説明

情報記録媒体およびこれに用いられる樹脂基板の製造方法

【課題】記録密度を高めても十分なチルトマージンと機械的強度とを確保し得る情報記録媒体を提供する。
【解決手段】基板1と、前記基板の表面に設けられエンボスピット2が設けられた記録面と、前記記録面の表面に設けられた反射膜3と、前記反射膜の表面に設けられた第1の保護膜4と、前記第1の保護膜の上に設けられた透明フィルムからなる第2の保護膜18とを具備し、前記保護膜側から照射された光ビームの反射光の光強度変化に基づいて記録データが再生される情報記録媒体であって、前記保護膜の厚さは0.0001mmから0.1mmの範囲であることを特徴とする情報記録媒体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報記録媒体およびこれに用いられる樹脂基板の製造方法に係り、特に表面記録再生用情報記録媒体およびこれに用いられる樹脂基板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
通常のCD、CD−ROMなどの光ディスクにおいては、1.2mm厚の透明基板の一方の面上に記録データに応じたエンボスピットが形成され、さらにその上にAlなどからなる反射膜が形成されている。こうしたCDに記録された情報は、反射膜が設けられた面とは反対側の透明基板側から集光ビームを照射することにより再生される。
【0003】
より記録密度が高密度化されたDVDやDVD−ROMディスクにおいては、0.6mm厚の透明基板の一方の面上にCDの場合よりも微細なエンボスピットが形成され、さらにその上にAlなどからなる反射膜が形成されている。こうしたディスクの記録面に記録された情報の再生は、CDの場合と同様に反射膜が形成されている面とは反対側の透明基板側から集光ビームを照射することにより行なわれる。
【0004】
0.6mm厚の基板の材料としては、透明な樹脂材料であるPC(ポリカーボネート)が一般的に使用されている。0.6mmのPC基板では、機械的特性が十分ではなく、そのままでは基板が反ってしまうため、記録面が内側となるよう2枚の0.6mmPC基板を貼り合わせて、合計厚さ1.2mmのディスクとして機械的特性を確保している。
【0005】
なお、DVDディスクの基板厚が0.6mmとなったのは、チルトマージンを確保するためである。トラックピッチ、ピット密度がより詰まるとディスクの傾き、いわゆるチルトのマージンが減少してしまう。1.2mmから0.6mmへと基板厚が小さくすることによって、チルトマージンは確保することができるが、機械的強度の低下は避けられない。
【0006】
そこで、基板を薄くして機械的強度を確保するため、ディスクの中央部を厚くすることにより機械的強度を確保することが提案されている(例えば、特許文献1参照)。しかしながら機械的強度を確保するためには、信号記録領域の基板厚さは0.6mmが限界であった。また、透明基板の厚さを0.1mm〜0.6mmとすることが報告されている(例えば、特許文献2参照)が、記録膜を保持する保護基板の厚さ、反射膜の膜厚等については言及されておらず、実施するうえでは問題であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平9−204686号公報
【特許文献2】特開平9−204688号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
今後さらに記録密度を詰めて大容量化を図るためには、基板の厚さをさらに薄くすることが、チルトマージンの面から有効であるものの、基板厚が0.6mmより小さくなると、こうした基板を2枚貼り合わせても機械的強度を確保することが困難となる。
【0009】
また、基板を貼り合わせる際には接着剤等が必要となるのみならず、製造プロセスも煩雑となってしまう。
【0010】
そこで本発明は、さらに記録密度を高めても十分なチルトマージンと機械的強度とを確保し得る情報記録媒体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一態様にかかる情報記録媒体は、基板の表面に設けられ、記録データに応じたエンボスピットが形成された記録面と、前記記録面の上に形成された反射膜と、前記反射膜の上に形成された第1の保護膜と、前記第1の保護膜の上に形成された透明フィルムからなる第2の保護膜とを具備し、前記保護膜側から照射された光ビームの反射光の光強度変化に基づいて記録データが再生される情報記録媒体であって、前記保護膜の厚さは0.0001mmから0.1mmの範囲であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、記録密度を高めても十分なチルトマージンと機械的強度とを確保し得る情報記録媒体が提供される。また本発明によれば、こうした情報記録媒体に用いられる樹脂基板の製造方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の情報記録媒体の一例を模式的に表わす断面図。
【図2】図1に示した情報記録媒体に用いられるディスク基板を製造するための金型を模式的に表わす概略図。
【図3】反射膜の膜厚と反射率との関係を表わすグラフ図。
【図4】反射膜の膜厚の光波長依存性を表わすグラフ図。
【図5】本発明の情報記録媒体の他の例を模式的に表わす断面図。
【図6】図5に示した情報記録媒体に用いられるディスク基板を製造するための金型を模式的に表わす概略図。
【図7】本発明の情報記録媒体の他の例を模式的に表わす断面図。
【図8】本発明の情報記録媒体の他の例を模式的に表わす断面図。
【図9】本発明の情報記録媒体の他の例を模式的に表わす断面図。
【図10】本発明の情報記録媒体の他の例を模式的に表わす断面図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施例を図面を参照して詳細に説明する。
【0015】
(実施例1)
図1に、本実施例の光ディスクの一例を模式的に表わした断面図を示す。
【0016】
図示する光ディスクにおいては、1.2mm厚ディスク基板1の一方の表面に、記録データに応じたエンボスピット2が形成された記録面が設けられている。こうしたエンボスピット2が設けられた記録面の上には、反射膜3が成膜され、さらにその上に保護膜4がオーバーコートされている。
【0017】
ディスクに記録されている記録データの読み出しは、図示するように光ビーム5を対物レンズ6で集光して保護膜4側から入射し、反射膜3からの反射光の光強度変化をエンボスピットの記録データとして検出することによって行なわれる。
【0018】
なお従来の光ディスクにおいては、保護膜側からではなく透明基板側から光ビームを入射して、基板の光入射面とは反対側の面に形成されているエンボスデータを読み取っていた。そのため、基板の厚さによってチルトマージンの確保が制限されていた。それに対して、図1に示したような光ディスク構造であれば、基板表面のエンボス面から再生するので、保護膜4の膜厚が従来の基板厚さに相当することになる。
【0019】
本発明の光ディスクにおいては、エンボス面(記録面)から保護膜4側の表面までの距離は、基板1の厚さより小さく規定しているので、保護膜の膜厚は、基板厚より小さくなる。したがって、基板厚によるチルトマージンの制限を受け難くなり、高記録密度化が容易となる。
【0020】
反射膜3は、反射膜材料を真空蒸着またはスパッタ法により成膜して作製することができる。
【0021】
こうした反射膜3の上に配置される保護膜4は、例えば、従来の紫外線硬化樹脂などにより形成することができる。この保護層4は、例えば、紫外線硬化樹脂をスピンコート法により反射膜3の表面に塗布して樹脂膜を成膜し、紫外線を照射してこれを硬化させることにより形成される。このオーバーコート保護膜4の膜厚としては、実用上、数μm〜数mmの範囲で、0.6mm以下であることが好ましく、0.0001〜0.1mmの範囲であることがより好ましい。また、反射膜3との光干渉を生じない膜厚であることが望まれる。
【0022】
保護膜4の材質は、紫外線硬化樹脂に限定されるものではなく、再生に使用される光ビームを透過して環境的、熱的に安定な材料であれば特に限定されず、誘電体材料で構成してもよい。例えば、SiO2、SiO、AlN、Al2O3、ZrO2、TiO2、Ta2O3、ZnS、Si、Geまたはこれらの混合材料等を用いて、真空蒸着法やスパッタリング法などにより保護膜4を形成することもできる。
【0023】
なお、反射膜3それ自体が安定な膜であれば、保護膜4を省略することも可能である。
【0024】
本実施例の光ディスクに用いられる1.2mm厚ディスク基板1は、従来のCD、DVDの製造で採用されている射出成形法により作製することができる。例えば、予め情報が記録されたマスター盤を射出成形機の一方の金型側にセットし、完成後の基板厚さが1.2mmとなるように2つの金型の空間を設定することによって、1.2mm厚ディスク基板1が作製される。
【0025】
ここで、片面に記録面を有する1.2mm厚ディスク基板1を、射出成形法により作製するための金型の一例を図2に模式的に示す。
【0026】
まず、ディスクの記録面をA面とすると、従来のマスタリングでA面用のスタンパーを作製し、このA面用のスタンパー7の中央に精度よく中心穴8を形成する。金型9の一方の面の中央部には、A面用スタンパー7の中心穴8に対応した穴径精度の突起10を設けておく。
【0027】
射出成形用の金型9の片面に、A面用スタンパー7を記録面が内側となるように設置して、A面用スタンパーの中心穴8を金型9に設けられた突起10に配設する。その突起10にスタンパーの中心穴8をはめ込むことで、A面用スタンパー7の位置合わせができる。
【0028】
金型9のA面用スタンパー7と対向させて金型11を離間して配置し、加熱され溶融状態とした樹脂を樹脂導入口12から、これらの間に充填する。次いで、A面用スタンパー7と金型11とを近接させて、A面用スタンパー7と金型11との間隔を所定の間隔とする。具体的には、樹脂が冷却硬化後、できあがった基板1の厚さが1.2mmとなるようにA面用スタンパー面7と金型面11との間隔を設定する。
【0029】
以上の工程によって、片面に記録面が形成された1.2mm厚のディスク基板1を1回の射出成形で形成することができる。
【0030】
従来の光ディスクでは、基板側から光ビームを入射して記録情報を再生していたため、基板は、再生に使用される光ビームの波長を透過する必要があったが、本発明では保護膜側から再生するため、基板は必ずしも透明でなくともよい。このように保護膜側から光ビームが照射されるので、基板の複屈折も問題とならない。そのため、基板材料としては、耐環境性、耐熱性、および加工性に優れた材料であれば特に限定されず、例えば、ABS樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリスチレン樹脂等、より安価な材料を使用することが可能である。
【0031】
1.2mm厚ディスク基板1の記録面の上には、スパッタ法または真空蒸着法などにより反射膜が成膜される。図3のグラフには、反射膜の膜厚と反射率との関係を示す。
【0032】
ここではAl系合金膜により反射膜を形成し、照射する光ビームの波長は650nmとした。こうした条件の場合には、膜厚を約14nmとしたときに反射率は45%となり、膜厚が40nmとなると反射率はほぼ飽和状態となることが図3のグラフに示されている。このグラフに表わされた反射率には保護膜4表面からの表面反射も含まれているので、反射膜表面における反射率は表面反射を除いた値となる。具体的には、反射膜の厚さがゼロのときの反射率が保護膜4の表面反射に相当するので、図3のグラフに示す場合には、その分(約5%)を除いた値が反射膜の反射率となる。
【0033】
図4には、反射率が45%および飽和状態となるときの反射膜の膜厚の光波長依存性を示す。なお、反射膜はAl系の合金膜により構成し、光ビームの波長は400〜800nmとした。
【0034】
図4のグラフにおいて、直線aは反射率45%となる膜厚であり、直線bは、反射率が飽和状態となるときの膜厚である。このグラフに示されるように、光波長400nmから800nmで光波長依存性は小さく、この波長範囲内において、反射率45%となる反射膜膜厚は13〜14nm、また飽和反射率となる膜厚はほぼ40nmであった。
【0035】
DVD−ROMの規格では、反射率が45〜85%と規定されているので、DVD−ROMとの再生互換を保持するためには、本発明の光ディスクの反射膜における反射率を45%以上とすることが要求される。そのためには、反射率の膜厚を14nm以上とする必要があることが図3のグラフに示されている。さらに、反射膜の膜厚変動を抑制して一定の反射率を得るためには、反射率が飽和した膜厚に設定することが製造上望ましい。そのためには、反射率の膜厚を40nm以上とすることが好ましい。
【0036】
また、こうしたAl系合金膜からなる反射膜は、光波長依存性が小さいので、将来の緑、青色光ビームを用いた再生にも、上述したような膜厚設定で使用することが可能である。
【0037】
(実施例2)
図5に、本実施例の光ディスクの一例を模式的に表わした断面図を示す。
【0038】
図示する光ディスクにおいては、1.2mm厚ディスク基板13の表裏の両面に記録データに応じたエンボスピット2が形成された記録面が設けられている。こうした両面のエンボスピット2が設けられた記録面の上には、それぞれ反射膜3が成膜され、さらにその上にそれぞれ保護膜4がオーバーコートされている。
【0039】
ディスクに記録されている記録データの読み出しは、図示するように光ビーム5を対物レンズ6で集光して両面の保護膜4側からそれぞれ入射し、反射膜3からの反射光の光強度変化をエンボスピットの記録データとして検出することによって行なわれる。本実施例の光ディスクは両面に記録面が形成されているので両表面から再生することができ、単純に単面の場合の2倍の記録容量を確保することが可能となる。
【0040】
ここで、本実施例の光ディスクに用いられる両面に記録面を有する1.2mm厚ディスク基板13を、射出成形法により作製するための金型の一例を図6に模式的に示す。
【0041】
まず、ディスクの一方の面をA面、他方の面をB面とすると、従来のマスタリングでA面用のスタンパー7aおよびB面用のスタンパー7bをそれぞれ作製し、A面のスタンパー7aの中央に精度よく中心穴8を形成する。B面のスタンパー7bにも、同様にして中心穴14を形成する。
【0042】
金型9の一方の面の中央部には、A面用スタンパー7aの中心穴8に対応した穴径精度の突起16を設け、金型15の一方の面の中央部には、B面用スタンパー7bの中心穴14に対応した穴径精度の突起17を設けておく。こうした突起16,17を設けることにより、A面用スタンパー7aの中心穴8とB面用スタンパー7bの中心穴14とを揃えることができる。
【0043】
射出成形用の金型9の片面にA面用スタンパー7aを記録面が内側となるように設置し、A面用スタンパーの中心穴8を金型9の突起16に配設する。対向する他方の金型15にも、記録面が内側となるようB面用スタンパー7bを設置し、B面用スタンパーの中心穴14を金型15の突起17に配設する。こうして突起16および17にスタンパーの中心穴8,14をそれぞれはめ込んだ状態で、A面用スタンパー7aの中心穴8とB面用スタンパー7bの中心穴14とを一致させる。
【0044】
次いで、A面用スタンパー7aの記録面とB面用スタンパー7bの記録面とを対向させて配置し、加熱され溶融状態とした樹脂を樹脂導入口12から、これらの間に充填する。
【0045】
その後、金型のA面用スタンパー7aまたはB面用スタンパー7bを押し出して、金型のA面用スタンパー7aとB面用スタンパー7bとの間隔を所定の間隔とする。具体的には、樹脂が冷却硬化後できあがった基板の厚さが1.2mmとなるように金型のA面用スタンパー面7aとB面用スタンパー面7bとの間隔を設定する。
【0046】
以上の工程によって、両面に記録面が形成された1.2mm厚のディスク基板13を1回の射出成形で形成することができる。
【0047】
こうして形成された記録面上に反射膜3を形成するに当たっては、例えば、反射膜材料を真空蒸着またはスパッタ法で成膜する方法が用いられる。ディスクの両側に蒸着源またはスパッタターゲット材を対向して配置し、対向蒸着または対向スパッタすることによって、2つの記録面上に同時に反射膜を成膜することができる。あるいは、一方の記録面をマスク材でマスクして、片面ずつ順次反射膜を成膜することもできる。
【0048】
保護膜4のオーバーコートは、一方の反射膜3をマスク材でマスクして、片面ずつ順次スピンコートしてUV硬化樹脂を塗布して樹脂膜を成膜した後、UV炉でこれを硬化することで容易に形成することができる。あるいは、2つの反射膜3上に同時にオーバーコート保護膜4を形成してもよい。この場合は、まず、治具を工夫してディスクを支持して回転させ、ディスクの両側から反射膜上に同時にスピンコートしてUV硬化樹脂を塗布し樹脂膜を成膜する。次いで、UVランプが対向して設置されたUV炉にディスクを通過させて硬化する。こうした工程によって、2つの反射膜上に同時にオーバーコート保護膜4を形成することができる。
【0049】
(実施例3)
図7に、本実施例の光ディスクの一例を模式的に表わした断面図を示す。
【0050】
図示する光ディスクにおいては、1.2mm厚ディスク基板1の一方の表面に、記録データに応じたエンボスピット2が形成された記録面が設けられている。こうしたエンボスピット2が設けられた記録面の上には、反射膜3が成膜され、さらにその上に第1の保護膜4、および第2の保護膜18が順次オーバーコートされている。
【0051】
ディスクに記録されている記録データの読み出しは、図示するように光ビーム5を対物レンズ6で集光して保護膜18側から入射し、反射膜3からの反射光の光強度変化をエンボスピットの記録データとして検出することによって行なわれる。
【0052】
本実施例の光ディスクを構成するための1.2mm厚ディスク基板1、エンボスピット2、反射膜3および保護膜4は、前述の実施例1の光ディスクの場合と同様とすることができる。
【0053】
保護膜4の上に配置される保護膜18は、例えば、従来の紫外線硬化樹脂などにより形成することができる。この保護膜18は、例えば紫外線硬化樹脂をスピンコート法により保護膜4の表面に塗布し樹脂膜を成膜し、紫外線を照射してこれを硬化させることにより形成される。このオーバーコート保護膜18の膜厚は、実用上数μm〜数mmの範囲で、0.6mm以下であることが好ましい。スピンコート法での紫外線硬化樹脂の膜厚分布を考慮すると、オーバーコート保護層18の膜厚は、実用上0.0001〜0.1mmであることが好ましい。また、反射膜3との光干渉を生じない膜厚であることが望まれる。
【0054】
保護膜18の材質は、上述したような紫外線硬化樹脂に限定されるものではない。再生に使用される光ビームを透過して環境的、熱的に安定な材料であれば特に限定されず、誘電体材料で構成してもよい。例えば、SiO2、SiO、AlN、Al2O3、ZrO2、TiO2、Ta2O3、ZnS、Si、Geまたはこれらの混合材料等を用いて、真空蒸着法やスパッタリング法などにより形成することもできる。
【0055】
また保護膜18は、使用される光の波長に対して透明な材料であればよく、上述した材料や形成方法に限定されるものではない。例えば、厚さ0.0001mm以上0.6mm以下の透明な樹脂材料からなるフィルム状、または板状のものを用いることもできる。こうした樹脂フィルム等は、保護膜4をスピンコートする際に保護膜4の上に載せ、UV炉でUV照射して硬化させることで、保護膜4の上に接着することができる。
【0056】
ただし、再生に使用する光ビームの波長での保護膜18の屈折率n2は、再生に使用する光ビームの波長での保護膜4の屈折率n1より小さいか等しい材料であることが必要である。保護膜18の光屈折率が保護膜4の光屈折率より大きい場合(n2>n1)には、保護膜18と保護膜4との界面における光反射が大きくなって記録面からの信号が低下し、光効率が低下してしまう。
【0057】
したがって、図7に示したような保護膜を2層積層した構成の光ディスクとする場合には、保護膜18としては、その光屈折率n2が保護膜4の光屈折率n1よりも小さいか等しく、透明な材料を用いることが必要である。
【0058】
本実施例の光ディスクにおいては、保護膜4の上にさらに保護膜18を配設しているので、ディスク表面の機械的強度を高めるとともに、ディスクの取り扱い上の傷等を防止することが可能となった。
【0059】
(実施例4)
図8に、本実施例の光ディスクの一例を模式的に表わした断面図を示す。
【0060】
図示する光ディスクにおいては、1.2mm厚ディスク基板13の表裏の両面に記録データに応じたエンボスピット2,22が形成された記録面がそれぞれ設けられている。エンボスピット2が設けられた記録面の上には、反射膜3、第1の保護膜4、および第2の保護膜18が順次形成されており、他方のエンボスピット22が設けられた記録面の上には、反射膜23、第1の保護膜24、および第2の保護膜19が順次形成されている。
【0061】
前述の実施例3では、ディスク基板の片面のみに記録面を設けたが、本実施例では、ディスク基板の両面に記録面を設ける以外は前述と同様の構成としたものである。したがって、本実施例の光ディスクを構成するための1.2mm厚両面ディスク基板13は、前述の実施例2の場合と同様とすることができ、エンボスピット2、反射膜3および保護膜4等は、前述の実施例1の場合と同様とすることができる。
【0062】
第1の保護膜4,24の上に配置される第2の保護膜18,19は、例えば、従来の紫外線硬化樹脂などにより形成することがきる。このような保護膜18,19は、例えば、紫外線硬化樹脂をスピンコート法により保護膜4,24の表面に塗布して樹脂膜を成膜し、紫外線を照射してこれを硬化させることにより形成される。
【0063】
第2の保護膜18,19を片面ずつ形成する場合には、第1の保護膜の一方の面をマスク材でマスクして、片面ずつ順次スピンコートしてUV硬化樹脂を塗布して樹脂膜を成膜した後、UV炉でこれを硬化することにより容易に形成することができる。あるいは、両面の第1の保護膜上に同時に第2の保護膜を形成してもよい。この場合は、まず、治具を工夫してディスクを支持して回転させ、ディスクの両側から同時にスピンコートしてUV硬化樹脂を塗布し樹脂膜を成膜する。次いで、UVランプが対向して設置されたUV炉にディスクを通過させて硬化する。こうした工程によって、両面の第1の保護膜4,24上に同時に第2のオーバーコート保護膜18,19を形成することができる。
【0064】
このオーバーコート保護膜18,19の膜厚は、実用上数μm〜数mmの範囲で、0.6mm以下であることが好ましい。スピンコート法での紫外線硬化樹脂の膜厚分布を考慮すると、オーバーコート保護層18,19の膜厚は、実用上0.0001〜0.1mmであることが好ましい。また、反射膜3,23との光干渉を生じない膜厚であることが好ましい。
【0065】
保護膜18,19の材質は、上述したような紫外線硬化樹脂に限定されるものではない。再生に使用される光ビームを透過して環境的、熱的に安定な材料であれば特に限定されず、誘電体材料で構成してもよい。例えば、SiO2、SiO、AlN、Al2O3、ZrO2、TiO2、Ta2O3、ZnS、Si、Geまたはこれらの混合材料等を用いて、真空蒸着法やスパッタリング法などで形成することができる。
【0066】
こうした材料を用いて第2の保護膜18,19を両面に同時に成膜する場合には、ディスクの両側に蒸着源またはスパッタターゲット材を対向して配置し、対向蒸着または対向スパッタすればよい。あるいは、一方の面をマスク材でマスクして片面ずつ順次成膜することもできる。
【0067】
また保護膜18,19は、使用される光の波長に対して透明な材料であればよく、上述した材料や形成方法に限定されるものではない。例えば、厚さ0.0001mm以上0.6mm以下の透明な樹脂材料からなるフィルム状、または板状のものを用いることもできる。こうした樹脂フィルム等は、保護膜4,24をスピンコートする際に保護膜の上に載せ、UV炉でUV照射して硬化させることで保護膜4、24の上に接着することができる。
【0068】
こうした樹脂フィルム等を貼り付けて保護膜18,19を形成する場合には、まず、反射膜の一方の面をマスク材でマスクして片面ずつ順次UV硬化樹脂を塗布して樹脂膜を成膜する。次いで、その上に保護膜18,19を載せてスピンコートする。最後に、UV炉で硬化することにより容易に形成することができる。あるいは、保護膜18,19を同時に形成してもよい。この場合は、まず、治具を工夫してディスクを支持してUV硬化樹脂を両面に塗布し、その両面上に保護膜18,19を載せスピンコート回転させる。次いで、UVランプが対向して設置されたUV炉にディスクを通過させることで、両面に同時に保護膜18,19が形成される。
【0069】
ディスクの両面の保護膜18,19を光ビームの作動距離に応じた厚さとし、かつこれら2つの保護膜をディスクの上下面で同じ厚さとすることで、ディスクの両面を同じ作動距離の光学ヘッドで再生することができる。
【0070】
ただし、再生に使用する光ビームの波長での第2の保護膜18,19の屈折率n2は、再生に使用する光ビームの波長での第1の保護膜4,24の屈折率n1よりそれぞれ小さいか等しい材料であることが必要である。例えば、保護膜18の光屈折率が保護膜4の屈折率より大きい場合(n2>n1)には、保護膜18と保護膜4との界面における光反射が大きくなって記録面からの信号が低下し、光効率が低下してしまう。保護膜19と保護膜24との間においても、保護膜19の光屈折率が保護膜24の屈折率より大きい場合には、これと同様の不都合が生じる。
【0071】
したがって、図8に示したような保護膜を2層積層した構成の光ディスクとする場合には、第2の保護膜18,19としては、その光屈折率n2が第1の保護膜4,24の光屈折率n1よりそれぞれ小さいか等しく、透明な材料を用いることが必要である。
【0072】
本実施例の光ディスクは、第1の保護膜4,24の両面上にさらに第2の保護膜18,19がそれぞれ配設された構成である。前述の実施例3では、一方の面のみに記録面を形成した片面仕様であったが、本実施例では、さらにディスクの他方の面にも記録面を設けて両面仕様としたものである。
【0073】
このように両面仕様としたことで、ディスクの記録容量の2倍化が容易に可能となる。
【0074】
また、両面の保護膜4,24の両面上にさらに保護膜18,19をそれぞれ配設しているのでディスク両面の機械的強度を高めるとともに、ディスクの取り扱い上の傷等を防止することが可能となった。
【0075】
(実施例5)
前述の実施例4では、ディスクの両面の第2の保護膜18と19との膜厚を同じとしたが、ディスクの上下面に設けられる保護膜18と19との膜厚を異なる厚さとすることも可能である。
【0076】
例えば、図8に示した光ディスクにおいて、一方の保護膜18の膜厚を0.0001〜0.6mmとし、他方の保護膜19の膜厚を0.6mmとした場合には、次のような利点が得られる。すなわち、保護膜18側の面を、作動距離の短い光ヘッド用の記録再生面として使用し、保護膜19側の面は、従来のDVD仕様に対応した光ヘッド用の記録再生面として使用することが可能となる。
【0077】
(実施例6)
前述の実施例5では、ディスクの両面の第2の保護膜18と19との膜厚を異なる厚さとしたが、この場合さらに、基板12の厚さを調整することで、ディスク全体の厚さを1.2mmとすることができる。
【0078】
例えば、図8に示した光ディスクにおいて、一方の保護膜18の厚さを0.1mmとし、他方の保護膜19の厚さを0.6mmとした場合には、ディスク基板13の厚さを0.5mmとすると、ディスク全体の厚さが1.2mmとなる。それによって、従来のCD、DVDディスクと同等のディスク厚さを実現することができるので、ディスクの取り扱い上の互換性が保持できる。
【0079】
(実施例7)
図9には、本実施例の光ディスクの一例を模式的に表わした断面図を示す。
【0080】
図示する光ディスクにおいては、1.2mm厚ディスク基板25の一方の表面に光ビーム5のトラッキング用の案内溝26が形成され、その上に反射膜27、下保護膜28、記録膜29、および上保護膜30が順次成膜され、さらにその上に保護膜4がオーバーコートされている。
【0081】
ディスクに記録されている記録データの読み出しは、図示するように光ビーム5を対物レンズ6で集光して保護膜4側から入射し、記録マークによる記録膜29からの反射光の光強度変化を記録データとして検出することによって行なわれる。
【0082】
光ディスク基板25は、安定で経時変化が少ない材料により構成することができる。用い得る材料としては、例えばポリメチルメタクリレート(PMMA)のようなアクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、エポキシ樹脂、スチレン樹脂、ガラス、Alなどの金属、合金、およびセラミック等が挙げられる。こうした材料で構成された光ディスク基板25上には、記録フォーマットに応じて、グループトラック、ランドトラック、プリフォーマットマーク等が形成される。
【0083】
反射膜27は、この上に下保護膜28を介して形成される記録膜29の光学変化を光学的にエンハンスして再生信号を増大させる効果と、記録膜29の冷却効果とを有している。この反射膜27は、Au、Al、Cu、Ni−Cr、またはこれらを主成分とした合金等の金属膜を真空蒸着法やスパッタリング法等などにより形成することができる。反射膜27の膜厚は、実用上、数nm〜数μmである。
【0084】
記録膜29は、光ビームの照射条件によって結晶構造が変化する相変化膜により構成される。このような相変化型材料としては、GeTe系、TeSe系、GeSbSe系、TeOx系、InSe系、およびGeSbTe系等のカルコゲナイド系アモルファス半導体材料や、InSb系、GaSb系、およびInSbTe系などの化合物半導体材料などを用いることができる。
【0085】
上述したような材料を用いて、真空蒸着法やスパッタリング法等により記録膜29を形成することができる。この記録膜29の膜厚は、実用上数nmから数μmである。
【0086】
下保護膜28および上保護膜30は、記録膜29を挟むようにこの上下に配設されており、記録ビームの照射により記録膜29が飛散したり、穴があいてしまうことを防止する役割を有している。また記録時における記録膜29の加熱、冷却の熱拡散を制御する働きもある。こうした下保護膜28および上保護膜30は、例えばSiO2、SiO、AlN、Al2O3、ZrO2、TiO2、Ta2O3、ZnS、Si、Geまたはこれらの混合材料等を用いて、真空蒸着法やスパッタリングなどで形成することができる。下保護膜28および上保護膜30の膜厚は、実用上数nm〜数μmである。
【0087】
上保護膜30上のオーバーコート保護膜4は、相変化光ディスクを取り扱ううえでの、傷やほこり等を防止するために配設されるものであり、通常、紫外線硬化樹脂などにより形成される。この保護膜4は、例えば紫外線硬化樹脂をスピンコート法により上保護膜30の表面に塗布し、紫外線を照射して硬化させることにより形成することができる。オーバーコート保護膜4の膜厚としては、実用上数μm〜数mmの範囲で、0.6mm以下とすることが好ましい。スピンコート法での紫外線硬化樹脂の膜厚分布を考慮すると、オーバーコート保護膜4の膜厚は、0.0001〜0.1mmとすることが実用上好ましい。さらに、反射膜27との光干渉を生じない膜厚であることが望まれる。
【0088】
以上、相変化記録膜の相構成として4層構成を例に挙げて説明したが、要求される性能に応じて各層の多層化等も可能である。
【0089】
(実施例8)
図10に、本実施例の光ディスクの一例を模式的に表わした断面図を示す。
【0090】
図示する光ディスクにおいて、ディスクの一方の面は図9に示したものと同様の構成である。すなわち、1.2mm厚ディスク基板31の一方の表面には光ビーム5のトラッキング用案内溝26が形成され、その上に反射膜27、下保護膜28、記録膜29、および上保護膜30が順次成膜され、さらにその上に保護膜4がオーバーコートされている。
【0091】
ディスクに記録されている記録データの読み出しは、図示するように光ビーム5を対物レンズ6で集光して保護膜4側から入射し、記録マークによる記録膜29からの反射光の光強度変化を記録データとして検出することによって行なわれる。
【0092】
ディスクの他方の面は、次のような構成である。すなわち、1.2mm厚ディスク基板31の表面に光ビーム32のトラッキング用の案内溝34が形成され、その上に反射膜35、下保護膜36、記録膜37、上保護膜38が成膜され、さらにその上に保護膜39がオーバーコートされている。
【0093】
ディスクに記録されている記録データの読み出しは、図示するように光ビーム32を対物レンズ33で集光して保護膜39側から入射し、記録マークによる記録膜37からの反射光の光強度変化を光記録データとして検出することによって行なわれる。
【0094】
本実施例の光ディスクを構成するためのディスク基板の材質および各膜の特性は、前述の実施例7で述べたものと同様である。両面への反射膜、記録膜、各保護膜の形成に当たっては、前述の実施例4の場合と同様の方法を適用することができる。
【0095】
上保護膜30,38上のオーバーコート保護膜4,39は、相変化光ディスクを取り扱ううえでの、傷やほこり等を防止するために配設されるものであり、通常、紫外線硬化樹脂などにより形成される。この保護膜4,39は、例えば紫外線硬化樹脂をスピンコート法により上保護膜30,38の表面に塗布し、紫外線を照射して硬化させることにより形成することができる。保護膜4,39の膜厚としては、実用上数μm〜数mmの範囲で、0.6mm以下であることが好ましい。スピンコート法での紫外線硬化樹脂の膜厚分布を考慮すると、オーバーコート保護膜4,39の膜厚は、0.0001〜0.1mmとすることが実用上好ましい。さらに、反射膜27,35との光干渉を生じない膜厚であることが望まれる。
【0096】
以上、相変化記録膜の相構成として4層構成を例に挙げて説明したが、要求される性能に応じて各層の多層化等も可能である。
【0097】
(実施例9)
前述の実施例7で説明したような図9に示される構成の光ディスクにおいて、保護膜4の上にさらに保護膜を配設して、前述の実施例3で説明したような図7に示されるものと同様の構成とすることもできる。
【0098】
保護膜4の上にさらに保護膜18を配設することによって、ディスク表面の機械的強度を高めるとともに、ディスク取り扱い上の傷等を防止することが可能となる。
【0099】
この場合、すでに説明したように、再生に使用する光ビームの波長での保護膜18の屈折率n2は、再生に使用する光ビームの波長での保護膜4の屈折率n1より小さいか等しい材料であることが必要である。保護膜18の光屈折率が保護膜4の光屈折率より大きい場合(n2>n1)には、保護膜18と保護膜4との界面における光反射が大きくなって記録面からの信号が低下し、光効率が低下してしまう。
【0100】
したがって、保護膜を2層積層した構成の光ディスクとする場合には、保護膜18としては、その光屈折率n2が保護膜4の光屈折率n1よりも小さいか等しく、透明な材料を用いることが必要である。
【0101】
(実施例10)
前述の実施例8で説明したような図10に示される構成の光ディスクにおいて、保護膜4,39の上にさらに保護膜を配設して、前述の実施例4で説明したような図8に示されるものと同様の構成とすることもできる。
【0102】
両面の保護膜4,39の両面上にさらに保護膜18,19を配設することによって、ディスク両面の機械的強度を高めるとともに、ディスク取り扱い上の傷等を防止することが可能となる。
【0103】
この場合、すでに説明したように、再生に使用する光ビームの波長での第2の保護膜18,19の屈折率n2は、再生に使用する光ビームの波長での第1の保護膜4,24の屈折率n1よりそれぞれ小さいか等しい材料であることが必要である。例えば、保護膜18の光屈折率が保護膜4の屈折率より大きい場合(n2>n1)には、保護膜18と保護膜4との界面における光反射が大きくなって記録面からの信号が低下し、光効率が低下してしまう。保護膜19と保護膜24との間においても、保護膜19の光屈折率が保護膜24の屈折率より大きい場合には、これと同様の不都合が生じる。
【0104】
したがって、保護膜を2層積層した構成の光ディスクとする場合には、第2の保護膜18,19としては、その光屈折率n2が第1の保護膜4,24の光屈折率n1よりそれぞれ小さいか等しく、透明な材料を用いることが必要である。
【0105】
(実施例11)
前述の実施例1〜10で説明した光ディスクにおいて、ディスクの表面のうち、光ビームが照射されて情報の記録再生に使用される側の面は、いずれも平滑な面とする。ディスクの表面が平滑であればゴミがあっても付着しにくく、ゴミの付着防止の効果を得ることができる。またディスクの表面が平滑であれば、対物レンズのディスクへの接触を防止するという効果も得られる。
【0106】
各図面に示した光ディスク表面の保護膜4,24,39は、その内側、すなわちディスク内側に、記録エンボスまたはトラッキング用のグルーブによる凹凸面を有している。一方、ディスク外側の面は、こうした保護膜を厚く形成することで内側の凹凸面を反映せずに平滑化することができる。
【0107】
なお、ディスク基板の記録面の凹凸は再生に使用される光ビームの波長λに対して、λ/(8n)(nは表面保護膜の前記光波長での光屈折率である)前後の大きさで形成される。ディスク基板の記録面から光ビームが照射される表面(被照射面)までの距離は、概してその10倍以上であることが、表面の平滑化の面から望まれる。したがって、ディスク基板の記録面から光ビームが照射される表面までの距離は、5λ/(4n)以上であることが好ましい。
【0108】
さらに光ビームが照射される面(被照射面)における光回折現象を低減するために、この被照射面の表面粗さは、λ/(8n)より小さいことが要求される。被照射面の表面粗さは、λ/(8n)の1/2以下であるλ/(16n)以下であることが望ましい。
【0109】
本発明の方法により、両面に記録面を有する基板を容易に製造することができ、基板の貼り合わせが不要となるので、ディスクの製造プロセスが簡略化される。また貼り合わせのための接着剤等の材料も不要となるので、より安価に大容量のディスクを製造することができる。
【0110】
さらに、本発明の情報記録媒体においては、表面保護膜を従来の0.6mmより薄くしても機械的強度を確保することが可能となり、その工業的価値は絶大である。
【符号の説明】
【0111】
1…片面光ディスク基板; 2,22…エンボスピット; 3,23…反射膜
4,24…保護膜; 5,20…光ビーム; 6,21…対物レンズ
7…スタンパー; 7a…A面用スタンパー; 7b…B面用スタンパー
8,14…中心穴; 9,11,15…金型; 10,16,17…突起
12…樹脂導入口; 13…両面光ディスク基板; 18,19…第2の保護膜
25…片面光ディスク基板; 26,34…トラッキング用案内溝
27,35…反射膜; 28,36…下保護膜; 29,37…記録膜
30,38…上保護膜; 31…両面光ディスク基板; 32…光ビーム
33…対物レンズ; 39…オーバーコート保護膜。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の表面に設けられ、記録データに応じたエンボスピットが形成された記録面と、
前記記録面の上に形成された反射膜と、
前記反射膜の上に形成された第1の保護膜と、
前記第1の保護膜の上に形成された透明フィルムからなる第2の保護膜とを具備し、
前記保護膜側から照射された光ビームの反射光の光強度変化に基づいて記録データが再生される情報記録媒体であって、
前記保護膜の厚さは0.0001mmから0.1mmの範囲であることを特徴とする情報記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−170089(P2009−170089A)
【公開日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−63056(P2009−63056)
【出願日】平成21年3月16日(2009.3.16)
【分割の表示】特願2005−96382(P2005−96382)の分割
【原出願日】平成10年4月3日(1998.4.3)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】