説明

感熱記録体

【課題】
本発明は、十分な発色感度を有し、耐水性、耐ヘッドカス性、保管時の発色防止性及び、表面強度に優れた感熱記録体、特に感熱記録層上に保護層を設ける必要のない感熱記録耐を提供することを目的とする。
【解決手段】
支持体上に、無色または淡色の電子供与性ロイコ染料及び電子受容性顕色剤を含有する感熱記録層を設けた感熱記録体において、該感熱記録層にガラス転移温度50℃以上、且つ最低造膜温度25℃以下のアクリル樹脂とアルキルケテンダイマーを含有することを特徴とする感熱記録体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、十分な発色感度を有し、耐水性、耐ヘッドカス性、耐スティック性、保管時の発色防止性、及び印刷表面強度に優れた感熱記録体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、無色または淡色の電子供与性ロイコ染料(以下、染料とする。)と電子受容性顕色剤(以下、顕色剤とする。)との熱による発色反応を利用して記録画像を得る感熱記録体は、発色が非常に鮮明であることや、記録時に騒音がなく装置も比較的安価でコンパクト、メンテナンス容易であるなどの利点から、ファクシミリやコンピューター分野、各種計測器等に広く実用化されている。最近では、ラベル、チケットの他、屋外計測用のハンディターミナルや配送伝票など、印刷された後に各種プリンター、プロッターの出力媒体として用いられる用途も急速に拡大している。このため、感熱記録体の品質も、従来以上に高い発色感度や耐ヘッドカス性、耐スティック性といった印字走行性、優れた印刷表面強度が要求されるようになってきている。さらに、ラベル、チケット、ハンディターミナル用紙、配送伝票などは、屋外で使用されるため、水分、湿気、日光、高温など過酷な環境下での使用に耐えることの出来る、高度な耐水性、保管時の発色防止性が要求されている。
【0003】
このような要求に対して、感熱記録体の耐水性を改善するために、感熱記録層にアクリル樹脂を含有させる手法、感熱記録体の耐水性及び印字走行性を改善するために、感熱記録層にアクリル系ポリマーやアクリルエマルジョン樹脂とコロイダルシリカとを併用して用いる手法(特許文献1、2)などが行われている。
【0004】
【特許文献1】特開平9−207435
【特許文献2】特開平7−266711
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
感熱記録層やその保護層に、通常バインダーとして使用されているアクリル樹脂を含有させた場合、耐水性は向上するが、感熱記録プリンターのサーマルヘッドからの熱で、アクリル樹脂が軟化し、ヘッドカスの付着やスティックの発生といった印字走行性に問題が生じる。このため、感熱記録層にアクリル樹脂とコロイダルシリカを含有させることで耐水性、印字走行性を向上させた感熱記録体が、特許文献1、2に開示されているが、コロイダルシリカ自体が有している活性の影響で、保存時に感熱記録層に含有されている染料や顕色剤と反応するため、白色部が着色するという問題が生じる。
【0006】
そこで、本発明は、十分な発色感度を有し、耐水性、印字走行性(耐ヘッドカス性、耐スティッキング性)、保管時の発色防止性、及び印刷適性(表面強度)に優れた感熱記録体、特に感熱記録層上に保護層を設ける必要のない感熱記録体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者等は鋭意検討の結果、支持体上に、無色または淡色の電子供与性ロイコ染料及び電子受容性顕色剤を含有する感熱記録層を設けた感熱記録体において、該感熱記録層がガラス転移温度50℃以上、且つ最低造膜温度25℃以上のアクリル樹脂及びアルキルケテンダイマーを含有することを特徴とする感熱記録体とすることにより、上記課題を解決することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、十分な発色感度を有し、耐水性、印字走行性(耐ヘッドカス性、耐スティッキング性)、保管時の発色防止性、及び表面強度に優れた感熱記録体を得ることが出来る。特に保護層を有さない感熱記録体において優れた効果を発現する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の感熱記録体は、支持体上に設けた感熱記録層にガラス転移温度(Tg)50℃以上、且つ最低造膜温度(MFT)25℃以下のアクリル樹脂とアルキルケテンダイマーを含有することを特徴としている。
【0010】
本発明で使用されるアクリル樹脂は、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸及びメタクリル酸の誘導体(アクリルアミド、アクリルニトリルなど)マレイン酸及びその誘導体、スチレン及びその誘導体などを主成分に共重合した高分子をエマルジョン化したものであり、その組成比率、合成方法などは特に制限されるものではないが、耐水性、耐ヘッドカス性、耐スティック性の点から、コアシェル型のスチレン−アクリル樹脂を感熱記録層に含有させることが好ましい。また、本発明において、アクリル樹脂のガラス転移温度(Tg)及び最低造膜温度(MFT)は耐水性、印字走行性の点から、ガラス転移温度(Tg)は50℃以上、最低造膜温度は25℃以下であることが好ましく、より好ましくは、ガラス転移温度(Tg)は50〜120℃、最低造膜温度(MFT)は0〜25℃であることが好ましい。さらに好ましくは、ガラス転移温度(Tg)は80〜120℃、最低造膜温度(MFT)は5〜15℃であることが好ましい。
【0011】
感熱記録体は、製造時の発色を防止するため、通常感熱記録体の最高温度が60℃を超えないように乾燥をコントロールして製造されている。そのため、60℃程度で十分に造膜するような最低造膜温度(MFT)が低い樹脂を使用することが耐水性を向上させる上で好ましいが、一般に最低造膜温度とガラス転移温度(Tg)とは相関するので、感熱記録層に最低造膜温度が低い樹脂、即ちガラス転移温度の低い樹脂を含有させると、感熱記録プリンターのサーマルヘッドからの熱で、樹脂が軟化するため、ヘッドカスやスティッキングが発生する。このため、従来技術では最低造膜温度(MFT)が低いアクリル樹脂とコロイダルシリカを混合させることにより、言い換えれば、アクリル樹脂の周りにコロイダルシリカを付着させることで、アクリル樹脂の見かけ上のガラス転移温度(Tg)、最低造膜温度(MFT)をコントロールし、優れた耐水性及び耐ヘッドカス性を得る手法が用いられてきたが、コロイダルシリカ自身が有する活性の影響で、保存時に感熱記録層に含有されている染料や顕色剤と反応し、白色部が着色するという新たな問題が生じる。このように、従来の技術では、アクリル樹脂を使用し、耐水性、印字走行性(耐ヘッドカス性、耐スティック性)、保管時の発色防止性に優れた感熱記録体を得ることは困難であった。
【0012】
しかし、本発明者らは、ガラス転移温度50℃以上、且つ最低造膜温度25℃以下のアクリル樹脂とアルキルケテンダイマーを併用することで、従来、耐水性は良好であるが、印字走行性(耐ヘッドカス性、耐スティック性)に問題があったアクリル樹脂を感熱記録層に含有させることが可能となることを見出し、本発明を完成させるに至った。また、本願発明は感熱記録層がコロイダルシリカを含有していないため、保存時の発色防止性を有する。
【0013】
なお、本発明において、ガラス転移温度(Tg)は、樹脂を構成する組成(モノマー)
単体各々をJIS K−7122に準拠して、走査型差動熱量計(窒素雰囲気下で10mgの試料を25℃/分で昇温)で測定した二次転移に伴う比熱の変化をガラス転移温度として、樹脂のガラス転移温度(Tg)=Tg1×α1+Tg2×α2+・・・+Tgn×αn(Tg1、Tg2・・・Tgn:実測した各組成単体のガラス転移温度、α1、α2・・・αn:樹脂全重量に対する各組成単体の重量分率(%))の計算式より求めた。
【0014】
また、最低増膜温度(MFT)は、JIS K−6828に準拠して、20重量%に調整した樹脂をスライドガラス上一面に広げ、所定の温度で乾燥し、乾燥した樹脂が一様な連続皮膜であり、且つ皮膜が白濁してない最低の温度とした。
【0015】
本発明において、コアシェル型のアクリル樹脂としては、コア部にアクリル、スチレンアクリル又はスチレンメタアクリル樹脂を用いシェル部にスチレンアクリル又はスチレンメタアクリル樹脂を用いたコアシェル型エマルジョンが例示することができ、具体例としては、ジョンクリル352D(Tg=56℃、MFT=10℃)、PDX−7145(Tg=56℃、MFT=24℃)、ジョンクリル7641(Tg=86℃、MFT=14℃)(以上、BASF社製)、などが挙げられる。中でも、ガラス転移温度(Tg)50℃以上、且つ最低造膜温度(MFT)25℃以下であるコアシェル型アクリル樹脂としては、ジョンクリル352D、ジョンクリル7641(以上、BASF社製)などが挙げられる。
【0016】
本発明において感熱記録層に含有される、アルキルケテンダイマーは下記一般式(1)に示されるように、反応性の高い物質である。このアルキルケテンダイマーの反応性に関しては、A. Isogai, C. Kitaoka, F. Onabe, J. Pulp Pap. Sci 23(5): J215-219 (May 1997)にカルボキシル化したパルプを、ポリアミドエピクロロヒドリンやアルキルケテンダイマーと併用することにより、通常のパルプを使用するよりも高サイズ度を得られることなどが報告されている。
【0017】
本発明は、このアルキルケテンダイマーとアクリル樹脂のカルボキシル基(カルボニル基を含む)との高い反応性を利用したものであり、感熱記録層中に含有されているカルボキシル基を有するアクリル樹脂とアルキルケテンダイマーとが反応して、アクリル樹脂の親水部分を疎水性にすることで高度な耐水性が得られとともに、アルキルケテンダイマーの融点が50℃程度であるため、紙面温度が60℃を越えない程度に制御している感熱記録体の操業(乾燥工程)においても良好な流動性を示し、感熱記録層に均一に分布し、感熱記録層全体を疎水化することができる。
また、アルキルケテンダイマーは、感熱記録層中のカルボキシル基を有するバインダーとの反応、水酸基を有するバインダーとβ−ケトエステルを生成するとともに、アルキルケテンダイマー同士が再結晶化する。このため、アルキルケテンダイマーはバインダーに対して一種の架橋剤として作用するため、感熱記録層中のバインダーが見かけ上巨大な高分子の挙動を示し、感熱記録層全体としての耐熱性、表面強度が向上する。このため、アルキルケテンダイマーを感熱記録層に含有させることで、耐水性の他に、耐ヘッドカス性、耐スティック性、表面強度が良好になると考えられる。
さらに、アルキルケテンダイマーは、感熱記録層中ではバインダーと結合しているか、あるいはそれ自身の結晶として存在しているため、サーマルヘッドからの瞬時の熱では、アルキルケテンダイマーとバインダーの結合部分、あるいはアルキルケテンダイマーの結晶部に影響を与える程度であり、感熱記録層からアルキルケテンダイマーが溶出するには至らないと推測される。このため、低融点のアルキルケテンダイマーが感熱記録層に含有されていても、印字走行性(耐ヘッドカス性、耐スティック性)に問題を生じることはないと考えられる。
【0018】
【化1】

【0019】
(R、R':アルキル基 R=R'を含む)

本発明におけるアルキルケテンダイマーとは、上記一般式(1)で示される化合物であり、通常、デンプン、合成ポリマー、界面剤などを用いて乳化して水中に分散したエマルジョンとして使用される。このアルキルケテンダイマーの具体例としては、一般に中性サイズ剤(内添用、外添用)として、ディックハーキュレス、荒川化学工業、ハリマ化成、BASF、花王などから市販されているものを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
本発明の感熱記録体は、このように耐水性などに優れるため、感熱記録層上の保護層を省略することができる。
【0020】
本発明で使用されるアクリル樹脂の配合量は、感熱記録層の全固形分に対して1〜30重量%(以下、重量部は固形分換算とする)が好ましく、2〜10重量%がより好ましい。アクリル樹脂の配合量が1重量%以下のときは耐水性が得られず、30重量%以上のときは高い発色感度が得られにくい。
【0021】
本発明で使用されるアルキルケテンダイマーの配合量としては、感熱層全固形分100重量部に対して0.1〜5重量部(以下、重量部は固形分換算とする)が好ましく、0.5〜2重量部がより好ましい。アルキルケテンダイマーの配合量が0.1重量部以下のときは良好な耐水性、印刷適性が得られず、5重量部以上のときは高い発色感度が得られにくく、塗料の増粘が著しくなる。
【0022】
本発明の感熱発色層に使用される各種材料を例示するが、バインダー、架橋剤は上記課題に対する所望の効果を阻害しない範囲で併用することができ、バインダー、架橋剤、顔料などは感熱記録層のみならずアンダー層をはじめとする必要に応じて設けられた各塗工層にも使用することができる。
【0023】
本発明で用いられる顕色剤としては、従来の感圧あるいは感熱記録紙の分野で公知のものはすべて使用可能であり、特に制限されるものではないが、例えば、4,4'−イソプロピリデンジフェノール、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−メチルペンタン、4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、ヒドロキノンモノベンジルエーテル、4−ヒドロキシ安息香酸ベンジル、4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホン、2,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4'−イソプロポキシジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4'−n−プロポキシジフェニルスルホン、ビス(3−アリル−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、4−ヒドロキシ−4'−アリルオキシジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4'−メチルジフェニルスルホン、4−ヒドロキシフェニル−4'−ベンジルオキシフェニルスルホン、3,4−ジヒドロキシフェニル−4'−メチルフェニルスルホン、特開平8−59603号公報記載のアミノベンゼンスルホンアミド誘導体、ビス(4−ヒドロキシフェニルチオエトキシ)メタン、1,5−ジ(4−ヒドロキシフェニルチオ)−3−オキサペンタン、ビス(p−ヒドロキシフェニル)酢酸ブチル、ビス(p−ヒドロキシフェニル)酢酸メチル、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、1,4−ビス[α−メチル−α−(4'−ヒドロキシフェニル)エチル]ベンゼン、1,3−ビス[α−メチル−α−(4'−ヒドロキシフェニル)エチル]ベンゼン、ジ(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)スルフィド、2,2'−チオビス(3−tert−オクチルフェノール)、2,2'−チオビス(4−tert−オクチルフェノール)、国際公開WO97/16420号に記載のジフェニルスルホン架橋型化合物等のフェノール性化合物、国際公開WO02/098674号に記載の顕色剤組成物、国際公開WO02/081229号あるいは特開2002−301873号に記載の化合物、4,4'−ビス3−(フェノキシカルボニルアミノ)メチルフェニルウレイド)ジフェニルスルホン(旭化成社製商品名:UU)、N,N'−ジ−m−クロロフェニルチオウレア等のチオ尿素化合物、p−クロロ安息香酸、没食子酸ステアリル、ビス[4−(n−オクチルオキシカルボニルアミノ)サリチル酸亜鉛]2水和物、4−[2−(p−メトキシフェノキシ)エチルオキシ]サリチル酸、4−[3−(p−トリルスルホニル)プロピルオキシ]サリチル酸、5−[p−(2−p−メトキシフェノキシエトキシ)クミル]サリチル酸の芳香族カルボン酸、およびこれらの芳香族カルボン酸の亜鉛、マグネシウム、アルミニウム、カルシウム、チタン、マンガン、スズ、ニッケル等の多価金属塩との塩、さらにはチオシアン酸亜鉛のアンチピリン錯体、テレフタルアルデヒド酸と他の芳香族カルボン酸との複合亜鉛塩等が挙げられる。国際公開WO97/16420号に記載のジフェニルスルホン架橋型化合物等のフェノール性化合物は、日本曹達社製商品名D−90として入手可能である。また、国際公開WO02/081229号あるいは特開2002−301873号に記載の化合物は、日本曹達社製商品名D−102、D−100として入手可能である。これらの顕色剤は、単独または2種以上混合して使用することもできる。中でも、4−ヒドロキシ−4'−イソプロポキシジフェニルスルホンは、特に発色感度に優れ好ましい。この他、特開平10−258577号公報記載の高級脂肪酸金属複塩や多価ヒドロキシ芳香族化合物などの金属キレート型発色成分を含有することもできる。
【0024】
本発明で使用する電子供与性ロイコ染料としては、従来の感圧あるいは感熱記録紙分野で公知のものは全て使用可能であり、特に制限されるものではないが、トリフェニルメタン系化合物、フルオラン系化合物、フルオレン系、ジビニル系化合物等が好ましい。以下に代表的な無色ないし淡色の染料(染料前駆体)の具体例を示す。また、これらの染料前駆体は単独または2種以上混合して使用してもよい。
【0025】
<トリフェニルメタン系ロイコ染料>
3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド〔別名クリスタルバイオレットラクトン〕; 3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)フタリド〔別名マラカイトグリーンラクトン〕
【0026】
<フルオラン系ロイコ染料>
3−ジエチルアミノ−6−メチルフルオラン; 3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン; 3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(o,p−ジメチルアニリノ)フルオラン; 3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−クロロフルオラン; 3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(m−トリフルオロメチルアニリノ)フルオラン; 3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(o−クロロアニリノ)フルオラン; 3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(p−クロロアニリノ)フルオラン; 3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(o−フルオロアニリノ)フルオラン; 3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(m−メチルアニリノ)フルオラン; 3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−n−オクチルアニリノフルオラン; 3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−n−オクチルアミノフルオラン; 3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−ベンジルアミノフルオラン; 3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−ジベンジルアミノフルオラン;
3−ジエチルアミノ−6−クロロ−7−メチルフルオラン; 3−ジエチルアミノ−6−クロロ−7−アニリノフルオラン; 3−ジエチルアミノ−6−クロロ−7−p−メチルアニリノフルオラン; 3−ジエチルアミノ−6−エトキシエチル−7−アニリノフルオラン; 3−ジエチルアミノ−7−メチルフルオラン; 3−ジエチルアミノ−7−クロロフルオラン; 3−ジエチルアミノ−7−(m−トリフルオロメチルアニリノ)フルオラン; 3−ジエチルアミノ−7−(o−クロロアニリノ)フルオラン; 3−ジエチルアミノ−7−(p−クロロアニリノ)フルオラン; 3−ジエチルアミノ−7−(o−フルオロアニリノ)フルオラン; 3−ジエチルアミノ−ベンゾ〔a〕フルオラン;
3−ジエチルアミノ−ベンゾ〔c〕フルオラン; 3−ジブチルアミノ−6−メチル−フルオラン; 3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン; 3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−(o,p−ジメチルアニリノ)フルオラン; 3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−(o−クロロアニリノ)フルオラン; 3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−(p−クロロアニリノ)フルオラン; 3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−(o−フルオロアニリノ)フルオラン; 3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−(m−トリフルオロメチルアニリノ)フルオラン; 3−ジブチルアミノ−6−メチル−クロロフルオラン; 3−ジブチルアミノ−6−エトキシエチル−7−アニリノフルオラン; 3−ジブチルアミノ−6−クロロ−7−アニリノフルオラン; 3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−p−メチルアニリノフルオラン; 3−ジブチルアミノ−7−(o−クロロアニリノ)フルオラン; 3−ジブチルアミノ−7−(o−フルオロアニリノ)フルオラン; 3−ジ−n−ペンチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン; 3−ジ−n−ペンチルアミノ−6−メチル−7−(p−クロロアニリノ)フルオラン; 3−ジ−n−ペンチルアミノ−7−(m−トリフルオロメチルアニリノ)フルオラン; 3−ジ−n−ペンチルアミノ−6−クロロ−7−アニリノフルオラン; 3−ジ−n−ペンチルアミノ−7−(p−クロロアニリノ)フルオラン; 3−ピロリジノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン; 3−ピペリジノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン; 3−(N−メチル−N−プロピルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン; 3−(N−メチル−N−シクロヘキシルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン; 3−(N−エチル−N−シクロヘキシルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン; 3−(N−エチル−N−キシルアミノ)−6−メチル−7−(p−クロロアニリノ)フルオラン; 3−(N−エチル−p−トルイディノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン; 3−(N−エチル−N−イソアミルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン; 3−(N−エチル−N−イソアミルアミノ)−6−クロロ−7−アニリノフルオラン; 3−(N−エチル−N−テトラヒドロフルフリルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン; 3−(N−エチル−N−イソブチルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン; 3−(N−エチル−N−エトキシプロピルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン; 3−シクロヘキシルアミノ−6−クロロフルオラン; 2−(4−オキサヘキシル)−3−ジメチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン; 2−(4−オキサヘキシル)−3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン; 2−(4−オキサヘキシル)−3−ジプロピルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン; 2−メチル−6−p−(p−ジメチルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン; 2−メトキシ−6−p−(p−ジメチルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン; 2−クロロ−3−メチル−6−p−(p−フェニルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン; 2−クロロ−6−p−(p−ジメチルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン; 2−ニトロ−6−p−(p−ジエチルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン; 2−アミノ−6−p−(p−ジエチルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン; 2−ジエチルアミノ−6−p−(p−ジエチルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン; 2−フェニル−6−メチル−6−p−(p−フェニルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン; 2−ベンジル−6−p−(p−フェニルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン; 2−ヒドロキシ−6−p−(p−フェニルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン; 3−メチル−6−p−(p−ジメチルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン; 3−ジエチルアミノ−6−p−(p−ジエチルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン; 3−ジエチルアミノ−6−p−(p−ジブチルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン; 2,4−ジメチル−6−〔(4−ジメチルアミノ)アニリノ〕−フルオラン
【0027】
<フルオレン系ロイコ染料>
3,6,6’−トリス(ジメチルアミノ)スピロ〔フルオレン−9,3’−フタリド〕; 3,6,6’−トリス(ジエチルアミノ)スピロ〔フルオレン−9,3’−フタリド〕
<ジビニル系ロイコ染料>
3,3−ビス−〔2−(p−ジメチルアミノフェニル)−2−(p−メトキシフェニル)エテニル〕−4,5,6,7−テトラブロモフタリド; 3,3−ビス−〔2−(p−ジメチルアミノフェニル)−2−(p−メトキシフェニル)エテニル〕−4,5,6,7−テトラクロロフタリド; 3,3−ビス−〔1,1−ビス(4−ピロリジノフェニル)エチレン−2−イル〕−4,5,6,7−テトラブロモフタリド; 3,3−ビス−〔1−(4−メトキシフェニル)−1−(4−ピロリジノフェニル)エチレン−2−イル〕−4,5,6,7−テトラクロロフタリド
【0028】
<その他>
3−(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド; 3−(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニル)−3−(1−オクチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド; 3−(4−シクロヘキシルエチルアミノ−2−メトキシフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド; 3,3−ビス(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド; 3,6−ビス(ジエチルアミノ)フルオラン−γ−(3’−ニトロ)アニリノラクタム; 3,6−ビス(ジエチルアミノ)フルオラン−γ−(4’−ニトロ)アニリノラクタム; 1,1−ビス−〔2’,2’,2'',2''−テトラキス−(p−ジメチルアミノフェニル)−エテニル〕−2,2−ジニトリルエタン; 1,1−ビス−〔2’,2’,2'',2''−テトラキス−(p−ジメチルアミノフェニル)−エテニル〕−2−β−ナフトイルエタン; 1,1−ビス−〔2’,2’,2'',2''−テトラキス−(p−ジメチルアミノフェニル)−エテニル〕−2,2−ジアセチルエタン; ビス−〔2,2,2’,2’−テトラキス−(p−ジメチルアミノフェニル)−エテニル〕−メチルマロン酸ジメチルエステル
【0029】
本発明で使用するバインダーとしては、一般に公知のものが用いられ、具体的には、重合度が200〜1900の完全ケン化ポリビニルアルコール、部分ケン化ポリビニルアルコール、カルボキシ変性ポリビニルアルコール、アマイド変性ポリビニルアルコール、スルホン酸変性ポリビニルアルコール、ブチラール変性ポリビニルアルコール、その他の変性ポリビニルアルコール、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、エチルセルロール、アセチルセルロースのようなセルロース誘導体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸エステル、ポリビニルブチルラール、ポリスチレンおよびそれらの共重合体、ポリアミド樹脂、シリコン樹脂、石油樹脂、テルペン樹脂、ケトン樹脂、クマロ樹脂を例示することができる。これらの中では、ケン化度90%以下及び/又は無変性のポリビニルアルコールを用いることは、発色感度、耐水性、表面強度の点から好ましい。
【0030】
これらの高分子物質は水、アルコール、ケトン、エステル、炭化水素等の溶剤に溶かして使用するほか、水または他の媒体中に乳化あるいはペースト状に分散した状態で使用し、要求される品質に応じて併用することも可能である。
バインダーの配合量としては、感熱層全固形分に対して1〜30重量%が好ましい。バイダーの配合量が1重量%以下のときは耐水性及び表面強度が低く、30重量%以上のと
きは高い発色感度が得られにくい。
【0031】
本発明では、上記課題に対する所望の効果を阻害しない範囲で、従来公知の架橋剤を使用することができる。かかる架橋剤としては、グリオキザール、メチロールメラミン、メラミンホルムアルデヒド樹脂、メラミン尿素樹脂、ポリアミンエピクロロヒドリン樹脂、ポリアミドエピクロロヒドリン樹脂、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過硫酸ソーダ、塩化第二鉄、塩化マグネシウム、ホウ砂、ホウ酸、ミョウバン、塩化アンモニウムなどを例示することができる。
【0032】
また、本発明においては、上記課題に対する所望の効果を阻害しない範囲で、従来公知の滑材を使用することができる。かかる滑剤としては、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム等の脂肪酸金属塩、ワックス類、シリコン樹脂類などが挙げられる。このほかにベンゾフェノン系やトリアゾール系の紫外線吸収剤、分散剤、消泡剤、酸化防止剤、蛍光染料等を使用することができる。
【0033】
また、本発明においては、上記課題に対する所望の効果を阻害しない範囲で、従来公知の増感剤を使用することができる。かかる増感剤としては、エチレンビスアミド,モンタン酸ワックス,ポリエチレンワックス,1,2−ジ−(3−メチルフェノキシ)エタン,p−ベンジルビフェニル,β−ベンジルオキシナフタレン,4−ビフェニル−p−トリルエーテル,m−ターフェニル,1,2−ジフェノキシエタン,4,4'−エチレンジオキシ−ビス−安息香酸ジベンジルエステル,ジベンゾイルオキシメタン,1,2−ジ(3−メチルフェノキシ)エチレン,1,2−ジフェノキシエチレン,ビス〔2−(4−メトキシ−フェノキシ)エチル〕エーテル,p−ニトロ安息香酸メチル,シュウ酸ジベンジル,シュウ酸ジ(p−クロロベンジル),シュウ酸ジ(p−メチルベンジル),テレフタル酸ジベンジル,p−ベンジルオキシ安息香酸ベンジル,ジ−p−トリルカーボネート,フェニル−α−ナフチルカーボネート,1,4−ジエトキシナフタレン,1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸フェニルエステル,4−(m−メチルフェノキシメチル)ビフェニル、オルトトルエンスルホンアミド、パラトルエンスルホンアミドを例示することができるが,特にこれらに制限されるものではない。これらの増感剤は,単独または2種以上混合して使用してもよい。
【0034】
本発明で使用する填料としては、シリカ、炭酸カルシウム、カオリン、焼成カオリン、ケイソウ土、タルク、酸化チタン、水酸化アルミニウムなどの無機または有機充填剤などが挙げられ、これらを単独あるいは2種類以上組み合わせて使用することができるが、塗工層強度、印字走行性の点から、炭酸カルシウムとシリカを併用することが望ましく、さらに、平均粒子径が3μm以上の炭酸カルシウムと平均粒子径が5〜10μm、吸油量が150ml/100g以上及び比表面積が150m2/g以下のシリカを併用することが好ましい。なお、炭酸カルシウム及びシリカを用いた場合、炭酸カルシウム/シリカの重量比は20/80〜80/20であることが好ましく、更に好ましくは40/60〜60/40であり、塩基性ロイコ染料1重量部に対して0.5〜10重量部程度が好ましい。
【0035】
また、本発明においては、上記課題に対する所望の効果を阻害しない範囲で、記録画像の耐油性等を付与する安定剤として、4,4'−ブチリデン(6−t−ブチル−3−メチルフェノール)、2,2'−ジ−t−ブチル−5,5'−ジメチル−4,4'−スルホニルジフェノール、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−シクロヘキシルフェニル)ブタン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニルブタン、4−ベンジルオキシ−4'−(2,3−エポキシ−2−メチルプロポキシ)ジフェニルスルホン、エポキシレジン等を添加することもできる。
【0036】
本発明の感熱記録体に使用する塩基性ロイコ染料、顕色剤、その他の各種成分の種類及
び量は要求される性能及び記録適性に従って決定され、特に限定されるものではないが、
通常、塩基性ロイコ染料1部に対して顕色剤0.5〜10部、増感剤0.5〜10部、填
料0.5〜10部程度が使用される。
【0037】
上記組成から成る塗液を紙、再生紙、合成紙、フィルム、プラスチックフィルム、発泡プラスチックフィルム、不織布等任意の支持体に塗布することによって目的とする感熱記録体が得られる。またこれらを組み合わせた複合シートを支持体として使用してもよい。塩基性ロイコ染料、顕色剤並びに必要に応じて添加する材料は、ボールミル、アトライター、サンドグライダーなどの粉砕機あるいは適当な乳化装置によって数ミクロン以下の粒子径になるまで微粒化し、バインダーおよび目的に応じて各種の添加材料を加えて塗液とする。塗布する手段は特に限定されるものではなく、周知慣用技術に従って塗布することができ、例えばエアーナイフコーター、ロッドブレードコーター、ビルブレードコーター、ロールコーター、カーテンコーター、スプレーコーターなど各種コーターを備えたオフマシン塗工機やオンマシン塗工機が適宜選択され使用される。感熱記録層の塗布量は特に限定されず、通常乾燥重量で2〜12g/mの範囲である。
【0038】
本発明の感熱記録体は、発色感度を高める目的で填料を含有した高分子物質等のアンダーコート層を感熱記録層の下に設けることもできる。支持体の感熱記録層とは反対面にバックコート層を設け、カールの矯正を図ることも可能である。また、各層の塗工後にスーパーカレンダーがけ等の平滑化処理を施すなど、感熱記録体分野における各種公知の技術を必適宜付加することができる。
【実施例】
【0039】
以下に本発明を実施例によって具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらに限定されるものではない。なお、各実施例中、特にことわらない限り「部」は「重量部」を示す。
【0040】
[実施例1]
下記配合からなる配合物を攪拌分散して、下塗り層塗液を調整した。
<下塗り層塗液>
焼成カオリン(BASF社製、商品名:アンシレックス93) 100部
スチレン・ブタジエンラテックス(固形分48%) 40部
ポリビニルアルコール水溶液(10%溶液) 30部
水 160部
次いで、下塗り層塗液を支持体(坪量50g/mの上質紙)の片面に塗布量が8.0g/mとなるように塗布した後、乾燥を行い、下塗り層塗工紙を得た。
染料、顕色剤、増感剤の各材料は、あらかじめ以下の配合の分散液をつくり、それぞれサンドグラインダーで平均粒径が0.5μmになるまで湿式磨砕を行った。
【0041】
<A液:顕色剤分散液>
4−ヒドロキシ−4'−イソプロポキシジフェニルスルホン
(エーピーアイコーポレーション社製、商品名:NY−DS) 6.0部
ポリビニルアルコール水溶液(10%溶液) 18.8部
水 11.2部
<B液:染料分散液>
3−ジ−n−ブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン
(山本化成社製、商品名:ODB−2) 3.0部
ポリビニルアルコール水溶液(10%溶液) 6.9部
水 3.9部
<C液:増感剤分散液>
1,2−ジ−(3−メチルフェノキシ)エタン
(三光社製、商品名:KS232) 6.0部
ポリビニルアルコール水溶液(10%溶液) 18.8部
水 11.2部
【0042】
上記の各分散液を下記に示す割合で混合し、感熱記録層塗液を得た。この塗液を前記下塗り層塗工紙上に乾燥後の塗布量が6.0g/mとなるように塗布乾燥し、スーパーカレンダーでベック平滑度が200〜600秒になるように処理し、感熱記録体を得た。
A液 36.0部
B液 13.8部
C液 36.0部
シリカ(水澤化学社製、商品名:P537)25%分散液 26.0部
炭酸カルシウム(白石カルシウム社製、商品名:ツネックスE、平均粒子径:4.4μm)
50%分散液 13.0部
ステアリン酸亜鉛(中京油脂社製、商品名:ハイドリンZ−7−30)30%分散液
6.7部
ポリビニルアルコール水溶液(10%溶液)
(クラレ社製、商品名:PVA217、重合度:1750、ケン化度:88モル%)
20.0部
スチレンアクリル樹脂(BASF社製、商品名:ジョンクリル7641、固形分濃度49%、ガラス転移点86℃、最低造膜温度14℃) 10.0部
アルキルケテンダイマー(星光PMC社製、商品名:AD1604、固形分30%)
1.4部
【0043】
[実施例2]
実施例1のアルキルケテンダイマーの部数を4.2部に変更した以外は、実施例1と同様にして感熱記録体を得た。
【0044】
[実施例3]
実施例1のアルキルケテンダイマーの部数を0.16部に変更した以外は、実施例1と同様にして感熱記録体を得た。
【0045】
[比較例1]
実施例1のスチレンアクリル樹脂をを完全ケン化ポリビニルアルコール(クラレ社製、商品名:PVA117、重合度:1750、ケン化度:98モル%)に置き換えた以外は、実施例1と同様にして感熱記録体を得た。
【0046】
[比較例2]
実施例1のアルキルケテンダイマーを用いない以外は、実施例1と同様にして感熱記録体を得た。
【0047】
[比較例3]
実施例1のスチレンアクリル樹脂を、アクリル樹脂(クラリアントポリマー社製、商品名:モビニール9000、固形分濃度40%)5部と球状コロイダルシリカ(クラリアントジャパン社製、商品名:クレボゾール40R12、固形分濃度40%)5部に置き換え、かつ、アルキルケテンダイマーを用いない以外は、実施例1と同様にして感熱記録体を得た。
【0048】
[比較例4]
実施例1のアルキルケテンダイマーを、ポリアミドエピクロロヒドリン樹脂(星光PMC社製、商品名:WS4020、固形分濃度25%)1.8部に変更した以外は、実施例1と同様にして感熱記録体を得た。
【0049】
上記の実施例および比較例で得られた感熱記録体について、次のような評価を行った。その結果を表1に示す。
【0050】
[発色感度]
大倉電機社製のTH−PMDを使用し、作成した感熱記録体に印加エネルギー0.34mJ/dot、0.25mJ/dotで印字を行った。印字後及び品質試験後の画像濃度はマクベス濃度計(RD−914、アンバーフィルター使用)で測定した。
【0051】
[耐水性]
・画像残存率
大倉電機社製のTH−PMDを使用し、印加エネルギー0.34mJ/dotで印字を行った感熱記録体を水に浸し、23℃24時間放置した後、記録部の画像濃度をマクベス濃度計で測定し、下記の式にて画像残存率を算出した。
画像残存率(%)=試験後の濃度/試験前の濃度×100
・耐水粘着性
感熱記録体を水に3分間浸し、記録面が内側になるように二つ折りにして300g/cmの荷重をかけた後、記録面が湿っているうちに剥がし、105℃で2分間発色させ、記録面の剥がれ度合いを目視判定し、次の基準で評価した。
◎:記録面の剥がれが全くない
○:記録面の剥がれがほとんどない
△:記録面の剥がれが若干見られる
×:記録面の剥がれが多い
【0052】
・耐水ブロッキング性
感熱記録体の表面に水滴を50μl垂らし、記録面が内側になるように二つ折りにし、水滴を滴下した記録体の上に10g/cmの荷重をかけ、23℃50%Rhの環境下で24時間放置し、その後記録面を剥がし、105℃で2分間発色させ、記録面の剥がれ度合いを目視判定し、次の基準で評価した。
◎:記録面の剥がれが全くない
○:記録面の剥がれがほとんどない
△:記録面の剥がれが若干見られる
×:記録面の剥がれが多い
【0053】
[保存時の白紙部保存性]
60℃に保持した送風乾燥機に感熱記録体を72時間放置し、試験前後の白色度の差をハンター白色度計(フィルター:Am)を用いて測定した。
【0054】
○:白色度の低下が2ポイント未満
△:白色度が2ポイント以上10%未満低下する
×:白色度が10ポイント以上低下する
【0055】
[表面強度]
プリューフバウ印刷機を用いて、枚葉インキ(東洋インキ製造社製、商品名:TK ハイユニティーMZ藍)を0.25ml(印刷ユニット圧:50kgf)、湿し水を0.015ml(湿し水ユニット圧:20kgf)使用して感熱記録層の表面に印刷(印刷速度:100m/min)を行った際の表面の状態をチェックし、塗工層剥がれの有無を目視判定し、次の基準で評価した。
○:塗工層剥がれがほとんどない
△:塗工層剥がれが若干ある
×:塗工層剥がれが多い
[印字走行性(ヘッドカス)]
サトー社製ラベルプリンタ(プリンタ名:レスプリR−8)にて長さ30cmの格子印字をおこない、印字後のサーマルヘッドに付着したヘッドカス及び印字サンプルを目視観察した。
○:サーマルヘッドにヘッドカスの付着がほとんどない
△:サーマルヘッドに僅かにヘッドカスが付着するが、印字部のかすれはみられない
×:サーマルヘッドにヘッドカスが付着し、印字部がかすれる
[印字走行性(スティック)]
−5℃の雰囲気にて、キャノン社製ハンディーターミナルプリンタ(プリンタ名:HT−180)で、長さ5 cmの黒ベタ印字を行い、印字サンプルを目視評価した。
○:ほとんどスティックが発生しない
△:わずかにスティックが発生する
×:スティックが発生する
【0056】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体上に、無色または淡色の電子供与性ロイコ染料及び電子受容性顕色剤を含有する感熱記録層を設けた感熱記録体において、該感熱記録層が、ガラス転移温度50℃以上、且つ最低造膜温度25℃以下のアクリル樹脂及びアルキルケテンダイマーを含有することを特徴とする感熱記録体。