説明

感熱記録媒体、画像形成装置およびその方法

【課題】 メインテナンスが容易で、カートリッジ等の廃棄物を発生させず、しかも記録シートの管理を容易にすることができる記録シート等を提供する。
【解決手段】 記録シート10は、中温発色層7と高温発色層17との間に低温発色層13が配置されている。低温発色層13と隣接して低温発色抑制層11が形成されている。低温発色抑制層11および低温発色層13が熱バリア層として機能するため、中温発色層7の発色抑制は不要である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感熱記録媒体、並びに当該感熱記録媒体に画像を形成する画像形成装置およびその方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在実用化されているプリンタには、インクジェット方式や感熱転写方式、複写機を電子化したレーザ方式等がある。これらは、いずれもインクやインクリボン、トナーなどを紙(シート)に転写している。従って、プリントが終わると、インクやインクリボン、そしてそれらを内包した専用カートリッジ等が廃棄物となる。また、写真画質を実現するには、結局は専用紙を使う必要がある。
一方、専用の記録シートを必要とするが、インクやインクリボン、並びに専用カートリッジを廃棄しないプリンタとして、ファクシミリやバーコード印刷に用いられている感熱方式のプリンタがある。このような感熱方式で写真画質のカラー印刷を実現するためには多くの技術的困難があり、なかなか実用化されていない。
その最大の技術的障壁としては、3色3層の各発色層をサーマルヘッドの熱制御だけで独立に制御して発色させ、しかも発色する各色に濃淡を付けて濃度階調した制御が困難なためにカラー写真の画質の印刷が実現できなかった。このような中で、富士写真フィルム株式会社の特許文献1の技術的思想を基に、1996年に発売を開始した直接感熱記録方式(TA方式)が唯一の実用化例である。
【0003】
このTA方式は、シアン、マゼンダ、イエローの順に感熱発色層を基板上に積層し、最上層には耐熱性保護層を配置している。イエローとマゼンタの発色層は、ジアゾニウム塩化合物とカプラーを発色素材とし、紫外線で画像の定着が可能である。また、シアン発色層は定着の必要がないので、染料前駆体と有機酸を発色素材としている。各層のマイクロカプセルは異なる熱感度と紫外線感度を持っており、異なる熱エネルギと異なる波長の紫外線を、5回のステップに分けて与えることによって発色と定着を繰り返しながら、フルカラーのプリントを作成する。
具体的には、TA方式は、(1)イエロー画像情報で、低熱エネルギでイエロー画像を形成し、(2)波長が419nnmの紫外線を全面照射し、(3)イエロー画像を定着し、(4)マゼンタ画像を中熱エネルギで形成する(このときイエロー発色層は加熱しても発色しないため、影響を受けない)、(4)波長が365nmの紫外線を全面照射し、マゼンタ画像を定着し、(5)シアン画像を高熱エネルギで形成する。
【0004】
また、上記TA方式とは別に、3段階の圧力と3段階の温度とを組み合わせて、カプセル内のジアゾ化合物とカプセル外のカプラーとを化学反応させて発色させるシステムが特許文献2に提案されている。
【0005】
【特許文献1】特開昭61−40192号公報
【特許文献2】特開平11−170692号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記TA方式では、感熱発色層が紫外線で定着されるため、記録シートの保管が難しいという問題がある。
また、上述した特許文献2のシステムでは、3段階の圧力を記録シートに適切に加えて発色させる制御が困難であるという問題がある。
さらに、記録シートの薄型化、並びに画像形成工程の簡単化の要請がある。
【0007】
本発明は上述した従来技術の問題点を解決するために、画像形成装置のメインテナンスが容易で、カートリッジ等の廃棄物を発生させずに簡単な制御で感熱記録媒体に画像を形成でき、しかも感熱記録媒体を容易に管理することを可能とする感熱記録媒体、画像形成装置および画像形成方法を提供することを目的とする。
また、本発明は、感熱記録媒体の薄型化、並びに画像形成工程の簡単化が可能な感熱記録媒体、画像形成装置および画像形成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した従来技術の問題点を解決し、上述した目的を達成するため、請求項1の発明の感熱記録媒体は、第1の発色温度で発色する第1の発色要素と、前記第1の温度より低い第2の温度で発色する第2の発色要素と、前記第1の温度より低く前記第2の温度より高い第3の温度で発色する第3の発色要素とを加熱側から順に配置し、予め決められた圧力を受けたことを条件に前記第2の発色要素の発色機能を抑制する発色抑制要素を有する。
【0009】
このように、請求項1の発明では、予め決められた圧力を受けたことを条件に第1の発色要素の発色機能を抑制する発色抑制要素を内包させることで、紫外線を使わずに第1の発色要素を定着でき、感熱記録媒体の管理が容易になる。
また、請求項1の発明では、第1の発色要素(高温発色要素)と第3の発色要素(中温発色要素)との間に第2の発色要素(低温発色要素)を配置するため、第2の発色要素を発色および発色抑制させた後に第1の発色要素を発色させる際に、第2の発色要素が熱バリアとして機能する。そのため、第3の発色要素の発色抑制要素が不要となり、感熱記録媒体を薄型化できる。また、感熱記録媒体の画像形成時に、第3の発色要素を発色抑制する処理が不要となり、画像形成工程を簡単化および短時間化できる。
なお、請求項1の発明では、発色要素が3つあるため、3色以上の発色が可能である。
【0010】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、第1の発色層内に前記第1の発色要素を配置し、第2の発色層内に前記第2の発色要素を配置し、第3の発色層内に前記第3の発色要素を配置し、発色抑制層内に前記発色抑制要素を配置し、基板上に前記第3の発色層、前記発色抑制要素、前記第2の発色層および前記第1の発色層を順に積層したことを特徴とする。
このように第2の発色要素と発色抑制要素とを個別の層に配置することで、第2の発色要素の発色環境を、第1の発色要素および第3の発色要素と同じにでき、優れた画質を提供できる。
【0011】
請求項3の発明は、第1の発色層内に前記第1の発色要素を配置し、第2の発色層内に前記発色抑制要素および前記第2の発色要素を混在させて配置し、第3の発色層内に前記第3の発色要素を配置し、基板上に前記第3の発色層、前記第2の発色層および前記第1の発色層を順に積層したことを特徴としている。
このように、第2の発色層内に前記発色抑制要素および前記第2の発色要素を混在させて配置することで、記録媒体を薄くできると共に、発色抑制機能を効率的に発揮させることができる。
【0012】
請求項4の発明は、請求項1〜3の発明において、前記発色要素が、当該発色要素が内包する材料が前記発色要素外に放出し、発色要素外の物質と反応して発色する要素、あるいは前記発色要素内に、当該発色要素外の材料が、当該発色要素内に流入して、当該発色要素内の物質と反応して発色する要素であることを特徴としている。
【0013】
請求項5の発明は、請求項1〜4の発明において、前記発色抑制要素は、前記発色要素の材料である電子供与性染料前駆体、電子受容性顕色剤、塩基性物質または酸性物質のうち、一つ以上の材料の化学構造を変化させて発色反応を起こさないようにする機能、前記発色要素の材料である電子供与性染料前駆体、電子受容性顕色剤、塩基性物質または酸性物質のうち、一つ以上の材料の化学構造を変化させて、化学反応しても色素が生成できずに発色しないようにする機能、あるいは前記発色要素の材料を内包したマイクロカプセルの壁の物質透過性を変化させて浸透性を低下させて発色反応を抑制する機能を有することを特徴としている。
【0014】
請求項6の発明の画像形成装置は、感熱記録媒体に対して画像を熱記録するサーマルヘッドと、前記感熱記録媒体の低温発色機能を抑制するための圧力を加える加圧手段と、前記低温発色温度で前記感熱記録媒体に画像を形成するように前記サーマルヘッドを制御する処理と、前記感熱記録媒体に前記圧力を加えるように前記加圧手段を制御する処理と、前記感熱記録媒体の中温発色機能の抑制処理を行わずに前記低温発色温度より高い中温発色温度および高温発色温度で前記感熱記録媒体に画像を形成するように前記サーマルヘッドを制御する処理とを順に行う制御手段とを有する。
【0015】
請求項6の発明では、制御手段の制御に従って、サーマルヘッドが、低温発色温度で前記感熱記録媒体に画像を形成する。
次に、加圧手段が、前記感熱記録媒体に前記圧力を加える。これにより、前記感熱記録媒体の低温発色機能が抑制される。
次に、前記感熱記録媒体の中温発色機能の抑制処理を行わずに、前記サーマルヘッドが、前記低温発色温度より高い中温発色温度および高温発色温度で前記感熱記録媒体に画像を形成する。
このように、請求項6の発明では、請求項1の感熱記録媒体に画像形成を行う場合に、中温発色機能の抑制処理を行わない。これにより、画像形成工程を簡単化および短時間化できる。
【0016】
請求項7の発明は、請求項6の発明において、前記制御手段が、前記中温発色温度で前記感熱記録媒体に画像を形成する処理を行った後に、前記高温発色温度で前記感熱記録媒体に画像を形成する処理を行うことを特徴としている。これにより、高温発色時に、中温発色時のエネルギを利用でき、エネルギ効率がよいと共に、画像形成時間を短縮できる。
【0017】
請求項8の発明は、請求項6または請求項7の発明において、前記サーマルヘッドと前記加圧手段とが隣接して位置することを特徴としている。
【0018】
請求項9の発明は、請求項6または請求項7の発明において、前記サーマルヘッドと前記加圧手段とを一体的に構成し、前記感熱記録媒体に接触する前記サーマルヘッドの加熱面によって前記圧力を加えることを特徴としている。
【0019】
請求項10の発明の画像形成方法は、低温発色温度で加熱して感熱記録媒体に画像を形成する第1の工程と、前記第1の工程の後に、前記感熱記録媒体を加圧して前記感熱記録媒体の低温発色機能を抑制する第2の工程と、前記第2の工程の後に、前記感熱記録媒体の中温発色機能の抑制処理を行わずに、前記低温発色温度より高い中温発色温度および高温発色温度で前記感熱記録媒体に画像を形成する第3の工程とを有する。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、画像形成装置のメインテナンスが容易で、カートリッジ等の廃棄物を発生させずに簡単な制御で感熱記録媒体に画像を形成でき、しかも記録シートを容易に管理することを可能とする感熱記録媒体、画像形成装置および画像形成方法を提供することができる。
また、本発明によれば、感熱記録媒体の薄型化、並びに画像形成工程の簡単化が可能な感熱記録媒体、画像形成装置および画像形成方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態に係わる記録シート、並びに当該記録シートに画像を形成するプリンタについて説明する。
<第1実施形態>
以下、本発明の第1実施形態を説明する。
[本発明の構成との対応関係]
先ず、本実施形態の構成要素と、本発明の構成要素との対応関係を説明する。
本実施形態は、請求項2等の一例に係わる。
本実施形態の図1に示す中温発色カプセル21が本発明の第3の発色要素の一例であり、低温発色抑制カプセル23が本発明の発色抑制要素の一例であり、低温発色カプセル25が本発明の第2の発色要素の一例であり、高温発色カプセル27が本発明の第3の発色要素の一例である。
また、中温発色層7が請求項2の発明の第3の発色層の一例であり、低温発色抑制層11が請求項2の発明の発色抑制層の一例であり、低温発色層13が請求項2の発明の第2の発色層の一例であり、高温発色層17が請求項2の発明の第1の発色層の一例である。
また、図5に示すサーマルヘッド45が請求項11のサーマルヘッドの一例であり、加圧ローラ49a,49bが請求項11の加圧手段の一例である。
また、図5に示す制御部51が、請求項11の制御手段の一例である。
【0022】
[記録シート10]
先ず、本実施形態で用いられる記録シート10を説明する。
図1は、本実施形態で用いる記録シート10の断面構成図である。
図1に示すように、記録シート10は、例えば、基材11上に中温発色層7、混色防止層9、低温発色抑制層11、低温発色層13、混色防止層15、高温発色層17および保護層19を順に積層して構成される。
記録シート10は、中温発色層7と高温発色層17との間に低温発色層13が配置されている。また、低温発色層13と隣接して低温発色抑制層11が形成されている。
【0023】
記録シート10は、画像形成時に、低温発色層13内の低温発色カプセル25が低温発色された後に、加圧されて低温発色抑制カプセル23が破壊され、低温定着される。その後に、中温発色抑制を行うことなく、中温発色カプセル21および高温発色層17がそれぞれ中温発色および高温発色される。
記録シート10では、高温発色層17の発色処理時に、低温発色抑制層11および低温発色層13が熱バリア層として機能し、中温発色層7が中温発色温度になることを回避する。これにより、中温発色を抑制する必要なく、シートを薄くできると共に、画像形成工程を簡単にできる。
なお、記録シート10は、3色発色できるため、カラー画像を形成できる。
【0024】
基材11は、例えば、ポリエステルやポリエチレンテレフタレート(PET)等によって構成される。基材11は、白色あるいは透明である。
【0025】
中温発色層7は、中温発色カプセル21、顕色剤、並びに必要に応じて塩基性物質または酸性物質をバインダ材中に分散させて構成される。中温発色カプセル21は、発色剤を内包し、その壁のガラス転移点が図2に示す温度T2(例えば、160℃)であり、低温発色カプセル25より高く、高温発色カプセル27より低い。
中温発色層7は、例えば、温度T2以上の中温状態になると、中温発色カプセル21が内包する発色剤と中温発色層7内の顕色剤とが反応して発色する。
【0026】
中温発色カプセル21は、いわゆるマイクロカプセルであり、その壁が150〜280℃のガラス転移点を持つポリウレアあるいはポリウレタンからなる。中温発色カプセル21は、ガラス転移点前後で物質浸透(透過)性が大きくなる特性を持つ。これにより、図3(A)に示すように、温度T2未満(非中温)においては、中温発色カプセル21内に顕色剤は浸透せず、中温発色カプセル21内の発色剤は発色しない。一方、図3(B)に示すように、温度T2以上(上記中温状態)になると、中温発色層7内の顕色剤が中温発色カプセル21内に浸透し、当該顕色剤と中温発色カプセル21内の発色剤とが反応して色素が形成されて発色する。
【0027】
中温発色カプセル21等の本実施形態におけるマイクロカプセルの壁は、例えば、熱硬化性樹脂あるいは熱可塑性樹脂等の合成樹脂で形成される。具体的には、中温発色カプセル21等の壁として、メラミン−ホルムアルデヒドポリマー、尿素−ホルムアルデヒドポリマー等が用いられる。
また、マイクロカプセルの平均粒径は、例えば約3〜4μmであり、そのガラス転移点は壁の材質によって規定される。マイクロカプセルは、反応する物質を多層構造の状態で隔離しておくだけでなく、マイクロカプセルの壁を隔ててミクロンに分散して共存させることにより、数μの薄い塗布膜の中で、常温では十分に隔離性を保ちながら、加熱時に瞬時に十分な物質浸透性を持たせる機能を持つ。
【0028】
なお、中温発色カプセル21は、上記中温状態になると、その壁が溶けて、カプセル内の発色剤がカプセル外に流出して、カプセル外の顕色剤と反応して発色するように構成してもよい。
本実施形態において、発色剤と、それに反応する顕色剤との組み合わせには、例えば、ジアゾ化合物(発色剤)とカプラー(顕色剤)との組み合わせ、あるいは電子供与性無色染料(発色剤)と電子受容性化合物(顕色剤)との組み合わせ等がある。なお、ジアゾ化合物の化学構造とカプラーの化学構造との組み合わせ、あるいは電子供与性無色染料の化学構造と電子受容性化合物の化学構造との組み合わせによって任意の色相を発色できることは公知である。
【0029】
なお、上記ジアゾ化合物は、例えば、リン酸トリクレジル等である。ジアゾ化合物は、電子供与性染色前駆体(染料前駆体)であり、塩基性雰囲気でカプラーと反応して発色する。カプラーは、例えば、レゾルシルやフロログルシンであり、塩基性雰囲気中でジアゾ化合物とカップリングして色素を形成する。塩基性雰囲気は、水難溶性か水不溶性の塩基性物質や加熱によりアルカリを発生する物質(例えば、有機アンモニウム塩)によって作られる。
また、上記電子供与性無色染料は例えばロイコ染料であり、電子受容性化合物は例えばフェノール系酸性物質である。この組み合わせでは、ロイコ染料が酸性物質である顕色剤に吸着して酸化されて発色する。
【0030】
また、上記カプラーとしては、例えば、2−ヒドロキシ−3ナフトエ酸アニリド等が用いられる。
また、上記電子受容性化合物としては、例えば、フェノール化合物、有機酸またはその金属塩、オキシ安息香酸エステル等の酸性物質が用いられる。
【0031】
また、本実施形態では、発色剤をマイクロカプセル内に内包する場合を例示するが、例えば、発色剤と顕色剤とをバインダ内に分散して配置し、加熱によりバインダが溶融して発色剤と顕色剤とが反応するような構成にしてもよい。
【0032】
混色防止層9は、中温発色カプセル21と低温発色抑制カプセル23とが混ざり合って反応することを防止する。
【0033】
低温発色抑制層11は、低温発色抑制カプセル23を内包する。
低温発色抑制カプセル23は、図4(A)に示すように、通常圧力(非破壊圧力)状態で、低温発色層13の発色機能を抑制する低温発色抑制剤を内包する。
低温発色抑制カプセル23は、図4(B)に示すように、図2に示す破壊圧力P1以上の圧力が加わると、カプセルが破壊状態(あるいは浸透状態)となり、低温発色抑制剤を低温発色抑制カプセル23外に流出させる。
低温発色抑制カプセル23等のマイクロカプセルの破壊(浸透)圧力は、マイクロカプセルの径と壁厚との関係、並びに壁の材質によって規定される。
【0034】
低温発色抑制カプセル23が内包する低温発色抑制剤は、例えば、低温発色カプセル25内は発色剤、低温発色層13内の顕色剤、塩基性物質および酸性物質のうち、1つ以上の物質の化学構造を変化させて、化学反応を起こさないようにする機能、あるいは化学反応しても色素が生成されないようにする機能を有する。
また、低温発色抑制カプセル23は、低温発色カプセル25のカプセルの壁の物質透過性を変化させて浸透性を低下させて発色反応を抑制する機能を有していてもよい。
なお、本実施形態において、低温発色抑制カプセル23が内包する低温発色抑制剤がカプセル外部に流出する条件として、温度条件は特に不要である。変形例として、低温発色抑制カプセル23は、図2に示すように、温度Ta(<T1)以上で破壊圧力P1以上の圧力を受けたことを条件に、低温発色抑制機能を発揮するようにしてもよい。
【0035】
低温発色層13において電子供与性無色染料(発色剤:例えばロイコ染料)と電子受容性化合物(顕色剤:例えば酸性物質)との組み合わせで発色する場合には、低温発色抑制カプセル23として、例えば、リン酸エステル類、テトラヒドロフタル酸、脂肪酸エステル、2価アルコールエステル類、エポキシ系可塑剤あるいはトリメット酸系可塑剤等が用いられる。
【0036】
低温発色層13は、低温発色カプセル25、顕色剤、並びに必要に応じて塩基性物質または酸性物質をバインダ材中に分散させて構成される。低温発色カプセル25は、発色剤を内包し、その壁のガラス転移点が例えば、90〜140℃の低温である。低温発色層13は、例えば、図2に示す温度T1(例えば、110℃)以上の低温状態となると、低温発色カプセル25が内包する発色剤と低温発色層13内の顕色とが反応して発色する。低温発色カプセル25の壁のガラス転移点を除いて、発色の原理は、中温発色カプセル21と同じである。
【0037】
混色防止層15は、低温発色カプセル25と高温発色カプセル27とが混ざり合って反応することを防止する。
【0038】
高温発色層17は、高温発色カプセル27、顕色剤、並びに必要に応じて塩基性物質あるいは酸性物質をバインダ材中に分散させて構成される。高温発色カプセル27は、発色剤を内包し、その壁のガラス転移点が例えば、300〜350℃の高温である。高温発色層17は、例えば、図2に示す温度T3(例えば、330℃)以上の高温状態となると、高温発色カプセル27が内包する発色剤と高温発色層17内の顕色剤とが反応して発色する。高温発色カプセル27の壁のガラス転移点を除いて、発色の原理は、中温発色カプセル21と同じである。
【0039】
本実施形態において、中温発色カプセル21、低温発色抑制カプセル23および高温発色カプセル27が内包する発色剤と、その外部の顕色剤とが反応する条件として、圧力は不要である。
【0040】
保護層19は、低温発色層13を保護するための層である。保護層19は、例えば、耐熱機能を有する。
【0041】
本実施形態において、中温発色層7、低温発色抑制層11、低温発色層13および高温発色層17の各々の厚みは、例えば1〜4μmである。
また、各層への発色の割り当ては、例えば、中温発色層7にイエロー、低温発色抑制層11にマゼンダ、高温発色層17にシアンを割り当てる。但し、これは一例であり、割り当てパターンは任意である。
【0042】
[プリンタ40]
次に、図1に示す記録シート10に画像を形成するプリンタを説明する。
なお、本実施形態で以下に説明するプリンタは一例であり、後述する変形例等に記載するプリンタを用いて記録シート10に画像を形成してもよい。
【0043】
図5は、図1に示す記録シート10に画像を記録(印刷)するプリンタ40の構成図である。
図5に示すように、プリンタ40は、例えば、シート収容ケース41、シート送りローラ43、サーマルヘッド45、プラテンローラ47、加圧ローラ49a,49b、シート搬出部50および制御部51を有する。
シート収容ケース41は、複数の記録シート10を収容する。シート収容ケース41に収容された記録シート10は、バネ53等の付勢手段によってシート送りローラ43に向けて押されている。
【0044】
シート送りローラ43は、シート収容ケース41の最上段の記録シート10に接触して位置する。シート送りローラ43は、制御部51からの制御信号に基づいてモータ(図示せず)によって回転駆動される。シート送りローラ43が回転すると、バネ53の付勢力により記録シート10とシート送りローラ43との間に生じた摩擦力によって、シート送りローラ43の回転に連動してシート収容ケース41の最上段の記録シート10がサーマルヘッド45に向けて搬送される。なお、制御部51は、上記制御信号に基づいて、モータ(シート送りローラ43)の回転量を制御することで、記録シート10の位置や送り量を制御する。
【0045】
記録シート10の搬送経路におけるシート送りローラ43の下流側には、サーマルヘッド45が設けられている。
サーマルヘッド45は、複数の発熱素子を主走査方向にライン状に並べた発熱素子アレイを備えている。サーマルヘッド45は、発熱素子アレイを記録シート10に接触した状で、形成する画像に応じたパターンで各発熱素子を発熱させる。本実施形態では、各発熱素子は、少なくとも、非発熱状態、低温発熱状態、中温発色状態および高温発熱状態の4状態を有し、これら4状態のうち一つが制御部51によって選択される。
各発熱素子の発熱温度は、その発熱素子に接続された抵抗に電流を流す時間によって制御される。制御部51は、加熱時間に応じて、サーマルヘッド45の各発熱素子に電流を流す時間を規定するストローブ信号のパルス幅を制御する。
なお、サーマルヘッド45は、低温発色状態、中温発色状態および高温発色状態の各々において、画像データの諧調に応じた複数の発熱温度を調整可能にしてもよい。
【0046】
プラテンローラ47は、記録シート10の搬送経路を挟んで反対側には、サーマルヘッド45が設けられている。プラテンローラ47は、記録シート10の搬送に応じて回転し、記録シート10とサーマルヘッド45の発熱素子との接触状態を安定にする。
【0047】
記録シート10の搬送経路におけるサーマルヘッド45の下流側には、1対の加圧ローラ49a,49bが設けられている。
加圧ローラ49a,49bは、サーマルヘッド45で加熱して発色した記録シート10を挟み込んで加圧し、図1に示す記録シート10の低温発色抑制層11内の低温発色抑制カプセル23に圧力を加えて、低温発色抑制カプセル23内の低温発色抑制剤を低温発色抑制カプセル23外に流出させる。
加圧ローラ49a,49bは、加圧後の記録シート10を、再度、サーマルヘッド45に向けて送り出すシート送りローラとしての機能も併せ持つ。
【0048】
シート搬出部50は、発色および定着を終えた記録シート10を搬出口(図5中左側)に向けて搬出する際の経路となる。
【0049】
制御部51は、例えば、マイクロコンピュータ等の電子回路であり、プリンタ40の動作を統括的に制御する。
【0050】
以下、図5〜図7を参照して、プリンタ40の動作例を説明する。
図7は、図1に示す記録シート10に画像を形成するプリンタの動作例を説明ためのフローチャートである。
【0051】
ステップST0:
図5に示すプリンタのシート収容ケース41に、複数枚の記録シート10を収容する。シート収容ケース41に収容された記録シート10は、バネ53の付勢力によって紙送りローラ43に向けて押され、最上段の記録シート10と紙送りローラ43との間に摩擦力が生じている。
【0052】
ステップST1:
制御部51からの制御に基づいてシート送りローラ43が回転し、シート収容ケース41の最上段に収容された記録シート10がサーマルヘッド45に向けて搬送される。
【0053】
ステップST2:
制御部51からの制御に基づいてサーマルヘッド45が、記録シート10に形成する画像の低温発色成分に応じた画素パターンで各発熱素子を低温に発熱させる。これにより、記録シート10の低温発色層13が、画像情報に対応した低温発色成分の画素パターンで、図2に示す温度T1で低温加熱され、低温加熱された位置の低温発色カプセル25内の発色剤とその周囲に顕色剤とが反応して発色(低温発色)する。
【0054】
ステップST3:
ステップST2に続いて、制御部51からの制御に基づいてプラテンローラ47が記録シート10を加圧ローラ49a,49bに向けて搬送する。記録シート10は、図2に示すように、温度Taで、加圧ローラ49a,49bによって破壊圧力P1で加圧される。これにより、図1に示す低温発色抑制層11内の低温発色抑制カプセル23が破壊され、低温発色抑制カプセル23内の低温発色抑制剤がカプセル外部に流出し、低温発色層223における低温発色剤と顕色剤との反応が抑制される。すなわち、低温発色について定着が行われる。なお、温度Taが常温の場合には、ステップST3において加圧ローラ49a,49bによる加熱は不要である。
【0055】
ステップST4:
制御部51からの制御に基づいて、加圧ローラ49a,49bがステップST3とは逆向きに回転し、記録シート10をサーマルヘッド45に向けて再び搬送する。
【0056】
ステップST5:
制御部51からの制御に基づいてサーマルヘッド45が、記録シート10に形成する画像の中温発色成分に応じた画素パターンで各発熱素子を中温に発熱させる。これにより、記録シート10の中温発色層7が、画像情報に対応した中温発色成分の画素パターンで、図2に示す温度T2で中温加熱され、中温加熱された位置の中温発色カプセル21内の発色剤とその周囲に顕色剤とが反応して発色(中温発色)する。
なお、中温発色時の加熱時間は、後に行われる高温発色時に比べて長く規定される。
【0057】
ステップST6:
制御部51からの制御に基づいてサーマルヘッド45が、記録シート10に形成する画像の高温発色成分に応じた画素パターンで各発熱素子を高温に発熱させる。これにより、記録シート10の高温発色層17が、画像情報に対応した高温発色成分の画素パターンで、図2に示す温度T3で高温加熱され、高温加熱された位置の高温発色カプセル27内の発色剤とその周囲に顕色剤とが反応して発色(高温発色)する。
【0058】
なお、本実施形態のプリンタは、好ましくは、高温発色時の加熱時間を中温発色時に比べて短くする。
このとき、高温発色層17と中温発色層7との間には、混混色防止層15、低温発色層13、低温発色抑制層11および混色防止層9によって構成される厚い層が熱バリア層として介在する。そのため、高温加熱時間が短ければ、中温発色層7を定着しなくても、上記熱バリア層による熱伝達時間(遅延時間)により、中温発色層7を発色させずに高温発色層17を発色させることができる。
【0059】
上記ステップST5,ST6の動作は、図5の構成のプリンタのサーマルヘッド45において1ヘッドで温度と時間を制御することにより、高温発色と中温発色とを連続して行うことができる。
【0060】
ステップST7:
制御部51からの制御に基づいてプラテンローラ47が回転し、記録シート10が図5中左側の搬出口に向けて搬送される。
【0061】
以上説明したように、記録シート10によれば、中温発色層7と高温発色層17との間に、混色防止層9、低温発色抑制層11、低温発色層13および混色防止層15を熱バリア層として介在させる。そのため、中温発色層7の発色抑制層を設ける必要がなく、記録シート10の構成を簡単にできる(記録シート10を薄くできる)。
【0062】
また、本実施形態のプリンタ40によれば、中温発色層7を定着させる必要がないため、中温発色と低温発色とを図5に示すプリンタのサーマルヘッド45によって1ヘッドで温度と時間を制御することで連続して実現できる。
プリンタ40によれば、低温発色定着のために加圧ローラ49a,49bが加圧する際に、温度制御が不要であるため、構成および制御を簡単にできる。
また、プリンタ40によれば、図7に示すように、記録時に記録シート10の中温発色を高温発色より先に行う。これにより、高温発色では中温発色で得た熱を利用でき、中温発色より先に高温発色を行う場合に比べて、記録時間を短縮できる。
【0063】
また、記録シート10によれば、低温発色層13が定着されるため、低温色の経時変化が抑えられ、優れた耐候性が得られる。
【0064】
<第2実施形態>
上述した第1実施形態では、低温発色抑制カプセル23および低温発色カプセル25を個別の層(低温発色抑制層11および低温発色層13)に内包した場合を例示したが、本実施形態では、図8に示すように、低温発色層113内に低温発色抑制カプセル23および低温発色カプセル25を内包する。
【0065】
図8は、本実施形態で用いる記録シート110の断面構成図である。
図8に示すように、記録シート110は、例えば、基材11上に中温発色層7、混色防止層9、低温発色層113、混色防止層15、高温発色層17および保護層19を順に積層して構成される。
記録シート110は、低温発色層113内に低温発色抑制カプセル23および低温発色カプセル25を混在させて内包していることを特徴とする。
記録シート110は、第1実施形態の記録シート10と同様にカラー画像を形成できる
【0066】
記録シート110に画像を形成するプリンタの動作は、第1実施形態のプリンタ40と同じである。
【0067】
記録シート110およびそのプリンタによっても第1実施形態と同様の効果が得られる。さらに、記録シート110によれば、低温発色層113内に低温発色抑制カプセル23および低温発色カプセル25を混在させて配置することで、シートの厚みを第1実施形態の記録シート10に比べて薄くできる。
【0068】
[プリンタの第1変形例]
上述した実施形態では、図5等に示すように、加圧ローラ49a,49bをサーマルヘッド45とそれぞれ個別に設ける場合を例示したが、例えば、図9に示す構成により、サーマルヘッド545の加熱面で記録シート10等を加圧してもよい。
図9に示す構成では、継ぎ手520の一端にサーマルヘッド545が固定されている。継ぎ手520は、中心軸520aを中心に回転する。継ぎ手520の他端は、バネ541によって、回転軸520aを中心に継ぎ手520を半時計回りに回転する向きに付勢されている。バネ541よる付勢力は、サーマルヘッド545の加熱面によって記録シート10等を通常圧力で押す力として作用する。
【0069】
継ぎ手521は、回転軸520aを中心に回転自在に設置され、一端の先端部521aが継ぎ手520の一辺に接触している。
また、継ぎ手521の他端521bは、カム530の外周に接触している。また、継ぎ手521は、バネ540の一端が固定されている。カム530が回転すると、継ぎ手521が回転軸520aを中心として、カム530の外周の段差に応じた所定の回転角度幅で時計方向および逆時計方向に交互に回転する。
このとき、継ぎ手521が時計方向に最も回転した位置において、先端部521aは継ぎ手520を押圧しない。すなわち、バネ540の付勢力は、サーマルヘッド545には作用しない。
【0070】
一方、継ぎ手521が反時計方向に最も回転した位置において、先端部521aは継ぎ手520を押圧し、バネ540の付勢力はサーマルヘッド545を記録シート10に押し付ける向きに作用する。これにより、サーマルヘッド545の加熱面によって記録シート10等を破壊圧力で押す力が生じる。
図9の構成を用いたプリンタでは、制御部51が、カム530の回転を制御することで、サーマルヘッド545の加熱面を介して記録シート10等に加える圧力を制御できる。
【0071】
当該プリンタでは、複数の加熱温度と加圧の有無を1ヘッドで実現できるため、記録シート10等に1パスで画像を形成できる。すなわち、記録シート10等がヘッドと1回接触して通過するだけで画像形成が可能である。これは、サーマルヘッドが高価であることから製造コストの削減に有用であると共に、小型化の要請にも応えられる。
すなわち、ライン型サーマルヘッドを1つで実現する場合には、従来のTA方式では、記録シートをサーマルヘッドに2往復半通過させるため、画像形成時間が長い。また、当該TA方式は、紫外線ランプと2種類のフィルタの切り替え手段も必要とし、プリンタが大型化してしまう。本実施形態のプリンタは、このような問題を解決できる。
【0072】
[プリンタの第2変形例]
本発明の実施形態のプリンタは、例えば、図10に示すように、記録シート10、110,210、10の搬送方向における加圧ローラ49a,49bの下流側に、サーマルヘッド145およびプラテンローラ147をさらに配置してもよい。
このようにすることで、記録シート10、110,210、10の低温側の発色層の定着を完了した部分から順にサーマルヘッド145における高温加熱を行うことができ、図5に示す構成に比べて画像形成時間を短縮できる。
【0073】
本発明は上述した実施形態には限定されない。
すなわち、当業者は、本発明の技術的範囲またはその均等の範囲内において、上述した実施形態の構成要素に関し、様々な変更、コンビネーション、サブコンビネーション、並びに代替を行ってもよい。
例えば、上述した実施形態では、記録シートを3色に発色させて記録を行う場合を例示したが、記録シートに4色以上に発色させて記録を行ってもよい。例えば、イエロー、シアンおよびマゼンダの3色に、ブラックを加えて4色で記録シートを発色させてもよいし、ライトシアンおよびライトマゼンダを加えて5色で記録シートを発色させてもよい。
【0074】
また、上述した実施形態では、本発明の感熱記録媒体として記録シートを例示したが、本発明の感熱記録媒体の形状はシート状以外でもよい。
【産業上の利用可能性】
【0075】
本発明は、感熱シートに記録を行うシステムに適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】図1は、本発明の第1実施形態の記録シートの構成図である。
【図2】図2は、図1に示す記録シート内の高温発色カプセル、低温発色カプセルおよび低温発色抑制カプセルの特性を説明ための図である。
【図3】図3は、図1に示す発色カプセルの発色原理を説明ための図である。
【図4】図4は、図1に示す低温発色抑制カプセルの発色抑制作用を説明ための図である。
【図5】図5は、本発明の第1実施形態のプリンタの画像形成動作を説明ための図である。
【図6】図6は、本発明の第1実施形態のプリンタの画像形成動作を説明ための図5の続きの図である。
【図7】図7は、本発明の第1実施形態のプリンタの画像形成動作を説明ためのフローチャートである。
【図8】図8は、本発明の第2実施形態の変形例に係わる記録シートの構成図である。
【図9】図9は、本発明の実施形態のプリンタの第1の変形例を説明ための図である。
【図10】図10は、本発明の実施形態のプリンタの第2の変形例を説明ための図である。
【符号の説明】
【0077】
10,110‥記録シート、5‥基材、7‥中温発色層、9‥混色防止層、11‥低温発色抑制層、13‥低温発色層、15‥混色防止層、17‥高温発色層、19‥保護層、21‥中温発色カプセル、23‥低温発色抑制カプセル、25‥低温発色カプセル、27‥高温発色カプセル、41‥シート収容ケース、43‥シート送りローラ、45‥サーマルヘッド、47‥プラテンローラ、49a,49b‥加圧ローラ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の発色温度で発色する第1の発色要素と、
前記第1の温度より低い第2の温度で発色する第2の発色要素と、
前記第1の温度より低く前記第2の温度より高い第3の温度で発色する第3の発色要素と
を加熱側から順に配置し、
予め決められた圧力を受けたことを条件に前記第2の発色要素の発色機能を抑制する発色抑制要素を有する
感熱記録媒体。
【請求項2】
第1の発色層内に前記第1の発色要素を配置し、
第2の発色層内に前記第2の発色要素を配置し、
第3の発色層内に前記第3の発色要素を配置し、
発色抑制層内に前記発色抑制要素を配置し、
基板上に前記第3の発色層、前記発色抑制要素、前記第2の発色層および前記第1の発色層を順に積層した
請求項1に記載の感熱記録媒体。
【請求項3】
第1の発色層内に前記第1の発色要素を配置し、
第2の発色層内に前記発色抑制要素および前記第2の発色要素を混在させて配置し、
第3の発色層内に前記第3の発色要素を配置し、
基板上に前記第3の発色層、前記第2の発色層および前記第1の発色層を順に積層した
請求項1に記載の感熱記録媒体。
【請求項4】
前記発色要素は、当該発色要素が内包する材料が前記発色要素外に放出し、発色要素外の物質と反応して発色する要素、あるいは
前記発色要素内に、当該発色要素外の材料が、当該発色要素内に流入して、当該発色要素内の物質と反応して発色する要素
である請求項1〜3のいずれかに記載の感熱記録媒体。
【請求項5】
前記発色抑制要素は、
前記発色要素の材料である電子供与性染料前駆体、電子受容性顕色剤、塩基性物質または酸性物質のうち、一つ以上の材料の化学構造を変化させて発色反応を起こさないようにする機能、
前記発色要素の材料である電子供与性染料前駆体、電子受容性顕色剤、塩基性物質または酸性物質のうち、一つ以上の材料の化学構造を変化させて、化学反応しても色素が生成できずに発色しないようにする機能、あるいは
前記発色要素の材料を内包したマイクロカプセルの壁の物質透過性を変化させて浸透性を低下させて発色反応を抑制する機能を有する
請求項1〜4のいずれかに記載の感熱記録媒体。
【請求項6】
感熱記録媒体に対して画像を熱記録するサーマルヘッドと、
前記感熱記録媒体の低温発色機能を抑制するための圧力を加える加圧手段と、
前記低温発色温度で前記感熱記録媒体に画像を形成するように前記サーマルヘッドを制御する処理と、前記感熱記録媒体に前記圧力を加えるように前記加圧手段を制御する処理と、前記感熱記録媒体の中温発色機能の抑制処理を行わずに前記低温発色温度より高い中温発色温度および高温発色温度で前記感熱記録媒体に画像を形成するように前記サーマルヘッドを制御する処理とを順に行う制御手段と
を有する画像形成装置。
【請求項7】
前記制御手段は、前記中温発色温度で前記感熱記録媒体に画像を形成する処理を行った後に、前記高温発色温度で前記感熱記録媒体に画像を形成する処理を行う
請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記サーマルヘッドと前記加圧手段とが隣接して位置する
請求項6または請求項7に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記サーマルヘッドと前記加圧手段とを一体的に構成し、前記感熱記録媒体に接触する前記サーマルヘッドの加熱面によって前記圧力を加える
請求項6または請求項7に記載の画像形成装置。
【請求項10】
低温発色温度で加熱して感熱記録媒体に画像を形成する第1の工程と、
前記第1の工程の後に、前記感熱記録媒体を加圧して前記感熱記録媒体の低温発色機能を抑制する第2の工程と、
前記第2の工程の後に、前記感熱記録媒体の中温発色機能の抑制処理を行わずに、前記低温発色温度より高い中温発色温度および高温発色温度で前記感熱記録媒体に画像を形成する第3の工程と
を有する画像形成方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2007−296713(P2007−296713A)
【公開日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−125915(P2006−125915)
【出願日】平成18年4月28日(2006.4.28)
【出願人】(503118332)IPトレーディング・ジャパン株式会社 (10)
【Fターム(参考)】