説明

感温インジケータ

【課題】 感温インジケータを所要の状態で保持することができるとともに、これを動作させる際に、指の温度の影響を受けることのない感温インジケータを得る。
【解決手段】 上ベース材11と下ベース材12とからなる基材ベース13と、この基材ベースの上、下ベース材間に、一端側の引き抜き部を外方に突出させた状態で挟まれて保持されるラベルコンプ21とを備える。基材ベースからラベルコンプの一端を引き抜くことで、上ベース材または下ベース材のいずれか一方あるいは両方に設けた凸型形状部16内で押圧されることによりカプセル28が破壊されて測定準備状態となり、所定温度以上になったことを感温材が溶解して吸収紙23に吸収され、その発色を確認することで設定温度以上になったことが確認できるように構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被感温部の温度が所定温度以上または所定温度以下になったことを不可逆的に示す感温インジケータに関し、特に所定温度以上または所定温度以下の環境に晒されたか否かを一目で視認することができる感温インジケータに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、商品、製品の品質管理において、温度が管理は重要になってきている。例えば、生鮮食品、切花等の生鮮物、医薬品、半導体材料において、温度管理が十分に行なわれず所定の温度以上に晒されると、商品、製品の品質が低下し、あるいは劣化し、更には細菌が繁殖し、腐敗が生じる場合がある。
そのため、こうした商品、製品の温度管理は生産時のみならず、流通時、保管時において厳格に温度管理を行なう必要があり、その温度管理を継続的に監視していく手段のひとつとして、感温インジケータが用いられている。
【0003】
このような感温インジケータとして、ラベル状片の一部に凸部空間を設け、その内部に感温材を内包したカプセルを埋設し、これを指等で押圧して破壊した状態で、被測定物に貼り付けることにより、該被測定物が所定温度以上または所定温度以下の環境に晒されたか否かを確認することができるようにした構造のものが従来既に提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
しかし、上記特許文献1の感温インジケータでは、被測定物に貼り付ける際にカプセルを指等で破壊する構造であることから、指等の温度がカプセル内の感温材に影響するおそれがある。
【0005】
このため、この種の感温インジケータにおいて、該カプセル部分をカプセル破壊手段の隙間を通過させるように引き抜くことにより、カプセルを温度影響のない状態で破壊できるように構成したものが提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実公平2−28418号公報
【特許文献2】特開2008−170202号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述した特許文献2の感温インジケータにあっては、ラベル状のインジケータを、カプセル破壊手段の隙間を通して引き抜くといった面倒な作業が必要であり、また該カプセル破壊手段にインジケータをセットすることも面倒である等の組み立て時の作業性の面でも問題である等の不具合があった。
【0008】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、感温インジケータを動作させる際に、指等の温度影響を受けることがなく、また組み立て性の面でも優れ、しかも使い勝手に優れている感温インジケータを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
このような目的に応えるために本発明(請求項1記載の発明)に係る感温インジケータは、上ベース材と下ベース材とからなる基材ベースと、この基材ベースの上、下ベース材間に、一端側の引き抜き部を外方に突出させた状態で挟まれて保持されるラベルコンプとを備え、このラベルコンプは、シート材とその上部に設けた吸収部材とこの吸収部材の一端側に載置され所定温度以上に達したときに溶解する感温材を内包したカプセルと該カプセルを覆う凸部をもつカバー材とを有し、そのカバー材の凸部を前記上ベース材または下ベース材のいずれか一方あるいは両方に設けた凸型形状部内に収容させた状態で、前記基材ベース内に保持されるように構成され、前記基材ベースから前記ラベルコンプの一端を引き抜くことで下ベース材の凸型形状部内で押圧されることにより前記カプセルが破壊されて測定準備状態となり、所定温度以上になったことを感温材が溶解することでその液体が吸収部材に吸収され、その発色を確認することで設定温度以上になったことが確認できるように構成されていることを特徴とする。
【0010】
本発明(請求項2記載の発明)に係る感温インジケータは、請求項1において、基材ベースにはラベルコンプが複数個セットされており、使用の際にその一つのラベルコンプを引き抜き、測定したい対象物に添付するように構成されていることを特徴とする。
【0011】
本発明(請求項3記載の発明)に係る感温インジケータは、請求項1または請求項2において、基材ベースにおける凸型形状部と該基材ベースにおけるラベルコンプの引き抜き部が突出する側端部との間に、屈曲部を設けたことを特徴とする。
【0012】
本発明(請求項4記載の発明)に係る感温インジケータは、請求項1、請求項2または請求項3において、ラベルコンプは、前記吸収部材の他端側に吸収部材の発色状態を確認することができる窓部を有し、該窓部から発色状態を確認することにより所定温度に達したこと、およびその経過時間を確認することができるように構成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
以上説明したように本発明に係る感温インジケータによれば、上、下ベース材からなる基材ベースを保管時のケースとして用いるとともに、使用時に該基材ベース内からラベルコンプを引き抜くことでカプセルを破壊して測定準備状態とするように構成しているから、簡単な構成であるにもかかわらず、従来のように感温インジケータをセットする際に指等でカプセルを潰して破壊する必要がなくなり、指等の体温の温度影響が感温材側に伝わらず、より正確な温度測定が可能であるという優れた効果がある。
【0014】
また、本発明によれば、基材ベースにおいて、カプセルを保持および保護するための凸型形状部が下ベース材と一体成型であり、構成部品点数を削減可能である等の利点がある。さらに、この基材ベースの凸型形状部は、ラベルコンプ側のカプセルの保持および保護と該カプセルの破壊という2つの機能を有するという機能上でのメリットもある。
【0015】
また、本発明によれば、基材ベースに複数のラベルコンプを並列させて保持し、使用する際に必要枚数を引き抜くことで使用可能としていることから、基材ベースが大型化することで、ケース側の剛性も向上しラベルコンプを引き抜く際に手で保持し易いといった利点もある。さらに、基材ベースを廃棄する際に、ラベルコンプ一個毎ではなくなるため、廃材の削減が可能という利点もある。
【0016】
また、本発明によれば、基材ベースのラベルコンプを横断するような方向に屈曲部を設けることで、基材ベースの剛性が向上し、上、下ベース材の密着度が向上するばかりでなく、上、下ベース材の接合箇所を減らしても浮き(隙間)がなくなる等の利点もある。
さらに、上述した凸型形状部でラベルコンプの引き抜き時に破壊できなかったカプセルも該屈曲部をラベルコンプが通過することでカプセルを確実に破壊することが可能で、より確実に破壊できるという利点もある。
【0017】
また、本発明によれば、設定温度以上になると内部の感温材(ワックス等)が溶けて赤などの色が発色するが、ラベルコンプの吸収部材(浸透材)に滲み込んでいく範囲(距離)により時間の経過を知ることができる。すなわち、吸収部材が部分的に発色していたとしても、一定時間内であれば問題なしであることになり、その確認が行える。また、透明の材質で形成されたラベルコンプの表面の一部には透過しない不透明シートを貼り付けて形成しているが、その不透明シートの一部を透過(窓部)させることで、吸収部材に吸収された感温材の発色を確認することができ、一定時間経過していることが確認できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明に係る感温インジケータの一実施形態を示す概略斜視図である。
【図2】図1の感温インジケータの概略側断面図である。
【図3】図1、図2の感温インジケータにおいてラベルコンプを引き出して使用する際の状態を説明するための模式的な概略断面図である。
【図4】本発明に係る感温インジケータにおいて引き出したラベルコンプによる検出表示状態の変形例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1ないし図3は本発明に係る感温インジケータの一実施形態を示すものであり、これらの図において、この感温インジケータ10は、上、下ベース材12,11からなる基材ベース13と、その間に挟まれた状態で保持される複数枚(ここでは5枚)のラベルコンプ21とを備えている。
【0020】
ここで、このようなラベルコンプ21は、図1ないし図3から明らかなように、透明シートによる長尺なシート材22と、その下面側に貼り付け等で設けた所定長さをもつ吸収部材としての吸収紙(浸透材)23と、この吸収紙23の一端側に載置され所定温度以上に達したときに溶解する感温材(例えば染料とある一定温度に達した時点で溶解するワックスとを含んだ液体)を内包したカプセル28と該カプセル28を覆う凸部形成部27をもつカバー材(ここでは不透明シート)25とを有する。
【0021】
また、図3中、24はラベルコンプ21において、シート材22の表側面に対し反引き出し部側から所定長さ位置まで貼り付けられた不透明シートによるカバー片、26は引き出し端側からシート材22の裏面側に対し貼り付けられ、被測定物などにセットする際に粘着層による貼り付け部を露呈させるための?離紙である。
【0022】
ここで、このようなラベルコンプ21としては、従来から周知の構造をもつ感温インジケータとしてのラベル構造をもつものであればよい。要は、ラベルを引き抜くための手でつかめるような形状を呈し、その下面側の一部に膨出する凸状部(凸部形成部27による)をもち、その内部に感温材を内包したカプセル28が収納して保持および保護されている形状であればよい。
【0023】
なお、カプセル28内に充填される感温材は、例えば、油溶性色素、顔料又は染料を直鎖炭化水素または直鎖炭化水素の組成からなる固溶体に混合したもの、いわゆる着色ワックスを用いることができる。また、感温材としては、所定温度にて溶融、変色する化学物質であっても良い。また、所定温度以下で液相となる着色されたゲル等を用いることができる。更に融点(凝固点)が2点以上存在し、所定温度範囲において固定状態を維持し、前記所定温度の下限温度以下及び上限温度以下で液体状態となる感温材も用いることができる。
【0024】
このように、所定温度以下で液相となる着色されたゲルを用いた感温インジケータは、レタス、じゃがいも、豆腐、炭酸飲料(ビール)等、凍結すると品質が劣化する商品、製品に好適に用いることができる。
【0025】
また、吸収紙23は感温材を吸収、浸透できるものであればよく、従来から用いられている、ろ紙、多孔質体(フィルム、スポンジ等)、シリカゲル等を用いることができる。
この吸収紙23は平面視ほぼ細帯状の形状に形成され、その一端側にカプセル28を保持および保護する凸状部が位置し、また吸収紙23の他端がカバー材24の端部よりも外部に露呈することにより、感温表示部となっている。
【0026】
また、前記カバー材24,25は、指でさわった際、カプセル28にその熱が伝わり難くなるように、断熱部材で形成するとよい。
【0027】
さて、本発明によれば、上述したラベルコンプ21を、その一端側の引き出し部を外方に突出させた状態で挟み込んで保持する基材ベース13を備えている。
これを説明すると、二枚の板状部材である下ベース材12と上ベース材11とを備える。これらの上、下ベース材11,12は、図1〜図3に示すように、下ベース材12の一部に凸型形状部16を有し、これに上ベース材11を組み合わせることにより、内部にほぼ凸型形状を呈する空間を形成するようにしている。そして、この空間内に前記ラベルコンプ21のカプセル28を収容した凸部(凸部形成部27)を収納して保持および保護した状態でラベルコンプ21を挟み込むように構成されている。
【0028】
図1中14,15は上、下ベース材11,12間を例えば超音波等により溶着して接合するための溶着接合部である。ここで、この実施形態では、図1から明らかなように、5枚のラベルコンプ21を並列した状態で装着するように構成され、そのラベルコンプ装着部を除いた部分を接合するようになっている。なお、上記の接合部14,15としては、実施形態で説明したように溶着接合が好適であるが、これに限定されず、接着等で接合してもよい。
【0029】
また、この実施形態では、上ベース材11と下ベース材12とにそれぞれ凸状の屈曲部31,32を形成し、上下ベース材11,12を結合したときに、各ラベルコンプ21において、カプセル28の収容部と引き出し部との間で屈曲して保持した部分を形成するように構成している。
このような屈曲部31,32は、基材ベースの剛性を向上させるとともに、引き抜き操作によって、狭い隙間を通過することで、カプセル28を確実に潰して破壊するための部分である。
【0030】
以上の構成をもつ感温インジケータ10は、例えば全体を予め使用温度以下に保冷することにより準備状態で保管される。
そして、使用時には、基材ベース13から使用する1枚を引き抜き、被測定物を保管する、例えば保冷庫等に同封させて添付する。なお、?離紙26等を?離することで、製品、商品に貼り付けてもよい。
【0031】
特に、本発明によれば、上述した引き抜き時に、基材ベース13側の凸型空間部16内で圧縮変形されてカプセル28が潰れることにより破壊されるように構成されている。そして、このようにカプセル28が潰れることにより、測定準備状態とされる。
この場合、カプセル28が潰れるだけでは発色せず、その後、被測定物に添付されることで、温度を監視する。
【0032】
例えば該被測定物を搬送したのち、発色を確認することにより、発色していなければ、温度が所定温度以上になったこと、及び一定時間以上経過していることはないと確認できる。
一方、発色していれば、配送時などに温度上昇などの問題が生じたことを確認することができる。したがって、例えば、生鮮食品、切り花等の生鮮物、医薬品、半導体材料等において、温度管理が十分に行われず、所定の温度以上に晒されると品質が劣化する商品、製品に用いて好適である。
【0033】
以上の構成によれば、上、下ベース材11,12からなる基材ベース13を保管時のケースとして用いるとともに、使用時に該基材ベース13内から任意のラベルコンプ21を引き抜くことでカプセル28が破壊されて測定準備状態となる。したがって、簡単な構成であるにもかかわらず、従来のように感温インジケータ10をセットする際に指等でカプセルを潰して破壊する必要がなくなり、指等の体温の温度影響が感温材側に伝わらず、より正確な温度測定が可能である。
【0034】
また、基材ベース13において、カプセル28を保持および保護するための凸型形状部16が下ベース材12と一体成型であり、構成部品点数を削減可能である等の利点がある。さらに、この基材ベースの凸型形状部は、ラベルコンプ21側のカプセル28の保持および保護と該カプセル28の破壊という2つの機能を有するという機能上でのメリットもある。
【0035】
さらに、この実施形態のように、基材ベース13内に複数個のラベルコンプ21を併設して保持させておくことにより、ケース自体の共用化を図り、構成部品点数やコスト面から有利であるばかりでなく、組み立て性や使い勝手などの面からも優れている。
また、このようにラベルコンプ21を併設して設ける構造では、基材ベース13が大型化することで、ラベルを引き抜く際に手で保持し易く、さらに廃棄する際にも廃材の削減が可能である等の利点もある。
【0036】
また、上述した構造では、基材ベース13のラベルコンプ21を横断するような方向に屈曲部31,32を設けることで、基材ベース13の剛性が向上し、上、下のベース材11,12の密着度が向上し、さらに上、下ベース材11,12の接合箇所を減らしても浮き(隙間)がなくなることになる。そして、このような構成では、ラベルコンプ21を引き抜く際に破壊できなかったカプセル28もこの屈曲部31,32をラベルコンプ21が通過することで破壊することが可能で、より確実に行える。
【0037】
図3は上述した基材ベース13側の凸型形成部16内でのラベルコンプ21側の凸部27に保持および保護したカプセル28が潰れる状態を示すものであり、ラベルコンプ21を引き抜き方向に引き抜くことで、前記凸型形成部16内で圧縮変形されて徐々に潰されて破壊されることは、容易に理解されよう。
【0038】
すなわち、基材ベース13から引き抜いたラベルコンプ21を被測定物に貼り付け等で添付し、温度変化をチェックする。そして、温度が所定温度以上に達し、また所定時間経過すると、感温材が吸収紙23に徐々に浸透し、カプセル28の載置位置から吸収紙23の長手方向に沿って広がり、そのときに、例えば不透明シートによる上カバー材24に設けた窓部による発色表示部Mから発色状態を確認することができるようにすればよい。
【0039】
換言すれば、所要の設定温度以上になると、内部の感温材(ワックス等)が溶けて赤などの色が発色するが、ラベルコンプ21の吸収紙23(浸透材)に滲み込んでいく範囲(距離)により時間の経過を知ることができるのである。すなわち、吸収紙23が部分的に発色していたとしても、一定時間内であれば問題はなく、その確認が行える。また、透明の材質で形成されたラベルコンプ21の表面の一部には透過しない不透明シートを貼り付けて形成しているが、その不透明シートの一部を窓部などで発色表示部Mとして透過させることで、吸収紙23に吸収された感温材の発色を確認することができ、一定時間以上経過していることが確認できるのである。
【0040】
なお、本発明は上述した実施形態で説明した構造には限定されず、感温インジケータ10を構成する各部の形状、構造等を適宜変形、変更し得ることはいうまでもない。
例えば、上述した実施形態では、複数枚(5枚)のラベルコンプ21を、上、下ベース材11,12間に挟み込んだ状態で、基材ベース13の一側に沿って並列して保持させた構造である場合を説明したが、本発明はこれに限定されず、基材ベースの両側にそれぞれ複数枚のラベルコンプを並列して配列し、ラベルコンプを基材ベースから引き抜いて使用することができるように構成する等の種々の変形例が考えられる。
【0041】
また、上述した実施形態では、ラベルコンプ21の基材ベース13に粘着層を設け、これに貼り付けた?離紙26を剥がすことで、該ラベルコンプ21を、被測定物に貼り付けることができるようにしているが、本発明はこれに限定されず、被測定物と一緒に保冷庫、貯蔵庫等に入れるようにしてもよい。要は、被測定物の温度状況を確認できるように添付すればよいものである。
【0042】
また、下ベース材12に形成される凸型形状部16としては、上ベース材11側に設けてもよく、また上ベース材11と下ベース材12とで形成するようにしてもよい。
さらに、屈曲部31,32としても、上述した実施形態のように幅狭の屈曲通路を形成した場合に限らず、上、下ベース材11,12のいずれか一方を屈曲させ、他方を平坦のままで形成した屈曲空間で構成してもよい。
また、上、下ベース材11,12の端部を折り曲げ形成することにより、該ベース材11,12の剛性をアップさせるように構成する等の変形例も考えられる。
【0043】
また、発色表示部Mとしては、上述した窓部によるものに限らず、図4に示すように、透明シートによるシート材22に積層して設けた不透明シートによる上カバー材24の長さを、吸収紙23の端部が外部に露呈するような長さで形成することで、その露呈する吸収紙23の端部を、窓部としての発色表示部Mとしてもよい。
【0044】
このようにすれば、材料費の削減でコストダウンを図れる等の利点がある。ここで、図6(a),(b)は、例えば端部にV型カットを設けるか設けないかで、冷凍用、冷蔵用を区別するラベルとした例である。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明にかかる感温インジケータは、例えば生鮮食品、冷凍食品、切花、医薬品、半導体材料等の温度管理を必要とする製品、商品の生産、流通、保管の分野において好適に用いられる。
【符号の説明】
【0046】
10 感温インジケータ
11 上ベース材
12 下ベース材
13 基材ベース
14,15 溶着接合部(接合部)
16 凸型形状部
21 ラベルコンプ
22 透明シート(シート材)
23 吸収紙(吸収部材)
24 上不透明シート(上カバー材)
25 下不透明シート(下カバー材)
26 剥離紙
27 凸部
28 ワックス(感温材)
31,32 屈曲部
M 発色表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上ベース材と下ベース材とからなる基材ベースと、
この基材ベースの上、下ベース材間に、一端側の引き抜き部を外方に突出させた状態で挟まれて保持されるラベルコンプとを備え、
このラベルコンプは、シート材とその上部に設けた吸収部材とこの吸収部材の一端側に載置され所定温度以上に達したときに溶解する感温材を内包したカプセルと該カプセルを覆う凸部をもつカバー材とを有し、そのカバー材の凸部を前記上ベース材または下ベース材のいずれか一方あるいは両方に設けた凸型形状部内に収容させた状態で、前記基材ベース内に保持されるように構成され、
前記基材ベースから前記ラベルコンプの一端を引き抜くことで下ベース材の凸型形状部内で押圧されることにより前記カプセルが破壊されて測定準備状態となり、所定温度以上になったことを感温材が溶解することでその液体が吸収部材に吸収され、その発色を確認することで設定温度以上になったことが確認できるように構成されていることを特徴とする感温インジケータ。
【請求項2】
請求項1記載の感温インジケータにおいて、
基材ベースにはラベルコンプが複数個セットされており、
使用の際にその一つのラベルコンプを引き抜き、測定したい対象物に添付するように構成されていることを特徴とする感温インジケータ。
【請求項3】
請求項1または請求項2記載の感温インジケータにおいて、
基材ベースにおける凸型形状部と該基材ベースにおけるラベルコンプの引き抜き部が突出する側端部との間に、屈曲部を設けたことを特徴とする感温インジケータ。
【請求項4】
請求項1、請求項2または請求項3記載の感温インジケータにおいて、
ラベルコンプは、前記吸収部材の他端側に吸収部材の発色状態を確認することができる窓部を有し、該窓部から発色状態を確認することにより所定温度に達したこと、およびその経過時間を確認することができるように構成されていることを特徴とする感温インジケータ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−175350(P2010−175350A)
【公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−17414(P2009−17414)
【出願日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【出願人】(000228741)日本サーモスタット株式会社 (52)
【出願人】(591139781)アセイ工業株式会社 (10)
【Fターム(参考)】