説明

感熱積層体および感熱ラベルならびにその使用方法

【課題】 加熱した際に加熱前には見えなかった文字や図柄が浮き出て、くじとして利用できる感熱積層体および感熱ラベルを提供することを目的とする。
【解決手段】 本発明の感熱積層体10は、基材11aの片面上に感熱記録層11bが形成された感熱記録シート11と、感熱記録シート11の感熱記録層11b上の一部に形成され、減感剤を含有する減感部12と、感熱記録シート11bおよび減感部12の一部又は全部を被覆する被覆層13とを有し、被覆層13が、感熱記録層の発色色相とは異なる色の非減感インキが塗布されて形成された層のものである。本発明の感熱ラベル1は、上述した感熱積層体10と、感熱積層体10の基材11aにおける感熱記録層11b側と反対側の面に形成された粘着剤層20とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、くじ等に好適に使用される感熱積層体および感熱ラベルならびにその使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
飲料缶や飲料ボトルには、販売促進用としてキャンペーンラベルが貼付されることがあり、近年では、そのラベル自体を差別化するために付加機能を持たせることがある。例えば、2層構造にして、内部に秘匿情報を印刷し、スピードくじのような機能を持たせることがある。
このようなキャンペーンラベルは、ラベルの変色や変形等の問題から、加熱食品や加熱飲料用にはあまり適用されてこなかったが、近年、加熱販売される食品や飲料の容器にも適用できるラベルが求められている。特に、電子レンジのようなマイクロ波誘電加熱機やIHヒーターのような高周波誘導加熱機にて急速加熱した際に、隠れていた文字や図柄が浮き出て、見た目が変化し、スピードくじとして利用でき、しかも低コストのラベルが求められている。
【0003】
上記のような要求を満たすために、感熱記録紙を用いた感熱ラベルを適用することが考えられる。感熱ラベルは、加熱ヘッド等により感熱記録紙の感熱記録層を発色させて、バーコードや文字を印字可能にしたものであり、特に食品流通分野において、品名、価格、製造日、賞味期限やバーコード等を印字する値札などに広く使用されているため、低コスト化が進んでいる。よって、感熱ラベルを用いることにより、付加価値を持たせつつ低コスト化が実現可能である。
【0004】
加熱した際に見た目の変化を生じさせる感熱ラベルとしては、特許文献1に、発色温度の異なる2種以上の感熱発色性インキを印刷したものが記載されている。このラベルは、被加熱体に接着され、その発色により加熱温度を確認するものである。
また、特許文献2には、印字色と発色色相の違いを利用して、限界温度以上に加熱された際に発色して文字が浮き出るラベルが記載されている。
さらに、感熱記録層上の発色を抑制したい部分に減感インキを印刷したものが知られている(特許文献3〜5参照)。
【特許文献1】特開平10−197362号公報
【特許文献2】特開2001−356691号公報
【特許文献3】特開平08−23885号公報
【特許文献4】特開平10−29371号公報
【特許文献5】特開2002-362025号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1,2のラベルでは、加熱した際に全面が発色してしまい、文字や図柄が印字してあっても判読が困難である上、発色後の意匠性も低いため、キャンペーンラベルの用途には適していない。
また、特許文献3〜5のラベルは、加熱した際に文字や図柄が浮き出るものではない上に、感熱記録層に減感インキを印刷しただけでは、印刷部と非印刷部とで加熱発色を行う前の段階で可視的な差が生じる。したがって、発色後の状態が加熱前に判読可能であり、スピードくじには適さない。
本発明は、前記事情を鑑みてなされたものであり、加熱した際に加熱前には見えなかった文字や図柄が浮き出て、くじとして利用できる感熱積層体および感熱ラベルを提供することを目的とする。また、その感熱ラベルの使用方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願請求項1の感熱積層体は、基材の片面上に感熱記録層が形成された感熱記録シートと、感熱記録シートの感熱記録層上の一部に形成され、減感剤を含有する減感部と、感熱記録シートおよび減感部の一部又は全部を被覆する被覆層とを有する感熱積層体であって、被覆層が、感熱記録層の発色色相とは異なる色の非減感インキで着色されて形成された層であることを特徴とする。
本願請求項2の感熱積層体は、基材の片面上に感熱記録層が形成された感熱記録シートと、感熱記録シートの感熱記録層上の一部に形成され、減感剤を含有する透明または感熱記録層と同色の減感部と、感熱記録シートおよび減感部の一部又は全部を被覆する被覆層とを有する感熱積層体であって、被覆層が、透明層であることを特徴とする。
本発明の感熱積層体においては、非減感インキが耐減感インキであることが好ましい。
本発明の感熱積層体は、くじとして使用することができる。
また、本発明の感熱積層体は、導電性材料を含有してもよい。
あるいは、本発明の感熱積層体は、導電性材料を含有する導電層を有してもよい。
【0007】
本発明の感熱ラベルは、上述した感熱積層体と、感熱積層体の基材における感熱記録層側と反対側の面に形成された粘着剤層とを有することを特徴とする。
また、本発明の感熱ラベルは、導電性材料を含有してもよい。
あるいは、本発明の感熱ラベルは、導電性材料を含有する導電層を有してもよい。
本発明の感熱ラベルの使用方法は、上述した感熱ラベルを、粘着剤層を介して包装または容器に貼付し、その感熱ラベルを貼付した包装または容器を高周波誘導加熱機または誘電加熱機により加熱することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明の感熱積層体は、加熱した際に加熱前には見えなかった文字や図柄が浮き出て、くじとして利用できる。
また、本発明の感熱ラベルは、付加価値を持たせつつコストを低くできるものであり、食品包装等の包装や飲料容器等に貼付してキャンペーンラベルとして利用できるものである。
さらに、本発明の感熱ラベルの使用方法によれば、感熱ラベルを部分的に発色させて、文字や図形を浮き出させることができる。したがって、加熱した際に結果が表示されるくじとして利用可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
「感熱ラベル」
本発明の感熱ラベルの一実施形態について説明する。図1に、本実施形態の感熱ラベルの上面図を示し、図2に、本実施形態の感熱ラベルの断面図を示す。
感熱ラベル1は、上記感熱積層体10と、感熱積層体10を構成する後述する基材11aの表面に形成された粘着剤層20とを有するものである。また、この感熱ラベル1の粘着剤層20には剥離シート2が積層されている。
以下、本実施形態の感熱ラベル1の各構成について詳述する。
【0010】
<感熱積層体>
感熱積層体10は、図2に示すように、基材11aの片面上に感熱記録層11bが形成された感熱記録シート11と、感熱記録シート11の感熱記録層11b上の一部に形成された減感部12と、感熱記録シート11および減感部12の全部を被覆する被覆層13と、被覆層13上に形成された表面層14とを有するものである。また、感熱記録シート11の感熱記録層11bにおける減感部12および被覆層13側の面には、保護層15が形成されている。
【0011】
(感熱記録シート)
感熱記録シート11を構成する基材11aとしては、紙(酸性紙、中性紙)、プラスチックフィルム、合成紙、あるいはプラスチックフィルムまたは合成紙をコート紙や上質紙に接着剤を介して貼り合わせたもの、又は、紙にプラスチックをラミネートしたもの等が使用される。かかるプラスチックフィルムとしては、例えば、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリアミド等のフィルムが挙げられる。また、合成紙としては、例えばフィルム法あるいはファイバー法で製造される合成紙が使用される。フィルム法には、合成樹脂と充填剤および添加剤を溶融混練後、押出して成膜化する内部紙化方式、顔料塗工層を設ける表面塗工方式、表面処理方式等があり、ファイバー法合成紙には合成パルプ紙、スパンボンド紙等がある。なお、基材11aとしてプラスチックフィルムを使用する場合には、表面にコロナ放電、電子線照射等の処理を施して、塗布効率を高めることもできる。
【0012】
感熱記録シート11を構成する感熱記録層11bは、反応性染料(染料前駆体)と顕色剤とを含有する層である。
反応性染料としては、例えば、塩基性ロイコ染料、インドリン類、スピロピラン類、ローダミンβラクタム類等が挙げられる。
感熱記録層11bの発色色相は、どの色であってもよく、例えば、青発色性、赤発色性、黄発色性、黒発色性のもの、あるいはそれらの組み合わせにより、用途に合わせた発色色相を選択することができる。
【0013】
反応性染料のうち、インドリン類としては、例えば、2−(フェニルイミノエチリデン)−3,3−ジメチルインドリンなどが挙げられる。
スピロピラン類としては、例えば、N−3,3−トリメチルインドリノベンゾスピロピラン、8−メトキシ−N−3,3−トリメチルインドリノベンゾスピロピランなどが挙げられる。
ローダミンβラクタム類としては、例えば、ローダミンβラクタムなどが挙げられる。
【0014】
反応性染料が青発色性の塩基性ロイコ染料の場合、例えば、トリス(4−ジメチルアミノフェニル)メタン、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド、3−(4−ジエチルアミノ−2−メチルフェニル)−3−(4−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド、3−ジエチルアミノ−7−アミノベンゾ〔a〕フルオラン、3−ジエチルアミノ−7−ジベンジルアミノベンゾ〔a〕フルオラン、3−ジフェニルアミノ−6−ジフェニルアミノフルオラン、3,7−ビス(ジメチルアミノ)−10−ベンゾイルフェノチアジン、3’−フェニル−7−N−ジエチルアミノ−2,2’−スピロジ−(2H−1−ベンゾピラン)、3−(2−フェニル−1−メチルインドール−3−イル)−3−(4−ジエチルアミノ−2−メチルフェニル)−4−アザフタリド、1,1−ビス〔p−(N−メチル−N−フェニル)アニリノ〕−1−(9−n−ブチルカルバゾール−3−イル)メタン、3−〔1,1−ビス(p−ジエチルアミノフェニル)エチレン−2−イル〕−6−ジメチルアミノフタリド、3−(4−ジエチルアミノフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド、3−(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、3−(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド、3−(4−ジエチルアミノ−2−ヘキシルオキシフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、3−(4−ジエチルアミノ−2−メチルフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、3−(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニル)−3−(2−メチル−1−n−オクチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド等が挙げられる。
【0015】
反応性染料が赤発色性の塩基性ロイコ染料の場合、例えば、3,6−ビス(ジエチルアミノ)フルオラン−γ−アニリノラクタム、3−シクロヘキシルアミノ−6−クロロフルオラン、3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−ブロモフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−メチルフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−クロロフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−クロロフルオラン、3,3−ビス(2−メチル−1−オクチル−3−インドリル)フタリド、ローダミン(o−クロロアニリノ)ラクタム、ローダミン(p−クロロアニリノ)ラクタム、3−ジエチルアミノ−7,8−ベンゾフルオラン、3−(N−エチル−p−トルイジノ)−7−メチルフルオラン、3−ジエチルアミノ−6,8−ジメチルフルオラン、3−(N−エチル−N−イソアミル)アミノ−ベンゾ〔a〕フルオラン、3,3’−ビス(1−n−ブチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド、2−(4−ドデシルオキシ−3−メトキシスチリル)キノリン等が挙げられる。
【0016】
反応性染料が黒発色性の塩基性ロイコ染料の場合、例えば、3−(N−エチル−N−イソアミル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−メチル−N−シクロヘキシル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジ(n−ブチル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジ(n−ペンチル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(o−クロロフェニルアミノ)フルオラン、3−ジ(n−ブチル)アミノ−7−(o−クロロフェニルアミノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(o−フルオロフェニルアミノ)フルオラン、3−ジ(n−ブチル)アミノ−7−(o−フルオロフェニルアミノ)フルオラン、3−(N−エチル−p−トルイジノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−p−トルイジノ)−6−メチル−7−(p−トルイジノ)フルオラン、3−(N−エチル−N−テトラヒドロフルフリルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−クロロ−7−アニリノフルオラン、3−(N−メチル−N−n−プロピルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジメチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−m−トルイジノフルオラン、3−(N−n−ヘキシル−N−エチル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−イソブチル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−p−エトキシアニリノフルオラン、3−ピロリジノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ピペリジノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、2,2−ビス{4−〔6’−(N−シクロヘキシル−N−メチルアミノ)−3’−メチルスピロ〔フタリド−3,9’−キサンテン−2’−イルアミノ〕フェニル〕プロパン、3−ジエチルアミノ−7−(3’−トリフルオロメチルフェニル)アミノフルオラン等が挙げられる。
【0017】
顕色剤は、反応性染料と反応した際に反応性染料を発色させる物質である。
顕色剤としては、各種公知のものを使用でき、例えば、4,4’−イソプロピリデンジフェノール、4,4’−シクロヘキシリデンジフェノール、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−メチルペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、1,4−ビス〔α−メチル−α−(4’−ヒドロキシフェニル)エチル〕ベンゼン、1,3−ビス〔α−メチル−α−(4’−ヒドロキシフェニル)エチル〕ベンゼン、ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)スルフィド、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、2,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4’−メチルジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4’−イソプロポキシジフェニルスルホン、ビス(3−アリル−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、4−ヒドロキシフェニル−4’−ベンジルオキシフェニルスルホン、3,4−ジヒドロキシフェニル−4’−メチルフェニルスルホン、4−ヒドロキシ安息香酸ベンジルエステル(パラオキシ安息香酸ベンジル)、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸プロピル、パラオキシ安息香酸ブチル、パラオキシ安息香酸イソプロピル、パラオキシ安息香酸イソブチル、N,N’−ジ−m−クロロフェニルチオ尿素、2,4−ジヒドロキシ−N−(2’−メトキシフェニル)ベンズアミド、N−p−トリルスルホニル−N’−フェニルウレア、4,4’−ビス(p−トルエンスルホニルアミノカルボニルアミノ)ジフェニルメタン、4−〔2−(p−メトキシフェノキシ)エトキシ〕サリチル酸の亜鉛塩、4−〔3−(p−トリルスルホニル)プロポキシ〕サリチル酸の亜鉛塩、5−〔p−(2−p−メトキシフェノキシエトキシ)クミル〕サリチル酸の亜鉛塩、4−オクチルオキシアセチルアミノサリチル酸の亜鉛塩等が挙げられる。これらの顕色剤は、必要に応じて2種以上を併用することもできる。
【0018】
これらの顕色剤は、反応性染料と組み合わせて、加熱温度領域にて確実に発色するものが適宜選択される。
顕色剤の含有量は、その種類に応じて適宜調節されるが、反応性染料100質量部に対して50〜500質量部であることが好ましく、80〜300質量部程度であることがより好ましい。
【0019】
また、感熱記録層11b中には上記の反応性染料と顕色剤の他に、各種顔料が含まれていてもよい。顔料としては、例えば、カオリン、クレー、炭酸カルシウム、焼成クレー、焼成カオリン、酸化チタン、珪藻土、微粒子状無水シリカ、活性白土等の無機顔料やスチレンマイクロボール、ナイロンパウダー、ポリエチレンパウダー、尿素・ホルマリン樹脂フィラー、生デンプン粒子等の有機顔料等が挙げられる。
【0020】
また、目的に応じて、感熱記録層11b中に増感剤が含まれていてもよい。この増感剤は比較的低融点で反応性染料、顕色剤に相溶性の良好な有機物で、反応性染料、顕色剤と相溶することによりこの両成分の接触確率を高めて増感作用を発揮するものである。
増感剤の具体例としては、ステアリン酸アミド、メトキシカルボニル−N−ステアリン酸ベンズアミド、N−ベンゾイルステアリン酸アミド、N−エイコサン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド、ベヘン酸アミド、メチレンビスステアリン酸アミド、N−メチロールステアリン酸アミド、テレフタル酸ジベンジル、テレフタル酸ジメチル、テレフタル酸ジオクチル、p−ベンジルオキシ安息香酸ベンジル、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸フェニル、2−ナフチルベンジルエーテル、m−ターフェニル、シュウ酸ジベンジルエステル、シュウ酸−ジ−p−メチルベンジル、シュウ酸−ジ−p−クロロベンジル、p−ベンジルビフェニル、p−トリルビフェニルエーテル、ジ(p−メトキシフェノキシエチル)エーテル、1,2−ジ(3−メチルフェノキシ)エタン、1,2−ジ(4−メチルフェノキシ)エタン、1,2−ジ(4−メトキシフェノキシ)エタン、1,2−ジ(4−クロロフェノキシ)エタン、1,2−ジフェノキシエタン、1−(4−メトキシフェノキシ)−2−(3−メチルフェノキシ)エタン、p−メチルチオフェニルベンジルエーテル、1,4−ジ(フェニルチオ)ブタン、p−アセトトルイジド、p−アセトフェネチジド、N−アセトアセチル−p−トルイジン、ジ(β−ビフェニルエトキシ)ベンゼン、p−ジ(ビニルオキシエトキシ)ベンゼン、1−イソプロピルフェニル−2−フェニルエタン等が挙げられる。
【0021】
感熱記録層11b中には、保存性改良剤が含まれていてもよい。保存性改良剤としては、例えば、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2’−エチリデンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス(2−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(6−tert−ブチル−m−クレゾール)、1−〔α−メチル−α−(4’−ヒドロキシフェニル)エチル〕−4−〔α’,α’−ビス(4”−ヒドロキシフェニル)エチル〕ベンゼン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−シクロヘキシルフェニル)ブタン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン、4,4’−チオビス(3−メチルフェノール)、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’,5,5’−テトラブロモジフェニルスルホン、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’,5,5’−テトラメチルジフェニルスルホン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジクロロフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン等のヒンダードフェノール化合物、1,4−ジグリシジルオキシベンゼン、4,4’−ジグリシジルオキシジフェニルスルホン、4−ベンジルオキシ−4’−(2−メチルグリシジルオキシ)ジフェニルスルホン、テレフタル酸ジグリシジル、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂等のエポキシ化合物、N,N’−ジ−2−ナフチル−p−フェニレンジアミン、2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスフェイトのナトリウムまたは多価金属塩、ビス(4−エチレンイミノカルボニルアミノフェニル)メタン等が挙げられる。
【0022】
これらの増感剤および保存性改良剤の感熱記録層11b中の含有量は特に限定されないが、顕色剤100質量部に対して400質量部以下程度であることが好ましい。
【0023】
感熱記録層11b中には、バインダが含まれることが好ましい。バインダとしては、例えば、デンプン類、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ゼラチン、カゼイン、アラビアガム、ポリビニルアルコール、カルボキシ変性ポリビニルアルコール、アセトアセチル基変性ポリビニルアルコール、珪素変性ポリビニルアルコール、ジイソブチレン・無水マレイン酸共重合体塩、スチレン・無水マレイン酸共重合体塩、エチレン・アクリル酸共重合体塩、スチレン・アクリル酸共重合体塩、スチレン・ブタジエン共重合体エマルジョン、尿素樹脂、メラミン樹脂、アミド樹脂、ポリウレタン等の少なくとも一種が挙げられる。バインダは、感熱記録層11bの全固形分に対して5〜30質量%程度の範囲で配合される。
【0024】
さらに、感熱記録層11b中には、必要に応じて、各種助剤を添加することができる。例えば、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウリルアルコール硫酸エステルナトリウム、脂肪酸金属塩等の分散剤、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ポリエチレンワックス、カルナバロウ、パラフィンワックス、エステルワックス等のワックス類、消泡剤、着色染料等を適宜添加することができる。
【0025】
感熱記録層11bを形成するにあたっては、反応性染料、顕色剤等を、水等の分散媒体に分散して感熱記録層用塗料を調製し、この感熱記録層用塗料を基材11a上に塗布する方法を採ることができる。その際、ボールミル、アトライター、サンドミルなどの攪拌・粉砕機により反応性染料および顕色剤を一緒に又は別々に分散媒体に分散する。
【0026】
感熱記録層用塗料の塗布方法としては、例えば、エアーナイフコーティング、バリバーブレードコーティング、ピュアーブレードコーティング、ロッドブレードコーティング、ショートドウェルコーティング、カーテンコーティング、ダイコーティング、グラビアコーティング等が挙げられる。
感熱記録層形成にあたっての感熱記録層用塗料の塗布量としては、乾燥質量で2〜10g/mであることが好ましく、3〜7g/mであることがより好ましい。
【0027】
さらに、感熱記録層11bにおける減感部12が接触しない領域11c(以下、減感部非接触領域11cという。)の一部には、あらかじめ加熱により文字、図柄、コード等を印字しておいてもよい。その印字方法としては、例えば、感熱プリンター、印刷機上でのホットロール、ホットスタンプ等各種公知の方法を適用できる。
【0028】
(減感部)
減感部12は、減感剤を含有する部分のことである。減感剤は、一般的にはノーカーボン紙に用いられ、染料の発色を抑制して発色しない領域を形成させるものであるが、本発明では、感熱記録層11b中の反応性染料と顕色剤との反応を阻害して発色を抑えるものである。
減感剤としては、例えば、ドデシルトリメチルアンモニウムクロライド、オクタデシルアンモニウムクロライド等の第4級アンモニウム塩;ドデシルアミン、ドデシルジアミン等の高分子量のアミン;2,4,4−トリメチル−2−オキサゾリン等の置換オキサゾリン;キシレンジアミン、N−アミノプロピルピペリジン等の分子中に環状構造を有するジアミン;ポリアミンのエチレンオキサイド、プロピレンオキサイドまたはブチレンオキサイド付加体等のポリアミン誘導体とアルキレンオキシドとの反応物;ポリオキシエチレンアルキルアミン;ポリオキシエチレンアルキルエーテル;ポリオキシエチレンエステル;ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル;ポリエチレングリコール;ポリプロピレングリコール;ポリオキシプロピレンアルキルアミン;グルタミン酸−γ−アルキルエステル残基を有する重合体;スピロアセタール系ジアミン;N−(アミノアルキル)−ラクタム類、アミン類のグリシジルエーテル付加体等を挙げられる。これらの中でも、特に多価アミンのアルキレンオキサイド付加物は減感効果が良好であり、インキ成分との相溶性が良好なため好ましく用いられる。
【0029】
減感部12は、感熱記録シート11の感熱記録層11b上に、減感インキを部分的に印刷または塗布することで形成される。ここで、減感インキは、減感剤とビヒクルと溶媒とを含有するものである。
減感インキを構成するビヒクルとしては、例えば、あまに油等の乾性油、マレイン油等の合成乾性油、鉱油、パラフィン油等やエチルセルロース、ニトロセルロース、アルキッド樹脂、ポリアミド、アクリル樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、マレイン酸樹脂等の合成樹脂等が挙げられる。これらは一種で使用してもよいし、二種以上を混合して使用してもよい。
減感インキは顔料を含有してもよい。顔料としては、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、硫酸バリウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、水酸化マグネシウム、タルク等が挙げられる。これら顔料は一種で使用してもよいし、二種以上を混合して使用してもよい。また、減感インキが顔料を含有しない透明タイプは、減感部12を形成した部分と形成していない部分との境界を目立たなくさせるためには好ましい。
さらに、減感インキは、必要に応じて紫外線吸収剤、酸化防止剤等も適宜選択して含有してもよい。
【0030】
ビヒクルおよび顔料の含有量は、減感剤の種類や配合量により適宜選択されるが、減感剤100質量部に対して、ビヒクルと顔料の合計が100〜500質量部程度であることが好ましい。
【0031】
減感部12を感熱記録層11b上の一部に形成するためには、例えば、減感インキを部分印刷もしくは抜き文字印刷すればよい。このような印刷を施すことにより、加熱時に発色する部分を明確にできる。ここで、部分印刷または抜き文字印刷の選択は、ラベルの図柄に応じて適宜選択すればよい。印刷方法としては、例えば、活版印刷、オフセット印刷、フレキソ印刷等を適用できる。また、ラベル印刷機を用いることもでき、その場合には、紫外線により硬化するプレポリマーやモノマーを含有する紫外線硬化型減感インキを使用することが好ましい。
【0032】
減感インキの塗布量は、顕色剤や減感剤の種類や含有量、保護層15の有無および印刷方式等で異なり、特に限定されない。ただし、塗布量が多すぎると乾燥時間がかかる上、感熱記録層11bにおける感熱部非接触領域11cにまで減感剤が浸透して発色不良を起こしたり、重ね印刷したインキが滲んだりする原因となる。また、塗布量が少なすぎると十分な減感効果が得られず、加熱により発色が生じてしまうことがある。
【0033】
(被覆層)
被覆層13は、感熱記録層11および減感部12上に非減感インキが塗布されて形成された層であって、感熱記録層11および減感部12を隠蔽して、これらの可視的な差を小さくする層である。ここで、非減感インキとは、減感剤を含有しないインキのことである。
被覆層13の形成に使用される非減感インキとしては、印刷方式に応じたものを使用すればよいが、中でも、耐減感インキが好ましい。耐減感インキとは、減感剤に対する耐性を有する顔料を含むインキのことである。減感部12中の減感剤は加熱によりブリードしやすいため、滲みや変色、退色等を引き起こしやすいが、被覆層13が耐減感インキから形成されていれば、滲みや変色、退色等を抑制できる。耐減感インキとしては特に制限はなく、ノーカーボン紙において減感インキ印刷領域に罫線や文字を印刷する場合に使用するものと同じものを使用できる。耐減感インキの中でも、ナフトールAS類の赤系顔料を含むインキが好ましい。これに対し、カーミン6Bやレーキ類の赤系顔料は減感剤に対して耐性を有さないため、これらを含むインキは好ましくない。
被覆層13は、図示例のように、感熱記録層11bおよび減感部12の全面に形成されていてもよいし、部分的に形成されていてもよい。ただし、いずれの場合でも、減感部12の輪郭の一部又は全部を隠蔽できるように被覆層13で被覆する。
また、被覆層13は、単層でもよいが、多層であっても構わない。
【0034】
また、被覆層13は、感熱記録層11bの発色色相とは異なる色の非減感インキが塗布されて形成された層である。感熱記録層11bの発色色相と同一色の非減感インキが塗布されて形成された場合には、加熱後、感熱記録層11bの発色色相と重なってしまうため、発色が判別できなくなる。これに対し、被覆層13が、感熱記録層11bの発色色相とは異なる色の非減感インキが塗布されて形成された層であることにより、発色後に発色部分を明確に判別できるようになる。
【0035】
また、被覆層13上には、地紋を印刷してさらに隠蔽性を高めたり、文字13aや図柄などを適宜印刷して意匠性を高めたりすることができる。その際に使用されるインキとしては印刷方式に適したものを使用できるが、中でも、耐減感インキを使用することが好ましい。
【0036】
(表面層)
表面層14は、耐水性、耐磨耗性等を付与するための層である。表面層14としては、オーバープリントニス層やフィルムラミネート層等が挙げられる。オーバープリントニス層は、主に透明樹脂からなり、必要に応じて、フィラー、滑剤、紫外線吸収剤、撥水剤などを含んでいてもよい。オーバープリントニス層に用いられる透明樹脂としては特に制限されず、公知の紫外線硬化樹脂、電子線硬化樹脂、熱硬化樹脂等を用いることができる。
フィルムラミネート層は透明フィルムからなり、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート等のフィルムを例示できる。
表面層14の表面には、感熱記録層11bおよび減感部12の可視的な差をより小さくする目的で、凹凸を形成してもよい。
【0037】
(保護層)
保護層15は、インキ密着性の向上、印刷時の擦れや乾燥熱等による不必要な発色を防ぐことを目的として設けられた層である。
保護層15を形成する材料としては、減感部12の減感剤が感熱記録層11bに浸透し、顕色剤と反応して、本来得られる減感効果を阻害しないものが好ましく、具体的には、水溶性高分子または水分散性樹脂が好ましい。かかる水溶性高分子または水分散性樹脂の具体例として、例えば、デンプン類、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ゼラチン、カゼイン、アラビアガム、完全ケン化ポリビニルアルコール、部分ケン化ポリビニルアルコール、カルボキシ変性ポリビニルアルコール、アセトアセチル基変性ポリビニルアルコール、ケイ素変性ポリビニルアルコール、ジイソブチレン・無水マレイン酸共重合体塩、スチレン・無水マレイン酸共重合体塩、スチレン・アクリル酸共重合体塩、エチレン・アクリル酸共重合体塩、尿素樹脂、メラミン樹脂、アミド樹脂などの水溶性高分子、およびスチレン・ブタジエン系共重合体ラテックス、アクリル樹脂系ラテックス、ポリエステルポリウレタンアイオノマー、ポリエーテルポリウレタンアイオノマーなどの水分散性樹脂などが挙げられる。
【0038】
保護層15中には顔料が含まれていてもよく、保護層15に含まれてもよい顔料としては、例えば、カオリン、クレー、炭酸カルシウム、焼成クレー、焼成カオリン、酸化チタン、珪藻土、尿素・ホルマリン樹脂フィラーなどが挙げられる。保護層15中の顔料の含有量は保護層15に対して40〜90質量%であることが好ましい。
【0039】
さらに、保護層15中には必要に応じて各種助剤が添加されていてもよい。保護層15中に添加されていてもよい添加剤としては、例えば、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウリルアルコール硫酸エステルナトリウム、脂肪酸金属塩等の分散剤、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ポリエチレンワックス、カルナバロウ、パラフィンワックス、エステルワックス等の滑剤、消泡剤、着色染料等が挙げられる。
【0040】
保護層15を形成する方法としては、例えば、上記成分を含有する保護層形成用塗料を調製し、これを感熱記録層11b上に塗布する方法等が挙げられる。保護層形成用塗料の塗布量は、乾燥質量で0.5〜10g/mであることが好ましく、1〜7g/m程度であることがより好ましい。
【0041】
<粘着剤層>
粘着剤層20を構成する粘着剤としては、例えば、アクリル酸エステルを主体にし、アクリル酸、メタクリル酸、アクリルアミド、酢酸ビニル、スチレン等を共重合したアクリル系粘着剤や、天然ゴム、イソプロピレンゴム、スチレン・ブタジエンブロック共重合体、スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体、ブチルゴム、スチレン・エチレン・ブチレン・スチレンブロック共重合体、ポリイソブチレン、ポリビニルイソブチルエーテル、クロロプレンゴム、ニトリルゴム等のゴム系粘着剤。シリコーン系粘着剤等が挙げられる。これらの粘着剤は溶剤型、エマルジョン型、ホットメルト型、液状硬化型のいずれであってもよい。又、粘着剤には再剥離タイプと永久粘着タイプがあるが、本発明に用いる粘着剤としては、いずれのタイプでもよく、ラベルの用途、使用目的に応じて適宜使い分ければよい。
【0042】
粘着剤層20には、必要に応じて、ロジン等の天然樹脂、変性ロジン、ロジンおよび変性ロジンの誘導体、ポリテルペン系樹脂、テルペン変性体、脂肪族系炭化水素樹脂、シクロペンタジエン系樹脂、芳香族石油系樹脂、フェノール系樹脂、アルキル−フェノール−アセチレン系樹脂、クロマン・インデン樹脂、ビニルトルエン・α−メチルスチレン共重合体等の粘着付与剤を添加できる。さらに、老化防止剤、架橋剤、着色剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、充填剤等を添加することができる。これらの助剤は、必要に応じて2種以上を併用することもできる。
【0043】
粘着剤層20の形成方法としては、後述する剥離シート2の剥離剤層2b上に、粘着剤を塗布して一旦形成した後、基材の一方の面に転写する方法、基材の一方の面に粘着剤を直接塗布し、乾燥して形成する方法が挙げられる。粘着剤を塗布する装置としては、例えば、ロールコーター、ナイフコーター、バーコーター、スロットダイコーター、グラビアコーター、カーテンコーター等を使用できる。また、粘着剤の塗布量は、乾燥質量で3〜50g/mであることが好ましく、5〜30g/m程度であることがより好ましい。
【0044】
<剥離シート>
剥離シート2は、剥離シート用基材2a上に剥離剤層2bが形成されているものである。剥離シート用基材2aとしては、グラシン紙の如き高密度原紙、クレーコート紙、クラフト紙または上質紙等の原紙に、例えばカゼイン、デキストリン、澱粉、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリビニルアルコール、スチレン−ブタジエン共重合体、エチレン−塩化ビニル共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、(メタ)アクリル酸エステル共重合体の天然または合成の樹脂単独またはカオリン、クレー、炭酸カルシウム、焼成クレー、焼成カオリン、酸化チタン、シリカ等の無機顔料やプラスチックピグメント等の有機顔料と併用した目止め層を設けた基材、あるいは、クラフト紙または上質紙等にポリエチレン等の合成樹脂をラミネートしたポリラミ紙等が挙げられる。
剥離剤層2bは、溶剤型あるいは無溶剤型のシリコーン樹脂やフッ素樹脂等の剥離剤を乾燥質量0.05〜3g/m程度になるように剥離シート用基材2a上に塗布後、熱硬化、電子線硬化、紫外線硬化等によって硬化することにより形成することができる。
剥離剤を塗布する装置としては、例えば、バーコーター、ダイレクトグラビアコーター、オフセットグラビアコーター、エアーナイフコーター、多段ロールコーター等を適宜使用できる。
【0045】
以上説明した感熱ラベル1は、感熱記録層11b上の一部に減感部12を形成することで文字や図柄が形成され、その感熱記録層11bと減感部12とが、感熱記録層11bの発色色相とは異なる色の非減感インキから形成された被覆層13で被覆されている。したがって、感熱ラベル1を加熱する前には、感熱記録層11bと減感部12との可視的な差は小さく、文字や図柄は見えないが、加熱した際には感熱記録層11b上の減感部非接触領域11cが発色して浮き出て見えるようになる。そして、このような現象を利用することで、くじとして使用することができる。また、過熱履歴の表示、温度の表示、過熱警告の表示等にも使用できる。
また、この感熱ラベル1は、食品包装等の包装や飲料容器等に貼付してキャンペーンラベルとして利用できる。この感熱ラベル1を用いたキャンペーンラベルは、上述したようにくじ付きにできるから付加価値が高い。
さらに、この感熱ラベル1は特別な材料を用いて構成されていないから低コストである。したがって、この感熱ラベル1は、付加価値を持たせつつコストを低くできるものである。
【0046】
なお、本発明の感熱ラベルは上述した実施形態に限定されない。例えば、上述した実施形態では、表面層14、保護層15が形成されていたが、これらは形成されていなくてもよい。表面層14が形成されていない場合には、感熱記録層11bと減感部12との可視的な差をより小さくするために、被覆層13に凹凸を形成または模様を印刷することが好ましい。
さらに、被覆層13は、感熱記録層11bの発色色相とは異なる色の非減感インキが塗布されて形成された層であったが、透明層であってもよい。ただし、被覆層13が透明である場合には、減感部12で形成した図柄や文字を発色前に見えなくするために、減感部12を透明または感熱記録層と同色にする必要がある。減感部12を感熱記録層11bと同色にした場合には、透明な被覆層13を厚くしたり、表面にエンボス処理を施したりすることにより、減感部12と感熱記録層11bとの境界を不明瞭にすることが好ましい。
【0047】
また、本発明の感熱ラベルまたは感熱積層体においては、感熱積層体または粘着剤層のいずれか一方または両方が導電性材料を含有してもよいし、導電性材料を含有する導電層を有してもよい。
含水率の低い感熱ラベルは、そのままではマイクロ波誘電加熱機によって水の分子運動を増大させて加熱することは困難である。しかし、感熱ラベルが導電性材料を含有する場合、または、導電層を有する場合には、導電性材料がマイクロ波を反射して、感熱ラベルを加熱することができ、感熱記録層を容易に発色させることができる。
【0048】
感熱積層体または粘着剤層のいずれか一方または両方が導電性材料を含有する場合の導電性材料としては、銅、銅合金、銀、ニッケル、低融点合金(ハンダなど)、アルミニウムの金属微粒子、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化錫、酸化インジウムなどの金属酸化物微粒子、ポリピロール、ポリアニリンなどの導電性ポリマー粒子、金属を被覆したポリマー微粒子、貴金属を被覆した銅や銀の微粒子、金属繊維、炭素繊維、カーボンブラック、黒鉛粉末などが挙げられる。これらの中でも、アルミニウムの微粒子やカーボンブラック等が安価なため好ましい。
導電性材料の含有量については、多すぎると過剰に発熱して感熱積層体や感熱ラベルを焦がしてしまうおそれがあり、少なすぎると充分に発熱せず、感熱記録層が発色しないことがあるから、感熱積層体または感熱ラベルの構成に応じて適宜選択することが好ましい。
なお、感熱積層体に導電性材料が含まれる場合には、基材、感熱記録層、被覆層、保護層のうちのいずれか1層または2層以上に含まれていればよい。
【0049】
導電性材料を含有する導電層を有する場合、その導電層としては、上記導電性材料を含有する接着剤、粘着剤、インキ・ペースト、塗料から形成された層、上記導電性材料を含有するプラスチックまたはゴムからなるフィルムやシートなどが挙げられる。また、アルミニウム、銅、錫、鉛等の金属箔、アルミニウム、亜鉛、亜鉛合金、銅、白金、チタン等の蒸着膜等が挙げられ、これらを単独もしくは組み合わせて使用することが可能である。これらの中でも、アルミニウムの箔または蒸着膜等が安価なため好ましい。
導電層の位置は特に制限されず、例えば、基材、感熱記録層、被覆層、保護層、粘着剤層の面の一部又は全部に形成することができ、感熱積層体または感熱ラベルの構成に応じて適宜選択することができる。ただし、電磁波で加熱した際のスパークを防止できることから、導電層が表面または側面に露出していないことが好ましい。
また、導電層の厚さについては、厚すぎると過剰に発熱して感熱積層体や感熱ラベルを焦がしてしまうおそれがあり、薄すぎると充分に発熱せず、感熱記録層が発色しないことがあるから、感熱積層体または感熱ラベルの構成に応じて適宜選択することが好ましい。
導電層の形成方法としては、例えば、導電性材料の塗布、印刷、蒸着や、あらかじめ作製された導電層を粘着剤層や接着剤層を介して貼合する(導電層のラベルを貼合する)方法などを採ることができる。
【0050】
「感熱ラベルの使用方法」
次に、本発明の感熱ラベルの使用方法の一実施形態について説明する。
本実施形態の感熱ラベルの使用方法は、感熱ラベル1から剥離シート2を剥離し、感熱ラベル1を食品包装用パッケージ等の包装または飲料缶や飲料ボトル等の容器に貼付し、その包装または容器を高周波誘導加熱機もしくは誘電加熱機で加熱する方法である。このように加熱することにより、感熱ラベル1の感熱記録層11bにおける減感部非接触領域11cを発色させることができ(図3参照)、減感部12により形成された文字や図柄を浮き出させることができる。
【0051】
加熱の際に使用する誘電加熱機としては、高周波誘電加熱機とマイクロ波誘電加熱機とが挙げられる。特に金属製の飲料缶の急速加熱に対しては、IH加熱機のような高周波誘導加熱機を使用することが好ましい。マイクロ波誘電加熱で金属製の容器を加熱しようとしても電磁波が反射して加熱できないが、高周波誘導加熱機によれば、高周波電流の流れるコイルの中に導電体(金属製の容器)を置き、電磁誘導作用によって導電体に生じる渦電流損およびヒステリシス損によって導電体を発熱させて急速に加熱することができる。
【0052】
水分の多い食品等を加熱する際には、電界強度が弱く、放電を起こしにくい電子レンジなどのマイクロ波誘電加熱機が広く使用されているが、感熱ラベル中の含水率は低いため、感熱ラベル中の水の分子運動増大による加熱は期待できない。そのため、食品中の水の分子運動増大により生じた熱の伝導により感熱ラベルを加熱して発色させる必要があるが、感熱ラベルの貼付位置によっては充分に加熱されず、発色しないことがある。したがって、感熱ラベルをマイクロ波誘電加熱機で加熱する用途に適用する場合には、導電性材料を含む感熱ラベルまたは導電層を有する感熱ラベルを用いることが好ましい。
【0053】
上述したように感熱ラベル1を使用することにより、感熱ラベル1をスピードくじとして使用することができる。例えば、感熱記録層11b上の減感部12によって「あたり」または「はずれ」等の文字を抜き文字印刷で形成することにより、加熱後に「あたり」または「はずれ」の文字が浮き出るくじとすることができる。
また、あたりの場合に、一部が発色するくじとしてもよい。その場合、はずれは加熱後に発色しないものであるから、あたり用のラベルの発色部分にも減感部を形成して発色を防いだものを使用すればよい。
【0054】
具体的な使用方法としては、感熱ラベル1を金属製の飲料缶に貼付し、その状態で販売する。このときには、減感部12で形成された文字や図柄等は判読できず、くじの場合には、あたりかはずれかはわからない。そして、その飲料缶を購入した後、IH加熱機で加熱することで、感熱記録層11bの減感部非接触領域11cを発色させる。その結果、文字や図柄が出現して判読可能になるため、感熱ラベル1をくじとして用いた場合には、加熱後に結果が分かるようにできる。
【実施例】
【0055】
以下、実施例を示して本発明をより具体的に説明するが、本発明は、これらの例に限定されるものではない。また、特に断りのない限り、例中の「部」および「%」はそれぞれ「質量部」および「質量%」を示す。
【0056】
<実施例1>
[A液(塩基性ロイコ染料液)調製]
黒系染料である3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン10部、メチルセルロースの5%水溶液5部、および水15部からなる組成物を、平均粒径が1.0μmになるまでサンドミルで粉砕した。
[B液(増感剤液)調製]
シュウ酸ジベンジルエステル15部、メチルセルロースの5%水溶液7部、および水28部からなる組成物を、平均粒径が1.5μmになるまでサンドミルで粉砕した。
[C液(顕色剤液)調製]
4−ヒドロキシ安息香酸ベンジルエステル20部、メチルセルロースの5%水溶液10部、および水30部からなる組成物を、平均粒径が1.4μmになるまでサンドミルで粉砕した。
[D液(保護層形成用塗料)調製]
10%アセトアセチル基変成ポリビニルアルコール水溶液200部、カオリン(商品名:UW−90、EMC社製)100部、30%ステアリン酸亜鉛分散液30部、および水100部からなる組成物を混合攪拌して保護層形成用塗料とした。
【0057】
[感熱記録層および保護層の形成]
A液55部、B液115部、C液80部、10%ポリビニルアルコール水溶液80部、および炭酸カルシウム35部を混合攪拌して感熱記録層用塗料を調製した。次いで、厚さ100μmの上質紙(基材)に、前記感熱記録層用塗料を、乾燥後の塗布量が6g/mになるように塗布し、乾燥して感熱記録層を形成した。この感熱記録層上に、D液を乾燥後の塗布量が5g/mになるように塗布し、乾燥して保護層を設けた後、キャレンダー処理して感熱記録シートを得た。
【0058】
[粘着加工]
アクリル系粘着剤(商品名:BPS5448,固形分濃度40%,東洋インキ製造社製)100部、架橋剤(商品名:BXX5134,東洋インキ製造社製)3部を混合・攪拌して粘着剤塗液を得た。
米坪63g/mのグラシン紙に、熱硬化型溶剤シリコーン(SRX345:東レ・ダウコーニング社製)を乾燥質量が1.0g/mになるように塗工し、剥離剤層を設けて、剥離シートを得た。次いで、この剥離シートの剥離剤層上に、ナイフコーターにより上記粘着剤塗液を乾燥質量20g/mになるように塗工し、粘着剤層を形成した。そして、この粘着剤層上に、前記感熱記録シートにおける感熱記録層が設けられていない側の面を貼り合わせて感熱タック紙を得た。
【0059】
[減感インキの印刷]
前記感熱タック紙の感熱記録層側に、5mm四方内にハートマークが形成されるように、ラベル印刷機によりインキ量2.5g/mで抜き文字印刷した。インキとしては、白色のUV減感インキ(UV減感インキOPL−MTW 白色:T&K社製)を用いた。次いで、UV照射してインキを硬化させて減感部を形成した(すなわち、ハートマーク以外の部分が減感部である)。
【0060】
[第1の被覆層の形成]
感熱記録層および減感部上に、さらに白色のUV硬化型耐減感インキ(UV NVR 白:T&K社製)をインキ量1.7g/mでラベル印刷機にて全面ベタ印刷して第1の被覆層を形成した。
[第2の被覆層の形成]
第1の被覆層上に、さらに黄色のUV硬化型耐減感インキ(UV NVR 黄:T&K社製)をインキ量1.7g/mでラベル印刷機にて全面ベタ印刷して第2の被覆層を形成した。
【0061】
[文字の印刷]
第2の被覆層形成後、ハートマークの抜き文字の横の減感インキ印刷領域に赤色のUV硬化型インキ(UV 161 紅:T&K社製)を使用し、「ABC」の文字を各2mm四方の大きさで印刷した。
[ラベル作成]
ハートマークの抜き文字とABCの文字が入るように10mm×20mmの大きさに打ち抜き加工して感熱積層体を得た。
【0062】
<実施例2>
第1の被覆層を形成しなかったこと以外は実施例1と同様にして感熱積層体を得た。
【0063】
<実施例3>
下記の4点を変更したこと以外は実施例1と同様にして感熱積層体を得た。
(1)A液調製において、黒系染料:3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオランの代わりに、青系染料:3−(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニル)−3−(2−メチル−1−n−オクチルインドール−3−イル)−4−アザフタリドを使用した。
(2)減感インキの印刷の際に、OPL−MTWから白色顔料を除いて透明品としたUV減感インキを使用した。
(3)第1の被覆層形成の際に、NVR 白の代わりに、NVR 白から白色顔料を除いて透明品とした耐減感インキを使用した。
(4)第2の被覆層を形成しなかった。
【0064】
<実施例4>
A液調製において、黒系染料:3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオランの代わりに、赤系染料:3,3−ビス(2−メチル−1−オクチル−3−インドリル)フタリドを使用したこと以外は実施例2と同様にして感熱ラベルを得た。
【0065】
<実施例5>
第2の被覆層の形成の際に、耐減感インキ(NVR 黄)の代わりに、黄色のUV硬化型インキ(UV 161 黄:T&K社製)を使用したこと以外は実施例2と同様にして感熱ラベルを得た。
【0066】
<実施例6>
感熱記録層の形成において、上質紙の代わりに、厚さ80μmの合成紙(ユポコーポレーション製:SGS80)を使用したこと以外は、実施例1と同様にして感熱ラベルを得た。
【0067】
<実施例7>
感熱記録層の形成において、上質紙の代わりに、厚さ50μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(東洋紡:E5000)にコロナ処理を施して使用した以外は、実施例1と同様にして感熱ラベルを得た。
【0068】
<実施例8>
感熱記録層の形成において、上質紙の代わりに、上質紙の片面に厚さ12μmのアルミニウム箔を貼合したアルミニウム箔貼合紙を使用し、該貼合紙の上質紙側の面に感熱記録層を形成し、アルミニウム箔側の面に粘着剤層を形成した以外は、実施例1と同様にして感熱ラベルを得た。
【0069】
<実施例9>
感熱記録層の形成において、上質紙の代わりに、上質紙の片面にアルミニウム蒸着処理を施した厚み100μmのアルミニウム蒸着紙を使用し、該蒸着紙の上質紙側の面に感熱記録層を形成した以外は、実施例1と同様にして感熱ラベルを得た。
【0070】
<実施例10>
アルミニウム蒸着紙のアルミニウム蒸着面に感熱記録層を形成し、上質紙側の面に粘着剤層を形成した以外は、実施例9と同様にして感熱ラベルを得た。
【0071】
<実施例11>
感熱記録層形成において、A液55部、B液115部、C液80部、10%ポリビニルアルコール水溶液80部、および炭酸カルシウム35部にアルミニウム粉末を20部追加添加し、混合攪拌して感熱記録層用塗料を調製した以外は実施例1と同様にして感熱記録シートを得た。
【0072】
<実施例12>
粘着加工においてアクリル系粘着剤(商品名:BPS5448、固形分濃度40%,東洋インキ製造社製)100部、架橋剤(商品名:BXX5134、東洋インキ製造社製)3部に、さらにカーボンブラックを10部追加添加して混合したものを使用した以外は実施例1と同様にして感熱ラベルを得た。
【0073】
<実施例13>
実施例1で得られた感熱ラベルの粘着剤層の表面に、該感熱ラベルの70%の面積の厚み12μmのアルミニウム箔を、全ての部分が感熱ラベルよりはみ出さないように貼り合わせてアルミニウム箔貼付感熱ラベルを得た。
【0074】
<実施例14>
実施例1で得られた感熱ラベルの粘着剤層の表面に、該感熱ラベルと同面積の厚み100μmのアルミニウム蒸着上質紙ラベル(上質紙の一方の面にアルミニウムを蒸着し、他方の面に粘着剤層を形成したもの)のアルミニウム蒸着面側を貼り合わせて感熱ラベルを得た。
【0075】
<実施例15>
実施例1で得られた感熱ラベルの粘着剤層の表面に、該感熱ラベルと同面積の厚み50μmのアルミニウム蒸着OPPラベル(透明OPPフィルムの一方の面にアルミニウムを蒸着し、その蒸着面に粘着剤層を形成したもの)の蒸着面と反対側の面を貼り合わせて感熱ラベルを得た。
【0076】
<実施例16>
実施例1で得られた感熱ラベルと同面積で、上質紙と粘着剤層とからなる厚み100μmの上質紙ラベルを用意した。次いで、その表面に、実施例1で得られた感熱ラベルの発色部分に対応する位置に、カーボンブラックを主成分とする導電性インキを部分印刷して印刷ラベルを得た。この印刷ラベルの上質紙側の面を、実施例1で得られた感熱ラベルの粘着剤層の表面に貼り合わせて感熱ラベルを得た。
【0077】
<比較例1>
第1の被覆層および第2の被覆層を形成しなかったこと以外は実施例1と同様にして感熱ラベルを得た。
<比較例2>
第1の被覆層および第2の被覆層を形成しなかったこと以外は実施例3と同様にして感熱ラベルを得た。
【0078】
<比較例3>
第1の被覆層を形成する際に、耐減感インキとしてNVR 白の代わりに、黒色のUV硬化型耐減感インキ(UV NVR 墨:T&K社製)を使用し、第2の被覆層を形成せず、文字の印刷ではUV 161 紅の代わりに白色のUV硬化型インキ(UV 161 白:T&K社製)を使用したこと以外は実施例1と同様にして感熱ラベルを得た。
【0079】
<比較例4>
第1の被覆層を形成する際に、耐減感インキとしてNVR 白の代わりに、青色のUV硬化型耐減感インキ(UV NVR 藍:T&K社製)を使用し、文字の印刷ではUV 161 紅の代わりに白色のUV硬化型インキ(UV 161 白:T&K社製)を使用したこと以外は実施例3と同様にして感熱ラベルを得た。
【0080】
上記実施例1〜7および比較例1〜4で得られた感熱ラベルを缶コーヒーの缶表面に貼付し、IHヒーターにて10秒間高速加熱して、ハートマーク部分を発色させた。
また、実施例8〜16で得られた感熱ラベルを、ポリスチレン製お弁当容器の上蓋に貼付し、500Wの電子レンジで1分間加熱して、ハートマーク部分を発色させた。
感熱ラベルについて、以下のように評価した。その結果を表1(実施例1〜7)、表2(実施例8〜10)、表3(実施例11〜13)、表4(実施例14〜16)、表5(比較例)に示す。
【0081】
〔非加熱状態でのハートマークの隠蔽性〕(以下、隠蔽性と略す。)
○:ハートマークを視認できない。
△:わずかにハートマークを視認できる。
×:ハートマークを視認できる。
【0082】
〔加熱後、発色したハートマークの色と視認性〕(以下、視認性と略す。)
○:はっきりとハートマークを視認できる。
△:発色ムラが見られるがハートマークは視認できる。
×:ハートマークを視認できない。
【0083】
〔ABC文字の状態〕(以下、文字状態と略す。)
○:変化無し。
△:減感インキのブリードによりわずかに文字が滲んだ。
×:減感インキのブリードにより文字が滲んだ。
【0084】
〔総合評価〕
○:くじ用感熱ラベルとして適している。
△:くじ用感熱ラベルとして使用できる。
×:くじ用感熱ラベルとして適さない。
【0085】
【表1】

【0086】
【表2】

【0087】
【表3】

【0088】
【表4】

【0089】
【表5】

【0090】
被覆層が感熱記録層の発色色相とは異なる色の非減感インキが塗布されて形成されていた実施例1,2,5〜16の感熱ラベルは、隠蔽性、視認性が高く、文字状態に変化がなく、優れた性能を有していた。
また、被覆層が透明の非減感インキが塗布されて形成され、減感層も透明である実施例3,4の感熱ラベルも、隠蔽性、視認性が高く、文字状態に変化がなく、優れた性能を有していた。したがって、実施例1〜16の感熱ラベルは、くじ付きのキャンペーンラベルとして好適に利用できる。
さらに、導電層を有する実施例8〜10,13〜16の感熱ラベル、導電性材料が含まれる実施例11,12の感熱ラベルは、含水率が低いにもかかわらず、電子レンジによる加熱で発色した。
これに対し、被覆層が形成されていなかった比較例1,2の感熱ラベルでは、文字に滲みが生じた。特に、白の減感インキを用いた比較例1は、隠蔽性が低かった。また、黒または青に発色した比較例3,4は、視認性が低かった。したがって、比較例1〜4の感熱ラベルは、くじ付きのキャンペーンラベルに適したものではなかった。
【図面の簡単な説明】
【0091】
【図1】本発明の感熱ラベルの一実施形態を示す上面図である。
【図2】図1のA−A’断面図である。
【図3】図1の感熱ラベルを加熱した際の上面図である。
【符号の説明】
【0092】
1 感熱ラベル
10 感熱積層体
11 感熱記録シート
11a 基材
11b 感熱記録層
12 減感部
13 被覆層
20 粘着剤層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材の片面上に感熱記録層が形成された感熱記録シートと、感熱記録シートの感熱記録層上の一部に形成され、減感剤を含有する減感部と、感熱記録シートおよび減感部の一部又は全部を被覆する被覆層とを有する感熱積層体であって、
被覆層が、感熱記録層の発色色相とは異なる色の非減感インキで着色されて形成された層であることを特徴とする感熱積層体。
【請求項2】
基材の片面上に感熱記録層が形成された感熱記録シートと、感熱記録シートの感熱記録層上の一部に形成され、減感剤を含有する透明または感熱記録層と同色の減感部と、感熱記録シートおよび減感部の一部又は全部を被覆する被覆層とを有する感熱積層体であって、被覆層が、透明層であることを特徴とする感熱積層体。
【請求項3】
非減感インキが耐減感インキである請求項1に記載の感熱積層体。
【請求項4】
くじとして使用される請求項1〜3のいずれかに記載の感熱積層体。
【請求項5】
導電性材料を含有する請求項1〜4のいずれかに記載の感熱積層体。
【請求項6】
導電性材料を含有する導電層を有する請求項1〜4のいずれかに記載の感熱積層体。
【請求項7】
請求項1〜4のいずれかに記載の感熱積層体と、感熱積層体の基材における感熱記録層側と反対側の面に形成された粘着剤層とを有する感熱ラベル。
【請求項8】
導電性材料を含有する請求項7に記載の感熱ラベル。
【請求項9】
導電性材料を含有する導電層を有する請求項7に記載の感熱ラベル。
【請求項10】
請求項7〜9のいずれかに記載の感熱ラベルを、粘着剤層を介して包装または容器に貼付し、その感熱ラベルを貼付した包装または容器を高周波誘導加熱機または誘電加熱機により加熱することを特徴とする感熱ラベルの使用方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−195400(P2006−195400A)
【公開日】平成18年7月27日(2006.7.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−69037(P2005−69037)
【出願日】平成17年3月11日(2005.3.11)
【出願人】(000122298)王子製紙株式会社 (2,055)
【Fターム(参考)】