説明

感光感熱記録材料の記録方法

【課題】 低出力の赤外又は緑〜赤色レーザー光等の光源を用いても、感度、コントラスト、画像品質に優れた記録が可能で、完全ドライの白黒もしくはカラーの鮮明な画像を形成しうる感光感熱記録材料の記録方法を提供する。
【解決手段】 感光感熱記録層に、熱応答性マイクロカプセルに内包された電子供与性の無色染料と、熱応答性マイクロカプセルの外に、同一分子内に電子受容部と重合性ビニルモノマー部とを有する化合物及び有機ボレート塩化合物を含むか、電子受容性顕色剤、重合性ビニルモノマー及び有機ボレート塩化合物を含む感光感熱記録材料に、該記録材料を露光させ得るとともに、目標位置において、一方向のサイズが600μm以下となるスポットを形成し得る放射光源を用い、まず、感光感熱記録材料を目標位置に配置して、画像分布に従ってスポット状にビームを照射し、次に、最初に照射したスポットに対して、引き続いて照射するビームからの少なくとも1つのスポットの少なくとも一部分が重なるように画像分布に従ってビームを照射することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、感光感熱記録材料の記録方法に関し、詳しくは、感度、コントラスト、画像品質に優れた感光感熱記録材料の記録方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、液状の現像剤等を用いず、廃棄物の問題がないドライタイプの画像形成方法が、種々検討されており、中でも、光により硬化する組成物を用いた方法が注目されている。この方法は、露光により記録材料中に含まれる光により硬化する組成物が硬化して潜像が形成され、発色もしくは消色に関わる成分が加熱によりその潜像に応じて記録材料内で移動して色画像を形成することを特徴とする。このような記録材料を用い、画像原稿を通して該感光記録材料に露光し、露光部において光硬化をおこさせて潜像を形成させ、その後、該記録材料を加熱することにより、未硬化部分の発色もしくは消色に関わる部分を移動させ、可視画像を形成するこの方法により廃棄物の発生がない、完全ドライシステムが実現できる。
【0003】これらの感光感熱記録材料に潜像を形成する露光の工程として、小径のスポットを形成する放射光源(コヒーレント放射)を利用する、所謂多重露光がWO95/31754号等に提案されている。この方法は、感光感熱記録材料に対して、小径のスポットを形成する放射光源を用いて、個々のスポットの少なくとも一部分が重なるように照射することにより、光源の出力を増加させることなく、感度、コントラストを向上させ、画像品質に優れた潜像を形成することができる。
【0004】この方式に用いる記録材料は具体的にはいくつかの種類があり、白黒及びカラーの記録材料として用いる場合に有用な方式である。具体的な記録材料としては、例えば、特開昭52−89915号公報に開示されている記録材料が知られている。これは、二成分型感熱発色記録材料の2つの成分、たとえば、電子受容性化合物と電子供与性の無色染料を、光硬化性組成物を含有するマイクロカプセルの内と外または両側に分離して配置した記録材料である。しかし、この記録材料の場合、マイクロカプセル内の光硬化性組成物を十分に硬化させても硬化部の発色を十分には抑制できないため非画像部がやや着色してしまい、コントラストが悪くなる傾向がある。
【0005】非画像部の着色の無い、より好ましい記録材料としては、たとえば、特開昭61−123838号公報に開示されているごとく、酸性基を有するビニルモノマーと光重合開始剤からなる光重合性組成物を含有する層と隔離層と電子供与性の無色染料からなる層を積層した記録材料が知られている。この記録材料の場合、非画像部すなわち光重合部により硬化した部分の酸性基の熱拡散性がほぼ無くなるため非画像部の着色は無くなるが、発色濃度がやや低い。同様の方式でネガ画像を得る方法としては、たとえば、特開昭60−119552号公報に開示されている方法がある。色素を漂白するモノマーまたはプレポリマーと光重合開始剤からなる光重合性組成物とモノマーもしくはプレポリマーにより漂白される色素を隔離して存在させる記録材料を用いる方法である。この記録材料も前述の記録材料と同様の欠点がある。
【0006】この非画像部の着色と低画像濃度を克服し得る好ましい記録材料として、本出願人は、先に特開平3−87827号及び、特開平4−211252号を提案した。前者の記録材料は一成分型感熱発色記録材料の2つの成分の一方をマイクロカプセルに内包させ、他方の成分を光硬化性組成物の硬化性化合物として、もしくは、他方の成分を光硬化性組成物と共にマイクロカプセル外に配置した記録材料であり、後者の記録材料は、マイクロカプセル外に電子受容性化合物、重合性のビニルモノマーと光重合開始剤を含有する光硬化性組成物を配置し、電子供与性の無色染料を内包するマイクロカプセルとを含有する層を塗設した記録材料である。
【0007】これらの記録材料は、いずれもUV光、短波可視光を用いるものであって、前記の多重露光記録方法のビーム光源として好適な、小型、安価な長波可視光、赤外レーザー等の光源を用いることはできなかった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、低出力の赤外レーザー光、緑〜赤色レーザー光等の光源を用いても、感度、コントラスト、画像品質に優れた記録を行うことができ、現像液等の使用が不要で、不要な廃棄物の発生がない、完全ドライの白黒もしくはカラーの鮮明な画像を形成しうる感光感熱記録材料の記録方法を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明の発明者等は鋭意研究の結果、上記目的が、多重露光を特定の感光感熱記録材料、即ち、露光によりマイクロカプセル外にある乳化分散された光照射により硬化する組成物(以下、適宜、光硬化性組成物と称する)が硬化して固定化され、移動性を持った電子受容性化合物が加熱により記録材料内で移動してマイクロカプセル内の電子供与性の無色染料を発色させ画像を形成する感光感熱記録層を、支持体の少なくとも片面上に設けたことを特徴とする感光感熱記録材料、に適用することにより達成されることを見いだし、本発明を完成した。
【0010】即ち、本発明の感光感熱記録材料の記録方法は、感光感熱記録材料を露光して潜像を形成する記録方法であって、該感光感熱記録材料が、支持体上に設けた感光感熱記録層に、熱応答性マイクロカプセルに内包された電子供与性の無色染料と、熱応答性マイクロカプセルの外に、同一分子内に電子受容部と重合性ビニルモノマー部とを有する化合物及び有機ボレート塩化合物を含む感光感熱記録材料であり、露光に用いる光源が、該感光感熱記録材料を露光させ得るとともに、目標位置において、一方向のサイズが600μm以下となるスポットを形成し得る放射光源であり、まず、該感光感熱記録材料を目標位置に配置して、該放射光源により少なくとも一方向が600μm以下のスポットを形成するように、画像分布に従ってビームを照射し、該感光感熱記録材料に最初に照射したスポットに対して、引き続いて照射するビームからの少なくとも1つのスポットの少なくとも一部分が重なるように画像分布に従ってビームを照射することを特徴とする。
【0011】また、本発明の記録方法に用いられる別の感光感熱記録材料は、支持体上に感光感熱記録層を設けた感光感熱記録材料において、該感光感熱記録層が、熱応答性マイクロカプセルに内包された電子供与性の無色染料と、熱応答性マイクロカプセルの外に電子受容性顕色剤、重合性ビニルモノマー及び有機ボレート塩を含有することを特徴とする。
【0012】また、この有機ボレート塩は、カチオン性色素の有機ボレート塩であってもよい。
【0013】本発明の作用は、スポット状のビーム光源照射により、光照射により硬化する組成物である同一分子内に電子受容部と重合性ビニルモノマー部とを有する化合物又は電子受容性顕色剤と重合性ビニルモノマーを含有しており、光重合開始剤としての有機ボレート系化合物が反応してラジカルを発生させ、これによって重合性ビニルモノマーが硬化して潜像を形成する際に、複数のスポット状ビーム光照射が重複する部分に特に反応が促進されるため、形成された潜像の特性にしたがって電子受容性の化合物が電子供与性の無色染料と反応することにより、従来に比較して、特にコントラストの良好な画像を形成するものと推定される。
【0014】
【発明の実施の形態】以下に、本発明をさらに詳細に説明する。
【0015】本発明の記録方法については、例えば、WO95/31754号等に詳細に記載されている。
【0016】即ち、潜像形成のレーザービーム照射において、(1) 目標位置において、高さ又は長さの少なくとも1つが600μm以下のサイズとなるスポットを形成する放射光源によりビームを供給し、(2) 該光源に感光する記録材料を該目標位置に供給し、(3) 最初にその記録材料を長さ又は幅の少なくとも1 つが250μm以下のサイズとなるスポットを形成する放射光源により、画像分布に従って照射し、(4) 該記録材料を最初に照射したスポットに対して、二番目に照射したビームからの少なくとも幾つかのスポットがオーバーラップするように、画像分布に従って照射する技術や、記録材料を露光して該材料に潜像を形成する方法であって、(1) 該材料を感光させ得る放射光源で材料を露光し、(2) 該材料を一方向のサイズが600μm以下の複数小領域で照射し、少なくとも1つの該小領域の総エネルギーの少なくとも10%という意味において、該材料の個々の小領域の少なくとも10%を他の1つの小領域とオーバーラップさせる技術などを根幹とするものである。
【0017】本発明の記録方法に用いられる光源は、エネルギー効率の観点からは、非干渉性のコヒーレント放射であることが好ましい。具体的には、レーザーやレーザーダイオードなどが挙げられる。感光感熱記録材料を記録要素として用いる場合には、通常は、処理速度を上げるために露光時間を短縮すると、高出力のレーザーダイオードが必要となり、装置の複雑化やコストの上昇をまねく。このため、本発明においては、この光源としてスポット照射が可能なビーム光源を用い、複数回の照射における各スポットの一部が重なるように照射することにより、低い出力の光源による高感度の潜像形成を実現した。
【0018】光源のスポット照射に着目すれば、図1に示すように、スポットは照射の広さ方向にエネルギーの分布を有する。各スポットは画像データより生成され、高密度の情報領域中に存在する各スポットが、他のスポットと少なくともその一部が重なるように画像データが照射光源の照射条件を制御して駆動するものである。
【0019】この重なりの形成は、ビーム光源の形成するスポットの走査における水平方向であっても、垂直方向であっても、その双方であってもよい。このスポット走査の重なりは、単位スポット当たりのエネルギーの必要量を減少させ、且つ、これら複数のスポットの重なりから形成される画像の光学濃度は、より高エネルギーの単光源からのエネルギー照射よりも大きくなる。
【0020】ここで、多重露光に用いられる光源は公知のビーム光源を選択して用いることができるが、特に、透明な感光感熱記録フィルム材料を記録要素として用いる場合には、高周波変調を使用することが好ましい。光重合性フォトサーモグラフィー材料の如く強力なレーザーダイオードと高い駆動電流とを必要とする記録要素に適用するのに高周波ドライバー構造はより複雑になり、また、その最適化は画質にとっても重要となる。
【0021】レーザーやレーザーダイオードを光源として照射された単色光は、略均一な幅のビームを有し、同じ形状のスポット照射を実現しうるが、実際に画像を形成するに当たっては、問題点も有する。即ち、コヒーレント光源は、複数のスポット又はパルスを発生させるために「オン−オフ」が、なされる。また、スポットの形状が光源から照射されたときの形とは違ってしまうことや、一つのスポットの中にエネルギー分布を生じたりすることも起る。
【0022】また、一つのピクセル(画素)の照射時間についていえば、0.01〜10マイクロ秒程度である。該画素に対する滞留時間(パルス速度)は、通常0.02〜100マイクロ秒の範囲にあり、もちろん、より多くの時間がかる場合は、より遅い速度の画像形成システムであることを示している。
【0023】これらの数値は、感熱記録要素、光源の種類、用いられるスペクトル吸収体、ハードウェア、ソフトウェア等が進歩してくることによって変りうる。
【0024】画素に対する露光時間は、画像の焦点面に沿って移動するスポットの速度に依存し、スポット速度は1〜1000m/秒の範囲にある。また、光源からの出力電力は単数又は複数の光源からの画像要素の焦点面において、少なくとも600erg/cm2 のパルスを備えることが好ましい。光源からの出力電力は、通常400erg/cm2 と約4000erg/cm2 との範囲である。
【0025】本発明は本来デジタルではあるが、64〜512などの階調をもつ画像を形成し、見かけ上の連続階調画像が得られる。
【0026】ここで、スポットの重なりについて説明すれば、ビーム光源によるスポット照射は、露光領域の少なくとも10%が他のスポットと重なっていることが好ましく、スポット間の重なり領域が増加するほど、同じ光学濃度の画像を形成するのに要する光源の出力エネルギーを減少させることができる。図2は重なり合う2つのスポットの理論的なカーブを示すモデル図である。重複して斜線を施された領域が、2つのスポット同士の重なりを示し、これらのカーブが描く領域の面積で近似することができる。これらの重なりを説明するために、オーバーラップ係数を定義することができる。
【0027】オーバーラップ係数(Fo)=レーザースポット径(Ls)/副走査方向のスキャンピッチ(Ss)
このレーザースポット径(Ls)は半値全幅(FWHM)として測定することができる。また、副走査方向のスキャンピッチ(Ss)は重なり合う2つのスポットのピーク間の距離として測定できる。これらの詳細を図3に示す。
【0028】オーバーラップ係数(Fo)の最も有益である範囲は、エネルギーがガウス分布をもつような本発明を実施する場合、少なくとも0.3、さらには0.4、より好ましくは少なくとも0.5、最も好ましくは0.6と推定される。また、少なくとも0.7、0.8、0.9、1.00の値は非常に好ましいオーバーラップ係数(Fo)といえる。
【0029】非ガウス分布の場合において、0.1のオーバーラップ係数(Fo)でも有用な場合があるが、通常のガウス分布においては、オーバーラップ係数(Fo)0.3未満では、省エネルギー効果及び画質向上効果は不十分である。
【0030】さらに、この多重露出の利点について述べれば、画像要素の焦点面における一定の領域又は特定の画素において重複するスポットの数(N)と、焦点面における各々のパルスが有する総インパルスエネルギー(Ei)とで表される、複数のパルスの生成物及びパルス毎の総インパルスエネルギーは、一定の光学濃度における単露光のエネルギー(Eexp)に比較してもより少なく、以下の式が成り立つ。
【0031】N(多重露光)× Ei < Eexpこのように、ある画素領域で実施されるとき、ある決められた光学濃度を達成するための総エネルギーは、複数回の露光においては、1回の露光(単一パルス)におけるものより小さいことが確認された。例えば、単一の露光で、3.0のコントラストにおいて1.0の光学濃度を達成するのに、50000erg/cm2 のエネルギーを要したとき、この光学濃度を達成するのに5回の多重露光を行った場合に要するエネルギーは10000erg/cm2 未満(例えば、8000erg/cm2 )であった。
【0032】このように、多重露光を使用すれば、より低いエネルギーでより感度の高い画像記録を行うことができるが、これを適用する画像要素、即ち、感光感熱記録材料として下記の構成のものを使用することにより、本発明の効果は一層向上することが見いだされた。
【0033】以下に、本発明の記録方法に用いる感光感熱記録材料について説明する。本発明に係る感光感熱記録材料は、電子供与性化合物、重合性モノマーを含む光硬化性組成物、電子受容性化合物については、本発明の効果を損なわない限りにおいて、公知の化合物を任意に組み合わせて用いることができる。この重合性モノマーと電子受容性化合物はこれらの機能を併せ持つ一つの化合物であってもよい。なかでも、本発明に係わる記録材料の具体的な例としては、例えば、(1)特開平3−87827号明細書に記載されている、マイクロカプセル外に電子受容性部と重合性のビニルモノマー部を同一分子内に有する化合物と光重合開始剤を含有する光硬化性組成物を有し、且つ、マイクロカプセルに内包された電子供与性の無色染料を含有する記録層を塗設した記録材料を挙げることができる。この記録材料を露光するとマイクロカプセル外にある光硬化性組成物の露光された部位が重合して硬化し、固定化された潜像が形成され、その後、加熱すると固定化されなかった部分に存在する電子受容性化合物が記録材料内で移動してマイクロカプセル内の電子供与性の無色染料を発色させる。従って、この場合には、固定化された潜像部分は発色せず、固定化されなかった部分のみが発色して、良好なコントラストのポジ色画像を形成することがてきる。
【0034】更に、同様の本発明の記録材料に係わる方法を用いてネガ画像を形成することができる。この方法の具体的な例としては、例えば、(2)特開平4−211252号明細書中に記載されているマイクロカプセル外に電子受容性化合物と重合性のビニルモノマーと光重合開始剤を含有する光硬化性組成物とを有し、且つ、マイクロカプセルに内包された電子供与性の無色染料を含有する記録層を塗設した記録材料を挙げることができる。この記録材料は露光された部分が発色し、未露光部分は発色せずに、良好なコントラストのネガ画像を形成する。この機構は明確ではないが、露光するとマイクロカプセル外にある光硬化性組成物の露光された部位のビニルモノマーが重合されるが、この場合、共存する露光部の電子受容性化合物(顕色剤)は形成された重合体には取り込まれず、むしろビニルモノマーとの相互作用が減少し、移動可能で且つ、拡散速度が向上した状態で存在することになる。一方、未露光部の電子受容性化合物は共存するビニルモノマーにトラップされて存在する。従って、露光部の電子受容性化合物のみが優先的に加熱により、記録材料内で移動してマイクロカプセル内の電子供与性の無色染料を発色させ、未露光部の電子受容性化合物は加熱時においてもカプセル壁を透過できず電子供与性の無色染料を発色させることはないためと考えられる。
【0035】以上述べたごとく、様々な方法を用いて、本発明に係る記録材料である「露光により光硬化性組成物に潜像が形成され、加熱により発色もしくは消色に関わる成分がその潜像に応じて記録材料内で移動して色画像を形成する感光感熱記録材料」を作成することができる。これらの記録材料に用いる感光感熱層は上述の構成に限定されるものではなく、目的に応じて様々な構成をとることができる。また、本発明に用いる記録材料は単色の所謂白黒の記録材料であっても、多色の記録材料であってもよい。多色の記録材料の場合は、例えば、異なる色相に発色する電子供与性無色染料を含有するマイクロカプセルと異なる波長の光に感光する光硬化性組成物を各層に含む多層の記録材料の構成を用いることができる。例えば、シアンに発色する電子供与性無色染料を含有するマイクロカプセルと波長λ1に感光する光硬化性組成物を含有した層を支持体上に設け、その上にマゼンタに発色する電子供与性無色染料を含有するマイクロカプセルと波長λ2に感光する光硬化性組成物を含有した層を設け、その上にイエローに発色する電子供与性無色染料を含有するマイクロカプセルと波長λ3に感光する光硬化性組成物を含有した層を設けた構成、更に各層の間に中間層を設けた構成、更にこの中間層中に該中間層の上層の感光層の感応波長域の光を吸収するフィルター用色素を含有する構成等を用いることができる。
【0036】多色の記録材料の場合、中間層中に色素フィルターを含有する構成が特に好ましい。その構成としては、例えば、シアンに発色する電子供与性無色染料を含有するマイクロカプセルと波長λ1に感光する光硬化性組成物とを含有した層を支持体上に設け、その上に波長λ1より短波の光を吸収する化合物を含有する中間層を設け、その上にマゼンタに発色する電子供与性無色染料を含有するマイクロカプセルと波長λ2に感光する光硬化性組成物とを含有した層を設け、その上に波長λ2より短波の光を吸収する化合物を含有する中間層を設け、その上にイエローに発色する電子供与性無色染料を含有するマイクロカプセルと波長λ3に感光する光硬化性組成物とを含有した層を設け、更にその上に保護層を設けた構成がある。
【0037】本発明に用いる主にポジ型記録材料で用いられる電子受容性でかつ重合性のビニルモノマーとしては、一分子中に電子受容性基とビニル基とを含有する化合物を用いることができる。
【0038】このような化合物としては、例えば特開昭63−173682号に記載されているヒドロキシ基を有する安息香酸のメタアクリロキシエチルエステルや同様の合成法で合成できるアクリロキシエチルエステルや同59−83693号、同60−141587号、同62−99190号に記載されているヒドロキシ基を有する安息香酸とヒドロキシメチルスチレンとのエステルや欧州特許29323号に記載されているヒドロキシスチレンや特開昭62−167077号、同62−16708号に記載されているハロゲン化亜鉛のN−ビニルイミダゾール錯体や同63−317558号に記載されている顕色剤モノマー等を参考にして合成できる様々な化合物が使用できる。
【0039】具体例としては例えば、スチレンスルホニルアミノサリチル酸、ビニルペンジルオキシフタル酸、β−メタクリロキシエトキシサリチル酸亜鉛、β−アクリロキシエトキシサリチル酸亜鉛、ビニロキシエチルオキシ安息香酸、β−メタクリロキシエチルオルセリネート、β−アクリロキシエチルオルセリネート、β−メタクリロキシエトキシフェノール、β−アクリロキシエトキシフェノール、β−メタクリロキシエチル−β−レゾルシネート、β−アクリロキシエチル−β−レゾルシネート、ヒドロキシスチレンスルホン酸−N−エチルアミド、β−メタクリロキシプロピル−p−ヒドロキシベンゾエート、β−アクリロキシプロビル−p−ヒドロキシベンゾエート、メタクリロキシメチルフェノール、アクリロキシメチルフェノール、メタクリルアミドプロパンスルホン酸、アクリルアミドプロパンスルホン酸、β−メタクリロキシエトキシ−ジヒドロキシベンゼン、β−アクリロキシエトキシ−ジヒドロキシベンゼン、γ−スチレンスルホニルオキシ−β−メタクリロキシプロパンカルボン酸、γ−アクリロキシプロピル−α−ヒドロキシエチルオキシサリチル酸、β−ヒドロキシエトキシカルボニルフェノール、β−メタクリロキシエチル−p−ヒドロキシシンナメート、β−アクリロキシエチル−p−ヒドロキシシンナメート、3,5ジスチレンスルホン酸アミドフェノール、メタクリロキシエトキシフタル酸、アクリロキシエトキシフタル酸、メタクリル酸、アクリル酸、メタクリロキシエトキシヒドロキシナフトエ酸、アクリロキシエトキシヒドロキシナフトエ酸、3−β−ヒドロキシエトキシフェノール、β−メタクリロキシエチル−p−ヒドロキシベンゾエート、β−アクリロキシエチル−p−ヒドロキシベンゾエート、β’−メタクリロキシエチル−β−レゾルシネート、β−メタクリロキシエチルオキシカルボニルヒドロキシ安息香酸、β−アクリロキシエチルオキシカルボニルヒドロキシ安息香酸、N,N’−ジ−β−メタクリロキシエチルアミノサリチル酸、N,N’−ジ−β−アクリロキシエチルアミノサリチル酸、N,N’−ジ−β−メタクリロキシエチルアミノスルホニルサリチル酸、N,N’−ジ−β−アクリロキシエチルアミノスルホニルサリチル酸などやこれらの金属塩例えば亜鉛塩を好ましく用いる事ができる。
【0040】本発明に係る記録材料に好適に用いられる光重合開始剤としては、前記のビニルモノマーの光重合を開始し得る化合物であって、緑色、赤色乃至赤外吸収色素と併用したときに、該波長領域に感度を有し、光照射によりラジカルを発生するとされる(特開昭62−143044号)有機ボレート塩化合物又はカチオン性色素の有機ボレート塩を挙げることができる。
【0041】本発明に係る記録材料においては、その記録層が有機ボレート塩系の化合物を含有しており、この有機ボレート塩が照射されたレーザー光に基づき、ラジカルを発生し、このラジカルが光照射により硬化する組成物中に含有される重合性モノマー重合を開始させ、形成された重合体が潜像となる。
【0042】次に、本発明に係る記録材料に用いられる有機ボレート塩について説明する。本発明に係る記録材料において用いられる化合物は有機ボレート塩系化合物であり、好ましくは、下記一般式(1)で表される有機ボレート塩である。この化合物は好ましくは分光増感色素と組み合わせて用いられる。
【0043】
【化3】


【0044】ここで、Mは、アルカリ金属原子、第4級アンモニウム、ピリジニウム、キノリニウム、ジアゾニウム、モルホリニウム、テトラゾリウム、アクリジニウム、ホスホニウム、スルホニウム、オキソスルホニウム、硫黄、酸素、炭素、ハロゲニウム、Cu、Ag、Hg、Pd、Fe、Co、Sn、Mo、Cr、Ni、As、Seを、nは1〜6の整数を表し、R1 、R2 、R3 およびR4 は同じでも異なっていてもよく、ハロゲン原子、置換または未置換のアルキル基、置換または未置換のアリール基、置換または未置換のアラルキル基、置換または未置換のアルカリール基、置換または未置換のアルケニル基、置換または未置換のアルキニル基、置換または未置換のアリサイクリック基、置換または未置換の複素環基、置換または未置換のアリル基、置換または未置換のシリル基から選ばれる基であり、R1 、R2 、R3 およびR4 は、その2個以上の基が結合して環状構造を形成していてもよい。
【0045】ボレートアニオンの好適な例としては、例えば、テトラメチルボレート、テトラエチルボレート、テトラブチルボレート、トリイソブチルメチルボレート、ジ−n−ブチル−ジ−t−ブチルボレート、テトラ−n−ブチルボレート、テトラフェニルボレート、テトラ−p−クロロフェニルボレート、テトラ−m−クロロフェニルボレート、トリ−m−クロロフェニル−n−ヘキシルボレート、トリフェニルメチルボレート、トリフェニルエチルボレート、トリフェニルプロピルボレート、トリフェニル−n−ブチルボレート、トリメシチルブチルボレート、トリトリルイソプロピルボレート、トリフェニルベンジルボレート、テトラフェニルボレート、テトラベンジルボレート、トリフェニルフェネチルボレート、トリフェニル−p−クロロベンジルボレート、トリフェニルエテニルブチルボレート、ジ(α−ナフチル)−ジプロピルボレート、トリフェニルシリルトリフェニルボレート、トリトルイルシリルトリフェニルボレート、トリ−n−ブチル(ジメチルフェニルシリル)ボレート等が挙げられる。
【0046】本発明の一般式(1)で表される有機ボレート塩の具体例を以下に挙げる。但し、本発明の効果は以下の化合物に限定されるものではない。
【0047】
【化4】


【0048】
【化5】


【0049】
【化6】


【0050】また、本発明における有機ボレート塩は緑色〜赤色域及び赤外吸収色素と併用されることが、レーザーの吸収効率を高めるという観点から、好ましい。
【0051】本発明において、所望により前記有機ボレート塩と併用される最大吸収波長を500〜1100nmの波長領域に有する赤外吸収色素としては、カチオン性色素が挙げられ、カチオン性のメチン染料、ポリメチン染料、トリアリールメタン、インドリン、アジン、キサンテン、オキサジンおよびアクリジン染料から選ばれた染料であることが好ましい。
【0052】また、さらに該カチオン性色素が、カチオン性のシアニン、ヘミシアニン、ローダミンおよびアザメチン色素より選ばれた染料であることが好ましい。
【0053】本発明に用いることのできるカチオン性色素(分光増感色素)としては、500nm以上の波長領域、好ましくは500〜1100nmの波長領域に吸収ピークを有する有機カチオン性色素なら何れも好ましく用いることができる。
【0054】本発明で用い得る有機カチオン性色素としては、例えば、カチオン性メチン色素、カチオン性カルボニウム色素、カチオン性キノンイミン色素、カチオン性インドリン色素、カチオン性スチリル色素が挙げられ、さらに、カチオン性のメチン色素としては、好ましくはポリメチン色素、シアニン色素、アゾメチン色素、更に好ましくはシアニン、カルボシアニン、ジカルボシアニン、トリカルボシアニン、ヘミシアニン等が、カチオン性のカルボニウム色素としては、好ましくはトリアリールメタン色素、キサンテン色素、アリクジン色素、更に好ましくはローダミン等が、カチオン性のキノンイミン色素としては、好ましくはアジン色素、オキサジン色素、チアジン色素、キノリン色素、チアゾール色素等から選ばれた色素が挙げられ、これらは一種又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
【0055】これらの500nm以上の波長領域に吸収ピークを有する有機カチオン性色素化合物としては多くのものが知られている。例えば、「機能性色素の化学」1981年、CMC出版社、393頁〜416頁や「色材」、60〔4〕212−224(1987)等に記載の色素を参照することができる。
【0056】次に、本発明に係る記録材料に光重合開始剤として好適に用いられる他の有機ボレート塩であるカチオン性色素の有機ボレート塩について説明する。本発明に係わるカチオン性色素の有機ボレート塩は、好ましくは、下記一般式(2)で表される化合物である。
【0057】
【化7】


【0058】ここで、D+ はカチオン性色素を表し、R1 、R2 、R3 およびR4 は同じでも異なっていてもよく、ハロゲン原子、置換または未置換のアルキル基、置換または未置換のアリール基、置換または未置換のアラルキル基、置換または未置換のアルカリール基、置換または未置換のアルケニル基、置換または未置換のアルキニル基、置換または未置換のアリサイクリック基、置換または未置換の複素環基、置換または未置換のアリル基、置換または未置換のシリル基から選ばれる基であり、R1 、R2 、R3 およびR4 は、その2個以上の基が結合して環状構造を形成していてもよい。
【0059】D+ で表されるカチオン性色素としては、カチオン性のメチン染料、ポリメチン染料、トリアリールメタン、インドリン、アジン、キサンテン、オキサジンおよびアクリジン染料から選ばれた染料であることが好ましい。
【0060】また、さらに該カチオン性色素が、カチオン性のシアニン、ヘミシアニン、ローダミンおよびアザメチン色素より選ばれた染料であることが好ましい。
【0061】前記一般式(2)で表される有機カチオン性色素の有機ボレート塩は有機カチオン性色素と有機ホウ素化合物アニオンとを用い、欧州特許第223,587A1号に記載の方法を参考にして得ることができる。
【0062】本発明に用いることのできる一般式(2)中のD+ で表されるカチオン性色素(分光増感色素)としては、500nm以上の波長領域、好ましくは550〜1100nmの波長領域に吸収ピークを有する有機カチオン性色素なら何れも好ましく用いることができる。
【0063】本発明で用い得る有機カチオン性色素としては、例えば、カチオン性メチン色素、カチオン性カルボニウム色素、カチオン性キノンイミン色素、カチオン性インドリン色素、カチオン性スチリル色素が挙げられ、さらに、カチオン性のメチン色素としては、好ましくはポリメチン色素、シアニン色素、アゾメチン色素、更に好ましくはシアニン、カルボシアニン、ジカルボシアニン、トリカルボシアニン、ヘミシアニン等が、カチオン性のカルボニウム色素としては、好ましくはトリアリールメタン色素、キサンテン色素、アリクジン色素、更に好ましくはローダミン等が、カチオン性のキノンイミン色素としては、好ましくはアジン色素、オキサジン色素、チアジン色素、キノリン色素、チアゾール色素等から選ばれた色素が挙げられ、これらは一種又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
【0064】これらの500nm以上の波長領域に吸収ピークを有する有機カチオン性色素化合物としては多くのものが知られている。例えば、「機能性色素の化学」1981年、CMC出版社、393頁〜416頁や「色材」、60〔4〕212−224(1987)等に記載の色素を参照することができる。
【0065】本発明の一般式(2)で表される有機カチオン性色素化合物の有機硼素化合物アニオン塩(有機ボレート塩)の具体例を以下に挙げる。但し、本発明の効果は以下の化合物に限定されるものではない。
【0066】
【化8】


【0067】
【化9】


【0068】
【化10】


【0069】
【化11】


【0070】
【化12】


【0071】
【化13】


【0072】光重合開始剤の含有量は、光硬化性組成物の全重量基準で、好ましくは0.01〜20重量%、そしてより好ましくは0.2〜15重量%であり、最も好ましい含有量は1〜10重量%である。0.01重量%未満では感度が不足し、10重量%を越えると感度の増加は期待できない。
【0073】また、さらに本発明においては、分光増感色素や前記有機ボレート塩と共に、下記一般式(3)、一般式(4)で表される、分子内に活性ハロゲン基を有する化合物の如き助剤を適宜、併用することができる。
【0074】
【化14】


【0075】前記一般式(3)中、Xはハロゲン原子を表す。Y1 は−CX3 、−NH2 、−NHR、−NR2 、−ORを表す。ここで、Rはアルキル基、置換アルキル基、アリール基、置換アリール基を表す。また、Y2 は−CX3 、アルキル基、置換アルキル基、アリール基、置換アリール基、置換アルケニル基を表す。置換基は、一般式(3)自身であっても良い。
【0076】
【化15】


【0077】前記一般式(4)中、Xはハロゲン原子を表す。Y3 、Y4 は同じでも異なっても良く、水素原子又はハロゲン原子を表す。また、Zは下記式で示す基を表す。
【0078】
【化16】


【0079】ここで、R’は水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、置換アルキル基、アリール基、置換アリール基、置換アルケニル基、複素環基、置換複素環基を表す。
【0080】前記一般式(3)で表される化合物としては、若林ら著、ブリティン オブケミカル ソサエティ ジャパン(Bull, Chem, Soc, Japan)42巻、2924頁(1969年)記載の化合物、具体的には、例えば、2−フエニル−4,6−ビス(トリクロルメチル)−S−トリアジン、2−(p−クロルフェニル)−4,6−ビス(トリクロルメチル)−S−トリアジン、2−(p−トリル)−4,6−ビス(トリクロルメチル)−S−トリアジン、2−(p−メトキシフエニル)−4,6−ビス(トリクロルメチル)−S−トリアジン、2−(2’,4’−ジクロルフエニル)−4,6−ビス(トリクロルメチル)−S−トリアジン、2,4,6−トリス(トリクロルメチル)−S−トリアジン、2−メチル−4,6−ビス(トリクロルメチル)−S−トリアジン、2−n−ノニル−4,6−ビス(トリクロルメチル)−S−トリアジン、2−(α,α,β−トリクロルエチル)4,6−ビス(トリクロルメチル)−S−トリアジン等が挙げられる。その他、英国特許1388492号明細書記載の化合物、例えば、2−スチリル−4,6−ビス(トリクロルメチル)−S−トリアジン、2−(p−メチルスチリル)−4,6−ビス(トリクロルメチル)−S−トリアジン、2−(p−メトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロルメチル)−S−トリアジン、2−(p−メトキシスチリル)−4−アミノ−6−トリクロルメチル−S−トリアジン等、特開昭53−133428号明細書記載の化合物、たとえば、2−(4−メトキシ−ナフト−1−イル)−4,6−ビス−トリクロルメチル−S−トリアジン、2−(4−エトキシ−ナフト−1−イル)−4,6−ビス−トリクロルメチル−S−トリアジン、2−〔4−(2−エトキシエチル)−ナフト−1−イル〕−4,6−ビス−トリクロルメチル−S−トリアジン、2−(4,7−ジメトキシ−ナフト−1−イル〕−4,6−ビス−トリクロルメチル−S−トリアジン、2−(アセナフト−5−イル)−4,6−ビス−トリクロルメチル−S−トリアジン等、独国特許3337024号明細書記載の化合物、例えば、下記構造式で表される化合物等を挙げることができる。
【0081】
【化17】


【0082】その他の化合物として下記構造式で表される化合物等も助剤として用いることができる。
【0083】
【化18】


【0084】また、F.C.Schaefer等によるジャーナルオブ オーガニック ケミストリィ(J.Org.Chem.)29巻、1527頁(1964年)記載の化合物、例えば、2−メチル−4,6−ビス(トリブロムメチル)−S−トリアジン、2,4,6−トリス(トリブロムメチル)−S−トリアジン、2,4,6−トリス(ジブロムメチル)−S−トリアジン、2−アミノ−4−メチル−6−トリブロムメチル−S−トリアジン、2−メトキシ−4−メチル−6−トリクロルメチル−S−トリアジン等を挙げることができる。
【0085】さらに特願昭60−198868号明細書記載の化合物、例えば、下記構造式で表される化合物等を挙げることができる。
【0086】
【化19】


【0087】
【化20】


【0088】本発明に係る記録材料に助剤として前記一般式(3)で表される化合物を用いる場合、Y1 が−CX3 である化合物を用いた場合が特に好ましい。
【0089】本発明ので用いられる一般式(3)の化合物は当業者に公知の方法で合成することができる。具体的にはブリティン オブ ケミカル ソサエティ ジャパン(Bull, Chem, Soc, Jpn)42巻、2924頁(1969年)を参考にして、例えば、下記構造の化合物を得ることができる。
【0090】
【化21】


【0091】また、DE2718259号(願番)の記載を参照して、例えば、下記構造の化合物を得ることができる。
【0092】
【化22】


【0093】さらに米国特許4619998号を参考にして、例えば、下記構造の化合物を得ることができる。
【0094】
【化23】


【0095】を得ることができる。また、本発明において、分光増感色素の助剤として用いられる活性ハロゲン基を有する前記一般式(4)で表される化合物としては、特公昭51−8330号明細書記載の化合物、具体的には、例えば、四塩化炭素、四臭化炭素、ヨードホルム、p−ニトロ−α,α,α−トリブロモアセトフエノン、ω,ω,ω−トリブロモキナルジン、トリブロモメチルフエニルスルホン、トリクロロメチルフエニルスルホン等を挙げることができる。また特公昭49−12180号明細書記載の化合物、例えば、下記構造の化合物を挙げることができ、
【0096】
【化24】


【0097】
【化25】


【0098】さらに、特開昭60−138539号明細書記載の化合物、例えば、下記構造の化合物を挙げることができる。
【0099】
【化26】


【0100】以下に本発明に好ましく用いることのできる活性ハロゲン基を有する化合物の例を挙げる。いうまでもなく、本発明はこれらの化合物に限定されるものではない。
【0101】
【化27】


【0102】
【化28】


【0103】また、分光増感色素1モルに対し、一般式(3)又は(4)で示される化合物は、0.01〜20モル、好ましくは0.1〜10モル添加することが好ましい。
【0104】本発明に係る記録材料は、高感度でかつ赤外光に感度を有するが、更に潜像形成を促進するための助剤として、還元剤、例えば酸素除去剤(oxygen scavenger)及び活性水素ドナーの連鎖移動剤、その他の化合物を併用することもできる。
【0105】本発明に係る記録材料に、潜像形成を促進するための助剤として有用であることの見いだされている酸素除去剤は、ホスフイン、ホスホネート、ホスフアイト、第1錫塩及び、酸素により容易に酸化されるその他の化合物である。具体的には、例えばN−フエニルグルシン、トリメチルバルビツール酸、N,N−ジメチル−2,6−ジイソプロピルアニリン、N,N,N−2,4,6−ペンタメチルアニリン等である。また、以下に示すようなチオール類、チオケトン類、ロフインダイマー化合物、ヨードニウム塩類、スルホニウム塩類、アジニウム塩類、有機過酸化物等も助剤として有用である。
【0106】チオール類としては、
【0107】
【化29】


【0108】チオケトン類としては、
【0109】
【化30】


【0110】
【化31】


【0111】ロフインダイマー化合物としては、
【0112】
【化32】


【0113】ヨードニウム塩類としては、
【0114】
【化33】


【0115】スルホニウム塩類としては、
【0116】
【化34】


【0117】アジニウム塩類としては、
【0118】
【化35】


【0119】有機過酸化物としては、
【0120】
【化36】


【0121】等を用いることができる。また、本発明に用いるネガの記録材料の光硬化性組成物には電子受容性化合物を用いることが好ましい。また、ポジの記録材料中の光硬化性組成物中には必要に応じてこの電子受容性化合物を添加することができ、この添加により発色濃度が向上する。電子受容性化合物としては、フェノール誘導体、サリチル酸誘導体、芳香族カルボン酸の金属塩、酸性白土、ペントナイト、ノボラック樹脂、金属処理ノボラック樹脂、金属錯体などが挙げられる。これらの例は特公昭40−9309号、特公昭45−14039号、特開昭52−140483号、特開昭48−51510号、特開昭57−210886号、特開昭58−87089号、特開昭59−11286号、特開昭60−176795号、特開昭61−95988号等に記載されている。これらの一部を例示すれば、フェノール性化合物としては、2,2’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、4−t−ブチルフェノール、4−フェニルフェノール、4−ヒドロキシジフェノキシド、1,1’−ビス(3−クロロ−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1’−ビス(3−クロロ−4−ヒドロキシフェニル)−2−エチルブタン、4,4’−sec−イソオクチリデンジフェノール、4,4’−sec−ブチリデンジフェノール、4−tert−オクチルフェノール、4−p−メチルフェニルフェノール、4,4’−メチルシクロヘキシリデンフェノール、4,4’−イソペンチリデンフェノール、p−ヒドロキシ安息香酸ベンジル等がある。サリチル酸誘導体としては4−ペンタデシルサリチル酸、3,5−ジ(α−メチルベンジル)サリチル酸、3,5−ジ(tert−オクチル)サリチル酸、5−オクタデシルサリチル酸、5−α−(p−α−メチルベンジルフェニル)エチルサリチル酸、3−α−メチルベンジル−5−tert−オクチルサリチル酸、5−テトラデシルサリチル酸、4−ヘキシルオキシサリチル酸、4−シクロヘキシルオキシサリチル酸、4−デシルオキシサリチル酸、4−ドデシルオキシサリチル酸、4−ペンタデシルオキシサリチル酸、4−オクタデシルオキシサリチル酸等、及びこれらの亜鉛、アルミニウム、カルシウム、銅、鉛塩がある。これらの電子受容性化合物を併用する場合は電子供与性無色染料の5−1000重量%使用することが好ましい。
【0122】本発明に用いるネガ記録材料の光硬化性組成物には分子内に少なくとも1個のビニル基を有するモノマーを使用する事が出来る。例えばアクリル酸及びその塩、アクリル酸エステル類、アクリルアミド類;メタクリル酸及びその塩、メタクリル酸エステル類、メタクリルアミド類;無水マレイン酸、マレイン酸エステル類;イタコン酸、イタコン酸エステル類;スチレン類;ビニルエーテル類;ビニルエステル類;N−ビニル複素環類;アリールエーテル類;アリルエステル類等を用いることができる。これらの中で特に分子内に複数のビニル基を有するモノマーが好ましく、例えば、トリメチロールプロパンやペンタエリスリトール等のような多価アルコール類のアクリル酸エステルやメタクリル酸エステル;レゾルシノール、ピロガロール、フロログルシノール等の多価フエノール類やビスフエノール類のアクリル酸エステルやメタクリル酸エステル;およびアクリレートまたはメタクリレート末端エポキシ樹脂、アクリレートまたはメタクリレート末端ポリエステル等がある。特に好ましい化合物の具体例としては、例えばエチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヒドロキシペンタアクリレート、ヘキサンジオール−1,6−ジメタクリレートおよびジエチレングリコールジメタクリレート等である。多感能モノマーの分子量については、約100〜約5000が好ましく、より好ましくは、約300〜約2000である。
【0123】これらの化合物の他に、光架橋性組成物として例えばポリケイ皮酸ビニル、ポリシンナミリデン酢酸ビニル、α−フェニルマレイミド基をもつ光硬化性組成物等を添加することができる。また、これらの光架橋性組成物を光硬化性成分として用いてもよい。
【0124】更に、これらの化合物の他に、光硬化性組成物の中には熱重合禁止剤を必要に応じて添加する事ができる。熱重合禁止剤は、光硬化性組成物の熟的な重合や経時的な重合を防止するために添加するもので、これにより光硬化性組成物の調製時や保存時の化学的な安定性を高めることができる。熱重合禁止剤の例として、p−メトキシフェノール、ハイドロキノン、t−ブチルカテコール、ピロガロール、2−ヒドロキシベンゾフェノン、4−メトキシ−2−ヒドロキシベンゾフェノン、塩化第一銅、フェノチアジン、クロラニル、ナフチルアミン、β−ナフトール、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ニトロベンゼン、ジニトロベンゼン、ピクリン酸、p−トルイジン等が挙げられる。熱重合禁止剤の好ましい添加量は、光硬化性組成物の全重量基準で0.001〜5重量%であり、より好ましくは、0.01〜1重量%である。0.001重量%未満では熱安定性が劣り、5重量%を越えると感度が低下する。
【0125】本発明に係る記録材料の光硬化性組成物は、乳化分散して感光感熱層の中に含有される。このとき、光硬化性組成物の中に含まれる各素材を溶解する溶媒としては、天然油もしくは合成油を用いることができる。これらの溶媒の例としては、綿実油、灯油、脂肪族ケトン、脂肪族エステル、パラフイン、ナフテン油、アルキル化ビフエニル、アルキル化ターフエニル、塩素化パラフイン、アルキル化ナフタレン及び1−フエニル−1−キシリルエタン、1−フエニル−1−p−エチルフエニルエタン、1,1’−ジトリルエタン等のごときジアリールエタン。フタール酸アルキルエステル(ジブチルフタレート、ジオクチルフタレート、ジシクロヘキシルフタレート等)、燐酸エステル(ジフエニルホスフエート、トリフエニルホスフエート、トリクレジルホスフェート、ジオクチルプチルホスフエート等)クエン酸エステル(例えばアセチルクエン酸トリブチル)、安息香酸エステル(例えば安息香酸オクチル)、アルキルアミド(例えばジエチルラウリルアミド)、トリメシン酸エステル(例えばトリメシン酸トリブチル)、酢酸エステル(酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸iso−プロピル、酢酸ブチル、酢酸tert−ブチル、酢酸s−ブチル等)、プロピオン酸エステル(例えばプロピオン酸エステル)、酪酸(イソ酪酸)エステル(例えば酪酸メチル)、アクリル酸(メタクリル酸)エステル(例えばアクリル酸メチル)、アルキルハライド(メチレンクロライド、四塩化炭素等)、三級ブチルアルコール、チメルイソブチルケトン、β−エトキシエチルアセテート、メチルセロソルブアセテート、シクロヘキサノン等がある。これらのうち、脂肪族エステル類、アルキルハライド類が好ましく、特に水への溶解度が10体積%以下のものがより好ましい。これらの溶媒は、重合性の電子受容性化合物に対して1〜500重量部の割合で用いるのが好ましい。
【0126】本発明の光硬化性組成物の乳化分散に用いることのできる水溶性高分子としては、25℃の水に対して5重量%以上溶解する化合物が好ましく、具体的には、ゼラチン、ゼラチン誘導体、アルブミン、カゼイン等の蛋白質、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等のセルロース誘導体、アルギン酸ソーダ、デンプン類(変成デンプンを含む)等の糖誘導体、アラビアゴムやポリビニルアルコール、スチレン−無水マレイン酸共重合体加水分解物、カルボキシ変成ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、酢酸ビニル−ポリアクリル酸共重合体のの鹸化物、ポリスチレンスルホン酸塩糖の合成高分子が挙げられる。これらの中ではゼラチン及びポリビニルアルコールが好ましい。
【0127】本発明に係る記録材料に係わる電子供与性無色染料は従来より公知のトリフエニルメタンフタリド系化合物、フルオラン系化合物、フエノチアジン系化合物、インドリルフタリド系化合物、ロイコオーラミン系化合物、ローダミンラクタム系化合物、トリフエニルメタン系化合物、トリアゼン系化合物、スピロピラン系化合物、フルオレン系化合物など各種の化合物を使用できる。フタリド類の具体例は米国再発行特許明細書第23,024号、米国特許明細書第3,491,111号、同第3,491,112号、同第3,491,116号および同第3,509,174号、フルオラン類の具体例は米国特許明細書第3,624,107号、同第3,627,787号、同第3,641,011号、同第3,462,828号、同第3,681,390号、同第3,920,510号、同第3959,571号、スピロジピラン類の具体例は米国特許明細書第3,971,808号、ピリジン系およびピラジン系化合物類は米国特許明細書第3,775,424号、同第3,853,869号、同第4,246,318号、フルオレン系化合物の具体例は特願昭61−240989号等に記載されている。
【0128】これらの一部を開示すれば、トリアリールメタン系化合物としては、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)フタリド、3−(p−ジメチルアミノフェニル)−3−(1,3−ジメチルインドール−3−イル)フタリド、3−(p−ジメチルアミノフェニル)−3−(2−メチルインドール−3−イル)フタリド、等があり、ジフェニルメタン系化合物としては、4,4’−ビス−ジメチルアミノベンズヒドリンベンジルエーテル、N−ハロフェニル−ロイコオーラミン、N−2,4,5−トリクロロフェニルロイコオーラミン等があり、キサンテン系化合物としては、ローダミン−B−アニリノラクタム、ローダミン−(p−ニトリノ)ラクタム、2−(ジペンジルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−ジブチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−N−エチル−N−イソアミルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−N−メチル−N−シクロヘキシルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−クロル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−N−エチル−N−イソプチルアミノフルオラン、2−アニリノ−6−ジブチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−N−メチル−N−テトラヒドロフルフリルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−ビペリジノアミノフルオラン、2−(o−クロロアニリノ)−6−ジエチルアミノフルオラン、2−(3,4−ジクロルアニリノ)−6−ジエチルアミノフルオラン、等があり、チアジン系化合物としては、ベンゾイルロイコンメチレンブルー、p−ニトロベンジルロイコメチレンブルー等があり、スピロ系化合物としては3−メチル−スピロ−ジナフトピラン、3−エチル−スピロ−ジナフトピラン3,3’−ジクロロ−スピロ−ジナフトピラン、3−ベンジルスピロ−ジナフトピラン、3−メチル−ナフト−(3−メトキシ−ベンゾ)スピロピラン、3−プロピル−スピロ−ジベンゾピラン等がある。特に、フルカラー記録材料に用いる場合、シアン、マゼンタ、イエロー用の電子供与性無色染料としては米国特許第4,800,149号等を、イエロー発色タイプとしては米国特許第4,800,148号等を、シアン発色タイプとしては特開平63−53542号等を参考にできる。
【0129】本発明に係る記録材料の電子供与性無色染料のマイクロカプセル化は当業界公知の方法を用いる事ができる。例えば米国特許第2800457号、同28000458号に見られるような親水性壁形成材料のコアセルペーションを利用した方法、米国特許第3287154号、英国特許第990443号、特公昭38−19574号、同42−446号、同42−771号に見られるような界面重合法、米国特許第3418250号、同3660304号に見られるポリマーの析出による方法、米国特許第3796669号に見られるイソシアネートポリオール壁材料を用いる方法、米国特許第3914511号に見られるイソシアネート壁材料を用いる方法、米国特許第4001140号、同4087376号、同4089802号に見られる尿素−ホルムアルデヒド系、尿素ホルムアルデヒド−レゾルシノール系壁形成材料を用いる方法、米国特許第4025455号に見られるメラミン−ホルムアルデヒド樹脂、ヒドロキシブロビルセルロース等の壁形成材料を用いる方法、特公昭36−9168号、特開昭51−9079号に見られるモノマーの重合によるin situ法、英国特許第952807号、同965074号に見られる電解分散冷却法、米国特許第3111407号、英国特許第930422号に見られるスプレードライング法等がある。これらに限定されるものではないが、芯物質を乳化した後マイクロカプセル壁として高分子膜を形成することが好ましい。
【0130】本発明に係る記録材料のマイクロカプセル壁の作り方としては特に油滴内部からのリアクタントの重合によるマイクロカプセル化法を使用する場合、その効果が大きい。即ち、短時間内に、均一な粒径を持ち、生保存性にすぐれた記録材料として好ましいカプセルを得ることができる。例えばポリウレタンをカプセル壁材として用いる場合には多価イソシアネート及び必要に応じてそれと反応しカプセル壁を形成する第2の物質(例えばポリオール、ポリアミン)をカプセル化すべき油性液体中に混合し水中に乳化分散し次に温度を上昇することにより、油滴界面で高分子形成反応を起こして、マイクロカプセル壁を形成する。このとき油性液体中に低沸点の溶解力の強い補助溶剤を用いることができる。この場合に、用いる多価イソシアネート及びそれと反応する相手のポリオール、ポリアミンについては米国特許第3281383号、同3773695号、同3793268号、特公昭48−40347号、同49−24159号、特開昭48−80191号、同48−84086号に開示されており、それらを使用することもできる。
【0131】多価イソシアネートとしては、例えば、m−フエニレンジイソシアネート、p−フエニレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、ナフタレン−1,4−ジイソシアネート、ジフエニルメタン−4,4−ジイソシアネート、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ビフエニル−ジイソシアネート、3,3’−ジメチルジフエニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、キシリレン−1,4−ジイソシアネート、4,4’−ジフエニルプロパンジイソシアネート、トリメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、プロピレン−1,2−ジイソシアネート、ブチレン−1,2−ジイソシアネート、シクロヘキシレン−1,2−ジイソシアネート、シクロヘキシレン1,4−ジイソシアネート等のジイソシアネート、4,4’,4’’−トリフエニルメタントリイソシアネート、トルエン−2,4,6−トリイソシアネートのごときトリイソシアネート、4,4’−ジメチルジフエニルメタン−2,2’,5,5’−テトライソシアネートのごときテトライソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートとトレメチロールプロパンの付加物、2,4−トリレンジイソシアネートとトリメチロールプロパンの付加物、キシリレンジイソシアネートとトリメチロールプロパンの付加物、トリレンジイソシアネートとヘキサントリオールの付加物のごときイソシアネートプレポリマーがある。
【0132】ポリオールとしては、脂肪族、芳香族の多価アルコール、ヒドロキシポリエステル、ヒドキシポリアルキレンエーテルのごときものがある。特開昭60−49991号に記載された下記のポリオールも用いられる。エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−プタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、プロピレングリコール、2,3−ジヒドロキシブタン、1,2−ジヒドロキシブタン、1,3−ジヒドロキシブタン、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、2,4−ペンタンジオール、2,5−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ベンタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジヒドロキシシクロヘキサン、ジエチレングリコール、1,2,6−トリヒドロキシヘキサン、2−フエニルプロピレングリコール、1,1,1−トリメチロールプロパン、ヘキサントリオール、ペンタエリスリトール、ペンタエリスリトールエチレンオキサイド付加物、グリセリンエチレンオキサイド付加物、グリセリン、1,4−ジ(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、レゾルシノールジヒドロキシエチルエーテル等の芳香族多価アルコールとアルキレンオキサイドとの縮合生成物、p−キシリレングリコール、m−キシリレングリコール、α,α’−ジヒドロキシ−p−ジイソプロピルベンゼン、4,4’−ジヒドロキシ−ジフエニルメタン、2−(p,p’−ジヒドロキシジフエニルメチル)ベンジルアルコール、ビスフェノールAにエチレンオキサイドの付加物、ビスフエノールAにプロピレンオキサイドの付加物等が挙げられる。ポリオールはイソシアネート基1モルに対して、水酸基の割合が0.02〜2モルで使用するのが好ましい。
【0133】ポリアミンとしてはエチレンジアミン、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、p−フエニレンジアミン、m−フエニレンジアミン、ピペラジン、2−メチルピペラジン、2,5−ジメチルピペラジン、2−ヒドロキシトリメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ジエチルアミノプロピルアミン、テトラエチレンペンタミン、エポキシ化合物のアミン付加物等が挙げられる。多価イソシアネートは水と反応して高分子物質を形成することもできる。
【0134】マイクロカプセルを作るときに、水溶性高分子を用いることができるがこの水溶性高分子は水溶性のアニオン性高分子、ノニオン性高分子、両性高分子のいずれでも良い。アニオン性高分子としては、天然のものでも合成のものでも用いることができ、例えば−COO−、−SO2 −基等を有するものが挙げられる。具体的なアニオン性の天然高分子としてはアラビヤゴム、アルギン酸、ベクチン等があり、半合成品としてはカルボキシメチルセルローズ、フタル化ゼラチンのごときゼラチン誘導体、硫酸化デンプン、硫酸化セルローズ、リグニンスルホン酸等がある。また、合成品としては無水マレイン酸系(加水分解したものも含む)共重合体、アクリル酸系(メタクリル酸系も含む)重合体及び共重合体、ビニルベンゼンスルホン酸系重合体及び共重合体、カルボキシ変成ポリビニルアルコール等がある。ノニオン性高分子としては、ポリビニルアルコール、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース等がある。両性の化合物としてはゼラチン等がある。これらの中ではゼラチン、ゼラチン誘導体、ポリビニルアルコールが好ましい。これらの水溶性高分子は0.01〜10重量%の水溶液として用いられる。本発明に係る記録材料に用いるカプセルの平均粒子径は20μm以下であり、特に解像度の点から5μm以下が好ましい。またカプセルが小さすぎる場合には一定固形分に対する表面積が大きくなり多量の壁剤が必要となる。このため0.1μm以上が好ましい。
【0135】本発明に係る記録材料に係る、電子供与性無色染料はマイクロカプセル中に溶液状態で存在してもよく、また、固体の状態で存在してもよい。溶液状態で電子供与性無色染料を存在させる場合は電子供与性無色染料を溶媒に溶解した状態でカプセル化すればよい。この時の溶媒の量は電子供与性無色染料100重量部に対して1〜500重量部の割合が好ましい。カプセル化の時に用いる溶媒としては、上述の光硬化性組成物の乳化に用いる溶媒と同様のものを用いることができる。また、マイクロカプセル化の時、電子供与性無色染料を溶解するための補助溶剤として揮発性の溶媒を他の溶媒と併用してもよい。この種の溶媒としては例えば、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、メチレンクロライド等が挙げられる。
【0136】本発明に係る記録材料では保護層中にマット剤を添加する事が好ましい。マット剤としては例えばシリカ、酸化マグネシウム、硫酸バリウム、硫酸ストロンチウム、ハロゲン化銀などの無機化合物及びポリメチルメタクリレート、ポリアクリロニトリル、ポリスチレンのごときポリマー粒子や、カルボキシ澱粉、コーン澱粉、カルボキシニトロフェニル澱粉などの澱粉粒子などがあり、粒子径が1−20μmのものが好ましい。これらのマット剤のなかではポリメチルメタクリレート粒子とシリカ粒子が特に好ましい。シリカ粒子としては例えばFUJI−DEVISON CHEMICAL LTD.製のサイロイドAL−1、65、72、79、74、404、620、308、978、161、162、244、255、266、150等が好ましい。マット剤の添加量としては2−500mg/m2 が好ましく、特に好ましくは5−100mg/m2 である。
【0137】本発明に係る記録材料では感光感熱層、中間層、保護層等本発明に係る記録材料の各層に硬化剤を併用することが好ましい。特に保護層中に硬化剤を併用し、保護層の粘着性を低減する事が好ましい。硬化剤としては例えば、写真感光材料の製造に用いられる「ゼラチン硬化剤」が有用であり、例えばホルムアルデヒド、グルタルアルデヒドのごときアルデヒド系の化合物、米国特許第3635718号その他に記載されている反応性のハロゲンを有する化合物、米国特許第3635718号その他に記載されている反応性のエチレン性不飽和結合をもつ化合物、米国特許第3017280号その他に記載されているアジリジン系化合物、米国特許第3091537号その他に記載されているエポキシ系化合物、ムコクロル酸のようなハロゲノカルボキシアルデヒド類、ジヒドロキシジオキサン、ジクロロジオキサン等ジオキサン類あるいは米国特許第3642486号や米国特許第3687707号に記載されているビニルスルホン類、米国特許第3841872号に記載されているビニルスルホンブレカーサー類、米国特許第3640720号に記載されているケトビニル類、あるいは又、無機硬化剤としてクロム明ばん、硫酸ジルコニウム、硼酸等を用いることができる。これらの硬化剤のなかで特に好ましい化合物は1,3,5−トリアクロイル−ヘキサヒドロ−s−トリアジンや1,2−ピスピニルスルホニルメタン、1,3−ビス(ビニルスルホニルメチル)プロパノール−2、ビス(α−ビニルスルホニルアセトアミド)エタン、2,4−ジクロロ−6−ヒドロキシ−s−トリアジン・ナトリウム塩、2,4,6−トリエチレニミノ−s−トリアジンや硼酸等の化合物である。添加量としてはバインダーに対して0.5−5重量%が好ましい。
【0138】このほか、保護層にはその粘着性には低下させるためにコロイダルシリカを添加してもよい。コロイダルシリカとしては例えば、日産化学製のスノーテックス20、スノーテックス30、スノーテックスC、スノーテックスO、スノーテックスN等が好ましい。添加量としてはバインダーに対して5−80重量%が好ましい。また保護層には本発明に用いる記録材料の白色度をあげるための蛍光増白剤やブルーイング剤としての青色染料を添加してもよい。
【0139】本発明に用いる記録材料の多色記録材料の場合、例えば、異なる色相に発色する電子供与性無色染料を含有するマイクロカプセルと異なる波長の光に感光する光硬化性組成物を各層に含む多層の記録材料の構成を用い、かつ、感光・感熱層の間にフィルター色素を含有する中間層を設けてもよい。中間層は主にバインダーとフィルター色素より成り、必要に応じて硬化剤やポリマーラテックス等の添加剤を含有することができる。
【0140】本発明に係る記録材料で用いるフィルター用色素は水中油滴分散法やポリマー分散法により乳化分散して所望の層とくに中間層に添加できる。水中油滴分散法では、沸点が例えば175℃以上の高沸点有機溶媒および例えば沸点が30℃以上160℃以下のいわゆる補助溶媒のいずれか一方の単独液または両者混合液に溶解した後、界面活性剤の存在下に水またはゼラチン水溶液またはポリビニルアルコール水溶液など水性媒体中に微細分散する。高沸点有機溶媒の例は米国特許第2,322,027号などに記載されている。更に、高沸点有機溶媒および補助溶媒の具体例としては前述のカプセル化時の溶媒と同じ溶媒を好ましく用いることができる。また、分散には転相を伴ってもよく、また必要におうじて補助溶媒を蒸溜、ヌーデル水洗または限外濾過法などによって除去または減少させてから塗布に使用してもよい。
【0141】ラテックス分散法の工程、硬化および含浸用のラテックスの具体例は米国特許第4,199,383号、西独特許出願(OLS)第2,541,274号および同第2,541,230号、特開昭49−74538号、同51−59943号、同54−32552号、各公報やResearch Disclosure,Vol.148,1976年8月、Item 14850などに記載されている。適当なラテックスとしては、例えばアクリル酸エステルもしくはメタクリル酸エステル(例えば、エチルアクリレート、n−ブチルアクリテート、n−ブチルメタクリレート、2−アセトアセトキシエチルメタクリレート等)と酸モノマー(例えばアクリル酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸等)の共重合ラテックスが好ましい。
【0142】本発明に係る記録材料において保護層、感光感熱層、中間層等本記録材料の各層のバインダーとしては、光硬化性組成物の乳化分散や、電子供与性無色染料のカプセル化に用いることのできる水溶性高分子の他、ポリスチレン、ポリビニルホルマール、ポリビニルブチラール、アクリル樹脂:例えばポリメチルアクリレート、ポリブチルアクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレートやそれらの共重合体、フェノール樹脂、スチレン−ブタジエン樹脂、エチルセルロース、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、等の溶剤可溶性高分子あるいはこれらの高分子ラテックスを用いることもできる。これらの中ではゼラチンおよびポリビニルアルコールが好ましい。
【0143】本発明の感光感熱記録材料の各層には塗布助剤、帯電防止、スベリ性改良、乳化分散、接着防止等種々の目的で、種々の界面活性剤を用いてもよい。界面活性剤としては例えば非イオン性界面活性剤であるサポニン、ポリエチレンオキサイド、ポリエチレンオキサイドのアルキルエーテル等ポリエチレンオキサイド誘導体やアルキルスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、アルキル硫酸エステル、N−アシル−N−アルキルタウリン類、スルホコハク酸エステル類、スルホアルキルポリオキシエチレナルキルフェニルエーテル類等のアニオン性界面活性剤、アルキルベタイン類、アルキルスルホベタイン類等の両性界面活性剤、脂肪族あるいは芳香族第4級アンモニウム塩類等のカチオン性界面活性剤を必要に応じ用いる事ができる。
【0144】本発明に係る記録材料には、これまで述べた添加剤を含め必要に応じて様々な添加剤を添加することができる。例えば、イラジエーションやハレーションを防止する染剤、紫外線吸収剤、可塑剤、蛍光増白剤、マット剤、塗布助剤、硬化剤、帯電防止剤や滑り性改良剤等の代表例はResearch Disclosure,Vol.176,1978年12月、Item 17643、および同Vol.187,1979年11月、Item 18716に記載されている。
【0145】本発明に係る記録材料の感光感熱用塗布液や前述の各層用の塗布液は必要に応じて溶媒中に溶解せしめ、所望の支持体上に塗布し、乾燥することにより本発明に係る記録材料が得られる。その場合に使用される溶媒としては、水、アルコール:例えばメタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、メチルセロソルプ、1−メトキシ−2−プロパノール;ハロゲン系の溶剤;例えばメチレンクロライド、エチレンクロライド:ケトン:例えばアセトン、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン:エステル:例えば、酢酸メチルセロソルブ、酢酸エチル、酢酸メチル:トルエン、キシレン等の単独物及びそれらの2種以上の混合物が例として挙げられる。これらの中では水が特に好ましい。
【0146】各層用の塗布液を支持体上に塗布するには、ブレードコーター、ロッドコーター、ナイフコーター、ロールドクターコーター、リバースロールコーター、トランスファーロールコーター、グラビアコーター、キスロールコーター、カーテンコーター、エクストルージョンコーター等を用いることができる。塗布方法としてはRcscarch Disclosurc,Vol.200,1980年12月,Item 20036 XV項を参考にできる。記録層の厚みとしては、0.1μmから50μmが適当である。
【0147】本発明に係る記録材料に適する支持体としては、紙、コーテイツドペーパー、ラミネート紙、合成紙等、ポリエチレンテレフタレートフイルム、3酢酸セルローズフイルム、ポリエチレンフイルム、ポリスチレンフイルム、ポリカーボネートフイルム等のフイルム、アルミニウム、亜鉛、銅等の金属板、これらの支持体表面に表面処理・下塗・金属蒸着処理等の各種処理を施したものを挙げることができる。更に、Research Disclosure,Vol.200,1980年12月、Item 20036 XVII項の支持体も参考にできる。また、必要に応じて表面にアンチハレーション層、裏面にスベル層、アンチスタチック層、カール防止層、粘着剤層等、目的に応じた層を設けることができる。
【0148】本発明に係る記録材料は、0.5〜3μmの領域の光により記録を行うことができるため、前記の記録方法に好適に使用しうる。ビーム光源としての好ましい具体例は、半導体レーザー発光ダイオード、キセノンランプ等の公知のものを適宜用いることができる。また、2種以上の分光色素を用い、2種以上の波長の異なる光源より照射することにより、前記した如き多色記録ができる。
【0149】本発明に係る記録材料は上記ビーム光源によるスポット露光の潜像形成と同時または露光後に熱現像処理を行うことができる。この熱現像処理における加熱方法としては従来公知の様々な方法を用いることができる。加熱温度は一般に80℃ないし200℃、好ましくは85℃ないし130℃である。加熱時間は1秒ないし5分、好ましくは3秒ないし1分である。本発明に係る記録材料は熱現像処理後には全面露光を行い非硬化部分も光硬化させる事が好ましい。全面露光により地肌部の発色反応と発色部の消色反応とが抑制されるため画像の保存性が向上する。
【0150】また、この記録材料には、前記の各記録方法と同様に、記録材料の全面を発色温度未満の所定温度に均一に予熱する過程を含むことにより、より感度の向上が見られるものである。
【0151】
【実施例】以下に、実施例を示し本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の実施例のみに限定されるものではない。文中で特に断りのない限り「%」は「重量%」を、「部」は「重量部」を意味する。
【0152】1.〔電子供与性無色染料カプセルの調製〕
1−a.電子供与性無色染料(1)カプセルの調製電子供与性無色染料(1)8.9gを酢酸エチル16.9gに溶解し、カプセル化剤であるタケネートD−110N(武田薬品工業株式会社製)20gとミリオネートMR200(日本ポリウレタン工業株式会社製)2gを添加した。この溶液を8%のフタル化ゼラチン42gと10%のドデシルベンゼンルスホン酸ナトリウム溶液1.4gの混合液に添加し、20℃で乳化分散し乳化液を得た。得られた乳化液に水14gと2.9%のテトラエチレンペンタミン水溶液72gを加え、攪拌しながら60℃に加温し、2時間後に電子供与性無色染料(1)を芯に含有した、平均粒径0.5μmのカプセル液を得た。
【0153】2.〔光硬化性組成物の乳化液の調製〕
2−a.光硬化性組成物(1)の乳化液の調製光重合開始剤(1)0.13gと分光増感色素(1)0.1gと酢酸イソプロピル(水への溶解度約4.3%)3gの混合溶液に重合性の電子受容性化合物(1)5gを添加した。この溶液を、13%ゼラチン水溶液13gと2%界面活性剤(1)水溶液0.8gと2%界面活性剤(2)水溶液0.8gとの混合溶液中に添加しホモジナイザー(日本精機株式会社製)にて10000回転で5分間乳化し、光硬化性組成物(1)の乳化液を得た。
【0154】2−b.光硬化性組成物(2)の乳化液の調製2−a.における分光増感色素(1)0.1gを分光増感色素(2)0.1gに変更した以外は2−a.と同じ方法により光硬化性組成物(2)の乳化液を得た。
【0155】2−c.光硬化性組成物(3)の乳化液の調製2−a.の分光増感色素(1)0.1gを分光増感色素(3)0.1gに変更した以外は2−a.と同じ方法により光硬化性組成物(3)の乳化液を得た。
【0156】2−d.光硬化性組成物(4)乳化液調製2−a.の光重合開始剤(1)0.13gの代りに光重合開始剤(2)0.13gに変更した以外は2−a.と同じ方法により光硬化性組成物(4)の乳化液を得た。
【0157】2−e.光硬化性組成物(5)の乳化液の調製光重合開始剤(1)0.2gと分光増感色素(1)0.2gと重合を促進するための助剤としてN−フェニルグリシンエチルエステル0.2gの酢酸エチル4g溶液に電子受容性化合物であるレゾルシン酸(1−メチル−2−フェノキシ)エチル10gとトリメチロールプロパントリアクリレートモノマー8gを添加した。この溶液を、15%ゼラチン水溶液19.2gと水4.8gと2%界面活性剤(1)水溶液0.8gと2%界面活性剤(2)水溶液0.8gとの混合溶液中に添加しホモジナイザー(日本精機株式会社製)にて10000回転で5分間乳化し、光硬化性組成物(5)の乳化液を得た。
【0158】以下に、重合性の電子受容性化合物(1)及び上記乳化液等の調製に用いた化合物の化学構造式を示す。
【0159】
【化37】


【0160】
【化38】


【0161】
【化39】


【0162】3.〔感光感熱層用塗布液の調製〕
3−a.感光感熱層(1)用塗布液の調製電子供与性無色染料(1)カプセル4gと光硬化性組成物(1)の乳化液12gと15%ゼラチン水溶液12gとを混合し感光感熱層(1)用塗布液を調製した。
【0163】3−b.感光感熱層(2)用塗布液の調製電子供与性無色染料(1)カプセル4gと光硬化性組成物(2)の乳化液12gと15%ゼラチン水溶液12gとを混合し感光感熱層(2)用塗布液を調製した。
【0164】3−c.感光感熱層(3)用塗布液の調製電子供与性無色染料(1)カプセル4gと光硬化性組成物(3)の乳化液12gと15%ゼラチン水溶液12gとを混合し感光感熱層(3)用塗布液を調製した。
【0165】3−d.感光感熱層(4)用塗布液の調製電子供与性無色染料(1)カプセル4gと光硬化性組成物(4)の乳化液12gと15%ゼラチン水溶液12gとを混合し感光感熱層(4)用塗布液を調製した。
【0166】3−e.感光感熱層(5)用塗布液の調製電子供与性無色染料(1)カプセル1gと光硬化性組成物(5)の乳化液10gとを混合し感光感熱層(5)用塗布液を調製した。
【0167】4.〔保護層用塗布液の調製〕
4−a.保護層(1)用塗布液の調製10%ゼラチン水溶液4.5gと蒸留水4.5gと2%の界面活性剤(3)水溶液0.5gと2%界面活性剤(4)水溶液0.3gと2%硬膜剤(1)水溶液0.5gとサイロイド72(FUJI−DEVISON CHEMICALLTD.製)を塗布量が50mg/m2 となるだけの量とスノーテックスN1gとを混合し保護層(1)用塗布液を調製した。以下に、界面活性剤(1)、(2)、(3)及び(4)の化学構造式を示す。
【0168】
【化40】


【0169】5.〔支持体〕
厚さ75μmの透明ポリエステルベース。
(実施例1)支持体上に感光感熱層用塗布液(1)をコーティングバーを用いて塗布層の乾燥重量が10g/m2 になるように塗布し、30℃で10分間乾燥した。この上に保護層(1)用塗布液をコーティングバーを用いて塗布層の乾燥重量が2g/m2 になるように塗布し、30℃で10分間乾燥して実施例1のサンプルを得た。
(実施例2)実施例1のサンプルにおいて、感光感熱層用塗布液(1)を、同(2)に代えた以外は実施例1と同様にして実施例2のサンプルを得た。
(実施例3)実施例1のサンプルにおいて、感光感熱層用塗布液(1)を、同(3)に代えた以外は実施例1と同様にして実施例3のサンプルを得た。
(実施例4)実施例1のサンプルにおいて、感光感熱層用塗布液(1)を、同(4)に代えた以外は実施例1と同様にして実施例4のサンプルを得た。
(実施例5)実施例1のサンプルにおいて、感光感熱層用塗布液(1)を、同(5)に代えた以外は実施例1と同様にして実施例5のサンプルを得た。
(実施例6)実施例1において、光硬化組成物(1)乳化液の中の光重合開始剤(1)0.13gと分光増感色素(1)0.1gの代りに下記化合物を0.23g加える変更の他は全く同じにして実施例6のサンプルを得た。
【0170】
【化41】


【0171】(実施例7)実施例2において、光硬化組成物(2)乳化液の中の光重合開始剤(1)0.13gと分光増感色素(2)0.1gの代わりに下記化合物を0.23g加える変更の他は全く同じにして実施例7のサンプルを得た。
【0172】
【化42】


【0173】(実施例8)実施例3において光硬化組成物(3)乳化液の中の光重合開始剤(1)0.13gと分光増感色素(3)0.1gの代わりに、下記化合物を0.23g加える他は全く同じにして実施例8のサンプルを得た。
【0174】
【化43】


【0175】(比較例1)実施例1のサンプルにおいて、感光感熱層用塗布液(1)の光硬化組成物(1)から光重合開始剤(1)(有機ボレート塩化合物)を除いた以外は実施例1と同様にして比較例1のサンプルを得た。
【0176】得られた感光感熱記録材料のそれぞれについて、以下のオーバーラップ露光実験を行った。
[オーバーラップ露光実験]二次元スキャンエンジンを用い、ガルバノメーターで走査を行った。用いた半導体レーザーの波長は807nmであった。スポットサイズは、水平方向スキャンスポットサイズ:160μm、垂直方向スキャンスポットサイズ:60μmであり、ガルバノメーター周波数は309Hzであった。
【0177】オーバーラップ係数を、0.8、1.0、1.5、2.0、2.5とした。スポットのオーバーラップはガルバノメーターの線速度を変えて調節した。照射量を一定とするために、フィルム表面での入力パワーをスポットのオーバーラップの変化に応じて調節した。
【0178】このようにして、潜像の形成された記録材料を120℃の熱板で5秒間加熱したところ、各材料中にステップウエッジ像が得られた。感度は、一定露光量のウエッジ像中で地肌の現れるエネルギーで評価した。発色濃度及び地肌カブリは、マクベス透過型濃度計で測定した。
【0179】実施例1においては、ポジ画像が形成された。上記の方法で感度として評価したところ、オーバーラップ係数1.0の場合の感度は8mJ/cm2 、2.5における感度は4mJ/cm2 であった。感度を表1に示す。
【0180】上記各実施例のうち、2〜4及び6〜8は実施例1と同様にポジ画像を形成した。感度を下記表1に示す。
【0181】また、実施例5はネガ画像を形成した。従って、実施例5の感度は、画像濃度3を与えるエネルギーで表した。結果を表1に示す。また同様の条件で現像を行っても比較例1の記録材料は画像形成しなかった。
【0182】図4に実施例1の記録材料におけるオーバーラップ係数の効果をグラフで示した。また、同様に、図5に実施例5の記録材料におけるオーバーラップ係数の効果をグラフで示した。これらの図より、ポジ画像、ネガ画像ともにオーバーラップ係数が大きくなるのに伴って感度が改良されているのがわかる。
【0183】
【表1】


【0184】表1に明らかなように、本発明の感光感熱記録材料はいずれも感度が良好であり、オーバーラップ係数が大きくなると感度も改良されることがわかった。一方、有機ボレート塩を含有しない比較例1のサンプルは画像を形成しなかった。
(実施例9)実施例6において、感光感熱層塗布液(1)の光硬化組成物(1)乳化液の中の光重合開始剤(1)の代りに前記一般式(2)で表されるカチオン性色素の有機ボレート塩の例示化合物(11)を用い、さらに、感光性上昇の助剤として下記構造式で表される化合物0.05gを追加添加した他は、実施例6と同じにして実施例9のサンプルを得た。
【0185】
【化44】


【0186】(実施例10)実施例9においてカチオン性色素の有機ボーレト塩の例示化合物(11)の代わりに例示化合物(12)を用いた他は、実施例9と同じにして実施例10のサンプルを得た。
(実施例11)実施例9においてカチオン性色素の有機ボーレト塩の例示化合物(11)の代わりに例示化合物(13)を用いた他は、実施例9と同じにして実施例11のサンプルを得た。
(実施例12)実施例9において感光性上昇の助剤として記載の化合物に代えて下記構造式で表される化合物0.05gを追加添加した他は、実施例9と同じにして実施例12のサンプルを得た。
【0187】
【化45】


【0188】(実施例13)実施例12において、カチオン性色素の有機ボーレト塩の例示化合物(11)の代わりに例示化合物(12)を用いた他は同じにして実施例13のサンプルを得た。
(実施例14)実施例12において、カチオン性色素の有機ボーレト塩の例示化合物(11)の代わりに例示化合物(13)を用いた他は同じにして実施例14のサンプルを得た。
(比較例2)実施例9において、感光感熱層塗布液(1)の光硬化組成物(1)乳化液の前記一般式(2)で表されるカチオン性色素の有機ボレート塩の例示化合物(11)にい代えて、該例示化合物(11)の有機ボレート部が非有機ボレートに変わった下記構造式で表される化合物に代えた他は、実施例9と同じにして比較例2のサンプルを得た。
【0189】
【化46】


【0190】得られた実施例9〜14及び比較例2の感光感熱記録材料サンプルに、実施例1〜8と同じ条件で、オーバーラップ係数を変えて露光し、熱現像を行って感度を評価した。結果は下記表2に示す。
【0191】
【表2】


【0192】表2に明らかなように、本発明の感光感熱記録材料はいずれも発色濃度に優れ、感度が良好であった。さらに、実施例1〜8と比較しても感光性上昇の助剤を添加した実施例9〜14は、特に優れた感度を示すことがわかった。一方、類似の構造を有する非ボレート塩化合物を用いた比較例2は画像を形成しなかった。
【0193】
【発明の効果】本発明の感光感熱記録材料は前記構成としたため、緑色〜赤色レーザー光及び赤外レーザー光を用いて記録を行うことができ、現像液等の使用が不要で、不要な廃棄物の発生がない、完全ドライの白黒もしくはカラーの鮮明でコントラストの高い画像を形成しうるという優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 スポット光源の照射におけるスポットの広さ方向のエネルギーの分布を示すモデル図である。
【図2】 重なり合う2つのスポット照射のエネルギーの理論的なカーブを示すモデル図である。
【図3】 オーバーラップ係数算出のための副走査方向のスキャンピッチの測定方法を示すモデル図である。
【図4】 実施例1の記録材料におけるオーバーラップ係数の効果を示すグラフである。
【図5】 実施例5の記録材料におけるオーバーラップ係数の効果を示すグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】 感光感熱記録材料を露光して潜像を形成する記録方法であって、該感光感熱記録材料が、支持体上に設けた感光感熱記録層に、熱応答性マイクロカプセルに内包された電子供与性の無色染料と、熱応答性マイクロカプセルの外に、同一分子内に電子受容部と重合性ビニルモノマー部とを有する化合物及び有機ボレート塩化合物を含む感光感熱記録材料であり、露光に用いる光源が、該感光感熱記録材料を露光させ得るとともに、目標位置において、一方向のサイズが600μm以下となるスポットを形成し得る放射光源であり、まず、該感光感熱記録材料を目標位置に配置して、該放射光源により少なくとも一方向が600μm以下のスポットを形成するように、画像分布に従ってビームを照射し、該感光感熱記録材料に最初に照射したスポットに対して、引き続いて照射するビームからの少なくとも1つのスポットの少なくとも一部分が重なるように画像分布に従ってビームを照射することを特徴とする記録方法。
【請求項2】 感光感熱記録材料を露光して潜像を形成する記録方法であって、該感光感熱記録材料が、支持体上に設けた感光感熱記録材料に、熱応答性マイクロカプセルに内包された電子供与性の無色染料と、熱応答性マイクロカプセルの外に、電子受容性顕色剤、重合性ビニルモノマー及び有機ボレート塩化合物を含む感光感熱記録材料であり、露光に用いる光源が、該感光感熱記録材料を露光させ得るとともに、目標位置において、一方向のサイズが600μm以下となるスポットを形成し得る放射光源であり、まず、該感光感熱記録材料を目標位置に配置して、該放射光源により少なくとも一方向が600μm以下のスポットを形成するように、画像分布に従ってビームを照射し、該感光感熱記録材料に最初に照射したスポットに対して、引き続いて照射するビームからの少なくとも1つのスポットの少なくとも一部分が重なるように画像分布に従ってビームを照射することを特徴とする記録方法。
【請求項3】 前記感光感熱記録材料に含まれる有機ボレート塩化合物が、下記一般式(1)で表される化合物であることを特徴とする請求項1又は2に記載の感光感熱記録材料の記録方法。
【化1】


式中、Mは、アルカリ金属原子、第4級アンモニウム、ピリジニウム、キノリニウム、ジアゾニウム、モルホリニウム、テトラゾリウム、アクリジニウム、ホスホニウム、スルホニウム、オキソスルホニウム、硫黄、酸素、炭素、ハロゲニウム、Cu、Ag、Hg、Pd、Fe、Co、Sn、Mo、Cr、Ni、As、Seから選択されるカチオンを、nは1〜6の整数を、R1 、R2 、R3 およびR4 はそれぞれハロゲン原子、置換または未置換のアルキル基、置換または未置換のアルケニル基、置換または未置換のアルキニル基、脂環基、置換または未置換のアリール基、置換または未置換のアルカリール基、置換または未置換のアリーロキシル基、置換または未置換のアラルキル基、置換または未置換の複素環基、置換または未置換のシリル基を表す。ここで、R1 、R2 、R3 およびR4 は互いに同一でも異なっていてもよく、これらのうち2個以上の基が結合して環状構造をとってもよい。
【請求項4】 有機ボレート塩化合物が、下記一般式(2)で表されるカチオン性色素の有機ボレート塩である、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の感光感熱記録材料の記録方法。
【化2】


式中、D+ はカチオン性色素を、R1 、R2 、R3 およびR4 はそれぞれハロゲン原子、置換または未置換のアルキル基、置換または未置換のアルケニル基、置換または未置換のアルキニル基、脂環基、置換または未置換のアリール基、置換または未置換のアルカリール基、置換または未置換のアリーロキシル基、置換または未置換のアラルキル基、置換または未置換の複素環基、置換または未置換のシリル基を表す。ここで、R1 、R2 、R3 およびR4 は互いに同一でも異なっていてもよく、これらのうち2個以上の基が結合して環状構造をとってもよい。
【請求項5】 前記放射光源により少なくとも一方向が600μm以下のスポットを形成するように、画像分布に従ってビーム照射されたスポットが、少なくとも一方向が250μm以下のスポットであることを特徴とする請求項1乃至4に記載の記録方法。
【請求項6】 前記放射光源により少なくとも一方向が600μm以下のスポットを形成するように、画像分布に従ってビーム照射されたスポットと、前記感光感熱記録材料に最初に照射したスポットに対して、引き続いて照射するビームからの少なくとも1つのスポットとが、総エネルギーの10%以上の重複を有するように重なることを特徴とする請求項1乃至4に記載の記録方法。
【請求項7】 前記放射光源により少なくとも一方向が600μm以下のスポットを形成するように、画像分布に従ってビーム照射されたスポットと、前記感光感熱記録材料に最初に照射したスポットに対して、引き続いて照射するビームからの少なくとも1つのスポットとが、各々の放射エネルギーの10%以上の重複を有するように重なることを特徴とする請求項1乃至4に記載の記録方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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