説明

懸濁液中のバイオマテリアルの1以上の特性を測定するデバイス、方法及びシステム

【課題】
【解決手段】本発明は、液体キャリア中に分散する粒子状バイオマテリアルを含む懸濁液の1以上の超音波パラメータを測定するシステムであって、粒子状バイオマテリアルを処理するバイオプロセッサと、超音波プローブとリフレクタとを備える浸漬可能デバイスと、プローブ面と反射面との間の位置に空間を置いてプローブとリフレクタとを固定するハウジングであって、懸濁液がプローブ面と反射面との間の空間に流入できる十分なサイズの開口部を内部に含むハウジングと、超音波発生器/受信器と、信号処理デバイスとを備えたシステムを提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に、懸濁液の1以上の特性を測定するデバイス、方法及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
懸濁液の濃度は、微生物細胞の成長プロセスなどの生物学的プロセスの多くの重要なパラメータの1つである。現在の濃度測定はオフラインで行われ、時間がかかる。長年に亘って光屈折率を用いてインラインの濃度測定が実施されてきた。しかし、これらの光学的システムのほとんどは、低濃度(通常は10%未満)で、比較的透明な懸濁液しか測定できない。光屈折率を利用した方法では、濃度が高い場合(通常は10%以上)、光学的測定を行う前にユーザーが懸濁液を希釈する必要があり、それによって測定プロセスに付加的な誤差が生じる。屈折率を利用した方法は更に、不透明又はほぼ不透明の液体を透過することができない。高濃度で不透明な懸濁液サンプルの場合、現在の光学的方法では不十分である。また、光学デバイスにはバイオファウリングが伴う。例えば、光学デバイス上での微生物成長によってバイオリアクターや発酵容器内でこれらのデバイスを使用することが妨げられ、又はその他の制限が生ずる。
【0003】
この20年来、様々な産業用途向けに懸濁液の濃度測定のための多くの超音波測定機器が開発されてきた。その中には、元の容器から懸濁液サンプルを取り出すオフライン測定が必要なものもある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第7220229号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
現在の方法の限界は、懸濁液濃度センサ、特にサンプルが不透明であっても比較的長距離にわたって低い減衰で伝搬可能なセンサが必要であることを示している。理想的なセンサは、懸濁液濃度を判定する際に迅速で、頑強且つ信頼性が高い必要がある。インライン(リアルタイム)の懸濁液濃度センサによって更に、自動化された測定が可能になり、それによって作業の流れが簡易になり、人的エラーが減少し、大量生産の反復性と費用効果が高まるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の超音波デバイス、方法及びシステムは従来の方法よりも正確且つ迅速で効率良く、自動化及び携帯化に容易に適応できる。これらのデバイス、方法及びシステムは、薬剤、バイオ医学、化学、石油化学及び食品加工産業などの様々な加工産業で有用である。これらは例えば、液体又は懸濁液を特徴付けて、測定又は分析する必要があるクロマトグラフィーカラム充填、醸造、発酵、食品製造、精製及びバイオプロセシングを含むが限定されない用途に容易に適用できる。
【0007】
デバイス、方法及びシステムの1以上の実施形態は、二段階のリフレクタシステムを有する超音波デバイスを備え、これはある実施形態では、緩衝液のみに基づいて、及び/又は均一な懸濁液測定に基づいて、速度と減衰の一方又は双方を較正するように構成されている。方法及びシステムの1以上の実施形態は更に、デュアルデバイスと、デュアルデバイスシステムを組み込むように構成されたデータ分析プロセッサとを使用しても良い。これらのデバイス、方法及びシステムはインライン又はオフラインでの使用に適応でき、フロースルーシステム及び/又は超音波デバイスが懸濁液処理システムに組み込まれたシステムに適応できる。濃度、密度及び沈降速度を含むが限定されない任意の数の多様なパラメータを測定できる。
【0008】
本発明の上記及びその他の態様、側面及び利点は、添付図面を参照して以下の詳細な説明を読むことによってより明解に理解されよう。図面全体を通して、同じ符号は同じ部品を表している。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の浸漬可能デバイスの実施形態の概略図である。
【図2】本発明のシステムの実施形態の概略図である。
【図3a】少なくとも2つの反射面を有する浸漬可能デバイスの実施形態の概略図である。
【図3b】少なくとも2つの反射面を有する浸漬可能デバイスの実施形態の概略図である。
【図4】2面設計のリフレクタを使用して形成される波形の実施形態のグラフである。
【図5】撹拌棒を使用する場合の変動性レベルの例を示すグラフである。
【図6】1組のQFFサンプルでの懸濁速度対懸濁%を示すグラフである。
【図7a】液体キャリア間の潜在的速度差の例を示すグラフである。
【図7b】液体キャリア間の潜在的速度差の例を示すグラフである。
【図8】異なる4つのビーズ材料での修正された懸濁速度対懸濁%を示すグラフである。
【図9】速度測定に対する温度変動の影響を示すグラフである。
【図10】速度対濃度及び温度の3D回帰プロットである。
【図11】本発明の携帯デバイスの実施形態の概略図である。
【図12】本発明の携帯デバイスの実施形態の斜視図である。
【図13】本発明のフロースルー超音波測定システムの実施形態の概略図である。
【図14】本発明の組み込み型超音波測定システムの実施形態の概略図である。
【図15】液体媒体中に分散した細胞を含む細胞培養の超音波パラメータを測定するシステムの実施形態を使用した結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
特許請求の範囲に記載の発明の対象をより明解に説明し、指摘するため、以下の説明で用いられる特定の用語を以下のように定義する。
【0011】
本明細書で用いる用語「バイオマテリアル」とは、生物源、又は生物源から得られる物質である。生物源には例えば、単細胞又は多細胞組織、菌類、植物及び昆虫や人間を含む哺乳動物を含むがこれに限定されない動物、又はそれから分離された体液(例えば血液、血漿、リンパ液、又は尿)、器官、組織、細胞画分、細胞、細胞下物質及び核物質を含むがこれに限定されないものから得られた物質が含まれる。更なる非限定的な例として、生物源には、モノクローナル抗体の製造、GMP接種材料の増殖、昆虫細胞培養、遺伝子治療、かん流、E.コリ増殖、タンパク質発現、タンパク質増幅、植物細胞培養、病原体増殖、細胞治療、バクテリア製造及びアデノウイルス製造が含まれる。
【0012】
本明細書で用いられる用語「液体キャリア」とは、粒子がその中に懸濁し、又はその他の状態で含まれている液体の濃度、粘度、又は化学的、生物学的な成分が限定されないあらゆる液体のことであり、いずれかの特定の成分又は材料に限定されない。この用語は本明細書の説明目的で、液体を粒子又粒子状物質と区別するためにのみ用いられる。粒子と粒子状物質という用語は置き換えることができ、限定的なものではなく、少なくとも一次的に液体中に懸濁可能ないずれの粒子又は物質をも含む。
【0013】
本明細書で用いる用語「バイオプロセッサ」とは、バイオマテリアルを測定、増殖、培養、分離、特徴付け、又はその他の処理をするために使用される、自動又は手動のいずれかのデバイス又はシステムである。
【0014】
液体キャリア中に分散する粒子を含む懸濁液の1以上の超音波パレメータを測定するシステムの1以上の実施形態は、基本的に1以上の浸漬可能デバイスを備え、浸漬可能デバイスは、超音波を送受信するように構成され、プローブ面を有する1以上の超音波プローブと、超音波をプローブ面に反射させるように配置された少なくとも1つの反射面を有する1以上のリフレクタと、懸濁液がプローブ面と反射面との間の空間に流入できる十分なサイズの開口部をハウジング内に設けた、プローブ面と反射面との間の位置に空間を置いてプローブとリフレクタとを固定する1以上のハウジングと、浸漬可能デバイスと通信して浸漬可能デバイスへと、又、浸漬可能デバイスから超音波を送受信する超音波発生器/受信器と、超音波発生器/受信器と通信して超音波を受信し、処理する信号処理デバイスとを備える。
【0015】
リフレクタとプローブとの間の距離を自己較正するため、1以上の実施形態は、プローブ面から交互の距離を隔てて配置された少なくとも2つの反射面を有するリフレクタを備える。液体キャリア及び/又は懸濁液を較正するため、システムは更に2つ以上の浸漬可能デバイスを備えても良く、その少なくとも1つは、液体キャリアが較正用浸漬可能デバイスの空間に流入することを許容する一方で、粒子が空間に流入することを防止するように構成されたフィルタを更に備えることによって、液体キャリアを較正するように構成されている。
【0016】
1以上のシステムは、液体キャリア中に分散する複数の粒子を含む懸濁液の1以上の超音波パラメータを測定する方法であって、a)1以上の浸漬可能デバイスを懸濁液中に投入するステップと、b)プローブからプローブ面と反射面との間の空間に流入する懸濁液を通して、超音波の送信を開始するステップと、c)プローブ面で反射した超音波を処理して、限定されないが超音波速度等の懸濁液の1以上の超音波パラメータを判定するステップとを含む方法を利用する。方法の1以上の実施形態は、好ましくは懸濁液の実質的な同時温度を判定するステップを含み、超音波速度は部分的に懸濁液の温度によって判定され、処理するステップは更に、少なくとも部分的に超音波速度に基づいて、懸濁液中の粒子の濃度測定値を判定するステップを含む。
【0017】
システムの一実施形態は、2つの超音波プローブと、2つのリフレクタブロックと、信号発生器/受信器及び1以上の処理デバイスと通信し、プローブとリフレクタとを相対位置に固定するハウジングとを備える。このシステムは、それに限定されないが、様々なバイオマテリアルを培養する固定バイオリアクター及びウエーブバイオリアクター等の様々な処理システムの較正部品として構成されても良い。
【0018】
プローブ/リフレクタの対(本明細書では浸漬可能デバイスとも呼ばれる)のうちの一方は懸濁液に直接浸漬され、プローブ/リフレクタの対のうちの他方はフィルタを備え、このフィルタは、培養媒体等の液体キャリアだけがプローブ面と反射面との間を流れることを可能にし、懸濁液中に浸漬した場合に粒子状物質の流入を防止する。懸濁液中の超音波速度、減衰及び反射/透過率を測定することによって、懸濁液中の粒子濃度を±1%の精度で判定できる。浸漬可能なデュアルデバイスシステムを使用すれば、培養媒体の変動をデータ分析アルゴリズムから排除できる。浸水可能デバイスは更に、2つ又はそれ以上の交互配置された反射面を備えていても良く、それによってプローブとリフレクタとの距離変動が縮小されて超音波測定の精度が高まる。
【0019】
本発明の1以上の実施形態を組み込むことができる非限定的なシステムの一例は、ウエーブバイオリアクターである。ウエーブバイオリアクターは一般に、培養媒体が部分的に充填され、残されたヘッド部の空間に所定のガス混合物が充填される使い捨てのプラスチックバッグを備える。そしてバッグがウエーブデバイス内に置かれ、このデバイスはバッグ内の液体に波動を生じさせて、媒体、緩衝液、及びグルコースストック溶液等の細胞養分を含むがそれに限定されない様々な成分を含み得る培養媒体又は液体キャリア中に不要な気泡又は空洞を生ずることなくバッグの成分を混合する。
【0020】
デバイス内の波動は、単一の軸を中心に前後に揺動する単軸ロッカ、又は複数の軸を中心に傾倒する多軸傾倒ロッカを含むがこれらに限定されない様々な手段を用いて発生させることができる。波動の作用は、液体の容積、回転又は傾倒の角度、及び1分当たりの揺動速度に左右される。これらのバイオリアクター中の液体の容積は、0.1〜500リットルの範囲である。(ウエーブバイオリアクター、ジェネラル・エレクトリック社)
これらのデバイスには、pHや温度等の媒体の特性を測定するためのある非侵襲的なプローブが備えられている。デバイスには更に、殺菌された物質をバッグ内に投入し、又はサンプルを取り出すための出入り口が設けられている。本発明の1以上の実施形態の浸漬可能デバイスは、このようなプロセスで使用するように容易に適応できる。例えば、浸漬可能な超音波デバイスを既存の出入り口を通して懸濁液中に投入しても良く、又は浸漬可能デバイス専用の出入り口を通して投入しても良い。このようなバイオリアクター内で1以上の実施形態のデバイス、方法及びシステムを使用することによって、1以上の有効な処理、かん流又は細胞収穫が可能になる。培養媒体中の細胞密度の測定に加え、超音波デバイスは、バイオリアクター処理の効率を更に高めるために、乳酸又は細胞増殖に有害なその他の生成物の累積を測定するのに使用できる。
【0021】
システム及び方法の1以上の実施形態で用いられるデータ分析アルゴリズムは、媒体及び/又は緩衝液のみに基づいて、及び均一な懸濁液測定に基づいて、較正された超音波パラメータを計算するように構成される。パラメータを較正するこのプロセスは、液体キャリアの変化が測定精度に及ぼす影響を大幅に低減する。デュアルプローブの設計によって、時間がかかる沈降ステップを必要とせずに一回の測定で培養媒体のみ、及び懸濁液の超音波パラメータの双方を得ることに役立つ。TOFを正確に計算するために、データ分析ステップにデータ補間及び相関を組み込むこともできる。
【0022】
懸濁液の濃度に関する超音波パラメータには一般に、速度、減衰、反射率及び共振周波数が含まれるが、後者はインライン測定システムには用いられない。これらのパラメータのうち、速度は懸濁液濃度の変化(1%未満)に極めて敏感であるため、1以上の例示的実施形態で用いられる。
【0023】
速度は、位相速度と群速度とに分けることができる。位相速度は音波伝搬経路に沿った位相変化の速度であり、一方、群速度は音波の波形移動速度であり、エネルギ速度とも呼ばれる。伝搬媒体が非分散媒体である場合は、位相速度と群速度は同じである。細胞増殖媒体が分散媒体である場合は、位相速度と群速度は周波数が異なれば異なる。媒体の分散は懸濁液ビーズのサイズ分布に関連する。ほとんどの懸濁液濃度測定は単一の周波数(例えば1Mhz)で行われ、次いで群速度が測定される。説明目的のためだけに、又、本発明の範囲を限定する意図ではなく、実施形態の例を説明する際に用いられる速度とは群速度のことである。
【0024】
音波伝搬距離が判明していれば、時間差測定に基づいて速度を計算できる。広範に採用されている時間測定方法は、ゼロ交差、ピーク振幅、及び相互相関の3つである。ゼロ交差は音波が正又は負から、又はその逆から最初にゼロに交差する時間を探知する。ゼロ交差は、波形補間及び求根アルゴリズムによって効果的に実施できる。2つのゼロ交差ポイントが時間差を与え、そこから速度を計算できる。ピーク振幅法は時間に対する少なくとも2つのピークを測定して時間差を計算し、そこから速度を測定できる。相互相関法は少なくとも2つの波形の1つをシフトし、次いで2つの波形間の類似性を比較する。相関が最大に達すると、その時点が2つの波形間の時間差である。ゼロ交差は、精度が高く波形歪みがある場合に強靭であるため、1以上の実施形態で部分的に用いられる。
【0025】
超音波プローブから放射される音場は近距離音場と遠距離音場とに分けられる。近距離音場では、音波の振幅は劇的に変化し、一方、位相は比較的正確である(0.005%未満の誤差)。遠距離音場では、振幅はなだらかな単調減衰を伴って次第に変化し、波の回折により位相誤差が増大する。時間又は速度測定に最適な位置は近距離音場で、減衰測定に最適な位置は遠距離音場である。
【0026】
通常はdB/m又はネーパー/m(1Np/m=8.686dB/m)で測定される波形減衰率に基づいて減衰を測定できる。懸濁液の濃度が異なると波形減衰は異なる。測定された減衰は減衰全体を表し、それにはプローブ(及び導波棒がプローブに取り付けられている場合は導波棒)、プローブと懸濁液との境界面、懸濁液、及びリフレクタが使用される場合は遠距離音場回折及びプレート反射に関連する減衰が含まれる。超音波減衰測定を含む方法及びシステムを最適化するため、一回の反射ではなく複数回の反射が記録されることが好ましい。そのために、プローブの表面とリフレクタとの距離を厳密に制御する必要がある。
【0027】
反射率は入射波と、音響インピーダンスが異なる2つの材料の境界面で反射した音波との振幅比である。音響インピーダンスは、密度と、音波がそれを通って伝搬する材料内での超音波速度との乗算として定義される。懸濁液の濃度が変化すると、それに応じて懸濁液濃度と超音波速度の双方が変化する。
【0028】
共振周波数法は、振動管内の容積が判明している場合の液体重量の変化による振動周波数の変化を測定する。そして密度を既知の温度で濃度に変換できる。これはオフライン測定技術であるため、一般にインラインの懸濁液濃度測定には適さない。速度は感度と精度が高いので1以上の実施形態で用いられる。
【0029】
速度測定ではパルス波又は連続波を用いても良い。パルス波を用いる方法では、単一の超音波トランスデューサが送信機並びに受信機として機能するパルス−エコー法、及び/又は一方が送信機であり、他方が受信機である2つの超音波トランスデューサが使用される透過法を利用しても良い。連続波を用いる方法は、サンプルからの複数の反射による固定波の干渉又は生成を利用しても良く、サンプルは2つのトランスデューサの間に配置され、又はトランスデューサとリフレクタとの間に配置される。高い速度精度を達成するため、1以上の実施形態ではパルス−エコー法はゼロ交差と組み合わされる。
【0030】
本発明の浸漬可能デバイスの一実施形態は、全体をデバイス10として図1に示され、記載されている。デバイス10は基本的に、空間24を有するハウジング12と、プローブ面16を有するプローブ14と、反射面20を有するリフレクタ18と、円錐部22とを備える。ハウジング12は、細胞培養懸濁液等の懸濁液がプローブ面16と反射面20との間の空間24内に流れて、プローブ14を通って放射される超音波が空間24内の懸濁液を通過し、反射面20から反射してプローブ面16に戻ることができるようにするため、ハウジング内の、又はハウジングを貫く1以上の開口部26を設ける。この音波経路は、全体を音波伝搬経路Aとして図1に示されている。浸漬可能デバイスの設計と構造は、浸漬可能デバイスの必要な要素を備えていれば、当業者の必要性に応じて、特定の用途に適応するように修正しても良い。
【0031】
リフレクタ18は一端に研磨された平坦面を、他端には円錐部22を有する。平坦面は超音波を反射するために利用され、円錐の形状は他端からの反射を低減する役割を果たす。プローブとリフレクタの双方は、ハウジング12によって所定位置に固定される。デバイスは懸濁液に直に浸漬できる。超音波はプローブ面から放射され、懸濁液を通って伝搬し、反射面によってプローブへと反射される。
【0032】
本発明のシステムの実施形態は全体を図2でシステム50と称し、図示されている。システム50は基本的に、超音波を浸漬可能デバイスに送信し、又、浸漬可能デバイスから受信するために浸漬可能デバイス54と通信する超音波発生器/受信器52(例えば、Panametricのパルサ・レシーバ モデル5072PR)と、超音波発生器/受信器からの超音波を受信し、処理するために超音波発生器と通信する信号処理デバイス56とを備える。システム50は更に、波形信号を表示するためのオシロスコープ58を備えていても良い。
【0033】
本発明のシステムの別の実施形態は全体を図13でシステム140と称し、図示されている。システム140は基本的に、液体キャリア中に分散する粒子を含む懸濁液の1以上の超音波パラメータを測定するフロースルー装置142を備え、これは基本的に、懸濁液が流れることができる入口146と出口148とを有する容器144と、懸濁液が容器を通って流れる際に懸濁液を通る超音波を送受信するように構成された1以上の超音波プローブ150と、懸濁液を通る超音波をプローブ面に反射させるようにプローブ面から交互の距離を隔てた位置に配置された少なくとも2つの反射面152と154とを有する1以上のリフレクタと、懸濁液がプローブ面と反射面との間を流れることができるようにプローブ面と反射面との間の位置に空間を置いてプローブとリフレクタとを固定する1以上の固定具又はハウジング156とを備える。システム140は更に、スイッチ158と160とを備えていても良い。システム140によって、懸濁液容器からのスラリーが測定システムに流入することが可能になる。システム140は更に、超音波をプローブ150に送信し、又、プローブ150から受信する超音波発生器/受信器162と、超音波発生器/受信器からの超音波を受信し、処理するために超音波発生器と通信する信号処理デバイス164と、オシロスコープ166と、超音波信号を処理し、分析するプロセッサ168とを備える。
【0034】
本発明のシステムの別の実施形態は全体を図14でシステム180と称し、図示されている。システム180は、バイオプロセッサ182に組み込まれた超音波懸濁液測定システムを備える。システム180は基本的に、バイオプロセッサ182内に1以上の超音波デバイス186を保持し、支持するアーム184を備える。デバイス186は、図14には縮尺通りには示されておらず、デバイス186の構成部品を示すために拡大されている。デバイス186は、タンク(バイオプロセッサ182)内の懸濁液を通る超音波を送受信するためのプローブ188と、懸濁液を通る超音波をプローブ面に反射させるようにプローブ面から交互の距離を隔てて配置された少なくとも2つの反射面190と192とを有する1以上のリフレクタと、懸濁液がプローブ面と反射面との間を流れることができるようにプローブ面と反射面との間に空間を有する、プローブとリフレクタとを所定位置に支持し、固定するハウジング194とを備える。
【0035】
システム180は更に、超音波をプローブ180に送信し、又、プローブ180から受信する超音波発生器/受信器192と、超音波発生器/受信器からの超音波を受信し、処理するために超音波発生器と通信する信号処理デバイスと、オシロスコープと、超音波を処理し、分析するプロセッサとを備える。デバイス186はケーブルを通して、又はワイヤレスでデバイス192と通信できる。
【0036】
図1及び図2に示した実施形態等の単一面リフレクタを使用して正確な測定を達成するため、プローブとリフレクタとの距離は構造的に厳密に制御されるか、又は同時測定値又は変数として信号分析に組み入れる必要がある。例えば、リフレクタとプローブ面との距離が振動やスリップにより変化した場合は、距離測定を行い、分析に組み入れる必要がある。
【0037】
生じる可能性がある距離測定誤差を低減するため、2面リフレクタを浸漬可能デバイスに組み込んでも良い。少なくとも2つの反射面を有するこのようなデバイスの実施形態は、図3a及び3bにデバイス70として図示され、記載されている。図3に示された点線B及び点線Cは可能な2つの超音波経路を示す。この例示的実施形態によって、2つの往復エコーを比較する必要がなくなる。その代わりに、別個の反射面72、74からの2つのエコーを比較すれば良い。本実施形態の反射面間の距離は0.2±0.0001インチであり、反射面は互いに平行であることが必要である。プローブ76とリフレクタ78との距離が変化した場合でさえも、2つのエコー間の距離が固定しているので精度に悪影響はない。この構成は基本的に距離誤差に対して耐性がより強い。プローブ76とリフレクタ78との間に生じる可能性のあるあらゆる角度のずれを更に最小限にするためのハウジング80を使用しても良い。本実施形態のハウジングは中空管であり、外径は約0.622〜0.624インチであり、内径は約0.624インチにすべりばめ分を加えたものである。ハウジングは特定の用途に適したどの材料で製造しても良い。ハウジングのこの例示的実施形態はステンレススチールである。本実施形態での開口部82及び84の長さは約1.0インチである。本実施形態のリフレクタの円錐部86は、内角45度を有する。本実施形態の反射面72と円錐部86の基部との距離は約0.5インチである。図4は2面設計のリフレクタで収集された懸濁液中の典型的な波形を示す。ゼロ交差は、時間差及び次いで速度を得るために別個のリフレクタ面形の2つの別個のエコーを処理する。
【0038】
本発明のデバイス、方法及びシステムがオフラインの用途で用いられるか、又は懸濁液がより均一な状態に保たれる必要がある時点でインラインの用途に組み込まれるのかに応じて、正確な測定値を得るために、システムに撹拌棒を組み入れて懸濁液中の粒子の適切な分布を保つようにしても良い。このような撹拌棒の例は、可変速度制御と、固定的な縦位置に固締できる撹拌ヘッドとを有するCaframoのモデルRZR1等の機械的撹拌棒である。図5は、一定の撹拌棒がある適切な用途に用いられる場合の低レベルの変動性を示すグラフである。
【0039】
撹拌を行わないと、スラリー中の粒子は下方に沈降し始める。粒子の沈降プロセス中に、超音波パラメータを複数回測定することができる。例えば、粒子が沈降する際に、超音波速度及び/又は減衰を30秒毎に複数回(例えば20回)測定しても良い。超音波のパラメータの変化対粒子沈降中の時間(沈降速度)を利用して、粒子サイズ、粒子の汚染状態、粒子の老化状態、及び粒子密度を含むがこれに限定されないその他の貴重な情報を判定できる。
【0040】
図6に示すように、媒体又は緩衝液などの液体キャリアもシステムに変動を引き起こすことがある。図6は線100を10%のエタノール緩衝液として示された1組のQFFサンプルでの懸濁液速度対懸濁液%として示しており、線102を同じ組のQFFサンプルでの緩衝液速度対懸濁液%として示している。全ての緩衝液が10%のエタノールと示されてはいても、線102は明らかに緩衝液の変化を示している。線100と102の類似性は、緩衝液の変化が懸濁液速度測定にかなりの影響を及ぼすことがあることを示している。このような変化を調整するため、緩衝液の速度に基づいて懸濁液速度が修正される。この例では樹脂材料が緩衝液の特性によって修正される。これらの修正を補正するため、懸濁液速度は樹脂%に依存して樹脂によって修正された緩衝液の速度であり、但しV(樹脂%)は下記のとおり補正された速度である。
【0041】
V(樹脂%)=V_懸濁液−V_緩衝液
図7aは、2組のサンプルでのQFF速度対懸濁液濃度を示す。より具体的には、図7aは2組のQFFサンプル間の、すなわち10%のエタノール中のQFFと20%のエタノール中のQFFの間の懸濁液速度の大きな差を示す。図7bは2組のQFFサンプルでの補正された速度対濃度%を示す。図7aと図7bとを比較すると、速度補正によって速度変化は〜100m/sから3m/sへと大幅に低減することが示されている。図8は異なる4つのビーズ材料での補正された速度対懸濁液%を示す。全ての速度は2つの独立した測定、すなわち1つは懸濁液速度の測定、もう1つは緩衝液のみの測定に基づいて補正済みである。図8は更に、懸濁液濃度の測定では、各々のビーズ材料は独自の速度対%曲線を有しており、ビーズの識別及び品質監視(老化、サイズ変化など)のために独自の曲線分布を用いても良く、ビーズの密度、サイズ及び老化を含むがそれに限定されない懸濁液中の粒子に関する追加情報を得るためにビーズ沈降プロセスの記録を利用しても良いことを示している。
【0042】
液体キャリアの変化は、以下の例ようなオフライン較正方法を用いて低減することができる。
・5Lの懸濁液ボトルを均一状態になるように振る。
・〜0.5Lを新たな容器A(例えば2Lのナルゲンボトル)に移す。
・2Lのマークまで10%のエタノールを充填する。
・それを一晩沈降させる。
・ビーズ床を乱さないように上澄み(〜1.5L)を除去し、上澄みの緩衝溶液を別の容器Bに貯蔵する。
・懸濁液を容器Aから測定シリンダ(1L)に移す。
・一晩待機する。
・固体ビーズ(x)、液体(y)の高さを測定する。そこで、懸濁液濃度はx/y=z%である。
・懸濁液を測定シリンダから再び容器Aに移す。容器B内の小量の緩衝溶液で濯ぎ、必要なら新たな懸濁液濃度を計算する。
・撹拌し、容器A内での最初の速度測定を行う。
・容器B内の緩衝溶液をAに加えて濃度%がより低いサンプルを作る。
・速度測定を行う。
・容器B内の緩衝溶液が空になるまでステップ11と12を繰り返す。
【0043】
このサンプル準備方法によって、全ての懸濁液サンプルについて同じ緩衝液%の使用が確保されるが、インラインの用途では通常はインライン較正方法が必要である。従って、インラインシステムでの緩衝液の変化を低減するため、方法及びシステムの1以上の実施形態は、二重又は複数の浸漬可能デバイスを組み込んでも良い。2つの超音波デバイス又はプローブが併用される。一方は懸濁液速度を測定するためであり、他方は緩衝液速度だけを測定するためであり、これはビーズの流入を防ぎ、緩衝溶液だけがフィルタを通過できるようにするため、プローブの周囲にフィルタを有している。フィルタの細孔のサイズに応じて、緩衝液が流入し、超音波経路を完全に塞ぐ時間は変化する。非限定的な例として、12μmのフィルタを使用したQサファイアの大ビーズ懸濁液サンプルでは数秒で十分であろう。超音波経路内に気泡がある場合は、限定されないが、デバイス又は流れ空間内の液体を軽く撹拌すること等の多様な方法で除去することが好ましい。
【0044】
懸濁液の1以上の超音波パラメータを判定する際には、温度も重要な役割を果たし得る。例えば、温度変化は、図9に示すように速度測定に大きく影響し得る。図9は、各懸濁液濃度で範囲内の異なる懸濁液温度[9℃、30℃]でのQFF速度を示す。円110は測定された速度であり、点112は温度回帰後に補償された速度である。点線Dは、±2%の濃度変化における速度境界である。
【0045】
速度対濃度及び温度の3D回帰プロットを図10に示す。この場合、温度と濃度の影響は別個である。3D回帰プロットの傾向は、以下のような回帰方程式として要約される。
【0046】
速度(m/s)=1624.753672+0.307557×濃度−0.581831×温度
回帰方程式は、懸濁液が異なればビーズと緩衝液との組み合わせに応じて異なる。温度変化を正確に補償するため、懸濁液中の温度を正確に、好ましくは±0.05℃の精度で測定する必要がある。超音波測定中に懸濁液の温度定数を保つようにチャンバの温度を制御する必要があるが、この構成は産業上の製造環境には適さないかもしれない。懸濁液の温度を制御することが適さないか望ましくない用途では、懸濁液測定の温度変化を低減するために温度の記録及び補償を用いても良い。これらの温度測定から、速度測定に適用可能な温度補償曲線が作成される。温度補償曲線は、複数の温度ポイントからの測定によって作成しても良い。
【0047】
浸漬可能デバイス及び方法及びシステムは、例えばフィールドデバイスなどのベンチトップ及び携帯デバイス用に適応できる。例えば、図11は携帯デバイスを使用できる状況での概略図である。図12に示すように、本実施形態はパルサ・レシーバ、オシロスコープ及びプロセッサ/コンピュータを1つのユニット120として格納する。浸漬可能デバイス122はケーブル124を介してユニット120と通信する。ユニット10は更に、限定されないがソフトウエアやデータなどの情報を、限定されないがラップトップ、パーソナルコンピュータ、及び携帯デバイスなどのデジタルデバイスからアップロードし、又、デジタルデバイスへダウンロードして、更に転送し、データ処理し、プロットを作成することができるように通信ポートを備えていても良い。ユニット10は、ハードライン又はワイヤレスでこれらのデバイスと通信する。
【0048】
図13は、液体キャリア中に分散する粒子状バイオマテリアルを含む懸濁液の1以上の超音波パラメータを測定するシステムの実施形態を用いた結果を示すグラフである。この実施例は、培養細胞の濃度又は密度を判定するために使用された細胞培養の超音波速度を測定したものである。このグラフは更に、細胞濃度に対する細胞培養の光学指数も示している。測定は、互い違いの2つの反射面を有するリフレクタを含む2.25Mhzの探触子プローブを備えた浸漬可能デバイスで行われた。超音波信号を発生し、受信するために、Panametricの超音波発生器/受信器 モデル5072PRが使用された。
【0049】
この実施例では、12gのバクトトリプトン、24gのバクト・酵母エキス、4mLのグリセロール、2.31gの一塩基KH2PO4、及び12.54gの二塩基K2HPO4/Lを含む培養液中で、BL21(DE3)株を成長させた。細胞は室温(〜22℃)で一晩(〜16時間)にわたって培養され、次いで濃度ポイントの測定値を得るために連続して希釈された。
【0050】
本明細書には本発明のある特定の特徴だけを図示し、記載したが、当業者には多くの修正及び変更がなされよう。従って、添付の特許請求の範囲は、本発明の真の趣旨に含まれるこれらの修正及び変更を全て包含することを意図するものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体キャリア中に分散する粒子状バイオマテリアルを含む懸濁液の1以上の超音波パラメータを測定するシステムであって、
前記粒子状バイオマテリアルを処理するバイオプロセッサと、
1以上の超音波デバイスであって、前記超音波デバイスは、
超音波を送受信するように構成され、プローブ面を有する1以上の超音波プローブと、
前記超音波を前記プローブ面に反射するように配置された少なくとも1つの反射面を有する1以上のリフレクタと、
前記プローブと前記リフレクタとを、前記プローブ面と前記反射面との間の位置に空間を置いて固定するハウジングであって、前記懸濁液が前記プローブ面と前記反射面との間の空間に流入できる十分なサイズの開口部を内部に含むハウジングとを備える1以上のデバイスと、
浸漬可能デバイスと通信して、前記浸漬可能デバイスへと、又、前記浸漬可能デバイスから前記超音波を送受信する超音波発生器/受信器と、
前記超音波発生器と通信して、前記超音波発生器/受信器から前記超音波を受信し、処理する信号処理デバイスとを含むシステム。
【請求項2】
前記リフレクタは、前記プローブ面から交互の距離を隔てて配置された少なくとも2つの反射面を有する、請求項1記載のシステム。
【請求項3】
2つ以上のデバイスを備え、その少なくとも1つは、前記液体キャリアが較正用デバイスの前記空間に流入することを許容する一方で、前記粒子が前記空間に流入することを防止するように構成されたフィルタを更に備えることによって、前記液体キャリアを較正するように構成されている、請求項1記載のシステム。
【請求項4】
バイオリアクターは、前記懸濁液にアクセスするための1以上の出入り口を備え、前記デバイスの少なくとも1つは、前記出入り口の1つを通って前記懸濁液中に浸漬されるように構成されている、請求項1記載のシステム。
【請求項5】
前記粒子状バイオマテリアルは、複数の細胞の1つ又は複数、又は細胞下物質を含む、請求項1記載のシステム。
【請求項6】
前記液体キャリアは、媒体、緩衝液又は細胞養分の1つ又は複数を含む、請求項5記載のシステム。
【請求項7】
前記懸濁液を処理するための懸濁液処理ユニットを更に備え、前記懸濁液処理ユニットは、前記懸濁液が前記プローブ面と前記反射面との間の前記空間に流入できるように、1以上のデバイスを前記処理ユニット内部に支持する1以上の固定具を備える、請求項1記載のシステム。
【請求項8】
前記懸濁液の前記超音波パラメータの少なくとも1つは、沈降速度を判定するために用いられる、請求項1記載のシステム。
【請求項9】
前記懸濁液の実質的な同時温度を判定するステップを更に含み、超音波速度が前記懸濁液の温度によって部分的に判定される、請求項8記載のシステム。
【請求項10】
処理するステップは、少なくとも部分的に前記超音波速度に基づいて、前記懸濁液中の前記粒子の濃度測定値を判定するステップを更に含む、請求項9記載のシステム。
【請求項11】
液体キャリア中に分散する複数の粒子状バイオマテリアルを含む懸濁液の1以上の超音波パラメータを測定する方法であって、
a)超音波を送受信するように構成され、プローブ面を有する1以上の超音波プローブと、
前記超音波を前記プローブ面に反射するように配置された少なくとも1つの反射面を有する1以上のリフレクタと、
前記プローブと前記リフレクタとを、前記プローブ面と前記反射面との間の位置に空間を置いて固定するハウジングであって、前記懸濁液が前記プローブ面と前記反射面との間の空間に流入できる十分なサイズの開口部を内部に含むハウジングを含む超音波デバイスを、前記粒子状バイオマテリアルの前記懸濁液中に投入するステップと、
b)前記プローブから前記プローブ面と前記反射面との間の前記空間に流入する前記懸濁液を通して、前記超音波の送信を開始するステップと、
c)前記プローブ面で反射した前記超音波を処理して、前記懸濁液の前記1以上の超音波パラメータを判定するステップとを含む方法。
【請求項12】
前記粒子状バイオマテリアルを処理するバイオリアクターを備えるステップを更に含む、請求項11記載の方法。
【請求項13】
前記バイオリアクターが前記懸濁液にアクセスする1以上の出入り口を備え、前記デバイスの少なくとも1つが、前記出入り口の1以上の出入り口を通って前記懸濁液中に投入されるように構成されている、請求項12記載の方法。
【請求項14】
前記投入するステップは、2つ以上のデバイスを前記懸濁液中に投入するステップを含み、その少なくとも1つは、前記液体キャリアが前記較正用デバイスの空間に流入することを許容する一方で、前記粒子が前記空間に流入することを防止するように構成されたフィルタを更に備えることによって、前記液体キャリアを較正するように構成されている、請求項11記載の方法。
【請求項15】
前記粒子状バイオマテリアルは、複数の細胞の1つ又は複数、又は細胞下物質を含む、請求項11記載の方法。
【請求項16】
前記液体キャリアは、媒体、緩衝液又は細胞養分の1つ又は複数を含む、請求項15記載の方法。
【請求項17】
前記処理するステップで判定された前記懸濁液の前記超音波パラメータの少なくとも1つは超音波速度である、請求項15記載の方法。
【請求項18】
前記リフレクタは、前記プローブ面から交互の距離を置いて配置された少なくとも2つの反射面を有する、請求項11記載の方法。
【請求項19】
前記懸濁液の実質的な同時温度を判定するステップを更に含み、前記超音波速度が前記懸濁液の温度によって部分的に判定される、請求項17記載の方法。
【請求項20】
前記処理するステップは、少なくとも部分的に前記超音波速度に基づいて、前記懸濁液中の前記粒子の濃度測定値を判定するステップを更に含む、請求項19記載の方法。
【請求項21】
前記投入するステップは、2つ以上のデバイスを前記懸濁液中に投入するステップを含み、その少なくとも1つは、前記液体キャリアが較正用デバイスの前記空間に流入することを許容する一方で、前記粒子が前記空間に流入することを防止するように構成されたフィルタを更に備えることによって、前記液体キャリアを較正するように構成されている、請求項20記載の方法。
【請求項22】
前記超音波パラメータの少なくとも1つは速度であり、前記処理ステップは前記液体キャリア中の前記粒子状バイオマテリアルの濃度を判定するステップを更に含む、請求項11記載の方法。
【請求項23】
前記粒子状バイオマテリアルは細胞を含み、前記判定された濃度は前記液体キャリア中の細胞の密度である、請求項22記載の方法。
【請求項24】
液体キャリア中に分散する複数の粒子状バイオマテリアルを含む懸濁液の1以上の超音波パラメータを測定するフロースルー装置であって、
前記懸濁液が流れる入口と出口とを有する容器と、
前記懸濁液が前記容器を通って流れる際に前記懸濁液を通る超音波を送受信するように構成された、プローブ面を有する1以上の超音波プローブと、
前記懸濁液を通る前記超音波を前記プローブ面に反射させるように前記プローブ面から交互の距離を隔てて配置された少なくとも2つの反射面を有する1以上のリフレクタとを備え、
前記プローブと前記リフレクタは、前記懸濁液が前記プローブ面と前記反射面との間の前記空間に流入することができるように、前記プローブ面と前記反射面との間に空間を置いた前記コンテナ内の位置に固定される、フロースルー装置。

【図1】
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【図2】
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【図3a】
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【図3b】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7a】
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【図7b】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公表番号】特表2011−508207(P2011−508207A)
【公表日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−539364(P2010−539364)
【出願日】平成20年12月15日(2008.12.15)
【国際出願番号】PCT/SE2008/000702
【国際公開番号】WO2009/082319
【国際公開日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【氏名又は名称原語表記】GENERAL ELECTRIC COMPANY
【Fターム(参考)】