4+Ly)となる。この縦方向移動点C2’を表示位置C’に設定し、この表示位置C’を基準として次の表示領域が決定される。
【0053】
図13(c)では、コマG4の下半分がちょうど表示画面内に表示されている場合を示している。
ただし、もし仮に、コマG4の2回目の分割表示をした場合に、その下方に表示しきれていないコマG4の領域が残っていたとすると、同様にして、表示画面の縦方向の長さだけ下に移動させた次の縦方向移動点C2’が設定され、コマG4の残りの領域に対する3回目の分割表示が行われる。
【0054】
図14に、コマG1の拡大表示状態から、コマG4の全体を表示画面内に表示させるようにした場合の説明図を示す。
図14(a)は、図13(a)と同じ図である。
図14(b)は、コマG1よりも大きなコマG4の全体を、表示画面内に表示させた図である。
図14(b)において、コマG4はコマG1よりも大きいので、コマG4の全体を同じ表示画面内に収めるために、拡大率Kを図14(a)の場合よりも小さくする必要がある。
これにより、コマG4の内部の全体像を把握することができる。
しかし、コマG4の全体を表示させたため、コマG4に含まれる画像や文字の大きさは相対的に小さくなって表示され、見にくくなっている。
【0055】
これに対して、図13において、予め設定された拡大率Kで、1ページに含まれるすべてのコマの拡大表示を行う場合、コマの大きさが相対的に表示画面21のサイズよりも大きい場合には分割表示をさせる。
このとき、1つのコマが分割されて別々に表示されるため、1つのコマの内容をひと目で確認することはできないが、各コマに含まれる画像や文字のサイズがすべてのコマで統一されて表示され、コマの大きさによって急に大きくなったり小さくなることがないので、コンテンツの見やすさが変化することがない。
【0056】
図13(b)や図13(c)の分割表示を見た後、コマ全体を表示画面に表示させたい場合は、表示サイズの縮小を意味する所定の操作をすることにより、図14(b)に示すような表示をさせればよい。
あるいは、逆に、先に図14(b)のようなコマの全体を含む表示をさせた後、所定の操作をした場合、あるいは所定の時間経過後に、図13(b)と図13(c)の分割表示をするようにしてもよい。
【0057】
図1において、記憶部7には、以上の情報の他に、いくつかの変数77も記憶される。
たとえば、複数ページからなるコンテンツ73の中の現在表示されているページの番号P、そのコンテンツ73のページ総数MP、現在表示画面に表示されているページの拡大率である倍率Z、表示しようとするコマの全体を表示画面に収まるように表示した場合の倍率(疑似倍率)Z’などが記憶される。これらの変数は、以下に示す各処理のフローチャートで用いられる。
【0058】
図15に、この発明におけるコマの拡大表示の表示順序の一実施例の説明図を示す。
ここでは、遷移ルールRの遷移順序71として、優先方向を横方向とし、横方向の移動方向を右から左を意味する「左」に設定しているものとする。
また、拡大率K72として、コマG1が表示画面の中に収まるような倍率が予め設定されているものとする。
また、分割表示をする必要のある場合や、利用者によって意図的に拡大率が変更された場合を除いて、拡大率Kは一定とする。
図15(a)から図15(i)では、与えられたコンテンツ73の中のあるページ番号Pのページに含まれる5つのコマ(G1〜G5)を、順番に表示していく場合の例を示している。
【0059】
遷移ルールRの遷移順序71が、横方向優先で、右から左への順序に設定されているので、最初に表示するコマとしては右上のコマG1が選択される。
まず、図15(a)において、このページに含まれる最も右上のコマG1の交点P0が表示基準点として選択され、設定されていた拡大率Kで拡大されたコマG1を含む領域が、表示画面21の中に表示される。
このとき、コマG1の大きさは表示画面21の縦横比と同一でないとすると、左隣のコマG2の一部も表示される。
ただし、コマG1の領域内の情報のみを明示的に表示させたい場合は、表示対象とするコマG1の部分のみの輝度を上げて表示したり、あるいは現在表示対象ではないコマG2の部分の輝度を落として見えにくくしてもよい。
【0060】
次に、図15(b)において、遷移順序71に従って、コマG1の左側にあるコマG2の拡大表示を行う。
ここで、拡大率Kは図15(a)と同一のままで、コマG2を含む領域が、表示画面21に表示される。
この場合、横方向移動点として、コマG2の交点P1が設定され、この点P1が表示基準点Cとなる。
次に、コマG2の左側にコマG3があるので、さらに左側へ移動し、図15(c)に示すように、コマG3を含む領域の拡大表示を行う。
図15(c)では、コマG3の左側にコマがないので、コマG3全体と、その右側のコマG2の一部分が、表示画面21に表示される。
【0061】
遷移ルールRの遷移順序71に従って、コマG3の左側のコマを表示しようとしてもコマがないので、縦方向の下側に表示画面を移動させる。このとき、コマG3の下側ではなく、ページの右端へ戻ってコマG1の下側のコマを選択する。
ページ内の各コマの交点を調べることにより、最初の右上のコマG1の下側には、コマG4があることがわかる。
また、このコマG4の4つの交点の位置と、現在の表示画面21のサイズに対する拡大率Kとを考慮すると、コマG4の全体は、現在の表示画面サイズの中には入らず、はみ出てしまうことがわかる。
【0062】
そこで、コマG4の全体が表示画面21の中に入るように、拡大率Kを調整して、図15(d)に示すように、コマG4の全体を含む領域を表示させる。ここでは、拡大率Kは小さくなるように調整される。
このように拡大率Kを調整するのは、利用者にコマG4の全体を確認してもらうためである。
ただし、コマの全体像を確認する必要がない場合は、この図15(d)のような拡大率を変更した表示はしなくてもよい。
図15(d)では、コマG4の全体を、図15(a)と同じサイズの表示画面21に収まるように表示させるため、その左隣のコマG5の一部分も表示されてしまう。このとき、コマG4のみを確認してもらうため、コマG5の部分の輝度を下げてもよい。
【0063】
次に、図15(e)において、図15(a)〜(c)と同じ拡大率Kを用いて、コマG4の分割表示を行わせる。
ここで、表示基準点としてコマG4の交点P4が選択され、コマG4の一部分の領域(上半分に相当)が、表示画面21に表示される。
さらに、図15(f)において、表示画面21の縦方向の長さ分だけ表示画面21を下方向に移動させて、コマG4の残りの領域(下半分に相当)を、表示画面21に表示させる。
【0064】
次に、遷移ルールRの遷移順序71に従って、コマG4の左側にあるコマG5の表示を行う。
図15では、コマG5も、コマG4と同様に、同じ拡大率Kでは、表示画面21の中に入らないので、分割表示をする。
【0065】
図15では省略したが、図15(g)の前に、図15(d)のように、拡大率Kを調整して、コマG5の全体を含む領域を、表示画面21に表示してもよい。
図15(g)において、拡大率Kは図15(f)と同一にしたまま、コマG5の一部分の領域(上半分に相当)を、表示画面21に表示させる。
次に、図15(h)に示すように、コマG5の残りの一部分(下半分の右側領域)を、表示画面21に表示させる。このとき、コマG5の交点P10を表示基準点Cとした領域が、表示画面21に表示される。
ただし、図15(h)では、コマG5のうちまだ表示されていない左側部分が残っている。
そこで、図15(i)では、コマG5の残りの部分(下半分の左側領域)を表示させるために、表示画面21を左側方向へ移動させ、残りの部分を含む領域の分割表示を行う。
【0066】
以上のように、図15(a)から(i)に示したような順序で、1つのページ内に含まれる5つのコマが、順次拡大表示される。
この拡大表示においては、分割表示が必要なコマG4についての図15(d)の全体表示を除いて、同一の拡大率Kを用いている。
【0067】
<この発明の情報表示装置の動作>
以下に、この発明の情報表示装置の動作の一実施例について説明する。
この発明の情報表示装置の利用者は、自己の希望するコンテンツを記憶部7に記録して、そのコンテンツ73を表示部2に表示させてコンテンツの内容を確認することを前提とする。
したがって、利用者は表示させるコンテンツ73を、CD−ROMやUSBメモリ等の記録媒体や、インターネットやLAN等のネットワークを介したダウンロードにより、記憶部7に予め記録させておく。
また、この発明で扱うコンテンツは、上記したように、1つのページが、場面枠で区切られた複数のコマから構成されているものとする。さらに、各コンテンツ73には、ページ総数も記憶されているものとする。
【0068】
<遷移ルールの設定処理>
図2に、この発明の遷移ルールの設定処理の一実施例のフローチャートを示す。この設定処理では、主として、図1に示した遷移順序71と、拡大率K72を設定する。
ステップS1において、拡大率K72を設定する。ここでは、制御部1が、利用者が入力部3によって入力した拡大率Kの数値を、記憶部7に記憶させる。
拡大率Kの入力は、キーボードを用いた直接入力の他、スライダーやピンチジェスチャーなどで入力してもよい。
【0069】
ステップS2において、遷移順序71を選択入力する。ここでは、制御部1が、利用者が入力部3によって入力した遷移順序71を決める情報を、記憶部7に記憶させる。
遷移順序71は、図1に示したように、横方向についてのコマ送りの方向(左または右)、縦方向についてのコマ送りの方向(上または下)、コマの移動の優先方向(横または縦)の情報からなる。この情報の選択入力は、表示部2に設定可能な選択肢を表示させて、利用者にその選択肢のいずれかを入力してもらえばよい。
【0070】
たとえば、表示させようとするコンテンツが、すべてのページにおいて、コマの並びが右から左であり、右上から左下の方向へ向かってストーリーが進行していくようなコマからなる創作物である場合、横方向として「左」、縦方向として「下」、優先方向として「横」を、選択入力する。
以上が、設定処理の一実施例である。
なお、このような設定入力が行われない場合は、表示部2に設定入力をすることを求める警告表示をしてもよい。あるいは、出荷時に初期値として、よく使用されると考えられる遷移ルールRを予め設定しておき、設定入力がされない場合に、この初期値を用いればよい。
また、前回の遷移ルールRの設定値を記憶しておき、設定入力がされない場合は、この設定値を用いてもよい。
【0071】
<コンテンツの表示処理>
図3に、コンテンツの表示処理の一実施例のフローチャートを示す。
ここでは、表示しようとするコンテンツ73を選択し、そのコンテンツをページごとに表示部2に表示させ、ページに含まれるコマを拡大表示をさせる場合は、図2で設定した遷移ルールRに従って、順番にコマの表示を行わせる。
【0072】
ステップS11において、制御部1は、表示するコンテンツ73を利用者に選択させ、選択されたコンテンツを記録部7から読み出して、表示部2に表示可能なように記憶部7に展開する。
記憶部7に複数のコンテンツ73が記憶されている場合は、たとえば、表示部2にそれらのコンテンツの名称等からなるリスト画面を表示させ、利用者に、表示すべきコンテンツを選択入力してもらえばよい。
また、選択されたコンテンツ73の総ページ数も読み出し、ページ総数の変数MPにセットする。
【0073】
ステップS12において、表示しようとするページのページ番号の変数Pを、初期化する。たとえば、変数Pに1をセットする。
ステップS13において、制御部1は、変数Pのページ番号が示すページの全体を表示部2に表示させる。
たとえば、図9(a)に示すように、1つのページに含まれるすべてのコマが見えるようにページサイズを調整して、そのページ全体を表示画面21に表示させる。
ただし、ページの全体を表示させる必要のない場合は、予め所定の設定入力により全体表示をしないように設定してもよい。
【0074】
ステップS14において、制御部1は、拡大操作入力がされたか否かチェックする。
利用者は、ステップS13において表示されたページ全体の画面を見て、利用者が見やすい倍率を設定する。たとえば、タッチパネルの場合、ピンチジェスチャーなどの拡大操作をすればよい。拡大操作入力がされた場合は、ステップS16へ進み、そうでない場合はステップS15へ進む。
【0075】
ステップS15において、すでに拡大率Kが設定されているかどうか確認する。記憶部7をチェックし拡大率Kが設定されている場合は、ステップS17へ進み、そうでない場合はステップS18へ進む。
ステップS16において、拡大操作入力の内容に従って拡大率Kを更新する。ここで、たとえば、新たな拡大率の数値が入力された場合は、拡大率Kを、入力された数値にセットする。その後、ステップS17へ進む。
【0076】
ステップS17では、現在のページに対して、各コマの拡大表示処理を行う。ここでは、設定された遷移順序71に基づいて、ページに含まれるコマを、順次、設定された拡大率K72を用いて拡大表示していく。この拡大表示処理の詳細は、後述する図4に示す。
ステップS17において、1つのページの中のすべてのコマの表示が終了すると、ステップS18へ進む。
ステップS18において、次ページを選択するために、ページ番号変数Pに、1を加算する。
ステップS19において、現在のページ番号Pが、ページ総数MPよりも大きいか否かチェックする。
すなわちP>MPの場合、現在の表示対象となっているコンテンツのすべてのページが表示されたので、処理を終了する。
P≦MPの場合は、また表示すべきページが残っているので、ステップS13へ戻り、ステップS13からステップS18までの処理を繰り返す。
以上が、コンテンツを構成する各ページの表示処理である。
【0077】
<拡大表示処理>
図4に、この発明の拡大表示処理の一実施例のフローチャートを示す。これは、図3に示したステップS17の具体的な処理内容を示したものである。
ステップS31において、遷移ルールRを、記憶部7から読み出す。
ステップS32において、倍率変数Zに、設定された拡大率Kを設定(代入)する。
原則として、この倍率変数Zに設定された値に基づいて、すべてのコマに対して、以後の拡大表示が行われる。
【0078】
ステップS33において、現在表示対象となっているページPの画像全体をZ倍して表示し、Z倍したページ画像のデータを記憶部7に記憶する。
このとき、ページ画像をZ倍したので、表示部2の表示画面には、ページ画像の一部分だけが表示された状態となる。
たとえば、1つの例としては、図10(a)の表示状態から、図10(b)のようにページ画像の一部分が表示された状態となる。
【0079】
ステップS34において、記憶部7をチェックし、現在、表示基準点Cが未設定であるか否か確認する。未設定の場合は、ステップS35へ進み、すでに設定されている場合は、ステップS36へ進む。
ステップS35において、基準点設定部5が、表示基準点Cを初期設定する。具体的には、遷移ルールRに基づいて、表示基準点CのX座標とY座標とを設定する。
この初期設定処理の詳細は、後述する図5に示す。
【0080】
ステップS36において、交点抽出部8が、現在のページPの画像全体に含まれる場面枠(コマ)の交点を抽出する。
たとえば、図9(a)に示すようなページ画像の場合、ページ内に含まれる5つのコマ(G1〜G5)の各交点の座標を求める。図9(a)のページ画像の右上の交点P0をそのページの原点とした場合、交点P0の座標を(0、0)として、他の交点(P1〜P11)の交点P0に対する相対的な位置座標を求める。
【0081】
ステップS37において、ステップS33でページPをZ倍した画像に対して、現在の表示画面の表示領域内に含まれる交点が4点未満となる領域があるか否かチェックする。
現在の表示画面の表示領域に、表示されている交点が4点未満となる場合は、ステップS41へ進み、4点以上ある場合は、ステップS38へ進む。
ステップS38において、表示しようとする領域には交点が4つ以上あるので、表示画面の表示領域内には、複数のコマが存在する。そこで、利用者にさらに拡大表示をするための設定入力をしてもらうために、表示領域内に表示されている全コマをそのまま表示しておく。
【0082】
ステップS39において、利用者が拡大操作を意味する入力をしたか否かをチェックし、その入力があった場合、ステップS40へ進み、そうでない場合は、ステップS42へ進む。
ステップS40において、拡大操作入力があった場合は、遷移ルールRの拡大率Kをその入力によって指定された拡大率に更新する。
その後、ステップS31へ戻り、再度更新後の拡大率Kで表示を行う。
【0083】
ステップS41において、現在の表示領域内に存在する交点が4点未満(3点以下)である場合は、表示画面21に表示されるコマはほぼ1つに特定できるので、表示領域内に存在するそのコマに対して、表示画面を移動させながらコマの拡大表示処理を行う。
これにより、1つのコマの全体が、表示画面内にちょうど表示されるような大きさで表示されるか、あるいは現在の拡大率Kではコマの全体が表示しきれない場合は分割表示が行われる。このコマの拡大表示処理の詳細は、後述する図6に示す。
【0084】
ステップS41で、1つのコマの拡大表示処理が行われた後、ステップS42へ進む。
ステップS42において、現在のページPに含まれるコマをすべて表示したか否かをチェックする。このチェックは、たとえば、ページの4角が表示されたか否かを確認すればよい。すべてのコマの表示をした場合は、そのページPについての拡大処理がすべて終了したので、処理を終了する。
上記チェックをすることにより、ページの4角が未表示であった場合は、まだ表示すべきコマが存在することがわかるので、その残りのコマの表示をするために、ステップS43へ進み、基準点更新部6が、表示基準点Cを更新する。
表示基準点Cの更新処理の詳細は、後述する図7に示す。
表示基準点Cを更新した後、ステップS37へ戻り、再度ステップS37からS42の処理を繰り返し、残りのコマの拡大処理を行う。
【0085】
<表示基準点の初期設定処理>
図5に、表示基準点の初期設定処理の一実施例のフローチャートを示す。これは、図4に示したステップS35の具体的な処理内容を示したものである。
ステップS51において、基準点設定部5が、遷移ルールRの遷移順序71のうち、横方向が、「左」に設定されているか否か、チェックする。すなわち、コマの移動方向が右から左への方向か否かチェックする。
「左」の場合は、ステップS52へ進む。そうでない場合は、横方向が「右」に設定されているので、ステップS53へ進む。
【0086】
ステップS52において、表示させるコマは右から左へ移動させるので、表示基準点CのX座標を、表示画面21に表示されるページ画像の最も右の座標に設定する。
図9(a)の場合は、交点P0、P4、P9を結ぶラインが最も右側なので、これらの交点のX座標が、表示基準点CのX座標として設定される。たとえば、図9(a)の交点P0を原点(0、0)とする場合は、表示基準点CのX座標として、ゼロが設定される。
ステップS53において、表示させるコマは左から右へ移動させるので、表示基準点CのX座標を、表示画面21に表示されるページ画像の最も左の座標に設定する。
【0087】
次に、ステップS54において、基準点設定部5が、遷移ルールRの縦方向が、「下」に設定されているか否か、チェックする。
すなわち、コマの移動方向が、上から下への方向か否かチェックする。「下」の場合は、ステップS55へ進む。そうでない場合は、縦方向が「上」に設定されているので、ステップS56へ進む。
【0088】
ステップS55において、表示させるコマは上から下へ移動させるので、表示基準点CのY座標を、表示画面に表示されるページ画像の最も上の座標に設定する。
図9(a)の場合は、交点P0、P1、P2、P3を結ぶラインが最も上側なので、これらの交点のY座標が、表示基準点CのY座標として設定される。
交点P0を原点(0、0)とする場合は、表示基準点CのY座標として、ゼロが設定される。
ステップS56において、表示させるコマは下から上へ移動させるので、表示基準点CのY座標を、表示画面に表示されるページ画像の最も下の座標に設定する。
【0089】
たとえば、遷移順序71として、横方向=「左」、縦方向=「下」が設定されている場合は、ステップS52とステップS55が実行され、表示基準点Cの初期値としては、ページ画像の最も右かつ最も上の点のX座標とY座標が設定される。
図9(a)の場合は、表示基準点Cとして、交点P0が選択され、交点P0が原点(0、0)の場合、表示基準点Cの座標値として、(0、0)が設定される。
以上が、表示基準点Cの初期設定処理である。
【0090】
<コマの拡大表示処理>
図6に、表示対象となるコマの拡大表示処理の一実施例のフローチャートを示す。
これは、図4に示したステップS41の具体的な処理内容を示したものである。
この処理は、対象コマを1ページとして仮定し、再帰的に処理を行うことで、たとえば、図10(b)や、図15(a)に示すようなコマの拡大表示が行われる。
【0091】
ステップS71において、現在の表示領域内のコマの全体が、表示画面に収まるように、疑似倍率Z’を設定する。この処理は、1つのコマの全体を一旦は表示し、利用者にコマ全体の内容を把握させるために行うものである。
疑似倍率Z’は、対象コマの各交点の距離により求めることができる。
【0092】
ステップS72において、表示位置情報76の表示位置C’に、現在の表示基準点Cの情報を設定する。
ステップS73において、表示画面21の表示領域内の画像を、表示位置C’に基づいて、ステップS71で設定された疑似倍率Z’倍で拡大表示をする。
このとき、たとえば、表示基準点Cが交点P0であった場合、表示位置C’として交点P0が設定されるので、図14(a)に示すようにコマG1全体を含む領域が表示画面21に表示される。
あるいは、表示基準点Cが交点P4であった場合、表示位置C’として交点P4が設定されるので、図14(b)に示すように、コマG4の全体が含まれる領域が、表示画面21に表示される。
【0093】
ステップS74において、利用者が拡大表示を指示した場合、ステップS78へ進み、新しい倍率Zを設定する。指示のない場合は、ステップS75へ進む。
【0094】
ステップS75において、現在の表示領域内の画像を、表示位置C’の情報に基づいて、予め設定されていた倍率Z倍で拡大表示をする。これにより、利用者が予め設定した拡大率で、コマが再表示される。
【0095】
ステップS76において、現在表示対象となっているコマのすべての部分を表示したか否か、チェックする。
このチェックは、たとえば、対象コマの全ての交点が表示されたか否かにより、行うことができる。
すべての部分の表示がすでに行われた場合は、処理を終了し、そうでない場合は、ステップS77へ進む。
ステップS77において、表示対象のコマには、まだ表示されていない残りの部分があるので、その残りの部分を表示するために、表示位置C’の情報を更新する。この表示位置情報C’の更新処理は、後述する図8に示す。
表示位置C’を更新した後、ステップS74へ戻り、残りの部分についての表示を行う。たとえば、図15(f)に示すようなコマG4の残りの部分の表示が行われる。
以上が、コマの拡大表示処理の説明である。
【0096】
<表示基準点Cの更新処理>
図7に、表示基準点Cの更新処理の一実施例のフローチャートを示す。
これは、図4に示したステップS43の具体的な処理内容を示したものである。これにより、次に表示すべきコマの表示基準点Cが設定され、新たな表示基準点Cに基づいて、次のコマの表示が行われる。
【0097】
ステップS101において、基準点更新部6が、横方向移動点C1が未設定であるか否かチェックする。未設定である場合、ステップS102へ進み、そうでない場合はステップS103へ進む。
【0098】
ステップS102において、現在の表示基準点Cから見て、横方向(X座標)の移動距離が最短となる交点を検出する。すなわち、X座標値の距離が最も短い交点を検出する。検出された交点のX座標と、表示基準点CのY座標とからなる点を、横方向移動点C1に設定する。
たとえば、図11(b)や図11(c)に示したように、横方向移動点C1を設定する。
この後、ステップS103へ進む。
【0099】
ステップS103において、基準点更新部6が、縦方向移動点C2が未設定であるか否かチェックする。未設定である場合ステップS104へ進み、そうでない場合はステップS105へ進む。
ステップS104において、現在の表示基準点Cから見て、縦方向(Y座標)の移動距離が最短となる交点を検出する。すなわち、Y座標値の距離が最も短い交点を検出する。検出された交点のY座標と、表示基準点CのX座標とからなる点を、縦方向移動点C2に設定する。
この後、ステップS105へ進む。
【0100】
ステップS105において、遷移ルールRの横方向が、優先方向として設定されているか否か、チェックする。
優先方向が「横」の場合ステップS106へ進み、そうでない場合(優先方向が「縦」)、ステップS112へ進む。
【0101】
ステップS106において、横方向移動点C1が、現在表示しているページのページ画像の端点であるか否か、チェックする。
ここで端点とは、左端または右端を意味し、横方向移動点C1のX座標が、ページの最左端の座標値となっているか、あるいは最右端の座標値となっているかをチェックする。
ここで端点となっている場合は、ステップS109へ進み、端点となっていない場合は、ステップS107へ進む。たとえば、図11(b)と図11(c)の場合は、いずれも横方向移動点C1は端点となっていないので、ステップS107へ進むことになる。
ステップS107において、ステップS102で設定した横方向移動点C1を、表示基準点Cに設定する。
ステップS108において、横方向移動点C1の内容を消去して、処理を終了する。
【0102】
一方、ステップS109において、まず、横方向移動点C1の内容を消去する。ここでは、横方向移動点C1がすでにページの端点の位置となっているので、これ以上横方向にはコマがないと判断される。したがって、縦方向に移動して、次のコマが選択される。
次に、ステップS110において、ステップS104で設定した縦方向移動点C2を、表示基準点Cに設定した後、ステップS111において、縦方向移動点C2を消去して処理を終了する。
【0103】
ステップS112において、遷移ルールRの優先方向が「縦方向」となっていたので、縦方向移動点C2が、現在表示しているページのページ画像の端点(上端または下端)であるか否か、チェックする。
端点である場合はステップS113へ進み、端点でない場合はステップS110へ進む。ステップS110へ進む場合は、上記したとおりである。
【0104】
一方、ステップS113へ進む場合は、縦方向移動点C2がすでにページの端点となっていて縦方向にはコマは存在しないので、表示するコマを横方向へ移動する必要がある。
そこで、まず、ステップS113において、縦方向移動点C2を消去する。
ステップS114において、横方向へコマを移動させるため、横方向移動点C1を、表示基準点Cに設定する。
ステップS115において、横方向移動点C1を消去して、処理を終了する。
以上の処理によって、表示基準点を更新することにより、表示画面に表示させる次のコマの選択が行われる。
【0105】
<表示位置情報C’の更新処理>
図8に、表示位置C’の情報の更新処理の一実施例のフローチャートを示す。
これは、図6に示したステップS77の具体的な処理内容を示したものである。これにより、1つのコマを分割表示する場合において、分割した後の残りの部分の表示基準点とすべき位置(移動点)が設定される。
表示位置C、C’とも同じ遷移ルールで動作するため、図7に示した処理とほぼ同様のフローで成立する。
【0106】
ステップS131において、基準点更新部6が、表示位置情報76の横方向移動点C1’が未設定であるか否かチェックする。未設定である場合ステップS132へ進み、そうでない場合はステップS133へ進む。
ステップS132において、現在の表示位置C’から見て、横方向(X座標)に、表示画面21の表示領域の横方向サイズに相当する距離だけ移動した点を、横方向移動点C1’に設定する。
この後、ステップS133へ進む。
【0107】
ステップS133において、基準点更新部6が、表示位置情報76の縦方向移動点C2’が未設定であるか否かチェックする。未設定である場合ステップS134へ進み、そうでない場合はステップS135へ進む。
ステップS134において、現在の表示位置C’から見て、縦方向(Y座標)に、表示画面21の表示領域の縦方向サイズに相当する距離だけ移動した点を、縦方向移動点C2’に設定する。
この後ステップS135へ進む。
【0108】
ステップS135において、遷移ルールRの横方向が、優先方向として設定されているか否かチェックする。優先方向が「横」の場合ステップS136へ進み、そうでない場合(優先方向が「縦」)、ステップS142へ進む。
ステップS136において、横方向移動点C1’が、現在表示しているページのページ画像の端点(左端または右端)であるか否かチェックする。これはステップS106と同等の処理である。
ページ画像の端点となっている場合はステップS139へ進み、端点となっていない場合はステップS137へ進む。
ステップS137において、ステップS132で設定した横方向移動点C1’を、表示位置C’に設定する。
ステップS138において、横方向移動点C1’を消去して、処理を終了する。
【0109】
一方、ステップS139において、横方向移動点C1’を消去する。
ステップS140において、ステップS134で設定した縦方向移動点C2’を、表示位置C’に設定する。
ステップS141において、縦方向移動点C2’を消去して、処理を終了する。
ステップS142において、遷移ルールRの優先方向が「縦方向」となっていたので、縦方向移動点C2’が、現在表示しているページのページ画像の端点(上端または下端)であるか否かチェックする。端点である場合は、ステップS143へ進み、端点でない場合はステップS140へ進む。
ステップS140へ進む場合は、上記したとおりである。
【0110】
一方、ステップS143へ進む場合は、縦方向移動点C2’がすでにページの端点となっていて縦方向にはコマは存在しないので、表示するコマを横方向へ移動する必要がある。
そこで、ステップS143において、縦方向移動点C2’を消去し、ステップS144において、横方向へコマを移動させるため、横方向移動点C1’を、表示位置C’に設定する。
ステップS145において、横方向移動点C1’を消去して、処理を終了する。
以上の処理が、表示位置情報の更新処理である。
【符号の説明】
【0111】
1 制御部
2 表示部
3 入力部
4 拡大表示処理部
5 基準点設定部
6 基準点更新部
7 記憶部
8 交点抽出部
21 表示画面
71 遷移順序
72 拡大率
73 コンテンツ
74 交点情報
75 基準点情報
76 表示位置情報
77 変数
C 表示基準点
C1 横方向移動点
C2 縦方向移動点
K 拡大率
P ページ番号
MP ページ総数
Z 倍率
R 遷移ルール
P0 交点
G1 コマ
【技術分野】
【0001】
この発明は、情報表示装置に関し、特に、1つの頁が複数の場面枠(コマ)から構成されている画像コンテンツを表示する情報表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
今日、デジタル化された情報を受信あるいは格納し、利用者が受信等された情報の中の必要な部分を拡大表示させて閲覧することができる携帯端末(たとえば、電子書籍端末、タブレット端末)が利用されている。
デジタル化された情報は、一般的にはページ単位で管理および記憶されているので、一つのページ全体が表示画面に表示される。
【0003】
一つのページが複数の場面枠(以下、コマと呼ぶ)に区切られた画像コンテンツからなる場合、たとえば電子コミックなどの場合に、表示画面に、そのページに含まれるすべてのコマを表示させると1つのコマの画像は非常に小さくなる。
そこで、1つのコマ内の細部を確認したい場合は、所定の操作を行うことにより、確認したい画像のある部分を画面内に拡大表示させるようにしたり、拡大表示をした後所望の画像部分が画面内に表示されるように表示画像を移動させることが行われている。
すなわち、1つのページ内に含まれる複数のコマを順次確認していくために、利用者自らが、表示画像の拡大操作、縮小操作および移動操作を必要に応じて繰り返し行っている。
【0004】
特に、漫画の場合は、1つのページに含まれるコマの数、配置およびそれぞれのコマの大きさは、読者に与える印象を考慮した作者の意図によりさまざまであり、統一されていないのが通常であるので、利用者が、その漫画のストーリーに沿って各コマを適切な大きさで順次表示させていくためには、拡大、縮小および移動という操作を適切に繰り返す必要があり、利用者の操作負担は大きい。
【0005】
そこで、このような1つのページに複数のコマを含む画像コンテンツを、コマごとに順次表示させることが可能な装置が提案されている。
たとえば、特許文献1には、1つのコマごとの文字データと、画像データと、複数のコマを表示させる順序情報、コマの移動時間情報等からなる閲覧制御情報を予め含んだ書籍データを記憶しておき、この閲覧制御情報に基づいて、所定の順序で各コマの画像を表示画面に拡大表示する電子情報処理装置が提案されている。
【0006】
また、特許文献2には、1つのページにストーリーに沿って並べられた複数のコマからなる画像データと、1ページ内に含まれるコマの表示順序と、各コマの表示倍率とが予め設定された電子コンテンツファイルを表示する場合に、まず、頁全体の画像データを表示画面に表示させた後、各コマが画面領域にちょうど表示されるように、コマごとに設定された表示倍率で、順次表示させ、再度その頁全体の画像データを縮小表示させるようにしたコンテンツ表示方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2011−39520号公報
【特許文献2】特開2007−164550号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、従来のように、利用者が、拡大、縮小および移動という操作を必要に応じて繰り返し行う場合は、ストーリーの順序にコマを表示させるのは、操作負担が大きく、利用者はストーリーへの集中ができず、作者が意図した読者への印象が阻害されてしまう場合もあり得る。
また、上記した特許文献のいずれも、コンテンツ作成時に予め設定された表示順序で、各コマを表示画面内に拡大表示させて閲覧することができるが、各コマの大きさが異なる場合には、拡大表示されるコマ内の画像や文字の大きさが途中で変化することになるので、急に画像や文字が見にくくなる場合もあり、利用者によっては読みにくいと感じる場合がある。
コマの大小も作者が意図したストーリーの一部と考えられるので、コマの表示が切りかわるごとに画像のサイズがその都度変化したのでは、作者の意図する感性が読者に十分伝わらない場合もある。
【0009】
そこで、この発明は、以上のような事情を考慮してなされたものであり、画像コンテンツを閲覧する利用者が自己にとって好ましい表示倍率等を設定できるようにし、利用者の操作負担の軽減を図り、利用者の読みやすさや、作者の意図した読者に与える印象等をできるだけ阻害しないようにして、場面単位の画像を順次見ることができるようにした情報表示装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明は、1つのページが場面枠で区切られた複数のコマ画像からなるコンテンツを表示する情報表示装置であって、表示部と、1つのページに属するコマ画像を順次表示させるための移動方向を特定する遷移順序とコマ画像の拡大率とを入力する入力部と、前記入力された遷移順序に基づいて、前記表示部に表示するコマ画像を選択するための基準となる最初の表示基準点を設定する基準点設定部と、前記表示基準点と前記拡大率に基づいて、表示すべきコマ画像を含むページ内の表示領域を決定して、前記表示領域を前記表示部に表示させる拡大表示処理部とを備え、前記遷移順序に基づいて前記表示領域を移動させて、1つのページに属するコマ画像を、前記表示部に順次表示させることを特徴とする情報表示装置を提供するものである。
【0011】
これによれば、入力された拡大率で、1つのページに含まれるコマ画像が表示部に順次表示されるので、利用者の操作負担を軽減させ、かつ拡大率を入力されたものに一定とすることにより、利用者のコンテンツの読みやすさと、作者の意図した読者に与える印象とを阻害させないようにすることができる。
【0012】
また、前記遷移順序が、1つのページ内の横方向の表示順序を規定する情報と、1つのページ内の縦方向の表示順序を規定する情報と、移動方向のうち横方向および縦方向のどちらを優先するかを示す優先方向情報とからなることを特徴とする。
さらに、1つのページに属するコマ画像ごとに、1つのコマ画像を画定する交点を抽出する交点抽出部と、現在の表示基準点と前記遷移順序に基づいて、前記抽出された交点の位置のうち前記表示基準点との位置関係が所定の相対関係を満たす1つの交点を選択し、選択された交点から次に表示すべきコマ画像の表示基準点を設定する基準点更新部とを、さらに備えたことを特徴とする。
【0013】
また、前記基準点更新部は、前記交点抽出部によって抽出された交点のうち、現在の表示基準点から見て、前記遷移順序の優先方向情報が示す移動方向についての移動距離が最も短い交点を選択し、前記優先方向情報が示す移動方向について前記選択された交点と同じ座標を有する点を新たな表示基準点に設定することを特徴とする。
【0014】
また、前記拡大表示処理部が、前記入力された拡大率で表示する表示領域を決定したときに、前記表示基準点に基づいて定められた表示すべきコマ画像の全体を、その表示領域に表示できない場合に、前記表示すべきコマ画像を分割して、複数回に分けて前記コマ画像の全体を表示させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
この発明によれば、入力した遷移順序に基づいて、コマ画像を含む表示領域を決定して、入力された拡大率で、1つのページに含まれるコマ画像を表示部に順次表示させるので、利用者の操作負担を軽減させ、拡大率を入力されたものに一定とすることにより利用者のコンテンツの読みやすさを維持し、かつ作者の意図した読者に与える印象をできるだけ阻害しないようにした各コマ画像の表示ができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】この発明の情報表示装置の一実施例の構成ブロック図である。
【図2】この発明の遷移ルールの設定処理の一実施例のフローチャートである。
【図3】この発明のコンテンツの表示処理の一実施例のフローチャートである。
【図4】この発明の拡大表示処理の一実施例のフローチャートである。
【図5】この発明の表示基準点の初期設定処理の一実施例のフローチャートである。
【図6】この発明のコマの拡大表示処理の一実施例のフローチャートである。
【図7】この発明の表示基準点の更新処理の一実施例のフローチャートである。
【図8】この発明の表示位置情報の更新処理の一実施例のフローチャートである。
【図9】この発明の表示画面に、1つのページ全体を表示させた状態の一実施例の説明図である。
【図10】この発明の1つのコマの拡大表示を行う場合の一実施例の説明図である。
【図11】この発明の横方向移動点C1の設定の具体例の説明図である。
【図12】この発明の縦方向移動点C2の設定の具体例の説明図である。
【図13】この発明の拡大表示するコマと表示画面のサイズとの関係の説明図である。
【図14】この発明のコマの全体を表示画面内に表示させるようにした場合の説明図である。
【図15】この発明におけるコマの拡大表示の表示順序の一実施例の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を使用して本発明の実施の形態を説明する。なお、以下の実施例の記載によって、この発明が限定されるものではない。
<この発明の情報表示装置の構成>
図1に、この発明の情報表示装置の一実施例の構成ブロック図を示す。
図1において、情報表示装置は、主として、制御部1、表示部2、入力部3、拡大表示処理部4、基準点設定部5、基準点更新部6、記憶部7および交点抽出部8とを備える。
このような構成を備えた情報表示装置は、特に、1つのページが場面枠で区切られた複数のコマ画像からなるコンテンツを表示する機能を有する。
【0018】
制御部1は、この発明の情報表示装置の各種機能を実現するために、各機能ブロックの動作を制御する部分であり、主として、CPU、ROM、RAM、I/Oコントローラ、タイマー等からなるマイクロプロセッサから構成される。
また、ROM等に記憶された制御プログラムに基づいて、CPUが各種ハードウェアを動作させることにより、この発明の情報表示装置の機能が実現される。
この発明の情報表示装置は、たとえば、パソコン、電子書籍端末、タブレット端末、携帯電話、その他の携帯端末などに組み込まれ、以下に示す機能が、これらの電子機器の一部の機能として実現される。
【0019】
表示部2は、LCD、有機EL表示等の表示装置が用いられ、携帯端末の場合は、比較的小型の表示装置が用いられる。
入力部3は、各種情報を入力する部分であり、キーボード、マウス、タッチパネル等が用いられる。
この発明では、入力部3は、後述するような遷移ルールを入力する部分であり、特に、1つのページに属するコマ画像を順次表示させるための移動方向を特定する遷移順序と、コマ画像の拡大率とを入力する。
この発明の情報表示装置が、小型軽量の持ち運び可能な携帯端末である場合には、表示部2の表示画面に重ねて、タッチパネルを配置し、ペンや指などを使用して、表示画面の任意の位置をタッチすることにより、文字などの情報入力や、画像等の拡大、縮小および移動の指示入力をさせることが、操作性の観点で好ましい。
【0020】
拡大表示処理部4は、表示部2に表示されている画像の一部分を、所定倍率あるいはタッチ操作によって指示された倍率で拡大して、表示画面に表示する部分である。
たとえば、複数のコマからなるページにおいて、所定の遷移ルールRに従って選択された1つのコマが表示画面内にほぼ収まるように拡大表示する。
【0021】
特に、拡大表示処理部4は、後述する基準点設定部5によって設定された表示基準点と、入力部3によって入力された拡大率に基づいて、表示部2に表示すべきコマ画像を含むページ内の表示領域を決定して、その表示領域を表示させる部分である。
また、入力された遷移順序に基づいて、表示領域を設定された移動方向に移動させて、1つのページに属するコマ画像を、表示部2に順次表示させていく。
【0022】
また、拡大表示処理部4は、後述する図13に示すように、コマ画像の分割表示を行う。
たとえば、入力された拡大率で表示する表示領域が決定されたとき、表示基準点に基づいて定められた表示すべきコマ画像の全体を、その決定された表示領域の中に表示できない場合に、その表示すべきコマ画像を分割して上記表示領域に表示させ、複数回に分けてそのコマ画像の全体を表示させる。この拡大表示の詳細については、図4および図6等のフローチャートを用いて説明する。
【0023】
基準点設定部5は、表示基準点Cを初期設定する部分である。
特に、入力部3によって入力された遷移順序に基づいて、表示部2に表示するコマ画像を選択するための基準となる最初の表示基準点を設定する部分である。基準点設定部5は、後述する図5のフローチャートに示した処理を行う。
表示基準点Cとは、1つのコマAを拡大表示するために、そのコマAを含むページに対するコマAの位置を特定するための基準となる点の座標を意味する。
図9に、表示部2の表示画面に、1つのページの全体を表示させた状態の一実施例の説明図を示す。
図9(a)において、1つのページ画像が、5つの場面枠(コマ)で区切られた5つのコマ画像(G1〜G5)からなるものを示している。
以下、場面枠とコマ画像は1対1に対応するので、コマ画像もコマと呼ぶことにする。
1つのページ画像の情報は、そのページに含まれる各コマごとの画像情報に加えて、コマの数と、どのコマがページ内のどこに表示されているかを示す情報(座標値)とから構成される。
【0024】
図9(b)は、各コマの表示基準点Cの位置と、表示基準点Cの座標、そのコマを画定する交点の一実施例を示している。
ここで、1つのコマが複数本の直線で囲まれた領域であることを前提とした場合、その直線のうち2本の直線が交わる点が交点である。たとえば、1つのコマが4本の直線で囲まれた領域であるとすると、そのコマの位置は、4つの交点の座標によって画定される。交点の座標は、横方向のX座標と、縦方向のY座標から定められ、ページの右上を原点(0、0)とする。
【0025】
たとえば、図9(a)の最も右上のコマG1は、4つの交点(P0、P1、P5、P4)で囲まれた四辺形の領域であり、図9(b)には、4つの交点のうち右上の交点P0を表示基準点Cとし、この表示基準点のページ全体に対する座標は、(X0、Y0)であることを示している。
また、同様に、最も左下のコマG5は、4つの交点(P6、P8、P11、P10)で囲まれた四辺形領域で、表示基準点CがP6(X6、Y6)であることを示している。
1つのコマだけを表示画面内に拡大表示する場合は、そのコマの交点および表示基準点Cに基づいて表示する領域が決定される。
【0026】
表示基準点Cとしては、1つのコマを特定する複数の交点のうち1つの交点が選択される。図9(b)のように右上の交点を表示基準点Cとしてもよく、あるいは、右下の交点を表示基準点Cとしてもよい。
表示基準点Cは、たとえば、後述する図5のフローチャートによって初期設定される。
図9(b)では、コンテンツのストーリーが、コマG1、G2、G3、G4、G5の順序で進行する場合に対応して、各コマの右上の交点を表示基準点Cとして選択する例を示している。ただし、これに限るものではなく、作者が意図したコンテンツのストーリーの展開に対応したコマの配置順序とコマの大きさと形状とによって、表示基準点Cを設定するものとする。
たとえば、ストーリーがコマG3、G2、G1の順序で左から右へ進行するとした場合、コマの表示基準点Cとしては、各コマの左上の交点が設定される。
なお、表示基準点Cの初期設定は、入力される遷移ルールRに基づいて設定される。
【0027】
図10に、1つのコマの拡大表示を行う場合の一実施例の説明図を示す。
図10(a)において、表示するコマとして、右上のコマG1が選択され、表示基準点CとしてP0(X0、Y0)が設定されたとする。この状態で、表示基準点C(P0)を基準として、コマG1の拡大表示を行った場合、たとえば図10(b)のように、コマG1が表示される。
すなわち、表示基準点Cが設定されると、この基準点Cを含む1つのコマの領域を特定する交点が抽出できるので、表示基準点と抽出した交点によって画定されるコマの領域が、所定の拡大率で拡大され、表示画面内に表示される。
【0028】
図1に示す交点抽出部8は、1つのコマ画像を画定する交点を抽出する部分である。
上記したように、四辺形等の形状をしたコマ画像の位置を特定するために、コマの外枠を特定する交点を抽出する。
【0029】
図1に示す基準点更新部6は、拡大表示を行っている場合に、次のコマを表示するために表示基準点Cを新たに設定する部分である。
さらに詳しくは、基準点更新部6は、現在の表示基準点と入力された遷移順序に基づいて、交点抽出部8によって抽出された交点の位置のうち、現在の表示基準点との位置関係が所定の相対関係を満たす1つの交点を選択し、選択された交点から次に表示すべきコマ画像の表示基準点を設定する部分である。
【0030】
上記所定の相対関係とは、ページを横と縦の方向に、それぞれX軸とY軸を設定した場合に、交点と表示基準点の(X、Y)座標値の関係を意味する。
また、1つの交点の選択基準としては次のようなものがある。
すなわち、交点抽出部8によって抽出された交点のうち、現在の表示基準点から見て、遷移順序の優先方向情報が示す移動方向についての移動距離が最も短い交点を選択する。そして、基準点更新部6は、その優先方向情報が示す移動方向について選択された交点と同じ座標を有する点を新たな表示基準点に設定する。
基準点更新部6は、後述する図7のフローチャートに示した処理を行う。
【0031】
たとえば、図10(b)に示すようにコマG1が拡大表示されている状態で、次に表示すべきコマがコマG2である場合、表示基準点Cを、交点P0から交点P1へ変更する。
これにより、新たな表示基準点P1に基づいて表示すべきコマG2の領域(交点P1、P2、P7、P5によって画定される領域)が選択され、拡大表示される。
また、図11に示す3つのコマ画像(G1、G2、G3)を、G1、G2およびG3の順序で表示させる場合、表示基準点は、図11(a)の点P0、図11(b)の点P1、図11(c)の点C1の順に更新される。
次に表示すべきコマの選定は、予め定められる遷移ルールRに従って行われる。
【0032】
記憶部7は、この発明の拡大表示等に必要な情報を記憶しておく部分であり、ROM、RAM、ハードディスクなどが用いられる。
この発明の表示制御等をするためのプログラムは、予めROMやハードディスクに記憶され、設定された遷移ルールRや各処理を行うときに利用されその都度変更される情報はRAMやハードディスクに記憶される。
図1に示すように、記憶部7には、主として、遷移ルールR、文字や画像等の情報からなる表示対象のコンテンツ73、コマを特定する交点情報74、コマを表示するための基点となる基準点情報75、1つのページに対する表示位置を特定する表示位置情報76、各処理が実行されるときに用いられる変数77などが記憶される。
【0033】
遷移ルールRは、1つのページに含まれるコマを表示する順序を示す情報(遷移順序)71と、拡大率K72とからなる情報である。ただし、これ以外の情報を含めてもよい。
遷移順序71は、1つのページに属する複数のコマ画像を順次表示させるための移動方向を特定する情報を意味し、主として、1つのページ内の横方向の表示順序を規定する情報と、縦方向の表示順序を規定する情報と、表示領域の移動方向のうち横方向と縦方向のどちらを優先するかを示す情報(優先方向情報)とからなる。
【0034】
横方向の表示順序を規定する情報としては、右側にあるコマを先に表示し、左側にあるコマをその後に表示することを意味する「左」か、あるいは左側にあるコマを先に表示し、右側にあるコマをその後に表示することを意味する「右」のいずれかが設定される。
たとえば、ストーリーが右側のコマから左側のコマへの順序で進行する場合、表示するコマも右側から左側へ移動させた方がよいので、「左」に設定される。
【0035】
縦方向の表示順序を規定する情報としては、上側にあるコマを先に表示し、下側にあるコマをその後に表示することを意味する「上」か、あるいは下側にあるコマを先に表示し、上側にあるコマをその後に表示することを意味する「下」のいずれかが設定される。
拡大率K72は、1つのページに含まれる各コマを拡大表示する場合の倍率を意味し、たとえば、1つのページ全体を表示画面に表示するときの倍率を1とし、これに対する表示倍率が設定される。
【0036】
この遷移ルールRは、コンテンツ73に予め付属する初期情報として与えてもよく、あるいは、そのコンテンツ73をこれから表示させようとする利用者によって予め設定してもよい。
コンテンツ73によっては、通常1つのページ内での各コマの配置はすでに固定的に決定されているので、遷移順序71は予め固定されていることが好ましい。
ただし、表示される画像や文字の大きさについて、読者の読みやすさは読者によって異なるものと考えられるので、拡大率K72は、利用者によって、表示を行う前に設定できるようにすることが好ましい。
【0037】
コンテンツ73は、表示部2に表示される情報であり、たとえば本、漫画、パンフレットなどの情報である。また、コンテンツ73は、文字、図形、画像などを含むいわゆるマルチメディア情報から構成されるものであってもよい。
枠がない媒体では、ページ全体を1コマとして拡大表示を行う。
コンテンツ73は、主として、ハードディスクに記憶されるが、USBメモリやCD、DVDなどの記録媒体に格納されたコンテンツ、あるいはネットワークを介してダウンロードされたコンテンツであってもよい。
【0038】
交点情報74は、上記した図9などに示した交点を特定する情報であり、主として、各コマを特定する四辺形の頂点の座標値(X、Y)によって与えられる。この交点情報74は、たとえば、上記したように、ページ画像の情報から、抽出することができる。
基準点情報75は、上記した表示基準点Cを特定する情報であり、表示基準点C、横方向移動点C1、縦方向移動点C2から構成される。表示基準点Cは、1つのページに対する座標値(X、Y)により特定される。
横方向移動点C1は、表示すべき次のコマを選択する場合、現在の表示基準点Cから見て横方向に移動したときに、次の表示基準点の候補となる点を意味する。
縦方向移動点C2は、表示すべき次のコマを選択する場合、現在の表示基準点Cから見て縦方向に移動したときに、次の表示基準点の候補となる点を意味する。
【0039】
横方向移動点C1、縦方向移動点C2としては、主として、コマの交点が選択されるが、コマの形状によっては、コマの交点でない点が選択される場合もある。
たとえば次に表示すべきコマとして左側にあるコマを選択する場合において、その左側のコマを特定する交点のうち、現在の表示基準点Cから見て横方向のX座標の移動距離が最も短い交点のX座標と、表示基準点Cと同一のY座標を持つ点を、横方向移動点C1とする(図11(c)参照)。
また、次に表示すべきコマとして下側にあるコマを選択する場合において、その下側にあるコマを特定する交点のうち、現在の表示基準点Cから見て縦方向のY座標の移動距離が最も短い交点のY座標と、表示基準点Cと同一のX座標を持つ点を、縦方向移動点C2とする。
【0040】
図11に、横方向移動点C1の設定における具体例の説明図を示す。
図11(a)は、1つのページに3つのコマ(G1、G2、G3)があり、コマG1を表示している場合において、表示基準点CがコマG1の右上の交点P0の位置にあることを示している。交点P0の座標は、ページの原点の座標(0、0)とする。
【0041】
図11(a)の状態で、次に横方向に移動して、コマG1の左隣のコマG2を表示する場合、横方向移動点C1は、図11(b)のように設定される。
図11(a)の場合、現在の表示基準点Cである交点P0よりも左側にある交点で、コマG2を画定する交点は、Y座標が交点P0と同じP1、P2と、Y座標が交点P0と異なるP5、P6である。ここで、X座標値を比較すると、図11(a)の場合、0<X1<X5<X6<X2という関係にある。
【0042】
この場合、表示基準点Cの交点P0から見て、横方向への移動距離が最も短いのは、交点P1である。
横方向への移動距離とは、2つの交点のX座標方向の距離(X座標値の長さ)を意味する。
したがって、図11(b)に示すように、横方向移動点C1として、交点P1が設定される。
遷移ルールRの遷移順序が右から左への移動を示す「左」である場合、この横方向移動点P1が新たな表示基準点Cに設定される。この新たな表示基準点Cとなった交点P1を基準として、コマG2の表示が行われることになる。
【0043】
図11(c)には、図11(b)の状態からさらに左側に移動して、コマG2の左隣のコマG3を表示する場合の横方向移動点C1の設定について示している。
図11(b)において、表示基準点Cが交点P1であったので、交点P1よりも左側にある交点のうち、コマG3を画定する交点は、4つの交点(P2、P3、P7、P6)である。
ここで、4つの交点のX座標値を比較すると、X1<X6<X2<X3という関係にある。交点P3とP7のX座標は、どちらもX3とする。
したがって、この4つの交点の中で、表示基準点Cである交点P1から見て横方向(X座標方向)への移動距離が最も短いのは、交点P6である。
ただし、交点P6のY座標(Y4)は、表示基準点P1のY座標(0)と異なる。
【0044】
そこで、横方向移動点C1としては、X座標が移動距離の最も短い交点P6のX6であって、Y座標が表示基準点P1と同じ値(0)の点が選択される。
すなわち、図11(c)に示すように、横方向移動点C1として、座標値(X6、0)の点が設定される。
遷移ルールRが右から左への移動を示す「左」である場合、この座標値(X6、0)の点が、新たな表示基準点Cに設定される。その後、新たな表示基準点(X6、0)を基準として、コマG3が表示されることになる。
【0045】
図12に、縦方向移動点C2の設定における具体例の説明図を示す。
図12(a)は、表示基準点Cが交点P0の場合を示している。
このような状態で、次の表示するコマが下方向のコマG4であったとすると、コマG4を画定する4つの交点(P4、P6、P9、P10)のうち、表示基準点P0から見てY座標方向の移動距離が最も短い交点P4(0、Y4)が、縦方向移動点C2として選択される。
したがって、図12(b)に示すように、コマG4を表示する場合の縦方向移動点C2として、交点P4が設定される。
この縦方向移動点P4が表示基準点Cとして設定されると、この交点P4を基準として、コマG4の表示が行われる。
【0046】
図1において、表示位置情報76は、コマの拡大表示をする場合に、そのコマを分割表示するときに利用する情報である。これは、後述する図6および図7のフローチャートに示す処理で利用される情報である。
この表示位置情報76は、分割表示の基準となる位置の表示位置C1’(X、Y)と、分割表示の位置を決めるための横方向移動点C1’と、縦方向移動点C2’とからなる。
【0047】
コマの実際の大きさと、指定された倍率でコマを拡大表示するときの表示画面のサイズとの関係で、そのコマ全体を表示画面内に表示しきれない場合がある。
図13に、拡大表示するコマと、表示画面のサイズとの関係の説明図を示す。
図13(a)は、コマG1を拡大表示したときに、コマG1と表示画面サイズとの関係の一実施例の説明図を示したものである。
図13(a)に示すように、表示部2の表示画面21のサイズが、コマG1のすべてを含み、左隣のコマG2の一部分も表示可能なサイズであったとする。
【0048】
たとえば、図9(a)に示したように、1つのページの全体画像を表示していた状態で、利用者がコマG1を拡大表示させる操作を行ったとき、表示基準点Cとして交点P0が設定され、予め設定されていた拡大率K72に基づいて、コマG1が表示される。
すなわち、図9(a)で表示されていたコマG1を含む領域が、拡大率K72として設定されていた倍率で拡大され、表示部2の表示画面21の中に表示される。
【0049】
拡大率K72が、自分が見やすい倍率として利用者が予め設定したものである場合、以後倍率の変更を指示するような入力がない限り、すべてのコマはこの設定倍率Kで表示されるものとする。
したがって、その後に他のコマの拡大表示をする場合、各コマの実際の大きさと、表示画面サイズとの相対的な関係は同一である。
コマの大小関係に対応させて、各コマの全体が常に表示画面内に収まるようにその都度拡大率を変更して表示させることも可能であるが、この場合は、コマの大きさが変化するごとに、画面に表示される画像や文字の大きさもその都度変化することになり、利用者にとっては見にくい場合もある。
そこで、この発明では、利用者の見やすさを考慮し、利用者の設定した拡大率Kを尊重して、原則として拡大率を一定としたまま、各コマの拡大表示を行う。
【0050】
しかし、拡大率Kを一定とした場合、図13(a)の場合、コマG4の大きさ(面積)は、コマG1の大きさ(面積)よりも大きいので、下方向へ移動してコマG4を表示しようとした場合、同じ表示画面サイズの中には、コマG4全体を表示できない。
そこで、このように、1つのコマが表示画面サイズの中に表示できずに、はみ出る部分がある場合は、分割表示をさせる。
【0051】
まず、図13(b)に、コマG4を分割して拡大表示する場合において、コマG4の上側部分を表示させた場合を示している。
ここでは、表示位置情報76の表示位置C’として、コマG4の右上の交点P4が設定され、コマG4のうち、図13(a)に示した表示画面21と同じサイズの画面内に収まる領域だけが表示される。
図13では、説明を簡単にするために、コマG4の縦方向(Y座標)の長さを、コマG1の縦方向の長さのほぼ2倍としている。この場合、コマG4のほぼ上半分の領域が表示されることになる。
【0052】
次に、図13(c)のように、コマG4の残りの下半分を表示するとき、分割表示のための縦方向移動点C2’が設定される。
ここで縦方向移動点C2’としては、現在の表示位置C’である交点P4から見て、表示画面21の縦方向(Y座標)の長さに相当する長さだけ、下方向に移動した点が設定される。
表示画面の縦方向の長さをLyとし、交点P4の座標(0、Y4)とした場合、縦方向移動点C2’の座標は、(0、Y4+Ly)となる。この縦方向移動点C2’を表示位置C’に設定し、この表示位置C’を基準として次の表示領域が決定される。
【0053】
図13(c)では、コマG4の下半分がちょうど表示画面内に表示されている場合を示している。
ただし、もし仮に、コマG4の2回目の分割表示をした場合に、その下方に表示しきれていないコマG4の領域が残っていたとすると、同様にして、表示画面の縦方向の長さだけ下に移動させた次の縦方向移動点C2’が設定され、コマG4の残りの領域に対する3回目の分割表示が行われる。
【0054】
図14に、コマG1の拡大表示状態から、コマG4の全体を表示画面内に表示させるようにした場合の説明図を示す。
図14(a)は、図13(a)と同じ図である。
図14(b)は、コマG1よりも大きなコマG4の全体を、表示画面内に表示させた図である。
図14(b)において、コマG4はコマG1よりも大きいので、コマG4の全体を同じ表示画面内に収めるために、拡大率Kを図14(a)の場合よりも小さくする必要がある。
これにより、コマG4の内部の全体像を把握することができる。
しかし、コマG4の全体を表示させたため、コマG4に含まれる画像や文字の大きさは相対的に小さくなって表示され、見にくくなっている。
【0055】
これに対して、図13において、予め設定された拡大率Kで、1ページに含まれるすべてのコマの拡大表示を行う場合、コマの大きさが相対的に表示画面21のサイズよりも大きい場合には分割表示をさせる。
このとき、1つのコマが分割されて別々に表示されるため、1つのコマの内容をひと目で確認することはできないが、各コマに含まれる画像や文字のサイズがすべてのコマで統一されて表示され、コマの大きさによって急に大きくなったり小さくなることがないので、コンテンツの見やすさが変化することがない。
【0056】
図13(b)や図13(c)の分割表示を見た後、コマ全体を表示画面に表示させたい場合は、表示サイズの縮小を意味する所定の操作をすることにより、図14(b)に示すような表示をさせればよい。
あるいは、逆に、先に図14(b)のようなコマの全体を含む表示をさせた後、所定の操作をした場合、あるいは所定の時間経過後に、図13(b)と図13(c)の分割表示をするようにしてもよい。
【0057】
図1において、記憶部7には、以上の情報の他に、いくつかの変数77も記憶される。
たとえば、複数ページからなるコンテンツ73の中の現在表示されているページの番号P、そのコンテンツ73のページ総数MP、現在表示画面に表示されているページの拡大率である倍率Z、表示しようとするコマの全体を表示画面に収まるように表示した場合の倍率(疑似倍率)Z’などが記憶される。これらの変数は、以下に示す各処理のフローチャートで用いられる。
【0058】
図15に、この発明におけるコマの拡大表示の表示順序の一実施例の説明図を示す。
ここでは、遷移ルールRの遷移順序71として、優先方向を横方向とし、横方向の移動方向を右から左を意味する「左」に設定しているものとする。
また、拡大率K72として、コマG1が表示画面の中に収まるような倍率が予め設定されているものとする。
また、分割表示をする必要のある場合や、利用者によって意図的に拡大率が変更された場合を除いて、拡大率Kは一定とする。
図15(a)から図15(i)では、与えられたコンテンツ73の中のあるページ番号Pのページに含まれる5つのコマ(G1〜G5)を、順番に表示していく場合の例を示している。
【0059】
遷移ルールRの遷移順序71が、横方向優先で、右から左への順序に設定されているので、最初に表示するコマとしては右上のコマG1が選択される。
まず、図15(a)において、このページに含まれる最も右上のコマG1の交点P0が表示基準点として選択され、設定されていた拡大率Kで拡大されたコマG1を含む領域が、表示画面21の中に表示される。
このとき、コマG1の大きさは表示画面21の縦横比と同一でないとすると、左隣のコマG2の一部も表示される。
ただし、コマG1の領域内の情報のみを明示的に表示させたい場合は、表示対象とするコマG1の部分のみの輝度を上げて表示したり、あるいは現在表示対象ではないコマG2の部分の輝度を落として見えにくくしてもよい。
【0060】
次に、図15(b)において、遷移順序71に従って、コマG1の左側にあるコマG2の拡大表示を行う。
ここで、拡大率Kは図15(a)と同一のままで、コマG2を含む領域が、表示画面21に表示される。
この場合、横方向移動点として、コマG2の交点P1が設定され、この点P1が表示基準点Cとなる。
次に、コマG2の左側にコマG3があるので、さらに左側へ移動し、図15(c)に示すように、コマG3を含む領域の拡大表示を行う。
図15(c)では、コマG3の左側にコマがないので、コマG3全体と、その右側のコマG2の一部分が、表示画面21に表示される。
【0061】
遷移ルールRの遷移順序71に従って、コマG3の左側のコマを表示しようとしてもコマがないので、縦方向の下側に表示画面を移動させる。このとき、コマG3の下側ではなく、ページの右端へ戻ってコマG1の下側のコマを選択する。
ページ内の各コマの交点を調べることにより、最初の右上のコマG1の下側には、コマG4があることがわかる。
また、このコマG4の4つの交点の位置と、現在の表示画面21のサイズに対する拡大率Kとを考慮すると、コマG4の全体は、現在の表示画面サイズの中には入らず、はみ出てしまうことがわかる。
【0062】
そこで、コマG4の全体が表示画面21の中に入るように、拡大率Kを調整して、図15(d)に示すように、コマG4の全体を含む領域を表示させる。ここでは、拡大率Kは小さくなるように調整される。
このように拡大率Kを調整するのは、利用者にコマG4の全体を確認してもらうためである。
ただし、コマの全体像を確認する必要がない場合は、この図15(d)のような拡大率を変更した表示はしなくてもよい。
図15(d)では、コマG4の全体を、図15(a)と同じサイズの表示画面21に収まるように表示させるため、その左隣のコマG5の一部分も表示されてしまう。このとき、コマG4のみを確認してもらうため、コマG5の部分の輝度を下げてもよい。
【0063】
次に、図15(e)において、図15(a)〜(c)と同じ拡大率Kを用いて、コマG4の分割表示を行わせる。
ここで、表示基準点としてコマG4の交点P4が選択され、コマG4の一部分の領域(上半分に相当)が、表示画面21に表示される。
さらに、図15(f)において、表示画面21の縦方向の長さ分だけ表示画面21を下方向に移動させて、コマG4の残りの領域(下半分に相当)を、表示画面21に表示させる。
【0064】
次に、遷移ルールRの遷移順序71に従って、コマG4の左側にあるコマG5の表示を行う。
図15では、コマG5も、コマG4と同様に、同じ拡大率Kでは、表示画面21の中に入らないので、分割表示をする。
【0065】
図15では省略したが、図15(g)の前に、図15(d)のように、拡大率Kを調整して、コマG5の全体を含む領域を、表示画面21に表示してもよい。
図15(g)において、拡大率Kは図15(f)と同一にしたまま、コマG5の一部分の領域(上半分に相当)を、表示画面21に表示させる。
次に、図15(h)に示すように、コマG5の残りの一部分(下半分の右側領域)を、表示画面21に表示させる。このとき、コマG5の交点P10を表示基準点Cとした領域が、表示画面21に表示される。
ただし、図15(h)では、コマG5のうちまだ表示されていない左側部分が残っている。
そこで、図15(i)では、コマG5の残りの部分(下半分の左側領域)を表示させるために、表示画面21を左側方向へ移動させ、残りの部分を含む領域の分割表示を行う。
【0066】
以上のように、図15(a)から(i)に示したような順序で、1つのページ内に含まれる5つのコマが、順次拡大表示される。
この拡大表示においては、分割表示が必要なコマG4についての図15(d)の全体表示を除いて、同一の拡大率Kを用いている。
【0067】
<この発明の情報表示装置の動作>
以下に、この発明の情報表示装置の動作の一実施例について説明する。
この発明の情報表示装置の利用者は、自己の希望するコンテンツを記憶部7に記録して、そのコンテンツ73を表示部2に表示させてコンテンツの内容を確認することを前提とする。
したがって、利用者は表示させるコンテンツ73を、CD−ROMやUSBメモリ等の記録媒体や、インターネットやLAN等のネットワークを介したダウンロードにより、記憶部7に予め記録させておく。
また、この発明で扱うコンテンツは、上記したように、1つのページが、場面枠で区切られた複数のコマから構成されているものとする。さらに、各コンテンツ73には、ページ総数も記憶されているものとする。
【0068】
<遷移ルールの設定処理>
図2に、この発明の遷移ルールの設定処理の一実施例のフローチャートを示す。この設定処理では、主として、図1に示した遷移順序71と、拡大率K72を設定する。
ステップS1において、拡大率K72を設定する。ここでは、制御部1が、利用者が入力部3によって入力した拡大率Kの数値を、記憶部7に記憶させる。
拡大率Kの入力は、キーボードを用いた直接入力の他、スライダーやピンチジェスチャーなどで入力してもよい。
【0069】
ステップS2において、遷移順序71を選択入力する。ここでは、制御部1が、利用者が入力部3によって入力した遷移順序71を決める情報を、記憶部7に記憶させる。
遷移順序71は、図1に示したように、横方向についてのコマ送りの方向(左または右)、縦方向についてのコマ送りの方向(上または下)、コマの移動の優先方向(横または縦)の情報からなる。この情報の選択入力は、表示部2に設定可能な選択肢を表示させて、利用者にその選択肢のいずれかを入力してもらえばよい。
【0070】
たとえば、表示させようとするコンテンツが、すべてのページにおいて、コマの並びが右から左であり、右上から左下の方向へ向かってストーリーが進行していくようなコマからなる創作物である場合、横方向として「左」、縦方向として「下」、優先方向として「横」を、選択入力する。
以上が、設定処理の一実施例である。
なお、このような設定入力が行われない場合は、表示部2に設定入力をすることを求める警告表示をしてもよい。あるいは、出荷時に初期値として、よく使用されると考えられる遷移ルールRを予め設定しておき、設定入力がされない場合に、この初期値を用いればよい。
また、前回の遷移ルールRの設定値を記憶しておき、設定入力がされない場合は、この設定値を用いてもよい。
【0071】
<コンテンツの表示処理>
図3に、コンテンツの表示処理の一実施例のフローチャートを示す。
ここでは、表示しようとするコンテンツ73を選択し、そのコンテンツをページごとに表示部2に表示させ、ページに含まれるコマを拡大表示をさせる場合は、図2で設定した遷移ルールRに従って、順番にコマの表示を行わせる。
【0072】
ステップS11において、制御部1は、表示するコンテンツ73を利用者に選択させ、選択されたコンテンツを記録部7から読み出して、表示部2に表示可能なように記憶部7に展開する。
記憶部7に複数のコンテンツ73が記憶されている場合は、たとえば、表示部2にそれらのコンテンツの名称等からなるリスト画面を表示させ、利用者に、表示すべきコンテンツを選択入力してもらえばよい。
また、選択されたコンテンツ73の総ページ数も読み出し、ページ総数の変数MPにセットする。
【0073】
ステップS12において、表示しようとするページのページ番号の変数Pを、初期化する。たとえば、変数Pに1をセットする。
ステップS13において、制御部1は、変数Pのページ番号が示すページの全体を表示部2に表示させる。
たとえば、図9(a)に示すように、1つのページに含まれるすべてのコマが見えるようにページサイズを調整して、そのページ全体を表示画面21に表示させる。
ただし、ページの全体を表示させる必要のない場合は、予め所定の設定入力により全体表示をしないように設定してもよい。
【0074】
ステップS14において、制御部1は、拡大操作入力がされたか否かチェックする。
利用者は、ステップS13において表示されたページ全体の画面を見て、利用者が見やすい倍率を設定する。たとえば、タッチパネルの場合、ピンチジェスチャーなどの拡大操作をすればよい。拡大操作入力がされた場合は、ステップS16へ進み、そうでない場合はステップS15へ進む。
【0075】
ステップS15において、すでに拡大率Kが設定されているかどうか確認する。記憶部7をチェックし拡大率Kが設定されている場合は、ステップS17へ進み、そうでない場合はステップS18へ進む。
ステップS16において、拡大操作入力の内容に従って拡大率Kを更新する。ここで、たとえば、新たな拡大率の数値が入力された場合は、拡大率Kを、入力された数値にセットする。その後、ステップS17へ進む。
【0076】
ステップS17では、現在のページに対して、各コマの拡大表示処理を行う。ここでは、設定された遷移順序71に基づいて、ページに含まれるコマを、順次、設定された拡大率K72を用いて拡大表示していく。この拡大表示処理の詳細は、後述する図4に示す。
ステップS17において、1つのページの中のすべてのコマの表示が終了すると、ステップS18へ進む。
ステップS18において、次ページを選択するために、ページ番号変数Pに、1を加算する。
ステップS19において、現在のページ番号Pが、ページ総数MPよりも大きいか否かチェックする。
すなわちP>MPの場合、現在の表示対象となっているコンテンツのすべてのページが表示されたので、処理を終了する。
P≦MPの場合は、また表示すべきページが残っているので、ステップS13へ戻り、ステップS13からステップS18までの処理を繰り返す。
以上が、コンテンツを構成する各ページの表示処理である。
【0077】
<拡大表示処理>
図4に、この発明の拡大表示処理の一実施例のフローチャートを示す。これは、図3に示したステップS17の具体的な処理内容を示したものである。
ステップS31において、遷移ルールRを、記憶部7から読み出す。
ステップS32において、倍率変数Zに、設定された拡大率Kを設定(代入)する。
原則として、この倍率変数Zに設定された値に基づいて、すべてのコマに対して、以後の拡大表示が行われる。
【0078】
ステップS33において、現在表示対象となっているページPの画像全体をZ倍して表示し、Z倍したページ画像のデータを記憶部7に記憶する。
このとき、ページ画像をZ倍したので、表示部2の表示画面には、ページ画像の一部分だけが表示された状態となる。
たとえば、1つの例としては、図10(a)の表示状態から、図10(b)のようにページ画像の一部分が表示された状態となる。
【0079】
ステップS34において、記憶部7をチェックし、現在、表示基準点Cが未設定であるか否か確認する。未設定の場合は、ステップS35へ進み、すでに設定されている場合は、ステップS36へ進む。
ステップS35において、基準点設定部5が、表示基準点Cを初期設定する。具体的には、遷移ルールRに基づいて、表示基準点CのX座標とY座標とを設定する。
この初期設定処理の詳細は、後述する図5に示す。
【0080】
ステップS36において、交点抽出部8が、現在のページPの画像全体に含まれる場面枠(コマ)の交点を抽出する。
たとえば、図9(a)に示すようなページ画像の場合、ページ内に含まれる5つのコマ(G1〜G5)の各交点の座標を求める。図9(a)のページ画像の右上の交点P0をそのページの原点とした場合、交点P0の座標を(0、0)として、他の交点(P1〜P11)の交点P0に対する相対的な位置座標を求める。
【0081】
ステップS37において、ステップS33でページPをZ倍した画像に対して、現在の表示画面の表示領域内に含まれる交点が4点未満となる領域があるか否かチェックする。
現在の表示画面の表示領域に、表示されている交点が4点未満となる場合は、ステップS41へ進み、4点以上ある場合は、ステップS38へ進む。
ステップS38において、表示しようとする領域には交点が4つ以上あるので、表示画面の表示領域内には、複数のコマが存在する。そこで、利用者にさらに拡大表示をするための設定入力をしてもらうために、表示領域内に表示されている全コマをそのまま表示しておく。
【0082】
ステップS39において、利用者が拡大操作を意味する入力をしたか否かをチェックし、その入力があった場合、ステップS40へ進み、そうでない場合は、ステップS42へ進む。
ステップS40において、拡大操作入力があった場合は、遷移ルールRの拡大率Kをその入力によって指定された拡大率に更新する。
その後、ステップS31へ戻り、再度更新後の拡大率Kで表示を行う。
【0083】
ステップS41において、現在の表示領域内に存在する交点が4点未満(3点以下)である場合は、表示画面21に表示されるコマはほぼ1つに特定できるので、表示領域内に存在するそのコマに対して、表示画面を移動させながらコマの拡大表示処理を行う。
これにより、1つのコマの全体が、表示画面内にちょうど表示されるような大きさで表示されるか、あるいは現在の拡大率Kではコマの全体が表示しきれない場合は分割表示が行われる。このコマの拡大表示処理の詳細は、後述する図6に示す。
【0084】
ステップS41で、1つのコマの拡大表示処理が行われた後、ステップS42へ進む。
ステップS42において、現在のページPに含まれるコマをすべて表示したか否かをチェックする。このチェックは、たとえば、ページの4角が表示されたか否かを確認すればよい。すべてのコマの表示をした場合は、そのページPについての拡大処理がすべて終了したので、処理を終了する。
上記チェックをすることにより、ページの4角が未表示であった場合は、まだ表示すべきコマが存在することがわかるので、その残りのコマの表示をするために、ステップS43へ進み、基準点更新部6が、表示基準点Cを更新する。
表示基準点Cの更新処理の詳細は、後述する図7に示す。
表示基準点Cを更新した後、ステップS37へ戻り、再度ステップS37からS42の処理を繰り返し、残りのコマの拡大処理を行う。
【0085】
<表示基準点の初期設定処理>
図5に、表示基準点の初期設定処理の一実施例のフローチャートを示す。これは、図4に示したステップS35の具体的な処理内容を示したものである。
ステップS51において、基準点設定部5が、遷移ルールRの遷移順序71のうち、横方向が、「左」に設定されているか否か、チェックする。すなわち、コマの移動方向が右から左への方向か否かチェックする。
「左」の場合は、ステップS52へ進む。そうでない場合は、横方向が「右」に設定されているので、ステップS53へ進む。
【0086】
ステップS52において、表示させるコマは右から左へ移動させるので、表示基準点CのX座標を、表示画面21に表示されるページ画像の最も右の座標に設定する。
図9(a)の場合は、交点P0、P4、P9を結ぶラインが最も右側なので、これらの交点のX座標が、表示基準点CのX座標として設定される。たとえば、図9(a)の交点P0を原点(0、0)とする場合は、表示基準点CのX座標として、ゼロが設定される。
ステップS53において、表示させるコマは左から右へ移動させるので、表示基準点CのX座標を、表示画面21に表示されるページ画像の最も左の座標に設定する。
【0087】
次に、ステップS54において、基準点設定部5が、遷移ルールRの縦方向が、「下」に設定されているか否か、チェックする。
すなわち、コマの移動方向が、上から下への方向か否かチェックする。「下」の場合は、ステップS55へ進む。そうでない場合は、縦方向が「上」に設定されているので、ステップS56へ進む。
【0088】
ステップS55において、表示させるコマは上から下へ移動させるので、表示基準点CのY座標を、表示画面に表示されるページ画像の最も上の座標に設定する。
図9(a)の場合は、交点P0、P1、P2、P3を結ぶラインが最も上側なので、これらの交点のY座標が、表示基準点CのY座標として設定される。
交点P0を原点(0、0)とする場合は、表示基準点CのY座標として、ゼロが設定される。
ステップS56において、表示させるコマは下から上へ移動させるので、表示基準点CのY座標を、表示画面に表示されるページ画像の最も下の座標に設定する。
【0089】
たとえば、遷移順序71として、横方向=「左」、縦方向=「下」が設定されている場合は、ステップS52とステップS55が実行され、表示基準点Cの初期値としては、ページ画像の最も右かつ最も上の点のX座標とY座標が設定される。
図9(a)の場合は、表示基準点Cとして、交点P0が選択され、交点P0が原点(0、0)の場合、表示基準点Cの座標値として、(0、0)が設定される。
以上が、表示基準点Cの初期設定処理である。
【0090】
<コマの拡大表示処理>
図6に、表示対象となるコマの拡大表示処理の一実施例のフローチャートを示す。
これは、図4に示したステップS41の具体的な処理内容を示したものである。
この処理は、対象コマを1ページとして仮定し、再帰的に処理を行うことで、たとえば、図10(b)や、図15(a)に示すようなコマの拡大表示が行われる。
【0091】
ステップS71において、現在の表示領域内のコマの全体が、表示画面に収まるように、疑似倍率Z’を設定する。この処理は、1つのコマの全体を一旦は表示し、利用者にコマ全体の内容を把握させるために行うものである。
疑似倍率Z’は、対象コマの各交点の距離により求めることができる。
【0092】
ステップS72において、表示位置情報76の表示位置C’に、現在の表示基準点Cの情報を設定する。
ステップS73において、表示画面21の表示領域内の画像を、表示位置C’に基づいて、ステップS71で設定された疑似倍率Z’倍で拡大表示をする。
このとき、たとえば、表示基準点Cが交点P0であった場合、表示位置C’として交点P0が設定されるので、図14(a)に示すようにコマG1全体を含む領域が表示画面21に表示される。
あるいは、表示基準点Cが交点P4であった場合、表示位置C’として交点P4が設定されるので、図14(b)に示すように、コマG4の全体が含まれる領域が、表示画面21に表示される。
【0093】
ステップS74において、利用者が拡大表示を指示した場合、ステップS78へ進み、新しい倍率Zを設定する。指示のない場合は、ステップS75へ進む。
【0094】
ステップS75において、現在の表示領域内の画像を、表示位置C’の情報に基づいて、予め設定されていた倍率Z倍で拡大表示をする。これにより、利用者が予め設定した拡大率で、コマが再表示される。
【0095】
ステップS76において、現在表示対象となっているコマのすべての部分を表示したか否か、チェックする。
このチェックは、たとえば、対象コマの全ての交点が表示されたか否かにより、行うことができる。
すべての部分の表示がすでに行われた場合は、処理を終了し、そうでない場合は、ステップS77へ進む。
ステップS77において、表示対象のコマには、まだ表示されていない残りの部分があるので、その残りの部分を表示するために、表示位置C’の情報を更新する。この表示位置情報C’の更新処理は、後述する図8に示す。
表示位置C’を更新した後、ステップS74へ戻り、残りの部分についての表示を行う。たとえば、図15(f)に示すようなコマG4の残りの部分の表示が行われる。
以上が、コマの拡大表示処理の説明である。
【0096】
<表示基準点Cの更新処理>
図7に、表示基準点Cの更新処理の一実施例のフローチャートを示す。
これは、図4に示したステップS43の具体的な処理内容を示したものである。これにより、次に表示すべきコマの表示基準点Cが設定され、新たな表示基準点Cに基づいて、次のコマの表示が行われる。
【0097】
ステップS101において、基準点更新部6が、横方向移動点C1が未設定であるか否かチェックする。未設定である場合、ステップS102へ進み、そうでない場合はステップS103へ進む。
【0098】
ステップS102において、現在の表示基準点Cから見て、横方向(X座標)の移動距離が最短となる交点を検出する。すなわち、X座標値の距離が最も短い交点を検出する。検出された交点のX座標と、表示基準点CのY座標とからなる点を、横方向移動点C1に設定する。
たとえば、図11(b)や図11(c)に示したように、横方向移動点C1を設定する。
この後、ステップS103へ進む。
【0099】
ステップS103において、基準点更新部6が、縦方向移動点C2が未設定であるか否かチェックする。未設定である場合ステップS104へ進み、そうでない場合はステップS105へ進む。
ステップS104において、現在の表示基準点Cから見て、縦方向(Y座標)の移動距離が最短となる交点を検出する。すなわち、Y座標値の距離が最も短い交点を検出する。検出された交点のY座標と、表示基準点CのX座標とからなる点を、縦方向移動点C2に設定する。
この後、ステップS105へ進む。
【0100】
ステップS105において、遷移ルールRの横方向が、優先方向として設定されているか否か、チェックする。
優先方向が「横」の場合ステップS106へ進み、そうでない場合(優先方向が「縦」)、ステップS112へ進む。
【0101】
ステップS106において、横方向移動点C1が、現在表示しているページのページ画像の端点であるか否か、チェックする。
ここで端点とは、左端または右端を意味し、横方向移動点C1のX座標が、ページの最左端の座標値となっているか、あるいは最右端の座標値となっているかをチェックする。
ここで端点となっている場合は、ステップS109へ進み、端点となっていない場合は、ステップS107へ進む。たとえば、図11(b)と図11(c)の場合は、いずれも横方向移動点C1は端点となっていないので、ステップS107へ進むことになる。
ステップS107において、ステップS102で設定した横方向移動点C1を、表示基準点Cに設定する。
ステップS108において、横方向移動点C1の内容を消去して、処理を終了する。
【0102】
一方、ステップS109において、まず、横方向移動点C1の内容を消去する。ここでは、横方向移動点C1がすでにページの端点の位置となっているので、これ以上横方向にはコマがないと判断される。したがって、縦方向に移動して、次のコマが選択される。
次に、ステップS110において、ステップS104で設定した縦方向移動点C2を、表示基準点Cに設定した後、ステップS111において、縦方向移動点C2を消去して処理を終了する。
【0103】
ステップS112において、遷移ルールRの優先方向が「縦方向」となっていたので、縦方向移動点C2が、現在表示しているページのページ画像の端点(上端または下端)であるか否か、チェックする。
端点である場合はステップS113へ進み、端点でない場合はステップS110へ進む。ステップS110へ進む場合は、上記したとおりである。
【0104】
一方、ステップS113へ進む場合は、縦方向移動点C2がすでにページの端点となっていて縦方向にはコマは存在しないので、表示するコマを横方向へ移動する必要がある。
そこで、まず、ステップS113において、縦方向移動点C2を消去する。
ステップS114において、横方向へコマを移動させるため、横方向移動点C1を、表示基準点Cに設定する。
ステップS115において、横方向移動点C1を消去して、処理を終了する。
以上の処理によって、表示基準点を更新することにより、表示画面に表示させる次のコマの選択が行われる。
【0105】
<表示位置情報C’の更新処理>
図8に、表示位置C’の情報の更新処理の一実施例のフローチャートを示す。
これは、図6に示したステップS77の具体的な処理内容を示したものである。これにより、1つのコマを分割表示する場合において、分割した後の残りの部分の表示基準点とすべき位置(移動点)が設定される。
表示位置C、C’とも同じ遷移ルールで動作するため、図7に示した処理とほぼ同様のフローで成立する。
【0106】
ステップS131において、基準点更新部6が、表示位置情報76の横方向移動点C1’が未設定であるか否かチェックする。未設定である場合ステップS132へ進み、そうでない場合はステップS133へ進む。
ステップS132において、現在の表示位置C’から見て、横方向(X座標)に、表示画面21の表示領域の横方向サイズに相当する距離だけ移動した点を、横方向移動点C1’に設定する。
この後、ステップS133へ進む。
【0107】
ステップS133において、基準点更新部6が、表示位置情報76の縦方向移動点C2’が未設定であるか否かチェックする。未設定である場合ステップS134へ進み、そうでない場合はステップS135へ進む。
ステップS134において、現在の表示位置C’から見て、縦方向(Y座標)に、表示画面21の表示領域の縦方向サイズに相当する距離だけ移動した点を、縦方向移動点C2’に設定する。
この後ステップS135へ進む。
【0108】
ステップS135において、遷移ルールRの横方向が、優先方向として設定されているか否かチェックする。優先方向が「横」の場合ステップS136へ進み、そうでない場合(優先方向が「縦」)、ステップS142へ進む。
ステップS136において、横方向移動点C1’が、現在表示しているページのページ画像の端点(左端または右端)であるか否かチェックする。これはステップS106と同等の処理である。
ページ画像の端点となっている場合はステップS139へ進み、端点となっていない場合はステップS137へ進む。
ステップS137において、ステップS132で設定した横方向移動点C1’を、表示位置C’に設定する。
ステップS138において、横方向移動点C1’を消去して、処理を終了する。
【0109】
一方、ステップS139において、横方向移動点C1’を消去する。
ステップS140において、ステップS134で設定した縦方向移動点C2’を、表示位置C’に設定する。
ステップS141において、縦方向移動点C2’を消去して、処理を終了する。
ステップS142において、遷移ルールRの優先方向が「縦方向」となっていたので、縦方向移動点C2’が、現在表示しているページのページ画像の端点(上端または下端)であるか否かチェックする。端点である場合は、ステップS143へ進み、端点でない場合はステップS140へ進む。
ステップS140へ進む場合は、上記したとおりである。
【0110】
一方、ステップS143へ進む場合は、縦方向移動点C2’がすでにページの端点となっていて縦方向にはコマは存在しないので、表示するコマを横方向へ移動する必要がある。
そこで、ステップS143において、縦方向移動点C2’を消去し、ステップS144において、横方向へコマを移動させるため、横方向移動点C1’を、表示位置C’に設定する。
ステップS145において、横方向移動点C1’を消去して、処理を終了する。
以上の処理が、表示位置情報の更新処理である。
【符号の説明】
【0111】
1 制御部
2 表示部
3 入力部
4 拡大表示処理部
5 基準点設定部
6 基準点更新部
7 記憶部
8 交点抽出部
21 表示画面
71 遷移順序
72 拡大率
73 コンテンツ
74 交点情報
75 基準点情報
76 表示位置情報
77 変数
C 表示基準点
C1 横方向移動点
C2 縦方向移動点
K 拡大率
P ページ番号
MP ページ総数
Z 倍率
R 遷移ルール
P0 交点
G1 コマ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つのページが場面枠で区切られた複数のコマ画像からなるコンテンツを表示する情報表示装置であって、
表示部と、
1つのページに属するコマ画像を順次表示させるための移動方向を特定する遷移順序とコマ画像の拡大率とを入力する入力部と、
前記入力された遷移順序に基づいて、前記表示部に表示するコマ画像を選択するための基準となる最初の表示基準点を設定する基準点設定部と、
前記表示基準点と前記拡大率に基づいて、表示すべきコマ画像を含むページ内の表示領域を決定して、前記表示領域を前記表示部に表示させる拡大表示処理部とを備え、
前記遷移順序に基づいて前記表示領域を移動させて、1つのページに属するコマ画像を、前記表示部に順次表示させることを特徴とする情報表示装置。
【請求項2】
前記遷移順序が、1つのページ内の横方向の表示順序を規定する情報と、1つのページ内の縦方向の表示順序を規定する情報と、移動方向のうち横方向および縦方向のどちらを優先するかを示す優先方向情報とからなることを特徴とする請求項1に記載の情報表示装置。
【請求項3】
1つのページに属するコマ画像ごとに、1つのコマ画像を画定する交点を抽出する交点抽出部と、
現在の表示基準点と前記遷移順序に基づいて、前記抽出された交点の位置のうち前記表示基準点との位置関係が所定の相対関係を満たす1つの交点を選択し、選択された交点から次に表示すべきコマ画像の表示基準点を設定する基準点更新部とを、さらに備えたことを特徴とする請求項2に記載の情報表示装置。
【請求項4】
前記基準点更新部は、前記交点抽出部によって抽出された交点のうち、現在の表示基準点から見て、前記遷移順序の優先方向情報が示す移動方向についての移動距離が最も短い交点を選択し、前記優先方向情報が示す移動方向について前記選択された交点と同じ座標を有する点を新たな表示基準点に設定することを特徴とする請求項3に記載の情報表示装置。
【請求項5】
前記拡大表示処理部が、前記入力された拡大率で表示する表示領域を決定したときに、前記表示基準点に基づいて定められた表示すべきコマ画像の全体を、その表示領域に表示できない場合に、前記表示すべきコマ画像を分割して、複数回に分けて前記コマ画像の全体を表示させることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の情報表示装置。
【請求項1】
1つのページが場面枠で区切られた複数のコマ画像からなるコンテンツを表示する情報表示装置であって、
表示部と、
1つのページに属するコマ画像を順次表示させるための移動方向を特定する遷移順序とコマ画像の拡大率とを入力する入力部と、
前記入力された遷移順序に基づいて、前記表示部に表示するコマ画像を選択するための基準となる最初の表示基準点を設定する基準点設定部と、
前記表示基準点と前記拡大率に基づいて、表示すべきコマ画像を含むページ内の表示領域を決定して、前記表示領域を前記表示部に表示させる拡大表示処理部とを備え、
前記遷移順序に基づいて前記表示領域を移動させて、1つのページに属するコマ画像を、前記表示部に順次表示させることを特徴とする情報表示装置。
【請求項2】
前記遷移順序が、1つのページ内の横方向の表示順序を規定する情報と、1つのページ内の縦方向の表示順序を規定する情報と、移動方向のうち横方向および縦方向のどちらを優先するかを示す優先方向情報とからなることを特徴とする請求項1に記載の情報表示装置。
【請求項3】
1つのページに属するコマ画像ごとに、1つのコマ画像を画定する交点を抽出する交点抽出部と、
現在の表示基準点と前記遷移順序に基づいて、前記抽出された交点の位置のうち前記表示基準点との位置関係が所定の相対関係を満たす1つの交点を選択し、選択された交点から次に表示すべきコマ画像の表示基準点を設定する基準点更新部とを、さらに備えたことを特徴とする請求項2に記載の情報表示装置。
【請求項4】
前記基準点更新部は、前記交点抽出部によって抽出された交点のうち、現在の表示基準点から見て、前記遷移順序の優先方向情報が示す移動方向についての移動距離が最も短い交点を選択し、前記優先方向情報が示す移動方向について前記選択された交点と同じ座標を有する点を新たな表示基準点に設定することを特徴とする請求項3に記載の情報表示装置。
【請求項5】
前記拡大表示処理部が、前記入力された拡大率で表示する表示領域を決定したときに、前記表示基準点に基づいて定められた表示すべきコマ画像の全体を、その表示領域に表示できない場合に、前記表示すべきコマ画像を分割して、複数回に分けて前記コマ画像の全体を表示させることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の情報表示装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2013−8152(P2013−8152A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−139624(P2011−139624)
【出願日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
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