説明

懸濁液型注入材の注入工法

【課題】懸濁粒子の分散度合いが良好な懸濁液型注入材のみを地盤中に常に注入することができる懸濁液型注入材の注入工法を提供する。
【解決手段】水11と固化材12,13と分散剤14とをミキサー2及び第1アジテータ槽3で混合して懸濁液型注入材10を作液し、この懸濁液型注入材10を地盤9中に注入する懸濁液型注入材の注入工法において、懸濁液型注入材10を分散機4で攪拌混合して該懸濁液型注入材10の懸濁粒子を分散させ、次に、この懸濁粒子を分散させた懸濁液型注入材10の分散度合いを分散状態判別手段6を介して判別し、この判別により懸濁粒子の分散度合いが良好な懸濁液型注入材10のみを注入マシン7を介して地盤9中に注入する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軟弱地盤の改良工法等に用いて好適な懸濁液型注入材の注入工法に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の懸濁液型注入材の注入工法の一例として、例えば、特許文献1に開示された地盤改良工法がある。この地盤改良工法では、水とセメント系の固化材とβ−ナフタレン系の分散剤とをセメントスラリー製造用の汎用ミキサーで混合して懸濁液型注入材を製造し、この懸濁液型注入材を地盤中に注入していた。
【特許文献1】特開平9−143978号公報
【特許文献2】特開平8−319485号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、前記従来の懸濁液型注入材の注入工法では、作液した懸濁液型注入材の懸濁粒子の分散状態を確認することなく地盤に注入しているため、実際に懸濁液型注入材の本来の性能を十分に発揮できずに、浸透性能の低下による品質不良を起こす場合があった。また、懸濁液型注入材の懸濁粒子の分散を促すために、高価で強度発現の阻害要素である分散剤を多量に投入しなければならなかった。さらに、汎用ミキサーでは懸濁液型注入材の懸濁粒子の十分な分散作用が得られず、これに対処するに、懸濁粒子の粒子径が小さいものを使用しても、それに見合う浸透性の向上が得られなかった。
【0004】
そこで、本発明は、前記した課題を解決すべくなされたものであり、懸濁粒子の分散度合いが良好な懸濁液型注入材のみを地盤中に常に注入することができる懸濁液型注入材の注入工法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1の発明は、水と少なくとも固化材及び分散剤をミキサーで混合して懸濁液型注入材を作液し、この懸濁液型注入材を地盤中に注入する懸濁液型注入材の注入工法において、前記懸濁液型注入材を分散機で攪拌混合して該懸濁液型注入材の懸濁粒子を分散させ、次に、この懸濁粒子を分散させた懸濁液型注入材の分散度合いを判別し、この判別により前記懸濁粒子の分散度合いが良好な懸濁液型注入材のみを前記地盤中に注入することを特徴とする。
【0006】
請求項2の発明は、請求項1記載の懸濁液型注入材の注入工法であって、前記ミキサーに併設されたアジテータ槽と前記分散機との間で前記懸濁液型注入材を複数回循環させることを特徴とする。
【0007】
請求項3の発明は、請求項2記載の懸濁液型注入材の注入工法であって、前記アジテータ槽内に貯蔵された懸濁液型注入材の懸濁粒子の分散度合いを分散状態判別手段で判別することを特徴とする。
【0008】
請求項4の発明は、請求項1記載の懸濁液型注入材の注入工法であって、前記ミキサーに併設されたアジテータ槽に複数台の分散機を直列に配置し、この複数台の分散機間で前記懸濁液型注入材を複数回分散させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
以上説明したように、請求項1の発明によれば、懸濁液型注入材を分散機で攪拌混合して該懸濁液型注入材の懸濁粒子を分散させ、次に、この懸濁粒子を分散させた懸濁液型注入材の分散度合いを判別し、この判別により懸濁粒子の分散度合いが良好な懸濁液型注入材のみを地盤中に注入することにより、懸濁粒子の分散状態が悪い懸濁液型注入材の地盤中への注入を確実に防止することができる。即ち、懸濁粒子の分散状態が良好な懸濁液型注入材を地盤中に常に注入することができるため、懸濁液型注入材の本来の性能を十分に発揮することができ、分散剤の添加量を必要以上に増加させることなく、浸透性及び品質の向上を図ることができる。
【0010】
請求項2の発明によれば、アジテータ槽と分散機との間で懸濁液型注入材を複数回循環させることにより、懸濁液型注入材の懸濁粒子の分散効果をより一段と高めることができる。これにより、分散剤の添加量を可及的に低減させることができ、その分低コスト化を図ることができる。
【0011】
請求項3の発明によれば、アジテータ槽内に貯蔵された懸濁液型注入材の懸濁粒子の分散度合いを分散状態判別手段で判別することにより、注入工法が施される現場において、懸濁液型注入材の懸濁粒子の分散度合いを簡単かつ確実に判別して確認することができる。
【0012】
請求項4の発明によれば、アジテータ槽に直列に配置された複数台の分散機間で懸濁液型注入材を複数回分散させることにより、懸濁液型注入材の懸濁粒子の分散時間をより一段と短縮することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0014】
図1は本発明の実施形態の懸濁液型注入材の注入工法に用いるシステムの概略構成図、図2は同注入工法に用いる高性能分散機の性能評価を示すグラフである。
【0015】
図1に示すように、懸濁液型注入材10を地盤9中へ注入する懸濁液型注入材製造・注入システム1は、水11と第1固化材12と第2固化材13と分散剤14及び添加剤15を混合攪拌するミキサーパドル式のミキサー2及び第1アジテータ槽(アジテータ槽)3と、懸濁液型注入材10の懸濁粒子(図示省略)を分散させる高性能分散機としてのインライン式のロータ・ステータ(分散機)4と、懸濁液型注入材10を貯蔵する第2アジテータ槽(アジテータ槽)5と、この第2アジテータ槽5に貯蔵された懸濁液型注入材10の懸濁粒子の度合いを判定する分散状態判別手段6と、注入マシン(注入機)7と、この注入マシン7の注入管7Aと第2アジテータ槽5を接続する配管8とを備えている。この配管8には圧送ポンプ8Aと流量・圧力計8Bをそれぞれ取り付けてある。
【0016】
ミキサー2と第1アジテータ槽3は上下二層式になっており、同一のモータ(図示省略)で同一の駆動軸2aで回転する同一形状のパドル式ミキサーになっている。そして、このミキサー2から第1アジテータ槽3への懸濁液型注入材10の移動は、懸濁液型注入材10を調合後にミキサー2の下のバルブ(図示省略)を開いて自然落下させることにより行うようになっている。
【0017】
インライン式のロータ・ステータ4は、高速回転するロータとステータとの間に懸濁液型注入材10の材料液を強制的に通過させて材料液の懸濁粒子に強力な剪断力を付与して攪拌分散するものである(例えば、大平洋機工株式会社製の商品名「キャビトロン」を用いる)。この強力な剪断力で攪拌分散された懸濁液型注入材10は、ミキサーパドル式のミキサー2の下段の第1アジテータ槽3に戻されて、この第1アジテータ槽3とインライン式のロータ・ステータ4との間で1〜10回循環されて更に攪拌分散されるようになっている。例えば、改良対象地盤の透水係数が大きい(水が流れ易い、砂の粒子径が大きい)場合は、循環回数は1回でよく、また、改良対象地盤の透水係数が小さい場合や浸透距離が大きい(改良径が大きい、直径2.5mの球体)場合は、循環回数は10回とする。このようにミキサー2と第1アジテータ槽3を分けて、第1アジテータ槽3とロータ・ステータ4で懸濁液型注入材10を循環させると、この循環中にミキサー2で懸濁液型注入材10の調合ができるので、時間損失を無くすことができるようになっている。
【0018】
また、第1アジテータ槽3に貯蔵された懸濁液型注入材10は、分散状態判別手段6により品質(懸濁液型注入材10の懸濁粒子の分散度合い)が判別されて、分散度合いが良好な懸濁液型注入材10のみが第2アジテータ槽5にストックされ、該第2アジテータ槽5から注入マシン7に供給されるようになっている。この第2アジテータ槽5は良好な分散度合いの懸濁液型注入材10のみをストックしているので、ロータ・ステータ4で懸濁液型注入材10を循環している間にも併行して注入マシン7による注入作業を行うことができ、その分、時間損失を無くすことができるようになっている。
【0019】
分散状態判別手段6としては、「ふるい」と「カラム試験装置」と「レーザ回折散乱式の粒度分布測定装置」等の手段を用いる。
【0020】
分散状態判別手段6として「ふるい」を用いて、懸濁液型注入材10の品質(分散度合い)を確認する方法について説明する。
【0021】
まず、ふるいとして、例えば、公称目開き36μm、JIS Z 8801−1を準備する。このふるいの他に、恒温乾燥炉、はかり等を準備する。また、判別前に予めふるいの重量を測定しておく。さらに、予め、水11、固化材12,13、分散剤14等の各材料の計量を行っておく。
【0022】
そして、第1アジテータ槽3に貯蔵された懸濁液型注入材10をふるいに通す。次に、ふるいをスポイドを使用して静かに水で洗う。そして、ふるいを恒温乾燥炉で20分間乾燥させる。次に、ふるいを恒温乾燥炉から取り出し、5分間自然冷却させる。次に、このふるいの重量を測定し、予め測定したふるいの重量との差により、ふるいに残ったふるい固化材残量率を計算する。
【0023】
このふるいによる分散度合いの判定としては、ふるい固化材残量率が小さい懸濁液型注入材10が良い分散状態の懸濁液である。すなわち、分散状態の悪い懸濁液は、固化材粒子同士が凝集し見かけの粒子径が大きくなるため、ふるいに通過せずに残る固化材が多くなる。
【0024】
尚、懸濁液型注入材10の分散状態が悪い場合には、第1アジテータ槽3に貯蔵された懸濁液型注入材10をインライン式のロータ・ステータ4に戻し、このインライン式のロータ・ステータ4と第1アジテータ槽3との間で懸濁液型注入材10を分散状態の不足分だけ、再度循環させる。
【0025】
次に、分散状態判別手段6として「カラム試験装置」を用いて、懸濁液型注入材10の品質(分散度合い)を確認する方法について説明する。
【0026】
まず、カラム試験装置の一部品であるカラム試験器(以下「カラム」という)の他に、試験砂(例えば、粒子径の粗い珪砂5号〜粒子径の細かい珪砂7号を用いる)、カラムに接続される注入タンク、はかり、注入タンクに空気圧で水を送るためのコンプレッサー、ビーカ等を準備する。また、予め、水11、固化材12,13、分散剤14等の各材料の計量を行っておく。
【0027】
そして、カラムに所定量の砂を投入し、締め固め棒にて所定密度になるまで締め固める。そして、カラムの上端部の蓋を固定して、カラムを所定の位置にセットする。次に、注入タンクに水を投入する。そして、所定の空気圧で注入タンクに水を送り、カラム内の砂層を飽和させる。次に、所定の空気圧で注入タンクに水を送り、時間、排出量、注入圧を計測(浸透時間の計測)し、カラム内の砂層の透水係数を計測する。次に、注入タンク内の水を捨て、注入タンク内に第1アジテータ槽3に貯蔵された懸濁液型注入材10を投入する。次に、所定の空気圧で注入タンク内に水を送り、時間、排出量、注入圧を計測する。
【0028】
このカラム試験装置による分散度合いの判定としては、事前にカラム試験のデータを現場に持って行き、現場での試験結果と比較することで判定ができる。例えば、事前のカラム試験のデータの例を図2で示す。この図2のどの曲線に一致すればよいかは、地盤条件と浸透距離によって決定する。また、カラムに現地の砂を詰めて試験を行えば、実際に現場で浸透するか否かを判定できる。
【0029】
尚、懸濁液型注入材10の分散状態が悪い場合には、第1アジテータ槽3に貯蔵された懸濁液型注入材10をインライン式のロータ・ステータ4に戻し、このインライン式のロータ・ステータ4と第1アジテータ槽3との間で懸濁液型注入材10を分散状態の不足分だけ、再度循環させる。
【0030】
次に、分散状態判別手段6として「レーザ回折散乱式の粒度分布測定装置」を用いて、懸濁液型注入材10の品質(分散度合い)を確認する方法について説明する。
【0031】
レーザ回折散乱式の粒度分布測定装置は、一般に、分散飛翔状態の被測定粒子群にレーザ光を照射して得られる回折/散乱光の空間強度分布を測定し、その測定結果をフラウンホーファ回折論理またはミー散乱論理に基づいて被測定粒子群の粒度分布を換算するものである。
【0032】
予め、水11、固化材12,13、分散剤14等の各材料の計量を行っておく。次に、第1アジテータ槽3に貯蔵された懸濁液型注入材10の一部をサンプリング試料として採取し、粒度分布測定装置にセットする。必要に応じて、粒度分布測定装置の微調整を行う。次に、懸濁液型注入材10中の懸濁物質(固化材)の粒子径測定を行う。
【0033】
このレーザ回折散乱式の粒度分布測定装置による分散度合いの判定としては、懸濁液型注入材10中の懸濁粒子の小さい(平均粒径D50等)ものが、良い分散状態の懸濁液である。すなわち、分散状態の悪い懸濁液は、固化材粒子同士が凝集し見かけの粒子径が大きくなる。
【0034】
尚、懸濁液型注入材10の分散状態が悪い場合には、第1アジテータ槽3に貯蔵された懸濁液型注入材10をインライン式のロータ・ステータ4に戻し、このインライン式のロータ・ステータ4と第1アジテータ槽3との間で懸濁液型注入材10を分散状態の不足分だけ、再度循環させる。
【0035】
水11としては、海水、河川水、井戸水等の現場採取水で一部または全部を置換して用いる。第1固化材12としては、高炉スラグ微粉末を用い、また、第2固化材13としては、アルカリ刺激剤として適用できるものとして消石灰、石膏およびセメント等の微粉末を用いる。さらに、分散剤14としては、ポリエーテル系、ポリカルボン酸塩系およびスルフォン酸塩系等の分散剤を用いる。また、必要に応じて、材料分離低減剤や消泡剤等の添加剤15を添加しても良い。
【0036】
例えば、懸濁液型注入材10の配合例としては、水固化材比(W/P)=800%の場合、
・水 799重量部
・ポリエーテル系分散剤 1重量部
・高炉スラグ微粉末 95重量部
・消石灰微粉末 5重量部
の通りである。
【0037】
尚、高炉スラグ微粉末と消石灰微粉末の組み合わせは、超微粒子セメントのみまたは添加でも可能であり、また、水固化材比(W/P)は、条件(地盤や設計強度等)に応じて変更可能であり、さらに、高炉スラグ微粉末と消石灰微粉末の混合比率は、条件(設計強度、養生日数等)に応じて変更可能である。
【0038】
次に、図1に基づいて、懸濁液型注入材10の作液手順等を説明する。
【0039】
はじめに、水11と第1,第2固化材12,13及び分散剤14をミキサーパドル式のミキサー2で混合して懸濁液型注入材10を作液する。そして、ミキサー2の下のバルブを開いて、懸濁液型注入材10を自然落下させて第1アジテータ槽3に移動する。次に、この懸濁液型注入材10の懸濁粒子をインライン式のロータ・ステータ4の強力な剪断力で攪拌分散して該懸濁液型注入材10の懸濁粒子を効率良く分散させる。次に、この懸濁液型注入材10を第1アジテータ槽3に戻し、この第1アジテータ槽3とインライン式のロータ・ステータ4との間で所定回循環して更に攪拌分散した後で、第2アジテータ槽5に貯蔵する。この懸濁液型注入材10を例えば3回と10回循環して攪拌分散したインライン式のロータ・ステータ4の性能評価を図2のグラフに示す。このグラフより、懸濁液型注入材10の循環回数を増やすほど注入材の浸透性が向上することが分かる。
【0040】
第1アジテータ槽3に貯蔵された懸濁液型注入材10の一部は、サンプリング試料として採取され、分散状態判別手段6により品質(懸濁液型注入材10の懸濁粒子の分散度合い)が判別され、良い分散状態の懸濁液型注入材10のみが第2アジテータ槽5を介して注入マシン7に供給される。そして、注入マシン7の注入管7Aを介して高品質の懸濁液型注入材10のみが地盤9中に注入される。
【0041】
このように、懸濁液型注入材10の懸濁粒子を第1アジテータ槽3とインライン式のロータ・ステータ4との間で複数回循環させ、インライン式のロータ・ステータ4の強力な剪断力で攪拌分散して該懸濁液型注入材10の懸濁粒子を効率良く分散させ、次に、この懸濁粒子を分散させた懸濁液型注入材10の分散度合いを分散状態判別手段6により判別し、この判別により懸濁粒子の分散度合いが良好な懸濁液型注入材10のみを第2アジテータ槽5を介して注入マシン7で地盤9中に注入するようにしたことにより、懸濁粒子の分散状態が悪い懸濁液型注入材10の地盤9中への注入を確実に防止することができる。即ち、懸濁粒子の分散状態が良好な高品質の懸濁液型注入材10のみを地盤9中に常に注入することができるため、懸濁液型注入材10の本来の性能を十分に発揮することができ、分散剤14の添加量を必要以上に増加させることなく、浸透性の向上による品質の向上を図ることができる。
【0042】
また、ミキサーパドル式のミキサー2の下段の第1アジテータ槽3とインライン式のロータ・ステータ4との間で懸濁液型注入材10を所定回循環させることにより、懸濁液型注入材10の懸濁粒子の分散効果をより一段と高めることができる。これにより、分散剤14の添加量を可及的に低減させることができ、その分低コスト化を図ることができる。
【0043】
さらに、ミキサーパドル式のミキサー2の下段の第1アジテータ槽3とインライン式のロータ・ステータ4との間で所定回循環されて攪拌分散された懸濁液型注入材10を第1アジテータ槽3内に貯蔵し、この第1アジテータ槽3内に貯蔵された懸濁液型注入材10の懸濁粒子の分散度合いを分散状態判別手段6で判別することにより、注入工法が施される現場において、懸濁液型注入材10の懸濁粒子の分散度合いを簡単かつ確実に判別して確認することができる。
【0044】
尚、前記実施形態によれば、図3(a)に示すように、第1アジテータ槽3と分散機4との間で懸濁液型注入材10を複数回循環させるようにしたが、図3(b)に示すように、分散機を複数台用意し、この複数台の分散機4A〜4E間で懸濁液型注入材10を複数回直列式に分散させるようにしても良い。この直列式の場合は、前記循環式の場合に比較して分散時間を大幅に短縮することができる。
【0045】
また、第1固化材としてセメント微粉末を用い、第2固化材として高炉スラグ、フライアッシュ、シリカ、カオン、ベントナイト等の微粉末を用いたり、さらに、第1固化材としてクリンカ微粉末を用い、第2固化材として石膏微粉末を用いても良い。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の実施形態の懸濁液型注入材の注入工法に用いるシステムの概略構成図である。
【図2】上記注入工法に用いる高性能分散機の性能評価を示すグラフである。
【図3】(a)は上記懸濁液型注入材を循環式で分散させる場合の概略構成図、(b)は直列式で分散させる場合の概略構成図である。
【符号の説明】
【0047】
2 ミキサー
3 第1アジテータ槽(アジテータ槽)
4 インライン式ロータ・ステータ(分散機)
5 第2アジテータ槽(アジテータ槽)
6 分散状態判別手段
9 地盤
10 懸濁液型注入材
11 水
12 高炉スラグ微粉末(第1固化材)
13 消石灰微粉末(第2固化材)
14 ポリエーテル系分散剤(分散剤)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水と少なくとも固化材及び分散剤をミキサーで混合して懸濁液型注入材を作液し、この懸濁液型注入材を地盤中に注入する懸濁液型注入材の注入工法において、
前記懸濁液型注入材を分散機で攪拌混合して該懸濁液型注入材の懸濁粒子を分散させ、次に、この懸濁粒子を分散させた懸濁液型注入材の分散度合いを判別し、この判別により前記懸濁粒子の分散度合いが良好な懸濁液型注入材のみを前記地盤中に注入することを特徴とする懸濁液型注入材の注入工法。
【請求項2】
請求項1記載の懸濁液型注入材の注入工法であって、
前記ミキサーに併設されたアジテータ槽と前記分散機との間で前記懸濁液型注入材を複数回循環させることを特徴とする懸濁液型注入材の注入工法。
【請求項3】
請求項2記載の懸濁液型注入材の注入工法であって、
前記アジテータ槽内に貯蔵された懸濁液型注入材の懸濁粒子の分散度合いを分散状態判別手段で判別することを特徴とする懸濁液型注入材の注入工法。
【請求項4】
請求項1記載の懸濁液型注入材の注入工法であって、
前記ミキサーに併設されたアジテータ槽に複数台の分散機を直列に配置し、この複数台の分散機間で前記懸濁液型注入材を複数回分散させることを特徴とする懸濁液型注入材の注入工法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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