説明

懸濁状除草組成物

【課題】近年、より良好な除草効果を安定して発揮し、作物への薬害も与えず安全に使用できる農薬製剤を求めるべく、さまざまな取り組みが行われている。また、農薬製剤に使用する各種補助剤については、農薬の人・環境に対する影響をより軽減できるものを使用する動きもある。
このような状況に鑑み、従来の農薬の中でも、前述のような問題を抱えているものについては、その代替技術を速やかに開発し、人・環境に対する配慮と実用性とを兼ね備えた上で市場に供給することが希求されている。
【解決手段】(1)除草成分としてスルホニルウレア系化合物又はその塩、(2)アルコキシル化ソルビトール脂肪酸エステル及びアルコキシル化ソルビタン脂肪酸エステルからなる群より選ばれる少なくとも1種の界面活性剤並びに(3)油性希釈剤を含有することを特徴とする懸濁状除草組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、安定的な除草効果、作物に対する安全性を示し、実用上満足し得る効果を奏する、スルホニルウレア系化合物又はその塩を有効成分とする懸濁状除草組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、より良好な除草効果を安定して発揮し、作物への薬害も与えず安全に使用できる農薬製剤を求めるべく、さまざまな取り組みが行われている。また、農薬製剤に使用する各種補助剤については、農薬の人・環境に対する影響をより軽減できるものを使用する動きもある。
このような状況に鑑み、従来の農薬の中でも、前述のような問題を抱えているものについては、その代替技術を速やかに開発し、人・環境に対する配慮と実用性とを兼ね備えた上で市場に供給することが希求されている。
【0003】
EP598515には、特定のスルホニルウレア系化合物、エトキシル化脂肪族アミン系界面活性剤並びに植物油及び/又は鉱物油を含有する効力の増強された除草組成物が開示されているが、十分な実用性と高い付加価値とを兼ね備えた製剤処方を完成するには更なる検討が必要であった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような状況において、本発明者らは、上記問題を解決すべく種々検討を行ない、その結果、本発明を完成した。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、前述のような問題に対応するため、薬効、薬害面に配慮し、人・環境への安全性にも配慮しつつ検討した。その結果、例えば良好な物理化学的性能を有するなどのように、十分な実用性を備え、また、より優れた除草活性を示したり、作物に対する安全性の向上を図れるなどの利点を有する、スルホニルウレア系化合物又はその塩を有効成分とする懸濁状除草組成物を見出した。
【0006】
すなわち本発明は、(1)除草成分としてスルホニルウレア系化合物又はその塩、(2)アルコキシル化ソルビトール脂肪酸エステル及びアルコキシル化ソルビタン脂肪酸エステルからなる群より選ばれる少なくとも1種の界面活性剤並びに(3)油性希釈剤を含有することを特徴とする懸濁状除草組成物、並びにそれを用いて望ましくない植物を防除又はその生育を抑制する方法にを提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
スルホニルウレア系化合物としては、部分構造:
【0008】
【化1】

(式中、Xは水素原子又はアルキル基である)を持つ化合物であり、例えばアミドスルフロン(amidosulfuron)、アジムスルフロン(azimsulfuron)、ベンスルフロンメチル(bensulfuron-methyl)、クロリムロンエチル(chlorimuron-ethyl)、クロルスルフロン(chlorsulfuron)、シノスルフロン(cinosulfuron)、シクロスルファムロン(cyclosulfamuron)、エタメトスルフロンメチル(ethametsulfuron-methyl)、エトキシスルフロン(ethoxysulfuron)、フラザスルフロン(flazasulfuron)、フルセトスルフロン(flucetosulfuron)、フルピルスルフロン(flupyrsulfuron)、フォラムスルフロン(foramsulfuron)、ハロスルフロンメチル(halosulfuron-methyl)、イマゾスルフロン(imazosulfuron)、イオドスルフロン(iodosulfuron)、イソスルフロンメチル(isosulfuron-methyl)、メソスルフロンメチル(mesosulfuron-methyl)、メトスルフロンメチル(metsulfuron-methyl)、ニコスルフロン(nicosulfuron)、オキサスルフロン(oxasulfuron)、プリミスルフロンメチル(primisulfuron-methyl)、プロスルフロン(prosulfuron)、ピラゾスルフロンエチル(pyrazosulfuron-ethyl)、リムスルフロン(rimsulfuron)、スルホメツロンメチル(sulfometuron-methyl)、スルホスルフロン(sulfosulfuron)、チフェンスルフロンメチル(thifensulfuron-methyl)、トリアスルフロン(triasulfuron)、トリベヌロンメチル(tribenuron-methyl)、トリフロキシスルフロン(trifloxysulfuron)、トリフルスルフロンメチル(triflusulfuron-methyl)、トリトスルフロン(tritosulfuron)などが挙げられ、なかでもアジムスルフロン、ベンスルフロンメチル、フラザスルフロン、ニコスルフロンが望ましい。
【0009】
これらスルホニルウレア系化合物の塩としては、種々のものが挙げられるが、例えばナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属との塩、マグネシウム、カルシウムなどのアルカリ土類金属との塩或はモノメチルアミン、ジメチルアミン、トリエチルアミンなどのアミンとの塩などが挙げられる。
【0010】
アルコキシル化ソルビトール脂肪酸エステル又はアルコキシル化ソルビタン脂肪酸エステルは、任意の位置に1又は2以上のアルキレンオキサイド部分を有するものである。該アルキレンオキサイド部分としては、例えばエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、それらの共重合体、それらのブロック共重合体などが挙げられ、なかでもエチレンオキサイドが望ましい。アルキレンオキサイドの付加モル数の平均値は、3〜150モル、望ましくは3〜60モル程度のものを使用することができる。
【0011】
アルコキシル化ソルビトール脂肪酸エステル又はアルコキシル化ソルビタン脂肪酸エステルの脂肪酸エステルの数は、1又は2以上であってもよく、モノエステル、ジエステル、トリエステル、テトラエステル、ペンタエステル、ヘキサエステルなどが挙げられる。また、脂肪酸エステルが複数の場合、それらは同一でも相異なってもよい。
【0012】
アルコキシル化ソルビトール脂肪酸エステル又はアルコキシル化ソルビタン脂肪酸エステルの脂肪酸部分は、飽和、不飽和のいずれでもよく、また、直鎖状、分枝状のいずれでもよい。炭素数は4〜24程度、望ましくは10〜20程度のものを使用することができる。脂肪酸としては、例えば酪酸、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、アラキン酸のような飽和脂肪酸;パルミトレイン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、モノクチ酸、アラキドン酸、ドコサヘキサエン酸のような不飽和脂肪酸などが挙げられ、なかでもラウリン酸、ステアリン酸、オレイン酸などが望ましい。
【0013】
油性希釈剤としては、例えば植物油、植物油に由来する脂肪酸、当該脂肪酸のアルキルエステル(植物油中の脂肪酸部分をアルキル化した、例えばメチル化植物油やメチル化種子油とよばれるものなどを含む)、鉱物油などが挙げられる。
植物油としては、例えばオリーブ油、カポック油、ひまし油、パパヤ油、椿油、ヤシ油、ごま油、トウモロコシ油、米ぬか油、落花生油、棉実油、大豆油、菜種油、亜麻仁油、きり油、ひまわり油、紅花油などが挙げられる。
植物油に由来する脂肪酸としては、前述した植物油などに由来する脂肪酸であって、例えばラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレイン酸、エルカ酸、ブラシジン酸のような炭素数12〜22の飽和又は不飽和の脂肪酸が挙げられ、当該脂肪酸のアルキルエステルとしては、メチルエステル、ブチルエステル、イソブチルエステル、オレイルエステルのような炭素数1〜18の直鎖状又は分枝状のアルキルエステルが挙げられる。
鉱物油としては、例えば液状パラフィン、パラフィン系石油のような脂肪族炭化水素;アルキルベンゼン、アルキルナフタレンのような芳香族炭化水素などが挙げられる。
なお、油性希釈剤として上述したものは、所望により2種以上を適宜混用してもよい。
【0014】
本発明の懸濁状除草組成物は、(1)除草成分としてスルホニルウレア系化合物又はその塩、(2)アルコキシル化ソルビトール脂肪酸エステル及びアルコキシル化ソルビタン脂肪酸エステルからなる群より選ばれる少なくとも1種の界面活性剤(以下、必須の界面活性剤と略す)並びに(3)油性希釈剤を含有し、例えば油性懸濁剤、ゲル剤のような油性の懸濁状除草組成物として調製されるが、その際、所望により各種補助剤を用いることもできる。ここで用いることができる各種補助剤としては、当該技術分野等で用いられるものであれば、いずれのものでもよいが、例えば、他の界面活性剤(アルコキシル化ソルビトール脂肪酸エステル及びアルコキシル化ソルビタン脂肪酸エステル以外の界面活性剤を示す)、溶剤、沈降防止剤、増粘剤、消泡剤、凍結防止剤、酸化防止剤、ゲル化剤、分散安定剤、薬害軽減剤、防黴剤、安定化剤、防腐剤、無機アンモニウム塩類などが挙げられる。これら各種補助剤の具体例としては、例えば以下のものなどが挙げられる。尚、製剤調製は、当該技術分野における通常の方法に準じて行うことができる。
【0015】
他の界面活性剤としては、例えば脂肪酸塩、安息香酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、ポリカルボン酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキル硫酸塩、アルキルアリール硫酸塩、アルキルジグリコールエーテル硫酸塩、アルコール硫酸エステル塩、アルキルスルホン酸塩、アルキルアリールスルホン酸塩、アリールスルホン酸塩、リグニンスルホン酸塩、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩、ポリスチレンスルホン酸塩、アルキルリン酸エステル塩、アルキルアリールリン酸塩、スチリルアリールリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンスチリルアリールエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンスチリルアリールエーテル硫酸アンモニウム塩、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルアリールリン酸エステル塩、ポリオキシエチレンスチリルアリールエーテルリン酸エステル又はその塩、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物の塩、アルキルナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物の塩、フェノールスルホン酸ホルマリン縮合物の塩、無水マレイン酸アルキレン共重合体の塩のような陰イオン系の界面活性剤;ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、脂肪酸ポリグリセライド、脂肪酸アルコールポリグリコールエーテル、アセチレングリコール、アセチレンアルコール、オキシアルキレンブロックポリマー、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、ポリオキシエチレンスチリルアリールエーテル、ポリオキシエチレングリコールアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシプロピレン脂肪酸エステル、アルキルポリグリコシドのような非イオン系の界面活性剤;アルコキシル化脂肪族アミンのような陽イオン系の界面活性剤などが挙げられ、所望によりこれらの2種以上を適宜混用してもよい。
【0016】
本発明においては、他の界面活性剤として、上記陰イオン系の界面活性剤、非イオン系の界面活性剤及び陽イオン系の界面活性剤からなる群より選ばれる少なくとも1種の界面活性剤を含有することが望ましいが、なかでも、陰イオン系の界面活性剤としてはアルキルアリールスルホン酸塩が望ましく、非イオン系の界面活性剤としてはポリオキシエチレンヒマシ油が望ましく、陽イオン系の界面活性剤としてはアルコキシル化脂肪族アミンが望ましい。また、これらを組み合わせて含むことが特に望ましい。
【0017】
前記他の界面活性剤の中で、アルコキシル化脂肪族アミンのような陽イオン系の界面活性剤を、本発明の懸濁状除草組成物に配合する場合、必須の界面活性剤の効力が特に発揮される。アルコキシル化脂肪族アミンとして、より詳しくは、エトキシル化牛脂アミン、エトキシル化大豆アミン、エトキシル化ヤシアミンなどが挙げられる。アルキレンオキサイドの付加モル数の平均値は3〜100、望ましくは5〜50程度のものを使用することができる。このような実施形態は、本発明における望ましい態様の1つである。
【0018】
溶剤としては、例えば水、ソルベントナフサ、パラフィン、ジオキサン、アセトン、イソホロン、メチルイソブチルケトン、クロロベンゼン、シクロヘキサン、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン、アルコール、酢酸、酪酸、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、ベンゼン、アルキルベンゼン、アルキルナフタレンなどが挙げられ、所望によりこれらの2種以上を適宜混用してもよい。
【0019】
沈降防止剤としては、例えばシリカ、有機ベントナイト(Bentonite−alkylamino complex)、ベントナイト、ホワイトカーボン、アルミニウムマグネシウムケイ酸などが挙げられ、所望によりこれらの2種以上を適宜混用してもよい。
【0020】
増粘剤としては、例えばキサンタンガム、グアーガムのようなヘテロポリサッカライド、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロースナトリウム塩、アルギン酸ナトリウム塩のような水溶性ポリマー、ベントナイト、ホワイトカーボンなどが挙げられ、所望によりこれらの2種以上を適宜混用してもよい。
【0021】
消泡剤としては、例えばポリジメチルシロキサン、アセチレンアルコールなどが挙げられ、所望によりこれらの2種以上を適宜混用してもよい。
【0022】
凍結防止剤としては、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、尿素などが挙げられ、所望によりこれらの2種以上を適宜混用してもよい。
【0023】
ゲル化剤としては、例えばシリカ、有機アタパルジャイト、クレー、硬化ヒマシ油、高級脂肪酸エステル、高級アルコール、ジアルキルスルホコハク酸エステルの塩、安息香酸の塩、アルキル硫酸塩、ポリアクリル酸ポリマー又はポリアクリル酸コポリマーと水との混合物、12−ヒドロキシステアリン酸などが挙げられ、所望によりこれらの2種以上を適宜混用してもよい。
【0024】
安定化剤としては、例えば尿素などが挙げられる。
【0025】
防腐剤としては、例えばホルマリン、パラクロロメタキシレノール、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オンなどが挙げられ、所望によりこれらの2種以上を適宜混用してもよい。
【0026】
本発明の懸濁状除草組成物を調製する際、必須の界面活性剤と、他の界面活性剤のうちの任意のものとを、予め組み合わせておき、残りの各種成分と混合することができる。具体的には、必須の界面活性剤と、任意の他の界面活性剤、例えば陰イオン系の界面活性剤や非イオン系の界面活性剤とを組み合わせた混合界面活性剤を予め調製しておき、それを使用することができる。この場合、通常は必須の界面活性剤を少なくとも40重量部、望ましくは40〜90重量部程度含むよう組み合わせる。このような実施形態は、本発明における望ましい態様の1つである。
【0027】
本発明においては、所望により、スルホニルウレア系化合物又はその塩以外の他の除草性化合物を混用或は併用することができ、この場合に一層優れた効果、作用性を示すことがある。例えば、適用草種の範囲、薬剤処理の時期、除草活性等を好ましい方向へ改良できる場合がある。尚、スルホニルウレア系化合物又はその塩と他の除草性化合物は、各々別々に製剤したものを散布時に混合して使用しても、両者を一緒に製剤したものを使用してもよい。本発明には、前記した混合除草性組成物、並びにそれを用いて望ましくない植物を防除又はその生育を抑制する方法も含まれる。
【0028】
スルホニルウレア系化合物又はその塩と混用することができる他の除草性化合物としては、例えば下記(1)〜(11)の化合物群(一般名、開発コード)が挙げられる。特に記載がない場合であっても、これら化合物に、塩、アルキルエステル、光学異性体のような各種構造異性体などが存在する場合は、当然それらも含まれる。
【0029】
(1)2,4−D、2,4−DB、2,4-DP、MCPA、MCPB、MCPP、ナプロアニリド(naproanilide)のようなフェノキシ系、2,3,6−TBA、ジカンバ(dicamba)、ジクロベニル(dichlobenil)、ピクロラム(picloram)、トリクロピル(triclopyr)、クロピラリド(clopyralid)、アミノピラリド(aminopyralid)のような芳香族カルボン酸系、その他ナプタラム(naptalam)、ベナゾリン(benazolin)、キンクロラック(quinclorac)、キンメラック(quinmerac)、ダイフルフェンゾピル(diflufenzopyr)、チアゾピル(thiazopyr)などのように植物のホルモン作用を攪乱することで除草効力を示すとされているもの。
【0030】
(2)クロロトルロン(chlorotoluron)、ジウロン(diuron)、フルオメツロン(fluometuron)、リニュロン(linuron)、イソプロチュロン(isoproturon)、メトベンズロン(metobenzuron)、テブチウロン(tebuthiuron)のような尿素系、シマジン(simazine)、アトラジン(atrazine)、アトラトン(atratone)、シメトリン(simetryn)、プロメトリン(prometryn)、ジメタメトリン(dimethametryn)、ヘキサジノン(hexazinone)、メトリブジン(metribuzin)、テルブチラジン(terbuthylazine)、シアナジン(cyanazine)、アメトリン(ametryn)、シブトリン(cybutryne)、トリアジフラム(triaziflam)、プロパジン(propazine)のようなトリアジン系、ブロマシル(bromacil)、レナシル(lenacil)、ターバシル(terbacil)、のようなウラシル系、プロパニル(propanil)、シプロミッド(cypromid)のようなアニリド系、スエップ(swep)、デスメディファム(desmedipham)、フェンメディファム(phenmedipham)のようなカーバメート系、ブロモキシニル(bromoxynil)、ブロモキシニル・オクタノエート(bromoxynil-octanoate)、アイオキシニル(ioxynil)のようなヒドロキシベンゾニトリル系、その他ピリデート(pyridate)、ベンタゾン(bentazone)、アミカルバゾン(amicarbazone)、メタゾール(methazole)などのように植物の光合成を阻害することで除草効力を示すとされているもの。
【0031】
(3)それ自身が植物体中でフリーラジカルとなり、活性酸素を生成させて速効的な除草効力を示すとされているパラコート(paraquat)、ジクワット(diquat)のような4級アンモニウム塩系。
【0032】
(4)ニトロフェン(nitrofen)、クロメトキシフェン(chlomethoxyfen)、ビフェノックス(bifenox)、アシフルオルフェンナトリウム塩(acifluorfen-sodium)、ホメサフェン(fomesafen)、オキシフルオルフェン(oxyfluorfen)、ラクトフェン(lactofen)、エトキシフェンエチル(ethoxyfen-ethyl)のようなジフェニルエーテル系、クロルフタリム(chlorphthalim)、フルミオキサジン(flumioxazin)、フルミクロラックペンチル(flumiclorac-pentyl)、フルチアセットメチル(fluthiacet-methyl)のような環状イミド系、その他オキサジアルギル(oxadiargyl)、オキサジアゾン(oxadiazon)、スルフェントラゾン(sulfentrazone)、カルフェントラゾンエチル(carfentrazone-ethyl)、チジアジミン(thidiazimin)、ペントキサゾン(pentoxazone)、アザフェニジン(azafenidin)、イソプロパゾール(isopropazole)、ピラフルフェンエチル(pyraflufen-ethyl)、ベンズフェンジゾン(benzfendizone)、ブタフェナシル(butafenacil)、メトベンズロン(metobenzuron)、シニドンエチル(cinidon-ethyl)、フルポキサム(flupoxam)、フルアゾレート(fluazolate)、プロフルアゾール(profluazol)、ピラクロニル(pyrachlonil)、フルフェンピルエチル(flufenpyr-ethyl)などのように植物のクロロフィル生合成を阻害し、光増感過酸化物質を植物体中に異常蓄積させることで除草効力を示すとされているもの。
【0033】
(5)ノルフルラゾン(norflurazon)、クロリダゾン(chloridazon)、メトフルラゾン(metflurazon)のようなピリダジノン系、ピラゾレート(pyrazolate)、ピラゾキシフェン(pyrazoxyfen)、ベンゾフェナップ(benzofenap)、BAS−670Hのようなピラゾール系、その他アミトロール(amitrol)、フルリドン(fluridone)、フルルタモン(flurtamone)、ジフルフェニカン(diflufenican)、メトキシフェノン(methoxyphenone)、クロマゾン(clomazone)、スルコトリオン(sulcotrione)、メソトリオン(mesotrione)、AVH−301、イソキサフルトール(isoxaflutole)、ジフェンゾコート(difenzoquat)、イソキサクロロトール(isoxachlortole)、ベンゾビシクロン(benzobicyclon)、ピコリナフェン(picolinafen)、ビフルブタミド(beflubutamid)などのようにカロチノイドなどの植物の色素生合成を阻害し、白化作用を特徴とする除草効力を示すとされているもの。
【0034】
(6)ジクロホップメチル(diclofop-methyl)、フラムプロップエムメチル(flamprop-M-methyl)、ピリフェノップナトリウム塩(pyriphenop-sodium)、フルアジホップブチル(fluazifop-butyl)、ハロキシホップメチル(haloxyfop-methyl)、キザロホップエチル(quizalofop-ethyl)、シハロホップブチル(cyhalofop-butyl)、フェノキサプロップエチル(fenoxaprop-ethyl)、メタミホッププロピル(metamifop-propyl)のようなアリールオキシフェノキシプロピオン酸系、アロキシジムナトリウム塩(alloxydim-sodium)、クレソジム(clethodim)、セトキシジム(sethoxydim)、トラルコキシジム(tralkoxydim)、ブトロキシジム(butroxydim)、テプラロキシジム(tepraloxydim)、カロキシジム(caloxydim)、クレフォキシジム(clefoxydim)、プロホキシジム(profoxydim)のようなシクロヘキサンジオン系などのようにイネ科植物に特異的に除草効力が強く認められるもの。
【0035】
(7)フルメツラム(flumetsulam)、メトスラム(metosulam)、ジクロスラム(diclosulam)、クロランスラムメチル(cloransulam-methyl)、フロラスラム(florasulam)、メトスルファム(metosulfam)、ペノクススラム(penoxsulam)のようなトリアゾロピリミジンスルホンアミド系、イマザピル(imazapyr)、イマゼタピル(imazethapyr)、イマザキン(imazaquin)、イマザモックス(imazamox)、イマザメス(imazameth)、イマザメタベンズ(imazamethabenz)、イマザピック(imazapic)のようなイミダゾリノン系、ピリチオバックナトリウム塩(pyrithiobac-sodium)、ビスピリバックナトリウム塩(bispyribac-sodium)、ピリミノバックメチル(pyriminobac-methyl)、ピリベンゾキシム(pyribenzoxim)、ピリフタリド(pyriftalid)のようなピリミジニルサリチル酸系、フルカーバゾン(flucarbazone)、プロカーバゾンソディウム(procarbazone-sodium)のようなスルホニルアミノカルボニルトリアゾリノン系、その他グリホサートアンモニウム塩(glyphosate-ammonium)、グリホサートイソプロピルアミン塩(glyphosate-isopropylamine)、グルホシネートアンモニウム塩(glufosinate-ammonium)、ビアラホス(bialaphos)などのように植物のアミノ酸生合成を阻害することで除草効力を示すとされているもの。
【0036】
(8)トリフルラリン(trifluralin)、オリザリン(oryzalin)、ニトラリン(nitralin)、ペンディメタリン(pendimethalin)、エタルフルラリン(ethalfluralin)、ベンフルラリン(benfluralin)、プロジアミン(prodiamine)のようなジニトロアニリン系、ベンスリド(bensulide)、ナプロナミド(napronamide)、プロナミド(pronamide)のようなアミド系、アミプロホスメチル(amiprofos-methyl)、ブタミホス(butamifos)、アニロホス(anilofos)、ピペロホス(piperophos)のような有機リン系、プロファム(propham)、クロルプロファム(chlorpropham)、バーバン(barban)のようなフェニルカーバメート系、ダイムロン(daimuron)、クミルロン(cumyluron)、ブロモブチド(bromobutide)のようなクミルアミン系、その他アシュラム(asulam)、ジチオピル(dithiopyr)、チアゾピル(thiazopyr)などのように植物の細胞有糸分裂を阻害することで除草効力を示すとされているもの。
【0037】
(9)アラクロール(alachlor)、メタザクロール(metazachlor)、ブタクロール(butachlor)、プレチラクロール(pretilachlor)、メトラクロール(metolachlor)、S−メトラクロール(S-metolachlor)、テニルクロール(thenylchlor)、ペトキサマイド(pethoxamid)、アセトクロール(acetochlor)、プロパクロール(propachlor)、プロピソクロール(propisochlor)のようなクロロアセトアミド系、モリネート(molinate)、ジメピペレート(dimepiperate)、ピリブチカルブ(pyributicarb)のようなカーバメート系、その他エトベンザニド(etobenzanid)、メフェナセット(mefenacet)、フルフェナセット(flufenacet)、トリディファン(tridiphane)、カフェンストロール(cafenstrole)、フェントラザミド(fentrazamide)、オキサジクロメフォン(oxaziclomefone)、インダノファン(indanofan)、ジメテナミド(dimethenamid)、ベンフレセート(benfuresate)などのように植物のタンパク質生合成あるいは脂質生合成を阻害することで除草効力を示すとされているもの。
【0038】
(10)EPTC、ブチレート(butylate)、ベルノレート(vernolate)、ペブレート(pebulate)、シクロエート(cycloate)、プロスルホカルブ(prosulfocarb)、エスプロカルブ(esprocarb)、チオベンカルブ(thiobencarb)、ジアレート(diallate)、トリアレート(triallate)のようなチオカーバメート系、その他MSMA、DSMA、エンドタール(endothall)、エトフメセート(ethofumesate)、ソディウムクロレート(sodium chlorate)、ペラルゴン酸(pelargonic acid)、ホスアミン(fosamine)、ピノキサデン(pinoxaden)、HOK−201など。
【0039】
(11)Xanthomonas campestrisEpicoccosurus nematosurusExserohilum monoserasDrechsrela monocerasなどのように植物に寄生することで除草効力を示すとされているもの。
【0040】
本発明における、各成分の配合割合は、配合成分の種類、製剤形態、施用場面などに応じ、適宜変更する場合があるので一概に規定できないが、例えばスルホニルウレア系化合物又はその塩は0.5〜20重量部、望ましくは2〜10重量部、更に望ましくは5〜10重量部であり、必須の界面活性剤は0.5〜35重量部、望ましくは1〜25重量部であり、所望により他の界面活性剤を配合する場合は0.5〜55重量部、望ましくは1〜40重量部であり、所望により溶剤を配合する場合は0.1〜30重量部、望ましくは0.5〜20重量部であり、所望により沈降防止剤を配合する場合は0.1〜10重量部、望ましくは0.5〜5重量部であり、所望によりゲル化剤を配合する場合は0.1〜50重量部、望ましくは5〜40重量部であり、所望により安定化剤を配合する場合は0.1〜20重量部、望ましくは1〜10重量部であり、所望により他の除草性化合物を配合する場合は0.5〜75重量部、望ましくは0.5〜50重量部であり、残分として油性希釈剤を配合して、全体が100重量部となるよう調製することができる。
【0041】
このようにして調製された本発明の懸濁状除草組成物は、使用時、水で希釈した際に、油状粒子がよく分散し、優れた乳化性能を発揮することから、良好かつ選択的な除草効果を奏する。
【0042】
本発明の懸濁状除草組成物は、望ましくない植物又はそれが生育する場所に施用、例えば茎葉処理することによりコゴメガヤツリ(Cyperus iria L.)、ハマスゲ(Cyperus rotundus L.)などのカヤツリグサ科雑草、イヌビエ(Echinochloa crus-galli L.)、メヒシバ(Digitaria sanguinalis L.)、エノコログサ(Setaria viridis L.)、オヒシバ(Eleusine indica L.)、カラスムギ(Avena fatua L.)、セイバンモロコシ(Sorghum halepense L.)、シバムギ(Agropyron repens L.)などのイネ科雑草、イチビ(Abutilon theophrasti MEDIC.)、マルバアサガオ(Ipomoea purpurea L.)、シロザ(Chenopodium album L.)、アメリカキンゴジカ(Sida spinosa L.)、スベリヒユ(Portulaca oleracea L.)、アオゲイトウ(Amaranthus retroflexus L.)、エビスグサ(Cassia obtusifolia L.)、イヌホウズキ(Solanum nigrum L.)、サナエタデ(Polygonum lapathifolium L.)、ハコベ(Stellaria media L.)、オナモミ(Xanthium strumarium L.)、タネツケバナ(Cardamine flexuosa WITH.)、ホトケノザ(Lamium amplexicaule L.)、エノキグサ(Acalypha austalis L.)などの広葉雑草など、広い範囲の雑草を防除又はその生育を抑制することができるので、その適用範囲は畑地は勿論畑地以外に果樹園、桑畑、水田などの農耕地、山林、農道、グランド、工場敷地、芝地などの非農耕地と多岐にわたることができる。スルホニルウレア系化合物又はその塩は、1haあたり1g〜500g、望ましくは2g〜250gの割合で施用することができる。特に、ニコスルフロン又はその塩を有効成分とする懸濁状除草組成物は、トウモロコシに害を与えずに有害雑草を防除又はその生育を抑制することができることから、トウモロコシ栽培地用除草組成物として非常に有用である。ニコスルフロンは、1haあたり2g〜400g、望ましくは5g〜200gの割合で施用することができる。
【実施例】
【0043】
以下に本発明の実施例を記載するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例1
(1)ニコスルフロン(純度94.5%)…7.23重量部
(2)ポリオキシエチレンソルビトールテトラオレイン酸エステルを主成分とし、ポリオキシエチレンヒマシ油及びドデシルベンゼンスルホン酸カルシウムを配合する混合物(以下、界面活性剤A)…10.35重量部
(3)エトキシル化牛脂アミン(以下、界面活性剤B)…15.53重量部
(4)有機ベントナイト(Bentonite−alkylamino complex)…1.03重量部
(5)尿素…3.11重量部
(6)メチル化種子油及びトウモロコシ油の混合物…62.75重量部
以上の成分を混合し、湿式粉砕機で15分間湿式粉砕して、油性懸濁剤を得た。
【0044】
実施例2
(1)ニコスルフロン(純度94.5%)…7.23重量部
(2)界面活性剤A…10.35重量部
(3)界面活性剤B…15.53重量部
(4)有機ベントナイト(同前)…1.03重量部
(5)尿素…3.11重量部
(6)メチル化種子油及びトウモロコシ油の混合物…60.68重量部
(7)アルコール…2.07重量部
以上の成分を混合し、湿式粉砕機で15分間湿式粉砕して、油性懸濁剤を得た。
【0045】
実施例3
(1)ニコスルフロン(純度94.5%)…7.23重量部
(2)界面活性剤A…10.35重量部
(3)界面活性剤B…15.53重量部
(4)有機ベントナイト(同前)…1.03重量部
(5)尿素…3.11重量部
(6)メチル化種子油及びトウモロコシ油の混合物…55.25重量部
(7)アルコール…7.50重量部
以上の成分を混合し、湿式粉砕機で15分間湿式粉砕して、油性懸濁剤を得た。
【0046】
実施例4
(1)ニコスルフロン(純度94.5%)…7.23重量部
(2)ポリオキシエチレンソルビタントリオレイン酸エステルを主成分とし、ポリオキシエチレンヒマシ油及びドデシルベンゼンスルホン酸カルシウムを配合する混合物(以下、界面活性剤D)…10.35重量部
(3)界面活性剤B…20.70重量部
(4)焼成シリカ(Hydrophobic fumed silica)…1.03重量部
(5)尿素…1.03重量部
(6)トウモロコシ油…54.48重量部
(7)アルコール…5.18重量部
以上の成分を混合し、湿式粉砕機で15分間湿式粉砕して、油性懸濁剤を得た。
【0047】
実施例5
(1)フラザスルフロン(純度95.1%)…7.14重量部
(2)界面活性剤A…10.35重量部
(3)界面活性剤B…20.70重量部
(4)焼成シリカ(同前)…1.04重量部
(5)尿素…3.11重量部
(6)トウモロコシ油…52.48重量部
(7)アルコール…5.18重量部
以上の成分を混合し、湿式粉砕機で15分間湿式粉砕して、油性懸濁剤を得た。
【0048】
実施例6
(1)アジムスルフロン(純度99.0%)…7.14重量部
(2)界面活性剤A…10.35重量部
(3)界面活性剤B…20.70重量部
(4)焼成シリカ(同前)…1.04重量部
(5)尿素…3.11重量部
(6)トウモロコシ油…52.48重量部
(7)アルコール…5.18重量部
以上の成分を混合し、湿式粉砕機で15分間湿式粉砕して、油性懸濁剤を得た。
【0049】
実施例7
(1)ベンスルフロンメチル(純度99.3%)…7.14重量部
(2)界面活性剤A…10.35重量部
(3)界面活性剤B…20.70重量部
(4)焼成シリカ(同前)…1.04重量部
(5)尿素…3.11重量部
(6)トウモロコシ油…52.48重量部
(7)アルコール…5.18重量部
以上の成分を混合し、湿式粉砕機で15分間湿式粉砕して、油性懸濁剤を得た。
【0050】
比較例1
前記実施例1の界面活性剤Aを、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油及びジオクチルスルホサクシネートの混合物(以下、界面活性剤C)に代える以外は、前記実施例1と同様にして油性懸濁剤を得た。
【0051】
比較例2
前記実施例2の界面活性剤Aを、界面活性剤Cに代える以外は、前記実施例2と同様にして油性懸濁剤を得た。
【0052】
比較例3
前記実施例3の界面活性剤Aを、界面活性剤Cに代える以外は、前記実施例3と同様にして油性懸濁剤を得た。
【0053】
比較例4
前記実施例4の界面活性剤Dを、界面活性剤Cに代える以外は、前記実施例4と同様にして油性懸濁剤を得た。
【0054】
比較例5
前記実施例5の界面活性剤Aを、界面活性剤Cに代える以外は、前記実施例5と同様にして油性懸濁剤を得た。
【0055】
比較例6
前記実施例6の界面活性剤Aを、界面活性剤Cに代える以外は、前記実施例6と同様にして油性懸濁剤を得た。
【0056】
比較例7
前記実施例7の界面活性剤Aを、界面活性剤Cに代える以外は、前記実施例7と同様にして油性懸濁剤を得た。
【0057】
比較例8
前記実施例1の界面活性剤Aを、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ジアルキルスルホサクシネート、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油及び脂肪酸ポリグリセライドの混合物(以下、界面活性剤E)に代える以外は、前記実施例1と同様にして油性懸濁剤を得た。
【0058】
比較例9
前記実施例2の界面活性剤Aを、界面活性剤Eに代える以外は、前記実施例2と同様にして油性懸濁剤を得た。
【0059】
比較例10
前記実施例3の界面活性剤Aを、界面活性剤Eに代える以外は、前記実施例3と同様にして油性懸濁剤を得た。
【0060】
次に、本発明の試験例を記載する。
試験例1
前記実施例又は比較例で得た油性懸濁剤を、イオン交換水で希釈し、マイクロトラックHRA粒度分析計(HONEYELL社製、Model9320-x100)の循環槽に投入した。その後5分間循環させ、1500〜2000倍希釈相当となった希釈液の乳化粒子径を測定した。結果を第1表に示す。
【0061】
【表1】

【0062】
本試験の条件は、農薬を施用時に水希釈する状態に相当する。
EP598515の実施例に記載された製剤処方と類似する処方に相当する比較例1〜3は、一定の乳化状態を示したが、本発明の懸濁状除草組成物である実施例1〜3は、より細かい、優れた乳化状態を示した。
【0063】
試験例2
前記実施例又は比較例で得た油性懸濁剤を、標準硬水(CIPAC Standard water D)で600倍に希釈し、15分間静置した。希釈された該油性懸濁剤を測定用セルに入れ、色彩色差計(ミノルタカメラ(株)製、CT-310)を用いて、L表色系(JIS Z 8729:2004)による測定を行い、実施例とそれに対応する比較例との色差(ΔE)を、下記式により求めた。結果を第2表に示す。
ΔE=(ΔL+Δa+Δb1/2
【0064】
【表2】

【0065】
明度(L)は0〜100の数値で表され、値が大きいほど明るいことを示す(イオン交換水の明度は100程度である)。第2表の結果から、本発明の懸濁状除草組成物である実施例1〜3は、各々対応する比較例1〜3に比べ値が小さいことから、より濃い色調(乳化状態)となっていることがわかる。
また、色差(ΔE)は、下記第3表の評価基準(NBS単位:米国標準局)に基づいて評価すると、本発明の懸濁状除草組成物である実施例1〜3と、各々対応する比較例1〜3との間には、有意な差異があることがわかる。
【0066】
【表3】

【0067】
試験例3
1/1,000,000haポットに畑作土壌をつめ、そこへメヒシバ(Digitaria sanguinalis L.)の種子を播種し、温室内で生育させた。メヒシバが3葉期に達した時、前記実施例又は比較例で得た油性懸濁剤の所定量(17.5g a.i./ha)を、300リットル/ha相当の水で希釈し茎葉処理した。
処理後21日目にメヒシバの生育状態を肉眼で観察調査(生育抑制率(%)=0:無処理区並〜100:完全枯殺)し、第4表の結果を得た。
【0068】
【表4】

【0069】
試験例4
1/1,000,000haポットに畑作土壌をつめ、そこへトウモロコシ(Zea mays)の種子を播種し、冬場の温室内で生育させた。トウモロコシが3葉期に達した時、前記実施例又は比較例で得た油性懸濁剤の所定量(90g a.i./ha)を、300リットル/ha相当の水で希釈し茎葉処理した。
処理後14日目にトウモロコシの生育状態を肉眼で観察調査したところ、本発明の懸濁状除草組成物である実施例1〜3は、各々対応する比較例1〜3に比べ、トウモロコシの生育抑制程度が低く、より優れた作物安全性を示した。
【0070】
試験例5
前記実施例又は比較例で得た油性懸濁剤を用い、前記試験例1に準じ、希釈液の乳化粒子径を測定した。結果を第5表に示す。
【0071】
【表5】

【0072】
EP598515の実施例に記載された製剤処方と類似する処方に相当する比較例4は、一定の乳化状態を示したが、本発明の懸濁状除草組成物である実施例4は、より細かい、優れた乳化状態を示した。
【0073】
試験例6
前記実施例又は比較例で得た油性懸濁剤を用い、前記試験例1に準じ、希釈液の乳化粒子径を測定した。結果を第6表に示す。
【0074】
【表6】

【0075】
比較例5〜7は、一定の乳化状態を示したが、本発明の懸濁状除草組成物である実施例5〜7は、より細かい、優れた乳化状態を示した。
【0076】
試験例7
前記実施例又は比較例で得た油性懸濁剤を用い、前記試験例1に準じ、希釈液の乳化粒子径を測定した。結果を第7表に示す。
【0077】
【表7】

【0078】
EP598515の実施例に記載された製剤処方に相当する比較例8〜10は、一定の乳化状態を示したが、本発明の懸濁状除草組成物である実施例1〜3は、より細かい、優れた乳化状態を示した。
【0079】
試験例8
前記実施例又は比較例で得た油性懸濁剤を用い、前記試験例2に準じ、それらの明度及び色度を測定し、色差を求めた。結果を第8表に示す。
【0080】
【表8】

【0081】
本発明の懸濁状除草組成物である実施例4は、対応する比較例4に比べ明度(L)の値が小さいことから、より濃い色調(乳化状態)となっていることがわかる。
また、色差(ΔE)についても、両者に有意な差異があることがわかる。
【0082】
試験例9
前記実施例又は比較例で得た油性懸濁剤を用い、前記試験例2に準じ、それらの明度及び色度を測定し、色差を求めた。結果を第9表に示す。
【0083】
【表9】

【0084】
本発明の懸濁状除草組成物である実施例5〜7は、対応する比較例5〜7に比べ明度(L)の値が小さいことから、より濃い色調(乳化状態)となっていることがわかる。
また、色差(ΔE)についても、両者に有意な差異があることがわかる。
【0085】
試験例10
前記実施例又は比較例で得た油性懸濁剤を用い、前記試験例2に準じ、それらの明度及び色度を測定し、色差を求めた。結果を第10表に示す。
【0086】
【表10】

【0087】
本発明の懸濁状除草組成物である実施例1〜3は、対応する比較例8〜10に比べ明度(L)の値が小さいことから、より濃い色調(乳化状態)となっていることがわかる。
また、色差(ΔE)についても、両者に有意な差異があることがわかる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(1)除草成分としてスルホニルウレア系化合物又はその塩、(2)アルコキシル化ソルビトール脂肪酸エステル及びアルコキシル化ソルビタン脂肪酸エステルからなる群より選ばれる少なくとも1種の界面活性剤並びに(3)油性希釈剤を含有することを特徴とする懸濁状除草組成物。
【請求項2】
(1)0.5〜20重量部のスルホニルウレア系化合物又はその塩、(2)0.5〜35重量部のアルコキシル化ソルビトール脂肪酸エステル及びアルコキシル化ソルビタン脂肪酸エステルからなる群より選ばれる少なくとも1種の界面活性剤並びに(3)残分の主成分として油性希釈剤を含有する、前記請求項1の懸濁状除草組成物。
【請求項3】
(1)除草成分としてスルホニルウレア系化合物又はその塩、(2)界面活性剤としてアルコキシル化ソルビトール脂肪酸エステル及び(3)油性希釈剤を含有することを特徴とする、前記請求項1の懸濁状除草組成物。
【請求項4】
スルホニルウレア系化合物又はその塩が、アミドスルフロン、アジムスルフロン、ベンスルフロンメチル、クロリムロンエチル、クロルスルフロン、シノスルフロン、シクロスルファムロン、エタメトスルフロンメチル、エトキシスルフロン、フラザスルフロン、フルセトスルフロン、フルピルスルフロン、フォラムスルフロン、ハロスルフロンメチル、イマゾスルフロン、イオドスルフロン、イソスルフロンメチル、メソスルフロンメチル、メトスルフロンメチル、ニコスルフロン、オキサスルフロン、プリミスルフロンメチル、プロスルフロン、ピラゾスルフロンエチル、リムスルフロン、スルホメツロンメチル、スルホスルフロン、チフェンスルフロンメチル、トリアスルフロン、トリベヌロンメチル、トリフロキシスルフロン、トリフルスルフロンメチル及びトリトスルフロンからなる群より選ばれる少なくとも1種のスルホニルウレア系化合物又はその塩である、前記請求項1の懸濁状除草組成物。
【請求項5】
油性希釈剤が、植物油、植物油に由来する脂肪酸、当該脂肪酸のアルキルエステル及び鉱物油からなる群より選ばれる少なくとも1種の油性希釈剤である、前記請求項1の懸濁状除草組成物。
【請求項6】
他の界面活性剤をさらに含有する、前記請求項1の懸濁状除草組成物。
【請求項7】
0.5〜55重量部の他の界面活性剤をさらに含有する、前記請求項2の懸濁状除草組成物。
【請求項8】
他の界面活性剤が、陰イオン系の界面活性剤、非イオン系の界面活性剤及び陽イオン系の界面活性剤からなる群より選ばれる少なくとも1種の界面活性剤である、前記請求項6の懸濁状除草組成物。
【請求項9】
他の界面活性剤が、陰イオン系の界面活性剤である、前記請求項6の懸濁状除草組成物。
【請求項10】
陰イオン系の界面活性剤が、アルキルアリールスルホン酸塩である、前記請求項9の懸濁状除草組成物。
【請求項11】
他の界面活性剤が、非イオン系の界面活性剤である、前記請求項6の懸濁状除草組成物。
【請求項12】
非イオン系の界面活性剤が、ポリオキシエチレンヒマシ油及びポリオキシエチレン硬化ヒマシ油からなる群より選ばれる少なくとも1種の界面活性剤である、前記請求項11の懸濁状除草組成物。
【請求項13】
他の界面活性剤が、陽イオン系の界面活性剤である、前記請求項6の懸濁状除草組成物。
【請求項14】
陽イオン系の界面活性剤が、アルコキシル化脂肪族アミンである、前記請求項13の懸濁状除草組成物。
【請求項15】
他の界面活性剤として、アルキルアリールスルホン酸塩及びアルコキシル化脂肪族アミンをさらに含有する、前記請求項6の懸濁状除草組成物。
【請求項16】
他の界面活性剤として、アルキルアリールスルホン酸塩、ポリオキシエチレンヒマシ油及びアルコキシル化脂肪族アミンをさらに含有する、前記請求項6の懸濁状除草組成物。
【請求項17】
前記請求項1の懸濁状除草組成物の除草有効量を、望ましくない植物又はそれが生育する場所に施用することからなる、望ましくない植物を防除又はその生育を抑制する方法。

【公表番号】特表2008−532924(P2008−532924A)
【公表日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−542176(P2007−542176)
【出願日】平成18年2月23日(2006.2.23)
【国際出願番号】PCT/JP2006/303918
【国際公開番号】WO2006/098156
【国際公開日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【出願人】(000000354)石原産業株式会社 (289)
【Fターム(参考)】