成形装置および成形方法
【課題】ディスクゲート式の成形装置において、成形型10内でディスクゲート部分をカットできるようにし、もって、例えば、強化繊維が配合されてなる樹脂材料を用いて歯車や軸受などの成形品を成形する場合に、後加工でのゲートカットに起因する製造コストの上昇を招くことなく、精度の高い成形品を成形できるようにする。
【解決手段】ランナ22に向かって進退移動可能なランナロックピン53上に、ゲートカットスリーブ63を該ランナロックピン53に対し相対移動可能に套嵌し、このゲートカットスリーブ63を前進移動させて成形型10内におけるキャビティ10aとランナ22との間のディスクゲートを遮断するようにする。
【解決手段】ランナ22に向かって進退移動可能なランナロックピン53上に、ゲートカットスリーブ63を該ランナロックピン53に対し相対移動可能に套嵌し、このゲートカットスリーブ63を前進移動させて成形型10内におけるキャビティ10aとランナ22との間のディスクゲートを遮断するようにする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディスクゲート式の成形装置に関し、特に成形型内でゲートカットできるようにする対策に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、強化繊維が配合されてなる樹脂材料を用いて歯車や軸受などを成形する場合には、ピンゲート式の成形装置を用いると、図11に例示するように、ウエルド部分が生じることから、そのウエルド部分と他の部分とで強化繊維の配向方向が異なるようになり、この結果、各部分で収縮率が異なって精度が低下することになる。
【0003】
そこで、ピンゲート式の成形装置に代えて、ランナなどの注入孔の先端部と、キャビティとを円環状のゲートを経由して連通させるようにしたディスクゲート式の成形装置を用いることが考えられる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のディスクゲート式の成形装置では、成形後、後加工によりゲート部分を切削除去しなければならず、したがって、その分だけ、製造コストが高くなるという問題がある。
【0005】
本発明は斯かる点に鑑みてなされたものであり、その主な目的は、ディスクゲート式の成形装置において、成形型内でゲート部分をカットできるようにし、もって、例えば、強化繊維が配合されてなる樹脂材料を用いて歯車や軸受などの成形品を成形する場合に、製造コストの上昇を招くことなく、精度の高い成形品を成形できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成すべく、本発明では、ディスクゲートを経由してキャビティに連通するランナなどの注入孔内の樹脂材料に食い込ませるためのロックピンに対し、ゲートカットスリーブを相対移動可能に外嵌合状態に設け、このゲートカットピンを前進移動させることにより上記ディスクゲートを遮断するようにした。
【0007】
具体的には、本発明では、樹脂材料を注入するための注入孔を有する固定側型部材と、この固定側型部材との間に上記注入孔の先端から放射状に拡がるキャビティを形成するように設けられた可動側型部材と、上記キャビティに対し進退移動可能に設けられていて、前進移動することにより該キャビティ内の成形品を上記可動側型部材から突き出すエジェクタピンと、上記注入孔に対し進退移動可能に設けられていて、前進移動することにより該注入孔内の樹脂部分を係止するロックピンとを備えた成形装置を前提としている。
【0008】
そして、上記ロックピン上に該ロックピンに対し相対移動可能に外嵌合されていて、後退移動することにより上記注入孔と上記キャビティとの間に円環状のディスクゲートを形成する一方、前進移動することにより上記ディスクゲートを遮断するゲートカットスリーブを備えるようにする。
【0009】
尚、上記の構成において、可動側型部材に対し相対移動可能に設けられた第1エジェクタ部材と、可動側型部材と第1エジェクタ部材との間に配置されていて、該可動側型部材に対し相対移動可能に設けられた第2エジェクタ部材とを備えるようにし、その上で、エジェクタピンおよびロックピンを、第1エジェクタ部材に連結する一方、ゲートカットスリーブを、第2エジェクタプレート部材に連結するようにすることができる。
【0010】
その場合に、第1エジェクタ部材を、ロックピンが注入孔内の樹脂材料部分に食い込むように該ロックピンを前進移動させるロック位置と、ゲートカットスリーブがディスクゲートを遮断するように第2エジェクタ部材を押圧移動させるゲートカット位置と、エジェクタピンが成形品を突き出すように該エジェクタピンを前進移動させる突出位置との間を段階的に移動するように設けることができる。
【0011】
また、上記のように構成された成形装置は、樹脂材料が強化繊維を含有してなるものである場合に好適である。
【0012】
また、上記のように構成された成形装置を用いて成形品を成形する方法としては、固定側型部材と可動側型部材とを型締めし、ゲートカットスリーブをロックピンに対し後退移動させてディスクゲートを形成し、注入孔およびディスクゲートを経由してキャビティ内に樹脂材料を注入し、ロックピンをゲートカットスリーブに対し前進移動させて該ロックピンに注入孔内の樹脂材料部分を係止させ、ゲートカットスリーブをロックピンに対し前進移動させてディスクゲートを遮断し、固定側型部材と可動側型部材とを型開きし、エジェクタピンを前進移動させてキャビティ内の成形品を突き出し、ロックピンをゲートカットスリーブに対し後退移動させて上記樹脂材料部分を除去するようにすることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、樹脂材料を注入するための注入孔を有する固定側型部材と、この固定側型部材との間に上記注入孔の先端部外周に全周に亘って連通するキャビティを形成するように設けられた可動側型部材と、上記キャビティに対し進退移動可能に設けられ、前進移動することにより該キャビティ内の成形品を可動側型部材から突き出すエジェクタピンと、上記注入孔に対し進退移動可能に設けられ、前進移動することにより該注入孔内の樹脂部分を係止するロックピンとを備えた成形装置において、上記ロックピン上のゲートカットスリーブを後退移動させることで上記注入孔の先端部外周とキャビティとの間に形成された円環状のディスクゲートに対し、上記ゲートカットスリーブを前進移動させることで上記ディスクゲートを遮断することができるので、ディスクゲート式の成形装置でありながら、成形型内でゲートカットすることができ、よって、製造コストの上昇を招くことなく、高精度の成形品を製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態を、図面に基づいて説明する。
【0015】
図2は、本発明の実施形態に係る成形装置の全体構成を示しており、この成形装置は、固定側型部材としての固定側型板20および可動側型部材としての可動側型板30を有する成形型10と、この成形型10を型締めする型締機構100とを備えていて、熱可塑性樹脂に強化繊維が配合されてなる樹脂材料を用いて歯車を成形するために使用される。
【0016】
型締機構100は、固定側型板20が取り付けられる固定側取付板110と、可動側型板30が取り付けられる可動側取付板120と、この可動側取付板120を固定側取付板110に向かって進退移動させる押圧機構(図示せず)と、可動側型板30から成形品を突き出すなどのためのエジェクタロッド130とを有する。固定側取付板110には、成形型10のキャビティ10a内に樹脂材料を注入する注入機構(図示せず)のノズルが接合されるスプルーブッシュ111と、このスプルーブッシュ111に対する上記ノズルの接合を適正化するためのロケートリング112とが取り付けられている。
【0017】
成形型10の固定側型板20には、ガイドピンブッシュ21と、スプルーブッシュ111の注入孔をキャビティ10aに連通させるランナ22とが設けられている。また、固定側型板20内には、冷却水通路23が設けられている。
【0018】
一方、可動側型板30は、スペーサブロック40および受け板41を介して型締機構100の可動側取付板120に取り付けられている。可動側型板30には、固定側型板20のガイドピンブッシュ21に嵌挿するガイドピン31が突設されているとともに、内部には冷却水通路32が設けられている。また、可動側型板30には、第1および第2の2つのガイド孔33,34が設けられている。
【0019】
型締機構100における可動側取付板120と受け板41との間には、可動側取付板120の側(図2の下側)に配置された第1エジェクタ部材としての第1エジェクタプレート50と、受け板41の側(同図の上側)に配置された第2エジェクタ部材としての第2エジェクタプレート60とが配置されているが配置されている。第1エジェクタプレート50は、第2エジェクタプレート60の側に配置されたアッパプレート50aと、可動側取付板120の側に配置されていてアッパプレート50aに重ね合わされたロアプレート50bとからなっている。この第1エジェクタプレート50は、型締機構100のエジェクタロッド130に連結されていて、該エジェクタロッド130の作動により可動側型板30に向かって進退移動するようになっている。
【0020】
第1エジェクタプレート50には、第1ガイドピン51が移動一体に設けられている。この第1ガイドピン51は、受け板41を貫通して可動側型板30の第1ガイド孔33に摺動可能に嵌挿されており、このことで、可動側取付板120上の可動側型板30に対し、第1エジェクタプレート50が型締方向において移動可能に案内されるようになっている。第1ガイドピン51上には、第1圧縮コイルばね52が套嵌されている。この第1圧縮コイルばね52は、第1エジェクタプレート50と可動側型板30との間に圧縮された状態に介装されており、このことで、第1エジェクタプレート50は、可動側型板30から離間する方向(図2の下方向)に向かって常時付勢されている。
【0021】
また、第1エジェクタプレート50には、ランナロックピン53が移動一体に設けられている。このランナロックピン53は、第2エジェクタプレート60,受け板41および可動側型板30を順に貫通しており、その先端部は、アンダーカットされている。そして、型締状態で樹脂材料が注入されるときに第1エジェクタプレート50が前進移動することにより、先端部がランナ22内の樹脂材料部分(以下、ランナ部分rという)に食い込むようになっている。
【0022】
第1エジェクタプレート50には、エジェクタピン54が設けられている。このエジェクタピン54は、第2エジェクタプレート60,受け板41および可動側型板30を順に貫通していて、キャビティ10aの一部に対し進退移動可能に設けられている。また、エジェクタピン54は、第1エジェクタプレート50のロアプレート50bをも貫通していて、第1エジェクタプレート50に対し、その端部をロアプレート50bから可動側取付板120の側に向かって突出させる位置と、その端部端面をロアプレート50bにおける可動側取付板120の側の表面と面一にする位置との間で相対移動可能に設けられている。そして、型開き状態のときに第1エジェクタプレート50が前進移動することにより、成形品mを可動側型板30から突き出すようになっている。
【0023】
一方、第2エジェクタプレート60は、受け板41の側に配置されたアッパプレート60aと、第1エジェクタプレート50の側に配置されていて、アッパプレート60aに重ね合わされたロアプレート60bとからなっている。この第2エジェクタプレート60には、第2ガイドピン61が受け板41の側に向かって突出するように設けられている。この第2ガイドピン61は、受け板41を貫通して可動側型板30の第2ガイド孔34に摺動可能に挿通されており、このことで、可動側取付板120上の可動側型板30に対し、第2エジェクタプレート60が型締方向において移動可能に案内されている。また、第2ガイドピン61上には、第2圧縮コイルばね62が套嵌されている。この第2圧縮コイルばね62は、第2エジェクタプレート60と受け板41との間に圧縮状態に介装されており、このことで、第2エジェクタプレート60は、可動側型板30から離間する方向に向かって常時付勢されている。
【0024】
上記の第2エジェクタプレート60には、ゲートカットスリーブ63が移動一体に設けられている。このゲートカットスリーブ63は、ランナロックピン53上に外嵌合された状態の長寸円筒状をなしていて、受け板41および可動側型板30を順に貫通しており、その先端面は、半径方向外方に向かって突出量が漸次多くなる漏斗形状をなしていて、型締状態で樹脂材料が注入されるときに、第2エジェクタプレート60が後退移動していることによりランナ22とキャビティ10aとの間の円環状の連通路を円環状のゲートに形成する一方、第2エジェクタプレート60が前進移動することにより先端外周面がランナ22の先端内壁面に摺接して上記ゲートを遮断するようになっている。
【0025】
そして、型締機構100は、ランナロックピン53がランナ22内のランナ部分rに食い込むように該ランナロックピン53を前進移動させるランナロック位置(図4参照)と、ゲートカットスリーブ63がディスクゲートを遮断するように第2エジェクタプレート60を押圧移動させるゲートカット位置(図5参照)と、エジェクタピン54が成形品mを突き出すように該エジェクタピン54を前進移動させる突出位置(図7又は図9参照)との間で第1エジェクタプレート50を段階的に移動させるように設けられている
次に、上記のように構成された成形装置の作動を、図3〜図9に基づいて段階的に説明する。
〔1〕射出
図3(a)に示すように、型締機構100のエジェクタロッド130が後退していて該型締機構100の型締ラムの前進移動により可動側型板30が固定側型板20に押圧される型締位置に位置付けられている状態で、射出機構のノズルが固定側取付板110のスプルーブッシュ111に押し当てられて、成形型10内に樹脂材料が注入される。
【0026】
このとき、第1および第2エジェクタプレート50,60は、共に、各後退端に位置しており、これに伴い、同図(b)に示すように、ゲートカットスリーブ63の先端部は、ランナ22とキャビティ10aとの間の円環状のゲートを開放する位置に位置しており、ランナロックピン53の先端部は、ゲートカットスリーブ63内に待避している。
〔2〕ランナロック
型締機構100のエジェクタロッド130が前進移動し、これにより、図4(a)に示すように、第1エジェクタプレート50が第2エジェクタプレート60に当接する位置(ランナロック位置)に前進移動する。このとき、第2エジェクタプレート60は、第1エジェクタプレート50に当接されるだけであり、押圧はされない。
【0027】
これにより、ランナロックピン53は、同図(b)に示すように、樹脂材料のランナ部分rに先端部を食い込ませる位置に前進移動する。このとき、ゲートカットスリーブ63は未だ進退移動を停止したままである。
〔3〕ゲートカット
型締機構100のエジェクタロッド130が僅かに前進移動し、これにより、図5(a)に示すように、第1エジェクタプレート50が第2エジェクタプレート60を僅かに押圧する。
【0028】
これにより、同図(b)に示すように、ゲートカットスリーブ63の先端部が円環状のゲートを遮断するゲートカット位置に前進移動し、このことで、ランナ部分rがキャビティ10a内の成形品mからカットされる。このとき、ランナロックピン53の先端部は、ゲートカットスリーブ63の先端部と同じ距離だけ前進移動する。
〔4〕型開き
型締機構100の型締ラムが後退移動し、このことで、図6(a)に示すように、可動側型板30が固定側型板20から離間する。
【0029】
このとき、可動側型板30に対し、ゲートカットスリーブ63およびランナロックピン53の各先端部の進退移動は行われない。
〔5〕突出し
型締機構100のエジェクタロッド130が大きく前進移動し、これにより、図7(a)に示すように、第1エジェクタプレート50が第2エジェクタプレート60を押圧しつつ前進移動して、第1エジェクタプレート50を突出位置に位置付ける。これに伴い、第2エジェクタプレート60は、第1エジェクタプレート50に押圧移動せしめられて前進端に位置付けられる。これにより、エジェクタピン54が前進移動して成形品mおよびランナ部分rを可動側型板30から突き出す。
【0030】
このとき、同図(b)に示すように、ゲートカットスリーブ63およびランナロックピン53も共に前進移動する。また、ランナ部分rは、既に成形品mからカットされているが、ランナロックピン53の先端部に食い込まれた状態のままである。
〔6〕ランナ除去
型締機構100のエジェクタロッド130が後退移動し、これにより、図8(a)に示すように、第1および第2エジェクタプレート50,60が共に後退移動する。
【0031】
このとき、第1エジェクタプレート50が可動側取付板120に当接する位置まで後退移動し、このことで、同図(b)に示すように、ランナロックピン53の先端部が、ゲートカットスリーブ63内に退入してランナ部分rから抜け出るので、該ランナ部分rは自然落下する。
〔7〕取出し
型締機構100のエジェクタロッド130が再び前進移動し、これにより、図9(a)に示すように、第1エジェクタプレート50が前進移動して再び突出位置に位置付けられる。これに伴い、第2エジェクタプレート60は、第1エジェクタプレート50に押圧移動せしめられて再び前進端に位置付けられる。これにより、エジェクタピン54およびゲートカットスリーブ63が共に前進移動し、これにより、ランナ部分rの除去された状態の成形品mが突き出される。この成形品mは、図外のロボットにより成形装置から取り出されることとなる。
【0032】
ここで、上記のようにディスクゲート式の成形装置により成形された成形品mとしての歯車における強化繊維の配向状態と、6点ピンゲート式の成形装置により成形された歯車における強化繊維の配向状態とを対比する。但し、ディスクゲート式の場合の歯車は、歯先円直径が73mm,モジュールが1.5,強化繊維種がGF(ガラス繊維),その配合率が50%のものであり、一方、6点ピンゲート式の場合の歯車は、歯先円直径が64mm,モジュールが1.75,強化繊維種がCF(カーボン繊維),その配合率が15%のものである。
【0033】
先ず、強化繊維の配向状態については、ディスクゲート式の場合では、図10に模式的に示すように、強化繊維は、略放射状に配向している。これに対し、6点ピンゲート式の場合では、図11に模式的に示すように、略周方向に配向しているものの、ウエルド部分では、半径方向に変化しており、全体として均一な配向が得られていないことが判る。
【0034】
次に、上記2つの歯車について、マタギ歯厚誤差,歯先円直径誤差,歯溝の振れ(各単位は共にmm)を測定した結果を、次表に併せて示す。
【0035】
【表1】
上記の表から、ディスクゲート式の場合には、6点ピンポイント式の場合よりも高い精度の歯車を成形できることが判る。
【0036】
したがって、本実施形態によれば、強化繊維が配合されてなる熱可塑性樹脂材料を用いて歯車を成形する際に、ゲートカットスリーブ63を前進移動させることで成形型内においてディスクゲートをカットすることができるので、強化繊維の配向状態の良好な歯車を、後加工によるゲートカットがない分だけ低い製造コストで得ることができる。
【0037】
尚、上記の実施形態では、強化繊維が配合されてなる熱可塑性樹脂材料を用いて歯車を形成する場合について説明しているが、本発明は、任意の樹脂材料を用いて任意の成形品を成形する場合に適用することができる。
【0038】
また、上記の実施形態では、ディスクゲートがランナ22とキャビティ10aとの間の連通路に形成される場合について説明しているが、本発明は、ディスクゲートがスプルーとキャビティとの間の連通路に形成される場合にも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の実施形態に係る成形装置の要部を拡大して示す縦断面図である。
【図2】成形装置の全体構成を示す縦断面図である。
【図3】樹脂材料が注入された段階における成形装置の縦断面図(a)および要部の拡大縦断面図(b)である。
【図4】ランナロックピンが前進移動した段階における成形装置の縦断面図(a)および要部の拡大縦断面図(b)である。
【図5】ゲートカットスリーブが前進移動した段階における成形装置の縦断面図(a)および要部の拡大縦断面図(b)である。
【図6】型開きされた段階における成形装置の縦断面図(a)および要部の拡大縦断面図(b)である。
【図7】成形品を一旦突き出す段階における成形装置の縦断面図(a)および要部の拡大縦断面図(b)である。
【図8】カットされたランナ部分をランナロックピンから取り除く段階における成形装置の縦断面図(a)および要部の拡大縦断面図(b)である。
【図9】ランナ部分のカットされた成形品を取り出す段階における成形装置の縦断面図(a)および要部の拡大縦断面図(b)である。
【図10】本実施形態に係る成形装置により成形された歯車における強化繊維の配向状態を模式的に示す平面図である。
【図11】6点ピンゲート式の成形装置により成形された歯車における強化繊維の配向状態を模式的に示す図10相当図である。
【符号の説明】
【0040】
10 成形型
10a キャビティ
20 固定側型板(固定側型部材)
22 ランナ(注入孔)
30 可動側型板(可動側型部材)
50 第1エジェクタプレート(第1エジェクタ部材)
53 ランナロックピン(ロックピン)
54 エジェクタピン
60 第2エジェクタプレート(第2エジェクタ部材)
63 ゲートカットスリーブ(ゲートカット部材)
r ランナ部分(注入孔内の樹脂材料部分)
m 成形品
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディスクゲート式の成形装置に関し、特に成形型内でゲートカットできるようにする対策に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、強化繊維が配合されてなる樹脂材料を用いて歯車や軸受などを成形する場合には、ピンゲート式の成形装置を用いると、図11に例示するように、ウエルド部分が生じることから、そのウエルド部分と他の部分とで強化繊維の配向方向が異なるようになり、この結果、各部分で収縮率が異なって精度が低下することになる。
【0003】
そこで、ピンゲート式の成形装置に代えて、ランナなどの注入孔の先端部と、キャビティとを円環状のゲートを経由して連通させるようにしたディスクゲート式の成形装置を用いることが考えられる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のディスクゲート式の成形装置では、成形後、後加工によりゲート部分を切削除去しなければならず、したがって、その分だけ、製造コストが高くなるという問題がある。
【0005】
本発明は斯かる点に鑑みてなされたものであり、その主な目的は、ディスクゲート式の成形装置において、成形型内でゲート部分をカットできるようにし、もって、例えば、強化繊維が配合されてなる樹脂材料を用いて歯車や軸受などの成形品を成形する場合に、製造コストの上昇を招くことなく、精度の高い成形品を成形できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成すべく、本発明では、ディスクゲートを経由してキャビティに連通するランナなどの注入孔内の樹脂材料に食い込ませるためのロックピンに対し、ゲートカットスリーブを相対移動可能に外嵌合状態に設け、このゲートカットピンを前進移動させることにより上記ディスクゲートを遮断するようにした。
【0007】
具体的には、本発明では、樹脂材料を注入するための注入孔を有する固定側型部材と、この固定側型部材との間に上記注入孔の先端から放射状に拡がるキャビティを形成するように設けられた可動側型部材と、上記キャビティに対し進退移動可能に設けられていて、前進移動することにより該キャビティ内の成形品を上記可動側型部材から突き出すエジェクタピンと、上記注入孔に対し進退移動可能に設けられていて、前進移動することにより該注入孔内の樹脂部分を係止するロックピンとを備えた成形装置を前提としている。
【0008】
そして、上記ロックピン上に該ロックピンに対し相対移動可能に外嵌合されていて、後退移動することにより上記注入孔と上記キャビティとの間に円環状のディスクゲートを形成する一方、前進移動することにより上記ディスクゲートを遮断するゲートカットスリーブを備えるようにする。
【0009】
尚、上記の構成において、可動側型部材に対し相対移動可能に設けられた第1エジェクタ部材と、可動側型部材と第1エジェクタ部材との間に配置されていて、該可動側型部材に対し相対移動可能に設けられた第2エジェクタ部材とを備えるようにし、その上で、エジェクタピンおよびロックピンを、第1エジェクタ部材に連結する一方、ゲートカットスリーブを、第2エジェクタプレート部材に連結するようにすることができる。
【0010】
その場合に、第1エジェクタ部材を、ロックピンが注入孔内の樹脂材料部分に食い込むように該ロックピンを前進移動させるロック位置と、ゲートカットスリーブがディスクゲートを遮断するように第2エジェクタ部材を押圧移動させるゲートカット位置と、エジェクタピンが成形品を突き出すように該エジェクタピンを前進移動させる突出位置との間を段階的に移動するように設けることができる。
【0011】
また、上記のように構成された成形装置は、樹脂材料が強化繊維を含有してなるものである場合に好適である。
【0012】
また、上記のように構成された成形装置を用いて成形品を成形する方法としては、固定側型部材と可動側型部材とを型締めし、ゲートカットスリーブをロックピンに対し後退移動させてディスクゲートを形成し、注入孔およびディスクゲートを経由してキャビティ内に樹脂材料を注入し、ロックピンをゲートカットスリーブに対し前進移動させて該ロックピンに注入孔内の樹脂材料部分を係止させ、ゲートカットスリーブをロックピンに対し前進移動させてディスクゲートを遮断し、固定側型部材と可動側型部材とを型開きし、エジェクタピンを前進移動させてキャビティ内の成形品を突き出し、ロックピンをゲートカットスリーブに対し後退移動させて上記樹脂材料部分を除去するようにすることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、樹脂材料を注入するための注入孔を有する固定側型部材と、この固定側型部材との間に上記注入孔の先端部外周に全周に亘って連通するキャビティを形成するように設けられた可動側型部材と、上記キャビティに対し進退移動可能に設けられ、前進移動することにより該キャビティ内の成形品を可動側型部材から突き出すエジェクタピンと、上記注入孔に対し進退移動可能に設けられ、前進移動することにより該注入孔内の樹脂部分を係止するロックピンとを備えた成形装置において、上記ロックピン上のゲートカットスリーブを後退移動させることで上記注入孔の先端部外周とキャビティとの間に形成された円環状のディスクゲートに対し、上記ゲートカットスリーブを前進移動させることで上記ディスクゲートを遮断することができるので、ディスクゲート式の成形装置でありながら、成形型内でゲートカットすることができ、よって、製造コストの上昇を招くことなく、高精度の成形品を製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態を、図面に基づいて説明する。
【0015】
図2は、本発明の実施形態に係る成形装置の全体構成を示しており、この成形装置は、固定側型部材としての固定側型板20および可動側型部材としての可動側型板30を有する成形型10と、この成形型10を型締めする型締機構100とを備えていて、熱可塑性樹脂に強化繊維が配合されてなる樹脂材料を用いて歯車を成形するために使用される。
【0016】
型締機構100は、固定側型板20が取り付けられる固定側取付板110と、可動側型板30が取り付けられる可動側取付板120と、この可動側取付板120を固定側取付板110に向かって進退移動させる押圧機構(図示せず)と、可動側型板30から成形品を突き出すなどのためのエジェクタロッド130とを有する。固定側取付板110には、成形型10のキャビティ10a内に樹脂材料を注入する注入機構(図示せず)のノズルが接合されるスプルーブッシュ111と、このスプルーブッシュ111に対する上記ノズルの接合を適正化するためのロケートリング112とが取り付けられている。
【0017】
成形型10の固定側型板20には、ガイドピンブッシュ21と、スプルーブッシュ111の注入孔をキャビティ10aに連通させるランナ22とが設けられている。また、固定側型板20内には、冷却水通路23が設けられている。
【0018】
一方、可動側型板30は、スペーサブロック40および受け板41を介して型締機構100の可動側取付板120に取り付けられている。可動側型板30には、固定側型板20のガイドピンブッシュ21に嵌挿するガイドピン31が突設されているとともに、内部には冷却水通路32が設けられている。また、可動側型板30には、第1および第2の2つのガイド孔33,34が設けられている。
【0019】
型締機構100における可動側取付板120と受け板41との間には、可動側取付板120の側(図2の下側)に配置された第1エジェクタ部材としての第1エジェクタプレート50と、受け板41の側(同図の上側)に配置された第2エジェクタ部材としての第2エジェクタプレート60とが配置されているが配置されている。第1エジェクタプレート50は、第2エジェクタプレート60の側に配置されたアッパプレート50aと、可動側取付板120の側に配置されていてアッパプレート50aに重ね合わされたロアプレート50bとからなっている。この第1エジェクタプレート50は、型締機構100のエジェクタロッド130に連結されていて、該エジェクタロッド130の作動により可動側型板30に向かって進退移動するようになっている。
【0020】
第1エジェクタプレート50には、第1ガイドピン51が移動一体に設けられている。この第1ガイドピン51は、受け板41を貫通して可動側型板30の第1ガイド孔33に摺動可能に嵌挿されており、このことで、可動側取付板120上の可動側型板30に対し、第1エジェクタプレート50が型締方向において移動可能に案内されるようになっている。第1ガイドピン51上には、第1圧縮コイルばね52が套嵌されている。この第1圧縮コイルばね52は、第1エジェクタプレート50と可動側型板30との間に圧縮された状態に介装されており、このことで、第1エジェクタプレート50は、可動側型板30から離間する方向(図2の下方向)に向かって常時付勢されている。
【0021】
また、第1エジェクタプレート50には、ランナロックピン53が移動一体に設けられている。このランナロックピン53は、第2エジェクタプレート60,受け板41および可動側型板30を順に貫通しており、その先端部は、アンダーカットされている。そして、型締状態で樹脂材料が注入されるときに第1エジェクタプレート50が前進移動することにより、先端部がランナ22内の樹脂材料部分(以下、ランナ部分rという)に食い込むようになっている。
【0022】
第1エジェクタプレート50には、エジェクタピン54が設けられている。このエジェクタピン54は、第2エジェクタプレート60,受け板41および可動側型板30を順に貫通していて、キャビティ10aの一部に対し進退移動可能に設けられている。また、エジェクタピン54は、第1エジェクタプレート50のロアプレート50bをも貫通していて、第1エジェクタプレート50に対し、その端部をロアプレート50bから可動側取付板120の側に向かって突出させる位置と、その端部端面をロアプレート50bにおける可動側取付板120の側の表面と面一にする位置との間で相対移動可能に設けられている。そして、型開き状態のときに第1エジェクタプレート50が前進移動することにより、成形品mを可動側型板30から突き出すようになっている。
【0023】
一方、第2エジェクタプレート60は、受け板41の側に配置されたアッパプレート60aと、第1エジェクタプレート50の側に配置されていて、アッパプレート60aに重ね合わされたロアプレート60bとからなっている。この第2エジェクタプレート60には、第2ガイドピン61が受け板41の側に向かって突出するように設けられている。この第2ガイドピン61は、受け板41を貫通して可動側型板30の第2ガイド孔34に摺動可能に挿通されており、このことで、可動側取付板120上の可動側型板30に対し、第2エジェクタプレート60が型締方向において移動可能に案内されている。また、第2ガイドピン61上には、第2圧縮コイルばね62が套嵌されている。この第2圧縮コイルばね62は、第2エジェクタプレート60と受け板41との間に圧縮状態に介装されており、このことで、第2エジェクタプレート60は、可動側型板30から離間する方向に向かって常時付勢されている。
【0024】
上記の第2エジェクタプレート60には、ゲートカットスリーブ63が移動一体に設けられている。このゲートカットスリーブ63は、ランナロックピン53上に外嵌合された状態の長寸円筒状をなしていて、受け板41および可動側型板30を順に貫通しており、その先端面は、半径方向外方に向かって突出量が漸次多くなる漏斗形状をなしていて、型締状態で樹脂材料が注入されるときに、第2エジェクタプレート60が後退移動していることによりランナ22とキャビティ10aとの間の円環状の連通路を円環状のゲートに形成する一方、第2エジェクタプレート60が前進移動することにより先端外周面がランナ22の先端内壁面に摺接して上記ゲートを遮断するようになっている。
【0025】
そして、型締機構100は、ランナロックピン53がランナ22内のランナ部分rに食い込むように該ランナロックピン53を前進移動させるランナロック位置(図4参照)と、ゲートカットスリーブ63がディスクゲートを遮断するように第2エジェクタプレート60を押圧移動させるゲートカット位置(図5参照)と、エジェクタピン54が成形品mを突き出すように該エジェクタピン54を前進移動させる突出位置(図7又は図9参照)との間で第1エジェクタプレート50を段階的に移動させるように設けられている
次に、上記のように構成された成形装置の作動を、図3〜図9に基づいて段階的に説明する。
〔1〕射出
図3(a)に示すように、型締機構100のエジェクタロッド130が後退していて該型締機構100の型締ラムの前進移動により可動側型板30が固定側型板20に押圧される型締位置に位置付けられている状態で、射出機構のノズルが固定側取付板110のスプルーブッシュ111に押し当てられて、成形型10内に樹脂材料が注入される。
【0026】
このとき、第1および第2エジェクタプレート50,60は、共に、各後退端に位置しており、これに伴い、同図(b)に示すように、ゲートカットスリーブ63の先端部は、ランナ22とキャビティ10aとの間の円環状のゲートを開放する位置に位置しており、ランナロックピン53の先端部は、ゲートカットスリーブ63内に待避している。
〔2〕ランナロック
型締機構100のエジェクタロッド130が前進移動し、これにより、図4(a)に示すように、第1エジェクタプレート50が第2エジェクタプレート60に当接する位置(ランナロック位置)に前進移動する。このとき、第2エジェクタプレート60は、第1エジェクタプレート50に当接されるだけであり、押圧はされない。
【0027】
これにより、ランナロックピン53は、同図(b)に示すように、樹脂材料のランナ部分rに先端部を食い込ませる位置に前進移動する。このとき、ゲートカットスリーブ63は未だ進退移動を停止したままである。
〔3〕ゲートカット
型締機構100のエジェクタロッド130が僅かに前進移動し、これにより、図5(a)に示すように、第1エジェクタプレート50が第2エジェクタプレート60を僅かに押圧する。
【0028】
これにより、同図(b)に示すように、ゲートカットスリーブ63の先端部が円環状のゲートを遮断するゲートカット位置に前進移動し、このことで、ランナ部分rがキャビティ10a内の成形品mからカットされる。このとき、ランナロックピン53の先端部は、ゲートカットスリーブ63の先端部と同じ距離だけ前進移動する。
〔4〕型開き
型締機構100の型締ラムが後退移動し、このことで、図6(a)に示すように、可動側型板30が固定側型板20から離間する。
【0029】
このとき、可動側型板30に対し、ゲートカットスリーブ63およびランナロックピン53の各先端部の進退移動は行われない。
〔5〕突出し
型締機構100のエジェクタロッド130が大きく前進移動し、これにより、図7(a)に示すように、第1エジェクタプレート50が第2エジェクタプレート60を押圧しつつ前進移動して、第1エジェクタプレート50を突出位置に位置付ける。これに伴い、第2エジェクタプレート60は、第1エジェクタプレート50に押圧移動せしめられて前進端に位置付けられる。これにより、エジェクタピン54が前進移動して成形品mおよびランナ部分rを可動側型板30から突き出す。
【0030】
このとき、同図(b)に示すように、ゲートカットスリーブ63およびランナロックピン53も共に前進移動する。また、ランナ部分rは、既に成形品mからカットされているが、ランナロックピン53の先端部に食い込まれた状態のままである。
〔6〕ランナ除去
型締機構100のエジェクタロッド130が後退移動し、これにより、図8(a)に示すように、第1および第2エジェクタプレート50,60が共に後退移動する。
【0031】
このとき、第1エジェクタプレート50が可動側取付板120に当接する位置まで後退移動し、このことで、同図(b)に示すように、ランナロックピン53の先端部が、ゲートカットスリーブ63内に退入してランナ部分rから抜け出るので、該ランナ部分rは自然落下する。
〔7〕取出し
型締機構100のエジェクタロッド130が再び前進移動し、これにより、図9(a)に示すように、第1エジェクタプレート50が前進移動して再び突出位置に位置付けられる。これに伴い、第2エジェクタプレート60は、第1エジェクタプレート50に押圧移動せしめられて再び前進端に位置付けられる。これにより、エジェクタピン54およびゲートカットスリーブ63が共に前進移動し、これにより、ランナ部分rの除去された状態の成形品mが突き出される。この成形品mは、図外のロボットにより成形装置から取り出されることとなる。
【0032】
ここで、上記のようにディスクゲート式の成形装置により成形された成形品mとしての歯車における強化繊維の配向状態と、6点ピンゲート式の成形装置により成形された歯車における強化繊維の配向状態とを対比する。但し、ディスクゲート式の場合の歯車は、歯先円直径が73mm,モジュールが1.5,強化繊維種がGF(ガラス繊維),その配合率が50%のものであり、一方、6点ピンゲート式の場合の歯車は、歯先円直径が64mm,モジュールが1.75,強化繊維種がCF(カーボン繊維),その配合率が15%のものである。
【0033】
先ず、強化繊維の配向状態については、ディスクゲート式の場合では、図10に模式的に示すように、強化繊維は、略放射状に配向している。これに対し、6点ピンゲート式の場合では、図11に模式的に示すように、略周方向に配向しているものの、ウエルド部分では、半径方向に変化しており、全体として均一な配向が得られていないことが判る。
【0034】
次に、上記2つの歯車について、マタギ歯厚誤差,歯先円直径誤差,歯溝の振れ(各単位は共にmm)を測定した結果を、次表に併せて示す。
【0035】
【表1】
上記の表から、ディスクゲート式の場合には、6点ピンポイント式の場合よりも高い精度の歯車を成形できることが判る。
【0036】
したがって、本実施形態によれば、強化繊維が配合されてなる熱可塑性樹脂材料を用いて歯車を成形する際に、ゲートカットスリーブ63を前進移動させることで成形型内においてディスクゲートをカットすることができるので、強化繊維の配向状態の良好な歯車を、後加工によるゲートカットがない分だけ低い製造コストで得ることができる。
【0037】
尚、上記の実施形態では、強化繊維が配合されてなる熱可塑性樹脂材料を用いて歯車を形成する場合について説明しているが、本発明は、任意の樹脂材料を用いて任意の成形品を成形する場合に適用することができる。
【0038】
また、上記の実施形態では、ディスクゲートがランナ22とキャビティ10aとの間の連通路に形成される場合について説明しているが、本発明は、ディスクゲートがスプルーとキャビティとの間の連通路に形成される場合にも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の実施形態に係る成形装置の要部を拡大して示す縦断面図である。
【図2】成形装置の全体構成を示す縦断面図である。
【図3】樹脂材料が注入された段階における成形装置の縦断面図(a)および要部の拡大縦断面図(b)である。
【図4】ランナロックピンが前進移動した段階における成形装置の縦断面図(a)および要部の拡大縦断面図(b)である。
【図5】ゲートカットスリーブが前進移動した段階における成形装置の縦断面図(a)および要部の拡大縦断面図(b)である。
【図6】型開きされた段階における成形装置の縦断面図(a)および要部の拡大縦断面図(b)である。
【図7】成形品を一旦突き出す段階における成形装置の縦断面図(a)および要部の拡大縦断面図(b)である。
【図8】カットされたランナ部分をランナロックピンから取り除く段階における成形装置の縦断面図(a)および要部の拡大縦断面図(b)である。
【図9】ランナ部分のカットされた成形品を取り出す段階における成形装置の縦断面図(a)および要部の拡大縦断面図(b)である。
【図10】本実施形態に係る成形装置により成形された歯車における強化繊維の配向状態を模式的に示す平面図である。
【図11】6点ピンゲート式の成形装置により成形された歯車における強化繊維の配向状態を模式的に示す図10相当図である。
【符号の説明】
【0040】
10 成形型
10a キャビティ
20 固定側型板(固定側型部材)
22 ランナ(注入孔)
30 可動側型板(可動側型部材)
50 第1エジェクタプレート(第1エジェクタ部材)
53 ランナロックピン(ロックピン)
54 エジェクタピン
60 第2エジェクタプレート(第2エジェクタ部材)
63 ゲートカットスリーブ(ゲートカット部材)
r ランナ部分(注入孔内の樹脂材料部分)
m 成形品
【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂材料が注入されるための注入孔を有する固定側型部材と、
上記固定側型部材との間に上記注入孔の先端部外周に全周に亘って連通するキャビティを形成するように設けられた可動側型部材と、
上記注入孔に対し進退移動可能に設けられ、前進移動することにより該注入孔内の樹脂材料部分を係止するロックピンとを備えた成形装置であって、
上記注入孔と上記キャビティとの間の連通部に対し進退移動可能に設けられ、後退移動することにより上記連通部を環状のディスクゲートに形成する一方、前進移動することにより上記ディスクゲートを遮断するゲートカット部材を備えている
ことを特徴とする成形装置。
【請求項2】
請求項1に記載の成形装置において、
ゲートカット部材は、ロックピン上に該ロックピンに対し相対移動可能に外嵌合された筒状のゲートカットスリーブとされている
ことを特徴とする成形装置。
【請求項3】
請求項2に記載の成形装置において、
可動側型部材に対し相対移動可能に設けられた第1エジェクタ部材と、
上記可動側型部材と上記第1エジェクタ部材との間に配置され、該可動側型部材に対し相対移動可能に設けられた第2エジェクタ部材とを備え、
ロックピンは、上記第1エジェクタ部材に連結され、
ゲートカットスリーブは、上記第2エジェクタ部材に連結されている
ことを特徴とする成形装置。
【請求項4】
請求項3に記載の成形装置において、
キャビティに対し進退移動可能に設けられ、前進移動することにより該キャビティ内の成形品を可動側型部材から突き出すエジェクタピンを備え
上記エジェクタピンは、第1エジェクタ部材に連結されている
ことを特徴とする成形装置。
【請求項5】
請求項4に記載の成形装置において、
第1エジェクタ部材は、
ロックピンが注入孔内の樹脂材料部分に食い込むように該ロックピンを前進移動させるロック位置と、
ゲートカットスリーブがディスクゲートを遮断するように第2エジェクタを押圧移動させるゲートカット位置と、
エジェクタピンが成形品を突き出すように該エジェクタピンを前進移動させる突出位置との間を段階的に移動するように設けられている
ことを特徴とする成形装置。
【請求項6】
請求項1に記載の成形装置において、
樹脂材料は、強化繊維を含有してなる
ことを特徴とする成形装置。
【請求項7】
請求項1に記載の成形装置を用いて成形品を成形するようにした成形方法であって、
固定側型部材と可動側型部材とを型締めし、
ゲートカット部材をロックピンに対し後退移動させてディスクゲートを形成し、
注入孔および上記ディスクゲートを経由してキャビティ内に樹脂材料を注入し、
上記ロックピンを上記ゲートカット部材に対し前進移動させて該ロックピンを上記注入孔内の樹脂材料の部分に食い込ませ、
上記ゲートカット部材を上記ロックピンに対し前進移動させて上記ディスクゲートを遮断し、
上記固定側型部材と上記可動側型部材とを型開きし、
エジェクタピンを前進移動させて成形品を突き出し、
上記ロックピンを上記ゲートカット部材に対し後退移動させて上記材料部分を除去する
ことを特徴とする成形方法。
【請求項1】
樹脂材料が注入されるための注入孔を有する固定側型部材と、
上記固定側型部材との間に上記注入孔の先端部外周に全周に亘って連通するキャビティを形成するように設けられた可動側型部材と、
上記注入孔に対し進退移動可能に設けられ、前進移動することにより該注入孔内の樹脂材料部分を係止するロックピンとを備えた成形装置であって、
上記注入孔と上記キャビティとの間の連通部に対し進退移動可能に設けられ、後退移動することにより上記連通部を環状のディスクゲートに形成する一方、前進移動することにより上記ディスクゲートを遮断するゲートカット部材を備えている
ことを特徴とする成形装置。
【請求項2】
請求項1に記載の成形装置において、
ゲートカット部材は、ロックピン上に該ロックピンに対し相対移動可能に外嵌合された筒状のゲートカットスリーブとされている
ことを特徴とする成形装置。
【請求項3】
請求項2に記載の成形装置において、
可動側型部材に対し相対移動可能に設けられた第1エジェクタ部材と、
上記可動側型部材と上記第1エジェクタ部材との間に配置され、該可動側型部材に対し相対移動可能に設けられた第2エジェクタ部材とを備え、
ロックピンは、上記第1エジェクタ部材に連結され、
ゲートカットスリーブは、上記第2エジェクタ部材に連結されている
ことを特徴とする成形装置。
【請求項4】
請求項3に記載の成形装置において、
キャビティに対し進退移動可能に設けられ、前進移動することにより該キャビティ内の成形品を可動側型部材から突き出すエジェクタピンを備え
上記エジェクタピンは、第1エジェクタ部材に連結されている
ことを特徴とする成形装置。
【請求項5】
請求項4に記載の成形装置において、
第1エジェクタ部材は、
ロックピンが注入孔内の樹脂材料部分に食い込むように該ロックピンを前進移動させるロック位置と、
ゲートカットスリーブがディスクゲートを遮断するように第2エジェクタを押圧移動させるゲートカット位置と、
エジェクタピンが成形品を突き出すように該エジェクタピンを前進移動させる突出位置との間を段階的に移動するように設けられている
ことを特徴とする成形装置。
【請求項6】
請求項1に記載の成形装置において、
樹脂材料は、強化繊維を含有してなる
ことを特徴とする成形装置。
【請求項7】
請求項1に記載の成形装置を用いて成形品を成形するようにした成形方法であって、
固定側型部材と可動側型部材とを型締めし、
ゲートカット部材をロックピンに対し後退移動させてディスクゲートを形成し、
注入孔および上記ディスクゲートを経由してキャビティ内に樹脂材料を注入し、
上記ロックピンを上記ゲートカット部材に対し前進移動させて該ロックピンを上記注入孔内の樹脂材料の部分に食い込ませ、
上記ゲートカット部材を上記ロックピンに対し前進移動させて上記ディスクゲートを遮断し、
上記固定側型部材と上記可動側型部材とを型開きし、
エジェクタピンを前進移動させて成形品を突き出し、
上記ロックピンを上記ゲートカット部材に対し後退移動させて上記材料部分を除去する
ことを特徴とする成形方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2006−116721(P2006−116721A)
【公開日】平成18年5月11日(2006.5.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−304080(P2004−304080)
【出願日】平成16年10月19日(2004.10.19)
【出願人】(000005061)バンドー化学株式会社 (429)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年5月11日(2006.5.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年10月19日(2004.10.19)
【出願人】(000005061)バンドー化学株式会社 (429)
【Fターム(参考)】
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