情報記憶媒体製造方法
【課題】電磁誘導方式又は電磁結合方式で通信する通信システムを低コストで実現できる情報記憶媒体製造方法を提供する。
【解決手段】ICカード40の製造方法は、ICカード40の絶縁性基材上に、電気的に独立した一対の導電プレート42A,42Bの複数の組み合わせを離間して形成する導電プレート形成工程と、原板除去工程で形成した一対の導電プレート42A,42Bに対して、一対の導電プレート42A,42B間のスリット40aを跨ぐように、電磁誘導方式で通信可能なICチップ41を配置するICチップ配置工程とを備える。
【解決手段】ICカード40の製造方法は、ICカード40の絶縁性基材上に、電気的に独立した一対の導電プレート42A,42Bの複数の組み合わせを離間して形成する導電プレート形成工程と、原板除去工程で形成した一対の導電プレート42A,42Bに対して、一対の導電プレート42A,42B間のスリット40aを跨ぐように、電磁誘導方式で通信可能なICチップ41を配置するICチップ配置工程とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電磁誘導方式又は電磁結合方式で通信する情報記憶媒体製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、利用者が所持するICカードを電磁誘導方式によって読み取る(又は書き込む)通信システムがあった(例えば特許文献1)。このような通信システムのICカードは、少なくとも非接触通信機能を有するICチップとアンテナコイルにより構成されており、ICカード内に具備されたICチップは、リーダライタから送出された信号より駆動電力の供給を受け、リーダライタから送出されるアナログ信号を受信しデジタル変換し、応答信号を返送することによりデータ送受信を実現している。非接触ICカードは、交通システム、電子マネー、社員証システム、物流管理等の各種システムで用いられている。
非接触ICカード用いた通信方式としては、通信周波数帯域に応じて、電磁結合方式、静電結合方式、電磁誘導方式、電波方式が用いられており、カード形態の非接触IC通信システムでは、電磁誘導方式が主流となっている。
しかし、電磁誘導方式の通信システムは、ICカードのアンテナコイルをエッチング等により形成するため高コストであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−123121号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、電磁誘導方式又は電磁結合方式で通信する通信システムを低コストで実現できる情報記憶媒体製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、以下のような解決手段により、課題を解決する。なお、理解を容易にするために、本発明の実施形態に対応する符号を付して説明するが、これに限定されるものではない。また、符号を付して説明した構成は、適宜改良してもよく、また、少なくとも一部を他の構成物に代替してもよい。
【0006】
・第1の発明は、電磁誘導方式又は電磁結合方式で通信する通信装置側ループアンテナ(21a,521a,621a,721a)と、前記通信装置側ループアンテナを介して通信処理する制御部(27,527,627,727)とを備える電磁誘導通信装置(20,520,620,720)と、前記通信装置側ループアンテナとの間で電磁誘導方式又は電磁結合方式で通信する中継ループアンテナ(31,531,631,731)と、前記中継ループアンテナの両端に接続されスリットを介して配置され導電性を有する一対の中継導電部材とを備える中継通信装置(30,530,630,730)とを備える通信システムに用いられ、前記中継通信装置を介して、前記電磁誘導通信装置の前記制御部との間で通信処理する情報記憶媒体を、一方向である媒体配列方向に配列して製造する情報記憶媒体製造方法であって、絶縁性基材上に、電気的に独立した一対の導電プレート(42A,42B,242A,242B,342A,342B,542A,542B,642A,642B,742A,742B)の複数の組み合わせを離間して形成する導電プレート形成工程と、前記導電プレート形成工程で形成した前記一対の導電プレートに対して、前記一対の導電プレート間のスリットを跨ぐように、電磁誘導方式又は電磁結合方式で通信可能なICチップ(41,241,341,541)を配置するICチップ配置工程とを備えること、を特徴とする情報記憶媒体製造方法である。
【0007】
・第2の発明は、第1の発明の情報記憶媒体製造方法において、導電性薄板(50,250A,250B,350)を、前記絶縁性基材上に形成する導電性薄板形成工程を備え、
前記導電プレート形成工程は、前記導電性薄板形成工程で形成された前記導電性薄板の一部である除去領域を除去して、前記導電プレートを離間させる導電性薄板除去工程を有すること、を特徴とする情報記憶媒体製造方法である。
・第3の発明は、第2の発明の情報記憶媒体製造方法において、前記導電性薄板除去工程は、前記導電性薄板(50,250A,250B,350)の一部である除去領域を、切削によって除去すること、を特徴とする情報記憶媒体製造方法である。
・第4の発明は、第3の発明の情報記憶媒体製造方法において、前記一対の導電プレート(42A,42B)の配列方向は、前記媒体配列方向に直交する直交方向(A)であり、
前記導電性薄板除去工程は、前記媒体配列方向に沿った除去領域を、切削によって除去して前記スリットを形成する媒体配列方向除去工程と、前記直交方向に沿った除去領域を、切削によって除去する直交方向除去工程とを備えること、を特徴とする情報記憶媒体製造方法である。
・第5の発明は、第3の発明の情報記憶媒体製造方法において、前記一対の導電プレートの配列方向(242A,242B)は、前記媒体配列方向に直交する直交方向(A)であり、前記導電性薄板形成工程は、一対の前記導電性薄板(250A,250B)を、前記スリットを有するように、前記媒体配列方向に並べて前記絶縁性基材上に形成し、前記導電性薄板除去工程は、前記導電性薄板の前記直交方向に沿った除去領域を、切削によって除去する直交方向除去工程を備えること、を特徴とする情報記憶媒体製造方法である。
・第6の発明は、第3の発明の情報記憶媒体製造方法において、前記一対の導電プレートの配列方向(342A,342B)は、前記媒体配列方向(B)であり、前記導電性薄板除去工程は、前記媒体配列方向に直交する直交方向に沿った前記一対の導電プレート間の除去領域を、切削によって除去して前記スリットを形成する一対のプレート間除去工程と、前記直交方向に沿った前記複数の組み合わせ間の除去領域を、切削によって除去する組み合わせ間除去工程とを備えること、を特徴とする情報記憶媒体製造方法である。
・第7の発明は、第2の発明の情報記憶媒体製造方法において、前記導電性薄板除去工程は、前記除去領域を、エッチングによって除去すること、を特徴とする情報記憶媒体製造方法である。
・第8の発明は、第1から第7までのいずれかの発明の情報記憶媒体製造方法において、前記導電プレート形成工程は、前記導電プレートをめっき法にて形成すること、を特徴とする情報記憶媒体製造方法である。
・第9の発明は、第1から第7までのいずれかの発明の情報記憶媒体製造方法において、前記導電プレート形成工程は、導電性インキ印刷にて形成されている事を特徴とする情報記憶媒体製造方法である。
・第10の発明は、第1から第9までのいずれかの発明の情報記憶媒体製造方法において、前記導電プレート形成工程は、前記媒体配列方向に隣合う前記導電プレートの間隔(L5)を、前記一対の各導電プレート間の前記スリット(40a,240a,340a)よりも十分に大きくすること、を特徴とする情報記憶媒体製造方法である。
・第11の発明は、第1から第10までのいずれかの発明の情報記憶媒体製造方法において、前記絶縁性基材のうち前記組み合わせ間を切断して、この情報記憶媒体(40,240,340)を個片にする個片工程を備えること、を特徴とする情報記憶媒体製造方法である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、以下の効果を奏することができる。
第1の発明は、中継通信装置が、電磁誘導通信装置との間で電磁誘導方式又は電磁結合方式により通信する中継通信装置側ループアンテナと、情報記憶媒体との間で静電結合により信号伝達可能な中継導電部材とを備える。これにより、電子情報記憶媒体に駆動電力が伝達されるとともに、電磁誘導通信装置からの送信データを電子情報記憶媒体に伝達でき、また、電子情報記憶媒体からの返信データを中継通信装置を介して、電磁誘導通信装置に伝達できる。
また、本発明は、情報記憶媒体にループアンテナを形成する必要がなく、2つの導電プレートを設ければよいので、従来の複雑なエッチング等のアンテナ形成工程が不要となり、低コストで情報記憶媒体を製造できる。このため、情報記憶媒体の発行量が多くなる程、従来のシステムと比較してコスト面で有利になり、低コストでシステムを構築できる。
さらに、本発明は、市場で多く流通している電磁誘導方式又は電磁結合方式の電磁誘導通信装置を流用してシステムを構築できるので、低コストで導入できる。すなわち、情報記憶媒体のICチップとして、市場に多く流通している電磁誘導方式又は電磁結合方式の非接触ICカードに用いられるICチップを流用でき、かつ、電磁誘導通信装置として、既存の非接触ICカード用のリーダライタを流用して装置を構成できる。これにより、静電結合用の特殊なICチップと、リーダライタとを新たに開発する必要なく、システムを構築できる。
加えて、本発明は、情報記憶媒体に一対の導電プレートを設ければよいので、情報記憶媒体にループアンテナを設ける場合と比較すると、情報記憶媒体の外形を小さくできる。これにより、情報記録媒体をさらに低コストで製造できる。
その上、絶縁性基材上に、電気的に独立した一対の導電プレートの複数の組み合わせを形成して複数のICチップを配置するので、基材上において、ICチップ配置後、各組み合わせが相互に電気的に独立している。このため、導電プレートに検査プローブを直接接触させ、又は近付けることにより、各ICチップの機能検査や接続状態検査を、同時に行うことができるため、検査効率を向上できる。
また、本発明は、情報記憶媒体を個片にする場合に、離間部分の基材を切断するので、金属箔等により形成された導電プレートを切断しなくてもよいため、切断刃の劣化を抑えることができる。
さらに、本発明は、導電プレートは離間しているので、隣合う組み合わせ間の離間部分の基材を切断して情報記憶媒体を個片化することにより、情報記憶媒体外周部に導電プレートが露出しない。このため、外部から静電気等によって過電圧印加した場合に、ICチップへのダメージを低減できる。さらに、情報記憶媒体を手で触れた場合等に、各導電プレートが人体を通じて接続されることよるICチップの動作不具合を防止できる。
【0009】
第2の発明は、導電性薄板を絶縁性基材上に配置した後、除去領域を除去して導電プレートを離間させるので、予め分離した導電プレートをそれぞれ基板上に配置する場合に比べて、工程を簡略にできる。また、分離した導電プレートを基板上に精度よく配置することは、困難であるが、本発明は、例えば、直線状の除去領域を除去すればよいので、加工が簡単であり、かつ、導電プレート間の間隔の精度向上も容易である。
【0010】
第3の発明は、除去領域を切削によって除去するので、各個片に分離させる場合には、組み合わせ間の絶縁性基材部を切断すればよい。このため、導電プレートを切断しなくてもよいので、切断刃の劣化を抑えることができる。また、エッチング工法が多くの工程(レジスト形成工程、エッチング処理工程、洗浄工程等)を有するのに対して、切削工法は、切削刃による切削のみであり工程の短縮化、加工コストの低減を図ることができる。
【0011】
第4の発明は、媒体配列方向除去工程で、媒体配列方向に沿った一対の導電プレート間の除去領域を、切削によって除去するので、媒体配列方向に沿って切削することにより、複数の組み合わせ分の一対の導電プレート間のスリットを一工程で作製できる。
また、短辺方向除去工程で、直交方向に沿った複数の組み合わせ間の除去領域を、切削によって除去するので、隣合う組み合わせ間の離間部分を作製できる。
【0012】
第5の発明は、一対の導電性薄板を、スリットを有するように絶縁性基材上に配置するので、一対の導電プレート間にスリットを形成する工程が不要であるため、工程の短縮化を図ることができる。
【0013】
第6の発明は、一対の導電プレートの配列方向が媒体配列方向であり、一対のプレート間除去工程の切削方向と、組み合わせ間除去工程の切削方向とが、ともに直交方向であるので、これらを、同一工程で加工でき、工程の短縮化を図ることができる。
【0014】
第7の発明は、除去領域を、エッチングによって除去するので、一対の導電プレート間のスリット幅を狭くできるため、小さなICチップであっても実装できる。また、隣合う組み合わせ間の導電プレート間の間隔を広くできるため、基材を切断して情報記憶媒体を個片化する際の切断精度マージンを広げることができ、作業性を向上できる。
第8の発明は、導電プレートを、めっき法によって形成するので、一対の導電プレート間のスリット幅を狭くできるため、小さなICチップであっても実装できるとともに、導電層の厚みを薄くし、安価に形成することができる。また、隣合う組み合わせ間の導電プレート間の間隔を広くできるため、基材を切断して情報記憶媒体を個片化する際の切断精度マージンを広げることができ、作業性を向上できる。
第9の発明は、導電プレートを、導電性インキ印刷によって形成するので、一対の導電プレート間のスリット幅を狭くできるため、小さなICチップであっても実装できるとともに、導電層の厚みを薄くし、安価な製造工法にて形成することができる。また、隣合う組み合わせ間の導電プレート間の間隔を広くできるため、基材を切断して情報記憶媒体を個片化する際の切断精度マージンを広げることができ、作業性を向上できる。
【0015】
第10の発明は、媒体配列方向に隣合う導電プレートの間隔は、一対の各導電プレート間の間隔がよりも大きいので、基材を切断して情報記憶媒体を個片化する際の切断精度マージンを広げることができ、作業性を向上できる。
【0016】
第11の発明は、絶縁性基材のうち組み合わせ間を切断して、この情報記憶媒体を個片にするので、上記第1の発明と同様に、情報記憶媒体外周部に導電プレートが露出せず、ICチップへのダメージ低減、ICチップの動作不具合を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】第1実施形態の通信システム10の基本構成を説明する図である。
【図2】第1実施形態のICカード40の製造方法を説明する平面図である。
【図3】第2実施形態のICカード240の製造方法を説明する平面図である。
【図4】第3実施形態のICカード340の製造方法を説明する平面図である。
【図5】第4実施形態の積層工程に利用する積層装置460の斜視図である。
【図6】第5実施形態の改札システム501のブロック図である。
【図7】第5実施形態の通信システム510の斜視図である。
【図8】第5実施形態の中継通信装置530の内部構成を説明する図である。
【図9】第5実施形態のICカード540の平面図、及びICカード540のずれを説明する平面図である。
【図10】第5実施形態の搬送装置560、挿入口534、排出口535を模式的に示す平面図である。
【図11】第5実施形態の通信システム510の動作のフローチャートである。
【図12】第6実施形態の改札システム601のブロック図である。
【図13】第6実施形態の中継通信装置630の内部構成を説明する図である。
【図14】第7実施形態の通信システム710のブロック図である。
【図15】第7実施形態の中継通信装置730の内部構成を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
(第1実施形態)
以下、図面等を参照して、本発明の第1実施形態について説明する。
なお、以下の説明及び図面において、カード表面及びの導電部材表面の法線方向を鉛直方向Zとし、鉛直方向Zから見た図を適宜平面図といい、平面図の形状を適宜平面形状という。
また、搬送装置の座標系は、ICカードを搬送する方向を搬送方向Yとし、平面図において搬送方向Yに直交する方向を左右方向Xとする。また、ICカードの座標系は、製造時において、複数のICカードが配列される方向(媒体配列方向)を縦方向Bとし、平面図において縦方向Bに直交する方向を横方向Aとする。
【0019】
(基本構成)
最初に、第1実施形態の通信システム10の基本構成について説明する。
図1は、第1実施形態の通信システム10の基本構成を説明する図である。
図1(a)は、電磁誘導通信装置20、リーダライタ21、中継通信装置30、ICカード40の通信方法を説明する斜視図である。
図1(b)は、通信システム10の基本構成を説明する概念図(図1(a)のB−B部矢視断面図の相当する図)である。
【0020】
通信システム10は、電磁誘導通信装置20、中継通信装置30、ICカード40(情報記憶媒体)を備える。
電磁誘導通信装置20は、本来は、電磁誘導方式のループアンテナを備えるICカードとの間で、情報を直接送受信可能な装置であるが、実施形態では、中継通信装置30を介して、静電結合方式の導電プレート42A,42B(後述する)を備えるICカード40との間で情報を送受信する。
電磁誘導通信装置20は、リーダライタ21、記憶部26、制御部27を備える。
リーダライタ21は、R/Wループアンテナ21a(通信装置側ループアンテナ)を備える。
R/Wループアンテナ21aは、例えば、3回巻き程度のループアンテナであり、大きさが40mm×40mm程度である。R/Wループアンテナ21aは、例えばエッチング等の手法により、プリント配線基板上に銅パターンを配線して形成される。R/Wループアンテナ21aの両端の端子は、制御部27に接続される。
【0021】
記憶部26は、電磁誘導通信装置20の動作に必要なプログラム、情報等を記憶するための半導体メモリ素子等の記憶装置である。記憶部26は、ICカード40に書き込む情報や、ICカード40と照合する情報等を記憶している。
制御部27は、電磁誘導通信装置20を統括的に制御するための制御部であり、例えばCPU等から構成される。制御部27は、記憶部26に記憶された各種プログラムを適宜読み出して実行することにより、前述したハードウェアと協働し、本発明に係る各種機能を実現している。
【0022】
中継通信装置30は、リーダライタ21及びICカード40間の通信を可能にする装置である。中継通信装置30は、中継ループアンテナ31、導電部材32A,32Bを備える。
中継ループアンテナ31は、R/Wループアンテナ21aとの間で電磁誘導方式により通信(結合)するアンテナである。中継ループアンテナ31は、例えば、3回巻き程度のループアンテナであり、大きさが40mm×40mm程度である。中継ループアンテナ31は、例えば、エッチング等の手法により、プリント配線基板上に銅パターンを配線して形成される。
【0023】
導電部材32A,32Bは、銅等の導電性材料を板状に形成した部材である。各導電部材32A,32Bは、それぞれ中継ループアンテナ31の両端に電線31a,31bにより電気的に接続されている。導電部材32A,32Bは、例えば長さL1=1mm程度の間隔を隔てて並列配置されている。
後述する実施形態のように、導電部材32A,32Bは、ベルト61に貼り付けられており、ICカード40と同期して搬送方向Yの下流側Y2(カード搬送方向)に沿って移動する。導電部材32A,32Bは、移動中に、ICカード40の一対の導電プレート42A,42B(後述する)にほぼ密着し(例えば、導電部材32A,32Bの上面と、導電プレート42A,42Bの下面との距離が2mm程度)、かつ、この導電プレート42A,42Bにそれぞれ対向配置されることにより、導電プレート42A,42Bと静電結合する。
【0024】
ICカード40は、外部接触端子を備えない非接触型のカードである。ICカード40の大きさは、クレジットカード等のサイズに限定されるものではなく、用途(例えば切符等)に応じて、任意の大きさに設定できる。
ICカード40は、ICチップ41、一対の導電プレート42A,42B、下層43、上層44を備える。
ICチップ41は、電磁誘導方式で通信可能な集積回路であり、従来の電磁誘導方式のICカードに内蔵されているものと、同種のものである。ICチップ41は、ICカード40の動作に必要なプログラム、情報等を記憶する記憶部と、この記憶部に記憶された各種プログラムを適宜読み出して実行することによりICカード40を統括的に制御する制御部とを備える。
【0025】
ICチップ41は、厚さが例えば150μm程度である。ICチップ41は、導電プレート42A,42B間のスリット40aを跨ぐように配置されている。
ICチップ41の入出力部(リードフレーム等)は、導電プレート42A,42Bに対して、異方性導電性ペースト、異方性導電性フィルム、導電性接着剤等の接続部材46によって、それぞれ電気的及び機械的に接続されている。なお、ICチップ41が電磁誘導方式のものであるため、この入出力部は、本来、ループアンテナに接続されるものである。
【0026】
導電プレート42A,42Bは、それぞれ厚さ10μm、短辺×長辺が20mm×25mmのアルミニウム箔である。導電プレート42A,42Bは、下層43に貼り付けられている。導電プレート42A,42Bは、縦方向Bに細長いスリット40aを介して配列されている。スリット幅L2は、例えば0.5mm程度である。カード搬送時において、搬送方向Y及びICカード40の縦方向Bは、一致する。
【0027】
下層43は、ICカード40の基材である。下層43は、例えば、厚さ180μm、短辺×長辺が25.0mm×57.5mmのPET、PET−G、PVC、ポリイミド等の絶縁性フィルム基材である。
上層44は、絶縁性材料(PET、PET−G、PVC、ポリイミド、紙等)により形成されている。上層44は、例えば厚さ200μm程度である。上層44は、ICチップ41、導電プレート42A,42Bを覆うように、接着材45(液状、フィルム状の接着剤や、粘着剤等)によって下層43に貼り付けられている。
【0028】
(通信方法)
次に、第1実施形態の通信システム10の基本的な通信方法について説明する。
(リーダライタ21及び中継通信装置30間の接続)
R/Wループアンテナ21a及び中継ループアンテナ31の間は、電磁誘導方式により非接触で接続され、情報の送受信をすることができる。電磁誘導方式を用いたICカード40の通信方式は、ISO/IEC14443,15693,18092にて規格化されており、13.56MHzの信号周波数が用いられる。
なお、R/Wループアンテナ21a及び中継ループアンテナ31の巻数は、3巻程度である例を説明したが、これに限定されない。両者の間が電磁誘導方式により非接触で接続される巻数であればよく、巻数は、例えば1巻以上であればよい。
【0029】
(中継通信装置30及びICカード40間の接続)
導電部材32A,32B及び導電プレート42A,42Bは、コンデンサプレートとして機能して、両者の間が静電結合方式により非接触で接続され、情報の伝達をすることができる。
【0030】
中継ループアンテナ31がR/Wループアンテナ21aに接近することにより起電力が発生し、導電部材32A,32B及び導電プレート42A,42Bが静電結合し、ICチップ41に駆動電力が伝達される。また、電磁誘導通信装置20からの送信データをICチップ41に伝達でき、一方、ICチップ41からの返信データを中継通信装置30を介して、電磁誘導通信装置20に伝達できる。
【0031】
以上により、通信システム10は、電磁誘導通信装置20の制御部27と、ICカード40のICチップ41との間で、通信処理を行うことができる。
【0032】
(ICカード40の製造方法)
次に、第1実施形態のICカード40の製造方法について説明する。
図2は、第1実施形態のICカード40の製造方法を説明する平面図である。
導電プレート42A,42Bの配列方向は、横方向A(媒体配列方向に直交する方向)である。
【0033】
ICカード40の製造方法は、以下の手順に従う。
(1)導電性薄板形成工程
下層43上に、導電性薄板50を貼り付ける。導電性薄板50は、導電プレート42A,42Bへと加工される板材である。導電性薄板50は、横方向Aの長さが下層43よりも短く、平面形状が縦方向Bに細長い。
【0034】
(2)導電性薄板切削工程(導電性薄板除去工程、導電プレート形成工程)
導電性薄板切削工程は、導電性薄板50の一部の除去領域を切削もしくはハーフカットによって除去して、ICカード40の導電プレート42A,42Bを離間させ、また、隣合うICカード40間の導電プレート42A,42Bを離間させる工程である。これによって、下層43上に、電気的に独立した導電プレート42A,42Bの複数の組み合わせを形成できる。
なお、実施形態では、一対の導電プレートの複数の組み合わせが形成され、ICカードへと個片化前の状態であり、配列方向に隣合う導電プレートの組み合わせが下層等(基材)によって接続された状態であっても、適宜ICカードという。
導電性薄板切削工程は、縦方向切削工程(媒体配列方向除去工程)、横方向切削工程(直交方向除去工程)を有する。
【0035】
(2−1)縦方向切削工程
図2(b)に示すように、縦方向Bに沿った除去領域を、フライス等の切削加工によって除去する。これにより、導電性薄板50が2枚の導電性プレート50A,50Bに分断され、縦方向Bに細長いスリット50aが形成される。
切削方法は、切削刃を縦方向Bに沿って走査したり、切削刃を固定した状態で、下層43を縦方向Bに移動するといった工法によって行う。
スリット50aの幅は、ICカード40のスリット40aのL2の長さに等しく、0.5mm程度である。
図2(b−2)の断面図に示すように、切削深さL3は、スリット50aの削除残を防止するために、下層43表面よりも深くする。
なお、切削加工は、円形刃等による切削加工、三角刀、丸刀、平丸刀等による切削加工や、金型を用いたハーフカット加工等を用いてよい。
【0036】
(2−2)横方向切削工程
図2(c)に示すように、隣り合うICカード40の間、つまり一対の導電プレート42A,42Bの組み合わせの間の除去領域を、切削によって除去する。切削方法は、縦方向切削工程と同様であり、走査間隔L4毎に複数回、横方向Aに走査すればよい。
縦方向Bにおける走査間隔L4は、ICカード40の短辺の長さに等しい。横方向切削工程の走査幅L5は、2mm程度であり、縦方向切削工程の走査幅L2よりも大きい。横方向切削工程の走査幅L5を大きくする理由は、後述する個片工程における、加工誤差を十分に勘案して、カード端面(切断面)から導電プレート42A,42Bが露出しないようにするためである。
【0037】
縦方向切削工程及び横方向切削工程を行うことにより、導電プレート42A,42Bの複の組み合わせを作製できる。なお、縦方向切削工程及び横方向切削工程は、順序を入れ替えもよい。
【0038】
なお、上記工程は、以下の方法で行ってもよい。
・導電性薄板50を切削する代わりに、除去領域をエッチングによって除去してもよい。エッチングに利用するマスクパターンは、微細に形成できるという特徴を有する。このため、この場合には、スリット40aの幅を狭くでき、ICチップ41が小さなものであっても実装できる。
・下層43上に導電性薄板50を貼り付ける代わりに、下層43上にめっき法によって、導電層を薄板状に積層して、導電性薄板50に相当する層を設けてもよい。この場合には、上記効果に加えて、導電層の厚みを薄くできるので、安価に形成することができる。また、スリット50aに相当する領域、及び導電プレート42A,42Bの組み合わせの間の除去領域にマスキングを施しておけば、導電性薄板切削工程が必要ないので、工程を削減できる。
・同様に、下層43上に導電性インキを印刷して、導電性薄板50に相当する層を設けてもよい。この場合にも、導電層の厚みを薄くし、安価な製造工法にて形成することができる。また、スリット50aに相当する領域、及び導電プレート42A,42Bの組み合わせの間の除去領域を印刷しなければ、導電性薄板切削工程が必要ないので、工程を削減できる。
・導電プレート42A,42Bは、下層43に積層後に切削して形成するのではなく、予め個片化して下層43上に配置してもよい。この場合には、導電プレート42A,42Bは、下層43上に積層した状態で図2(c)の状態となり、工程を簡略できる。
【0039】
(3)ICチップ配置工程
図2(d)に示すように、導電プレート42A,42Bの各組み合わせに対して、スリット40aを跨ぐように、それぞれICチップ41を配置する。
ICチップ41には、アンテナ接続用端子に金めっき等のバンプ加工を予め施しておく。そして、アンテナ接続用端子と導電プレート42A,42Bとを、向かい合うように配置して、異方性導電フィルム、異方性導電ペースト、絶縁性ペースト等を介して接続する。
なお、下層43のICチップ41搭載面には、ICチップ41の搭載位置の目印を、印刷等により設けておいてもよい。ICチップ41の搭載時の作業を、容易、かつ、均一にするためである。
【0040】
(4)上層配置工程
図2(d)に示すように、上層44を積層する(図1(b)参照)。
上層配置工程では、上層44を、下層43、ICチップ41、導電プレート42A,42Bの上側Z2に、接着材45(図1参照)で貼り付ける。上層44を積層することにより、ICチップ41をカバーして補強でき、また、上層44表面には、印刷等を施すことができる。
【0041】
(5)個片工程
図2(e)に示すように、下層43及び上層44のうち、隣合うICカード40間の中心(複数の組み合わせ間の中心)を切断線40bとして、打ち抜き加工によりICカード40を個片にする。
なお、上記除去工程において、隣合う組み合わせ間の導電プレート42A,42Bの距離を広くしている。このため、個片工程において、下層43を切断する際の切断精度マージンを広げることができ、作業性を向上できる。
なお、下層43及び上層44のうち少なくとも1つに、切断位置を示す印刷等を設けておけば、切断作業が容易になる。
また、個片工程は、打ち抜き加工に限定されるものではなく、断裁加工を行ってもよい。
【0042】
以上説明したように、本実施形態の通信システム10は、以下の効果を奏する。
(1)R/Wループアンテナ21aと中継ループアンテナ31とが電磁誘導することにより信号が伝達し、中継通信装置30の導電部材32A,32BとICカード40の導電プレート42A,42Bとを向かい合わせ、静電結合させることにより信号を伝達できる。
これにより、ICカード40は、ループアンテナが必要なく、導電プレート42A,42Bを設ければよいので、従来の複雑なエッチング等のアンテナ形成工程が不要となり、低コストで製造できる。このため、ICカード40の発行枚数が多くなる程、コスト面で有利になり、低コストでシステムを構築できる。
【0043】
(2)市場で多く流通している電磁誘導通信装置20を転用できるので、容易かつ低コストでシステムを構築できる。
また、新たなシステムを導入する場合であっても、電磁誘導方式のICカードに用いられるICチップを流用でき、かつ、既存の非接触IC用のリーダライタを流用できる。これにより、静電結合用の特殊なICチップと、電磁誘導通信装置とを新たに開発する必要なく、システムを構築できる。
【0044】
(3)製造時において、下層43上に、複数の組み合わせの導電プレート42A,42Bを電気的に独立して配置できる。このため、ICカード40の出荷時等において、導電プレート42A,42Bに検査プローブを直接接触させ、又は近付けることにより、複数のICチップ41の機能検査や接続状態検査を、同時に行うことができるため、検査効率を向上できる。
【0045】
(4)ICカード40の端面(切断面)に導電プレート42A,42Bが露出しないので、外部から静電気等によって過電圧印加した場合等に、ICチップ41へのダメージを低減できる。また、ICカード40を手で触れた場合等に、導電プレート42A,42Bが人体を通じて接続されることによるICチップ41の動作不具合を防止できる。
【0046】
(5)予め分離した導電プレート42A,42Bを、それぞれ下層42上に配置する場合には、下層42上に精度よく配置することは、困難であるが、本実施形態では、導電性薄板50を下層42上に配置して、除去領域を除去して導電プレート42A,42Bを離間させるので、加工が簡単であり、かつ、スリット40aの寸法精度を向上できる。
【0047】
(6)個片工程では、金属箔等により形成された導電プレート42A,42Bを切断しなくてもよいので、切断刃の劣化を抑えることができる。また、切削工法を用いることにより、エッチング工法よりも工程を短縮化し、加工コストの低減を図ることができる。
【0048】
(7)縦方向切削工程で、スリット50aを設けるので、複数のICカード40のスリット40aを、一工程で作製できる。
【0049】
(第2実施形態)
次に、本発明を適用した第2実施形態について説明する。
なお、以下の説明及び図面において、前述した第1実施形態と同様の機能を果たす部分には、同一の符号又は末尾に同一の符号を付して、重複する説明を適宜省略する。
第2実施形態は、ICカード240の製造方法を第1実施形態から変更したものである。
【0050】
図3は、第2実施形態のICカード240の製造方法を説明する平面図である。なお、図3のうち図2に対応する図面には、括弧内に同一の符号を付す。
ICカード240の製造方法は、以下の手順に従う。
(導電性薄板形成工程)
図3(b)に示すように、下層243上に一対の導電性薄板250A,250Bを配置する。
各導電性薄板250A,250Bの横方向Aの長さL6は、各導電プレート242A,242Bの横方向Aの辺の長さL6に等しい。
この一対の導電性薄板250A,250Bを、スリット250a(幅L2)を有するように、横方向Aに並べて下層243上に積層する。
【0051】
(導電性薄板切削工程)
図3(c)に示すように、導電性薄板切削工程は、横方向切削工程のみを有し、導電性薄板250A,250Bの横方向Aに沿った除去領域を、切削によって除去する。
このように、本実施形態の製造方法は、導電性薄板250A,250Bを予めスリット250aを有するように下層243に配置するので、スリット240aを形成するための切削工程が不要であるため、工程の短縮化を図ることができる。
【0052】
(第3実施形態)
次に、本発明を適用した第3実施形態について説明する。
第3実施形態は、ICカード340の製造方法を第1実施形態から変更したものである。
図4は、第3実施形態のICカード340の製造方法を説明する平面図である。なお、図4のうち図2に対応する図面には、括弧内に同一の符号を付す。
図4に示すように、ICカード340の配列方向と、導電プレート342A,342Bの配列方向とは、ともに縦方向Bである。
【0053】
本実施形態のICカード340の製造方法は、以下の手順に従う。
(導電性薄板配置工程)
図4(b)に示すように、下層343上に導電性薄板350を配置する。
導電性薄板350の横方向Aの長さは、導電プレート342A,342Bの横方向Aの辺の長さに等しい。
【0054】
(導電性薄板切削工程)
導電性薄板切削工程は、スリット切削工程(一対のプレート間除去工程)、カード間切削工程(組み合わせ間除去工程)を有する。
スリット切削工程は、一対の導電プレート342A,342B間の除去領域を、横方向Aに沿って切削によって除去して、スリット340aを形成する。
カード間切削工程は、隣り合うICカード340の間の除去領域340cを、横方向Aに沿って切削によって除去する。
【0055】
このように、本実施形態の製造方法は、スリット切削工程及びスリット切削工程及の切削方向が、ともに横方向Aである。このため、両工程で用いる両切削刃を、スリット340aの中心及び除去領域340cの中心間の長さL7分だけ隔てて配置し、同時に横方向Aに走査すれば、一組のスリット340a及び除去領域340cを同一工程で加工でき、工程の短縮化を図ることができる。
【0056】
(第4実施形態)
次に、本発明を適用した第4実施形態について説明する。
第4実施形態は、下層443及び導電性薄板450A,450Bの積層装置460の例である。
図5は、第4実施形態の積層工程に利用する積層装置460の斜視図である。
本実施形態は、第2実施形態の製造方法と同様な導電性薄板450A,450Bを下層443に積層する例を説明する。
積層装置460は、下層送りロール部461、導電性薄板送りロール部462、ニップローラ部463,464、巻き取りロール部465を備える。
【0057】
下層送りロール部461は、ロール状にした下層443を送り出す部分である。
導電性薄板送りロール部462は、ロール状にした導電性薄板450A,450Bを送り出す部分である。
ニップローラ部463は、下層送りロール部461から送り出された下層443と、導電性薄板送りロール部462から送り出された導電性薄板450A,450Bとを、上ローラ463a及び下ローラ464b間に挟んで圧接して積層する。
ニップローラ部464は、ニップローラ部463よりも下流側に配置されたニップローラである。ニップローラ部464は、上ローラ464a及び下ローラ464b間で、下層443と導電性薄板450A,450Bとを、さらに圧接して、これらを確実に貼り合わせる。
巻き取りロール部465は、駆動装置(図示せず)によって回転駆動されることによって、積層された下層443と導電性薄板450A,450Bとを巻き取るローラである。
【0058】
以上の構成により、積層装置460は、下層送りロール部461の下層443と、導電性薄板送りロール部462の導電性薄板450A,450Bとを、巻き取りロール部465を回転駆動して引き出して、ニップローラ部463,464によって圧接し積層できる。また、積層装置460は、積層した下層443と導電性薄板450A,450Bとを、巻き取りロール部465によって、ロール状にして保管できる。
【0059】
なお、本実施形態は、第2実施形態と同様なICカードの積層方法を説明したが、第1又は第3実施形態と同様なICカードの積層方法にも転用できる。
【0060】
(第5実施形態)
次に、本発明を適用した第5実施形態について説明する。
第5実施形態は、電磁誘導改札機520、中継通信装置530、ICカード540を用いた通信システムである。
図6は、第5実施形態の改札システム501のブロック図である。
図7は、第5実施形態の通信システム510の斜視図である。
【0061】
(改札システム501の構成)
改札システム501は、鉄道等の入退場ゲートに用いられるシステムである。改札システム501は、サーバ502及び複数の電磁誘導改札機503が接続された従来のシステムに、通信システム510がサーバ502に接続されて構成される。改札システム501で用いられる切符、定期券等は、ICチップが内蔵されたICカード504,540(情報記憶媒体)である。
【0062】
サーバ502は、サーバ記憶部502a、サーバ制御部502bを備える。
サーバ記憶部502aは、サーバ502の動作に必要なプログラム、情報等を記憶するハードディスク、半導体メモリ素子等の記憶装置である。
サーバ記憶部502aは、例えば、ICカード504,540の情報(乗車区間、期限、利用者の氏名等)を記憶する。サーバ記憶部502aの情報は、券売機等でICカード504,540が再発行される場合等に適宜参照される。
サーバ制御部502bは、サーバ502を統括的に制御するための制御部であり、例えばCPU等から構成される。サーバ制御部502bは、サーバ記憶部502aに記憶された各種プログラムを適宜読み出して実行する。
電磁誘導改札機503は、従来の電磁誘導方式の改札機であり、電磁誘導方式の従来のICカード504との間で、情報の送受信をすることができる。
【0063】
通信システム510は、従来の電磁誘導改札機503と同じ電磁誘導改札機520(電磁誘導通信装置)に対して、中継通信装置530が加えられることにより構成される。通信システム510は、中継通信装置530を介して、電磁誘導改札機520及び静電結合(静電容量結合)型のICカード540との間で情報を送受信できる。
なお、改札システム501は、電磁誘導改札機503を利用せずに、複数の通信システム510のみから構成してもよい。また通信システム510は、従来の電磁誘導改札機520及び通信システム510を組み合わせた装置ではなく、新たに専用に設けた一体型の装置でもよい。
【0064】
電磁誘導改札機520は、改札記憶部526、改札制御部527(通信結果判定制御部)を備える。
改札記憶部526は、電磁誘導改札機520の動作に必要なプログラム、情報等を記憶するための半導体メモリ素子等の記憶装置である。
改札制御部527は、電磁誘導改札機520を統括的に制御するための制御部であり、例えばCPU等から構成される。改札制御部527は、改札記憶部526に記憶された各種プログラムを適宜読み出して実行することにより、前述したハードウェアと協働し、本発明に係る各種機能を実現している。
なお、電磁誘導改札機520は、電磁誘導改札機503と同様な構成であるので、改札記憶部526、改札制御部527は、電磁誘導改札機503に設けられている記憶部、制御部(図示せず)と、基本構成が同様である。
【0065】
中継通信装置530は、中継記憶部536、中継制御部537を備える。
中継制御部537は、中継通信装置530の動作に必要なプログラム、情報等を記憶するための半導体メモリ素子等の記憶装置である。
中継制御部537は、中継通信装置530を統括的に制御するための制御部であり、例えばCPU等から構成される。中継制御部537は、中継記憶部536に記憶された各種プログラムを適宜読み出して実行することにより、前述したハードウェアと協働し、本発明に係る各種機能を実現している。
中継制御部537は、電磁誘導改札機520に電気的に接続されており、電磁誘導改札機520及びICカード540間での通信の結果、判定及び状況を確認できる。
【0066】
ICカード540のICチップ541は、ICチップ記憶部541a、ICチップ制御部541b、アナログ回路部541cを備える。
ICチップ記憶部541aは、ICカード540の動作に必要なプログラム、情報等を記憶するための記憶回路である。ICチップ記憶部541aは、例えば、乗車区間、使用期間、利用者の氏名等の情報を、書き換え可能に記憶する。
ICチップ制御部541bは、ICカード540を統括的に制御するための制御部であり、例えばCPU等から構成される。ICチップ制御部541bは、ICチップ記憶部541aに記憶された各種プログラムを適宜読み出して実行することにより、本発明に係る各種機能を実現している。
アナログ回路部541cは、整流回路、変調回路、復調回路、CLK抽出回路等により構成されている。アナログ回路部541cは、ICチップ入出力端子を介して入力された信号に対して、AD変換、クロック生成等を行い、ICチップ制御部541bへの電圧供給、クロック供給、データ入出力等を行う。
【0067】
以下、通信システム510の構造等について詳細に説明する。
通信システム510は、鉄道の各駅に配置される装置である。通信システム510は、利用者が所持するICカード540の情報を読み取り、乗車区間、使用期間等の認証を行い、通過扉522の開閉等を行う。
通信システム510の基本構成は、第1実施形態の通信システム10と同様であり、電磁誘導改札機520と、中継通信装置530とを備える。図7では、通信システム510の手前側から奥側に向かって歩行するようになっている。実施形態では、利用者の入場、出場に関わらず、手前側を入口510a、奥側を出口510bとして説明する。
【0068】
電磁誘導改札機520は、本来は、電磁誘導改札機503と同様に、電磁誘導方式のICカード504との間で情報を送受信可能な装置であるが、実施形態では、中継通信装置530を介して、電磁誘導方式のICカード540との間で情報を送受信できる。
図6、図7に示すように、電磁誘導改札機520は、リーダライタ521、通過扉522、モニタ523、音声出力部524を備える。
リーダライタ521は、R/Wループアンテナ521a(電磁誘導通信装置側ループアンテナ)を備える。
【0069】
図7に示すように、通過扉522は、電磁誘導改札機520の筐体に設けられた開閉扉である。通過扉522は、DCモータ等を備える駆動装置によって開閉駆動される。
モニタ523及び音声出力部524は、通信処理の結果を報知する報知部である。
モニタ523は、液晶表示装置等の表示装置である。モニタ523は、電磁誘導改札機520のケース表面のうち搬送方向Yの下流側Y2の範囲に配置されている。モニタ523は、例えば文字等を出力して、残高、通信異常等を報知する。なお、利用者がモニタ523を目視できるように、中継通信装置530は、モニタ523が露出するように、電磁誘導改札機520上に載置されている。
音声出力部524は、音声出力するスピーカである。音声出力部524は、例えば、警告音、音声ガイド等を出力して、通信異常等を報知する。
【0070】
中継通信装置530は、電磁誘導改札機520上に載置されることにより、電磁誘導改札機520及びICカード540間の通信を可能にする装置である。
中継通信装置530は、中継ループアンテナ531、一対の導電部材532A,532B、挿入口534、排出口535、搬送装置560を備える。
【0071】
導電部材532A,532Bは、ICカード540の搬送方向Yに沿って平行に配置されている。532A,532Bは、導電性ゴム等により形成され、平ベルト状に形成されている。導電部材532A,532Bは、下ベルト561(図8参照)の外周面に貼り付けられており、下ベルト561と一体で搬送方向Yに回転にする。
なお、後述するように、導電部材532A,532B上の移動範囲のうち下流側Y2の範囲は、通信結果を判定するために、搬送装置560が搬送しているICカード540を停止する停止範囲A1(通信結果判定範囲)である(図8参照)。
【0072】
図7に示すように、挿入口534は、利用者がICカード540を挿入するための入口である。挿入口534には、挿入カード送り装置534a、挿入口開閉扉534b(図10参照)が設けられている。
挿入カード送り装置534aは、ローラ及びこれを回転するモータ等を備え、挿入されたICカード540を搬送装置560に導く装置である。
挿入口開閉扉534bは、挿入口534を開閉する扉及びこれを開閉駆動するモータ等を備える装置である。
【0073】
排出口535は、搬送装置560によって搬送されたICカード540を排出する出口である。排出口535は、排出カード送り装置535a(図10参照)が設けられている。
排出カード送り装置535aは、ローラ及びこれを回転するモータ等を備え、搬送装置560によって搬送されたICカード540を、排出口535に導く装置である。
搬送装置560は、ICカード540を導電部材532A,532B上を搬送方向Yに搬送する装置である。搬送装置560の詳細は、後述する。
【0074】
(搬送装置560近傍の構成)
次に、搬送装置560近傍の構成について説明する。
図8は、第5実施形態の中継通信装置530の内部構成を説明する図である。
図8(a)は、搬送装置560の平面図(図8(b)のa−a部矢視断面図)である。
図8(b)は、搬送装置560の側面図である。
図8(c)は、搬送装置560近傍の斜視図である。
中継通信装置530は、搬送装置560、ロータリコネクタ570(570a,570b)を備える、
搬送装置560は、下ベルト561、下ベルト駆動ローラ562(562a,562b)、上ベルト563、上ベルト駆動ローラ564(564a,564b)を備える。
【0075】
下ベルト561及び下ベルト駆動ローラ562は、中継通信装置530内の下側Z1に配置されている。
下ベルト561は、下ベルト駆動ローラ562に巻き掛けられた平ベルトである。下ベルト561は、絶縁材により形成されている。
下ベルト駆動ローラ562a,562bは、下ベルト561を回転する2つのローラである。下ベルト駆動ローラ562a,562bのうち一方には、モータが設けられており、巻き掛けられた下ベルト561の上側部分を、搬送方向Yに回転移動するように、下ベルト561を回転する。
【0076】
上ベルト563及び上ベルト駆動ローラ564は、下ベルト561及び下ベルト駆動ローラ562と同様な装置であり、中継通信装置530内の上側Z2に配置されている。
ロータリコネクタ570は、中継ループアンテナ531からの配線531a,531bと、導電部材532A,532Bからの配線532a,532bとを中継するコネクタである。ロータリコネクタ570は、一端側及び他端側間が回転可能になっている。これにより、配線531a,531bは、導電部材532A,532Bに追従して回転しても絡まることなく、中継ループアンテナ531からの配線531a,531bとの導通を維持できる。
【0077】
なお、導電部材532A,532B及び中継ループアンテナ531の接続は、回転している導電部材532A,532Bに対して、中継ループアンテナ531の導通が維持できる形態であれば、ロータリコネクタ570を用いたものに限定されない。例えば、導電部材532A,532Bに摺接する接続端子を、中継ループアンテナ531に接続してもよい。
また、例えば、導電部材532A,532Bに巻き掛けられ、導電部材532A,532Bをそれぞれ駆動する金属性のローラを独立して設けて、中継ループアンテナ531及び導電部材532A,532Bを、このローラを介して接続してもよい。
【0078】
搬送装置560は、上記構成によって、挿入口534(図7参照)に挿入されたICカード540を、導電部材532A,532B及び上ベルト563の間に挟み込み、下ベルト561及び上ベルト563が回転駆動することにより、ICカード540を搬送方向Yの下流側Y2に搬送する。
また、搬送装置560は、ICカード540の導電プレート542A,542Bと、導電部材532A,532Bとが対向配置された状態でICカード540を搬送する。このため、導電部材532A,532Bは、搬送されているICカード540の導電プレート542A,542Bとの間の静電結合を維持できる。
さらに、導電部材532A,532Bは、ICカード540を挟み込んだ状態で、回転駆動されることにより、ICカード540を搬送方向Yに搬送するように、機能している。つまり、導電部材532A,532Bは、搬送装置560の一部としても機能し、搬送装置560の一部を兼用している。このため、中継通信装置530は、構成を簡単にできる。
【0079】
(搬送時のずれにともなう通信安定性)
次に、ICカード540の搬送時のずれにともなう通信安定性について説明する。
図9は、第5実施形態のICカード540の平面図、及びICカード540のずれを説明する平面図である。
図9(a)に示すように、ICカード540の導電プレート542A,542Bは、ICカード540の長手方向に沿って並べて配置されている。
例えば、ICカード540の外形は、長辺×短辺が、57.5mm×25mmの長方形であり、また導電プレート542A,542Bの外形は、長辺×短辺が、25mm×20mmの長方形である。
【0080】
図9(b)に示すように、中継通信装置530の搬送装置560は、搬送方向Yと、導電プレート542A,542Bの長辺542aとが直交するように、ICカード540を搬送する。
これにより、ICカード540が左右方向X(搬送方向Yとは直交する方向(長辺方向))にずれても、ICカード540の導電プレート542A,542Bと中継通信装置530の導電部材532A,532Bとが対向する面積の減少率が少なくなるため、位置ずれの許容度を向上でき、通信安定性を向上できる。
【0081】
ずれにともなう面積の減少率が少なることについて説明する。
図9(c)のICカード140は、導電プレート142A,142Bが、ICカード140の長手方向に細長く、短辺142bの方向に並べて配置されたものである。平面形状において、ICカード540の面積は、ICカード140の面積に等しい。このため、各導電プレートの搬送方向Yの長さは、「L20<L30」である。
例えば、図9(b)、図9(c)に示すように、ICカード540及びICカード140が左右方向Xに長さΔ分ずれた場合を考える。ICカード540の場合は、導電プレート542A,542Bと導電部材532A,532Bとが対向する面積は、「Δ×L20」減少し、一方、ICカード140は、「Δ×L30」減少する。「L20<30」であるため、「Δ×L20<Δ×L30」が成り立つ。
【0082】
このように、ICカード540は、ずれにともなう面積減少量がICカード140よりも少なく、通信安定性を向上できる。
なお、ICカード540、ICカード140が搬送方向Yにずれた場合は、いずれの場合も面積減少はなく、同等の通信安定性を保つことができる。
【0083】
搬送装置560は、ICカード540の長手方向が搬送方向Yになるように、かつカード表面が鉛直方向を向くように、ICカード540を搬送する。これにより、導電プレート542A,542Bは、左右方向X(搬送方向Yに直交する方向)に並べて配列され、導電プレート542A,542Bの長辺方向は、ICカード540の搬送方向Yに一致する。
【0084】
これにより、搬送装置560は、導電部材532A,532B上の上流側Y1から下流側Y2に至るまで、導電プレート542A,542Bと導電部材532A,532Bとを常に対向配置できる。このため、通信システム510は、ICカード540を搬送させながら通信処理を行うことができる。
【0085】
(カード整列機構)
次に、カード挿入時及び排出時のICカード540の整列機構について説明する。
図10は、第5実施形態の搬送装置560、挿入口534、排出口535を模式的に示す平面図である。
挿入口534、排出口535の内部には、それぞれ、ICカード整列装置534c,535cを備える。
挿入口534のICカード整列装置534cは、長手方向が搬送方向Yになるように、ICカード540が挿入口534に挿入された場合に、ICカード540が挿入カード送り装置534aによって搬送装置560に導かれる途中で、ICカード540をその長手方向(つまり一対の導電プレート542A,542Bが並べられた方向)が左右方向X(搬送方向Yとは直交する方向)になるように、回転させて整列させる装置である。ICカード整列装置534cは、突出したり、引き込んだりする突起534dを備えており、これらを駆動して、ICカード540を整列させる。なお、ICカード整列装置534cの構成は、これに限らず、搬送するカードを回転する他の公知技術を用いることができる。
【0086】
通信システム510は、上記構成により、導電部材532A,532Bと導電プレート542A,542Bとが対向配置されるように、ICカード540を搬送装置560に導くことができ、また長手方向に細長いICカード540であっても、挿入口534に挿入しやすい。
【0087】
排出口535のICカード整列装置535cは、搬送装置560によって長手方向が左右方向Xになる状態で搬送されたICカード540を、排出カード送り装置535aによって排出口535に導かれる途中で、長手方向が搬送方向Yになるように回転させて整列させる装置である。ICカード整列装置535cの構成は、ICカード整列装置534cと同様な構成である。
【0088】
なお、利用者がICカード540を挿入口534に挿入する場合に、長手方向が左右方向Xになるように挿入する仕様であっても、利用者が多少回転させて挿入してしまうときがある。この場合であっても、ICカード整列装置534cと同様な装置を設けることにより、ICカード540を整列し、通信安定性を向上できる。
【0089】
(通信システム510の動作)
次に、実施形態の通信システム510の動作について説明する。
図11は、第5実施形態の通信システム510の動作のフローチャートである。
(ICカード挿入処理)
S1において、図6,図7に示すように、利用者が入口510aでICカード540を挿入口534に挿入すると、挿入口534の光学センサ等の検出部(図示せず)は、挿入されたICカード540を検出し、検出情報を中継制御部537に出力する。中継制御部537は、この検出部の出力に応じて、挿入カード送り装置534aを駆動して、挿入されたICカード540を搬送装置560へと導く。
S2において、中継制御部537は、挿入口534の検出部の出力に基づいて、挿入口534から他のICカード540が挿入できないように、挿入口開閉扉534bを閉駆動する。挿入口開閉扉534bを閉駆動する理由は、ICカード540の通信処理中に他のICカード540が挿入されと、リーダライタ521がいずれのICカード540と通信しているのかの判別が困難になり、通信処理の異常発生要因となるためである。
なお、利用者は、入口510aから出口510bに向けて歩行を続ける。
【0090】
(カード搬送処理)
S3において、導電部材532A,532Bの上流の光学センサ等の検出部(図示せず)は、挿入カード送り装置534aによって導かれたICカード540を検出すると、検出情報を中継制御部537に出力する。中継制御部537は、この検出部の出力に基づいて、搬送装置560を駆動してICカード540の搬送を開始する。
(通信処理)
S4において、ICカード540が導電部材532A,532B上を搬送方向Yに搬送される間、R/Wループアンテナ521aが中継ループアンテナ531に電磁誘導方式により接続され、導電部材532A,532BがICカード540の導電プレート542A,542Bに静電結合する。
これにより、改札制御部527は、導電部材532A,532B上を移動しているICカード540のICチップ541との間で情報の送受信を開始する。
S5において、改札制御部527は、通信処理として、ICチップ541の情報を読み出し、書き込みを開始する。改札制御部527は、例えば、ICチップ541の情報を読み出して乗車区間等が適切であるかの認証や、利用者の改札からの出入に関する情報のICチップ541への書き込みを行う。
【0091】
(搬送停止処理)
S6において、ICカード540が、導電部材532A,532B上の下流側Y2の停止範囲C(図8参照)に搬送されると、停止範囲Cに配置された光学センサ等の検出部は、搬送されたICカード540を検出して、検出情報を中継制御部537に出力する。中継制御部537は、この検出部の出力に基づいて、搬送装置560を駆動停止して、停止範囲CにICカード540を滞留させる。
【0092】
(通信終了判定処理)
S7において、中継制御部537は、改札制御部527及びICチップ541の間の送受信の監視内容に基づいて、改札制御部527及びICチップ541の間で通信中であるか否かを判定する。中継制御部537は、改札制御部527及びICチップ541の間で通信中であると判定した場合には(S7:YES)、S71に進み、一方、通信が終了したと判定した場合には(S7:NO)、S12に進む。
S71において、中継制御部537は、停止範囲CにICカード540を滞留させた状態を維持し、S7からの処理を繰り返す。これにより、中継制御部537は、通信が終了するまで(S7:NO)、ICカード540を停止範囲Cに滞留する。
これにより、中継制御部537は、通信処理時間と搬送スピードとを合わせる必要がなくなるので、搬送装置560の制御を容易にできる。
また、改札システム501は、通信処理遅延にともなう異常発生を低減できる。その理由は、以下の通りである。
例えば、「搬送に要する時間>通信に要する時間(リトライなし)」となるように搬送スピードを設定したとしても、通信異常が発生し、リトライ処理が行われた場合、「搬送に要する時間<通信処理に要する時間(リトライ処理含む)」となり、搬送完了時に通信処理が完了せずに、通信異常と判定されてしまうおそれがある。これに対して、改札システム501は、中継制御部537が、通信が終了するまで、停止範囲CにICカード540を滞留させた状態を維持するので、リトライ等による通信処理遅延にともなう異常発生を低減できる。
【0093】
S8において、改札制御部527は、ICチップ541との間の送受信の内容に基づいて、乗車期間の情報等が適切であるか否か、つまり通信処理の結果が正常であるか否を判定する。
改札制御部527は、通信処理の結果が正常である判定した場合には(S8:YES)、S9に進み、一方、通信処理の結果が異常であると判定した場合には(S8:NO)、S81に進む。
【0094】
(通過扉開閉処理)
S9において、改札制御部527は、通過扉522を開駆動する。
S10において、光学センサ等の検出部は、出口510bに向かって利用者が改札機を通過したことを検出すると、改札制御部527は、この検出部の出力に基づいて、通過扉522を閉駆動したり、又は、一定時間経過の後、通過扉522を閉駆動し、そして、電磁誘導改札機520側の処理を終了し、次のICカード540の受付を開始する(S11)。
(異常報知処理)
S81において、改札制御部527は、通過扉522の閉状態を維持して、S82において、音声出力部524か警告音を出力し、また表示部にICカード540が不適切である旨の表示をして、利用者に通信処理の結果が異常であることを報知する。そして、電磁誘導改札機520側の処理を終了し、次のICカード540の受付を開始する(S11)。
【0095】
(カード排出処理)
S12において、中継制御部537は、排出搬送機構を駆動して、停止範囲Cに搬送されたICカード540を排出口535から排出する。
なお、ICカード540が切符等の一回券である場合のために、出場時においては、ICカード540を収容する収容装置を設けてもよい。この場合には、中継制御部537(通信結果判定制御部)が改札制御部527及びICチップ541の間の送受信の監視内容に基づいて、改札制御部527及びICチップ541の間の通信処理が正常に終了したか否かを判定すればよい。そして、中継制御部537は、正常に終了したと判定した場合には、収容装置を制御して、ICカード540を収容容器内に収容し、一方、異常があったと判定した場合には、ICカード540を排出すればよい。
【0096】
(挿入口開駆動処理)
S13において、排出口535に設けられた光学センサ等の検出部(図示せず)は、排出口535から排出されたICカード540を利用者が抜き取ったことを検出すると、検出情報を中継制御部537に出力する。中継制御部537は、この検出部の出力に基づいて、挿入口開閉扉534bを開駆動して、中継通信装置530側の処理を終了し、次のICカード540の受付を開始する(S14)。
これにより、ICカード540の通信処理が正常に終了し通過扉522の挿入口開閉扉534bが開駆動が完了するまで(S10)、又は通信処理が異常であった場合に復旧処理が完了するまで、挿入口534への他のICカード540の挿入防止をすることができる。
【0097】
以上の処理によって、利用者は、通信結果が正常である場合には(S8:YES)、排出口535から排出されたICカード540(S12)を抜き取って、開駆動された通過扉522を通って出口510bから通信システム510を通過できる。
一方、利用者は、通信結果が異常である場合には(S8:NO)、通過扉522が閉位置を維持されているので(S81)、通信システム510を通過できず、入口510aに戻って排出口535から排出されたICカード540(S12)を抜き取って、再度挿入口534に挿入したり、ICカード540が不適切であることを認識して、清算処理等を行うことができる。
【0098】
また、ICカード540の導電部材532A,532Bが搬送方向Yに回転するベルトであるため、ICカード540を搬送させる場合に、導電部材532A,532BとICカード540の導電プレート542A,542Bとが近接して対向した状態を維持できる。これにより、利用者が通信システム510内を歩行する時間を利用して、ICカード540を搬送させながら通信処理できるため、ゲートアクセス処理時間等を短縮できる。
【0099】
例えば、従来の電磁誘導式の通信システムは、ICカード504とリーダライタとが数十mm程度離れていても通信できるため、ICカード504をリーダライタに近づけている途中から通信が可能となる。
これに対して、静電結合方式の通信システムのICカード540及びリーダライタ521間の通信距離は、前述したように2mm程度であり、電磁誘導方式の通信システムと比較すると短い。このため、ICカード540をリーダライタ521にほぼ密着させないと通信が開始されない。そのため、ICカード540及びリーダライタ521の間の通信時間は、電磁誘導方式の通信システムと同等であっても、利用者が体感する処理時間は、ICカード540を2mm程度まで近づける時間の分、長くなる。
実施形態の通信システム510は、前述したように、利用者が入口510aから出口510bに向かって歩行する時間を利用して、ICカード540を通信処理して、利用者が体感する処理時間の短縮を図っている。これにより、通信システム510は、静電結合方式を利用しても、利用者の通過時の混雑を抑制できる。
【0100】
例えば、従来の搬送装置を有する電磁誘導方式の通信システムは、ICカード540を通信可能領域まで搬送する時間が「搬送時間2秒」、停止させた後、通信処理をする時間が「通信処理時間1秒」であり、計3秒を要していた。これに対して、実施形態の通信システム510は、ICカード540を搬送させながら通信処理を行うので、「搬送時間2秒」内で通信処理を終了させる。このため、処理時間を従来よりも1秒短縮できる。
【0101】
以上説明したように、本実施形態の通信システム510は、導電部材532A,532Bが、ICカード540と一体で移動し、ICカード540の導電プレート542A,542Bとの間で通信するので、ICカード540を搬送させながら通信処理できるため、ゲートアクセス処理時間等を短縮できる。
【0102】
(第6実施形態)
次に、本発明を適用した第6実施形態について説明する。
なお、以下の説明及び図面において、前述した第5実施形態と同様の機能を果たす部分には、同一の符号又は末尾に同一の符号を付して、重複する説明を適宜省略する。
図12は、第6実施形態の改札システム601のブロック図である。
図13は、第6実施形態の中継通信装置630の内部構成を説明する図である。
図13(a)は、搬送装置660の平面図(図15(b)のa−a部矢視断面図)である。
図13(b)は、搬送装置660の側面図である。
【0103】
図12に示すように、本実施形態の改札システム601は、サーバ502等に接続されている点等が、第5実施形態と同様であり、通信システム610の構成が、第5実施形態とは異なる。なお、図12は、従来の電磁誘導改札機503等の図示を省略した。
電磁誘導改札機620は、7つのリーダライタ621(621−1〜621−7)と、これら各リーダライタ621−1〜621−7にそれぞれ接続された7つのR/Wループアンテナ621a(621a−1〜621a−7)とを備える。
中継通信装置630は、7つの中継ループアンテナ631(631−1〜631−7)と、これら各中継ループアンテナ631−1〜631−7に接続された7組の導電部材632A,632B(632A−1,632B−1〜632A−7,632B−7)とを備える。
【0104】
7つのリーダライタ621−1〜621−7のR/Wループアンテナ621a−1〜621a−7は、それぞれ中継通信装置630の中継ループアンテナ631−1〜631−7との間で、電磁誘導方式によって接続されている。
【0105】
図13に示すように、導電部材632A−1,632B−1は、左右方向Xに並べて、下ベルト661の外周に貼り付けられている。他の導電部材632A−2,632B−2〜632A−7,632B−7も同様である。また、7組の導電部材632A−1,632B−1〜632A−7,632B−7は、搬送方向Yに並べて、下ベルト661上に配列されている。
このため、7組の導電部材632A−1,632B−1〜632A−7,632B−7は、それぞれ異なるICカード640の間で独立して静電結合できる。
図13の場面は、導電部材632A−1,632B−1〜632A−3,632B−3がそれぞれ3枚のICカード640−1〜640−3の導電部材642A−1,642B−1〜642A−3,642B−3との間で静電結合しながら、搬送装置660がICカード640−1〜640−3を搬送方向に搬送している場面である。
【0106】
以上説明したように、本実施形態の通信システム610は、複数の導電部材632A,632Bが、それぞれ異なるICカード640との間で同時に通信できるので、ゲートアクセス処理時等を、さらに短縮できる。
【0107】
(第7実施形態)
次に、本発明を適用した第7実施形態について説明する。
図14は、第7実施形態の通信システム710のブロック図である。
図15は、第7実施形態の中継通信装置730の内部構成を説明する図である。
図15(a)は、搬送装置760の平面図(図15(b)のB−B部矢視断面図)である。
図15(b)は、搬送装置760の側面図である。
図14に示すように、中継通信装置730は、中継記憶部736、中継制御部737、搬送装置760、導電部材732A,732B(732A−1,732B−1〜732A−,732B−1)を備える。
【0108】
中継記憶部736は、中継通信装置730の動作に必要なプログラム、情報等を記憶するための半導体メモリ素子等の記憶装置である。
中継制御部737は、中継通信装置730を統括的に制御するための制御部であり、例えばCPU等から構成される。中継制御部737は、記憶部726に記憶された各種プログラムを適宜読み出して実行することにより、前述したハードウェアと協働し、本発明に係る各種機能を実現している。
【0109】
図15に示すように、搬送装置760の構成は、導電部材732A,732Bの組み合わせの数を第6実施形態よりも増やし、また、上ベルト等の構成を取り除いたものである。搬送装置760は、ICカード740を搬送するとともに、14組の導電部材732A−1,732B−1〜732A−14,732B−14を搬送方向Yに回転移動する。
搬送されるICカード740は、前述した個片工程前(切断前)の状態であり、搬送方向Yに沿って配列され、下層及び上層(基材)によってシート状に接続された状態である。
シート状のICカード740は、後述する送り出しローラ765a、巻き取りローラ765bに巻かれている。
搬送装置760は、下ベルト761、下ベルト駆動ローラ762(762a,762b)、送り出しローラ765a、巻き取りローラ765bを備える。
【0110】
送り出しローラ765aは、通信前のICカード740をリール状にして貯留するローラである。送り出しローラ765aは、搬送装置760の上流側Y1に配置されている。
巻き取りローラ765bは、通信後のICカード740をリール状にして貯留するローラである。巻き取りローラ765bは、駆動モータ(図示せず)が設けられており、巻き取り方向に回転駆動される。この駆動モータは、中継制御部737によって制御される。
上記構成により、巻き取りローラ765bが回転駆動することにより、送り出しローラ765aのICカード740を送り出して、巻き取りローラ765bに巻き取ることができる。これにより、ICカード740が、搬送方向Yに搬送される。
【0111】
図15に示すように、導電部材732A,732Bは、搬送方向Yの長さを、第6実施形態よりも小さくして、導電部材732A,732Bの組み合わせ間のピッチを短くして、組み合わせの数を第6実施形態よりも多くしたものである。導電部材732A,732Bの配列ピッチは、ICカード740の配列ピッチと同一である。
各導電部材732A−1,732B−1〜732A−14,732B−14は、中継ループアンテナ731−1〜731−14がそれぞれ接続されている。また、この中継ループアンテナ731−1〜731−14は、リーダライタ721−1〜721−14との間で通信するようになっている。
【0112】
下ベルト761及び下ベルト駆動ローラ762の構成は、第6実施形態と同様である。
一方、本実施形態の搬送装置760は、第6実施形態のような上ベルト663(図13参照)等が設けられていない。その理由は、前述したように、ICカード740は、送り出しローラ765a及び巻き取りローラ765bによって、搬送されるからである。なお、搬送中のICカード740を、各導電部材732A,732Bからの浮き上がりを防止して安定した通信処理をするために、上ベルト等や、押さえローラ等を設けてもよい。
【0113】
通信システム710の動作について説明する。
通信システム710は、以下の工程に従って、ICカード740との間の通信処理を行う。
(1)ICカード搬送工程(情報記憶媒体搬送工程)
図15に示すように、中継制御部737は、巻き取りローラ765bを駆動して、シート状に接続された複数のICカード740を搬送方向Yに搬送する。
【0114】
(2)導電部材移動工程
中継制御部737は、複数の導電部材732A,732Bを、複数のICカード740と同期させて、搬送方向Yに移動する。
なお、同期を取る方法は、ICカード740の搬送速度及び位置を検出する光学センサと、導電部材732A,732Bの移動速度及び位置を検出する光学センサとを設ければよい。そして、中継制御部737がこれらの検出に基づいて、ICカード740及び導電部材732A,732Bの移動速度を同一にし、かつ、ICカード740及び導電部材732A,732Bの同期を取ればよい。
【0115】
(3)静電結合通信工程
電磁誘導通信装置720のR/Wループアンテナ721a−1〜721a−14と、中継通信装置730の中継ループアンテナ731−1〜731−14は、電磁誘導方式により独立して通信する。
一方、導電部材移動工程で移動する複数の導電部材732A,732Bと、ICカード搬送工程で搬送している複数のICカード740の導電プレート742A,742Bとは、独立して静電結合する。
例えば、図15は、6枚のICカード740−1〜740−6の導電プレート742A−1,742B−1〜742A−6,742B−6が、6組の導電部材732A−1,732B−1〜732A−6,732B−6の間で、それぞれ独立して静電結合している例である。これにより、制御部727は、R/Wループアンテナ721a−1〜721a−6、中継ループアンテナ731−1〜731−6、導電部材732A−1,732B−1〜732A−6,732B−6、導電プレート742A−1,742B−1〜742A−6,742B−6を介して、ICカード740−1のICチップとの間で通信処理をする。
【0116】
なお、上記工程は、同時に行われ、中継通信装置730は、ICカード740を順次搬送し、また、電磁誘導通信装置720は、ICカード740の情報を順次読み取る。
また、通信システム710は、中継通信装置730の中継記憶部736、中継制御部737は、電磁誘導通信装置720に設けて、中継通信装置730、電磁誘導通信装置720を一体の装置構成にしてもよい。
【0117】
さらに、導電部材732A,732Bは、配列方向を左右方向Xではなく搬送方向Yにしてもよい。この場合には、導電部材732A,732Bが交互に配列されるので、第3実施形態の複数のICカード340であっても通信できる。第6実施形態も同様である。
【0118】
以上説明したように、本実施形態の通信システム710は、搬送方向Yに移動するICカード740との間で独立して通信できる。これにより、例えば、通信システム710は、ICカード740の検査時間等を短縮できる。
また、通信システム710は、ICカード740が基材により接続された状態で通信できる。これにより、例えば、ICカード740を切符に利用する場合のように、ICカード740をリール状で出荷し、切符販売機で切断して個片化する場合であっても、工場出荷時の検査等を行うことができる。
【0119】
なお、本実施形態では、ICカード740を通信システム710にて検査した後、リール状のまま、巻き取りローラ765bに巻き取る例を示したが、これに限定されない。
ICカード740は、通信システム710にて検査後、巻き取ることなく切断等して個片化し、検査良品と不良品とに分別してもよい。
【0120】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前述した実施形態に限定されるものではなく、後述する変形形態のように種々の変形や変更が可能であって、それらも本発明の技術的範囲内である。また、実施形態に記載した効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、実施形態に記載したものに限定されない。なお、前述した実施形態及び後述する変形形態は、適宜組み合わせて用いることもできるが、詳細な説明は省略する。
【0121】
(変形形態)
(1)実施形態において、リーダライタ及び中継通信装置は、電磁誘導方式により通信する例を示したが、これに限定されない。例えば、リーダライタ及び中継通信装置は、電磁結合方式によって通信してもよい。この場合には、ICカードに設けるICチップを、電磁結合方式によって通信できるタイプにすればよい。
なお、電磁結合は、原理的には電磁誘導と同じである。また、電磁結合方式の通信とは、カード側のアンテナとリーダライタ側のアンテナを対向させ、静止状態で電磁誘導により通信することをいう。
【0122】
(2)実施形態において、通信異常を報知する報知部は、電磁誘導改札機に設けられた例を示したが、これに限定されない。報知部は、中継通信装置に設けてもよい。この場合には、中継制御部が、ICカードが停止範囲に搬送されたときに、監視する改札制御部及びICチップの間の送受信の内容に基づいて、通信異常であるか否かを判定し、報知部を制御すればよい。
【0123】
(3)実施形態において、中継通信装置は、中継ループアンテナ、導電部材、搬送装置等が一体で1つの筐体内に組み込まれている例を示したが、これに限定されない。これらが一体として機能するシステムであれば、別々の筐体内に設けられていてもよい。
【0124】
(4)実施形態において、中継通信装置は、鉄道の改札システムに設けられている例を示したが、これに限定されない。このシステムは、電子マネー、社員証システム、物流管理等の各種システム等の様々なシステムに適用できる。例えば、店舗等のレジスタシステムに、電子マネーに関する電磁誘導方式のリーダライタが設けられている場合には、実施形態と同様に、このリーダライタに対して通信する中継通信装置を設ければ、容易に従来のレジスタシステムの適用できるし、また新たなレジスタシステムであっても、低コストで導入できる。
【符号の説明】
【0125】
10,510,710 通信システム
20,720 電磁誘導通信装置
21,521,621,721 リーダライタ
21a,521a,621a,721a R/Wループアンテナ
26,726 記憶部
27,727 制御部
30,530,630,730 中継通信装置
31,531,631,731 中継ループアンテナ
32A,32B,532A,532B,632A,632B,732A,732B 導電部材
40,240,340,540,640,740 ICカード
41,241,341,541 ICチップ
42A,42B,242A,242B,342A,342B,542A,542B,642A,642B,742A,742B 導電プレート
43,243,343,443 下層
44,244,344 上層
50,250A,250B,350,450A,450B 導電性薄板
501,601 改札システム
520,620 電磁誘導改札機
523 モニタ
524 音声出力部
526 改札機記憶部
527 改札制御部
534c,535c ICカード整列装置
560,660,760 搬送装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、電磁誘導方式又は電磁結合方式で通信する情報記憶媒体製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、利用者が所持するICカードを電磁誘導方式によって読み取る(又は書き込む)通信システムがあった(例えば特許文献1)。このような通信システムのICカードは、少なくとも非接触通信機能を有するICチップとアンテナコイルにより構成されており、ICカード内に具備されたICチップは、リーダライタから送出された信号より駆動電力の供給を受け、リーダライタから送出されるアナログ信号を受信しデジタル変換し、応答信号を返送することによりデータ送受信を実現している。非接触ICカードは、交通システム、電子マネー、社員証システム、物流管理等の各種システムで用いられている。
非接触ICカード用いた通信方式としては、通信周波数帯域に応じて、電磁結合方式、静電結合方式、電磁誘導方式、電波方式が用いられており、カード形態の非接触IC通信システムでは、電磁誘導方式が主流となっている。
しかし、電磁誘導方式の通信システムは、ICカードのアンテナコイルをエッチング等により形成するため高コストであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−123121号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、電磁誘導方式又は電磁結合方式で通信する通信システムを低コストで実現できる情報記憶媒体製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、以下のような解決手段により、課題を解決する。なお、理解を容易にするために、本発明の実施形態に対応する符号を付して説明するが、これに限定されるものではない。また、符号を付して説明した構成は、適宜改良してもよく、また、少なくとも一部を他の構成物に代替してもよい。
【0006】
・第1の発明は、電磁誘導方式又は電磁結合方式で通信する通信装置側ループアンテナ(21a,521a,621a,721a)と、前記通信装置側ループアンテナを介して通信処理する制御部(27,527,627,727)とを備える電磁誘導通信装置(20,520,620,720)と、前記通信装置側ループアンテナとの間で電磁誘導方式又は電磁結合方式で通信する中継ループアンテナ(31,531,631,731)と、前記中継ループアンテナの両端に接続されスリットを介して配置され導電性を有する一対の中継導電部材とを備える中継通信装置(30,530,630,730)とを備える通信システムに用いられ、前記中継通信装置を介して、前記電磁誘導通信装置の前記制御部との間で通信処理する情報記憶媒体を、一方向である媒体配列方向に配列して製造する情報記憶媒体製造方法であって、絶縁性基材上に、電気的に独立した一対の導電プレート(42A,42B,242A,242B,342A,342B,542A,542B,642A,642B,742A,742B)の複数の組み合わせを離間して形成する導電プレート形成工程と、前記導電プレート形成工程で形成した前記一対の導電プレートに対して、前記一対の導電プレート間のスリットを跨ぐように、電磁誘導方式又は電磁結合方式で通信可能なICチップ(41,241,341,541)を配置するICチップ配置工程とを備えること、を特徴とする情報記憶媒体製造方法である。
【0007】
・第2の発明は、第1の発明の情報記憶媒体製造方法において、導電性薄板(50,250A,250B,350)を、前記絶縁性基材上に形成する導電性薄板形成工程を備え、
前記導電プレート形成工程は、前記導電性薄板形成工程で形成された前記導電性薄板の一部である除去領域を除去して、前記導電プレートを離間させる導電性薄板除去工程を有すること、を特徴とする情報記憶媒体製造方法である。
・第3の発明は、第2の発明の情報記憶媒体製造方法において、前記導電性薄板除去工程は、前記導電性薄板(50,250A,250B,350)の一部である除去領域を、切削によって除去すること、を特徴とする情報記憶媒体製造方法である。
・第4の発明は、第3の発明の情報記憶媒体製造方法において、前記一対の導電プレート(42A,42B)の配列方向は、前記媒体配列方向に直交する直交方向(A)であり、
前記導電性薄板除去工程は、前記媒体配列方向に沿った除去領域を、切削によって除去して前記スリットを形成する媒体配列方向除去工程と、前記直交方向に沿った除去領域を、切削によって除去する直交方向除去工程とを備えること、を特徴とする情報記憶媒体製造方法である。
・第5の発明は、第3の発明の情報記憶媒体製造方法において、前記一対の導電プレートの配列方向(242A,242B)は、前記媒体配列方向に直交する直交方向(A)であり、前記導電性薄板形成工程は、一対の前記導電性薄板(250A,250B)を、前記スリットを有するように、前記媒体配列方向に並べて前記絶縁性基材上に形成し、前記導電性薄板除去工程は、前記導電性薄板の前記直交方向に沿った除去領域を、切削によって除去する直交方向除去工程を備えること、を特徴とする情報記憶媒体製造方法である。
・第6の発明は、第3の発明の情報記憶媒体製造方法において、前記一対の導電プレートの配列方向(342A,342B)は、前記媒体配列方向(B)であり、前記導電性薄板除去工程は、前記媒体配列方向に直交する直交方向に沿った前記一対の導電プレート間の除去領域を、切削によって除去して前記スリットを形成する一対のプレート間除去工程と、前記直交方向に沿った前記複数の組み合わせ間の除去領域を、切削によって除去する組み合わせ間除去工程とを備えること、を特徴とする情報記憶媒体製造方法である。
・第7の発明は、第2の発明の情報記憶媒体製造方法において、前記導電性薄板除去工程は、前記除去領域を、エッチングによって除去すること、を特徴とする情報記憶媒体製造方法である。
・第8の発明は、第1から第7までのいずれかの発明の情報記憶媒体製造方法において、前記導電プレート形成工程は、前記導電プレートをめっき法にて形成すること、を特徴とする情報記憶媒体製造方法である。
・第9の発明は、第1から第7までのいずれかの発明の情報記憶媒体製造方法において、前記導電プレート形成工程は、導電性インキ印刷にて形成されている事を特徴とする情報記憶媒体製造方法である。
・第10の発明は、第1から第9までのいずれかの発明の情報記憶媒体製造方法において、前記導電プレート形成工程は、前記媒体配列方向に隣合う前記導電プレートの間隔(L5)を、前記一対の各導電プレート間の前記スリット(40a,240a,340a)よりも十分に大きくすること、を特徴とする情報記憶媒体製造方法である。
・第11の発明は、第1から第10までのいずれかの発明の情報記憶媒体製造方法において、前記絶縁性基材のうち前記組み合わせ間を切断して、この情報記憶媒体(40,240,340)を個片にする個片工程を備えること、を特徴とする情報記憶媒体製造方法である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、以下の効果を奏することができる。
第1の発明は、中継通信装置が、電磁誘導通信装置との間で電磁誘導方式又は電磁結合方式により通信する中継通信装置側ループアンテナと、情報記憶媒体との間で静電結合により信号伝達可能な中継導電部材とを備える。これにより、電子情報記憶媒体に駆動電力が伝達されるとともに、電磁誘導通信装置からの送信データを電子情報記憶媒体に伝達でき、また、電子情報記憶媒体からの返信データを中継通信装置を介して、電磁誘導通信装置に伝達できる。
また、本発明は、情報記憶媒体にループアンテナを形成する必要がなく、2つの導電プレートを設ければよいので、従来の複雑なエッチング等のアンテナ形成工程が不要となり、低コストで情報記憶媒体を製造できる。このため、情報記憶媒体の発行量が多くなる程、従来のシステムと比較してコスト面で有利になり、低コストでシステムを構築できる。
さらに、本発明は、市場で多く流通している電磁誘導方式又は電磁結合方式の電磁誘導通信装置を流用してシステムを構築できるので、低コストで導入できる。すなわち、情報記憶媒体のICチップとして、市場に多く流通している電磁誘導方式又は電磁結合方式の非接触ICカードに用いられるICチップを流用でき、かつ、電磁誘導通信装置として、既存の非接触ICカード用のリーダライタを流用して装置を構成できる。これにより、静電結合用の特殊なICチップと、リーダライタとを新たに開発する必要なく、システムを構築できる。
加えて、本発明は、情報記憶媒体に一対の導電プレートを設ければよいので、情報記憶媒体にループアンテナを設ける場合と比較すると、情報記憶媒体の外形を小さくできる。これにより、情報記録媒体をさらに低コストで製造できる。
その上、絶縁性基材上に、電気的に独立した一対の導電プレートの複数の組み合わせを形成して複数のICチップを配置するので、基材上において、ICチップ配置後、各組み合わせが相互に電気的に独立している。このため、導電プレートに検査プローブを直接接触させ、又は近付けることにより、各ICチップの機能検査や接続状態検査を、同時に行うことができるため、検査効率を向上できる。
また、本発明は、情報記憶媒体を個片にする場合に、離間部分の基材を切断するので、金属箔等により形成された導電プレートを切断しなくてもよいため、切断刃の劣化を抑えることができる。
さらに、本発明は、導電プレートは離間しているので、隣合う組み合わせ間の離間部分の基材を切断して情報記憶媒体を個片化することにより、情報記憶媒体外周部に導電プレートが露出しない。このため、外部から静電気等によって過電圧印加した場合に、ICチップへのダメージを低減できる。さらに、情報記憶媒体を手で触れた場合等に、各導電プレートが人体を通じて接続されることよるICチップの動作不具合を防止できる。
【0009】
第2の発明は、導電性薄板を絶縁性基材上に配置した後、除去領域を除去して導電プレートを離間させるので、予め分離した導電プレートをそれぞれ基板上に配置する場合に比べて、工程を簡略にできる。また、分離した導電プレートを基板上に精度よく配置することは、困難であるが、本発明は、例えば、直線状の除去領域を除去すればよいので、加工が簡単であり、かつ、導電プレート間の間隔の精度向上も容易である。
【0010】
第3の発明は、除去領域を切削によって除去するので、各個片に分離させる場合には、組み合わせ間の絶縁性基材部を切断すればよい。このため、導電プレートを切断しなくてもよいので、切断刃の劣化を抑えることができる。また、エッチング工法が多くの工程(レジスト形成工程、エッチング処理工程、洗浄工程等)を有するのに対して、切削工法は、切削刃による切削のみであり工程の短縮化、加工コストの低減を図ることができる。
【0011】
第4の発明は、媒体配列方向除去工程で、媒体配列方向に沿った一対の導電プレート間の除去領域を、切削によって除去するので、媒体配列方向に沿って切削することにより、複数の組み合わせ分の一対の導電プレート間のスリットを一工程で作製できる。
また、短辺方向除去工程で、直交方向に沿った複数の組み合わせ間の除去領域を、切削によって除去するので、隣合う組み合わせ間の離間部分を作製できる。
【0012】
第5の発明は、一対の導電性薄板を、スリットを有するように絶縁性基材上に配置するので、一対の導電プレート間にスリットを形成する工程が不要であるため、工程の短縮化を図ることができる。
【0013】
第6の発明は、一対の導電プレートの配列方向が媒体配列方向であり、一対のプレート間除去工程の切削方向と、組み合わせ間除去工程の切削方向とが、ともに直交方向であるので、これらを、同一工程で加工でき、工程の短縮化を図ることができる。
【0014】
第7の発明は、除去領域を、エッチングによって除去するので、一対の導電プレート間のスリット幅を狭くできるため、小さなICチップであっても実装できる。また、隣合う組み合わせ間の導電プレート間の間隔を広くできるため、基材を切断して情報記憶媒体を個片化する際の切断精度マージンを広げることができ、作業性を向上できる。
第8の発明は、導電プレートを、めっき法によって形成するので、一対の導電プレート間のスリット幅を狭くできるため、小さなICチップであっても実装できるとともに、導電層の厚みを薄くし、安価に形成することができる。また、隣合う組み合わせ間の導電プレート間の間隔を広くできるため、基材を切断して情報記憶媒体を個片化する際の切断精度マージンを広げることができ、作業性を向上できる。
第9の発明は、導電プレートを、導電性インキ印刷によって形成するので、一対の導電プレート間のスリット幅を狭くできるため、小さなICチップであっても実装できるとともに、導電層の厚みを薄くし、安価な製造工法にて形成することができる。また、隣合う組み合わせ間の導電プレート間の間隔を広くできるため、基材を切断して情報記憶媒体を個片化する際の切断精度マージンを広げることができ、作業性を向上できる。
【0015】
第10の発明は、媒体配列方向に隣合う導電プレートの間隔は、一対の各導電プレート間の間隔がよりも大きいので、基材を切断して情報記憶媒体を個片化する際の切断精度マージンを広げることができ、作業性を向上できる。
【0016】
第11の発明は、絶縁性基材のうち組み合わせ間を切断して、この情報記憶媒体を個片にするので、上記第1の発明と同様に、情報記憶媒体外周部に導電プレートが露出せず、ICチップへのダメージ低減、ICチップの動作不具合を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】第1実施形態の通信システム10の基本構成を説明する図である。
【図2】第1実施形態のICカード40の製造方法を説明する平面図である。
【図3】第2実施形態のICカード240の製造方法を説明する平面図である。
【図4】第3実施形態のICカード340の製造方法を説明する平面図である。
【図5】第4実施形態の積層工程に利用する積層装置460の斜視図である。
【図6】第5実施形態の改札システム501のブロック図である。
【図7】第5実施形態の通信システム510の斜視図である。
【図8】第5実施形態の中継通信装置530の内部構成を説明する図である。
【図9】第5実施形態のICカード540の平面図、及びICカード540のずれを説明する平面図である。
【図10】第5実施形態の搬送装置560、挿入口534、排出口535を模式的に示す平面図である。
【図11】第5実施形態の通信システム510の動作のフローチャートである。
【図12】第6実施形態の改札システム601のブロック図である。
【図13】第6実施形態の中継通信装置630の内部構成を説明する図である。
【図14】第7実施形態の通信システム710のブロック図である。
【図15】第7実施形態の中継通信装置730の内部構成を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
(第1実施形態)
以下、図面等を参照して、本発明の第1実施形態について説明する。
なお、以下の説明及び図面において、カード表面及びの導電部材表面の法線方向を鉛直方向Zとし、鉛直方向Zから見た図を適宜平面図といい、平面図の形状を適宜平面形状という。
また、搬送装置の座標系は、ICカードを搬送する方向を搬送方向Yとし、平面図において搬送方向Yに直交する方向を左右方向Xとする。また、ICカードの座標系は、製造時において、複数のICカードが配列される方向(媒体配列方向)を縦方向Bとし、平面図において縦方向Bに直交する方向を横方向Aとする。
【0019】
(基本構成)
最初に、第1実施形態の通信システム10の基本構成について説明する。
図1は、第1実施形態の通信システム10の基本構成を説明する図である。
図1(a)は、電磁誘導通信装置20、リーダライタ21、中継通信装置30、ICカード40の通信方法を説明する斜視図である。
図1(b)は、通信システム10の基本構成を説明する概念図(図1(a)のB−B部矢視断面図の相当する図)である。
【0020】
通信システム10は、電磁誘導通信装置20、中継通信装置30、ICカード40(情報記憶媒体)を備える。
電磁誘導通信装置20は、本来は、電磁誘導方式のループアンテナを備えるICカードとの間で、情報を直接送受信可能な装置であるが、実施形態では、中継通信装置30を介して、静電結合方式の導電プレート42A,42B(後述する)を備えるICカード40との間で情報を送受信する。
電磁誘導通信装置20は、リーダライタ21、記憶部26、制御部27を備える。
リーダライタ21は、R/Wループアンテナ21a(通信装置側ループアンテナ)を備える。
R/Wループアンテナ21aは、例えば、3回巻き程度のループアンテナであり、大きさが40mm×40mm程度である。R/Wループアンテナ21aは、例えばエッチング等の手法により、プリント配線基板上に銅パターンを配線して形成される。R/Wループアンテナ21aの両端の端子は、制御部27に接続される。
【0021】
記憶部26は、電磁誘導通信装置20の動作に必要なプログラム、情報等を記憶するための半導体メモリ素子等の記憶装置である。記憶部26は、ICカード40に書き込む情報や、ICカード40と照合する情報等を記憶している。
制御部27は、電磁誘導通信装置20を統括的に制御するための制御部であり、例えばCPU等から構成される。制御部27は、記憶部26に記憶された各種プログラムを適宜読み出して実行することにより、前述したハードウェアと協働し、本発明に係る各種機能を実現している。
【0022】
中継通信装置30は、リーダライタ21及びICカード40間の通信を可能にする装置である。中継通信装置30は、中継ループアンテナ31、導電部材32A,32Bを備える。
中継ループアンテナ31は、R/Wループアンテナ21aとの間で電磁誘導方式により通信(結合)するアンテナである。中継ループアンテナ31は、例えば、3回巻き程度のループアンテナであり、大きさが40mm×40mm程度である。中継ループアンテナ31は、例えば、エッチング等の手法により、プリント配線基板上に銅パターンを配線して形成される。
【0023】
導電部材32A,32Bは、銅等の導電性材料を板状に形成した部材である。各導電部材32A,32Bは、それぞれ中継ループアンテナ31の両端に電線31a,31bにより電気的に接続されている。導電部材32A,32Bは、例えば長さL1=1mm程度の間隔を隔てて並列配置されている。
後述する実施形態のように、導電部材32A,32Bは、ベルト61に貼り付けられており、ICカード40と同期して搬送方向Yの下流側Y2(カード搬送方向)に沿って移動する。導電部材32A,32Bは、移動中に、ICカード40の一対の導電プレート42A,42B(後述する)にほぼ密着し(例えば、導電部材32A,32Bの上面と、導電プレート42A,42Bの下面との距離が2mm程度)、かつ、この導電プレート42A,42Bにそれぞれ対向配置されることにより、導電プレート42A,42Bと静電結合する。
【0024】
ICカード40は、外部接触端子を備えない非接触型のカードである。ICカード40の大きさは、クレジットカード等のサイズに限定されるものではなく、用途(例えば切符等)に応じて、任意の大きさに設定できる。
ICカード40は、ICチップ41、一対の導電プレート42A,42B、下層43、上層44を備える。
ICチップ41は、電磁誘導方式で通信可能な集積回路であり、従来の電磁誘導方式のICカードに内蔵されているものと、同種のものである。ICチップ41は、ICカード40の動作に必要なプログラム、情報等を記憶する記憶部と、この記憶部に記憶された各種プログラムを適宜読み出して実行することによりICカード40を統括的に制御する制御部とを備える。
【0025】
ICチップ41は、厚さが例えば150μm程度である。ICチップ41は、導電プレート42A,42B間のスリット40aを跨ぐように配置されている。
ICチップ41の入出力部(リードフレーム等)は、導電プレート42A,42Bに対して、異方性導電性ペースト、異方性導電性フィルム、導電性接着剤等の接続部材46によって、それぞれ電気的及び機械的に接続されている。なお、ICチップ41が電磁誘導方式のものであるため、この入出力部は、本来、ループアンテナに接続されるものである。
【0026】
導電プレート42A,42Bは、それぞれ厚さ10μm、短辺×長辺が20mm×25mmのアルミニウム箔である。導電プレート42A,42Bは、下層43に貼り付けられている。導電プレート42A,42Bは、縦方向Bに細長いスリット40aを介して配列されている。スリット幅L2は、例えば0.5mm程度である。カード搬送時において、搬送方向Y及びICカード40の縦方向Bは、一致する。
【0027】
下層43は、ICカード40の基材である。下層43は、例えば、厚さ180μm、短辺×長辺が25.0mm×57.5mmのPET、PET−G、PVC、ポリイミド等の絶縁性フィルム基材である。
上層44は、絶縁性材料(PET、PET−G、PVC、ポリイミド、紙等)により形成されている。上層44は、例えば厚さ200μm程度である。上層44は、ICチップ41、導電プレート42A,42Bを覆うように、接着材45(液状、フィルム状の接着剤や、粘着剤等)によって下層43に貼り付けられている。
【0028】
(通信方法)
次に、第1実施形態の通信システム10の基本的な通信方法について説明する。
(リーダライタ21及び中継通信装置30間の接続)
R/Wループアンテナ21a及び中継ループアンテナ31の間は、電磁誘導方式により非接触で接続され、情報の送受信をすることができる。電磁誘導方式を用いたICカード40の通信方式は、ISO/IEC14443,15693,18092にて規格化されており、13.56MHzの信号周波数が用いられる。
なお、R/Wループアンテナ21a及び中継ループアンテナ31の巻数は、3巻程度である例を説明したが、これに限定されない。両者の間が電磁誘導方式により非接触で接続される巻数であればよく、巻数は、例えば1巻以上であればよい。
【0029】
(中継通信装置30及びICカード40間の接続)
導電部材32A,32B及び導電プレート42A,42Bは、コンデンサプレートとして機能して、両者の間が静電結合方式により非接触で接続され、情報の伝達をすることができる。
【0030】
中継ループアンテナ31がR/Wループアンテナ21aに接近することにより起電力が発生し、導電部材32A,32B及び導電プレート42A,42Bが静電結合し、ICチップ41に駆動電力が伝達される。また、電磁誘導通信装置20からの送信データをICチップ41に伝達でき、一方、ICチップ41からの返信データを中継通信装置30を介して、電磁誘導通信装置20に伝達できる。
【0031】
以上により、通信システム10は、電磁誘導通信装置20の制御部27と、ICカード40のICチップ41との間で、通信処理を行うことができる。
【0032】
(ICカード40の製造方法)
次に、第1実施形態のICカード40の製造方法について説明する。
図2は、第1実施形態のICカード40の製造方法を説明する平面図である。
導電プレート42A,42Bの配列方向は、横方向A(媒体配列方向に直交する方向)である。
【0033】
ICカード40の製造方法は、以下の手順に従う。
(1)導電性薄板形成工程
下層43上に、導電性薄板50を貼り付ける。導電性薄板50は、導電プレート42A,42Bへと加工される板材である。導電性薄板50は、横方向Aの長さが下層43よりも短く、平面形状が縦方向Bに細長い。
【0034】
(2)導電性薄板切削工程(導電性薄板除去工程、導電プレート形成工程)
導電性薄板切削工程は、導電性薄板50の一部の除去領域を切削もしくはハーフカットによって除去して、ICカード40の導電プレート42A,42Bを離間させ、また、隣合うICカード40間の導電プレート42A,42Bを離間させる工程である。これによって、下層43上に、電気的に独立した導電プレート42A,42Bの複数の組み合わせを形成できる。
なお、実施形態では、一対の導電プレートの複数の組み合わせが形成され、ICカードへと個片化前の状態であり、配列方向に隣合う導電プレートの組み合わせが下層等(基材)によって接続された状態であっても、適宜ICカードという。
導電性薄板切削工程は、縦方向切削工程(媒体配列方向除去工程)、横方向切削工程(直交方向除去工程)を有する。
【0035】
(2−1)縦方向切削工程
図2(b)に示すように、縦方向Bに沿った除去領域を、フライス等の切削加工によって除去する。これにより、導電性薄板50が2枚の導電性プレート50A,50Bに分断され、縦方向Bに細長いスリット50aが形成される。
切削方法は、切削刃を縦方向Bに沿って走査したり、切削刃を固定した状態で、下層43を縦方向Bに移動するといった工法によって行う。
スリット50aの幅は、ICカード40のスリット40aのL2の長さに等しく、0.5mm程度である。
図2(b−2)の断面図に示すように、切削深さL3は、スリット50aの削除残を防止するために、下層43表面よりも深くする。
なお、切削加工は、円形刃等による切削加工、三角刀、丸刀、平丸刀等による切削加工や、金型を用いたハーフカット加工等を用いてよい。
【0036】
(2−2)横方向切削工程
図2(c)に示すように、隣り合うICカード40の間、つまり一対の導電プレート42A,42Bの組み合わせの間の除去領域を、切削によって除去する。切削方法は、縦方向切削工程と同様であり、走査間隔L4毎に複数回、横方向Aに走査すればよい。
縦方向Bにおける走査間隔L4は、ICカード40の短辺の長さに等しい。横方向切削工程の走査幅L5は、2mm程度であり、縦方向切削工程の走査幅L2よりも大きい。横方向切削工程の走査幅L5を大きくする理由は、後述する個片工程における、加工誤差を十分に勘案して、カード端面(切断面)から導電プレート42A,42Bが露出しないようにするためである。
【0037】
縦方向切削工程及び横方向切削工程を行うことにより、導電プレート42A,42Bの複の組み合わせを作製できる。なお、縦方向切削工程及び横方向切削工程は、順序を入れ替えもよい。
【0038】
なお、上記工程は、以下の方法で行ってもよい。
・導電性薄板50を切削する代わりに、除去領域をエッチングによって除去してもよい。エッチングに利用するマスクパターンは、微細に形成できるという特徴を有する。このため、この場合には、スリット40aの幅を狭くでき、ICチップ41が小さなものであっても実装できる。
・下層43上に導電性薄板50を貼り付ける代わりに、下層43上にめっき法によって、導電層を薄板状に積層して、導電性薄板50に相当する層を設けてもよい。この場合には、上記効果に加えて、導電層の厚みを薄くできるので、安価に形成することができる。また、スリット50aに相当する領域、及び導電プレート42A,42Bの組み合わせの間の除去領域にマスキングを施しておけば、導電性薄板切削工程が必要ないので、工程を削減できる。
・同様に、下層43上に導電性インキを印刷して、導電性薄板50に相当する層を設けてもよい。この場合にも、導電層の厚みを薄くし、安価な製造工法にて形成することができる。また、スリット50aに相当する領域、及び導電プレート42A,42Bの組み合わせの間の除去領域を印刷しなければ、導電性薄板切削工程が必要ないので、工程を削減できる。
・導電プレート42A,42Bは、下層43に積層後に切削して形成するのではなく、予め個片化して下層43上に配置してもよい。この場合には、導電プレート42A,42Bは、下層43上に積層した状態で図2(c)の状態となり、工程を簡略できる。
【0039】
(3)ICチップ配置工程
図2(d)に示すように、導電プレート42A,42Bの各組み合わせに対して、スリット40aを跨ぐように、それぞれICチップ41を配置する。
ICチップ41には、アンテナ接続用端子に金めっき等のバンプ加工を予め施しておく。そして、アンテナ接続用端子と導電プレート42A,42Bとを、向かい合うように配置して、異方性導電フィルム、異方性導電ペースト、絶縁性ペースト等を介して接続する。
なお、下層43のICチップ41搭載面には、ICチップ41の搭載位置の目印を、印刷等により設けておいてもよい。ICチップ41の搭載時の作業を、容易、かつ、均一にするためである。
【0040】
(4)上層配置工程
図2(d)に示すように、上層44を積層する(図1(b)参照)。
上層配置工程では、上層44を、下層43、ICチップ41、導電プレート42A,42Bの上側Z2に、接着材45(図1参照)で貼り付ける。上層44を積層することにより、ICチップ41をカバーして補強でき、また、上層44表面には、印刷等を施すことができる。
【0041】
(5)個片工程
図2(e)に示すように、下層43及び上層44のうち、隣合うICカード40間の中心(複数の組み合わせ間の中心)を切断線40bとして、打ち抜き加工によりICカード40を個片にする。
なお、上記除去工程において、隣合う組み合わせ間の導電プレート42A,42Bの距離を広くしている。このため、個片工程において、下層43を切断する際の切断精度マージンを広げることができ、作業性を向上できる。
なお、下層43及び上層44のうち少なくとも1つに、切断位置を示す印刷等を設けておけば、切断作業が容易になる。
また、個片工程は、打ち抜き加工に限定されるものではなく、断裁加工を行ってもよい。
【0042】
以上説明したように、本実施形態の通信システム10は、以下の効果を奏する。
(1)R/Wループアンテナ21aと中継ループアンテナ31とが電磁誘導することにより信号が伝達し、中継通信装置30の導電部材32A,32BとICカード40の導電プレート42A,42Bとを向かい合わせ、静電結合させることにより信号を伝達できる。
これにより、ICカード40は、ループアンテナが必要なく、導電プレート42A,42Bを設ければよいので、従来の複雑なエッチング等のアンテナ形成工程が不要となり、低コストで製造できる。このため、ICカード40の発行枚数が多くなる程、コスト面で有利になり、低コストでシステムを構築できる。
【0043】
(2)市場で多く流通している電磁誘導通信装置20を転用できるので、容易かつ低コストでシステムを構築できる。
また、新たなシステムを導入する場合であっても、電磁誘導方式のICカードに用いられるICチップを流用でき、かつ、既存の非接触IC用のリーダライタを流用できる。これにより、静電結合用の特殊なICチップと、電磁誘導通信装置とを新たに開発する必要なく、システムを構築できる。
【0044】
(3)製造時において、下層43上に、複数の組み合わせの導電プレート42A,42Bを電気的に独立して配置できる。このため、ICカード40の出荷時等において、導電プレート42A,42Bに検査プローブを直接接触させ、又は近付けることにより、複数のICチップ41の機能検査や接続状態検査を、同時に行うことができるため、検査効率を向上できる。
【0045】
(4)ICカード40の端面(切断面)に導電プレート42A,42Bが露出しないので、外部から静電気等によって過電圧印加した場合等に、ICチップ41へのダメージを低減できる。また、ICカード40を手で触れた場合等に、導電プレート42A,42Bが人体を通じて接続されることによるICチップ41の動作不具合を防止できる。
【0046】
(5)予め分離した導電プレート42A,42Bを、それぞれ下層42上に配置する場合には、下層42上に精度よく配置することは、困難であるが、本実施形態では、導電性薄板50を下層42上に配置して、除去領域を除去して導電プレート42A,42Bを離間させるので、加工が簡単であり、かつ、スリット40aの寸法精度を向上できる。
【0047】
(6)個片工程では、金属箔等により形成された導電プレート42A,42Bを切断しなくてもよいので、切断刃の劣化を抑えることができる。また、切削工法を用いることにより、エッチング工法よりも工程を短縮化し、加工コストの低減を図ることができる。
【0048】
(7)縦方向切削工程で、スリット50aを設けるので、複数のICカード40のスリット40aを、一工程で作製できる。
【0049】
(第2実施形態)
次に、本発明を適用した第2実施形態について説明する。
なお、以下の説明及び図面において、前述した第1実施形態と同様の機能を果たす部分には、同一の符号又は末尾に同一の符号を付して、重複する説明を適宜省略する。
第2実施形態は、ICカード240の製造方法を第1実施形態から変更したものである。
【0050】
図3は、第2実施形態のICカード240の製造方法を説明する平面図である。なお、図3のうち図2に対応する図面には、括弧内に同一の符号を付す。
ICカード240の製造方法は、以下の手順に従う。
(導電性薄板形成工程)
図3(b)に示すように、下層243上に一対の導電性薄板250A,250Bを配置する。
各導電性薄板250A,250Bの横方向Aの長さL6は、各導電プレート242A,242Bの横方向Aの辺の長さL6に等しい。
この一対の導電性薄板250A,250Bを、スリット250a(幅L2)を有するように、横方向Aに並べて下層243上に積層する。
【0051】
(導電性薄板切削工程)
図3(c)に示すように、導電性薄板切削工程は、横方向切削工程のみを有し、導電性薄板250A,250Bの横方向Aに沿った除去領域を、切削によって除去する。
このように、本実施形態の製造方法は、導電性薄板250A,250Bを予めスリット250aを有するように下層243に配置するので、スリット240aを形成するための切削工程が不要であるため、工程の短縮化を図ることができる。
【0052】
(第3実施形態)
次に、本発明を適用した第3実施形態について説明する。
第3実施形態は、ICカード340の製造方法を第1実施形態から変更したものである。
図4は、第3実施形態のICカード340の製造方法を説明する平面図である。なお、図4のうち図2に対応する図面には、括弧内に同一の符号を付す。
図4に示すように、ICカード340の配列方向と、導電プレート342A,342Bの配列方向とは、ともに縦方向Bである。
【0053】
本実施形態のICカード340の製造方法は、以下の手順に従う。
(導電性薄板配置工程)
図4(b)に示すように、下層343上に導電性薄板350を配置する。
導電性薄板350の横方向Aの長さは、導電プレート342A,342Bの横方向Aの辺の長さに等しい。
【0054】
(導電性薄板切削工程)
導電性薄板切削工程は、スリット切削工程(一対のプレート間除去工程)、カード間切削工程(組み合わせ間除去工程)を有する。
スリット切削工程は、一対の導電プレート342A,342B間の除去領域を、横方向Aに沿って切削によって除去して、スリット340aを形成する。
カード間切削工程は、隣り合うICカード340の間の除去領域340cを、横方向Aに沿って切削によって除去する。
【0055】
このように、本実施形態の製造方法は、スリット切削工程及びスリット切削工程及の切削方向が、ともに横方向Aである。このため、両工程で用いる両切削刃を、スリット340aの中心及び除去領域340cの中心間の長さL7分だけ隔てて配置し、同時に横方向Aに走査すれば、一組のスリット340a及び除去領域340cを同一工程で加工でき、工程の短縮化を図ることができる。
【0056】
(第4実施形態)
次に、本発明を適用した第4実施形態について説明する。
第4実施形態は、下層443及び導電性薄板450A,450Bの積層装置460の例である。
図5は、第4実施形態の積層工程に利用する積層装置460の斜視図である。
本実施形態は、第2実施形態の製造方法と同様な導電性薄板450A,450Bを下層443に積層する例を説明する。
積層装置460は、下層送りロール部461、導電性薄板送りロール部462、ニップローラ部463,464、巻き取りロール部465を備える。
【0057】
下層送りロール部461は、ロール状にした下層443を送り出す部分である。
導電性薄板送りロール部462は、ロール状にした導電性薄板450A,450Bを送り出す部分である。
ニップローラ部463は、下層送りロール部461から送り出された下層443と、導電性薄板送りロール部462から送り出された導電性薄板450A,450Bとを、上ローラ463a及び下ローラ464b間に挟んで圧接して積層する。
ニップローラ部464は、ニップローラ部463よりも下流側に配置されたニップローラである。ニップローラ部464は、上ローラ464a及び下ローラ464b間で、下層443と導電性薄板450A,450Bとを、さらに圧接して、これらを確実に貼り合わせる。
巻き取りロール部465は、駆動装置(図示せず)によって回転駆動されることによって、積層された下層443と導電性薄板450A,450Bとを巻き取るローラである。
【0058】
以上の構成により、積層装置460は、下層送りロール部461の下層443と、導電性薄板送りロール部462の導電性薄板450A,450Bとを、巻き取りロール部465を回転駆動して引き出して、ニップローラ部463,464によって圧接し積層できる。また、積層装置460は、積層した下層443と導電性薄板450A,450Bとを、巻き取りロール部465によって、ロール状にして保管できる。
【0059】
なお、本実施形態は、第2実施形態と同様なICカードの積層方法を説明したが、第1又は第3実施形態と同様なICカードの積層方法にも転用できる。
【0060】
(第5実施形態)
次に、本発明を適用した第5実施形態について説明する。
第5実施形態は、電磁誘導改札機520、中継通信装置530、ICカード540を用いた通信システムである。
図6は、第5実施形態の改札システム501のブロック図である。
図7は、第5実施形態の通信システム510の斜視図である。
【0061】
(改札システム501の構成)
改札システム501は、鉄道等の入退場ゲートに用いられるシステムである。改札システム501は、サーバ502及び複数の電磁誘導改札機503が接続された従来のシステムに、通信システム510がサーバ502に接続されて構成される。改札システム501で用いられる切符、定期券等は、ICチップが内蔵されたICカード504,540(情報記憶媒体)である。
【0062】
サーバ502は、サーバ記憶部502a、サーバ制御部502bを備える。
サーバ記憶部502aは、サーバ502の動作に必要なプログラム、情報等を記憶するハードディスク、半導体メモリ素子等の記憶装置である。
サーバ記憶部502aは、例えば、ICカード504,540の情報(乗車区間、期限、利用者の氏名等)を記憶する。サーバ記憶部502aの情報は、券売機等でICカード504,540が再発行される場合等に適宜参照される。
サーバ制御部502bは、サーバ502を統括的に制御するための制御部であり、例えばCPU等から構成される。サーバ制御部502bは、サーバ記憶部502aに記憶された各種プログラムを適宜読み出して実行する。
電磁誘導改札機503は、従来の電磁誘導方式の改札機であり、電磁誘導方式の従来のICカード504との間で、情報の送受信をすることができる。
【0063】
通信システム510は、従来の電磁誘導改札機503と同じ電磁誘導改札機520(電磁誘導通信装置)に対して、中継通信装置530が加えられることにより構成される。通信システム510は、中継通信装置530を介して、電磁誘導改札機520及び静電結合(静電容量結合)型のICカード540との間で情報を送受信できる。
なお、改札システム501は、電磁誘導改札機503を利用せずに、複数の通信システム510のみから構成してもよい。また通信システム510は、従来の電磁誘導改札機520及び通信システム510を組み合わせた装置ではなく、新たに専用に設けた一体型の装置でもよい。
【0064】
電磁誘導改札機520は、改札記憶部526、改札制御部527(通信結果判定制御部)を備える。
改札記憶部526は、電磁誘導改札機520の動作に必要なプログラム、情報等を記憶するための半導体メモリ素子等の記憶装置である。
改札制御部527は、電磁誘導改札機520を統括的に制御するための制御部であり、例えばCPU等から構成される。改札制御部527は、改札記憶部526に記憶された各種プログラムを適宜読み出して実行することにより、前述したハードウェアと協働し、本発明に係る各種機能を実現している。
なお、電磁誘導改札機520は、電磁誘導改札機503と同様な構成であるので、改札記憶部526、改札制御部527は、電磁誘導改札機503に設けられている記憶部、制御部(図示せず)と、基本構成が同様である。
【0065】
中継通信装置530は、中継記憶部536、中継制御部537を備える。
中継制御部537は、中継通信装置530の動作に必要なプログラム、情報等を記憶するための半導体メモリ素子等の記憶装置である。
中継制御部537は、中継通信装置530を統括的に制御するための制御部であり、例えばCPU等から構成される。中継制御部537は、中継記憶部536に記憶された各種プログラムを適宜読み出して実行することにより、前述したハードウェアと協働し、本発明に係る各種機能を実現している。
中継制御部537は、電磁誘導改札機520に電気的に接続されており、電磁誘導改札機520及びICカード540間での通信の結果、判定及び状況を確認できる。
【0066】
ICカード540のICチップ541は、ICチップ記憶部541a、ICチップ制御部541b、アナログ回路部541cを備える。
ICチップ記憶部541aは、ICカード540の動作に必要なプログラム、情報等を記憶するための記憶回路である。ICチップ記憶部541aは、例えば、乗車区間、使用期間、利用者の氏名等の情報を、書き換え可能に記憶する。
ICチップ制御部541bは、ICカード540を統括的に制御するための制御部であり、例えばCPU等から構成される。ICチップ制御部541bは、ICチップ記憶部541aに記憶された各種プログラムを適宜読み出して実行することにより、本発明に係る各種機能を実現している。
アナログ回路部541cは、整流回路、変調回路、復調回路、CLK抽出回路等により構成されている。アナログ回路部541cは、ICチップ入出力端子を介して入力された信号に対して、AD変換、クロック生成等を行い、ICチップ制御部541bへの電圧供給、クロック供給、データ入出力等を行う。
【0067】
以下、通信システム510の構造等について詳細に説明する。
通信システム510は、鉄道の各駅に配置される装置である。通信システム510は、利用者が所持するICカード540の情報を読み取り、乗車区間、使用期間等の認証を行い、通過扉522の開閉等を行う。
通信システム510の基本構成は、第1実施形態の通信システム10と同様であり、電磁誘導改札機520と、中継通信装置530とを備える。図7では、通信システム510の手前側から奥側に向かって歩行するようになっている。実施形態では、利用者の入場、出場に関わらず、手前側を入口510a、奥側を出口510bとして説明する。
【0068】
電磁誘導改札機520は、本来は、電磁誘導改札機503と同様に、電磁誘導方式のICカード504との間で情報を送受信可能な装置であるが、実施形態では、中継通信装置530を介して、電磁誘導方式のICカード540との間で情報を送受信できる。
図6、図7に示すように、電磁誘導改札機520は、リーダライタ521、通過扉522、モニタ523、音声出力部524を備える。
リーダライタ521は、R/Wループアンテナ521a(電磁誘導通信装置側ループアンテナ)を備える。
【0069】
図7に示すように、通過扉522は、電磁誘導改札機520の筐体に設けられた開閉扉である。通過扉522は、DCモータ等を備える駆動装置によって開閉駆動される。
モニタ523及び音声出力部524は、通信処理の結果を報知する報知部である。
モニタ523は、液晶表示装置等の表示装置である。モニタ523は、電磁誘導改札機520のケース表面のうち搬送方向Yの下流側Y2の範囲に配置されている。モニタ523は、例えば文字等を出力して、残高、通信異常等を報知する。なお、利用者がモニタ523を目視できるように、中継通信装置530は、モニタ523が露出するように、電磁誘導改札機520上に載置されている。
音声出力部524は、音声出力するスピーカである。音声出力部524は、例えば、警告音、音声ガイド等を出力して、通信異常等を報知する。
【0070】
中継通信装置530は、電磁誘導改札機520上に載置されることにより、電磁誘導改札機520及びICカード540間の通信を可能にする装置である。
中継通信装置530は、中継ループアンテナ531、一対の導電部材532A,532B、挿入口534、排出口535、搬送装置560を備える。
【0071】
導電部材532A,532Bは、ICカード540の搬送方向Yに沿って平行に配置されている。532A,532Bは、導電性ゴム等により形成され、平ベルト状に形成されている。導電部材532A,532Bは、下ベルト561(図8参照)の外周面に貼り付けられており、下ベルト561と一体で搬送方向Yに回転にする。
なお、後述するように、導電部材532A,532B上の移動範囲のうち下流側Y2の範囲は、通信結果を判定するために、搬送装置560が搬送しているICカード540を停止する停止範囲A1(通信結果判定範囲)である(図8参照)。
【0072】
図7に示すように、挿入口534は、利用者がICカード540を挿入するための入口である。挿入口534には、挿入カード送り装置534a、挿入口開閉扉534b(図10参照)が設けられている。
挿入カード送り装置534aは、ローラ及びこれを回転するモータ等を備え、挿入されたICカード540を搬送装置560に導く装置である。
挿入口開閉扉534bは、挿入口534を開閉する扉及びこれを開閉駆動するモータ等を備える装置である。
【0073】
排出口535は、搬送装置560によって搬送されたICカード540を排出する出口である。排出口535は、排出カード送り装置535a(図10参照)が設けられている。
排出カード送り装置535aは、ローラ及びこれを回転するモータ等を備え、搬送装置560によって搬送されたICカード540を、排出口535に導く装置である。
搬送装置560は、ICカード540を導電部材532A,532B上を搬送方向Yに搬送する装置である。搬送装置560の詳細は、後述する。
【0074】
(搬送装置560近傍の構成)
次に、搬送装置560近傍の構成について説明する。
図8は、第5実施形態の中継通信装置530の内部構成を説明する図である。
図8(a)は、搬送装置560の平面図(図8(b)のa−a部矢視断面図)である。
図8(b)は、搬送装置560の側面図である。
図8(c)は、搬送装置560近傍の斜視図である。
中継通信装置530は、搬送装置560、ロータリコネクタ570(570a,570b)を備える、
搬送装置560は、下ベルト561、下ベルト駆動ローラ562(562a,562b)、上ベルト563、上ベルト駆動ローラ564(564a,564b)を備える。
【0075】
下ベルト561及び下ベルト駆動ローラ562は、中継通信装置530内の下側Z1に配置されている。
下ベルト561は、下ベルト駆動ローラ562に巻き掛けられた平ベルトである。下ベルト561は、絶縁材により形成されている。
下ベルト駆動ローラ562a,562bは、下ベルト561を回転する2つのローラである。下ベルト駆動ローラ562a,562bのうち一方には、モータが設けられており、巻き掛けられた下ベルト561の上側部分を、搬送方向Yに回転移動するように、下ベルト561を回転する。
【0076】
上ベルト563及び上ベルト駆動ローラ564は、下ベルト561及び下ベルト駆動ローラ562と同様な装置であり、中継通信装置530内の上側Z2に配置されている。
ロータリコネクタ570は、中継ループアンテナ531からの配線531a,531bと、導電部材532A,532Bからの配線532a,532bとを中継するコネクタである。ロータリコネクタ570は、一端側及び他端側間が回転可能になっている。これにより、配線531a,531bは、導電部材532A,532Bに追従して回転しても絡まることなく、中継ループアンテナ531からの配線531a,531bとの導通を維持できる。
【0077】
なお、導電部材532A,532B及び中継ループアンテナ531の接続は、回転している導電部材532A,532Bに対して、中継ループアンテナ531の導通が維持できる形態であれば、ロータリコネクタ570を用いたものに限定されない。例えば、導電部材532A,532Bに摺接する接続端子を、中継ループアンテナ531に接続してもよい。
また、例えば、導電部材532A,532Bに巻き掛けられ、導電部材532A,532Bをそれぞれ駆動する金属性のローラを独立して設けて、中継ループアンテナ531及び導電部材532A,532Bを、このローラを介して接続してもよい。
【0078】
搬送装置560は、上記構成によって、挿入口534(図7参照)に挿入されたICカード540を、導電部材532A,532B及び上ベルト563の間に挟み込み、下ベルト561及び上ベルト563が回転駆動することにより、ICカード540を搬送方向Yの下流側Y2に搬送する。
また、搬送装置560は、ICカード540の導電プレート542A,542Bと、導電部材532A,532Bとが対向配置された状態でICカード540を搬送する。このため、導電部材532A,532Bは、搬送されているICカード540の導電プレート542A,542Bとの間の静電結合を維持できる。
さらに、導電部材532A,532Bは、ICカード540を挟み込んだ状態で、回転駆動されることにより、ICカード540を搬送方向Yに搬送するように、機能している。つまり、導電部材532A,532Bは、搬送装置560の一部としても機能し、搬送装置560の一部を兼用している。このため、中継通信装置530は、構成を簡単にできる。
【0079】
(搬送時のずれにともなう通信安定性)
次に、ICカード540の搬送時のずれにともなう通信安定性について説明する。
図9は、第5実施形態のICカード540の平面図、及びICカード540のずれを説明する平面図である。
図9(a)に示すように、ICカード540の導電プレート542A,542Bは、ICカード540の長手方向に沿って並べて配置されている。
例えば、ICカード540の外形は、長辺×短辺が、57.5mm×25mmの長方形であり、また導電プレート542A,542Bの外形は、長辺×短辺が、25mm×20mmの長方形である。
【0080】
図9(b)に示すように、中継通信装置530の搬送装置560は、搬送方向Yと、導電プレート542A,542Bの長辺542aとが直交するように、ICカード540を搬送する。
これにより、ICカード540が左右方向X(搬送方向Yとは直交する方向(長辺方向))にずれても、ICカード540の導電プレート542A,542Bと中継通信装置530の導電部材532A,532Bとが対向する面積の減少率が少なくなるため、位置ずれの許容度を向上でき、通信安定性を向上できる。
【0081】
ずれにともなう面積の減少率が少なることについて説明する。
図9(c)のICカード140は、導電プレート142A,142Bが、ICカード140の長手方向に細長く、短辺142bの方向に並べて配置されたものである。平面形状において、ICカード540の面積は、ICカード140の面積に等しい。このため、各導電プレートの搬送方向Yの長さは、「L20<L30」である。
例えば、図9(b)、図9(c)に示すように、ICカード540及びICカード140が左右方向Xに長さΔ分ずれた場合を考える。ICカード540の場合は、導電プレート542A,542Bと導電部材532A,532Bとが対向する面積は、「Δ×L20」減少し、一方、ICカード140は、「Δ×L30」減少する。「L20<30」であるため、「Δ×L20<Δ×L30」が成り立つ。
【0082】
このように、ICカード540は、ずれにともなう面積減少量がICカード140よりも少なく、通信安定性を向上できる。
なお、ICカード540、ICカード140が搬送方向Yにずれた場合は、いずれの場合も面積減少はなく、同等の通信安定性を保つことができる。
【0083】
搬送装置560は、ICカード540の長手方向が搬送方向Yになるように、かつカード表面が鉛直方向を向くように、ICカード540を搬送する。これにより、導電プレート542A,542Bは、左右方向X(搬送方向Yに直交する方向)に並べて配列され、導電プレート542A,542Bの長辺方向は、ICカード540の搬送方向Yに一致する。
【0084】
これにより、搬送装置560は、導電部材532A,532B上の上流側Y1から下流側Y2に至るまで、導電プレート542A,542Bと導電部材532A,532Bとを常に対向配置できる。このため、通信システム510は、ICカード540を搬送させながら通信処理を行うことができる。
【0085】
(カード整列機構)
次に、カード挿入時及び排出時のICカード540の整列機構について説明する。
図10は、第5実施形態の搬送装置560、挿入口534、排出口535を模式的に示す平面図である。
挿入口534、排出口535の内部には、それぞれ、ICカード整列装置534c,535cを備える。
挿入口534のICカード整列装置534cは、長手方向が搬送方向Yになるように、ICカード540が挿入口534に挿入された場合に、ICカード540が挿入カード送り装置534aによって搬送装置560に導かれる途中で、ICカード540をその長手方向(つまり一対の導電プレート542A,542Bが並べられた方向)が左右方向X(搬送方向Yとは直交する方向)になるように、回転させて整列させる装置である。ICカード整列装置534cは、突出したり、引き込んだりする突起534dを備えており、これらを駆動して、ICカード540を整列させる。なお、ICカード整列装置534cの構成は、これに限らず、搬送するカードを回転する他の公知技術を用いることができる。
【0086】
通信システム510は、上記構成により、導電部材532A,532Bと導電プレート542A,542Bとが対向配置されるように、ICカード540を搬送装置560に導くことができ、また長手方向に細長いICカード540であっても、挿入口534に挿入しやすい。
【0087】
排出口535のICカード整列装置535cは、搬送装置560によって長手方向が左右方向Xになる状態で搬送されたICカード540を、排出カード送り装置535aによって排出口535に導かれる途中で、長手方向が搬送方向Yになるように回転させて整列させる装置である。ICカード整列装置535cの構成は、ICカード整列装置534cと同様な構成である。
【0088】
なお、利用者がICカード540を挿入口534に挿入する場合に、長手方向が左右方向Xになるように挿入する仕様であっても、利用者が多少回転させて挿入してしまうときがある。この場合であっても、ICカード整列装置534cと同様な装置を設けることにより、ICカード540を整列し、通信安定性を向上できる。
【0089】
(通信システム510の動作)
次に、実施形態の通信システム510の動作について説明する。
図11は、第5実施形態の通信システム510の動作のフローチャートである。
(ICカード挿入処理)
S1において、図6,図7に示すように、利用者が入口510aでICカード540を挿入口534に挿入すると、挿入口534の光学センサ等の検出部(図示せず)は、挿入されたICカード540を検出し、検出情報を中継制御部537に出力する。中継制御部537は、この検出部の出力に応じて、挿入カード送り装置534aを駆動して、挿入されたICカード540を搬送装置560へと導く。
S2において、中継制御部537は、挿入口534の検出部の出力に基づいて、挿入口534から他のICカード540が挿入できないように、挿入口開閉扉534bを閉駆動する。挿入口開閉扉534bを閉駆動する理由は、ICカード540の通信処理中に他のICカード540が挿入されと、リーダライタ521がいずれのICカード540と通信しているのかの判別が困難になり、通信処理の異常発生要因となるためである。
なお、利用者は、入口510aから出口510bに向けて歩行を続ける。
【0090】
(カード搬送処理)
S3において、導電部材532A,532Bの上流の光学センサ等の検出部(図示せず)は、挿入カード送り装置534aによって導かれたICカード540を検出すると、検出情報を中継制御部537に出力する。中継制御部537は、この検出部の出力に基づいて、搬送装置560を駆動してICカード540の搬送を開始する。
(通信処理)
S4において、ICカード540が導電部材532A,532B上を搬送方向Yに搬送される間、R/Wループアンテナ521aが中継ループアンテナ531に電磁誘導方式により接続され、導電部材532A,532BがICカード540の導電プレート542A,542Bに静電結合する。
これにより、改札制御部527は、導電部材532A,532B上を移動しているICカード540のICチップ541との間で情報の送受信を開始する。
S5において、改札制御部527は、通信処理として、ICチップ541の情報を読み出し、書き込みを開始する。改札制御部527は、例えば、ICチップ541の情報を読み出して乗車区間等が適切であるかの認証や、利用者の改札からの出入に関する情報のICチップ541への書き込みを行う。
【0091】
(搬送停止処理)
S6において、ICカード540が、導電部材532A,532B上の下流側Y2の停止範囲C(図8参照)に搬送されると、停止範囲Cに配置された光学センサ等の検出部は、搬送されたICカード540を検出して、検出情報を中継制御部537に出力する。中継制御部537は、この検出部の出力に基づいて、搬送装置560を駆動停止して、停止範囲CにICカード540を滞留させる。
【0092】
(通信終了判定処理)
S7において、中継制御部537は、改札制御部527及びICチップ541の間の送受信の監視内容に基づいて、改札制御部527及びICチップ541の間で通信中であるか否かを判定する。中継制御部537は、改札制御部527及びICチップ541の間で通信中であると判定した場合には(S7:YES)、S71に進み、一方、通信が終了したと判定した場合には(S7:NO)、S12に進む。
S71において、中継制御部537は、停止範囲CにICカード540を滞留させた状態を維持し、S7からの処理を繰り返す。これにより、中継制御部537は、通信が終了するまで(S7:NO)、ICカード540を停止範囲Cに滞留する。
これにより、中継制御部537は、通信処理時間と搬送スピードとを合わせる必要がなくなるので、搬送装置560の制御を容易にできる。
また、改札システム501は、通信処理遅延にともなう異常発生を低減できる。その理由は、以下の通りである。
例えば、「搬送に要する時間>通信に要する時間(リトライなし)」となるように搬送スピードを設定したとしても、通信異常が発生し、リトライ処理が行われた場合、「搬送に要する時間<通信処理に要する時間(リトライ処理含む)」となり、搬送完了時に通信処理が完了せずに、通信異常と判定されてしまうおそれがある。これに対して、改札システム501は、中継制御部537が、通信が終了するまで、停止範囲CにICカード540を滞留させた状態を維持するので、リトライ等による通信処理遅延にともなう異常発生を低減できる。
【0093】
S8において、改札制御部527は、ICチップ541との間の送受信の内容に基づいて、乗車期間の情報等が適切であるか否か、つまり通信処理の結果が正常であるか否を判定する。
改札制御部527は、通信処理の結果が正常である判定した場合には(S8:YES)、S9に進み、一方、通信処理の結果が異常であると判定した場合には(S8:NO)、S81に進む。
【0094】
(通過扉開閉処理)
S9において、改札制御部527は、通過扉522を開駆動する。
S10において、光学センサ等の検出部は、出口510bに向かって利用者が改札機を通過したことを検出すると、改札制御部527は、この検出部の出力に基づいて、通過扉522を閉駆動したり、又は、一定時間経過の後、通過扉522を閉駆動し、そして、電磁誘導改札機520側の処理を終了し、次のICカード540の受付を開始する(S11)。
(異常報知処理)
S81において、改札制御部527は、通過扉522の閉状態を維持して、S82において、音声出力部524か警告音を出力し、また表示部にICカード540が不適切である旨の表示をして、利用者に通信処理の結果が異常であることを報知する。そして、電磁誘導改札機520側の処理を終了し、次のICカード540の受付を開始する(S11)。
【0095】
(カード排出処理)
S12において、中継制御部537は、排出搬送機構を駆動して、停止範囲Cに搬送されたICカード540を排出口535から排出する。
なお、ICカード540が切符等の一回券である場合のために、出場時においては、ICカード540を収容する収容装置を設けてもよい。この場合には、中継制御部537(通信結果判定制御部)が改札制御部527及びICチップ541の間の送受信の監視内容に基づいて、改札制御部527及びICチップ541の間の通信処理が正常に終了したか否かを判定すればよい。そして、中継制御部537は、正常に終了したと判定した場合には、収容装置を制御して、ICカード540を収容容器内に収容し、一方、異常があったと判定した場合には、ICカード540を排出すればよい。
【0096】
(挿入口開駆動処理)
S13において、排出口535に設けられた光学センサ等の検出部(図示せず)は、排出口535から排出されたICカード540を利用者が抜き取ったことを検出すると、検出情報を中継制御部537に出力する。中継制御部537は、この検出部の出力に基づいて、挿入口開閉扉534bを開駆動して、中継通信装置530側の処理を終了し、次のICカード540の受付を開始する(S14)。
これにより、ICカード540の通信処理が正常に終了し通過扉522の挿入口開閉扉534bが開駆動が完了するまで(S10)、又は通信処理が異常であった場合に復旧処理が完了するまで、挿入口534への他のICカード540の挿入防止をすることができる。
【0097】
以上の処理によって、利用者は、通信結果が正常である場合には(S8:YES)、排出口535から排出されたICカード540(S12)を抜き取って、開駆動された通過扉522を通って出口510bから通信システム510を通過できる。
一方、利用者は、通信結果が異常である場合には(S8:NO)、通過扉522が閉位置を維持されているので(S81)、通信システム510を通過できず、入口510aに戻って排出口535から排出されたICカード540(S12)を抜き取って、再度挿入口534に挿入したり、ICカード540が不適切であることを認識して、清算処理等を行うことができる。
【0098】
また、ICカード540の導電部材532A,532Bが搬送方向Yに回転するベルトであるため、ICカード540を搬送させる場合に、導電部材532A,532BとICカード540の導電プレート542A,542Bとが近接して対向した状態を維持できる。これにより、利用者が通信システム510内を歩行する時間を利用して、ICカード540を搬送させながら通信処理できるため、ゲートアクセス処理時間等を短縮できる。
【0099】
例えば、従来の電磁誘導式の通信システムは、ICカード504とリーダライタとが数十mm程度離れていても通信できるため、ICカード504をリーダライタに近づけている途中から通信が可能となる。
これに対して、静電結合方式の通信システムのICカード540及びリーダライタ521間の通信距離は、前述したように2mm程度であり、電磁誘導方式の通信システムと比較すると短い。このため、ICカード540をリーダライタ521にほぼ密着させないと通信が開始されない。そのため、ICカード540及びリーダライタ521の間の通信時間は、電磁誘導方式の通信システムと同等であっても、利用者が体感する処理時間は、ICカード540を2mm程度まで近づける時間の分、長くなる。
実施形態の通信システム510は、前述したように、利用者が入口510aから出口510bに向かって歩行する時間を利用して、ICカード540を通信処理して、利用者が体感する処理時間の短縮を図っている。これにより、通信システム510は、静電結合方式を利用しても、利用者の通過時の混雑を抑制できる。
【0100】
例えば、従来の搬送装置を有する電磁誘導方式の通信システムは、ICカード540を通信可能領域まで搬送する時間が「搬送時間2秒」、停止させた後、通信処理をする時間が「通信処理時間1秒」であり、計3秒を要していた。これに対して、実施形態の通信システム510は、ICカード540を搬送させながら通信処理を行うので、「搬送時間2秒」内で通信処理を終了させる。このため、処理時間を従来よりも1秒短縮できる。
【0101】
以上説明したように、本実施形態の通信システム510は、導電部材532A,532Bが、ICカード540と一体で移動し、ICカード540の導電プレート542A,542Bとの間で通信するので、ICカード540を搬送させながら通信処理できるため、ゲートアクセス処理時間等を短縮できる。
【0102】
(第6実施形態)
次に、本発明を適用した第6実施形態について説明する。
なお、以下の説明及び図面において、前述した第5実施形態と同様の機能を果たす部分には、同一の符号又は末尾に同一の符号を付して、重複する説明を適宜省略する。
図12は、第6実施形態の改札システム601のブロック図である。
図13は、第6実施形態の中継通信装置630の内部構成を説明する図である。
図13(a)は、搬送装置660の平面図(図15(b)のa−a部矢視断面図)である。
図13(b)は、搬送装置660の側面図である。
【0103】
図12に示すように、本実施形態の改札システム601は、サーバ502等に接続されている点等が、第5実施形態と同様であり、通信システム610の構成が、第5実施形態とは異なる。なお、図12は、従来の電磁誘導改札機503等の図示を省略した。
電磁誘導改札機620は、7つのリーダライタ621(621−1〜621−7)と、これら各リーダライタ621−1〜621−7にそれぞれ接続された7つのR/Wループアンテナ621a(621a−1〜621a−7)とを備える。
中継通信装置630は、7つの中継ループアンテナ631(631−1〜631−7)と、これら各中継ループアンテナ631−1〜631−7に接続された7組の導電部材632A,632B(632A−1,632B−1〜632A−7,632B−7)とを備える。
【0104】
7つのリーダライタ621−1〜621−7のR/Wループアンテナ621a−1〜621a−7は、それぞれ中継通信装置630の中継ループアンテナ631−1〜631−7との間で、電磁誘導方式によって接続されている。
【0105】
図13に示すように、導電部材632A−1,632B−1は、左右方向Xに並べて、下ベルト661の外周に貼り付けられている。他の導電部材632A−2,632B−2〜632A−7,632B−7も同様である。また、7組の導電部材632A−1,632B−1〜632A−7,632B−7は、搬送方向Yに並べて、下ベルト661上に配列されている。
このため、7組の導電部材632A−1,632B−1〜632A−7,632B−7は、それぞれ異なるICカード640の間で独立して静電結合できる。
図13の場面は、導電部材632A−1,632B−1〜632A−3,632B−3がそれぞれ3枚のICカード640−1〜640−3の導電部材642A−1,642B−1〜642A−3,642B−3との間で静電結合しながら、搬送装置660がICカード640−1〜640−3を搬送方向に搬送している場面である。
【0106】
以上説明したように、本実施形態の通信システム610は、複数の導電部材632A,632Bが、それぞれ異なるICカード640との間で同時に通信できるので、ゲートアクセス処理時等を、さらに短縮できる。
【0107】
(第7実施形態)
次に、本発明を適用した第7実施形態について説明する。
図14は、第7実施形態の通信システム710のブロック図である。
図15は、第7実施形態の中継通信装置730の内部構成を説明する図である。
図15(a)は、搬送装置760の平面図(図15(b)のB−B部矢視断面図)である。
図15(b)は、搬送装置760の側面図である。
図14に示すように、中継通信装置730は、中継記憶部736、中継制御部737、搬送装置760、導電部材732A,732B(732A−1,732B−1〜732A−,732B−1)を備える。
【0108】
中継記憶部736は、中継通信装置730の動作に必要なプログラム、情報等を記憶するための半導体メモリ素子等の記憶装置である。
中継制御部737は、中継通信装置730を統括的に制御するための制御部であり、例えばCPU等から構成される。中継制御部737は、記憶部726に記憶された各種プログラムを適宜読み出して実行することにより、前述したハードウェアと協働し、本発明に係る各種機能を実現している。
【0109】
図15に示すように、搬送装置760の構成は、導電部材732A,732Bの組み合わせの数を第6実施形態よりも増やし、また、上ベルト等の構成を取り除いたものである。搬送装置760は、ICカード740を搬送するとともに、14組の導電部材732A−1,732B−1〜732A−14,732B−14を搬送方向Yに回転移動する。
搬送されるICカード740は、前述した個片工程前(切断前)の状態であり、搬送方向Yに沿って配列され、下層及び上層(基材)によってシート状に接続された状態である。
シート状のICカード740は、後述する送り出しローラ765a、巻き取りローラ765bに巻かれている。
搬送装置760は、下ベルト761、下ベルト駆動ローラ762(762a,762b)、送り出しローラ765a、巻き取りローラ765bを備える。
【0110】
送り出しローラ765aは、通信前のICカード740をリール状にして貯留するローラである。送り出しローラ765aは、搬送装置760の上流側Y1に配置されている。
巻き取りローラ765bは、通信後のICカード740をリール状にして貯留するローラである。巻き取りローラ765bは、駆動モータ(図示せず)が設けられており、巻き取り方向に回転駆動される。この駆動モータは、中継制御部737によって制御される。
上記構成により、巻き取りローラ765bが回転駆動することにより、送り出しローラ765aのICカード740を送り出して、巻き取りローラ765bに巻き取ることができる。これにより、ICカード740が、搬送方向Yに搬送される。
【0111】
図15に示すように、導電部材732A,732Bは、搬送方向Yの長さを、第6実施形態よりも小さくして、導電部材732A,732Bの組み合わせ間のピッチを短くして、組み合わせの数を第6実施形態よりも多くしたものである。導電部材732A,732Bの配列ピッチは、ICカード740の配列ピッチと同一である。
各導電部材732A−1,732B−1〜732A−14,732B−14は、中継ループアンテナ731−1〜731−14がそれぞれ接続されている。また、この中継ループアンテナ731−1〜731−14は、リーダライタ721−1〜721−14との間で通信するようになっている。
【0112】
下ベルト761及び下ベルト駆動ローラ762の構成は、第6実施形態と同様である。
一方、本実施形態の搬送装置760は、第6実施形態のような上ベルト663(図13参照)等が設けられていない。その理由は、前述したように、ICカード740は、送り出しローラ765a及び巻き取りローラ765bによって、搬送されるからである。なお、搬送中のICカード740を、各導電部材732A,732Bからの浮き上がりを防止して安定した通信処理をするために、上ベルト等や、押さえローラ等を設けてもよい。
【0113】
通信システム710の動作について説明する。
通信システム710は、以下の工程に従って、ICカード740との間の通信処理を行う。
(1)ICカード搬送工程(情報記憶媒体搬送工程)
図15に示すように、中継制御部737は、巻き取りローラ765bを駆動して、シート状に接続された複数のICカード740を搬送方向Yに搬送する。
【0114】
(2)導電部材移動工程
中継制御部737は、複数の導電部材732A,732Bを、複数のICカード740と同期させて、搬送方向Yに移動する。
なお、同期を取る方法は、ICカード740の搬送速度及び位置を検出する光学センサと、導電部材732A,732Bの移動速度及び位置を検出する光学センサとを設ければよい。そして、中継制御部737がこれらの検出に基づいて、ICカード740及び導電部材732A,732Bの移動速度を同一にし、かつ、ICカード740及び導電部材732A,732Bの同期を取ればよい。
【0115】
(3)静電結合通信工程
電磁誘導通信装置720のR/Wループアンテナ721a−1〜721a−14と、中継通信装置730の中継ループアンテナ731−1〜731−14は、電磁誘導方式により独立して通信する。
一方、導電部材移動工程で移動する複数の導電部材732A,732Bと、ICカード搬送工程で搬送している複数のICカード740の導電プレート742A,742Bとは、独立して静電結合する。
例えば、図15は、6枚のICカード740−1〜740−6の導電プレート742A−1,742B−1〜742A−6,742B−6が、6組の導電部材732A−1,732B−1〜732A−6,732B−6の間で、それぞれ独立して静電結合している例である。これにより、制御部727は、R/Wループアンテナ721a−1〜721a−6、中継ループアンテナ731−1〜731−6、導電部材732A−1,732B−1〜732A−6,732B−6、導電プレート742A−1,742B−1〜742A−6,742B−6を介して、ICカード740−1のICチップとの間で通信処理をする。
【0116】
なお、上記工程は、同時に行われ、中継通信装置730は、ICカード740を順次搬送し、また、電磁誘導通信装置720は、ICカード740の情報を順次読み取る。
また、通信システム710は、中継通信装置730の中継記憶部736、中継制御部737は、電磁誘導通信装置720に設けて、中継通信装置730、電磁誘導通信装置720を一体の装置構成にしてもよい。
【0117】
さらに、導電部材732A,732Bは、配列方向を左右方向Xではなく搬送方向Yにしてもよい。この場合には、導電部材732A,732Bが交互に配列されるので、第3実施形態の複数のICカード340であっても通信できる。第6実施形態も同様である。
【0118】
以上説明したように、本実施形態の通信システム710は、搬送方向Yに移動するICカード740との間で独立して通信できる。これにより、例えば、通信システム710は、ICカード740の検査時間等を短縮できる。
また、通信システム710は、ICカード740が基材により接続された状態で通信できる。これにより、例えば、ICカード740を切符に利用する場合のように、ICカード740をリール状で出荷し、切符販売機で切断して個片化する場合であっても、工場出荷時の検査等を行うことができる。
【0119】
なお、本実施形態では、ICカード740を通信システム710にて検査した後、リール状のまま、巻き取りローラ765bに巻き取る例を示したが、これに限定されない。
ICカード740は、通信システム710にて検査後、巻き取ることなく切断等して個片化し、検査良品と不良品とに分別してもよい。
【0120】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前述した実施形態に限定されるものではなく、後述する変形形態のように種々の変形や変更が可能であって、それらも本発明の技術的範囲内である。また、実施形態に記載した効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、実施形態に記載したものに限定されない。なお、前述した実施形態及び後述する変形形態は、適宜組み合わせて用いることもできるが、詳細な説明は省略する。
【0121】
(変形形態)
(1)実施形態において、リーダライタ及び中継通信装置は、電磁誘導方式により通信する例を示したが、これに限定されない。例えば、リーダライタ及び中継通信装置は、電磁結合方式によって通信してもよい。この場合には、ICカードに設けるICチップを、電磁結合方式によって通信できるタイプにすればよい。
なお、電磁結合は、原理的には電磁誘導と同じである。また、電磁結合方式の通信とは、カード側のアンテナとリーダライタ側のアンテナを対向させ、静止状態で電磁誘導により通信することをいう。
【0122】
(2)実施形態において、通信異常を報知する報知部は、電磁誘導改札機に設けられた例を示したが、これに限定されない。報知部は、中継通信装置に設けてもよい。この場合には、中継制御部が、ICカードが停止範囲に搬送されたときに、監視する改札制御部及びICチップの間の送受信の内容に基づいて、通信異常であるか否かを判定し、報知部を制御すればよい。
【0123】
(3)実施形態において、中継通信装置は、中継ループアンテナ、導電部材、搬送装置等が一体で1つの筐体内に組み込まれている例を示したが、これに限定されない。これらが一体として機能するシステムであれば、別々の筐体内に設けられていてもよい。
【0124】
(4)実施形態において、中継通信装置は、鉄道の改札システムに設けられている例を示したが、これに限定されない。このシステムは、電子マネー、社員証システム、物流管理等の各種システム等の様々なシステムに適用できる。例えば、店舗等のレジスタシステムに、電子マネーに関する電磁誘導方式のリーダライタが設けられている場合には、実施形態と同様に、このリーダライタに対して通信する中継通信装置を設ければ、容易に従来のレジスタシステムの適用できるし、また新たなレジスタシステムであっても、低コストで導入できる。
【符号の説明】
【0125】
10,510,710 通信システム
20,720 電磁誘導通信装置
21,521,621,721 リーダライタ
21a,521a,621a,721a R/Wループアンテナ
26,726 記憶部
27,727 制御部
30,530,630,730 中継通信装置
31,531,631,731 中継ループアンテナ
32A,32B,532A,532B,632A,632B,732A,732B 導電部材
40,240,340,540,640,740 ICカード
41,241,341,541 ICチップ
42A,42B,242A,242B,342A,342B,542A,542B,642A,642B,742A,742B 導電プレート
43,243,343,443 下層
44,244,344 上層
50,250A,250B,350,450A,450B 導電性薄板
501,601 改札システム
520,620 電磁誘導改札機
523 モニタ
524 音声出力部
526 改札機記憶部
527 改札制御部
534c,535c ICカード整列装置
560,660,760 搬送装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電磁誘導方式又は電磁結合方式で通信する通信装置側ループアンテナと、前記通信装置側ループアンテナを介して通信処理する制御部とを備える電磁誘導通信装置と、
前記通信装置側ループアンテナとの間で電磁誘導方式又は電磁結合方式で通信する中継ループアンテナと、前記中継ループアンテナの両端に接続されスリットを介して配置され導電性を有する一対の中継導電部材とを備える中継通信装置とを備える通信システムに用いられ、
前記中継通信装置を介して、前記電磁誘導通信装置の前記制御部との間で通信処理する情報記憶媒体を、一方向である媒体配列方向に配列して製造する情報記憶媒体製造方法であって、
絶縁性基材上に、電気的に独立した一対の導電プレートの複数の組み合わせを離間して形成する導電プレート形成工程と、
前記導電プレート形成工程で形成した前記一対の導電プレートに対して、前記一対の導電プレート間のスリットを跨ぐように、電磁誘導方式又は電磁結合方式で通信可能なICチップを配置するICチップ配置工程とを備えること、
を特徴とする情報記憶媒体製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載の情報記憶媒体製造方法において、
導電性薄板を、前記絶縁性基材上に形成する導電性薄板形成工程を備え、
前記導電プレート形成工程は、前記導電性薄板形成工程で形成された前記導電性薄板の一部である除去領域を除去して、前記導電プレートを離間させる導電性薄板除去工程を有すること、
を特徴とする情報記憶媒体製造方法。
【請求項3】
請求項2に記載の情報記憶媒体製造方法において、
前記導電性薄板除去工程は、前記導電性薄板の一部である除去領域を、切削によって除去すること、
を特徴とする情報記憶媒体製造方法。
【請求項4】
請求項3に記載の情報記憶媒体製造方法において、
前記一対の導電プレートの配列方向は、前記媒体配列方向に直交する直交方向であり、
前記導電性薄板除去工程は、
前記媒体配列方向に沿った除去領域を、切削によって除去して前記スリットを形成する媒体配列方向除去工程と、
前記直交方向に沿った除去領域を、切削によって除去する直交方向除去工程とを備えること、
を特徴とする情報記憶媒体製造方法。
【請求項5】
請求項3に記載の情報記憶媒体製造方法において、
前記一対の導電プレートの配列方向は、前記媒体配列方向に直交する直交方向であり、
前記導電性薄板形成工程は、一対の前記導電性薄板を、前記スリットを有するように、前記媒体配列方向に並べて前記絶縁性基材上に形成し、
前記導電性薄板除去工程は、前記導電性薄板の前記直交方向に沿った除去領域を、切削によって除去する直交方向除去工程を備えること、
を特徴とする情報記憶媒体製造方法。
【請求項6】
請求項3に記載の情報記憶媒体製造方法において、
前記一対の導電プレートの配列方向は、前記媒体配列方向であり、
前記導電性薄板除去工程は、
前記媒体配列方向に直交する直交方向に沿った前記一対の導電プレート間の除去領域を、切削によって除去して前記スリットを形成する一対のプレート間除去工程と、
前記直交方向に沿った前記複数の組み合わせ間の除去領域を、切削によって除去する組み合わせ間除去工程とを備えること、
を特徴とする情報記憶媒体製造方法。
【請求項7】
請求項2に記載の情報記憶媒体製造方法において、
前記導電性薄板除去工程は、前記除去領域を、エッチングによって除去すること、
を特徴とする情報記憶媒体製造方法。
【請求項8】
請求項1から請求項7までのいずれか1項に記載の情報記憶媒体製造方法において、
前記導電プレート形成工程は、前記導電プレートをめっき法にて形成すること、
を特徴とする情報記憶媒体製造方法。
【請求項9】
請求項1から請求項7までのいずれか1項に記載の情報記憶媒体製造方法において、
前記導電プレート形成工程は、前記導電プレートを導電性インキ印刷にて形成すること、
を特徴とする情報記憶媒体製造方法。
【請求項10】
請求項1から請求項9までのいずれか1項に記載の情報記憶媒体製造方法において、
前記導電プレート形成工程は、前記媒体配列方向に隣合う前記導電プレートの間隔を、前記一対の各導電プレート間の前記スリットよりも十分に大きくすること、
を特徴とする情報記憶媒体製造方法。
【請求項11】
請求項1から請求項10までのいずれか1項に記載の情報記憶媒体製造方法において、
前記絶縁性基材のうち前記組み合わせ間を切断して、この情報記憶媒体を個片にする個片工程を備えること、
を特徴とする情報記憶媒体製造方法。
【請求項1】
電磁誘導方式又は電磁結合方式で通信する通信装置側ループアンテナと、前記通信装置側ループアンテナを介して通信処理する制御部とを備える電磁誘導通信装置と、
前記通信装置側ループアンテナとの間で電磁誘導方式又は電磁結合方式で通信する中継ループアンテナと、前記中継ループアンテナの両端に接続されスリットを介して配置され導電性を有する一対の中継導電部材とを備える中継通信装置とを備える通信システムに用いられ、
前記中継通信装置を介して、前記電磁誘導通信装置の前記制御部との間で通信処理する情報記憶媒体を、一方向である媒体配列方向に配列して製造する情報記憶媒体製造方法であって、
絶縁性基材上に、電気的に独立した一対の導電プレートの複数の組み合わせを離間して形成する導電プレート形成工程と、
前記導電プレート形成工程で形成した前記一対の導電プレートに対して、前記一対の導電プレート間のスリットを跨ぐように、電磁誘導方式又は電磁結合方式で通信可能なICチップを配置するICチップ配置工程とを備えること、
を特徴とする情報記憶媒体製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載の情報記憶媒体製造方法において、
導電性薄板を、前記絶縁性基材上に形成する導電性薄板形成工程を備え、
前記導電プレート形成工程は、前記導電性薄板形成工程で形成された前記導電性薄板の一部である除去領域を除去して、前記導電プレートを離間させる導電性薄板除去工程を有すること、
を特徴とする情報記憶媒体製造方法。
【請求項3】
請求項2に記載の情報記憶媒体製造方法において、
前記導電性薄板除去工程は、前記導電性薄板の一部である除去領域を、切削によって除去すること、
を特徴とする情報記憶媒体製造方法。
【請求項4】
請求項3に記載の情報記憶媒体製造方法において、
前記一対の導電プレートの配列方向は、前記媒体配列方向に直交する直交方向であり、
前記導電性薄板除去工程は、
前記媒体配列方向に沿った除去領域を、切削によって除去して前記スリットを形成する媒体配列方向除去工程と、
前記直交方向に沿った除去領域を、切削によって除去する直交方向除去工程とを備えること、
を特徴とする情報記憶媒体製造方法。
【請求項5】
請求項3に記載の情報記憶媒体製造方法において、
前記一対の導電プレートの配列方向は、前記媒体配列方向に直交する直交方向であり、
前記導電性薄板形成工程は、一対の前記導電性薄板を、前記スリットを有するように、前記媒体配列方向に並べて前記絶縁性基材上に形成し、
前記導電性薄板除去工程は、前記導電性薄板の前記直交方向に沿った除去領域を、切削によって除去する直交方向除去工程を備えること、
を特徴とする情報記憶媒体製造方法。
【請求項6】
請求項3に記載の情報記憶媒体製造方法において、
前記一対の導電プレートの配列方向は、前記媒体配列方向であり、
前記導電性薄板除去工程は、
前記媒体配列方向に直交する直交方向に沿った前記一対の導電プレート間の除去領域を、切削によって除去して前記スリットを形成する一対のプレート間除去工程と、
前記直交方向に沿った前記複数の組み合わせ間の除去領域を、切削によって除去する組み合わせ間除去工程とを備えること、
を特徴とする情報記憶媒体製造方法。
【請求項7】
請求項2に記載の情報記憶媒体製造方法において、
前記導電性薄板除去工程は、前記除去領域を、エッチングによって除去すること、
を特徴とする情報記憶媒体製造方法。
【請求項8】
請求項1から請求項7までのいずれか1項に記載の情報記憶媒体製造方法において、
前記導電プレート形成工程は、前記導電プレートをめっき法にて形成すること、
を特徴とする情報記憶媒体製造方法。
【請求項9】
請求項1から請求項7までのいずれか1項に記載の情報記憶媒体製造方法において、
前記導電プレート形成工程は、前記導電プレートを導電性インキ印刷にて形成すること、
を特徴とする情報記憶媒体製造方法。
【請求項10】
請求項1から請求項9までのいずれか1項に記載の情報記憶媒体製造方法において、
前記導電プレート形成工程は、前記媒体配列方向に隣合う前記導電プレートの間隔を、前記一対の各導電プレート間の前記スリットよりも十分に大きくすること、
を特徴とする情報記憶媒体製造方法。
【請求項11】
請求項1から請求項10までのいずれか1項に記載の情報記憶媒体製造方法において、
前記絶縁性基材のうち前記組み合わせ間を切断して、この情報記憶媒体を個片にする個片工程を備えること、
を特徴とする情報記憶媒体製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2012−247844(P2012−247844A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−117057(P2011−117057)
【出願日】平成23年5月25日(2011.5.25)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年5月25日(2011.5.25)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]