感光性接着フィルム梱包体
【課題】 感光性接着フィルムを搬送する場合において、該感光性接着フィルムの表面に凹凸を発生させることなく、かつ、長期間保存する場合において、感光性接着フィルムのパターン形成性及び接着性を維持することが可能な感光性接着フィルム梱包体を提供すること。
【解決手段】 巻芯、及び当該巻芯上にロール状に巻きつけられた感光性接着フィルムを有する積層体エレメントと、上記積層体エレメントを収容する包装容器と、上記包装容器を収容する樹脂製ケースと、を備え、上記包装容器の前記感光性接着フィルム上における外表面と、上記樹脂製ケースの内壁との間に空間を有する感光性接着フィルム梱包体を提供する。
【解決手段】 巻芯、及び当該巻芯上にロール状に巻きつけられた感光性接着フィルムを有する積層体エレメントと、上記積層体エレメントを収容する包装容器と、上記包装容器を収容する樹脂製ケースと、を備え、上記包装容器の前記感光性接着フィルム上における外表面と、上記樹脂製ケースの内壁との間に空間を有する感光性接着フィルム梱包体を提供する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は感光性接着フィルム梱包体に関する。
【背景技術】
【0002】
接着フィルムは、接着性を有する材料であり、一般的に半導体パッケージの組立てなどに使用されている。従来、接着フィルムを搬送する場合、接着フィルムを巻芯などに巻きつけた積層体エレメント等の筒状物を紙製の段ボール箱に入れて搬送することが行われていた。
【0003】
しかし、上記接着フィルムは、一般的に外部からの衝撃に弱い傾向にある。このため、従来の保存方法で接着フィルムを保存した場合、外部からの衝撃を受けると、該接着フィルムの表面に凹凸などの傷が発生してしまうことがある。
【0004】
また、上記接着フィルムは、空気中の水分の影響によって、接着強度が低下する傾向がある。このため、従来の保存方法で該接着フィルムを保存した場合、保存期間が長期化すると、接着フィルムが空気中の水分などを吸湿するおそれがあり、これにより接着強度が低下することが懸念されていた。
【0005】
そこで、吸湿等によりロール状に巻かれた接着フィルムの特性が低下することを抑制するために、包装容器に密封して保存されることや、包装容器を密封する前には、包装容器中の気体を吸引したり、乾燥剤を入れたりして、空気中の水分の影響を極力低減することが試みられている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平10−168190号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
感光性接着フィルムの場合は、外部からの異物がフィルムの表面に付着すると、露光時に光が散乱してしまい、パターン形成性が低下する傾向がある。従来の梱包方法で、特に感光性接着フィルムを梱包した場合、段ボール箱から発生する紙くず等の粉塵が感光性接着フィルムの表面に付着し、パターン形成性が低下してしまう。
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、感光性接着フィルムを搬送する場合において、該感光性接着フィルムの表面における凹凸の発生を十分に抑制するとともに、長期間保存しても、感光性接着フィルムのパターン形成性及び接着性を維持することが可能な感光性接着フィルム梱包体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、巻芯、及び当該巻芯上にロール状に巻きつけられた感光性接着フィルムを有する積層体エレメントと、上記積層体エレメントを収容する包装容器と、上記包装容器を収容する樹脂製ケースと、を備え、上記包装容器の上記感光性接着フィルム上における外表面と、上記樹脂製ケースの内壁との間に空間を有する感光性接着フィルム梱包体を提供する。
【0010】
上記感光性接着フィルム梱包体は、積層体エレメントを包装容器に収容し、上記包装容器を樹脂製ケースに収容している。このように、感光性接着フィルムを二重で梱包することから、外部からの衝撃による感光性接着フィルムの表面への凹凸の発生を十分に抑制することができる。また、段ボール箱に比べて、上記樹脂製ケースは発生する粉塵が少ないため、感光性接着フィルムの表面への異物の付着によるパターン形成性の低下も抑制できる。
【0011】
また、上記包装容器の上記感光性接着フィルム上における外表面と、上記樹脂製ケースの内壁との間に空間を有することにより、感光性接着フィルムの表面における外部からの衝撃による傷などの発生を抑制することができる。
【0012】
上記積層体エレメントは、上記感光性接着フィルムを挟むように、上記巻芯の両端に装着された一対の第一パッキンを備えていることが好ましく、さらに上記第一パッキンの径方向断面の外径が、上記感光性接着フィルムのロールの横断面の外径よりも大きいことが好ましい。
【0013】
これによって、感光性接着フィルムの表面における凹凸の発生が一層抑制されることとなり、感光性接着フィルムの形状をより長期間にわたって一層良好に維持することが可能になる。
【0014】
上記包装容器は、アルミニウムのコーティング層を有する袋状の包装容器であることが好ましい。これによって、包装容器から積層体エレメントを容易に取り出すことができ、かつ感光性接着フィルムを保存する際に、包装容器の内部への光の透過を十分に抑制することが可能となるため、感光性接着フィルムの接着性をより一層良好に維持することができる。
【0015】
上記包装容器は上記積層体エレメントとともに乾燥剤を収容していることが好ましく、さらに上記包装容器は内部の気体の少なくとも一部を吸引して除去した状態でヒートシールで封止されていることが好ましい。
【0016】
これによって、感光性接着フィルムの接着剤層の吸湿が一層抑制されることとなり、感光性接着フィルムの接着性及びパターン形成性を長期間にわたって一層良好に維持することが可能となる。
【0017】
感光性接着フィルム梱包体は、上記包装容器に上記積層体エレメントが収容された包装体の長手方向の両端部に装着された一対の第二パッキンをさらに備えることが好ましい。また、上記巻芯の径方向において、上記第二パッキンの外縁は、上記包装体の外縁よりも外側にあることが好ましい。
【0018】
これによって、感光性接着フィルムの表面における凹凸の発生が一層抑制することが可能となる。
【0019】
上記巻芯の径方向において、上記第二パッキンは中央部に穴を有し、上記包装容器が上記穴に挿入されていることが好ましい。これによって、積層体エレメントを樹脂製ケースの中央部に保持することができ、搬送途中にパッキンがはずれ、感光性接着フィルムの表面に傷が付くことを防ぐことが可能となる。
【0020】
上記第二パッキンの外形は、直方体であることが好ましい。上記第二パッキンの外形が直方体であることにより、包装体を安定して保存することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、感光性接着フィルムを搬送する場合において、該感光性接着フィルムの表面における凹凸の発生を十分に抑制するとともに、長期間保存しても、感光性接着フィルムのパターン形成性及び接着性を維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の感光性接着フィルム梱包体の第一実施形態を説明するため、その内部の第二パッキンを備える包装体を透視して示す透視図である。
【図2】本発明の感光性接着フィルム梱包体の第一実施形態に含まれる、樹脂製ケースを示す斜視図である。
【図3】本発明の感光性接着フィルム梱包体の第一実施形態に含まれる、樹脂製ケースを示す展開図である。
【図4】本発明の感光性接着フィルム梱包体の第一実施形態に含まれる、第二パッキンを備える包装体を示す斜視図である。
【図5】本発明の感光性接着フィルム梱包体の第一実施形態に含まれる包装体を説明するため、その内部の積層体エレメントを透視して示す透視図である。
【図6】本発明の感光性接着フィルム梱包体の第一実施形態に含まれる積層体エレメントを示す斜視図である。
【図7】本発明の感光性接着フィルム梱包体の第二実施形態に含まれる包装体を説明するため、その内部の積層体エレメントを透視して示す透視図である。
【図8】本発明の感光性接着フィルム梱包体の第二実施形態に含まれる積層体エレメントを示す斜視図である。
【図9】本発明の感光性接着フィルム梱包体の第三実施形態を説明するため、その内部の包装体を透視して示す透視図である。
【図10】本発明の感光性接着フィルム梱包体の第四実施形態を説明するため、その内部の第二パッキンを備える包装体を透視して示す透視図である。
【図11】本発明の感光性接着フィルム梱包体の第五実施形態を説明するため、その内部の第二パッキンを備える包装体を透視して示す透視図である。
【図12】本発明の感光性接着フィルム梱包体の第六実施形態を説明するため、その内部の第二パッキンを備える包装体を透視して示す透視図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態を説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。なお、図面の説明において同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。また、また、上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとし、図面の寸法比率は図示の比率に限られるものではない。
【0024】
[第一実施形態]
図1は、本発明の第一実施形態における感光性接着フィルム梱包体の内部の第二パッキンを備える包装体を透視して示す透視図である。感光性接着フィルム梱包体200は、第二パッキンを備える包装体120と、樹脂製ケース104とを備える。
【0025】
本実施形態の感光性接着フィルム梱包体200は、巻芯、及び当該巻芯上にロール状に巻きつけられた感光性接着フィルムを有する積層体エレメントと、上記積層体エレメントを収容する包装容器と、上記包装容器を収容する樹脂製ケース104とを備える。上記積層体エレメントは、上記ロール状に巻きつけられた感光性接着フィルムの表面上における包装容器が、樹脂製ケース104の内壁に直接接触しないように、樹脂製ケース104内に収容されている。したがって、上記包装容器の上記感光性接着フィルム上における外表面と、上記樹脂製ケース104の内壁との間に空間を有する。このような感光性接着フィルムは、積層体エレメントを包装容器に収容し、上記包装容器を樹脂製ケース104に収容する、といったように、感光性接着フィルムを二重で梱包することから、外部からの衝撃による感光性接着フィルムの表面への凹凸の発生を十分に抑制できる。また、包装容器の上記感光性接着フィルム上における外表面と、上記樹脂製ケース104の内壁との間に空間を有することから、感光性接着フィルム表面に外部からの衝撃による傷などが発生しにくい。
【0026】
図2は、本実施形態の感光性接着フィルム梱包体に含まれる樹脂製ケースを示す斜視図である。樹脂製ケース104は、包装体、すなわち包装容器を収容するものであり、その形状は特に制限されない。図3は、本実施形態の感光性接着フィルム梱包体に含まれる樹脂製ケースを示す展開図である。上記樹脂製ケース104は樹脂製ケースを構成する各部材を折りたたんで得ることができる。折りたたみ時に各樹脂製ケースを構成する部材を接続するための手法としては、樹脂製又は金属製のビスを用いた、はめ込み式やマジックテープ(登録商標)106を使用した接続方法などが挙げられるが、マジックテープ106を使用した樹脂製ケースを用いることが安全上及び取扱い上好ましい。また、樹脂製ケース104が備える取手108等の部材には、安全上、樹脂製又は金属製のビスを用いたはめ込み式を用いた方が好ましい。また、樹脂製ケース104と取手108等の部材の明度が異なることが好ましい。これによって、感光性接着フィルム梱包体200の持ち運びに手をかける部分を明確に認識することができ、無理な持ち方による感光性接着フィルム梱包体200の損傷、搬送を行う人の安全性を向上することが可能となる。
【0027】
樹脂製ケース104の素材としては、特に制限はなく、例えばポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン・ポリプロピレン、ポリスチレン等の熱可塑性樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂等の熱硬化性樹脂等が挙げられる。従来から用いられている紙製の段ボールは折りたたみ可能であるが、折りたたみ時に粉塵などの異物が発生する可能性がある。これに対し、樹脂製ケース104は、上記素材からなるものであるため、折りたたみ可能であり、かつ折りたたみ時に粉塵などの異物が生じにくいものである。したがって、感光性接着フィルム梱包体200が、上記樹脂製ケース104を備えることにより、感光性接着フィルムへの異物の付着を低減させ、パターン形成性を十分に維持することが可能となる。また、樹脂製ケース104の素材は、熱や水・薬品に強いという観点から、ポリプロピレンであることが好ましい。さらに、樹脂製ケース104は、耐圧性・耐衝撃性の観点から、ポリプロピレンのシートを段ボール状に加工した中空構造板によって構成されることが好ましい。
【0028】
図4は、本実施形態の感光性接着フィルム梱包体200に含まれる第二パッキンを備える包装体120を示す斜視図である。第二パッキンを備える包装体120は、包装体110と、その長手方向の両端部に装着された一対の第二パッキン102とを備える。第二パッキン102が装着された包装体110、すなわち第二パッキンを備える包装体120は、樹脂製ケース104に収容される。これにより、感光性接着フィルムを包装容器内で遮光下、低湿度下にて保存できる。
【0029】
巻芯の径方向において、上記第二パッキン102は中央部に穴を有し、包装容器が上記穴に挿入されている、すなわち包装容器内の積層体エレメントの第一パッキンが包装容器を介して上記穴に挿入されていることが好ましい。この場合、上記穴は第一パッキンの外形に嵌合することが好ましい。これにより、巻芯の径方向において、積層体エレメントを樹脂製ケース104の中央部に保持することができ、搬送途中にパッキンがはずれ、感光性接着フィルムの表面に傷が付くことを防ぐことができる。また、感光性接着フィルム梱包体200における、第二パッキン102の占有場所の縮小などにつながる。
【0030】
巻芯の径方向において、上記第二パッキン102の外縁は、上記包装体110の外縁より外側にあることが好ましい。第二パッキン102の外縁とは、第二パッキン102を巻芯12の長手方向から見たときの第二パッキン102の輪郭である。また、「第二パッキンの外縁が包装体の外縁より外側にある」とは、上記長手方向から第二パッキン及び包装体を見たときに第二パッキンの外縁内に包装体の外縁のすべてが収まる状態をいう。このような第二パッキン102を備える感光性接着フィルム梱包体200は、包装容器の感光性接着フィルム上における外表面と、上記樹脂製ケースの内壁との間に空間を有し、感光性接着フィルムの表面への損傷をより高度に防止することが可能となる。
【0031】
第二パッキン102の外形は、第二パッキン102を樹脂製ケース104内に配置するのに好ましい形状であれば特に制限されないが、搬送時等に包装体110の位置を樹脂製ケース内で安定化させるために、直方体であることが好ましい。この場合、第二パッキン102の径方向断面の外形は、樹脂製ケース104の内壁と同じ、又はやや小さい形状であることが好ましい。これにより、感光性接着フィルム梱包体200を搬送するときに包装体110が樹脂製ケース104内で振動することが抑制され、感光性接着フィルムの損傷を低減させることが可能となる。
【0032】
上記第二パッキン102及び後述する第一パッキンは、コストの観点から、複数の種類の部材から構成されるものでもよい。また、各パッキンの明度は異なることが好ましく、イエロールームなどの紫外線がカットされている部屋で明確に区別できる色であることが好ましい。これによりパッキンを組み合わせる順番を間違えるなどによって生じる作業効率の低下が抑えられる。
【0033】
図5は、本実施形態の感光性接着フィルム梱包体の一実施形態に含まれる包装体を説明するため、その内部の積層体エレメントを透視して示す透視図である。包装体110は、積層体エレメント11と、包装容器20とを備える。積層体エレメント11が、包装容器20に収容されることにより包装体110を得ることができる。
【0034】
積層体エレメント11は、包装容器20の内部に収容されている。上記包装容器20は密封(封止)されていることが好ましく、ヒートシールで封止されていることがより好ましい。また、包装容器20は、包装容器20の内部の気体の少なくとも一部を吸引して除去した状態で封止されていることが好ましい。これにより、感光性接着フィルム梱包体200を長期間保存しても、感光性接着フィルムの吸湿を一層抑制し、接着特性及びパターン形成性を良好に維持することができる。なお、ヒートシールとは、包装容器20の一部(開口部)に、熱と圧力を印加することによって包装容器20を密封することをいう。
【0035】
包装容器20は、感光性接着フィルムの吸湿を十分に抑制する観点から、水蒸気の透過率(透湿度)が十分に低減された防湿性を有するものであることが好ましい。包装容器20の透湿度は、好ましくは15g/m2/24時間以下であり、より好ましくは10g/m2/24時間以下であり、さらに好ましくは2g/m2/24時間以下である。透湿度が15g/m2/24時間を超えると、長期間保存した際の感光性接着フィルムの接着強度が低下してしまう場合がある。
【0036】
包装容器20は、感光性接着フィルムに対する光の影響を抑制するために、光の透過率が十分に低減されたものであることが好ましい。また、包装容器20の光の透過率は、波長200〜800nmにおいて、好ましくは5%以下であり、より好ましくは1%以下である。包装容器20の光の透過率を5%以下とすることにより、感光性接着フィルムを有する積層体エレメント11を長期間保存した際の、接着性の低下を十分に抑制することができる。
【0037】
包装容器20は、アルミニウムコーティング層を有することが好ましい。また、包装容器20をヒートシールで封止する場合、包装容器20の外装の素材は、熱により溶着できるものが好ましい。熱により溶着できる素材としては、例えば、ポリエチレン、ポリエステル、塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート等のプラスチックが挙げられる。したがって、このような包装容器20としては、アルミコーティングされたプラスチック製の包装容器などが挙げられる。これらの条件を満たす包装容器の構造としては、例えば、ポリエステル層/AL(アルミニウム)層/PE(ポリエチレン)層が順次積層された、3層からなるフィルム状のものが好ましく、PET(ポリエチレンテレフタレート)層、SPE(サンドポリエチレン)層、AL(アルミニウム)層、SPE層、PE(ポリエチレン)層が順次積層された、5層からなるフィルム状のものがより好ましい。
【0038】
積層体エレメント11を包装容器20内に収容して密封する際に、包装容器20内の気体を吸引し、包装容器20内の気体を極力少なくするために、包装容器20は、柔軟性のある袋状の材質であることが好ましい。また、包装容器20は、優れた柔軟性を有する程度の厚みを有することが好ましい。ここでいう柔軟性とは、後述する巻芯12に感光性接着フィルムをロール状に巻きつけ、かつ上記感光性接着フィルムを挟むように、上記巻芯の両端に装着された一対の第一パッキンを備える構造を有する積層体エレメント11に対して柔軟に変形できる程度の軟らかさをいう。このような柔軟性を有することによって、複雑な構造を有する積層体エレメントや、通常とは大きさが異なる積層体エレメントを用いた場合であっても、その構造に柔軟に対応することが可能となり、包装容器20内に残留する空気量を十分に少なくすることが可能となる。また、包装容器20は袋状であることにより、包装容器20から積層体エレメント11を容易に取り出すことができる。包装容器20の大きさは、積層体エレメント11全体を包むことのできる大きさを有するものであれば制限されない。
【0039】
図6は、本実施形態の感光性接着フィルム梱包体に含まれる積層体エレメントを示す斜視図である。積層体エレメント11は、巻芯12及び当該巻芯12上にロール状に巻きつけられた感光性接着フィルム14を備え、かつ上記感光性接着フィルム14を挟むように、上記巻芯12の両端に装着された一対の第一パッキン16を備える。巻芯12に用いられる材料は、特に制限はないが、水分が吸着されにくいものが好ましい。これは、積層体エレメント11を包装容器20に収容する際に、包装容器20内への水分持ち込み量を低減するためである。さらに、巻芯12の材質は、粉塵などを発生しにくいことが好ましい。これは、感光性接着フィルム14の表面に粉塵が付着するのを防止し、感光性接着フィルム14のパターン形成性の低下を抑制するためである。上記の点を考慮すると、巻芯12の材質の好ましい例としては、プラスチック類、金属類などが挙げられる。これらの中でも、梱包などの作業の効率を向上させる観点から、軽くて丈夫な素材であるABS樹脂が好ましく使用される。
【0040】
感光性接着フィルム14が巻きつけられている巻芯12の形状としては、例えば、角柱状、円柱状、角筒状、円筒状などが挙げられるが、感光性接着フィルム14にシワが発生しない観点から横断面の外形が円状であることが好ましく、また筒状であることが好ましい。巻芯12の形状が筒状であることにより、感光性接着フィルム14を巻きつけた積層体エレメント11を包装容器20に収容する際、余剰として存在している包装容器20の一部を、筒状の巻芯12の内側に折りたたみ、コンパクトな包装体とすることが可能となる。
また、包装容器20は上記積層体エレメント11とともに乾燥剤を収容していることが好ましい。さらに、巻芯12の形状が筒状である場合には、巻芯12の筒の内部に乾燥剤を配置することが好ましい。
【0041】
感光性接着フィルム14は、通常支持基材と該支持基材上に形成された接着剤層とを備える。感光性接着フィルム14は、接着剤層上に保護フィルムを備えていてもよい。感光性接着フィルム14の幅は、10〜50cmであることが好ましく、巻芯12への感光性接着フィルム14の巻き取り長さは、5〜50mであることが好ましい。感光性接着フィルム梱包体200は、巻芯12に感光性接着フィルム14をロール状に巻きつけた構造を有する積層体エレメント11を備えるため、広い面積の感光性接着フィルム14を保存することができ、保存スペースを低減することができる。感光性接着フィルム14の接着剤層は、下記接着剤組成物からなる層である。接着剤組成物は、主に高分子量成分、放射線重合性化合物及び光開始剤を含む。
【0042】
上記第一パッキンの径方向断面、すなわち積層体エレメント11の長手方向に直交する第一パッキン16の断面の外径は、上記感光性接着フィルム14のロールの横断面の外径よりも大きいことが好ましい。このような第一パッキン16を備えた積層体エレメント11を樹脂製ケース104に収容して保存することによって、感光性接着フィルム14と樹脂製ケース104の間に空間を作ることができ、巻芯12に巻きつけられている感光性接着フィルム14のロールをどのように置いても、感光性接着フィルム14の接着剤層表面が包装容器20、第一パッキン16以外の物体に接触する可能性を十分に低減させることができ、また感光性接着フィルム14の表面形状を保護することができる。
【0043】
第一パッキン16の径方向断面の外形は、円形状、四角形状であることが好ましい。これらの中でも、図5に示すように、積層体エレメントを袋状の包装容器に収容する際に、積層体エレメントを収容する方向を気にする必要がなく、作業効率が向上する点、脱気を行ったときに包装容器20の感光性接着フィルム14の表面にかかる力が十分に均等に分散される傾向にあり、感光性接着フィルム14の表面の形状変化を低減させる点、及び包装容器20の内部の気体をより除去することができる点から円形状であることがより好ましい。
【0044】
なお、第一パッキンの径方向断面の外形が円形でない場合、第一パッキンの径方向断面の外径とは、第一パッキンの径方向断面の内接円の直径をいう。また感光性接着フィルムのロールの横断面の外形が円形でない場合、感光性接着フィルムのロールの横断面の外径とは、上記包装容器の横断面の外接円の直径をいう。
【0045】
包装容器20の内部の気体の少なくとも一部を吸引して除去し、包装容器20にシワが発生した場合、発生したシワが感光性接着フィルム14の表面に転写し、感光性接着フィルムの表面に凹凸が発生する可能性や、吸引した際に感光性接着フィルム14のロールの端面に力がかかり、感光性接着フィルム14のロール端面が変形する可能性がある。しかし、上記のように、積層体エレメント11が第一パッキン16を備えることで、感光性接着フィルム14の表面へのシワの転写及び感光性接着フィルム14のロール端面の変形を防ぎ、感光性接着フィルム14の表面における凹凸の発生をより一層抑制することができる。
【0046】
第一パッキン16は、径方向断面の中心部分を貫通する空洞を有していることが好ましい。また上記空洞は、上記巻芯12に嵌合する形状であることが好ましい。これにより、包装容器20の内部の脱気が十分に行われることになり、さらに巻芯12が筒状である場合には特に、筒内部の脱気が十分に行われることになり、感光性接着フィルム14の保存時の吸湿をより少なくすることが可能となる。第一パッキン16の材質としては、特に制限はされないが、プラスチック製、樹脂製等、様々な材質のものを用いることができる。
【0047】
このように、感光性接着フィルム梱包体200は、2種類のパッキン(第一パッキン16と第二パッキン102)を両方備えることがより好ましい。感光性接着フィルム梱包体200が、上記2種類のパッキンを両方備えることにより、感光性接着フィルム14の吸湿とその表面の凹凸の発生を十分に抑制でき、さらに、感光性接着フィルムのパターン形成性及び接着性を長期間にわたって維持することができる。
【0048】
[第二実施形態]
図7は、本発明の第二実施形態における感光性接着フィルム梱包体に含まれる包装体を説明するため、その内部の積層体エレメントを透視して示す透視図である。感光性接着フィルム梱包体200に含まれる包装体100は、積層体エレメント10と、包装容器20とを備える。積層体エレメント10が、包装容器20に収容されることにより包装体100を得ることができる。
【0049】
図8は、本実施形態の感光性接着フィルム梱包体に含まれる積層体エレメントを示す斜視図である。積層体エレメント10は、巻芯12及び当該巻芯12上にロール状に巻きつけられた感光性接着フィルム14を備える。
【0050】
図8に示される積層体エレメント10は、第一パッキン16を備えない点で、図6に示される積層体エレメント11と相違する。本実施形態において、積層体エレメント10は、第一パッキン16を備えるものではないが、上記積層体エレメント10を収容する包装体100は、第二パッキン102を備えるものである。したがって、本実施形態における感光性接着フィルム梱包体200は、上記包装容器20の上記感光性接着フィルム14上における外表面と、上記樹脂製ケース104の内壁との間に空間を有する。これにより、部材数を低減しつつ、感光性接着フィルムを搬送する場合において感光性接着フィルムの表面に凹凸が発生することを抑制することができる。なお、本実施形態において、第一パッキン以外は上記第一実施形態と同様の構成とすることができる。
【0051】
[第三実施形態]
図9は、本発明の第三実施形態における感光性接着フィルム梱包体を説明するため、その内部の包装体を透視して示す透視図である。本実施形態において、感光性接着フィルム梱包体210は、第二パッキン102を備えない点で、図1に示される感光性接着フィルム梱包体200と相違する。上記感光性接着フィルム梱包体210に含まれる包装体110は、第二パッキン102を備えるものではないが、その内部に第一パッキン16を備えるものである。したがって、包装容器20の上記感光性接着フィルム14上における外表面と、上記樹脂製ケース104の内壁との間に空間を有する。これにより、部材数を低減しつつ、感光性接着フィルムを搬送する場合において感光性接着フィルムの表面に凹凸が発生することを抑制することができる。なお、本実施形態において、第一パッキン以外は上記第一実施形態と同様の構成とすることができる。
【0052】
上述の各実施形態において、包装体120又は110は、図1又は図9のように、樹脂製ケース104内に、1つ配置されていてもよく、後述するように複数配置されていてもよい。
【0053】
[第四実施形態]
図10は、本発明の第四実施形態における感光性接着フィルム梱包体の内部の第二パッキンを備える包装体を透視して示す透視図である。図10に示される本実施形態の感光性接着フィルム梱包体220は、樹脂製ケース104と、樹脂製ケース104の内部に配置された4つの包装体120とを備える。上記感光性接着フィルム梱包体220において、樹脂製ケース104は2行2列の形態で配置された4つの包装体120を収容している。
【0054】
樹脂製ケース104内に包装体120を収容したときの包装体120の長手方向(以下、列方向ということがある)における樹脂製ケース104の長さは、上記列方向に配置された2つの包装体120と樹脂製ケース104の内壁との間の隙間を低減するように設定されることが好ましい。また、径方向断面が隣り合うように配置された2つの包装体120の径方向断面の外形は、樹脂製ケース104の内壁と同じ、又はやや小さい形状であることが好ましい。これによって、感光性接着フィルム梱包体220を搬送するときの包装体120の樹脂製ケース104内における振動が抑制され、感光性接着フィルムの損傷を低減することが可能となる。
【0055】
[第五実施形態]
図11は、本発明の第五実施形態における感光性接着フィルム梱包体の内部の第二パッキンを備える包装体を透視して示す透視図である。図11に示される本実施形態の感光性接着フィルム梱包体230は、樹脂製ケース104と、樹脂製ケース104の内部に配置された3つの包装体120と、第二パッキン102とを備える。上記感光性接着フィルム梱包体230において、3つの包装体120のうち2つは樹脂製ケース104内の一方の列(以下、第1列という)に、包装体120の長手方向に並べて配置されている。また、3つの包装体120のうちの残りの1つは、樹脂製ケース104内の他方の列(以下、第2列という)の包装体120の長手方向の中央に配置されている。さらに、包装体120の両端と樹脂製ケース104の内壁との間の隙間には第二パッキン102が配置されている。これにより、樹脂製ケース104内に包装体120を十分に固定することができる。さらに、感光性接着フィルム梱包体230の重心が中央に近くなるため、感光性接着フィルム梱包体230全体の重量のバランスがよくなり、感光性接着フィルム梱包体230を搬送しやすくなる。
【0056】
[第六実施形態]
図12は、本発明の第六実施形態における感光性接着フィルム梱包体の内部の第二パッキンを備える包装体を透視して示す透視図である。図12に示される本実施形態の感光性接着フィルム梱包体240は、樹脂製ケース104と、樹脂製ケース104の内部に配置された2つの包装体120と、第二パッキン102とを備える。上記感光性接着フィルム梱包体240において、2つの包装体120はそれぞれ、樹脂製ケース104内の第1列及び第2列に、包装体120の長手方向の中央に並べて配置され、包装体120の両端と樹脂製ケース104の内壁との間の隙間には第二パッキン102が配置されている。これにより、樹脂製ケース104内に包装体120を十分に固定することができる。さらに、感光性接着フィルム梱包体240の重心が中央に来るため、感光性接着フィルム梱包体240全体の重量のバランスがよくなり、感光性接着フィルム梱包体240を搬送しやすくなる。
【0057】
図11の第2列、図12の第1列及び図12の第2列において、第二パッキン102における径方向断面に対して垂直方向の長さ(厚さ)は、包装体120を樹脂製ケース104に収容したときの包装体120の長手方向における樹脂製ケース104の内壁の長さを整数で除した長さと、同一か、又はやや小さいことが好ましい。さらに、包装体120の長手方向の長さは、該長手方向における第二パッキン102の長さ(厚さ)の整数倍であることが好ましい。また、第二パッキン102は、樹脂製ケース104内で包装体120が移動しないように1つ又は複数敷き詰められていることが好ましい。
【0058】
2個以上の包装体120を図11の第2列、図12の第1列及び図12の第2列等のように樹脂製ケース104内に配置するときに、包装体120の両端と樹脂製ケース104の内壁との間の隙間に、パッキン等の最外周に使用している保護材を敷き詰めることで、上記隙間を埋めることができる。これによって、余分なコストをかけることなく、樹脂製ケース104内での包装体の移動を防止することが可能となる。また、上記第二パッキン102は、樹脂製の保護材であるため、粉塵などの発生を抑えることが可能となり、また、リユース(再利用)も可能となる。
【0059】
なお、第四〜第六実施形態に用いられる樹脂製ケース104は、内部の空間を区分する板状の部材を備えていてもよい。上記板状の部材は、列方向に沿って隣り合う包装体及び第二パッキン102の間に設けられる。上記板状の部材に用いられる材料は、樹脂製ケース104に用いられる材料と同じでよい。樹脂製ケース104が上記板状の部材を備えることにより、搬送時における樹脂製ケース104内での包装体120の振動を一層抑制することができる。
【符号の説明】
【0060】
10,11・・・積層体エレメント、12・・・巻芯、14・・・感光性接着フィルム、16・・・第一パッキン、20・・・包装容器、100,110・・・包装体、120・・・第二パッキンを備える包装体、102・・・第二パッキン、104・・・樹脂製ケース、106・・・マジックテープ、108・・・取手、200,210,220,230,240・・・感光性接着フィルム梱包体。
【技術分野】
【0001】
本発明は感光性接着フィルム梱包体に関する。
【背景技術】
【0002】
接着フィルムは、接着性を有する材料であり、一般的に半導体パッケージの組立てなどに使用されている。従来、接着フィルムを搬送する場合、接着フィルムを巻芯などに巻きつけた積層体エレメント等の筒状物を紙製の段ボール箱に入れて搬送することが行われていた。
【0003】
しかし、上記接着フィルムは、一般的に外部からの衝撃に弱い傾向にある。このため、従来の保存方法で接着フィルムを保存した場合、外部からの衝撃を受けると、該接着フィルムの表面に凹凸などの傷が発生してしまうことがある。
【0004】
また、上記接着フィルムは、空気中の水分の影響によって、接着強度が低下する傾向がある。このため、従来の保存方法で該接着フィルムを保存した場合、保存期間が長期化すると、接着フィルムが空気中の水分などを吸湿するおそれがあり、これにより接着強度が低下することが懸念されていた。
【0005】
そこで、吸湿等によりロール状に巻かれた接着フィルムの特性が低下することを抑制するために、包装容器に密封して保存されることや、包装容器を密封する前には、包装容器中の気体を吸引したり、乾燥剤を入れたりして、空気中の水分の影響を極力低減することが試みられている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平10−168190号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
感光性接着フィルムの場合は、外部からの異物がフィルムの表面に付着すると、露光時に光が散乱してしまい、パターン形成性が低下する傾向がある。従来の梱包方法で、特に感光性接着フィルムを梱包した場合、段ボール箱から発生する紙くず等の粉塵が感光性接着フィルムの表面に付着し、パターン形成性が低下してしまう。
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、感光性接着フィルムを搬送する場合において、該感光性接着フィルムの表面における凹凸の発生を十分に抑制するとともに、長期間保存しても、感光性接着フィルムのパターン形成性及び接着性を維持することが可能な感光性接着フィルム梱包体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、巻芯、及び当該巻芯上にロール状に巻きつけられた感光性接着フィルムを有する積層体エレメントと、上記積層体エレメントを収容する包装容器と、上記包装容器を収容する樹脂製ケースと、を備え、上記包装容器の上記感光性接着フィルム上における外表面と、上記樹脂製ケースの内壁との間に空間を有する感光性接着フィルム梱包体を提供する。
【0010】
上記感光性接着フィルム梱包体は、積層体エレメントを包装容器に収容し、上記包装容器を樹脂製ケースに収容している。このように、感光性接着フィルムを二重で梱包することから、外部からの衝撃による感光性接着フィルムの表面への凹凸の発生を十分に抑制することができる。また、段ボール箱に比べて、上記樹脂製ケースは発生する粉塵が少ないため、感光性接着フィルムの表面への異物の付着によるパターン形成性の低下も抑制できる。
【0011】
また、上記包装容器の上記感光性接着フィルム上における外表面と、上記樹脂製ケースの内壁との間に空間を有することにより、感光性接着フィルムの表面における外部からの衝撃による傷などの発生を抑制することができる。
【0012】
上記積層体エレメントは、上記感光性接着フィルムを挟むように、上記巻芯の両端に装着された一対の第一パッキンを備えていることが好ましく、さらに上記第一パッキンの径方向断面の外径が、上記感光性接着フィルムのロールの横断面の外径よりも大きいことが好ましい。
【0013】
これによって、感光性接着フィルムの表面における凹凸の発生が一層抑制されることとなり、感光性接着フィルムの形状をより長期間にわたって一層良好に維持することが可能になる。
【0014】
上記包装容器は、アルミニウムのコーティング層を有する袋状の包装容器であることが好ましい。これによって、包装容器から積層体エレメントを容易に取り出すことができ、かつ感光性接着フィルムを保存する際に、包装容器の内部への光の透過を十分に抑制することが可能となるため、感光性接着フィルムの接着性をより一層良好に維持することができる。
【0015】
上記包装容器は上記積層体エレメントとともに乾燥剤を収容していることが好ましく、さらに上記包装容器は内部の気体の少なくとも一部を吸引して除去した状態でヒートシールで封止されていることが好ましい。
【0016】
これによって、感光性接着フィルムの接着剤層の吸湿が一層抑制されることとなり、感光性接着フィルムの接着性及びパターン形成性を長期間にわたって一層良好に維持することが可能となる。
【0017】
感光性接着フィルム梱包体は、上記包装容器に上記積層体エレメントが収容された包装体の長手方向の両端部に装着された一対の第二パッキンをさらに備えることが好ましい。また、上記巻芯の径方向において、上記第二パッキンの外縁は、上記包装体の外縁よりも外側にあることが好ましい。
【0018】
これによって、感光性接着フィルムの表面における凹凸の発生が一層抑制することが可能となる。
【0019】
上記巻芯の径方向において、上記第二パッキンは中央部に穴を有し、上記包装容器が上記穴に挿入されていることが好ましい。これによって、積層体エレメントを樹脂製ケースの中央部に保持することができ、搬送途中にパッキンがはずれ、感光性接着フィルムの表面に傷が付くことを防ぐことが可能となる。
【0020】
上記第二パッキンの外形は、直方体であることが好ましい。上記第二パッキンの外形が直方体であることにより、包装体を安定して保存することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、感光性接着フィルムを搬送する場合において、該感光性接着フィルムの表面における凹凸の発生を十分に抑制するとともに、長期間保存しても、感光性接着フィルムのパターン形成性及び接着性を維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の感光性接着フィルム梱包体の第一実施形態を説明するため、その内部の第二パッキンを備える包装体を透視して示す透視図である。
【図2】本発明の感光性接着フィルム梱包体の第一実施形態に含まれる、樹脂製ケースを示す斜視図である。
【図3】本発明の感光性接着フィルム梱包体の第一実施形態に含まれる、樹脂製ケースを示す展開図である。
【図4】本発明の感光性接着フィルム梱包体の第一実施形態に含まれる、第二パッキンを備える包装体を示す斜視図である。
【図5】本発明の感光性接着フィルム梱包体の第一実施形態に含まれる包装体を説明するため、その内部の積層体エレメントを透視して示す透視図である。
【図6】本発明の感光性接着フィルム梱包体の第一実施形態に含まれる積層体エレメントを示す斜視図である。
【図7】本発明の感光性接着フィルム梱包体の第二実施形態に含まれる包装体を説明するため、その内部の積層体エレメントを透視して示す透視図である。
【図8】本発明の感光性接着フィルム梱包体の第二実施形態に含まれる積層体エレメントを示す斜視図である。
【図9】本発明の感光性接着フィルム梱包体の第三実施形態を説明するため、その内部の包装体を透視して示す透視図である。
【図10】本発明の感光性接着フィルム梱包体の第四実施形態を説明するため、その内部の第二パッキンを備える包装体を透視して示す透視図である。
【図11】本発明の感光性接着フィルム梱包体の第五実施形態を説明するため、その内部の第二パッキンを備える包装体を透視して示す透視図である。
【図12】本発明の感光性接着フィルム梱包体の第六実施形態を説明するため、その内部の第二パッキンを備える包装体を透視して示す透視図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態を説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。なお、図面の説明において同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。また、また、上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとし、図面の寸法比率は図示の比率に限られるものではない。
【0024】
[第一実施形態]
図1は、本発明の第一実施形態における感光性接着フィルム梱包体の内部の第二パッキンを備える包装体を透視して示す透視図である。感光性接着フィルム梱包体200は、第二パッキンを備える包装体120と、樹脂製ケース104とを備える。
【0025】
本実施形態の感光性接着フィルム梱包体200は、巻芯、及び当該巻芯上にロール状に巻きつけられた感光性接着フィルムを有する積層体エレメントと、上記積層体エレメントを収容する包装容器と、上記包装容器を収容する樹脂製ケース104とを備える。上記積層体エレメントは、上記ロール状に巻きつけられた感光性接着フィルムの表面上における包装容器が、樹脂製ケース104の内壁に直接接触しないように、樹脂製ケース104内に収容されている。したがって、上記包装容器の上記感光性接着フィルム上における外表面と、上記樹脂製ケース104の内壁との間に空間を有する。このような感光性接着フィルムは、積層体エレメントを包装容器に収容し、上記包装容器を樹脂製ケース104に収容する、といったように、感光性接着フィルムを二重で梱包することから、外部からの衝撃による感光性接着フィルムの表面への凹凸の発生を十分に抑制できる。また、包装容器の上記感光性接着フィルム上における外表面と、上記樹脂製ケース104の内壁との間に空間を有することから、感光性接着フィルム表面に外部からの衝撃による傷などが発生しにくい。
【0026】
図2は、本実施形態の感光性接着フィルム梱包体に含まれる樹脂製ケースを示す斜視図である。樹脂製ケース104は、包装体、すなわち包装容器を収容するものであり、その形状は特に制限されない。図3は、本実施形態の感光性接着フィルム梱包体に含まれる樹脂製ケースを示す展開図である。上記樹脂製ケース104は樹脂製ケースを構成する各部材を折りたたんで得ることができる。折りたたみ時に各樹脂製ケースを構成する部材を接続するための手法としては、樹脂製又は金属製のビスを用いた、はめ込み式やマジックテープ(登録商標)106を使用した接続方法などが挙げられるが、マジックテープ106を使用した樹脂製ケースを用いることが安全上及び取扱い上好ましい。また、樹脂製ケース104が備える取手108等の部材には、安全上、樹脂製又は金属製のビスを用いたはめ込み式を用いた方が好ましい。また、樹脂製ケース104と取手108等の部材の明度が異なることが好ましい。これによって、感光性接着フィルム梱包体200の持ち運びに手をかける部分を明確に認識することができ、無理な持ち方による感光性接着フィルム梱包体200の損傷、搬送を行う人の安全性を向上することが可能となる。
【0027】
樹脂製ケース104の素材としては、特に制限はなく、例えばポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン・ポリプロピレン、ポリスチレン等の熱可塑性樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂等の熱硬化性樹脂等が挙げられる。従来から用いられている紙製の段ボールは折りたたみ可能であるが、折りたたみ時に粉塵などの異物が発生する可能性がある。これに対し、樹脂製ケース104は、上記素材からなるものであるため、折りたたみ可能であり、かつ折りたたみ時に粉塵などの異物が生じにくいものである。したがって、感光性接着フィルム梱包体200が、上記樹脂製ケース104を備えることにより、感光性接着フィルムへの異物の付着を低減させ、パターン形成性を十分に維持することが可能となる。また、樹脂製ケース104の素材は、熱や水・薬品に強いという観点から、ポリプロピレンであることが好ましい。さらに、樹脂製ケース104は、耐圧性・耐衝撃性の観点から、ポリプロピレンのシートを段ボール状に加工した中空構造板によって構成されることが好ましい。
【0028】
図4は、本実施形態の感光性接着フィルム梱包体200に含まれる第二パッキンを備える包装体120を示す斜視図である。第二パッキンを備える包装体120は、包装体110と、その長手方向の両端部に装着された一対の第二パッキン102とを備える。第二パッキン102が装着された包装体110、すなわち第二パッキンを備える包装体120は、樹脂製ケース104に収容される。これにより、感光性接着フィルムを包装容器内で遮光下、低湿度下にて保存できる。
【0029】
巻芯の径方向において、上記第二パッキン102は中央部に穴を有し、包装容器が上記穴に挿入されている、すなわち包装容器内の積層体エレメントの第一パッキンが包装容器を介して上記穴に挿入されていることが好ましい。この場合、上記穴は第一パッキンの外形に嵌合することが好ましい。これにより、巻芯の径方向において、積層体エレメントを樹脂製ケース104の中央部に保持することができ、搬送途中にパッキンがはずれ、感光性接着フィルムの表面に傷が付くことを防ぐことができる。また、感光性接着フィルム梱包体200における、第二パッキン102の占有場所の縮小などにつながる。
【0030】
巻芯の径方向において、上記第二パッキン102の外縁は、上記包装体110の外縁より外側にあることが好ましい。第二パッキン102の外縁とは、第二パッキン102を巻芯12の長手方向から見たときの第二パッキン102の輪郭である。また、「第二パッキンの外縁が包装体の外縁より外側にある」とは、上記長手方向から第二パッキン及び包装体を見たときに第二パッキンの外縁内に包装体の外縁のすべてが収まる状態をいう。このような第二パッキン102を備える感光性接着フィルム梱包体200は、包装容器の感光性接着フィルム上における外表面と、上記樹脂製ケースの内壁との間に空間を有し、感光性接着フィルムの表面への損傷をより高度に防止することが可能となる。
【0031】
第二パッキン102の外形は、第二パッキン102を樹脂製ケース104内に配置するのに好ましい形状であれば特に制限されないが、搬送時等に包装体110の位置を樹脂製ケース内で安定化させるために、直方体であることが好ましい。この場合、第二パッキン102の径方向断面の外形は、樹脂製ケース104の内壁と同じ、又はやや小さい形状であることが好ましい。これにより、感光性接着フィルム梱包体200を搬送するときに包装体110が樹脂製ケース104内で振動することが抑制され、感光性接着フィルムの損傷を低減させることが可能となる。
【0032】
上記第二パッキン102及び後述する第一パッキンは、コストの観点から、複数の種類の部材から構成されるものでもよい。また、各パッキンの明度は異なることが好ましく、イエロールームなどの紫外線がカットされている部屋で明確に区別できる色であることが好ましい。これによりパッキンを組み合わせる順番を間違えるなどによって生じる作業効率の低下が抑えられる。
【0033】
図5は、本実施形態の感光性接着フィルム梱包体の一実施形態に含まれる包装体を説明するため、その内部の積層体エレメントを透視して示す透視図である。包装体110は、積層体エレメント11と、包装容器20とを備える。積層体エレメント11が、包装容器20に収容されることにより包装体110を得ることができる。
【0034】
積層体エレメント11は、包装容器20の内部に収容されている。上記包装容器20は密封(封止)されていることが好ましく、ヒートシールで封止されていることがより好ましい。また、包装容器20は、包装容器20の内部の気体の少なくとも一部を吸引して除去した状態で封止されていることが好ましい。これにより、感光性接着フィルム梱包体200を長期間保存しても、感光性接着フィルムの吸湿を一層抑制し、接着特性及びパターン形成性を良好に維持することができる。なお、ヒートシールとは、包装容器20の一部(開口部)に、熱と圧力を印加することによって包装容器20を密封することをいう。
【0035】
包装容器20は、感光性接着フィルムの吸湿を十分に抑制する観点から、水蒸気の透過率(透湿度)が十分に低減された防湿性を有するものであることが好ましい。包装容器20の透湿度は、好ましくは15g/m2/24時間以下であり、より好ましくは10g/m2/24時間以下であり、さらに好ましくは2g/m2/24時間以下である。透湿度が15g/m2/24時間を超えると、長期間保存した際の感光性接着フィルムの接着強度が低下してしまう場合がある。
【0036】
包装容器20は、感光性接着フィルムに対する光の影響を抑制するために、光の透過率が十分に低減されたものであることが好ましい。また、包装容器20の光の透過率は、波長200〜800nmにおいて、好ましくは5%以下であり、より好ましくは1%以下である。包装容器20の光の透過率を5%以下とすることにより、感光性接着フィルムを有する積層体エレメント11を長期間保存した際の、接着性の低下を十分に抑制することができる。
【0037】
包装容器20は、アルミニウムコーティング層を有することが好ましい。また、包装容器20をヒートシールで封止する場合、包装容器20の外装の素材は、熱により溶着できるものが好ましい。熱により溶着できる素材としては、例えば、ポリエチレン、ポリエステル、塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート等のプラスチックが挙げられる。したがって、このような包装容器20としては、アルミコーティングされたプラスチック製の包装容器などが挙げられる。これらの条件を満たす包装容器の構造としては、例えば、ポリエステル層/AL(アルミニウム)層/PE(ポリエチレン)層が順次積層された、3層からなるフィルム状のものが好ましく、PET(ポリエチレンテレフタレート)層、SPE(サンドポリエチレン)層、AL(アルミニウム)層、SPE層、PE(ポリエチレン)層が順次積層された、5層からなるフィルム状のものがより好ましい。
【0038】
積層体エレメント11を包装容器20内に収容して密封する際に、包装容器20内の気体を吸引し、包装容器20内の気体を極力少なくするために、包装容器20は、柔軟性のある袋状の材質であることが好ましい。また、包装容器20は、優れた柔軟性を有する程度の厚みを有することが好ましい。ここでいう柔軟性とは、後述する巻芯12に感光性接着フィルムをロール状に巻きつけ、かつ上記感光性接着フィルムを挟むように、上記巻芯の両端に装着された一対の第一パッキンを備える構造を有する積層体エレメント11に対して柔軟に変形できる程度の軟らかさをいう。このような柔軟性を有することによって、複雑な構造を有する積層体エレメントや、通常とは大きさが異なる積層体エレメントを用いた場合であっても、その構造に柔軟に対応することが可能となり、包装容器20内に残留する空気量を十分に少なくすることが可能となる。また、包装容器20は袋状であることにより、包装容器20から積層体エレメント11を容易に取り出すことができる。包装容器20の大きさは、積層体エレメント11全体を包むことのできる大きさを有するものであれば制限されない。
【0039】
図6は、本実施形態の感光性接着フィルム梱包体に含まれる積層体エレメントを示す斜視図である。積層体エレメント11は、巻芯12及び当該巻芯12上にロール状に巻きつけられた感光性接着フィルム14を備え、かつ上記感光性接着フィルム14を挟むように、上記巻芯12の両端に装着された一対の第一パッキン16を備える。巻芯12に用いられる材料は、特に制限はないが、水分が吸着されにくいものが好ましい。これは、積層体エレメント11を包装容器20に収容する際に、包装容器20内への水分持ち込み量を低減するためである。さらに、巻芯12の材質は、粉塵などを発生しにくいことが好ましい。これは、感光性接着フィルム14の表面に粉塵が付着するのを防止し、感光性接着フィルム14のパターン形成性の低下を抑制するためである。上記の点を考慮すると、巻芯12の材質の好ましい例としては、プラスチック類、金属類などが挙げられる。これらの中でも、梱包などの作業の効率を向上させる観点から、軽くて丈夫な素材であるABS樹脂が好ましく使用される。
【0040】
感光性接着フィルム14が巻きつけられている巻芯12の形状としては、例えば、角柱状、円柱状、角筒状、円筒状などが挙げられるが、感光性接着フィルム14にシワが発生しない観点から横断面の外形が円状であることが好ましく、また筒状であることが好ましい。巻芯12の形状が筒状であることにより、感光性接着フィルム14を巻きつけた積層体エレメント11を包装容器20に収容する際、余剰として存在している包装容器20の一部を、筒状の巻芯12の内側に折りたたみ、コンパクトな包装体とすることが可能となる。
また、包装容器20は上記積層体エレメント11とともに乾燥剤を収容していることが好ましい。さらに、巻芯12の形状が筒状である場合には、巻芯12の筒の内部に乾燥剤を配置することが好ましい。
【0041】
感光性接着フィルム14は、通常支持基材と該支持基材上に形成された接着剤層とを備える。感光性接着フィルム14は、接着剤層上に保護フィルムを備えていてもよい。感光性接着フィルム14の幅は、10〜50cmであることが好ましく、巻芯12への感光性接着フィルム14の巻き取り長さは、5〜50mであることが好ましい。感光性接着フィルム梱包体200は、巻芯12に感光性接着フィルム14をロール状に巻きつけた構造を有する積層体エレメント11を備えるため、広い面積の感光性接着フィルム14を保存することができ、保存スペースを低減することができる。感光性接着フィルム14の接着剤層は、下記接着剤組成物からなる層である。接着剤組成物は、主に高分子量成分、放射線重合性化合物及び光開始剤を含む。
【0042】
上記第一パッキンの径方向断面、すなわち積層体エレメント11の長手方向に直交する第一パッキン16の断面の外径は、上記感光性接着フィルム14のロールの横断面の外径よりも大きいことが好ましい。このような第一パッキン16を備えた積層体エレメント11を樹脂製ケース104に収容して保存することによって、感光性接着フィルム14と樹脂製ケース104の間に空間を作ることができ、巻芯12に巻きつけられている感光性接着フィルム14のロールをどのように置いても、感光性接着フィルム14の接着剤層表面が包装容器20、第一パッキン16以外の物体に接触する可能性を十分に低減させることができ、また感光性接着フィルム14の表面形状を保護することができる。
【0043】
第一パッキン16の径方向断面の外形は、円形状、四角形状であることが好ましい。これらの中でも、図5に示すように、積層体エレメントを袋状の包装容器に収容する際に、積層体エレメントを収容する方向を気にする必要がなく、作業効率が向上する点、脱気を行ったときに包装容器20の感光性接着フィルム14の表面にかかる力が十分に均等に分散される傾向にあり、感光性接着フィルム14の表面の形状変化を低減させる点、及び包装容器20の内部の気体をより除去することができる点から円形状であることがより好ましい。
【0044】
なお、第一パッキンの径方向断面の外形が円形でない場合、第一パッキンの径方向断面の外径とは、第一パッキンの径方向断面の内接円の直径をいう。また感光性接着フィルムのロールの横断面の外形が円形でない場合、感光性接着フィルムのロールの横断面の外径とは、上記包装容器の横断面の外接円の直径をいう。
【0045】
包装容器20の内部の気体の少なくとも一部を吸引して除去し、包装容器20にシワが発生した場合、発生したシワが感光性接着フィルム14の表面に転写し、感光性接着フィルムの表面に凹凸が発生する可能性や、吸引した際に感光性接着フィルム14のロールの端面に力がかかり、感光性接着フィルム14のロール端面が変形する可能性がある。しかし、上記のように、積層体エレメント11が第一パッキン16を備えることで、感光性接着フィルム14の表面へのシワの転写及び感光性接着フィルム14のロール端面の変形を防ぎ、感光性接着フィルム14の表面における凹凸の発生をより一層抑制することができる。
【0046】
第一パッキン16は、径方向断面の中心部分を貫通する空洞を有していることが好ましい。また上記空洞は、上記巻芯12に嵌合する形状であることが好ましい。これにより、包装容器20の内部の脱気が十分に行われることになり、さらに巻芯12が筒状である場合には特に、筒内部の脱気が十分に行われることになり、感光性接着フィルム14の保存時の吸湿をより少なくすることが可能となる。第一パッキン16の材質としては、特に制限はされないが、プラスチック製、樹脂製等、様々な材質のものを用いることができる。
【0047】
このように、感光性接着フィルム梱包体200は、2種類のパッキン(第一パッキン16と第二パッキン102)を両方備えることがより好ましい。感光性接着フィルム梱包体200が、上記2種類のパッキンを両方備えることにより、感光性接着フィルム14の吸湿とその表面の凹凸の発生を十分に抑制でき、さらに、感光性接着フィルムのパターン形成性及び接着性を長期間にわたって維持することができる。
【0048】
[第二実施形態]
図7は、本発明の第二実施形態における感光性接着フィルム梱包体に含まれる包装体を説明するため、その内部の積層体エレメントを透視して示す透視図である。感光性接着フィルム梱包体200に含まれる包装体100は、積層体エレメント10と、包装容器20とを備える。積層体エレメント10が、包装容器20に収容されることにより包装体100を得ることができる。
【0049】
図8は、本実施形態の感光性接着フィルム梱包体に含まれる積層体エレメントを示す斜視図である。積層体エレメント10は、巻芯12及び当該巻芯12上にロール状に巻きつけられた感光性接着フィルム14を備える。
【0050】
図8に示される積層体エレメント10は、第一パッキン16を備えない点で、図6に示される積層体エレメント11と相違する。本実施形態において、積層体エレメント10は、第一パッキン16を備えるものではないが、上記積層体エレメント10を収容する包装体100は、第二パッキン102を備えるものである。したがって、本実施形態における感光性接着フィルム梱包体200は、上記包装容器20の上記感光性接着フィルム14上における外表面と、上記樹脂製ケース104の内壁との間に空間を有する。これにより、部材数を低減しつつ、感光性接着フィルムを搬送する場合において感光性接着フィルムの表面に凹凸が発生することを抑制することができる。なお、本実施形態において、第一パッキン以外は上記第一実施形態と同様の構成とすることができる。
【0051】
[第三実施形態]
図9は、本発明の第三実施形態における感光性接着フィルム梱包体を説明するため、その内部の包装体を透視して示す透視図である。本実施形態において、感光性接着フィルム梱包体210は、第二パッキン102を備えない点で、図1に示される感光性接着フィルム梱包体200と相違する。上記感光性接着フィルム梱包体210に含まれる包装体110は、第二パッキン102を備えるものではないが、その内部に第一パッキン16を備えるものである。したがって、包装容器20の上記感光性接着フィルム14上における外表面と、上記樹脂製ケース104の内壁との間に空間を有する。これにより、部材数を低減しつつ、感光性接着フィルムを搬送する場合において感光性接着フィルムの表面に凹凸が発生することを抑制することができる。なお、本実施形態において、第一パッキン以外は上記第一実施形態と同様の構成とすることができる。
【0052】
上述の各実施形態において、包装体120又は110は、図1又は図9のように、樹脂製ケース104内に、1つ配置されていてもよく、後述するように複数配置されていてもよい。
【0053】
[第四実施形態]
図10は、本発明の第四実施形態における感光性接着フィルム梱包体の内部の第二パッキンを備える包装体を透視して示す透視図である。図10に示される本実施形態の感光性接着フィルム梱包体220は、樹脂製ケース104と、樹脂製ケース104の内部に配置された4つの包装体120とを備える。上記感光性接着フィルム梱包体220において、樹脂製ケース104は2行2列の形態で配置された4つの包装体120を収容している。
【0054】
樹脂製ケース104内に包装体120を収容したときの包装体120の長手方向(以下、列方向ということがある)における樹脂製ケース104の長さは、上記列方向に配置された2つの包装体120と樹脂製ケース104の内壁との間の隙間を低減するように設定されることが好ましい。また、径方向断面が隣り合うように配置された2つの包装体120の径方向断面の外形は、樹脂製ケース104の内壁と同じ、又はやや小さい形状であることが好ましい。これによって、感光性接着フィルム梱包体220を搬送するときの包装体120の樹脂製ケース104内における振動が抑制され、感光性接着フィルムの損傷を低減することが可能となる。
【0055】
[第五実施形態]
図11は、本発明の第五実施形態における感光性接着フィルム梱包体の内部の第二パッキンを備える包装体を透視して示す透視図である。図11に示される本実施形態の感光性接着フィルム梱包体230は、樹脂製ケース104と、樹脂製ケース104の内部に配置された3つの包装体120と、第二パッキン102とを備える。上記感光性接着フィルム梱包体230において、3つの包装体120のうち2つは樹脂製ケース104内の一方の列(以下、第1列という)に、包装体120の長手方向に並べて配置されている。また、3つの包装体120のうちの残りの1つは、樹脂製ケース104内の他方の列(以下、第2列という)の包装体120の長手方向の中央に配置されている。さらに、包装体120の両端と樹脂製ケース104の内壁との間の隙間には第二パッキン102が配置されている。これにより、樹脂製ケース104内に包装体120を十分に固定することができる。さらに、感光性接着フィルム梱包体230の重心が中央に近くなるため、感光性接着フィルム梱包体230全体の重量のバランスがよくなり、感光性接着フィルム梱包体230を搬送しやすくなる。
【0056】
[第六実施形態]
図12は、本発明の第六実施形態における感光性接着フィルム梱包体の内部の第二パッキンを備える包装体を透視して示す透視図である。図12に示される本実施形態の感光性接着フィルム梱包体240は、樹脂製ケース104と、樹脂製ケース104の内部に配置された2つの包装体120と、第二パッキン102とを備える。上記感光性接着フィルム梱包体240において、2つの包装体120はそれぞれ、樹脂製ケース104内の第1列及び第2列に、包装体120の長手方向の中央に並べて配置され、包装体120の両端と樹脂製ケース104の内壁との間の隙間には第二パッキン102が配置されている。これにより、樹脂製ケース104内に包装体120を十分に固定することができる。さらに、感光性接着フィルム梱包体240の重心が中央に来るため、感光性接着フィルム梱包体240全体の重量のバランスがよくなり、感光性接着フィルム梱包体240を搬送しやすくなる。
【0057】
図11の第2列、図12の第1列及び図12の第2列において、第二パッキン102における径方向断面に対して垂直方向の長さ(厚さ)は、包装体120を樹脂製ケース104に収容したときの包装体120の長手方向における樹脂製ケース104の内壁の長さを整数で除した長さと、同一か、又はやや小さいことが好ましい。さらに、包装体120の長手方向の長さは、該長手方向における第二パッキン102の長さ(厚さ)の整数倍であることが好ましい。また、第二パッキン102は、樹脂製ケース104内で包装体120が移動しないように1つ又は複数敷き詰められていることが好ましい。
【0058】
2個以上の包装体120を図11の第2列、図12の第1列及び図12の第2列等のように樹脂製ケース104内に配置するときに、包装体120の両端と樹脂製ケース104の内壁との間の隙間に、パッキン等の最外周に使用している保護材を敷き詰めることで、上記隙間を埋めることができる。これによって、余分なコストをかけることなく、樹脂製ケース104内での包装体の移動を防止することが可能となる。また、上記第二パッキン102は、樹脂製の保護材であるため、粉塵などの発生を抑えることが可能となり、また、リユース(再利用)も可能となる。
【0059】
なお、第四〜第六実施形態に用いられる樹脂製ケース104は、内部の空間を区分する板状の部材を備えていてもよい。上記板状の部材は、列方向に沿って隣り合う包装体及び第二パッキン102の間に設けられる。上記板状の部材に用いられる材料は、樹脂製ケース104に用いられる材料と同じでよい。樹脂製ケース104が上記板状の部材を備えることにより、搬送時における樹脂製ケース104内での包装体120の振動を一層抑制することができる。
【符号の説明】
【0060】
10,11・・・積層体エレメント、12・・・巻芯、14・・・感光性接着フィルム、16・・・第一パッキン、20・・・包装容器、100,110・・・包装体、120・・・第二パッキンを備える包装体、102・・・第二パッキン、104・・・樹脂製ケース、106・・・マジックテープ、108・・・取手、200,210,220,230,240・・・感光性接着フィルム梱包体。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
巻芯、及び当該巻芯上にロール状に巻きつけられた感光性接着フィルムを有する積層体エレメントと、
前記積層体エレメントを収容する包装容器と、
前記包装容器を収容する樹脂製ケースと、を備え、
前記包装容器の前記感光性接着フィルム上における外表面と、前記樹脂製ケースの内壁との間に空間を有する感光性接着フィルム梱包体。
【請求項2】
前記積層体エレメントは、前記感光性接着フィルムを挟むように、前記巻芯の両端に装着された一対の第一パッキンを備えており、
前記第一パッキンの径方向断面の外径が、前記感光性接着フィルムのロールの横断面の外径よりも大きい、請求項1記載の感光性接着フィルム梱包体。
【請求項3】
前記包装容器は、アルミニウムのコーティング層を有する袋状の包装容器である、請求項1又は2に記載の感光性接着フィルム梱包体。
【請求項4】
前記包装容器は前記積層体エレメントとともに乾燥剤を収容し、内部の気体の少なくとも一部を吸引して除去した状態でヒートシールで封止されている、請求項1〜3のいずれか一項に記載の感光性接着フィルム梱包体。
【請求項5】
前記包装容器に前記積層体エレメントが収容された包装体の長手方向の両端部に装着された一対の第二パッキンをさらに備える、請求項1〜4のいずれか一項に記載の感光性接着フィルム梱包体。
【請求項6】
前記巻芯の径方向において、前記第二パッキンの外縁は、前記包装体の外縁よりも外側にある、請求項5に記載の感光性接着フィルム梱包体。
【請求項7】
前記巻芯の径方向において、前記第二パッキンは中央部に穴を有し、前記包装容器が前記穴に挿入されている、請求項5又は6に記載の感光性接着フィルム梱包体。
【請求項8】
前記第二パッキンの外形は直方体である、請求項5〜7のいずれか一項に記載の感光性接着フィルム梱包体。
【請求項1】
巻芯、及び当該巻芯上にロール状に巻きつけられた感光性接着フィルムを有する積層体エレメントと、
前記積層体エレメントを収容する包装容器と、
前記包装容器を収容する樹脂製ケースと、を備え、
前記包装容器の前記感光性接着フィルム上における外表面と、前記樹脂製ケースの内壁との間に空間を有する感光性接着フィルム梱包体。
【請求項2】
前記積層体エレメントは、前記感光性接着フィルムを挟むように、前記巻芯の両端に装着された一対の第一パッキンを備えており、
前記第一パッキンの径方向断面の外径が、前記感光性接着フィルムのロールの横断面の外径よりも大きい、請求項1記載の感光性接着フィルム梱包体。
【請求項3】
前記包装容器は、アルミニウムのコーティング層を有する袋状の包装容器である、請求項1又は2に記載の感光性接着フィルム梱包体。
【請求項4】
前記包装容器は前記積層体エレメントとともに乾燥剤を収容し、内部の気体の少なくとも一部を吸引して除去した状態でヒートシールで封止されている、請求項1〜3のいずれか一項に記載の感光性接着フィルム梱包体。
【請求項5】
前記包装容器に前記積層体エレメントが収容された包装体の長手方向の両端部に装着された一対の第二パッキンをさらに備える、請求項1〜4のいずれか一項に記載の感光性接着フィルム梱包体。
【請求項6】
前記巻芯の径方向において、前記第二パッキンの外縁は、前記包装体の外縁よりも外側にある、請求項5に記載の感光性接着フィルム梱包体。
【請求項7】
前記巻芯の径方向において、前記第二パッキンは中央部に穴を有し、前記包装容器が前記穴に挿入されている、請求項5又は6に記載の感光性接着フィルム梱包体。
【請求項8】
前記第二パッキンの外形は直方体である、請求項5〜7のいずれか一項に記載の感光性接着フィルム梱包体。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−66837(P2012−66837A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−212534(P2010−212534)
【出願日】平成22年9月22日(2010.9.22)
【出願人】(000004455)日立化成工業株式会社 (4,649)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年9月22日(2010.9.22)
【出願人】(000004455)日立化成工業株式会社 (4,649)
【Fターム(参考)】
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