説明

感光体ドラム保持部材

【課題】容易に形成可能であると共に、従来より一層、緩衝性能が向上した感光体ドラム保持部材を提供する。
【解決手段】感光体ドラム保持部材1は、矩形板状に形成され、山折線11、谷折線12、谷折線61,62,63,64、切り込み65a,66a,67a,68a、および切り込み65b,66b,67b,68b、を有するシート部材10を備えている。シート部材10を山折線および谷折線において折り曲げ、切り込み同士を係合させることにより、感光体ドラムの端部の内周部に嵌合可能な嵌合部50と感光体ドラム2の端部を支持可能な格子状の支持部51とが形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感光体ドラム保持部材、特に、中空円筒状の感光体ドラムの端部を支持して感光体ドラムを箱状の包装ケースに保持するための感光体ドラム保持部材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、中空円筒状の感光体ドラムを箱状の包装ケースに保持するために、感光体ドラムの両端部に感光体ドラム保持部材が装着されている。
【0003】
このような感光体ドラム保持部材としては、例えば、発泡スチロールを成形したものが知られている。発泡スチロールは、どんな複雑な形にも成形することが可能であるという利点を有している。
【0004】
しかし、発泡スチロールはこのような利点を有するとはいえ、その廃棄処分の為に費用がかかるだけでなく、公害や環境汚染の原因となっているという問題がある。このため、廃棄処分に費用がかからず、公害や環境汚染を招くことが少ない、ダンボールを、感光体ドラム保持部材として用いる試みがなされている。
【0005】
例えば、本出願人の先願に係る特許文献1には、中空円筒状の感光体ドラムの両端部に装着され、前記感光体ドラムを箱状の包装ケースに保持するための感光体ドラム保持部材であって、それぞれが矩形板状に形成され、山折線および谷折線を有する一対のシート部材を備え、一対の前記シート部材それぞれを前記山折線及び前記谷折線において折り曲げることにより、前記感光体ドラムの両端部それぞれの内周部に嵌合可能な嵌合部と、前記感光体ドラムの両端部それぞれを支持可能な支持部と、が形成される感光体ドラム保持部材が開示されている。
【特許文献1】特開2005−266436号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本出願人の先願に係る特許文献1に開示された技術により、少ない部材点数で容易に感光体ドラム保持部材を形成することができる。しかし、例えば、感光体ドラムの両端部にそれぞれ上記保持部材を設置して包装ケースに収納し、上記保持部材のいずれか一方を下側にして地面に落下させた場合、落下条件や感光体ドラムの重量によっては、上記保持部材が破損するおそれがある。このため、感光体ドラム保持部材には、衝撃に対する更なる緩衝性能の向上が求められていた。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑み、容易に形成可能であると共に、従来より一層、緩衝性能が向上した感光体ドラム保持部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、中空円筒状の感光体ドラムの端部に装着され、前記感光体ドラムを箱状の包装ケースに保持するための感光体ドラム保持部材であって、矩形板状に形成され、山折線と、谷折線と、互いに係合可能な切り込みと、を有するシート部材を備え、前記シート部材を前記山折線および前記谷折線において折り曲げることにより、前記感光体ドラムの端部の内周部に嵌合可能な嵌合部が形成され、さらに、前記切り込み同士を係合することにより、格子状の支持部が形成される、感光体ドラム保持部材である。
【0009】
また、本発明は、前記シート部材は、凸形板状に形成され、底部から突出した突出部の頂部が第1斜辺と第2斜辺とにより90度の山形に形成される前記山折線と、前記第1斜辺と前記第2斜辺とが交差する頂点から前記底部の底辺へと該底辺に対し垂直に延びる第1の谷折線と、前記底部の前記第1斜辺側の端部に設けられた第1の切り込みと、前記底部の前記第2斜辺側の端部に設けられた前記第1の切り込みと係合可能な第2の切り込みと、前記底部の前記突出部と前記第1の切り込みとの間、および前記底部の前記突出部と前記第2の切り込みとの間においてそれぞれ前記底部の前記底辺から該底辺と対向する辺まで前記第1の谷折線に対し平行に延びる第2の谷折線と、を含む第1から第4のパネル部を有し、前記第1のパネル部の前記第1斜辺と前記第2のパネル部の前記第2斜辺とが前記山折線となるように、前記第1のパネル部の前記第1斜辺と前記第2のパネル部の前記第2斜辺とは一体に形成され、前記第2のパネル部の前記第1斜辺と前記第3のパネル部の前記第2斜辺とが前記山折線となるように、前記第2のパネル部の前記第1斜辺と前記第3のパネル部の前記第2斜辺とは一体に形成され、前記第3のパネル部の前記第1斜辺と前記第4のパネル部の前記第2斜辺とが前記山折線となるように、前記第3のパネル部の前記第1斜辺と前記第4のパネル部の前記第2斜辺とは一体に形成され、前記第4のパネル部の前記第1斜辺と前記第1のパネル部の前記第2斜辺とが前記山折線となるように、前記第4のパネル部の前記第1斜辺と前記第1のパネル部の前記第2斜辺とは一体に形成されており、前記シート部材の前記第1の谷折線および前記山折線を谷折りおよび山折りし前記第1から第4のパネル部の前記第1の谷折線の部分を互いに隣接させることにより、前記第1から第4のパネル部の前記突出部が前記感光体ドラムの前記端部の内周部に嵌合可能な十字状の前記嵌合部となり、且つ、前記第1から第4のパネル部の前記底部が十字状に形成され、前記第1から第4のパネル部の前記底部それぞれの前記第2の谷折線を谷折りし、前記第1から第4のパネル部の前記底部の前記第1の切り込みと前記第2の切り込みとを係合することにより、前記第1から第4のパネル部の前記底部が前記感光体ドラムの前記端部を支持可能な格子状の前記支持部となることとした。
【0010】
また、本発明は、前記嵌合部に嵌合可能な貫通孔が中央部に設けられたものであり、前記嵌合部に嵌合して、前記感光体ドラムの長手方向に対し垂直方向の強度を高めるための補強用シート部材を備えたこととした。
【0011】
また、本発明は、前記補強用シート部材が、一平面方向に強度が高められたシート部材を、互いに強度方向が直交するよう重ね合わせたものからなることとした。
【発明の効果】
【0012】
本発明の第1の構成によれば、シート部材を、それぞれ山折線および谷折線において折り曲げることにより、感光体ドラムの端部の内周部に嵌合可能な嵌合部を形成することができる。また、上記折り曲げを行い、さらに切り込み同士を係合することによって、感光体ドラムの端部を支持可能な格子状の支持部を形成することができる。
【0013】
これにより、シート部材の嵌合部のそれぞれは感光体ドラムの端部の内周部に嵌合することができる。また、感光体ドラムの端部を支持する支持部が格子状に形成されているため、衝撃に対する緩衝性能が高められており、従来より大きな衝撃力にも耐えることができる。
【0014】
このように、シート部材といった構成部材を用いるだけで、感光体ドラム保持部材の端部を支持することができるため、複数の構成部材を用いる場合と比較し、製造コストを低減することができる。また、シート部材を折り曲げ、切り込みを係合するといった作業だけで、感光体ドラム保持部材を容易に形成することができると共に、従来より一層、感光体ドラム保持部材の緩衝性能を向上させることができる。
【0015】
本発明の第2の構成によれば、上記第1の構成の感光体ドラム保持部材において、シート部材を、凸形板状に形成された第1から第4のパネルからなるものとし、各パネルの突出部の頂部が90度の斜辺を有する山形に形成される山折線と、頂部から各パネルの底辺に垂直に延びる第1の谷折線とを形成する。そして、第1の谷折線を谷折りし、シート部材それぞれの山折線を隣り合うパネルの斜辺を共有しながら山折りし、第1から第4のパネル部の谷折線の部分を互いに隣接させることによって、第1から第4のパネル部の突出部が感光体ドラムの端部の内周部に嵌合可能な十字状の嵌合部となる。このとき、第1から第4のパネル部の底部が全体として十字状に形成される。
【0016】
さらに、第1から第4のパネル部のそれぞれの底部に第1の谷折線に対し平行となるよう設けられた第2の谷折線を谷折りし、両端部の切り込み同士を係合することによって、格子状の支持部を形成することができる。これにより、底辺に対し垂直に立設された格子状の支持部と嵌合部とを形成することができる。従って、感光体ドラム保持部材がより安定したものとなり、これにより、緩衝性能がより向上した感光体ドラム保持部材とすることができる。
【0017】
また、本発明の第3の構成によれば、上記第1または第2の構成の感光体ドラム保持部材において、貫通孔が中央部に設けられた補強用シート部材を嵌合部に嵌合することによって、感光体ドラム保持部材を感光体ドラムに設置し、包装ケースに収納したとき、感光体ドラムの長手方向に対し垂直方向に支持部の緩衝性能を向上させることができる。例えば、包装ケースに収納後、感光体ドラムの長手方向に対し垂直方向への落下等による衝撃力に対しても緩衝性能を有する。従って、感光体ドラムを一層十分に保護することが可能となる。
【0018】
また、また、本発明の第4の構成によれば、上記第3の構成の感光体ドラム保持部材において、一平面方向に強度が高められたシート部材を互いに強度方向が直交するよう重ね合わせた補強シート部材を用いることによって、一層、上記垂直方向に対し、より偏りなく感光体ドラム保持部材の緩衝性能を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明の感光体ドラム保持部材は、中空円筒状の感光体ドラムの端部に装着され、感光体ドラムを箱状の包装ケースに保持するためのものである。以下、図面を参照しながら本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0020】
図1は、本発明の第1実施形態に係る感光体ドラム保持部材に係るシート部材の展開図である。なお、ここでは感光体ドラムの一端に装着されるシート部材10を示すが、他端に装着されるシート部材10も同様である。また、図2は、本実施形態の感光体ドラム保持部材を山折線および第1の谷折線において折り曲げた状態を示す摸式図であり、図2(a)は、図1のA方向から見た側面図であり、図2(b)は、図2(a)の平面図である。また、図3は、本実施形態の感光体ドラム保持部材が組み立てられた状態を示す模式図であり、図3(a)は、図1のA方向から見た側面図であり、図3(b)は、図3(a)の平面図である。
【0021】
感光体ドラム保持部材1は、ここではダンボールからなるものとした。この感光体ドラム保持部材1は、図1に示すように、シート部材10によって形成される。シート部材10は、それぞれが矩形板状に形成され、山折線11、谷折線(第1の谷折線)12、谷折線(第2の谷折線)61,62,63,64,切り込み(第1の切り込み)65a,66a,67a,68aおよび切り込み(第2の切り込み)65b,66b,67b,68bを有している。
【0022】
これらシート部材10それぞれを、山折線11および谷折線12において折り曲げ(図2(a)および図2(b))、さらに、谷折線61,62,63,64において折り曲げ、切り込み65a,66a,67a,68aと切り込み65b,66b,67b,68bとをそれぞれ係合させることにより、シート部材10それぞれは、図3(a)および図3(b)に示すように、感光体ドラム2の端部の内周部に嵌合可能な嵌合部50と感光体ドラム2の端部を支持可能な支持部51とを有する立体に変形される。
【0023】
シート部材10は、図1に示すように、山折線11を介して連続する、第1のパネル部21と、第2のパネル部22と、第3のパネル部23と、第4のパネル部24とを有している。第1から第4のパネル部21,22,23,24は、凸形板状に形成された部分である。第1から第4のパネル部21,22,23,24それぞれは、底部31,32,33,34と突出部41,42,43,44とからなっている。
【0024】
突出部41,42,43,44は底部31,32,33,34の底辺31c,32c,33c,34cに対向する辺の中央部から突出して形成された部分であり、突出部41,42,43,44の頂部は第1斜辺41a,42a,43a,44aと第2斜辺41b,42b,43b,44bとにより90度の山形に形成されている。突出部41,42,43,44の突出方向に直交する幅方向の長さは、感光体ドラム2の内周径長さより短くなっている。
【0025】
また、第1から第4のパネル部21,22,23,24それぞれには、第1斜辺41a,42a,43a,44aと第2斜辺41b,42b,43,44bとが交差する頂点から底部31,32,33,34の底辺31c,32c,33c,34cへと底辺31c,32c,33c,34cに対し垂直に延びる谷折線12が形成されている。
【0026】
底部31,32,33,34は一方向に長い矩形状に形成された部分であり、底部31,32,33,34の第1斜辺側の端部31a,32a,33a,34a、および第2斜辺側の端部31b,32b,33b,34bは、底部31,32,33,34の底辺31c,32c,33c,34cに対して垂直に形成されている。
【0027】
さらに、底部31,32,33,34の突出部41,42,43,44に対し両外側直近において、底辺31c,32c,33c,34cからこれら各辺に対向する辺へと谷折線12に対し平行延びる谷折線61,62,63,64が形成されている。また、端部31a,32a,33a,34aには、底辺31c,32c,33c,34cに向かって凹状に開放する切り込み65a、66a、67a、68aが形成され、端部31b,32b,33b,34bには、それぞれ底辺31c,32c,33c,34cと対向する辺に向かって凹状に開放する切り込み65b、66b、67b、68bが形成されている。
【0028】
第1のパネル部21の第1斜辺41aと第2のパネル部22の第2斜辺42bとは、第1のパネル部21の第1斜辺41aと第2のパネル部22の第2斜辺42bとが山折線11になるように一体に形成されている。第2のパネル部22の第1斜辺42aと第3のパネル部の第2斜辺43bとは、第2のパネル部22の第1斜辺42aと第3のパネル部の第2斜辺43bとが山折線11になるように一体に形成されている。第3のパネル部の第1斜辺43aと第4のパネル部の第2斜辺44bとは、第3のパネル部の第1斜辺43aと第4のパネル部の第2斜辺44bとが山折線11になるように一体に形成されている。第4のパネル部の第1斜辺44aと第1のパネル部21の第2斜辺41bとは、第4のパネル部の第1斜辺44aと第1のパネル部21の第2斜辺41bとが山折線11になるように一体に形成されている。
【0029】
第1から第4のパネル部21,22,23,24それぞれの谷折線12および山折線11を谷折りおよび山折りし、第1から第4のパネル部21,22,23,24それぞれの谷折線12の部分を互いに近接させ、さらに隣接させると、図2(a)および図2(b)に示すように、第1から第4のパネル部21,22,23,24それぞれは、谷折線12において90度に谷折りされた状態になる。このとき、第1から第4のパネル部21,22,23,24それぞれは、互いに近接する近接面(谷折線12が形成された面の裏側の面)において接触している。この状態にシート部材10が変形されたときに、第1から第4のパネル部21,22,23,24の突出部41,42,43,44は感光体ドラム2の端部の内周部に嵌合可能な嵌合部50となる。
【0030】
嵌合部50は、感光体ドラム2の端部内周部に嵌合される部分であり、十字形に形成されている。嵌合部50では、十字形に交差する2辺の長さそれぞれが感光体ドラム2の端部内周径長さより僅かに短くなっている。たとえば、嵌合部50の2辺の長さそれぞれは、感光体ドラム2の端部内周径長さより2mm程度短くなっている。
【0031】
さらに、この状態から、第1から第4のパネル部21,22,23,24の底部31,32,33,34の谷折線61,62,63,64を谷折りすると、端部31a,32a,33a,34aと、端部31b,32b,33b,34bとがそれぞれ交差する。そして、底部31,32,33,34の切り込み65a,66a,67a,68aと切り込み65b,66b,67b,68bとをそれぞれ係合させると、底部31,32,33,34は、感光体ドラム2の端部を支持可能な格子状の支持部51となる。
【0032】
支持部51は、感光体ドラム2の端部を支持可能な部分であり、格子状に形成されている。支持部51の格子のうち互いに当接する部分は十字形に形成されており、十字形の中心を通り、端部31aと端部33a、端部32aと端部34a、端部31bと端部33b、端部32bと端部34bを、それぞれ結ぶ辺の長さそれぞれが感光体ドラム2の端部外周径長さより長くなっている。また、嵌合部50は、十字形に交差する2辺の交差点を通る嵌合部50の十字中心軸が十字形に交差する2辺の交差点を通る支持部51の十字中心軸と同軸となるように、支持部51の底辺51cに対向する辺51dに一体に設けられている。
【0033】
このように、支持部50を格子状に形成することによって、感光体ドラム保持部材1の緩衝性能を向上させることができる。また、支持部50および嵌合部51を底辺31c,32c,33c,34cに対し垂直に立設することによって、感光体ドラム保持部材1をより安定なものとすることができ、感光体ドラム保持部材1の緩衝性能をより向上させることができる。
【0034】
図4は、本実施形態の感光体ドラム保持部材に感光体ドラムが装着される状態を示す喪式図であり、図4(a)は図1のA方向から見た側面図であり、図4(b)は、図4(a)の平面図である。図3と共通する部分には同一の符号を付して説明を省略する。
【0035】
このような感光体ドラム保持部材1では、図4(a)および図4(b)に示すように、立体に変形させたシート部材10が感光体ドラム2の両端部に互いに対向するように装着される。このとき、シート部材10の嵌合部50は、感光体ドラム2の内周部に嵌合される。そして、シート部材10の支持部51が、感光体ドラム2の端部に当接させられる。
【0036】
このようにシート部材10が装着された感光体ドラム2は、一方向に長い包装ケースの両端部のいずれか一方から包装ケースの内部に挿入され、包装ケース内に収納される。この状態では、シート部材10が、包装ケースの内部両端部と感光体ドラム2の両端部との間で、感光体ドラム2の両端部を支持しつつ包装ケースの内部両端部に保持している。
【0037】
本実施形態の感光体ドラム保持部材1では、シート部材10を山折線11および谷折線12において折り曲げ、さらに底部31,32,33,34の谷折線61,62,63,64において折り曲げると共に、切り込み65a,66a,67a,68aと切り込み65b,66b,67b,68bとをそれぞれ係合させることにより、嵌合部50と格子状の支持部51とが形成される。これにより、シート部材10の嵌合部50は感光体ドラム2の端部の内周部に嵌合可能となり、シート部材10の支持部51は感光体ドラム2の両端部それぞれを支持可能となる。
【0038】
このように、感光体ドラム保持部材1の端部を支持するためには、シート部材10といった構成部材を用いるだけなので、複数の構成部材を用いる場合と比較して、製造コストを低減することができる。また、シート部材10を折り曲げ、切り込み同士を係合する、といった作業だけで、感光体ドラム保持部材1を容易に形成することができる。しかも、支持部51が格子状に形成されているため、感光体ドラム保持部材1の緩衝性能を従来より一層向上させることができる。
【0039】
次に、本発明の第2実施形態に係る感光体ドラム保持部材について説明する。図5は、補強用シート部材の模式図であり、図5(a)は一平面方向にフルートが形成された補強用シート部材の平面図であり、図5(b)は、図5(a)に示す補強用シート部材を時計回りに90度回転させた状態を示す平面図である。
【0040】
また、図6は、本実施形態の感光体ドラム保持部材が組み立てられた状態を示す模式図であり、図6(a)は、図1のA方向から見た側面図であり、図6(b)は、図6(a)の平面図である。図1〜図4と共通する部分には同一の符号を付して説明を省略する。また、本実施形態では、補強用シート70、70’を設けたこと以外は、第1実施形態と全く同様のため、説明を省略する。
【0041】
補強用シート部材70は、支持部51の外周部より大きな矩形状のダンボールからなり、図5(a)に示すように、中央部に嵌合部50と嵌合可能な十字状の貫通孔70aが設けられている。また、補強用シート70には、図5(a)の上下方向にフルート70bが形成されている。このため、フルート70bが形成された上下方向では、他の方向に比べ、補強用シート70の強度が高められている。また、貫通孔70aの中央部の右側および左側近傍には、貫通孔70aを挟んで位置決め孔70cがそれぞれ設けられている。
【0042】
図5(b)に示す補強用シート部材70’は、図5(a)に示す補強用シート部材70を図5(a)の時計回りに90度回転させたものであり、補給用シート部材70’には、貫通孔70’a、フルート70’b、位置決め孔70’cとが形成されている。かかる2つの補強シート部材70と70’とを重ねあわせると、フルート70bと70’bとが直交する。この状態で、図6(a)および図6(b)に示すように、嵌合部50に嵌合させると、重ね合わせられた補強シート部材70および70’のうち、補強シート部材70’が支持部51に当接する。
【0043】
このように、補強用シート部材70および70’を嵌合部51に嵌合することによって、感光体ドラム2の長手方向に対し垂直方向において、2つ直交する方向の強度を向上させることができる。
【0044】
そして、嵌合部50を感光体ドラム2の両端に嵌合させ、感光体ドラム2の両端部を補強用シート部材70に当接させて、この状態で、補強用シート部材70および70’の外周を包装ケースの内周に沿わせながら、包装ケースに収納することができる。この結果、感光体ドラム2の長手方向のみならず、これと垂直方向に対しても、従来より一層、緩衝性能が高められ、感光体ドラム2を一層保護することができる。
【0045】
特に、ここでは、上記の通りフルート70bと70’bを直交させたため、感光体ドラム2の長手方向に対し垂直方向において、より偏りなく衝撃に対する緩衝性能を高めることができる。しかし、かかるフルート70bおよび70’bの方向は適宜設計することができ、特に限定されるものではない。例えば、包装ケースのそれぞれ直交する対角線方向にフルート70bおよび70b’が向かうよう設計することもできる。
【0046】
また、補強用シート70および70’は、例えば、所望の強度や感光体ドラム2の重量等により3つ以上用いることもでき、また例えば、特定方向の強度を向上させる等により1つ用いることもできる。
【0047】
本実施形態では位置決め孔70cと70’cとを設けることによって、これらが重ならないように補強用シート70と70’とを重ね合わせるだけで、より簡単に、確実に、フルート70bと70’bとを直交させることができる。しかし、かかる位置決め方法は、適宜設定することができ、特に限定されない。例えば、これら位置決め孔70cおよび70’cとが重なったときフルート70bと70’bとが直交するように設定することもできる。
【0048】
その他本発明は、上記各実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば、本実施形態では、シート部材10としてダンボールを用いることによって、コストダウンが図れ、廃棄時の利便性も高くなるが、かかる材質は、例えば、感光体ドラム2の重量や大きさ、包装ケースの材質、大きさ等に応じて適宜設定することができる。
【0049】
また、本実施形態では、底部31,32,33,34において突出部21,22,23,24の両外側直近に谷折線61,62,63,64を形成したが、底部31,32,33,34をリブ状に形成することが可能であれば、谷折線61,62,63,64は、突出部21,22,23,24と切り込み65a,66a,67a,68aとの間、および突出部21,22,23,24と切り込み65b,66b,67b,68bとの間でそれぞれ適宜配設することができる。
【0050】
また、感光体ドラム2は、シート部材10が両端部に装着された状態で包装ケースに収納されているため、例えば、感光体ドラム2を包装ケースから取り出し易いよう、鉤部を有する取っ手部材が嵌合可能な取っ手取付孔を、突起部41,42,43,44に設けることも可能である。かかる構成によれば、感光体ドラム2が包装ケースに収納された状態から、シート部材10のいずれか一方を感光体ドラム2の一端から取り外し、感光体ドラム2の一端側から、他端に装着されたままのシート部材10に配設された取っ手部材取付孔に取っ手部材を係合させ、取っ手部材を引き出すことによって、感光体ドラム2を包装ケースから容易に取り出すことができる。
【0051】
なお、上記実施形態では、感光体ドラム2の両端部に、感光体ドラム保持部材1を装着することとしたが、感光体ドラム2の一端に、感光体ドラム保持部材1を装着し、他端に本実施形態とは異なる感光体ドラム保持部材を適宜装着することもできる。また、例えば、保管時に感光体ドラム2の据付方向が予め決められている場合等、必要に応じて、感光体ドラム2の一端のみに感光体ドラム保持部材1を装着することもでき、これらは特に限定されない。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明は、中空円筒状の感光体ドラムの端部に装着され、前記感光体ドラムを箱状の包装ケースに保持するための感光体ドラム保持部材であって、矩形板状に形成され、山折線と、谷折線と、互いに係合可能な切り込みと、を有するシート部材を備え、前記シート部材を前記山折線および前記谷折線において折り曲げることにより、前記感光体ドラムの端部の内周部に嵌合可能な嵌合部が形成され、さらに、前記切り込み同士を係合することにより、格子状の支持部が形成される、感光体ドラム保持部材である。
【0053】
これにより、シート部材を折り曲げ、切り込みを係合するといった作業だけで、容易に形成可能であると共に、従来より一層、緩衝性能が向上した感光体ドラム保持部材を提供することができる。
【0054】
また、シート部材を、凸形板状に形成された第1から第4のパネル部からなるものとし、底部から突出した突出部の頂部が第1斜辺と第2斜辺とにより90度の山形に形成される山折線と、第1斜辺と第2斜辺とが交差する頂点から底部の底辺へと垂直に延びる第1の谷折線とにおいて折り曲げ、さらに、底部の第2の谷折線において折り曲げて切り込み同士を係合することによって、より緩衝性能が向上した感光体ドラム保持部材とすることができる。
【0055】
また、一方向に強度が高められた補強用シート部材を嵌合部に嵌合することによって、感光体ドラム保持部材を感光体ドラムに設置し、包装ケースに収納したとき、感光体ドラムの長手方向に対し垂直方向における感光体ドラム保持部材の緩衝性能を向上させることができるため、感光体ドラムを一層十分に保護することができる。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】は、本発明の第1実施形態に係る感光体ドラム保持部材の展開図である。
【図2】は、本実施形態の感光体ドラム保持部材を山折線および第1の谷折線において折り曲げた状態を示す摸式図であり、図2(a)は、図1のA方向から見た側面図であり、図2(b)は、図2(a)の平面図である。
【図3】は、本実施形態の感光体ドラム保持部材が組み立てられた状態を示す模式図であり、図3(a)は、図1のA方向から見た側面図であり、図3(b)は、図3(a)の平面図である。
【図4】は、本実施形態の感光体ドラム保持部材に感光体ドラムが装着される状態を示す模式図であり、図4(a)は、図1のA方向から見た側面図であり、図4(b)は、図4(a)の平面図である。
【図5】は、補強用シート部材の模式的平面図であり、図5(a)は一平面方向にフルートが形成された補強用シート部材の平面図であり、図5(b)は、図5(a)に示す補強用シート部材を時計回りに90度回転させた状態を示す平面図である。
【図6】は、本発明の第2実施形態に係る感光体ドラム保持部材が組み立てられた状態を示す模式図であり、図6(a)は、図1のA方向から見た展開図であり、図6(b)は、図6(a)の平面図である。
【符号の説明】
【0057】
1 感光体ドラム保持部材
2 感光体ドラム
11 山折線
12 谷折線(第1の谷折線)
10 シート部材
21 第1のパネル部
22 第2のパネル部
23 第3のパネル部
24 第4のパネル部
31、32、33、34 底部
31a、32a、33a、34a 底部の第1斜辺側の端部
31b、32b、33b、34b 底部の第2斜辺側の端部
31c、32c、33c、34c 底辺
41、42、43、44 突出部
41a、42a、43a、44a 第1斜辺
41b、42b、43b、44b 第2斜辺
50 嵌合部
51 支持部
61、62、63、64 谷折線(第2の谷折線)
65a、66a、67a、68a 切り込み(第1の切り込み)
65b、66b、67b、68b 切り込み(第2の切り込み)
70、70’ 補強用シート部材
70a、70’a 貫通孔
70b、70’b フルート
70c、70’c 位置決め孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
中空円筒状の感光体ドラムの端部に装着され、前記感光体ドラムを箱状の包装ケースに保持するための感光体ドラム保持部材であって、
矩形板状に形成され、山折線と、谷折線と、互いに係合可能な切り込みと、を有するシート部材を備え、
前記シート部材を前記山折線および前記谷折線において折り曲げることにより、前記感光体ドラムの端部の内周部に嵌合可能な嵌合部が形成され、さらに、前記切り込み同士を係合することにより、格子状の支持部が形成される、感光体ドラム保持部材。
【請求項2】
前記シート部材は、凸形板状に形成され、底部から突出した突出部の頂部が第1斜辺と第2斜辺とにより90度の山形に形成される前記山折線と、前記第1斜辺と前記第2斜辺とが交差する頂点から前記底部の底辺へと該底辺に対し垂直に延びる第1の谷折線と、前記底部の前記第1斜辺側の端部に設けられた第1の切り込みと、前記底部の前記第2斜辺側の端部に設けられた前記第1の切り込みと係合可能な第2の切り込みと、前記底部の前記突出部と前記第1の切り込みとの間、および前記底部の前記突出部と前記第2の切り込みとの間においてそれぞれ前記底部の前記底辺から該底辺と対向する辺まで前記第1の谷折線に対し平行に延びる第2の谷折線と、を含む第1から第4のパネル部を有し、
前記第1のパネル部の前記第1斜辺と前記第2のパネル部の前記第2斜辺とが前記山折線となるように、前記第1のパネル部の前記第1斜辺と前記第2のパネル部の前記第2斜辺とは一体に形成され、
前記第2のパネル部の前記第1斜辺と前記第3のパネル部の前記第2斜辺とが前記山折線となるように、前記第2のパネル部の前記第1斜辺と前記第3のパネル部の前記第2斜辺とは一体に形成され、
前記第3のパネル部の前記第1斜辺と前記第4のパネル部の前記第2斜辺とが前記山折線となるように、前記第3のパネル部の前記第1斜辺と前記第4のパネル部の前記第2斜辺とは一体に形成され、
前記第4のパネル部の前記第1斜辺と前記第1のパネル部の前記第2斜辺とが前記山折線となるように、前記第4のパネル部の前記第1斜辺と前記第1のパネル部の前記第2斜辺とは一体に形成されており、
前記シート部材の前記第1の谷折線および前記山折線を谷折りおよび山折りし前記第1から第4のパネル部の前記第1の谷折線の部分を互いに隣接させることにより、前記第1から第4のパネル部の前記突出部が前記感光体ドラムの前記端部の内周部に嵌合可能な十字状の前記嵌合部となり、且つ、前記第1から第4のパネル部の前記底部が十字状に形成され、
前記第1から第4のパネル部の前記底部それぞれの前記第2の谷折線を谷折りし、前記第1から第4のパネル部の前記底部の前記第1の切り込みと前記第2の切り込みとを係合することにより、前記第1から第4のパネル部の前記底部が前記感光体ドラムの前記端部を支持可能な格子状の前記支持部となる、請求項1に記載の感光体ドラム保持部材。
【請求項3】
前記嵌合部に嵌合可能な貫通孔が中央部に設けられたものであり、前記嵌合部に嵌合して、前記感光体ドラムの長手方向に対し垂直方向の緩衝性能を高めるための補強用シート部材を備えた、請求項1または2に記載の感光体ドラム保持部材。
【請求項4】
前記補強用シート部材が、一平面方向に強度が高められたシート部材を、互いに強度方向が直交するよう重ね合わせたものからなる、請求項3に記載の感光体ドラム保持部材。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate