説明

成形された湿式圧搾ティシュ

【課題】成形された湿式圧搾ティシュを提供する。
【解決手段】湿式圧搾クレープ・ティシュ・シートは、シートの縦方向に延びる連続的な単平面の大型うねにより離間された連続的な波状の谷を呈し、その大型うねは波状の谷の繊維密度に比べて小さな繊維密度を有する。ティシュ構造体は、緻密化されたティシュ・ウェブを、高度に立体的形状の連続的又は実質的に連続的なうね及び谷を有するウェブ支持表面を有するテクスチャリング(成形)布により支持しながらヤンキー・ドライヤーの表面に押し付け、その後このウェブをクレープ加工することにより、作成することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、湿式圧搾ティッシュに関し、特定的には成形された湿式圧搾ティッシュに関する。
【背景技術】
【0002】
過去20年にわたり、通気式乾燥による嵩生成の利点を湿式圧搾の脱水効率と組み合せる多くの試みが開示されてきたが、両方の技術の最良結果をもたらすことなく、多くの場合、生産速度及び脱水のエネルギー・コストに関してのみならず製品特性に関しても目的を果たせないプロセスしか得られなかった。有望なプロセスの一例は、引用により本明細書に組み入れられる2001年9月11日発行のEdwards他による特許文献1に開示されている。このプロセスは、フェルトと平滑な不浸透性ベルトとの間に形成された高圧搾脱水ニップを用いて湿ウェブのコンシステンシーを約35乃至48パーセントまで増加させる。次いで、乾燥に先立ち、ウェブに質感を付与するために、脱水したウェブは「ウェブ構造形成」織布へ真空ロールの補助により移送される。Edwards他のプロセスは比較的坪量の高いウェブに関しては効果的であるが、軽量のティシュ・ウェブを商業的用途に望ましい高速で処理するには余り適切ではなく、その理由は、事実上強度のない低坪量の湿ウェブを平滑なベルトからウェブ構造形成布に移送することに付随する困難のためである。さらに、このようなプロセスにおいて用いるために開示されたウェブ構造形成布は、柔らかさが不十分なざらざらした感触のティシュをもたらすことが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第6,287,426号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2005/0236122A1号明細書
【特許文献3】米国特許第5,298,124号明細書
【特許文献4】米国特許第5,832,962号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従って、改善された柔らかで嵩高い軽量の湿式圧搾ティシュに対する必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
例えば特別なテクスチャリング布を用いることにより、Edwards他のプロセスを用いて独特の湿式圧搾ティシュ・シートを製造できることが、ここで発見された。結果として得られるティシュ・シートは、高速で製造することができ、スルー乾燥された製品の嵩と柔らかさのほぼ全てを呈すると同時に美的にも満足なものである。このティシュ・シートはテクスチャリング布設計によりシートに付与される間隔の広い連続的な「柔らかさのうね」により特徴付けられる。特別なテクスチャリング布を、本明細書で説明するように特定のタイプの不浸透性ベルトを他の処理条件と組み合せて用いるような、他のプロセス改良と組み合せて用いるとき、低坪量を有する本発明のティシュ・シートを比較的高速で製造することができる。しかしながら、低坪量を有する本発明のティシュ・シートはまた、低速であっても、Edwards他のプロセスを修正せずに用いて製造することもできる。
【0006】
従って一態様において、本発明は、縦方向及び幅方向を有する製紙繊維の湿式圧搾クレープ・ティシュ・シートに存在し、ここでティッシュ・シートはシートの縦方向に延びる連続的な単平面の大型うね(柔らかさのうね)により離間された連続的な波状谷を有し、大型うねは波状谷の繊維密度に比べて低い繊維密度を有する。
【0007】
別の態様において、本発明は、縦方向及び幅方向を有する製紙繊維の湿式圧搾クレープ・ティシュ・シートに存在し、ここでティッシュ・シートはシートの縦方向に延びる連続的な単平面の大型うねにより離間された連続的な波状谷を有し、大型うねの平均厚さの小型うねの平均厚さに対する比は約1.5又はそれ以上である。本明細書の目的に関し、「厚さ」とは、問題とする構造体の1つの側面から他方の側面までの最短距離である。この態様においては、単平面のうねの繊維密度を波状谷の繊維密度よりも低くすることができるという利点がある。
【0008】
本発明のティシュ・シートの交互の大型うねと谷は、テクスチャリング布の三次元表面輪郭によりシートに付与される。加工処理中に、ティシュ・シートは、上流の湿式圧搾排水ステップにより均一に緻密化され、その後シートは立体的形状のテクスチャリング布へ移送される間に成形されて、最終的な大型うね及び谷となる前駆体を形成する。テクスチャリング布とは接触しないシートの面から突き出る大型うねは、テクスチャリング布により支持されたシートがドライヤーの表面に押し付けられ、ドライヤー表面に付着する際に、さらに緻密化される。シートの谷はうねに比べて陥没しているので、シートがドライヤー表面に押し付けられるときであっても、より小さな程度にしか緻密化されない。その後、ウェブがクレープ加工される際に、谷の中に、シートの幅方向に延びる波頭を有する「小型うね」が形成される。これらの小型うねはシートの縦方向に波状起伏を形成し、隣接する縦方向の大型うねの間の間隔を結ぶ。縦方向の大型うねは、ドライヤー表面に強く付着され、クレープ加工によってより大きな影響を受ける。結果として、大型うね領域は谷領域よりも高度に剥離され、より厚くなって緻密度がより低くなる。ドライヤーへの付着は大型うね領域に沿って実質的に連続的であるので、クレープ加工(剥離)は比較的均一であり、うね内のシート表面形状は、断面で見ると実質的に単平面のままである。本発明のティシュ・シートの種々の構造的特徴の寸法は、本明細書で示されるような拡大写真、又は当技術分野において周知の表面形状測定法により容易に測定することができる。シートが形成されるとき坪量の変動はシート全域で最小限となるので、種々のシート構造体の厚さは繊維密度に比例する。
【0009】
この構造体は、ドライヤー表面から遠い領域が圧縮的に緻密化されず、従ってドライヤーに隣接するティッシュ領域と類似の密度又はそれより低い密度にもなる従来の通気乾燥型ティシュとは異なる。
【0010】
別に明記されない限り、本明細書で用いる用語、シートの「縦方向に延びる」は、大型うね及び谷を、シートの真の縦方向(0度)に対して0乃至約±30度の角度に向けることができることを意味する。大型うねは実質的に連続的であって不連続ではいない。従って、大型うね及び谷の、シートの縦方向に対する配列又は配向は0乃至約±30度とすることができ、より特定的には0乃至約±15度、より特定的には0度乃至約±10度、より特定的には0度乃至約±5度、さらにより特定的には、配列は縦方向に平行(0度)とすることができる。さらに、縦方向に対する配列又は配向は、約±5乃至約±15度、さらにより特定的には約±10乃至約±15度とすることができる。うねは直線状又はティシュ・シートの美的外観を向上させるように波状とすることができる。波状の又は別様に前後に曲がったうねに対しては、うねの配列は全体の平均的な方向として定められる。
【0011】
谷領域内の小型うねの平均厚さに対する大型うねの平均厚さの比は、約1.5又はそれ以上とすることができ、より特定的には約1.5乃至約6、より特定的には約1.5乃至約5、より特定的には約1.5乃至約4、より特定的には約1.5乃至約3、さらにより特定的には約2乃至約3とすることができる。
【0012】
縦方向の大型うねの幅を谷の幅よりも小さくして、ティシュ構造体に美観を与えることができる。また縦方向の大型うねの幅は谷の幅よりも大きくして、乾燥効率を向上させ、より大きな柔らかさのうねを与えることができる。より特定的には、大型うねの幅は約0.5乃至約1.5ミリメートルとすることができ、より特定的には約0.75乃至約1.25ミリメートル、さらにより特定的には約1ミリメートルとすることができる。大型うねの、頂点間で測る幅方向の間隔は、約0.5乃至約4ミリメートルとすることができ、より特定的には約1乃至約3.5ミリメートル、さらにより特定的には約1.5乃至約2.5ミリメートルとすることができる。
【0013】
シートの幅方向で測る谷の幅は、約0.5乃至約2.5ミリメートル、より特定的には約0.5乃至約2ミリメートル、さらにより特定的には約1乃至約2ミリメートルとすることができる。
【0014】
小型うねの寸法及び間隔は、テクスチャリング布の設計とクレープ加工条件の組合せに依存することになる。一般に、小型うねの頂点間で測る縦方向の間隔は、約0.2乃至約1ミリメートル、より特定的には約0.3乃至約0.8ミリメートル、さらにより特定的には約0.4乃至約0.6ミリメートルとすることができる。谷の底部から小型うねの頂部までで測る小型うねの高さは、約0.05乃至約0.5ミリメートル、より特定的には約0.1乃至約0.4ミリメートル、さらにより特定的には約0.1乃至約0.3ミリメートルとすることができる。
【0015】
本発明のティシュ・シートの仕上り坪量は、1平方メートル当り約40グラム又はそれ以下とすることができ、より特定的には1平方メートル当り約10乃至約40グラム(gsm)、より特定的には約10乃至約30gsm、さらにより特定的には約15乃至約20gsmとすることができる。ティシュ・シートを構成する繊維は、当技術分野で公知の任意の製紙繊維とすることができ、特に硬材繊維及び軟材繊維のようなセルロース繊維とすることができる。
【0016】
本発明のティシュ・シートの「嵩」は、繊維1グラム当り約10立方センチメートル又はそれ以上とすることができ、より特定的には繊維1グラム当り約10乃至約20立方センチメートル(cc/g)とすることができる。本明細書で用いる「ティシュ・シート」とは、複数プライ製品とは異なる単プライのティシュである。
【0017】
試験方法
本明細書で用いる「嵩」は、ミクロン単位で表されるティッシュ・シートの荷重下の全シートのキャリパ(以下で定められる)を、1平方メートル当たりのグラム数で表される乾燥坪量で割った比率として算出される。結果として得られるシート嵩は、1グラム当りの立方センチメートル数で表される。より特定的には、ティシュ全体のシート・キャリパは、TAPPI試験法T402「Standard Conditioning and Testing Atmosphere For Paper,Board,Pulp Handsheets and Related Products」、及び、重ねられたシートに関するNote3を伴うT411 om−89「Thickness(caliper) of Paper,Paperboard,and Combined Board」により測定される単一のティシュ・シートの代表的な厚さである。T411 om−89を実施するために用いたマイクロメータは、オレゴン州ニューバーグ所在のEmveco,Inc.から入手可能なEmveco 200−Aティシュ・キャリパ試験機である。このマイクロメータは、2キロパスカルの荷重と、2500平方ミリメートルの押え面積と、56.42ミリメートルの押え直径と、3秒の保圧時間と、毎秒0.8ミリメートルの降下速度とを有する。
【0018】
本明細書で用いる「縦方向(MD)引張強度」とは、サンプルが断裂するまで縦方向に引っ張られるときのサンプル幅3インチ当りのピーク荷重である。同様に、「幅方向(CD)引張強度」とは、サンプルが断裂するまで幅方向に引っ張られるときのサンプル幅3インチ当りのピーク荷重である。破断する前のサンプルの伸び率は「伸長性」である。
【0019】
引張強度及び伸長性を測定する手順は、以下の通りである。引張強度試験のためのサンプルは、JDC Precision Sample Cutter(ペンシルヴァニア州フィラデルフィア所在のThwing−Albert Instrument CompanyのModel No.JDC3−10,Serial No.37333)を用いて、縦方向(MD)又は幅方向(CD)に幅3インチ(76.2mm)、長さ5インチ(127mm)のストリップを切り取ることにより準備する。引張強度の測定に用いる器具は、MTS Systems Sintech 11S,Serial No.6233である。データ取得ソフトウェアは、MTS TestWorks(登録商標)for Windows(登録商標) Ver.3.10(ノースカロライナ州リサーチ・トライアングル・パーク所在のMTS Systems Corp.製)である。ロードセルは、試験されるサンプルの強度に応じて、ピーク荷重値の大部分がロードセルのフルスケール値の10乃至90%の間に入るように、最大値50ニュートン又は100ニュートンのものの何れかから選択される。ジョー間のゲージ長は4±0.04インチ(101.6±1mm)である。ジョーは空気圧作動により操作され、ゴム・コーティングされている。グリップ面の最小幅は3インチ(76.2mm)であり、ジョーの凡その高さは0.5インチ(12.7mm)である。クロスヘッド速度は10±0.4インチ/分(254±1mm/分)であり、ブレーキ感度は65%に設定する。サンプルは器具のジョーの中に、垂直方向及び水平方向の両方に関して中心に置かれる。次いで試験を開始し、試料が破断するとき終了する。ピーク荷重は、試験されるサンプルの方向に応じて、試料の「MD引張強度」又は「CD引張強度」として記録される。各製品又はシートについて、少なくとも六(6)個の代表的な試料を「そのままの状態で」試験し、個々の試料の全ての試験結果の算術平均が、その製品又はシートのMD又はCD引張強度である。
【0020】
下記の図5及び図6におけるティシュ厚さプロファイルのマイクロ写真を準備するのに用いる方法は以下のとおりである。断熱開放容器内の液体窒素プール内にある金属アンビル上の一片のカードストックの上に、概ね2−3平方センチメートルのティシュの小型サンプルを配置する。ティシュは、最初にアルコールで洗浄された未使用のカミソリ刃を用いて切断する。切断部の配列はサンプルの真の縦方向から僅かに傾け、それにより、切断に沿った異なる領域が、複数のサンプルを作成せずにティシュ構造体の異なる密度領域を示すこととなる。切断は、プライヤ又はピンセットを用いてカミソリ刃をティシュの上に保持し、小型の木づちでカミソリ刃の後部をティシュ及び支持金属アンビルに向かって打ち当てることにより行われる。この方法は、冷却されたティシュを、ティシュ構造体の形状を変形させずに鋭利に切断することになる。約5ミリメートル幅のティシュ・サンプルを得るために、新たなカミソリ刃を用いて第1の切断部と平行に多数の切断を行うことができる。次いで各サンプルをアンビルから取り外し、ヤンキー側を上にしてカードストック上に両面テープで取り付け、ティシュの約1ミリメートルがカードストック及びテープの縁を越えて延びるようにする。サンプルは光学顕微鏡の下に、切断縁がレンズに向き合うように配置される。像は観察に適したレベルまで照明され、拡大される。
【0021】
本明細書の図2及び図7における、ティシュのドライヤー接触面の三次元像を作成するのに用いた非接触表面形状測定法は、引用により本明細書に組み入れられる、Mullally他による特許文献2に記載されている。より具体的には、三次元の光学的表面形状マップは、z方向解像度10nmのCHR150N光学距離測定センサを装備したMicroProf(登録商標)測定システム(ドイツ国グラドバッハ所在のFries Research and Technology GmbHから入手可能なシステム)を用いて測定することができる。MicroProfは、光学レンズの色収差を利用してサンプル表面から反射された集束白色光を分析することにより、z方向の距離を測定する。サンプルはスプレー接着剤を用いてガラス・スライド上に取り付けられる。サンプルを縦方向(MD)及び幅方向(CD)に移動させるのにx−y移動台を用いる。MD及びCD解像度は20μmに設定した。
【0022】
三次元表面形状測定マップは、表面形態ソフトウェアTalyMap Universal(ver3.1.10、英国レスター所在のTaylor−Hobson Precision Ltd.から入手可能)による分析用の統一されたデータファイル形式でMicroProfからエクスポートすることができる。このソフトウェアはMountains(登録商標)技術の計測ソフトウェア・プラットフォーム(www.digitalsurf.fr)を用いて、ユーザが種々のプロファイルをインポートし、次いでそのプロファイルに対して種々異なる演算子(数学的変換)又は調査(グラフ表示又は数値計算)を実施して、それらをデスクトップ・パブリッシングに適した形式で提示することを可能にする。
【0023】
TalyMapソフトウェア内においてこの作業のために用いられる演算子は、所与の高さにおけるプロファイルの人為的な切り捨てである閾値処理、及びフィルタリングを含む。閾値処理は、個々の繊維又は表面の埃を取り除いて画像を浄化し、記録される深さの範囲を調整する。0.2mmのカットオフを有するガウシアン・フィルタを適用して、10個のデータ点にわたって平均化して表面をさらに滑らかにし、局所的な粗さを除去することで個々の繊維を取り除く。これにより、図7に示す「表面形状測定」プロファイルが生成される。次いでプロファイルの一部分を拡大して、連続的な不等角調査を実施する。これはシミュレートされた光反射による、表面の連続的な三次元表示を作成する。擬似写真レンダリングを用いて結果を表示することで、図2に示すような像が生成される。
【0024】
簡略及び簡潔にするために、本明細書に示されるいずれの値の範囲も、問題の指定された範囲内の整数(又は類似の数)値である終点を有する任意のサブ範囲を挙げる請求項に関する明細書による裏付けとして解釈されるべきものである。仮定の例証的な実施例として、本明細書における1から5までの範囲の開示は、以下のサブ範囲1−4、1−3、1−2、2−5、2−4、2−3、3−5、3−4、及び4−5のいずれかに対する請求項を裏付けるものと見なされる。同様に、本明細書における0.1から0.5までの範囲の開示は、以下のサブ範囲0.1−0.4、0.1−0.3、0.1−0.2、0.2−0.5、0.2−0.4、0.2−0.3、0.3−0.5、0.3−0.4、及び0.4−0.5のいずれかに対する請求項を裏付けるものと見なされる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明によるティシュ・シートの略平面図である。
【図1A】図1のティシュ・シートの縦方向に描かれた断面図である。
【図1B】図1のティシュ・シートの幅方向に描かれた断面図である。
【図2】図1に示したものと類似の本発明のティシュ・シートのドライヤー接触面の、表面形状測定により得られた、より現実的な三次元表示である。
【図3】本発明によるティシュ・シートのドライヤー接触面の、シート形成方法において用いられる対応するテクスチャリング布と並べて示された拡大平面写真であり、上述のような連続的な縦方向のうね、及び小型うねを含む谷を示している。
【図4】図3のティシュ・シートの拡大平面図である。
【図5A】図4の線A−Aに沿って撮られた拡大断面写真であり、本発明のティシュ・シートの縦方向うね領域の実質的に単平面の低密度特性を示す。
【図5B】図4の線A−Aに沿って撮られた拡大断面写真であり、本発明のティシュ・シートの縦方向うね領域の実質的に単平面の低密度特性を示す。
【図6A】図4の線B−Bに沿って撮られた拡大断面写真であり、本発明のティシュ・シートの縦方向のうねの波状起伏及び相対的高密度を示す。
【図6B】図4の線B−Bに沿って撮られた拡大断面写真であり、本発明のティシュ・シートの縦方向のうねの波状起伏及び相対的高密度を示す。
【図7】本発明のティシュ・シートのドライヤー側の表面形状測定画像であり、縦方向のうね及び谷を示し、谷領域内には幅方向の小型うねが含まれる。
【図8】本発明のティシュ・シートの製造に適した湿式圧搾ティシュ製造プロセスの略図である。
【図9】本発明のティシュ・シートの製造に有用な、図3に部分的に示したのと同じテクスチャリング布の拡大写真であり、本発明のティシュ・シート内に縦方向のうねを形成する離間された連続的又は実質的に連続的な縦方向構造体を示す。
【図10】本発明のティシュ・シートの製造に有用なテクスチャリング布の拡大写真であり、本発明のティシュ・シート内に縦方向のうねを形成する離間された連続的又は実質的に連続的な縦方向構造体を示す。
【図11】本発明のティシュ・シートの製造に有用なテクスチャリング布の拡大写真であり、本発明のティシュ・シート内に縦方向のうねを形成する離間された連続的又は実質的に連続的な縦方向構造体を示す。
【図12】本発明のティシュ・シートの製造に有用なテクスチャリング布の拡大写真であり、本発明のティシュ・シート内に縦方向のうねを形成する離間された連続的又は実質的に連続的な縦方向構造体を示す。
【図13】本発明のティシュ・シートの製造に有用なテクスチャリング布の拡大写真であり、本発明のティシュ・シート内に縦方向のうねを形成する離間された連続的又は実質的に連続的な縦方向構造体を示す。
【図14】図13のテクスチャリング布を用いて製造された本発明のティシュの拡大写真である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
これより添付の図面を参照して本発明をさらに説明される。別様に記述されない限り、種々の図面における類似の参照符号は類似の構造部を表す。
【0027】
図1を参照すると、本発明によるティシュ・シートの概略的な平面図を示し、クレープ加工中にドライヤー表面に接触するティッシュ・シートの面を示す。シートの縦方向(MD)及び幅方向(CD)が示される。シートの縦方向に延びる単平面の大型うね1がさらに示される。波状の谷2と、クレープ加工中に生成される谷の中の小型うねの頂部3がさらに示される。
【0028】
図1Aは、図1の線A−Aに沿って描かれた図1のティシュ・シートの略断面図である。大型うねの断面を示し、谷内の小型うねの厚さ「t」と比較した大型うねの相対的な厚さ「T」を示す。
【0029】
図1Bは、図1の線B−Bに沿って描かれた図1のティシュ・シートの略断面図であり、小型うねの厚さと比較した大型うねの相対的な厚さをさらに示す。さらに非荷重キャリパ「C」を示し、キャリパと厚さの概念的な違いを示す。
【0030】
図2は、図1に示したのと類似の本発明のティシュ・シートのドライヤー接触面の、表面形状測定により得られた三次元表示である。シートのヤンキー接触面の表面境界は参照符号4で強調する。シートの布側(非ヤンキー側)の表面境界は参照符号5で示し、各々の軸に沿って描いてシートの大型うね領域と谷領域内の小型うねとの間の厚さ(及び密度)の差をさらに示す。このティシュは図9のテクスチャリング布を用いて本明細書の実施例1に説明する方法により製造した。
【0031】
図3は、本発明によるティシュ・シートのドライヤー接触面の、シート形成方法において用いた対応するテクスチャリング布と並べた拡大平面写真であり、上述の連続的な縦方向大型うね、及び小型うねを含む谷を示す。(種々の図面における写真に関して、照明を上部及び側部から与えて、布中の陥没した領域は暗く、隆起した領域は明るくなるようにした。定規を含む写真に関して、写真底部の目盛り内の各縦線の間の間隔は0.5ミリメートルを表す。)
【0032】
図4は、図3のティシュ・シートの拡大平面図である。
図5A及び図5Bは、図4のティッシュの線分A−Aに沿って撮られた拡大断面写真であり、本発明のティシュ・シートの縦方向の大型うね領域の実質的に単平面の低密度特性を示す。図示した大型うね部分の厚さ(大型うね構造体の一方の側から同構造体の反対側までの最短距離)は、約75乃至約150ミクロンの範囲に及ぶ。問題の構造体の各々の側にある想像上の平面の間の全体的な厚さであり、いずれかの波状起伏を考慮に入れた非荷重キャリパは、約200ミクロンである。本明細書の目的に関して、「実質的に単平面の」大型うねは、平均厚さに対する非荷重キャリパの比が約2又はそれ以下であるものとして数値的に特徴付けることができる。平均厚さを測定する目的で、代表的な値を得るためには、測定される各ティシュ・シートの所与の線に沿って少なくとも10回の無作為の厚さ測定を行う必要がある。
【0033】
図6A及び図6Bは、図4の線分B−Bに沿って撮られた拡大断面写真であり、本発明のティシュ・シートの小型うねの波状起伏及び小型うねの相対的高密度を示す。図示した小型うね部分の厚さは約45乃至約60ミクロンの範囲に及ぶ。全体的な非荷重シート・キャリパは約300ミクロンである。
【0034】
図7は、本発明のティシュ・シートのドライヤー側のグレースケールの表面形状測定画像であり、シートの幅方向に延びる谷領域内の小型うねを含み、縦方向の大型うね及びその間の谷領域の相対的な高さを示す。
【0035】
図8は、本発明によるティシュ・シートの製造に有用なプロセスの概略図である。一般に、本発明のティシュ・シートを製造する方法は、(a)製紙繊維の水性懸濁液を形成布の上に堆積させることにより、1平方メートル当り約40グラム又はそれ以下の坪量を有する湿ティシュ・ウェブを形成し、(b)湿ティシュ・ウェブを製紙フェルト上に支持された状態で脱水圧搾ニップに運搬し、(c)製紙フェルトとパーティクル・ベルトの間で湿ティシュ・ウェブを圧縮して約30%又はそれ以上のコンシステンシーになるまで湿ウェブを脱水してパーティクル・ベルトの表面に移動させ、(d)脱水したウェブをパーティクル・ベルトからテクスチャリング布まで真空の補助により移動させて脱水したウェブを布の表面輪郭に成形し、(e)ウェブをテクスチャリング布に支持された状態でヤンキー・ドライヤーの表面に押し付けて、ウェブをヤンキー・ドライヤーの表面に移動させ、(f)ウェブを乾燥及びクレープ加工して、クレープ・ティシュ・シートを形成する、ステップを含む。
【0036】
従来のクレセント・フォーマを図示するが、任意の標準的な湿式フォーマを用いることもできる。より具体的には、ヘッドボックス7は、形成布10とフェルト9が部分的に成形ロール8を包む際に、それらの間に製紙繊維の水性懸濁液を堆積させる。形成布はガイド・ロール12によりガイドされる。本明細書で用いる「フェルト」は、水を吸収してティシュ・ウェブから水を取り除くように設計された吸収性製紙布である。種々の設計の製紙フェルトが当該技術分野において周知されている。
【0037】
新たに形成されたウェブは、フェルトにより、吸引ロール14、パーティクル・ベルト16、及びプレス・ロール19の間に形成された脱水圧搾ニップに運ばれる。圧搾ニップ内で、ティシュ・ウェブはフェルトと不浸透性パーティクル・ベルト16の間で圧縮される際に脱水されて、約30パーセント又はそれ以上、より特定的には約40パーセント又はそれ以上、より特定的には約40乃至約50パーセント、さらにより特定的には約45乃至約50パーセントのコンシステンシーになる。本明細書で用い、当技術分野で十分に理解されている「コンシステンシー」とは、繊維に基づくウェブの絶対乾燥重量パーセントを指す。脱水を完遂するために湿ウェブに加える圧縮のレベルは、本発明による軽量ティシュ・ウェブを製造する場合には有利により高くすることができる。
【0038】
本明細書で用いる「パーティクル・ベルト」とは、それがなければ平滑な表面に多数の小さな孔及び隆起を有する水不浸透性又は実質的に水不浸透性の移送ベルトであり、その孔はベルト製造時に予めベルト材料に埋め込まれた粒子又は気泡の除去により形成される。孔の寸法及び分布は様々に変化させることができるが、これらの小孔の急勾配の側壁角度及び寸法は、それらの中に液体水が浸入できない(ハスの葉と同様の物理現象)ので、ベルト表面の完全な濡れを防止すると考えられる。孔の存在はまた、ベルトの表面と湿ウェブの間に同伴空気をもたらす。空気又は蒸気の存在は、ウェブとベルトの表面との間で水膜の崩壊を助長して、ウェブとベルト表面の間の付着のレベルを低くする。さらに、パーティクル・ベルトは、古い孔が磨耗するに従い粒子が露出し脱落して新たな孔が形成されるので、溝付きベルトに付随する磨耗問題の影響を受けにくい。このようなパーティクル・ベルトの例は、引用により本明細書に組み入れられる、Elkund他による、1994年3月29日発行の「Transfer Belt in a Press Nip Closed Draw Transfer」と題する特許文献3に説明されている。
【0039】
圧搾ニップを出た後、シートは不浸透性パーティクル・ベルト上に留まり、次いで真空スロット41を含んだ真空ロール23の補助によりテクスチャリング布22に移送される。圧搾ニップの張力はロール18の位置で調整することができる。随意的な成形ボックス25を用いて、ウェブのテクスチャリング布への付加的な成形をもたらすことができる。
【0040】
本明細書で用いる「テクスチャリング布」とは三次元製紙布であり、具体的には、脱水されたシートがその表面に適合するように成形されるとき、上述のようにティシュ・シート内にうね及び谷を形成することができる形態を有する織られた製紙布である。より具体的には、テクスチャリング布とは、谷により離間された実質的に連続の縦方向波状起伏を有するテクスチャ形成されたシート接触面を有する織られた製紙布であり、この波状起伏は束ねられた多数の縦ストランドで形成され、1つ又はそれ以上の直径を有する多数の横ストランドにより支持されるものであり、ここで波状起伏の幅は約1乃至約5ミリメートルであり、より特定的には約1.3乃至約3ミリメートルであり、さらにより特定的には約1.9乃至約2.4ミリメートルである。布の幅方向における波状起伏の出現頻度は、1センチメートル毎に約0.5乃至約8個、より特定的には約3.2乃至約7.9個、さらにより特定的には1センチメートル毎に約4.2乃至約5.3個である。波状チャネルの深さは、布の最上面からティシュ・ウェブが接触可能な最下の可視布ナックルまでのz方向の距離であるが、約0.2乃至約1.6ミリメートル、より特定的には約0.7乃至約1.1ミリメートル、さらにより特定的には約0.8乃至約1ミリメートルとすることができる。本明細書の目的に関して、「ナックル」とは、縦ストランドと横ストランドの重なりで形成される構造体である。製紙布技術分野の当業者であれば、図示した布の変形物を用いて所望の形態及びウェブ繊維支持を実現できることを認識するであろう。
【0041】
パーティクル・ベルトからテクスチャリング布へのティシュ・ウェブの移送を遂行するのに用いる真空のレベルは、テクスチャリング布の性質に依存することになる。ピックアップにおける真空(真空移送ロール)は、移送ベルトからテクスチャリング布への軽量ティシュ・ウェブの移送に対して、より重い等級の紙に対するよりも、遥かに重要な役割を果たす。湿ウェブの引張強度は非常に低いので、移送はベルトと布とが分離する前に完了しなくてはならず、そうでなければウェブは損傷することになる。一方、より重量の大きな紙ウェブの場合には、適度な真空(20kPa)で短時間のマイクロ引張においてさえ、移送を完遂するのに十分な濡れ強度を有する。軽量ティシュ・ウェブの場合には、ティシュの下の蒸気を急速に膨張させてウェブをベルトから押し離して布が分離する前にウェブを布に移行させるのに、加える真空は遥かにより強力にする必要がある。他方で、真空は移送後のシートにピンホールを生じさせるほどに強くすることはできない。
【0042】
テクスチャリング布へのウェブの移送は、「ラッシュ」移送又は「ドロー」移送を含むことができる。テクスチャリング布の性質に応じて、ラッシュ移送はより高いシート・キャリパの生成を助長することができる。用いられる場合、ラッシュ移送のレベルは約5パーセント又はそれ以下とすることができる。
【0043】
テクスチャリング布に支持された状態で、ウェブはプレス・ロール24によりヤンキー・ドライヤー27の表面に移送され、その後ウェブは乾燥され、ドクター・ブレード21によりクレープ加工される。さらにヤンキー・ドライヤー・フード30及びクレープ加工接着剤スプレー・アプリケータ31を図示する。結果として得られるクレープ・ウェブ32は、その後巻かれて親ロール(図示せず)となり、必要に応じて最終製品形態に変えられて包装される。
【0044】
上記の方法を連続的な商業ベースで実施する場合、特に布に最小量の水(約3gsm又はそれ以下)を残す方法を用いた布の洗浄は特に有益であり得る。好適な布洗浄方法には、エア・ジェット、熱洗浄、洗浄がより容易なコーティング布、及び高圧水ジェットが含まれる。
【0045】
図9は、本発明のティシュ・シート製造用のテクスチャリング布として有用な製紙布のシート接触面の平面写真であり、本発明のティシュ・シート内の縦方向うねを生成する、離間された連続的又は実質的に連続的な縦方向構造体を示す。図9は、織パターンと、布のうねが個々の縦ストランドよりも高く且つ広い深い波状構造体を作成するのに用いられた3つの異なる直径の横糸の特定の位置とを示す。布は、布のシート接触面と布の縦側面との両方に全ての縦糸及び横糸が関与する単層構造体である。波状チャネルの深さは0.967mm、即ち縦糸直径と加重平均横糸直径の組合せの293%である。本発明の目的に関して、布はサンディング加工することができる。そのような形態の布の場合、接触面積は典型的には15乃至30%に及び、従ってサンディング加工はドライヤーに堅く押し付けられるティシュの量を増加させることにより、乾燥効率を向上させることになる。
【0046】
図10は、本発明のティシュ・シート製造用のテクスチャリング布として有用な別の製紙布のシート接触面の平面写真である。構造体には1つの横糸直径のみが現れており、結果として得られる波状チャネルの深さは0.72mm、即ち縦糸直径と加重平均横糸直径の組合せの218%である。
【0047】
図11は、本発明のティシュ・シート製造用のテクスチャリング布として有用な別の製紙布のシート接触面の平面写真である。構造体には2つの異なる横糸直径が現れており、ティシュの大型うねを生成する布波状起伏は縦方向に平行である。
【0048】
図12は、別の好適なテクスチャリング布のティシュ接触面の平面写真であり、傾いた波状構造体を示す。布の波状起伏は実質的に連続で、不連続ではなく、束ねられた多数の縦ストランドで構成され、3つの異なる直径の多数の横ストランドにより支持される。同様の構造体は、1つ又はそれ以上の直径の横ストランドを用いて構築することができる。縦ストランドは実質的に縦方向に配置され、個々の縦ストランドの各々は波状起伏の構造と谷の構造との両方に関与する。布のうね及び谷は、シートの真の縦方向に対して約5度の角度で配置される。角度は織構造とピック数の両方の関数である。クレープ・ティシュ製造プロセス用の圧痕布又は通気乾燥布として用いられる場合には、結果として得られるティシュのうね及び谷の角度は、ヤンキー・ドライヤーとリールの間の速度差のために、縮小する可能性がある。縮小した角度は、引用により本明細書に組み入れられる、1998年11月10日発行の「System for Making Absorbent Paper Products」と題する特許文献4に記載されているように算出することができる。一例として、ウェブがヤンキー速度よりも20%遅い速度で巻き取られるクレープ加工プロセスに関して、結果として得られるヤンキー側のティシュうねの縮小角度は、図12に示す布に対しては12度となる。
【0049】
図13は、本発明のティシュ・シート製造用のテクスチャリング布として有用な別の製紙布のティシュ接触面の平面写真であり、織パターンと、深い波状起伏構造体を生成するのに用いられる直径の異なる横糸の特定の位置とを示す。布の波状起伏は実質的に連続であるが、縦方向に対して僅かな角度(15度まで)に沿って整列する。波状起伏は個々の縦ストランドよりも高く幅広く、縦ストランドは実質的に縦方向に配置されるので、個々の縦ストランドは布の波状起伏と布の谷との両方に関与する。布の波状起伏の角度は、幅方向の移動により規則的に方向を反転し、ティシュの美観を高めること又はティシュの隣接する層が波状構造体に沿って入れ子状に重なる傾向を減らすことができる波状起伏の外観を作り出す。クレープ加工用途の場合、波状起伏はまた、ヤンキー・ドライヤー表面に沿ってティシュ・ウェブが付着する位置を互い違いにする機能を果たす。図示した布において、波状起伏は、波状起伏間の幅方向の間隔のほぼ半分を横切った後で方向を反転させる。
【0050】
図14は、図13のテクスチャリング布を用いて製造された、縦方向に延びる波状の大型うねを有する本発明のティシュ・シートの平面拡大写真である。
【実施例1】
【0051】
図1乃至図7に示した本発明によるティシュ・シートは、図8に関連して上述したプロセスを用いて製造した。具体的には、クレセント・フォーマを用いて13.8gsmの軽量紙シートを作成した。完成紙料は北方軟材とユーカリ材繊維の30:70の配合物であった。ヤンキー・ドライヤーにおける抄紙機速度は800メートル/分であった。湿ティシュ・ウェブはフェルトに移送され、真空により部分的に脱水されて固形物約25%のコンシステンシーにされた。次いでウェブは拡張ニップ圧搾により、600kNt/mの荷重においてピーク圧力6MPaで圧縮脱水された。フェルト及びウェブは、約3マイクロメートルの粗さを有するAlbany LAパーティクル移送ベルトと類似の平滑なベルトに押し付けられた。プレスから出た後、ウェブは移送ベルトに付着した。ベルト及びウェブはプレス・ロールの周りを移動し、次いで、図9に示したテクスチャリング布に接触したが、このテクスチャリング布はサンディング加工してその後のヤンキー・ドライヤー表面との接触面積を向上するようにしたものである。推定された接触面積は1.7MPa荷重下で約30%であった。プレスから真空ロールまでの距離は約4メートルであった。テクスチャリング布は真空ロールと接触した後、約25mmの距離にわたり移送ベルト及びティシュ・ウェブと接触した。布と移送ベルトが分離する直前に、約30kPaの高真空レベルが、真空ロールの内部から与えられてウェブを移送ベルトからテクスチャリング布へ移行させた。ウェブが布に移行する時点で5%のラッシュ移送があったが、この速度差は随意的なものである。ウェブ及び布は一体となってヤンキー・ドライヤーの加圧ロールまで移動し、そこで成形ウェブはヤンキー・ドライヤーの表面に押し付けられた。ウェブは、加圧ロールの前のヤンキー表面にスプレーされた接着剤の補助によりヤンキーに付着した。ウェブは乾燥及びクレープ加工されて含水率1−2%となり、ヤンキー速度よりも20%遅い速度で巻き取られた。
【0052】
結果として得られたティシュ・シートの物理特性は以下の通りであった。



ティシュ・シートはカレンダ加工により2プライのトイレットペーパーに加工され、良好な柔らかさを呈した。
【実施例2】
【0053】
ティシュ・シートは、概ね実施例1において説明したように製造したが、但し、ヤンキー・ドライヤーにおける抄紙速度は1000m/分とし、坪量は1プライの最終製品を目標とした。ドライヤーにおける坪量は22.0gsmであり、真空ロールの内部に加えられた真空レベルは40kPaであった。テクスチャリング布は図9のものと同じ型であった。
【0054】
結果として得られたティシュ・シートの物理特性は以下の通りであった。


【実施例3】
【0055】
ティシュ・シートは、概ね実施例1において説明したように製造したが、但し、ヤンキー・ドライヤーにおける抄紙速度は1000m/分でとし、テクスチャリング布は図13と同じ型のものとした。ドライヤーにおける坪量は13.7gsmであった。ウェブの布への移送時に3%のラッシュ移送があった。結果として得られたティシュは、図14に示したものと同じであった。
【0056】
結果として得られたティシュ・シートの物理特性は以下の通りであった。


【実施例4】
【0057】
ティシュ・シートは、概ね実施例1において説明したように製造したが、但しヤンキー・ドライヤーにおける抄紙速度は600m/分とした。ドライヤーにおける坪量は14.5gsmであった。ウェブの布への移送時に5%のラッシュ移送があった。
【0058】
結果として得られたティシュ・シートの物理特性は以下の通りであった。


【0059】
次に、最終製品においてベースシートの布に面する面が互いに向き合うように、ベースシートを同じ特性の別のロールと重ね合わせることにより、ベースシートを2プライのトイレットペーパー・ロールに加工した。2プライ製品は635ミクロン(0.025インチ)の間隔を空けたスチール・ローラを用いてカレンダ加工し、直径43mmのコアに巻き付けた。この製品は、消費者テストにおいて、既存の市販のトイレットペーパー製品よりも好まれた。結果として得られた完成製品の物理特性は以下の通りであった。


【0060】
上記の実施例は、例証のために与えられたものであり、添付の特許請求の範囲及びその全ての均等物により定められる本発明の範囲を限定するものと解釈されるべきではないことを認識されたい。
【符号の説明】
【0061】
1:大型うね
2:波状谷
3:小型うね
4:ヤンキー接触面の表面境界
5:布側の表面境界
7:ヘッドボックス
8:形成ロール
9:フェルト
10:形成布
12:ガイド・ロール
14:吸引ロール
16:パーティクル・ベルト
18:ロール
19:プレス・ロール
21:ドクター・ブレード
22:テクスチャリング布
23:真空ロール
24:プレス・ロール
25:成形ボックス
27:ヤンキー・ドライヤー
30:ヤンキー・ドライヤー・フード
31:クレープ加工接着剤スプレー・アプリケータ
32:クレープ・ウェブ
41:真空スロット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
縦方向及び幅方向を有する製紙繊維のクレープ加工された湿式圧搾ティシュ・シートであって、
前記ティッシュ・シートは、該シートの前記縦方向に延びる連続的な単平面の大型うねにより離間された連続的な波状の谷を有し、
前記大型うねは、前記波状の谷の繊維密度に比べて低い繊維密度を有する、
ことを特徴とするティシュ・シート。
【請求項2】
縦方向及び幅方向を有する製紙繊維のクレープ加工された湿式圧搾ティシュ・シートであって、
前記ティッシュ・シートは、該シートの前記縦方向に延びる連続的な単平面の大型うねにより離間された小型うねの連続的な波状の谷を有し、
前記大型うねの平均厚さの前記小型うねの平均厚さに対する比は、約1.5又はそれ以上である、
ことを特徴とするティシュ・シート。
【請求項3】
前記単平面のうねの前記繊維密度は、前記波状の谷の前記繊維密度よりも小さいことを特徴とする、請求項2に記載のティシュ・シート。
【請求項4】
前記大型うねは前記シートの前記縦方向に平行であることを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載のティシュ・シート。
【請求項5】
前記大型うねは、前記シートの前記縦方向に対して0乃至約±15度の角度で配置されることを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載のティシュ・シート。
【請求項6】
前記大型うねは、前記シートの前記縦方向に対して0乃至約±10度の角度で配置されることを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載のティシュ・シート。
【請求項7】
前記大型うねは、前記シートの前記縦方向に対して0乃至約±5度の角度で配置されることを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載のティシュ・シート。
【請求項8】
前記大型うねの前記平均厚さの前記小型うねの前記厚さに対する比は、約1.5乃至約6であることを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載のティシュ・シート。
【請求項9】
前記大型うねの前記平均厚さの前記小型うねの前記厚さに対する比は、約1.5乃至約5であることを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載のティシュ・シート。
【請求項10】
前記大型うねの前記平均厚さの前記小型うねの前記厚さに対する比は、約1.5乃至約4であることを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載のティシュ・シート。
【請求項11】
前記大型うねの前記平均厚さの前記小型うねの前記厚さに対する比は、約1.5乃至約3であることを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載のティシュ・シート。
【請求項12】
前記大型うねの前記平均厚さの前記小型うねの前記厚さに対する比は、約2乃至約3であることを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載のティシュ・シート。
【請求項13】
前記大型うねの幅は前記谷の幅よりも小さいことを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載のティシュ・シート。
【請求項14】
前記大型うねの幅は約0.5乃至約1.5ミリメートルであることを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載のティシュ・シート。
【請求項15】
前記大型うねの頂点間で測った間隔は、約0.5乃至約4ミリメートルであることを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載のティシュ・シート。
【請求項16】
前記谷の前記幅は約0.5乃至約2.5ミリメートルであることを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載のティシュ・シート。
【請求項17】
前記小型うねの頂点間で測った前記縦方向の間隔は、約0.2乃至約1ミリメートルとすることができることを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載のティシュ・シート。
【請求項18】
前記小型うねの高さは約0.05乃至約0.5ミリメートルであることを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載のティシュ・シート。
【請求項19】
坪量が1平方メートル当り約10乃至約40グラムであることを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載のティシュ・シート。
【請求項20】
嵩が1グラム当り約10乃至約20立方センチメートルであることを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載のティシュ・シート。

【図1】
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【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公表番号】特表2010−507734(P2010−507734A)
【公表日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−533993(P2009−533993)
【出願日】平成19年8月14日(2007.8.14)
【国際出願番号】PCT/IB2007/053230
【国際公開番号】WO2008/050246
【国際公開日】平成20年5月2日(2008.5.2)
【出願人】(504460441)キンバリー クラーク ワールドワイド インコーポレイテッド (396)
【Fターム(参考)】