説明

慣性センサの使用に基づく歩数計の制御方法および、この方法を実行する歩数計

【課題】慣性センサの使用に基づく信頼性の高い歩数計の制御方法、およびその方法を実行する歩数計を提供する。
【解決手段】歩数計を制御する方法は、歩数計のユーザの動作に相関される信号(A)を発生し、信号(A)に基づいて、ユーザの歩行ステップを検出(200-225、300-320)するステップを含んでいる。さらにその方法は、検出された歩行ステップのシーケンス(K−2、K−1、K)が予め定められた規則性の条件(230、320、345)を満足するか否かをチェックし、規則性の条件(230、320、345)が満足されるならば、有効な歩行ステップの総数(NVT、265、325、350)を更新し、規則性の条件(230、320、345)が満足されないならば、有効な歩行ステップの総数(NVT)の更新を阻止するステップを考慮する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、慣性センサの使用に基づく歩数計の制御方法および、前記方法を実行する歩数計に関する。
【背景技術】
【0002】
知られているように、歩数計はユーザにより携帯されることができる装置であり、したがって移動した距離を評価するために種々の歩行または走行動作期間中に、歩行ステップ数をカウントする機能を有する。与えられる指示は、所定の期間中に人により行われる運動活動を計量するために、例えば臨床目的、運動行為の査定のため、または単に個人的興味のために有効である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
歩数計の信頼性は、明白に種々の移動速度におけるユーザの歩行ステップの長さの評価における正確度だけではなく、足取りに相関しない事象、即ち歩行ステップにより発生する摂動に類似する摂動を認識して無視する感度にも依存する。例えば多くの歩数計は慣性センサの使用に基づいており、これは実質的に垂直軸に沿った加速度を検出し、加速度信号の時間プロットが所定の形態的特性を示したときに、歩行ステップがユーザにより行われていることを認識する。基本的に、歩数計が、第1のしきい値よりも大きい振幅を有する正の加速度ピーク(即ち上方向のピーク)と、それに続いて数十分の一秒の距離で、第2のしきい値よりも大きい振幅を有する負の加速度ピーク(下方向)を検出したとき、歩行ステップは認識される。しかしながら、歩行ステップの正確な認識を妨害する可能性のある多くのランダムな事象が存在する。衝撃またはその他の外部の振動およびユーザの所定の動作は、実際にいわゆる“誤った実在”になり得るものであり、即ち発生された形態特性が同等であるために実際にはそうでなくても歩行ステップとして認識される事象になる。このタイプの事象は、ユーザがたとえ歩行していなくても、どのような場合でも歩数計により検出されることのできる動作を行うときに、静止期間でも非常に頻繁に生じる。多くの場合には、“隔離された”歩行ステップまたは非常に簡単な歩行ステップのシーケンスも、これらは歩数計が使用されている運動行為の評価に関しては実際に無関係であるので、重要ではなく、好ましくは無視されるべきである。
【0004】
勿論、全てのこのような状態では、歩行ステップのカウントは完全に誤りがあることが証明されよう。
【0005】
本発明の目的は、前述の制限を克服する歩数計の制御方法と、歩数計を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、それぞれ請求項1および15に規定されているように、歩数計の制御方法と、歩数計が与えられる。
【0007】
本発明をさらに良好に理解するため、限定ではない例示によって、添付図面を参照して、その実施形態を説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
図1および2を参照すると、歩数計1はセルホン2のような携帯可能な電子装置内に一体化されている。歩数計1は、全てがカード9に収納されている慣性センサ3、非揮発性メモリモジュール(ここでは図示せず)が取り付けられている制御装置5、ディスプレイ6、通信インターフェース8を具備し、カード9はセルホン2のケース10内に固定されている。ここで説明する実施形態では、制御装置5は歩数計1の制御機能を実行し、さらに双方向通信およびセルホン2で考慮される機能の処理を統括する。同様に、ケース10の外部から可視であるように明白に配置されたディスプレイ6は、歩数計1に関する情報と、さらに一般的にはセルホン2の動作に関する情報との両者を表示するために使用されることができる。
【0009】
慣性センサ3はMEMS(マイクロ−電子機械システム)型の線形の加速度計であり、セルホン2のケース10の縦軸Lに実質的に平行な検出軸Zを有するように、カード9上に設けられている。実用において、セルホン2が表面上で静止しているとき、検出軸Zと縦軸Lは実質的に水平であり、セルホン2が処理されているとき、実質的に垂直であるか、垂直に関して僅かに傾いている。慣性センサ3は出力で、加速度信号Aを提供し、これは検出軸Zに沿って、慣性センサ3自体により受けた加速度と相関される。
【0010】
制御装置5は、例えばベルトまたは肩に歩数計1を装着または携帯しているユーザによって行われた有効な歩行ステップの総数NVTを識別し、カウントするために、以下詳細に説明するように、加速度信号Aを受信し処理する。さらに、制御装置5は、例えば動作中の平均速度およびエネルギ消費の評価のため等のような、ユーザにより移動された距離の評価およびその他のデータを生成するように構成されることが好ましい。生成されることが可能な有効な歩行ステップの総数NVTおよびその他のデータは、ディスプレイ6へ送信される。
【0011】
この場合に、通信インターフェース8は、セルホン2のトランシーバシステム(既知であり、図示しない)に基づいており、好ましくはコンピュータと通信するためのポート(これも既知であり、図示しない)を具備する。通信インターフェース8はしたがって、歩数計1により生成されたデータ(特に、少なくとも有効な歩行ステップの総数NVT)をダウンロードするためと、歩数計1の動作パラメータを制御装置5へアップロードするためとの両者に使用されることができる。
【0012】
制御装置5は図3乃至8を参照して示されるように、制御手順を実行するように構成されている。
【0013】
歩数計1のオン切換え時に、初期化ステップ(図3のブロック100)が実行され、ここでは有効な歩行ステップの総数NVT、以後有効な制御ステップ数NVCと呼ぶ第2のカウンタ、以後無効なステップ数NINVと呼ぶ第3のカウンタはゼロに設定される。
【0014】
制御装置5はその後、例えば25Hzの予め定められた周波数で、加速度信号Aのサンプリングに基づいて、第1のカウント手順(ブロック110)を実行する。このステップでは、ユーザは静止していると考えられ、制御装置5は加速度信号Aに基づいて、以後詳細に説明する予め定められた規則性の条件を満たしているような相互に近似している歩行ステップのシーケンスに対応する事象のシーケンスを認識するのを待機していると考えられている。ユーザの規則的な歩行に対応する歩行ステップのシーケンスが認識されたとき、第1のカウント手順は中断される。代わりに、認識された最後の歩行ステップから経過した時間間隔Tが、例えば10秒等の第1の時間しきい値TS1よりも大きいときに、第1のカウント手順は終了する。第1の計算手順から出るとき、規則性の条件を満たす歩行ステップのシーケンスが認識されるならば、制御装置5は状態フラグFSTを第1の値Cに設定し、第1の時間しきい値TS1が経過されたならば、第2の値PDに設定する。
【0015】
第1のカウント手順の終了時に、制御装置5は、状態フラグFSTが第1の値Cに設定されているか否か(ブロック120)、即ち歩行ステップのシーケンスが認識されたか否かをチェックする。認識されたならば(ブロック120からのイエス出力)、第2のカウント手順が実行される(ブロック130)。そのユーザは移動中であると考えられ、以後有効な歩行ステップの総数NVTと呼ぶ第1のカウンタは、歩行ステップに対応する事象が認識されるときはいつでもインクリメントされる。さらに制御装置5は、以下説明するように、歩行ステップのシーケンスの規則性をチェックし、移動の中断が検出されたとき、第2のカウント手順が終了され、第1のカウント手順の実行が再開される(ブロック110)。
【0016】
代わりに、状態フラグFSTが第2の値PDを有するならば、歩数計1は低消費待機状態(“パワーダウン”状態)に設定され、制御装置5は調査手順を実行する(ブロック140)。この調査手順は、加速度信号Aのd.c.成分の変化が検出されたとき、即ち歩数計1を含むセルホン2が動かされたときに終了する。制御装置5はその後、第1の計算手順の実行に戻る(ブロック110)。
【0017】
第1のカウント手順は図4に非常に詳細に示されている。
【0018】
最初に、制御装置5は加速度信号Aのサンプルを読取り(ブロック200)、その後、認識された最後の歩行ステップから経過した時間間隔Tが第1の時間しきい値TS1よりも高いか否か、即ち歩行ステップ認識が第1の時間しきい値TS1よりも長い期間では失敗か否かを評価する。第1の時間しきい値よりも高いならば(ブロック205からイエスへ出力)、状態フラグFSTは第2の値PDへ設定され(ブロック210)、第1のカウント手順は終了される(この結末では、図3のブロック120の状態フラグFSTにおける試験後、調査手順がブロック140で実行される)。そうでなければ(ブロック205からノーへ出力)、時間間隔Tの期間は、第1の時間しきい値TS1よりも短く、例えば3秒に等しい第2の時間しきい値TS2と比較される(ブロック215)。第2の時間しきい値TS2が超過されるならば(ブロック215からイエスへ出力)、有効な制御歩行ステップ数NVCと無効の歩行ステップ数NINVはゼロに設定され(ブロック220)、その後、歩行ステップ認識試験が実行される(ブロック225)。そうでなければ(ブロック215からノーへ出力)、制御装置5は直接、歩行ステップ認識試験を実行する。
【0019】
ブロック225の歩行ステップ認識試験では、制御装置5は加速度信号Aの時間プロット(即ち捕捉されたサンプルの連続)が予め定められた特性を有するか否かを検査する。特に(図5)、加速度信号Aが、正の加速度しきい値AZPよりも高い正のピークと、それに続く負の加速度しきい値AZNよりも小さい負のピークを示すならば、および、負のピークが予め定められた振幅の時間窓TW内に入り、さらに正のピーク後に予め定められた距離に位置されるならば、歩行ステップは認識される。
【0020】
制御装置5が歩行ステップに対応する事象を認識しないならば(ブロック225からノーへの出力)、加速度信号Aの新しいサンプルが読取られる(ブロック200)。その代わりに、歩行ステップ認識試験がパスされるならば(ブロック225からイエスへの出力)、制御装置5は個々の歩行ステップの規則性に対応して、第1の確認試験を実行する(ブロック230)。また図6を参照にすると、現在の歩行ステップKの期間ΔTが、直ぐ前に先行する歩行ステップK−1の期間ΔTK−1に関して実質的に均等であるときに、確認が生じる(一般的な歩行ステップの期間は、期間が評価された歩行ステップの認識の瞬間と、その直ぐ前に先行する歩行ステップの認識の瞬間との間で経過した時間により決定される)。さらに正確には、以下の方法で、現在の歩行ステップの認識の瞬間T(K)が、直ぐ前に先行するステップの認識の瞬間T(K−1)に関して規定される有効間隔TV内に入るならば、最後に認識された歩行ステップは有効にされる。
TV=[T(K−1)+ΔTK−1−TA,T(K−1)+ΔTK−1+TB]
ここで、TAとTBは有効間隔TVの相補的な部分である。ここで説明した本発明の実施形態では、相補的部分TAとTBは、一般的な現在の歩行ステップKに対して、以下のように規定される。
TA=ΔTK−1/2
TB=ΔTK−1
結果として、有効間隔はT(K−1)+ΔTK−1に関して非対称的であり、3ΔTK−1/2に等しい振幅を有する。しかしながら、有効間隔TVは対称的であり、異なる振幅を有することができる。実際に、認識された最後の歩行ステップは先に行われた最後の歩行ステップの周波数に匹敵することが確認される。
【0021】
検査が否定の結果を生じたならば(ブロック230からのノー出力)、無効の歩行ステップ数NINVは、例えば3の第1のプログラム可能なしきい値数NT1と比較される(ブロック240)前に、1だけインクリメントされる(ブロック235)。無効の歩行ステップ数NINVが第1のしきい値数NT1に到達したならば(ブロック240からのイエス出力)、無効の歩行ステップ数NINVと有効な制御歩行ステップ数NVCはゼロに設定され(ブロック245)、第1のカウント手順が再開され、加速度信号Aの新しいサンプルを読取る(ブロック200)。代わりに、無効の歩行ステップ数NINVが第1のしきい値数NT1よりも小さいならば(ブロック240からノーへの出力)、有効な制御歩行ステップ数NVCはデクリメントされる(ブロック250)。ここで説明する実施形態では、デクリメントは2に等しい。デクリメント演算の結果が負であるならば、有効な制御歩行ステップ数NVCは、ゼロに設定される(実際には、有効な制御歩行ステップ数NVCの更新された値はゼロと、2だけ減少される有効な制御歩行ステップ数NVCの先の値との間の小さい値に等しい)。その後、制御装置5は加速度信号Aの新しいサンプルを読取る(ブロック200)。
【0022】
ブロック230の第1の確認試験にパスしたならば、有効な制御歩行ステップ数NVCは1だけインクリメントされ(ブロック255)、その後、制御装置5は認識された歩行ステップのシーケンスの規則性について第1の試験を実行する(ブロック260)。第1の規則性試験は第1の規則性の条件に基づき、有効な制御歩行ステップ数NVCを、(例えば8の)第1のしきい値数NT1よりも大きい第2のプログラム可能なしきい値数NT2と比較する。実際に、第1のしきい値数NT1よりも小さい不規則な歩行ステップ数により散発的に最も中断されているが、実質的に均一な方法で隔てられている歩行ステップが非常に優勢であるとき、第1の規則性の条件は満たされている。有効な制御歩行ステップ数NVCが第2のしきい値数NT2よりも小さいならば(ブロック260からのノー出力)、第1の規則性の条件は満たされず、第1の規則性試験は、十分に規則的な歩行ステップに対応する歩行ステップのシーケンスがまだ識別されていないことを示し、有効な制御歩行ステップの総数NVTがインクリメントされずに、制御装置5は再度、加速度信号Aの新しいサンプルを獲得する(ブロック200)。そうでなければ(ブロック260からのイエス出力)、歩行ステップのシーケンスが認識され、これは第1の規則性の条件が満たされ、第1の規則性試験にパスする。無効な歩行ステップ数NINVと有効な制御歩行ステップ数NVCはゼロに設定され、一方、有効な歩行ステップの総数NVTは更新され、第2のしきい値数NT2に等しい値だけインクリメントされる(ブロック265)。さらに、状態フラグFSTがカウント値に設定され、第1のカウント手順は終了される.この場合、図3のブロック120の状態フラグについての試験後、第2のカウント手順が実行される(ブロック130)。
【0023】
実際に、第1のカウント手順により、歩数計1は第1の規則性の条件を満たす歩行ステップのシーケンスに対応する事象のシーケンスを待機した状態に保持されることが可能にされる。有効な制御歩行ステップ数NVCが第2のしきい値数NT2に到達するとき、歩行の規則性は十分であると考えられる。不規則であると考えられる事象または2つの連続する歩行ステップ間で非常に長い待機時間は、デクリメントを生じ(ブロック250)、または有効な制御歩行ステップ数NVCをゼロにし(ブロック220と245)、それによって第1のカウント手順はスタートから再開される。歩数計1が待機状態にある限り、ユーザは依然として静止していると考えているので、有効な歩行ステップの総数NVTはインクリメントされない。しかしながら、第1の規則性試験(ブロック260)にパスしたとき、有効な歩行ステップの総数NVTは、規則的と考えられるシーケンスを形成する(NT2に等しい)有効な歩行ステップを考慮するために直ちに更新される。隔離された事象および多くの場合、非常に短い歩行ステップのシーケンスはしたがって無視される利点があり、歩行ステップのカウントは(例えば不均等な加速度により、または移動の開始時におけるバランスが失われるため)隔離された不規則性の場合にもまた即座に再開する。
【0024】
第1のしきい値数NT1と第2のしきい値数NT2の値をプログラミングする可能性によって、歩行ステップの初期のシーケンスの認識における歩数計の感度の変更が可能にされる。例えばユーザは、ユーザがとにかく長時間に規則的な歩行ステップを維持することが可能ではないオフィスまたは部屋のような閉ざされた環境に長時間に滞在しているとき、第1のしきい値数NT1と第2のしきい値数NT2の低い値(例えばそれぞれ2と4)をプログラムすることができる。このようにして、歩行ステップの短いシーケンスが確認され、カウントされる。その代わりに、ランニングのようなより一定で激しい運動中、歩行は長時間一定であり、第1のしきい値数NT1と第2のしきい値数NT2は、(例えばそれぞれ4と12のような)高い値にプログラムされることができる。短く、行われる動作に関してそれ程重要ではない歩行ステップのシーケンスは無視されることができる。
【0025】
図7は、(図3のブロック130において実行される)第2のカウント手順を詳細に示している。
【0026】
制御装置5は最初に加速度信号Aのサンプルを読取り(ブロック300)、その後、認識された最後の歩行ステップから経過した時間間隔Tが第2の時間しきい値TS2よりも大きいか否かを評価する(ブロック305)。第2の時間しきい値よりも大きいならば(ブロック305からイエスへの出力)、無効の歩行ステップ数NINVと有効な制御歩行ステップ数NVCはゼロにされ(ブロック310)、第2のカウント手順は終了される。そうではないならば(ブロック305からノーへの出力)、図3のブロック225の歩行ステップ認識試験と同一の歩行ステップ認識試験が実行される(ブロック315)。またこの場合、歩行ステップ認識は加速度信号Aの正のピークと、それに続く時間窓TWに入る負のピークの検出に基づいている(図5参照)。
【0027】
制御装置5が歩行ステップに対応する事象を認識しないならば(ブロック315からのノー出力)、加速度信号Aの新しいサンプルが読取られる(ブロック300)。その代わりに、歩行ステップ認識試験にパスしたならば(ブロック315からのイエス出力)、個々の歩行ステップの規則性に対応して、第2の確認試験が行われる(ブロック320)。第2の確認試験は、図3のブロック230で行われた第1の確認試験によく似ている。また、この場合、現在の歩行ステップの認識の瞬間T(K)が先に規定された有効な間隔TV内に入るならば、有効とされる。実際に、認識される最後の歩行ステップが前に行われた最後の歩行ステップの周波数に匹敵することが確認されている。
【0028】
チェックが肯定の結果を生んだならば(ブロック320のイエス出力)、制御装置5は有効な歩行ステップの総数NVTと、有効な制御歩行ステップ数NVCとを更新し、これらを1だけインクリメントする(ブロック325)。有効な制御歩行ステップ数NVCは、ここで説明しているこの実施形態では第2のしきい値数NT2に等しい第3のプログラム可能なしきい値数NT3と比較される(ブロック330)。有効な制御歩行ステップ数NVCが第2のしきい値数NT2よりも小さいならば(ブロック330からのノー出力)、制御装置5は再度、直接的に加速度信号Aの新しいサンプルを獲得し(ブロック300)、一方、そうでなければ(ブロック330からのイエス出力)、無効な歩行ステップ数NINVと有効な制御歩行ステップ数NVCは、新しいサンプルAを獲得する前に、ゼロに設定される(ブロック335)。
【0029】
一方、ブロック320の第2の確認検査が否定であるならば、無効の歩行ステップ数NINVは、本発明の実施形態では第1のしきい値数NT1に等しい第4のプログラム可能なしきい値数NT4と比較される(ブロック345)前に、1だけインクリメントされる(ブロック340)。無効の歩行ステップ数NINVが第4のしきい値数NT4よりも小さいならば(ブロック345からのノー出力)、有効な制御歩行ステップ数NVCはここでは2だけデクリメントされる(ブロック350)。またこの場合に、デクリメント演算の結果が負であるならば、有効な制御歩行ステップ数NVCは、ゼロに設定される(有効な制御歩行ステップ数NVCの更新された値はゼロと、2だけ減少される有効な制御歩行ステップ数NVCの先の値との間の小さい値に等しい)。その後、制御装置5は加速度信号Aの新しいサンプルを読取る(ブロック300)。無効の歩行ステップ数NINVが第4のしきい値数NT4に到達するならば(ブロック345からのイエス出力)、無効の歩行ステップ数NINVと有効な制御歩行ステップ数NVCはゼロに設定され(ブロック355)、第2のカウント手順は終了される。
【0030】
実際には、第2のカウント手順は、第2の規則性の条件に基づいており、これは実質的な均等な方法で隔てられた歩行ステップのシーケンス内で、散在的な不規則の歩行ステップが生じる限り、満たされる。さらに正確に説明すると、第2の規則性の条件は、無効の歩行ステップ数NINVが第4のしきい値数NT4よりも小さい限り満足される。結果として、第2のカウント手順は、ユーザの歩行ステップが規則的に維持される限り、有効な制御歩行ステップ総数NVTを更新し、インクリメントし続ける。可能な隔離された不規則性は無視され、カウントの更新を中断または中止せず、これは代わりに、延期された停止が生じるとき、または移動における大きな不連続性が存在する場合にのみ中断される。しかしながら、歩行が再度規則的になったならば、第1のカウント手順が再度実行されるので、異なるリズムであってさえも、カウントは即座に再開される。これは重要な歩行ステップ数が無視されることを阻止する。
【0031】
図3のブロック140で実行される調査手順を、図8を参照して詳細に説明する。
【0032】
調査手順が開始されるとき、加速度信号Aの現在の平均値AZMは制御装置5の非揮発性メモリモジュール(図示せず)に記憶される(ブロック400)。現在の平均値AZMは加速度信号AのDC成分の評価を表し、これは歩数計1を含むセルホン2が静止しているとき、検出軸Zに沿った重力の加速度の影響により実質的に決定される。実際に、現在の平均値AZMはセルホン2および歩数計1の位置の評価を与える。
【0033】
現在の平均値AZMの記憶後、歩数計1は低消費動作状態(パワーダウン状態)に設定され、ここでは少なくとも慣性センサ3が不活性である(ブロック410)。
【0034】
例えば10秒間の待機サイクルがその後、実行され(ブロック420)、その後、歩数計1の全ての機能が再度付勢される(“パワーオン”、ブロック430)。
【0035】
制御装置5は慣性センサ3から、更新された平均値AZM’を評価するのに十分な加速度信号Aのサンプル数を獲得し(ブロック440)、これはその後、先に記憶された現在の平均値AZMと比較される(ブロック450)。
【0036】
更新された平均値AZM’が現在の平均値AZMから離れているならば(ブロック450からノー出力)、調査手順は中断され、図3のブロック110に示されている第1のカウント手順が実行される。一方、更新された平均値AZM’が実質的に現在の平均値AZMに関して変化されないならば(ブロック450からのイエス出力)、調査手順は進行し、歩数計1は再度低消費動作状態に設定される(ブロック410)。
【0037】
明らかに、調査手順の使用によって、歩数計1が使用されていないとき電力消費を劇的に減少させることができ、その自律性を増加することができる。説明した実施形態のように、歩数計1がリソース、例えば制御装置5の使用を共有する携帯可能な装置中に一体化されるならば、調査手順はさらに利点を伴う。実際に、歩数計1にリンクされる機能の消勢は、アクチブ機能により使用されるため、共有されたリソースを解除してフリーにし、それによって、より効率的な方法でリソース自体にアクセスできる。
【0038】
したがって、添付の特許請求の範囲に規定されている本発明の技術的範囲を逸脱せずに、変更および変形がここで説明した装置に対して行われることができることは明白である。
【0039】
特に、説明された制御手順は、独立型の歩数計または、さらに別の携帯可能な装置中に一体化されるが、独立型で共有されないリソースを有する歩数計においても有効に使用されることができる。
【0040】
さらに、認識される歩行ステップのカウントを可能にするか阻止するために使用される規則性の条件は説明した歩数計とは異なることができる.例えば、歩行ステップのシーケンスは、認識されるが確認されていない可能な歩行ステップが、少なくとも1つの予め定められた数の連続的に有効にされた歩行ステップによって分離されるとき、規則的であると考えられることができる。確認された歩行ステップが、歩行ステップのシーケンスの少なくとも所定の割合であるとき、予め定められた数の確認されたかまたは確認されない歩行ステップ(固定した長さの連続)は規則的であると考えることができる。
【0041】
最後に、慣性センサは2または3個の検出軸を有するタイプであることができる。この場合、歩行ステップの認識は垂直に最も近い検出軸に対応している加速度信号を選択することによって行われることが有効である。使用される検出軸が垂直に近い程、実際に、歩行ステップの認識に対して有効な信号の振幅は大きくなる。検出軸はそれぞれの加速度信号のDC成分値に基づいて選択され、これは重力の加速度の影響と相関される。垂直に最も近い検出軸は、その軸に沿って重力の加速度の影響が大きくなる軸である。歩数計はその後、それがどのように方向付けされるかには関係なく、使用されることができる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明による歩数計を含む携帯可能な電子装置の簡単な部分的に断面で示された斜視図。
【図2】図1の歩数計の簡単なブロック図。
【図3】図1および2の歩数計により実行される本発明による制御方法に対応するフローチャート。
【図4】図3の方法の第1のステップに対応するさらに詳細なフローチャート。
【図5】本発明による方法で使用される第1の量を表すグラフ。
【図6】本発明による方法で使用される第2の量を表すグラフ。
【図7】図3の方法の第2のステップに対応するさらに詳細なフローチャート。
【図8】図3の方法の第3のステップに対応するさらに詳細なフローチャート。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
歩数計のユーザの動きに相関される信号(A)を発生し、
前記信号(A)に基づいて、ユーザの歩行ステップを検出する(200-225、300-320)歩数計の制御方法において、
検出された歩行ステップのシーケンス(K−2、K−1、K)が予め定められた規則性の条件を満たすか否かをチェックし(230、320、345)、
前記規則性の条件(230、320、345)が満たされるならば、有効な歩行ステップの総数を更新し(NVT、265、325、350)、
前記規則性の条件(230、320、345)が満たされないならば、有効な歩行ステップの総数(NVT)の更新が阻止されるステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
検出された歩行ステップのシーケンス(K−2、K−1、K)が予め定められた規則性の条件を満たすか否かをチェックする(230、320、345)前記ステップは、
第1の動作条件(110)において、第1の規則性の条件が満たされるか否かをチェックし(230)、
第2の動作条件(130)において、第2の規則性の条件が満たされるか否かをチェックする(345)ステップを含んでいる請求項1記載の方法。
【請求項3】
第1の規則性の条件が満たされるか否かをチェックする(230)前記ステップ期間中に、前記有効な歩行ステップの総数(NVT)の更新が阻止される請求項2記載の方法。
【請求項4】
第2の規則性の条件が満たされるか否かをチェックする(345)前記ステップ期間中に、前記有効な歩行ステップの総数(NVT)の更新が可能にされる請求項2または3記載の方法。
【請求項5】
第1の規則性の条件が満たされるか否かをチェックする(230)前記ステップは、
現在の検出された歩行ステップ(K)の第1の確認試験(230)を実行し、
前記第1の確認試験(230)に基づいて、前記現在の検出された歩行ステップ(K)が有効と確認されるならば(255)、有効制御歩行ステップ数(NIVC)をインクリメントし、
前記第1の確認試験(230)に基づいて、前記現在の検出された歩行ステップ(K)が有効と確認されないならば(255)、前記有効制御歩行ステップ数(NVC)をデクリメントするステップを含んでいる請求項3記載の方法。
【請求項6】
前記現在の検出された歩行ステップ(K)の前記第1の確認試験(230)を実行する前記ステップは、前記現在の検出された歩行ステップ(K)の前記第1の期間(ΔT)が、直ぐ前に先行する検出された歩行ステップ(K−1)の第2の期間(ΔTK−1)に関して均等であるか否かを評価するステップを含んでいる請求項5記載の方法。
【請求項7】
前記第1の確認試験(230)は、以下の式により、現在の歩行ステップの認識の瞬間T(K)が、直ぐ前に先行する歩行ステップの認識の瞬間T(K−1)に関して規定された有効瞬間間隔(TV)内に入るとき、肯定的な結果を生成し、
TV=[T(K−1)+ΔTK−1−TA,T(K−1)+ΔTK−1+TB]
ここでΔTK−1は前記第2の期間であり、TAおよびTBは前記有効時間間隔(TV)の補足部分である請求項6記載の方法。
【請求項8】
前記第1の規則性の条件が満たされるか否かをチェックする(230)前記ステップは、前記無効の歩行ステップ数(NINV)を第1のしきい値数(NT1)と比較し、前記有効な制御歩行ステップ数(NVC)を第2のしきい値数(NT2)と比較するステップを含んでいる請求項5乃至7のいずれか1項記載の方法。
【請求項9】
前記有効な制御歩行ステップ数(NVC)が前記第2のしきい値数(NT2)に等しい場合に、第1の規則性の条件(230)が満足される請求項8記載の方法。
【請求項10】
前記第2の規則性の条件が満たされるか否かをチェックする(345)前記ステップは、
前記現在の検出された歩行ステップ(K)の第2の確認試験(320)を実行し、
前記第2の確認試験(320)に基づいて、前記現在の検出された歩行ステップ(K)が有効と確認されるならば(325)、前記有効制御歩行ステップ数(NVC)と有効な歩行ステップの総数(NVT)をインクリメントし、
前記第2の確認試験(320)に基づいて、前記現在の検出された歩行ステップ(K)が有効と確認されないならば(320)、前記無効の歩行ステップ数(NINV)をインクリメントするステップを含んでいる請求項4乃至9のいずれか1項記載の方法。
【請求項11】
前記第2の規則性の条件が満足されるか否かをチェックする(345)前記ステップは、前記有効な制御歩行ステップ数(NVC)を第3のしきい値数(NT3)と比較し、前記無効の歩行ステップ数(NINV)を第4のしきい値数(NT4)と比較するステップを含んでいる請求項10記載の方法。
【請求項12】
前記第2の規則性の条件(345)は、前記無効の歩行ステップ数(NINV)が前記第4のしきい値数(NT4)よりも小さい場合に、満足される請求項11記載の方法。
【請求項13】
前記第2の確認試験(320)に基づいて、前記現在の検出された歩行ステップ(K)が有効と確認されず(340)、前記無効の歩行ステップ数(NINV)が前記第4のしきい値数(NT4)よりも小さいならば、前記有効な歩行ステップの総数(NVT)をインクリメントし、前記有効な制御歩行ステップ数(NVC)をデクリメントするステップを含んでいる請求項12記載の方法。
【請求項14】
前記歩数計(1)を第3の動作条件(140)に設定するステップを含み、前記信号(A)に基づいて、ユーザの歩行ステップを検出する前記ステップ(200-225)が予め設定された時間しきい値(TS1)よりも長い期間ではないならば、前記歩数計(1)は少なくとも部分的に消勢される請求項1乃至13のいずれか1項記載の方法。
【請求項15】
慣性センサ(3)と、前記慣性センサ(3)に関連する制御装置(5)を具備し、前記制御装置(5)は請求項1乃至14のいずれか1項記載の方法による制御方法を実行するように構成されていることを特徴とする歩数計。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−115243(P2007−115243A)
【公開日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2006−272099(P2006−272099)
【出願日】平成18年10月3日(2006.10.3)
【出願人】(598089672)エスティーミクロエレクトロニクス・エス・アール・エル (2)
【氏名又は名称原語表記】STMicroelectronics S.r.l.
【Fターム(参考)】