説明

情報閲覧システム、監視サーバ装置、クライアント装置およびその制御方法ならびにプログラム

【課題】WEBサイトの閲覧時間を従来よりも精度良く推定する。
【解決手段】閲覧時間を推定する推定手段は、表示時間が予め設定された基準時間より長ければ、基準時間よりも短い第1補正時間を閲覧時間として決定する。表示時間が予め設定された基準時間より長くなく、かつ、表示時間の間に検知手段が入力手段に対する操作を検知していれば、推定手段は、表示時間を閲覧時間として決定する。表示時間が予め設定された基準時間より長くなく、かつ、表示時間の間に検知手段が入力手段に対する操作を検知していなければ、推定手段は、表示時間よりも短い第2補正時間を閲覧時間として決定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インターネット閲覧情報を収集する情報閲覧システム、監視サーバ装置、クライアント装置およびその制御方法ならびにプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
インターネットは個人の趣味を増進するだけでなく、職場(オフィス)におけるビジネスツールとしても極めて有用である。一方で、オフィスにおけるインターネットの有効活用を促進するためには、インターネットのWEBサイトが従業員によってどの程度の時間にわたって閲覧されているかを監視し、それを分析してフィードバックすることが望ましい。特許文献1によれば、オフィスにおける従業員によるインターネットのWEBサイトの閲覧時間を監視するために有効な発明が提案されている。具体的には、各WEBサイト(ページ)の表示時間を計測し、表示時間が基準時間未満であればそのまま閲覧時間として採用し、表示時間が基準時間以上であればその表示時間に代えて基準時間よりも短い補正時間を閲覧時間として採用することが提案されている。基準時間が5分、補正時間が1分であると仮定する。この場合、表示時間が3分であれば閲覧時間も3分と決定される。表示時間が7分であれば閲覧時間が1分と決定される。これにより、閲覧者がページを実際に閲覧した閲覧時間を精度良く推定できるという。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4230694号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1は、閲覧者がページを実際に閲覧した閲覧時間を精度良く推定できる点で極めて有効な発明であるが、改良の余地が残されている。特許文献1に記載の発明では、表示時間が基準時間以上であればその表示時間に代えて基準時間よりも短い補正時間を閲覧時間として採用するが、表示時間が基準時間未満であればそのまま閲覧時間として採用してしまう。つまり、表示時間が基準時間未満であれば補正は実行されない。しかしながら、近年のインターネットシステムにおける技術向上に伴い、実際には閲覧していなくても(すなわち閲覧者がインターネットブラウザを操作しなくても)サイト自身が自動的に内容を更新するというケースが増加してきている。このケースでは、閲覧者が席を離れているなど、実際にはインターネット閲覧を行っていない場合であって、閲覧履歴は継続的に記録されていく。とりわけ、サイト自身による自動更新周期が上記の基準時間よりも短ければ、閲覧者が実際にそのサイトを閲覧していなくても、そのサイトの表示時間が閲覧時間として合計閲覧時間に加算されてしまう。
【0005】
そこで、本発明は、このような課題および他の課題のうち、少なくとも1つを解決することを目的とする。たとえば、本発明は、WEBサイトの閲覧時間を従来よりも精度良く推定できるようにすることを目的とする。なお、他の課題については明細書の全体を通して理解できよう。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、たとえば、ページ単位で情報を提供するサーバ装置と情報の閲覧が可能な複数のクライアント装置とが接続される情報閲覧システムに適用できる。すなわち、情報閲覧システムは、
情報がクライアント装置上に表示されている時間である表示時間を計測する計測手段と、
クライアント装置の入力手段に対する操作者の操作を検知する検知手段と、
表示時間に基づいて操作者による情報の閲覧時間を推定する推定手段と、
推定手段により推定された各閲覧時間を合計して合計閲覧時間を算出する合計手段とを備える。
【0007】
推定手段は、
表示時間が予め設定された基準時間より長ければ、基準時間よりも短い第1補正時間を閲覧時間として決定し、
表示時間が予め設定された基準時間より長くなく、かつ、表示時間の間に検知手段が入力手段に対する操作を検知していれば、表示時間を閲覧時間として決定し、
表示時間が予め設定された基準時間より長くなく、かつ、表示時間の間に検知手段が入力手段に対する操作を検知していなければ、表示時間よりも短い第2補正時間を閲覧時間として決定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本実施形態によれば、表示時間が予め設定された基準時間以下の場合には入力手段に対する操作の有無に基づいて閲覧時間を推定するため、WEBサイトの閲覧時間を従来よりも精度良く推定できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、情報閲覧システムの一例を示す図である。
【図2】図2は、インターネット閲覧履歴データおよびキーボード・マウス操作履歴データの取得処理を示したフローチャートである。
【図3】図3は、インターネット閲覧履歴データの一例を示す図である。
【図4】図4は、キーボード・マウス操作履歴データの一例を示す図である。
【図5】図5は、監視ログデータの作成処理を示したフローチャートである。
【図6】図6は、監視ログデータの一例を示す図である。
【図7】図7は、統合履歴データの一例と閲覧時間の推定例を示す図である。
【図8】図8は、情報閲覧システムの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1は、ページ単位で情報を提供するサーバ装置と情報の閲覧が可能な複数のクライアント装置とが接続される情報閲覧システムの一例を示す図である。クライアント装置10と情報サーバ装置40はインターネットやイントラネットなどのネットワーク100を介して接続されている。なお、クライアント装置10と情報サーバ装置40は簡潔化のために1台ずつ示されているが、実際には複数であってもよい。
【0011】
クライアント装置10は、オフィスや家庭などに配置されるパーソナルコンピュータなどの情報処理装置である。クライアント装置10では、ハードディスクドライブ(HDD15)に記憶されているソフトウエアにしたがってCPU11が各種手段として機能する。とりわけ、CPU11は、表示時間に基づいて操作者(閲覧者)による情報の閲覧時間を推定する推定手段として機能する。また、CPU11は、推定手段により推定された各閲覧時間を合計して合計閲覧時間を算出する合計手段として機能する。閲覧時間は、閲覧者ごとにページ単位で推定される。メモリ13は、RAMやROMなどを含む。ネットワークインターフェース14は、ネットワーク100を通じて他のコンピュータと通信するための通信回路である。CPU11およびネットワークインターフェース14は、情報をサーバ装置から受信する受信手段として機能する。HDD15は、オペレーティングシステム、WEBブラウザなどのクライアントプログラム17、インターネットの閲覧履歴を記録するログ記録プログラム18、閲覧履歴であるログデータ19などを記憶する。入力部16は、ポインティングデバイス(マウスやタッチパネル)やキーボードなどである。キーボードはソフトウエアキーボードであってもよい。また、入力部16は、入力された操作者の音声を音声認識機能により認識してCPU11へ指示を入力する音声認識入力部であってもよい。表示装置12は、情報を表示するためのユーザインタフェースである。CPU11および表示装置12は、受信手段により受信された情報を表示する表示手段として機能する。
【0012】
情報サーバ装置40は、コンピュータの一種であり、ここではWEBサーバとして機能する情報処理装置である。情報サーバ装置40は、たとえば、ページ単位で情報をクライアント装置10に提供する。この情報は、テキストデータ、画像、動画、音楽、スクリプト、プログラムなどの各種のコンテンツが含まれる。情報サーバ装置40では、ハードディスクドライブ(HDD45)に記憶されているソフトウエアにしたがってCPU41が各種手段として機能する。メモリ43は、RAMやROMなどを含む。ネットワークインターフェース44は、ネットワーク100を通じて他のコンピュータと通信するための通信回路である。HDD45は、オペレーティングシステムやサーバプログラム47に加え、ページデータ48を記憶する。ページデータ48には、html形式のファイルやコンテンツなど、WEBページを表示するために必要となるデータが含まれている。なお、WEBサービスにおけるページは、一般に、ネットワークアドレスであるURLによって区別される。
【0013】
図2は、インターネット閲覧履歴データおよびキーボード・マウス操作履歴データの取得処理を示したフローチャートである。これらの取得処理は、クライアント装置10のCPU11がログ記録プログラム18にしたがって実行する制御方法の一部である。ログ記録プログラム18は予めメモリ13にロードされているものとする。
【0014】
S201で、CPU11は、WEBサイトを閲覧するためのクライアントプログラム17が入力部16からの指示に基づいて開始されたか否かを判定する。クライアントプログラム17が起動すると、S202に進む。S202で、CPU11は、日時データ、および、閲覧者によって入力部16を通じてクライアントプログラム17に対して指定された閲覧ページのURLを取得し、インターネット閲覧履歴データに書き込む。インターネット閲覧履歴データは、メモリ13またはHDD15に記憶される。
【0015】
図3は、インターネット閲覧履歴データの一例を示す図である。インターネット閲覧履歴データ300には、WEBサイトの閲覧に関する各種のデータが含まれている。開始日時は、閲覧が開始された時刻を示している。URLは、閲覧されたページのURLを示している。表示時間は、計測された時間を示している。
【0016】
S203で、CPU11は、情報サーバ装置40から受信したページデータをクライアントプログラム17に渡すことで表示装置12にページデータを表示するとともに、表示時間の計測を開始する。このように、CPU11は、情報がクライアント装置の表示手段に表示されている時間である表示時間を計測する計測手段として機能する。
【0017】
S204で、CPU11は、入力部16において閲覧者による操作入力が実行されたかどうかを判定する。このように、CPU11は、クライアント装置の入力手段に対する操作者の操作を検知する検知手段として機能する。操作入力が実行されていなければS206に進む。操作入力が実行されていればS205に進む。S205で、CPU11は、検知した操作入力の内容をキーボード・マウス操作履歴データに書き込む。なお、キーボード・マウス操作履歴データには、操作者による入力部16に対する各種の操作が記録される。たとえば、ポインティングデバイス(トラックボールやタッチパネル)やハードウエア/ソフトウエアキーボード、音声認識入力部など、各種の入力部に対する操作者の操作が記録される。
【0018】
図4は、キーボード・マウス操作履歴データの一例を示す図である。キーボード・マウス操作履歴データ400には、WEBサイトの閲覧中に実行された各種の操作履歴のデータが含まれている。開始日時は、閲覧が開始された時刻を示している。キータッチ数は、入力部16の一部であるキーボードが備えるキーが閲覧者によりタッチされた回数を示している。マウス操作量は、入力部16の一部であるマウスの移動量を示している。
【0019】
なお、図7が示すように、インターネット閲覧履歴データ300とキーボード・マウス操作履歴データ400は1つの統合履歴データ700としてまとめられてもよい。
【0020】
S206で、CPU11は、入力部16において入力された情報やネットワークインターフェース14を通じて情報サーバ装置40に対して送信もしくは受信された通信データ(コマンド、URLやコンテンツなど)に基づいて、閲覧者がWEBサイトを閲覧中に、ページの切り替えを実行したかどうかを判定する。ページの切り替えは、URLの変更、オートリロードタグやスクリプトによるコンテンツの変更などがある。ページの切り替えが実行されていなければ、S209に進む。ページの切り替えが実行されれば、S207に進む。このように、CPU11は、URLの変更、ページ内のコンテンツの変更またはオートリロードが実行されるとページが切り替わったと判別する判別手段として機能する。
【0021】
S207で、CPU11は、表示時間の計測を一旦終了する。S208で、CPU11は、ページの切り替えが実行される前のページのURLに対応付けて、計測した表示時間をインターネット閲覧履歴データ300に書き込む。インターネット閲覧履歴データ300の書き込みが完了したら、ステップS202に戻り、ページ切り替え後のページについて表示時間の計測を開始する。
【0022】
S209で、CPU11は、閲覧が終了したかどうかを判定する。たとえば、入力部16を通じてクライアントプログラム17に対する終了指示が入力されると、CPU11は、閲覧が終了したと判定する。閲覧が終了していなければ、S204に戻る。閲覧が終了していれば、S210に進む。
【0023】
S210で、CPU11は、表示時間の計測を終了する。S211で、CPU11は、最後に閲覧されていたページのURLに対応付けて、計測した表示時間をインターネット閲覧履歴データ300に書き込む。以上の処理により、閲覧開始から閲覧終了までの間の、閲覧者によるWWWページの表示時間をページ単位で計測して、計算結果を保存することができる。
【0024】
図5は、監視ログデータの作成処理を示したフローチャートである。監視ログデータの作成処理は、クライアント装置10のCPU11がログ記録プログラム18にしたがって実行する制御方法の一部である。ログ記録プログラム18は予めメモリ13にロードされているものとする。
【0025】
S501で、CPU11は、HDD15からインターネット閲覧履歴データ300およびキーボード・マウス操作履歴データ400を読み出し、メモリ13のRAMに展開する。S502で、CPU11は、ページごとに計測した表示時間tを抽出する。なお、図3および図4から明らかなように、インターネット閲覧履歴データ300とキーボード・マウス操作履歴データ400は、開始日時データをキーとして関連付けることができる。
【0026】
S503で、CPU11は、抽出したページごとの表示時間tについて、それぞれ基準時間STと比較する。基準時間STは、閲覧者が閲覧ページを処理するのに費やす一般的な時間である。基準時間STは、各職場において適切な値があると考えられ、予め調査し、決めておくものとする。比較した結果、表示時間tが基準時間STより長ければ、S504に進む。一般に、表示時間tが基準時間STより長ければ、飛び込み業務等を行ったために、ページを不必要に開いていた可能性がある。
【0027】
S504で、CPU11は、表示時間tに代えて、第1補正時間CT1を閲覧時間に決定し、決定した閲覧時間を合計閲覧時間に加算する。第1補正時間CT1は、ページの閲覧開始直後に飛び込み業務等が入った場合において実際に閲覧ページを処理するのに閲覧者が費やす一般的な時間である。第1補正時間CT1は、各職場において適切な値があると考えられ、予め調査し、決めておけばよい。第1補正時間CT1は、表示時間tよりも小さく、かつ、基準時間STよりも短い時間となる。このように、CPU11は、表示時間が予め設定された基準時間より長ければ、基準時間よりも短い第1補正時間を閲覧時間として決定する推定手段として機能する。
【0028】
一方、S503において、表示時間tが基準時間STより長くないと判定すると、S506に進む。一般に、表示時間tが基準時間ST以下であれば、そのページは閲覧者が実際に閲覧したページであるか、そのページはオートリロードによってコンテンツを変更するページの可能性が高い。このどちらかを判定するために、S506に進む。
【0029】
S506で、CPU11は、キーボード・マウス操作履歴データ400における対応するレコードを参照し、そのレコードのキータッチ数とマウス操作量に基づいて、表示時間tの計測開始から計測終了までの間にマウス・キーボード操作があったか否か判定する。たとえば、CPU11は、マウス操作量が予め設定された閾値を超えていれば、マウスに対する操作者の操作があったと判定してもよい。閾値は、ゼロであってもよいが、机の振動によるマウスの移動を考慮して、10pixelsなどに設定されてもよい。CPU11は、マウス操作量が予め設定された閾値を超えていなければ、マウスに対する操作者の操作がなかったと判定してもよい。また、CPU11は、キーボードに対するキータッチ数が予め設定された閾値を超えていれば、キーボードに対する操作者の操作があったと判定してもよい。また、CPU11は、キーボードに対するキータッチ数が予め設定された閾値を超えていなければ、キーボードに対する操作者の操作がなかったと判定してもよい。閾値は、基本的にゼロでよいが、書類がキーを押してしまうなどの意図しないイベントの発生を考慮し、2などに設定されてもよい。なお、キーボードとマウスのうちいずれか一方だけが考慮されてもよいし、双方が考慮されてもよい。後者の場合、いずれか一方でも閾値を超えるようなイベントが発生していれば、全体として操作があったものと判定する。キーボードとマウスの双方とも閾値を超えるようなイベントが発生していなければ、全体として操作がなかったものと判定する。マウス・キーボード操作がある場合、S507に進む。S507で、CPU11は、計測した表示時間tをそのページの閲覧時間として決定し、決定した閲覧時間を合計閲覧時間に加算する。このように、CPU11は、表示時間が予め設定された基準時間より長くなく、かつ、表示時間の間に検知手段が入力手段に対する操作を検知していれば、表示時間を閲覧時間として決定する推定手段として機能する。表示時間が予め設定された基準時間より長くなくとは、換言すれば、表示時間が基準時間以下であることを意味する。
【0030】
一方で、S506で、マウス・キーボード操作がないと判定すると、そのサイトは自動更新サイトの可能性が高いため、S508に進む。S508で、CPU11は、表示時間tに代えて、第2補正時間CT2を閲覧時間に決定し、決定した閲覧時間を合計閲覧時間に加算する。マウス・キーボード操作がない場合は、実質的な閲覧が実行されていない可能性がたかいため、閲覧時間はゼロと推定される。そのため、第2補正時間CT2は、ゼロ、または、第1補正時間CT1や基準時間STよりも短い時間に設定されるる。このように、CPU11は、表示時間が予め設定された基準時間より長くなく、かつ、表示時間の間に検知手段が入力手段に対する操作を検知していなければ、表示時間よりも短い第2補正時間を閲覧時間として決定する推定手段として機能する。
【0031】
S505で、CPU11は、算出した合計閲覧時間を閲覧開始日時やURLおよび操作の有無などのデータに対応付けて監視ログデータに書き込む。このように、CPU11は、ページの閲覧時間とページのURLとを対応付けて閲覧記録を作成する作成手段として機能する。
【0032】
図6は、監視ログデータの一例を示す図である。ここでは、基準時間STを5分、第1補正時間CT1を1分と仮定する。監視ログデータ600の各レコードには、合計閲覧時間を閲覧開始日時やURLおよび操作の有無などのデータが含まれている。各レコードを形成する基本データは、インターネット閲覧履歴データ300とキーボード・マウス操作履歴データ400からCPU11がコピーしたものである。たとえば、1番目のレコードについて注目してみる。監視ログデータ600の1番目のレコードは、インターネット閲覧履歴データ300の1番目のレコードとキーボード・マウス操作履歴データ400の1番目のレコードとに対応している。監視ログデータ600の他のレコードもそれぞれインターネット閲覧履歴データ300とキーボード・マウス操作履歴データ400の各レコードに対応している。
【0033】
インターネット閲覧履歴データ300の1番目のレコードによれば、表示時間は10分である。基準時間STは5分であるため、S503でYESとなり、S504で閲覧時間が1分に推定されている(図7)。インターネット閲覧履歴データ300の2番目のレコードによれば、表示時間は4分である。基準時間STは5分であるため、S503でNOとなる。さらに、キーボード・マウス操作履歴データ400の2番目のレコードによれば、操作ありを示す値になっている。よって、S506でYESとなり、S507で表示時間である4分がそのまま閲覧時間として推定されている(図7)。インターネット閲覧履歴データ300の3番目のレコードによれば、表示時間は3分である。基準時間STは5分であるため、S503でNOとなる。さらに、キーボード・マウス操作履歴データ400の3番目のレコードによれば、操作なしを示す値になっている。なお、マウス操作量は2pixelsであるため、これは机の振動などによるものと推定される。よって、S506でNOとなり、S508で表示時間である3分に代えて第2補正時間CT2(ゼロ分)が閲覧時間として推定されている(図7)。
【0034】
このように、本実施形態によれば、計測された表示時間と、ポインティングデバイスやキーボードなどの入力手段の操作履歴とに基づいて、WEBページの閲覧時間を精度良く推定できるようになる。なお、キーボードのキータッチ数やポインティングデバイスの操作量に操作の有無を判定する上でのマージンを設けることで、操作の誤検知を抑制できる。なお、操作の有無を厳格に判断するには、マージンである閾値をゼロに設定すればよい。URLの変更、ページ内のコンテンツの変更またはページのリロードを検知することで、ページの切り替えを精度良く判別できるようになる。
【0035】
[他の実施例]
上述の実施例では、閲覧時間の推定や合計閲覧時間の算出をクライアント装置で実行するものとして説明したが、もちろんサーバ装置において実行されてもよい。
【0036】
図8は、情報閲覧システムの一例を示す図である。監視サーバ装置80は、コンピュータの一種であり、ここでは監視サーバとして機能する情報処理装置である。監視サーバ装置80は、監視下にある複数のクライアント装置10からインターネット閲覧履歴データ300およびキーボード・マウス操作履歴データ400を読み出し、図5に示したフローチャートにしたがって監視ログデータ600を作成する。
【0037】
監視サーバ装置80では、ハードディスクドライブ(HDD85)に記憶されているソフトウエアにしたがってCPU81が各種手段として機能する。メモリ83は、RAMやROMなどを含む。ネットワークインターフェース84は、ネットワーク100を通じて他のコンピュータと通信するための通信回路である。HDD85は、オペレーティングシステムやサーバプログラム87に加え、監視ログデータ600を記憶する。
【0038】
なお、クライアント装置10は、インターネット閲覧履歴データ300およびキーボード・マウス操作履歴データ400の各レコードにユーザIDとクライアント装置10の識別情報を書き込む。クライアント装置10は、インターネット閲覧履歴データ300およびキーボード・マウス操作履歴データ400を、定期的または監視サーバ装置80から要求されたときに監視サーバ装置80へ送信する。監視サーバ装置80は、受信したインターネット閲覧履歴データ300およびキーボード・マウス操作履歴データ400をHDD85に記憶する。
【0039】
また、クライアント装置群のインターネット閲覧履歴データ300およびキーボード・マウス操作履歴データ400の監視サーバ装置80への受け渡しは、外部記憶媒体(FD、MO、USB、CD−R、DVD−RAM等)等のインターネット閲覧履歴データ300およびキーボード・マウス操作履歴データ400を授受可能な媒体でも可能である。インターネット閲覧履歴データ300およびキーボード・マウス操作履歴データ400は、ページ単位で情報を提供する情報サーバ装置からクライアント装置が情報を受信して表示し、情報が表示されている時間である表示時間を計測するとともに、操作者の操作を検知して作成したログに相当する。よって、監視サーバ装置80は、実施例に係るログ分析方法を実行する情報分析装置として機能する。
【0040】
図5に示したフローチャートはクライアント装置10のCPU11に代えて監視サーバ装置80のCPU11が実行する。たとえば、S501で、CPU81は、HDD85からインターネット閲覧履歴データ300およびキーボード・マウス操作履歴データ400を読み出し、メモリ83のRAMに展開する。CPU81は、S503、S504、S506、S507およびS508を実行することで、閲覧時間を推定して合計閲覧時間を算出する。
【0041】
このように情報閲覧システムを構築することで、管理者は、監視サーバ装置80にアクセスするだけで、各クライアント装置10の監視ログデータを分析することができるようになる。また、クライアント装置10の処理負荷を軽減でき、クライアント装置10のハードウエアリソースに要求される仕様や条件を緩和できる。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ページ単位で情報を提供するサーバ装置と該情報の閲覧が可能な複数のクライアント装置とが接続される情報閲覧システムであって、
前記情報が前記クライアント装置の表示手段に表示されている時間である表示時間を計測する計測手段と、
前記クライアント装置の入力手段に対する操作者の操作を検知する検知手段と、
前記表示時間に基づいて前記操作者による前記情報の閲覧時間を推定する推定手段と、
前記推定手段により推定された各閲覧時間を合計して合計閲覧時間を算出する合計手段と
を備え、
前記推定手段は、
前記表示時間が予め設定された基準時間より長ければ、前記基準時間よりも短い第1補正時間を閲覧時間として決定し、
前記表示時間が予め設定された基準時間より長くなく、かつ、前記表示時間の間に前記検知手段が前記入力手段に対する操作を検知していれば、前記表示時間を前記閲覧時間として決定し、
前記表示時間が予め設定された基準時間より長くなく、かつ、前記表示時間の間に前記検知手段が前記入力手段に対する操作を検知していなければ、前記表示時間よりも短い第2補正時間を閲覧時間として決定することを特徴とする情報閲覧システム。
【請求項2】
前記入力手段はポインティングデバイスであり、
前記検知手段は、前記ポインティングデバイスの操作量が予め設定された閾値を超えていれば、前記ポインティングデバイスに対する操作者の操作があったと判定することを特徴とする請求項1に記載の情報閲覧システム。
【請求項3】
前記入力手段はキーボードであり、
前記検知手段は、前記キーボードに対するキータッチ数が予め設定された閾値を超えていれば、前記キーボードに対する操作者の操作があったと判定することを特徴とする請求項1に記載の情報閲覧システム。
【請求項4】
前記第2補正時間はゼロであることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の情報閲覧システム。
【請求項5】
URLの変更、ページ内のコンテンツの変更またはリロードが実行されるとページが切り替わったと判別する判別手段と、
前記ページの閲覧時間と前記ページのURLとを対応付けて閲覧記録を作成する作成手段と
をさらに備えることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の情報閲覧システム。
【請求項6】
前記計測手段、前記検知手段、前記推定手段および前記合計手段が前記クライアント装置に備えられていることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の情報閲覧システム。
【請求項7】
ネットワークを介して接続され、前記クライアント装置を監視する監視サーバ装置をさらに備え、
前記推定手段および前記合計手段が前記監視サーバ装置に備えられていることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の情報閲覧システム。
【請求項8】
ページ単位で情報を提供するサーバ装置から前記情報を受信して表示するクライアント装置であって、
前記情報をサーバ装置から受信する受信手段と、
前記受信手段により受信された前記情報を表示する表示手段と、
前記表示手段に前記情報が表示されている時間である表示時間を計測する計測手段と、
操作者が前記クライアントに指示を入力するための入力手段と、
前記入力手段に対する操作者の操作を検知する検知手段と、
前記表示時間に基づいて前記操作者による前記情報の閲覧時間を推定する推定手段と、
前記推定手段により推定された各閲覧時間を合計して合計閲覧時間を算出する合計手段と
を備え、
前記推定手段は、
前記表示時間が予め設定された基準時間より長ければ、前記基準時間よりも短い第1補正時間を閲覧時間として決定し、
前記表示時間が予め設定された基準時間より長くなく、かつ、前記表示時間の間に前記検知手段が前記入力手段に対する操作を検知していれば、前記表示時間を前記閲覧時間として決定し、
前記表示時間が予め設定された基準時間より長くなく、かつ、前記表示時間の間に前記検知手段が前記入力手段に対する操作を検知していなければ、前記表示時間よりも短い第2補正時間を閲覧時間として決定することを特徴とするクライアント装置。
【請求項9】
コンピュータを、請求項8に記載の前記クライアント装置が備える各手段として機能させるプログラム。
【請求項10】
ページ単位で情報を提供するサーバ装置から前記情報を受信して表示するクライアント装置の制御方法であって、
前記情報をサーバ装置から受信する受信工程と、
前記受信工程により受信された前記情報を表示手段に表示する表示工程と、
前記表示手段に前記情報が表示されている時間である表示時間をページ単位で計測する計測工程と、
操作者が前記クライアントに指示を入力するための入力手段に対する操作者の操作を検知する検知工程と、
前記表示時間に基づいて前記操作者による前記情報の閲覧時間を推定する推定工程と、
前記推定工程により推定された各閲覧時間を合計して合計閲覧時間を算出する合計工程と
を備え、
前記推定工程は、
前記表示時間が予め設定された基準時間より長ければ、前記基準時間よりも短い第1補正時間を閲覧時間として決定する工程と、
前記表示時間が予め設定された基準時間より長くなく、かつ、前記表示時間の間に前記検知工程が前記入力手段に対する操作を検知していれば、前記表示時間を前記閲覧時間として決定する工程と、
前記表示時間が予め設定された基準時間より長くなく、かつ、前記表示時間の間に前記検知工程が前記入力手段に対する操作を検知していなければ、前記表示時間よりも短い第2補正時間を閲覧時間として決定する工程と
を有することを特徴とするクライアント装置の制御方法。
【請求項11】
ページ単位で情報を提供する情報サーバ装置からクライアント装置が前記情報を受信して表示し、前記情報が表示されている時間である表示時間を計測するとともに、操作者の操作を検知して作成したログを分析する情報分析装置であって、
前記クライアント装置が作成したログに記録されている前記表示時間に基づいて前記操作者による前記情報の閲覧時間を推定する推定手段と、
前記推定手段により推定された各閲覧時間を合計して合計閲覧時間を算出する合計手段と
を備え、
前記推定手段は、
前記表示時間が予め設定された基準時間より長ければ、前記基準時間よりも短い第1補正時間を閲覧時間として決定し、
前記表示時間が予め設定された基準時間より長くなく、かつ、前記表示時間の間に実行された前記クライアント装置に対する前記操作者の操作が前記ログに記録されていれば、前記表示時間を前記閲覧時間として決定し、
前記表示時間が予め設定された基準時間より長くなく、かつ、前記表示時間の間に実行された前記クライアント装置に対する前記操作者の操作が前記ログに記録されていなければ、前記表示時間よりも短い第2補正時間を閲覧時間として決定することを特徴とする情報分析装置。
【請求項12】
コンピュータを、請求項11に記載の前記情報分析装置が備える各手段として機能させるプログラム。
【請求項13】
ページ単位で情報を提供する情報サーバ装置からクライアント装置が前記情報を受信して表示し、前記情報が表示されている時間である表示時間を計測するとともに、操作者の操作を検知して作成したログを情報分析装置が分析するログ分析方法であって、
前記情報分析装置が備える推定手段が、前記表示時間に基づいて前記操作者による前記情報の閲覧時間を推定する推定工程と、
前記情報分析装置が備える合計手段が、前記推定手段により推定された各閲覧時間を合計して合計閲覧時間を算出する算出工程と
を備え、
前記推定工程は、
前記推定手段が、前記表示時間が予め設定された基準時間より長ければ、前記基準時間よりも短い第1補正時間を閲覧時間として決定する工程と、
前記推定手段が、前記表示時間が予め設定された基準時間より長くなく、かつ、前記表示時間の間に前記クライアント装置が前記操作者の操作を検知していれば、前記表示時間を前記閲覧時間として決定する工程と、
前記推定手段が、前記表示時間が予め設定された基準時間より長くなく、かつ、前記表示時間の間に前記クライアント装置が前記操作者の操作を検知していなければ、前記表示時間よりも短い第2補正時間を閲覧時間として決定する工程と
を備えることを特徴とするログ分析方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−257958(P2011−257958A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−131441(P2010−131441)
【出願日】平成22年6月8日(2010.6.8)
【出願人】(000104652)キヤノン電子株式会社 (876)
【Fターム(参考)】