情報配信システム及び信号機制御システム
【課題】システムの導入コストを抑制し、緊急車両に関する情報の取得における即応性及び確実性を高めることが可能な技術を提供することを目的とする。
【解決手段】情報配信システムは、緊急車両1aに搭載された第1無線装置1と、それ以外の他の車両2aに搭載された第2無線装置2と、複数の基地局無線装置3と、統制局制御装置4とを備える。統制局制御装置4は、緊急車両の位置と目的地点とに基づいて緊急車両1aが走行すべき走行経路を決定する。走行経路に対応する基地局無線装置3は、統制局制御装置4の制御により、自装置の通信エリア内の第2無線装置2に、緊急車両1aに関する情報を送信する。
【解決手段】情報配信システムは、緊急車両1aに搭載された第1無線装置1と、それ以外の他の車両2aに搭載された第2無線装置2と、複数の基地局無線装置3と、統制局制御装置4とを備える。統制局制御装置4は、緊急車両の位置と目的地点とに基づいて緊急車両1aが走行すべき走行経路を決定する。走行経路に対応する基地局無線装置3は、統制局制御装置4の制御により、自装置の通信エリア内の第2無線装置2に、緊急車両1aに関する情報を送信する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、緊急車両が目的地点に向かって走行するのを助ける情報配信システム及び信号機制御システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、救急車やパトロールカー(パトカー)などの緊急車両が目的地に向かって走行する際には、当該緊急車両が、サイレン等の音や光を発することにより周辺車両に接近していることを通知している。しかしながら、周辺車両において窓が閉め切られて音楽がかけられていたり、周辺車両が見通しの悪い道路を走行したりしている場合には、周辺車両の運転者は緊急車両を目視可能となるまで認識できず、対応が遅れることがある。
【0003】
この問題を解決すべく、特許文献1には、緊急車両が接近している情報を放送する簡易VICS(Vehicle Information and Communication System)放送機を緊急車両に搭載するとともに、当該情報を受信するVICS対応カーナビゲーション機器を周辺車両に搭載する技術が開示されている。VICSからの情報は、カーナビゲーション機器などの車載器で受信され、文字や図形により表示される。したがって、この技術によれば、VISCを用いた情報の送受信により、周辺車両に徐行、別道路への通行を促すことができ、緊急車両の現場到着、運搬を迅速に行うことを可能にしている。なお、VICSは、財団法人道路交通情報通信システムセンターが提供するサービスであり、同センターで収集・処理・編集された情報(例えば、渋滞・走行規制情報や特定区間の走行に要する時間情報、事故や工事情報)が、通信・放送メディア(例えば、電波、光、FM多重放送及び地上デジタルラジオ)によって送信される。
【0004】
また、特許文献2には、緊急車両と周辺車両との直接的な通信による通知手段を用いて、緊急車両の接近を検出する技術が開示されている。具体的には、周辺車両に搭載された電波検出装置が、緊急車両から発せられる電波の方向や角度を相対位置によるパターン別に解析し緊急車両を検出する。この技術によっても、周辺車両に徐行、別道路への通行を促すことが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−172988号公報
【特許文献2】特開2001−134894号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
さて、特許文献1に開示の技術ではVICSが用いられるが、VICSの提供する情報が都道府県単位で管理されている場合において緊急車両が境界を超えると、周辺車両において緊急車両に関する情報を受け取ることができない場合がある。また、VICSは、渋滞や事故の情報など配信遅延がある程度許容される情報を配信するものであるから、緊急車両情報を配信することには好適ではない。また、法人が提供するVICSインフラに、新規サービスの追加を開発・構築するにあたり、システムの導入コストが高くつくことが懸念される。
【0007】
一方、特許文献2の技術では、実環境においては、電波干渉などを含めて環境的要因が不確定であり、解析パターンが非常に多様であることから、即応性や確実性に欠ける。また、電波が届く距離まで接近して初めて緊急車両を検出することができるものであり、実用は困難であると考えられる。
【0008】
そこで、本発明は、上記のような問題点を鑑みてなされたものであり、システムの導入コストを抑制し、緊急車両に関する情報の取得における即応性及び確実性を高めることが可能な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る情報配信システムは、緊急車両に搭載された第1無線装置と、前記緊急車両以外の他の車両に搭載された第2無線装置と、前記第1及び第2無線装置と無線通信を行う複数の基地局無線装置と、当該複数の基地局無線装置を統制する統制局制御装置とを備える。前記統制局制御装置は、前記緊急車両の位置と前記緊急車両が到達すべき目的地点とを、前記第1無線装置から前記基地局無線装置を介して取得した場合に、当該位置及び当該目的地点に基づいて前記緊急車両が走行すべき走行経路を決定する。前記走行経路に対応する前記基地局無線装置は、前記統制局制御装置の制御により、自装置の通信エリア内の前記第2無線装置に、前記緊急車両に関する情報を送信する。
【0010】
また、上記と別構成として、本発明に係る情報配信システム、緊急車両に搭載された第1無線装置と、前記緊急車両以外の他の車両に搭載された第2無線装置と、前記第1及び第2無線装置と無線通信を行うとともに、互いに無線通信を行う複数の基地局無線装置とを備える。前記複数の基地局無線装置の少なくとも一つは、前記緊急車両の位置と前記緊急車両が到達すべき目的地点とを前記第1無線装置から取得した場合に、当該位置及び当該目的地点に基づいて前記緊急車両が走行すべき走行経路を決定する。前記走行経路に対応する前記基地局無線装置は、自装置の通信エリア内の前記第2無線装置に、前記緊急車両に関する情報を送信する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、既設の無線通信システムを一部変更したものであり、既設の無線通信システムを利用したものであるから、システムの導入コストを抑制することができる。また、電波干渉などの解析パターンを用いなくて済むことから、緊急車両に関する情報の取得における即応性及び確実性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】実施の形態1に係る情報配信システムの構成を示す図である。
【図2】実施の形態1に係る緊急車両が送信するMMの構成を示す図である。
【図3】実施の形態1に係る緊急車両が送信するMMの構成を示す図である。
【図4】実施の形態1に係る緊急車両が送信するMMの構成を示す図である。
【図5】実施の形態1に係るサービス開始シーケンスを示す図である。
【図6】実施の形態1に係るサービス開始シーケンスを示す図である。
【図7】実施の形態1に係るサービス開始シーケンスを示す図である。
【図8】実施の形態1に係るサービス開始シーケンスを示す図である。
【図9】実施の形態1に係るサービスフローを示すフローチャートである。
【図10】実施の形態1に係るサービスフローを示すフローチャートである。
【図11】実施の形態2に係る情報配信システムの構成を示す図である。
【図12】実施の形態3に係る情報配信システムの構成を示す図である。
【図13】防災無線システムの持つ主な通信機能を示す図である。
【図14】防災無線システムの構成を示す図である。
【図15】防災無線システムを構成する主な局の定義を示す図である。
【図16】防災無線システムにおけるフレーム構成を示す図である。
【図17】防災無線システムにおけるフレーム構成を示す図である。
【図18】機能チャネルの分類を示す図である。
【図19】機能チャネルの定義を示す図である。
【図20】物理チャネルと機能チャネルとの対応関係を示す図である。
【図21】チャネル利用の状況を示す図である。
【図22】基地局通信におけるチャネル使用例を示す図である。
【図23】基地局通信におけるチャネル使用例を示す図である。
【図24】基地局通信におけるチャネル使用例を示す図である。
【図25】基地局のキャリアと移動局の数との関係の一例を示す図である。
【図26】レイヤ3の構造を示す図である。
【図27】レイヤ3の信号フォーマットを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
<実施の形態1>
まず、本発明の実施の形態1に係る情報配信システムについて説明する前に、当該システムが利用する既設インフラである防災無線システムについて説明する。図13は、防災無線システムの持つ主な通信機能を示す図であり、図14は、防災無線システムの構成を示す図であり、図15は、防災無線システムを構成する主な局の定義を示す図である。
【0014】
この防災無線システムにおいては、レイヤ1(物理レイヤ)、レイヤ2(データリンクレイヤ)、及びレイヤ3(ネットワークレイヤ)という通信制御の階層を扱う。以下、レイヤ1〜レイヤ3について詳しく説明する。
【0015】
<レイヤ1(物理レイヤ)>
レイヤ1においては、レイヤ2とマネジメントエンティティとにサービスを提供し、レイヤ2とマネジメントエンティティとから提供されるサービスを利用する。
【0016】
図16は、防災無線システムにおける下りフレーム(TDM)及び上りフレーム(TDMA)のフレーム構成を示す図である。無線通信は、基地局から移動局に下りフレームの無線信号を送信するTDMと、移動局から基地局に上りフレームの無線信号を送信するTDMAとによって行われる。システムには、その規模に応じて1又は複数の無線キャリア(無線信号の周波数)が割り当てられている。システムに割り当てられた各無線キャリア上において、最小通信単位を規定する時間軸上の区間はスロットと呼ばれ、整数個のスロットで構成される無線キャリア上でのスロットの繰り返し周期はフレームと呼ばれる。
【0017】
スロットには、通信リンクの設定等の通信制御のためにシステム内の全ユーザが共通に使用(アクセス)できる「共通使用スロット」と、通信リンク設定に伴ってシステム内の各ユーザに割り当てられ、割り当てられたユーザのみが使用できる「個別割当スロット」とが存在する。なお、共通使用スロットを含む無線キャリアは制御用キャリアと呼ばれ、個々のシステムには、制御用キャリアとして使用できる1以上の無線キャリアを割り当てることができる。一方、個別割当スロットのみから構成される無線キャリアは通信用キャリアと呼ばれ、制御用キャリアを除く残りの無線キャリアを割り当てることができる。
【0018】
同図16に示されるフレーム構成としては、1つの無線キャリア上での多重数が4であることから、4スロット長(40ms)を基本フレーム長とする。上りフレームと下りフレームは対を構成し、上りフレームに対する下りフレームの時間的な遅れ(20ms)をフレームオフセットと呼ぶ。逆に下りフレームに対する上りフレームの時間的な遅れ(20ms)を送受信オフセットと呼ぶ。送受信オフセットは、(フレーム長)−(フレームオフセット)とうい減算により与えられる。
【0019】
図17は、フレーム構成例を示す図である。図17に示されるように、18フレーム長(フレーム長の18倍)を単位としてスーパーフレームが規定されている。1フレーム周期は40ms(4スロット構成)であり、1スーパーフレーム周期は720ms(18フレーム構成)である。
【0020】
フレームは、無線チャネルの多重化構造を規定するものであり、原則として各フレーム内の同一位置にあるスロットの集合により無線チャネルが構成される。無線チャネルは、共通使用スロットにより構成される「制御用物理チャネル」と、同一位置にある個別割当スロットにより構成される「通信用物理チャネル」とに区分できる。制御用物理チャネル及び通信用物理チャネルは、スロットごとに独立して存在しており、同図17に示されるように1キャリア内に混在する場合もある。
【0021】
物理チャネル(制御用物理チャネル及び通信用物理チャネルの総称)には、複数種類の機能チャネル(CCH)が配置される。図18は機能チャネルの分類を示す図であり、図19は各機能チャネルの定義を示す図であり、図20は物理チャネルと機能チャネルとの対応関係を示す図である。
【0022】
図18に示されるように、機能チャネル(CCH)は、CAC(共通アクセスチャネル)と、USC(ユーザ個別チャネル)とに大別することができる。CACは、BCCH、CCCH(PCH、SCCH)、UPCHに区分することができ、USCは、TCH、ACCH(FACCH、SACCH)、RCH,SBに区分することができる。
【0023】
図20に示されるように、例えば、下り制御用物理チャネルには、BCCH、PCH、SCCHという機能チャネルが配置され、これら機能チャネルが、スーパーフレーム内の定められた位置に配置される。一方、上り制御用物理チャネルにはすべてSCCHが配置される。なお、UPCHは、上り制御用物理チャネル及び下り制御用物理チャネルのいずれにも配置可能である。通信用物理チャネルでは、各スロット内のビットがSACCH/RCH、TCH/FACCHに配分され、当該機能チャネルが構成される。
【0024】
図21は、2波の基地局キャリアに対するチャネル利用の状況を示す図である。ここでは、基地局キャリア1波当たり4チャネルが割り当てられている。そして、1波目の4チャネルのうちの1チャネルは制御用物理チャネルであり、1波目と異なる周波数で同時に送られる2波目以降は4チャネルを全て通話チャネルとして使用可能となっている。この場合には、基地局キャリア数と通話チャネル数の関係は、次式(1)で表される。例えば、基地局キャリアが2波である場合には、通話に使用できる最大のチャネル数は7となる。
【0025】
【数1】
【0026】
次に、防災無線システムの通信経路について説明する。このシステムの通信経路には、基地局を経由する「基地局通信」と、基地局を経由せずに移動局が直接相互に通信する「移動局間直接通信」の2通りがある。本実施の形態に係るシステムは、前者、つまり「基地局通信」を前提とするため、以下、当該基地局通信におけるチャネル使用例を3通り説明する。
【0027】
図22は、基地局を統制する統制局と移動局とが、当該基地局を介して、互いに通信を行う例を示す図である。この例では、基地局は、統制局から受信した移動局Aに与えるべき情報を周波数F1のチャネル1に含めて移動局Aに送信するとともに、統制局から受信した移動局Bに与えるべき情報を周波数F1のチャネル2に含めて移動局Bに送信する。移動局Aは、周波数F1のチャネル1から情報を取得するとともに、統制局に送信すべき情報を周波数f1のチャネル1に含めて基地局に送信する。移動局Bは、周波数F1のチャネル2から情報を取得するとともに、統制局に送信すべき情報を周波数f1のチャネル2に含めて基地局に送信する。基地局は、周波数f1のチャネル1,2に含まれる情報を統制局に与える。以上のような図22に示される通信は、複信方式となり、最大同時通話数は上述の式(1)により求められる通話チャネル数と等しくなり、ここでは最大7通話可能となる。
【0028】
図23は、移動局同士が基地局を介して1対1で通信を行う例を示す図である。この例では、移動局Aは、移動局Bに与えるべき情報を周波数f1のチャネル1に含めて基地局に送信する。移動局Bは、移動局Aに与えるべき情報を周波数f1のチャネル2に含めて基地局に送信する。基地局は、周波数f1のチャネル1から情報を取得するとともに、当該情報を周波数F1のチャネル2に含めて移動局Bに送信する。また、基地局は、周波数f1の無線信号のチャネル2から情報を取得するとともに、当該情報を周波数F1のチャネル1に含めて移動局Aに送信する。移動局A,Bは、周波数F1のチャネル1,2に含まれる情報をそれぞれ取得する。以上のような図23に示される通信には、複信方式と単信方式とがある。複信方式の場合には、携帯電話と同様の双方向同時通話が可能となるが、最大同時通話数は、上述の式(1)により求められる通話チャネル数(Tn)を用いて次式(2)のように表され、ここでは最大3通話可能となる。
【0029】
【数2】
【0030】
図24は、移動局同士が基地局を介して交互に行う通信であって、専用通信やグループ通信によって1対nで通信を行う例を示す図である。この例では、図23を用いて説明した通信と同様に通信が行われる。ただし、この通信では、プレストークによる単信方式となり、統制局と移動局との間の単信方式や、基地局を介した移動局間の単信方式と同様に、1通話あたり1チャネルが必要となることから、最大同時通話数は上述の式(1)により求められる通話チャネル数(Tn)と等しくなり、ここでは最大7通話可能となる。
【0031】
以上のように構成される防災無線システムにおいて、一つの基地局が使用できる無線信号の周波数(キャリア)は、当該一つの基地局に加入する移動局数と端末局数との合計によって規定されている。図25に、電波法関係審査基準によって規定される、基地局のキャリアと移動局の数との関係の一例を示す。
【0032】
<レイヤ2(データリンクレイヤ)>
レイヤ2においては、レイヤ1のビット列伝送機能を利用して、ノード間でデータ伝送を実現するためのリンクアクセス手順LAPDM(Link Access Procedure for Digital Mobile Channel)を規定する。LAPDMの目的は、機能チャネル(CCH)により、レイヤ3エンティティ同士が、公共業務用デジタル移動通信システムでの無線区間インタフェースを介して情報を転送することである。
【0033】
データリンクレイヤの動作には、レイヤ3の情報転送の方法として、非確認形、確認形という2つの動作が規定されており、これら動作は1つのCCH上に共存し得る。BCCH、PCHは非確認形動作のみを、SCCH、SACCH、FACCH、UPCHは双方の動作を提供する。次に、非確認形動作及び確認形動作について詳細に説明する。
【0034】
まず、非確認形動作について説明する。非確認形動作では、レイヤ3の情報は、送達確認が行われない非番号制情報(UI:Unnumbered Information)フレームで伝送される。たとえ、伝送、フォーマットのそれぞれに誤りが検出された場合でも、誤り回復の機構は設定されない。また、フロー制御手順(制御機構)も規定されない。このような非確認形動作は例えば単発的なデータ送信に用いられる。また、非確認形動作は、一つのポイントと一つのポイントとの間の情報転送だけでなく、一つのポイントと複数のポイントとの間の情報転送(放送形式の情報転送)にも適用できる。すなわち、UIフレームは特定のエンドポイントにも送ることができるし、特定のサービスアクセスポイント識別子(SAPI)に対応した複数のエンドポイントにも送ることができる。
【0035】
次に確認形動作について説明する。確認形動作では、レイヤ3の情報が、データリンクレイヤで送達確認が行われる情報(I)フレームで転送される。そして、送達確認されなかった場合には、送達されていない旨に対応するフレームを再送することにより誤り回復を行う。データリンクレイヤで回復できない誤りについては、マネジメントエンティティへ通知される。フロー制御手順も規定される。このような確認形動作は例えば確実なデータ送信を行うのに用いられる。また、確認形動作は、一つのポイントと一つのポイントとの間の情報転送のみに適用できる。確認形動作は、マルチフレーム動作でのみ定義される。マルチフレーム動作は、拡張非同期平衡モードに設定するための拡張非同期平衡モード設定(SABME)コマンド、または、情報付拡張非同期平衡モード設定(SABMEI)コマンドを用いたマルチフレーム設定手順によって開始する。
【0036】
<レイヤ3(ネットワークレイヤ)>
レイヤ3においては、都道府県・市町村デジタル移動通信システムでの無線区間インタフェースにおけるネットワークコネクションの設定、維持、切替、切断、復旧及び移動局の位置登録の手順を規定する。これらの手順は、図18に示されるCAC及びUSCを介して交換されるメッセージに関して適用され、無線管理、移動管理、呼制御に必要な特質、手順及びメッセージを規定することを目的としている。つまり、このレイヤ3で規定している手順は、回線交換コネクションを制御するためのものである。
【0037】
レイヤ3の手順は、レイヤ2の機能とサービスを利用するものであり、レイヤ2で定義したプリミティブを用いてレイヤ2のサービスを要求すること、及び、レイヤ2からの情報受信等を行う。これらのプリミティブは、プロトコルレイヤ間の通信を示すのに用いられるが、インプリメンテーションを規定するものではない。
【0038】
次に、レイヤ3の定義について説明する。レイヤ3においては、無線管理(RT:Radio Frequency Transmission Management)と、移動管理(MM:Mobility Management)と、呼制御(CC:Call Control)とが定義されている。RTは、無線資源の管理に関する機能を有する。なお、この機能は無線ゾーン選択、無線回線の設定、維持、切替及び切断等の機能を含んでいる。MMは、移動局の移動性支援に関する機能を有する。なお、この機能は位置登録を含んでいる。CCは、回線呼接続制御に関する機能を有する。なお、この機能は呼設定、維持及び解放機能を含んでいる。
【0039】
図26は、レイヤ3の構造を示す図である。RT、MM、CCは独立な構成とされるが、信号送受信の効率を考慮して、無線区間のインタフェース上ではRT、MM、CCを多重した信号が送信される。その一方で、受信した多重信号をRT、MM、CCに分離する相乗り機構が規定されている。RT、MM、CCの各レイヤ3エンティティは、相乗り機構を介してデータリンクレイヤと通信を行う。
【0040】
図27は、レイヤ3の信号フォーマットを示す図である。相乗り表示部には、信号受信側が、RT、MM、CCの各信号を分離するために必要な情報が含まれている。レイヤ3の各信号フィールドはRT−MM−CCの順に現れ、相乗りが無い信号フィールドに関しては、そのフィールドが詰められて、1つまたは2つのレイヤ2のフレームで送られる。相乗りはRT、MM、CCのそれぞれをレイヤ2のフレームで送ることを可能にするが、2つ以上のレイヤ3の同一機能の信号(例えば2つのRT信号)を相乗りさせて送ることはできない。
【0041】
<情報配信システム>
さて、本実施の形態に係る情報配信システムは、以上の防災無線システムの既設インフラを利用することによって、救急車やパトカーなどの緊急車両に関する情報(例えば、緊急車両がどの方角からどの方角に向けて走行しているかを特定する情報)を、緊急車両の走行経路周辺の車両に迅速かつ正確に通知することが可能となっている。以下、このような情報配信システムについて説明する。
【0042】
図1は、本実施の形態に係る情報配信システムの構成を示す図である。図1に示すように、緊急車両1aに搭載された第1無線装置1と、緊急車両1a以外の他の車両2aに搭載された第2無線装置2と、複数の基地局無線装置3と、統制局制御装置4とを備える。なお、第1及び第2無線装置1,2のそれぞれは、上述の防災無線システムの移動局(車携帯型無線装置)として機能し、複数の基地局無線装置3のそれぞれは、上述の防災無線システムの基地局(中継局)として機能する。
【0043】
緊急車両1aには、緊急車両1aが到達すべき目的地点(例えば病院)を取得する目的地点取得部(図示せず)、及び、緊急事態を検定する緊急事態検知部(図示せず)が設けられている。この目的地点取得部及び緊急事態検知部には、例えば、緊急車両1aの入力操作を受け付ける操作部が該当する。また、緊急車両1aには、緊急車両1aの位置を取得する位置取得部(図示せず)が搭載されている。この位置取得部には、例えば、上述の操作部や、GPS(Global Positioning System)が該当する。本実施の形態において、緊急車両1aに搭載された第1無線装置1は、緊急車両1aの位置と、緊急車両1aが到達すべき目的地点とを上述のレイヤ3のMMに含むSCCH電文を、複数の基地局無線装置3に送信する。
【0044】
図2は、本実施の形態に係るMMの構成を示す図である。図2に示されるように、MMは、1オクテットを有するメッセージ種別と、複数のオクテットを有する情報要素群フィールドとから構成されている。
【0045】
図3は、MMのメッセージ種別を示す図であり、図4は、MMの情報要素群フィールドを示す図である。図3に示されるように、メッセージ種別は、8ビットの「0」と「1」との組合せで特定されるメッセージであり、例えば、「0,0,1,0,0,0,1,0」である場合には、「位置登録受付」というメッセージが特定される。
【0046】
図4に示されるように、情報要素群フィールドは、当該フィールドの情報要素長(オクテット数)を指定する登録番号内容と、番号ディジットの桁数が偶数及び奇数のいずれであるかを示す奇数/偶数表示と、番号種別と、番号ディジットとから構成されている。本実施の形態では、緊急車両1aの位置と、緊急車両1aが到達すべき目的地点とが、番号ディジットにおいてデジタル形式で割り当てられる。より具体的には、第1無線装置1は、位置取得部で取得された緊急車両1aの位置と、目的地点取得部で取得された目的地点とをMMに含めて複数の基地局無線装置3に送信する。
【0047】
図1に戻って、複数の基地局無線装置3は、例えば、260MHzの周波数を有する無線信号を用いて、第1無線装置1及び第2無線装置2と無線通信を行う。本実施の形態では、複数の基地局無線装置3のいくつかは、他の基地局無線装置3と統制局制御装置4との間で地上インフラ7を介して通信を行い、複数の基地局無線装置3のいくつかは、他の基地局無線装置3との間で無線を介して通信を行う。以上のように構成された複数の基地局無線装置3は、緊急車両1aの第1無線装置1から送信されたSCCH電文に含まれる緊急車両1aの位置と目的地点を、地上インフラ7を介して統制局制御装置4に与えることが可能となっている。なお、本実施の形態では、1以上の基地局無線装置3がグループ5という単位でグループ化されており、それよりも多い数の基地局無線装置3がエリア6という単位でグループ化されている。
【0048】
統制局制御装置4は、複数の基地局無線装置3を統制する。また、統制局制御装置4は、緊急車両1aの位置と、緊急車両1aが到達すべき目的地点とを、第1無線装置1から基地局無線装置3を介して取得した場合に、地図上での当該位置及び当該目的地点に基づいて緊急車両1aが走行すべき走行経路を決定する。そして、決定した当該走行経路上に通信エリアを有する基地局無線装置3が、その通信エリア内の第2無線装置2に向けて緊急車両1aに関する情報を通知するように、統制局制御装置4は複数の基地局無線装置3を制御する。つまり、決定された走行経路に対応する基地局無線装置3は、統制局制御装置4の制御により、自装置の通信エリア内の第2無線装置2に緊急車両1aに関する情報を通知する。
【0049】
本実施の形態では、統制局制御装置4は、直接統制可能な先頭の基地局無線装置3(以下「先頭基地局無線装置3a」と呼ぶ)に対して、図13に記載された一斉通信電文を作成・送信する指示を出す。一斉通信電文の作成・送信指示を受けた先頭基地局無線装置3aは一斉通信電文を作成する。その後、先頭基地局無線装置3aは、自装置が属するエリア6・グループ5配下に、地上インフラ7または無線を介して通信可能な他の基地局無線装置3が存在するかを判定する。地上インフラ7を介して通信可能な他の基地局無線装置3が存在すると判定された場合には、先頭基地局無線装置3aから当該他の基地局無線装置3に対して一斉通信電文を中継する指示が出される。無線を介して通信可能な他の基地局無線装置3が存在する場合と判定された場合には、先頭基地局無線装置3aから当該他の基地局無線装置3に対して一斉通信電文を中継する指示が出される。
【0050】
このような一斉通信電文の作成・指示は、先頭基地局無線装置3aのエリア6・グループ7配下の各基地局無線装置3において順次に行われる。そして、地上インフラ7または無線を介して通信可能な他の基地局無線装置3が存在しないと判定された場合には、当該判定を行った後尾の基地局無線装置3(以下「後尾基地局無線装置3b」と呼ぶ)が、自装置の通信エリア内の第2無線装置2に対し、無線を介して報知情報を繰り返し送信する。そして、報知情報を一定回数送信した後尾基地局無線装置3bは、自装置の通信エリア内の第2無線装置2に、緊急車両1aに関する情報(例えば緊急車両1aが走行する方角)を中継する。なお、本実施の形態においては、後尾基地局無線装置3bは、道路沿いに設けられているものとする。
【0051】
第2無線装置2が搭載された車両2aは、当該第2無線装置2に通知された緊急車両1aに関する情報を表示するカーナビゲーション機器2bを備えている。なお、このカーナビゲーション機器2bは、第2無線装置2と一体化された機器であってもよいし、第2無線装置2とは個別の機器であってもよい。上述の報知情報を受信した第2無線装置2は、その後、当該報知情報を送信した後尾基地局無線装置3bから別の信号を受信して、当該後尾基地局無線装置3bと無線通信を行うための周波数に切り替える。そして、第2無線装置2が、後尾基地局無線装置3bから当該周波数で送信される一斉通信電文により、緊急車両1aに関する情報を受信した場合には、その車両2aのカーナビゲーション機器2bが、当該緊急車両1aに関する情報を表示する。
【0052】
<サービス開始シーケンス>
図5及び図6は、本実施の形態に係る情報配信システムのサービス開始シーケンスを示す図である。以下、これらの図を用いて、サービス開始シーケンスについて説明する。
【0053】
ステップS1及びS2にて、緊急車両1aの第1無線装置1は、複数の基地局無線装置3を介して統制局制御装置4に緊急事態を通知する通知シーケンスを行う。
【0054】
具体的には、ステップS1にて、第1無線装置1は、緊急事態が発生した際に不特定の基地局無線装置3に向けてUI電文を送信する。UI電文を受信した基地局無線装置3(以下、「基地局無線装置3c」と呼ぶ)は、UI電文を用いて、自装置の情報(エリア・周波数等)を第1無線装置1に通知する。基地局無線装置3cから通知を受けた第1無線装置1は、その通知に含まれる周波数情報に基づいて、基地局無線装置3cと無線通信を行うための周波数切替を行う。
【0055】
ステップS2にて、第1無線装置1は、緊急車両1aの位置と目的地点とをMMに含めたSCCH要求電文を基地局無線装置3cに向けて通知し、基地局無線装置3cは、地上インフラ7等を介して当該SCCH要求電文を統制局制御装置4に転送する。その後、統制局制御装置4は、地上インフラ7等を介してSCCH応答電文を基地局無線装置3cに通知し、基地局無線装置3cは、当該SCCH応答電文を第1無線装置1に通知する。
【0056】
ステップS3にて、統制局制御装置4は、基地局無線装置3cからのSCCH要求電文に含まれる緊急車両1aの位置と目的地点とに基づいて走行経路を決定し、緊急車両1aの位置及び走行経路の情報を、GPSシステムと連動させて登録する。そして、統制局制御装置4は、GPSシステムから得られる情報に基づいて、当該走行経路上に通信エリアを有する複数の後尾基地局無線装置3b(以下「複数の走行経路周辺装置3d」と呼ぶ)を特定する。つまり、統制局制御装置4は、走行経路上の通信エリアを包括する複数の走行経路周辺装置3dを特定する。
【0057】
ステップS4にて、統制局制御装置4は、ステップS3で特定した複数の走行経路周辺装置3dを介して、当該走行経路周辺に存在する車両2aの第2無線装置2に報知情報を送信する送信シーケンスを行う。具体的には、統制局制御装置4は複数の走行経路周辺装置3dに報知情報を通知する。統制局制御装置4から通知を受けた各走行経路周辺装置3dは、各通信エリア内に存在する第2無線装置2に報知情報を転送する。なお、走行経路周辺装置3dから第2無線装置2への報知情報の通知は、走行経路周辺装置3dが統制局制御装置4からのサービス停止の通知を受けるまで繰り返される。
【0058】
図6に示されるステップS5にて、統制局制御装置4は、複数の走行経路周辺装置3dに一斉通信を行う旨を通知する。統制局制御装置4から通知を受けた各走行経路周辺装置3dは、各通信エリア内に存在する第2無線装置2に一斉通信することを事前に通知する。なお、この通知は一定回数行われる。
【0059】
ステップS6にて、統制局制御装置4は、複数の走行経路周辺装置3dを介して、走行経路周辺に存在する車両2aの第2無線装置2に周波数切替を行わせる。具体的には、統制局制御装置4は、複数の走行経路周辺装置3dに同期バースト(SB:Synchronization Burst)を送信し、統制局制御装置4からの同期バーストを受けた各走行経路周辺装置3dは、各通信エリア内に存在する第2無線装置2に一斉通信で転送する。そして、同期バーストを受けた第2無線装置2は、それに含まれる周波数情報に基づいて、対応する走行経路周辺装置3dと無線通信を行うための周波数切替を行う。なお、一斉通信は一定回数行われるか、統制局制御装置4がサービス停止と判定するまで繰り返される。
【0060】
ステップS7にて、統制局制御装置4は、複数の走行経路周辺装置3dを介して、走行経路周辺に存在する車両2aの第2無線装置2に、緊急車両1aに関する情報を与える。具体的には、統制局制御装置4は、複数の走行経路周辺装置3dに、緊急車両1aに関する情報を送信し、緊急車両1aに関する情報を受けた各走行経路周辺装置3dは、各通信エリア内に存在する第2無線装置2に、緊急車両1aに関する情報を一斉通信で転送する。なお、一斉通信は一定回数行われるか、統制局制御装置4がサービス停止と判定するまで繰り返される。また、統制局制御装置4は、緊急車両1aが通過した通信エリアを有する走行経路周辺装置3dに、緊急車両1aの緊急が解除された旨の情報(以下「緊急解除情報」と呼ぶ)を送信する。
【0061】
<サービス終了シーケンス>
図7及び図8は、本実施の形態に係る情報配信システムのサービス終了シーケンスを示す図である。以下、これらの図を用いて、サービス終了シーケンスについて説明する。
【0062】
ステップS11及びS12にて、緊急車両1aの第1無線装置1は、複数の基地局無線装置3を介して統制局制御装置4にサービス停止を通知する通知シーケンスを行なう。
【0063】
具体的には、ステップS11にて、第1無線装置1は、目的地点に到達した場合などに不特定の基地局無線装置3に向けてUI電文を送信する。UI電文を受信した基地局無線装置3(以下、「基地局無線装置3e」と呼ぶ)は、UI電文を用いて、自装置の情報(エリア・周波数等)を第1無線装置1に通知する。基地局無線装置3eから通知を受けた第1無線装置1は、その通知に含まれる周波数情報に基づいて、基地局無線装置3eと無線通信を行うための周波数切替を行う。
【0064】
ステップS12にて、第1無線装置1は、緊急車両1aの位置のみをMMに含めたSCCH要求電文を、基地局無線装置3eを介して統制局制御装置4に通知する。その後、統制局制御装置4は、SCCH応答電文を、基地局無線装置3eを介して第1無線装置1に通知する。
【0065】
ステップS13にて、統制局制御装置4は、基地局無線装置3eからのSCCH要求電文に含まれる緊急車両1aの位置に基づいて、GPSシステムと連動させて登録していた情報を削除する。
【0066】
ステップS14にて、統制局制御装置4は、ステップS3で特定した複数の走行経路周辺装置3dに一斉通信を行う旨を通知する。統制局制御装置4から通知を受けた各走行経路周辺装置3dは、各通信エリア内に存在する第2無線装置2に一斉通信することを事前に通知する。なお、この通知は一定回数行われる。
【0067】
図8に示されるステップS15にて、統制局制御装置4は、複数の走行経路周辺装置3dを介して、走行経路周辺に存在する車両2aの第2無線装置2に周波数切替を行わせる。具体的には、統制局制御装置4は、複数の走行経路周辺装置3dに同期バーストを送信し、統制局制御装置4からの同期バーストを受けた各走行経路周辺装置3dは、各通信エリア内に存在する第2無線装置2に一斉通信で転送する。そして、同期バーストを受けた第2無線装置2は、それに含まれる周波数情報に基づいて、対応する走行経路周辺装置3dと無線通信を行うための周波数切替を行う。なお、一斉通信は一定回数行われる。
【0068】
ステップS16にて、統制局制御装置4は、複数の走行経路周辺装置3dを介して、走行経路周辺に存在する車両2aの第2無線装置2に、緊急車両1aの緊急解除情報を与える。具体的には、統制局制御装置4は、複数の走行経路周辺装置3dに、緊急解除情報を送信し、緊急解除情報を受けた各走行経路周辺装置3dは、各通信エリア内に存在する第2無線装置2に、緊急解除情報を一斉通信で転送する。なお、一斉通信は一定回数行われる。
【0069】
ステップS17にて、統制局制御装置4は、基地局無線装置3に対してサービス停止の通知を送信する。
【0070】
<サービスフロー>
図9及び図10は、本実施の形態に係る情報配信システムが、上述のサービス開始シーケンスとサービス終了シーケンスとの動作を行う手順を示すフローチャートである。以下、これらの図を用いて、サービス動作について説明する。なお、以下の説明では、上述のサービス開始シーケンスとサービス終了シーケンスにおけるステップ番号を適宜付している。
【0071】
ステップS21にて、緊急車両1aが緊急事態を検知する。
【0072】
ステップS22にて、緊急車両1aは、検知した緊急事態の状況に変化があるかを定期的に確認する。状況に変化があった場合にはステップS23に進み、そうでない場合には本確認動作を繰り返す。
【0073】
ステップS23にて、緊急車両1aは、ステップS22で確認された状況変化の内容を、統制局制御装置4に通知する必要があるかを判定する。通知する必要があると判定された場合にはステップS24に進み、そうでない場合にはステップS22に戻って確認動作を行う。
【0074】
ステップS24にて、緊急車両1aは、ステップS22で確認された状況変化の内容が、緊急事態の終了(例えば、緊急車両1aが目的地点に到達した場合、または、サービス終了)であるか、緊急事態の発生または変更(例えば、目的地点の変更)であるかを判定する。緊急事態の終了であると判定された場合にはステップS25に進み、緊急事態の発生または変更であると判定された場合にはステップS26に進む。
【0075】
ステップS25にて、第1無線装置1は、緊急車両1aの位置のみを含めたSCCH要求電文を作成し、複数の基地局無線装置3を介して当該SCCH要求電文を統制局制御装置4に通知する(ステップS12)。その後、ステップS46に進む。
【0076】
ステップS26にて、第1無線装置1は、緊急車両1aの位置と目的地点とを含めたSCCH要求電文を作成する。そして、ステップS27にて、第1無線装置1は、UI電文を用いて、不特定の基地局無線装置3と無線通信を行うための周波数切替を行う(ステップS1)。ステップS28にて、第1無線装置1は、切替後の周波数を有する無線信号に、ステップS26で作成したSCCH要求電文を含めて、複数の基地局無線装置3を介し統制局制御装置4に通知する。ステップS29にて、統制局制御装置4は、当該SCCH要求電文を受信すると、SCCH応答電文を、複数の基地局無線装置3を介して第1無線装置1に通知する(ステップS2)。
【0077】
ステップS30にて、統制局制御装置4は、SCCH要求電文に含まれる緊急車両1aの位置と目的地点とに基づいて走行経路を決定し、緊急車両1aの位置及び走行経路の情報を、GPSシステムと連動させて登録する。その後、ステップS41に進む。
【0078】
図10に示されるステップS41にて、統制局制御装置4は、GPSシステムから得られる情報に基づいて、複数の走行経路周辺装置3dを特定する(ステップS3)。
【0079】
ステップS42にて、統制局制御装置4は、複数の走行経路周辺装置3dを介して、緊急車両1aの走行経路周辺に存在する車両2aの第2無線装置2に、報知情報を送信する(ステップS4)とともに、一斉通信を行うことを事前に通知する(ステップS5)。ステップS43にて、走行経路周辺装置3dと、第2無線装置2とが無線接続することができるように、走行経路周辺装置3dは、第2無線装置2の周波数を切り替える(ステップS6)。ステップ44にて、統制局制御装置4は、複数の走行経路周辺装置3dを介して、第2無線装置2に、緊急車両1aに関する情報を一斉通信で転送する(ステップS7)。
【0080】
ステップS45にて、第2無線装置2が、緊急車両1aに関する情報を受信すると、当該第2無線装置2を搭載している車両2aのカーナビゲーション機器2bは、当該緊急車両1aに関する情報を表示する。
【0081】
ステップS46にて、統制局制御装置4は、位置のみを含むSCCH要求電文(ステップS25に係るSCCH要求電文)を受信したかを判定する。当該SCCH要求電文を受信したと判定された場合にはステップS47に進み、そうでない場合にはステップ41に戻る。このように、統制局制御装置4は、ステップS25に係るSCCH要求電文を受信するまで、ステップS41〜S45を繰り返し行うことから、上述の複数の走行経路周辺装置3dは随時更新されることになる。
【0082】
ステップS47にて、サービス終了シーケンスで説明したステップS13〜S17までの動作が行われ、サービスが終了する。
【0083】
以上のような本実施の形態に係る情報配信システムは、既設の無線通信システムを一部変更したものであり、既設の無線通信システムを利用したものであるから、システムの導入コストを抑制することができる。また、特許文献2に開示の技術のような電波干渉などの解析パターンを用いなくて済むことから、緊急車両1aに関する情報の取得における即応性及び確実性を高めることができる。また、緊急車両1aが都道府県などの境界を超えても、車両2aにおいて緊急車両1aに関する情報を取得可能となることが期待できる。また、地域ごとの特有の問題(密集地帯や電波が届かない場所)に合わせて基地局無線装置3を施設することができることから、柔軟なサービスの提供が可能となる。
【0084】
また、本実施の形態に係る情報配信システムでは、車両2aにカーナビゲーション機器2bを備えている。カーナビゲーション機器は、一般に、DVDやアプリケーションの娯楽情報などの多様な情報を運転者に提供することができることから、カーナビゲーション機器と、既存の無線通信システムとを併用することで、上述の本サービスだけではなく、各地域の問題にカスタマイズした信頼性の高いサービスの構築が可能となることも見込まれる。また、VICSやITS等の高度道路情報システムと連携することにより、別のサービスを構築することも期待できる。
【0085】
なお、以上の説明では、基地局無線装置3が、位置取得部で取得された緊急車両1aの位置を統制局制御装置4に送信するものとしたが、これに限ったものではない。例えば、基地局無線装置3が緊急車両1aと通信した場合に、当該基地局無線装置3が自装置に予め割り当てられた基地局の位置情報を、緊急車両1aの位置情報として統制局制御装置4に送信するものであってもよい。
【0086】
<実施の形態2>
図11は、本発明の実施の形態2に係る情報配信システムの構成を示す図である。以下、本実施の形態に係る情報配信システムにおいて、実施の形態1に係る情報配信システムと同様の構成要素については同じ符号を付すものとし、実施の形態1に係る情報配信システムと異なる部分を中心に説明する。
【0087】
実施の形態1に係る情報配信システムでは、統制局制御装置4が緊急車両1aの走行経路を決定していた。それに対して、本実施の形態に係る情報配信システムでは、複数の基地局無線装置3の少なくとも一つが、緊急車両1aの位置と緊急車両1aが到達すべき目的地点とを第1無線装置1から取得した場合に、当該位置及び当該目的地点に基づいて緊急車両1aが走行すべき走行経路を決定する。
【0088】
図11に示される例では、第1無線装置1と無線通信を行っている基地局無線装置3(以下「基地局無線装置3f」と呼ぶ)が走行経路を決定している。そして、基地局無線装置3fは、自装置の通信エリア内における第2無線装置2と、決定した当該走行経路の進行方向に存在し、かつ、基地局無線装置3f周辺の基地局無線装置3の通信エリア内における第2無線装置2とに、緊急車両1aに関する情報を一斉通信で送信する。なお、基地局無線装置3f周辺の基地局無線装置3とは、ここでは、基地局無線装置3fの隣のグループ5に属する基地局無線装置3を意味するものとする。
【0089】
このような本実施の形態に係る情報配信システムは、実施の形態1と同様に、システムの導入コストを抑制することができるとともに、緊急車両1aに関する情報の取得における即応性及び確実性を高めることができる。また、本実施の形態によれば、基地局無線装置3において走行経路が決定されることから、統制局制御装置4の負荷を軽減することができる。このことは、特に、統制局制御装置4が統制すべき基地局無線装置3の数が多く、統制局制御装置4の負荷が大きくなっている場合には有効である。
【0090】
なお、以上の説明においては、第1無線装置1と無線通信を行っている基地局無線装置3fが走行経路を決定するものとしたが、これに限ったものではなく、他の基地局無線装置3が走行経路を決定してもよく、また、二以上の基地局無線装置3が走行経路を決定してもよい。
【0091】
<実施の形態3>
図12は、上述の情報配信システムを備える本発明の実施の形態3に係る信号機制御システムの構成を示す図である。以下、本実施の形態に係る信号機制御システムにおいて、上述の情報配信システムと同様の構成要素については同じ符号を付すものとし、上述の情報配信システムと異なる部分を中心に説明する。
【0092】
本実施の形態に係る信号機制御システムは、上述の情報配信システムに加えて、複数の基地局無線装置3にそれぞれ接続された複数の信号機8を備えている。そして、基地局無線装置3が所定の情報(例えば、上述のステップS1に係るUI電文)を第1無線装置1から取得した場合に、受信した当該基地局無線装置3に対応する信号機8を制御するとともに、上述の走行経路の進行方向に存在し、かつ、所定の情報を取得した基地局無線装置3周辺の基地局無線装置3に対応する信号機8を制御する。なお、所定の情報を取得した基地局無線装置3周辺の基地局無線装置3とは、ここでは、所定の情報を取得した基地局無線装置3の隣のグループ5に属する基地局無線装置3を意味するものとする。
【0093】
以上のような本実施の形態に係る信号機制御システムによれば、緊急車両1aの走行経路周辺の車両2aに第2無線装置2が搭載されていなくても、当該車両2aを確実に停止させることができる。したがって、緊急車両1aの走行経路を確実に確保することができる。
【符号の説明】
【0094】
1 第1無線装置、1a 緊急車両、2 第2無線装置、2a 車両、2b カーナビゲーション機器、3 基地局無線装置、4 統制局制御装置、8 信号機。
【技術分野】
【0001】
本発明は、緊急車両が目的地点に向かって走行するのを助ける情報配信システム及び信号機制御システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、救急車やパトロールカー(パトカー)などの緊急車両が目的地に向かって走行する際には、当該緊急車両が、サイレン等の音や光を発することにより周辺車両に接近していることを通知している。しかしながら、周辺車両において窓が閉め切られて音楽がかけられていたり、周辺車両が見通しの悪い道路を走行したりしている場合には、周辺車両の運転者は緊急車両を目視可能となるまで認識できず、対応が遅れることがある。
【0003】
この問題を解決すべく、特許文献1には、緊急車両が接近している情報を放送する簡易VICS(Vehicle Information and Communication System)放送機を緊急車両に搭載するとともに、当該情報を受信するVICS対応カーナビゲーション機器を周辺車両に搭載する技術が開示されている。VICSからの情報は、カーナビゲーション機器などの車載器で受信され、文字や図形により表示される。したがって、この技術によれば、VISCを用いた情報の送受信により、周辺車両に徐行、別道路への通行を促すことができ、緊急車両の現場到着、運搬を迅速に行うことを可能にしている。なお、VICSは、財団法人道路交通情報通信システムセンターが提供するサービスであり、同センターで収集・処理・編集された情報(例えば、渋滞・走行規制情報や特定区間の走行に要する時間情報、事故や工事情報)が、通信・放送メディア(例えば、電波、光、FM多重放送及び地上デジタルラジオ)によって送信される。
【0004】
また、特許文献2には、緊急車両と周辺車両との直接的な通信による通知手段を用いて、緊急車両の接近を検出する技術が開示されている。具体的には、周辺車両に搭載された電波検出装置が、緊急車両から発せられる電波の方向や角度を相対位置によるパターン別に解析し緊急車両を検出する。この技術によっても、周辺車両に徐行、別道路への通行を促すことが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−172988号公報
【特許文献2】特開2001−134894号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
さて、特許文献1に開示の技術ではVICSが用いられるが、VICSの提供する情報が都道府県単位で管理されている場合において緊急車両が境界を超えると、周辺車両において緊急車両に関する情報を受け取ることができない場合がある。また、VICSは、渋滞や事故の情報など配信遅延がある程度許容される情報を配信するものであるから、緊急車両情報を配信することには好適ではない。また、法人が提供するVICSインフラに、新規サービスの追加を開発・構築するにあたり、システムの導入コストが高くつくことが懸念される。
【0007】
一方、特許文献2の技術では、実環境においては、電波干渉などを含めて環境的要因が不確定であり、解析パターンが非常に多様であることから、即応性や確実性に欠ける。また、電波が届く距離まで接近して初めて緊急車両を検出することができるものであり、実用は困難であると考えられる。
【0008】
そこで、本発明は、上記のような問題点を鑑みてなされたものであり、システムの導入コストを抑制し、緊急車両に関する情報の取得における即応性及び確実性を高めることが可能な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る情報配信システムは、緊急車両に搭載された第1無線装置と、前記緊急車両以外の他の車両に搭載された第2無線装置と、前記第1及び第2無線装置と無線通信を行う複数の基地局無線装置と、当該複数の基地局無線装置を統制する統制局制御装置とを備える。前記統制局制御装置は、前記緊急車両の位置と前記緊急車両が到達すべき目的地点とを、前記第1無線装置から前記基地局無線装置を介して取得した場合に、当該位置及び当該目的地点に基づいて前記緊急車両が走行すべき走行経路を決定する。前記走行経路に対応する前記基地局無線装置は、前記統制局制御装置の制御により、自装置の通信エリア内の前記第2無線装置に、前記緊急車両に関する情報を送信する。
【0010】
また、上記と別構成として、本発明に係る情報配信システム、緊急車両に搭載された第1無線装置と、前記緊急車両以外の他の車両に搭載された第2無線装置と、前記第1及び第2無線装置と無線通信を行うとともに、互いに無線通信を行う複数の基地局無線装置とを備える。前記複数の基地局無線装置の少なくとも一つは、前記緊急車両の位置と前記緊急車両が到達すべき目的地点とを前記第1無線装置から取得した場合に、当該位置及び当該目的地点に基づいて前記緊急車両が走行すべき走行経路を決定する。前記走行経路に対応する前記基地局無線装置は、自装置の通信エリア内の前記第2無線装置に、前記緊急車両に関する情報を送信する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、既設の無線通信システムを一部変更したものであり、既設の無線通信システムを利用したものであるから、システムの導入コストを抑制することができる。また、電波干渉などの解析パターンを用いなくて済むことから、緊急車両に関する情報の取得における即応性及び確実性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】実施の形態1に係る情報配信システムの構成を示す図である。
【図2】実施の形態1に係る緊急車両が送信するMMの構成を示す図である。
【図3】実施の形態1に係る緊急車両が送信するMMの構成を示す図である。
【図4】実施の形態1に係る緊急車両が送信するMMの構成を示す図である。
【図5】実施の形態1に係るサービス開始シーケンスを示す図である。
【図6】実施の形態1に係るサービス開始シーケンスを示す図である。
【図7】実施の形態1に係るサービス開始シーケンスを示す図である。
【図8】実施の形態1に係るサービス開始シーケンスを示す図である。
【図9】実施の形態1に係るサービスフローを示すフローチャートである。
【図10】実施の形態1に係るサービスフローを示すフローチャートである。
【図11】実施の形態2に係る情報配信システムの構成を示す図である。
【図12】実施の形態3に係る情報配信システムの構成を示す図である。
【図13】防災無線システムの持つ主な通信機能を示す図である。
【図14】防災無線システムの構成を示す図である。
【図15】防災無線システムを構成する主な局の定義を示す図である。
【図16】防災無線システムにおけるフレーム構成を示す図である。
【図17】防災無線システムにおけるフレーム構成を示す図である。
【図18】機能チャネルの分類を示す図である。
【図19】機能チャネルの定義を示す図である。
【図20】物理チャネルと機能チャネルとの対応関係を示す図である。
【図21】チャネル利用の状況を示す図である。
【図22】基地局通信におけるチャネル使用例を示す図である。
【図23】基地局通信におけるチャネル使用例を示す図である。
【図24】基地局通信におけるチャネル使用例を示す図である。
【図25】基地局のキャリアと移動局の数との関係の一例を示す図である。
【図26】レイヤ3の構造を示す図である。
【図27】レイヤ3の信号フォーマットを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
<実施の形態1>
まず、本発明の実施の形態1に係る情報配信システムについて説明する前に、当該システムが利用する既設インフラである防災無線システムについて説明する。図13は、防災無線システムの持つ主な通信機能を示す図であり、図14は、防災無線システムの構成を示す図であり、図15は、防災無線システムを構成する主な局の定義を示す図である。
【0014】
この防災無線システムにおいては、レイヤ1(物理レイヤ)、レイヤ2(データリンクレイヤ)、及びレイヤ3(ネットワークレイヤ)という通信制御の階層を扱う。以下、レイヤ1〜レイヤ3について詳しく説明する。
【0015】
<レイヤ1(物理レイヤ)>
レイヤ1においては、レイヤ2とマネジメントエンティティとにサービスを提供し、レイヤ2とマネジメントエンティティとから提供されるサービスを利用する。
【0016】
図16は、防災無線システムにおける下りフレーム(TDM)及び上りフレーム(TDMA)のフレーム構成を示す図である。無線通信は、基地局から移動局に下りフレームの無線信号を送信するTDMと、移動局から基地局に上りフレームの無線信号を送信するTDMAとによって行われる。システムには、その規模に応じて1又は複数の無線キャリア(無線信号の周波数)が割り当てられている。システムに割り当てられた各無線キャリア上において、最小通信単位を規定する時間軸上の区間はスロットと呼ばれ、整数個のスロットで構成される無線キャリア上でのスロットの繰り返し周期はフレームと呼ばれる。
【0017】
スロットには、通信リンクの設定等の通信制御のためにシステム内の全ユーザが共通に使用(アクセス)できる「共通使用スロット」と、通信リンク設定に伴ってシステム内の各ユーザに割り当てられ、割り当てられたユーザのみが使用できる「個別割当スロット」とが存在する。なお、共通使用スロットを含む無線キャリアは制御用キャリアと呼ばれ、個々のシステムには、制御用キャリアとして使用できる1以上の無線キャリアを割り当てることができる。一方、個別割当スロットのみから構成される無線キャリアは通信用キャリアと呼ばれ、制御用キャリアを除く残りの無線キャリアを割り当てることができる。
【0018】
同図16に示されるフレーム構成としては、1つの無線キャリア上での多重数が4であることから、4スロット長(40ms)を基本フレーム長とする。上りフレームと下りフレームは対を構成し、上りフレームに対する下りフレームの時間的な遅れ(20ms)をフレームオフセットと呼ぶ。逆に下りフレームに対する上りフレームの時間的な遅れ(20ms)を送受信オフセットと呼ぶ。送受信オフセットは、(フレーム長)−(フレームオフセット)とうい減算により与えられる。
【0019】
図17は、フレーム構成例を示す図である。図17に示されるように、18フレーム長(フレーム長の18倍)を単位としてスーパーフレームが規定されている。1フレーム周期は40ms(4スロット構成)であり、1スーパーフレーム周期は720ms(18フレーム構成)である。
【0020】
フレームは、無線チャネルの多重化構造を規定するものであり、原則として各フレーム内の同一位置にあるスロットの集合により無線チャネルが構成される。無線チャネルは、共通使用スロットにより構成される「制御用物理チャネル」と、同一位置にある個別割当スロットにより構成される「通信用物理チャネル」とに区分できる。制御用物理チャネル及び通信用物理チャネルは、スロットごとに独立して存在しており、同図17に示されるように1キャリア内に混在する場合もある。
【0021】
物理チャネル(制御用物理チャネル及び通信用物理チャネルの総称)には、複数種類の機能チャネル(CCH)が配置される。図18は機能チャネルの分類を示す図であり、図19は各機能チャネルの定義を示す図であり、図20は物理チャネルと機能チャネルとの対応関係を示す図である。
【0022】
図18に示されるように、機能チャネル(CCH)は、CAC(共通アクセスチャネル)と、USC(ユーザ個別チャネル)とに大別することができる。CACは、BCCH、CCCH(PCH、SCCH)、UPCHに区分することができ、USCは、TCH、ACCH(FACCH、SACCH)、RCH,SBに区分することができる。
【0023】
図20に示されるように、例えば、下り制御用物理チャネルには、BCCH、PCH、SCCHという機能チャネルが配置され、これら機能チャネルが、スーパーフレーム内の定められた位置に配置される。一方、上り制御用物理チャネルにはすべてSCCHが配置される。なお、UPCHは、上り制御用物理チャネル及び下り制御用物理チャネルのいずれにも配置可能である。通信用物理チャネルでは、各スロット内のビットがSACCH/RCH、TCH/FACCHに配分され、当該機能チャネルが構成される。
【0024】
図21は、2波の基地局キャリアに対するチャネル利用の状況を示す図である。ここでは、基地局キャリア1波当たり4チャネルが割り当てられている。そして、1波目の4チャネルのうちの1チャネルは制御用物理チャネルであり、1波目と異なる周波数で同時に送られる2波目以降は4チャネルを全て通話チャネルとして使用可能となっている。この場合には、基地局キャリア数と通話チャネル数の関係は、次式(1)で表される。例えば、基地局キャリアが2波である場合には、通話に使用できる最大のチャネル数は7となる。
【0025】
【数1】
【0026】
次に、防災無線システムの通信経路について説明する。このシステムの通信経路には、基地局を経由する「基地局通信」と、基地局を経由せずに移動局が直接相互に通信する「移動局間直接通信」の2通りがある。本実施の形態に係るシステムは、前者、つまり「基地局通信」を前提とするため、以下、当該基地局通信におけるチャネル使用例を3通り説明する。
【0027】
図22は、基地局を統制する統制局と移動局とが、当該基地局を介して、互いに通信を行う例を示す図である。この例では、基地局は、統制局から受信した移動局Aに与えるべき情報を周波数F1のチャネル1に含めて移動局Aに送信するとともに、統制局から受信した移動局Bに与えるべき情報を周波数F1のチャネル2に含めて移動局Bに送信する。移動局Aは、周波数F1のチャネル1から情報を取得するとともに、統制局に送信すべき情報を周波数f1のチャネル1に含めて基地局に送信する。移動局Bは、周波数F1のチャネル2から情報を取得するとともに、統制局に送信すべき情報を周波数f1のチャネル2に含めて基地局に送信する。基地局は、周波数f1のチャネル1,2に含まれる情報を統制局に与える。以上のような図22に示される通信は、複信方式となり、最大同時通話数は上述の式(1)により求められる通話チャネル数と等しくなり、ここでは最大7通話可能となる。
【0028】
図23は、移動局同士が基地局を介して1対1で通信を行う例を示す図である。この例では、移動局Aは、移動局Bに与えるべき情報を周波数f1のチャネル1に含めて基地局に送信する。移動局Bは、移動局Aに与えるべき情報を周波数f1のチャネル2に含めて基地局に送信する。基地局は、周波数f1のチャネル1から情報を取得するとともに、当該情報を周波数F1のチャネル2に含めて移動局Bに送信する。また、基地局は、周波数f1の無線信号のチャネル2から情報を取得するとともに、当該情報を周波数F1のチャネル1に含めて移動局Aに送信する。移動局A,Bは、周波数F1のチャネル1,2に含まれる情報をそれぞれ取得する。以上のような図23に示される通信には、複信方式と単信方式とがある。複信方式の場合には、携帯電話と同様の双方向同時通話が可能となるが、最大同時通話数は、上述の式(1)により求められる通話チャネル数(Tn)を用いて次式(2)のように表され、ここでは最大3通話可能となる。
【0029】
【数2】
【0030】
図24は、移動局同士が基地局を介して交互に行う通信であって、専用通信やグループ通信によって1対nで通信を行う例を示す図である。この例では、図23を用いて説明した通信と同様に通信が行われる。ただし、この通信では、プレストークによる単信方式となり、統制局と移動局との間の単信方式や、基地局を介した移動局間の単信方式と同様に、1通話あたり1チャネルが必要となることから、最大同時通話数は上述の式(1)により求められる通話チャネル数(Tn)と等しくなり、ここでは最大7通話可能となる。
【0031】
以上のように構成される防災無線システムにおいて、一つの基地局が使用できる無線信号の周波数(キャリア)は、当該一つの基地局に加入する移動局数と端末局数との合計によって規定されている。図25に、電波法関係審査基準によって規定される、基地局のキャリアと移動局の数との関係の一例を示す。
【0032】
<レイヤ2(データリンクレイヤ)>
レイヤ2においては、レイヤ1のビット列伝送機能を利用して、ノード間でデータ伝送を実現するためのリンクアクセス手順LAPDM(Link Access Procedure for Digital Mobile Channel)を規定する。LAPDMの目的は、機能チャネル(CCH)により、レイヤ3エンティティ同士が、公共業務用デジタル移動通信システムでの無線区間インタフェースを介して情報を転送することである。
【0033】
データリンクレイヤの動作には、レイヤ3の情報転送の方法として、非確認形、確認形という2つの動作が規定されており、これら動作は1つのCCH上に共存し得る。BCCH、PCHは非確認形動作のみを、SCCH、SACCH、FACCH、UPCHは双方の動作を提供する。次に、非確認形動作及び確認形動作について詳細に説明する。
【0034】
まず、非確認形動作について説明する。非確認形動作では、レイヤ3の情報は、送達確認が行われない非番号制情報(UI:Unnumbered Information)フレームで伝送される。たとえ、伝送、フォーマットのそれぞれに誤りが検出された場合でも、誤り回復の機構は設定されない。また、フロー制御手順(制御機構)も規定されない。このような非確認形動作は例えば単発的なデータ送信に用いられる。また、非確認形動作は、一つのポイントと一つのポイントとの間の情報転送だけでなく、一つのポイントと複数のポイントとの間の情報転送(放送形式の情報転送)にも適用できる。すなわち、UIフレームは特定のエンドポイントにも送ることができるし、特定のサービスアクセスポイント識別子(SAPI)に対応した複数のエンドポイントにも送ることができる。
【0035】
次に確認形動作について説明する。確認形動作では、レイヤ3の情報が、データリンクレイヤで送達確認が行われる情報(I)フレームで転送される。そして、送達確認されなかった場合には、送達されていない旨に対応するフレームを再送することにより誤り回復を行う。データリンクレイヤで回復できない誤りについては、マネジメントエンティティへ通知される。フロー制御手順も規定される。このような確認形動作は例えば確実なデータ送信を行うのに用いられる。また、確認形動作は、一つのポイントと一つのポイントとの間の情報転送のみに適用できる。確認形動作は、マルチフレーム動作でのみ定義される。マルチフレーム動作は、拡張非同期平衡モードに設定するための拡張非同期平衡モード設定(SABME)コマンド、または、情報付拡張非同期平衡モード設定(SABMEI)コマンドを用いたマルチフレーム設定手順によって開始する。
【0036】
<レイヤ3(ネットワークレイヤ)>
レイヤ3においては、都道府県・市町村デジタル移動通信システムでの無線区間インタフェースにおけるネットワークコネクションの設定、維持、切替、切断、復旧及び移動局の位置登録の手順を規定する。これらの手順は、図18に示されるCAC及びUSCを介して交換されるメッセージに関して適用され、無線管理、移動管理、呼制御に必要な特質、手順及びメッセージを規定することを目的としている。つまり、このレイヤ3で規定している手順は、回線交換コネクションを制御するためのものである。
【0037】
レイヤ3の手順は、レイヤ2の機能とサービスを利用するものであり、レイヤ2で定義したプリミティブを用いてレイヤ2のサービスを要求すること、及び、レイヤ2からの情報受信等を行う。これらのプリミティブは、プロトコルレイヤ間の通信を示すのに用いられるが、インプリメンテーションを規定するものではない。
【0038】
次に、レイヤ3の定義について説明する。レイヤ3においては、無線管理(RT:Radio Frequency Transmission Management)と、移動管理(MM:Mobility Management)と、呼制御(CC:Call Control)とが定義されている。RTは、無線資源の管理に関する機能を有する。なお、この機能は無線ゾーン選択、無線回線の設定、維持、切替及び切断等の機能を含んでいる。MMは、移動局の移動性支援に関する機能を有する。なお、この機能は位置登録を含んでいる。CCは、回線呼接続制御に関する機能を有する。なお、この機能は呼設定、維持及び解放機能を含んでいる。
【0039】
図26は、レイヤ3の構造を示す図である。RT、MM、CCは独立な構成とされるが、信号送受信の効率を考慮して、無線区間のインタフェース上ではRT、MM、CCを多重した信号が送信される。その一方で、受信した多重信号をRT、MM、CCに分離する相乗り機構が規定されている。RT、MM、CCの各レイヤ3エンティティは、相乗り機構を介してデータリンクレイヤと通信を行う。
【0040】
図27は、レイヤ3の信号フォーマットを示す図である。相乗り表示部には、信号受信側が、RT、MM、CCの各信号を分離するために必要な情報が含まれている。レイヤ3の各信号フィールドはRT−MM−CCの順に現れ、相乗りが無い信号フィールドに関しては、そのフィールドが詰められて、1つまたは2つのレイヤ2のフレームで送られる。相乗りはRT、MM、CCのそれぞれをレイヤ2のフレームで送ることを可能にするが、2つ以上のレイヤ3の同一機能の信号(例えば2つのRT信号)を相乗りさせて送ることはできない。
【0041】
<情報配信システム>
さて、本実施の形態に係る情報配信システムは、以上の防災無線システムの既設インフラを利用することによって、救急車やパトカーなどの緊急車両に関する情報(例えば、緊急車両がどの方角からどの方角に向けて走行しているかを特定する情報)を、緊急車両の走行経路周辺の車両に迅速かつ正確に通知することが可能となっている。以下、このような情報配信システムについて説明する。
【0042】
図1は、本実施の形態に係る情報配信システムの構成を示す図である。図1に示すように、緊急車両1aに搭載された第1無線装置1と、緊急車両1a以外の他の車両2aに搭載された第2無線装置2と、複数の基地局無線装置3と、統制局制御装置4とを備える。なお、第1及び第2無線装置1,2のそれぞれは、上述の防災無線システムの移動局(車携帯型無線装置)として機能し、複数の基地局無線装置3のそれぞれは、上述の防災無線システムの基地局(中継局)として機能する。
【0043】
緊急車両1aには、緊急車両1aが到達すべき目的地点(例えば病院)を取得する目的地点取得部(図示せず)、及び、緊急事態を検定する緊急事態検知部(図示せず)が設けられている。この目的地点取得部及び緊急事態検知部には、例えば、緊急車両1aの入力操作を受け付ける操作部が該当する。また、緊急車両1aには、緊急車両1aの位置を取得する位置取得部(図示せず)が搭載されている。この位置取得部には、例えば、上述の操作部や、GPS(Global Positioning System)が該当する。本実施の形態において、緊急車両1aに搭載された第1無線装置1は、緊急車両1aの位置と、緊急車両1aが到達すべき目的地点とを上述のレイヤ3のMMに含むSCCH電文を、複数の基地局無線装置3に送信する。
【0044】
図2は、本実施の形態に係るMMの構成を示す図である。図2に示されるように、MMは、1オクテットを有するメッセージ種別と、複数のオクテットを有する情報要素群フィールドとから構成されている。
【0045】
図3は、MMのメッセージ種別を示す図であり、図4は、MMの情報要素群フィールドを示す図である。図3に示されるように、メッセージ種別は、8ビットの「0」と「1」との組合せで特定されるメッセージであり、例えば、「0,0,1,0,0,0,1,0」である場合には、「位置登録受付」というメッセージが特定される。
【0046】
図4に示されるように、情報要素群フィールドは、当該フィールドの情報要素長(オクテット数)を指定する登録番号内容と、番号ディジットの桁数が偶数及び奇数のいずれであるかを示す奇数/偶数表示と、番号種別と、番号ディジットとから構成されている。本実施の形態では、緊急車両1aの位置と、緊急車両1aが到達すべき目的地点とが、番号ディジットにおいてデジタル形式で割り当てられる。より具体的には、第1無線装置1は、位置取得部で取得された緊急車両1aの位置と、目的地点取得部で取得された目的地点とをMMに含めて複数の基地局無線装置3に送信する。
【0047】
図1に戻って、複数の基地局無線装置3は、例えば、260MHzの周波数を有する無線信号を用いて、第1無線装置1及び第2無線装置2と無線通信を行う。本実施の形態では、複数の基地局無線装置3のいくつかは、他の基地局無線装置3と統制局制御装置4との間で地上インフラ7を介して通信を行い、複数の基地局無線装置3のいくつかは、他の基地局無線装置3との間で無線を介して通信を行う。以上のように構成された複数の基地局無線装置3は、緊急車両1aの第1無線装置1から送信されたSCCH電文に含まれる緊急車両1aの位置と目的地点を、地上インフラ7を介して統制局制御装置4に与えることが可能となっている。なお、本実施の形態では、1以上の基地局無線装置3がグループ5という単位でグループ化されており、それよりも多い数の基地局無線装置3がエリア6という単位でグループ化されている。
【0048】
統制局制御装置4は、複数の基地局無線装置3を統制する。また、統制局制御装置4は、緊急車両1aの位置と、緊急車両1aが到達すべき目的地点とを、第1無線装置1から基地局無線装置3を介して取得した場合に、地図上での当該位置及び当該目的地点に基づいて緊急車両1aが走行すべき走行経路を決定する。そして、決定した当該走行経路上に通信エリアを有する基地局無線装置3が、その通信エリア内の第2無線装置2に向けて緊急車両1aに関する情報を通知するように、統制局制御装置4は複数の基地局無線装置3を制御する。つまり、決定された走行経路に対応する基地局無線装置3は、統制局制御装置4の制御により、自装置の通信エリア内の第2無線装置2に緊急車両1aに関する情報を通知する。
【0049】
本実施の形態では、統制局制御装置4は、直接統制可能な先頭の基地局無線装置3(以下「先頭基地局無線装置3a」と呼ぶ)に対して、図13に記載された一斉通信電文を作成・送信する指示を出す。一斉通信電文の作成・送信指示を受けた先頭基地局無線装置3aは一斉通信電文を作成する。その後、先頭基地局無線装置3aは、自装置が属するエリア6・グループ5配下に、地上インフラ7または無線を介して通信可能な他の基地局無線装置3が存在するかを判定する。地上インフラ7を介して通信可能な他の基地局無線装置3が存在すると判定された場合には、先頭基地局無線装置3aから当該他の基地局無線装置3に対して一斉通信電文を中継する指示が出される。無線を介して通信可能な他の基地局無線装置3が存在する場合と判定された場合には、先頭基地局無線装置3aから当該他の基地局無線装置3に対して一斉通信電文を中継する指示が出される。
【0050】
このような一斉通信電文の作成・指示は、先頭基地局無線装置3aのエリア6・グループ7配下の各基地局無線装置3において順次に行われる。そして、地上インフラ7または無線を介して通信可能な他の基地局無線装置3が存在しないと判定された場合には、当該判定を行った後尾の基地局無線装置3(以下「後尾基地局無線装置3b」と呼ぶ)が、自装置の通信エリア内の第2無線装置2に対し、無線を介して報知情報を繰り返し送信する。そして、報知情報を一定回数送信した後尾基地局無線装置3bは、自装置の通信エリア内の第2無線装置2に、緊急車両1aに関する情報(例えば緊急車両1aが走行する方角)を中継する。なお、本実施の形態においては、後尾基地局無線装置3bは、道路沿いに設けられているものとする。
【0051】
第2無線装置2が搭載された車両2aは、当該第2無線装置2に通知された緊急車両1aに関する情報を表示するカーナビゲーション機器2bを備えている。なお、このカーナビゲーション機器2bは、第2無線装置2と一体化された機器であってもよいし、第2無線装置2とは個別の機器であってもよい。上述の報知情報を受信した第2無線装置2は、その後、当該報知情報を送信した後尾基地局無線装置3bから別の信号を受信して、当該後尾基地局無線装置3bと無線通信を行うための周波数に切り替える。そして、第2無線装置2が、後尾基地局無線装置3bから当該周波数で送信される一斉通信電文により、緊急車両1aに関する情報を受信した場合には、その車両2aのカーナビゲーション機器2bが、当該緊急車両1aに関する情報を表示する。
【0052】
<サービス開始シーケンス>
図5及び図6は、本実施の形態に係る情報配信システムのサービス開始シーケンスを示す図である。以下、これらの図を用いて、サービス開始シーケンスについて説明する。
【0053】
ステップS1及びS2にて、緊急車両1aの第1無線装置1は、複数の基地局無線装置3を介して統制局制御装置4に緊急事態を通知する通知シーケンスを行う。
【0054】
具体的には、ステップS1にて、第1無線装置1は、緊急事態が発生した際に不特定の基地局無線装置3に向けてUI電文を送信する。UI電文を受信した基地局無線装置3(以下、「基地局無線装置3c」と呼ぶ)は、UI電文を用いて、自装置の情報(エリア・周波数等)を第1無線装置1に通知する。基地局無線装置3cから通知を受けた第1無線装置1は、その通知に含まれる周波数情報に基づいて、基地局無線装置3cと無線通信を行うための周波数切替を行う。
【0055】
ステップS2にて、第1無線装置1は、緊急車両1aの位置と目的地点とをMMに含めたSCCH要求電文を基地局無線装置3cに向けて通知し、基地局無線装置3cは、地上インフラ7等を介して当該SCCH要求電文を統制局制御装置4に転送する。その後、統制局制御装置4は、地上インフラ7等を介してSCCH応答電文を基地局無線装置3cに通知し、基地局無線装置3cは、当該SCCH応答電文を第1無線装置1に通知する。
【0056】
ステップS3にて、統制局制御装置4は、基地局無線装置3cからのSCCH要求電文に含まれる緊急車両1aの位置と目的地点とに基づいて走行経路を決定し、緊急車両1aの位置及び走行経路の情報を、GPSシステムと連動させて登録する。そして、統制局制御装置4は、GPSシステムから得られる情報に基づいて、当該走行経路上に通信エリアを有する複数の後尾基地局無線装置3b(以下「複数の走行経路周辺装置3d」と呼ぶ)を特定する。つまり、統制局制御装置4は、走行経路上の通信エリアを包括する複数の走行経路周辺装置3dを特定する。
【0057】
ステップS4にて、統制局制御装置4は、ステップS3で特定した複数の走行経路周辺装置3dを介して、当該走行経路周辺に存在する車両2aの第2無線装置2に報知情報を送信する送信シーケンスを行う。具体的には、統制局制御装置4は複数の走行経路周辺装置3dに報知情報を通知する。統制局制御装置4から通知を受けた各走行経路周辺装置3dは、各通信エリア内に存在する第2無線装置2に報知情報を転送する。なお、走行経路周辺装置3dから第2無線装置2への報知情報の通知は、走行経路周辺装置3dが統制局制御装置4からのサービス停止の通知を受けるまで繰り返される。
【0058】
図6に示されるステップS5にて、統制局制御装置4は、複数の走行経路周辺装置3dに一斉通信を行う旨を通知する。統制局制御装置4から通知を受けた各走行経路周辺装置3dは、各通信エリア内に存在する第2無線装置2に一斉通信することを事前に通知する。なお、この通知は一定回数行われる。
【0059】
ステップS6にて、統制局制御装置4は、複数の走行経路周辺装置3dを介して、走行経路周辺に存在する車両2aの第2無線装置2に周波数切替を行わせる。具体的には、統制局制御装置4は、複数の走行経路周辺装置3dに同期バースト(SB:Synchronization Burst)を送信し、統制局制御装置4からの同期バーストを受けた各走行経路周辺装置3dは、各通信エリア内に存在する第2無線装置2に一斉通信で転送する。そして、同期バーストを受けた第2無線装置2は、それに含まれる周波数情報に基づいて、対応する走行経路周辺装置3dと無線通信を行うための周波数切替を行う。なお、一斉通信は一定回数行われるか、統制局制御装置4がサービス停止と判定するまで繰り返される。
【0060】
ステップS7にて、統制局制御装置4は、複数の走行経路周辺装置3dを介して、走行経路周辺に存在する車両2aの第2無線装置2に、緊急車両1aに関する情報を与える。具体的には、統制局制御装置4は、複数の走行経路周辺装置3dに、緊急車両1aに関する情報を送信し、緊急車両1aに関する情報を受けた各走行経路周辺装置3dは、各通信エリア内に存在する第2無線装置2に、緊急車両1aに関する情報を一斉通信で転送する。なお、一斉通信は一定回数行われるか、統制局制御装置4がサービス停止と判定するまで繰り返される。また、統制局制御装置4は、緊急車両1aが通過した通信エリアを有する走行経路周辺装置3dに、緊急車両1aの緊急が解除された旨の情報(以下「緊急解除情報」と呼ぶ)を送信する。
【0061】
<サービス終了シーケンス>
図7及び図8は、本実施の形態に係る情報配信システムのサービス終了シーケンスを示す図である。以下、これらの図を用いて、サービス終了シーケンスについて説明する。
【0062】
ステップS11及びS12にて、緊急車両1aの第1無線装置1は、複数の基地局無線装置3を介して統制局制御装置4にサービス停止を通知する通知シーケンスを行なう。
【0063】
具体的には、ステップS11にて、第1無線装置1は、目的地点に到達した場合などに不特定の基地局無線装置3に向けてUI電文を送信する。UI電文を受信した基地局無線装置3(以下、「基地局無線装置3e」と呼ぶ)は、UI電文を用いて、自装置の情報(エリア・周波数等)を第1無線装置1に通知する。基地局無線装置3eから通知を受けた第1無線装置1は、その通知に含まれる周波数情報に基づいて、基地局無線装置3eと無線通信を行うための周波数切替を行う。
【0064】
ステップS12にて、第1無線装置1は、緊急車両1aの位置のみをMMに含めたSCCH要求電文を、基地局無線装置3eを介して統制局制御装置4に通知する。その後、統制局制御装置4は、SCCH応答電文を、基地局無線装置3eを介して第1無線装置1に通知する。
【0065】
ステップS13にて、統制局制御装置4は、基地局無線装置3eからのSCCH要求電文に含まれる緊急車両1aの位置に基づいて、GPSシステムと連動させて登録していた情報を削除する。
【0066】
ステップS14にて、統制局制御装置4は、ステップS3で特定した複数の走行経路周辺装置3dに一斉通信を行う旨を通知する。統制局制御装置4から通知を受けた各走行経路周辺装置3dは、各通信エリア内に存在する第2無線装置2に一斉通信することを事前に通知する。なお、この通知は一定回数行われる。
【0067】
図8に示されるステップS15にて、統制局制御装置4は、複数の走行経路周辺装置3dを介して、走行経路周辺に存在する車両2aの第2無線装置2に周波数切替を行わせる。具体的には、統制局制御装置4は、複数の走行経路周辺装置3dに同期バーストを送信し、統制局制御装置4からの同期バーストを受けた各走行経路周辺装置3dは、各通信エリア内に存在する第2無線装置2に一斉通信で転送する。そして、同期バーストを受けた第2無線装置2は、それに含まれる周波数情報に基づいて、対応する走行経路周辺装置3dと無線通信を行うための周波数切替を行う。なお、一斉通信は一定回数行われる。
【0068】
ステップS16にて、統制局制御装置4は、複数の走行経路周辺装置3dを介して、走行経路周辺に存在する車両2aの第2無線装置2に、緊急車両1aの緊急解除情報を与える。具体的には、統制局制御装置4は、複数の走行経路周辺装置3dに、緊急解除情報を送信し、緊急解除情報を受けた各走行経路周辺装置3dは、各通信エリア内に存在する第2無線装置2に、緊急解除情報を一斉通信で転送する。なお、一斉通信は一定回数行われる。
【0069】
ステップS17にて、統制局制御装置4は、基地局無線装置3に対してサービス停止の通知を送信する。
【0070】
<サービスフロー>
図9及び図10は、本実施の形態に係る情報配信システムが、上述のサービス開始シーケンスとサービス終了シーケンスとの動作を行う手順を示すフローチャートである。以下、これらの図を用いて、サービス動作について説明する。なお、以下の説明では、上述のサービス開始シーケンスとサービス終了シーケンスにおけるステップ番号を適宜付している。
【0071】
ステップS21にて、緊急車両1aが緊急事態を検知する。
【0072】
ステップS22にて、緊急車両1aは、検知した緊急事態の状況に変化があるかを定期的に確認する。状況に変化があった場合にはステップS23に進み、そうでない場合には本確認動作を繰り返す。
【0073】
ステップS23にて、緊急車両1aは、ステップS22で確認された状況変化の内容を、統制局制御装置4に通知する必要があるかを判定する。通知する必要があると判定された場合にはステップS24に進み、そうでない場合にはステップS22に戻って確認動作を行う。
【0074】
ステップS24にて、緊急車両1aは、ステップS22で確認された状況変化の内容が、緊急事態の終了(例えば、緊急車両1aが目的地点に到達した場合、または、サービス終了)であるか、緊急事態の発生または変更(例えば、目的地点の変更)であるかを判定する。緊急事態の終了であると判定された場合にはステップS25に進み、緊急事態の発生または変更であると判定された場合にはステップS26に進む。
【0075】
ステップS25にて、第1無線装置1は、緊急車両1aの位置のみを含めたSCCH要求電文を作成し、複数の基地局無線装置3を介して当該SCCH要求電文を統制局制御装置4に通知する(ステップS12)。その後、ステップS46に進む。
【0076】
ステップS26にて、第1無線装置1は、緊急車両1aの位置と目的地点とを含めたSCCH要求電文を作成する。そして、ステップS27にて、第1無線装置1は、UI電文を用いて、不特定の基地局無線装置3と無線通信を行うための周波数切替を行う(ステップS1)。ステップS28にて、第1無線装置1は、切替後の周波数を有する無線信号に、ステップS26で作成したSCCH要求電文を含めて、複数の基地局無線装置3を介し統制局制御装置4に通知する。ステップS29にて、統制局制御装置4は、当該SCCH要求電文を受信すると、SCCH応答電文を、複数の基地局無線装置3を介して第1無線装置1に通知する(ステップS2)。
【0077】
ステップS30にて、統制局制御装置4は、SCCH要求電文に含まれる緊急車両1aの位置と目的地点とに基づいて走行経路を決定し、緊急車両1aの位置及び走行経路の情報を、GPSシステムと連動させて登録する。その後、ステップS41に進む。
【0078】
図10に示されるステップS41にて、統制局制御装置4は、GPSシステムから得られる情報に基づいて、複数の走行経路周辺装置3dを特定する(ステップS3)。
【0079】
ステップS42にて、統制局制御装置4は、複数の走行経路周辺装置3dを介して、緊急車両1aの走行経路周辺に存在する車両2aの第2無線装置2に、報知情報を送信する(ステップS4)とともに、一斉通信を行うことを事前に通知する(ステップS5)。ステップS43にて、走行経路周辺装置3dと、第2無線装置2とが無線接続することができるように、走行経路周辺装置3dは、第2無線装置2の周波数を切り替える(ステップS6)。ステップ44にて、統制局制御装置4は、複数の走行経路周辺装置3dを介して、第2無線装置2に、緊急車両1aに関する情報を一斉通信で転送する(ステップS7)。
【0080】
ステップS45にて、第2無線装置2が、緊急車両1aに関する情報を受信すると、当該第2無線装置2を搭載している車両2aのカーナビゲーション機器2bは、当該緊急車両1aに関する情報を表示する。
【0081】
ステップS46にて、統制局制御装置4は、位置のみを含むSCCH要求電文(ステップS25に係るSCCH要求電文)を受信したかを判定する。当該SCCH要求電文を受信したと判定された場合にはステップS47に進み、そうでない場合にはステップ41に戻る。このように、統制局制御装置4は、ステップS25に係るSCCH要求電文を受信するまで、ステップS41〜S45を繰り返し行うことから、上述の複数の走行経路周辺装置3dは随時更新されることになる。
【0082】
ステップS47にて、サービス終了シーケンスで説明したステップS13〜S17までの動作が行われ、サービスが終了する。
【0083】
以上のような本実施の形態に係る情報配信システムは、既設の無線通信システムを一部変更したものであり、既設の無線通信システムを利用したものであるから、システムの導入コストを抑制することができる。また、特許文献2に開示の技術のような電波干渉などの解析パターンを用いなくて済むことから、緊急車両1aに関する情報の取得における即応性及び確実性を高めることができる。また、緊急車両1aが都道府県などの境界を超えても、車両2aにおいて緊急車両1aに関する情報を取得可能となることが期待できる。また、地域ごとの特有の問題(密集地帯や電波が届かない場所)に合わせて基地局無線装置3を施設することができることから、柔軟なサービスの提供が可能となる。
【0084】
また、本実施の形態に係る情報配信システムでは、車両2aにカーナビゲーション機器2bを備えている。カーナビゲーション機器は、一般に、DVDやアプリケーションの娯楽情報などの多様な情報を運転者に提供することができることから、カーナビゲーション機器と、既存の無線通信システムとを併用することで、上述の本サービスだけではなく、各地域の問題にカスタマイズした信頼性の高いサービスの構築が可能となることも見込まれる。また、VICSやITS等の高度道路情報システムと連携することにより、別のサービスを構築することも期待できる。
【0085】
なお、以上の説明では、基地局無線装置3が、位置取得部で取得された緊急車両1aの位置を統制局制御装置4に送信するものとしたが、これに限ったものではない。例えば、基地局無線装置3が緊急車両1aと通信した場合に、当該基地局無線装置3が自装置に予め割り当てられた基地局の位置情報を、緊急車両1aの位置情報として統制局制御装置4に送信するものであってもよい。
【0086】
<実施の形態2>
図11は、本発明の実施の形態2に係る情報配信システムの構成を示す図である。以下、本実施の形態に係る情報配信システムにおいて、実施の形態1に係る情報配信システムと同様の構成要素については同じ符号を付すものとし、実施の形態1に係る情報配信システムと異なる部分を中心に説明する。
【0087】
実施の形態1に係る情報配信システムでは、統制局制御装置4が緊急車両1aの走行経路を決定していた。それに対して、本実施の形態に係る情報配信システムでは、複数の基地局無線装置3の少なくとも一つが、緊急車両1aの位置と緊急車両1aが到達すべき目的地点とを第1無線装置1から取得した場合に、当該位置及び当該目的地点に基づいて緊急車両1aが走行すべき走行経路を決定する。
【0088】
図11に示される例では、第1無線装置1と無線通信を行っている基地局無線装置3(以下「基地局無線装置3f」と呼ぶ)が走行経路を決定している。そして、基地局無線装置3fは、自装置の通信エリア内における第2無線装置2と、決定した当該走行経路の進行方向に存在し、かつ、基地局無線装置3f周辺の基地局無線装置3の通信エリア内における第2無線装置2とに、緊急車両1aに関する情報を一斉通信で送信する。なお、基地局無線装置3f周辺の基地局無線装置3とは、ここでは、基地局無線装置3fの隣のグループ5に属する基地局無線装置3を意味するものとする。
【0089】
このような本実施の形態に係る情報配信システムは、実施の形態1と同様に、システムの導入コストを抑制することができるとともに、緊急車両1aに関する情報の取得における即応性及び確実性を高めることができる。また、本実施の形態によれば、基地局無線装置3において走行経路が決定されることから、統制局制御装置4の負荷を軽減することができる。このことは、特に、統制局制御装置4が統制すべき基地局無線装置3の数が多く、統制局制御装置4の負荷が大きくなっている場合には有効である。
【0090】
なお、以上の説明においては、第1無線装置1と無線通信を行っている基地局無線装置3fが走行経路を決定するものとしたが、これに限ったものではなく、他の基地局無線装置3が走行経路を決定してもよく、また、二以上の基地局無線装置3が走行経路を決定してもよい。
【0091】
<実施の形態3>
図12は、上述の情報配信システムを備える本発明の実施の形態3に係る信号機制御システムの構成を示す図である。以下、本実施の形態に係る信号機制御システムにおいて、上述の情報配信システムと同様の構成要素については同じ符号を付すものとし、上述の情報配信システムと異なる部分を中心に説明する。
【0092】
本実施の形態に係る信号機制御システムは、上述の情報配信システムに加えて、複数の基地局無線装置3にそれぞれ接続された複数の信号機8を備えている。そして、基地局無線装置3が所定の情報(例えば、上述のステップS1に係るUI電文)を第1無線装置1から取得した場合に、受信した当該基地局無線装置3に対応する信号機8を制御するとともに、上述の走行経路の進行方向に存在し、かつ、所定の情報を取得した基地局無線装置3周辺の基地局無線装置3に対応する信号機8を制御する。なお、所定の情報を取得した基地局無線装置3周辺の基地局無線装置3とは、ここでは、所定の情報を取得した基地局無線装置3の隣のグループ5に属する基地局無線装置3を意味するものとする。
【0093】
以上のような本実施の形態に係る信号機制御システムによれば、緊急車両1aの走行経路周辺の車両2aに第2無線装置2が搭載されていなくても、当該車両2aを確実に停止させることができる。したがって、緊急車両1aの走行経路を確実に確保することができる。
【符号の説明】
【0094】
1 第1無線装置、1a 緊急車両、2 第2無線装置、2a 車両、2b カーナビゲーション機器、3 基地局無線装置、4 統制局制御装置、8 信号機。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
緊急車両に搭載された第1無線装置と、
前記緊急車両以外の他の車両に搭載された第2無線装置と、
前記第1及び第2無線装置と無線通信を行う複数の基地局無線装置と、
当該複数の基地局無線装置を統制する統制局制御装置と
を備え、
前記統制局制御装置は、
前記緊急車両の位置と前記緊急車両が到達すべき目的地点とを、前記第1無線装置から前記基地局無線装置を介して取得した場合に、当該位置及び当該目的地点に基づいて前記緊急車両が走行すべき走行経路を決定し、
前記走行経路に対応する前記基地局無線装置は、
前記統制局制御装置の制御により、自装置の通信エリア内の前記第2無線装置に、前記緊急車両に関する情報を送信する、情報配信システム。
【請求項2】
緊急車両に搭載された第1無線装置と、
前記緊急車両以外の他の車両に搭載された第2無線装置と、
前記第1及び第2無線装置と無線通信を行うとともに、互いに無線通信を行う複数の基地局無線装置と
を備え、
前記複数の基地局無線装置の少なくとも一つは、
前記緊急車両の位置と前記緊急車両が到達すべき目的地点とを前記第1無線装置から取得した場合に、当該位置及び当該目的地点に基づいて前記緊急車両が走行すべき走行経路を決定し、
前記走行経路に対応する前記基地局無線装置は、
自装置の通信エリア内の前記第2無線装置に、前記緊急車両に関する情報を送信する、情報配信システム。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の情報配信システムであって、
前記他の車両に搭載され、前記第2無線装置に通知された前記緊急車両に関する情報を表示するカーナビゲーション機器を備える、情報配信システム。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の情報配信システムと、
前記複数の基地局無線装置にそれぞれ接続された複数の信号機と
を備え、
前記基地局無線装置が所定の情報を前記第1無線装置から取得した場合に、当該基地局無線装置に対応する前記信号機を制御するとともに、前記走行経路の進行方向に存在し、かつ、当該基地局無線装置周辺の前記基地局無線装置に対応する前記信号機を制御する、信号機制御システム。
【請求項1】
緊急車両に搭載された第1無線装置と、
前記緊急車両以外の他の車両に搭載された第2無線装置と、
前記第1及び第2無線装置と無線通信を行う複数の基地局無線装置と、
当該複数の基地局無線装置を統制する統制局制御装置と
を備え、
前記統制局制御装置は、
前記緊急車両の位置と前記緊急車両が到達すべき目的地点とを、前記第1無線装置から前記基地局無線装置を介して取得した場合に、当該位置及び当該目的地点に基づいて前記緊急車両が走行すべき走行経路を決定し、
前記走行経路に対応する前記基地局無線装置は、
前記統制局制御装置の制御により、自装置の通信エリア内の前記第2無線装置に、前記緊急車両に関する情報を送信する、情報配信システム。
【請求項2】
緊急車両に搭載された第1無線装置と、
前記緊急車両以外の他の車両に搭載された第2無線装置と、
前記第1及び第2無線装置と無線通信を行うとともに、互いに無線通信を行う複数の基地局無線装置と
を備え、
前記複数の基地局無線装置の少なくとも一つは、
前記緊急車両の位置と前記緊急車両が到達すべき目的地点とを前記第1無線装置から取得した場合に、当該位置及び当該目的地点に基づいて前記緊急車両が走行すべき走行経路を決定し、
前記走行経路に対応する前記基地局無線装置は、
自装置の通信エリア内の前記第2無線装置に、前記緊急車両に関する情報を送信する、情報配信システム。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の情報配信システムであって、
前記他の車両に搭載され、前記第2無線装置に通知された前記緊急車両に関する情報を表示するカーナビゲーション機器を備える、情報配信システム。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の情報配信システムと、
前記複数の基地局無線装置にそれぞれ接続された複数の信号機と
を備え、
前記基地局無線装置が所定の情報を前記第1無線装置から取得した場合に、当該基地局無線装置に対応する前記信号機を制御するとともに、前記走行経路の進行方向に存在し、かつ、当該基地局無線装置周辺の前記基地局無線装置に対応する前記信号機を制御する、信号機制御システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
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【図8】
【図9】
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【図16】
【図17】
【図18】
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【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【公開番号】特開2012−118767(P2012−118767A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−268059(P2010−268059)
【出願日】平成22年12月1日(2010.12.1)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年12月1日(2010.12.1)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
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