説明

情報記録媒体およびその製造方法

【課題】オンデマンド生産に対応でき、金色や銀色のみならずこれら以外のメタリック色からも選択される色相を有するトナー画像を備え、且つ、当該トナー画像が十分な金属光沢感を有する情報記録媒体を提供する。
【解決手段】画像支持体110と、該画像支持体の少なくとも片面に設けられた光輝性顔料を含む光輝性顔料含有層120と、該光輝性顔料含有層上に設けられたトナー画像140,142とを有し、前記トナー画像の反射濃度が0.2以上1.2以下の範囲内であることを特徴とする情報記録媒体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真法を利用して形成されたトナー画像が設けられた情報記録媒体およびその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
キャッシュカードや社員証、学生証、個人会員証、居住証、各種運転免許証、各種資格取得証明等のようにプラスチックシートに画像を形成したカードの作製に用いる画像記録装置としては、昇華型熱転写方式の装置が知られている(特許文献1参照)。
この装置では、インクドナーフィルムに塗布されたインクを第1の加熱部によって中間転写体に転写してインク像を形成し、この中間転写体に転写されたインク像を第2の加熱部によって受像体に再転写することによって画像を形成する。
この方法で、金銀などの金属光沢色を印字する熱転写連続シートが知られている(特許文献2参照)。
この連続シートでは、色の三原色であるイエロー、マゼンタ、シアンの染料を含んだ各層とブラック染料層をシート上に区画して設け、さらに特色層の区画部分を設けたものである。
【0003】
また、昇華型熱転写方式ではなく、電子写真方式によりプラスチックシート等にカラー画像を形成する画像形成装置も提案されている(特許文献3参照)。
この装置による画像の形成は以下のように実施される。まず、基体表面に画像保持層を設けた画像形成材料転写シートを用いて、既存の電子写真方式の画像形成装置によりこの転写体上に画像を一旦形成する。その後、この転写体をプラスチックシートなどの画像支持体に積層し、熱・圧力でラミネートし、続いて、画像形成材料転写シートを剥離して、画像を画像支持体上に転写させる。このような工程を経ることで、プラスチックシートに電子写真画像が形成される。
【0004】
一方、金色および銀色を含む高級感のある印刷物を電子写真法を利用して作製するために金色のトナーや銀色のトナーを用いて画像を形成する方法が提案されている(特許文献4参照)。
【特許文献1】特開平8−067019号公報
【特許文献2】特開平8−207452号公報
【特許文献3】特開2005−227377号公報
【特許文献4】特開2002−229293号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
以上に説明したように、上述したような従来技術を用いれば、金色や銀色の金属光沢色を有するトナー画像がプラスチックシート等の画像支持体上に形成された情報記録媒体を得ることができる。
しかし、インクを用いて印刷する方式では、必要となった時に必要な数だけ作製するいわゆるオンデマント生産への対応が困難であったり、あるいは、一般的に多用される金色や銀色以外の金属光沢色を有する画像の形成が実質的に困難なために金属光沢色を有するトナー画像を設けることができないために特に色彩表現の点でデザイン上の制限があった。また、金色トナーや銀色トナーを用いてトナー画像を形成する方式では、十分な光沢感が得られなかった。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、オンデマンド生産に対応でき、金色や銀色のみならずこれら以外のメタリック色からも選択される色相を有するトナー画像を備え、且つ、当該トナー画像が十分な金属光沢感を有する情報記録媒体およびその製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題は以下の本発明により達成される。すなわち、
請求項1に係わる発明は、
画像支持体と、該画像支持体の少なくとも片面に設けられた光輝性顔料を含む光輝性顔料含有層と、該光輝性顔料含有層上に設けられたトナー画像と、を有し、
前記トナー画像の反射濃度が0.2以上1.2以下の範囲内であることを特徴とする情報記録媒体である。
【0007】
請求項2に係わる発明は、
前記光輝性顔料含有層の表面の前記トナー画像が設けられた領域と異なる領域に、反射濃度が1.2より大きいトナー画像が設けられていることを特徴とする情報記録媒体である。
【0008】
請求項3に係わる発明は、
基体と、基体の少なくとも片面に形成された画像保持層とを含む転写体の前記画像保持層が設けられた側の面に、電子写真法によりトナー画像を形成するトナー画像形成工程と、
前記トナー画像が形成された転写体の前記画像保持層側の面と、画像支持体および該画像支持体の少なくとも片面に設けられた光輝性顔料を含む光輝性顔料含有層を有する記録媒体の前記光輝性顔料含有層側の面とを重ね合わせた状態で、前記転写体および前記記録媒体を含む積層体を加熱加圧して、前記トナー画像を転写体側から前記記録媒体側へと転写する転写工程と、
前記転写工程を経た前記積層体から、前記転写体側の部材を剥離する剥離工程とを経て、
請求項1または請求項2に記載の情報記録媒体を作製することを特徴とする情報記録媒体の製造方法である。
【発明の効果】
【0009】
以上に説明したように本発明によれば、請求項1に記載の発明によれば、オンデマンド生産に対応でき、金色や銀色のみならずこれら以外のメタリック色からも選択される色相を有するトナー画像を備え、且つ、当該トナー画像が十分な金属光沢感を有する情報記録媒体を提供することができる。
請求項2に記載の発明によれば、上述した金属光沢を有するメタリック色のデザイン性の高い画像に加えて、当該画像とは別個に視認性に優れた画像も形成された情報記録媒体を提供することができる。
請求項3に記載の発明によれば、オンデマンド生産に対応でき、金色や銀色のみならずこれら以外のメタリック色からも選択される色相を有するトナー画像を備え、且つ、当該トナー画像が十分な金属光沢感を有する情報記録媒体の製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
(情報記録媒体)
本発明の情報記録媒体は、画像支持体と、該画像支持体の少なくとも片面に設けられた光輝性顔料を含む光輝性顔料含有層と、該光輝性顔料含有層上に設けられたトナー画像と、を有し、前記トナー画像の反射濃度が0.2以上1.2以下の範囲内であることを特徴とする。
【0011】
本発明の情報記録媒体では、画像支持体上に、光輝性顔料を含む光輝性顔料含有層が設けられているため、この光輝性顔料含有層により金属光沢感が表現される。また、この光輝性顔料含有層表面には反射濃度が0.2以上1.2以下の範囲内のトナー画像(以下、当該反射濃度範囲を有するトナー画像を「第1のトナー画像」と称す場合がある)が設けられる。
ここで、第1のトナー画像の形成に用いられるトナーは、特許文献4に示される金色トナーや銀色トナーなどの金属光沢色の表現を目的とした光輝性顔料を含む特殊なトナー(以下、「金属光沢トナー」と称す場合がある)ではなく、シアントナー、マゼンタトナー、イエロートナーなどの通常の色材を含むトナー(いわゆる、通常広く利用されているトナー。以下、「非金属光沢トナー」と称す場合がある)が用いられる。
【0012】
このため、第1のトナー画像部分では、特定の色味を帯びた金属光沢色が表現される。このような金属光沢色が観察される理由は次の通りである。すなわち、第1のトナー画像部そのものは金属光沢色を有さないものの、光が第1のトナー画像が形成された領域に入射した際に、光輝性顔料含有層に起因して反射された成分と第1のトナー画像部分に起因して反射された成分とが合成されたスペクトルが肉眼により観察されるためである。
【0013】
例えば、光輝性顔料含有層に起因する金属光沢に、特定の強い色味が伴わない場合において、第1のトナー画像そのものが黄色画像である場合には、光輝性顔料含有層表面の第1のトナー画像が形成された領域は、肉眼では金色として観察される。また、第1のトナー画像そのものが灰色画像である場合には、光輝性顔料含有層表面の第1のトナー画像が形成された領域は、肉眼では銀色として観察される。一方、光輝性顔料含有層に起因する金属光沢に、特定の強い色味が伴なう場合は、第1のトナー画像の色味に光輝性顔料含有層の色味もある程度反映されたメタリック色が表現されることになる。
【0014】
さらに、第1のトナー画像そのものが赤色画像や緑色画像である場合には、光輝性顔料含有層表面の第1のトナー画像が形成された領域は、第1のトナー画像の色味が反映された金属光沢感を伴うメタリック色として観察される。
なお、特許文献1、2等に示されるインクを用いる方式でも、インクを調整すれば原理的には、金色や銀色以外のメタリック色を表現することも可能である。しかし、電子写真方式を利用してトナー画像を形成する場合と比較すると、インクを用いて画像を形成する場合は、大型の印刷装置を利用する必要がある。このため、オンデマント生産に対応できない。これに加えて、コスト面からは一般的なニーズの乏しい金色や銀色以外の特殊な色のメタリック色用のインクを開発し市場に提供することは困難である。それゆえ、金色や銀色以外のメタリック色の画像を有する情報記録媒体を提供することも実用上極めて困難である。
このような観点からは、本発明の情報記録媒体では、第1のトナー画像が電子写真法を利用して形成されるためオンデマンド生産に対応できる。これに加えて、情報記録媒体に設けられる第1のトナー画像の形成に用いる非金属光沢トナーの色を適宜選択するのみで、金色や銀色のみならず、これらの色以外のメタリック色をも金色や銀色と同様に極めて容易に表現することができる。
【0015】
また、本発明の情報記録媒体では、トナー画像そのものによって金属光沢感を表現するものではない。このため、特許文献4に示されるような金色トナーや銀色トナーを用いてトナー画像を形成する方式のように、光沢感が不十分となることもない。
【0016】
この理由は、以下の通りである。まず、金色トナーや銀色トナーなどの金属光沢トナーを用いる場合、顔料として鱗片や薄片状など板状の光輝性顔料(例えば、雲母や二酸化チタンなど)を用いる必要がある。それゆえ、このようなトナーに起因する光沢感は、板状顔料の平面部に起因する光の反射に起因することになる。一方、板状顔料はトナー中においても、また画像として形成された後もランダムに配向する。これはトナーの作製プロセス上、トナーの結着樹脂中に一方向に配向させた状態で板状顔料を分散させることが実質的に不可能であることに加え、トナー画像を形成する場合においても個々のトナーの配向を制御することができないためである。このため、画像中に含まれる光輝性顔料のうち、光の反射に寄与する成分は一部に過ぎず、十分な光沢感が得られない。また、光沢感を確保するためには、トナー中により多量の光輝性顔料を添加する方法も考えられるが、トナーを構成する他の成分とのバランスが崩れてしまうため、当該方法は実質的には採用できない。
【0017】
これに対して、本発明の情報記録媒体を構成する光輝性顔料含有層にも、板状の光輝性顔料を用いることができる。しかし光輝性顔料含有層は、光輝性顔料を分散させた塗工液を用いて形成される。このため、塗工液を塗工して塗膜を形成した直後からこの塗膜が乾燥・加熱等により固化する以前までの間に、流動性の高い塗膜中で比較的容易に移動できる板状の光輝性顔料は、その平面が情報記録媒体の厚み方向と略直交するように自発的に配向する傾向にある。さらに、本発明では、トナーの粒径に収まるサイズの板状の光輝性顔料を用いる必要がないため、平面方向の最大径がトナー中に添加できるサイズを超える5μm以上500μm以下程度の光輝性顔料を利用できる。この場合は自重により、板状の光輝性顔料がより一方向に安定して配向し易くなる。
また、光輝性顔料としては、板状の顔料ではなく、粒子状の顔料も利用できる。この場合、1つの顔料に起因する反射効率は板状の顔料を用いる場合と比べると低下する傾向にある。しかし、トナーに光輝性顔料を添加する場合と比較して、光輝性顔料含有層に光輝性顔料を添加する場合の方が、添加量の自由度が高い。このため、光沢感を確保するのに必要な十分な量の光輝性顔料を光輝性顔料含有層に添加することができる。
以上のことから、本発明の情報記録媒体では、十分な光沢感を確保することができる。
【0018】
また、本発明の情報記録媒体では、第1のトナー画像が設けられた領域に起因するメタリック色は、情報記録媒体をどの方向から視認するかによって、その金属光沢感を変化させることもできる。
この理由は、第1のトナー画像が設けられた領域に起因するメタリック色は、既述したように第1のトナー画像層の直下に位置する光輝性顔料含有層の光の反射が寄与することにより発現しているためである。すなわち、言い換えれば、情報記録媒体を視認する角度によって光輝性顔料含有層に起因する反射率が異なってくるため、これに応じて金属光沢感が変化するからである。このため、本発明の情報記録媒体は、より高いデザイン性を有する。
これに対して、特許文献2,4に示されるような金色や銀色のメタリック色の画像を形成する方法では、メタリック色の画像が、インクからなる層やトナーからなる層のように1つの層により形成される。このため、上述したような、視認方向による金属光沢感の変化を発現させることは困難である。
【0019】
なお、第1のトナー画像の反射濃度は0.2以上1.2以下の範囲内であることが必要であるが、0.3以上1.1以下の範囲内であることが好ましく、0.4以上1.0以下の範囲内であることがより好ましい。
反射濃度が1.2より大きい場合には、メタリック色が発現し得ない。また、反射濃度が0.2未満の場合には、光輝性顔料含有層に起因する金属光沢感のみしか確認できず、金色や銀色など特有の色味を帯びたメタリック色が発現し得ない。
【0020】
なお、反射濃度の測定方法は、X−Rite社製分光硬度計Model938により、情報記録媒体のトナー画像分を測定し、ビジュアル、シアン、マゼンタ、イエローの分光反射濃度のうち、最も高い値を反射濃度とした。
【0021】
一方、第1のトナー画像は、メタリック色を表現するものであるため、情報記録媒体のデザイン性を高める上では非常に有効である。なお、第1のトナー画像は、デザイン性の向上のみならず文字情報などの情報の伝達機能を担うものであってもよい。
しかし、情報記録媒体を視認する者に対して文字情報など専ら情報を確実に伝達したい場合には、デザイン性よりも視認性に優れた画像が別個に設けられていることがより好ましいといえる。
このようなケースに対応するためには、光輝性顔料含有層の表面の第1のトナー画像が設けられた領域と異なる領域に、反射濃度が1.2より大きいトナー画像(以下、「第2のトナー画像」)が設けられていることが好ましい。
この場合、第2のトナー画像に情報伝達の機能を主に担わせることにより、情報記録媒体を視認する者に対してより確実な情報伝達が可能となる。
【0022】
なお、第2のトナー画像の反射濃度は1.2より大きいことが好ましいが、1.4より大きいことがより好ましく、反射濃度は1.5より大きいことが最も好ましい。反射濃度が1.2以下である場合には視認性が低下して、情報記録媒体を視認する者に対してより確実な情報伝達が困難となる場合がある。なお、第2のトナー画像は、情報伝達を主目的として設けられるものであるため、背景色に対して高いコントラストを有する色からなる文字画像であることが好ましいが、これに限定されるものではない。
【0023】
−情報記録媒体の層構成−
本発明の情報記録媒体は、画像支持体と、この画像支持体の少なくとも片面に設けられた光輝性顔料含有層と、該光輝性顔料含有層上に設けられたトナー画像とを少なくとも有する層構成であれば特に限定されず、この他に必要に応じて、画像支持体と光輝性顔料含有層との間に種々の中間層を設けたり、光輝性顔料含有層およびトナー画像全面を被覆する保護層を設けたりすることができる。
さらに、必要であれば光輝性顔料含有層表面に、光輝性顔料含有層に起因する光の反射を制御する目的で光反射調整層を設けることもできる。この場合、トナー画像は光輝性顔料含有層表面ではなく、光反射調整層表面に設けられる。
【0024】
図1は本発明の情報記録媒体の層構成の一例を示す模式断面図であり、図中、100は情報記録媒体、110は画像支持体、120は光輝性顔料含有層、140は第1のトナー画像を示す。
図1に示す情報記録媒体100は、画像支持体110と、画像支持体110の片面に設けられた光輝性顔料含有層120と、光輝性顔料含有層120表面の一部の領域に設けられた第1のトナー画像140とから構成されている。
【0025】
図2は本発明の情報記録媒体の層構成の他の例を示す模式断面図であり、図中、102は情報記録媒体、130は光反射調整層、142は第2のトナー画像、150は保護層を示し、他の符号で示された部材は図1中に示されたものと同様である。
図2に示す情報記録媒体102は、画像支持体110と、画像支持体110の片面に設けられた光輝性顔料含有層120と、光輝性顔料含有層120表面に設けられた光反射調整層130と、光反射調整層130表面の一部の領域に設けられた第1のトナー画像140と、光反射調整層130表面の第1のトナー画像140が設けられた以外の領域に設けられた第2のトナー画像142と、光反射調整層130、第1のトナー画像140および第2のトナー画像142を被覆するように設けられた保護層150とから構成されている。
以下、各層の詳細について説明する。
【0026】
−画像支持体−
本発明に用いられる画像支持体としては、ある程度の剛性を有する板状の部材であれば公知の部材が利用でき、例えば、紙や、金属、セラミックス製のシートを挙げることができるが、通常は、プラスチックフィルムを用いることが好ましい。
プラスチックフィルムの厚みとしては、情報記録媒体の剛性を確保する観点から50μm以上であることが好ましく、100μm以上であることが好ましい。なお、厚みの上限は特に限定されないが、製造性等の実用上の観点からは5000μm以下であることが好ましく、1000μm以下であることがより好ましい。縦横のサイズとしては用途に応じて適宜選択できるが、一般的には一辺の長さが5mm以上500mm以下の範囲内であることが好ましく、20mm以上200mm以下の範囲内が最も好ましい。また、キャッシュカードなどのいわゆる規格サイズのカードとして本発明の情報記録媒体を利用する場合、画像支持体の縦横のサイズは54mm×85.6mmとし、その厚みは、光輝性顔料含有層等のその他の層も含めた全厚みが760μm程度に調整しやすいように700μm以上750μm以下の範囲内とすることが好適である。なお、厚みや縦横のサイズは、画像支持体の構成材料が金属やセラミックスからなる場合についても同様である。
【0027】
また、プラスチックフィルムを構成する樹脂材料としては公知の樹脂材料が利用でき、例えば、PET(ポリエチレンテレフタレート)、塩化ビニル、アセテート、三酢酸セルローズ、ナイロン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリプロピレンフィルム、ポリイミド、セロハンなどがあり、中でもPETやポリエステルが好ましく用いられる。特に、PETのエチレングリコール成分の半分前後を1,4−シクロへキサンメタノール成分に置き換えた変性PET(PETG)や二軸延伸ポリエチレンテレフタレートが好ましい。
なお、プラスチックフィルムは2種類以上の樹脂をブレンドしたものから構成されてもよいし、2枚以上のプラスチックフィルムを貼り合わせて構成されたものでもよい。
【0028】
また、プラスチックフィルムを構成する樹脂材料としては、画像支持体の光輝性顔料含有層が設けられる側の面を構成する樹脂のビカット軟化温度が、トナー画像を構成するトナーの溶融温度より低くなるものが選択される必要があり、具体的には70℃以上130℃以下の範囲であることが好ましく、80℃以上120℃以下の範囲であることがより好ましい。
詳細は後述するが、本発明の情報記録媒体は、転写体表面に形成されたトナー画像を、加熱加圧しながら光輝性顔料含有層表面に転写する転写工程を経て作製される。このため、上述したようにビカット軟化温度が70℃未満では、転写工程に起因して、情報記録媒体のカール・波打ち・軟化樹脂の流れによる変形や、画像歪みが発生してしまう場合うがある。また、ビカット軟化温度が130℃を超えると、転写工程において、転写体と画像支持体と十分に密着・接着させることができないため、トナー画像の転写不良が発生する場合がある。
【0029】
なおビカット軟化温度とは、熱可塑性樹脂の軟化温度評価の一方法から測定されたものであって、その測定方法は、成形されたプラスチック材料の耐熱性を試験する方法として、熱可塑性樹脂に対しては、JIS K7206やASTM D1525、ISO306にその方法が規定されている。
本発明においては、厚さ2.5mmの試験片を用い、その表面に断面積が1mm2の針状圧子をセットし、この圧子に1kgの荷重を載せ、試験片を加熱する油槽の温度を徐々に上昇させていき、前記圧子が、試験片中に1mm進入したときの油温をビカット軟化温度とした。
【0030】
また、画像支持体は、透明であってもよいが不透明であることが好ましい。特に、片面にしか光輝性顔料含有層が設けられない場合には不透明であることが好適である。このような不透明な画像支持体としては白色化したプラスチックフィルムが代表例として挙げられる。
【0031】
プラスチックフィルムを白色化する方法としては、白色顔料、例えば、酸化珪素、酸化チタン、酸化カルシウム等の金属酸化物微粒子、有機の白色顔料、ポリマー粒子等をプラスチックフィルムを構成する樹脂材料中に混入させる方法が挙げられる。また、プラスチックフィルム表面にサンドブラスタ処理やエンボス加工等を施すことにより、光散乱を引き起こす程度にその表面に凹凸を付与して白色化することもできる。
【0032】
また本発明においては、画像支持体の内部又は表面に、少なくとも電気的手段、磁気的手段、及び光学的手段から選択される1以上の手段を利用することにより情報の読み出しや書き込みが可能な情報チップが配置されていてもよい。
【0033】
情報チップとしては、何らかの識別機能を有する情報を有しており、電気的手段、磁気的手段、光学的手段から選択される少なくとも1つの手段を利用することにより読み出し可能であれば特に限定されない。この情報チップは、情報の読み出し専用であってもよいが、必要に応じて情報の読み出しと書き込み(「書き換え」も含む)との両方が可能なものを用いてもよい。また、このような情報チップの具体例としては、例えば情報記録媒体がICカードとして用いられるときのICチップ(半導体回路)が挙げられる。
【0034】
なお、磁気情報記録媒体の情報源として前記の情報チップを用いる場合に形成されるトナー画像は、その一部あるいは全体が何らかの識別機能を有する情報を有するか否かは特に限定されない。
【0035】
一方、情報チップが有する情報は、識別可能なものであれば特に限定されないが、前記同様可変情報を含むものであってもよい。また、該可変情報は、前記同様個人情報を含むものであってもよい。
【0036】
画像支持体中に半導体回路を内蔵させる方法としては、前記半導体回路が固定されたインレットと呼ばれるシートを、画像支持体を構成するシート材料間に挟み、熱プレスによって熱融着一体化させる方法が一般的に好ましく用いられる。また、前記インレットシートなしに直接、半導体回路を配置し、同様に熱融着一体化させる方法も可能である。
【0037】
その他、前記熱融着によらず、ホットメルト等の接着剤を用いて、前記画像支持体を構成するシートどうしを貼り合わせ、同様に、半導体回路を内蔵させることも可能であるが、これらに限られるものではなく、例えば、ICカードに半導体回路を内蔵させる方法であれば、いずれも前記画像支持体の製造方法として適用することができる。
さらに、磁気情報記録媒体として使用上問題がなければ、半導体回路を画像支持体の内部ではなく、表面に露出した状態で配置することも可能である。
【0038】
なお、本発明の情報記録媒体が、ICカード等として用いられる場合には、必要に応じて画像支持体にアンテナ、外部端子などが埋め込まれる。また、ホログラム等が印刷されたり、必要な文字情報がエンボス形成されてもよい。
【0039】
−光輝性顔料含有層−
光輝性顔料含有層は、金属光沢感を付与するために、少なくとも光輝性顔料が含まれるが、その他には、通常、熱可塑性樹脂が含まれ、また、これらの材料以外に必要に応じてその他の材料が含まれていてもよい。
光輝性顔料としては、金属光沢を帯びた顔料であれば、その構成は特に限定されないが、具体的には、A)芯材に金属や透光性の金属酸化物のコーティングを施した顔料、B)金属フレークからなる顔料が利用できる。以下にこれら2つのタイプの光輝性顔料についてより詳細に説明する。
【0040】
A)芯材に金属や透光性の金属酸化物のコーティングを施した光輝性顔料
このタイプの光輝性顔料(以下、「Aタイプの光輝性顔料」と称す場合がある)の芯材としては、少なくとも、金属層や透光性の金属酸化物層がその表面に安定して保持できる材料であれば特に限定されない。しかし、芯材の表面にコーティングされる層の光学的な特性を主に利用して金属光沢感を引き出す場合には、芯材は着色が無く、透明であり、また、表面が平滑であることが好ましい。
このような条件を満たす芯材としては、フレーク状や粒子状等のガラス、セラミックスや樹脂など(例えば、薄片(鱗片)状のマイカ(雲母)あるいはニ酸化チタン、珪酸ガラス、ホウ酸ガラス)を利用することが好ましい。
【0041】
また、コーティング層として金属を選択した場合には、Aタイプの光輝性顔料に隠蔽性も付与することができ、透光性の金属酸化物層を選択した場合には、Aタイプの光輝性顔料に透明な色調も付与することができる。
なお、本発明では、情報記録媒体の第1の画像が形成された領域のメタリック色の制御の容易さという観点からは、金属光沢感自体は光輝性顔料含有層により、色味は第1のトナー画像により各々別個に制御されることが好ましい。この点では、コーティング層は金属酸化物層であることが好適である。
【0042】
金属のコーティング方法としては公知の金属膜成膜方法が利用でき、スパッタリング法や蒸着法等の公知の気相成膜法や、無電界メッキのようなメッキ法等の公知の液相成膜法を必要に応じて利用することができる。なお、芯材表面にコーティングする金属としては、例えば、金、銀、ニッケル、アルミニウム、ブロンズ、銅、ステンレス・スチール等が挙げられ、所望する色に応じて公知の金属材料(合金も含む)を選択することができる。
【0043】
また、透光性の金属酸化物のコーティング方法としては、公知の金属酸化物膜成膜方法が利用でき、スパッタリング法等の公知の気相成膜法や、ゾルゲル法等の公知の液相成膜法を必要に応じて利用することができる。金属酸化物としては、二酸化チタン、酸化珪素、酸価鉄、酸化スズ、酸化ジルコニウム等の透光性を有する公知の金属酸化物材料が利用できる。
【0044】
B)金属フレークからなる光輝性顔料
このタイプの光輝性顔料(以下、「Bタイプの光輝性顔料」と称す場合がある)フレーク状の金属をそのまま顔料として利用したもので、金属フレークとしては金、銀、ニッケル、アルミニウム、ブロンズ、銅、ステンレス・スチール等の公知の金属材料(合金も含む)を選択することができる。
【0045】
なお、光輝性顔料の形状としては板状(フレーク状)、粒子状のいずれであってもよいが、少量で高い反射率が得られる観点からは板状であることが好ましい。
板状の光輝性顔料のサイズとしては特に限定されるものではないが、通常は平均厚みが0.1μm以上1μm以下の範囲で、平面方向の平均最大長が3μm以上500μm以下のものが用いられる。しかし、既述したように、光輝性顔料含有層を、光輝性顔料を含む塗工液を用いて形成する際の光輝性顔料の配向性をより高めたり、また、光輝性顔料含有層の厚みの制御も容易にできるという観点からは、光輝性顔料の平均厚みは0.1μm以上0.3μm以下の範囲であることが好ましく、平面方向の平均最大長が5μm以上60μm以下の範囲内であることが好ましい。
なお、光輝性顔料の平均厚みや平面方向の平均最大長さは、光輝性顔料含有層中に分散する光輝性顔料10個について電子顕微鏡で観察し、個々の光輝性顔料の厚み、平面方向の最大長さを測定し、これらの値の平均値として求めることができる。
【0046】
光輝性顔料含有層中に添加される光輝性顔料の含有量としては、十分な金属光沢感を確保するために1質量%以上であることが好ましく、5質量%以上であることが好ましい。一方、光輝性顔料の含有量としては特に限定されるものではないが、光輝性顔料含有層を構成する他の成分とのバランスの確保等の実用上の観点からは90質量%以下が好ましく、80質量%以下がより好ましい。
【0047】
なお、光輝性顔料含有層には、必要であれば、光輝性顔料以外の色材、例えば酸化チタンなどの白色顔料、酸化鉄、カーボンブラック、シアニン系顔料、キナクリドン系顔料、アゾ系染料、アントラキノン系染料、インジゴイド系染料、スチルベンゼン系染料なども適宜利用することができる。なお、これらの色材は粒子状のものが好ましい。
【0048】
光輝性顔料含有層に用いることができる熱可塑性樹脂としては、公知の熱可塑性樹脂が利用できる
が、これらの中でも熱溶融性のポリエステル樹脂がより好ましく、特に熱溶融性の線状飽和ポリエステル樹脂がさらに好ましい。
熱溶融性の線状飽和ポリエステル樹脂は、多価ヒドロキシ化合物と多塩基性カルボン酸又はその反応性酸誘導体との反応によって製造することができる。
【0049】
ポリエステルを構成する多価ヒドロキシ化合物としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等のジオール類が挙げられる。
また、多塩基性カルボン酸としては、例えば、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アルキルコハク酸、マレイン酸、フマル酸、メサコン酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、イソフタル酸、テレフタル酸、その他の2価カルボン酸などが挙げられる。
【0050】
なお、光輝性顔料含有層には、必要に応じて種々の添加剤が含まれていてもよい。使用できる添加剤としては、例えば、情報記録媒体の耐光性向上の観点から紫外線吸収剤や酸化防止剤を挙げることができる。
有機系の紫外線吸収剤としては、例えば、有機系の材料ではフェニルサリシレート、p−tert−ブチルフェニルサリシレート、p−オクチルフェニルサリシレート等のサリチル酸系;2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ドデシルオキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系;2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)2H−ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−tert−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール系;2−エチルヘキシル−2−シアノ−3,3’−ジフェニルアクリレート、エチル−2−シアノ−3,3’−ジフェニルアクリレート等のシアノアクリレート系;等の材料が挙げられる。
また、無機系の紫外線吸収剤としては、酸化亜鉛、酸化チタンの酸化物微粒子、その他、酸化鉄、酸化セリウムなどの金属酸化物微粒子が挙げられる。なお、紫外線吸収剤としては特に有機系材料が好ましい。
【0051】
光輝性顔料含有層に添加する紫外線吸収剤の含有量としては、熱可塑性樹脂100質量部に対して、0.01質量部以上40質量部以下の範囲が好ましく、0.1質量部以上25質量部以下の範囲が好ましい。また、光輝性顔料含有層に添加する紫外線吸収剤は、より優れた耐光性を確保する観点から2種以上を併用することが好ましい。
【0052】
また、着色層の耐光性向上の観点からは、酸化防止剤も利用できる。酸化防止剤としては、例えば、リン酸系、イオウ系、フェノール系、ヒンダードアミン系酸化防止剤などが挙げられる。
リン酸系酸化防止剤としての具体例としては、トリメチルホスファイト、トルエチルホスファイト、トリ−n−ブチルホスファイト、トリオクチルホスファイト、トリデシルホスファイト、トリステアリルホスファイト、トリオレイルホスファイト、トリストリデシルホスファイト、トリセチルホスファイト、ジラウリルハイドロジエンホスファイト、ジフェニルモノデシルホスファイト、ジフェニルモノ(トリデシル)ホスファイト、テトラフェニルジプロピレングリコールジホスファイト、4,4’−ブチリデン−ビス〔3−メチル−6−t−(ブチル)フェニル−ジ−トリデシル〕ホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、ジトリデシルペンタエリスリトールジホスファイト、ビスノニルフェニルペンタエリスリトールジホスファイト、ジフェニルオクチルホスファイト、テトラ(トリデシル)−4,4’−イソプロピリデンジフェニルジホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、ジ(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイトなどの亜リン酸エステル化合物などがある。
【0053】
リン酸系酸化防止剤の3価の有機リン化合物としては、公知のものが総て使用でき、例えば特公昭51−40589号、同−25064号、同50−35097号、同49−20928号、同48−22330号、同51−35193号各公報等に記載されるものも使用できる。
【0054】
イオウ系酸化防止剤としては、例えば、以下のような化合物が挙げられる。3,3’−チオジプロピオン酸−ジ−n−ドデシル、3,3’−チオジプロピオン酸−ジ−ミリスチル、3,3’−チオジプロピオン酸−ジ−n−オクタデシル、2−メルカプトベンゾイミダゾール、ペンタエルスルトール−テトラキス−(β−ラウリル、ウリルチオプロピオネート)、ジトリデシル−3,3’−チオジプロピオネート、3,3’−チオジプロピオン酸ジメチル、チオグリコール酸オクタデシル、フェノチアジン、β,β’−チオジプロピオン酸、チオグリコール酸−n−ブチル、チオグリコール酸エチル、チオグリコール酸−2−エチルヘキシル、チオグリコール酸イソオクチル、チオグリコール酸−n−オクチル、ジ−t−ドデシル−ジサルファイド、n−ブチルサルファイド、ジ−n−アミルジサルファイド、n−ドデシルサルファイド、n−オクタデシルサルファイド、p−チオクレゾールなどがある。
【0055】
フェノール系酸化防止剤としては、例えば、以下のような化合物が挙げられる。2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール(BHT)、2,6−ジ−t−ブチルフェノール、2,4−ジ−メチル−6−t−ブチルフェノール、ブチルヒドロキシフェノール、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、ビスフェノールA、DL−α−トコフェロール、スチレン化フェノール、スチレン化クレゾール、3,5−ジ−t−ブチルヒドロキシベンズアルデヒド、2,6−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシメチルフェノール、2,6−ジ−s−ブチルフェノール、2,4−ジ−t−ブチルフェノール、3,5−ジ−t−ブチルフェノール、o−n−ブトキシフェノール、o−t−ブチルフェノール、m−t−ブチルフェノール、p−t−ブチルフェノール、o−イソブトキシフェノール、o−n−プロポキシフェノール、o−クレゾール、4,6−ジ−t−ブチル−3−メチルフェノール、2,6−ジメチルフェノール、2,3,5,6−テトラメチルフェノール、3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオニック酸ステアリルエステル、2,4,6−トリ−t−ブチルフェノール、2,4,6−トリメチルフェノール、2,4,6−トリス(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシベンジル)メシチレン、1,6−ヘキサンジオール−ビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,2−チオ−ジエチレンビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,2−チオビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ベンジルフォスフェートル、o−n−プロポキシフェノール、o−クレゾール、4,6−ジ−t−ブチル−3−メチルフェノール、2,6−ジメチルフェノール、2,3,5,6−テトラメチルフェノール、3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオニック酸ステアリルエステル、2,4,6−トリ−t−ブチルフェノール、2,4,6−トリメチルフェノール、2,4,6−トリス(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシベンジル)メシチレン、1,6−ヘキサンジオール−ビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,2−チオ−ジエチレンビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,2−チオビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ベンジルフォスフェート−ジエチルエステル、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシルベンジルベンゼン、n−オクタデシル−3−(3’,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2−t−ブチル−6(3’−t−ブチル−5’−メチル−2−ヒドロキシベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、4,4’−ブチリデン−ビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、ハイドロキノン、2,5−ジ−t−ブチルハイドロキノン、テトラメチルハイドロキノンなどがある。
【0056】
ヒンダードアミン系酸化防止剤としては、例えば、以下のような化合物が挙げられる。ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、1−{2−〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロフェニル)プロピオニルオキシ〕エチル}−4−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピリジン、8−ベンジル−7,7,9,9−テトラメチル−3−オクチル−1,3,8−トリアザスピロ〔4,5〕ウンデカン−2,4−ジオン、ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジノール、テトラキス(2,2,6,6−テト−テトラメチル−4−ピペリジル/デシル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレートなどがある。
これらの酸化防止剤は、それぞれ単独で用いても、あるいは2種以上を混合して用いても良い。
【0057】
光輝性顔料含有層の膜厚としては特に限定されないが、十分な金属光沢感を確保する観点から3μm以上であることが好ましく、5μm以上であることがより好ましい。なお、光輝性顔料含有層の膜厚の上限は特に限定されるものではないが実用上は、20μm以下であることが好ましく、15μm以下であることがより好ましい。
【0058】
−光反射調整層−
本発明の情報記録媒体には、必要に応じて、光輝性顔料含有層表面に光反射調整層を設けることができる。
光反射調整層は、光輝性顔料含有層に入射した光が、光輝性顔料含有層中に含まれる光輝性顔料や、光輝性顔料含有層の更に下層に位置する画像支持体表面等から反射されて情報記録媒体の外部に放射される反射光の量を調整するために設けられる。具体的には、黒色又は白色の光反射調整層を設けることができる。
【0059】
黒色の光反射調整層を設けた場合には、光反射調整層の下層側から反射される光を吸収することができるため、光反射調整層の下層側からの反射光に起因する光散乱が抑制でき、光輝性顔料含有層の彩度を高めることができる。
【0060】
−トナー画像−
本発明の情報記録媒体には、光輝性顔料含有層が設けられた側の面に、第1のトナー画像が設けられ、また、必要に応じて第1のトナー画像に加えて第2のトナー画像が設けられる。これらのトナー画像は、通常の電子写真方式の画像形成装置を利用して転写体表面に形成された後、この転写体表面から情報記録媒体表面へと転写される。
【0061】
なお、第1のトナー画像により提供される画像情報としては特に限定されず、専ら情報伝達のみを目的とした文字画像からなる文字情報や、商号や商標、ロゴマークなどのようにデザイン性が要求されることが多い装飾文字、顔写真などのイメージ画像といった非文字情報、あるいは、文字情報と非文字情報を組み合わせたもののいずれでもよく、この点は、第2のトナー画像についても同様である。
しかし、高いデザイン性を付与することが容易であることから、第1のトナー画像により提供される画像情報は、主に非文字情報であることが好ましい。また、視認性に優れることから、第2のトナー画像により提供される画像情報は、主に文字情報であることが好ましい。
【0062】
トナー画像の形成に用いられるトナーとしては、金属光沢感の無い一般的な白黒画像やカラー画像の形成に用いられる通常のトナー(非金属光沢トナー)が用いられる。代表的にはシアン、マゼンタ、イエロー色の色材を含むトナーが挙げられるが、これら以外の色(例えば、グリーン、レッド、ブルー色等)の色材を含むトナーも利用できる。
トナー画像の形成に利用されるトナーの体積平均粒径としては特に限定されず、一般的な範囲(3μm以上8μm以下程度の範囲)であればよい。
トナーはポリエステル樹脂やスチレンアクリル樹脂等の結着樹脂と顔料や染料等の色材とを少なくとも含むものが用いられ、オイルレス定着に対応するために必要に応じて更に離型剤を含んでいてもよい。さらに、帯電制御剤等の各種の内添剤や外添剤が、添加されていてもよい。また、トナーは、混練粉砕法などの乾式製法や乳化重合凝集法などの湿式製法など、公知の製造方法により作製されたものであればいずれも制限なく利用できる。
【0063】
−保護層−
本発明の情報記録媒体には、必要に応じて、光輝性顔料含有層やトナー画像が設けられた面全体を被覆するように保護層を設けてもよい。保護層は透明であればその構成材料や形成方法は特に限定されるものではないが、通常は、転写体を構成する画像保持層や、転写体を構成する画像保持層を含む部材を保護層として利用することが好ましい。なお、画像保持層や画像保持層を含む部材を利用した保護層の形成方法や構成材料の詳細については後述する。
【0064】
(情報記録媒体の製造方法)
次に、本発明の情報記録媒体の製造方法について説明する。
本発明の情報記録媒体は、基体と、基体の少なくとも片面に形成された画像保持層とを含む転写体の前記画像保持層が設けられた側の面に、電子写真法によりトナー画像を形成するトナー画像形成工程と、前記トナー画像が形成された転写体の前記画像保持層側の面と、画像支持体および該画像支持体の少なくとも片面に設けられた光輝性顔料を含む光輝性顔料含有層を有する記録媒体の前記光輝性顔料含有層側の面とを重ね合わせた状態で、前記転写体および前記記録媒体を含む積層体を加熱加圧して、前記トナー画像を転写体側から前記記録媒体側へと転写する転写工程と、前記転写工程を経た前記積層体から、前記転写体側の部材を剥離する剥離工程とを経て作製される。
以下、各工程の詳細について説明する。
【0065】
−トナー画像形成工程−
トナー画像形成工程では、転写体の表面(画像保持層表面)に、電子写真法を利用してトナー画像を形成する。転写体表面には、情報記録媒体において第1のトナー画像となりえるトナー画像が形成されるが、このトナー画像と共に、情報記録媒体において第2のトナー画像となりえるトナー画像も同時に形成してもよい。
ここで、情報記録媒体において第1のトナー画像となりえるトナー画像を形成するためには、転写体表面に形成されたトナー画像の反射濃度を0.2以上1.2以下の範囲内に調整することが好ましく、0.3以上1.1以下の範囲内に調整することがより好ましい。この範囲を外れた場合は、情報記録媒体に第1のトナー画像を設けることができなくなる場合がある。
また、情報記録媒体において第2のトナー画像となりえるトナー画像を形成するためには、転写体表面に形成されたトナー画像の反射濃度を1.2より大きい範囲に調整することが好ましく、1.4より大きいの範囲に調整することがより好ましい。この範囲を外れた場合は、情報記録媒体に第2のトナー画像を設けることができなくなる場合がある。
転写体表面に形成されるトナー画像の反射濃度、すなわち、情報記録媒体に設けられる第1のトナー画像や第2のトナー画像の反射濃度の制御は、最終的には、画像形成装置により転写体表面にトナー画像を形成する際に、トナー画像の色に応じて画像濃度を設定することにより行われる。
【0066】
トナー画像の形成は、例えば、以下の手順で実施できる。まず、静電潜像保持体(感光体)表面を帯電した後、静電潜像保持体に原稿画像情報に応じた静電潜像をレーザー等の露光手段により形成する。続いて、静電潜像が形成された静電潜像保持体表面にトナーを含む現像剤を供給して、静電潜像を現像してトナー像を形成する。その後、静電潜像保持体表面に形成されたトナー像を転写体表面に転写し、定着することによりトナー画像を転写体表面に形成する。なお、トナー像の転写は中間転写ベルトなどの中間転写体を用い、トナー像を、静電潜像保持体から中間転写体へ、そして、中間転写体から転写体へと2段階に分けて転写する方式でもよい。また、定着処理を省いて、未定着状態のトナー画像を転写体表面に形成してもよい。この場合は、転写工程において加熱および加圧処理を実施することによって未定着状態のトナー画像が定着される。
なお、情報記録媒体に設けられるトナー画像が非対称性を有する場合、転写体表面にはトナー画像が鏡像で形成される。
【0067】
−転写工程−
トナー画像形成工程を終えた後に、転写体は、そのトナー画像が形成された面を記録媒体の光輝性顔料含有層が形成された面と重ね合わされる。続いて、転写体と記録媒体とを重ね合わせた積層体を加熱加圧する(但し、後述するように加圧だけでもよい)。これにより、トナー画像が転写体表面から記録媒体表面へと転写される。この際、転写体の画像保持層が、トナー画像と共に記録媒体側に転写されてもよい。なお、トナー画像のみを転写させるか、トナー画像と共に画像保持層も同時に転写させるかは、転写体を構成する画像保持層表面の離型性の有無やその程度、また、画像保持層と、この画像保持層に接して設けられる層との接着性の有無やその程度を制御することにより選択できる。
転写方法としては特に限定されるものではなく、従来公知の各種ラミネート技法をいずれも好適に採用することができる。例えば、転写体と記録媒体とを重ね合わせた積層体を、互いに押圧するように対向配置された加熱ロールと加圧ロールとが互いに押圧するように接触して形成される接触部に挿通させることにより、トナー画像と記録媒体とをある程度熱溶融させ熱融着させる通常のラミネート技法や、あるいは、熱プレス技法、また、単に圧着させるだけでもよい。
【0068】
−剥離工程−
続いて、積層体から転写体側の部材(転写体を構成する部材の全てまたは一部)を剥離することにより情報記録媒体を得る。剥離は手作業により実施してもよいが、剥離爪を積層体の剥離される側の部材と情報記録媒体となり得る部材との界面に挿入して実施するなどの方法を利用してもよい。
【0069】
−情報記録媒体の製造装置−
次に、本発明の情報記録媒体の製造に用いられる製造装置の具体例を図面を用いて説明する。
図3は、情報記録媒体製造装置の一例を示す概略模式図である。
図3に示す情報記録媒体製造装置10は、重ね合わせ手段である丁合い装置12と接合手段である接合装置14(接合部)とを有し、丁合い装置12と接合装置14とは、例えば水平方向に互いに隣接するように配置されている。
【0070】
丁合い装置12は、トナー画像を有する転写体20を収納する転写体収納部32と、転写体収納部32の下方に配置され、記録媒体22を収納する記録媒体収納部34と、記録媒体収納部34の接合装置14が配置された側に、記録媒体収納部34と隣接して配置された丁合い手段36(位置決め部)と、転写体収納部32の接合装置14が配置された側に設けられ、転写体収納部32から丁合い手段36へとトナー画像を有する転写体20を供給する搬送路40と、記録媒体収納部34の接合装置14が配置された側に設けられ、記録媒体収納部34から丁合い手段36へと記録媒体22を供給する搬送路42とを有する。
【0071】
搬送路40、42としては、表面が平滑な板状部材と、その表面をトナー画像を有する転写体20、記録媒体22を搬送させるための搬送ロールが設けられた構成であってもよく、また回転可能な無端ベルトで構成されていてもよい。
これらの搬送路40、42は、情報記録媒体を形成する際に、丁合い手段36において、記録媒体22とトナー画像を有する転写体20とが重ね合わせられるように所定のタイミングで搬送ロールやベルトが回転し、転写体収納部32および記録媒体収納部34から、トナー画像を有する転写体20および記録媒体22を丁合い手段36に搬送する。
【0072】
記録媒体収納部34には、記録媒体22が収納されると共に、通常の給紙装置に備えられているピックアップロールや給紙ロールが備えられ、給紙ロール等が回転し、丁合い手段36に記録媒体22を1個搬送する。
転写体収納部32には、電子写真法により形成されたトナー画像を有する転写体20が収納されると共に、通常の給紙装置に備えられているピックアップロールや給紙ロールが備えられ、丁合い手段36に記録媒体22が排出された直後のタイミングで給紙ロール等が回転し、丁合い手段36にトナー画像を有する転写体20を1枚搬送する。
【0073】
丁合い手段36は、搬送路40のトナー画像を有する転写体を排出する側の鉛直方向下方で、且つ、搬送路42の記録媒体22を排出する部分と同じ高さの位置に設けられている。また、トナー画像を有する転写体20表面のトナー画像が、記録媒体22表面の所望の位置に対面するように、トナー画像を有する転写体と記録媒体22との位置を合わせて重ね合わせる位置決め手段が設けられている。
【0074】
位置決め手段の構成としては特に限定されるものではないが、例えば、図4および図5に示される構成が挙げられる。
図4および図5は、図3に示す情報記録媒体製造装置に利用される位置決め手段の一例を説明するための模式図であり、図4が丁合い手段36を上側から見た場合の平面図を、図5が丁合い手段36の断面図(図4中の記号X1−X2間の断面図)を意味し、図中、61、61a、61b、62は基準壁、63,64は規制部材、70は受け、71は接続部を表す。
【0075】
丁合い手段36は、図中矢印で表される搬送方向(図3中、丁合い手段36に対して転写体収納部32、記録媒体収納部34が配置された側)に対して、4辺のうち2辺が直交する方形の受け70と、搬送方向下流側の辺に沿って配置された基準壁61と、当該辺と直交する2辺のうちの一方の辺に沿って配置された基準壁62と、受け70表面を矢印A方向(搬送方向と平行な方向)に不図示の駆動機構により移動可能に配置された規制部材63と、受け70表面を矢印B方向(矢印A方向と直交する方向)に不図示の駆動機構により移動可能に配置された規制部材64と、を含むものである。
【0076】
ここで位置決めは、搬送路40、42を経て受け70表面に、転写体20と記録媒体22とが重ね合わせられるように積層された積層体P(図中、点線で示される部材)に対して、規制部材63,64を押し当てて、基準壁61,62に突き当てることにより実施する。具体的には積層体Pの直交する2辺のうちの一辺(第1の辺)に対して、規制部材63を押し当て、この状態で規制部材63を記号C(搬送方向下流側)の位置まで移動させて積層体Pの規制部材63に接する辺と対向する辺を基準壁61に突き当てると共に、第1の辺と直交する辺(第2の辺)に対して規制部材64を押し当て、この状態で規制部材64を基準壁62方向に移動させて積層体Pの規制部材64に接する辺と対向する辺を基準壁62に突き当てる。
このように2つの規制部材63、64および2つの基準壁61、62を組み合わせて用いることにより、積層体PのサイズがA4やA3サイズ等、様々であっても精度よく位置決めされた丁合いが可能である。
【0077】
なお、図4に示される基準壁61は、搬送方向に直交する位置に設けられているため、丁合いが完了し、必要に応じて実施される仮止めが終了した後に、積層体Pの搬送を妨げないように移動可能なことが必要である。
基準壁61にこのような機能を付与するためには、例えば、図5に示すように基準壁61が移動可能であることが好ましい。
例えば、図5(a)に示されるように、基準壁61は、矢印D方向(つまり、上下移動)に可動し、61aで示される箇所に移動することで、積層体Pの搬送方向下流側への搬送が可能となる。
また、図5(b)に示されるように、基準壁61が、受け70の端部に接続部71を介して矢印E方向(つまり、接続部71を中心とした円周方向)に可動可能に接続されている場合は、基準壁61を61bで示される箇所に移動することで、積層体Pの搬送方向下流側への搬送が可能となる。
【0078】
丁合い手段36には、記録媒体22とトナー画像を有する転写体20とを重ね合わせた積層体を仮止めする仮止め装置が設けられていてもよい。この仮止め装置としては、例えば、ヒータなどにより加熱されるよう金属からなる一対の突片で構成されたものが利用でき、この装置を利用すれば加熱された一対の突片により積層体を挟むことで、トナー画像を有する転写体20と、記録媒体22とが熱により溶着され、積層体が仮止めされる。
【0079】
ここで接合装置14は、例えば、一対の無端ベルトを用いた構成を有する装置が利用できる。
図中に示す接合装置14は、外周面同士が互いに押圧するように接触して配置された一対の無端ベルト46と、各々の無端ベルト46を張架するように、丁合い装置12側に配置された1対の加熱・加圧ロール48およびこの加熱・加圧ロール48の丁合い装置12が配置された側と反対側に配置された1対の張架ロール50と、1対の張架ロール50の加熱・加圧ロール48が配置された側と反対側に配置された接合体排出部56とを有する。
【0080】
なお、接合装置14の構成は図中に示す構成にのみ限定されるものではなく、従来公知の各種ラミネート技法や、熱プレス技法を実施できる構成を有する装置であればいずれも利用できる。
【0081】
次に、図3に示す情報記録媒体製造装置による情報記録媒体の形成プロセスを説明する。
まず、丁合い装置12において、記録媒体22が、記録媒体収納部34から搬送路42を経て、丁合い手段36へと供給され、丁合い手段36の所定の位置へセットされる。
次いで、トナー画像を有する転写体20が、転写体収納部32から搬送路40を経由して丁合い手段36へと供給される。ここで、搬送路40排出部を出たトナー画像を有する転写体20は、トナー画像が設けられた面が下側を向くように、その自重により丁合い手段36へ供給され、記録媒体22と重ね合わせられる。
【0082】
次に、丁合い手段36で重ね合わされたトナー画像を有する転写体20と記録媒体22とから構成される積層体は、仮止め装置により仮止めが施された後、不図示の搬送手段により接合装置14へ搬送される。
【0083】
次に、接合装置14において、トナー画像を有する転写体20及び記録媒体22から構成される積層体を、一対の無端ベルト46の外周面同士が接触する接触部を通過させて加熱・加圧処理することにより転写体20と記録媒体22とからなる接合体を形成する。接触部を通過した接合体は、接合体排出部56に排出される。
続いて、得られた接合体から、転写体側の部材を剥離して情報記録媒体を得る。
【0084】
なお、以上に説明した情報記録媒体製造装置10において、接合体排出部56の代わりに、図6に示す剥離装置400を設けることが好ましい。この場合は、接合体の形成、剥離と、剥離直後の情報記録媒体の除電を一括して連続的に実施することができる情報記録媒体製造装置を得ることができる。
【0085】
図6は、剥離装置の一例を示す概略模式図であり、図中、300は接合体、310は情報記録媒体(となる部材)、320は剥離部材(接合体300のうち情報記録媒体310を構成しない転写体側の部材)、400は剥離装置、410は剥離手段、412は搬送ガイド、414は接合体検出センサー、416は剥離爪、420は除電手段、422は搬送ガイド、424は情報記録媒体収容部、430は剥離部材収容部、432は搬送ガイドを表す。
【0086】
図6に示す剥離装置400には、剥離手段410と、除電手段420とが設けられている。剥離手段410は、情報記録媒体となる部材310と剥離部材320とから構成される接合体300の矢印A方向への搬送をガイドする搬送ガイド412と、搬送ガイド412の鉛直方向上方に配置された接合体検出センサー414と、搬送ガイド412の除電手段420が配置された側に設けられ且つ鉛直方向に移動可能な剥離爪416と、から構成されている。
【0087】
剥離爪416の搬送ガイド412が設けられた側と反対側には、除電手段420と剥離部材収容部430とが配置されており、矢印A方向線を基準として鉛直方向下方側に除電手段420が位置し、鉛直方向上方側に剥離部材収容部430が位置している。また、剥離爪416および除電手段420間には搬送ガイド422が設けられ、除電手段420の搬送ガイド422が設けられた側と反対側には情報記録媒体収容部424が設けられ、剥離爪416および剥離部材収容部430間には搬送ガイド432が設けられている。
なお、図6に示す例では、除電手段420は、互いに接触して接触部を形成するように対向配置された一対の除電ロールから構成されたものが用いられているが、これに限定されるものではなく、放電手段や除電ブラシなども利用することができる。
【0088】
次に、剥離装置400による情報記録媒体の形成およびその除電処理について説明する。まず、不図示の搬送手段により接合体300が、情報記録媒体となる部材310が下面側となるように搬送ガイド412内へと搬送される。
ここで、接合体検出センサー414は、不図示の搬送手段により搬送ガイド412内を矢印A方向に移動する接合体300を検出すると共に、検出信号を、不図示の剥離爪416移動手段に伝達する。この際、剥離爪416は、接合体300が搬送ガイド412の出口に到達した際に、接合体300の情報記録媒体となる部材310と剥離部材320との界面部分に爪の先端部が位置するように移動する。この状態で接合体300が、剥離爪416側へと更に移動することにより、情報記録媒体310と剥離部材320とに剥離される。
【0089】
この後、剥離部材320は、搬送ガイド432内を移動して剥離部材収容部430へと搬送され、情報記録媒体310は除電手段420へと搬送される。ここで、情報記録媒体310は、除電手段420を構成する一対の除電ロールにより形成された接触部を通過することにより除電され、除電後に情報記録媒体収容部424へと排出される。
【0090】
−記録媒体およびその作製に用いる光輝性顔料含有層転写体−
記録媒体は、情報記録媒体にトナー画像が転写される前の状態の部材であり、具体的には画像支持体と、画像支持体の少なくとも片面に設けられた光輝性顔料含有層とを含むものである。また、記録媒体は、必要に応じて、画像支持体と光輝性顔料含有層との間に種々の中間層を設けたり、光輝性顔料含有層の表面に光反射調整層を設けた構成であってもよい。
【0091】
記録媒体は、光輝性顔料等の光輝性顔料含有層を構成する材料を溶媒に溶解分散させた光輝性顔料含有層形成用塗工液を、画像支持体上に直接塗工して形成することができる。また、PET樹脂シート等からなる光輝性顔料含有層支持体上に光輝性顔料含有層を形成した光輝性顔料含有層転写体を用いて、画像支持体上に光輝性顔料含有層を転写することにより記録媒体を作製することもできる。なお、光輝性顔料含有層転写体を利用した光輝性顔料含有層の画像支持体への転写や、転写の後に実施される剥離は、上述した転写工程、剥離工程と同様に実施できる。
また、記録媒体が光反射調整層も有する場合には、光輝性顔料含有層転写体としては、光輝性顔料含有層支持体と、光反射調整層と、光輝性顔料含有層とがこの順に積層されたものが利用できる。この場合は、光輝性顔料含有層と光反射調整層とが画像支持体に転写される。
【0092】
光輝性顔料含有層の形成に際しては、光輝性顔料含有層を構成する材料を、超音波、ウエーブローター,アトライターやサンドミルなどの装置により溶媒中に均一に分散させることによって光輝性顔料含有層形成用塗工液を調整する。そして、この塗工液を用いて、画像支持体や光輝性顔料含有層支持体などの基材上に塗工したり、あるいは、この塗工液中に基材を浸漬した後、引き上げることにより塗工したりすることにより塗膜を形成する。その後、この塗膜を乾燥させたり、更に加熱することにより光輝性顔料含有層が形成される。
【0093】
なお、塗膜の形成方法としては、ブレードコーティング法、ワイヤーバーコーティング法、スプレーコーティング法、浸漬コーティング法、ビードコーティング法、エアーナイフコーティング法、カーテンコーティング法、ロールコーティング法、キスリバースコーティング法、リバースロールコーティング法、スクイズコーティング法、ダイコーティング法、コンマコーティング法、ファウンテンリバースコーティング法、グラビアコーティング法等の通常使用される方法が利用できる。これらの方法は、転写体を作製する場合にも同様に利用できる。
【0094】
また、塗工液の作製に利用できる溶媒としては、光輝性顔料含有層を構成する材料を、溶解又は分散させることが可能なものであれば特に限定されず、必要に応じて適宜選択できるが、例えば、トルエンやキシレンの脂肪族炭化水素、塩化メチレン、クロロベンゼンなどのハロゲン化炭化水素、メチルエチルケトンやシクロヘキサノンのようなケトン系の有機溶媒、その他に、テトラヒドロフランや、酢酸エチルなども挙げられ、これらの溶媒を2種類以上混合して利用することもできる。なお、光輝性顔料含有層を構成する材料の分散安定性を向上させるために、必要に応じて更に公知の界面活性剤も利用できる。
【0095】
なお、光輝性顔料含有層転写体を用いる場合、光輝性顔料含有層転写体にゴミが付着したり、光輝性顔料含有層の転写により作製される記録媒体が帯電して記録媒体にゴミが付着したり、記録媒体同士の静電吸着が発生するのを抑制するために、光輝性顔料含有層転写体には、必要に応じて光輝性顔料含有層転写体の光輝性顔料含有層が設けられた側の面と反対側の面に抵抗調整層を設けることもできる。この抵抗調整層には帯電制御剤として高分子導電剤、界面活性剤、導電性金属酸化物粒子等が添加される。
【0096】
抵抗調整層を設けることにより光輝性顔料含有層転写体表面の表面抵抗率を適正な範囲に制御できる。この場合、表面抵抗率を1.0×10Ω以上1.0×1013Ω以下の範囲内に制御することが好ましい。なお、表面抵抗率を制御する上では抵抗調整層を設ける以外にも、光輝性顔料含有層転写体の表面に界面活性剤を塗工したり、金属膜を蒸着したり、あるいは、光輝性顔料含有層支持体に界面活性剤、高分子導電剤や導電性粒子を添加することもできる。
なお、抵抗調整層には、光輝性顔料含有層転写体の搬送性を向上させるためにマット剤を添加してもよい。
【0097】
次に、抵抗調整層に用いられる帯電制御剤やマット剤について説明する。
界面活性剤としては、例えば、ポリアミン類、アンモニウム塩類、スルホニウム塩類、ホスホニウム塩類、ベタイン系両性塩類などのカチオン系界面活性剤、アルキルホスフェートなどのアニオン系界面活性剤、脂肪酸エステルなどのノニオン系界面活性剤が挙げられる。
【0098】
カチオン系界面活性剤の中でも、4級アンモニウム塩類が好ましい。4級アンモニウム塩類としては下記の一般式(I)で代表される化合物が好ましい。
【0099】
【化1】

【0100】
式中、Rは炭素数6〜22までのアルキル基、アルケニル基、アルキニル基を表し、Rは炭素数1〜6までのアルキル基、アルケニル基、アルキニル基を表す。R,R,Rは同一でも異なってもよく、脂肪族基、芳香族基、ヘテロ環基を表す。脂肪族基とは、直鎖、分岐または環状のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基をいう。芳香族基とは、ベンゼン単環、縮合多環のアリール基を表す。これらの基は水酸基のような置換基を有してもよい。
Aはアミド結合、エーテル結合、エステル結合、フェニル基を表すが、これは無くてもよい。
は、ハロゲン元素、硫酸イオン、硝酸イオンを表し、これらのイオンは置換基を有しても良い。
【0101】
導電性金属酸化物粒子としては、ZnO、SnO、In、MgO、BaO及びMoO等を挙げることができる。これらは、単独で使用してもよく、これらの複合して使用してもよい。また、金属酸化物としては、異種元素をさらに含有するものが好ましく、例えば、ZnOに対してAl、In等、TiOに対してNb、Ta等、SnOに対しては、Sb、Nb、ハロゲン元素等を含有(ドーピング)させたものが好ましい。これらの中で、SbをドーピングしたSnOが、経時的にも導電性の変化が少なく安定性が高いので特に好ましい。
【0102】
マット剤に使用される潤滑性を有する樹脂としては、ポリエチレン等のポリオレフィン;ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン(テフロン(登録商標))等のフッ素樹脂;を挙げることができる。具体的には、低分子量ポリオレフィン系ワックス(例えばポリエチレン系ワックス、分子量1000以上5000以下)、高密度ポリエチレン系ワックス、パラフィン系またはマイクロクリスタリン系のワックスを挙げることができる。また、フッ素樹脂の例としてはポリテトラフルオロエチレン(PTFE)分散液を挙げることができる。
【0103】
マット剤(球状フィラー)は限定されるものではないが、有機樹脂粒子から構成されるものの場合、具体的には、スチレン、ビニルスチレン、クロロスチレン等のスチレン類;エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレン等のモノオレフィン類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、安息香酸ビニル、酪酸ビニル等のビニルエステル類;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸フェニル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ドデシル等のα−不飽和脂肪酸モノカルボン酸のエステル類;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルブチルエーテル等のビニルエーテル類;ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、ビニルイソプロペニルケトン等のビニルケトン類;イソプレン、2−クロロブタジエン等のジエン系モノマーの1種以上を重合させて得られる単独重合体あるいは共重合体を例示することができる。
【0104】
これらの中で、スチレン類、α−不飽和脂肪酸モノカルボン酸のエステル類等が好ましく、これら熱溶融性樹脂をフィラーとして使用する場合は、これら樹脂を溶解しない溶媒で塗工することにより、フィラーとして用いることができるが、好ましくは、これら熱溶融性樹脂に架橋剤などを添加して、架橋構造を持たせた熱硬化性樹脂、先に記載した熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂、電子線硬化樹脂などを微粒子化したものがより好ましく用いられる。
【0105】
また、球状フィラーが、無機微粒子から構成される場合、具体的な例示物としては、マイカ、タルク、シリカ、炭酸カルシウム、亜鉛華、ハロサイトクレー、カオリン、塩酸性炭酸マグネシウム、石英粉、二酸化チタン、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、アルミナなどが挙げられる。
前記フィラーの形状としては、球状粒子が好ましいが、必要に応じて、板状、針状、不定形状であってもよい。また、フィラーの体積平均粒子径としては、20μm以下であることが好ましいが、抵抗調整層の膜厚を考慮すると、0.5μm以上15μm以下の範囲であることが特に好ましい。
【0106】
−転写体−
転写体は、基体とこの基体の少なくとも片面に設けられた画像保持層とを有するものであり、基体表面に、必要に応じて1層以上の中間層と画像保持層とをこの順に積層した構成であってもよい。この転写体としては、トナー画像のみを転写するタイプと、転写体を構成する部材の一部と共に画像を転写するタイプの転写体とが挙げられる。
【0107】
すなわち、画像のみを転写するタイプ転写体は、画像保持層が少なくとも離型性材料を含有するものであり、この転写体を用いた転写工程および剥離工程においては、トナー画像のみが転写体から記録媒体へと転写される。
【0108】
これに対して、転写体を構成する部材の一部と共に画像を転写するタイプの転写体は、画像保持層または画像保持層側に隣接する1以上の層と、基体または基体側に隣接する1以上の層との界面が剥離可能な構成を有する。この転写体を用いた転写工程および剥離工程においては、画像保持層または画像保持層側に隣接する1以上の層が転写体から剥離して、トナー画像と共に記録媒体へと転写される。
以下、転写体を上記2つのタイプに分けてより詳細に説明する。
【0109】
−画像のみを転写するタイプの転写体−
このタイプの転写体においては、電子写真法により形成される画像の転写性を良好なものとするために画像保持層の表面抵抗率が、23℃、55%RHにおいて、1.0×10以上3.2×1013Ω以下の範囲であることが好ましく、1.0×10以上1.0×1011Ω以下の範囲であることが好ましい。
【0110】
上記表面抵抗率が1.0×10Ωに満たないと、特に、高温高湿時に画像受像体として使用される転写体の抵抗値が低くなりすぎる。このため、画像形成装置内にて転写体表面へ未定着の画像(トナー像)を転写する際にトナー像が乱れる場合がある。また、表面抵抗率が3.2×1013Ωを超えると、画像受像体として使用される転写体の抵抗値が高くなりすぎ、画像形成装置内にてトナー像を転写体表面に移行できず、転写不良による画像欠陥が発生する場合がある。
【0111】
また、同様の理由により画像保持層が基体の片面のみに設けられる場合には、基体の画像保持層が設けられない側の基体表面の23℃、55%RHにおける表面抵抗率は、1.0×10Ω以上1.0×1013Ω以下の範囲であることが好ましく、1.0×10Ω以上1.0×1011Ω以下の範囲であることが好ましい。
【0112】
そして、転写体の23℃、55%RHにおける表裏面の表面抵抗率差は、4桁以内であることが好ましく、3桁以内であることがより好ましい。表裏面の表面抵抗率差が4桁を超えると、トナーの転写不良が起こりやすくなり画像の劣化を引き起こす場合がある。尚、表面抵抗率差が4桁以内とは、それぞれの表面抵抗率を常用対数で表したとき、その常用対数値の差が4以内であることを意味する。
【0113】
尚、表面抵抗率はJIS K 6911における二重リング電極法に準拠した方法で測定し、同時に提示されている計算式に則ることにより求めたものである。より具体的には、(株)アドバンテスト社製 デジタル超高抵抗/微小電流計R8340に円形電極(例えば、三菱油化(株)製ハイレスターIPの「HRプローブ」)を接続したものに、23℃、55%RHの環境下で、印加電圧1000Vで60秒後の電流値を基にJIS K 6911に規定されている計算式から求めた。
【0114】
画像保持層の表面抵抗率を1.0×10Ω以上1.0×1013Ω以下の範囲内に制御するにあたっては、画像保持層中に帯電制御剤を含有させることが好ましい。該帯電制御剤としては、例えば高分子導電剤、界面活性剤や、導電性の金属酸化物粒子等を用いることができる。
【0115】
また、画像保持層には離型性材料が含まれているため、トナー画像を記録媒体に良好に転写できる。
離型性材料は、転写体上においてトナーを一旦定着し固定化すると共に、転写体と記録媒体とを加熱圧着したときにはトナーを離型する画像保持層に用いられるものである。したがって、離型性材料としては、トナーに対して密着性と、離型性とを有することが望ましい。
【0116】
上述の離型性材料としては、特に制限されないが、シリコーン系ハードコート材料が利用できる。このシリコーン系ハードコート材料には、シラン系組成物を含む縮合物樹脂や、このシラン系組成物を含む縮合物樹脂とコロイダルシリカ分散液との混合物からなる材料が含まれていてもよい。
【0117】
画像保持層には、離型性材料の他に樹脂が含まれていてもよく、例えばポリエステル樹脂やスチレンアクリル樹脂が含まれていてもよい。ポリエステル樹脂やスチレンアクリル樹脂はトナーの結着樹脂として用いられるものであるため、これと同系統の樹脂を画像保持層に含ませることにより、転写体表面へのトナーの定着性を適性に制御することができる。なお、上記ポリエステル樹脂としては、一般的なポリエステル樹脂の他に、例えば、シリコーン変性ポリエステル樹脂、ウレタン変性ポリエステル樹脂、アクリル変性ポリエステルなどを用いても良い。
【0118】
さらにまた、基体との接着性を改善したり、ブロッキング性などを改善するために、従来の公知の樹脂を必要に応じて混合して、画像保持層を構成する樹脂材料として用いることもできる。この樹脂材料としては、ポリビニルアセタール樹脂を用いることが好ましい。
【0119】
画像形成装置内での転写体の搬送をより良好なものとするために、画像保持層にはフィラーが含まれていてもよい。このフィラーの体積平均粒子径としては、0.1μm以上30μm以下であることが好ましいが、画像保持層膜厚を考慮すると、画像保持層膜厚の1.2倍以上が好ましい。大き過ぎるとフィラーが画像保持層から脱離して、転写体表面が摩耗損傷し易くなり、さらに曇り(ヘイズ度)が増大する場合がある
【0120】
フィラーの形状としては、球状粒子が一般的であるが、板状、針状、不定形状であってもよい。また、フィラーを構成する材料としては公知の樹脂材料や、無機材料が利用できる。
【0121】
基体としては、特に限定されないが、プラスチックフィルムを代表的に用いることができる。この中でも、OHPフィルムとして使用できる光透過性のあるフィルムである、ポリアセテートフィルム、三酢酸セルローズフィルム、ナイロンフィルム、ポリエステルフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリサルホンフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリフェニレンサルファイドフィルム、ポリフェニレンエーテルフィルム、シクロオレフィンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリイミドフィルム、セロハン、ABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン)樹脂フィルムなどを用いることが好適できる。また、紙(普通紙、コート紙等)、金属(アルミニウム等)、セラミックス(アルミナ等)も用いることができる。
【0122】
なお、基体の画像保持層が設けられる側の面は、表面粗さ(中心線平均粗さRa)で1μm以下であることが好ましく、0.1μm以下であることがより好ましい。表面粗さ(中心線平均粗さRa)が1μmを超える場合には、高い光沢度を得ることができなくなる場合がある。
【0123】
また、画像保持層の厚みは0.1μm以上20μm以下程度であるため、転写体の厚みは基体の厚みによって決定される。このため、基体の厚さは、50μm以上200μm以下の範囲が好ましく、75μm以上150μm以下の範囲がより好ましい。厚さが50μmに満たないと、画像形成装置内で搬送不良を招く場合があり、200μmを超えると画像形成装置内にてトナー像を転写体表面に移行することが困難になり、転写不良による画像欠陥が発生する場合がある。
【0124】
−転写体を構成する部材の一部と共に画像を転写するタイプの転写体−
このタイプの転写体は、基体の同一面上に、画像保持層を含む少なくとも1層の層が設けられており、これら層の内の少なくとも1層が硬化性樹脂を含有する層であることが特に好ましい。この場合、この硬化性樹脂を含有する層は、基体、又は基体側に隣接する層から、剥離可能な層である。
このように硬化性樹脂を含有する層が、基体又は基体側で隣接する層から剥離することにより、電子写真法で形成された画像を記録媒体上に転写させた場合に、基体又は基体側に隣接する層から、硬化性樹脂を含有する層が剥離し、記録媒体上に転写された画像を覆い、この画像を保護することとなる。
【0125】
この転写体における硬化性樹脂を含有する層と、基体又は硬化性樹脂を含有する層が基体側に接する層との界面での剥離力は、0.098N/cm以上4.90N/cm以下(10gf/cm以上500gf/cm以下)であることが好ましく、0.196N/cm以上3.92N/cm以下(20gf/cm以上400gf/cm以下)であることがより好ましく、0.490N/cm以上2.41N/cm以下(50gf/cm以上250gf/cm以下)であることが更に好ましい。
【0126】
剥離力が0.098N/cm(10gf/cm)未満であると、離型層と硬化性樹脂を含有する層とが剥がれやすくなり、画像定着時に、画像形成装置の定着器に硬化性樹脂を含有する層が転移してしまったり、あるいは情報記録媒体を作製するときに前記硬化性樹脂を含有する層と、基体又は基体側で隣接する層との界面ですべりを生じ、最終的に画像が乱れて転移されてしまうことがある。一方、剥離力が4.90N/cm(500gf/cm)を超えてしまうと、部分的に硬化性樹脂を含有する層が基体又は基体側で隣接する層の表面に残ることがあるため、これが情報記録媒体表面の欠陥の発生を招いてしまう場合がある。
ここで、剥離力とは、JIS規格Z0237の粘着力の測定における180度引き剥がし粘着力に準じた測定で行った時の測定値である。
【0127】
また、画像のみを転写するタイプの転写体における画像保持層表面などの電気的特性、基体、画像保持層に用いられるフィラーや各種添加剤については、転写体を構成する部材の一部と共に画像を転写するタイプの転写体においても適用することができる。
【0128】
−第一の転写体−
次に、転写体を構成する部材の一部と共に画像を転写するタイプの転写体の各形態について説明する。
転写体の第一の形態(以下、「第一の転写体」という場合がある。)は、基体の画像保持層が設けられている面に、この基体側から離型層、硬化性樹脂層、及び画像保持層が順次設けられている構成を有する。
【0129】
第一の転写体では、硬化性樹脂層が上述した硬化性樹脂を含有する層であり、硬化性樹脂層が基体側に隣接する層である離型層から剥離可能な層である。つまり電子写真法で形成された画像を記録媒体上に転写させた場合に、離型層から硬化性樹脂層が剥離し、硬化性樹脂層および画像保持層が、記録媒体上に転写された画像を覆い、この画像を保護することとなる。
【0130】
第一の転写体は、画像保持層が硬化性樹脂層上に設けられているため、画像保持層上にトナーで画像を形成する場合、トナーが広がらず、解像度が向上する。
【0131】
一方、第一の転写体における画像保持層は、膜厚が2μm以上25μm以下であり、熱可塑性樹脂と、画像保持層の膜厚よりも大きい体積平均粒子径を有する粒子と、を含有していることが好ましい。この場合、画像保持層には、この層の厚みより大きい粒子が含まれており、離型層はトナー画像を記録媒体に良好に転写が可能である。
【0132】
離型層には画像のみを転写するタイプの転写体に用いられるものと同様の離型性材料が含まれる。これにより、剥離工程において離型層と硬化性樹脂層との界面での剥離性を確保することができる。
【0133】
第一の転写体における硬化性樹脂層は、剥離工程を経て得られた情報記録媒体の片側表面の層を構成し、画像を保護する機能を担うことになる。
この機能を発揮するためには、硬化性樹脂層は傷や薬剤などに強い必要がある。よって既述したシリコーン系ハードコート材料などの光硬化性や熱硬化性の樹脂を含むことが好ましい。これら以外にも、必要に応じて種々の材料が添加できるが、硬化性樹脂層を構成する樹脂全体のうち、シリコーン系ハードコート材料は0.5質量%以上98質量%以下の範囲で含まれることが好ましく、1質量%以上95質量%以下の範囲で含まれることがより好ましい。シリコーン系ハードコート材料の含有量が0.5質量%に満たないと、剥離工程において離型層と硬化性樹脂層との界面での剥離が困難となる場合があり、98質量%を超えると、画像の転写や定着状況が悪くなり、画質劣化を引き起こす場合がある。
【0134】
画像保持層には、樹脂が含まれる。樹脂としては例えばポリエステル樹脂やスチレンアクリル樹脂が1種以上用いられる。一般的に、ポリエステル樹脂やスチレンアクリル樹脂はトナーの結着樹脂として用いられるものであるため、これと同系統の樹脂を画像保持層に含有させることにより、転写体表面へのトナーの定着性を適性に制御することができる。なお、ポリエステル樹脂としては、一般的なポリエステル樹脂の他に、例えばシリコーン変性ポリエステル樹脂、ウレタン変性ポリエステル樹脂、アクリル変性ポリエステルなどを用いてもよい。
また、画像保持層は、画像形成装置により画像を定着する際に、画像形成装置の定着部材への付着、巻き付きを防止するために、天然ワックスや合成ワックス、あるいは離型性樹脂、反応性シリコーン化合物、変性シリコーンオイルなどの離型剤を含有していてもよい。
【0135】
第一の転写体では、画像保持層の膜厚が2μm以上25μm以下であることが好ましく、5μm以上20μm以下であることがより好ましく、7.5μm以上15μm以下であることが更に好ましい。画像保持層の膜厚が2μm以上25μm以下であると、画像を画像保持層の膜厚方向に埋め込むことで、画質の低下がおこり難くなる上に、画像を保護する効果も得られる。
【0136】
−第二の転写体−
転写体の第二の形態(以下、「第二の転写体」という場合がある。)は、基体の表面に画像保持層が設けられており、画像保持層は、硬化性シリコーン樹脂と、硬化性シリコーン樹脂以外の樹脂とを含むものである。
第二の転写体では、画像保持層が硬化性樹脂を含有する層であり、画像保持層が基体から剥離可能な層である。これは画像保持層を構成する樹脂が、硬化性シリコーン樹脂と硬化性シリコーン樹脂以外の樹脂とを含む混合樹脂であるため、基体からの剥離が可能となり、電子写真法で形成された画像を記録媒体上に転写させた場合に、画像保持層が基体から剥離し、記録媒体上に転写された画像を覆い、この画像を保護することとなる。また、硬化性シリコーン樹脂は強靭であるため、情報記録媒体の耐傷性にも優れる。
【0137】
硬化性シリコーン樹脂としては公知の硬化性シリコーン樹脂が利用できるが、定着時における画像保持層と画像との相溶を促進するために、トナーの結着樹脂として用いられるアクリル樹脂やポリエステル樹脂と相溶性に優れる硬化性シリコーン樹脂を含んでいることが好ましい。また、硬化性シリコーン樹脂以外の樹脂としては、同様の理由からアクリル樹脂やポリエステル樹脂を用いることが好ましい。
【0138】
画像保持層に含まれる前記硬化性シリコーン樹脂について、以下に説明する。
一般に、シリコーン樹脂は、その分子構造により、シリコーンオイルやシリコーンゴム等の材料となる直鎖状構造をとるシリコーン樹脂と、3次元に架橋した構造のシリコーン樹脂とに分類される。また、離型性、接着性、耐熱性、絶縁性及び化学的安定性等の諸性質は、シリコン原子に結合している分子(有機分子)やその重合度等によって決定される。
【0139】
硬化性シリコーン樹脂は、3次元に架橋した構造のシリコーン樹脂が好ましい。3次元に架橋した構造のシリコーン樹脂は、通常、多官能性(3官能性、4官能性)単位から重合され、架橋構造を持つ。
尚、直鎖状構造をとるシリコーン樹脂には、分子量が低く、シリコーンオイルとして、絶縁油、液体カップリング、緩衝油、潤滑油、熱媒、撥水剤、表面処理剤、離型剤、消泡剤等に利用されるものや、加硫剤等を添加後、加熱硬化によって、分子量(シロキサン単位)5000以上10000以下程度に重合されたシリコーンゴム等がある。
【0140】
硬化性シリコーン樹脂は、その分子量単位によって、有機溶媒に溶解可能で比較的低分子量であるシリコーンワニスと、高重合度のシリコーン樹脂等とに分類される。また、前記硬化性シリコーン樹脂は、生成段階における硬化反応によって、縮合型、付加型、輻射線型(紫外線硬化型、電子線硬化型)等に分類される。また、塗布形態によっては、溶剤型、無溶剤型等に分類される。
【0141】
画像保持層が硬化性シリコーン樹脂を含有することが必要である理由としては、以下の通りである。即ち、先ず、硬化性シリコーン樹脂は、Si−O結合に起因して、表面エネルギーが低いため、本質的に、離型性、非相溶性に優れる。しかし、その硬化条件等を制御することにより、優れた接着性をも発現させることが可能であるため、画像剥離性と、画像定着性とを両立した情報記録媒体を得ることが可能となるためである。
【0142】
硬化性シリコーン樹脂としては、特に制限はなく、公知の硬化性シリコーン樹脂の中から選択することができるが、以下の理由により、硬化性アクリル変性シリコーン樹脂(硬化性アクリルシリコーン樹脂)が特に好ましい。
硬化性アクリルシリコーン樹脂は、トナーの結着樹脂として通常用いられている、スチレン−アクリル樹脂や、ポリエステル樹脂と化学的親和性が高いアクリル鎖を分子中に含み、離型性を発現させるシリコーン樹脂部分を併せ持つ。したがって、一分子中に、トナーと接着し易い部分と、接着しにくい部分が存在する。また、これらが均質に相溶していることにより、分子オーダーで、画像剥離性及び画像定着性が発現される。
また、硬化性アクリルシリコーン樹脂においては、アクリル鎖とシリコーン鎖との比率、その硬化条件及び後述の硬化性シリコーン化合物及び変性シリコーンオイルの添加量等を制御することにより、画像定着性や画像剥離性を更に自由に制御することが可能である。
【0143】
硬化性シリコーン樹脂としては、熱硬化型シリコーン樹脂も特に好ましく用いることができる。
熱硬化型シリコーン樹脂は、光硬化型として知られている前記アクリルシリコーン樹脂に比べてその表面硬度が低い。このため、トナーが画像保持層に包み込まれる状態となりやすく、画像定着性に優れる傾向がある。
また、前記熱硬化性シリコーン樹脂はアクリルシリコーン樹脂などに比べて離型性が高く、その結果、画像剥離性にも優れる。
また、熱硬化性シリコーン樹脂は、シリコーン成分と非シリコーン成分との混合系の場合、この比率、その硬化条件及び硬化性シリコーン化合物及び変性シリコーンオイルの添加量等を制御することにより、画像定着性や画像剥離性を更に自由に制御することが可能である。
【0144】
アクリルシリコーン樹脂と熱硬化性シリコーン樹脂とを混合しても好ましく用いることができる。前記アクルリシリコーン樹脂と熱硬化性シリコーン樹脂を混合する場合、その混合割合により両者の中間の性能を示すことになり、この比率、その硬化条件及び硬化性シリコーン化合物及び変性シリコーンオイルの添加量等を制御することにより、画像定着性や画像剥離性を更に自由に制御することが可能である。
【0145】
硬化性シリコーン樹脂としては、例えば、縮合型、付加型及び紫外線硬化型に分類すると、以下のものが好適に挙げられる。
【0146】
縮合型の硬化性シリコーン樹脂としては、例えば末端にシラノール基を有するポリジメチルシロキサンのなどのポリシロキサンをベースポリマーとし、架橋剤としてポリメチルハイドロジェンシロキサン等を配合し、有機スズ触媒等の有機酸金属塩やアミン類等の存在下で加熱縮合して合成した硬化性シリコーン樹脂や、水酸基、アルコキシ基等の反応性の官能性基を末端に持つポリジオルガノシロキサンを反応させて合成した硬化性シリコーン樹脂や、3官能性以上のクロロシラン又はこれらと1、2官能性のクロロシランとの混合物等を加水分解したシラノールを縮合して合成したポリシロキサン樹脂等が挙げられる。
尚、縮合型は、形態的には、溶液型とエマルジョン型とに分類され、そのいずれも好適に使用することができる。
【0147】
付加型の硬化性シリコーン樹脂としては、例えばビニル基を含有するポリジメチルシロキサンのなどのポリシロキサンをベースポリマーとし、架橋剤としてポリジメチルハイドロジェンシロキサンを配合して、白金触媒の存在下で反応・硬化させて合成した硬化性シリコーン樹脂等が挙げられる。
尚、付加型は、形態的には、溶剤型、エマルジョン型及び無用剤型に分類され、そのいずれも好適に使用することができる。
【0148】
紫外線硬化型の硬化性シリコーン樹脂としては、例えば光カチオン触媒を利用して合成した硬化性シリコーン樹脂や、ラジカル硬化機構を利用して合成した硬化性シリコーン樹脂等が挙げられる。
【0149】
また、ケイ素原子と結合した水酸基又はアルコキシ基等を有する低分子量ポリシロキサンと、アルキッド樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、フェノール樹脂、ポリウレタン又はメラミン樹脂等とを反応させて得られる変性シリコーン樹脂等も好適に挙げられる。これらの硬化性シリコーン樹脂は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0150】
画像保持層に用いる硬化性シリコーン樹脂の分子量としては、重量平均分子量で、10,000以上1,000,000以下が好ましい。また、硬化性シリコーン樹脂における全有機基中のフェニル基の割合としては、0.1モル%以上50モル%以下が好ましく、官能性としては、1以上4以下が好ましい。
【0151】
硬化性シリコーン樹脂の画像保持層における含有量としては、30質量%以上100質量%以下が好ましく、50質量%以上100質量%以下がより好ましい。含有量が、30質量%未満の場合には、離型性能が発揮できないことがある。
【0152】
硬化性シリコーン樹脂以外の樹脂としては、トナーとの相溶性に優れるアクリル樹脂やポリエステル樹脂が好ましく用いられるが、これ以外の熱溶融性樹脂や硬化性樹脂なども用いることができる。
硬化性シリコーン樹脂以外の樹脂としてのアクリル樹脂は、ガラス転移点(Tg)が50℃以上120℃以下の範囲であることが好ましく、60℃以上105以下℃の範囲であることがより好ましい。
【0153】
また、画像保持層は、硬化性シリコーン樹脂以外の樹脂としてのアクリル樹脂やポリエステル樹脂の他に、必要に応じて、他の樹脂を併用することもできる。
【0154】
画像保持層は、画像の定着時、定着部材への付着、巻き付きを防止するためには、定着部材への低付着性材料である天然ワックスや合成ワックス、あるいは離型性樹脂、反応性シリコーン化合物、変性シリコーンオイルなどを含有することが好ましい。
【0155】
−第三の転写体−
転写体の第三の形態(以下、「第三の転写体」という場合がある。)は、基体の画像保持層が設けられている面に、基体側から離型層及び画像保持層が順次設けられており、画像保持層は、硬化性シリコーン樹脂を含有するものである。
第三の転写体は、画像保持層が硬化性樹脂を含有する層であり、画像保持層が基体側に隣接する層である離型層から剥離可能な層である。
【0156】
第三の転写体は、離型層を有するため、電子写真法で形成された画像を記録媒体上に転写させた場合に、離型層から画像保持層が剥離し、この画像保持層が前記記録媒体上に転写された画像を覆い、画像を保護することとなる。また、画像保持層が含有する硬化性シリコーン樹脂は強靭であるため、画像を覆うことにより耐傷性にも優れる。
【0157】
第三の転写体では、画像保持層において、硬化性シリコーン樹脂と、硬化性シリコーン樹脂以外の樹脂とを含む混合樹脂の代わりに、硬化性シリコーン樹脂のみを用い、さらに、基体表面に離型剤層と画像保持層とをこの順に設けた構成とした以外は、第二の転写体と同様の構成であり、好適な態様も同様である。
【0158】
また、第三の転写体において、画像保持層に用いられる硬化性シリコーン樹脂は、第二の転写体において、画像保持層に用いられる硬化性シリコーン樹脂と同様であり、好ましい態様も同様である。 さらに、第三の転写体における離型層は、第一の転写体における離型層と同様であり、好ましい態様も同様である。
【0159】
−第四の転写体−
転写体の第四の形態(以下、「第四の転写体」という場合がある。)は、基体の少なくとも一方の面に、画像保持層が設けられており、この画像保持層は、光硬化性樹脂を含有し、自己修復性を有するものである。なお、基体表面に、必要に応じて離型層を設け、その表面に画像保持層を設けた構成とすることもできる。
第四の転写体は、画像保持層が前記硬化性樹脂を含有する層であり、この画像保持層が基体又は基体側に隣接する層(離型層)から剥離可能な層である。
【0160】
ここで、「自己修復性を有する画像保持層」とは、以下の性質を有する画像保持層のことをいう。自己修復性を有するとは、23℃、相対湿度55%の雰囲気下で、10cm×10cmのカラーOHPフィルム(カラーOHPフィルムHG)を両面テープで測定台に固定し、この上に10cm×10cmの被測定物を画像保持層側を内側にして重ね合わせ、この上に500gの重りを載せ、被測定物のみを水平に10cm動かす行為を100回繰り返すことにより生じた傷の有無を、スガ試験機(株)製、ヘーズメーター HGM−2を用いてヘイズ測定した値であり、上述の一連の動作の前後のヘイズ値の差が10%以内である場合をいう。
【0161】
ヘイズ値の差が10%以内であると、傷により生じた表面光散乱が目立ち難いため好ましい。ヘイズ値の差は5%以内であることが好ましく、3%以内であることがより好ましい。
【0162】
第四の転写体は、トナー画像を記録媒体上に転写させた場合に、画像保持層が基体又は離型層(離型層を有する場合)から剥離し、記録媒体上に転写された画像を覆い、該画像を保護することとなる。また、画像保持層は自己修復性を有するため、画像を覆うことにより耐傷性にも優れる(傷が目立たない)。
【0163】
第四の転写体における画像保持層は、以下の光硬化性樹脂を含有するため、自己修復性を有する。
この光硬化性樹脂は、光重合性モノマーと光硬化開始剤とを含有する組成物であり、紫外線等の電磁波を照射することにより硬化して、自己修復性を有する硬化物となるものであり。光硬化開始剤は光エネルギーを吸収することによりそれ自身が励起状態となり、光重合性モノマーの重合反応を開始させるラジカルを発生させるものである。
【0164】
光重合性モノマーの反応基としては、例えばアクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基、アリル基、メルカプト基、アミノ基等が挙げられるが、特に反応性が高いことからアクリロイル基、メタクリロイル基が好ましく用いられる。
【0165】
光重合性モノマーの具体例としては、例えば不飽和ポリエステル、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、ウレタンメタクリレート、ポリエステルアクリレート、アルキッドアクリレート、シリコーンアクリレート、ポリエン・ポリチオール系スピラン、アミノアルキッド、ヒドロキシエチルアクリレート、ビニルエーテル等が挙げられる。これらの中でも、透明性や光硬化時の収縮率が低いことよりウレタンアクリレート、ウレタンメタクリレートが好ましく用いられる。また、これらのモノマーは2種以上を併用することもできる。
【0166】
ウレタンアクリレート、ウレタンメタクリレートとしては、例えば無黄変ポリイソシアネート化合物を用いることが好ましい。無黄変ポリイソシアネート化合物としては、4,4‘―メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、イソホロンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートなどが挙げられる。
【0167】
光硬化開始剤としては、例えばベンゾイルエーテル、1―ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−(4−(メチルチオ)フェニル)−2−モルホリノプロパンー1−オン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタンー1−オン、ベンゾフェノン、チオキサントン、キサントン、2−クロロチオキサントン、ミヒラーケトン、2−イソプロピルチオキサントン、ベンジル、9,10−フェナントレンキノン、9,10―アントラキノンなどが挙げられる。これらの光硬化開始剤は、2種以上を併用することもできる。
【0168】
光硬化開始剤の添加量は、光重合性モノマーに対して0.1質量%以上10質量%以下であることが好適であり、0.2質量%以上5質量%以下がより好適である。さらに、光硬化性樹脂に対して光安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、抗菌剤、難燃剤、帯電防止剤を添加してもよい。
【0169】
光硬化性樹脂を硬化させるための光源としては、低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、紫外線レーザ、無電極放電ランプ、電子線、X線などがあるが、硬化反応を起こさせるものであればどれでもよい。
【0170】
第四の転写体は、上述の光硬化性樹脂と共に、この光硬化性樹脂以外の樹脂を併用することも好適である。光硬化性樹脂以外の樹脂としては硬化性シリコーン樹脂が挙げられる。この硬化性シリコーン樹脂は、第二の転写体において、画像保持層に用いられる硬化性シリコーン樹脂と同様であり、好ましい態様も同様である。
【0171】
第四の転写体における光硬化性樹脂、硬化性シリコーン樹脂以外の成分は、第三の転写体における硬化性シリコーン樹脂以外の成分と同様である。また、第三の転写体における離型層は、第一の転写体における離型層と同様であり、好ましい態様も同様である。
【0172】
なお、以上に説明した転写体には、転写体の画像保持体が設けられていない側の面に表面抵抗率の制御等を目的として、抵抗調整層を設けることもできる。この抵抗調整層としては、光輝性顔料含有層転写体に設けられる抵抗調整層と同様のものが利用できる。
【実施例】
【0173】
以下に、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、下記実施例及び比較例における「部」は「質量部」を意味する。
【0174】
(実施例1)
<光輝性顔料含有層転写体の作製>
−塗工液A−1の調製−
カチオン系帯電防止剤としてアクリル系高分子溶解液(綜研化学社製:エレコンドQO−101、固形分濃度50質量%)100部と、フィラーとして架橋型アクリル球状微粒子(綜研化学社製:MX−180、平均粒子径:1.8μm)0.5部と、エタノール200部とを混合して十分撹拌し、表面抵抗率を制御する塗工液A−1を調製した。
【0175】
<光輝性顔料含有層形成用塗工液B−1の調製>
熱可塑性樹脂としてポリエステル樹脂(東洋紡績社製:バイロン245)20部と、界面活性剤(日本油脂社製:エレガン264WAX)2部と、緑色系の光輝性顔料(日本光研工業社製:MG−2100R(二酸化チタンと酸化スズとを含有した被覆層をマイカ表面に設けた長さが10μm以上60μm以下、平均厚さが0.2μmの板状顔料))24部とを、50部の溶媒(メチルエチルケトン)中に添加して十分撹拌し、光輝性顔料含有層形成用塗工液B−1を調製した。
【0176】
−光輝性顔料含有層転写体の作製−
二軸延伸PETフィルム(東レ社製、PET50 T−60、厚み50μm)の片面に、塗工液A−1をワイヤーバーを用いて塗工し、120℃で1分間乾燥させ膜厚0.5μmの抵抗調整層を形成した。
さらに光輝性顔料含有層塗工液B−1を、二軸延伸PETフィルムの抵抗調整層が形成された面と反対側の面にワイヤーバーを用いて塗工し、120℃で1分間乾燥させて膜厚10μmのパール系の緑色を帯びた金属光沢を有する光輝性顔料含有層を形成し、光輝性顔料含有層転写体を作製した。
【0177】
なお、この光輝性顔料含有層転写体はA4サイズ(210mm×297mm)にカットした。また、光輝性顔料含有層転写体の表面抵抗率は、抵抗調整層が設けられた面側で2.8×10Ω、光輝性顔料含有層が設けられた面側で2.6×1010Ωであった。
【0178】
また、光輝性顔料含有層転写体の切断面(光輝性顔料含有層部分)を走査型電子顕微鏡で観察したところ、光輝性顔料の平面が、光輝性顔料含有層転写体の平面と略並行となるように光輝性顔料が配向している傾向にあることが確認された。
【0179】
<記録媒体の作製>
記録媒体は、以下の手順で作製した。まず、光輝性顔料含有層転写体の光輝性顔料含有層が形成された面と白色のPETGフィルム(三菱樹脂社製:ディアフィクスWHI、厚さ:760μm、A4サイズ)とを重ね合わせた積層体を加熱加圧することにより、光輝性顔料含有層を、光輝性顔料含有層転写体から白色のPETGフィルム側へと転写した。続いて、積層体を構成する光輝性顔料含有層転写体部分の光輝性顔料含有層と二軸延伸PETフィルムとの界面を剥離することにより、白色のPETGフィルムの片面に光輝性顔料含有層が形成された記録媒体を得た。
なお、記録媒体の作製に際しては、図3に示す装置を利用し、加熱温度140℃、送り速度6mm/sの条件で転写を実施した。また、転写処理後の積層体の剥離は、手作業で実施した。
【0180】
<転写体の作製>
−画像保持層形成用塗工液C−1の調整−
熱可塑性樹脂としてポリエステル樹脂(東洋紡績社製:バイロン885)20部と、界面活性剤(日本油脂社製:エレガン264WAX)3部と、フィラーとして球形アクリル樹脂微粒子(綜研化学社製:MX−1500H、平均体積粒径14.5μm)3部とを、50部の溶媒(メチルエチルケトン)中に添加して十分撹拌し、画像保持層形成用塗工液C−1を調製した。
【0181】
−転写体の作製−
片面が離型剤により表面処理された二軸延伸PETフィルム(パナック社製PET100 SG−2 101μm)の片面(離型剤で処理されていない面)に、塗工液A−1をワイヤーバーを用いて塗工した後、120℃で1分間乾燥させることにより膜厚0.5μmの抵抗調整層を形成した。
続いて、二軸延伸PETフィルムの抵抗調整層が形成された面と反対側の面(離型剤で処理された面)に、画像保持層形成用塗工液C−1をワイヤーバーを用いて塗工した後、120℃で1分間乾燥させることにより膜厚10μmの画像保持層を形成し、転写体を作製した。
【0182】
−トナー画像の形成−
この転写体の画像保持層が設けられた側の面に、画像形成装置(富士ゼロックス(株)社製カラー複写機、DocuColor1256GA)によりサイズが縦横2cm×2cmで黒色の単色画像(情報記録媒体とした時の第1のトナー画像に相当する画像)を形成した。
なお、単色画像を形成する際の入力画像濃度は、黒50%に設定した。また、転写体表面に形成された単色画像の反射濃度は0.6(ビジュアル)であった。
【0183】
<情報記録媒体の作製>
記録媒体の光輝性顔料含有層が形成された面と転写体のトナー画像が形成された面とを重ね合わせた積層体を加熱加圧することにより、トナー画像を画像保持層と共に転写体側から記録媒体側へと転写した。続いて、積層体を構成する転写体部分の画像保持層と二軸延伸PETフィルムとの界面を剥離した。これにより、PETGフィルムの片面に光輝性顔料含有層とトナー画像とが積層され、且つ、光輝性顔料含有層およびトナー画像を被覆するように保護層が設けられた情報記録媒体を得た。
なお、情報記録媒体の作製に際しては、図3に示す装置を利用し、加熱温度140℃、送り速度6mm/sの条件で転写を実施した。また、転写処理後の積層体の剥離は、手作業で実施した。
【0184】
(実施例2)
実施例1の転写体へのトナー画像の形成の代わりに以下のトナー画像を形成した他は、実施例1に記載の方法にて、情報記録媒体を作製した。−トナー画像の形成−
この転写体の画像保持層が設けられた側の面に、画像形成装置(富士ゼロックス(株)社製カラー複写機、DocuColor1256GA)によりサイズが縦横2cm×2cmでシアン色の画像(情報記録媒体とした時の第1のトナー画像に相当する画像)を形成した。
なお、シアン色画像を形成する際の入力画像濃度は、シアン25%に設定した。
また、転写体表面に形成された青色画像の反射濃度は0.28(シアン)であった。
【0185】
(実施例3)
実施例1の転写体へのトナー画像の形成の代わりに以下のトナー画像を形成した他は、実施例1に記載の方法にて、情報記録媒体を作製した。
−トナー画像の形成−
この転写体の画像保持層が設けられた側の面に、画像形成装置(富士ゼロックス(株)社製カラー複写機、DocuColor1256GA)によりサイズが縦横2cm×2cmでシアン色の画像(情報記録媒体とした時の第1のトナー画像に相当する画像)を形成した。
なお、シアン色画像を形成する際の入力画像濃度は、シアン75%に設定した。
また、転写体表面に形成された青色画像の反射濃度は1.1(シアン)であった。
【0186】
(実施例4)
実施例1の転写体へのトナー画像の形成の代わりに以下のトナー画像を形成した他は、実施例1に記載の方法にて、情報記録媒体を作製した。
−トナー画像の形成−
この転写体の画像保持層が設けられた側の面に、画像形成装置(富士ゼロックス(株)社製カラー複写機、DocuColor1256GA)によりサイズが縦横2cm×2cmでマゼンタ色の画像(情報記録媒体とした時の第1のトナー画像に相当する画像)と、黒色で8ポイントの文字画像(情報記録媒体とした時の第2のトナー画像に相当する画像)と、同じく黒色でサイズが縦横2cm×2cmの画像(濃度測定用の画像)を形成した。
なお、マゼンタ色画像を形成する際の入力画像濃度は、マゼンタ70%に設定し、文字画像と黒色画像を形成する際の入力画像濃度は、黒100%に設定した。
また、転写体表面に形成されたマゼンタ色画像の反射濃度は1.0(マゼンタ)、黒色画像の反射濃度は1.8(ビジュアル)であった。
【0187】
(実施例5)
実施例1の転写体へのトナー画像の形成の代わりに以下のトナー画像を形成した他は、実施例1に記載の方法にて、情報記録媒体を作製した。
−トナー画像の形成−
この転写体の画像保持層が設けられた側の面に、画像形成装置(富士ゼロックス(株)社製カラー複写機、DocuColor1256GA)によりサイズが縦横2cm×2cmでマゼンタ色の画像(情報記録媒体とした時の第1のトナー画像に相当する画像)と、黒色で8ポイントの文字画像(情報記録媒体とした時の第2のトナー画像に相当する画像)と、同じく黒色でサイズが縦横2cm×2cmの画像(濃度測定用の画像)を形成した。
なお、マゼンタ色画像を形成する際の入力画像濃度は、マゼンタ70%に設定し、文字画像と黒色画像を形成する際の入力画像濃度は、黒80%に設定した。
また、転写体表面に形成されたマゼンタ色画像の反射濃度は1.0(マゼンタ)、黒色画像の反射濃度は1.3(ビジュアル)であった。
【0188】
(実施例6)
実施例1の転写体へのトナー画像の形成の代わりに以下のトナー画像を形成した他は、実施例1に記載の方法にて、情報記録媒体を作製した。
−トナー画像の形成−
この転写体の画像保持層が設けられた側の面に、画像形成装置(富士ゼロックス(株)社製カラー複写機、DocuColor1256GA)によりサイズが縦横2cm×2cmでマゼンタ色の画像(情報記録媒体とした時の第1のトナー画像に相当する画像)と、黒色で8ポイントの文字画像(情報記録媒体とした時の第2のトナー画像に相当する画像)と、同じく黒色でサイズが縦横2cm×2cmの画像(濃度測定用の画像)を形成した。
なお、マゼンタ色画像を形成する際の入力画像濃度は、マゼンタ70%に設定し、文字画像と黒色画像を形成する際の入力画像濃度は、黒75%に設定した。
また、転写体表面に形成されたマゼンタ色画像の反射濃度は1.0(マゼンタ)、黒色画像の反射濃度は1.1(ビジュアル)であった。
【0189】
(実施例7)
実施例1の転写体へのトナー画像の形成の代わりに以下のトナー画像を形成した他は、実施例1に記載の方法にて、情報記録媒体を作製した。
−トナー画像の形成−
この転写体の画像保持層が設けられた側の面に、画像形成装置(富士ゼロックス(株)社製カラー複写機、DocuColor1256GA)によりサイズが縦横2cm×2cmで薄緑色の画像(情報記録媒体とした時の第1のトナー画像に相当する画像)を形成した。
なお、薄緑色画像を形成する際の入力画像濃度は、シアン50%。イエロー50%に設定した。
また、転写体表面に形成された薄緑色画像の反射濃度はシアン0.5、イエロー0.5であった。
【0190】
(実施例8)
実施例1の転写体へのトナー画像の形成の代わりに以下のトナー画像を形成した他は、実施例1に記載の方法にて、情報記録媒体を作製した。
−トナー画像の形成−
この転写体の画像保持層が設けられた側の面に、画像形成装置(富士ゼロックス(株)社製カラー複写機、DocuColor1256GA)によりサイズが縦横2cm×2cmでオレンジ色の画像(情報記録媒体とした時の第1のトナー画像に相当する画像)を形成した。
なお、オレンジ色画像を形成する際の入力画像濃度は、マゼンタ50%。イエロー50%に設定した。
また、転写体表面に形成された薄緑色画像の反射濃度はマゼンタ0.5、イエロー0.7であった。
【0191】
(比較例1)
実施例1の転写体へのトナー画像の形成の代わりに以下のトナー画像を形成した他は、実施例1に記載の方法にて、情報記録媒体を作製した。
−トナー画像の形成−
この転写体の画像保持層が設けられた側の面に、画像形成装置(富士ゼロックス(株)社製カラー複写機、DocuColor1256GA)によりサイズが縦横2cm×2cmで黒色の画像(情報記録媒体とした時の第1のトナー画像に相当する画像)を形成した。
なお、黒色画像を形成する際の入力画像濃度は、黒80%に設定した。
また、転写体表面に形成された黒色画像の反射濃度は1.3(ビジュアル)であった。
【0192】
(比較例2)
実施例1の転写体へのトナー画像の形成の代わりに以下のトナー画像を形成した他は、実施例1に記載の方法にて、情報記録媒体を作製した。
−トナー画像の形成−
この転写体の画像保持層が設けられた側の面に、画像形成装置(富士ゼロックス(株)社製カラー複写機、DocuColor1256GA)によりサイズが縦横2cm×2cmで黄色の画像(情報記録媒体とした時の第1のトナー画像に相当する画像)を形成した。
なお、黄色画像を形成する際の入力画像濃度は、イエロー15%に設定した。
また、転写体表面に形成された黄色画像の反射濃度は0.15(イエロー)であった。
【0193】
(評価)
各実施例、比較例で得られた情報記録媒体については、第1のトナー画像が形成された部分については、反射濃度、色、色の濃さ、金属光沢感を評価し、第2のトナー画像が形成された部分については反射濃度、色、視認性を評価した。結果を表1に示す。
【0194】
【表1】

【0195】
なお、表1中に示す色、色の濃さ、金属光沢感、視認性の評価方法や評価基準は以下の通りである。
−色−
第1のトナー画像又は第2のトナー画像が形成された領域を、情報記録媒体の真上から目視により観察し、その色調を評価した。なお、トナー画像が形成された領域の色調が、トナー画像が形成されていない領域(背景部)の色調と殆ど差が無いときは判別不能とした。
【0196】
−色の濃さ−
第1のトナー画像が形成された領域を情報記録媒体の真上から目視により観察し、第1のトナー画像が形成された領域(画像部)とトナー画像が形成されていない領域(背景部)との色調の違いの有無や程度として評価した。評価基準は以下の通りである。
◎:画像部と背景部との色調の違いが極めて明確。
○:画像部と背景部との色調の違いが明確。
△:画像部と背景部との色調の違いがやや不明瞭であるものの、第1のトナー画像が形成された領域は一応判別できるレベル。
×:画像部と背景部との色調の違いが著しく不明瞭で、第1のトナー画像が形成された領域の判別が極めて困難。実用上問題となるレベル。
【0197】
−金属光沢感−
第1のトナー画像が形成された領域を情報記録媒体の真上から目視により観察し、金属光沢感の有無や程度を目視により評価した。評価基準は以下の通りである。
◎:強い金属光沢感がある
○:金属光沢感がある。
△:弱い金属光沢感がある。
×:金属光沢感は全くない。実用上問題となるレベル。
【0198】
−視認性−
第2のトナー画像(文字画像)が形成された領域を情報記録媒体の真上約30cmの位置から目視により観察し、文字の読みやすさを目視により評価した。評価基準は以下の通りである。
◎:文字と背景部とのコントラストが極めて明瞭で、文字が極めて明瞭に認識できる。
○:文字と背景部とのコントラストが明瞭で、文字が認識できる。
△:文字と背景部とのコントラストがやや不明瞭だが、一応文字が認識できる。
×:文字と背景部とのコントラストが不明瞭で、一見しただけでは文字が直ぐに認識できない。実用上問題となるレベル。
【図面の簡単な説明】
【0199】
【図1】本発明の情報記録媒体の層構成の一例を示す模式断面図である。
【図2】本発明の情報記録媒体の層構成の他の例を示す模式断面図である。
【図3】情報記録媒体製造装置の一例を示す概略模式図である。
【図4】図3に示す情報記録媒体製造装置に利用される位置決め手段の一例を説明するための模式図である。
【図5】図3に示す情報記録媒体製造装置に利用される位置決め手段の一例を説明するための模式図である。
【図6】剥離装置の一例を示す概略模式図である。
【符号の説明】
【0200】
10 情報記録媒体製造装置
12 丁合い装置
14 接合装置
20 転写体
22 記録媒体
32 転写体収納部
34 記録媒体収納部
36 丁合い手段
40 搬送路
42 搬送路
46 無端ベルト
48 加熱・加圧ロール
50 張架ロール
56 接合体排出部
61、61a、61b、62 基準壁
63,64 規制部材
70 受け
71 接続部
100、102 情報記録媒体
110 画像支持体
120 光輝性顔料含有層
130 光反射調整層
140 第1のトナー画像
142 第2のトナー画像
150 保護層
400 剥離装置
410 剥離手段
412 搬送ガイド
414 接合体検出センサー
416 剥離爪
420 除電手段
422 搬送ガイド
424 情報記録媒体収容部
430 剥離部材収容部
432 搬送ガイド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像支持体と、該画像支持体の少なくとも片面に設けられた光輝性顔料を含む光輝性顔料含有層と、該光輝性顔料含有層上に設けられたトナー画像と、を有し、
前記トナー画像の反射濃度が0.2以上1.2以下の範囲内であることを特徴とする情報記録媒体。
【請求項2】
前記光輝性顔料含有層の表面の前記トナー画像が設けられた領域と異なる領域に、反射濃度が1.2より大きいトナー画像が設けられていることを特徴とする情報記録媒体。
【請求項3】
基体と、基体の少なくとも片面に形成された画像保持層とを含む転写体の前記画像保持層が設けられた側の面に、電子写真法によりトナー画像を形成するトナー画像形成工程と、
前記トナー画像が形成された転写体の前記画像保持層側の面と、画像支持体および該画像支持体の少なくとも片面に設けられた光輝性顔料を含む光輝性顔料含有層を有する記録媒体の前記光輝性顔料含有層側の面とを重ね合わせた状態で、前記転写体および前記記録媒体を含む積層体を加熱加圧して、前記トナー画像を転写体側から前記記録媒体側へと転写する転写工程と、
前記転写工程を経た前記積層体から、前記転写体側の部材を剥離する剥離工程とを経て、
請求項1または請求項2に記載の情報記録媒体を作製することを特徴とする情報記録媒体の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−143092(P2009−143092A)
【公開日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−322125(P2007−322125)
【出願日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】