説明

情報記録再生装置

アナログ記録媒体に映像音声信号と共に記録されているコントロール信号を利用することにより、前記映像音声信号をデジタル記録媒体へできるかぎり短い時間でダビングできる情報記録再生装置である。情報記録再生装置は、アナログ記録媒体に記録されたコントロール信号を検出するコントロール信号検出部と、制御部などを備えている。制御部は、ダビング命令が入力されると、再生部により再生された映像音声信号を記録部によりデジタル記録媒体に記録するダビング動作を開始し、ダビング動作中に、前記アナログ記録媒体において前記コントロール信号が記録されていない無記録領域を検出したときは、前記記録部に対して前記デジタル記録媒体への記録を一時的に停止するよう指示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は、磁気テープメディアなどのアナログ記録媒体に記録されたアナログ映像音声情報を再生するアナログ再生機能と、DVDなどのデジタル記録媒体に対してデジタル映像音声情報を記録する機能とを併せ持つ情報記録再生装置に関する。特に、アナログ記録媒体から映像音声情報を再生しながら、再生した情報をデジタル記録媒体に記録する、いわゆるダビング処理を行うように構成された情報記録再生装置に関するものである。
【背景技術】
従来、例えば映画などの映像音声情報を記録するために、映像音声情報をアナログ的に記録する磁気テープ(ビデオテープ)や、映像音声情報をデジタル的に記録するDVDなどが用いられている。DVDなどのデジタル記録媒体は、近年の圧縮符号化技術の発達に伴い、広く普及しつつある。磁気テープを駆動させて情報を記録/再生する装置としてはVCP(ビデオカセットプレイヤー)などがある。光ディスクを駆動させて情報を記録/再生する装置としてはDVDレコーダーなどがある。
ところで、最近では、上記のようなVCPとDVDレコーダーが一体化した複合機が提案されている。このような複合機は、磁気テープに記録されている情報をDVDにダビングすることができる機能を有している。また、ビデオテープに記録している映像記録情報をDVDに移し変え、保管スペースを有効活用するという市場ニーズも向上している。
この種の複合機の従来技術として、例えば、実用新案登録第3092141号公報(特許文献1)、特開2000−76736号公報(特許文献2)、特開昭61−230693号公報(特許文献3)、特開昭61−230694号公報(特許文献4)に示される映像音声記録再生装置が知られている。
例えば、特許文献1に開示された従来の映像音声記録再生装置では、磁気テープの内容をDVDにダビングする前に、DVDに空き領域があるか否かの確認を行う。空き領域が無い場合は、警告を発生し、空き領域を確保するようにメッセージを出力する。そして、空き領域が確保された後、磁気テープを巻き戻して高速で磁気テープを再生させることにより、録画モードが切り換わる位置と、無信号の領域と、磁気テープの種類と、コピーガード信号の有無とに関する情報を含むテープ情報を検出し、メモリに記憶させる。その後、再度巻き戻しを行い、磁気テープに記録された映像音声情報が可能な限り1枚のDVDに収まるように、メモリに記憶されたテープ情報に従ってダビング時のビットレートを調整し、磁気テープの無記録領域を除く映像音声情報をDVDにダビングする。
しかしながら、上述した従来の映像音声記録再生装置では、例えば1本のビデオテープに記録された情報を全て、DVDにダビングしたい時には、ビデオテープを始端まで巻き戻し、その後終端まで高速再生を行い、その後再度テープ始端まで巻き戻した後でダビング動作が開始されるため、操作者がダビング命令を出してから、実際にダビングが開始するまでの時間が長くなり、使い勝手が悪いという課題を有している。
また、上記従来の映像音声記録再生装置では、DVDの空き領域が確保された後でないとテープ情報の取得を行わず、また、DVDの空き領域にダビングしたい映像音声情報が収まるか否かの検証もしないため、例えば1本のビデオテープを1枚のDVDにダビングする時に、ダビングが完了する前にDVDの空き容量がなくなってしまうことがあるという課題を有している。
【発明の開示】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、ビデオテープなどのアナログ記録媒体にアナログ映像音声情報と共に記録されているコントロール信号を利用することにより、前記アナログ映像音声情報を、できるかぎり短い時間でDVDなどのデジタル記録媒体へダビングできる情報記録再生装置を提供することを目的としている。
なお、本発明に関して、「ダビング」とは、映像音声情報が記録された第1の記録媒体を再生してその再生信号を第2の記録媒体へそのままコピーする処理の他に、第1の記録媒体からの再生信号に様々な編集を行ったうえで第2の記録媒体へ記録する処理も含む。なお、上記編集とは、第1の記録媒体からの再生信号に様々な信号処理を施したり、他の情報を追加したり、第1の記録媒体の再生信号から不要な部分をカットしたりする処理等を含む。
上記の目的を達成するために、本発明にかかる情報記録再生装置は、アナログ記録媒体から映像音声信号を再生する再生部と、映像音声信号をデジタル記録媒体に記録する記録部とを備えた情報記録再生装置であって、前記アナログ記録媒体に映像音声信号と共に記録されたコントロール信号を検出するコントロール信号検出部と、前記再生部、前記記録部、および前記コントロール信号検出部の動作を制御する制御部とを備え、前記制御部が、ダビング命令が入力されると、前記再生部により再生された映像音声信号を前記記録部により前記デジタル記録媒体に記録するダビング動作を開始し、前記ダビング動作中に、前記コントロール信号検出部により、前記アナログ記録媒体において前記コントロール信号が記録されていない無記録領域を検出したときは、前記記録部に対して前記デジタル記録媒体への記録を一時的に停止するよう指示することを特徴とする。
コントロール信号とは、アナログ記録媒体に映像音声信号と共に記録されている信号である。すなわち、アナログ記録媒体において映像音声信号が記録されていない箇所には、コントロール信号も記録されていない。コントロール信号は、例えば磁気テープ媒体の場合であれば、再生時または早送りあるいは巻き戻しの際に、コントロールヘッドにより検出できる。
上記の構成では、ダビング動作の開始後に、コントロール信号検出部が、アナログ記録媒体において、コントロール信号が記録されていない無記録領域を検出した場合、制御部が、記録部に対してデジタル記録媒体への記録を一時的に停止するよう指示する。これにより、アナログ記録媒体に記録されていた映像音声信号のみをデジタル記録媒体へ記録することができる。また、従来のように、無信号の領域に関する情報を含むテープ情報を取得するために、ダビング処理の開始前にアナログ記録媒体の始端から終端までの高速再生を行う必要がないので、アナログ記録媒体からデジタル記録媒体へのダビングをより短い時間で完了することができる。
【図面の簡単な説明】
図1は、本発明の実施の形態におけるダビング装置の構成を示すブロック図である。
図2は、同実施の形態においてビデオテープからDVDへダビングされるデータの様子を示す模式図である。
図3A〜3Dは、同実施の形態におけるビデオテープからDVDへのダビングの動作を示すフローチャートである。
図4は、同実施の形態におけるビットレートの決定処理の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための最良の形態】
本発明にかかる情報記録再生装置は、アナログ記録媒体から映像音声信号を再生する再生部と、映像音声信号をデジタル記録媒体に記録する記録部とを備えた情報記録再生装置であって、前記アナログ記録媒体に映像音声信号と共に記録されたコントロール信号を検出するコントロール信号検出部と、前記再生部、前記記録部、および前記コントロール信号検出部の動作を制御する制御部とを備え、前記制御部が、ダビング命令が入力されると、前記再生部により再生された映像音声信号を前記記録部により前記デジタル記録媒体に記録するダビング動作を開始し、前記ダビング動作中に、前記コントロール信号検出部により、前記アナログ記録媒体において前記コントロール信号が記録されていない無記録領域を検出したときは、前記記録部に対して前記デジタル記録媒体への記録を一時的に停止するよう指示する構成である。
上記の構成にかかる情報記録再生装置は、前記ダビング動作中に、前記記録部が前記デジタル記録媒体への記録を一時的に停止した後、前記コントロール信号検出部により前記アナログ記録媒体において前記コントロール信号を再び検出したときは、前記記録部に対して前記デジタル記録媒体への記録を再開するよう指示することが好ましい。
この構成によれば、アナログ記録媒体における無記録部分を削除して、映像音声信号のみをデジタル記録媒体へ記録することができる。
上記の構成にかかる情報記録再生装置は、前記デジタル記録媒体の空き容量を取得する空き容量取得部をさらに備え、前記制御部が、ダビング命令が入力されると、前記アナログ記録媒体から前記コントロール信号検出部により検出されたコントロール信号に基づいて、前記アナログ記録媒体の映像音声信号の記録時間を算出し、算出された時間に相当する映像音声信号の全てを前記空き容量取得部で取得された前記デジタル記録媒体の空き容量へ記録できるように、前記記録部による映像音声信号の記録時のビットレートを決定し、当該ビットレートに従って前記ダビング動作を開始することが好ましい。
この構成によれば、アナログ記録媒体に記録されている映像音声信号の全てを、デジタル記録媒体の空き容量へ記録できる。
上記の構成にかかる情報記録再生装置は、前記アナログ記録媒体としてテープ状媒体を用いる情報記録再生装置であり、前記テープ状媒体からコントロール信号を読み取るコントロールヘッドを備え、前記制御部が、ダビング命令が入力されると、まず、終端まで前記テープ状媒体を早送りした後、前記テープ状媒体を始端まで巻き戻す間に、前記コントロールヘッドにより、テープ状媒体に記録されているコントロール信号を取得することが好ましい。
従来は、ダビング時のビットレートを決定するために、ダビング開始前に高速再生を行うことが必要であったために時間を要していたが、この構成によれば、テープ状媒体を終端から始端まで巻き戻す間に、コントロールヘッドによってコントロール信号を取得することができる。これにより、従来のようなダビング開始前の高速再生が不要となるため、アナログ記録媒体からデジタル記録媒体のダビング処理を短時間で完了することができる。
上記の構成にかかる情報記録再生装置は、前記コントロール信号に基づいて算出された、前記アナログ記録媒体に記録されている映像音声信号の記録時間を記憶する記憶部をさらに備え、前記制御部が、ダビング動作中に前記アナログ記録媒体の終端を検出したとき、ダビング動作を終了するよう前記再生部および記録部に指示し、ダビング動作の終了後、前記アナログ記録媒体を当該情報記録再生装置から取り出さずに再度ダビング命令が入力された場合は、前記制御部が、前記テープ状媒体を始端まで巻き戻し、前記記憶部に記憶されている記録時間を用いて、前記記録部による映像音声信号の記録時のビットレートを決定し、当該ビットレートに従って前記ダビング動作を開始することが好ましい。
この構成によれば、1つのアナログ記録媒体から複数のデジタル記録媒体へ連続してダビング処理を行う場合は、2回目以降のダビング処理の際は、記憶部に記憶された記録時間を用いてビットレートを決定することとなる。従って、コントロール信号を取得するための早送りおよび巻き戻しが不要となり、2回目以降のダビング処理をより短時間で完了することができる。
上記の構成にかかる情報記録再生装置は、ユーザインタフェース部をさらに備え、前記制御部が、前記デジタル記録媒体の空き容量に対して最低のビットレートで記録した場合の記録可能時間が、前記アナログ記録媒体に記録されている映像音声信号の記録時間よりも少ない場合に、前記ユーザインタフェース部への警告表示およびダビング動作の中止の少なくとも一方を行うことが好ましい。
この構成によれば、デジタル記録媒体の空き容量に対して最低のビットレートで記録した場合に記録可能な時間が、アナログ記録媒体に記録されている映像音声信号の記録時間よりも短い時に、誤ってダビングを実行することを防止でき、ダビングの信頼性が向上する。
以下に図を用いて本発明の実施の形態を具体的に説明する。
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1にかかるダビング装置(映像音声記録再生装置)の構成を示すブロック図である。
図1において、1はアナログ映像音声情報を記録再生することができる第1の記録媒体である磁気テープメディアであり、いわゆるビデオテープに相当するものである。
3は、磁気テープメディア1に記録されたアナログ映像音声情報の再生及び磁気テープメディア1の早送り及び巻き戻しを行う磁気テープメディア駆動再生部である。磁気テープメディア駆動再生部3は、磁気テープメディア1を走行制御するキャプスタンやローラ、映像音声信号の記録再生を行うヘッドを備えた回転ドラム、磁気テープメディア1に対してコントロール信号を記録したり記録されたコントロール信号を再生したりするコントロールヘッド、再生された映像音声信号の各種信号処理を行う信号処理回路などからなる(いずれも図示せず)。
2は、デジタル映像音声情報を記録再生することができる第2の記録媒体であるデジタル記録メディアである。本実施形態では、第2の記録媒体が、DVD(Digital Versatile Disk)などのように、装置に対して着脱自在で、かつ、信号がデジタル記録される円盤状の記録メディアであるものとして説明するが、第2の記録媒体は、ハードディスクなどのように装置に対して固定式の記録メディアであってもよい。
5は、デジタル記録メディア2に対して信号の書込み及び読出しを行うデジタル記録メディアアクセス部である。デジタル記録メディアアクセス部5は、デジタル記録メディア2を回転駆動するスピンドルモータや、信号の記録再生を行うレーザーダイオード及び光ピックアップなどから構成される(いずれも図示せず)。
4は、磁気テープメディア駆動再生部3によって再生されたアナログ映像音声情報をデジタル映像音声情報に変換し、デジタル記録メディアアクセス部5に出力するアナログデジタル変換部である。
14は、ユーザインタフェース部である。ユーザインタフェース部14は、リモコン、本体キー、ディスプレイなどの入出力デバイスと、ディスプレイ上のGUIにより実現されるユーザ入出力インタフェースを含む。なお、入力インタフェースとしては、上述のリモコンや本体キーやGUI画面以外に、ユーザが入力または操作するものであれば、任意の手段を含む。さらに、出力インタフェースとしても、上述のディスプレイおよびGUI画面表示以外に、ユーザに対して通知または表示するものであれば、任意の手段を含む。
12は、情報の記憶を行う記憶部である。
11は、磁気テープメディア駆動再生部3において再生された信号から、磁気テープメディア1に記録されている再生コントロール信号を検出する再生コントロール信号検出部である。
10は、磁気テープメディア駆動再生部3に対して、磁気テープメディア1の早送り及び巻き戻しを指示する磁気テープメディア駆動部である。具体的には、磁気テープメディア駆動再生部3がVTRである場合は、磁気テープメディア駆動部10は、キャプスタンやリールの駆動などを行う。
9は、磁気テープメディア駆動再生部3において再生された信号から、磁気テープメディア1の始端と終端の位置を検出する始終端検出部である。
8は、磁気テープメディア駆動再生部3に対して磁気テープメディア1の再生処理を指示する磁気テープメディア再生部である。
7は、アナログデジタル変換部4およびデジタル記録メディアアクセス部5を制御して、アナログデジタル変換部4でデジタル情報に変換された映像音声情報を、デジタル記録メディア2へ記録させるデジタル記録部である。デジタル記録部7は、アナログデジタル変換部4が磁気テープメディア駆動再生部3からのアナログ映像音声情報をデジタル映像音声情報へ変換する際のビットレートを、制御部15からの指示に従って調節する。
6は、デジタル記録メディア2の空き容量を読み出すようにデジタル記録メディアアクセス部5へ指示するデジタル記録メディア空き容量取得部である。
13は、デジタル記録メディア2の空き容量に対して最低のビットレートで記録した場合の記録可能時間が磁気テープメディア1の記録時間よりも少ない場合に、ユーザインタフェース部14に警告通知を行わせる警告発生部である。警告発生部13は、例えば、上記の場合、ユーザインタフェース部14に、ダビングの中止を行うよう、使用者への警告表示などを行わせる。
15は、本実施形態のダビング装置全体の動作を制御する制御部である。制御部15は、例えば、ユーザインタフェース部14を介してユーザからダビング実行指示の入力を受けると、磁気テープメディア駆動部10、始終端検出部9、再生コントロール検出部11、記憶部12、デジタル記録メディア空き容量取得部6、デジタル記録部7、磁気テープメディア再生部8、および、警告発生部13を制御することにより、ダビング操作を実行する。
上記の様に構成された本実施形態のダビング装置は、簡単なユーザ操作で、例えばビデオテープなどの磁気テープメディア一本に記録されたアナログ映像音声情報の記録部分全てを、例えばDVDなどのデジタル記録メディア1枚に、より短い時間でダビングすることができる。
また、本実施形態のダビング装置は、例えばDVDなどのデジタル記録メディアの空き容量に対して最低のビットレートで記録した場合の記録可能時間が、例えばVHSなどの磁気テープメディアに記録されている映像音声情報の時間よりも短い場合は、誤ってダビング実行を行わないよう構成されている。
また、本実施形態のダビング装置は、例えばビデオテープなどの磁気テープメディアに記録されているアナログ映像音声記録情報を、例えばDVDなどのデジタル記録メディアの複数枚に連続してダビングを行うときに、より短い時間でダビングを完了できる。
以下、以上のように構成された本実施形態にかかるダビング装置において、ビデオテープからDVDへダビングする場合の動作を、図1と図2を用いて説明する。
図2において、M1は、ダビング元となるビデオテープメディアである。T1は、ビデオテープメディアM1を始端から終端まで再生するために必要な時間であるテープ総再生時間である。PG1は、ビデオテープメディアM1に記録されている1つ目の番組である。PG2は、ビデオテープメディアM1に記録されている2つ目の番組である。PG3は、ビデオテープメディアM1に記録されている3つ目の番組である。B1は、番組PG1と番組PG2との間の無記録部である。B2は、番組PG2と番組PG3との間の無記録部である。すなわち、ビデオテープメディアM1は、番組PG1、番組PG2、および番組PG3が記録された部分と、無記録部B1および無記録部B2とを含む。図2に示すT2は、番組PG1と番組PG2と番組PG3とを連続して再生する時に必要とされる時間(総記録時間)である。M2は、ダビング先となるDVDメディアのダビング前の状態を示す。RAは、DVDメディアM2の全記憶領域(DVD全領域)である。R1は、ダビング前のDVDメディアM2において既に映像音声情報が記録されている既記録領域である。R2は、ダビング前のDVDメディアM2で情報が記録されていない空き領域である。M3は、空き領域R2に対して番組PG1と番組PG2と番組PG3とが収まるようにビットレートを調整してダビングが行われた後のDVDメディアを表す。
制御部15は、ユーザインタフェース部14を介してユーザからダビング実行指示が入力された時、磁気テープメディア駆動部10と始終端検出部9を用いて、終端まで磁気テープメディア1を早送りし、その後、始端まで磁気テープメディア1を巻き戻しながら、再生コントロール検出部11を用いて磁気テープメディア1に記録されている再生コントロール信号の数を取得する。制御部15は、取得した再生コントロール信号の数に基づいて総記録時間T2を算出し、記憶部12に算出結果を記録する。
再生コントロール信号とは、磁気テープメディア1にアナログ映像音声情報を記録する際に一緒に記録される信号である。アナログ映像音声情報が記録されていない部分(例えば図2の未記録部B1,B2)には、再生コントロール信号は存在しない。例えば、VHSの磁気テープメディアにNTSCのアナログ映像音声情報を記録する場合、このアナログ映像音声情報と共に、1秒間に30パルスの矩形信号が再生コントロール信号として記録される。再生コントロール信号は、磁気テープメディア1の再生時あるいは早送りまたは巻き戻しの際に、コントロールヘッドにより読みとることができる。上述のように、再生コントロール信号は、アナログ映像音声情報が記録されている部分に等間隔に記録されているため、再生コントロール信号の間隔をt、磁気テープメディア1を終端から始端まで巻き戻す間に読みとられる再生コントロール信号の数をnとすると、磁気テープメディア1に記録されているアナログ映像音声情報の総記録時間T2は、およそt×(n−1)として求められる。
制御部15は、さらに、デジタル記録メディア空き容量取得部6を用いて、デジタル記録メディア2の空き容量R2を取得し、空き容量R2に対して、記憶部12に記憶された総記録時間T2に相当する映像音声情報が収まるように、デジタル記録メディア2への記録時のビットレートを決定する。そして、制御部15は、その決定されたビットレートで、デジタル記録メディア2への記録と磁気テープメディア1の再生が同時に行われるように、デジタル記録部7と磁気テープメディア再生部8に指令を出し、ダビングを開始する。すなわち、磁気テープメディア再生部8により磁気テープメディア1からアナログ映像音声情報を再生しながら、再生したアナログ映像音声情報を、デジタル記録部7の指示により、アナログデジタル変換部4を用いて、上述のとおり決定されたビットレートでデジタル映像音声情報に変換し、デジタル記録メディアアクセス部5を用いてデジタル記録メディア2へ記録する。
なお、ダビング中に、再生コントロール信号検出部11により、磁気テープメディア1から再生中の情報に再生コントロール信号が無いと検出された時は、制御部15は、デジタル記録部7に対して、デジタル記録メディア2への記録を一時停止するよう指令する。その後、再生コントロール信号が再び検出された時、制御部15は、デジタル記録部7に対して、デジタル記録メディア2への記録を再開するよう指令する。これにより、例えば、番組PG1をデジタル記録メディア2へ記録した後、未記録部B1の再生中はデジタル記録メディア2への記録が一時停止され、番組PG2の再生が開始されたところで、デジタル記録メディア2への記録が再開されることとなる。
以上の処理によれば、ダビング後のDVDメディア3では、空き領域R2に対して、番組PG1と番組PG2と番組PG3が収まるようにビットレートが調整されてダビングされており、かつ、番組間の未記録部B1,B2はカットされた状態となっている。
また、制御部15は、デジタル記録メディア2の空き容量R2に対して最低のビットレートで記録した場合の記録可能時間が、磁気テープメディア1の総記録時間T2よりも短い場合は、ユーザインタフェース部14に警告表示を行い、ダビングを中止することのできる機能を有している。その機能を用いることで、最低のビットレートで記録したとしても磁気テープメディア1の映像音声情報の全てを記録できるだけの空き容量がデジタル記録メディア2にない場合に、誤ってダビングを実行することを未然に防ぐことができる。
また、制御部15は、ダビング中に始終端検出部11により終端が検出された時、ダビングを終了するように磁気テープメディア再生部8とデジタル記録部7に指示する。
なお、ユーザは、1本の磁気テープメディア1に記録されているアナログ映像音声情報を、複数のデジタル記録メディア2へダビングしたい場合がある。そのような場合、ユーザは、1回のダビングが終了すると、通常、磁気テープメディア1を取り出さずに、デジタル記録メディア2のみを新しいメディアに入れ替えて、再度、ユーザインタフェース部14を介してダビング実行指示の入力を行う。この場合は、制御部15は、磁気テープメディア駆動部10と始終端検出部9を用いて、磁気テープメディア1を始端まで巻き戻す。そして、巻き戻しが完了すると、制御部15は、デジタル記録メディア空き容量取得部6を用いて、新たに装着されたデジタル記録メディア2の空き容量R2を取得する。次に、制御部15は、ここで取得した空き容量R2と、1回目のダビング時に記録部12に記憶した総記録時間T2とを用いて、デジタル記録メディア2への記録時のビットレートを決定し、決定したビットレートに従ってダビングを開始する。すなわち、同一の磁気テープメディア1から複数のデジタル記録メディア2へ連続してダビングを行う場合は、2回目以降のダビング時は、磁気テープメディア1の総記録時間T2を求めるための早送り及び巻き戻しは省略され、総記録時間T2として、1回目のダビング時に記録部12に記憶された値が用いられる。このように、同一の磁気テープメディア1から複数のデジタル記録メディア2へ連続してダビングを行う場合、2回目以降のダビング時に総記録時間T2を求めるための早送り及び巻き戻しを省略することで、ダビングをより短い時間で完了させることができる。
次に、図3A〜3Dに示すフローチャートを用いて、本実施形態にかかるダビング装置において、磁気テープメディア1からデジタル記録メディア2にダビングする手順を説明する。なお、本実施形態における磁気テープメディアは一例としてビデオテープであり、デジタル記録メディアはDVDとする。
SAは、ダビング実行指示が入力されたときに実行される自動ダビング処理である。SBは、テープが走行している時に再生コントロール信号が検出された時に実行される再生コントロール信号検出処理である。
再生コントロール信号検出処理SBでは、ビデオテープを挿入して初めてのダビング操作における巻き戻しで再生コントロール信号が検出された時は、次にS21の処理を行い、そうでない時は再生コントロール信号検出処理SBを終了する(S20)。
S21では、再生コントロールバッファの格納値に1を加算して、再生コントロール信号検出処理SBを終了する。なお、再生コントロールバッファは、検出された再生コントロール信号の数を格納するバッファであり、記憶部12に設けられる。
自動ダビング処理SAでは、まず、ビデオテープが挿入されて初めてのダビング操作の時は、次にS1へ進み、ビデオテープの早送り処理を行う。そうでない場合は後述のS5へ進む(S0)。
S1でビデオテープの早送り処理を行った後は、終端が検知されるのを持つ(S2)。終端が検知されたら、ビデオテープの走行を停止させ(S3)、再生コントロールバッファを0に初期化する(S4)。
次に、ビデオテープの巻き戻しを行い(S5)、ビデオテープの始端が検出されるのを待つ(S6)。この巻き戻しの間に、再生コントロール信号が検出される都度、再生コントロール信号検出処理SBが実行される。ビデオテープの始端が検知されたら、ビデオテープの走行を停止させ(S7)、巻き戻しの間に再生コントロール信号検出処理SBにより加算された再生コントロールバッファの格納値から、ビデオテープの総記録時間を算出し、算出された値を、ビデオテープ総記録時間バッファに記憶させる(S8)。ビデオテープ総記録時間バッファも記憶部12に設けられる。なお、この時、ビデオテープが挿入されたままの2回目以降のダビング操作の場合は、前回のダビングで使われた、再生コントロールバッファおよびビデオテープ総記録時間バッファの値を再利用することになる。
次に、DVDの空き容量を取得し(S9)、空き容量に対して最低のビットレートで記録した場合の記録可能時間が、ビデオテープ総記録時間バッファの値が表す時間よりも短い場合、ダビング不可と判断し、S18へ進む。そうでなかった場合は、ダビング可能と判断し、S11へ進む(S10)。
S10にてダビング不可と判断された場合は、警告の表示を行い(S18)、自動ダビング処理SAを終了する。
また、S10にてダビング可能と判断された場合は、ビデオテープ総記録時間バッファの値が表す時間に相当する映像音声情報がDVDの空き容量に対して収まるように、デジタル記録メディア2への記録時のビットレートを算出し、算出した値をビットレートバッファに格納する(S11)。ビットレートバッファも記憶部12に設けられる。次に、ビデオテープの再生と、再生したデータの、ビットレートバッファの値に従ったビットレートでのDVDへの記録とを開始し(S12)、ビデオテープが終端まで到達するのを待つ(S13)。
その間、ビデオテープの再生中の区間に再生コントロール信号が有る間は、S16の処理を行い、そうでない時はS15の処理を行う(S14)。
S16では(再生コントロール信号がある場合)、DVDの録画処理を行う。S15では(再生コントロールがない場合)、DVD録画を一時停止させる。
S13にてビデオテープの終端が検出されると、ビデオテープを停止し、DVDを停止させ(S17)、自動ダビング処理SAを終了する。
ここで、S11におけるビットレートの調整処理について、図4を参照しながら説明する。
制御部15は、まず、再生コントロール信号検出処理SBで検出されたコントロール信号の数に基づき、ビデオテープの録画時間(A)を算出する(S111)。ここで、例えば、A=3600秒であるものとする。
制御部15は、次に、S9で取得されたDVD空き容量を、SPモードで記録可能な秒数(C)に変換する(S112)。なお、SPモードとは、DVDの片面に約2時間のコンテンツがちょうど収まるようなビットレートでの記録モードである。S9で取得されるDVD空き容量は(B)は、一般的に、空いているセクタ数から求められるが、VBR余裕量を考慮した値が求められる。ここで、例えば、C=1800秒であったものとする。
次に、制御部15は、レート(D)とFRモードでのビットレート(E)とを計算する(S113)。FRモードとは、フレキシブルレコーディングモードを意味し、ディスクの空き容量に合わせて可能な限り最高のビットレートで記録するモードである。レートDは、空き容量から換算された秒数Cを録画時間Aで割ることから求められる。次に、制御部15は、求められたレートDにSPモードでのビットレート(SPb)を乗ずることにより、FRモードでのビットレートEを求める。上記の例では、D=C/A=1800/3600=0.5となり、E=D×SPb=0.5×SPbとなる。従って、この場合は、SPモードでのビットレートの半分のビットレートにより、DVDへの記録を行うこととなる。
なお、S113の後に、S113で求められたFRモードでのビットレートEが、XPモードからEPモードまでのビットレートの範囲に収まるかチェックするようにしても良い。DVDの場合、XPモードからEPモードまでの間には、XPモード、SPモード、LPモード、およびEPモードの4段階のモードがある。XPモードとは、DVDの片面に約1時間のコンテンツが収まるようなビットレートで記録するモードである。LPモードは、DVDの片面に約4時間のコンテンツが収まるようなビットレートで記録するモードである。EPモードは、DVDの片面に約6時間のコンテンツが収まるようなビットレートで記録するモードである。すなわち、XPモードでのビットレートが一番高く、EPモードでのビットレートが一番小さい。従って、S113で求められたビットレートEがXPモードでのビットレートより大きい場合は、XPモードのビットレートでDVDへの記録を行うようにしても良い。S113で求められたビットレートEがEPモードでのビットレートより小さい場合は、EPモードのビットレートでDVDへの記録を行うようにしても良い。
上記にて説明したように、本実施形態にかかるダビング装置によれば、簡単なユーザ操作で、例えばビデオテープなどの磁気テープメディア一本に記録されるアナログ映像音声情報の記録部分全てを、例えばDVDなどのデジタル記録メディア一枚に、より短い時間でダビングを行うことができる。また、例えばDVDなどのデジタル記録メディアの空き容量に対して、最低のビットレートで記録した場合の記録可能時間が、例えばVHSなどの磁気テープメディアに記録されている映像音声情報の時間よりも短い時に、誤ってダビングの実行を行わずに済む。また、例えばビデオテープなどの磁気テープメディアに記録されているアナログ映像音声情報を、例えばDVDなどのデジタル記録メディアの複数枚に連続してダビングを行うときに、より短い時間で行うことができる。
なお、上記説明では、アナログ記録媒体がビデオテープであり、デジタル記録媒体がDVDである場合について主に説明したが、アナログ記録媒体はビデオテープに限定されず、デジタル記録媒体もDVDに限定されない。
【産業上の利用可能性】
本発明は、アナログ記録媒体に記録された映像音声情報をデジタル記録媒体へ短時間でダビングする情報記録再生装置として有用である。
【図1】

【図2】





【図4】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
アナログ記録媒体から映像音声信号を再生する再生部と、映像音声信号をデジタル記録媒体に記録する記録部とを備えた情報記録再生装置であって、
前記アナログ記録媒体に映像音声信号と共に記録されたコントロール信号を検出するコントロール信号検出部と、
前記再生部、前記記録部、および前記コントロール信号検出部の動作を制御する制御部とを備え、
前記制御部が、ダビング命令が入力されると、前記再生部により再生された映像音声信号を前記記録部により前記デジタル記録媒体に記録するダビング動作を開始し、前記ダビング動作中に、前記コントロール信号検出部により、前記アナログ記録媒体において前記コントロール信号が記録されていない無記録領域を検出したときは、前記記録部に対して前記デジタル記録媒体への記録を一時的に停止するよう指示することを特徴とする情報記録再生装置。
【請求項2】
前記ダビング動作中に、前記記録部が前記デジタル記録媒体への記録を一時的に停止した後、前記コントロール信号検出部により前記アナログ記録媒体において前記コントロール信号を再び検出したときは、前記記録部に対して前記デジタル記録媒体への記録を再開するよう指示する、請求の範囲1に記載の情報記録再生装置。
【請求項3】
前記デジタル記録媒体の空き容量を取得する空き容量取得部をさらに備え、
前記制御部が、ダビング命令が入力されると、前記アナログ記録媒体から前記コントロール信号検出部により検出されたコントロール信号に基づいて、前記アナログ記録媒体の映像音声信号の記録時間を算出し、算出された時間に相当する映像音声信号の全てを前記空き容量取得部で取得された前記デジタル記録媒体の空き容量へ記録できるように、前記記録部による映像音声信号の記録時のビットレートを決定し、当該ビットレートに従って前記ダビング動作を開始する、請求の範囲1または2に記載の情報記録再生装置。
【請求項4】
前記アナログ記録媒体としてテープ状媒体を用いる情報記録再生装置であり、
前記テープ状媒体からコントロール信号を読み取るコントロールヘッドを備え、
前記制御部が、ダビング命令が入力されると、まず、終端まで前記テープ状媒体を早送りした後、前記テープ状媒体を始端まで巻き戻す間に、前記コントロールヘッドにより、テープ状媒体に記録されているコントロール信号を取得する、請求の範囲3に記載の情報記録再生装置。
【請求項5】
前記コントロール信号に基づいて算出された、前記アナログ記録媒体に記録されている映像音声信号の記録時間を記憶する記憶部をさらに備え、
前記制御部が、ダビング動作中に前記アナログ記録媒体の終端を検出したとき、ダビング動作を終了するよう前記再生部および記録部に指示し、
ダビング動作の終了後、前記アナログ記録媒体を当該情報記録再生装置から取り出さずに再度ダビング命令が入力された場合は、前記制御部が、前記テープ状媒体を始端まで巻き戻し、前記記憶部に記憶されている記録時間を用いて、前記記録部による映像音声信号の記録時のビットレートを決定し、当該ビットレートに従って前記ダビング動作を開始する、請求の範囲4に記載の情報記録再生装置。
【請求項6】
ユーザインタフェース部をさらに備え、
前記制御部が、前記デジタル記録媒体の空き容量に対して最低のビットレートで記録した場合の記録可能時間が、前記アナログ記録媒体に記録されている映像音声信号の記録時間よりも少ない場合に、前記ユーザインタフェース部への警告表示およびダビング動作の中止の少なくとも一方を行う、請求の範囲1〜5のいずれかに記載の情報記録再生装置。

【国際公開番号】WO2005/027132
【国際公開日】平成17年3月24日(2005.3.24)
【発行日】平成18年11月24日(2006.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−513858(P2005−513858)
【国際出願番号】PCT/JP2004/012905
【国際出願日】平成16年8月31日(2004.8.31)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】