説明

感光記録材料用包装箱

【課題】 開封が容易で、開封時に紙粉の発生が生じない、そして感光記録材料の出し入れが容易で、簡単に分解できて廃棄も容易であり、自動組立も容易に行うことのできる感光記録材料用包装箱を提供すること。
【解決手段】 上記課題を解決するために、本発明の包装箱1は、本体部5と蓋体部7とが一体に形成され、再封機能を備えており、蓋体部7は本体部5の背板15を上方に延長することによって形成され、蓋体部7の自由端側の端面は、本体部5における前板9の上方において筋押し線17を介して接続されている開放フラップ19に対して、高さ方向のみに配したミシン線29によって接続されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、Xレイフィルム等の感光記録材料の包装に適した包装箱に関する。尚、Xレイフィルム等には、Xレイフィルムの他、工業用リスフィルム等のシート状の各種の感光記録材料が含まれる。またこれらのXレイフィルム等は遮光性及び防湿性を備えた内装袋に収容された状態で本発明の包装箱に収納される。
【背景技術】
【0002】
Xレイフィルム等の感光記録材料用の包装箱には、開封が容易なこと、開封時に紙粉の発生が少ないこと、感光記録材料及びこれを収容した内装袋の取出しが容易なこと、十分な遮光性を有すること、そして分解が容易で廃棄性に優れることが求められる。また繰り返し出し入れされる感光記録材料用の包装箱にあっては、これに加えて再封機能を有することが求められる。
【0003】
下記の特許文献1、2はジッパ(リッパー部)の採用により、包装箱の開封を容易にし、更に特許文献1にあっては、舌片の採用によって包装箱に再封機能を持たせた構成が開示されている。
ジッパは開封し易い反面、破断時に段ボールの紙粉が多く発生してしまうという欠点を有している。特に明室装填品の場合には、包装箱から内装袋を取り出す際に内装袋が帯電することがあり、このときに紙粉が発生すると紙粉を吸着してしまうことになる。そして紙粉を吸着した内装袋を、プリンタ、露光機ないしイメージャ(以下プリンタ等という)にセットすると、プリンタ等に設けられる給送トレー内に紙粉もいっしょに持ち込まれることとなる。
これにより、プリンタ等に内装袋をセットした後、明室装填作業を行う場合には、内装袋を給送トレー内から引き抜く際、当該紙粉が給送トレー内に残留し、紙粉が感光記録材料に付着してしまうため、「ホワイトスポット」と呼ばれる白抜け不良が発生する。
【0004】
また特許文献1に示すようなボックスカートン型の包装箱は、包装箱を机等の上に置いた状態で包装箱を開くことができないので、被包装物である感光記録材料の枚数が多い場合等、重量が嵩む場合には、重量の重い包装箱を手で持った状態で感光記録材料の出し入れを行わなければならず、作業性を悪くしている。
また特許文献1、2において開示されている包装箱は、特に廃棄性については言及されておらず、箱状に組み立てられている包装箱を分解し、平坦にして廃棄を容易にする等の工夫は何ら開示されていない。
【0005】
【特許文献1】実開昭54−104325号公報
【特許文献2】特開平8−114889号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで従来の包装箱が有している上記の問題点を考慮して、本発明は、開封が容易で、開封時に紙粉の発生、紙粉の感光記録材料への付着が生じない、そして感光記録材料の出し入れが容易で、簡単に分解できて、廃棄も容易であり、更に自動組立も容易に行うことのできる感光記録材料用包装箱を提供することを課題とした。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は鋭意検討を重ねた結果、以下の構成を有する本発明の感光記録材料用包装箱によれば、上記の課題を解決し得ることを見い出した。
本発明の感光記録材料用包装箱は、本体部と蓋体部とが一体に形成された再封機能を備えた感光記録材料用の包装箱において、前記蓋体部は、本体部の背板を上方に延長することによって形成されており、尚且つ蓋体部の自由端側の端面は、本体部における前板の上方において、筋押し線を介して接続されている開放フラップに対して、高さ方向のみに配したミシン線によって接続されていることを特徴とするものである(第1の態様)。
【0008】
上記発明において、前記蓋体部は、組立前の展開状態において、折り曲げ線を介して背板に直接接続されている内装蓋と、ミシン線を介して開放フラップに接続されている外装蓋とを、組立段階において貼り合わせることによって構成されており、外装蓋と貼り合わされていない内装蓋の自由端側の端部は差込み片となっていて、組立状態において開放フラップの内面側に沿うように配置してもよい(第2の態様)。
また上記発明において、前記蓋体部の自由端側の中央には、高さ方向のみに配した中央ミシン線によって開放フラップに対して接続されている舌片状のノックアウト部が設けられており、尚且つ当該ノックアウト部は、開放フラップをえぐって、その一部に進入するように設けられていてもよい(第3の態様)。このとき、ノックアウト部の高さ方向には幅方向に延びる折り曲げ線が形成されていてもよい。
【0009】
また上記発明において、前記蓋体部の自由端側の端面形状は、組立状態において中央が最も低く、側方に行くに従って徐々に高くなるようにテーパ状に形成されており、尚且つ蓋体部の自由端側の側辺は高さ方向のみに配した側部ミシン線によって開放フラップに対して接続されていてもよい(第4の態様)。
また上記発明において、前記包装箱の材料は段ボールであり、前記蓋体部と開放フラップとの間に設けられるミシン線は、段ボールのコルゲートに沿う方向に配置され、尚且つ前記筋押し線は段ボールのコルゲートと略直交するように配置されていてもよい(第5の態様)。
【0010】
また上記発明において、前記蓋体部と開放フラップの境界部には、幅方向においては完全に分断された切込み線が設けられ、高さ方向においては両者を部分的に接続するミシン線が設けられており、尚且つ上記切込み線の少なくとも一部分には、蓋体部と開放フラップとを連結する連結ラベルが貼設されていてもよい(第6の態様)。
また上記発明において、前記連結ラベルの接着面には糊がストライプ塗工されており、前記切込み線上には糊が塗工されていない糊なし部が設けられ、当該糊なし部がミシン線と共に蓋体部と開放フラップとの開封を容易にする開封テープとして機能するようにしてもよい(第7の態様)。
【0011】
また上記発明において、前記連結ラベルは、所定の一方向に裂け易い材料によって形成されており、前記糊がストライプ塗工される方向は、連結ラベルの裂け易い方向に一致するようにしてもよい(第8の態様)。
また上記発明において、前記連結ラベルは、被包装材料である感光記録材料の内容等を記載した内容表示ラベルであってもよい(第9の態様)。
また上記発明において、前記本体部における側板には、高さ方向に延びる分解用ミシン線が形成されており、当該分解用ミシン線の上部は前板側に向けて傾斜していて、前板と連通する切取り導入部となっていてもよい(第10の態様)。
【発明の効果】
【0012】
第1の態様によれば、高さ方向のみにミシン線を設けたから、蓋体部の開封が容易になる。また蓋体部の他に開放フラップを設けたから、開封時において蓋体部を背面側に、開放フラップを前面側に拡開することによって本体部上部の取出口が大きく開口し、感光記録材料の出し入れが容易になる。
第2の態様によれば、蓋体部を内装蓋と外装蓋の二層構造によって構成しているから、蓋体部の強度が向上する。また内装蓋と外装蓋は組立前の展開状態では、一枚のシートにレイアウトされているから、打ち抜き加工の際の歩留り及び加工効率が向上する。また内装蓋の一部は差込み片として機能するから、開封前の開放フラップの強度がアップし、蓋体部の再封が容易、確実となる。
【0013】
第3の態様によれば、ノックアウト部を設けたことで、蓋体部と開放フラップの切り離しと蓋体部の拡開動作を、ワンタッチで同時に行うことができる。またノックアウト部を、開放フラップの一部に進入するように下方に延長形成して設けたことにより、ノックアウト部に指を掛けるだけで蓋体部と開放フラップの切り離しを容易に行うことができる。またノックアウト部には折り曲げ線が形成されているから、蓋体部と開放フラップの切り離しと同時にノックアウト部が指を掛け易い形に折り曲げられるため、蓋体部の開封及び感光記録材料の出し入れが容易になる。
第4の態様によれば、ノックアウト部に掛かった力が蓋体部の自由端側の両側辺に伝わり易くなり、当該両側辺に力が集中するため、側部ミシン線の破断及び蓋体部の開封が容易になる。
【0014】
第5の態様によれば、ミシン線を段ボールのコルゲートに沿う方向に配置したことにより、蓋体部の開封時において紙粉はほとんど発生しないため、紙粉が感光記録材料に付着することによって発生する白抜け不良(ホワイトスポット)は生じない。また筋押し線を段ボールのコルゲートと略直交するように配置したことにより、開放フラップの拡開が円滑になり、感光記録材料の出し入れが容易になる。
第6の態様によれば、梱包状態での包装箱の強度が向上し、輸送中の衝撃でミシン線が破れて蓋体部が開封する事態が防止される。また連結ラベルは切込み線を跨ぐように設けられているから、連結ラベルの切込み線上の部分を切断するだけで、蓋体部の開封を行うことができる。
【0015】
第7の態様によれば、連結ラベルを低コストで製造でき、単一素材であるためリサイクルも容易に行うことができる。また連結ラベルの切込み線上の糊なし部が開封テープとして機能するから、当該糊なし部を引っ張るだけで連結ラベルの切断を容易に行うことができる。
第8の態様によれば、幅方向では、開封テープとしての機能性が向上するため、連結ラベルの切断が容易になる。
【0016】
第9の態様によれば、内容表示ラベルに連結ラベルとしての機能を持たせることが可能となるため、部材の有効利用を通じて、部品点数の削減を図ることができる。
第10の態様によれば、開放フラップを大きく手前に拡開させて前板に前方への力を加えると、切取り導入部から分解用ミシン線に力が伝搬されて、本体部の両側板を前面側と背面側に切り離し、シート状に分解することができ、包装箱の廃棄を容易にする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下において、本発明の感光記録材料用包装箱(以下、包装箱という)について、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本発明に係る感光記録材料用包装箱の閉封時における全体を示す斜視図、図2は、同上、正面図である。図3は、図2中、A−A線における断面図(a)と、B−B線における断面図(b)である。図4は、ノックアウト部を押し込み、中央ミシン線を破断した状態を示す包装箱の蓋体部周辺の斜視図、図5は、ノックアウト部に指を掛け、蓋体部を上方に引き上げて側部ミシン線を破断した状態を示す包装箱の蓋体部周辺の斜視図である。また図6は蓋体部、開放フラップ及び上耳部を拡開した状態の包装箱の全体の構成を示す斜視図、図7は組立前の展開状態の包装箱を示す展開図である。
尚、本明細書において使用する「幅方向」とは、図1中、矢印Xで示す方向を意味し、「高さ方向」とは、図1中、矢印Zで示す方向を意味するものとする。
【0018】
本発明の包装箱1は、内装袋3によって密封された図示しない感光記録材料を収容する本体部5と蓋体部7とが一体に形成された再封機能を備えた感光記録材料用の包装箱である。尚、内装袋3としては、遮光性と防湿性に優れる種々の材料、積層構造のものが採用できる。例えば、耐ピンホール性に優れ、折りグセが付き難い内装袋として、遮光機能を持つ白ポリ層または黒ポリ層と、防湿機能を持つ機能性フィルム及び接着層とから構成されるものが使用できる。また、アルミ箔を含む内装袋も使用できる。
【0019】
また本発明の包装箱1の材料としては段ボールが使用でき、好ましい材料として、例えばEフルート(段数が約94/300mm)やFフルート(段数が約120/300mm)のようなマイクロフルート段ボールや、板紙を挙げることができる。尚、段ボールのコルゲートの方向は図7の展開図において上下方向に沿う方向に一例として設定されている。
【0020】
本体部5は、前板9、側板11、背板15及び底板16とを備えた角筒状の部材であり、開口された上面が内装袋3によって包装された感光記録材料の取出口になっている。尚、このうち側板11は、前板9の両側辺を延長形成して設けられる内側板12を後方に折り曲げ、この内側板12を内側にして、背板15の両側辺を延長形成して設けられる外側板13を前方に折り曲げ、この外側板13を内側板12の外側に被せるようにして重ね合わせ、両者を接着剤等によって貼り合せることによって構成されている。
【0021】
前板9の上端辺は、下に凸となる円弧状の筋押し線17と一致しており、筋押し線17の上方には、内装袋3ないし内装袋3内に収容された感光記録材料の出し入れを容易にする開放フラップ19が設けられている。開放フラップ19は筋押し線17によって前板9に直接接続されている前面フラップ20と、前面フラップ20の両側辺から延長形成されている側面フラップ21とによって構成されている。
【0022】
前面フラップ20の上端辺は、後述する蓋体部7における外装蓋23の自由端側の端辺形状と一致するようになっている。具体的には、前面フラップ20の上端辺中央には、下方に向けて舌片状に大きくえぐられた中央凹部31が設けられており、前面フラップ20の上端辺側部寄りには、これより小さな指掛け凹部33が左右に1つずつ設けられている。尚、指掛け凹部33は、開放フラップ19を前方に拡開する際、指を掛けて開き易くする役割を有している。
【0023】
側面フラップ21は、内側板12と同様、外側板13の内側に位置するが、内側板12とは異なり外側板13とは接着されておらず、開放フラップ19の自由な開閉を可能にしている。尚、側面フラップ21の下端部には前面側から斜め下方に向けて直線状に形成された傾斜部45と、傾斜部45の下端から側面フラップ21の後端にかけて曲線状に形成された円弧部47とが設けられている。因みに傾斜部45は内側板12の上端部に形成されている傾斜部49と当接することによって開放フラップ19の垂直姿勢を超える内側への回動を防止し、円弧部47は開放フラップ19を開閉する際、側面フラップ21が背板15の内壁面に接触するのを防止することで、開放フラップ19の円滑な開閉を可能にする役割を有している。
【0024】
蓋体部7は、図7に示すように組立前の展開状態において、折り曲げ線35を介して背板15に直接接続されている内装蓋25と、ミシン線29を介して開放フラップ19に接続されている外装蓋23とを、図1、2に示すように組立段階において貼り合わせることによって構成されている。内装蓋25は、図7に示す組立前の展開状態では最も下方に位置し、中央の折り曲げ線35の下方の部分が外装蓋23との接着面37、接着面37以外の部分が組立状態において開放フラップ19の内面側に位置する差込み片39となっている。
【0025】
尚、中央の折り曲げ線35は、更にその中央に設けた切込み部41によって左右に分断されており、図1に示すように組立時において折り曲げられた状態では、切込み部41の部分に指掛け凸部43が前方に突出するようになる。因みにこの指掛け凸部43は蓋体部7を後方に拡開する際、指を掛けて開き易くする役割を有している。
【0026】
外装蓋23は、図7に示す組立前の展開状態では最も上方に位置し、基端側端辺中央には凹陥状にえぐられた逃げ部51が形成されている。尚、逃げ部51は、図1、図3(b)等に示すように組立状態において指掛け凸部43の下方に指を掛け易くするためのスペースを確保する役割を有している。
【0027】
また外装蓋23の自由端側の中央には、高さ方向のみに配した中央ミシン線29Aによって開放フラップ19に対して接続されている舌片状のノックアウト部53が設けられている。ノックアウト部53は、前面フラップ20をえぐるように形成されている上述の中央凹部31に対して係合するよう、前面フラップ20の一部に進入するように設けられている。またノックアウト部53には高さ方向に2本、幅方向に延びる折り曲げ線35が形成されている。
【0028】
また外装蓋23の自由端側の端面形状は、組立状態において中央のノックアウト部53の付け根部分で最も低く、ノックアウト部53の付け根から側方に行くに従って徐々に高くなるようにテーパ状に形成されており、その途中には、上述の指掛け凹部33と係合する係合凸部55が左右に1つずつ設けられている。更に外装蓋23の左右の側辺は、高さ方向のみに配した側部ミシン線29Bによって開放フラップ19に対して接続されている。
【0029】
この他、内側板12には底板16との間にできる隙間を塞ぐ下耳部57が設けられており、外側板13には、蓋体部7との間にできる隙間を塞ぐ上耳部59が設けられている。また、外側板13には、高さ方向に延びる分解用ミシン線61が形成されており、図1に示すように組立状態では、分解用ミシン線61の上部は前板9側に向けて上向きに傾斜していて、その端部が筋押し線17の左右の端部付近に達している。そして、分解用ミシン線61の当該傾斜した部分が切取り導入部63になっている。また外側板13と内側板12は全面に亘って接着されているのではなく、上記分解用ミシン線61より図1において前方側の部分のみが接着されている。これにより、開放フラップ19を前方に大きく拡開することによって前板9に前方への力が加わり、切取り導入部63から分解用ミシン線61に力が伝わって包装箱1をシート状に分解することが可能となる。
【0030】
また、図1、2に示すように閉封状態の包装箱1にあっては、連結ラベル65が貼設されている。連結ラベル65は、切込み線27を跨ぐ位置に設けられ、蓋体部7と開放フラップ19を連結し、輸送時等の衝撃によって蓋体部7が開封される事態を防止する役割を有している。尚、連結ラベル65の接着面には糊がストライプ塗工されており、切込み線27上には糊が塗工されていない糊なし部67が図2に示すように設けられていて、当該糊なし部67がミシン線29と共に、蓋体部7と開放フラップ19との開封を容易にする開封テープとして機能するようになっている。
【0031】
また連結ラベル65は所定の一方向に裂け易い材料によって形成されることが好ましく、その場合には、糊がストライプ塗工される方向を連結ラベル65の裂け易い方向に一致させ、切込み線27が形成されている幅方向に沿わせて貼設するようにする。また連結ラベル65として被包装材料である感光記録材料の内容等を記載した内容表示ラベルを使用することが部材の有効利用を図る上で好ましい。
【0032】
次にこのようにして構成される本発明に係る包装箱1を開封する場合の開封手順及びその場合の包装箱1の作動態様について説明する。最初に切込み線27の上方に設けられている連結ラベル65の糊なし部67を開封テープとして使用し、幅方向に引っ張って左右の連結ラベル65を上下に分断する。
【0033】
次に図4中、矢印で示すように蓋体部7のノックアウト部53を指で押し、図1に図示する中央ミシン線29Aを破断する。そしてノックアウト部53に指を掛けて、図5中、中央の矢印で示すように蓋体部7を拡開する方向に力を掛ける。ノックアウト部53に作用した力は、テーパ状に形成されている外装蓋23における自由端側端辺を伝わり、外装蓋23の両側辺に設けられている側部ミシン線29Bに集中して作用するようになり、図5中、左右の矢印で示すように側部ミシン線29Bを小さな力で破断でき、蓋体部7を拡開させる。尚、本形態では、包装箱1を段ボールによって形成し、ミシン線29を段ボールのコルゲートに沿う方向に配置しているから、ミシン線29を破断する際に段ボールの紙粉はほとんど発生しない。よって、感光記録材料への紙粉の付着は生じない。
【0034】
そして図6中、矢印で示すように、蓋体部7を後方に、上耳部59を側方に大きく拡開し、指掛け凹部33を利用して開放フラップ19を前方に引き出しながら、内装袋3(および感光記録材料)を取り出す。また使用しなかった感光記録材料を内装袋3内に再び収容して再封する場合には、内装蓋25先端の差込み片39を開放フラップ19の内面側に重なり合うように位置させ、切込み線27や破断したミシン線29を装着テープ等を使用して接合することによって閉封する。
【0035】
本発明に係る感光記録材料用包装箱1は基本的に以上述べたように構成される訳であるが、更に次に述べるような部分的構成の改変も可能である。例えば、分解用ミシン線61は内側板12側に設けることも可能であるし、内側板12と外側板13の双方に設けることも可能である。また、ノックアウト部53は舌片状に限らず、半円形状や矩形状等種々の形状が採用でき、外装蓋23の自由端側の端面形状は曲線状であってもよい。また中央ミシン線29Aと側部ミシン線29Bのピッチや長さも包装箱1の強度と開封し易さとの兼ね合いで種々変更可能である。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明の感光記録材料用包装箱は、様々な種類の感光記録材料を包装するための包装箱として広く利用することが可能である。特に、直接撮影医療用フィルムなどのXレイフィルム用の包装箱として好ましく使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明に係る感光記録材料用包装箱の閉封時における全体の構成を示す斜視図である。
【図2】同上、正面図である。
【図3】図2中、A−A線における断面図(a)と、B−B線における断面図(b)である。
【図4】ノックアウト部を押し込み、中央ミシン線を破断した状態を示す包装箱の蓋体部周辺の斜視図である。
【図5】ノックアウト部に指を掛け、蓋体部を上方に引き上げて側部ミシン線を破断した状態を示す包装箱の蓋体部周辺の斜視図である。
【図6】蓋体部、開放フラップ及び上耳部を拡開した状態の包装箱の全体の構成を示す斜視図である。
【図7】組立前の展開状態の包装箱を示す展開図である。
【符号の説明】
【0038】
1 (感光記録材料用)包装箱
3 内装袋
5 本体部
7 蓋体部
9 前板
11 側板
12 内側板
13 外側板
15 背板
16 底板
17 筋押し線
19 開放フラップ
20 前面フラップ
21 側面フラップ
23 外装蓋
25 内装蓋
27 切込み線
29 ミシン線
29A 中央ミシン線
29B 側部ミシン線
31 中央凹部
33 指掛け凹部
35 折り曲げ線
37 接着面
39 差込み片
41 切込み部
43 指掛け凸部
45 傾斜部(側面フラップの)
47 円弧部
49 傾斜部(内側板の)
51 逃げ部
53 ノックアウト部
55 係合凸部
57 下耳部
59 上耳部
61 分解用ミシン線
63 切取り導入部
65 連結ラベル
67 糊なし部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体部と蓋体部とが一体に形成された再封機能を備えた感光記録材料用の包装箱において、
前記蓋体部は、本体部の背板を上方に延長することによって形成されており、尚且つ蓋体部の自由端側の端面は、本体部における前板の上方において、筋押し線を介して接続されている開放フラップに対して、高さ方向のみに配したミシン線によって接続されていることを特徴とする感光記録材料用包装箱。
【請求項2】
請求項1において、前記蓋体部は、組立前の展開状態において、折り曲げ線を介して背板に直接接続されている内装蓋と、ミシン線を介して開放フラップに接続されている外装蓋とを、組立段階において貼り合わせることによって構成されており、外装蓋と貼り合わされていない内装蓋の自由端側の端部は差込み片となっていて、組立状態において開放フラップの内面側に沿うように配置したことを特徴とする感光記録材料用包装箱。
【請求項3】
請求項1または2において、前記蓋体部の自由端側の中央には、高さ方向のみに配した中央ミシン線によって開放フラップに対して接続されている舌片状のノックアウト部が設けられており、尚且つ当該ノックアウト部は、開放フラップをえぐって、その一部に進入するように設けられていることを特徴とする感光記録材料用包装箱。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項において、前記蓋体部の自由端側の端面形状は、組立状態において中央が最も低く、側方に行くに従って徐々に高くなるようにテーパ状に形成されており、尚且つ蓋体部の自由端側の側辺は高さ方向のみに配した側部ミシン線によって開放フラップに対して接続されていることを特徴とする感光記録材料用包装箱。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項において、前記包装箱の材料は段ボールであり、前記蓋体部と開放フラップとの間に設けられるミシン線は、段ボールのコルゲートに沿う方向に配置され、尚且つ前記筋押し線は段ボールのコルゲートと略直交するように配置されていることを特徴とする感光記録材料用包装箱。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項において、前記蓋体部と開放フラップの境界部には、幅方向においては完全に分断された切込み線が設けられ、高さ方向においては両者を部分的に接続するミシン線が設けられており、尚且つ上記切込み線の少なくとも一部分には、蓋体部と開放フラップとを連結する連結ラベルが貼設されていることを特徴とする感光記録材料用包装箱。
【請求項7】
請求項6において、前記連結ラベルの接着面には糊がストライプ塗工されており、前記切込み線上には糊が塗工されていない糊なし部が設けられ、当該糊なし部がミシン線と共に蓋体部と開放フラップとの開封を容易にする開封テープとして機能するようにしたことを特徴とする感光記録材料用包装箱。
【請求項8】
請求項7において、前記連結ラベルは、所定の一方向に裂け易い材料によって形成されており、前記糊がストライプ塗工される方向は、連結ラベルの裂け易い方向に一致するようにしたことを特徴とする感光記録材料用包装箱。
【請求項9】
請求項6〜8のいずれか1項において、前記連結ラベルは、被包装材料である感光記録材料の内容等を記載した内容表示ラベルであることを特徴とする感光記録材料用包装箱。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか1項において、前記本体部における側板には、高さ方向に延びる分解用ミシン線が形成されており、当該分解用ミシン線の上部は前板側に向けて傾斜していて、前板と連通する切取り導入部となっていることを特徴とする感光記録材料用包装箱。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−58328(P2006−58328A)
【公開日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−236962(P2004−236962)
【出願日】平成16年8月17日(2004.8.17)
【出願人】(000005201)富士写真フイルム株式会社 (7,609)
【Fターム(参考)】