説明

情報読み出し装置

【課題】ある原信号に成分として含まれる周波数が異なる複数の信号成分の中の2つの信号成分について相対位相および振幅を検出する処理を、前記信号成分の組み合わせを変えて繰り返して行い(シリアル処理し)、または並列に行う(パラレス処理する)。
【解決手段】参照信号生成部と、ビート信号生成抽出部と、ビート信号乗算部と、相対位相検出部と、振幅演算部とを備え、相対位相検出部により求めた各原信号成分の相対位相と、前記振幅演算処理により求めた前記各原信号成分の振幅とを順次記憶し、これら記憶した相対位相と振幅から、前記原信号に含まれる情報を読み出す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、データが、複数の信号成分の位相および振幅に載せられて伝送される情報伝送システムに適用される情報読み出し装置に関し、具体的には、ある原信号に成分として含まれる周波数が異なる複数の信号成分の中の2つの信号成分について相対位相および振幅を検出する処理を、前記信号成分の組み合わせを変えて繰り返して行い(シリアル処理し)、または並列に行う(パラレス処理する)ことで、前記原信号に含まれる情報を読み出す情報読み出し装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、たとえば光通信の分野では光ヘテロダイン技術が知られている。光ヘテロダイン技術では、周波数がわずかに異なる2つの光を干渉させ、ビート光をフォトダイオードにより電気信号に変換し、この電気信号から必要な情報を読み出す。
【0003】
たとえば、原信号Ssの各原信号成分sa1,sa2,・・・,saNの位相と振幅に情報を与えておき、成分sr1,sr2,・・・,srNからなる参照信号Srとを合波すると、原信号成分sskと参照信号srk(k=1,・・・,N)ビート信号にもその情報が現れる。ただし、sskとsrkとは近接するように選ばれる。
【0004】
原信号成分sskの電界成分をEsk、参照信号srkの電界をErkとすると、これらは次のように表される。
sk=askexp{j(ωskt+φsk)} (A1)
rk=arkexp{j(ωrkt+φrk)} (A2)
ここで、ask,arkはssk,srkの振幅、ωsk,ωrkはssk,srkの周波数、φsk,φrkはss,srの位相を表している。
【0005】
フォトダイオードにより検出される光強度は|Esk+Erk2の時間平均であり、次のように表される。
(ask2+ark2)+2askrkcos〔(ωsk+ωrk)t+(φsk−φrk)〕 (A3)
(A3)式の第1項は直流成分であり、第2項が交流信号(光ビート信号)である。
【0006】
したがって、光ビート信号の振幅askrkを検出すればarkが信号成分の振幅askを知ることができる。また、光ビート信号の相対位相(φsk−φrk)を検出すればφrkが既知であれば位相φskを知ることができるし、φrkが未知であったとしても相対位相(φsk−φrk)を知ることができる。
これにより、原信号Ssの各原信号成分sa1,sa2,・・・,saNの位相と振幅に含まれている情報を取り出すことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2006−293247
【特許文献2】特開2001−227911
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、近年、光データ通信技術で通信速度の高速化が進んでおり、たとえば、光周波数コムを用いた通信技術が種々提案されている(特許文献1,2参照)。従来技術では、電気回路の処理速度の制約により、1チャンネルで伝送できる情報量は単位時間(秒)あたり100ギガビットが限界である。
すなわち、送信側で光データをテラビットオーダで送信しても、受信側での電気回路による位相検出の処理速度が、受信するデータ速度に追いつかない。このため、テラビットオーダで、伝送された信号から位相を検出することが実質できない(すなわち、光データ通信を実現することができない)。
【0009】
本発明の目的は、データが複数の信号成分の位相および振幅に載せられて伝送される情報伝送システムに適用される情報読み出し装置において、データが複数の信号成分の位相および振幅に載せられて伝送される情報を高速で復元等することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の情報読み出し装置の第1態様は(1)から(3)を要旨とする。
(1) ある原信号に成分として含まれる複数の原信号成分について相対位相と振幅をそれぞれ検出し、これらの前記相対位相および前記振幅から前記原信号に含まれる情報を読み出す情報読み出し装置であって、
前記複数の原信号成分のそれぞれに対して一定の周波数差(原信号成分の周波数のうち最小周波数間隔の1/2よりも小さい周波数差)を有する複数の参照信号のうちの2つの参照信号を、ある生成処理における「2つの参照信号」の少なくとも一方が他の生成処理における「2つの参照信号」の一方と同じになるように当該乗算処理を行う参照信号生成部、
前記2つの照信号成分のうち一方と前記原信号成分とのビート信号および前記2つの照信号成分のうち他方と前記原信号成分とのビート信号を同時に生成し、これらのビート信号を抽出するビート信号生成抽出部、
前記ビート信号生成抽出部により生成抽出した2つのビート信号を乗算するビート信号乗算部、
前記ビート信号乗算部により生成した乗算信号から、当該乗算にかかる2つのビート信号の基になる前記原信号成分の相対位相をそれぞれ求める相対位相検出部、
前記各原信号成分の振幅を求める振幅演算部、および、
前記相対位相検出部により求めた前記各原信号成分の相対位相と、前記振幅演算処理により求めた前記各原信号成分の振幅とを順次記憶し、これら記憶した相対位相と振幅から、前記原信号に含まれる情報を読み出す情報抽出部、
を備えたことを特徴とする情報読み出し装置。
【0011】
(2) 前記原信号が広帯域光または離散スペクトル光であり、前記参照信号が離散スペクトル光であることを特徴とする(1)に記載の情報読み出し装置。
なお、本発明の情報読み出し装置では、原信号および参照信号を、電気信号,音響信号等、他の信号とすることもできる。
【0012】
(3)
前記相対位相検出部が、0〜π〔rad〕の間の相対位相およびπ〜2π〔rad〕の間の相対位相を「みかけ上の相対位相」として検出したときに、これら2つの「みかけ上の相対位相」の一方を「真の相対位相」として特定する(1)または(2)に記載の情報読み出し装置であって、
前記参照信号が伝播する信号路の信号路長、前記原信号が伝播する信号路の信号路長の少なくとも1つを変化させる信号路長変調部を備え、
前記検出部は、前記信号路長変調部により前記信号路長を変化させたときに、前記2つの「みかけ上の相対位相」のうち、当該変化に対応して正しい向きに変化する相対位相を「真の相対位相」として特定することを特徴とする情報読み出し装置。
【0013】
本発明の情報読み出し装置の第2態様は(3)から(6)を要旨とする。
(4) ある原信号に成分として含まれる複数の原信号成分について相対位相と振幅をそれぞれ検出し、これらの前記相対位相および前記振幅から前記原信号に含まれる情報を読み出す情報読み出し装置であって、
前記複数の原信号成分のそれぞれに対して一定の周波数差(原信号成分の周波数のうち最小周波数間隔の1/2よりも小さい周波数差)を有する複数の参照信号を、2つ以上を組にして繰り返して生成し、または全てを同時に生成する参照信号生成部、
前記各参照信号と前記原信号成分とのビート信号を、順次または同時に生成して抽出するビート信号生成抽出部、
前記ビート信号生成抽出部により生成抽出したビート信号のうち2つのビート信号を乗算する乗算器を有し、ある乗算処理における「2つのビート信号」の少なくとも一方が他の乗算処理における「2つのビート信号」の一方と同じになるように当該乗算処理を行うビート信号乗算部、
前記ビート信号乗算部により生成した乗算信号から、当該乗算にかかる2つのビート信号の基になる前記原信号成分の相対位相をそれぞれ求める相対位相検出部、
前記各原信号成分の振幅を求める振幅演算部、および、
前記相対位相検出部により求めた前記各原信号成分の相対位相と、前記振幅演算処理により求めた前記各原信号成分の振幅とから、前記原信号に含まれる情報を読み出す情報抽出部、
を備えたことを特徴とする情報読み出し装置。
【0014】
(5) 前記原信号が広帯域光または離散スペクトル光であり、前記参照信号が離散スペクトル光であることを特徴とする(4)に記載の情報読み出し装置。
【0015】
(6) 前記位相検出部が、0〜π〔rad〕の間の相対位相およびπ〜2π〔rad〕の間の相対位相を「みかけ上の相対位相」として検出したときに、これら2つの「みかけ上の相対位相」の一方を「真の相対位相」として特定する(4)または(5)に記載の情報読み出し装置であって、
前記参照信号が伝播する信号路の信号路長、前記原信号成分が伝播する信号路の信号路長の少なくとも1つを変化させる信号路長変調部を備え、
前記位相検出部は、前記信号路長変調部により前記信号路長を変化させたときに、前記2つの「みかけ上の相対位相」のうち、当該変化に対応して正しい向きに変化する相対位相を「真の相対位相」として特定することを特徴とする情報読み出し装置。
【発明の効果】
【0016】
データが複数の信号成分の位相および振幅に載せられて伝送される情報を高速で復元等することができる。すなわち、従来、高速信号の情報を読み出す場合には信号の複雑な変動を逐次計測する必要があったが、本発明ではその必要がなくなった。すなわち、原信号について、一定時間内の周波数軸上の位相スペクトルおよび振幅スペクトルを計測すればよく、したがって、情報読み出し装置の検出デバイスの遮断周波数を越えた高速信号の情報を読み取ることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の第1態様の情報読み出し装置の実施形態を示す図である。
【図2】(A)は図1のビート信号生成抽出部およびビート信号乗算部の詳細説明図、(B)は図1の振幅検出部の詳細説明図である。
【図3】図1の情報読み出し装置における相対位相検出部の作用を示すフローチャートである。
【図4】図1の情報読み出し装置における、原信号と原信号成分と参照信号との関係を示す図である。
【図5】正規化直流成分と相対位相との関係を示す図である。
【図6】(A)はビート信号生成抽出部の直前に信号路長変調部を設けた例を示す図、(B)は参照信号生成部の直後に信号路長変調部を設けた例を示す図である。
【図7】信号路長を変化させることにより、2つの「みかけ上の相対位相」から「真の相対位相」を特定するときの説明図であり、(A)は参照信号の信号路長が増加したときの様子を示す図、(B)は参照信号の信号路長が減少したときの様子を示す図である。
【図8】AWGを複数用いた本発明の第1態様の情報読み出し装置の他の実施形態を示す図である。
【図9】図8の情報読み出し装置の詳細な図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の第1態様の情報読み出し装置の実施形態を、原信号が広帯域光(白色光等)であり参照信号が離散スペクトル光である場合を例に説明する。なお、本明細書では、角周波数ωを単に「周波数」と言う。
図1において、情報読み出し装置1Aは、原信号SAに周波数成分として含まれる信号(原信号成分)sA1,sA2,・・・,sAk,・・・,sANの中の2つ(sAm,sAn)について相対位相および振幅を検出する処理を行う。本実施形態では、情報読み出し装置1Aは、原信号成分sA1,sA2,・・・,sAk,・・・,sANの組み合わせを変えて繰り返して行う(図1ではシリアル処理する)ことで、原信号SAに含まれる情報を読み出すことができる。
図1では原信号SAは、広帯域光である。また、原信号成分sA1,sA2,・・・,sAk,・・・,sANは、周波数空間で区別される信号であり、周波数間隔がΩDの信号群である。具体的には、原信号成分sAkの周波数をωAkとしたときに、ΩD=ωA(k+1)−ωAk(k=1,2,・・・,N−1)である。
【0019】
情報読み出し装置1Aは、参照信号生成部11と、ビート信号生成抽出部12と、ビート信号乗算部13と、相対位相検出部14と、振幅検出部15と、情報抽出部16と、LUT17とからなる。
本実施形態では原信号SAが、複数回繰り返し通信線PPに与えられており、情報読み出し装置1Aは同一の原信号SAを複数回受信することができるものとする。
【0020】
参照信号生成部11は、コム光発生原であり、複数の原信号成分sA1,sA2,・・・,sAk,・・・,sANのそれぞれに対して一定の周波数差Δω(原信号成分の周波数のうち最小周波数間隔の1/2よりも小さい周波数差)を有する複数の参照信号sB1,sB2,・・・,sBk,・・・,sBNのうちの2つの参照信号を、ある生成処理における「2つの参照信号」の少なくとも一方が他の生成処理における「2つの参照信号」の一方と同じになるように当該乗算処理を行う。なお、原信号成分sA1,sA2,・・・,sAk,・・・,sANの周波数、ωA1,ωA2,・・・,sANは、予め、通信規格等により分っているものとする。
たとえば、ある参照信号の生成処理における「2つの参照信号」がsBv,sBwである場合、他の参照信号の生成処理においては「2つの参照信号」がsBv,sBxまたはsBv,sBxとして参照信号が生成される。
【0021】
本実施形態では、参照信号sBm,sBnの周波数は2つの原信号成分sAm,sAnの周波数と一致しないが周波数間隔が前記各原信号成分の周波数間隔と同一(ΩD)であり、参照信号生成部11は、原信号成分sAm,sAnとの周波数差がΔωの参照信号sBm,sBnを、原信号成分sAm,sAnの組み合わせに対応して順次生成することができる。なお、本実施形態では、原信号成分sAxの周波数をωAx、参照信号sBxの周波数をωBxとしたときに、ωAx−ωBx=Δωする。
【0022】
情報読み出し装置1Aは、原信号成分sA1,sA2,・・・,sAk,・・・,sANに情報が書き込まれていることが予め通信規格上からわかっているものとする。このとき、参照信号生成部11が生成する参照信号は、(sB1とsB2),(sB2とsB3),・・・,(sBkとsB(k+1)),・・・,(sB(N-1)とsBN)である。すなわち、参照信号sBm,sBnおよび原信号成分sAm,sAnには、それぞれm=1,2,・・・,N、n=m+1の関係があり、参照信号sBm,sBnの周波数が隣り合っている(周波数間隔ΩD)。
【0023】
ビート信号生成抽出部12は、2つの照信号成分のうち一方sBmと原信号成分sAmとのビート信号Bmおよび2つの照信号成分のうち他方sBnと原信号成分sAnとのビート信号を同時に生成し、これらのビート信号を抽出する。
ビート信号乗算部13は、ビート信号生成抽出部12により生成抽出した2つのビート信号BmとBnとを乗算する。
そして、相対位相検出部14は、ビート信号乗算部13により生成した乗算信号MPLmnから、当該乗算にかかる2つのビート信号BmとBnの基になる原信号成分sAm,sAnの相対位相をそれぞれ求める。なお、相対位相検出部14は、後述するように、「みかけ上の相対位相」が2つ検出するが、信号路長変調部18を用いてその一方を「真の相対位相」として特定することができる。
【0024】
振幅検出部15は、原信号成分sAm,sAnの振幅を求める。この振幅を求める技術は当業者には周知であり、たとえば、原信号SAを取り込むとともに、参照信号生成部11から参照信号sBm,sBnを取り込み、参照信号sBmと原信号成分sAmのビート信号Bm′からsAmの振幅aAmを検出し、参照信号sBnと原信号成分sAnのビート信号Bn′からsAmの振幅aAmを検出することができる。
【0025】
情報抽出部16は、相対位相検出部14により検出した相対位相φAn−φAmおよび振幅検出部15により検出した振幅aAm,aAnを順次記憶し、記憶した複数の相対位相および複数の振幅から原信号SAに含まれる情報INFを読み出すことができる。
【0026】
すなわち、ある原信号成分の位相をたとえば0〔rad〕に定め、これに基づき他の信号成分の位相を確定することができる。よって、情報抽出部16は、検出された位相と振幅から、原信号成分sAk(k=1,2,・・・,N)を、正規化信号成分として以下のように決定することができる。
【0027】
Ak’=aAkexp{j(ωAkt+φAk’)} (B1)
(k=1,2,・・・,N)
ここで、φAkは、ある原信号成分の位相を(0〔rad〕)に定めたときの位相であり、sAk’は正規化信号成分(原信号成分sAkがこの位相をもつときの信号)である。
【0028】
これにより、原信号SAは、ΣsAk’(k=1からNまで)を計算することにより復元される。なお、原信号成分sAkの位相φAkと正規化信号成分sAk’の位相φAk’との差は、すべてのkについて同じなので、ΣsAk’は原信号SAと実質上同じである。
【0029】
また、たとえば、原信号SAが4ビットのパケットである場合、情報INFは16種類の原信号SA(k)(k=1,2,・・・・,16)として伝送される。
この場合には情報抽出部16は、検出した情報INFを、相対位相と振幅とに関連付けて、ルックアップテーブル(LUT17)に格納しておくことができる。これにより、情報抽出部16は原信号成分sAkの振幅aAkと相対位相φAkとを知りさえすれば、ΣsAk’を計算することなく情報INFを知ることができる。
ところで、原信号成分sAxが不定である場合(参照信号sBxに対応する原信号成分sAxが極めて小さいか存在しないような場合)もある。この場合には、参照信号生成部11は、次の回の検出において、参照信号sB(x-1),sB(x+1)(周波数間隔2ΩD)を生成する。この場合には、相対位相検出部14は、原信号成分sA(x-1)とsA(x+1)との相対位相を求める。
【0030】
また、振幅検出部15は、相対位相検出部14がsA(x-1)とsAxとの相対位相φAx−φA(x-1)を検出する前に、振幅aAxを検出でき、振幅aAxの値が実質上ゼロであるか否か(極めて小さいか否か)を判断するようにしてもよく、この場合には、一回の受信で参照信号をsB(x-1),sB(x+1)(周波数間隔2ΩD)として相対位相を検出することができる。
この場合、相対位相検出部14にディレイ回路を設けておき(たとえば、ビート信号生成抽出部12の適宜の部位(具体的には後述するPD122の後段)に遅延回路を設けておき)、相対位相検出部14による相対位相φAx−φA(x-1)の検出に先立って振幅検出部15が原信号成分sAkの振幅aAkを検出するようにもできる。
【0031】
以下、情報読み出し装置1Aの動作を、図2(A)のビート信号生成抽出部12およびビート信号乗算部13の詳細説明図、図2(B)の振幅検出部15の詳細説明図を参照して説明する。図3は相対位相検出部14の作用を示すフローチャートであり、以下の説明では、適宜、処理ステップの符号を併記する。
【0032】
図2(A)において、ビート信号生成抽出部12は、合波器121と、フォトダイオード122と、バンドパスフィルタ123とからなり、入力した原信号SAから、2つの原信号成分を順次抽出する。
本実施形態では、原信号成分sAm,sAnは以下のように表されるものとする。
Am=aAmexp{j(ωAmt−φAm)} (B2)
An=aAnexp{j(ωAnt−φAn)} (B3)
ここで、aAm,aAnはsAm,sAnの振幅、ωAm,ωAnはsAm,sAnの周波数、φAm,φAnはsAm,sAnの位相である。
φAn−φAmは未知である。なお、φAm,φAnの一方が既知であることもあるし、φAm,φAnの双方が未知であることもある。
【0033】
参照信号生成部11は、参照信号sBm,sBnを生成する(S110)。
参照信号sBm,sBnは以下のように表されるものとする。
Bm=aBmexp{j(ωBmt−φBm)} (B4)
Bn=aBnexp{j(ωBnt−φBn)} (B5)
ここで、aBm,aBnはsBm,sBnの振幅、ωBm,ωBnはsBm,sBnの周波数、φBm,φBnはsBm,sBnの位相である。
【0034】
参照信号sBm,sBnの、位相φBm,φBnは異なる値(φBm≠φBn)であってもよいし、同一の値φB(φB=φBm=φBn)であってもよい。本実施形態では、φB=φBm=φBnであるものとする。
【0035】
原信号SAと、原信号成分sAm,sAnと、参照信号sBm,sBnとの関係を図4に示す。参照信号sBm,sBnの周波数間隔ΩDは、原信号成分sAm,sAnの周波数間隔と同一であり、参照信号sBmの周波数ωBmと参照信号sBnの周波数ωBnの中間値(ωBn−ωBm)/2が2つの原信号成分sAm,sAnの周波数の間(ωAmからωAnの間)に設定されている。
原信号成分sAmと参照信号sBmとは(あるいは、原信号成分sAnと参照信号sBnとは)、周波数差Δωをもっている。
Δω=ωAm−ωBm=ωAn−ωBn (B6)
【0036】
したがって、参照信号sBm,sBnは以下のように表される。
Bm=aBmexp〔{j(ωAm−Δω)t−φB}〕 (B7)
Bn=aBnexp〔{j(ωAn−Δω)t−φB}〕 (B8)
【0037】
ビート信号生成抽出部12は、原信号SAと参照信号sBm,sBnとから、周波数が低い原信号成分sAmと参照信号sBmとのビート信号Bm、および周波数が高い原信号成分sAnと参照信号sBnとのビート信号Bnを含むビート信号を生成し、バンドパスフィルタ(BP)123により、2つのビート信号Bm,Bnを抽出する。
【0038】
合波器121は、2つの原信号成分sAm,sAnと2つの参照信号sBm,sBnとを合波し、合波信号CPを生成する(S120)。そして、この合波信号CPをPD122により光電変換する(S130)。
【0039】
PD122の出力には、原信号成分sAmと参照信号sBmとのビート信号と原信号成分sAnと参照信号sBnとのビート信号が含まれる。バンドパスフィルタ123は、これらのビート信号の中から、原信号成分sAmと参照信号sBmとのビート信号Bmおよび原信号成分sAnと参照信号sBnとのビート信号Bnを抽出する(S140)。
【0040】
バンドパスフィルタ123の出力には、以下の項が含まれる。
2aAmBmcos{Δωt+(φAm−φB)+cnst1}]
+2aAnBncos{Δωt+(φAn−φB)+cnst2}] (B9)
ここで、
cnst1=(2π/c)×〔ωAmAA−ωBmBB
cnst2=(2π/c)×〔ωAnAA−ωBnBB
c:光速
A:原信号成分の信号路の屈折率
B:参照信号の信号路の屈折率
A:原信号成分の信号路長
B:参照信号の信号路長
【0041】
(B9)式の第1項はビート信号Bmの要素であり、第1項はビート信号Bnの要素である。
バンドパスフィルタ123の出力は、ビート信号乗算部124に送られる。ビート信号乗算部124は、2図(B)に示すように、DV(デバイダ)131とMX(ミキサ)122とからなる。ビート信号Bm,Bnは、DV131により2つのパスに分けられ、MX132により乗算され、乗算信号MPLmnが生成される(S150)。
【0042】
乗算信号MPLmn、すなわちMX125の出力は以下のように表される。
MPLmn=(aAm2Bm2+aAn2Bn2)/2
+aAmAnBnBmcos〔(φBn−φBm
+(cnst2−cnst1)+R(Δωt) (B10)
【0043】
なお、(B10)のcnst2−cnst1は、
cnst2−cnst1=(2π/c)
×〔(ωAnA−ωAmA)LA−(ωBnB−ωBmB)LB〕 (B11)
で表される。
【0044】
また、R(Δωt)は、ビート周波数と時間との積に依存する関数である。
相対位相検出部14は、以下に述べるように、乗算信号MPLmnの直流成分を取り出し(S160)、この直流成分から検出系により定まる定数を取り除き、2つの原信号成分sAm,sAnの相対位相(φAn−φAm)を検出する(S170)。
乗算信号MPLmnの直流成分DCは、(B10)式から、次のように表される。
DC=(aAm2Bm2+aAn2Bn2)/2
+aAmAnBnBmcos〔(φAn−φAm)+(cnst2−cnst1)〕 (B11)
【0045】
この式からコサイン部分のみを取り出し正規化すると、正規化直流成分DCNMLは次のように表される。
DCNML=cos〔(φAn−φAm)+(cnst2−cnst1)〕 (B13)
この正規化直流成分DCNMLから位相に依存しない要素(検出系により定まる定数(cnst2−cnst1))を除去することで2つの原信号成分sAm,SAnの相対位相(φAn−φAm)が求められる。
【0046】
図5に、正規化直流成分DCNMLと相対位相ΦA(=(φAn−φAm)+(cnst2−cnst1))との関係を示す。図5に示すように、相対位相検出部14は、通常、あるDCNMLについて、みかけ上2つの相対位相ΦA(1),ΦA(2)を検出する。ΦA(1)は0〜π〔rad〕の間にあり、ΦA(2)はπ〜2π〔rad〕の間にある。
【0047】
通常、参照波成分srm,srnの相対位相が0〜π〔rad〕の間にあるのか、π〜2π〔rad〕の間にあるのかがわからない。この場合には、図6(A)に示すようにビート信号生成抽出部12の直前に信号路長変調部18を設けることができし、図6(B)に示すように参照信号生成部11の直後に信号路長変調部18を設けることができる。また、図示はしないが、参照信号生成部11の内部に電気的な回路としての信号路長変調部を設けることもできる。図6(A),(B)では、信号路長変調部18に距離変調指示信号INST_LCが、相対位相検出部14から送出される。
【0048】
図5に示した2つの「みかけ上の相対位相」ΦA(1),Φr(2)のうちの一方を、信号路長変調部18を用いて、「真の相対位相」として特定することができる。たとえば、参照信号の信号路長LBを微小距離長くしたとすると、(B10)式のcnst2−cnst1の値が小さくなり、参照信号の信号路長LBを微小距離短くすると、(B10)式のcnst2−cnst1の値が大きくなる。
【0049】
また、原信号成分の信号路長LAを微小距離長くすると、(B10)式のcnst2−cnst1の値が大きくなり、逆に原信号成分の信号路長LAを微小距離短くすると、(B12)式のcnst2−cnst1の値が小さくなる。
【0050】
たとえば、DCNMLの値がγであり、みかけ上、ΦA(1),ΦA(2)の2つの相対位相が検出されたとする(図5参照)。
この場合に、参照信号の信号路長LBをLa+ΔL(ΔL>0)に変化させたとすると、図7(A)に示すように、参照信号の信号路長特性はLB(実線)からLB+ΔL(破線)に変化する。このとき、DCNMLがγ(1)に減少したとすれば、ΦA(1)が「真の相対位相」であると判定できるし、DCNMLがγ(2)に増加したとすれば、ΦA(2)が「真の相対位相」であると判定できる。
【0051】
また、参照信号の信号路長LBをLB+ΔL(ΔL<0)に変化させたとする。この場合、図7(B)に示すように、信号路長特性はLB(実線)からLB+ΔL(破線)に変化する。このとき、DCNMLがγ(1)に減少したとすれば、ΦA(2)が「真の相対位相」であると判定できるし、DCNMLがγ(2)に増加したとすれば、ΦA(1)が「真の相対位相」であると判定できる。
【0052】
図8は、本発明の第1態様の他の実施形態を示す説明図である。本実施形態では、原信号がおよび参照信号がともに離散スペクトル光である。
すなわち、情報読み出し装置1Aの処理対象である原信号SAは、白色光であり、原信号成分sA1,sA2,・・・,sAk,・・・,sAN、連続スペクトル成分であった。これに対して、情報読み出し装置1Aの処理対象は、光周波数コム(離散スペクトル光)であり、原信号成分sA1,sA2,・・・,sAk,・・・,sANは、離散的スペクトル成分であるだけである。
したがって、本実施形態における情報読み出し装置1Bの基本的な動作は、図1から図7における情報読み出し装置1Aについての説明が、概ねそのまま適用される。
ただし、情報読み出し装置1Bでは、情報の送信元が原因して、光周波数コムの原信号成分sA1,sA2,・・・,sAk,・・・,sANの位相に誤差が生じやすくなる。
そこで、情報読み出し装置1Bでは、図8に示すように、送信元から送出される基準信号(たとえば、「10000000」の情報を含む信号)により、相対位相の基準を校正することができる。
情報読み出し装置1A,1B、相対位相検出部14でプロセッサによる計算を要するが、ビート信号生成抽出部12、ビート信号乗算部13、相対位相検出部14では、基本的には、演算・計算を要しない。したがって、相対位相の検出(すなわち、位相の検出)を高速で行うことができる。なお、振幅検出部15での計算時間は、相対位相検出部14における計算時間よりも圧倒的に短い。
よって、情報抽出部16では高速に情報の読み出しを行うことができる。
【0053】
本発明の情報読み出し装置の他の実施形態を、原信号および参照信号が光である場合を例に説明する。
【0054】
信号線PPには原信号SAが伝送されており、変調装置2がこの信号を取り込んで変調処理を行う。
位相・振幅測定器21は、参照信号生成部211と位相測定部212と振幅測定部213と情報読出部214とからなる。
【0055】
参照信号生成部211は、原信号SAの信号成分(周波数成分)SA1,SA2,・・・,SANの周波数φA1,φA2,・・・,φANに対して周波数がシフトした参照信号SB1,SB2,・・・,SBNを生成する。
【0056】
位相測定部212は、図2(A)に示すようにアレイ導波路回折格子(AWG)2121と、ビート信号生成・抽出部2122と、ビート信号選択部2123と、ビート信号乗算部2124と、相対位相検出部2125とからなる。
【0057】
ビート信号生成・抽出部2122は、AWG2121のk番目の端子(k=1,2,・・・,N)から入力された原信号SAと参照信号SBkとの合波光をフォトダイオードPDkにより光電変換する。PDkの出力には、参照信号SBkと原信号SAとの種々のビート信号が含まれる。バンドパスフィルタBPFkはこのビート信号の中から、参照信号SBkと信号成分SAkとのビート信号Bk(B1,B2,B3,・・・)を取り出す。
【0058】
ビート信号選択部2123は、B1,B2,B3,・・・の中から2つ(ビート信号ペアBm,Bn)を同時に選択し、ビート信号乗算部2124の各ミキサMXがこれらを乗算する。
【0059】
相対位相検出部2125は、各検出器D1,D2,D3,・・・,DNがビート信号乗算部2124の各ミキサから乗算信号を入力し、乗算されたビート信号ペアの作成のもとになった原信号SAの信号成分の相対位相をそれぞれ求める。
【0060】
たとえば、乗算されたビート信号ペアがBm,Bnである場合には、相対位相検出部2125は信号成分SAmとSAnとの相対位相φn−φmを求めることができる。なお、相対位相検出部2125は、振幅測定部213により測定した信号成分SAm,SAnの振幅AAm,AAnを取得して相対位相φn−φmの演算を行う。なお、ビート信号選択部2123は、あるビート信号ペアを構成する少なくとも一方のビート信号ペアが、他のいずれかのビート信号ペアを構成するように選択処理を行う。ビート信号選択部2123は、たとえば、B1とB2、B1とB3,B1とB3、・・・のようにビート信号ペアを選択することができるし、あるいはB1とB2、B2とB3,B3とB4、・・・のようにビート信号ペアを選択することができる。なお、ビート信号選択部2123は、あるビート信号Bxが不定である場合(たとえば、SAxの振幅がゼロないし微小である場合)には、Bxがビート信号ペアを構成しないように選択処理を行う。
【0061】
振幅測定部213は、図2(B)に示すようにアレイ導波路回折格子(AWG)2131と、ビート信号生成・抽出部2132と、振幅検出部2133とからなる。
ビート信号生成・抽出部2132は、AWG2131のk番目の端子(k=1,2,・・・,N)から入力された原信号SAと参照信号SBkとの合波光をフォトダイオードPDkにより光電変換する。PDkの出力には、参照信号SBkと原信号SAとの種々のビート信号が含まれる。バンドパスフィル
タBPFkはこのビート信号の中から、参照信号SBkと信号成分SAkとのビート信号Bk(B1,B2,B3,・・・)を取り出す。
【0062】
振幅検出部2133の各検出器G1,G2,・・・,GNは、原信号と乗算されたビート信号ペアの作成のもとになった原信号SAの信号成分の振幅をそれぞれ求める。
【0063】
信号成分SA1,SA2,・・・,SANの何れか1つの位相を基準にすればφn−φmを絶対位相として扱うことができる。したがって、情報読出部214は、相対位相検出部2125により求めた相対位相φn−φmから、原信号SAの位相スペクトルφSA(ω)を特定でき、また振幅検出部2133により求めた振幅AAnから、原信号SAの振幅スペクトルASA(ω)を特定できる。
【0064】
本実施形態では、信号評価器22は、位相スペクトルφSA(ω)と振幅スペクトルASA(ω)とのパターン情報と原信号SAに含まれている情報(この情報たとえば二値データあってもよいし、二値データとは限らない)とを関連付けたテーブルを持っており、原信号SAに含まれている情報を知ることができる。
【0065】
本実施形態では、AWG221を用いてビート信号の生成、ビート信号の乗算、相対位相の検出処理および振幅検出をパラレルに行っている高速の演算が可能である。
本実施形態でも、情報抽出部25は、検出した情報INFを、相対位相と振幅とに関連付けて、ルックアップテーブル(LTU26)に格納しておくことができる。これにより、情報抽出部25はΣSAk’の計算をすることなく情報INFを求めることができる。
【0066】
なお、情報読み出し装置では、周波数の値をキーにしておけば、原信号SAに暗号化した情報INFを埋め込むことができる。
【符号の説明】
【0067】
1A 情報読み出し装置
1B 情報読み出し装置
11 参照信号生成部
12 ビート信号生成抽出部
13 ビート信号乗算部
14 相対位相検出部
15 振幅検出部
16 情報抽出部
17 LUT
18 信号路長変調部
121 合波器
122 フォトダイオード
123 バンドパスフィルタ
124 ビート信号乗算部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ある原信号に成分として含まれる複数の原信号成分について相対位相と振幅をそれぞれ検出し、これらの前記相対位相および前記振幅から前記原信号に含まれる情報を読み出す情報読み出し装置であって、
前記複数の原信号成分のそれぞれに対して一定の周波数差(原信号成分の周波数のうち最小周波数間隔の1/2よりも小さい周波数差)を有する複数の参照信号のうちの2つの参照信号を、ある生成処理における「2つの参照信号」の少なくとも一方が他の生成処理における「2つの参照信号」の一方と同じになるように当該乗算処理を行う参照信号生成部、
前記2つの照信号成分のうち一方と前記原信号成分とのビート信号および前記2つの照信号成分のうち他方と前記原信号成分とのビート信号を同時に生成し、これらのビート信号を抽出するビート信号生成抽出部、
前記ビート信号生成抽出部により生成抽出した2つのビート信号を乗算するビート信号乗算部、
前記ビート信号乗算部により生成した乗算信号から、当該乗算にかかる2つのビート信号の基になる前記原信号成分の相対位相をそれぞれ求める相対位相検出部、
前記各原信号成分の振幅を求める振幅演算部、および、
前記相対位相検出部により求めた前記各原信号成分の相対位相と、前記振幅演算処理により求めた前記各原信号成分の振幅とを順次記憶し、これら記憶した相対位相と振幅から、前記原信号に含まれる情報を読み出す情報抽出部、
を備えたことを特徴とする情報読み出し装置。
【請求項2】
前記原信号が広帯域光または離散スペクトル光であり、前記参照信号が離散スペクトル光であることを特徴とする請求項1に記載の情報読み出し装置。
なお、本発明の情報読み出し装置では、原信号および参照信号を、電気信号,音響信号等、他の信号とすることもできる。
【請求項3】
前記相対位相検出部が、0〜π〔rad〕の間の相対位相およびπ〜2π〔rad〕の間の相対位相を「みかけ上の相対位相」として検出したときに、これら2つの「みかけ上の相対位相」の一方を「真の相対位相」として特定する請求項1または2に記載の情報読み出し装置であって、
前記参照信号が伝播する信号路の信号路長、前記原信号が伝播する信号路の信号路長の少なくとも1つを変化させる信号路長変調部を備え、
前記検出部は、前記信号路長変調部により前記信号路長を変化させたときに、前記2つの「みかけ上の相対位相」のうち、当該変化に対応して正しい向きに変化する相対位相を「真の相対位相」として特定することを特徴とする情報読み出し装置。
【請求項4】
ある原信号に成分として含まれる複数の原信号成分について相対位相と振幅をそれぞれ検出し、これらの前記相対位相および前記振幅から前記原信号に含まれる情報を読み出す情報読み出し装置であって、
前記複数の原信号成分のそれぞれに対して一定の周波数差(原信号成分の周波数のうち最小周波数間隔の1/2よりも小さい周波数差)を有する複数の参照信号を、2つ以上を組にして繰り返して生成し、または全てを同時に生成する参照信号生成部、
前記各参照信号と前記原信号成分とのビート信号を、順次または同時に生成して抽出するビート信号生成抽出部、
前記ビート信号生成抽出部により生成抽出したビート信号のうち2つのビート信号を乗算する乗算器を有し、ある乗算処理における「2つのビート信号」の少なくとも一方が他の乗算処理における「2つのビート信号」の一方と同じになるように当該乗算処理を行うビート信号乗算部、
前記ビート信号乗算部により生成した乗算信号から、当該乗算にかかる2つのビート信号の基になる前記原信号成分の相対位相をそれぞれ求める相対位相検出部、
前記各原信号成分の振幅を求める振幅演算部、および、
前記相対位相検出部により求めた前記各原信号成分の相対位相と、前記振幅演算処理により求めた前記各原信号成分の振幅とから、前記原信号に含まれる情報を読み出す情報抽出部、
を備えたことを特徴とする情報読み出し装置。
【請求項5】
前記原信号が広帯域光または離散スペクトル光であり、前記参照信号が離散スペクトル光であることを特徴とする請求項4に記載の情報読み出し装置。
【請求項6】
前記位相検出部が、0〜π〔rad〕の間の相対位相およびπ〜2π〔rad〕の間の相対位相を「みかけ上の相対位相」として検出したときに、これら2つの「みかけ上の相対位相」の一方を「真の相対位相」として特定する請求項4または5に記載の情報読み出し装置であって、
前記参照信号が伝播する信号路の信号路長、前記原信号成分が伝播する信号路の信号路長の少なくとも1つを変化させる信号路長変調部を備え、
前記位相検出部は、前記信号路長変調部により前記信号路長を変化させたときに、前記2つの「みかけ上の相対位相」のうち、当該変化に対応して正しい向きに変化する相対位相を「真の相対位相」として特定することを特徴とする情報読み出し装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−215438(P2011−215438A)
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−84715(P2010−84715)
【出願日】平成22年3月31日(2010.3.31)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成21年度、総務省、戦略的情報通信研究開発推進制度(SCOPE)若手ICT研究者育成型研究開発委託事業、 平成20年度、文部科学省科学技術総合研究委託事業、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(304021288)国立大学法人長岡技術科学大学 (458)
【Fターム(参考)】