説明

情報読取装置、情報読取方法及びプログラム

【課題】通信プロトコルが異なる複数種類のRFIDに対応する場合に、各サーチにかかる時間を動的に最適化できる情報読取装置等を提供する。
【解決手段】予め情報を格納している情報格納体を検出し、情報を読み取ろうとするサーチを行うことで情報を読み取ることができ、通信プロトコルの異なる複数種類の情報格納体毎に対応した複数種類のサーチを行うことができる情報読取装置であって、複数種類のサーチのうち、一のサーチを実行する無線通信手段と、複数種類のサーチ毎に、サーチが実行される時間の長さを示すサーチ時間と、サーチが実行される順序を示すサーチ順序とが規定された設定情報を保存する設定保存手段と、設定情報に基づいて、無線通信手段で実行されるサーチを切り替えるサーチ切替手段と、無線通信手段で実行されたサーチの結果に基づいて、設定情報に規定されているサーチ時間及びサーチ順序を自動的に変更する設定変更手段と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、予め情報を記憶している媒体や装置等から、近距離通信で情報を読み取る情報読取装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
情報読取技術の一例として、ICチップ内のメモリに個人情報や製品情報等を予め格納しておき、それらの情報を近距離の無線通信で読み出すRFID(Radio Frequency Identification)が知られている(例えば、特許文献1、2参照)。RFIDは、現在、電子マネーや自動改札などに多く利用されている。このRFIDにおいて、上記ICチップは、例えば、カードやタグなどの媒体(部材)に埋め込まれ(取り付けられ)たり、あるいは、携帯電話機などの携帯端末装置に内蔵されたりする。上記ICチップを搭載した媒体(以下、RFID媒体という)や装置(以下、RFID装置という)を、情報読取装置にかざしたり(非接触)、タッチしたり(接触)すると、メモリ内の情報が情報読取装置に読み込まれる。
【0003】
ところで、現在急速に普及しているRFIDであるが、複数種類のRFIDが用いられているのが現状である。例えば、RFIDを用いたサービスを提供・運営する会社毎に、RFIDの通信プロトコル(通信仕様・通信方式)が異なったりする。このような事情から、情報読取装置には、複数種類のRFIDの通信プロトコルを搭載するものがある。これにより、一の情報読取装置で複数種類のRFIDに対応できるようにし、利用者の利便性を確保している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−154923号公報
【特許文献2】特開2006−222619号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した情報読取装置は、複数種類のRFIDに対応可能といえども、同時に複数種類の通信プロトコルを適用することはできない。すなわち、上述した情報読取装置は、予めなされた設定に従って各通信プロトコルに基づく処理を切り替えることで、複数種類のRFIDに対応している。なお、上記「通信プロトコルに基づく処理」とは、例えば、情報読取装置が、所定の通信プロトコルを用いて、RFID媒体やRFID装置を検出し、情報を読み取ろうとする処理のことであり、サーチと呼ばれる。また、上記「予めなされた設定に従って各通信プロトコルに基づく処理を切り替えること」は、マルチサーチと呼ばれる。
【0006】
しかしながら、上記情報読取装置では、予めなされた設定として、各サーチが実行される時間(サーチ時間)が全て均等であり、各サーチが実行される順序(サーチ順序)が常に一定である。よって、各RFIDの利用頻度に関わらず、常に均等の時間、一定の順序で各サーチが行われることになる。ところが現状では、環境によって各種RFIDの利用頻度に差がある場合が多い。つまり、上記情報読取装置では、各RFIDの利用頻度が考慮されないため、各サーチにかかる時間に無駄が生じるという問題がある。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、通信プロトコルがそれぞれ異なる複数種類のRFIDに対応する場合に、各サーチにかかる時間を動的に最適化することができる情報読取装置、情報読取方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
かかる目的を達成するために、本発明の情報読取装置は、予め情報を格納している情報格納体を検出し、情報を読み取ろうとするサーチを行うことで情報を読み取ることが可能であり、通信プロトコルの異なる複数種類の情報格納体毎に対応した複数種類のサーチを行うことが可能である情報読取装置であって、複数種類のサーチのうち、一のサーチを実行する無線通信手段と、複数種類のサーチ毎に、サーチが実行される時間の長さを示すサーチ時間と、サーチが実行される順序を示すサーチ順序とが規定された設定情報を保存する設定保存手段と、設定情報に基づいて、無線通信手段で実行されるサーチを切り替えるサーチ切替手段と、無線通信手段で実行されたサーチの結果に基づいて、設定情報に規定されているサーチ時間及びサーチ順序を自動的に変更する設定変更手段と、を有することを特徴とする。
【0009】
本発明の情報読取方法は、予め情報を格納している情報格納体を検出し、情報を読み取ろうとするサーチを行うことで情報を読み取ることが可能であり、通信プロトコルの異なる複数種類の情報格納体毎に対応した複数種類のサーチを行うことが可能である情報読取装置が行う情報読取方法であって、複数種類のサーチ毎に、サーチが実行される時間の長さを示すサーチ時間と、サーチが実行される順序を示すサーチ順序とが規定された設定情報を保存する設定情報保存ステップと、実行されたサーチの結果に基づいて、設定情報に規定されているサーチ時間及びサーチ順序を自動的に変更する設定変更ステップと、設定情報に基づいて、実行されるサーチを切り替えるサーチ切替ステップと、を有することを特徴とする。
【0010】
本発明のプログラムは、予め情報を格納している情報格納体を検出し、情報を読み取ろうとするサーチを行うことで情報を読み取ることが可能であり、通信プロトコルの異なる複数種類の情報格納体毎に対応した複数種類のサーチを行うことが可能であるコンピュータに実行させるプログラムであって、複数種類のサーチ毎に、サーチが実行される時間の長さを示すサーチ時間と、サーチが実行される順序を示すサーチ順序とが規定された設定情報を保存する設定情報保存処理と、実行されたサーチの結果に基づいて、設定情報に規定されているサーチ時間及びサーチ順序を自動的に変更する設定変更処理と、設定情報に基づいて、実行されるサーチを切り替えるサーチ切替処理と、をコンピュータに実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、通信プロトコルがそれぞれ異なる複数種類のRFIDに対応する場合に、各サーチにかかる時間を動的に最適化することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施形態に係る情報読取装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る情報読取装置の機能構成の一例を示すブロック図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る情報読取装置の動作の一例を示すフローチャートである。
【図4】本発明の一実施形態に係る情報読取装置の動作の一例を示すフローチャートである。
【図5】本発明の一実施形態に係る情報読取装置の動作の一例を示すフローチャートである。
【図6】本発明の一実施形態に係る情報読取装置における設定情報の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を実施するための形態(実施形態)について添付図面を参照して詳細に説明する。
【0014】
まず、本発明の一実施形態である情報読取装置の構成について説明する。本実施形態の情報読取装置は、RFID媒体やRFID装置と近距離通信を行い、個人情報などを読み込む情報処理装置である。本実施形態では、以下、RFIDタグ(RFID媒体の一例)と無線通信を行う例を用いて説明する。なお、RFID媒体及びRFID装置は、情報格納体の一例である。
【0015】
図1に示すように、RFID2タグは、メモリ21、無線通信回路22、アンテナ23を有する。メモリ21には、例えば、ユーザに関する個人情報や製品に関する製品情報等が格納される。無線通信回路22は、上述したICチップであり、予め定められた通信プロトコルにて電波を発振している情報読取装置1に近づけられると電流を発生し、動作する。そして、無線通信回路22は、メモリ21内の情報を読み出し、アンテナ23を介して本実施形態の情報読取装置1へ送信する。
【0016】
本実施形態の情報読取装置は、図1に示すように、CPU(Central Processing Unit)10、ROM(Read Only Memory)12、RAM(Random Access Memory)12、複数の無線通信回路13、アンテナ14とを有する。
【0017】
CPU10は、ROM12に格納されている制御プログラムを読み込み、その制御プログラムに従って、バス15を介して接続された各部(例えば、RAM11や無線通信回路13)を制御し、各種機能を実現する。また、CPU10は、タイマ機能(定められた時間の経過を計測する機能)及び時計機能(一般的な時計と同じく、年・月・日・曜日・時・分・秒などを計時する機能)を有する。
【0018】
ROM12は、上記制御プログラムや固定データ等を予め格納している。制御プログラム及び固定データの例としては、情報読取装置(RFIDにおける情報読取)の一般的な機能を実現するためのものに加え、後述する図3〜5に示す本実施形態の特徴的な機能を実現するためのものも含む。
【0019】
RAM11は、CPU10が上記制御プログラムを実行する上で一時的に必要とされるデータを格納する。このデータの例としては、情報読取装置(RFIDにおける情報読取)の一般的な機能を実現するためのものに加え、後述する図3〜5に示す本実施形態の特徴的な機能を実現するためのものも含む。また、RAM11は、RFIDタグ2から読み取った個人情報や製品情報などを格納してもよい。
【0020】
無線通信回路13は、予め定められた通信プロトコルにより、RFIDタグ2と近距離の無線通信を行うために必要な処理を行う。例えば、無線通信回路13は、CPU10からの指示を受けて所定周波数の送信信号をアンテナ14へ出力したり、アンテナ14から入力された受信信号をCPU10へ出力したりする。また、無線通信回路13は、信号の変調/復調や増幅などの処理を行うようにしてもよい。なお、本実施形態では、例として、それぞれ異なる通信プロトコルで無線通信を行う無線通信回路13を、A,B,C,Dの4つ設ける構成とした。例えば、無線通信回路13Aは、通信プロトコルAを用いた無線通信を行う回路となる。ただし、無線通信回路13A〜Dは、2つ以上が同時に使用されることはなく、CPU10から指定されたものだけが使用される。なお、図1のように4つの無線通信回路13を設ける構成ではなく、例えば、1つの無線通信回路13で複数の異なる通信プロトコルでの無線通信を可能とする構成でもよい。
【0021】
アンテナ14は、無線通信回路13からの送信信号を電波信号として、情報読取装置1の外部へ送信する。また、アンテナ14は、電波信号に反応したRFIDタグ2から受信した受信信号を無線通信回路13へ出力する。
【0022】
なお、図1には図示していないが、情報読取装置1は、各種情報を表示するためのディスプレイ(表示手段の一例)や、情報読取装置1の操作者(ユーザ)が各種設定などを行うための操作キー・ボタン(操作手段の一例)を有してもよい。また、情報読取装置1は、有線・無線を問わず、他の装置・機器・システム等と接続するためのインターフェース回路(外部接続手段の一例)を有してもよい。また、情報読取装置1は、情報の読取機能だけではなく、情報の書込機能を備えてもよい。
【0023】
次に、本実施形態の情報読取装置1が有する機能(図1に示す各ハードウェアによって実現される機能)について、図2を用いて説明する。図2は、本実施形態に係る情報読取装置1の機能ブロック図である。図2に示すように、情報読取装置1は、判断手段101、サーチ切替手段102、カウント手段103、設定変更手段104、設定保存手段105、無線通信手段106を備える。
【0024】
無線通信手段106は、複数のRFID(本実施形態ではA、B、C、Dの4種類)にそれぞれ対応した通信プロトコルA〜Dのいずれかにより、RFIDタグ2を検出するための送信信号を電波信号として外部へ送信したり、RFIDタグ2からの受信信号を受信したりする。無線通信手段106は、図2に示すように1つの手段で通信プロトコルA〜Dに対応可能としてもよいし、あるいは、図2には示していないが、通信プロトコルA〜Dに個別に対応した4つの手段としてもよい。この無線通信手段106は、図1に示す複数の無線通信回路13A〜Dにより実現される。
【0025】
設定保存手段105は、各サーチの時間及びサーチの順序を示す設定情報を保存する。サーチとは、無線通信手段106によって行われる、所定の通信プロトコルに基づく処理(所定の通信プロトコルにてRFIDタグ2を検出し、情報を読み取ろうとする処理)のことである。本実施形態では、A〜Dの4つの通信プロトコル(RFID)を例としているので、サーチもA〜Dの4種類ある。よって、設定情報の内容は、各サーチA〜Dが実行される時間の長さ(サーチ時間という)と、4つのサーチA〜Dが実行される順序(サーチ順序という)が、設定情報の内容となる。
【0026】
ここで、設定情報の例を図6に示す。図6において、例えば「RFID A」という記載は「サーチA」を意味する(残りのB、C、Dも同様)。図6に示すように、初期状態の設定情報は、サーチA〜Dのサーチ時間が全て同じ長さであり、サーチ順序はA→B→C→Dの順となっている。初期状態の設定情報は、例えば、情報読取装置1が初めて使用されるときなどに適用される。
【0027】
従来では、例えば図6に示す初期状態の設定情報が変更されることがなかったので、各RFIDの利用頻度(言い換えれば、各サーチの結果)が考慮されないという問題があった。このような問題を解決するため、本実施形態では、情報読取装置1が各サーチの結果に応じて設定情報を自動的に変更(更新)することで、各サーチの最適化を図ることを目的としている。このサーチの結果(サーチ結果)として、本実施形態では、サーチが成功した回数(サーチ成功回数)を例に説明する。サーチ成功回数としては、例えば、タグ等の検出が成功した回数(検出成功回数)や、タグ等の情報の読取が成功した回数(読取成功回数)が挙げられる。なお、サーチ結果として用いられるサーチ成功回数は、検出成功回数のみでもよいし、読取成功回数のみでもよい。あるいは、検出成功回数及び読取成功回数の両方を用いるようにしてもよい。
【0028】
図6において、状態1及び状態2は、初期状態の設定情報にサーチの結果が反映され、内容(各サーチ時間及びサーチ順序)が変更された状態を示している。なお、設定情報の内容を変更する処理は、後述する設定変更手段104で行われる。
【0029】
また、設定保存手段105は、上記設定情報の他に、設定情報を変更する条件(タイミング)を示す変更条件情報を保存する。変更条件情報は、例えば、情報読取装置1の使用前において、ユーザ操作により予め設定(指定)される。変更条件情報としては、例えば、サーチ成功回数(例えば、検出成功回数や読取成功回数)、時間(日時)、所定のサーチの終了後やサーチ順序が一巡した後などが挙げられる。例えば、変更条件情報が「検出成功回数=100」に設定された場合、検出成功回数が100に達した時点で、それまでに一時保存された検出成功回数を反映した設定情報に変更されることになる。また、例えば、変更条件が「時間=22:30」に設定された場合、毎日22時30分に達した時点で、それまでに一時保存された検出成功回数を反映した設定情報に変更されることになる。また、例えば、変更条件が「サーチDの終了後」に設定された場合、サーチDのサーチ時間が終了した時点で、それまでに一時保存された検出成功回数を反映した設定情報に変更されることになる。
【0030】
なお、設定保存手段105は、例えば、図1に示すRAM11及びROM12の少なくとも一つにより実現される。
【0031】
次に、図2に示す、判断手段101、サーチ切替手段102、カウント手段103、設定変更手段104についてそれぞれ説明する。これら各手段は、図1に示すCPU10及びRAM11によって実現される。
【0032】
判断手段101は、例として、検出成功判断、読取成功判断、サーチ時間判断、変更条件判断を行う。ここで、各判断について説明する。
【0033】
検出成功判断とは、RFIDタグ2から受信する受信信号の有無に基づいて、RFIDタグ2の検出に成功したかを判断する処理である。判断手段101は、無線通信手段106から受信信号が入力された場合に、RFIDタグ2の検出に成功したものと判断する。判断手段101によりRFIDタグ2の検出に成功したと判断された場合、次に、判断手段101により後述する読取成功判断が行われる、又は、後述するカウント手段103によりカウントが行われる。
【0034】
読取成功判断とは、RFIDタグ2から受信する受信信号の内容に基づいて、RFIDタグ2の情報(個人情報や製品情報等)の読取に成功したかを判断する処理である。この読取成功判断は、例えば、上記検出成功判断結果が成功である場合に行われる。判断手段101は、無線通信手段106から入力された受信信号の中に、RFIDタグ2が有するメモリ21に格納されている情報(個人情報や製品情報等)が含まれている場合に、情報の読取に成功したものと判断する。判断手段101によりRFIDタグ2の情報の読取に成功したと判断された場合、次に、後述するカウント手段103によりカウントが行われる。なお、読み取られた情報は、図1、2には示していないが、上述した表示手段や外部接続手段、又は、RAM11等によって実現される記憶手段などに出力される。
【0035】
サーチ時間判断とは、無線通信手段106により実行中であるサーチのサーチ時間が、上述した設定情報に規定されているサーチ時間に達したかを判断する処理である。判断手段101は、無線通信手段106によるサーチが開始されてからの時間の経過を計測し、計測した時間が設定情報に規定されているサーチ時間に達したかを判断する。判断手段101により、実行中のサーチ時間が、規定されたサーチ時間に達したと判断された場合、判断手段101により後述する変更条件判断が行われる、又は、後述するサーチ切替手段102によりサーチ切替が行われる。
【0036】
変更条件判断とは、予め設定された変更条件が満たされたかを判断する処理である。変更条件は、上述したように、変更条件情報として設定保存手段105に保存されている。
【0037】
例えば、変更条件が検出成功回数である場合について説明する。判断手段101は設定保存手段105に変更条件として保存されている検出成功回数と、後述するカウント手段103でカウントされた現在の検出成功回数とが一致するかを判断する。両者が一致した場合、判断手段101により、変更条件が満たされたものと判断され、後述する設定変更手段104により設定情報変更が行われる。両者が一致しない場合、判断手段101により、変更条件が満たされていないものと判断され、後述するサーチ切替手段102によりサーチ切替が行われる。
【0038】
例えば、変更条件が時間である場合について説明する。判断手段101は設定保存手段105に変更条件として保存されている時間(日時)と、自身で計時している現在の時間とが一致するかを判断する。両者が一致した場合、判断手段101により、変更条件が満たされたものと判断され、後述する設定変更手段104により設定情報変更が行われる。両者が一致しない場合、判断手段101により、変更条件が満たされていないものと判断され、後述するサーチ切替手段102によりサーチ切替が行われる。
【0039】
例えば、変更条件がサーチ順序の一巡後である場合について説明する。判断手段101は、現在適用中の設定情報のサーチ順序において最後に実行されるように規定されているサーチと、現在実行中のサーチとが一致するかを判断する。両者が一致した場合、現在実行中のサーチが終了した後、判断手段101により変更条件が満たされたものと判断され、後述する設定変更手段104により設定情報変更が行われる。両者が一致しない場合、現在実行中のサーチが終了した後、判断手段101により変更条件が満たされていないものと判断され、後述するサーチ切替手段102によりサーチ切替が行われる。
【0040】
サーチ切替手段102は、上記判断手段101によるサーチ時間判断又は変更条件判断の後、設定保存手段105の設定情報に規定されているサーチ順序に従って、現在実行中のサーチから次に規定されているサーチへの切り替えを行う。例えば、図6に示す初期状態の設定情報が適用されているときで、無線通信手段106がサーチAを実行中である場合、サーチ切替手段102は、サーチAの次に規定されているサーチBに切り替えるように無線通信手段106へ指示する。この指示は、制御信号の送出等によって行われる。この指示を受けると、無線通信手段106はサーチAを停止し、サーチBを開始する。なお、このような「設定情報に従って各サーチを切り替える処理」は、マルチサーチと呼ばれる。
【0041】
カウント手段103は、上記判断手段101による検出成功判断又は読取成功判断の後、検出成功回数又は読取成功回数をカウントする。また、カウント手段103は、カウントした結果(カウント結果)を一時保存するようにしてもよい。このカウント結果は、後述する設定変更手段104による設定情報変更や、判断手段101による上記変更条件判断に使用される。
【0042】
設定変更手段104は、カウント手段103のカウント結果(検出成功回数又は読取成功回数)を、設定保存手段105に保存されている設定情報に反映させ、設定情報の内容を変更する。所定の変更条件が設定されていない場合、設定変更手段104は、カウント手段103によりカウントが行われる度に、設定保存手段105に保存されている設定情報に反映させる。一方で、所定の変更条件が予め設定されている場合、設定変更手段104は、判断手段101による上記変更条件判断にて当該変更条件が満たされたと判断された後、カウント手段103により一時保存されたカウント結果を、設定保存手段105に保存されている設定情報に反映させる。なお、本実施形態では、設定変更手段104による設定情報の変更が完了したタイミングで、変更後の設定情報が適用される。
【0043】
ここで、図6を参照し、設定変更手段104による設定情報変更の一例について説明する。ここでは、設定情報に反映されるカウント結果が検出成功回数である場合について説明する。設定変更手段104には、例えば、検出成功回数1回につき、予め定められた長さの時間が、現在規定されているサーチ時間に加えられるように予め設定されているとする。
【0044】
まず、図6に示す初期状態の設定情報が適用されているときに、情報読取装置1がRFIDタグ2のサーチを開始する。所定回数のサーチが行われ、サーチB以外のサーチA、C、Dが同じ検出成功回数であった場合、設定変更手段104は、検出成功回数分の時間を現在規定されている各サーチ時間に加えるので、サーチA、サーチC、サーチDのサーチ時間は均等に増加することになる。なお、図6に示すように、4つのサーチ時間の合計に上限がある場合は、増加した分の時間を、まだ検出されていないサーチ時間から減少させるようにしてもよい。例えば、設定変更手段104は、サーチ時間A、C、Dを増加させた場合、増加させた分をサーチ時間Bから減少させるようにする。次に、設定変更手段104は、サーチ時間の変更の結果、最もサーチ時間が短くなったサーチBのサーチ順序を最後にする。このような変更の結果、設定情報は、図6に示す状態1の内容になる。状態1は、初期状態と比べ、サーチB(RFID B)のサーチ順序が最後であり、しかもサーチB(RFID B)のサーチ時間が最も短くなっている。すなわち、状態1は、サーチB(RFID B)の利用頻度が低い環境に応じた内容となっている。よって、設定情報として状態1を適用すれば、利用頻度の低いサーチBに対応したタグをサーチするための時間の無駄を省ける。
【0045】
その後、図6に示す状態1の設定情報が適用されているときに、情報読取装置1がRFIDタグ2のサーチを開始する。所定回数のサーチが行われ、サーチC、サーチA、サーチD、サーチBの順に検出成功回数が多かった場合、設定変更手段104は、検出成功回数分の時間を現在規定されている各サーチ時間に加えるので、サーチ時間の多い順は、サーチC、サーチA、サーチD、サーチBとなる。次に、設定変更手段104は、サーチ時間の変更の結果、最もサーチ時間が長くなったサーチCのサーチ順序を最初にする。このような変更の結果、設定情報は、図6に示す状態2の内容になる。状態2は、初期状態や状態1と比べ、サーチC(RFID C)のサーチ順序が最初であり、しかもサーチC(RFID C)のサーチ時間が最も長くなっている。すなわち、状態2は、サーチC(RFID C)の利用頻度が高い環境に応じた内容となっている。よって、設定情報として状態2を適用すれば、優先的に利用頻度が高いサーチCに対応したタグをサーチできるようになるとともに、利用頻度の低いサーチBに対応したタグをサーチするための時間の無駄を省ける。
【0046】
このように、設定変更手段104は、例えば検出成功回数等のカウント結果に応じて、設定情報に規定されている各サーチ時間の長さ及びサーチ順序を動的に変更することができる。よって、複数のRFIDの利用頻度に応じて、サーチの最適化を図ることができる。
【0047】
次に、本発明の一実施形態である情報読取装置の動作例(本発明の情報読取方法の一実施形態)について説明する。動作例は複数あるため、添付図面を参照しながら順に説明する。なお、以下の各動作例は、上記で説明した図2の各手段によって実現されるが、説明の便宜上、各図の動作の主語を「情報読取装置1」として説明する。また、各動作例は、各図に示すように時系列的に実行されるのみならず、処理を実行する装置の処理能力、あるいは、必要に応じて並列的にあるいは個別に実行するように構築することも可能である。
【0048】
〔動作例1〕
図3に示す動作例1について説明する。この動作例1は、検出成功回数がカウントされる場合で、かつ、変更条件が設定されていない場合の動作である。
【0049】
まず、情報読取装置1は、設定情報のサーチ順序の最初に規定されているサーチを開始する(ステップS1)。例えば、設定情報が図6に示す初期状態である場合、情報読取装置1がサーチAを開始したとする。
【0050】
次に、情報読取装置1は、開始したサーチAに対応したRFIDタグ2を検出できたかどうかを判断する(ステップS2)。これが上述した検出成功判断である。RFIDタグ2が検出できない場合(ステップS2/NO)、ステップS6へ進む。RFIDタグ2が検出できた場合(ステップS2/YES)、ステップS3へ進む。
【0051】
情報読取装置1は、RFIDタグ2が検出できた場合(ステップS2/YES)、検出成功回数として「1」をカウントする(ステップS3)。
【0052】
情報読取装置1は、検出成功回数1回につき予め定められている分の時間を、設定情報に規定されている当該サーチAのサーチ時間に加えるとともに、例えばサーチAの次のサーチ時間Bから減らし、その結果を基にサーチ時間が長い順にサーチ順序を並べ替える(ステップS4)。ここでは、設定情報の変更により、サーチAのサーチ時間が最も長くなり、サーチC、Dのサーチ時間は初期状態と同じ長さのままであり、サーチBのサーチ時間が最も短くなる。よって、この時点での設定情報は、サーチ順序が「A→C→D→B」となり、サーチ時間は「A>C=D>B」となる。
【0053】
情報読取装置1は、設定情報に規定されているサーチ時間が終了したかどうかを判断する(ステップS5)。これが上述したサーチ時間判断である。なお、ここでのサーチ時間は、ステップS4で変更されたサーチ時間でもよいし、初期状態で規定されているサーチ時間であってもよい。サーチ時間が終了した場合(ステップS5/YES)、ステップS7へ進む。サーチ時間が終了していない場合(ステップS5/YES)、ステップS8へ進む。ここでは、サーチAのサーチ時間がまだ終了していないとする。
【0054】
情報読取装置1は、サーチAのサーチ時間を最初に戻す(ステップS8)。これにより、ステップS1において、サーチAはサーチ時間の最初から行われることになる。
【0055】
情報読取装置1は、再びサーチAを開始し(ステップS1)、検出成功判断を行う(ステップS2)。ここでは、情報読取装置1は、サーチAに対応したRFIDタグ2を検出できないとする(ステップS2/NO)。この場合、情報読取装置1は、サーチ時間判断を行う(ステップS6)。
【0056】
情報読取装置1は、設定情報に規定されているサーチAのサーチ時間が終了していないと判断した場合(ステップS6/NO)、再びステップS2へ戻る。一方、情報読取装置1は、設定情報に規定されているサーチAのサーチ時間が終了したと判断した場合(ステップS6/YES)、サーチ切替を行う(ステップS7)。ここでは、情報読取装置1は、設定情報に規定されているサーチ順序に基づいて、サーチAからサーチBへ切り替え、ステップS1へ戻る。
【0057】
情報読取装置1は、サーチBを開始し(ステップS1)、検出成功判断を行う(ステップS2)。ここでは、情報読取装置1は、サーチBに対応したRFIDタグ2を検出できないとする(ステップS2/NO)。さらに、情報読取装置1は、サーチ時間判断を行い(ステップS6)、設定情報に規定されているサーチBのサーチ時間が終了したと判断し(ステップS6/YES)、サーチ切替を行うとする(ステップS7)。ここでは、情報読取装置1は、設定情報に規定されているサーチ順序に基づいて、サーチBからサーチCへ切り替え、ステップS1へ戻る。
【0058】
情報読取装置1は、サーチCを開始し(ステップS1)、検出成功判断を行う(ステップS2)。ここで、情報読取装置1は、サーチCに対応したRFIDタグ2が検出できたとし(ステップS2/YES)、検出成功回数として「1」をカウントする(ステップS3)。
【0059】
情報読取装置1は、検出成功回数1回につき予め定められている分の時間を、設定情報に規定されている当該サーチCのサーチ時間に加えるとともに、例えばサーチを実行したけど検出できなかったサーチ時間Bから減らし、その結果を基にサーチ時間が長い順にサーチ順序を並べ替える(ステップS4)。ここでは、設定情報の変更により、サーチCのサーチ時間は、先程変更したサーチAのサーチ時間と同じ長さとなる。この結果、この時点での設定情報は、サーチ順序が「A→C→D→B」のまま、サーチ時間が「A=C>D>B」となる。
【0060】
情報読取装置1は、設定情報に規定されているサーチ時間が終了したかどうかを判断する(ステップS5)。ここでは、情報読取装置1は、設定情報に規定されているサーチCのサーチ時間が終了したと判断し(ステップS5/YES)、サーチ切替を行うとする(ステップS7)。情報読取装置1は、設定情報に規定されているサーチ順序に基づいて、サーチCからサーチDへ切り替え、ステップS1へ戻る。
【0061】
情報読取装置1は、サーチDを開始し(ステップS1)、検出成功判断を行う(ステップS2)。ここで、情報読取装置1は、サーチDに対応したRFIDタグ2が検出できたとし(ステップS2/YES)、検出成功回数として「1」をカウントする(ステップS3)。
【0062】
情報読取装置1は、検出成功回数1回につき予め定められている分の時間を、設定情報に規定されている当該サーチDのサーチ時間に加えるとともに、例えばサーチを実行したけど検出できなかったサーチ時間Bから減らし、その結果を基にサーチ時間が長い順にサーチ順序を並べ替える(ステップS4)。ここでは、設定情報の変更により、サーチDのサーチ時間は、先程変更したサーチA、Cのサーチ時間と同じ長さとなる。この結果、この時点での設定情報は、サーチ順序が「A→C→D→B」のまま、サーチ時間が「A=C=D>B」となる。このときの設定情報の例は、図6に示す状態1と同様になる。
【0063】
このように、動作例1によれば、検出成功回数に基づいて、設定情報の内容を動的に変更することができる。
【0064】
なお、本動作例1において、ステップS8を削除してもよい。すなわち、情報読取装置1は、ステップS5のサーチ時間判断にて、実行中のサーチ時間が終了していないと判断した場合(ステップS5/NO)、ステップS1へ戻る。この場合はステップS8がないので、ステップS1において、実行中のサーチが、サーチ時間の最初からではなく途中から実行されることになる。
【0065】
または、本動作例1において、ステップS5及びS8を削除してもよい。すなわち、情報読取装置1は、ステップS4の設定情報の変更の後、ステップS7のサーチ切替を行う。この場合では、実行中のサーチのサーチ時間の終了を待つことなく、サーチ(検出)が成功した時点で次のサーチに切り替わることになる。
【0066】
〔動作例2〕
図4に示す動作例2について説明する。この動作例2は、読取成功回数がカウントされる場合で、かつ、変更条件が設定されていない場合の動作である。基本的な動作は、図3と同様であり、ステップS13の読取成功判断が追加された構成となっている。
【0067】
まず、情報読取装置1は、設定情報のサーチ順序の最初に規定されているサーチを開始する(ステップS11)。
【0068】
次に、情報読取装置1は、開始したサーチに対応したRFIDタグ2を検出できたかどうかを判断する(ステップS12)。RFIDタグ2が検出できない場合(ステップS12/NO)、ステップS17へ進む。ステップS17及びそれに続くステップS18は、図3のステップS6及びS7と同様であるので、ここでの説明は省略する。
【0069】
情報読取装置1は、RFIDタグ2が検出できた場合(ステップS12/YES)、RFIDタグ2の情報(個人情報や製品情報)の読取に成功したかどうかを判断する(ステップS13)。これが上述した読取成功判断である。情報の読取ができない場合(ステップS13/NO)、ステップS17へ進む。
【0070】
情報読取装置1は、情報の読取ができた場合(ステップS13/YES)、読取成功回数として「1」をカウントする(ステップS14)。
【0071】
情報読取装置1は、読取成功回数1回につき予め定められている分の時間を、設定情報に規定されている当該サーチのサーチ時間に加えるとともに、他のサーチのサーチ時間から減らし、その結果を基にサーチ時間が長い順にサーチ順序を並べ替える(ステップS15)。
【0072】
ステップS16も、図3のステップS5と同様であるので、ここでの説明は省略する。
【0073】
このように、動作例2によれば、読取成功回数に基づいて、設定情報の内容を動的に変更することができる。
【0074】
なお、本動作例2では、読取成功回数のみのカウント(ステップS14)を行うようにしているが、読取成功判断での読取失敗の場合(ステップS13/NO)を、検出成功回数としてカウントするようにしてもよい。そして、設定情報変更(ステップS15)において、読取成功回数及び検出成功回数の少なくとも一つを設定情報に反映させるようにしてもよい。
【0075】
また、本動作例2では、検出成功判断(ステップS12)と読取成功判断(ステップS13)の両方を行うようにしているが、読取成功判断(ステップS13)のみを行うようにしてもよい。その場合、図4において、検出成功判断(ステップS12)を削除したフローとなる。
【0076】
〔動作例3〕
図5に示す動作例3について説明する。この動作例3は、検出回数がカウントされる場合で、かつ、変更条件が予め設定されている場合の動作である。基本的な動作は、図3と同様であり、ステップS24の変更条件判断が追加された構成となっている。
【0077】
まず、情報読取装置1は、設定情報のサーチ順序の最初に規定されているサーチを開始する(ステップS21)。
【0078】
次に、情報読取装置1は、開始したサーチに対応したRFIDタグ2を検出できたかどうかを判断する(ステップS22)。RFIDタグ2が検出できない場合(ステップS22/NO)、ステップS27へ進む。ステップS27は、図3のステップS6と同様であるので、ここでの説明は省略する。
【0079】
情報読取装置1は、RFIDタグ2が検出できた場合(ステップS22/YES)、検出成功回数として「1」をカウントし、一時保存する(ステップS23)。この動作例3では、カウント結果を設定情報に反映させるタイミングは変更条件が満たされたときであるので、カウント結果をすぐに設定情報に反映させない。よって、ステップS23において、情報読取装置1は、変更条件が満たされるときまで、カウント結果を一時的に保存し、蓄積していく。
【0080】
情報読取装置1は、予め設定された変更条件が満たされたかどうかの判断を行う(ステップS24)。これが上記変更条件判断である。
【0081】
情報読取装置1は、予め設定された変更条件がまだ満たされていないと判断した場合(ステップS24/NO)、サーチ切替を行う(ステップS28)。ステップS28は、図3のステップS7と同様であるので、ここでの説明は省略する。
【0082】
一方、情報読取装置1は、予め設定された変更条件が満たされたと判断した場合(ステップS24/YES)、設定情報の変更を行う(ステップS25)。情報読取装置1は、検出成功回数1回につき予め定められている分の時間を、一時保存して蓄積された検出成功回数に乗ずる。そして、情報読取装置1は、その乗算の結果を、設定情報に規定されている当該サーチのサーチ時間に加えるとともに、他のサーチのサーチ時間から減らし、その結果を基にサーチ時間が長い順にサーチ順序を並べ替える。
【0083】
情報読取装置1は、サーチ時間判断を行う(ステップS26)。情報読取装置1は、設定情報に規定されているサーチ時間が終了していないと判断した場合(ステップS26/NO)、再びステップS21へ戻る。一方、情報読取装置1は、設定情報に規定されているサーチ時間が終了したと判断した場合(ステップS26/YES)、サーチ切替を行う(ステップS28)。
【0084】
このように、動作例3によれば、所望のタイミングで、検出成功回数に基づいて、設定情報の内容を動的に変更することができる。
【0085】
なお、動作例3は、図3の動作例1をベースに説明したが、図4の動作例2をベースとしてもよい。その場合、図4において、図5のステップS24の変更条件判断を、ステップS14とS15の間に追加する。また、図4において、ステップS17のYESの場合を、S18ではなく、追加したステップS24へ進むようにする。これにより、所望のタイミングで、読取成功回数に基づいて、設定情報の内容を動的に変更することができる。
【0086】
以上説明したように、本実施形態によれば、通信プロトコルがそれぞれ異なる複数種類のRFIDに対応する場合に、各サーチにかかる時間を動的に最適化することができる。
【0087】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の変形が可能である。以下、上記本実施形態に係る各変形例について説明する。
【0088】
〔変形例1〕
上記実施形態では、サーチ結果としてサーチ成功回数(例えば、検出成功回数や読取成功回数)を用いるようにしたが、サーチ失敗回数(例えば、検出失敗回数や読取失敗回数)を用いるようにしてもよい。
【0089】
検出失敗回数は、検出自体ができないままサーチ時間がタイムアウトした場合のエラーである。よって、判断手段101は、無線通信手段106から受信信号が入力されずにサーチ時間が経過した場合に、検出が失敗したものと判断する(検出失敗判断)。
【0090】
読取失敗回数は、検出ができたが、RFIDタグ2内の情報の読取ができない場合のエラーである。よって、判断手段101は、無線通信手段106から受信信号が入力されたが、その受信信号から情報が読み取れない場合に、読取が失敗したものと判断する(読取失敗判断)。
【0091】
例えば、判断手段101により検出失敗判断のみが行われる場合、カウント手段103は、判断手段101により検出が失敗と判断された場合を、検出失敗回数としてカウントする。そして、設定変更手段104は、カウント結果(検出失敗回数)を設定情報に反映させ、設定情報の内容を変更する。この変更方法は、上記実施形態で説明したサーチ成功回数の場合と同様である。例えば、検出失敗回数1回につき、減少させるサーチ時間の長さが予め設定されており、設定変更手段104は、カウントされた検出失敗回数分の時間を、規定されているサーチ時間から減少させるようにする。
【0092】
なお、本変形例1において、サーチ結果として用いるサーチ失敗回数は、上述したように検出失敗回数のみでもよいし、読取失敗回数のみでもよい。あるいは、検出失敗回数及び読取失敗回数の両方を用いるようにしてもよい。
【0093】
〔変形例2〕
また、変形例1に関連して、上記実施形態において用いられるサーチ結果として、サーチ成功回数(例えば、検出成功回数や読取成功回数)とサーチ失敗回数(例えば、検出失敗回数や読取失敗回数)の両方を用いることができるようにしてもよい。上記実施形態では、サーチ成功回数及びサーチ失敗回数の少なくとも一方がサーチ結果として用いられればよい。より詳細には、上記実施形態では、検出成功回数、読取成功回数、検出失敗回数、読取失敗回数の4種類のうち、少なくとも1種類がサーチ結果として用いられればよい。
【0094】
〔変形例3〕
また、変形例2に関連して、2種類以上のサーチ結果が用いられる場合、設定情報の変更に置いて、サーチ結果の種類毎に、例えばサーチ時間の増加量や減少量を異ならせるようにしてもよい。
【0095】
例えば、カウント手段103が、例えば、現在実行中のサーチについての検出成功回数(読取失敗回数)と読取成功回数の両方をカウントするようにする。ここで、設定変更手段104には、検出成功回数1回につき、増加させるサーチ時間の長さ(検出増加量とする)が予め設定されており、また、読取成功回数1回につき、増加させるサーチ時間の長さ(読取増加量とする)が予め設定されているとする。検出増加量と読取増加量は異なる値とする。
【0096】
まず、設定変更手段104は、カウントされた検出成功回数と検出増加量を乗じ、その結果を合計検出増加量として算出する。次に、設定変更手段104は、カウントされた読取成功回数と読取増加量を乗じ、その結果を合計読取増加量として算出する。次に、設定変更手段104は、合計検出増加量と合計読取増加量の和を算出し、その和を、設定情報に規定されている現在実行中のサーチのサーチ時間に加え、サーチ時間の値を変更する。このように、サーチ結果の種類に応じて、変更する値を異ならせることで、より精度の高い設定情報の最適化を図ることができる。
【0097】
〔変形例4〕
ユーザが、情報読取装置1において、現在の設定情報(現在適用されている設定情報)の内容を画面表示するなどして視覚的に確認できるようにしてもよい。例えば、判断手段101は、ユーザの操作(表示指示操作)を受け付けたと判断した場合、設定保存手段105に保存されている設定情報(現在適用されている設定情報)を読み出し、図示しない表示手段に表示するようにする。このときの表示例としては、図6に示す帯グラフ状の形態が挙げられる。
【0098】
〔変形例5〕
また、変形例4に関連して、ユーザが、情報読取装置1において、現在の設定情報の内容を画面上で確認した後、その設定情報を情報読取装置1に記憶させることができるようにしてもよい。例えば、判断手段101は、現在の設定情報を表示しているときにユーザから操作(記憶指示操作)を受け付けたと判断した場合、設定保存手段105に保存される設定情報とは別に、表示中の設定情報を図示しない記憶手段(図1のRAM11又は図1に図示しない記憶媒体によって実現される)等に格納する。また、複数の設定情報の記憶を可能とする。
【0099】
〔変形例6〕
また、変形例5に関連して、ユーザが、情報読取装置1において、予め記憶させておいた複数の設定情報を画面上で確認しながら所望の設定情報を選択し、選択した設定情報を適用してサーチを開始することができるようにしてもよい。例えば、判断手段101は、ユーザから操作(表示指示操作)を受け付けたと判断した場合、図示しない記憶手段に格納されている複数の設定情報を読み出し、図示しない表示手段に表示するようにする。そして、判断手段101は、複数の設定情報を表示しているときにユーザから操作(選択指示操作)を受け付けたと判断した場合、現在の設定情報から、選択された設定情報に切り替える。これにより、ユーザに選択された設定情報が適用されることになる。
【0100】
〔変形例6〕
また、ユーザが、情報読取装置1において、図示しない表示手段に表示される現在の設定情報を確認しながら図示しない操作手段を操作することにより、その設定情報の内容(各サーチ時間の長さやサーチ順序)を自由に変更することができるようにしてもよい。例えば、判断手段101は、現在の設定情報を表示しているときにユーザから操作(変更指示操作)を受け付けたと判断した場合、ユーザからの指示に従って現在の設定情報のパラメータを変更し、変更した内容の設定情報を設定保存手段105に格納する。
【0101】
〔変形例7〕
上記実施形態では、無線通信回路13をA〜Dとしたが、ユーザが任意に追加・削除できるようにしてもよい。例えば、図1に示す構成においてサーチEを行う無線通信回路13Eが追加される場合、判断手段101は、サーチEでの検出又は読取が成功したときに、設定情報に規定されている各サーチ時間A〜Dを所定の分ずつ減少させる。そして、判断手段101は、減少させた分をサーチEのサーチ時間とし、サーチ時間Eを設定情報に新たに追加するようにする。一方、例えば、図1に示す構成においてサーチDを行う無線通信回路13Dが削除される場合、判断手段101は、設定情報に規定されているサーチ時間Dを削除し、削除した分をその他のサーチ時間A,B,Cに割り振るようにする。
【0102】
〔変形例8〕
上記実施形態では、設定変更手段104が変更する対象をサーチ時間及びサーチ順序としたが、サーチ時間の代わりに、リトライ回数であってもよい。あるいは、変更対象は、サーチ時間及びリトライ回数の両方であってもよい。
【0103】
〔変形例9〕
例えば、上述した実施形態における動作は、ハードウェア、または、ソフトウェア、あるいは、両者の複合構成によって実行することも可能である。
【0104】
ソフトウェアによる処理を実行する場合には、処理シーケンスを記録したプログラムを、専用のハードウェアに組み込まれているコンピュータ内のメモリにインストールして実行させてもよい。あるいは、各種処理が実行可能な汎用コンピュータにプログラムをインストールして実行させてもよい。
【0105】
例えば、プログラムは、記録媒体としてのハードディスクやROMに予め記録しておくことが可能である。あるいは、プログラムは、CD−ROM(Compact Disc Read Only Memory),MO(Magneto optical)ディスク,DVD(Digital Versatile Disc)、磁気ディスク、半導体メモリなどのリムーバブル記録媒体に、一時的、あるいは、永続的に格納(記録)しておくことが可能である。このようなリムーバブル記録媒体は、いわゆるパッケージソフトウエアとして提供することが可能である。
【0106】
なお、プログラムは、上述したようなリムーバブル記録媒体からコンピュータにインストールする他、ダウンロードサイトから、コンピュータに無線転送してもよい。または、LAN(Local Area Network)、インターネットといったネットワークを介して、コンピュータに有線で転送してもよい。コンピュータでは、転送されてきたプログラムを受信し、内蔵するハードディスク等の記録媒体にインストールすることが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0107】
本発明は、複数種類の通信方式を予め用意した上で、各通信方式を切り替えて対応可能な装置、機器、システム、方式、方法、及びプログラムなどに適用できる。
【符号の説明】
【0108】
1 情報読取装置
2 RFIDタグ
10 CPU
11 RAM
12 ROM
13 無線通信回路A,B,C,D
14 アンテナ
15 バス
21 メモリ
22 無線通信回路
23 アンテナ
101 判断手段
102 サーチ切替手段
103 カウント手段
104 設定変更手段
105 設定保存手段
106 無線通信手段A,B,C,D

【特許請求の範囲】
【請求項1】
予め情報を格納している情報格納体を検出し、前記情報を読み取ろうとするサーチを行うことで前記情報を読み取ることが可能であり、通信プロトコルの異なる複数種類の情報格納体毎に対応した複数種類のサーチを行うことが可能である情報読取装置であって、
前記複数種類のサーチのうち、一のサーチを実行する無線通信手段と、
前記複数種類のサーチ毎に、サーチが実行される時間の長さを示すサーチ時間と、サーチが実行される順序を示すサーチ順序とが規定された設定情報を保存する設定保存手段と、
前記設定情報に基づいて、前記無線通信手段で実行されるサーチを切り替えるサーチ切替手段と、
前記無線通信手段で実行されたサーチの結果に基づいて、前記設定情報に規定されている前記サーチ時間及び前記サーチ順序を自動的に変更する設定変更手段と、
を有することを特徴とする情報読取装置。
【請求項2】
前記無線通信手段で実行されたサーチの結果として、前記サーチが成功した回数であるサーチ成功回数及び前記サーチが失敗した回数であるサーチ失敗回数の少なくとも一方をカウントするカウント手段をさらに有し、
前記設定変更手段は、
前記カウント手段によってカウントされた前記サーチ成功回数及び前記サーチ失敗回数の少なくとも一方に基づいて、前記設定情報に規定されている前記サーチ時間及び前記サーチ順序を変更することを特徴とする請求項1記載の情報読取装置。
【請求項3】
前記設定変更手段は、
前記サーチ成功回数に基づいて前記サーチ時間の長さを増加させた後、前記サーチ時間の長さが大きい順に前記サーチ順序を並べる、又は、前記サーチ失敗回数に基づいて前記サーチ時間の長さを減少させた後、前記サーチ時間の長さが大きい順に前記サーチ順序を並べることを特徴とする請求項2記載の情報読取装置。
【請求項4】
前記無線通信手段で実行されたサーチにより前記情報格納体の検出に成功したか失敗したかを判断する検出判断手段をさらに有し、
前記カウント手段は、
前記検出判断手段によって前記情報格納体の検出に成功したと判断された場合、前記サーチ成功回数として検出成功回数をカウントし、
前記検出判断手段によって前記情報格納体の検出に失敗したと判断された場合、前記サーチ失敗回数として検出失敗回数をカウントすることを特徴とする請求項2又は3記載の情報読取装置。
【請求項5】
前記無線通信手段で実行されたサーチにより前記情報格納体に格納されている情報の読取に成功したか失敗したかを判断する読取判断手段をさらに有し、
前記カウント手段は、
前記読取判断手段によって前記情報格納体に格納されている情報の読取に成功したと判断された場合、前記サーチ成功回数として読取成功回数をカウントし、
前記読取判断手段によって前記情報格納体に格納されている情報の読取に失敗したと判断された場合、前記サーチ失敗回数として読取失敗回数をカウントすることを特徴とする請求項2から4のいずれか1項に記載の情報読取装置。
【請求項6】
前記設定変更手段は、
前記カウント手段によるカウントが実行される度に、前記サーチ成功回数及び前記サーチ失敗回数の少なくとも一方に基づいて、前記設定情報に規定されている前記サーチ時間及び前記サーチ順序を変更することを特徴とする請求項2から5のいずれか1項に記載の情報読取装置。
【請求項7】
予め指定された前記設定情報の変更が行われるための変更条件が満たされたかどうかを判断する変更条件判断手段をさらに有し、
前記設定変更手段は、
前記変更条件判断手段によって前記変更条件が満たされたと判断された場合、前記カウント手段によってカウントされた前記サーチ成功回数及び前記サーチ失敗回数の少なくとも一方に基づいて、前記設定情報に規定されている前記サーチ時間及び前記サーチ順序を変更することを特徴とする請求項2から5のいずれか1項に記載の情報読取装置。
【請求項8】
予め情報を格納している情報格納体を検出し、前記情報を読み取ろうとするサーチを行うことで前記情報を読み取ることが可能であり、通信プロトコルの異なる複数種類の情報格納体毎に対応した複数種類のサーチを行うことが可能である情報読取装置が行う情報読取方法であって、
前記複数種類のサーチ毎に、サーチが実行される時間の長さを示すサーチ時間と、サーチが実行される順序を示すサーチ順序とが規定された設定情報を保存する設定情報保存ステップと、
実行されたサーチの結果に基づいて、前記設定情報に規定されている前記サーチ時間及び前記サーチ順序を自動的に変更する設定変更ステップと、
前記設定情報に基づいて、実行されるサーチを切り替えるサーチ切替ステップと、
を有することを特徴とする情報読取方法。
【請求項9】
前記実行されたサーチの結果として、前記サーチが成功した回数であるサーチ成功回数及び前記サーチが失敗した回数であるサーチ失敗回数の少なくとも一方をカウントするカウントステップを、前記設定変更ステップの前にさらに有し、
前記設定変更ステップでは、
前記カウントステップによってカウントされた前記サーチ成功回数及び前記サーチ失敗回数の少なくとも一方に基づいて、前記設定情報に規定されている前記サーチ時間及び前記サーチ順序を変更することを特徴とする請求項8記載の情報読取方法。
【請求項10】
前記設定変更ステップでは、
前記サーチ成功回数に基づいて前記サーチ時間の長さを増加させた後、前記サーチ時間の長さが大きい順に前記サーチ順序を並べる、又は、前記サーチ失敗回数に基づいて前記サーチ時間の長さを減少させた後、前記サーチ時間の長さが大きい順に前記サーチ順序を並べることを特徴とする請求項9記載の情報読取方法。
【請求項11】
予め情報を格納している情報格納体を検出し、前記情報を読み取ろうとするサーチを行うことで前記情報を読み取ることが可能であり、通信プロトコルの異なる複数種類の情報格納体毎に対応した複数種類のサーチを行うことが可能であるコンピュータに実行させるプログラムであって、
前記複数種類のサーチ毎に、サーチが実行される時間の長さを示すサーチ時間と、サーチが実行される順序を示すサーチ順序とが規定された設定情報を保存する設定情報保存処理と、
実行されたサーチの結果に基づいて、前記設定情報に規定されている前記サーチ時間及び前記サーチ順序を自動的に変更する設定変更処理と、
前記設定情報に基づいて、実行されるサーチを切り替えるサーチ切替処理と、
をコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。
【請求項12】
前記実行されたサーチの結果として、前記サーチが成功した回数であるサーチ成功回数及び前記サーチが失敗した回数であるサーチ失敗回数の少なくとも一方をカウントするカウント処理を、前記設定変更処理の前にコンピュータに実行させ、
前記設定変更処理として、
前記カウント処理によってカウントされた前記サーチ成功回数及び前記サーチ失敗回数の少なくとも一方に基づいて、前記設定情報に規定されている前記サーチ時間及び前記サーチ順序を変更する処理をコンピュータに実行させることを特徴とする請求項11記載のプログラム。
【請求項13】
前記設定変更処理として、
前記サーチ成功回数に基づいて前記サーチ時間の長さを増加させた後、前記サーチ時間の長さが大きい順に前記サーチ順序を並べる、又は、前記サーチ失敗回数に基づいて前記サーチ時間の長さを減少させた後、前記サーチ時間の長さが大きい順に前記サーチ順序を並べる処理をコンピュータに実行させることを特徴とする請求項12記載のプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−286966(P2010−286966A)
【公開日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−139093(P2009−139093)
【出願日】平成21年6月10日(2009.6.10)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【出願人】(000232092)NECソフト株式会社 (173)
【Fターム(参考)】