説明

感圧複写紙

【課題】発色性、耐加圧汚染性に優れた感圧複写紙の提供。
【解決手段】支持体上に、電子供与性発色剤および疎水性液体を芯物質として内包する微小カプセルを含有するカプセル塗布層を設けた感圧複写紙において、前記カプセル塗布層に分子量1,000,000以上のポリカルボン酸塩を、微小カプセル固形分100重量部に対して1重量部以下含有する感圧複写紙。微小カプセルは、疎水性液体としてジアリールエタンを主成分とし、アミン−アルデヒド縮重合物の壁膜を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は感圧複写紙に関するものであり、加圧汚染と発色の良好な感圧複写紙に関する。
【背景技術】
【0002】
感圧複写紙は、無色または淡色のロイコ染料等の電子供与性発色剤を溶解または分散状態で含有する疎水性液体(カプセルオイル)を内包したカプセルが基紙の片面へ塗布された上用紙、電子受容性化合物を含有する顕色剤層を基紙の片面に塗布した下用紙、および必要に応じて片面にカプセル層を塗布しもう片方の面に顕色剤層を塗布した中用紙からなる。上用紙のカプセル塗布層(以下、単にカプセル層ということがある)と下用紙の顕色剤層とが接するように組合わせて、上用紙の非塗布面から筆圧、プリンターなどで圧力を加えると、カプセルが破壊し、発色剤を含有したカプセルオイルが下用紙に移行する。その結果、電子供与性発色剤と電子受容性化合物とが反応するため、発色する。また、基紙上の同じ層中に電子供与性発色剤を内包するカプセルと電子受容性化合物とを含有する単一層を設けたり、基紙の同じ面側にカプセル層と顕色剤層とを積層した、いわゆる自己発色性感圧複写紙も知られている。
【0003】
感圧複写紙は圧力で発色するが、記録以外の目的で発色をさせないことが重要であり、特に加圧により地肌が汚染されると、本来の記録が不明瞭となってしまう問題がある。感圧複写紙は、上用紙、中用紙、下用紙を順に組合わせた後、そのまま重ねて保管される。感圧複写紙の組合わせに使用するコレータの一部に、感圧複写紙が接触する場合や、梱包作業や輸送中に、梱包機や荷台の一部に接触した際に、感圧複写紙が発色することがある。これを加圧による地肌汚染(以下、加圧汚染という)と呼ぶ。
【0004】
従来から加圧汚染を改善することが行われており、セルロースからなる粉末や澱粉(小麦粉、馬鈴薯、ビーフフラワーなど)からなる粒子、ガラスビーズなどをカプセル塗布層に配合することが行われてきた(文献1、2)。この方法の場合には、澱粉粒子などを添加すると加圧汚染は向上するものの、発色が低下する問題がある。発色を維持したまま地肌汚れを改良する方法として、カプセル壁膜にアクリルアミドなどをグラフトする方法(文献3)や、特定のラテックスをカプセル層のバインダーとして使用する方法(文献4)が提案されているが、いずれの方法も印字濃度と発色汚れを両立するには充分でなかったり、コストアップになるなどして、十分とは言えない。また、単一層自己発色性感圧記録シートの加圧汚染を改良するために、染料内蔵マイクロカプセルおよび有機顕色剤を含有する層にポリアクリル酸ナトリウムを添加することが知られている(文献5)。
【0005】
【特許文献1】特開昭59−184695
【特許文献2】特開昭61−163888
【特許文献3】特開昭64−36481
【特許文献4】特開平1−234289
【特許文献5】特開平2−117881
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一方、近年、地球環境の保護のために化学物質の見直しが行われており、カプセルオイルの安全性も見直しが行われている。カプセルオイルとして一般的に使用されていたジイソプロピルナフタレンは、難分解性かつ高蓄積性であると判断されたため、第1種監視化学物質に指定されることとなり、国内では使用を自粛する動きにある。そのためジイソプロピルナフタレンに代えて、安全性に問題のない例えばジアリールエタンを使用したカプセルを塗布して感圧複写紙を作成した場合、感圧複写紙の上用紙と下用紙を組合わせて弱い圧力を加えると、下用紙の記録面が汚れ、加圧汚染が悪化する。
【0007】
そこで、本発明は、カプセルオイルとしてジイソプロピルナフタレンを使用しなくても、発色性を維持したまま、加圧汚染を良好にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
支持体上に、電子供与性発色剤としてロイコ染料および疎水性液体を芯物質として内包する微小カプセルを含有するカプセル塗布層を設けた感圧複写紙において、前記カプセル塗布層に分子量1,000,000以上のポリカルボン酸ナトリウムを含有することで解決することができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、安全性が高く、発色性能が良好で、かつセットにして圧力を加えても発色汚れが少ない感圧複写紙を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
[カプセル壁膜]
本発明の微少カプセルは、アミン−アルデヒド縮重合物を壁膜材料とすることが好ましく、コアセルベーション法、界面重合法、in-situ法など、公知の方法で作製することができる。カプセルの壁膜形成材として広く使用されているものとして、メラミンーホルムアルデヒド、尿素ホルムアルデヒド、ウレタン樹脂、ゼラチンなどを挙げることができるが、尿素ホルムアルデヒド樹脂は耐熱性が弱いため、長期間高温の倉庫に保管されるとカプセル壁膜が破壊するため顕色剤層に地汚れが発生することがあるため、最近ではあまり使用されなくなっている。メラミン樹脂は、メラミンとホルムアルデヒドとの反応で得ることができる。通常メラミン4重量部に対してホルムアルデヒド1〜6重量部と結合することができる。一般にはメラミン4重量部に対してホルムアルデヒド2.5〜5重量部用いることが多く、ホルムアルデヒドが2.5重量部未満では、メラミンとホルムアルデヒドからなる架橋が充分ではないために、カプセル壁膜の強度が充分ではなくなる。メラミン4重量部に対してホルムアルデヒドが5重量部より多くなると、耐光性などが低下するため好ましくない。
【0011】
[電子供与性発色剤]
電子供与性発色剤は、疎水性液体に溶解または分散した状態で芯物質として内包される。本発明に使用される電子供与性発色剤は、青染料として使用できるものとして、例えば、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド、3-(4−ジエチルアミノフェニル)−3−(1−エチル−2−メチル−3−インドリル)フタリド、3−(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニル)−3−(1−エチル−2−メチル−3−インドリル)フタリド、3−(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニル)−3−(1−エチル−2−メチル−3−インドリル)−4−アザフタリド、3−(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニル)−3−(1−n−オクチル−2−メチル−3−インドリル)−4−アザフタリド、N-n-ブチル−3−[4,4'−ビス(N−メチルアニリノ)ベンズヒドリル]カルバゾール等が挙げられる。
【0012】
黒染料として使用できるものとして、例えば、2−アニリノ−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−ジ−n−ブチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−ジ−n−アミルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−メチル−N−n−プロピルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−エチル−N−イソブチルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−エチル−N−イソアミルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−シクロヘキシル−N−メチルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−[N−エチル−N−(3−エトキシプロピル)アミノ]フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−エチル−4−メチルアニリノ)フルオラン、2−(3−トリフルオロメチルアニリノ)−6−ジエチルアミノフルオラン、3,7−ビスジメチルアミノベンゾイルフェノチアジン、3−N−エチルーN―イソアミルアミノ)−6−メチルー7−アニリノフルオランなどが使用できる。
【0013】
[疎水性液体]
カプセルの芯物質に使われる疎水性液体(カプセルオイル)には、ジアリールエタン、ジイソプロピルナフタレン、モノイソプロピルビフェニル、イソブチルビフェニル、部分水素添加ターフェニル、塩素化パラフィン、飽和炭化水素、フタル酸エステルなどが通常使用されている。中でもジイソプロピルナフタレンは、発色性に優れたカプセルを与え耐加圧汚染性も良好であるが、安全性に問題がある。そこで、カプセルオイルについても、ジイソプロピルナフタレンを使用しないで従来の品質を得る検討を行った結果、ジアリールエタン、および飽和炭化水素が好ましく用いられることを見出した。ジアリールエタンとしては、フェニルキシリルエタン、フェニルイソププロピルエタンが挙げられる。飽和炭化水素としては、ノルマルパラフィンが発色性や保存性などに有効であるため好ましい。また、ジアリールエタンを主成分とする方が発色性と保存性などのバランスが良好になり、特にジアリールエタンが疎水性液体中の70重量%以上であることが好ましい。
【0014】
ところが、カプセルオイルにジアリールエタンを使用した場合には、加圧による地肌汚染が悪くなり、従来の技術にしたがってステー材や塗布量を増加させると、加圧による汚染は良好になるものの、発色濃度が出なくなる問題がある。ジアリールエタン等を使用した場合に、加圧汚染が悪くなる原因は定かでないが、推測として次のことが考えられる。ジイソプロピルナフタレンはジアリールエタンや飽和炭化水素に比較して比較的粘度が高いために、摩擦等により少量のカプセルが破壊され、カプセルオイルが中用紙や下用紙の顕色剤層面に転移しても、横方向への広がりが抑えられ発色面積は小さい。これに対し、ジアリールエタンや飽和炭化水素は比較的粘度が低いために、少量のカプセルの破壊でも、顕色剤層への広がりが大きくなり、発色面積が大きくなり加圧汚染が悪化すると考えられる。
【0015】
ここで、加圧汚染は、上用紙と下用紙を重ねて一定の圧力(例えば10kg/cm2)を加えた時に、下用紙の記録面(顕色剤層面)を発色させて調べることができる。一般に、カプセルの壁膜の強度が均一でなかったり、あるいはカプセルの粒子径分布が広かったりすると、強度の弱いものや粒子径の大きいものは破壊しやすく、加圧汚染が悪くなると考えられる。
【0016】
[ポリカルボン酸塩]
本発明では、カプセル塗布層にポリカルボン酸塩を添加することにより、発色濃度を低下させることなく、加圧による汚染を改善することが可能となる。通常、ポリカルボン酸塩は、感圧複写紙の顕色剤層にバインダーである水溶性合成高分子として添加すること、または分散剤として添加することは知られている。しかし、これらはいずれも接着性や良好な分散性を期待してのことであって、加圧汚染を改良するものではない。接着性を期待する場合には比較的添加量を多くする必要があり、カプセル固形分に対して少なくとも1重量部より多く添加する必要がある。また、ポリカルボン酸塩はアルカリ性領域で電荷を持つため、粒子の分散安定性を高めることができ、流動性を良くすることが期待されるので、比較的低分子量のものが使用されることが多い。
【0017】
これに対し、本発明ではポリカルボン酸塩は特定の分子量以上である必要があり、高い分子量、すなわち分子量が1,000,000以上であるものを使用する。ポリカルボン酸塩の種類としては、上記のポリアクリル酸ナトリウム、ポリメタクリル酸ナトリウム等を挙げることができる。ポリカルボン酸塩の対イオンにはナトリウム、カリウム、アンモニウムなどがあり、特に限定されず、いずれでも効果に差は認められない。また、アクリル酸とアクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、アクリルアミド、スチレンなどとの共重合によって得られる変性ポリアクリル酸ナトリウム塩やアンモニウム塩などを使用することができる。例えば、ポリアクリル酸/アクリル酸メチル共重合体のナトリウム塩やアンモニウム塩、ポリアクリル酸/アクリル酸エチル共重合体のナトリウム塩やアンモニウム塩、ポリアクリル酸/アクリル酸プロピル共重合体のナトリウム塩やアンモニウム塩、ポリアクリル酸/アクリル酸ブチル共重合体のナトリウム塩やアンモニウム塩、ポリアクリル酸/アクリル酸−2−エチルヘキシル共重合体のナトリウム塩やアンモニウム塩、ポリアクリル酸/メタクリル酸メチル共重合体のナトリウム塩やアンモニウム塩、ポリアクリル酸/スチレン共重合体のナトリウム塩やアンモニウム塩、ポリアクリル酸/アクリルアミドとのナトリウム塩やアンモニウム塩、ポリアクリル酸/スチレン/アクリルアミドとのナトリウム塩やアンモニウム塩などを挙げることができるが、これに限定されるわけではない。
【0018】
本発明で用いられる分子量の高いポリカルボン酸塩は、例えば次のようにして製造される。反応容器中でイソプロピルアルコールと水を混合して、窒素置換後密閉し加圧しながら昇温し、撹拌下アクリル酸と、アクリル酸と連鎖移動剤(ドデシルメルカプタン等)、重合開始剤(過硫酸ナトリウム)等を加える。その後、35%過酸化水素水溶液を投入し同温度で一定時間保持し重合度を確認した後、水酸化ナトリウム水溶液で中和し、イソプロピルアルコールを留去して、ポリアクリル酸ナトリウム水溶液を得ることができる。
【0019】
本発明では分子量が高い方が好ましいが、あまり分子量が高いとポリカルボン酸塩の水溶液の粘度が高くなりすぎ、使用することができなかったり、耐加圧汚染性が低下する傾向がある。分子量が1,000,000未満であるときには、加圧汚染への充分な効果がみられない。例えばジアリールエタンを疎水性液体とし、重合度3000(分子量に換算すると約280,000)のポリアクリル酸ナトリウムをカプセル塗布層に添加したところ、良好な耐加圧汚染性を得ることはできなかった。本発明において優れた効果が得られる理由は明らかではないが、分子量が高いポリカルボン酸塩を使用した場合には、カプセル層塗布液を塗布した際にバインダーの支持体への浸透が抑止されると考えられる。その結果、カプセル層中に留まったバインダーが保護膜になってカプセルの破壊を防ぐとともに、破壊された場合でも芯物質の拡散を抑えるように作用する。一方、前述した文献5に記載の自己発色性感圧記録シートの場合は、同一の塗布液中にカプセルと顕色剤とが混合されているため、バインダーはいずれにも吸着しやすく塗布層中に留まるため、ポリカルボン酸塩の分子量が小さくても構わないと考えられる。
【0020】
ポリカルボン酸塩の添加量としては、カプセル固形分100重量部に対して0.1〜1重量部が好ましい。より好ましくは0.1〜0.8重量部である。添加量が少なすぎると加圧による汚染への効果が小さいが、1重量部より多く添加しても汚染への改良効果にさらなる影響はなく、また発色性が若干低下する傾向がある。
【0021】
[感圧複写紙の製造]
カプセル塗布層は、上記したカプセル、ポリカルボン酸塩、ステー材、バインダーおよび必要に応じてその他添加剤を混合してカプセル層塗液を調製し、上質紙、再生紙、塗工紙、あるいは合成紙、プラスチックフィルム等のシート状物からなる支持体に塗布、乾燥することで形成される。また、本発明で用いられるポリカルボン酸塩は、自己発色性感圧複写紙の単一層やカプセル層に含有させることもできる。
【0022】
ステー材はカプセルが破壊されないように、保護するために添加され、カプセル粒子径の1.5〜4倍のものが好ましい。1.5倍より少ないと発色汚れが顕著になり、4倍より多くなると、充分な発色を得ることができない。ステー材の素材としては、澱粉粒、セルロース繊維、天然高分子の微粒子などが有効である。
【0023】
バインダーは、水系のものであれば特に限定されるものではないが、具体的にはポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、澱粉、酸化澱粉、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ラテックス、ポリ酢酸ビニル、など公知となっているものを使用することができる。
【0024】
塗工方法としては、ロールーコート、エアナイフコート、ベントブレードコート、カーテンダイコート、グラビア塗工法等の従来公知の塗工方法を使用でき、これらに限定されるものではないが、中でもエアナイフ塗工は、ブレードなどを押し付けて塗工液を掻き取る方法に比べ、カプセルへの影響が小さく望ましい。但し、エアナイフ塗工の場合、バインダーの原紙への浸透が比較的速いため、バインダーのカプセル保護作用が小さくなり加圧汚染しやすいという面があるが、本発明では分子量1,000,000以上のポリカルボン酸塩を含有することにより、エアナイフ塗工により製造された場合でも、加圧汚染を良好に防止することができる。塗布量としては、通常1〜5g/m程度である。
【0025】
この他、本発明のカプセルおよび感圧複写紙は、従来公知の製造方法に従って製造することができる。
【実施例】
【0026】
以下に、本発明の効果をより一層明確にするため実施例及び比較例を上げるが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。尚、実施例の部及び%は、特にことわらない限り重量部及び重量%を表す。
【0027】
[実施例1]
<カプセルスラリー調製方法>
アニオン性水溶性高分子(濃度20%)35部を水80部で稀釈溶解した。別にフェニルキシリルエタンを主成分とする高沸点溶媒(新日本石油化学製,ハイゾールSAS−296)100部に、染料としてクリスタルバイオレット4部を加えて、105℃に加熱攪拌しながら溶解して、芯物質を得た。室温まで冷却し、先に調整したアニオン性水溶性高分子を含む水溶液と混合し、次いでホモミキサーM型(特殊機化製)を用いて、10000rpm,3分間攪拌し、平均粒径5.6μmの安定した乳化物を得た。次に、メラミン20部と37%ホルムアルデヒド23.5部とを水70部に添加した後、70℃、20分間攪拌して、上記の乳化物に添加した。この乳化物を加熱してから、75℃で2時間カプセル膜形成反応を続け反応を終了させた。
<カプセル層塗布液調整と感圧複写紙作製>
カプセル層塗布液を以下の固形比率になるよう調整し、感圧複写紙用上用紙を作製した。
カプセルスラリー100部
ポリビニルアルコール(PVA117:クラレ製) 10部
ステー剤(澱粉粒子:平均粒子径20μ) 50部
ポリアクリル酸ナトリウム(分子量1,000,000) 0.5部
得られたカプセル層の塗布液を坪量が40g/mの原紙の片面に、ドライ塗布量が2g/mとなるよう、エアナイフコーターヘッドを用いて塗布、乾燥して上用紙を得た。
【0028】
[実施例2]
分子量1,000,000のポリアクリル酸ナトリウムに代えて、ポリアクリル酸ナトリム(分子量1,300,000)を用いて、塗料を調製したこと以外は、実施例1と同様にして上用紙を得た。
【0029】
[実施例3]
ポリアクリル酸ナトリム(分子量1,000,000)を0.9部用いて、塗料を調製したこと以外は、実施例1と同様にして上用紙を得た。
【0030】
[実施例4]
ポリアクリル酸ナトリム(分子量1,000,000)を1.1部用いて、塗料を調製したこと以外は、実施例1と同様にして上用紙を得た。
【0031】
[比較例1]
分子量1,000,000のポリアクリル酸ナトリウムに代えて、低分子量のポリアクリル酸ナトリム(分子量280,000)を用いて、塗料を調製したこと以外は、実施例1と同様にして上用紙を得た。
【0032】
[比較例2]
分子量1,000,000のポリアクリル酸ナトリウムに代えて、低分子量のポリアクリル酸ナトリム(分子量900,000)を用いて、塗料を調製したこと以外は、実施例1と同様にして上用紙を得た。
【0033】
[参考例]
カプセルオイルとしてフェニルキシリルエタンを主成分とする高沸点溶媒100部代えて、ジイソプロピルナフタレンを50部、フェニルキシリルエタンを50部にして芯物質を作成したこと、およびポリアクリル酸塩を添加せずにカプセル層塗布液を調製したこと以外は、実施例1と同様にして上用紙を得た。
【0034】
<発色試験>
下用紙に日本製紙製CCPエースを使用し、上記で得られた上用紙と下用紙を重ねたうえ、ドットインパクトプリンター(エプソン社製)で全面に印字して、1時間後の印字濃度をマクベス濃度計を用いて測定した。発色濃度の値で、○〜×にランク付けした。○と△は実用レベルである。
○:マクベス濃度が1.2より大きかったもの
△:マクベス濃度が0.8〜1.2の範囲であったもの
×:マクベス濃度が0.8未満であったもの
【0035】
<加圧汚染試験>
上用紙のカプセルを塗布した面と下用紙の記録面を重ねて、20kg/cm2で30秒圧力をかけた。加圧処理後のマクベス濃度を測定し、以下の数値を基準にして、評価を行った。
○:マクベス濃度0.15より小さく、加圧汚染性良好
×:マクベス濃度0.15以上で、加圧汚染性不良
【0036】
【表1】

【0037】
【表2】




【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体上に、電子供与性発色剤および疎水性液体を芯物質として内包する微小カプセルを含有するカプセル塗布層を設けた感圧複写紙において、前記カプセル塗布層に分子量1,000,000以上のポリカルボン酸塩を含有することを特徴とする感圧複写紙。
【請求項2】
ポリカルボン酸の使用割合が、微小カプセル固形分100重量部に対して1重量部以下である請求項1記載の感圧複写紙。
【請求項3】
微小カプセルが疎水性液体としてジアリールエタンを主成分とし、かつアミン−アルデヒド重縮合物の壁膜を有するものである請求項1または2記載の感圧複写紙。


【公開番号】特開2006−95790(P2006−95790A)
【公開日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−283101(P2004−283101)
【出願日】平成16年9月29日(2004.9.29)
【出願人】(000183484)日本製紙株式会社 (981)
【Fターム(参考)】