説明

情報記録再生装置

【課題】冷却機能付保管庫と同一の筺体内に設置された、記録デバイスの信頼性を向上する。
【解決手段】データを保持する記録面を有する記録媒体と、前記データを記録、再生する変換デバイスとを有する記録デバイスと、冷却機能付保存庫と、が同一の筐体内に具備された情報記録再生装置であって、前記記録デバイスは、前記記録媒体における前記記録面が略水平となるように、前記筐体内に具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録デバイスと冷却機能付保存庫とが同一筐体内に具備された情報記録再生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ホームサーバーと呼ばれる、デジタルスチルカメラ、デジタルカムコーダー、デジタルビデオレコーダー等の、デジタルデータを一括して保存・管理を行う、家庭用の情報記録再生装置の技術開発が活発に行われている。
【0003】
重要なデジタルデータを安全に管理するため、このような情報記録再生装置の開発における最も重要な課題として、デジタルデータの保存機能を担う記録デバイスの信頼性の向上が挙げられる。
【0004】
この記録デバイスとして、現在最も頻繁に使われているのがハードディスクドライブ(以下、HDDという)である。HDDの信頼性を損なう、大きな1つの要素として、温度変化が挙げられる。温度変化によって、HDDが受ける影響の例を挙げると以下の通りである。
【0005】
まず、1つめは流体軸受けである。流体軸受けは、玉軸受けに比べ、回転軸のブレが生じにくいといった利点があり、近年多くのHDDに採用され始めている。しかし、この軸受けに使用されているオイルは、環境温度の上昇によって、その蒸発量が増加したり、環境温度の低下によってその粘度が上昇したりする結果、安定した回転運動が行えなくなる、といった問題が生じる。
【0006】
2つめは、HDDの高記録密度化のために、ビット面積、即ち磁化反転単位を小さくしていくと、その体積に比例する異方性エネルギーが低下し、その結果、熱エネルギーによって磁化が反転することで記録情報が失われてしまう、所謂熱擾乱の問題がある。
【0007】
その答えの一つとして、家庭内でもっとも安定した温度環境が得られる冷蔵庫内に、HDDを始めとした記録デバイスを設置することで、その信頼性を向上させる発明が考案されている。
【0008】
この発明は、同時に以下に述べる効果もある。すなわち、従来ホームサーバーはリビングルーム等に設置されると想定されていたため、動作時の静寂性の確保は最も優先度の高い課題の一つで、その結果、例えばディスクの回転数を落とす等の対策が採られていたが、この発明では、一般的に台所に設置される冷蔵庫内に記録デバイスを含む、サーバー機能を集約することで、その静寂性能の優先度を下げ、静寂性を確保するための特別な対策を必要としない、情報記録再生装置が実現できる。
【0009】
例えば、特許文献1において、光ディスク装置を冷蔵庫内に設置することで、光ピックアップを低温に保ち、その長寿命化を図る発明がなされている。
【0010】
また、特許文献2おいて、記録密度の向上に伴って発生する、磁気記録媒体の熱減磁(先述の熱擾乱と同義)の防止のため、結露を防止する手段を備えた冷蔵庫内にHDDを設置し、熱減磁を防止しつつ記録密度の向上を図る発明がなされている。
【0011】
さらに、特許文献3において、連続通電された冷蔵庫を始めとした電気器具内に、HDDを始めとした情報記録デバイスを設置し、電気器具の挙動に応じて、情報記録デバイスの挙動を制御することで、情報記録デバイスが受ける電気的な影響を最小限に抑え、その安定稼動を図る情報記録再生装置が考案されている。
【特許文献1】特開2001−23215号公報
【特許文献2】特開2002−74898号公報
【特許文献3】特開2003−132618号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、前述した従来の情報記録再生装置では、冷蔵庫の通常使用時に発生する振動および衝撃、あるいは事故や天災等による筺体の転倒の際の大きな衝撃等が記録デバイスへ及ぼす影響を低減する方法が開示されていない。
【0013】
ここで、HDDは記録媒体上を10(nm)前後の高さで磁気ヘッドが浮上しながら、データの記録再生を行う記録デバイスである。そのため、特に記録媒体の記録面に対して垂直な方向の衝撃や振動を受けると、磁気ヘッドが記録媒体に衝突し、媒体上に損傷を発生させる、所謂ヘッドクラッシュが発生しやすくなる。仮にこのヘッドクラッシュが発生すると記録できなくなるのは勿論、それまでに保存したデータさえも失ってしまう。
【0014】
上述の理由から、一般にHDDは振動や衝撃に弱いと言われており、扉の開閉等で発生する衝撃や振動に対する対策を施すこと無く、冷蔵庫と、HDDを始めとする記録デバイスとを同一筺体内に具備するのは困難であった。
【0015】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、冷蔵庫の通常使用時に発生する、扉の開閉による振動や衝撃、冷蔵庫の転倒時に発生する大きな衝撃の、記録デバイスに対する影響を低減することで、同一筐体内に設置された、HDDを始めとした記録デバイスの信頼性を向上し、安定した記録再生動作を行うことが可能な情報記録再生装置を提供することにある。
【0016】
また、本発明の他の目的は、記録デバイスの増設や交換を行う際の、取り付け、取り外し作業中においても、庫内の温度を安定に保つことで、冷蔵庫としての使い勝手を損なうことの無い情報記録再生装置を提供することにある。さらに、上記の作業の際に、記録デバイスへの結露を防止し、その故障を防ぐことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明に係る第1の情報記録再生装置は、データを保持する記録面を有する記録媒体と、前記データを記録、再生する変換デバイスとを有する記録デバイスと、冷却機能付保存庫と、が同一の筐体内に具備された情報記録再生装置であって、前記記録デバイスは、前記記録媒体における前記記録面が略水平となるように、前記筐体内に具備されている。
【0018】
また、本発明に係る第2の情報記録再生装置は、その筐体において、記録デバイスの取り付け、及び取り外しを行うための、記録デバイス保守用扉と、冷凍機能付保存庫内に保存する保存品の入出庫を行う保存品入出庫用扉と、を具備し、前記記録デバイス保守用扉は、前記保存品入出庫用扉の開閉状態に関わらず、開閉できる。
【0019】
また、本発明に係る第3の情報記録再生装置は、筺体内に単数あるいは複数の前記冷却機能付保存庫が具備されており、前記記録デバイスは、前記筐体において、最下部に位置する冷却機能付保存庫の下部に具備されている。
【0020】
また、本発明に係る第4の情報記録再生装置は、筺体内に、単数あるいは複数の前記冷却機能付保存庫が具備されており、前記記録デバイスは、前記情報記録再生装置の筐体において、最上部に位置する冷却機能付保存庫の上部に具備されている。
【0021】
また、本発明に係る第5の情報記録再生装置は、筺体内に、複数の前記冷却機能付保存庫が具備されており、前記記録デバイスは、前記情報記録再生装置の筐体において、複数の冷却機能付保存庫に挟まれた部分に具備されている。
【0022】
また、本発明に係る第6の情報記録再生装置は、時計を内蔵しており、前記記録デバイスは、前記時計の時刻を参照することによって、あらかじめ予約された、所定の時間に、所定の動作を行うことができる。
【0023】
また、本発明に係る第7の情報記録再生装置は、内蔵した時計の時間を参照することによって、記録デバイスのデータの断片化を解消する動作を所定の時間に行うことができる。
【0024】
また、本発明に係る第8の情報記録再生装置は、内蔵した時計の時間を参照することによって、記録デバイス上に記録されたデータを、バックアップする動作を所定の時間に行うことができる。
【0025】
また、本発明に係る第9の情報記録再生装置は、内蔵した時計の時間を参照することによって、前記記録デバイスのデータに対して、コンピュータウィルスの検出、並びに/あるいは、コンピュータウィルスの駆除を行う、動作を所定の時間に行うことができる。
【0026】
また、本発明に係る第10の情報記録再生装置は、冷却機能付保存庫の扉には、開閉センサが具備されており、前記開閉センサの出力を通して、前記冷却機能付保存庫の扉の開閉状態を検知し、その開閉状態に応じて、記録デバイスの記録再生動作の制御を行うことができる。
【0027】
また、本発明に係る第11の情報記録再生装置は、冷却機能付保存庫の扉に具備された開閉センサの出力に応じて、前記冷却機能付保存庫の扉が開いている状態を検知し、前記記録デバイスへの記録を停止する制御を行うことができる。
【0028】
また、本発明に係る第12の情報記録再生装置は、冷却機能付保存庫の扉に具備された開閉センサの出力に応じて、前記冷却機能付保存庫の扉が開いている状態を検知し、前記記録デバイスへの記録を停止した際に転送されるデータは、同一筐体内に具備された、固体メモリに保存することができる。
【0029】
また、本発明に係る第13の情報記録再生装置は、冷却機能付保存庫の扉に具備された開閉センサの出力に応じて、前記冷却機能付保存庫の扉が開いている状態を検知し、記録を停止した際に転送され、固体メモリに保存されたデータは、前記冷却機能付保存庫の扉が閉じたことを検知した後、前記記録デバイスへ転送することができる。
【0030】
また、本発明に係る第14の情報記録再生装置は、その筐体には、傾きセンサが具備されており、前記傾きセンサの出力を通して、一定以上の傾きの検知によって、記録デバイスの記録再生動作を停止することができる。
【発明の効果】
【0031】
本発明に係る第1の情報記録再生装置によれば、冷却機能付保存庫の扉の開閉によって発生する、振動、衝撃の方向を記録面に対して略水平にすることができるので、変換デバイスが記録面に衝突することで発生する不具合の発生確率を低減することができるといった効果を有する。
【0032】
また、本発明に係る第2の情報記録再生装置によれば、冷却機能付保存庫の入出庫用の扉を開放すること無く、記録デバイスの取付けや取外しといった保守ができるので、第1の情報記録再生装置の効果に加え、冷蔵庫内の温度上昇を抑制できるといった効果を有する。さらに、その際記録デバイスは低温状態の保存庫内を経由すること無いので、記録デバイスへの結露を防止できるといった効果を有する。
【0033】
また、本発明に係る第3の情報記録再生装置によれば、その筐体において、最下部に位置する冷却機能付保存庫の下部に記録デバイスが具備されているので、第1の情報記録再生装置の効果に加え、転倒時の衝撃を最小限にすることができるといった効果を有する。
【0034】
また、本発明に係る第4の情報記録再生装置によれば、その筺体内において、最上部に位置する冷却機能付保存庫の上部に記録デバイスが具備されているので、記録デバイスによって、冷却機能付保存庫部分のレイアウトに影響を与えないため、第1の情報記録再生装置の効果に加え、冷蔵庫の使い勝手を損なうことが無いといった効果を有する。
【0035】
また、本発明に係る第5の情報記録再生装置によれば、その筐体において、複数の冷却機能付保存庫の間の適度な高さに記録デバイスが設置されているので、第1の情報記録再生装置の効果に加え、ディスクの交換、増設といった保守が容易に行えるといった効果を有する。
【0036】
また、本発明に係る第6から9の情報記録再生装置によれば、あらかじめ予約された、所定の時間に、所定の動作を行うことができるので、例えばデータへのアクセスの少ない深夜に、データの断片化の解消、データのバックアップ、データ上のコンピュータウィルスのチェックや駆除といった、データ保守を集中的に行うことができるので、第1の情報記録再生装置の効果に加え、それらのデータ保守がユーザーの利便性を損なうことが無いといった効果を有する。
【0037】
また、本発明に係る第10、11の情報記録再生装置によれば、冷却機能付保存庫の扉の開閉状態を検知し、その開閉状態に応じて、記録デバイスの記録再生動作の停止等の制御を行うことができる。その結果、振動・衝撃が生じる、保存品入出庫用扉の開閉動作時に、記録デバイスへのデータの記録動作を制限することで、変換デバイスを記録メディア上から、例えばランプロード上に退避することができるので、第1の情報記録再生装置の効果をさらに高めることができるといった効果がある。
【0038】
また、本発明に係る第12、13の情報記録再生装置によれば、冷却機能付保存庫の扉の開閉状態を検知し、その開閉状態に応じて、記録デバイスの記録再生動作の停止、データの固体メモリへの一時保管、固体メモリから記録デバイスへのデータ転送といった制御を行うことができるので、第10、11の情報記録再生装置の効果に加え、記録デバイスの記録動作の停止中のデータも途切れることなく記録することができるといった効果がある。
【0039】
また、本発明に係る第14の情報記録再生装置によれば、一定以上の傾きの検知によって、記録デバイスへのデータの記録動作を停止し、変換デバイスを記録メディア上から、例えばランプロード上に退避することができるので、事故等による筺体の転倒時において、第1の情報記録再生装置の効果をさらに高めることができるといった効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0040】
冷却機能付保存庫と同一の筺体内に記録デバイスを具備した、従来の情報記録再生装置では考慮されていなかった、冷却機能付保存庫の扉の開閉時の衝撃、振動が、記録デバイスへの信頼性に与える影響を少なくすることで、高い信頼性を持つ情報記録再生装置が得られることを見出し、本発明を想到するに至った。
【0041】
(実施形態1)
まず、図1を参照して、本発明による情報記録再生装置の第1の実施形態を説明する。図1は、本実施形態における情報記録再生装置を模式的に示した断面図である。
【0042】
本実施形態では、情報記録再生装置の筺体7中における、最下部に位置する冷却機能付保存庫5(c)の下面に、記録デバイスとしてHDDユニット1が、その中の記録媒体2における記録面が略水平になるよう設置されている。
【0043】
また、HDDユニット1の取付け・取外しを行うことのできる、記録デバイス保守用扉3が、筺体7の正面側に、冷却機能付保存庫5(a)〜5(c)に対応した保存品入出庫用扉4(a)〜4(b)とは独立して、具備されている。
【0044】
本実施形態によれば、保存品入出庫用扉4(a)〜4(b)の開閉の際に主に発生する、図中X方向の振動や衝撃は、記録媒体2における記録面に対して水平方向となるので、媒体上に損傷を発生させる、所謂ヘッドクラッシュが発生しにくい。また、記録デバイス保守用扉3が、冷却機能付保存庫5(a)〜5(c)に対応した保存品入出庫用扉4(a)〜4(b)とは独立して、具備されているので、HDDユニット1の取付け、取外しを必要とする保守作業の際に、保存品入出庫用扉4(a)〜4(b)をあける必要が無いので、冷却機能付保存庫5(a)〜5(c)の温度の変動を少なくすることができる。さらに、上記保守作業の際、HDDユニット1は、一般的に−15〜10℃程度の低温に保たれている冷却機能付保存庫5(a)〜5(c)を経由することなく、筺体7に取付け、取外しができるので、HDDユニット1への結露を防止することができる。
【0045】
また、HDDユニット1は筺体7中の最下部に位置しているため、筺体7の転倒時にHDDユニット1が受ける衝撃を最小限することができる。
【0046】
(実施形態2)
次に、図2を参照して、本発明による情報記録再生装置の第2の実施形態を説明する。図2は、本実施形態における情報記録再生装置を模式的に示した断面図である。
【0047】
本実施形態では、情報記録再生装置の筺体7中における、最上部に位置する冷却機能付保存庫5(a)の上面に、記録デバイスとしてHDDユニット1が、その中の記録媒体2における記録面が略水平になるよう設置されている。
【0048】
また、HDDユニット1の取付け・取外しを行うことのできる、記録デバイス保守用扉3が、筺体7の正面側に、冷却機能付保存庫5(a)〜5(c)に対応した保存品入出庫用扉4(a)〜4(b)とは独立して、具備されている。
【0049】
本実施形態によれば、実施形態1と同様、保存品入出庫用扉4(a)〜4(b)の開閉の際に主に発生する、図中X方向の振動や衝撃は、記録媒体2における記録面に対して水平方向となるので、媒体上に損傷を発生させる、所謂ヘッドクラッシュが発生しにくい。また、記録デバイス保守用扉3が、冷却機能付保存庫5(a)〜5(c)に対応した保存品入出庫用扉4(a)〜4(b)とは独立して、具備されているので、HDDユニット1の取付け、取外しを必要とする保守作業の際に、保存品入出庫用扉4(a)〜4(b)をあける必要が無いので、冷却機能付保存庫5(a)〜5(c)の温度の変動を少なくすることができる。さらに、上記保守作業の際、HDDユニット1は、一般的に−15〜10℃程度の低温に保たれている冷却機能付保存庫5(a)〜5(c)を経由することなく、筺体7に取付け、取外しができるので、HDDユニット1への結露を防止することができる。
【0050】
また、本実施形態では、HDDユニット1は筺体7中の最上部に位置しているため、冷却機能付保存庫5(a)〜5(c)の設置面からの高さに対して影響を与えないので、冷却機能付保存庫5(a)〜5(c)の使い勝手を損なうことなく、記録デバイス機能を付加することができる。
【0051】
(実施形態3)
次に、図3を参照して、本発明による情報記録再生装置の第3の実施形態を説明する。図3は、本実施形態における情報記録再生装置を模式的に示した断面図である。
【0052】
本実施形態では、情報記録再生装置の筺体7中における、冷却機能付保存庫5(a)と冷却機能付保存庫5(b)との間に、記録デバイスとしてHDDユニット1が、その中の記録媒体2における記録面が略水平になるよう設置されている。
【0053】
また、HDDユニット1の取付け・取外しを行うことのできる、記録デバイス保守用扉3が、筺体7の正面側に、冷却機能付保存庫5(a)〜5(c)に対応した保存品入出庫用扉4(a)〜4(b)とは独立して、具備されている。
【0054】
本実施形態によれば、実施形態1と同様、保存品入出庫用扉4(a)〜4(b)の開閉の際に主に発生する、図中X方向の振動や衝撃は、記録媒体2における記録面に対して水平方向となるので、媒体上に損傷を発生させる、所謂ヘッドクラッシュが発生しにくい。また、記録デバイス保守用扉3が、冷却機能付保存庫5(a)〜5(c)に対応した保存品入出庫用扉4(a)〜4(b)とは独立して、具備されているので、HDDユニット1の取付け、取外しを必要とする保守作業の際に、保存品入出庫用扉4(a)〜4(b)をあける必要が無いので、冷却機能付保存庫5(a)〜5(c)の温度の変動を少なくすることができる。さらに、上記保守作業の際、HDDユニット1は、一般的に−15〜10℃程度の低温に保たれている冷却機能付保存庫5(a)〜5(c)を経由することなく、筺体7に取付け、取外しができるので、HDDユニット1への結露を防止することができる。
【0055】
また、本実施形態では、HDD1は、作業位置的に適度な高さに位置するので、HDDユニット1の取付け、取外しを必要とする保守作業が容易にできる。
【0056】
(実施形態4)
次に、図4を参照して、本発明による情報記録再生装置の第4の実施形態を説明する。図4は、本実施形態における情報記録再生装置のブロックダイアグラムである。
【0057】
本実施形態では、情報記録再生装置の筺体14中に、データの入出力タイミング等を制御するCPUユニット12、データの主記録デバイスであるHDD13、データを一時的に保存する固体メモリ16、保存品入出庫用扉(図示せず)に設置された扉センサ15が具備されており、CPU12はネットワーク11に接続されている。
【0058】
本実施形態によれば、扉センサ15を通じて保存品入出庫用扉の開閉状態を検知することで、CPU12から、HDD13の記録動作を制御することが可能となる。
【0059】
この制御によって、例えば振動と衝撃を伴う、保存品入出庫用扉の閉める動作を、その扉を開ける動作から予測し、扉が開いている間は、HDD13における記録動作を停止することで、誤記録を防ぐことができる。
【0060】
また、本実施形態によれば、上述した記録動作が停止している間に送信されて来るデータを一時的に固体メモリ16に記録することができる。その後、固体メモリ16に一時的に保存されたデータは、HDD13に転送することができる。その転送動作は、保存品入出庫用扉の閉状態を検知するタイミングで行うことができる。
【0061】
この制御によって、記録動作が停止している間に、ネットワーク11を通して送信されるデ−タも欠落することなく記録できる。さらに、保存品入出庫用扉が閉じられてから、一時的に保存されたデータを、固体メモリ16からHDD13へ転送することで、誤記録が発生することを防ぐこともできる。
【0062】
(実施形態5)
次に、図5を参照して、本発明による情報記録再生装置の第5の実施形態を説明する。図5は、本実施形態における情報記録再生装置のブロックダイアグラムである。
【0063】
本実施形態では、情報記録再生装置の筺体14中に、データの入出力タイミング等を制御するCPU12、データの主記録デバイスである第1のHDD13(a)に、第2のHDD13(b)、光ディスク18、時刻を出力する時計17が具備されており、CPU12はネットワーク11に接続されている。
【0064】
本実施形態によれば、時計17が出力する時刻を参照して、CPU12から、第1のHDD13(a)に記録されているデータの断片化の解消作業や、コンピュータウィルスの検出や駆除作業を開始する命令を出すことが可能となる。
【0065】
このデータの断片化の解消作業や、コンピュータウィルスの検出や駆除作業は、非常に時間の掛かる作業で、かつ作業中はデータへのアクセスが制限されたり、アクセス速度が低下するため、本実施形態の情報記録再生装置は、例えばユーザーがアクセスしない深夜などの時間帯に、それら作業ができるので、作業によってユーザーの利便性を損なうことが無い。
【0066】
また、本実施形態によれば、時計17が出力する時刻を参照して、CPU12から、第1のHDD13(a)に記録されているデータを、第2のHDD13(b)へ、あるいは光ディスク18へ、のバックアップ作業を開始する命令を出すことが可能となる。
【0067】
本実施形態の情報記録再生装置は、このバックアップ作業も、上述の断片化解消作業等と同様、例えばユーザーがアクセスしない深夜などの時間帯に、それら作業ができるので、作業によってユーザーの利便性を損なうことが無い。
【0068】
なお、本実施例ではバックアップを行う記録デバイスとして、HDDや光ディスクを使用する例を挙げたが、本発明はこれらに限定するものではなく、例えば磁気テープや半導体メモリを使用することも可能である。また、バックアップは、必ずしも記録デバイス上の全てデータを対象にする必要は無く、例えば、その重要度に応じて、一部のデータを選択的にバックアップしても良い。
【0069】
(実施形態6)
次に、図6を参照して、本発明による情報記録再生装置の第6の実施形態を説明する。図6は、本実施形態における情報記録再生装置のブロックダイアグラムである。
【0070】
本実施形態では、情報記録再生装置の筺体14中に、データの入出力タイミング等を制御するCPU12、データの主記録デバイスであるHDD13、筺体14の傾きを検知する傾きセンサ19が具備されており、CPU12はネットワーク11に接続されている。
【0071】
本実施形態によれば、傾きセンサ19によって筺体14の傾きを検知することで、転倒等の情報記録再生装置の異常を検知できる。その異常を検知した時は、CPU12からHDD13に記録・再生動作を停止する命令を送り、さらにHDD13内の磁気ヘッド(図示せず)を記録媒体上から、例えばランプロードへと退避させる。この動作によって、転倒等の大きな衝撃がHDD13に加わる際に発生する、磁気ヘッドが記録媒体に激突するヘッドクラッシュを未然に防ぐことが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0072】
本発明によれば、ホームサーバー等に使用される、情報記録再生装置における記録デバイスの信頼性を高くすることができるので、産業上極めて有用である。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】第1の実施形態における情報記録再生装置を模式的に示した断面図
【図2】第2の実施形態における情報記録再生装置を模式的に示した断面図
【図3】第3の実施形態における情報記録再生装置を模式的に示した断面図
【図4】第4の実施形態における情報記録再生装置のブロックダイアグラムを示す図
【図5】第5の実施形態における情報記録再生装置のブロックダイアグラムを示す図
【図6】第6の実施形態における情報記録再生装置のブロックダイアグラムを示す図
【符号の説明】
【0074】
1 HDDユニット
2 記録媒体
2a 記録面
3 記録デバイス保守用扉
4(a)〜(b) 保存品入出庫用扉
5(a)〜(b) 冷却機能付保存庫
6 コンプレッサ
7 筺体
11 ネットワーク
12 CPU
13 HDD
13(a),(b) HDD
14 情報記録再生装置
15 扉センサ
16 固体メモリ
17 時計
18 光ディスク
19 傾きセンサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
データを保持する記録面を有する記録媒体と、前記データを記録、再生する変換デバイスとを有する記録デバイスと、
冷却機能付保存庫と、
が同一の筐体内に具備された情報記録再生装置であって、
前記記録デバイスは、前記記録媒体における前記記録面が略水平となるように、前記筐体内に具備されたことを特徴とする情報記録再生装置。
【請求項2】
前記情報記録再生装置は、その筐体において、
前記記録デバイスの取り付け、及び取り外しを行うための、記録デバイス保守用扉と、前記冷凍機能付保存庫内に保存する保存品の入出庫を行う保存品入出庫用扉と、を有しており、
前記記録デバイス保守用扉は、前記保存品入出庫用扉の開閉状態に関わらず、開閉できることを特徴とする請求項1に記載の情報記録再生装置。
【請求項3】
前記情報記録再生装置の前記筺体内には、単数あるいは複数の前記冷却機能付保存庫が具備されており、前記記録デバイスは、前記筐体において、最下部に位置する冷却機能付保存庫の下部に具備されていることを特徴とする請求項1に記載の情報記録再生装置。
【請求項4】
前記情報記録再生装置の前記筺体内には、単数あるいは複数の前記冷却機能付保存庫が具備されており、前記記録デバイスは、前記情報記録再生装置の筐体において、最上部に位置する冷却機能付保存庫の上部に具備されていることを特徴とする請求項1に記載の情報記録再生装置。
【請求項5】
前記情報記録再生装置の前記筺体内には、複数の前記冷却機能付保存庫が具備されており、前記記録デバイスは、前記情報記録再生装置の筐体において、複数の冷却機能付保存庫に挟まれた部分に具備されていることを特徴とする請求項1に記載の情報記録再生装置。
【請求項6】
前記情報記録再生装置は、時計を内蔵しており、前記記録デバイスは、前記時計の時刻を参照することによって、あらかじめ予約された、所定の時間に、所定の動作を行うことを特徴とした請求項1に記載の情報記録再生装置。
【請求項7】
前記所定の動作とは、前記記録デバイスのデータの断片化を解消する動作であることを特徴とする請求項6に記載の情報記録再生装置。
【請求項8】
前記所定の動作とは、前記記録デバイス上に記録されたデータを、バックアップする動作であることを特徴とする請求項6に記載の情報記録再生装置。
【請求項9】
前記所定の動作とは、
前記記録デバイスのデータに対して、コンピュータウィルスの検出、並びに/あるいは、コンピュータウィルスの駆除を行う、動作であることを特徴とする請求項6に記載の情報記録再生装置。
【請求項10】
前記冷却機能付保存庫の扉には、開閉センサが具備されており、前記開閉センサの出力を通して、前記冷却機能付保存庫の扉の開閉状態を検知し、その開閉状態に応じて、前記記録デバイスの記録再生動作の制御を行うことを特徴とする請求項1に記載の情報記録再生装置。
【請求項11】
前記記録デバイスの記録再生動作の制御とは、
前記冷却機能付保存庫の扉が開いている状態を検知している間は、前記記録デバイスへの記録を停止する制御、
を含むことを特徴とした請求項10に記載の情報記録再生装置。
【請求項12】
前記記録デバイスへの記録を停止している間に転送されるデータは、同一筐体内に具備された、固体メモリに保存することを特徴とする請求項11に記載の情報記録再生装置。
【請求項13】
前記固体メモリに保存された前記データは、前記冷却機能付保存庫の扉が閉じたことを検知した後、前記記録デバイスへ転送されることを特徴とする請求項12に記載の情報記録再生装置。
【請求項14】
前記情報記録再生装置の筐体には、傾きセンサが具備されており、前記傾きセンサの出力を通して、一定以上の傾きの検知によって、前記記録デバイスの記録再生動作を停止することを特徴とする請求項1に記載の情報記録再生装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−120280(P2006−120280A)
【公開日】平成18年5月11日(2006.5.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−309376(P2004−309376)
【出願日】平成16年10月25日(2004.10.25)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】