説明

成膜マスク装置

【課題】 作業性、信頼性の高い成膜マスク装置を提供することを目的とするものである。
【解決手段】 収納孔を有するスペーサ5と、当該スペーサの下面に密着配置され、前記収納孔に対応する部分に成膜形成用の下部マスクパターンが形成された下部マスク4と、前記スペーサの上面に密着配置され、前記収納孔に対応する部分に成膜形成用の上部マスクパターンが形成された上部マスク6とを少なくとも具備してなるからなる成膜マスク装置であって、成膜マスク装置の特定部材の板面に固定される1つの固定ガイドピン33と、成膜マスク装置の特定部材の板面に対してスライドするように取り付けられる1つ以上のスライドガイドピン35とを具備し、前記固定ガイドピンと前記スライドガイドピンを具備しない成膜マスク装置に前記各ガイドピンと各々嵌め合うガイド孔を設けてなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は水晶板、セラミック板等に電極材料を形成する成膜マスク装置に関するものであり、特にガイドピンによりマスクを位置合わせしてなる成膜マスク装置の改良に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、水晶振動子の電極形成工程において、電極用の金属材料の物理蒸着を行う場合、成膜マスク装置を用いて真空蒸着法、スパッタリング法により水晶片の必要な部分に電極を形成していた。この成膜マスク装置を用いる蒸着方法は、水晶板を収納するスペーサ、上下のマスク板、その他の補助治具等複数のマスク等の板体を重ねて、ねじ止め、あるいは磁力等により一体化して使用したり、必要なマスク構成部分をスポット溶接により一体化したり、2以上の一体化物をねじ止め等により組み立てる構成が一般的であった。このように分割可能な状態でマスク板等を使用する理由は、マスク板等に付着した蒸着電極材料(銀、金、アルミニウム等)を剥離除去する作業が必要であるからである。この剥離除去作業は特定の洗浄液に浸漬することにより行う。そして、上記電極形成工程を行う前に、前記スペーサ、上下のマスク板、その他の補助治具等複数のマスク等の板体を重ねて再び一体化する。最近では、特許文献1に示すように、このようなネジ止め作業を簡略化するために、磁力によりマスク板等を密着させる方法が普及しているのが現状である。
【特許文献1】特公平6−74498号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
このような一体化作業において、スペーサと上下のマスク板との重ねる場合に正確な位置合わせが行われないと、水晶板に蒸着される電極がずれることがあった。特に、小型化された水晶板にあっては、この電極ずれの問題が顕著であり、配線不良や断線不良等による製品歩留まり低下につながりやすい。そして、前記板体の組立作業におけるスペーサと上下のマスク板の位置合わせは、スペーサ、上下マスクに設けられたねじ穴、あるいは、ガイドピンとガイド孔により行っているが、磁力によりマスクを密着させるものでは、ねじ穴による位置合わせができず、ガイドピンとガイド孔のみで位置合わせされるため、ガイドピンとガイド孔の位置精度の状態が製品歩留まりに影響しやすい。特に、ガイドピンとガイド孔の位置決め精度の悪いものでは、スペーサと上下のマスク板との重ねる場合に正確な位置合わせができたとしても、これらのマスク装置を搬送する際の衝撃などでずれが生じるといった問題点があった。
【0004】
従来、ガイドピンを具備する一般的な成膜マスク装置では、ガイドピンが挿入されるガイド孔は2種類の形状に形成されている。1つはガイドピンとほぼ同径に形成された固定用のガイド孔と、もう1つは各マスク部材の熱膨張差に伴う応力の発生を吸収するために特定方向についてはガイドピンとほぼ同径に形成されるとともに、特定方向と直交する方向に対してはガイドピンより大きな径に形成され、例えば長円状、あるいは長方形状に形成された誤差吸収用のガイド孔とを具備している。通常、このガイドピンとガイド孔はその使用とともに摩耗するが、前記誤差吸収用のガイド孔においてはこの摩耗の影響が増大しやすく、ガイドピンとガイド孔の位置精度が悪くなり、結果として、マスクずれによる製品歩留まり低下を招いているという問題があった。つまり、ガイドピンに対して特定のマージンを有したガイド孔では、近年の小型化された水晶板に対しては不向きな構成であり、マスクずれによる配線不良や断線不要などによる製品歩留まり低下を招きやすい。
【0005】
さらに、前記ガイド孔は加工の容易性とコスト的なメリットがあるエッチング加工により形成されることが一般的である。しかしながら、エッチング加工によりガイド孔を形成すると、加工特性上、孔の深い部分より浅い部分が若干広く形成され、孔の中央に凸状残部が形成されるため、この凸状残部が摩耗し、ガイドピンとガイド孔の位置精度がさらに悪くなりやすいといった問題点もあった。
【0006】
本発明は、成膜マスク装置の組立作業を容易にするとともに、スペーサと上下のマスク板の位置ずれによる絶縁不良や断線不良をなくし、作業性、信頼性の高い成膜マスク装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そこで、本発明の成膜マスク装置は、請求項1に示すように、被成膜形成体を複数個収納する収納孔が形成されたスペーサと、当該スペーサの下面に密着配置され、前記収納孔部に対応する部分に成膜形成用の下部マスクパターンが形成された下部マスクと、前記スペーサの上面に密着配置され、前記収納孔部に対応する部分に成膜形成用の上部マスクパターンが形成された上部マスクとを少なくとも具備してなるからなる成膜マスク装置であって、成膜マスク装置の特定部材の板面に固定される1つの固定ガイドピンと、成膜マスク装置の特定部材の板面に対してスライドするように取り付けられる1つ以上のスライドガイドピンとを具備し、前記固定ガイドピン、前記スライドガイドピン、または前記固定ガイドピンと前記スライドガイドピンを具備しない成膜マスク装置に前記各ガイドピンと各々嵌め合うガイド孔を設けてなることを特徴とする。
【0008】
また、請求項2に示すように、上述の構成に加えて、前記下部マスクと前記上部マスクの外側に、それぞれ密着配置されるマスク押さえ上板、マスク押さえ下板を具備させてもよい。
【0009】
また、請求項3に示すように、上述の構成に加えて、磁石保持板あるいは板状磁石体を前記成膜マスク装置の間に介在させて、磁力により成膜マスク装置を密着させてもよい。
【0010】
また、請求項4に示すように、上述の構成に加えて、前記マスク押さえ上板、前記マスク押さえ下板、または前記磁石保持板のいずれかに固定ガイドピン、スライドガイドピンを形成してもよい。
【0011】
また、請求項5に示すように、被成膜形成体を複数個収納する収納孔が形成されたスペーサと、当該スペーサの下面に密着配置され、前記収納孔部に対応する部分に成膜形成用の下部マスクパターンが形成された下部マスクと、前記スペーサの上面に密着配置され、前記収納孔部に対応する部分に成膜形成用の上部マスクパターンが形成された上部マスクとを少なくとも具備してなるマスク構成体と、当該マスク構成体を上面に密着した状態で位置決め配置してなる搭載治具とからなる成膜マスク装置であって、前記搭載治具には、その上面に固定される1つの固定ガイドピンとその上面に対してスライドするように取り付けられる1つ以上のスライドガイドピンとが形成され、前記マスク構成体には、前記各ガイドピンと嵌め合うガイド孔を設けてなることを特徴とする。
【0012】
また、特許請求項6に示すように、前記成膜マスク装置の各構成部材のうち、少なくともスペーサと上部マスク、下部マスクの熱膨張係数が近似してなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明の特許請求項1により、前記スペーサと上下部マスクからなる成膜マスク装置を組み立てたときに、成膜マスク装置の特定部材の板面に形成された固定ガイドピンとスライドガイドピンが、前記特定部材以外の成膜マスク装置に形成された当該ガイドピンと嵌め合う形状に構成された2つ以上の各々のガイド孔に挿入されて、前記成膜マスク装置が相互にずれることなく位置あわせされるので、成膜マスク装置の組立作業を容易にするとともに、マスクずれをなくす。さらに、このように位置あわせされた成膜マスク装置は、搬送時の衝撃などによって組立後にマスクずれすることもない。従って、被成膜形成体の絶縁不良や断線不良をなくし、作業性、信頼性の高い成膜マスク装置を提供することができる。
【0014】
また、成膜マスク装置における各ガイドピンと各ガイド孔はお互いに嵌め合うような形状に構成されているため、摩耗によってガイドピンとガイド孔の位置精度が低下するといった悪影響が飛躍的に抑えられる。この結果、マスクずれによる製品歩留まりの低下をなくすことができる。さらに、摩耗の影響が少ないため、エッチング加工によりガイド孔を構成したとしてもその信頼性を低下させることがない。また、成膜マスク装置における各ガイドピンと各ガイド孔はお互いに嵌め合うような形状であっても、前記スライドガイドピンが構成されているため、各マスク部材の熱膨張差に伴って、各ガイドピンと各ガイド孔の間に応力が生じるのを防ぐことができる。このため、マスク装置の破壊やマスクの浮き上がり等の悪影響をなくす。さらに、各ガイドピンと各ガイド孔のとの製造ばらつき等による誤差も吸収できる。
【0015】
本発明の特許請求項2により、上記作用効果に加えて、上下部マスクの固定がより確実になるため、水晶板のずれ込み、浮き上がりをなくし、より確実で信頼性の高い成膜が行える。
【0016】
本発明の特許請求項3により、上記作用効果に加えて、ネジ止め作業することなく、磁力により容易にマスク板等を密着させることができるので、成膜マスク装置の組立と分解を極めて容易にすることができる。
【0017】
本発明の特許請求項4により、上記作用効果に加えて、前記マスク押さえ上板、前記マスク押さえ下板、または前記磁石保持板のいずれかに固定ガイドピン、スライドガイドピンを形成したことにより、スペーサと上下部マスク厚み寸法を増大させることがなくなるので、マスクパターンを被成膜形成体により密着した状態で配置することができ、マスクパターンに応じたより精度の高い成膜が行える。
【0018】
本発明の特許請求項5により、前記スペーサと上下部マスクからなるマスク構成体を組み立て、当該マスク構成体を搭載治具の上面に密着した状態で位置決め配置たときに、搭載治具の板面に形成された固定ガイドピンとスライドガイドピンが、前記マスク構成体に形成された当該ガイドピンと嵌め合う形状に構成された2つ以上の各々のガイド孔に挿入されて、前記成膜マスク装置が相互にずれることなく位置あわせされるので、マスク構成体の組立作業を容易にするとともに、マスクずれをなくす。さらに、このように位置あわせされた成膜マスク装置は、搬送時の衝撃などによって組立後にマスクずれすることもない。従って、被成膜形成体の絶縁不良や断線不良をなくし、作業性、信頼性の高い成膜マスク装置を提供することができる。
【0019】
また、搭載治具の各ガイドピンとマスク構成体の各ガイド孔はお互いに嵌め合うような形状に構成されているため、摩耗によってガイドピンとガイド孔の位置精度が低下するといった悪影響が飛躍的に抑えられる。この結果、マスクずれによる製品歩留まりの低下をなくすことができる。さらに、摩耗の影響が少ないため、エッチング加工によりガイド孔を構成したとしてもその信頼性を低下させることがない。また、搭載治具の各ガイドピンとマスク構成体の各ガイド孔はお互いに嵌め合うような形状であっても、前記搭載治具のスライドガイドピンが構成されているため、各マスク部材の熱膨張差に伴って、各ガイドピンと各ガイド孔の間に応力が生じるのを防ぐことができる。このため、マスク装置の破壊やマスクの浮き上がり等の悪影響をなくす。さらに、各ガイドピンと各ガイド孔のとの製造ばらつき等による誤差も吸収できる。
【0020】
本発明の特許請求項6により、上記作用効果に加えて、スペーサと上部マスク、下部マスクの相互の熱膨張差に伴って、ズレが生じることなく、これらの部材における各ガイドピンと各ガイド孔の間に応力が生じることがなくなる。このため、マスクずれをなくすとともに、マスク装置の破壊やマスクの浮き上がり等の悪影響をなくす。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明による第1の実施形態を、矩形状の水晶板を用いる水晶振動子の電極形成を例にとり、図面とともに説明する。図1は本発明の第1の実施形態による成膜マスク装置を示す分解斜視図であり、図2は図1のA−A線に沿った断面図である。
【0022】
成膜マスク装置は、例えば矩形板状であり、下からマスク押さえ下板1、磁石保持下板2、磁石保持上板3、下部マスク4、スペーサ5、上部マスク6、マスク押さえ上板7からなり、着脱可能な状態で構成されている。このように着脱可能な状態で成膜マスク装置を使用する理由は、マスク等に付着した蒸着電極材料(銀、金、アルミニウム等)を剥離除去する作業が必要であるからである。そして、この剥離除去作業は特定の洗浄液に浸漬することにより行い、上記電極形成工程を行う前に、前記スペーサ、上下部のマスク、その他の補助治具等を重ねて再び一体化する。
【0023】
最下部にはSUS−430等の磁性体からなるマスク押さえ下板1が配置されている。このマスク押さえ下板1は、後述する下部マスクの下部マスクパターンを露出させる貫通孔11が複数個形成されている。また、マスク押さえ下板1の長辺方向の両端部には、後述する固定ガイドピン33とスライドガイドピン35と嵌め合った状態で挿入される円状のガイド孔13,14が形成されている。
【0024】
このマスク押さえ下板1の上面には、SUS−430等の磁性体からなる磁石保持下板2とSUS−304等の非磁性体からなる磁石保持上板3の2枚が重ね合わされて磁石を収納する磁石保持板が密着配置されている。磁石保持下板2には、前述の貫通孔11に対応し下部マスクパターンを露出させる貫通孔21が複数個形成されているとともに、磁石Mを位置決め収納する磁石収納部22が複数個形成されている。また、磁石保持下板2の長辺方向の一端部には、後述する固定ガイドピン33と嵌め合った状態で挿入される円状のガイド孔23が形成され、磁石保持下板2の長辺方向の他端部には、後述するスライドガイドピン34を例えば磁石保持板の長辺方向のみにスライド可能な状態で位置決めする長円状の位置決め孔24が形成されている。
【0025】
磁石保持上板3には、前述の貫通孔21に対応し下部マスクパターンを露出させる貫通孔31が複数個形成されているとともに、磁石Mの上部を一部露出した状態で位置決めする透磁孔(貫通孔)32が複数個形成されている。また、この磁石保持上板3の長辺方向の一端部の上下面には、各マスク構成体を位置決めする円柱形状の固定ガイドピン33が植設され、磁石保持上板3の長辺方向の他端部には、後述するスライドガイドピン35を例えば磁石保持板の長辺方向のみにスライド可能な状態で位置決めする長円状の位置決めガイド孔34が形成されている。
【0026】
スライドガイドピン35は、略円柱形状であり、高さ方向の一部に抜け落ち防止の幅広部351が形成されている。このスライドガイドピン35を各磁石保持板の長円状の位置決め孔24と34の間に幅広部351を介在させた状態で配置し、前記磁石保持下板2と磁石保持上板3を重ね合わせることで、スライドガイドピン35を例えば磁石保持板の長辺方向のみにスライド可能な状態で位置決めされる。
【0027】
以上により、磁石保持板の板面に固定ガイドピン33と、スライドするように取り付けられる1つスライドガイドピン35とが得られる。固定ガイドピン33は、各マスク構成体の位置決めの起点となり、スライドガイドピン35は、各マスク構成体の熱膨張差に伴う伸び縮みによる平面的な動きが生じても、これに対応してスライドするので各ガイドピンと各ガイド孔の間に余裕を持たせ応力が生じるの防ぎ、各マスク構成体のずれなく位置合わせを行うことができるように機能する。
【0028】
この磁石保持上板3の上面にはSUS−430等の磁性体からなる下部マスク4が密着配置されている。下部マスク4には後述の水晶板Qの所定の位置に対応する下部マスクパターン41が複数個形成されているとともに、前記磁石の配置された上部に対応する位置に、その磁力を後述のスペーサ等に伝える透磁孔(貫通孔)42が形成されている。また、下部マスク4の長辺方向の両端部には、前記固定ガイドピン33とスライドガイドピン35と嵌め合った状態で挿入される円状のガイド孔43,44が形成されている。
【0029】
この下部マスク4の上面にはスペーサ5が密着配置されている。スペーサ5はSUS−430等の磁性体からなり、水晶板Qを所定の間隔で複数個位置決め収納する貫通孔51が設けられているとともに、前記磁石の配置された上部に対応する位置に、その磁力を後述の上部マスク等に伝える透磁孔(貫通孔)52が形成されている。また、スペーサ5の長辺方向の両端部には、前記固定ガイドピン33とスライドガイドピン35と嵌め合った状態で挿入される円状のガイド孔53,54が形成されている。
【0030】
このスペーサ5の上面にはSUS−430等の磁性体からなる上部マスク6が密着配置されている。上部マスク6には前述の水晶板Qの所定の位置に対応する上部マスクパターン61が複数個形成されているとともに、前記磁石の配置された上部に対応する位置に、その磁力を後述のマスク押さえ上板に伝える透磁孔(貫通孔)62が形成されている。また、上部マスク6の長辺方向の両端部には、前記固定ガイドピン33とスライドガイドピン35と嵌め合った状態で挿入される円状のガイド孔63,64が形成されている。
【0031】
最上部にはSUS−430等の磁性体からなるマスク押さえ上板7が配置されている。このマスク押さえ上板7には、上述の上部マスクの上部マスクパターンを露出させる貫通孔71が複数個形成されており、マスク押さえ上板7の長辺方向の両端部には、前記固定ガイドピン33とスライドガイドピン35と嵌め合った状態で挿入される円状のガイド孔73,74が形成されている。
【0032】
なお、上記各マスク構成体における、マスクパターンを露出する貫通孔、マスクパターン、磁石収納部、透磁孔、水晶板収納する貫通孔、ガイド孔、位置決め孔等については、作成の容易性とコスト的なメリットから、エッチングの手法により形成されている。また、前記ガイド孔については、ガイドピンの寸法径より小さい径でエッチング加工した後、ガイドピンの寸法径とほぼ同じ寸法径の工具を用いたリーマ加工を施すことで、エッチング加工により形成されてしまう可能性のある孔の断面中央の凸状残部が完全に除去され、より望ましいガイドピンとの嵌め合いが行える。これにより、位置決め精度が飛躍的に向上し、摩耗によってガイドピンとガイド孔の位置精度が低下するといった悪影響が飛躍的に抑えられる。
【0033】
そして、このような成膜マスク装置に対し真空蒸着法、スパッタリング法等により物理蒸着を行うことにより、所望の成膜パターンの成膜形成体(水晶片)を得ることができる。
【0034】
上記第1の実施形態では、長辺方向の両端部に1つの固定ガイドピンと1つのスライドガイドピンからなる2つのガイドピン構成について開示しているが、各ガイドピンの形成場所が特定されるものではなく、かつスライドガイドピンについては複数箇所に形成することができる。また、磁石保持板にのみ固定ガイドピン、スライドガイドピンを形成したものを開示しているが、他の成膜マスク装置を構成する特定部材(マスク押さえ下板1、下部マスク4、スペーサ5、上部マスク6、マスク押さえ上板7)に選択的に形成することが可能であり、固定ガイドピンとスライドガイドピンと異なった特定部材にそれぞれ形成してもよい。ただし、前記マスク押さえ上板、前記マスク押さえ下板、または前記磁石保持板のいずれかに固定ガイドピン、スライドガイドピンを形成することで、スペーサと上下部マスク厚み寸法を増大させることがなくなるので、マスクパターンを被成膜形成体により密着した状態で配置することができ、マスクパターンに応じたより精度の高い成膜が行え、より好ましい。さらに、ガイドピン(固定ガイドピン、スライドガイドピン)の形状として円柱形状とし、ガイド孔の形状として円形状としたものを例にしているが、お互いに嵌め合うことができれば他の形状でもよい。
【0035】
次に、本発明による第2の実施形態を、矩形状の水晶板を用いる水晶振動子の電極形成を例にとり、図面とともに説明する。図3は本発明の第2の実施形態による成膜マスク装置を示す分解斜視図であり、図4は図3のB−B線に沿うとともにスライドガイドピンを分解した状態の断面図である。なお、上記第1の実施形態と同様の部分については同番号を付している。
【0036】
成膜マスク装置は、例えば矩形板状であり、下からマスク押さえ下板1、磁石保持下板2、磁石保持上板3、下部マスク4、スペーサ5、上部マスク6、マスク押さえ上板7からなるマスク構成体と、当該マスク構成体を上面に密着した状態で位置決め配置してなる搭載治具8とから構成される。
【0037】
マスク構成体の最下部にはSUS−430等の磁性体からなるマスク押さえ下板1が配置されている。このマスク押さえ下板1は、後述する下部マスクの下部マスクパターンを露出させる貫通孔11が複数個形成されている。また、マスク押さえ下板1の長辺方向の両端部には、後述する搭載治具の固定ガイドピン81とスライドガイドピン82と嵌め合った状態で挿入される円状のガイド孔13,14が形成され、さらにこのガイド孔13,14の内側にマスク構成体のみで位置決めさせるための磁石保持上板の固定ガイドピン35,36が挿入される円状のガイド孔17と長円状の位置決め孔18とが形成されている。
【0038】
このマスク押さえ下板1の上面には、SUS−430等の磁性体からなる磁石保持下板2とSUS−304等の非磁性体からなる磁石保持上板3の2枚が重ね合わされて磁石を収納する磁石保持板が密着配置されている。磁石保持下板2には、前述の貫通孔11に対応し下部マスクパターンを露出させる貫通孔21が複数個形成されているとともに、磁石Mを位置決め収納する磁石収納部22が複数個形成されている。また、磁石保持下板2の長辺方向の一端部には、後述する搭載治具の固定ガイドピン81とスライドガイドピン82と嵌め合った状態で挿入される円状のガイド孔23,24が形成されている。これらのガイド孔23,24の内側には、マスク構成体のみで位置決めされるための磁石保持上板の固定ガイドピン35,36が挿入される円状のガイド孔27と長円状の位置決め孔28とが形成されている。
【0039】
磁石保持上板3には、前述の貫通孔21に対応し下部マスクパターンを露出させる貫通孔31が複数個形成されているとともに、磁石Mの上部を一部露出した状態で位置決めする透磁孔(貫通孔)32が複数個形成されている。また、磁石保持上板3の長辺方向の一端部には、後述する搭載治具の固定ガイドピン81とスライドガイドピン82と嵌め合った状態で挿入される円状のガイド孔33,34が形成されている。
【0040】
さらに、これらガイド孔33,34の内側で、磁石保持上板の上下面には、各マスク構成体を位置決めする円柱形状の固定ガイドピン35,36が植設されている。この磁石保持板の板面に2つの固定ガイドピン35,36を構成することで、各マスク構成体のみの位置決めとずれ込みが防止できるものである。なお、各マスク構成体の正確な位置決めとずれ込み防止は、後述した搭載治具の固定ガイドピン81とスライドガイドピン82により実施される。
【0041】
この磁石保持上板3の上面にはSUS−430等の磁性体からなる下部マスク4が密着配置されている。下部マスク4には後述の水晶板Qの所定の位置に対応する下部マスクパターン41が複数個形成されているとともに、前記磁石の配置された上部に対応する位置に、その磁力を後述のスペーサ等に伝える透磁孔(貫通孔)42が形成されている。また、下部マスク4の長辺方向の両端部には、後述する搭載治具の固定ガイドピン81とスライドガイドピン82と嵌め合った状態で挿入される円状のガイド孔43,44が形成され、さらにこのガイド孔43,44の内側にマスク構成体のみで位置決めされるための磁石保持上板の固定ガイドピン35,36が挿入される円状のガイド孔47と長円状の位置決め孔48とが形成されている。
【0042】
この下部マスク4の上面にはスペーサ5が密着配置されている。スペーサ5はSUS−430等の磁性体からなり、水晶板Bを所定の間隔で複数個位置決め収納する貫通孔51が設けられているとともに、前記磁石の配置された上部に対応する位置に、その磁力を後述の上部マスク等に伝える透磁孔(貫通孔)52が形成されている。また、スペーサ5の長辺方向の両端部には、後述する搭載治具の固定ガイドピン81とスライドガイドピン82と嵌め合った状態で挿入される円状のガイド孔53,54が形成され、さらにこのガイド孔53,54の内側にマスク構成体のみで位置決めされるための磁石保持上板の固定ガイドピン35,36が挿入される円状のガイド孔57と長円状の位置決め孔58とが形成されている。
【0043】
このスペーサ5の上面にはSUS−430等の磁性体からなる上部マスク6が密着配置されている。上部マスク6には前述の水晶板Qの所定の位置に対応する上部マスクパターン61が複数個形成されているとともに、前記磁石の配置された上部に対応する位置に、その磁力を後述のマスク押さえ上板に伝える透磁孔(貫通孔)62が形成されている。また、上部マスク6の長辺方向の両端部には、後述する搭載治具の固定ガイドピン81とスライドガイドピン82と嵌め合った状態で挿入される円状のガイド孔63,64が形成され、さらにこのガイド孔63,64の内側にマスク構成体のみで位置決めされるための磁石保持上板の固定ガイドピン35,36が挿入される円状のガイド孔67と長円状の位置決め孔68とが形成されている。
【0044】
最上部にはSUS−430等の磁性体からなるマスク押さえ上板7が配置されている。このマスク押さえ上板7には、上述の上部マスクの上部マスクパターンを露出させる貫通孔71が複数個形成されており、マスク押さえ上板7の長辺方向の両端部には、後述する搭載治具の固定ガイドピン81とスライドガイドピン82と嵌め合った状態で挿入される円状のガイド孔73,74が形成され、さらにこのガイド孔73,74の内側にマスク構成体のみで位置決めされるための磁石保持上板の固定ガイドピン35,36が挿入される円状のガイド孔77と長円状の位置決め孔78とが形成されている。
【0045】
前記搭載治具8は、その長辺方向の一端部の上面に、上記マスク構成体を位置決めする円柱形状の固定ガイドピン81が植設され、その長辺方向の他端部の上面に、後述するスライドガイドピン82を例えば搭載治具の長辺方向のみにスライド可能な状態で位置決めする長方形状のガイド溝83が形成されている。スライドガイドピン82は、略円柱形状であり、底面に幅広の配置部821が形成されている。このスライドガイドピンの配置部821を前記ガイド溝83に挿入することで、スライドガイドピン82を例えば搭載治具の長辺方向のみにスライド可能な状態で位置決めされる。
【0046】
なお、上記各マスク構成体における、マスクパターンを露出する貫通孔、マスクパターン、磁石収納部、透磁孔、水晶板収納する貫通孔、ガイド孔、位置決め孔等については、作成の容易性とコスト的なメリットから、エッチングの手法により形成されている。このうち、搭載治具のそれぞれのガイドピンが挿入される各ガイド孔については、ガイドピンの寸法径より小さい径でエッチング加工した後、ガイドピンの寸法径とほぼ同じ寸法径の工具を用いたリーマ加工を施すことで、エッチング加工により形成されてしまう可能性のある孔の断面中央の凸状残部が完全に除去され、より望ましいガイドピンとの嵌め合いが行える。これにより、位置決め精度が飛躍的に向上し、摩耗によってガイドピンとガイド孔の位置精度が低下するといった悪影響が飛躍的に抑えられる。
【0047】
以上のように構成されたマスク構成体は、搭載治具8を用いて、その上面に各マスク構成体を順次密着した状態で位置決め配置し、水晶板等の被成膜形成体を収納した状態で組み立てられる。また、搭載治具8を取り付けた状態で成膜装置へ搬送するとともに、成膜装置に投入する際に当該搭載治具からマスク構成体を取り外し成膜装置に投入し、真空蒸着法、スパッタリング法等により物理蒸着を行うことにより、所望の成膜パターンの成膜形成体(水晶片)を得ることができる。
【0048】
上記第2の実施形態では、搭載治具のガイドピン(固定ガイドピン、スライドガイドピン)の形状として円柱形状とし、これに対応するガイド孔の形状として円形状としたものを例にしているが、お互いに嵌め合うことができれば他の形状でもよい。また、マスク構成体や搭載治具の各ガイドピンの形成場所については、図示された場所に特定されるものではなく、適宜変更することができる。
【0049】
次に、本発明による第3の実施形態を、矩形状の水晶板を用いる水晶振動子の電極形成を例にとり、図面とともに説明する。図5は本発明の第3の実施形態による成膜マスク装置を示す分解斜視図であり、図6は図5のC−C線に沿った断面図である。なお、本発明の第3の実施形態は、第1の実施形態に対してスライドガイドピンとこれに対応するガイド孔の構成が異なっているので、同様の部分については同番号を付している。
【0050】
最下部にはSUS−430等の磁性体からなるマスク押さえ下板1が配置されている。このマスク押さえ下板1は、後述する下部マスクの下部マスクパターンを露出させる貫通孔11が複数個形成されている。また、マスク押さえ下板1の長辺方向の両端部には、後述する固定ガイドピン33と嵌め合った状態で挿入される円状のガイド孔13が形成され、スライドガイドピン35a,35b,35cが挿入される長円状の位置決め孔141,142,143が形成されている。
【0051】
このマスク押さえ下板1の上面には、SUS−430等の磁性体からなる磁石保持下板2とSUS−304等の非磁性体からなる磁石保持上板3の2枚が重ね合わされて磁石を収納する磁石保持板が密着配置されている。磁石保持下板2には、前述の貫通孔11に対応し下部マスクパターンを露出させる貫通孔21が複数個形成されているとともに、磁石Mを位置決め収納する磁石収納部22が複数個形成されている。また、磁石保持下板2の長辺方向の両端部には、後述する固定ガイドピン33と嵌め合った状態で挿入される円状のガイド孔23が形成され、スライドガイドピン35a,35b,35cが挿入される長円状の位置決め孔241,242,243が形成されている。
【0052】
磁石保持上板3には、前述の貫通孔21に対応し下部マスクパターンを露出させる貫通孔31が複数個形成されているとともに、磁石Mの上部を一部露出した状態で位置決めする透磁孔(貫通孔)32が複数個形成されている。また、この磁石保持上板3の長辺方向の一端部の上下面には、各マスク構成体を位置決めする円柱形状の固定ガイドピン33が植設され、磁石保持上板3の長辺方向の両端部には、後述するスライドガイドピン35a,35b,35cを例えば磁石保持板の長辺方向のみにスライド可能な状態で位置決めする長円状の位置決めガイド孔341,342,343が形成されている。
【0053】
スライドガイドピン35a,35b,35cは、略円柱形状であり、高さ方向の一部に抜け落ち防止の幅広部351a,351b,351cが形成されている。このスライドガイドピン35a,35b,35cを各磁石保持板の長円状の位置決め孔241と341、242と342、243と343の間に各々幅広部351a,351b,351cを介在させた状態で配置し、前記磁石保持下板2と磁石保持上板3を重ね合わせることで、スライドガイドピン35a,35b,35cを例えば磁石保持板の長辺方向のみにスライド可能な状態で位置決めされる。
【0054】
以上により、磁石保持板の板面に固定ガイドピン33と、スライドするように取り付けられる3つスライドガイドピン35a,35b,35cとが得られる。固定ガイドピン33は、各マスク構成体の位置決めの起点となり、スライドガイドピン35a,35b,35cは、各マスク構成体の熱膨張差に伴う伸び縮みによる平面的な動きが生じても、これに対応してスライドするので各ガイドピンと各ガイド孔の間に余裕を持たせ応力が生じるの防ぎ、各マスク構成体のずれなく位置合わせを行うことができるように機能する。
【0055】
この磁石保持上板3の上面にはSUS−430等の磁性体からなる下部マスク4が密着配置されている。下部マスク4には後述の水晶板Qの所定の位置に対応する下部マスクパターン41が複数個形成されているとともに、前記磁石の配置された上部に対応する位置に、その磁力を後述のスペーサ等に伝える透磁孔(貫通孔)42が形成されている。また、下部マスク4の長辺方向の両端部には、前記固定ガイドピン33と前記スライドガイドピン35cとが嵌め合った状態で挿入される円状のガイド孔43,44が形成され、スライドガイドピン35a,35bが挿入される長円状の位置決め孔441,442が形成されている。
【0056】
この下部マスク4の上面にはスペーサ5が密着配置されている。スペーサ5はSUS−430等の磁性体からなり、水晶板Qを所定の間隔で複数個位置決め収納する貫通孔51が設けられているとともに、前記磁石の配置された上部に対応する位置に、その磁力を後述の上部マスク等に伝える透磁孔(貫通孔)52が形成されている。また、スペーサ5の長辺方向の両端部には、前記固定ガイドピン33と前記スライドガイドピン35aとが嵌め合った状態で挿入される円状のガイド孔53,54が形成され、スライドガイドピン35b,35cが挿入される長円状の位置決め孔542,543が形成されている。
【0057】
このスペーサ5の上面にはSUS−430等の磁性体からなる上部マスク6が密着配置されている。上部マスク6には前述の水晶板Qの所定の位置に対応する上部マスクパターン61が複数個形成されているとともに、前記磁石の配置された上部に対応する位置に、その磁力を後述のマスク押さえ上板に伝える透磁孔(貫通孔)62が形成されている。また、上部マスク6の長辺方向の両端部には、前記固定ガイドピン33と前記スライドガイドピン35bとが嵌め合った状態で挿入される円状のガイド孔63,64が形成され、スライドガイドピン35a,35cが挿入される長円状の位置決め孔641,643が形成されている。
【0058】
最上部にはSUS−430等の磁性体からなるマスク押さえ上板7が配置されている。このマスク押さえ上板7には、上述の上部マスクの上部マスクパターンを露出させる貫通孔71が複数個形成されており、マスク押さえ上板7の長辺方向の両端部には、前記固定ガイドピン33と嵌め合った状態で挿入される円状のガイド孔13が形成され、スライドガイドピン35a,35b,35cが挿入される長円状の位置決め孔741,742,743が形成されている。
【0059】
なお、上記各マスク構成体における、マスクパターンを露出する貫通孔、マスクパターン、磁石収納部、透磁孔、水晶板収納する貫通孔、ガイド孔、位置決め孔等については、作成の容易性とコスト的なメリットから、エッチングの手法により形成されている。また、前記ガイド孔については、ガイドピンの寸法径より小さい径でエッチング加工した後、ガイドピンの寸法径とほぼ同じ寸法径の工具を用いたリーマ加工を施すことで、エッチング加工により形成されてしまう可能性のある孔の断面中央の凸状残部が完全に除去され、より望ましいガイドピンとの嵌め合いが行える。これにより、位置決め精度が飛躍的に向上し、摩耗によってガイドピンとガイド孔の位置精度が低下するといった悪影響が飛躍的に抑えられる。
【0060】
そして、このような成膜マスク装置に対し真空蒸着法、スパッタリング法等により物理蒸着を行うことにより、所望の成膜パターンの成膜形成体(水晶片)を得ることができる。
【0061】
上記第3の実施形態では、固定ガイドピンとスライドガイドピンとが嵌め合った状態で挿入される円状のガイド孔を下部マスク、スペーサ、上部マスクの3つの部材のみに形成しており、しかも3つのスライドガイドピンのうちいずれか1つのみが上記3つの部材の1つのみに嵌め合うように構成されている。このため、成膜マスク装置として重要な下部マスク、スペーサ、上部マスクが相互にずれることが一切なくなり、各マスク部材の熱膨張差に伴って、各ガイドピンと各ガイド孔の間に応力が生じるのを防ぐことができる。また、下部マスク、スペーサ、上部マスクに形成された各ガイドピンと各ガイド孔のとの製造ばらつき等による誤差もより一層吸収できるので、マスク装置の破壊やマスクの浮き上がり等の悪影響を一切なくすことができる。なお、成膜マスク装置の各ガイドピンの形成場所については、図示された場所に特定されるものではなく、適宜変更することができる。
【0062】
上記各実施形態では、スペーサと上部マスク、下部マスクの材質をSUS−430に統一しているので、これらの部材が熱膨張差に伴って、相互にズレが生じることなく、各ガイドピンと各ガイド孔の間に応力が生じることがなくなる。このため、マスクずれをなくすとともに、マスク装置の破壊やマスクの浮き上がり等の悪影響をなくすのでより好ましい形態となっている。これらの材質に限らず、他の材質からなるを1つ以上組み合わせたものであっても特に問題はないが、熱膨張係数が近似しているものを使用するのが好ましい。
【0063】
なお、上記各実施形態に開示されたものに限らず、前記下部マスクとスペーサと上部マスクとを一体化する方法として、板状磁石体からなるスペーサを用いたものなど磁石により一体化してもよいし、ねじにより締め付けて一体化してもよい。また、マスク押さえ上板、マスク押さえ下板を有する構成について説明したが、マスク押さえ上板、マスク押さえ下板を割愛した構成とすることもできる。また、被成膜形成体を矩形状の水晶板としたが、円盤形状、音叉形状等の他の形状の水晶板、ならびに水晶フィルタにも適用できる。さらに、他の圧電振動子であってもよく、電子部品の電極形成等幅広く成膜形成体に適用できるものである。
【0064】
本発明は、その精神または収容な特徴から逸脱することなく、他のいろいろな形で実施できので、限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は特許請求範囲によって示すものであって、明細書本文に拘束されるものではない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明の第1の実施例を示す分解斜視図。
【図2】図1のA−A線に沿った断面図。
【図3】本発明の第2の実施例を示す分解斜視図。
【図4】図3のB−B線に沿った断面図。
【図5】本発明の第3の実施例を示す分解斜視図。
【図6】図5のC−C線に沿った断面図。
【符号の説明】
【0066】
1 マスク押さえ下板
2 磁石保持下板
3 磁石保持上板
4 下部マスク
5 スペーサ
6 上部マスク
7 マスク押さえ上板
8 搭載治具
M 磁石
Q 水晶板(被成膜形成体)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被成膜形成体を複数個収納する収納孔が形成されたスペーサと、当該スペーサの下面に密着配置され、前記収納孔部に対応する部分に成膜形成用の下部マスクパターンが形成された下部マスクと、前記スペーサの上面に密着配置され、前記収納孔部に対応する部分に成膜形成用の上部マスクパターンが形成された上部マスクとを少なくとも具備してなるからなる成膜マスク装置であって、
成膜マスク装置の特定部材の板面に固定される1つの固定ガイドピンと、成膜マスク装置の特定部材の板面に対して浮動するように取り付けられる1つ以上のスライドガイドピンとを具備し、前記固定ガイドピン、前記スライドガイドピン、または前記固定ガイドピンと前記スライドガイドピンを具備しない成膜マスク装置に前記各ガイドピンと各々嵌め合うガイド孔を設けてなることを特徴とする成膜マスク装置。
【請求項2】
前記下部マスクと前記上部マスクの外側に、それぞれ密着配置されるマスク押さえ上板、マスク押さえ下板を具備することを特徴とする特許請求項1記載の成膜マスク装置。
【請求項3】
磁石を複数個保持した磁石保持板あるいは板状磁石体を前記成膜マスク装置の間に介在させて、磁力により成膜マスク装置を密着させることを特徴とする特許請求項1〜2いずれか1項記載の成膜マスク装置。
【請求項4】
前記マスク押さえ上板、前記マスク押さえ下板、または前記磁石保持板のいずれかに固定ガイドピン、スライドガイドピンを形成したことを特徴とする特許請求項1〜3いずれか1項記載の成膜マスク装置。
【請求項5】
被成膜形成体を複数個収納する収納孔が形成されたスペーサと、当該スペーサの下面に密着配置され、前記収納孔部に対応する部分に成膜形成用の下部マスクパターンが形成された下部マスクと、前記スペーサの上面に密着配置され、前記収納孔部に対応する部分に成膜形成用の上部マスクパターンが形成された上部マスクとを少なくとも具備してなるマスク構成体と、当該マスク構成体を上面に密着した状態で位置決め配置してなる搭載治具とからなる成膜マスク装置であって、
前記搭載治具には、その上面に固定される1つの固定ガイドピンとその上面に対して浮動するように取り付けられる1つ以上のスライドガイドピンとが形成され、前記マスク構成体には、前記各ガイドピンと嵌め合うガイド孔を設けてなることを特徴とする成膜マスク装置。
【請求項6】
前記成膜マスク装置の各構成部材のうち、少なくともスペーサと上部マスク、下部マスクの熱膨張係数が近似してなることを特徴とする特許請求項1〜5いずれ1項記載の成膜マスク装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−63361(P2006−63361A)
【公開日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−244954(P2004−244954)
【出願日】平成16年8月25日(2004.8.25)
【出願人】(000149734)株式会社大真空 (312)
【Fターム(参考)】