情報配信装置
【課題】定期券だけでなく、乗車券として複数回使用できるプリペイドカードを自動改札機に投入して駅に入場した登録者に対して、配信情報の配信が行える情報配信装置を提供する。
【解決手段】情報配信装置21は、同じ登録者5が所有している定期券7の識別コードと、プリペイドカード8の識別コードと、を関連づけた関連情報を関連情報記憶部217に記憶している。情報配信装置21は、登録者5がプリペイドカード8で駅に入場した際に、プリペイドカード8の識別コードから、定期券7の識別コードを特定することにより、登録者5を判別し、該登録者5に配信情報を配信する。これにより、登録者5に対するサービスの向上が図れる。
【解決手段】情報配信装置21は、同じ登録者5が所有している定期券7の識別コードと、プリペイドカード8の識別コードと、を関連づけた関連情報を関連情報記憶部217に記憶している。情報配信装置21は、登録者5がプリペイドカード8で駅に入場した際に、プリペイドカード8の識別コードから、定期券7の識別コードを特定することにより、登録者5を判別し、該登録者5に配信情報を配信する。これにより、登録者5に対するサービスの向上が図れる。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、会員登録した利用者(登録者)に配信情報を配信する情報配信装置に関し、特に登録者が駅に入場、または駅から退場した際に該登録者の趣味、嗜好等に適合する配信情報を配信する情報配信装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、商品、店舗、イベント、ニュース、天気予報、交通情報等に関する配信情報を会員登録している利用者(登録者)に配信する情報配信システムがあった。情報配信システムでは、会員登録時に利用者の属性を示す属性情報(年齢、性別、趣味、嗜好等)や、配信情報の配信先等を情報配信装置に登録している。情報配信装置は、登録者毎に属性情報に基づいて多数の配信依頼情報(企業や店舗等の広告主から登録者への配信を依頼された情報や、ニュース、天気予報、交通情報等)の中から該登録者の趣味、嗜好に適合する配信依頼情報を抽出し、ここで抽出した配信依頼情報からなる配信情報を作成する。そして、該登録者について登録されている配信先に作成した配信情報を配信していた。
【0003】
また、インタネットに接続できる携帯電話機等の携帯端末で利用している電子メールアドレス(以下、単にメールアドレスと言う。)を上記配信情報の配信先として登録し、登録者の趣味、嗜好に加えて、登録者の現在の居場所または行先(登録者の目的地)に適合する配信情報を作成して配信する情報配信システムが提案されている。例えば、通勤や通学等に定期券を利用している利用者を対象にした情報配信システムがある(国際公開番号 WO 02/33609のパンフレット)。この情報配信システムでは、駅に設置されている自動改札機が駅に入場または駅から退場した利用者の定期券に記録されている識別コードを読み取り、ここで読み取った定期券の識別コードを含む通過情報を情報配信装置に通知する。情報配信装置は、自動改札機から通知された定期券の識別コードから、該自動改札機の通路を通って駅に入場、または駅から退場した登録者を特定する。
【0004】
情報配信装置には、登録者の識別コードとして該登録者が所有する定期券の識別コードが登録されている。また、通過情報には、自動改札機から上記定期券の識別コードに加えて、該自動改札機が設置されている駅を特定できる駅情報(後述するゲートコード)や、登録者が駅に入場したのか、駅から退場したのかを示す入退場情報が含まれている。情報配信装置は、自動改札機から通知された通過情報により登録者の目的地を判断し、登録者の趣味、嗜好に加えて、登録者の目的地に適合する配信情報を配信していた。
【0005】
配信情報を受け取る登録者にとって、出発地に関する情報より、これから向かう目的地に関する情報の方が、その後の行動に役に立つ場合が多い。駅に入場した利用者の目的地は、殆どの場合、入場した駅の近辺ではなく、退場予定の駅の近辺である。反対に、駅から退場した利用者の目的地は、殆どの場合、退場した駅の近辺である。情報配信装置は、駅に入場した登録者に対して退場する予定の駅(目的地)近辺の情報を配信し、反対に駅から退場した登録者に対して退場した駅近辺(目的地)の情報を配信する。このようにして、情報配信装置は登録者にとって役に立つ目的地に関する情報を配信していた。
【0006】
情報配信装置には、駅に入場した登録者の目的地を判断するために、登録者が主に乗降する2つの駅(利用区間の両端の2つの駅)が登録されている。情報配信装置は、登録者が登録されている利用区間の一方の駅に入場したとき、該登録者の目的地を登録されている利用区間の他方の駅であると判断している。
【0007】
また、情報配信装置は、利用区間の両端の2つの駅のいずれかにおいて、入退場した登録者に対して迅速に配信情報を配信するために、利用区間の両端の2つの駅について、それぞれ入場時と、退場時に配信する配信情報を予め作成し、記憶している。この場合、登録者が駅に入場または退場したことを検出すると、該登録者に配信する配信情報をすでに作成しているので、該登録者に対する配信情報の配信が迅速に行える。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、登録者が入退場する駅は情報配信装置に登録されている利用区間の両端の2つの駅であるとは限らない。例えば、登録者が何らかの用事で情報配信装置に登録されている利用区間の両端の2つの駅でない、他の駅で入退場することがある。
【0009】
登録者は、利用区間の両端の2つの駅間に存在する途中駅において、入場または退場する場合、定期券を利用する。具体的には、登録者は自動改札機に定期券を投入して駅に入場、または駅から退場する。このため、情報配信装置は途中駅における登録者の入場、および退場を、自動改札機から通知される通過情報により検出できる。したがって、情報配信装置は途中駅において入場、または退場した登録者に対して配信情報を配信することは可能である。
【0010】
但し、途中駅で入場した登録者について、該登録者の目的地近辺の情報を配信するには、該登録者の目的地を予測する必要がある。また、途中駅で入場、または退場した登録者に対して配信情報を迅速に配信するために、配信情報を作成するタイミングを考慮する必要がある。
【0011】
なお、ここでは上記利用区間と、登録者が所有する定期券の有効区間とが一致しているものとして説明している。
【0012】
一方、登録者は利用区間内でない駅(所有している定期券の有効区間外の駅(乗り越し駅))で入場する場合、定期券を利用することができない。このため、登録者は定期券以外の乗車券、例えばキップ、プリペイドカード、を自動改札機に投入して入場する。このため、情報配信装置には自動改札機から定期券の識別コードを含む登録者の通過情報が通知されない。したがって、情報配信装置は乗り越し駅における登録者の入場を検出することができず、該登録者に対して配信情報を配信することができなかった。
【0013】
この発明の目的は、定期券だけでなく、乗車券として複数回使用できるプリペイドカードを自動改札機に投入して駅に入場した登録者に対して、配信情報の配信が行える情報配信装置を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
この発明の情報配信装置は、上記課題を解決するために以下の構成を備えている。
【0015】
(1)定期券の識別コードと、その属性を示す属性情報と、を対応付けて記憶する属性情報記憶手段と、
上記定期券の識別コードと、乗車券として複数回使用できるプリペイドカードの識別コードと、を関連付けた関連情報を記憶する関連情報記憶手段と、
上記定期券の識別コード毎に、上記属性情報記憶手段に記憶されている上記属性情報に基づいて配信情報を作成する配信情報作成手段と、
上記定期券、または上記プリペイドカードの少なくとも一方が投入された自動改札機から、該自動改札機に投入された上記定期券、上記プリペイドカードそれぞれの識別コードを含む通過情報を取得する通過情報取得手段と、
上記通過情報取得手段が取得した上記通過情報に上記定期券の識別コードが含まれておらず、上記プリペイドカードの識別コードが含まれていた場合、上記関連情報記憶手段に記憶されている上記関連情報により、該プリペイドカードの識別コードに関連付けられている上記定期券の識別コードを特定する識別コード特定手段と、
上記識別コード特定手段により特定された上記定期券の識別コード、または上記通過情報に含まれていた上記定期券の識別コードについて、上記配信情報作成手段が作成した上記配信情報を、この定期券の識別コードに対応する配信先に配信する配信手段と、を備えている。
【0016】
この構成では、属性情報記憶手段が定期券の識別コードと、その属性を示す属性情報と、を対応付けて記憶している。定期券の識別コードは、この定期券の所有者である登録者を識別する識別コードとして利用される。関連情報記憶手段には、定期券の識別コードと、乗車券として複数回使用できるプリペイドカードの識別コードとを関連づけた関連情報が記憶される。この関連情報により関連付けられている定期券と、プリペイドカードとは所有者が同じである。また、上記属性情報は登録者の年齢、性別、趣味、嗜好等である。
【0017】
なお、プリペイドカードが投入できる自動改札機についてはすでに実用化されている。自動改札機に投入できるプリペイドカードには、金額方式と回数券方式とがある。また、定期券の有効区間外の駅(乗り越し駅)での退場時に定期券とプリペイドカード、2枚の乗車券を連続して投入すると、乗り越し分の料金を投入されたプリペイドカードで精算する自動改札機もある。
【0018】
配信情報作成手段は、定期券の識別コード毎に属性情報記憶手段に記憶されている属性情報に基づいて配信情報を作成する。具体的には、登録者毎に年齢、性別、趣味、嗜好等に適合した配信情報を作成する。
【0019】
通過情報取得手段は、定期券、プリペイドカードの少なくとも一方が投入された自動改札機から、該自動改札機に投入された定期券、プリペイドカードそれぞれの識別コードを含む通過情報を取得する。通過情報取得手段が取得した通過情報に定期券の識別コードが含まれておらず、プリペイドカードの識別コードが含まれていた場合(自動改札機に定期券が投入されずに、プリペイドカードが投入された場合)、識別コード特定手段が関連情報記憶手段に記憶されている関連情報を用いて、今回取得した通過情報に含まれているプリペイドカードの識別コードに関連付けられている定期券の識別コードを特定する。
【0020】
定期券の所有者が、自動改札機に定期券を投入せずに、プリペイドカードを投入して駅に入場する状況としては、例えば、
▲1▼入場する駅が定期券の有効区間外の駅である場合、
▲2▼入場する駅については定期券の有効区間の両端の2つの駅であるが、定期券の有効区間を含まない経路で移動する場合、
があり、また、定期券の所有者が、自動改札機に定期券を投入せずに、プリペイドカードを投入して駅から退場する状況としては、例えば、
▲3▼今回入場した駅から、退場する駅までの経路に、定期券の有効区間が含まれていない場合、
がある。このような場合に、通過情報取得手段が定期券の識別コードが含まれておらず、プリペイドカードの識別コードが含まれている通過情報を取得する。
【0021】
また、定期券の所有者が、定期券、およびプリペイドカードの両方を自動改札機に連続して投入する状況としては、例えば、
▲4▼定期券の有効区間内の駅で入場し(このとき、定期券のみ自動改札機に投入する。)、定期券の有効区間外である乗り越し駅で退場する場合、
▲5▼定期券の有効区間外の乗り越し駅で入場し(このとき、プリペイドカードのみ自動改札機に投入する。)、定期券の有効区間内の駅で退場する場合、である。
関連情報記憶手段に関連情報を記憶させる構成としては、
定期券の識別コードとプリペイドカードの識別コードとを関連づけた関連情報を、オペレータ、または登録者に入力させる構成であっても良いし、
上記▲4▼、▲5▼で示した状況等により、定期券の識別コードと、プリペイドカードの識別コードとが含まれている通過情報を自動改札機から取得したときに、これらの識別コードを関連づけた関連情報を関連情報記憶部に記憶させる構成であってもよい。
【0022】
関連情報記憶部に、通過情報に含まれていたプリペイドカードの識別コードにかかる関連情報が記憶されていると、識別コード特定手段が通過情報に含まれていたプリペイドカードの識別コードから、定期券の識別コードを特定できると、ここで特定した定期券の識別コードから自動改札機にプリペイドカードを投入した登録者を特定することができる。
【0023】
なお、自動改札機に定期券が投入された場合については、今回取得した通過情報に定期券の識別コードが含まれているので、この定期券の識別コードから登録者を特定することができる。
【0024】
配信手段は、配信情報作成手段により作成された配信情報を登録者に配信する。
【0025】
したがって、定期券を使用せずに、プリペイドカードを使用して駅に入場、または駅から退場した登録者、例えば上記▲1▼〜▲3▼の状況で駅に入場した登録者に対して配信情報を配信することができ、登録者に対するサービスの向上が図れる。
【0026】
(2)上記通過情報取得手段が上記定期券の識別コード、および上記プリペイドカードの識別コードの両方を含む上記通過情報を取得したときに、該定期券の識別コードと、該プリペイドカードの識別コードと、を関連づけた関連情報を上記関連情報記憶手段に記憶させる。
【0027】
この構成では、定期券の識別コードと、プリペイドカードの識別コードとが含まれている通過情報を自動改札機から取得したときに、これらの識別コードを関連づけた関連情報を関連情報記憶部に記憶させることができるので、人手をかけずに関連情報記憶部に関連情報を記憶させることができる。
【0028】
(3)上記定期券の識別コード毎に、上記配信情報作成手段が作成した配信情報を記憶する配信情報記憶手段を備えている。
【0029】
この構成では、登録者が入場、または退場することが予めわかっている駅、例えば利用区間の両端の2つの駅、については、配信情報を予め作成し、配信情報記憶手段に記憶させておくことができる。したがって、配信情報が予め作成されている駅で、入場、または退場した登録者に対する配信情報の配信が迅速に行える。
【0030】
(4)上記通過情報には、駅に入場、または駅から退場の種別を示す入退場情報、および入場または退場した駅を示す駅情報が含まれており、
上記配信手段は、上記識別コード特定手段により特定された上記定期券の識別コードについて、予め登録されている利用区間の両端の2つの駅でない他の駅における入場を示す上記通過情報を取得した場合、ここで特定された定期券の識別コードについて、上記属性情報記憶手段に記憶している属性情報に基づき、上記利用区間の両端の2つの駅の一方の駅近辺に関する上記配信情報を配信する。
【0031】
この構成では、利用区間の両端の2つの駅でない他の駅において入場した登録者の目的地を利用区間の両端の2つの駅の一方の駅であると予測し、この予測に基づいて作成した配信情報を配信する。
【0032】
利用区間の両端の2つの駅でない他の駅で入場した人の目的地は、殆どの場合利用区間の両端の2つの駅のどちらかである。したがって、略半分の確率で、登録者に対して、目的地にあった役に立つ配信情報を配信することができる。
【0033】
(5)上記配信情報作成手段は、上記識別コード特定手段により特定された上記定期券の識別コード、または上記通過情報に含まれていた上記定期券の識別コードについて、予め登録されている利用区間の両端の2つの駅でない他の駅における退場を示す通過情報を取得した場合、この定期券の識別コードについて、上記属性情報記憶手段に記憶している属性情報に基づき、上記利用区間の両端の2つの駅の一方の駅近辺に関する上記配信情報を作成し、ここで作成された配信情報を上記配信情報記憶手段に記憶させる。
【0034】
この構成では、利用区間の両端の2つの駅でない他の駅において退場が検出された登録者に対して、該登録者が利用区間の両端の2つの駅でない他の駅に入場したときに配信する配信情報(上記(4)で配信する配信情報)を作成する。したがって、利用区間の両端の2つの駅でない他の駅において入場した登録者に対する配信情報の配信が迅速に行える。
【0035】
通常、今回ある駅から退場した人が次回に入場する駅は、今回退場した駅である可能性が極めて高い。したがって、今回退場した駅が利用区間の両端の2つの駅でない他の駅であったとき、利用区間の両端の2つの駅でない他の駅に入場したときに配信する配信情報を作成することにより、無駄な配信情報の作成が抑えられる。また、駅から退場した登録者は、退場した駅近辺で何らかの用事を済ませてから、退場した駅に戻って入場するので、該駅における入場時に配信する配信情報を余裕を持って作成することができる。
【0036】
(6)上記通過情報には、駅に入場、または駅から退場の種別を示す入退場情報、および入場または退場した駅を示す駅情報が含まれており、
上記配信手段は、上記識別コード特定手段により特定された上記定期券の識別コードについて、予め登録されている利用区間の両端の2つの駅でない他の駅における入場を示す通過情報を取得した場合、ここで特定された定期券の識別コードについて、上記属性情報記憶手段に記憶している属性情報に基づき、上記利用区間の両端の2つの駅近辺に関する上記配信情報を配信する。
【0037】
この構成では、上記(4)で説明したように、利用区間の両端の2つの駅でない他の駅において入場した人は、利用区間の両端の2つの駅のどちらかに移動する可能性が極めて高いので、利用区間の両端の2つの駅近辺に関する上記配信情報を配信することにより、登録者に対して、略確実に目的地に応じた配信情報を配信することができる。
【0038】
(7)上記配信情報作成手段は、上記識別コード特定手段により特定された上記定期券の識別コード、または上記通過情報に含まれていた上記定期券の識別コードについて、予め登録されている利用区間の両端の2つの駅でない他の駅における退場を示す通過情報を取得した場合、この定期券の識別コードについて、上記属性情報記憶手段に記憶している属性情報に基づき、上記利用区間の両端の2つの駅近辺に関する上記配信情報を作成し、ここで作成した配信情報を上記配信情報記憶手段に記憶させる。
【0039】
この構成では、上記(5)と同様の効果を奏する。
【0040】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施形態である情報配信装置について説明する。
【0041】
図1は、この発明の実施形態である情報配信装置を適用した情報配信システムの構成を示す図である。図1において、1は駅であり、2は情報配信センタである。駅1には、自動改札機11、自動精算機12、券売機13等が設置されている。また、自動改札機11、自動精算機12、券売機13は、駅1における乗降客を管理するホスト装置14に接続されている。ホスト装置14は、専用線または公衆回線網3を介して図示していない鉄道会社のサーバ装置に接続されている。情報配信センタ2には、この発明の実施形態である情報配信装置21が設置されている。駅1に設置されているホスト装置14、および情報配信センタ2に設置されている情報配信装置21は、公衆回線網3を介してインタネット4に接続できる。また、ホスト装置14と情報配信装置21とは、通信可能に構成されている。ホスト装置14と情報配信装置21との通信路は、専用線であってもよいし、公衆回線網3やインタネット4を介した経路であってもよい。
【0042】
また、図1において、5は利用者(登録者)であり、6は該利用者5が所有する携帯電話機であり、7は利用者5が所有する定期券であり、8は該利用者5が所有するプリペイドカードである。携帯電話機6は、インタネット4に接続する機能を有する。携帯電話機6には、インタネット4を介して電子メールの送受信が行えるようにメールアドレスが付与されている。定期券7には、この定期券7の識別コード、有効期間、有効区間等の情報が記憶されている(図2(A)参照)。プリペイドカード8は乗車券として複数回使用できる。乗車券として使用できるプリペイドカード8には、回数券方式のものと、金額方式のものとがある。回数券方式のプリペイドカード8は、予め使用できる回数が定められている。使用回数がこの予め定められている回数に達するまで、繰り返し使用できる。また、金額方式のプリペイドカードは、使用の度に使用に応じた価値が差し引かれ、該カードの残価値が0になるまで繰り返し使用できる。金額方式のプリペイドカード8には、このプリペイドカード8の識別コード、残価値、使用履歴等の情報が記憶されている(図2(B)参照)。
【0043】
なお、以下の説明において利用者5という場合は、駅1への入場、または退場に定期券7またはプリペイドカード8を利用する人を指し、登録者5という場合は情報配信装置21に後述する属性情報が登録されている人を指す。
【0044】
図3は、この発明の実施形態である情報配信装置の構成を示すブロック図である。情報配信装置21は、本体の動作を制御する制御部211と、企業や店舗等の広告主から登録者への配信を依頼された広告、ニュース、天気予報、交通情報等、様々な種類の情報(以下、配信以来情報と言う。)を多数記憶した配信依頼情報記憶部212と、登録者5毎に定期券7の識別コードに対応付けて氏名、年齢、性別、趣味、嗜好等の属性情報や、利用区間を示す両端の2つの駅等、登録者の個人情報を記憶する個人情報記憶部213と、登録者5毎に作成された配信情報を記憶する配信情報記憶部214と、配信情報を登録者5に配信(送信)する配信部215と、他の機器から送信されてきた情報を受信する受信部216と、定期券7の識別コードとプリペイドカード8の識別コードと、を関連付けた関連情報を記憶する関連情報記憶部217と、を備えている。受信部216は、自動改札機11からホスト装置14を介して送信されてくる通過情報や、広告主等から送信されてくる配信依頼情報等を受信する。上記通過情報の詳細については、後述する。
【0045】
個人情報記憶部213には、図4に示すように、登録者5毎に識別コード(定期券7の識別コード)に対応付けて、登録者5の氏名、年齢、性別、職業、配信を希望する配信情報の種別、配信を希望しない配信情報、列車の時刻表配信の要/不要、列車の遅延案内配信の要/不要、配信情報の配信先(携帯電話機6のメールアドレス)、乗車時の配信希望の有無、降車時の配信希望の有無、主に利用する乗車区間(この発明で言う、利用区間の両端の2つの駅)、自宅の電話番号、勤務先の電話番号等が個人情報として記憶されている。この発明で言う属性情報は上記個人情報に含まれている。
【0046】
なお、定期券7を利用している利用者5であっても、この個人情報記憶部213に個人情報が記憶されていない利用者5は登録者5ではない。逆に言うと、個人情報記憶部213に個人情報が記憶されている利用者5が登録者5である。
【0047】
また、ここでは、定期券7の有効区間は、個人情報記憶部213に記憶されている利用区間の両端の2つの駅間であるとして、以下説明する。
【0048】
配信依頼情報記憶部212に記憶されている配信依頼情報の中には、インタネット4を介して取得した情報もある。配信依頼情報記憶部212に記憶されている配信依頼情報には、配信してもよい登録者5と、配信を禁止する登録者5とを区別するための配信条件が付けられている。この配信条件は、配信依頼情報の提供者である広告主が自由に設定できる。例えば、女性向けの配信依頼情報を提供する場合、配信する登録者5を女性に限定する配信条件を付けることで、男性に配信されないようにできる。また、年齢層(20代、30代等)や、配信回数等も配信条件として付けることができる。
【0049】
図5は、配信依頼情報記憶部に記憶されている配信依頼情報の例を示す図である。配信依頼情報記憶部212は、配信条件(図5(A)参照)と配信依頼情報本体(図5(B)参照)とを対応づけて記憶している。また、配信依頼情報には該配信依頼情報を識別する配信依頼情報番号が与えられている。図5(A)に示す配信条件の例は、配信依頼情報を配信してもよい登録者5を、女性で、年齢が20〜29歳に制限した例である。また、配信依頼情報の有効期間は2001年9月1日〜2001年10月31日の期間である。この配信依頼情報は、この有効期間を過ぎると、登録者5に配信されない。配信制限回数は300回であり、延べ301人以上の登録者5に配信されない。配信依頼情報番号はK0001である。
【0050】
関連情報記憶部217には、登録者5が所有する定期券7の識別コードと、この登録者5が所有するプリペイドカード8の識別コードと、この登録者5が入退場した定期券7の有効区間内でない駅と、を関連づけた関連情報が記憶されている(図6参照)。関連情報は、図6に示すように、定期券7の識別コードに対して、最大2枚のプリペイドカード8の識別コードを関連付けられるように構成されている。金額方式のプリペイドカード8は、使用の度に残価値が減っていき、残価値が0になると使用できなくなる。通常、プリペイド8の利用者5は所有しているプリペイドカード8の残価値が0に近づくと、新たにプリペイドカード8を購入する。このとき、利用者5は使用可能なプリペイドカード8を2枚所有することになり、この2枚のプリペイドカード8の使用時期が一時的に重なるときがある。このため、上記のように、定期券7の識別コードに対して、最大2枚のプリペイドカード8の識別コードが関連付けられるように関連情報を構成している。
【0051】
なお、定期券7の識別コードに対応付けて記憶している2枚のプリペイドカード8の識別コードは、図6において上段の方が新しい(登録時期が遅い)プリペイドカードであり、既に定期券7の識別コードに2枚のプリペイドカード8の識別コードが関連づけられている関連情報に対して、新たなプリペイドカード8の識別コードを登録する(定期券7の識別コードに関連付ける)場合、下段に登録されているプリペイドカード8の識別コードを削除し、上段に登録されているプリペイドカード8の識別コードを下段に移動し、さらに今回登録する新たなプリペイドカード8の識別コードを上段に登録する。
【0052】
また、関連情報には、登録者5が入退場した定期券7の有効区間内でない駅が含まれている。具体的には、登録者5が定期券7の有効区間内でない駅において入場、または退場したことを検出したとき、この登録者5についての関連情報に今回入場した駅、または今回退場した駅を追加登録している。登録者5が入退場した定期券7の有効区間内でない駅の情報は、該登録者5の行動パターンの予測等に利用できる。
【0053】
自動改札機11は、公知のように適正な乗車券(定期券、キップ、プリペイドカード、精算券等)を所持していない利用者の駅構内への入場、または駅構内からの退場を制限する装置である。自動精算機12は乗り越しした利用者5が駅構内から退場するために乗り越し分の運賃を精算し、精算券を取得するための装置である。券売機13は、これから駅構内に入場する利用者5が乗車区間に応じたキップを購入するための装置である。
【0054】
図7はこの発明の実施形態である自動改札機の構成を示すブロック図であり、図8は同自動改札機の外観を示す図である。
【0055】
自動改札機11は、本体の動作を制御する制御部111と、動作時に利用する情報や、動作時に発生した情報を記憶する記憶部112と、現在の時間を計時する計時部113と、ホスト装置14へ情報を出力する送信部114と、定期券、キップ、プリペイドカード等の乗車券が本体に投入されたことを検出する投入検出部115と、本体に投入された乗車券を搬送する搬送部116と、搬送されている乗車券に記録されている磁気データの読み取り、および磁気データの記録を行う読取/記録部117と、利用者6の通行を制限する扉118aを開閉する扉駆動部118とを備えている。自動改札機11は、扉118aを閉じることにより、該自動改札機11により構成された通路を閉鎖して、利用者5の駅1への入場または駅1からの退場(通路の通行)を禁止する。
【0056】
自動改札機11は、通路の入口の右側に乗車券を投入する投入口116aを備え、出口の右側に本体に投入された乗車券を放出する放出口116bを備えている。投入口116aと放出口116bとの間には、乗車券を搬送する搬送路116cが設けられている。また、搬送路116cの途中には、投入口116aに投入されたキップや精算券を回収ボックス(不図示)に搬送するための回収路(不図示)、および投入口116aに投入された乗車券の搬送先を放出口116bまたは回収ボックスのどちらかに切り換える、搬送路切換機構部(不図示)が設けられている。投入口116aには、乗車券の投入を検知する投入検知センサ115aが設けられている。この投入検知センサ115aが乗車券の投入を検知すると、搬送部116が投入口116aに投入された乗車券を放出口116bへ搬送する。また、読取ヘッド117aは搬送路116cを搬送されている乗車券に記録されている磁気データ(乗車券情報等)を読み取る。また、記録ヘッド117bは、搬送路116cを搬送されている乗車券に磁気データ(乗車券情報や使用履歴等)を記録する。
【0057】
入場用の自動改札機11は図8に示す通行方向が駅構内に向かう方向に設置され、退場用の自動改札機11は図8に示す通行方向が駅構内から外側に向かう方向に設置される。また、記憶部114には、自装置を識別するゲートコード、や自装置が入場用であるか、退場用であるかを示す入退場情報が記憶されている。また、入場用の自動改札機11は、本体に投入されたプリペイドカード8に入場した駅を示す駅コードや入場時刻等を記録し、退場用の自動改札機11は本体に投入されたプリペイドカード8に残価値、使用履歴等を記録する。
【0058】
また、退場用の自動改札機11には、精算機能が設けられており、複数枚の乗車券を連続して投入することができる。この精算機能を設けた自動改札機11では、以下に示す▲2▼、▲3▼の方法で、駅1から退場できる。
【0059】
ここで、定期券7の有効区間が図9に示すA駅とB駅である利用者5が駅1に入場するときと、駅1から退場するときについて、場合分けして説明する。
▲1▼A駅(またはA駅とB駅の途中駅)で入場し、B駅(またはA駅とB駅の途中駅)で退場する場合、A駅において定期券7を自動改札機11に投入して入場し、B駅において定期券7を自動改札機11に投入して退場する。
▲2▼A駅(またはA駅とB駅の途中駅)で入場し、定期券7の有効区間外であるC駅で退場する場合、A駅において定期券7を自動改札機11に投入して入場し、C駅において定期券7、およびプリペイドカード8を自動改札機11に投入して退場する。
▲3▼定期券7の有効区間外であるC駅で入場し、A駅(またはA駅とB駅の途中駅)で退場する場合、C駅においてプリペイドカード8(またはC駅からB駅までのキップ)を自動改札機11に投入して入場し、A駅において定期券7、およびプリペイドカード8(またはキップ)を自動改札機11に投入して退場する。
【0060】
自動改札機11は、上記▲2▼、▲3▼の場合において、定期券7の有効区間外にかかる乗車料金(C駅からB駅までの乗車料金)を、プリペイドカード8(またはキップ)で精算する。
【0061】
この機能が上記精算機能であり、これにより利用者5は精算機12で精算することなく(精算券を入手するすることなく)、自動改札機11の通路を通って、駅1から退場できる。
【0062】
なお、入場用の自動改札機11と退場用の自動改札機11とを通路を挟んで対向して配置することにより、1本の通路を双方向(入場方向、および退場方向)の通行に利用できる。
【0063】
以下、この発明の実施形態である情報配信装置21を適用した情報配信システムの動作について説明する。
【0064】
この実施形態の情報配信装置21は、登録者5毎に利用区間の両端の2つの駅について、それぞれ入場時と退場時に配信する配信情報を作成し、ここで作成した配信情報を配信情報記憶部214に記憶させる配信情報作成処理を実行している。この配信情報作成処理は、駅1に入退場する利用者5がいない夜間に実行される。以下、この配信情報作成処理について説明する。
【0065】
一般的な定期券の利用者が、1日あたり、
▲1▼自宅近辺の駅に入場、
▲2▼会社や学校近辺の駅から退場、
▲3▼会社や学校近辺の駅に入場、
▲4▼自宅近辺の駅から退場、
の合計4回、自動改札機11の通路を通行することから、配信情報作成処理では、上記▲1▼〜▲4▼の4回について、登録者5に配信する配信情報を作成し、配信情報記憶部214に記憶させている。
【0066】
なお、自宅近辺の駅と、会社や学校近辺の駅とが、個人情報記憶部213に記憶されている利用区間の両端の2つの駅である。
【0067】
図10は、配信情報作成処理を示すフローチャートである。
【0068】
情報配信装置21は、個人情報記憶部213に個人情報が記憶されている全ての登録者5に対して、以下に示すs1〜s13の処理を行い、全ての登録者5について完了すると(s14)、本処理を終了する。情報配信装置21は、個人情報記憶部213に登録されている順番に、s1〜s13の処理を実行する。
【0069】
情報配信装置21は、識別コードに対応する個人情報を個人情報記憶部213から読み出す(s1)。情報配信装置21は、s1で個人情報を読み出した登録者5について、自宅近辺の駅(利用区間の両端の2つの駅の一方)入場時に配信する配信情報を作成する(s2)。s2の処理について具体的に説明する。情報配信装置21は、自宅近辺の駅入場時における登録者5の目的地を会社や学校近辺の駅(利用区間の両端の2つの駅の他方)と判断し、配信依頼情報記憶部212に記憶されている多数の配信依頼情報の中から、勤務先近辺の駅に関し、且つ該登録者5の趣味、嗜好等に適合する配信依頼情報を抽出する。このとき、情報配信装置21は、配信依頼情報に付けられている配信条件を満足する登録者5であるかどうかも判断している。情報配信装置21は、ここで抽出した配信依頼情報の本文を配信情報とする。
【0070】
情報配信装置21は、s2で配信情報を作成すると、ここで作成した配信情報を配信情報記憶部214に記憶する(s3)。配信情報記憶部214の構成については後述する。情報配信装置21は、会社や学校近辺の駅退場時に配信する配信情報を作成する(s4)。情報配信装置21は、会社や学校近辺の駅退場時における登録者5の目的地を会社や学校近辺の駅と判断し、上記s2で説明した方法で配信情報を作成する。
【0071】
情報配信装置21は、s4で作成した配信情報が、先に作成した(s2で作成した)配信情報と同じであるかどうかを判断し(s5)、同じであればもう一度配信情報を作成する(s6)。このとき、s4で作成した配信情報については破棄する。情報配信装置21は、s4またはs6で作成した配信情報を配信情報記憶部214に記憶すると(s7)、会社や学校近辺の駅入場時に配信する配信情報を作成する(s8)。情報配信装置21は、会社や学校近辺の入場時における登録者5の目的地を自宅近辺の駅と判断し、上記s2で説明した方法で配信情報を作成する。情報配信装置21は、s8で作成した配信情報を配信情報記憶部214に記憶すると(s9)、自宅近辺の駅退場時に配信する配信情報を作成する(s10)。情報配信装置21は、自宅近辺の駅退場時における登録者5の目的地を自宅近辺の駅と判断し、上記s2で説明した方法で配信情報を作成する。
【0072】
情報配信装置21は、s10で作成した配信情報が、先に作成した(s8で作成した)配信情報と同じであるかどうかを判断し(s11)、同じであればもう一度配信情報を作成する(s12)。このとき、s10で作成した配信情報については破棄する。情報配信装置21は、s10またはs12で作成した配信情報を配信情報記憶部214に記憶する(s13)。
【0073】
情報配信装置21は、全ての登録者5について完了したかどうかを判断し(s14)、未処理の登録者5がいればs1に戻って上記処理を繰り返す。
【0074】
このように、情報配信装置21は、登録者5毎に利用区間の両端の2つの駅について、それぞれ入場時、退場時に配信する、合計4つの配信情報を作成し、配信情報記憶部214に記憶する。
【0075】
図11、および図12は、配信情報記憶部の構成を示す図である。配信情報記憶部214は、駅毎にデータベース化されている。上記配信情報作成処理で作成された登録者5毎の4つの配信情報は、該当する駅のデータベースに分けて記憶される。具体的には、利用区間の両端の2つの駅がA駅とB駅とである登録者5の場合、A駅の入場時と退場時に配信する配信情報を定期券7の識別コードに対応付けてA駅のデータベースに記憶し、B駅の入場時と退場時に配信する配信情報を定期券の識別コードに対応付けてB駅のデータベースに記憶する。
【0076】
また、配信情報記憶部214には、図12に示す区間外入場時データベースが設けられている。この指定外駅入場時データベースには、利用区間の両端の2つの駅でない他の駅1で退場したことを検出した登録者5に対して、利用区間の両端の2つの駅でない他の駅1において入場を検出した際に配信する配信情報が定期券7の識別コードに対応付けて記憶される。
【0077】
なお、s5、s6、s11、s12を設けたので、上記配信情報作成処理において、1人の登録者5に対して同じ配信情報を配信することがない。
【0078】
次に、自動改札機11の動作について説明する。図13は自動改札機の動作を示すフローチャートである。自動改札機11は、投入検知センサ115aにより投入口116aに乗車券(キップ、精算券、定期券7、プリペイドカード8等)が投入されたことを検出すると(s21)、投入口116aに投入された乗車券を放出口116bに向けて搬送する。このとき、自動改札機11は磁気ヘッド117aで放出口116bに向けて搬送している乗車券に磁気データで記憶されている乗車券情報を読み取り(s22)、所定時間(例えば、2〜3秒)以内に2枚目の乗車券が投入口116aに投入されるかどうかを待つ(s23、s24)。自動改札機11は、所定時間以内に2枚目の乗車券が投入口116aに投入されると、この2枚目の乗車券に磁気データで記憶されている乗車券情報を読み取る(s25)。自動改札機11は、s22およびs25で読み取った乗車券情報に基づいて利用者の通行を許可するかどうかを判断する(s26)。
【0079】
上記s23〜s25は、精算機能を有する退場用の自動改札機11における処理の説明であって、精算機能を備えていない入場用の自動改札機11においてはこれらの処理はない(s22の次にs26を実行する。)。
【0080】
なお、上記説明から明らかなように、本体に投入された乗車券が1枚である場合には、s25で読み取った乗車券情報はない。
【0081】
自動改札機11は、s26で通行を許可すると判断すると、扉118aを開放し(s27)、通路を開放して利用者5が通路を通行するのを許可する。このとき、投入口116aに投入された乗車券は、放出口116bにおいて放出されるか、または回収ボックスに回収される。通常、入場用の自動改札機11は投入口116aに投入された乗車券を回収ボックスに回収することなく放出口116bにおいて放出するが、退場の自動改札機11は投入口116aに投入された乗車券が定期券7やプリペイドカード8であれば放出口116bにおいて放出し、キップや精算券であれば回収ボックスに回収する。また、放出口116bに放出する乗車券については、必要に応じて記録ヘッド117bでプリペイドカード8の残価値、使用履歴等の情報を記録する。精算機能を備えた自動改札機11は、このとき必要に応じて精算処理も実行している。
【0082】
自動改札機11は、s27で扉118aを開放し、利用者5が通路を通行するのを許可すると、今回投入された乗車券に定期券7、またはプリペイドカード8の一方が含まれていたかどうかを判定する(s28)。自動改札機11は、s28で今回投入された乗車券に定期券7、またはプリペイドカード8の一方が含まれていたと判定すると、通過情報を出力し(s29)、s21に戻る。
【0083】
なお、自動改札機11はs26で通路の通行を許可しないと判断した場合、扉118aを閉することにより、通路を閉鎖して利用者5の通行を禁止し(s30)、s21に戻る。このとき、自動改札機11は、投入口116aに投入された乗車券を回収ボックスに回収することなく、放出口116bにおいて放出する。自動改札機11は、投入された乗車券が、有効期間切れ、有効区間内でない等の不適正な乗車券8であったときに、s26で通路の通行を許可しないと判断する。
【0084】
ここで、自動改札機11がs29で出力する通過情報について説明する。
【0085】
▲1▼自動改札機11に投入された乗車券が、定期券7、およびプリペイドカード8の2枚であった場合、定期券7の識別コード、プリペイドカード8の識別コード、自動改札機11のゲートコード、および入場用/退場用を示す入退場情報(この場合は退場になる。)からなる通過情報を出力する。
▲2▼自動改札機11に投入された乗車券が、定期券7であった場合、定期券7の識別コード、自動改札機11のゲートコード、および入場用/退場用を示す入退場情報からなる通過情報を出力する。
▲3▼自動改札機11に投入された乗車券が、プリペイドカード8であった場合、プリペイドカード8の識別コード、自動改札機11のゲートコード、および入場用/退場用を示す入退場情報からなる通過情報を出力する。
【0086】
自動改札機11から出力された上記通過情報はホスト装置14を介して、略リアルタイムに情報配信装置21に転送される。
【0087】
次に、この発明の実施形態である情報配信装置の動作について説明する。図14〜図16は情報配信装置の動作を示すフローチャートである。情報配信装置21は、通過情報を受信すると(s41)、この通過情報に、
▲1▼定期券7の識別コード、およびプリペイドカード8の識別コードの両方が含まれているか、
▲2▼定期券7の識別コードのみであるか(プリペイドカード8の識別コードが含まれていない)、
▲3▼プリペイドカード8の識別コードのみであるか(定期券7の識別コードが含まれていない)を判定する(s42、s43)。
【0088】
まず、通過情報に、定期券7の識別コード、およびプリペイドカード8の識別コードの両方が含まれていた場合の動作について説明する。
【0089】
情報配信装置21は、通過情報に含まれている定期券7の識別コードに基づいて、利用者5が登録者5であるかどうかを判断する(s44)。s44では、通過情報に含まれていた定期券7の識別コードが個人情報記憶部213に記憶されているかどうかにより判断する。s44で登録者5でないと判断すると、s41に戻る。反対に、登録者5であると判断すると、関連情報記憶部217に記憶されている関連情報を検索し、該当する登録者5の関連情報を更新する(s45)。
【0090】
s45では、今回の通過情報に含まれていた定期券7の識別コードをキーにして関連情報記憶部217に記憶されている関連情報を検索する。ここで、今回の通過情報に含まれていた定期券7の識別コードが記憶された関連情報が無ければ、今回の通過情報に含まれていた定期券7の識別コード、プリペイドカード8の識別コードを関連付けた関連情報を新たに登録する。反対に、今回の通過情報に含まれていた定期券7の識別コードが記憶された関連情報があれば、該関連情報において今回の通過情報に含まれていたプリペイドカード8の識別コードが関連づけられているかどうかを判断し、関連づけられていなければこのプリペイドカード8の識別コードを関連づける更新処理を行う。このとき、上述したように、必要に応じて、すでに関連づけられているプリペイドカード8の識別コードを削除する。また、登録者5が退場した駅1が利用区間の両端の2つの駅でなければ、今回退場した駅を関連情報に追加する。
【0091】
なお、自動改札機11に定期券7、およびプリペイドカード8の2枚の乗車券が投入されるのは、上述したように利用者5の退場時のみである。
【0092】
情報配信装置21は、s45で関連情報を更新すると、登録者5が退場した駅が利用区間の両端の2つの駅の一方であるか、その他の駅であるかを判断し(s46)、利用区間の両端の2つの駅であれば、配信情報記憶部214の退場した駅のデータベースから、該当する登録者5に対して作成されている配信情報を読み出し、登録者5の携帯電話機6に配信し(s47)、s41に戻る。
【0093】
情報配信装置21は、利用区間の両端の2つの駅でないと判定すると、登録者5が今回退場した駅1近辺を目的地とし、該登録者5の属性情報にあった配信情報を作成する(s48)。情報配信装置21は、s48で作成した配信情報を該登録者5の携帯電話機6に配信する(s49)。さらに、情報配信装置21は、利用区間の両端の2つの駅であって、今回退場した駅からより遠い方の駅を目的地とし、該登録者5の属性情報にあった配信情報を作成する(s50)。情報配信装置21は、s50で作成した配信情報を指定外駅入場時データベースに記憶し(s51)、s41に戻る。
【0094】
s48、およびs50で配信情報を作成する際には、該当する登録者5の個人情報を利用している。
【0095】
なお、利用区間の両端の2つの駅でない他の駅において退場した登録者5に対して、配信情報を配信しない場合には、上記s48、s49の処理をなくせばよい。また、s50では、利用区間の両端の2つの駅であって、今回退場した駅からより遠い方の駅を目的地とした配信情報を作成するとしたが、より近い方の駅を目的地とした配信情報を作成してもよいし、さらには利用区間の両端の2つの駅を目的地とした配信情報を作成してもよい。
【0096】
利用区間の両端の2つの駅でない他の駅において入場した登録者5の目的地は、利用区間の両端の2つの駅のどちらか一方である可能性が極めて高いので、利用区間の両端の2つの駅のどちらか一方を目的地とした配信情報を作成することで、利用区間の両端の2つの駅でない他の駅において入場した登録者5に対して、役に立つ配信情報を略半分の確率で配信することができる。また、利用区間の両端の2つの駅を目的地とした配信情報を作成することで、利用区間の両端の2つの駅でない他の駅において入場した登録者5に対して、役に立つ配信情報を略確実に配信することができる。
【0097】
さらに、利用区間の両端の2つの駅でない他の駅において退場した登録者5は、殆どの場合、退場した駅近辺で何らかの用事を済ませた後、今回退場した駅1に戻って入場すると考えられるので、s50で作成した配信情報が無駄になる(登録者5に配信されない)可能性も極めて低い。したがって、無駄な配信情報の作成が抑えられ、情報配信装置21の負荷の増加を防止できる。
【0098】
なお、s50で作成した配信情報が配信される処理については後述する。
【0099】
次に、図15を参照しながら通過情報に、定期券7の識別コードのみが含まれていた場合について説明する。
【0100】
情報配信装置21は、利用者5が登録者5であるかどうかを判断し(s61)、登録者5でなければs41に戻る。反対に、登録者5であると判断すると、該登録者5が駅に入場したのか、駅から退場したのかを判断する(s62)。ここで退場であると判断すると、退場した駅1が利用区間の両端の2つの駅の一方であるかどうかを判断し(s63)、利用区間の両端の2つの駅の一方であれば、配信情報記憶部214の退場した駅のデータベースから該当する配信情報を読み出して配信し(s64)、s41に戻る。
【0101】
また、情報配信装置21は、s63で利用区間の両端の2つの駅でないと判定すると、上記s48〜s51の処理を行って、s41に戻る。この場合、登録者5が退場した駅1は利用区間の両端の2つの駅の間に存在する途中駅である。
【0102】
情報配信装置21は、s62で入場であると判定すると、配信情報記憶部214の指定外駅データベースに該当する配信情報が記憶されているかどうかを判定する(s65)。s65では、定期券7の識別コードをキーにして指定外駅データベースを検索する。情報配信装置21は、指定外駅データベースに該当する配信情報が記憶されていると、この配信情報を読み出し、配信する(s64)。ここで読み出される配信情報が、上記s50で作成された配信情報である。
【0103】
情報配信装置21は、s65で指定外駅データベースに該当する配信情報が記憶されていないと、s41に戻る。
【0104】
次に、図16を参照しながら通過情報に、プリペイドカード8の識別コードのみが含まれていた場合について説明する。情報配信装置21は、関連情報記憶部217に記憶されている関連情報の中に、今回通知されたプリペイドカード8の識別コードがあるかどうかを判断し(s71)、無ければs41に戻る。
【0105】
情報配信装置21は、関連情報の中に今回通知されたプリペイドカード8の識別コードがあると、このプリペイドカード8の識別コードに関連付けられている定期券7の識別コードを読み出す(s72)。さらに、情報配信措置21は、登録者5が駅1に入場したのか、駅1から退場したのかを判断する(s73)。ここで退場であると判断すると、退場した駅1が利用区間の両端の2つの駅の一方であるかどうかを判断し(s74)、利用区間の両端の2つの駅の一方であれば、配信情報記憶部214の退場した駅のデータベースから該当する配信情報を読み出して配信し(s75)、s41に戻る。
【0106】
情報配信装置21は、s74で両端の2つの駅でないと判定すると、上記s48〜s51の処理を行って、s41に戻る。
【0107】
また、情報配信装置21はs73で入場であると判定すると、利用区間の両端の2つの駅であるかどうかを判断し(s76)、利用区間の両端の2つの駅の一方であると判定すると、s41に戻る。この場合、利用区間の両端の2つの駅の一方において、入場したときに、プリペイドカード8を自動改札機11に投入した登録者5の目的地を予測するのは困難である。このため、登録者5にとって役に立たない情報を配信する可能性が極めて高いので、この実施形態の情報配信装置21は配信情報を配信しない。
【0108】
利用区間の両端の2つの駅でなければ、配信情報記憶部214の指定外駅データベースに該当する配信情報が記憶されているかどうかを判定する(s77)。s77では、s72で読み出した定期券7の識別コードをキーにして指定外駅データベースを検索する。情報配信装置21は、指定外駅データベースに該当する配信情報が記憶されていると、この配信情報を読み出し、配信する(s78)。ここで読み出される配信情報が、上記s50で作成された配信情報である。
【0109】
情報配信装置21は、s77で指定外駅データベースに該当する配信情報が記憶されていないと、s41に戻る。
【0110】
なお、上記説明においては省略したが、情報配信装置21は登録者5が利用区間の両端の2つの駅でない他の駅において入場、または退場したことを検出したとき、この登録者5の関連情報に対して、入場した駅、または退場した駅を追加している。
【0111】
このように、この実施形態の情報配信装置によれば、定期券7の有効区間外の駅1において、プリペイドカード8を自動改札機11に投入して入場した登録者5に対して、配信情報を配信することができ、登録者5に対するサービスの向上が図れる。また、定期券7の識別コードと、プリペイドカード8の識別コードとの関連付けを上記s45で自動的に行うので、手間がかからず、効率的な情報配信が行える。また、登録者5が利用区間の両端の2つの駅でない他の駅で退場したときに、利用区間の両端の2つの駅でない他の駅に入場したときに配信する配信情報を作成しているので、利用区間の両端の2つの駅でない他の駅における入場時における配信情報の配信が迅速に行える。さらに、その目的地を利用区間の両端の2つの駅1の一方、または両方として配信情報を作成しているので、登録者5の目的地に応じた配信情報を作成することができ、登録者5に対して役に立つ配信情報を配信することができる。
【0112】
【発明の効果】
以上のように、この発明によれば、定期券の有効区間外の駅において、プリペイドカードで駅に入場した登録者に対して、配信情報を配信することができ、登録者に対するサービスの向上が図れる。また、定期券の識別コードと、プリペイドカードの識別コードとの関連付けを自動的に行うので、手間がかからず、効率的に運用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施形態である情報配信装置を適用した情報配信システムを示す図である。
【図2】定期券、およびプリペイドカードに記録されている磁気データを説明する図である。
【図3】情報配信装置の構成を示すブロック図である。
【図4】この発明の実施形態である情報配信装置に記憶されている個人情報を示す図である。
【図5】この発明の実施形態である情報配信装置に記憶されている配信情報を説明する図である。
【図6】この発明の実施形態である情報配信装置に記憶されている関連情報を示す図である。
【図7】この発明の実施形態である自動改札機の構成を示すブロック図である。
【図8】この発明の実施形態である自動改札機の外観を示す図である。
【図9】定期券とプリペイドカードの使用方法を説明するための図である。
【図10】この発明の実施形態である情報配信装置における配信情報作成処理を示すフローチャートである。
【図11】この発明の実施形態である情報配信装置の配信情報記憶部を説明する図である。
【図12】この発明の実施形態である情報配信装置の配信情報記憶部を説明する図である。
【図13】自動改札機の動作を示すフローチャートである。
【図14】この発明の実施形態である情報配信装置の動作を示すフローチャートである。
【図15】この発明の実施形態である情報配信装置の動作を示すフローチャートである。
【図16】この発明の実施形態である情報配信装置の動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1−駅
2−情報配信センタ
11−自動改札機
21−情報配信装置
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、会員登録した利用者(登録者)に配信情報を配信する情報配信装置に関し、特に登録者が駅に入場、または駅から退場した際に該登録者の趣味、嗜好等に適合する配信情報を配信する情報配信装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、商品、店舗、イベント、ニュース、天気予報、交通情報等に関する配信情報を会員登録している利用者(登録者)に配信する情報配信システムがあった。情報配信システムでは、会員登録時に利用者の属性を示す属性情報(年齢、性別、趣味、嗜好等)や、配信情報の配信先等を情報配信装置に登録している。情報配信装置は、登録者毎に属性情報に基づいて多数の配信依頼情報(企業や店舗等の広告主から登録者への配信を依頼された情報や、ニュース、天気予報、交通情報等)の中から該登録者の趣味、嗜好に適合する配信依頼情報を抽出し、ここで抽出した配信依頼情報からなる配信情報を作成する。そして、該登録者について登録されている配信先に作成した配信情報を配信していた。
【0003】
また、インタネットに接続できる携帯電話機等の携帯端末で利用している電子メールアドレス(以下、単にメールアドレスと言う。)を上記配信情報の配信先として登録し、登録者の趣味、嗜好に加えて、登録者の現在の居場所または行先(登録者の目的地)に適合する配信情報を作成して配信する情報配信システムが提案されている。例えば、通勤や通学等に定期券を利用している利用者を対象にした情報配信システムがある(国際公開番号 WO 02/33609のパンフレット)。この情報配信システムでは、駅に設置されている自動改札機が駅に入場または駅から退場した利用者の定期券に記録されている識別コードを読み取り、ここで読み取った定期券の識別コードを含む通過情報を情報配信装置に通知する。情報配信装置は、自動改札機から通知された定期券の識別コードから、該自動改札機の通路を通って駅に入場、または駅から退場した登録者を特定する。
【0004】
情報配信装置には、登録者の識別コードとして該登録者が所有する定期券の識別コードが登録されている。また、通過情報には、自動改札機から上記定期券の識別コードに加えて、該自動改札機が設置されている駅を特定できる駅情報(後述するゲートコード)や、登録者が駅に入場したのか、駅から退場したのかを示す入退場情報が含まれている。情報配信装置は、自動改札機から通知された通過情報により登録者の目的地を判断し、登録者の趣味、嗜好に加えて、登録者の目的地に適合する配信情報を配信していた。
【0005】
配信情報を受け取る登録者にとって、出発地に関する情報より、これから向かう目的地に関する情報の方が、その後の行動に役に立つ場合が多い。駅に入場した利用者の目的地は、殆どの場合、入場した駅の近辺ではなく、退場予定の駅の近辺である。反対に、駅から退場した利用者の目的地は、殆どの場合、退場した駅の近辺である。情報配信装置は、駅に入場した登録者に対して退場する予定の駅(目的地)近辺の情報を配信し、反対に駅から退場した登録者に対して退場した駅近辺(目的地)の情報を配信する。このようにして、情報配信装置は登録者にとって役に立つ目的地に関する情報を配信していた。
【0006】
情報配信装置には、駅に入場した登録者の目的地を判断するために、登録者が主に乗降する2つの駅(利用区間の両端の2つの駅)が登録されている。情報配信装置は、登録者が登録されている利用区間の一方の駅に入場したとき、該登録者の目的地を登録されている利用区間の他方の駅であると判断している。
【0007】
また、情報配信装置は、利用区間の両端の2つの駅のいずれかにおいて、入退場した登録者に対して迅速に配信情報を配信するために、利用区間の両端の2つの駅について、それぞれ入場時と、退場時に配信する配信情報を予め作成し、記憶している。この場合、登録者が駅に入場または退場したことを検出すると、該登録者に配信する配信情報をすでに作成しているので、該登録者に対する配信情報の配信が迅速に行える。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、登録者が入退場する駅は情報配信装置に登録されている利用区間の両端の2つの駅であるとは限らない。例えば、登録者が何らかの用事で情報配信装置に登録されている利用区間の両端の2つの駅でない、他の駅で入退場することがある。
【0009】
登録者は、利用区間の両端の2つの駅間に存在する途中駅において、入場または退場する場合、定期券を利用する。具体的には、登録者は自動改札機に定期券を投入して駅に入場、または駅から退場する。このため、情報配信装置は途中駅における登録者の入場、および退場を、自動改札機から通知される通過情報により検出できる。したがって、情報配信装置は途中駅において入場、または退場した登録者に対して配信情報を配信することは可能である。
【0010】
但し、途中駅で入場した登録者について、該登録者の目的地近辺の情報を配信するには、該登録者の目的地を予測する必要がある。また、途中駅で入場、または退場した登録者に対して配信情報を迅速に配信するために、配信情報を作成するタイミングを考慮する必要がある。
【0011】
なお、ここでは上記利用区間と、登録者が所有する定期券の有効区間とが一致しているものとして説明している。
【0012】
一方、登録者は利用区間内でない駅(所有している定期券の有効区間外の駅(乗り越し駅))で入場する場合、定期券を利用することができない。このため、登録者は定期券以外の乗車券、例えばキップ、プリペイドカード、を自動改札機に投入して入場する。このため、情報配信装置には自動改札機から定期券の識別コードを含む登録者の通過情報が通知されない。したがって、情報配信装置は乗り越し駅における登録者の入場を検出することができず、該登録者に対して配信情報を配信することができなかった。
【0013】
この発明の目的は、定期券だけでなく、乗車券として複数回使用できるプリペイドカードを自動改札機に投入して駅に入場した登録者に対して、配信情報の配信が行える情報配信装置を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
この発明の情報配信装置は、上記課題を解決するために以下の構成を備えている。
【0015】
(1)定期券の識別コードと、その属性を示す属性情報と、を対応付けて記憶する属性情報記憶手段と、
上記定期券の識別コードと、乗車券として複数回使用できるプリペイドカードの識別コードと、を関連付けた関連情報を記憶する関連情報記憶手段と、
上記定期券の識別コード毎に、上記属性情報記憶手段に記憶されている上記属性情報に基づいて配信情報を作成する配信情報作成手段と、
上記定期券、または上記プリペイドカードの少なくとも一方が投入された自動改札機から、該自動改札機に投入された上記定期券、上記プリペイドカードそれぞれの識別コードを含む通過情報を取得する通過情報取得手段と、
上記通過情報取得手段が取得した上記通過情報に上記定期券の識別コードが含まれておらず、上記プリペイドカードの識別コードが含まれていた場合、上記関連情報記憶手段に記憶されている上記関連情報により、該プリペイドカードの識別コードに関連付けられている上記定期券の識別コードを特定する識別コード特定手段と、
上記識別コード特定手段により特定された上記定期券の識別コード、または上記通過情報に含まれていた上記定期券の識別コードについて、上記配信情報作成手段が作成した上記配信情報を、この定期券の識別コードに対応する配信先に配信する配信手段と、を備えている。
【0016】
この構成では、属性情報記憶手段が定期券の識別コードと、その属性を示す属性情報と、を対応付けて記憶している。定期券の識別コードは、この定期券の所有者である登録者を識別する識別コードとして利用される。関連情報記憶手段には、定期券の識別コードと、乗車券として複数回使用できるプリペイドカードの識別コードとを関連づけた関連情報が記憶される。この関連情報により関連付けられている定期券と、プリペイドカードとは所有者が同じである。また、上記属性情報は登録者の年齢、性別、趣味、嗜好等である。
【0017】
なお、プリペイドカードが投入できる自動改札機についてはすでに実用化されている。自動改札機に投入できるプリペイドカードには、金額方式と回数券方式とがある。また、定期券の有効区間外の駅(乗り越し駅)での退場時に定期券とプリペイドカード、2枚の乗車券を連続して投入すると、乗り越し分の料金を投入されたプリペイドカードで精算する自動改札機もある。
【0018】
配信情報作成手段は、定期券の識別コード毎に属性情報記憶手段に記憶されている属性情報に基づいて配信情報を作成する。具体的には、登録者毎に年齢、性別、趣味、嗜好等に適合した配信情報を作成する。
【0019】
通過情報取得手段は、定期券、プリペイドカードの少なくとも一方が投入された自動改札機から、該自動改札機に投入された定期券、プリペイドカードそれぞれの識別コードを含む通過情報を取得する。通過情報取得手段が取得した通過情報に定期券の識別コードが含まれておらず、プリペイドカードの識別コードが含まれていた場合(自動改札機に定期券が投入されずに、プリペイドカードが投入された場合)、識別コード特定手段が関連情報記憶手段に記憶されている関連情報を用いて、今回取得した通過情報に含まれているプリペイドカードの識別コードに関連付けられている定期券の識別コードを特定する。
【0020】
定期券の所有者が、自動改札機に定期券を投入せずに、プリペイドカードを投入して駅に入場する状況としては、例えば、
▲1▼入場する駅が定期券の有効区間外の駅である場合、
▲2▼入場する駅については定期券の有効区間の両端の2つの駅であるが、定期券の有効区間を含まない経路で移動する場合、
があり、また、定期券の所有者が、自動改札機に定期券を投入せずに、プリペイドカードを投入して駅から退場する状況としては、例えば、
▲3▼今回入場した駅から、退場する駅までの経路に、定期券の有効区間が含まれていない場合、
がある。このような場合に、通過情報取得手段が定期券の識別コードが含まれておらず、プリペイドカードの識別コードが含まれている通過情報を取得する。
【0021】
また、定期券の所有者が、定期券、およびプリペイドカードの両方を自動改札機に連続して投入する状況としては、例えば、
▲4▼定期券の有効区間内の駅で入場し(このとき、定期券のみ自動改札機に投入する。)、定期券の有効区間外である乗り越し駅で退場する場合、
▲5▼定期券の有効区間外の乗り越し駅で入場し(このとき、プリペイドカードのみ自動改札機に投入する。)、定期券の有効区間内の駅で退場する場合、である。
関連情報記憶手段に関連情報を記憶させる構成としては、
定期券の識別コードとプリペイドカードの識別コードとを関連づけた関連情報を、オペレータ、または登録者に入力させる構成であっても良いし、
上記▲4▼、▲5▼で示した状況等により、定期券の識別コードと、プリペイドカードの識別コードとが含まれている通過情報を自動改札機から取得したときに、これらの識別コードを関連づけた関連情報を関連情報記憶部に記憶させる構成であってもよい。
【0022】
関連情報記憶部に、通過情報に含まれていたプリペイドカードの識別コードにかかる関連情報が記憶されていると、識別コード特定手段が通過情報に含まれていたプリペイドカードの識別コードから、定期券の識別コードを特定できると、ここで特定した定期券の識別コードから自動改札機にプリペイドカードを投入した登録者を特定することができる。
【0023】
なお、自動改札機に定期券が投入された場合については、今回取得した通過情報に定期券の識別コードが含まれているので、この定期券の識別コードから登録者を特定することができる。
【0024】
配信手段は、配信情報作成手段により作成された配信情報を登録者に配信する。
【0025】
したがって、定期券を使用せずに、プリペイドカードを使用して駅に入場、または駅から退場した登録者、例えば上記▲1▼〜▲3▼の状況で駅に入場した登録者に対して配信情報を配信することができ、登録者に対するサービスの向上が図れる。
【0026】
(2)上記通過情報取得手段が上記定期券の識別コード、および上記プリペイドカードの識別コードの両方を含む上記通過情報を取得したときに、該定期券の識別コードと、該プリペイドカードの識別コードと、を関連づけた関連情報を上記関連情報記憶手段に記憶させる。
【0027】
この構成では、定期券の識別コードと、プリペイドカードの識別コードとが含まれている通過情報を自動改札機から取得したときに、これらの識別コードを関連づけた関連情報を関連情報記憶部に記憶させることができるので、人手をかけずに関連情報記憶部に関連情報を記憶させることができる。
【0028】
(3)上記定期券の識別コード毎に、上記配信情報作成手段が作成した配信情報を記憶する配信情報記憶手段を備えている。
【0029】
この構成では、登録者が入場、または退場することが予めわかっている駅、例えば利用区間の両端の2つの駅、については、配信情報を予め作成し、配信情報記憶手段に記憶させておくことができる。したがって、配信情報が予め作成されている駅で、入場、または退場した登録者に対する配信情報の配信が迅速に行える。
【0030】
(4)上記通過情報には、駅に入場、または駅から退場の種別を示す入退場情報、および入場または退場した駅を示す駅情報が含まれており、
上記配信手段は、上記識別コード特定手段により特定された上記定期券の識別コードについて、予め登録されている利用区間の両端の2つの駅でない他の駅における入場を示す上記通過情報を取得した場合、ここで特定された定期券の識別コードについて、上記属性情報記憶手段に記憶している属性情報に基づき、上記利用区間の両端の2つの駅の一方の駅近辺に関する上記配信情報を配信する。
【0031】
この構成では、利用区間の両端の2つの駅でない他の駅において入場した登録者の目的地を利用区間の両端の2つの駅の一方の駅であると予測し、この予測に基づいて作成した配信情報を配信する。
【0032】
利用区間の両端の2つの駅でない他の駅で入場した人の目的地は、殆どの場合利用区間の両端の2つの駅のどちらかである。したがって、略半分の確率で、登録者に対して、目的地にあった役に立つ配信情報を配信することができる。
【0033】
(5)上記配信情報作成手段は、上記識別コード特定手段により特定された上記定期券の識別コード、または上記通過情報に含まれていた上記定期券の識別コードについて、予め登録されている利用区間の両端の2つの駅でない他の駅における退場を示す通過情報を取得した場合、この定期券の識別コードについて、上記属性情報記憶手段に記憶している属性情報に基づき、上記利用区間の両端の2つの駅の一方の駅近辺に関する上記配信情報を作成し、ここで作成された配信情報を上記配信情報記憶手段に記憶させる。
【0034】
この構成では、利用区間の両端の2つの駅でない他の駅において退場が検出された登録者に対して、該登録者が利用区間の両端の2つの駅でない他の駅に入場したときに配信する配信情報(上記(4)で配信する配信情報)を作成する。したがって、利用区間の両端の2つの駅でない他の駅において入場した登録者に対する配信情報の配信が迅速に行える。
【0035】
通常、今回ある駅から退場した人が次回に入場する駅は、今回退場した駅である可能性が極めて高い。したがって、今回退場した駅が利用区間の両端の2つの駅でない他の駅であったとき、利用区間の両端の2つの駅でない他の駅に入場したときに配信する配信情報を作成することにより、無駄な配信情報の作成が抑えられる。また、駅から退場した登録者は、退場した駅近辺で何らかの用事を済ませてから、退場した駅に戻って入場するので、該駅における入場時に配信する配信情報を余裕を持って作成することができる。
【0036】
(6)上記通過情報には、駅に入場、または駅から退場の種別を示す入退場情報、および入場または退場した駅を示す駅情報が含まれており、
上記配信手段は、上記識別コード特定手段により特定された上記定期券の識別コードについて、予め登録されている利用区間の両端の2つの駅でない他の駅における入場を示す通過情報を取得した場合、ここで特定された定期券の識別コードについて、上記属性情報記憶手段に記憶している属性情報に基づき、上記利用区間の両端の2つの駅近辺に関する上記配信情報を配信する。
【0037】
この構成では、上記(4)で説明したように、利用区間の両端の2つの駅でない他の駅において入場した人は、利用区間の両端の2つの駅のどちらかに移動する可能性が極めて高いので、利用区間の両端の2つの駅近辺に関する上記配信情報を配信することにより、登録者に対して、略確実に目的地に応じた配信情報を配信することができる。
【0038】
(7)上記配信情報作成手段は、上記識別コード特定手段により特定された上記定期券の識別コード、または上記通過情報に含まれていた上記定期券の識別コードについて、予め登録されている利用区間の両端の2つの駅でない他の駅における退場を示す通過情報を取得した場合、この定期券の識別コードについて、上記属性情報記憶手段に記憶している属性情報に基づき、上記利用区間の両端の2つの駅近辺に関する上記配信情報を作成し、ここで作成した配信情報を上記配信情報記憶手段に記憶させる。
【0039】
この構成では、上記(5)と同様の効果を奏する。
【0040】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施形態である情報配信装置について説明する。
【0041】
図1は、この発明の実施形態である情報配信装置を適用した情報配信システムの構成を示す図である。図1において、1は駅であり、2は情報配信センタである。駅1には、自動改札機11、自動精算機12、券売機13等が設置されている。また、自動改札機11、自動精算機12、券売機13は、駅1における乗降客を管理するホスト装置14に接続されている。ホスト装置14は、専用線または公衆回線網3を介して図示していない鉄道会社のサーバ装置に接続されている。情報配信センタ2には、この発明の実施形態である情報配信装置21が設置されている。駅1に設置されているホスト装置14、および情報配信センタ2に設置されている情報配信装置21は、公衆回線網3を介してインタネット4に接続できる。また、ホスト装置14と情報配信装置21とは、通信可能に構成されている。ホスト装置14と情報配信装置21との通信路は、専用線であってもよいし、公衆回線網3やインタネット4を介した経路であってもよい。
【0042】
また、図1において、5は利用者(登録者)であり、6は該利用者5が所有する携帯電話機であり、7は利用者5が所有する定期券であり、8は該利用者5が所有するプリペイドカードである。携帯電話機6は、インタネット4に接続する機能を有する。携帯電話機6には、インタネット4を介して電子メールの送受信が行えるようにメールアドレスが付与されている。定期券7には、この定期券7の識別コード、有効期間、有効区間等の情報が記憶されている(図2(A)参照)。プリペイドカード8は乗車券として複数回使用できる。乗車券として使用できるプリペイドカード8には、回数券方式のものと、金額方式のものとがある。回数券方式のプリペイドカード8は、予め使用できる回数が定められている。使用回数がこの予め定められている回数に達するまで、繰り返し使用できる。また、金額方式のプリペイドカードは、使用の度に使用に応じた価値が差し引かれ、該カードの残価値が0になるまで繰り返し使用できる。金額方式のプリペイドカード8には、このプリペイドカード8の識別コード、残価値、使用履歴等の情報が記憶されている(図2(B)参照)。
【0043】
なお、以下の説明において利用者5という場合は、駅1への入場、または退場に定期券7またはプリペイドカード8を利用する人を指し、登録者5という場合は情報配信装置21に後述する属性情報が登録されている人を指す。
【0044】
図3は、この発明の実施形態である情報配信装置の構成を示すブロック図である。情報配信装置21は、本体の動作を制御する制御部211と、企業や店舗等の広告主から登録者への配信を依頼された広告、ニュース、天気予報、交通情報等、様々な種類の情報(以下、配信以来情報と言う。)を多数記憶した配信依頼情報記憶部212と、登録者5毎に定期券7の識別コードに対応付けて氏名、年齢、性別、趣味、嗜好等の属性情報や、利用区間を示す両端の2つの駅等、登録者の個人情報を記憶する個人情報記憶部213と、登録者5毎に作成された配信情報を記憶する配信情報記憶部214と、配信情報を登録者5に配信(送信)する配信部215と、他の機器から送信されてきた情報を受信する受信部216と、定期券7の識別コードとプリペイドカード8の識別コードと、を関連付けた関連情報を記憶する関連情報記憶部217と、を備えている。受信部216は、自動改札機11からホスト装置14を介して送信されてくる通過情報や、広告主等から送信されてくる配信依頼情報等を受信する。上記通過情報の詳細については、後述する。
【0045】
個人情報記憶部213には、図4に示すように、登録者5毎に識別コード(定期券7の識別コード)に対応付けて、登録者5の氏名、年齢、性別、職業、配信を希望する配信情報の種別、配信を希望しない配信情報、列車の時刻表配信の要/不要、列車の遅延案内配信の要/不要、配信情報の配信先(携帯電話機6のメールアドレス)、乗車時の配信希望の有無、降車時の配信希望の有無、主に利用する乗車区間(この発明で言う、利用区間の両端の2つの駅)、自宅の電話番号、勤務先の電話番号等が個人情報として記憶されている。この発明で言う属性情報は上記個人情報に含まれている。
【0046】
なお、定期券7を利用している利用者5であっても、この個人情報記憶部213に個人情報が記憶されていない利用者5は登録者5ではない。逆に言うと、個人情報記憶部213に個人情報が記憶されている利用者5が登録者5である。
【0047】
また、ここでは、定期券7の有効区間は、個人情報記憶部213に記憶されている利用区間の両端の2つの駅間であるとして、以下説明する。
【0048】
配信依頼情報記憶部212に記憶されている配信依頼情報の中には、インタネット4を介して取得した情報もある。配信依頼情報記憶部212に記憶されている配信依頼情報には、配信してもよい登録者5と、配信を禁止する登録者5とを区別するための配信条件が付けられている。この配信条件は、配信依頼情報の提供者である広告主が自由に設定できる。例えば、女性向けの配信依頼情報を提供する場合、配信する登録者5を女性に限定する配信条件を付けることで、男性に配信されないようにできる。また、年齢層(20代、30代等)や、配信回数等も配信条件として付けることができる。
【0049】
図5は、配信依頼情報記憶部に記憶されている配信依頼情報の例を示す図である。配信依頼情報記憶部212は、配信条件(図5(A)参照)と配信依頼情報本体(図5(B)参照)とを対応づけて記憶している。また、配信依頼情報には該配信依頼情報を識別する配信依頼情報番号が与えられている。図5(A)に示す配信条件の例は、配信依頼情報を配信してもよい登録者5を、女性で、年齢が20〜29歳に制限した例である。また、配信依頼情報の有効期間は2001年9月1日〜2001年10月31日の期間である。この配信依頼情報は、この有効期間を過ぎると、登録者5に配信されない。配信制限回数は300回であり、延べ301人以上の登録者5に配信されない。配信依頼情報番号はK0001である。
【0050】
関連情報記憶部217には、登録者5が所有する定期券7の識別コードと、この登録者5が所有するプリペイドカード8の識別コードと、この登録者5が入退場した定期券7の有効区間内でない駅と、を関連づけた関連情報が記憶されている(図6参照)。関連情報は、図6に示すように、定期券7の識別コードに対して、最大2枚のプリペイドカード8の識別コードを関連付けられるように構成されている。金額方式のプリペイドカード8は、使用の度に残価値が減っていき、残価値が0になると使用できなくなる。通常、プリペイド8の利用者5は所有しているプリペイドカード8の残価値が0に近づくと、新たにプリペイドカード8を購入する。このとき、利用者5は使用可能なプリペイドカード8を2枚所有することになり、この2枚のプリペイドカード8の使用時期が一時的に重なるときがある。このため、上記のように、定期券7の識別コードに対して、最大2枚のプリペイドカード8の識別コードが関連付けられるように関連情報を構成している。
【0051】
なお、定期券7の識別コードに対応付けて記憶している2枚のプリペイドカード8の識別コードは、図6において上段の方が新しい(登録時期が遅い)プリペイドカードであり、既に定期券7の識別コードに2枚のプリペイドカード8の識別コードが関連づけられている関連情報に対して、新たなプリペイドカード8の識別コードを登録する(定期券7の識別コードに関連付ける)場合、下段に登録されているプリペイドカード8の識別コードを削除し、上段に登録されているプリペイドカード8の識別コードを下段に移動し、さらに今回登録する新たなプリペイドカード8の識別コードを上段に登録する。
【0052】
また、関連情報には、登録者5が入退場した定期券7の有効区間内でない駅が含まれている。具体的には、登録者5が定期券7の有効区間内でない駅において入場、または退場したことを検出したとき、この登録者5についての関連情報に今回入場した駅、または今回退場した駅を追加登録している。登録者5が入退場した定期券7の有効区間内でない駅の情報は、該登録者5の行動パターンの予測等に利用できる。
【0053】
自動改札機11は、公知のように適正な乗車券(定期券、キップ、プリペイドカード、精算券等)を所持していない利用者の駅構内への入場、または駅構内からの退場を制限する装置である。自動精算機12は乗り越しした利用者5が駅構内から退場するために乗り越し分の運賃を精算し、精算券を取得するための装置である。券売機13は、これから駅構内に入場する利用者5が乗車区間に応じたキップを購入するための装置である。
【0054】
図7はこの発明の実施形態である自動改札機の構成を示すブロック図であり、図8は同自動改札機の外観を示す図である。
【0055】
自動改札機11は、本体の動作を制御する制御部111と、動作時に利用する情報や、動作時に発生した情報を記憶する記憶部112と、現在の時間を計時する計時部113と、ホスト装置14へ情報を出力する送信部114と、定期券、キップ、プリペイドカード等の乗車券が本体に投入されたことを検出する投入検出部115と、本体に投入された乗車券を搬送する搬送部116と、搬送されている乗車券に記録されている磁気データの読み取り、および磁気データの記録を行う読取/記録部117と、利用者6の通行を制限する扉118aを開閉する扉駆動部118とを備えている。自動改札機11は、扉118aを閉じることにより、該自動改札機11により構成された通路を閉鎖して、利用者5の駅1への入場または駅1からの退場(通路の通行)を禁止する。
【0056】
自動改札機11は、通路の入口の右側に乗車券を投入する投入口116aを備え、出口の右側に本体に投入された乗車券を放出する放出口116bを備えている。投入口116aと放出口116bとの間には、乗車券を搬送する搬送路116cが設けられている。また、搬送路116cの途中には、投入口116aに投入されたキップや精算券を回収ボックス(不図示)に搬送するための回収路(不図示)、および投入口116aに投入された乗車券の搬送先を放出口116bまたは回収ボックスのどちらかに切り換える、搬送路切換機構部(不図示)が設けられている。投入口116aには、乗車券の投入を検知する投入検知センサ115aが設けられている。この投入検知センサ115aが乗車券の投入を検知すると、搬送部116が投入口116aに投入された乗車券を放出口116bへ搬送する。また、読取ヘッド117aは搬送路116cを搬送されている乗車券に記録されている磁気データ(乗車券情報等)を読み取る。また、記録ヘッド117bは、搬送路116cを搬送されている乗車券に磁気データ(乗車券情報や使用履歴等)を記録する。
【0057】
入場用の自動改札機11は図8に示す通行方向が駅構内に向かう方向に設置され、退場用の自動改札機11は図8に示す通行方向が駅構内から外側に向かう方向に設置される。また、記憶部114には、自装置を識別するゲートコード、や自装置が入場用であるか、退場用であるかを示す入退場情報が記憶されている。また、入場用の自動改札機11は、本体に投入されたプリペイドカード8に入場した駅を示す駅コードや入場時刻等を記録し、退場用の自動改札機11は本体に投入されたプリペイドカード8に残価値、使用履歴等を記録する。
【0058】
また、退場用の自動改札機11には、精算機能が設けられており、複数枚の乗車券を連続して投入することができる。この精算機能を設けた自動改札機11では、以下に示す▲2▼、▲3▼の方法で、駅1から退場できる。
【0059】
ここで、定期券7の有効区間が図9に示すA駅とB駅である利用者5が駅1に入場するときと、駅1から退場するときについて、場合分けして説明する。
▲1▼A駅(またはA駅とB駅の途中駅)で入場し、B駅(またはA駅とB駅の途中駅)で退場する場合、A駅において定期券7を自動改札機11に投入して入場し、B駅において定期券7を自動改札機11に投入して退場する。
▲2▼A駅(またはA駅とB駅の途中駅)で入場し、定期券7の有効区間外であるC駅で退場する場合、A駅において定期券7を自動改札機11に投入して入場し、C駅において定期券7、およびプリペイドカード8を自動改札機11に投入して退場する。
▲3▼定期券7の有効区間外であるC駅で入場し、A駅(またはA駅とB駅の途中駅)で退場する場合、C駅においてプリペイドカード8(またはC駅からB駅までのキップ)を自動改札機11に投入して入場し、A駅において定期券7、およびプリペイドカード8(またはキップ)を自動改札機11に投入して退場する。
【0060】
自動改札機11は、上記▲2▼、▲3▼の場合において、定期券7の有効区間外にかかる乗車料金(C駅からB駅までの乗車料金)を、プリペイドカード8(またはキップ)で精算する。
【0061】
この機能が上記精算機能であり、これにより利用者5は精算機12で精算することなく(精算券を入手するすることなく)、自動改札機11の通路を通って、駅1から退場できる。
【0062】
なお、入場用の自動改札機11と退場用の自動改札機11とを通路を挟んで対向して配置することにより、1本の通路を双方向(入場方向、および退場方向)の通行に利用できる。
【0063】
以下、この発明の実施形態である情報配信装置21を適用した情報配信システムの動作について説明する。
【0064】
この実施形態の情報配信装置21は、登録者5毎に利用区間の両端の2つの駅について、それぞれ入場時と退場時に配信する配信情報を作成し、ここで作成した配信情報を配信情報記憶部214に記憶させる配信情報作成処理を実行している。この配信情報作成処理は、駅1に入退場する利用者5がいない夜間に実行される。以下、この配信情報作成処理について説明する。
【0065】
一般的な定期券の利用者が、1日あたり、
▲1▼自宅近辺の駅に入場、
▲2▼会社や学校近辺の駅から退場、
▲3▼会社や学校近辺の駅に入場、
▲4▼自宅近辺の駅から退場、
の合計4回、自動改札機11の通路を通行することから、配信情報作成処理では、上記▲1▼〜▲4▼の4回について、登録者5に配信する配信情報を作成し、配信情報記憶部214に記憶させている。
【0066】
なお、自宅近辺の駅と、会社や学校近辺の駅とが、個人情報記憶部213に記憶されている利用区間の両端の2つの駅である。
【0067】
図10は、配信情報作成処理を示すフローチャートである。
【0068】
情報配信装置21は、個人情報記憶部213に個人情報が記憶されている全ての登録者5に対して、以下に示すs1〜s13の処理を行い、全ての登録者5について完了すると(s14)、本処理を終了する。情報配信装置21は、個人情報記憶部213に登録されている順番に、s1〜s13の処理を実行する。
【0069】
情報配信装置21は、識別コードに対応する個人情報を個人情報記憶部213から読み出す(s1)。情報配信装置21は、s1で個人情報を読み出した登録者5について、自宅近辺の駅(利用区間の両端の2つの駅の一方)入場時に配信する配信情報を作成する(s2)。s2の処理について具体的に説明する。情報配信装置21は、自宅近辺の駅入場時における登録者5の目的地を会社や学校近辺の駅(利用区間の両端の2つの駅の他方)と判断し、配信依頼情報記憶部212に記憶されている多数の配信依頼情報の中から、勤務先近辺の駅に関し、且つ該登録者5の趣味、嗜好等に適合する配信依頼情報を抽出する。このとき、情報配信装置21は、配信依頼情報に付けられている配信条件を満足する登録者5であるかどうかも判断している。情報配信装置21は、ここで抽出した配信依頼情報の本文を配信情報とする。
【0070】
情報配信装置21は、s2で配信情報を作成すると、ここで作成した配信情報を配信情報記憶部214に記憶する(s3)。配信情報記憶部214の構成については後述する。情報配信装置21は、会社や学校近辺の駅退場時に配信する配信情報を作成する(s4)。情報配信装置21は、会社や学校近辺の駅退場時における登録者5の目的地を会社や学校近辺の駅と判断し、上記s2で説明した方法で配信情報を作成する。
【0071】
情報配信装置21は、s4で作成した配信情報が、先に作成した(s2で作成した)配信情報と同じであるかどうかを判断し(s5)、同じであればもう一度配信情報を作成する(s6)。このとき、s4で作成した配信情報については破棄する。情報配信装置21は、s4またはs6で作成した配信情報を配信情報記憶部214に記憶すると(s7)、会社や学校近辺の駅入場時に配信する配信情報を作成する(s8)。情報配信装置21は、会社や学校近辺の入場時における登録者5の目的地を自宅近辺の駅と判断し、上記s2で説明した方法で配信情報を作成する。情報配信装置21は、s8で作成した配信情報を配信情報記憶部214に記憶すると(s9)、自宅近辺の駅退場時に配信する配信情報を作成する(s10)。情報配信装置21は、自宅近辺の駅退場時における登録者5の目的地を自宅近辺の駅と判断し、上記s2で説明した方法で配信情報を作成する。
【0072】
情報配信装置21は、s10で作成した配信情報が、先に作成した(s8で作成した)配信情報と同じであるかどうかを判断し(s11)、同じであればもう一度配信情報を作成する(s12)。このとき、s10で作成した配信情報については破棄する。情報配信装置21は、s10またはs12で作成した配信情報を配信情報記憶部214に記憶する(s13)。
【0073】
情報配信装置21は、全ての登録者5について完了したかどうかを判断し(s14)、未処理の登録者5がいればs1に戻って上記処理を繰り返す。
【0074】
このように、情報配信装置21は、登録者5毎に利用区間の両端の2つの駅について、それぞれ入場時、退場時に配信する、合計4つの配信情報を作成し、配信情報記憶部214に記憶する。
【0075】
図11、および図12は、配信情報記憶部の構成を示す図である。配信情報記憶部214は、駅毎にデータベース化されている。上記配信情報作成処理で作成された登録者5毎の4つの配信情報は、該当する駅のデータベースに分けて記憶される。具体的には、利用区間の両端の2つの駅がA駅とB駅とである登録者5の場合、A駅の入場時と退場時に配信する配信情報を定期券7の識別コードに対応付けてA駅のデータベースに記憶し、B駅の入場時と退場時に配信する配信情報を定期券の識別コードに対応付けてB駅のデータベースに記憶する。
【0076】
また、配信情報記憶部214には、図12に示す区間外入場時データベースが設けられている。この指定外駅入場時データベースには、利用区間の両端の2つの駅でない他の駅1で退場したことを検出した登録者5に対して、利用区間の両端の2つの駅でない他の駅1において入場を検出した際に配信する配信情報が定期券7の識別コードに対応付けて記憶される。
【0077】
なお、s5、s6、s11、s12を設けたので、上記配信情報作成処理において、1人の登録者5に対して同じ配信情報を配信することがない。
【0078】
次に、自動改札機11の動作について説明する。図13は自動改札機の動作を示すフローチャートである。自動改札機11は、投入検知センサ115aにより投入口116aに乗車券(キップ、精算券、定期券7、プリペイドカード8等)が投入されたことを検出すると(s21)、投入口116aに投入された乗車券を放出口116bに向けて搬送する。このとき、自動改札機11は磁気ヘッド117aで放出口116bに向けて搬送している乗車券に磁気データで記憶されている乗車券情報を読み取り(s22)、所定時間(例えば、2〜3秒)以内に2枚目の乗車券が投入口116aに投入されるかどうかを待つ(s23、s24)。自動改札機11は、所定時間以内に2枚目の乗車券が投入口116aに投入されると、この2枚目の乗車券に磁気データで記憶されている乗車券情報を読み取る(s25)。自動改札機11は、s22およびs25で読み取った乗車券情報に基づいて利用者の通行を許可するかどうかを判断する(s26)。
【0079】
上記s23〜s25は、精算機能を有する退場用の自動改札機11における処理の説明であって、精算機能を備えていない入場用の自動改札機11においてはこれらの処理はない(s22の次にs26を実行する。)。
【0080】
なお、上記説明から明らかなように、本体に投入された乗車券が1枚である場合には、s25で読み取った乗車券情報はない。
【0081】
自動改札機11は、s26で通行を許可すると判断すると、扉118aを開放し(s27)、通路を開放して利用者5が通路を通行するのを許可する。このとき、投入口116aに投入された乗車券は、放出口116bにおいて放出されるか、または回収ボックスに回収される。通常、入場用の自動改札機11は投入口116aに投入された乗車券を回収ボックスに回収することなく放出口116bにおいて放出するが、退場の自動改札機11は投入口116aに投入された乗車券が定期券7やプリペイドカード8であれば放出口116bにおいて放出し、キップや精算券であれば回収ボックスに回収する。また、放出口116bに放出する乗車券については、必要に応じて記録ヘッド117bでプリペイドカード8の残価値、使用履歴等の情報を記録する。精算機能を備えた自動改札機11は、このとき必要に応じて精算処理も実行している。
【0082】
自動改札機11は、s27で扉118aを開放し、利用者5が通路を通行するのを許可すると、今回投入された乗車券に定期券7、またはプリペイドカード8の一方が含まれていたかどうかを判定する(s28)。自動改札機11は、s28で今回投入された乗車券に定期券7、またはプリペイドカード8の一方が含まれていたと判定すると、通過情報を出力し(s29)、s21に戻る。
【0083】
なお、自動改札機11はs26で通路の通行を許可しないと判断した場合、扉118aを閉することにより、通路を閉鎖して利用者5の通行を禁止し(s30)、s21に戻る。このとき、自動改札機11は、投入口116aに投入された乗車券を回収ボックスに回収することなく、放出口116bにおいて放出する。自動改札機11は、投入された乗車券が、有効期間切れ、有効区間内でない等の不適正な乗車券8であったときに、s26で通路の通行を許可しないと判断する。
【0084】
ここで、自動改札機11がs29で出力する通過情報について説明する。
【0085】
▲1▼自動改札機11に投入された乗車券が、定期券7、およびプリペイドカード8の2枚であった場合、定期券7の識別コード、プリペイドカード8の識別コード、自動改札機11のゲートコード、および入場用/退場用を示す入退場情報(この場合は退場になる。)からなる通過情報を出力する。
▲2▼自動改札機11に投入された乗車券が、定期券7であった場合、定期券7の識別コード、自動改札機11のゲートコード、および入場用/退場用を示す入退場情報からなる通過情報を出力する。
▲3▼自動改札機11に投入された乗車券が、プリペイドカード8であった場合、プリペイドカード8の識別コード、自動改札機11のゲートコード、および入場用/退場用を示す入退場情報からなる通過情報を出力する。
【0086】
自動改札機11から出力された上記通過情報はホスト装置14を介して、略リアルタイムに情報配信装置21に転送される。
【0087】
次に、この発明の実施形態である情報配信装置の動作について説明する。図14〜図16は情報配信装置の動作を示すフローチャートである。情報配信装置21は、通過情報を受信すると(s41)、この通過情報に、
▲1▼定期券7の識別コード、およびプリペイドカード8の識別コードの両方が含まれているか、
▲2▼定期券7の識別コードのみであるか(プリペイドカード8の識別コードが含まれていない)、
▲3▼プリペイドカード8の識別コードのみであるか(定期券7の識別コードが含まれていない)を判定する(s42、s43)。
【0088】
まず、通過情報に、定期券7の識別コード、およびプリペイドカード8の識別コードの両方が含まれていた場合の動作について説明する。
【0089】
情報配信装置21は、通過情報に含まれている定期券7の識別コードに基づいて、利用者5が登録者5であるかどうかを判断する(s44)。s44では、通過情報に含まれていた定期券7の識別コードが個人情報記憶部213に記憶されているかどうかにより判断する。s44で登録者5でないと判断すると、s41に戻る。反対に、登録者5であると判断すると、関連情報記憶部217に記憶されている関連情報を検索し、該当する登録者5の関連情報を更新する(s45)。
【0090】
s45では、今回の通過情報に含まれていた定期券7の識別コードをキーにして関連情報記憶部217に記憶されている関連情報を検索する。ここで、今回の通過情報に含まれていた定期券7の識別コードが記憶された関連情報が無ければ、今回の通過情報に含まれていた定期券7の識別コード、プリペイドカード8の識別コードを関連付けた関連情報を新たに登録する。反対に、今回の通過情報に含まれていた定期券7の識別コードが記憶された関連情報があれば、該関連情報において今回の通過情報に含まれていたプリペイドカード8の識別コードが関連づけられているかどうかを判断し、関連づけられていなければこのプリペイドカード8の識別コードを関連づける更新処理を行う。このとき、上述したように、必要に応じて、すでに関連づけられているプリペイドカード8の識別コードを削除する。また、登録者5が退場した駅1が利用区間の両端の2つの駅でなければ、今回退場した駅を関連情報に追加する。
【0091】
なお、自動改札機11に定期券7、およびプリペイドカード8の2枚の乗車券が投入されるのは、上述したように利用者5の退場時のみである。
【0092】
情報配信装置21は、s45で関連情報を更新すると、登録者5が退場した駅が利用区間の両端の2つの駅の一方であるか、その他の駅であるかを判断し(s46)、利用区間の両端の2つの駅であれば、配信情報記憶部214の退場した駅のデータベースから、該当する登録者5に対して作成されている配信情報を読み出し、登録者5の携帯電話機6に配信し(s47)、s41に戻る。
【0093】
情報配信装置21は、利用区間の両端の2つの駅でないと判定すると、登録者5が今回退場した駅1近辺を目的地とし、該登録者5の属性情報にあった配信情報を作成する(s48)。情報配信装置21は、s48で作成した配信情報を該登録者5の携帯電話機6に配信する(s49)。さらに、情報配信装置21は、利用区間の両端の2つの駅であって、今回退場した駅からより遠い方の駅を目的地とし、該登録者5の属性情報にあった配信情報を作成する(s50)。情報配信装置21は、s50で作成した配信情報を指定外駅入場時データベースに記憶し(s51)、s41に戻る。
【0094】
s48、およびs50で配信情報を作成する際には、該当する登録者5の個人情報を利用している。
【0095】
なお、利用区間の両端の2つの駅でない他の駅において退場した登録者5に対して、配信情報を配信しない場合には、上記s48、s49の処理をなくせばよい。また、s50では、利用区間の両端の2つの駅であって、今回退場した駅からより遠い方の駅を目的地とした配信情報を作成するとしたが、より近い方の駅を目的地とした配信情報を作成してもよいし、さらには利用区間の両端の2つの駅を目的地とした配信情報を作成してもよい。
【0096】
利用区間の両端の2つの駅でない他の駅において入場した登録者5の目的地は、利用区間の両端の2つの駅のどちらか一方である可能性が極めて高いので、利用区間の両端の2つの駅のどちらか一方を目的地とした配信情報を作成することで、利用区間の両端の2つの駅でない他の駅において入場した登録者5に対して、役に立つ配信情報を略半分の確率で配信することができる。また、利用区間の両端の2つの駅を目的地とした配信情報を作成することで、利用区間の両端の2つの駅でない他の駅において入場した登録者5に対して、役に立つ配信情報を略確実に配信することができる。
【0097】
さらに、利用区間の両端の2つの駅でない他の駅において退場した登録者5は、殆どの場合、退場した駅近辺で何らかの用事を済ませた後、今回退場した駅1に戻って入場すると考えられるので、s50で作成した配信情報が無駄になる(登録者5に配信されない)可能性も極めて低い。したがって、無駄な配信情報の作成が抑えられ、情報配信装置21の負荷の増加を防止できる。
【0098】
なお、s50で作成した配信情報が配信される処理については後述する。
【0099】
次に、図15を参照しながら通過情報に、定期券7の識別コードのみが含まれていた場合について説明する。
【0100】
情報配信装置21は、利用者5が登録者5であるかどうかを判断し(s61)、登録者5でなければs41に戻る。反対に、登録者5であると判断すると、該登録者5が駅に入場したのか、駅から退場したのかを判断する(s62)。ここで退場であると判断すると、退場した駅1が利用区間の両端の2つの駅の一方であるかどうかを判断し(s63)、利用区間の両端の2つの駅の一方であれば、配信情報記憶部214の退場した駅のデータベースから該当する配信情報を読み出して配信し(s64)、s41に戻る。
【0101】
また、情報配信装置21は、s63で利用区間の両端の2つの駅でないと判定すると、上記s48〜s51の処理を行って、s41に戻る。この場合、登録者5が退場した駅1は利用区間の両端の2つの駅の間に存在する途中駅である。
【0102】
情報配信装置21は、s62で入場であると判定すると、配信情報記憶部214の指定外駅データベースに該当する配信情報が記憶されているかどうかを判定する(s65)。s65では、定期券7の識別コードをキーにして指定外駅データベースを検索する。情報配信装置21は、指定外駅データベースに該当する配信情報が記憶されていると、この配信情報を読み出し、配信する(s64)。ここで読み出される配信情報が、上記s50で作成された配信情報である。
【0103】
情報配信装置21は、s65で指定外駅データベースに該当する配信情報が記憶されていないと、s41に戻る。
【0104】
次に、図16を参照しながら通過情報に、プリペイドカード8の識別コードのみが含まれていた場合について説明する。情報配信装置21は、関連情報記憶部217に記憶されている関連情報の中に、今回通知されたプリペイドカード8の識別コードがあるかどうかを判断し(s71)、無ければs41に戻る。
【0105】
情報配信装置21は、関連情報の中に今回通知されたプリペイドカード8の識別コードがあると、このプリペイドカード8の識別コードに関連付けられている定期券7の識別コードを読み出す(s72)。さらに、情報配信措置21は、登録者5が駅1に入場したのか、駅1から退場したのかを判断する(s73)。ここで退場であると判断すると、退場した駅1が利用区間の両端の2つの駅の一方であるかどうかを判断し(s74)、利用区間の両端の2つの駅の一方であれば、配信情報記憶部214の退場した駅のデータベースから該当する配信情報を読み出して配信し(s75)、s41に戻る。
【0106】
情報配信装置21は、s74で両端の2つの駅でないと判定すると、上記s48〜s51の処理を行って、s41に戻る。
【0107】
また、情報配信装置21はs73で入場であると判定すると、利用区間の両端の2つの駅であるかどうかを判断し(s76)、利用区間の両端の2つの駅の一方であると判定すると、s41に戻る。この場合、利用区間の両端の2つの駅の一方において、入場したときに、プリペイドカード8を自動改札機11に投入した登録者5の目的地を予測するのは困難である。このため、登録者5にとって役に立たない情報を配信する可能性が極めて高いので、この実施形態の情報配信装置21は配信情報を配信しない。
【0108】
利用区間の両端の2つの駅でなければ、配信情報記憶部214の指定外駅データベースに該当する配信情報が記憶されているかどうかを判定する(s77)。s77では、s72で読み出した定期券7の識別コードをキーにして指定外駅データベースを検索する。情報配信装置21は、指定外駅データベースに該当する配信情報が記憶されていると、この配信情報を読み出し、配信する(s78)。ここで読み出される配信情報が、上記s50で作成された配信情報である。
【0109】
情報配信装置21は、s77で指定外駅データベースに該当する配信情報が記憶されていないと、s41に戻る。
【0110】
なお、上記説明においては省略したが、情報配信装置21は登録者5が利用区間の両端の2つの駅でない他の駅において入場、または退場したことを検出したとき、この登録者5の関連情報に対して、入場した駅、または退場した駅を追加している。
【0111】
このように、この実施形態の情報配信装置によれば、定期券7の有効区間外の駅1において、プリペイドカード8を自動改札機11に投入して入場した登録者5に対して、配信情報を配信することができ、登録者5に対するサービスの向上が図れる。また、定期券7の識別コードと、プリペイドカード8の識別コードとの関連付けを上記s45で自動的に行うので、手間がかからず、効率的な情報配信が行える。また、登録者5が利用区間の両端の2つの駅でない他の駅で退場したときに、利用区間の両端の2つの駅でない他の駅に入場したときに配信する配信情報を作成しているので、利用区間の両端の2つの駅でない他の駅における入場時における配信情報の配信が迅速に行える。さらに、その目的地を利用区間の両端の2つの駅1の一方、または両方として配信情報を作成しているので、登録者5の目的地に応じた配信情報を作成することができ、登録者5に対して役に立つ配信情報を配信することができる。
【0112】
【発明の効果】
以上のように、この発明によれば、定期券の有効区間外の駅において、プリペイドカードで駅に入場した登録者に対して、配信情報を配信することができ、登録者に対するサービスの向上が図れる。また、定期券の識別コードと、プリペイドカードの識別コードとの関連付けを自動的に行うので、手間がかからず、効率的に運用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施形態である情報配信装置を適用した情報配信システムを示す図である。
【図2】定期券、およびプリペイドカードに記録されている磁気データを説明する図である。
【図3】情報配信装置の構成を示すブロック図である。
【図4】この発明の実施形態である情報配信装置に記憶されている個人情報を示す図である。
【図5】この発明の実施形態である情報配信装置に記憶されている配信情報を説明する図である。
【図6】この発明の実施形態である情報配信装置に記憶されている関連情報を示す図である。
【図7】この発明の実施形態である自動改札機の構成を示すブロック図である。
【図8】この発明の実施形態である自動改札機の外観を示す図である。
【図9】定期券とプリペイドカードの使用方法を説明するための図である。
【図10】この発明の実施形態である情報配信装置における配信情報作成処理を示すフローチャートである。
【図11】この発明の実施形態である情報配信装置の配信情報記憶部を説明する図である。
【図12】この発明の実施形態である情報配信装置の配信情報記憶部を説明する図である。
【図13】自動改札機の動作を示すフローチャートである。
【図14】この発明の実施形態である情報配信装置の動作を示すフローチャートである。
【図15】この発明の実施形態である情報配信装置の動作を示すフローチャートである。
【図16】この発明の実施形態である情報配信装置の動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1−駅
2−情報配信センタ
11−自動改札機
21−情報配信装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
定期券の識別コードと、その属性を示す属性情報と、を対応付けて記憶する属性情報記憶手段と、
上記定期券の識別コードと、乗車券として複数回使用できるプリペイドカードの識別コードと、を関連付けた関連情報を記憶する関連情報記憶手段と、
上記定期券の識別コード毎に、上記属性情報記憶手段に記憶されている上記属性情報に基づいて配信情報を作成する配信情報作成手段と、
上記定期券、または上記プリペイドカードの少なくとも一方が投入された自動改札機から、該自動改札機に投入された上記定期券、上記プリペイドカードそれぞれの識別コードを含む通過情報を取得する通過情報取得手段と、
上記通過情報取得手段が取得した上記通過情報に上記定期券の識別コードが含まれておらず、上記プリペイドカードの識別コードが含まれていた場合、上記関連情報記憶手段に記憶されている上記関連情報により、該プリペイドカードの識別コードに関連付けられている上記定期券の識別コードを特定する識別コード特定手段と、
上記識別コード特定手段により特定された上記定期券の識別コード、または上記通過情報に含まれていた上記定期券の識別コードについて、上記配信情報作成手段が作成した上記配信情報を、この定期券の識別コードに対応する配信先に配信する配信手段と、を備えた情報配信装置。
【請求項2】
上記通過情報取得手段が上記定期券の識別コード、および上記プリペイドカードの識別コードの両方を含む上記通過情報を取得したときに、該定期券の識別コードと、該プリペイドカードの識別コードと、を関連づけた関連情報を上記関連情報記憶手段に記憶させる請求項1に記載の情報配信装置。
【請求項3】
上記定期券の識別コード毎に、上記配信情報作成手段が作成した配信情報を記憶する配信情報記憶手段を備えた請求項1または2に記載の情報配信装置。
【請求項4】
上記通過情報には、駅に入場、または駅から退場の種別を示す入退場情報、および入場または退場した駅を示す駅情報が含まれており、
上記配信手段は、上記識別コード特定手段により特定された上記定期券の識別コードについて、予め登録されている利用区間の両端の2つの駅でない他の駅における入場を示す上記通過情報を取得した場合、ここで特定された定期券の識別コードについて、上記属性情報記憶手段に記憶している属性情報に基づき、上記利用区間の両端の2つの駅の一方の駅近辺に関する上記配信情報を配信する請求項3記載の情報配信装置。
【請求項5】
上記配信情報作成手段は、上記識別コード特定手段により特定された上記定期券の識別コード、または上記通過情報に含まれていた上記定期券の識別コードについて、予め登録されている利用区間の両端の2つの駅でない他の駅における退場を示す通過情報を取得した場合、この定期券の識別コードについて、上記属性情報記憶手段に記憶している属性情報に基づき、上記利用区間の両端の2つの駅の一方の駅近辺に関する上記配信情報を作成し、ここで作成された配信情報を上記配信情報記憶手段に記憶させる請求項4に記載の情報配信装置。
【請求項6】
上記通過情報には、駅に入場、または駅から退場の種別を示す入退場情報、および入場または退場した駅を示す駅情報が含まれており、
上記配信手段は、上記識別コード特定手段により特定された上記定期券の識別コードについて、予め登録されている利用区間の両端の2つの駅でない他の駅における入場を示す通過情報を取得した場合、ここで特定された定期券の識別コードについて、上記属性情報記憶手段に記憶している属性情報に基づき、上記利用区間の両端の2つの駅近辺に関する上記配信情報を配信する請求項3に記載の情報配信装置。
【請求項7】
上記配信情報作成手段は、上記識別コード特定手段により特定された上記定期券の識別コード、または上記通過情報に含まれていた上記定期券の識別コードについて、予め登録されている利用区間の両端の2つの駅でない他の駅における退場を示す通過情報を取得した場合、この定期券の識別コードについて、上記属性情報記憶手段に記憶している属性情報に基づき、上記利用区間の両端の2つの駅近辺に関する上記配信情報を作成し、ここで作成した配信情報を上記配信情報記憶手段に記憶させる請求項6に記載の情報配信装置。
【請求項1】
定期券の識別コードと、その属性を示す属性情報と、を対応付けて記憶する属性情報記憶手段と、
上記定期券の識別コードと、乗車券として複数回使用できるプリペイドカードの識別コードと、を関連付けた関連情報を記憶する関連情報記憶手段と、
上記定期券の識別コード毎に、上記属性情報記憶手段に記憶されている上記属性情報に基づいて配信情報を作成する配信情報作成手段と、
上記定期券、または上記プリペイドカードの少なくとも一方が投入された自動改札機から、該自動改札機に投入された上記定期券、上記プリペイドカードそれぞれの識別コードを含む通過情報を取得する通過情報取得手段と、
上記通過情報取得手段が取得した上記通過情報に上記定期券の識別コードが含まれておらず、上記プリペイドカードの識別コードが含まれていた場合、上記関連情報記憶手段に記憶されている上記関連情報により、該プリペイドカードの識別コードに関連付けられている上記定期券の識別コードを特定する識別コード特定手段と、
上記識別コード特定手段により特定された上記定期券の識別コード、または上記通過情報に含まれていた上記定期券の識別コードについて、上記配信情報作成手段が作成した上記配信情報を、この定期券の識別コードに対応する配信先に配信する配信手段と、を備えた情報配信装置。
【請求項2】
上記通過情報取得手段が上記定期券の識別コード、および上記プリペイドカードの識別コードの両方を含む上記通過情報を取得したときに、該定期券の識別コードと、該プリペイドカードの識別コードと、を関連づけた関連情報を上記関連情報記憶手段に記憶させる請求項1に記載の情報配信装置。
【請求項3】
上記定期券の識別コード毎に、上記配信情報作成手段が作成した配信情報を記憶する配信情報記憶手段を備えた請求項1または2に記載の情報配信装置。
【請求項4】
上記通過情報には、駅に入場、または駅から退場の種別を示す入退場情報、および入場または退場した駅を示す駅情報が含まれており、
上記配信手段は、上記識別コード特定手段により特定された上記定期券の識別コードについて、予め登録されている利用区間の両端の2つの駅でない他の駅における入場を示す上記通過情報を取得した場合、ここで特定された定期券の識別コードについて、上記属性情報記憶手段に記憶している属性情報に基づき、上記利用区間の両端の2つの駅の一方の駅近辺に関する上記配信情報を配信する請求項3記載の情報配信装置。
【請求項5】
上記配信情報作成手段は、上記識別コード特定手段により特定された上記定期券の識別コード、または上記通過情報に含まれていた上記定期券の識別コードについて、予め登録されている利用区間の両端の2つの駅でない他の駅における退場を示す通過情報を取得した場合、この定期券の識別コードについて、上記属性情報記憶手段に記憶している属性情報に基づき、上記利用区間の両端の2つの駅の一方の駅近辺に関する上記配信情報を作成し、ここで作成された配信情報を上記配信情報記憶手段に記憶させる請求項4に記載の情報配信装置。
【請求項6】
上記通過情報には、駅に入場、または駅から退場の種別を示す入退場情報、および入場または退場した駅を示す駅情報が含まれており、
上記配信手段は、上記識別コード特定手段により特定された上記定期券の識別コードについて、予め登録されている利用区間の両端の2つの駅でない他の駅における入場を示す通過情報を取得した場合、ここで特定された定期券の識別コードについて、上記属性情報記憶手段に記憶している属性情報に基づき、上記利用区間の両端の2つの駅近辺に関する上記配信情報を配信する請求項3に記載の情報配信装置。
【請求項7】
上記配信情報作成手段は、上記識別コード特定手段により特定された上記定期券の識別コード、または上記通過情報に含まれていた上記定期券の識別コードについて、予め登録されている利用区間の両端の2つの駅でない他の駅における退場を示す通過情報を取得した場合、この定期券の識別コードについて、上記属性情報記憶手段に記憶している属性情報に基づき、上記利用区間の両端の2つの駅近辺に関する上記配信情報を作成し、ここで作成した配信情報を上記配信情報記憶手段に記憶させる請求項6に記載の情報配信装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2004−21918(P2004−21918A)
【公開日】平成16年1月22日(2004.1.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2002−180015(P2002−180015)
【出願日】平成14年6月20日(2002.6.20)
【出願人】(000002945)オムロン株式会社 (3,542)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成16年1月22日(2004.1.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成14年6月20日(2002.6.20)
【出願人】(000002945)オムロン株式会社 (3,542)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]