説明

成長ホルモン分泌促進因子およびその使用

本発明は、(1)被験者の脂質パラメータを変化、(2)被験者の身体組成パラメータを変化、(3)被験者における骨形成不全または骨形成低下を特徴とする病的状態を治療、(4)被験者の日中の覚醒および/または認知機能を改善、(5)被験者の代謝異常を改善、(6)被験者の異化異常における同化作用の改善、および/または(7)被験者の免疫機能の改善および/または再構築のための、成長ホルモン分泌促進因子(例えば、GRFまたはその類似体)の使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は成長ホルモン放出因子(GRF)等の成長ホルモン(GH)分泌促進因子、その類似物、およびその使用に関するものである。
【背景技術】
【0002】
脂肪蓄積に関連する症候群
生体システムはトリグリセリドやステロール(例えば、コレステロール)等の数多くの脂質化合物/分子、およびHDL、LDL等の関連する担体/複合体を含む。有害なレベルのこういった分子や代謝は脂肪蓄積等の関連する病的状態や関連疾患に関係している。
【0003】
脂肪の蓄積は肥満、メタボリック症候群、および最近発表されたHIV関連脂肪異栄養症等の様々な病的状態や症候群で観察される。これらの病的状態は全て、糖尿病および/または心疾患のリスクを増大させることが知られている特長を含む。
【0004】
シンドロームXとしても知られるメタボリック症候群は、腹部脂肪の量が増加した人間だけでなく明らかに肥満である人間を侵し、インシュリン耐性、異常脂質血症(高トリグリセリド血症、低血清中HDLコレステロールレベル、高LDLコレステロールレベル)および高血圧を特徴とする。
【0005】
高活性抗レトロウィルス療法(HAART)を受けたHIV感染患者には通常、インシュリン耐性と異常脂質血症に関連して、四肢および皮下脂肪の損失(特に顔面脂肪体、手足、臀部において)に加えて内蔵脂肪および中部脂肪の蓄積の増大を含む脂肪のつき方の変化を経験する(2、3)。最近のデータは、長期間にわたり抗レトロウィルス療法(ART)を受けた患者における心疾患と心筋梗塞の比率が高いことを示唆している(4)。非HIV感染患者(5)と脂肪のつき方に変化のあるHIV感染患者において(6)、ウェスト/ヒップ比(WHR)と中部脂肪蓄積における増大は代謝リスク指標の上昇に関連している。
【0006】
成長ホルモンはその脂肪分解特性によって知られており、一部の体脂肪および関連する代謝の異常の改善におけるその潜在的な役割が積極的に研究されている。成長ホルモン欠乏患者(Gotherstrom G. et al. J Clin Endocrinol Metab 2001 86(10):4657-4665)と腹部肥満の非HIV患者(Johannsson G, et al., J Clin Endocrinol Metab 1997, 82(3):727-734)における有効性が示されている。最近の研究は、HIV感染患者の成長ホルモンレベルは低下しており、成長ホルモンレベルが過剰な内臓脂肪蓄積に反比例していることも示唆している(7、8)。高用量の薬理学的成長ホルモン投与を用いて研究したところ、この個体群における内臓脂肪症は軽減されたものの、インシュリン耐性の上昇と副作用につながった(9〜12)。
【0007】
認知機能
認知能力は加齢を含む多くの病的状態で阻害される。加齢に伴ってみられる有害な変化は、特に、概念の形成、法則学習、計画的行動、非言語的推論能力を含む流動性知能または能力に影響を与える。反対に、蓄積された経験と教育に基づく結晶性知能または能力は加齢に関連する衰えに比較的耐性がある。加齢に伴って観察される成長ホルモンとIGF−1における低下は認知機能障害の一因となることが示唆されている。
【0008】
GRF、GHまたはIGF−1の投与が、こういった機能障害がおきる病的状態において認知機能に顕著な効果を与えることが動物および人間を使った研究の双方で証明されている。例えば、成長ホルモンが欠乏している成人への成長ホルモン療法(Deijen JB, et al., Psychoneuroendocrinology 1998 23(1):45-55)と、健康な高齢者へのIGF−1またはGRFの投与でこれは実証されている(Aleman A et al., J Clin Endocrinol Metab 1999 84(2):471-475; Vitiello M.V., et al., Gerontologist 2002 40 (Special Issue 1): 39)。
【0009】
免疫機能
老化は免疫系の機能低下に平行して観察される循環GHおよびIGF−1レベルの減少を伴い、特にT細胞性免疫に影響する。加齢に関連したT細胞免疫不全は、一部、胸腺の進行性萎縮に負うものであり、高齢者で観察される後天性の感染のリスクと重症度の上昇の原因として関係するものと考えられている。
【0010】
GHとIGF−1が免疫系の発達と機能において、内分泌および/または自己分泌/パラクリン因子として統合的な役割を果たすこと、およびその投与が加齢に関係する免疫変化を改善することが示されている。これらの因子の免疫増強効果はその他の免疫欠乏状態においても研究されており、HIV陽性患者と(Napolitano LA, et al., AIDS 2002 16(8):1103-1111)と、骨髄移植に先立って放射線治療を受けている動物モデルで有望な結果が観察されている(Sun R et al., BMT Meetings, Feb 22-26 Orlando, FL, Abstract 27 2002:68-69)。
【0011】
異化または筋肉消耗
筋タンパクの異化つまり筋肉消耗は、病気の根本原因とは関係なく、全ての重症疾患を含む多くの病気に付随して起こる。これは長期間にわたる予後および入院・回復期間にとって重要な要因であり、生存の限定要因にもなり得る。特殊な栄養療法を含む数々の治療ツールが研究されてきたが、タンパク質異化に対抗するより強力な対策がいまだ強く求められている。
【0012】
GH療法による高齢患者における筋量の増加がこれまでの研究で報告されている。筋肉消耗の改善や緩和という成長ホルモンの同化作用または能力が、複数の患者群で調査されてきた。成長ホルモンが、胃腸の重大な手術、熱傷、または大外傷後の、全身タンパク質バランスの指標である窒素バランスを改善することが示されている。同化作用は結果的に慢性閉塞性肺疾患患者に臨床的に有効であり(最大吸気圧の改善)(Papte GS. et al., Chest 1991 99(6):1945-1500)、また股関節骨折後に手術を受ける高齢患者において臨床的に有効である(自立復帰と定義される機能回復の改善)(Van der Lely AJ, et al., Eur J Endocrinol 2000 143(5):585-592)。最後に、近年、rGHは12週間にわたる治療後の体重および除脂肪体重の増加、機能性能の向上を示す結果に基づき、AIDS消耗症の治療に認可された(Schambelan M, et al., Ann Intern Med 1996 125(11):873-882)。
【0013】
しかしながら、上述したような病的状態の治療への成長ホルモンの使用は負の副作用を伴う場合があった。
【発明の開示】
【0014】
本発明は成長ホルモン分泌促進因子(例えば、GRFおよびその類似体)およびその使用に関するものである。
【0015】
従って、第一の態様において、本発明は被験者の脂質パラメータを変化させるための方法を提供するものであり、該方法は該被験者に(a)成長ホルモン(GH)分泌促進因子と(b)成長ホルモン分泌促進因子と薬学的に許容可能な担体とを含む組成物から成る群から選択された薬剤を投与することを含む。
【0016】
さらなる態様において、本発明は被験者の脂質パラメータを変化させるための指示と共に(a)成長ホルモン(GH)分泌促進因子と(b)成長ホルモン分泌促進因子と薬学的に許容可能な担体とを含む組成物から成る群から選択された薬剤を含むパッケージを提供するものである。
【0017】
さらなる態様において、本発明は、被験者の脂質パラメータを変化させるための、(a)成長ホルモン(GH)分泌促進因子と(b)成長ホルモン分泌促進因子と薬学的に許容可能な担体とを含む組成物から成る群から選択された薬剤の使用を提供するものである。
【0018】
さらなる態様において、本発明は、被験者の脂質パラメータを変化させるための医薬品を調製するための、成長ホルモン(GH)分泌促進因子の使用を提供するものである。
【0019】
さらなる態様において、本発明は被験者の第一身体組成パラメータを変化させるための方法を提供するものであり、該方法は(a)成長ホルモン(GH)分泌促進因子と(b)成長ホルモン分泌促進因子と薬学的に許容可能な担体とを含む組成物から成る群から選択された薬剤を該被験者に投与することを含む。
【0020】
さらなる態様において、本発明は被験者の第一身体組成パラメータを変化させるための指示と共に(a)成長ホルモン(GH)分泌促進因子と(b)成長ホルモン分泌促進因子と薬学的に許容可能な担体とを含む組成物から成る群から選択された薬剤を含むパッケージを提供するものである。
【0021】
さらなる態様において、本発明は、被験者の第一身体組成を変化させるための、(a)成長ホルモン(GH)分泌促進因子と(b)成長ホルモン分泌促進因子と薬学的に許容可能な担体とを含む組成物から成る群から選択された薬剤の使用を提供するものである。
【0022】
さらなる態様において、本発明は、被験者の第一身体組成パラメータを変化させるための医薬品を調製するための、成長ホルモン(GH)分泌促進因子の使用を提供するものである。
【0023】
さらなる態様において、本発明は被験者における骨形成不全または骨形成低下を特徴とする病的状態を治療するための方法を提供するものであり、該方法は(a)成長ホルモン(GH)分泌促進因子と(b)成長ホルモン分泌促進因子と薬学的に許容可能な担体とを含む組成物から成る群から選択した薬剤を該被験者に投与することを含む。
【0024】
さらなる態様において、本発明は被験者における骨形成不全または骨形成低下を特徴とする病的状態を治療するための指示と共に(a)成長ホルモン(GH)分泌促進因子と(b)成長ホルモン分泌促進因子と薬学的に許容可能な担体とを含む組成物から成る群から選択された薬剤を含むパッケージを提供するものである。
【0025】
さらなる態様において、本発明は、被験者における骨形成不全または骨形成低下を特徴とする病的状態を治療するための、(a)成長ホルモン(GH)分泌促進因子と(b)成長ホルモン分泌促進因子と薬学的に許容可能な担体とを含む組成物から成る群から選択された薬剤の使用を提供するものである。
【0026】
さらなる態様において、本発明は、被験者における骨形成不全または骨形成低下を特徴とする病的状態を治療するための医薬品を調製するための、成長ホルモン(GH)分泌促進因子の使用を提供するものである。
【0027】
さらなる態様において、本発明は(1)例えば加齢または軽度の認知障害に関連した病的状態における日中の覚醒および/または認知機能の刺激、(2)脂肪蓄積および/または高コレステロール血症(例えば、肥満、HIV関連脂肪異栄養症、メタボリック症候群またはシンドロームXを含む代謝異常)に関連した代謝異常の改善、(3)異化/消耗異常(慢性腎不全、うっ血性心不全、エイズ、股関節骨折、外傷、または重大な手術後に特に高齢被験者に観察されるもの等)における同化作用の改善、および/または(4)免疫機能の改善または老化、HIVに関連するまたは高用量化学療法および/または放射線治療後の免疫不全状態の再構築のための方法に関し、この方法は成長ホルモン(GH)分泌促進因子(例えば、GRFとその類似体)または成長ホルモン分泌促進因子と薬学的に許容可能な担体とを含む組成物を被験者に投与することを含む。
【0028】
さらなる態様において、本発明は(1)例えば加齢または軽度の認知障害に関係した病的状態における日中の覚醒および/または認知機能の刺激、(2)脂肪蓄積および/または高コレステロール血症(例えば、肥満、HIV関連脂肪異栄養症、メタボリック症候群またはシンドロームXを含む代謝異常)に関連した代謝異常の改善、(3)異化/消耗異常(慢性腎不全、うっ血性心不全、エイズ、股関節骨折、外傷、または重大な手術後に特に高齢被験者に観察されるもの等)における同化作用の改善、および/または(4)免疫機能の改善または老化、HIVまたは高用量化学療法および/または放射線治療後の免疫不全状態の再構築のための、成長ホルモン(GH)分泌促進因子(例えば、GRFおよびその類似体)または成長ホルモン分泌促進因子と薬学的に許容可能な担体とを含む組成物の使用に関するものである。
【0029】
さらなる態様において、同様に、本発明は(1)日中の覚醒および/または認知機能の刺激、(2)脂肪蓄積および/または高コレステロール血症に関連した代謝異常の改善、(3)異化/消耗異常における同化作用の改善、および/または(4)免疫機能の改善または免疫不全状態の再構築のための指示と共に、(a)成長ホルモン(GH)分泌促進因子と(b)成長ホルモン分泌促進因子と薬学的に許容可能な担体とを含む組成物から成る群から選択された薬剤を含むパッケージに関するものである。
【0030】
さらなる態様において、同様に、本発明は(1)日中の覚醒および/または認知機能の刺激、(2)脂肪蓄積および/または高コレステロール血症に関連した代謝異常の改善、(3)異化/消耗異常における同化作用の改善、および/または(4)免疫機能の改善または免疫不全状態の再構築のための医薬品を調製するための、成長ホルモン分泌促進因子の使用に関するものである。
【0031】
本発明により、(1)被験者の脂質パラメータの変化、(2)被験者の身体組成パラメータの変化、(3)被験者における骨形成不全または骨形成低下を特徴とする病的状態の治療、(4)被験者の日中の覚醒および/または認知機能の改善、(5)被験者の代謝異常の改善、(6)被験者の異化異常における同化作用の改善、および/または(7)被験者の免疫機能の改善および/または再構築のための組成物が提供され、組成物は薬学的に許容可能な担体、賦形剤または希釈剤と共に効果的な量の成長ホルモン分泌促進因子(例えば、GRF化合物またはその類似体)を含む。
【0032】
実施形態において、代謝異常は脂肪蓄積および/または高コレステロール血症、例えば肥満、HIV関連脂肪異栄養症、メタボリック症候群およびシンドロームXと関係している。
【0033】
実施形態において、異化異常は被験者における慢性腎不全、エイズ、股関節骨折、外傷または重大な手術から成る群から選択された1つに関係している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
本明細書に記載の実験においては、成長ホルモン放出因子(GRF)類似体である(ヘキセノイルtrans−3)hGRF(1−44)NH(本明細書ではTH9507とも称される)の効果を、脂肪再分布と体幹肥満の徴候のあるHIV感染男女において12週間にわたって評価した。本明細書におけるデータは、四肢脂肪と皮下脂肪を保持しながらの、TH9507の除脂肪体重の増加と体幹脂肪と内臓脂肪の減少、脂質パラメータの改善における著しい効果を実証している(実施例6)。これらの効果は、血糖値に悪影響を与えることのない、成長ホルモン分泌の生理学的上昇によって達成された。
【0035】
さらに、本明細書に記載の実験は骨マーカーへの有益な効果も実証している。
【0036】
さらに、本明細書に記載の実験はTh9507の日中の覚醒および認知機能(実施例2)、免疫反応(実施例3)、消耗/異化異常(実施例4)、および非HDLコレステロール(実施例5)への有益な効果も実証している。
【0037】
従って、第一の態様において、本発明は被験者の脂質パラメータを変化させる方法を提供するものであり、該方法は該被験者に(a)成長ホルモン(GH)分泌促進因子と(b)成長ホルモン分泌促進因子と薬学的に許容可能な担体とを含む組成物から成る群から選択された薬剤を投与することを含む。一実施形態において、本方法により該被験者の血糖値は上昇しない、または実質的に上昇しない。
【0038】
さらなる態様において、本発明は、被験者の脂質パラメータを変化させるための指示と共に、(a)成長ホルモン(GH)分泌促進因子と(b)成長ホルモン分泌促進因子と薬学的に許容可能な担体とを含む組成物から成る群から選択された薬剤を含むパッケージを提供するものである。一実施形態において、上記の脂質パラメータの変化により該被験者の血糖値は上昇しない、または実質的に上昇しない。
【0039】
さらなる態様において、本発明は被験者の脂質パラメータを変化させるための、(a)成長ホルモン(GH)分泌促進因子と(b)成長ホルモン分泌促進因子と薬学的に許容可能な担体とを含む組成物から成る群から選択された薬剤の使用を提供するものである。一実施形態において、上記の脂質パラメータの変化により該被験者の血糖値は上昇しない、または実質的に上昇しない。
【0040】
さらなる態様において、本発明は被験者の脂質パラメータを変化させるための医薬品を調製するための、成長ホルモン(GH)分泌促進因子の使用を提供するものである。一実施形態において、上記の脂質パラメータの変化により該被験者の血糖値は上昇しない、または実質的に上昇しない。
【0041】
一実施形態において、上記の脂質パラメータの変化は、(a)コレステロールの減少、(b)非HDLコレステロールの減少、(c)トリグリセリドの減少、(d)総コレステロール:HDLコレステロール比の低下、(e)(a)〜(d)のいずれの組み合わせから成る群から選択される。
【0042】
一実施形態において、上記脂質パラメータは、脂肪異栄養症、脂肪肥大、肥満、異常脂質血症、高トリグリセリド血症、およびシンドロームXからなる群から選択された病的状態に関連する。
【0043】
さらなる態様において、本発明は被験者の第一身体組成パラメータを変化させるための方法を提供するものであり、本方法は(a)成長ホルモン(GH)分泌促進因子と(b)成長ホルモン分泌促進因子と薬学的に許容可能な担体とを含む組成物から成る群から選択された薬剤を該被験者に投与することを含む。一実施形態において、本方法により被験者の第二身体組成パラメータは低下しない、または実質的に低下せず、第二身体組成パラメータは(i)四肢脂肪、(ii)皮下脂肪、(iii)皮下腹部組織(SAT)、(iv)(i)〜(iii)のいずれの組み合わせから成る群から選択される。
【0044】
さらなる態様において、本発明は、被験者の第一身体組成パラメータを変化させるための指示と共に、(a)成長ホルモン(GH)分泌促進因子と(b)成長ホルモン分泌促進因子と薬学的に許容可能な担体とを含む組成物から成る群から選択された薬剤を含むパッケージを提供するものである。一実施形態において、上記の第一身体組成パラメータの変化により被験者の第二身体組成パラメータは低下しない、または実質的に低下せず、第二身体組成パラメータは(i)四肢脂肪、(ii)皮下脂肪、(iii)皮下腹部組織(SAT)、(iv)(i)〜(iii)のいずれの組み合わせから成る群から選択される。
【0045】
さらなる態様において、本発明は、被験者の第一身体組成パラメータを変化させるための、(a)成長ホルモン(GH)分泌促進因子と(b)成長ホルモン分泌促進因子と薬学的に許容可能な担体とを含む組成物から成る群から選択された薬剤の使用を提供するものである。一実施形態において、上記の第一身体組成パラメータの変化により被験者の第二身体組成パラメータは低下しない、または実質的に低下せず、第二身体組成パラメータは(i)四肢脂肪、(ii)皮下脂肪、(iii)皮下腹部組織(SAT)、(iv)(i)〜(iii)のいずれの組み合わせから成る群から選択される。
【0046】
さらなる態様において、本発明は被験者の第一身体組成パラメータを変化させるための医薬品を調製するための、成長ホルモン(GH)分泌促進因子の使用を提供するものである。一実施形態において、上記の第一身体組成パラメータの変化により被験者の第二身体組成パラメータは低下しない、または実質的に低下せず、第二身体組成パラメータは(i)四肢脂肪、(ii)皮下脂肪、(iii)皮下腹部組織(SAT)、(iv)(i)〜(iii)のいずれの組み合わせから成る群から選択される。
【0047】
一実施形態において、上記の第一身体組成パラメータの変化は(a)除脂肪体重の増加、(b)体幹脂肪の減少、(c)内臓脂肪の減少、(d)腹囲の減少、(e)腹腔内脂肪(VAT)の減少、(f)VAT:SAT比の低下、(g)(a)〜(f)のいずれの組み合わせから成る群から選択される。
【0048】
一実施形態において、第一身体組成パラメータは、脂肪異栄養症、脂肪肥大、肥満、異常脂質血症、高トリグリセリド血症およびシンドロームXからなる群から選択された病的状態に関連している。
【0049】
一実施形態において、上記の第一身体組成パラメータの変化により、被験者の生活の質は改善される。
【0050】
さらなる態様において、本発明は被験者における骨形成不全または骨形成低下を特徴とする病的状態または骨機能不全または欠損を治療するための方法を提供するものであり、該方法は(a)成長ホルモン(GH)分泌促進因子と(b)成長ホルモン分泌促進因子と薬学的に許容可能な担体とを含む組成物から成る群から選択した薬剤を該被験者に投与することを含む。
【0051】
さらなる態様において、本発明は、被験者における骨形成不全または骨形成低下を特徴とする病的状態を治療するための指示と共に、(a)成長ホルモン(GH)分泌促進因子と(b)成長ホルモン分泌促進因子と薬学的に許容可能な担体とを含む組成物から成る群から選択された薬剤を含むパッケージを提供するものである。
【0052】
さらなる態様において、本発明は、被験者における骨形成不全または骨形成低下を特徴とする病的状態を治療するための、(a)成長ホルモン(GH)分泌促進因子と(b)成長ホルモン分泌促進因子と薬学的に許容可能な担体とを含む組成物から成る群から選択された薬剤の使用を提供するものである。
【0053】
さらなる態様において、本発明は、被験者における骨形成不全または骨形成低下を特徴とする病的状態を治療するための医薬品を調製するための、成長ホルモン(GH)分泌促進因子の使用を提供するものである。
【0054】
一実施形態において、上記の骨形成不全または骨形成低下を特徴とする病的状態は、骨減少症と骨粗しょう症から成る群から選択される。
【0055】
さらなる態様において、本発明は(1)例えば加齢または軽度の認知障害に関連した病的状態における日中の覚醒および/または認知機能の刺激、(2)脂肪蓄積および/または高コレステロール血症(例えば、肥満、HIV関連脂肪異栄養症、メタボリック症候群またはシンドロームXを含む代謝異常)に関連した代謝異常の改善、(3)異化/消耗異常(慢性腎不全、うっ血性心不全、エイズ、股関節骨折、外傷、または重大な手術後に特に高齢被験者に観察されるもの等)における同化作用の改善、および/または(4)免疫機能の改善または老化、HIVに関連した、または高用量化学療法および/または放射線治療後の免疫不全状態の再構築のための、成長ホルモン(GH)分泌促進因子(例えば、GRFおよびその類似体)または成長ホルモン分泌促進因子と薬学的に許容可能な担体とを含む組成物の使用に関するものである。
【0056】
さらなる態様において、同様に、本発明は(1)日中の覚醒および/または認知機能の刺激、(2)脂肪蓄積および/または高コレステロール血症に関連した代謝異常の改善、(3)異化/消耗異常における同化作用の改善、および/または(4)免疫機能の改善または免疫不全状態の再構築のための指示と共に、(a)成長ホルモン(GH)分泌促進因子と(b)成長ホルモン分泌促進因子と薬学的に許容可能な担体とを含む組成物から成る群から選択された薬剤を含むパッケージに関するものである。
【0057】
さらなる態様において、同様に、本発明は(1)日中の覚醒および/または認知機能の刺激、(2)脂肪蓄積および/または高コレステロール血症に関連した代謝異常の改善、(3)異化/消耗異常における同化作用の改善、および/または(4)免疫機能の改善または免疫不全状態の再構築のための医薬品の調製のための、成長ホルモン分泌促進因子の使用に関するものである。
【0058】
一実施形態において、上記の脂肪異栄養症はHIV関連脂肪異栄養症である。
【0059】
一実施形態において、上記の被験者はHIV陽性である。
【0060】
一実施形態において、上記の被験者は抗ウィルス療法を受けている。
【0061】
一実施形態において、上記の被験者は糖尿病、耐糖能異常、インシュリン耐性から成る群から選択された病的状態を患っている。
【0062】
一実施形態において、上記の成長ホルモン分泌促進因子は用量約0.0001〜約4mg、さらなる実施形態では約0.0001〜約2mgで、さらなる実施形態では約1mg〜約2mg、さらなる実施形態では約1mg、さらなる実施形態では約2mg投与される。
【0063】
一実施形態において、薬剤は静脈投与、経口投与、経皮投与、皮下投与、粘膜投与、筋内投与、鼻腔内投与、肺内投与、非経口投与、直腸内投与、局所性投与からなる群から選択した経路により投与される。一実施形態において、薬剤は皮下経路で投与される。
【0064】
一実施形態において、被験者は哺乳類、さらなる実施形態においては人間である。
【0065】
本発明の目的のために、以下の用語を下記で定義する。
【0066】
「類似体」という用語は、構造は異なるがGRFの構造またはその生物学的機能部分に類似した生物学的機能を有する分子を意味し、ペプチド模倣薬を含む。ペプチド模倣薬は当該技術分野で周知の方法を用いて直接化学合成により簡便に調製し得る。
【0067】
「被験者」という用語は、人間、イヌ科の動物、猫科の動物、ウマ科の動物、ヤギ、ウシ亜科の動物、ブタ、羊を含む全ての哺乳類を意味するが、これに限定されない。
【0068】
「認知機能」という用語は、思考能力、推論能力、記憶能力、問題解決能力を含む機能を意味するが、これに限定されない。
【0069】
「異化/消耗異常」という用語は、虚弱骨、低筋肉量、筋肉消耗を含む病的状態を意味するが、これに限定されない。
【0070】
本明細書において、TH9507とされた化合物は[ヘキセノイル−trans−3−Tyrl]hGRF(1−44)NHである。
【0071】
様々な態様において、本明細書に記載の方法および対応する使用とパッケージは成長ホルモン(GH)分泌促進因子の被験者への投与を含む。本明細書でいうところの「成長ホルモン分泌促進因子」は、天然・合成を問わず、成長ホルモンの分泌および/または成長ホルモンの分泌の増大のいずれかを直接的または間接的にもたらす全ての化合物または分子を示す。
【0072】
実施形態において、成長ホルモン分泌促進因子は成長ホルモン放出因子(GRF。成長ホルモン放出ホルモン[GHRH]とも称される)またはGRF類似体である。
【0073】
一実施形態において、GRFはヒトGRF(hGRF)である。
【0074】
ヒト成長ホルモン放出因子(hGRF)は、C末端がNH修飾された、44個のアミノ酸からなるペプチドで、本明細書においてはhGRF(1−44)NHと称され、以下の構造:
Tyr-Ala-Asp-Ala-Ile-Phe-Thr-Asn-Ser-Tyr-Arg-Lys-Val-Leu-Gly-Gln-Leu-Ser-Ala-Arg-Lys-Leu-Leu-Gln-Asp-Ile-Met-Ser-Arg-Gln-Gln-Gly-Glu-Ser-Asn-Gln-Glu-Arg-Gly-Ala-Arg-Ala-Arg-Leu-NH2 (配列番号2)
を有する。
【0075】
従って、直前に述べた44アミノ酸型のアミノ酸配列は下記:
Tyr-Ala-Asp-Ala-Ile-Phe-Thr-Asn-Ser-Tyr-Arg-Lys-Val-Leu-Gly-Gln-Leu-Ser-Ala-Arg-Lys-Leu-Leu-Gln-Asp-Ile-Met-Ser-Arg-Gln-Gln-Gly-Glu-Ser-Asn-Gln-Glu-Arg-Gly-Ala-Arg-Ala-Arg-Leu (配列番号3)
のとおりである。
【0076】
最小活性中心は上述の配列の最初の29個のアミノ酸を含み、本明細書においてはhGRF(1−29)NHと称され、かつ下記の構造:
Tyr-Ala-Asp-Ala-Ile-Phe-Thr-Asn-Ser-Tyr-Arg-Lys-Val-Leu-Gly-Gln-Leu-Ser-Ala-Arg-Lys-Leu-Leu-Gln-Asp-Ile-Met-Ser-Arg-NH2 (配列番号4)
を有する。
【0077】
従って、直前に述べた29アミノ酸型のアミノ酸配列は下記:
Tyr-Ala-Asp-Ala-Ile-Phe-Thr-Asn-Ser-Tyr-Arg-Lys-Val-Leu-Gly-Gln-Leu-Ser-Ala-Arg-Lys-Leu-Leu-Gln-Asp-Ile-Met-Ser-Arg (配列番号5)
のとおりである。
【0078】
1−44および1−29型は、1−44型が以下の追加のアミノ酸:
Gln-Gln-Gly-Glu-Ser-Asn-Gln-Glu-Arg-Gly-Ala-Arg-Ala-Arg-Leu (配列番号6)
を含み、それが1−44型の30−44位に相当するという点で異なっている。
【0079】
一実施形態において、前記GRF類似体は、式A:
X−GRFペプチド(A)
のGRF類似体であり、
式中、GRFペプチドは、式B:
A1-A2-Asp-Ala-Ile-Phe-Thr-A8-Ser-Tyr-Arg-Lys-A13-Leu-A15-Gln-Leu-A18-Ala-Arg-Lys-Leu-Leu-A24-A25-Ile-A27-A28-Arg-A30-R0 (B) (配列番号1)
(ここで、
A1は、TyrまたはHisであり、
A2は、ValまたはAlaであり、
A8は、AsnまたはSerであり、
A13は、ValまたはIleであり、
A15は、AlaまたはGlyであり、
A18は、SerまたはTyrであり、
A24は、GlnまたはHisであり、
A25は、AspまたはGluであり、
A27は、Met、Ile、またはNleであり、
A28は、SerまたはAsnであり、
A30は、結合または1から15個までの残基のアミノ酸配列であり、かつ
R0はNHまたはNH−(CH)n−CONHであり、n=1から12である)
のペプチドであり、かつ
Xは、アミド結合により前記ペプチドのN末端に固定された疎水性尾部であり、前記疎水性尾部は5から7個の原子のバックボーンを規定し、
ここで、前記バックボーンはC1〜C6アルキル、C3〜C6シクロアルキル、またはC6〜C12アリールにより置換可能であり、かつ前記バックボーンは、バックボーンの少なくとも2個の原子に連結している少なくとも1つの剛直化部分を含み、
前記剛直化部分は、二重結合、三重結合、飽和または不飽和C3〜C9シクロアルキル、およびC6〜C12アリールからなる群から選択される。
【0080】
実施形態において、上記Xは以下からなる群から選択される。
【0081】
(化学式1−14)

1(R=HまたはCHまたはCHCH
cisまたはtrans


2(R=HまたはCHまたはCHCH


3(R=HまたはCHまたはCHCH
cisまたはtrans。どちらもラセミ混合物または純エナンチオマー対として


4(R=HまたはCHまたはCHCH
cisまたはtrans。どちらもラセミ混合物または純エナンチオマー対として


5(R=HまたはCHまたはCHCH
cisまたはtrans(R≠Hの場合)




6(R=HまたはCHまたはCHCH
cisまたはtrans。どちらもラセミ混合物または純エナンチオマー対として



7(R=HまたはCHまたはCHCH
cisまたはtrans(R≠Hの場合)
どちらもラセミ混合物または純エナンチオマー対として



8(R=HまたはCHまたはCHCH
cisまたはtrans。どちらもラセミ混合物または純エナンチオマー対として



9(R=HまたはCHまたはCHCH
cisまたはtrans(R≠Hの場合)
どちらもラセミ混合物または純エナンチオマー対として



10(R=HまたはCHまたはCHCH
cisまたはtrans。(R≠Hの場合)



11(R=HまたはCHまたはCHCH



12(R=HまたはCHまたはCHCH



13(R=HまたはCHまたはCHCH)、および


14
【0082】
実施形態において、上述のA30は
(a)結合、
(b)天然GRFペプチドの30〜44位に対応するアミノ酸配列、および
(c)C末端から1〜14のアミノ酸を欠損している該(b)のアミノ酸配列からなる群から選択される。
【0083】
実施形態において、上述のGRFペプチドは、
(a)配列番号3のアミノ酸配列を含むポリペプチド、
(b)配列番号5のアミノ酸配列を含むポリペプチド、および
(c)C末端から1〜14のアミノ酸を欠損している(a)のポリペプチド
からなる群から選択される。
【0084】
一実施形態において、上述のGRF類似体は(ヘキセノイル trans−3)hGRF(1−44)NHである。
【0085】
上述のGRF類似体の調製法は、米国特許番号第5861379号(Ibeaその他、1999年1月19日)、米国特許番号第6020311号(Brazeauその他、2000年2月1日)、米国特許番号第6458764号(Gravelその他、2002年10月1日)、および米国特許出願公開2004/0171534 A1(Gravelその他、2004年9月2日公開)に記載されている。
【0086】
上述したように、数々の実施形態において、上記GH分泌促進因子は、上述の変化をもたらすおよび上述の病的状態を予防または治療するために、処方または医薬品として治療的に用い得る。本発明は対応する医学的治療法を提供するものであり、治療量の成長ホルモン分泌促進因子を薬学的に許容可能な処方で、例えばそれを必要とする患者または被験者に投与する。従って、本発明は成長ホルモン分泌促進因子と薬学的に許容可能な賦形剤または担体とを含む治療用組成物をも提供するものである。一実施形態において、こういった組成物は上述の変化を生じさせかつ上述の病的状態を治療するに十分な、治療上または予防上効果的な量の成長ホルモン分泌促進因子を含む。治療用組成物は生理学的に許容可能なpHで水溶液に可溶であってもよい。
【0087】
「治療上効果的な量」とは、上述の変化を生じさせる、および上述の病的状態の進行を軽減する等の所望の治療結果を得るに効果的な必要用量および期間を示す。成長ホルモン分泌促進因子の治療上効果的な量は、個体の疾患状態、年齢、性別、体重、ならびに個体に所望の反応を引き起こす化合物の能力などの要因により異なり得る。用法は治療反応が最適となるように調整し得る。治療上効果的な量とは、治療的に有益な効果が化合物のいかなる有毒または有害な効果を上回る量でもある。「予防上効果的な量」とは、上述の病的状態の発生率または進行速度を防止または阻害する等の所望の予防成果を得るに効果的な必要用量および期間を示す。予防上効果的な量は、治療上効果的な量に関して記載したのと同様に求められる。いかなる特定の被験者に関しても、個体の必要性や組成物を投与する人間または投与の監督を行う人間の専門的判断に基づき、特定の用法を経時的に調整し得る。
【0088】
本明細書でいうところの「薬学的に許容可能な担体」または「賦形剤」には、生理学的に適合性のあるありとあらゆる溶媒、分散媒、コーティング剤、抗菌および抗真菌剤、等張および吸収遅延剤その他が含まれる。一実施形態において、担体は非経口投与に適している。あるいは、担体は、静脈投与、腹腔内投与、筋肉内投与、皮下投与、舌下投与、または経口投与に適し得る。薬学的に許容可能な担体には、滅菌水溶液またはディスパージョン、および無菌注射用溶液またはディスパージョンの即時調製のための滅菌粉末が含まれる。薬学的に活性な物質のためのこのような媒体および薬剤の使用は、当該技術分野では周知である。従来の媒体または薬剤が活性な化合物と不適合である場合を除いて、本発明の医薬組成物におけるそれらの使用が検討される。組成物には補助的な活性化合物も配合可能である。
【0089】
治療用組成物は、一般的には、製造および貯蔵条件下で無菌かつ安定でなくてはならない。組成物は水溶液、マイクロエマルジョン、リポソーム、または高薬剤濃度に適したその他の秩序構造として処方可能である。担体は、例えば水、エタノール、ポリオール(例えばグリセロール、プロピレングリコール、液体ポリエチレングリコール等)、およびこれらの適切な混合物を含む溶剤または分散媒であってよい。適切な流動性は、例えば、レシチン等のコーティングの使用、ディスパージョンの場合には必要な粒子サイズの維持、また界面活性剤の使用により維持可能である。多くの場合、組成物中に、例えば糖類、マンニトール、ソルビトール等の多価アルコール、または塩化ナトリウムなどの等張剤を含ませることが好ましい。組成物中に、吸収を遅らせる薬剤、例えばモノステアリン酸塩やゼラチンを含ませることにより、注射用組成物の持続的な吸収をもたらすことが可能である。さらに、成長ホルモン分泌促進因子は徐放性製剤、例えば徐放性高分子を含む組成物として投与可能である。活性化合物は、化合物を急速な放出から保護する担体を用いて放出制御製剤などに調製可能であり、インプラントやマイクロカプセル化送達系を含む。生分解性、生体適合性の高分子、例えばエチレン酢酸ビニル、ポリ無水物、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルトエステル、ポリ乳酸、およびポリ乳酸とポリグリコール酸とのコポリマー(PLG)などが使用可能である。こういった製剤を調製するための方法が数多く特許を取得しているか、または当業者に一般的に知られている。
【0090】
無菌注射用溶液は、所要量の活性化合物(例えば、成長ホルモン分泌促進因子)を、必要に応じて上記に列挙した成分の1つまたは組合せと共に適切な溶媒に所要量で配合し、続いてろ過滅菌することで調製できる。一般に、ディスパージョンは、基礎となる分散媒と上記に列挙した成分中のその他の必須成分を含有する滅菌ビークル中に活性化合物を配合することで調製される。無菌注射用溶液を調製するための滅菌粉末の場合は、真空乾燥と、前もって滅菌濾過したその溶液から活性成分に所望の追加成分が加わった粉末が得られる凍結乾燥法が好ましい。本発明の別の態様において、成長ホルモン分泌促進因子はその溶解性を向上させる1つまたは複数の追加の化合物と共に処方してもよい。
【0091】
本発明の別の態様においては、成長ホルモン分泌促進因子を含む本発明の治療用組成物は、上述の変化を引き出し、かつ上述の病的状態を防止または治療するための使用上の指示をさらに含む容器、キットまたはパッケージ(例えば市販のパッケージ)として提供してもよい。
【0092】
従って、本発明は、上述の変化を生じさせ、かつ上述の病的状態を防止または治療するための使用上の指示と共に成長ホルモン分泌促進因子または上記組成物を含むパッケージをさらに提供するものである。
【0093】
本発明は、上述の変化を生じさせ、かつ上述の病的状態を防止または治療するための、成長ホルモン分泌促進因子の使用をさらに提供するものである。本発明は上述の変化を生じさせ、かつ上述の病的状態を防止または治療するための医薬品を調製するための、成長ホルモン分泌促進因子の使用をさらに提供するものである。
【0094】
本発明の様々な実施形態を本明細書で開示するが、当業者に共通の一般知識に基づき、本発明の範囲内で数多くの調整および改変をし得る。このような改変は、実質的に同一の方法で同一の結果を達成するために本発明のいずれの態様を公知の同等物と置き換えることを含む。数値範囲には、範囲を規定する数字が含まれる。請求項において、「含む」という単語はオープンエンドな用語として用いられており、実質的には「含むが、限定されない」という句と同等である。以下の実施例は本発明の種々の態様を例示するが、本明細書に開示の本発明の幅広い態様を限定するものではない。
【0095】
本願全体を通して、本発明が関連する最先端技術をより十分に説明するために様々な文献を引用した。これら引用文献の開示は引用することにより本開示に組み込まれるものである。
【実施例1】
【0096】
試験薬
下記の実験において使用する化合物は、(ヘキセノイルtrans−3)hGRF(1−44)NH(本明細書においてTH9507とも称される)であり、C6側鎖であるヘキセノイル 部分がN末端でTyr1に固定されているヒト成長ホルモン放出因子(hGRF)の44−アミノ酸配列を含む合成ヒト成長ホルモン放出因子類似体である。(ヘキセノイルtrans−3)hGRF(1−44)NHつまりTh9507は以下の構造を有する。
(trans)CH3-CH2-CH=CH-CH2-CO-Tyr-Ala-Asp-Ala-Ile-Phe-Thr-Asn-Ser-Tyr-Arg-Lys-Val-Leu-Gly-Gln-Leu-Ser-Ala-Arg-Lys-Leu-Leu-Gln-Asp-Ile-Met-Ser-Arg-Gln-Gln-Gly-Glu-Ser-Asn-Gln-Glu-Arg-Gly-Ala-Arg-Ala-Arg-Leu-NH2(配列番号7)
【0097】
(ヘキセノイルtrans−3)hGRF(1−44)NHは、米国特許番号第5861379号(Ibeaその他、1999年1月19日)に記載の方法により合成された。
【0098】
Th9507の試験管内半減期は、hGRFの0.56時間と比べて3〜8時間である。1日1、2mgの投与よりIGF−Iが若年成人に見られる生理学的範囲にまで上昇することが示されている(14)。TH9507の安全性プロフィールは概して良い。Th9507は2型糖尿病の患者で研究されており、1日2mgまでの投与なら血糖コントロール全体を悪化させないことが示されている。
【実施例2】
【0099】
睡眠持続障害不眠症の被験者における日中の覚醒を改善するためのTH9507の投与
本実施例は、14日間にわたる2種類の用量(0.1mgと1mg)のTH9507投与が睡眠持続障害不眠症の35〜50歳の被験者の覚醒パラメータに与える影響を示す。
【0100】
材料および方法
実験には睡眠持続障害不眠症の患者82人が関与した(女性20人、男性62人。平均年齢43.2±5.4歳)。患者はピッツバーグ睡眠質問表(Pittsburgh Sleep Quality Index)(スコア≧5)、睡眠持続障害不眠症のためのウォルターズ判断基準(Walters Criteria for Sleep Maintenance Insomnia)、ベック質問表(Beck Questionnaire)(スコア≦17)に基づいて選択された。主要な除外基準は別の主要睡眠障害の有無、実験参加前30日以内における睡眠または覚醒に影響を与える製品の使用であった。
【0101】
実験はランダム化、二重盲検、プラセボ対照、平行グループの多施設評価で行われ、就寝前に2種類の用量のTH9507(0.1mgと1mg)を連続14日間にわたって皮下注射により毎日投与した。朝の覚醒と処理能力を評価するために、患者は持続処理課題(Continuous Performance Test:CPT)を含む一連の認識力試験をベースラインと治療期間終了時に受けた。
【0102】
CPTは、経時的な、反応の一貫性や注意力の維持能力の尺度として文献に記載されている(Aleman A, et al., J Clin Endocrinol Metab 1999 84(2):471-475)。この試験では、文字「A」の後に「X」が続くたびにスペースキーを叩くことを被験者に求めた。脱落および誤操作、ならびに正しい反応の平均反応時間を分析した。
【0103】
結果
治療グループの人口統計学的特性を以下の表に示す。
【0104】
(表1)
治療グループの人口統計学的(スクリーニング)データ

【0105】
図1に示されるように、0.1mgグループのCPTの平均反応時間はプラセボと比較して顕著かつ著しく短縮された。ベースラインから9日目までに45.85ms低下した(P=0.023。ANOVAで解析してプラセボと比較した場合)。1mgグループでは顕著な効果は観察されなかった。プラセボと比較して、循環IGF−1とIGFBP−3レベルは2週間目で1mgグループで顕著に増大した(P<0.0001。ベースラインからの変化に基づくANOVAモデル)。予測どおり、IGF−1とIGF−BP3に関して、0.1mgはこれらのパラメータに影響を与えなかった(それぞれP=0.07、P=0.99)。ベースラインからの変化に基づくANOVAモデル。
【0106】
以前の実験で得られた、TH9507の覚醒に与える効果についての追加データが図2に提示されている。この実験において、TH9507はクロスオーバーデザインで7日間にわたり毎日投与された。この実験には加齢よる睡眠障害を患う12人の50〜65歳の健康な被験者が関与した(ピッツバーグ睡眠質問表スコア3〜7)。治療期間終了時、1mgのTH9507を投与された被験者の、事象関連電位試験P300で評価した日中の覚醒度はプラセボに比べて顕著に改善された。プラセボと1mgグループで観察された、誘発関連電位(P300)のPz振幅のベースラインから9日目までの変化は以下のとおりである。プラセボ:−15%、1mg:+55%、P=0.0114。ANOVAモデルにより分析。
【0107】
双方の実験において、TH9507の安全性プロフィールは、不眠症試験の1mgで観察された注射部位における反応発生率が高かったことを除き、プラセボに匹敵していた。
【0108】
要約すると、これらの結果はTH9507により睡眠持続障害不眠症の被験者の日中覚醒が改善されることの証拠を示し、IGF−1を介在させない、TH9507の直接的作用メカニズムを支持するものである。データはVitielloその他(Vitiello M.V., et al., Gerontologist 2002 40 (Special Issue 1):39-N/A)によってhGRFを用いて精神運動および知覚処理速度を必要とする認識力試験(Deijin JB et al., Psychoneuroendocrinology 1998 23(1):45-55)で得られたデータによって支持され、また認知機能障害を抱えた被験者におけるさらなる臨床試験も支持し得る。
【実施例3】
【0109】
高齢被験者のインフルエンザワクチン接種に対する免疫反応にTH9507が与える影響
本実施例は高齢被験者へのインフルエンザワクチン投与に続く免疫調査結果を説明する。
【0110】
材料および方法
87人の平均年齢75歳の患者が二重盲検、ランダム化、プラセボ対照試験に参加した。TH9507またはプラセボを8週間にわたって皮下注射により毎日1または2mg投与した。治療期間終了後、12週間にわたって追跡評価を行った。治療期間中間の4週間目で、被験者にA/ニューカレドニア/20/99株、A/パナマ/2007/99株、B/ビクトリア/504/2000株の抗原をそれぞれ15μg含有する市販のカナダ製インフルエンザワクチンを接種した(Vaccine Fluviral(登録商標) S/F Shire社。カナダ・モントリオール)。
【0111】
インフルエンザ特異的増殖T細胞反応および抗体価をワクチンが含有する3つの株のそれぞれについて評価した。増殖T細胞反応はトリチウム化チミジン(H)取り込みを用いてマイトジェンアッセイで評価し、結果は分析に先立って底10の対数に変換した。抗体価は標準的な赤血球凝集阻止反応試験によって求められ、結果は分析に先立って底2の対数に変換した。
【0112】
プロトコルに従って81人の被験者が実験を終了した。被験者人口統計が以下の表に示される。
【0113】
(表2)
被験者人口統計

年齢とBMIに関するデータは平均±標準偏差(SD)で表されている。治療グループ間のベースラインとの比較可能性はANOVA(年齢、BMI)またはピアソン・カイ二乗検定(性別)で試験した。
【0114】
結果
図3に示されるように、治療期間と追跡期間(0週目〜20週目)の双方を含む全実験期間について計算した平均AUCはプラセボと比較して2mgグループで統計学的に高かった(パナマ:P=0.03、ニューカレドニア:P=0.001、ビクトリア:P=0.02。治療グループ間の差異についての一対比較および全治療有意性についてのANCOVA分析)。
【0115】
図4に図示されるように、プラセボに比べ、TH9507の投与により、ビクトリア抗原への防御抗体レベルを獲得した患者の割合は増加した。この観察結果は用量2mgで統計的有意性へと達し、治療期間および追跡期間の双方で注目され(6週目:P=0.02、8週目:P=0.01、12週目:P=0.02、16週目:P=0.004、20週目:P=0.01。治療グループ間の差異についての一対比較および全治療差異に関してのピアソン・カイ二乗試験)、治療中止後の16週目にまで効果が維持されたことを示す。パナマとニューカレドニア株については、被験者の割合に統計的な差異は見られなかった。
【0116】
ベースラインと比較した場合、Th9507グループの双方において、全治療期間中に平均IGF−1値に用量依存性の上昇が観察された。治療の停止に続いて、値はベースラインに戻った。
【0117】
注射部位における反応の発生に用量依存性の傾向があったことを除き、治療グループ間に有害事象の発生に大きな差異は見られなかった。
【0118】
要約すると、この実験で観察された所見はTH9507が免疫関連の適応症において治療効果の可能性を有しているということを強く示す。特に、ワクチン接種に続くT−リンパ球増殖反応のその効果は、高齢者のウィルス感染やHIV感染、高用量化学療法または放射線療法後の免疫不全等の、細胞性免疫系が低下する臨床症状での発現を魅力的なものにしている。
【実施例4】
【0119】
消耗/異化異常におけるThGRFの利点
本実施例は7日間にわたるTH9507投与が健康な中年男性の循環IGF−1レベルに与える影響を示す。
【0120】
材料および方法
実験はランダム化、二重盲検、プラセボ対照で、50〜60歳の健康な男性で行われた。被験者(グループあたり8人)にはプラセボ、0.5または1または2mgTH9507を連続7日間にわたって1日1回、皮下注射により投与した。循環IGF−1レベルは1〜7日目に測定した。1日目と7日目に、12時間成長ホルモン反応とTH9507PKプロフィールを測定した。
【0121】
図5に示されるように、IGA−1はベースラインから8%(プラセボ)、37%(0.5mg)、89%(1mg)、106%(2mg)上昇した。これらの上昇はTH9507の3つの用量全てにおいて統計的に有意であった。用量1mgと2mgはともに効果が強力であり、若年成人に期待されるレベルにまでIGF−1レベルを2倍に引き上げた(それぞれ286±25および284±55ng/ml)。400ng/mlを越えるレベルを示した被験者はいなかった。4日目、6日目で用量1mgと2mgはそれぞれ停滞期に達した。
【0122】
1日目、2日目の双方で、TH9507に対する成長ホルモン反応は急速に上昇した。上昇は用量0.5mg、1mg間では用量依存性であったが(P<0.01)、用量1mg、2mgでは同様だった。TH9507の一回または反復投与後、プロラクチン、ACTH、コルチゾール、TSH、LHまたはFSHに顕著な変化は観察されなかった。
【0123】
PK分析は、CmaxとAUCパラメータが投与量の関数的に増大したことを示す。TH9507の半減期は2〜5時間であった。
【0124】
これらの結果は、TH9507が成長ホルモン分泌に高く特異的であり、強力なIGF−1誘導物質であることを明確に示しており、消耗/異化異常において臨床的に有益である可能性を示唆している。
【実施例5】
【0125】
2型糖尿病の患者の非HDLコレステロールに対するGRFの効果
本実施例は、糖尿病個体群における、TH9507の非HDLコレステロールレベルに対する有益な効果を示す。
【0126】
材料および方法
二重盲検、プラセボ対照実験を、安定した抗糖尿病投薬中の(26%はインシュリン療法)53人の2型糖尿病患者(年齢=61±7[SD];女性34%)に対して行った。患者をランダム化して平行グループに分け、プラセボ、1mgTH9507または2mgTH9507をそれぞれ毎日皮下投与した。
【0127】
結果
ベースラインからの平均総コレステロール変化において、3つの治療グループで12週目に統計的に有意な差異が観察された(P=0.04)。プラセボグループ(+9.7±22.6mg/dl;+5%)と1mgグループ(+6.1±16.2mg/dl;+3%)では上昇したのに対し、2mgグループでは値が低下した(−11.1±21.9mg/dl;−6%)。この効果に付随して、2mgグループにおける平均非HDLコレステロール値は低下(−10.1±19.0mg/dl;−7%)、プラセボ(+6.8±17.8mg/dl;+5%)と1mgグループ(+3.8±15.5mg/dl;+3%)では上昇した。
【0128】
経口グルコース負荷試験に対するインシュリン関連反応という点において、治療期間中、3つのグループ間に統計的に有意な差異は観察されなかった。12週目で、グリコシル化ヘモグロビン(HbAlc)レベルはプラセボグループで減少傾向を示し、1mgでは減少、2mgグループでは変化を示さなかった。抗糖尿病投薬における臨床的に関連した変化が3つの治療グループで同様の率で発生した。
【0129】
IGF−1レベルにおける用量依存性の上昇が治療期間終了時に観察された。
【0130】
要約すると、この実験は、12週間にわたるTH9507の反復投与により糖尿病患者の総および非HDLコレステロール比が低下し、グルコース調節を損なうことなくこの個体群に安全に投与可能なことを示す。観察された成長ホルモンの血中脂質への効果と既知の脂肪分解特性は、内臓脂肪の蓄積に関連した症候群の治療に関するTH9507の研究の根拠となるものである。
【実施例6】
【0131】
GRF類似体がHIV感染患者の脂質プロフィール、身体組成、および生活の質に与える影響
この実験は、TH9507がHIV脂肪異栄養症に関連した腹部の脂肪蓄積に与える影響を調査した。
【0132】
実験デザイン:ランダム化、プラセボ対照、多施設、用量範囲探索(プラセボ、1mgまたは2mg SC QD)、平行グループ12週間実験
【0133】
患者:胴囲(102cm±8[SD])とウェスト/ヒップ比(1.0±0.1[SD])の増大したHIV感染患者61人(BMI28±3[SD]kg/m、28%が糖尿病またはグルコース不耐性)
【0134】
測定:身体組成は、DXAと腹部CTスキャン、IGF−I、インシュリン、グルコース、脂質、骨代謝回転、免疫学的および安全性パラメータによって評価した。
【0135】
TH9507による治療により、生理学的範囲で血清IGF−1レベルが用量依存的に上昇した[18(32)ng/ml、87(67)ng/ml、123(79)ng/ml。それぞれプラセボ、1mg、2mgについての平均(SD)。各活性グループ対プラセボの変化についてP<0.01]。除脂肪体重はプラセボと比較して双方の治療グループで顕著に増加した[−0.5(1.6)kg、0.7(2.0)kg、1.7(2.3)kg。それぞれプラセボ、1mg、2mg。用量2mg対プラセボでP<0.01。1mgグループ対プラセボでP<0.05]。プラセボと比較して、体幹脂肪は2mgグループで低下し(0.8%、−4.6%、−9.2%。それぞれプラセボ、1mg、2mg。2mg対プラセボでP<0.01)、四肢脂肪に顕著な変化は見られなかった。内臓脂肪は2mgグループで最も減少した(−5.4%、−3.6%、−15.7%。それぞれプラセボ、1mg、2mg。2mgグループ内での変化でP=0.03。しかしP=NS対プラセボ)。一方、皮下脂肪は保たれ、グループ間またはグループ内で変化しなかった。プラセボと比較して、VAT:SAT比は双方の治療グループで顕著に改善された(−0.01(0.10)、−0.23(0.47)、−0.14(0.18)。2mgグループ対プラセボでP<0.01。1mgグループ対プラセボでP<0.05)。プラセボと比較して、トリグリセリドとコレステロールのHDLに対する比は2mg治療グループで顕著に低下した。空腹時血糖または2時間OGTTのいずれにおいても変化はなく、治療は概して安定していた。
【0136】
結論:TH9507は、HIV脂肪異栄養症の患者において皮下脂肪を維持しつつ内蔵脂肪を選択的に減少させることで、身体組成を効果的に改善し、体幹脂肪を低減した。ベースライン時に耐糖能障害または糖尿病を抱えた患者であっても、TH9507は血糖値を上昇させることなく脂質プロフィールを改善した。これらのデータは、GRF類似体であるTH9507がHIV脂肪異栄養症への有益な治療法となり得ることを示唆している。
【0137】
方法
被験者
2003年5月から2003年11月の間に88人の被験者を審査した。61人の被験者が参加した。HIV脂肪異栄養症の一部と思われる内蔵脂肪の蓄積が見られ、男性に関しては胴囲≧95cm、女性は≧94cm、男性に関してはウェスト/ヒップ比が≧0.94、女性は≧0.88であるHIVに感染した18〜65歳の男性と、>18歳の閉経前の女性が参加した。BMI≦20kg/m、CD4細胞数≦100細胞/mm、ウィルス量≧10000コピー/ml、実験前3ヶ月以内における日和見感染症またはHIV関連疾患歴、男性被験者における前立腺ガン歴またはPSA>5ng/ml、女性患者における乳ガン歴または実験前6ヶ月以内の異常マンモグラフィー(この期間中のマンモグラフィー写真がない患者については、実験の一環として撮影を行った)、既知の下垂体機能低下症または下垂体手術歴、放射線または深刻な頭部外傷、未治療の甲状腺機能低下症、1型糖尿病(DM)罹患歴、実験前6ヶ月以内の治験または市販の成長ホルモンまたは成長ホルモン関連製品の使用歴、実験前60日以内の全身ステロイド剤投与または酢酸メゲストロール投与、空腹時血糖>150mg/dL、SGOTまたはSGPT>標準の上限の3倍、クレアチニン>標準の上限の1.5倍、またはヘモグロビン<9g/dLの被験者は除外した。実験前6ヶ月以内にテストステロンまたはエストロゲンを投与された被験者、既知の薬物またはアルコール依存症または30日以内に治験薬を用いた別の臨床試験に参加している患者も実験から除外した。被験者は全員、実験参加に先立って8週間の安定した抗レトロウィルス投薬計画を受けることを義務付けられた。脂質降下投薬を受けている被験者は、参加前3ヶ月にわたって安定した投薬計画を受けることを義務付けられた。実験中、抗糖尿病投薬の開始、10日を越える全身性コルチコステロイドの使用、エストロゲンまたはテストステロン製剤の開始は禁止された。
【0138】
試験手順
被験者をスクリーニング診察し、適格性を判定した。被験者全員が実験の参加への書面の同意書を提出し、実験はそれぞれの実験地の施設内治験審査委員会によって承認された。BMI測定、身体測定、TSH、プロラクチン検査を行った。実験前8週間以内に行っていない場合、ウィルス量とCD4数を測定した。男性被験者にはPSAを、女性被験者には妊娠検査を行った。実験前6ヶ月以内に前もって行っていない場合、女性被験者にはマンモグラフィー検査も行われた。
【0139】
ベースライン診察で、身体測定結果が得られた。体幹および四肢の局所体脂肪量のみならず全身除脂肪および体脂肪量をDEXAで評価した。腹部の皮下および内臓脂肪面積とVAT/SAT比をL4−L5での断面CTで測定した。インシュリン様成長因子I、グルコース、インシュリン、脂質プロフィール(コレステロール、HDL、LDL、トリグリセリド、非HDL、コレステロール:HDL比)、遊離脂肪酸、HbA1C、IGFBP−3、骨マーカー(血清オステオカルシンとNTX−1)を含む生化学的パラメータ、CD4、ウィルス量、女性被験者への妊娠試験を空腹血糖時に測定した。加えて、75グラムの標準グルコースチャレンジ試験におけるインシュリンとグルコース反応を評価し、生活の質に関してアンケートを行った。
【0140】
ベースライン評価が終了後、被験者をランダム化して3つのグループ、プラセボ、1mgTH9507、2mgTH9507のうちの1つに均等に分けた。ランダム化は置換ブロックアルゴリズムを用いてブロックサイズ3で第三者コンサルティング会社によって行われ、盲検終了までセラテクノロジー社品質保証部門で極秘扱いとした。治療方法の割付けの時点で、被験者を性別で分類した。治療方法の割付けは実験担当者および患者に対して盲検化された。実薬とプラセボ(マンニトール)は、同じ外見のバイアルにいれた凍結乾燥粉末として提供され、それぞれ材料を1.1mg含有する。各バイアルは注射直前に滅菌水で再構成された。患者は毎朝9時前後に注射をするよう指示された。
【0141】
1週目に、被験者は有害事象と規則の順守を評価するための安全性評価の診察を受けに施設を訪れた。2週目に被験者は体重、身体測定、脂質プロフィール、遊離脂肪酸、IGFB−1、IGFBP−3、グルコース、有害事象、規則の順守を評価するために施設を訪れた。被験者は6週目にベースラインと同一の測定をするため、また9週目に規則の順守と有害事象を評価するために施設を訪れた。被験者は12週目、あるいは早期終了の場合はいつでも可能な時期に、ベースラインと同一の最後の診察を受けるために施設を訪れた。
【0142】
試験薬
上述したように、本実験ではTH9507を使用した。
【0143】
方法
生化学的指標
臨床検査は中央ラボで行った。血清IGF−1を、酸/エタノール抽出後にEsoterix RIAキットを用いて、感受性10ng/mLで測定した(Esoterix社。カリフォルニア州カラバサスヒル)。測定内および測定間変動係数はそれぞれ4.6〜20%、9〜10%であった。血清IGFBP−3はEsoterix RIAキット(Esoterix社。カリフォルニア州カラバサスヒル)を用いて、感受性0.3mg/mLで測定した。測定内および測定間変動係数はそれぞれ5.1〜13%、5.5〜17%であった。HDL、LDL、総コレステロール、トリグリセリド、FFAは酵素比色分析で測定した。グルコースは酵素試験(Gluco-quant(登録商標) Roche diagnostics社インディアナ州インディアナポリス)で測定した。HbAlcはクロマトグラフィーで測定した。PSAはHybritech(登録商標)PSA試験を用いて測定した(Beckman Coulter社カナダ・ミシサーガ)。TSHは微粒子酵素免疫測定法で測定した(AxSYM hTSH II、Abbott Laboratories社、イリノイ州アボットパーク)。NTX(I型コラーゲンのN末端テロペプチド;骨再吸収マーカー)は市販のキット(Osteomark(登録商標)、Ostex International社 ワシントン州シアトル)を用いてELISAで測定した。オステオカルシンは、市販の酵素免疫測定キット(Metra(登録商標)オステオカルシン、Quidel Corporation社カリフォルニア州サンディエゴ)で測定した。CD4およびウィルス量は各施設の実験室で定型手順に従って行われた。
【0144】
HOMAは
[Δインシュリン(30分−0分)/Δグルコース(30分−0分)]/インシュリン(0分)
で計算した。
【0145】
身体組成
前もって確立したプロトコルに基づいて、全身および局所的DEXA(Dual energy X-ray absorptiometry:二重エネルギーX線吸収法)および断面腹部CTスキャンを個々の実験施設で行い、全施設間で標準化した。デジタル画像は治療の割付けを知らされていない第三者の専門家によって分析するために聖ルカ・ルーズベルト病院(St. Lukes Roosevelt Hospital)の中央読取センターに送られた。各施設には身体組成データを得るために従う手順マニュアルが配られ、適切な技法において認定を受けた。CTスキャンに関しては、パラメータは以下のように標準化された:管電圧=120kV、管電流=250mA、線量=375mAs、マトリクス=512x512。DFOVは、視野に全切片が含まれるように設定された。DEXAスキャンについては、全身スキャンが、前述したように除脂肪体重、総体脂肪量、体幹部および四肢の局所脂肪体重の分析とともに行われた(16)。分析後、データはデータ管理センターに移送され、実験データベースに加えられた。
【0146】
統計
身体組成エンドポイントにはDEXAによる体幹脂肪と体幹:四肢脂肪比、CTスキャンによるVATとVAT:SAT比が含まれた。その他のエンドポイントにはIGF−I、脂質パラメータ、グルコースおよびインシュリン、CD4、ウィルス量、骨マーカー、生活の質が含まれた。グループ内分析における統計的に有意な10%以上の変化を評価するために患者20人/グループのサンプルサイズを計画した。脱落率は25%だったため、実験には患者60人が参加した。ベースラインデータは連続変数に関してはANOVAに基づいてF検定で、カテゴリ変数はカイ二乗検定でグループ間で比較した。グループ間の経時的変化はANOVAまたはカイ二乗検定で比較した。必要な場合は、分析前にデータをランク変換した。各グループ内での変化はt検定で測定した。ITT(intent-to-treat)個体群とは、実験治療の投与を少なくとも1回受けた全ての患者と定義される。全有効性に関する記述統計学と分析、安全性解析をITT個体群について行った。実験終了の12週間目に、データを用いて身体組成の変化を計算した。生化学的指標に関しては、入手可能な最後の観察結果を用いて変化を計算する。欠測値に対してのデータの補完は行わない。身体組成に関しては、実験終了時のデータを用いて変化を計算する。中間解析は行わなかった。結果は、特に指示がない限り平均(SD)である。全ての統計的検定は両側検定第1種の過誤レベル0.05で行われた。
【0147】
結果
61人の被験者をプラセボ21人、TH9507(1mg)19人、TH9507(2mg)21人にランダム化した。プラセボグループでは5人、1mgグループでは2人、2mgグループでは6人の被験者が実験を中断し、実験完了率は79%であった。被験者の意向とフロー図については図6を参照のこと。
【0148】
3つの実験グループのベースライン人口統計が表3に示される。抗レトロウィルス療法を除いたあるいは含むグループ間で顕著な違いは見られなかった。糖尿病患者(空腹時血糖≧7.0mmol/Lまたは2時間グルコース≧11.1mmol/L)および耐糖能障害の患者(6.1mmol/L≦空腹時血糖≦6.9mmol/Lまたは7.8mmol/L≦2時間グルコース<11.1mmol/L)の割合は、グループ間に違いはなかった。実験グループ全体で、被験者の23%がIGT(impaired glucose tolerance:耐糖能障害)を示し5%が糖尿病をベースラインで示した。
【0149】
(表3)
ベースライン特性

データは平均(SD)。BMI:体格指数、WHR:ウェスト/ヒップ比、WC:胴囲
【0150】
身体組成
プラセボと比較して、除脂肪体重は双方の治療グループで増大した[−0.5(1.6)kg、0.7(2.0)kg、1.7(2.3)kg。プラセボ、1mg、2mgのそれぞれについての平均(SD)。2mgグループ対プラセボにおける変化はP<0.01。1mgグループ対プラセボにおける変化はP<0.05.表3]。プラセボと比較して、総脂肪は2mgグループで減少した[0.3(1.7)kg、−0.4(1.8)kgおよび−1.4(2.0)kg。それぞれプラセボ、1mg、2mg。2mgグループ対プラセボはP=0.01]。プラセボと比較して、体幹脂肪は2mgグループで減少した(0.8%、−4.6%、−9.2%。それぞれプラセボ、1mg、2mg。2mgグループ対プラセボはP=0.01)(図2)。VATは2mgグループでより低下する傾向を見せた(−5.4%、−3.6%、−15.7%。それぞれプラセボ、1mg、2mg)、(2mg対プラセボの比較でP=NS。2mgグループ内の変化はP=0.03)。グループ間でSATに顕著な変化は見られず、プラセボと比較して、VAT:SAT比は治療グループでより低下した[0.01(0.10)、−0.23(0.47)、−0.14(0.18)](表II)(2mg対プラセボではP<0.01、1mg対プラセボではP=0.04)。
【0151】
生化学的指標
プラセボと比較して、用量1mg、2mgのグループではIGF−Iが顕著に上昇した[18(32)ng/mL、87(67)ng/mL、123(79)ng/mL。それぞれプラセボ、1mg、2mg。各活性グループ対プラセボはP<0.01](図3)。プラセボと比較して、トリグリセリドレベルは2mgグループで減少し(−0.2(1.3)、−0.9(4.2)、−0.9(1.2)。それぞれプラセボ、1mg、2mgグループに関する最終観察値。P<0.05)、プラセボと比較して、コレステロール:HDL比は双方の治療グループで改善された(0.3(1.1)、−0.3(0.7)、−0.3(0.6)。それぞれプラセボ、1mg、2mgについての最終観察値。P<0.05)。
【0152】
治療グループ間、グループ内で、空腹時および120分グルコースレベルに顕著な変化は見られなかった。
【0153】
骨マーカー
オステオカルシンは2mgグループで顕著に増大したが、NTXにおける変化はみられなかった(表4)。
【0154】
(表4)
身体組成、生化学的および免疫学的パラメータのベースラインからの変化



1成長ホルモンと脂質パラメータについては、記載のP値は最終観察データから得たものである。
結果はSI単位での平均(SD)である。
【0155】
生活の質
プラセボまたはTH9507を1mg、2mg毎日皮下投与するようランダム化された61人の患者に、健康に関連した生活の質に関するアンケート(PLC、 Quality of Life Profile for the Chronically Ill:慢性疾患患者の生活の質プロフィール)を自己記入させた。PLCアンケートは、下痢、目に見える顔の変化、身体外見の明らかな変化、HIV陽性の人間であると認識されることに対しての感情のみならず拡張した腹囲、腹部膨満、緊張、痛みによる影響についての疾患特異的なパートのみならず、6範囲にわたる包括的な健康を評価する一般的な非特異的パートを含んだ。
【0156】
実験個体群には男性54人、女性7人が含まれた。ベースライン平均年齢は46±7[SD]、BMI28±3[SD]kg/m、WC102cm±8[SD]、WHR1.0±0.1[SD]であった。PLCの主要部の下位尺度に関して、グループ間で顕著な違いは見られなかった。治療グループ内において、前向きな気分と社会的に良好な状態についてのスコアに若干変化が観察されたが、臨床的に有意とはみなされなかった。臨床的に有意な改善は拡張した腹囲(プラセボ:−0.13、1mg:−0.93、P=0.06対ベースライン;2mg:−1.19、P<0.05対ベースライン、NS対プラセボ)と膨満感に関するスコア(プラセボ:0.56;1mg:−0.50;2mg:−0.69、P<0.05対プラセボ)で注目された。腹痛の改善は1mgグループでのみ観察され(P<0.05対ベースライン、NS対プラセボ)、緊張の改善傾向も伴った(P=0.07対ベースライン、NS対プラセボ)。その他の疾患特異的項目において顕著な変化は観察されなかった。
【0157】
これらのデータは、腹部の脂肪蓄積が見られるHIV患者にGRF類似体であるTH9507を投与することで、拡張した腹囲と関連する項目に関して生活の質が改善されたことを示唆しており、この個体群で観察された体幹および内臓脂肪における減少と一貫性がある。
【0158】
有害事象および中止
中止率にグループ間で差異はなかった(24%、11%、29%。それぞれプラセボ、1mg、2mg)。プラセボグループで1人(関節炎)、1mgグループでゼロ、2mgグループで3人(発疹、関節痛、知覚異常)が有害事象を経験し、治療中止となった。深刻な有害事象がプラセボグループで6%、1mgグループで13%、2mgで10%報告された。筋骨格系有害事象、例えば痛みおよび関節痛がプラセボ、1mg、2mgグループでそれぞれ24%、26%、29%の被験者に見られた。手根管症候群はどの患者にも見られなかった。浮腫および/または末梢部の腫張が2mgグループの患者1人にのみ見られた。頭痛および/または知覚異常はプラセボ、1mg、2mgグループでそれぞれ19%、32%、52%の患者に見られた。血圧および心拍数はグループ間およびグループ内に差異はなかった。2mgグループにおける3人と比較して、プラセボグループの患者1人が有害事象に関連して実験から離脱した。ヘモグロビン、WBC、LFT、クレアチニンを含む安全実験室値(safety laboratory value)はグループ間で差異はなかった(データ記載なし)。CPKはプラセボと比較して(19%)、1mgと(47%)と2mgグループ(38%)の被験者でより大きい割合で増大したが、これらの変化は小さく、グループ間でCPK値が異常に高いものはなかった。12週間後、抗TH9507抗体はどの患者にも検出されなかった。CD4数およびウィルス量は変化しなかった。
【0159】
この実験におけるGRF類似体を用いた結果の一部は、HIV脂肪異栄養症の男性について最近発表された研究におけるGHRH1−29への反応に見られるものに匹敵しており、ここでは成長ホルモンの生理学的上昇に反応して四肢または皮下脂肪でなく体幹脂肪が減少した(13)。この実験はKoutkiaその他の発見を、男女を含むより大きい患者グループで拡大させたものであり、投与量の異なる新規な1−44アミノ酸GRF類似体を1日2回でなく1回投与する。2種類の用量の低用量のほうはIGF−Iを顕著に増大させたが、体幹脂肪の顕著な減少には繋がらず、体幹脂肪を減少させるために必要なIGF−I増加量の閾値があることを示唆している。内臓脂肪も、2mgグループでは3ヶ月にわたり15%を越えて顕著に減少した。注目すべき点としては、パーセントベースでのこの変化の度合いは薬理学的投与量の成長ホルモンでみられるものと同等であり(9)、成長ホルモンの増加に関連した副作用が一般的にないことから、この方法が非常に効果的かつ有用である可能性を示唆している。
【0160】
体幹脂肪の低下に加えて、2mgのGRFの投与によりトリグリセリドレベルとコレステロール:HDL比は顕著に改善された。これはGRF類似体の顕著な利点であり、その他のHIV脂肪異栄養症の治療法では見られない(17、18)。トリグリセリドに対する同様の有益な効果はKotlerその他によって報告された研究における成長ホルモンの低量、隔日投与でも見られたが、高用量では見られなかった。成長ホルモンが成長ホルモン欠乏患者および腹部肥満を理由に選ばれたその他の点では健康な男性のコレステロールとトリグリセリドレベルを低下させることが示されている(19、20)。要約すると、我々のデータはTH9507での治療により、HIV脂肪異栄養症の異常脂質血症で腹部肥満患者の脂質プロフィールが改善されたことを示唆している。
【0161】
HIV脂肪異栄養症における成長ホルモンまたは関連する方法の使用に関して重要な問題はグルコース調節である。HIV脂肪異栄養症の患者はインシュリン抵抗性であることが多く、3分の1以上のかなりの割合で耐糖能異常を有している場合がある(3)。この実験においては、2mgの高用量であっても、標準的なGTTに反応した空腹時血糖または2時間グルコースに顕著な差異は見られず、HbAIcの上昇は見られなかった。
【0162】
TH9507はこの実験において別の有益な効果にも関係していた。骨形成のマーカーであるオステオカルシンが2mgグループで上昇し、骨再吸収のマーカーであるNTXは上昇せず、これは骨の代謝回転に全体としてプラスの効果であることを示唆している。HIV疾患患者および脂肪異栄養症の患者では、内臓および体幹肥満に反比例した骨密度の低下が記載されている(25、26)。成長ホルモンは骨形成を促進することがよく知られている(27)。したがって、成長ホルモン分泌の相対的な低下は脂肪異栄養症の一部の患者における骨密度低下をもたらし、成長ホルモンの生理学的上昇による骨形成へのプラス効果はTH9507の別の利点である。
【0163】
本発明をその特定の実施形態に関連して説明してきたが、さらなる改変が可能であり、本願は、一般に本発明の原理に従う本発明の任意の変形、使用、適合も対象とすることを意図するものであり、本発明が属する技術分野で公知または慣行であり、上記記載の本質的特徴に適用可能で、かつ添付の請求項の範囲に従うような本開示からの逸脱を含むことが理解されるものとする。
【図面の簡単な説明】
【0164】
【図1】治療グループ間における、持続処理課題(Continuous Performance Test:CPT)の平均反応時間におけるベースラインから二週目までの変化における違いを示す。
【図2】覚醒中の誘発関連電位(P300)のPz振幅におけるベースラインから9日目までの変化を示す。
【図3】抗原特異的増殖T細胞反応の平均AUCを示す。
【図4】B/ビクトリアに対する防御抗体価を有する(>1/40)被験者の割合を示す。
【図5】期間中におけるプラセボ、2mg/日TH9507、0.5mg/日TH9507、1mg/日TH9507での平均IGF−1レベル変化を示す。
【図6】実施例6に記載の実験に関する患者の意向のフロー図を示す。図7は、実施例6で記載したようにDEXAで測定したTH9507の(A)IGF−Iと(B)体幹脂肪に対する用量応答結果を示す。
【図7A】で「ng/ml」は測定したIGF−1のng/mlを表す。
【図7B】において、「kg」は体幹脂肪における変化を表し、マイナス値は体幹脂肪の減少を示す。図7Aと7Bにおいて「プラセボ」「1mg」「2mg」はプラセボ、1mgTh9507、2mgTh9507にそれぞれ対応する。結果は平均(SD)である。ANOVAにて*=P<0.01対プラセボ。引用文献1.Miller KD, Jones E, Yanovski JA, Shankar R, Feuerstein I, Falloon J. Visceral abdominal-fat accumulation associated with use of indinavir. Lancet 1998;351(9106):871-5.2.Carr A, Samaras K, Burton S, et al. A syndrome of peripheral lipodystrophy, hyperlipidaemia and insulin resistance in patients receiving HIV protease inhibitors. AIDS 1998:12(7):F51-8.3. Hadigan C, Meigs JB, Corcoran C, et al. Metabolic Abnormalities and Cardiovascular Disease Risk Factors in Adults with Human Imnunodeficiecy Virus Infection and Lipodystrophy. Clin Infect Dis 2001;32(1):130-9.4.Friis-Moller N, Sabin CA, Weber R, et al. Combination antiretroviral therapy and the risk of myocardial infarction. N Engl J Med 2003;349(21):1993-2003.5.Pouliot MC, Despres JP, Nadeau A. Visceral Obesity in Men: Associations with Glucose Tolerance, Plasma Insulin and Lipoprotein Levels. Diabetes 1992;41:826-34.6. Meininger G, Hadigan C, Rietschel P, Grinspoon S. Body-composition measurements as predictors of glucose and insulin abnormalities in HIV-positive men. Am J Clin Nutr 2002;76(2):460-5.7.Rietschel P, Hadigan C, Corcoran C, et al. Assessment of Growth Hormone Dynamics in Human Immunodeficiency Virus-Related Lipodystrophy. J Clin Endocrinol Metab 2001;86(2):504-10.8. Koutkia P, Meininger G, Canavan B, Breu J, Grinspoon S. Metabolic regulation of growth hormone by free fatty acids, somatostatin, and ghrelin in HIV-lipodystrophy. Am J Physiol Endocrinol Metab 2004;286(2):E296-303.9.Kotler DP, Muurahainen N, Grunfeld C, et al. Effects of growth hormone on abnormal visceral adipose tissue accumulation and dyslipidemia in HIV-infected patients. J Acquir Immune Def Syndr 2004;35:239-52.10. Engelson ES, Glesby MJ, Mendez D, et al. Effect of recombinant human growth hormone in the treatment of visceral fat accumulation in HIV infection. J Acquir Immune Defic Syndr 2002; 30(4);379-91.11. Wanke C, Gerrior J, Kantaros J, Coakley E, Albrecht M. Recombinant human growth hormone improves the fat redistribution syndrome (lipodystrophy) in patients with HIV. AIDS 1999;13(15):2099-103.12. Lo JC, Mulligan K, Noor MA, et al. The effects of recombinant human growth hormone on body composition and glucose metabolism in HIV-infected patients with fat accumulation. J Clin Endocrinol Metab 2001;86(8):3480-7.13. Koutkia P, Canavan B, Breu J, Toriani M, Kissko J, Grinspoon S. Growth Hormone-releasing Hormone in HIV-infected Men with Lipodystrophy: A Randomized, Controlled Trial. JAMA 2004;292:210-8.14. Abribat T, Gravel D, Brazeau P. TH9507 A new Growth Hormone-Releasing Factor (GRF) analogue is a powerful Insulin-like Growth Factor-1 (IGF-1) inducer in 50-60 years old healthy subjects: A 7-Day, Randomized Multidose Study. In: The Endocrin Society's 84 rd Annual Meeting; 2001;Denver; 2001. p. P2-292.15. Clemmons D, Miller S, De Villers A, et al. Safety assessment and metabolic effects of TH9507, a Growth Hormone Releasing Factor analog (GRF) in patients with Type 2 diabetes mellitus. In: The Endocrine Society's 86 Annual Meeting; 2003; Philadelphia; 2003. p. P2-354.16. Park YW, Heymsfield SB, Gallagher D. Are dual-energy X-ray absorptiometry regional estimates associated with visceral adipose tissue mass? International Journal of Obesity & Related Metabolic Disorders: Journal of the International Association for the Study of Obesity 2002;26(7):978-83.17. Hadigan C, Yawetz S, Thomas A, Havers F, Sax PE, Grinspoon S. Metabolic effects of rosiglitazone in HIV lipodystrophy: A randomized controlled trial. Annals of Internal Medicine 2004;140(10):786-94.18. Hadigan C, Corcoran C, Basgoz N, Davis B, Sax P, Grinspoon S. Metformin in the treatment of HIV lipodystrophy syndrome: A randomized controlled trial. JAMA 2000;284(4):472-7.19. Johannsson G, Marin P, Lonn L, et al. Growth hormone treatment of abdominally obese men reduces abdominal fat mass, improves glucose and lipoprotein metabolism, and reduces diastolic blood pressure. J Clin Endocrinol Metab 1997;82(3):727-34.20. Colao A, di Somma C, Cuocolo A, et al. Improved cardiovascular risk factors and cardiac performance after 12 months of growth hormone (GH) replacement in young adult patients with GH deficiency. J Clin Endocrinol Metab 2001;86(5):1874-81.

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被験者の脂質パラメータを変化させるための方法であって、該方法により該被験者の血糖値が上昇しない、または実質的に上昇せず、該被験者に
(a)成長ホルモン(GH)分泌促進因子と、
(b)成長ホルモン分泌促進因子と薬学的に許容可能な担体とを含む組成物
から成る群から選択された薬剤を投与することを含む方法。
【請求項2】
該成長ホルモン分泌促進因子が成長ホルモン放出因子(GRF)とGRF類似体から成る群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
該GRF類似体が式(A):
X−GRFペプチド (A)
のGRF類似体であり、
式中、GRFペプチドは式B:
A1-A2-Asp-Ala-Ile-Phe-Thr-A8-Ser-Tyr-Arg-Lys-A13-Leu-A15-Gln-Leu-A18-Ala-Arg-Lys-Leu-Leu-A24-A25-Ile-A27-A28-Arg-A30-R0(B)
(ここで、
A1は、TyrまたはHisであり、
A2は、ValまたはAlaであり、
A8は、AsnまたはSerであり、
A13は、ValまたはIleであり、
A15は、AlaまたはGlyであり、
A18は、SerまたはTyrであり、
A24は、GlnまたはHisであり、
A25は、AspまたはGluであり、
A27は、Met、Ile、またはNleであり、
A28は、SerまたはAsnであり、
A30は、結合または1から15個までの残基のアミノ酸配列であり、かつ
R0はNHまたはNH−(CH)n−CONHであり、n=1から12である)
のペプチドであり、かつ
Xは、アミド結合によりペプチドのN末端に固定された疎水性尾部であり、疎水性尾部は5から7個の原子のバックボーンを規定し、
ここで、バックボーンはC1〜C6アルキル、C3〜C6シクロアルキル、またはC6〜C12アリールにより置換可能であり、かつバックボーンは、バックボーンの少なくとも2個の原子に連結している少なくとも1つの剛直化部分を含み、
剛直化部分は、二重結合、三重結合、飽和または不飽和C3〜C9シクロアルキル、およびC6〜C12アリールからなる群から選択される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
Xが

1(R=HまたはCHまたはCHCH
cisまたはtrans


2(R=HまたはCHまたはCHCH


3(R=HまたはCHまたはCHCH
cisまたはtrans。どちらもラセミ混合物または純エナンチオマー対として


4(R=HまたはCHまたはCHCH
cisまたはtrans。どちらもラセミ混合物または純エナンチオマー対として


5(R=HまたはCHまたはCHCH
cisまたはtrans(R≠Hの場合)




6(R=HまたはCHまたはCHCH
cisまたはtrans。どちらもラセミ混合物または純エナンチオマー対として



7(R=HまたはCHまたはCHCH
cisまたはtrans(R≠Hの場合)
どちらもラセミ混合物または純エナンチオマー対として



8(R=HまたはCHまたはCHCH
cisまたはtrans。どちらもラセミ混合物または純エナンチオマー対として



9(R=HまたはCHまたはCHCH
cisまたはtrans(R≠Hの場合)
どちらもラセミ混合物または純エナンチオマー対として



10(R=HまたはCHまたはCHCH
cisまたはtrans(R≠Hの場合)



11(R=HまたはCHまたはCHCH



12(R=HまたはCHまたはCHCH



13(R=HまたはCHまたはCHCH)、および


14
から成る群から選択される、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
A30が
(a)結合、
(b)天然GRFペプチドの30〜44位に対応するアミノ酸配列、および
(c)C末端から1〜14のアミノ酸を欠損している該(b)のアミノ酸配列
からなる群から選択される、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
該GRFペプチドは、
(a)配列番号3のアミノ酸配列を含むポリペプチド、
(b)配列番号5のアミノ酸配列を含むポリペプチド、および
(c)C末端から1〜14のアミノ酸を欠損している(a)のポリペプチド
からなる群から選択される、請求項3に記載の方法。
【請求項7】
該GRF類似体が(ヘキセノイルtrans−3)hGRF(1−44)NHである、請求項3に記載の方法。
【請求項8】
該脂質パラメータの変化が
(a)コレステロールの減少、
(b)非HDLコレステロールの減少、
(c)トリグリセリドの減少、
(d)総コレステロール:HDLコレステロール比の減少、および
(e)(a)〜(d)のいずれの組み合わせ
から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
該脂質パラメータが脂肪異栄養症、脂肪肥大、肥満、異常脂質血症、高トリグリセリド血症、およびシンドロームXからなる群から選択された病的状態に関連する、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
該脂肪異栄養症がHIV関連脂肪異栄養症である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
該被験者がHIV陽性である、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
該被験者が抗ウィルス療法を受けている、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
該被験者が糖尿病、耐糖能異常、インシュリン耐性から成る群から選択された病的状態を患っている、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
該GRF類似体を用量約0.0001〜2mgで投与する、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
該GRF類似体を約1mgと約2mgから成る群から選択された用量で投与する、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
該薬剤が静脈投与、経口投与、経皮投与、皮下投与、粘膜投与、筋内投与、鼻腔内投与、肺内投与、非経口投与、直腸内投与、局所性投与からなる群から選択した経路で投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
該薬剤が皮下経路で投与される、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
被験者の第一身体組成パラメータを変化させるための方法であり、該方法により該被験者の第二身体組成パラメータは低下しない、または実質的に低下せず、該第二身体組成パラメータは
(i)四肢脂肪、
(ii)皮下脂肪、
(iii)皮下腹部組織(SAT)、および
(iv)(i)〜(iii)のいずれの組み合わせから成る群から選択され、
該被験者に
(a)成長ホルモン(GH)分泌促進因子と、
(b)成長ホルモン分泌促進因子と薬学的に許容可能な担体とを含む組成物
から成る群から選択された薬剤を投与することを含む方法。
【請求項19】
該成長ホルモン分泌促進因子が成長ホルモン放出因子(GRF)とGRF類似体から成る群から選択される、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
該GRF類似体が式(A):
X−GRFペプチド (A)
のGRF類似体であり、
式中、GRFペプチドは式B:
A1-A2-Asp-Ala-Ile-Phe-Thr-A8-Ser-Tyr-Arg-Lys-A13-Leu-A15-Gln-Leu-A18-Ala-Arg-Lys-Leu-Leu-A24-A25-Ile-A27-A28-Arg-A30-R0(B)
(ここで、
A1は、TyrまたはHisであり、
A2は、ValまたはAlaであり、
A8は、AsnまたはSerであり、
A13は、ValまたはIleであり、
A15は、AlaまたはGlyであり、
A18は、SerまたはTyrであり、
A24は、GlnまたはHisであり、
A25は、AspまたはGluであり、
A27は、Met、Ile、またはNleであり、
A28は、SerまたはAsnであり、
A30は、結合または1から15個までの残基のアミノ酸配列であり、かつ
R0はNHまたはNH−(CH)n−CONHであり、n=1から12である)
のペプチドであり、かつ
Xは、アミド結合によりペプチドのN末端に固定された疎水性尾部であり、疎水性尾部は5から7個の原子のバックボーンを規定し、
ここで、バックボーンはC1〜C6アルキル、C3〜C6シクロアルキル、またはC6〜C12アリールにより置換可能であり、かつバックボーンは、バックボーンの少なくとも2個の原子に連結している少なくとも1つの剛直化部分を含み、
剛直化部分は、二重結合、三重結合、飽和または不飽和C3〜C9シクロアルキル、およびC6〜C12アリールからなる群から選択される、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
Xが

1(R=HまたはCHまたはCHCH
cisまたは trans


2(R=HまたはCHまたはCHCH


3(R=HまたはCHまたはCHCH
cisまたはtrans。どちらもラセミ混合物または純エナンチオマー対として


4(R=HまたはCHまたはCHCH
cisまたはtrans。どちらもラセミ混合物または純エナンチオマー対として


5(R=HまたはCHまたはCHCH
cisまたはtrans(R≠Hの場合)




6(R=HまたはCHまたはCHCH
cisまたはtrans。どちらもラセミ混合物または純エナンチオマー対として



7(R=HまたはCHまたはCHCH
cisまたはtrans(R≠Hの場合)
どちらもラセミ混合物または純エナンチオマー対として



8(R=HまたはCHまたはCHCH
cisまたはtrans。どちらもラセミ混合物または純エナンチオマー対として



9(R=HまたはCHまたはCHCH
cisまたはtrans(R≠Hの場合)
どちらもラセミ混合物または純エナンチオマー対として



10(R=HまたはCHまたはCHCH
cisまたはtrans(R≠Hの場合)



11(R=HまたはCHまたはCHCH



12(R=HまたはCHまたはCHCH



13(R=HまたはCHまたはCHCH)、および


14
から成る群から選択される、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
A30が
(a)結合、
(b)天然GRFペプチドの30〜44位に対応するアミノ酸配列、および
(c)C末端から1〜14のアミノ酸を欠損している該(b)のアミノ酸配列
からなる群から選択される、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
該GRFペプチドが、
(a)配列番号3のアミノ酸配列を含むポリペプチド、
(b)配列番号5のアミノ酸配列を含むポリペプチド、および
(c)C末端から1〜14のアミノ酸を欠損している(a)のポリペプチド
からなる群から選択される、請求項20に記載の方法。
【請求項24】
該GRF類似体が(ヘキセノイルtrans−3)hGRF(1−44)NHである、請求項20に記載の方法。
【請求項25】
該第一身体組成パラメータの変化が
(a)除脂肪体重の増加、
(b)体幹脂肪の減少、
(c)内臓脂肪の減少、
(d)腹囲の減少、
(e)腹腔内脂肪(VAT)の減少、
(f)VAT:SAT比の低下、および
(g)(a)〜(f)のいずれの組み合わせ
から成る群から選択される、請求項18に記載の方法。
【請求項26】
該第一身体組成パラメータが脂肪異栄養症、脂肪肥大、肥満、異常脂質血症、高トリグリセリド血症、およびシンドロームXからなる群から選択された病的状態に関連する、請求項18に記載の方法。
【請求項27】
該脂肪異栄養症がHIV関連脂肪異栄養症である、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
該被験者がHIV陽性である、請求項18に記載の方法。
【請求項29】
該被験者が抗ウィルス療法を受けている、請求項27に記載の方法。
【請求項30】
該被験者が糖尿病、耐糖能異常、インシュリン耐性から成る群から選択された病的状態を患っている、請求項18に記載の方法。
【請求項31】
該GRF類似体を用量約0.0001〜2mgで投与する、請求項19に記載の方法。
【請求項32】
該GRF類似体を約1mgと約2mgから成る群から選択された用量で投与する、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
該薬剤が静脈投与、経口投与、経皮投与、皮下投与、粘膜投与、筋内投与、鼻腔内投与、肺内投与、非経口投与、直腸内投与、局所性投与からなる群から選択した経路で投与される、請求項18に記載の方法。
【請求項34】
該薬剤が皮下経路で投与される、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
該第一身体組成パラメータの変化により該被験者の生活の質が改善される、請求項18に記載の方法。
【請求項36】
被験者における骨形成不全または骨形成低下を特徴とする病的状態を治療するための方法であり、
(a)成長ホルモン(GH)分泌促進因子と、
(b)成長ホルモン分泌促進因子と薬学的に許容可能な担体とを含む組成物
から成る群から選択された薬剤を該被験者に投与することを含む方法。
【請求項37】
該病的状態が骨減少症と骨粗しょう症から成る群から選択される、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
該被験者がHIV陽性である、請求項36に記載の方法。
【請求項39】
該被験者がレトロウィルス療法を受けている、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
被験者の(i)日中の覚醒、(ii)認知機能、または(iii)(i)と(ii)の双方を改善するための方法であり、
(a)成長ホルモン(GH)分泌促進因子、と
(b)成長ホルモン分泌促進因子と薬学的に許容可能な担体とを含む組成物
から成る群から選択された薬剤を該被験者に投与することを含む方法。
【請求項41】
該認知機能は、思考、推論、問題解決、記憶から成る群から選択される、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
被験者の代謝異常を改善するための方法であり、
(a)成長ホルモン(GH)分泌促進因子と、
(b)成長ホルモン分泌促進因子と薬学的に許容可能な担体とを含む組成物
から成る群から選択された薬剤を該被験者に投与することを含む方法。
【請求項43】
該代謝異常が異化異常であり、該方法が該異化異常における同化作用を改善するための方法である、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
該異化異常が筋肉消耗である、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
異化異常が患者の慢性腎不全、うっ血性心不全、エイズ、股関節骨折、外傷、または重大な手術から成る群から選択されたものと関連している、請求項43に記載の方法。
【請求項46】
該被験者が高齢被験者である、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
被験者の免疫機能を改善または再構築するための方法であり、
(a)成長ホルモン(GH)分泌促進因子と、
(b)成長ホルモン分泌促進因子と薬学的に許容可能な担体とを含む組成物
から成る群から選択された薬剤を該被験者に投与することを含む方法。
【請求項48】
該被験者が免疫不全状態にある、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
該免疫不全状態が、加齢、HIV感染、化学療法治療、放射線治療から成る群から選択された病的状態または治療によってひきおこされる、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
被験者の脂質パラメータを変化させるための、
(a)成長ホルモン(GH)分泌促進因子と、
(b)成長ホルモン分泌促進因子と薬学的に許容可能な担体とを含む組成物
から成る群から選択された薬剤の使用であり、該脂質パラメータの変化により該被験者の血糖値が上昇しない、または実質的に上昇しない、薬剤の使用。
【請求項51】
被験者の脂質パラメータを変化させるための医薬品の調製のための成長ホルモン(GH)分泌促進因子の使用であり、該脂質パラメータの変化により該被験者の血糖値が上昇しない、または実質的に上昇しない、成長ホルモン分泌促進因子の使用。
【請求項52】
該脂質パラメータの変化が
(a)コレステロールの減少、
(b)非HDLコレステロールの減少、
(c)トリグリセリドの減少、
(d)総コレステロール:HDLコレステロール比の減少、および
(e)(a)〜(d)のいずれの組み合わせ
から選択される、請求項50または51に記載の使用。
【請求項53】
該脂質パラメータが脂肪異栄養症、脂肪肥大、肥満、異常脂質血症、高トリグリセリド血症、およびシンドロームXからなる群から選択された病的状態に関連する、請求項50〜52のいずれか1つに記載の使用。
【請求項54】
該脂肪異栄養症がHIV関連脂肪異栄養症である、請求項53に記載の使用。
【請求項55】
被験者の第一身体組成パラメータを変化させるための、
(a)成長ホルモン(GH)分泌促進因子と、
(b)成長ホルモン分泌促進因子と薬学的に許容可能な担体とを含む組成物
から成る群から選択された薬剤の使用であり、
該第一身体組成パラメータの変化により該被験者の第二身体組成パラメータは低下しない、または実質的に低下せず、該第二身体組成パラメータが
(i)四肢脂肪、
(ii)皮下脂肪、
(iii)皮下腹部組織(SAT)、および
(iv)(i)〜(iii)のいずれの組み合わせ
から成る群から選択される、薬剤の使用。
【請求項56】
被験者の第一身体組成パラメータを変化させるための医薬品の調製のための成長ホルモン(GH)分泌促進因子の使用であり、該第一身体組成の変化により該被験者の第二身体組成パラメータは低下しない、または実質的に低下せず、該第二身体組成パラメータが
(i)四肢脂肪、
(ii)皮下脂肪、
(iii)皮下腹部組織(SAT)、および
(iv)(i)〜(iii)のいずれの組み合わせ
から成る群から選択される、成長ホルモン分泌促進因子の使用。
【請求項57】
該第一身体組成パラメータの変化が
(a)除脂肪体重の増加、
(b)体幹脂肪の減少、
(c)内臓脂肪の減少、
(d)腹囲の減少、
(e)腹腔内脂肪(VAT)の減少、
(f)VAT:SAT比の低下、および
(g)(a)〜(f)のいずれの組み合わせ
から成る群から選択される、請求項55または56に記載の方法。
【請求項58】
該第一身体組成パラメータが脂肪異栄養症、脂肪肥大、肥満、異常脂質血症、高トリグリセリド血症、およびシンドロームXからなる群から選択された病的状態に関連する、請求項55〜57のいずれか1つに記載の使用。
【請求項59】
該脂肪異栄養症がHIV関連脂肪異栄養症である、請求項58に記載の使用。
【請求項60】
該第一身体組成パラメータの変化により該被験者の生活の質が改善される、請求項55〜59のいずれか1つに記載の使用。
【請求項61】
被験者における骨形成不全または骨形成低下を特徴とする病的状態を治療するための、
(a)成長ホルモン(GH)分泌促進因子と、
(b)成長ホルモン分泌促進因子と薬学的に許容可能な担体とを含む組成物
から成る群から選択された薬剤の使用。
【請求項62】
被験者における骨形成不全または骨形成低下を特徴とする病的状態を治療するための医薬品を調製するための、成長ホルモン(GH)分泌促進因子の使用。
【請求項63】
該病的状態が骨減少症と骨粗しょう症から成る群から選択される、請求項61または62に記載の使用。
【請求項64】
該被験者がHIV陽性である、請求項50〜63のいずれか1つに記載の使用。
【請求項65】
該被験者が抗ウィルス療法を受けている、請求項64に記載の使用。
【請求項66】
該被験者が糖尿病、耐糖能異常、インシュリン耐性から成る群から選択された病的状態を患っている、請求項50〜65のいずれか1つに記載の使用。
【請求項67】
被験者の(i)日中の覚醒、(ii)認知機能、または(iii)(i)と(ii)の双方を改善するための、
(a)成長ホルモン(GH)分泌促進因子と、
(b)成長ホルモン分泌促進因子と薬学的に許容可能な担体とを含む組成物
から成る群から選択された薬剤の使用。
【請求項68】
(i)日中の覚醒、(ii)認知機能、または(iii)(i)と(ii)の双方を改善するための医薬品を調製するための、成長ホルモン(GH)分泌促進因子の使用。
【請求項69】
該認知機能は、思考、推論、問題解決、記憶から成る群から選択される、請求項67または68に記載の使用。
【請求項70】
被験者の代謝異常を改善するための、
(a)成長ホルモン(GH)分泌促進因子と、
(b)成長ホルモン分泌促進因子と薬学的に許容可能な担体とを含む組成物
から成る群から選択された薬剤の使用。
【請求項71】
被験者の代謝異常を改善するための医薬品を調製するための、成長ホルモン(GH)分泌促進因子の使用。
【請求項72】
該代謝異常が異化異常であり、該方法が該異化異常における同化作用を改善するための方法である、請求項70または71に記載の使用。
【請求項73】
該異化異常が筋肉消耗である、請求項72に記載の使用。
【請求項74】
異化異常が患者の慢性腎不全、うっ血性心不全、エイズ、股関節骨折、外傷、または重大な手術から成る群から選択されたものと関連している、請求項72または73に記載の使用。
【請求項75】
該被験者が高齢被験者である、請求項70〜74のいずれか1つに記載の使用。
【請求項76】
被験者の免疫機能を改善または再構築するための、
(a)成長ホルモン(GH)分泌促進因子と、
(b)成長ホルモン分泌促進因子と薬学的に許容可能な担体とを含む組成物
から成る群から選択された薬剤の使用。
【請求項77】
被験者の免疫機能を改善または再構築するための医薬品を調製するための、成長ホルモン(GH)分泌促進因子の使用。
【請求項78】
該被験者が免疫不全状態にある、請求項76または77に記載の使用。
【請求項79】
該免疫不全状態が、加齢、HIV感染、化学療法治療、放射線治療から成る群から選択された病的状態または治療によってひきおこされる、請求項78に記載の使用。
【請求項80】
該成長ホルモン分泌促進因子がGH放出因子(GRF)とGRF類似体から成る群から選択される、請求項50〜79のいずれか1つに記載の使用。
【請求項81】
該GRF類似体が式(A):
X−GRFペプチド (A)
のGRF類似体であり、
式中、GRFペプチドは式B:
A1-A2-Asp-Ala-Ile-Phe-Thr-A8-Ser-Tyr-Arg-Lys-A13-Leu-A15-Gln-Leu-A18-Ala-Arg-Lys-Leu-Leu-A24-A25-Ile-A27-A28-Arg-A30-R0(B)
(ここで、
A1は、TyrまたはHisであり、
A2は、ValまたはAlaであり、
A8は、AsnまたはSerであり、
A13は、ValまたはIleであり、
A15は、AlaまたはGlyであり、
A18は、SerまたはTyrであり、
A24は、GlnまたはHisであり、
A25は、AspまたはGluであり、
A27は、Met、Ile、またはNleであり、
A28は、SerまたはAsnであり、
A30は、結合または1から15個までの残基のアミノ酸配列であり、かつ
R0はNHまたはNH−(CH)n−CONHであり、n=1から12である)
のペプチドであり、かつ
Xは、アミド結合によりペプチドのN末端に固定された疎水性尾部であり、疎水性尾部は5から7個の原子のバックボーンを規定し、
ここで、バックボーンはC1〜C6アルキル、C3〜C6シクロアルキル、またはC6〜C12アリールにより置換可能であり、かつバックボーンは、バックボーンの少なくとも2個の原子に連結している少なくとも1つの剛直化部分を含み、
剛直化部分は、二重結合、三重結合、飽和または不飽和C3〜C9シクロアルキル、およびC6〜C12アリールからなる群から選択される、請求項80に記載の使用。
【請求項82】
Xが

1(R=HまたはCHまたはCHCH
cisまたは trans


2(R=HまたはCHまたはCHCH


3(R=HまたはCHまたはCHCH
cisまたはtrans。どちらもラセミ混合物または純エナンチオマー対として


4(R=HまたはCHまたはCHCH
cisまたはtrans。どちらもラセミ混合物または純エナンチオマー対として


5(R=HまたはCHまたはCHCH
cisまたはtrans(R≠Hの場合)




6(R=HまたはCHまたはCHCH
cisまたはtrans。どちらもラセミ混合物または純エナンチオマー対として



7(R=HまたはCHまたはCHCH
cisまたはtrans(R≠Hの場合)
どちらもラセミ混合物または純エナンチオマー対として



8(R=HまたはCHまたはCHCH
cisまたはtrans。どちらもラセミ混合物または純エナンチオマー対として



9(R=HまたはCHまたはCHCH
cisまたはtrans(R≠Hの場合)
どちらもラセミ混合物または純エナンチオマー対として



10(R=HまたはCHまたはCHCH
cisまたはtrans(R≠Hの場合)



11(R=HまたはCHまたはCHCH



12(R=HまたはCHまたはCHCH



13(R=HまたはCHまたはCHCH)、および


14
から成る群から選択される、請求項81に記載の使用。
【請求項83】
A30が
(a)結合、
(b)天然GRFペプチドの30〜44位に対応するアミノ酸配列、および
(c)C末端から1〜14のアミノ酸を欠損している該(b)のアミノ酸配列
からなる群から選択される、請求項81または82に記載の使用。
【請求項84】
該GRFペプチドが、
(a)配列番号3のアミノ酸配列を含むポリペプチド、
(b)配列番号5のアミノ酸配列を含むポリペプチド、および
(c)C末端から1〜14のアミノ酸を欠損している(a)のポリペプチド
からなる群から選択される、請求項81または82に記載の使用。
【請求項85】
該GRF類似体が(ヘキセノイルtrans−3)hGRF(1−44)NHである、請求項80〜84のいずれか1つに記載の使用。
【請求項86】
該GRF類似体が用量約0.0001〜約2mgで投与されるよう適合されている、請求項80〜85のいずれか1つに記載の使用。
【請求項87】
該GRF類似体が約1mgと約2mgから成る群から選択された用量で投与されるよう適合されている、請求項86に記載の使用。
【請求項88】
該薬剤が静脈投与、経口投与、経皮投与、皮下投与、粘膜投与、筋内投与、鼻腔内投与、肺内投与、非経口投与、直腸内投与、局所性投与からなる群から選択した経路で投与されるよう適合されている、請求項50〜87のいずれか1つに記載の使用。
【請求項89】
該薬剤が皮下経路で投与されるよう適合されている、請求項88に記載の使用。
【請求項90】
被験者の脂質パラメータを変化させるための指示と共に、
(a)成長ホルモン(GH)分泌促進因子と、
(b)成長ホルモン分泌促進因子と薬学的に許容可能な担体とを含む組成物
からなる群から選択された薬剤を含むパッケージであり、該脂質パラメータの変化により該被験者の血糖値が上昇しない、または実質的に上昇しないパッケージ。
【請求項91】
該脂質パラメータの変化が
(a)コレステロールの減少、
(b)非HDLコレステロールの減少、
(c)トリグリセリドの減少、
(d)総コレステロール:HDLコレステロール比の減少、および
(e)(a)〜(d)のいずれの組み合わせ
から選択される、請求項90に記載のパッケージ。
【請求項92】
該脂質パラメータが脂肪異栄養症、脂肪肥大、肥満、異常脂質血症、高トリグリセリド血症、およびシンドロームXからなる群から選択された病的状態に関連する、請求項90または91に記載のパッケージ。
【請求項93】
該脂肪異栄養症がHIV関連脂肪異栄養症である、請求項92に記載のパッケージ。
【請求項94】
被験者の第一身体組成パラメータを変化させるための指示と共に、
(a)成長ホルモン(GH)分泌促進因子と、
(b)成長ホルモン分泌促進因子と薬学的に許容可能な担体とを含む組成物
からなる群から選択された薬剤を含むパッケージであり、該第一身体組成の変化により該被験者の第二身体組成パラメータが低下しない、または実質的に低下せず、該第二身体組成パラメータが
(i)四肢脂肪、
(ii)皮下脂肪、
(iii)皮下腹部組織(SAT)、および
(iv)(i)〜(iii)のいずれの組み合わせ
から成る群から選択されるパッケージ。
【請求項95】
該第一身体組成パラメータの変化が
(a)除脂肪体重の増加、
(b)体幹脂肪の減少、
(c)内臓脂肪の減少、
(d)腹囲の減少、
(e)腹腔内脂肪(VAT)の減少、
(f)VAT:SAT比の低下、および
(g)(a)〜(f)のいずれの組み合わせ
から成る群から選択される、請求項94に記載のパッケージ。
【請求項96】
該第一身体組成パラメータが脂肪異栄養症、脂肪肥大、肥満、異常脂質血症、高トリグリセリド血症、およびシンドロームXからなる群から選択された病的状態に関連する、請求項94または95に記載のパッケージ。
【請求項97】
該脂肪異栄養症がHIV関連脂肪異栄養症である、請求項96に記載のパッケージ。
【請求項98】
該第一身体組成パラメータの変化により該被験者の生活の質が改善される、請求項94〜97のいずれか1つに記載のパッケージ。
【請求項99】
被験者における骨形成不全または骨形成低下を特徴とする病的状態を治療するための指示と共に、
(a)成長ホルモン(GH)分泌促進因子と、
(b)成長ホルモン分泌促進因子と薬学的に許容可能な担体とを含む組成物
からなる群から選択された薬剤を含むパッケージ。
【請求項100】
該病的状態が骨減少症と骨粗しょう症から成る群から選択される、請求項99に記載のパッケージ。
【請求項101】
該被験者がHIV陽性である、請求項99または100に記載のパッケージ。
【請求項102】
該被験者が抗ウィルス療法を受けている、請求項101に記載のパッケージ。
【請求項103】
該被験者が糖尿病、耐糖能異常、インシュリン耐性から成る群から選択された病的状態を患っている、請求項99〜102のいずれか1つに記載のパッケージ。
【請求項104】
(i)日中の覚醒、(ii)認知機能、または(iii)(i)と(ii)の双方を改善するための指示と共に、
(a)成長ホルモン(GH)分泌促進因子と、
(b)成長ホルモン分泌促進因子と薬学的に許容可能な担体とを含む組成物
からなる群から選択された薬剤を含むパッケージ。
【請求項105】
該認知機能は、思考、推論、問題解決、記憶から成る群から選択される、請求項104に記載のパッケージ。
【請求項106】
被験者の代謝異常を改善するための指示と共に、
(a)成長ホルモン(GH)分泌促進因子と、
(b)成長ホルモン分泌促進因子と薬学的に許容可能な担体とを含む組成物
から成る群から選択された薬剤を含むパッケージ。
【請求項107】
該代謝異常が異化異常であり、該方法が該異化異常における同化作用を改善するための方法である、請求項106に記載のパッケージ。
【請求項108】
該異化異常が筋肉消耗である、請求項107に記載のパッケージ。
【請求項109】
該異化異常が患者の慢性腎不全、うっ血性心不全、エイズ、股関節骨折、外傷、または重大な手術から成る群から選択されたものと関連している、請求項107または108に記載のパッケージ。
【請求項110】
該被験者が高齢被験者である、請求項106〜109のいずれか1つに記載のパッケージ。
【請求項111】
被験者の免疫機能を改善または再構築するための指示と共に、
(a)成長ホルモン(GH)分泌促進因子と、
(b)成長ホルモン分泌促進因子と薬学的に許容可能な担体とを含む組成物
から成る群から選択された薬剤を含むパッケージ。
【請求項112】
該被験者が免疫不全状態にある、請求項111に記載のパッケージ。
【請求項113】
該免疫不全状態が、加齢、HIV感染、化学療法治療、放射線治療から成る群から選択された病的状態または治療によってひきおこされる、請求項112に記載のパッケージ。
【請求項114】
該成長ホルモン分泌促進因子が成長ホルモン放出因子(GRF)とGRF類似体から成る群から選択される、請求項90〜113のいずれか1つに記載のパッケージ。
【請求項115】
該GRF類似体が式(A):
X−GRFペプチド (A)
のGRF類似体であり、
式中、GRFペプチドが式B:
A1-A2-Asp-Ala-Ile-Phe-Thr-A8-Ser-Tyr-Arg-Lys-A13-Leu-A15-Gln-Leu-A18-Ala-Arg-Lys-Leu-Leu-A24-A25-Ile-A27-A28-Arg-A30-R0(B)
(ここで、
A1は、TyrまたはHisであり、
A2は、ValまたはAlaであり、
A8は、AsnまたはSerであり、
A13は、ValまたはIleであり、
A15は、AlaまたはGlyであり、
A18は、SerまたはTyrであり、
A24は、GlnまたはHisであり、
A25は、AspまたはGluであり、
A27は、Met、Ile、またはNleであり、
A28は、SerまたはAsnであり、
A30は、結合または1から15個までの残基のアミノ酸配列であり、かつ
R0はNHまたはNH−(CH)n−CONHであり、n=1から12である)
のペプチドであり、かつ
Xは、アミド結合によりペプチドのN末端に固定された疎水性尾部であり、疎水性尾部は5から7個の原子のバックボーンを規定し、
ここで、バックボーンはC1〜C6アルキル、C3〜C6シクロアルキル、またはC6〜C12アリールにより置換可能であり、かつバックボーンは、バックボーンの少なくとも2個の原子に連結している少なくとも1つの剛直化部分を含み、
剛直化部分は、二重結合、三重結合、飽和または不飽和C3〜C9シクロアルキル、およびC6〜C12アリールからなる群から選択される、請求項114に記載のパッケージ。
【請求項116】
Xが

1(R=HまたはCHまたはCHCH
cisまたは trans


2(R=HまたはCHまたはCHCH


3(R=HまたはCHまたはCHCH
cisまたはtrans。どちらもラセミ混合物または純エナンチオマー対として


4(R=HまたはCHまたはCHCH
cisまたはtrans。どちらもラセミ混合物または純エナンチオマー対として


5(R=HまたはCHまたはCHCH
cisまたはtrans(R≠Hの場合)




6(R=HまたはCHまたはCHCH
cisまたはtrans。どちらもラセミ混合物または純エナンチオマー対として



7(R=HまたはCHまたはCHCH
cisまたはtrans(R≠Hの場合)
どちらもラセミ混合物または純エナンチオマー対として



8(R=HまたはCHまたはCHCH
cisまたはtrans。どちらもラセミ混合物または純エナンチオマー対として



9(R=HまたはCHまたはCHCH
cisまたはtrans(R≠Hの場合)
どちらもラセミ混合物または純エナンチオマー対として



10(R=HまたはCHまたはCHCH
cisまたはtrans(R≠Hの場合)



11(R=HまたはCHまたはCHCH



12(R=HまたはCHまたはCHCH



13(R=HまたはCHまたはCHCH)、および


14
から成る群から選択される、請求項115に記載のパッケージ。
【請求項117】
A30が
(a)結合、
(b)天然GRFペプチドの30〜44位に対応するアミノ酸配列、および
(c)C末端から1〜14のアミノ酸を欠損している該(b)のアミノ酸配列
からなる群から選択される、請求項115または116に記載のパッケージ。
【請求項118】
該GRFペプチドが、
(a)配列番号3のアミノ酸配列を含むポリペプチド、
(b)配列番号5のアミノ酸配列を含むポリペプチド、および
(c)C末端から1〜14のアミノ酸を欠損している(a)のポリペプチド
からなる群から選択される、請求項115または116に記載のパッケージ。
【請求項119】
該GRF類似体が(ヘキセノイルtrans−3)hGRF(1−44)NHである、請求項114〜118のいずれか1つに記載のパッケージ。
【請求項120】
該GRF類似体が用量約0.0001〜2mgで投与されるよう適合されている、請求項114〜119のいずれか1つに記載のパッケージ。
【請求項121】
該GRF類似体が約1mgと約2mgから成る群から選択された用量で投与されるよう適合されている、請求項120に記載のパッケージ。
【請求項122】
該薬剤が、静脈投与、経口投与、経皮投与、皮下投与、粘膜投与、筋内投与、鼻腔内投与、肺内投与、非経口投与、直腸投与、局所性投与からなる群から選択した経路で投与されるよう適合されている、請求項90〜121のいずれか1つに記載のパッケージ。
【請求項123】
該薬剤が皮下経路で投与されるよう適合されている、請求項122に記載のパッケージ。
【請求項124】
被験者の脂質パラメータを変化させるための組成物であって、該脂質パラメータの変化により該被験者の血糖値が上昇しない、または実質的に上昇せず、成長ホルモン分泌促進因子と薬学的に許容可能な担体とを含む組成物。
【請求項125】
該脂質パラメータの変化が
(a)コレステロールの減少、
(b)非HDLコレステロールの減少、
(c)トリグリセリドの減少、
(d)総コレステロール:HDLコレステロール比の減少、および
(e)(a)〜(d)のいずれの組み合わせ
から選択される、請求項124に記載の組成物。
【請求項126】
該脂質パラメータが脂肪異栄養症、脂肪肥大、肥満、異常脂質血症、高トリグリセリド血症、およびシンドロームXからなる群から選択された病的状態に関連する、請求項124または125に記載の組成物。
【請求項127】
該脂肪異栄養症がHIV関連脂肪異栄養症である、請求項126に記載の組成物。
【請求項128】
被験者の第一身体組成パラメータを変化させるための組成物であり、該第一身体組成の変化により該被験者の第二身体組成パラメータが低下しない、または実質的に低下せず、該第二身体組成パラメータが
(i)四肢脂肪、
(ii)皮下脂肪、
(iii)皮下腹部組織(SAT)、および
(iv)(i)〜(iii)のいずれの組み合わせ
から成る群から選択され、
成長ホルモン分泌促進因子と薬学的に許容可能な担体とを含む組成物。
【請求項129】
該第一身体組成パラメータの変化が
(a)除脂肪体重の増加、
(b)体幹脂肪の減少、
(c)内臓脂肪の減少、
(d)腹囲の減少、
(e)腹腔内脂肪(VAT)の減少、
(f)VAT:SAT比の低下、および
(g)(a)〜(f)のいずれの組み合わせ
から成る群から選択される、請求項128に記載の組成物。
【請求項130】
該第一身体組成パラメータが脂肪異栄養症、脂肪肥大、肥満、異常脂質血症、高トリグリセリド血症、およびシンドロームXからなる群から選択された病的状態に関連する、請求項128または129に記載の組成物。
【請求項131】
該脂肪異栄養症がHIV関連脂肪異栄養症である、請求項130に記載の組成物。
【請求項132】
該第一身体組成パラメータの変化により該被験者の生活の質が改善される、請求項128〜131のいずれか1つに記載の組成物。
【請求項133】
被験者における骨形成不全または骨形成低下を特徴とする病的状態を治療するための組成物であり、成長ホルモン分泌促進因子と薬学的に許容可能な担体とを含む組成物。
【請求項134】
該病的状態が骨減少症と骨粗しょう症から成る群から選択される、請求項133に記載の組成物。
【請求項135】
該被験者がHIV陽性である、請求項124〜134のいずれか1つに記載の組成物。
【請求項136】
該被験者が抗ウィルス療法を受けている、請求項135に記載の組成物。
【請求項137】
該被験者が糖尿病、耐糖能異常、インシュリン耐性から成る群から選択された病的状態を患っている、請求項124〜136のいずれか1つに記載の組成物。
【請求項138】
(i)日中の覚醒、(ii)認知機能、または(iii)(i)と(ii)の双方を改善するための組成物であり、成長ホルモン分泌促進因子と薬学的に許容可能な担体とを含む組成物。
【請求項139】
該認知機能は、思考、推論、問題解決、記憶から成る群から選択される、請求項138に記載の組成物。
【請求項140】
被験者の代謝異常を改善するための組成物であり、成長ホルモン(GH)分泌促進因子と薬学的に許容可能な担体とを含む組成物。
【請求項141】
該代謝異常が異化異常であり、該方法が該異化異常における同化作用を改善するための方法である、請求項140に記載の組成物。
【請求項142】
該異化異常が筋肉消耗である、請求項141に記載の組成物。
【請求項143】
異化異常が患者の慢性腎不全、うっ血性心不全、エイズ、股関節骨折、外傷、またはメジャー手術から成る群から選択されたものと関連している、請求項141または142に記載の組成物。
【請求項144】
該被験者が高齢被験者である、請求項140〜143のいずれか1つに記載の組成物。
【請求項145】
被験者の免疫機能を改善または再構築するための組成物であり、
成長ホルモン(GH)分泌促進因子と薬学的に許容可能な担体とを含む組成物。
【請求項146】
該被験者が免疫不全状態にある、請求項145に記載の組成物。
【請求項147】
該免疫不全状態が、加齢、HIV感染、化学療法治療、放射線治療から成る群から選択された病的状態または治療によってひきおこされる、請求項146に記載の組成物。
【請求項148】
該成長ホルモン分泌促進因子が成長ホルモン放出因子(GRF)とGRF類似体から成る群から選択される、請求項124〜147のいずれか1つに記載の組成物。
【請求項149】
該GRF類似体が式(A):
X−GRFペプチド (A)
のGRF類似体であり、
式中、GRFペプチドが式B:
A1-A2-Asp-Ala-Ile-Phe-Thr-A8-Ser-Tyr-Arg-Lys-A13-Leu-A15-Gln-Leu-A18-Ala-Arg-Lys-Leu-Leu-A24-A25-Ile-A27-A28-Arg-A30-R0(B)
(ここで、
A1は、TyrまたはHisであり、
A2は、ValまたはAlaであり、
A8は、AsnまたはSerであり、
A13は、ValまたはIleであり、
A15は、AlaまたはGlyであり、
A18は、SerまたはTyrであり、
A24は、GlnまたはHisであり、
A25は、AspまたはGluであり、
A27は、Met、Ile、またはNleであり、
A28は、SerまたはAsnであり、
A30は、結合または1から15個までの残基のアミノ酸配列であり、かつ
R0はNHまたはNH−(CH)n−CONHであり、n=1から12である)
のペプチドであり、かつ
Xは、アミド結合によりペプチドのN末端に固定された疎水性尾部であり、疎水性尾部は5から7個の原子のバックボーンを規定し、
ここで、バックボーンはC1〜C6アルキル、C3〜C6シクロアルキル、またはC6〜C12アリールにより置換可能であり、かつバックボーンは、バックボーンの少なくとも2個の原子に連結している少なくとも1つの剛直化部分を含み、
剛直化部分は、二重結合、三重結合、飽和または不飽和C3〜C9シクロアルキル、およびC6〜C12アリールからなる群から選択される、請求項148に記載の組成物。
【請求項150】
Xが

1(R=HまたはCHまたはCHCH
cisまたはtrans


2(R=HまたはCHまたはCHCH


3(R=HまたはCHまたはCHCH
cisまたはtrans。どちらもラセミ混合物または純エナンチオマー対として


4(R=HまたはCHまたはCHCH
cisまたはtrans。どちらもラセミ混合物または純エナンチオマー対として


5(R=HまたはCHまたはCHCH
cisまたはtrans(R≠Hの場合)




6(R=HまたはCHまたはCHCH
cisまたはtrans。どちらもラセミ混合物または純エナンチオマー対として



7(R=HまたはCHまたはCHCH
cisまたはtrans(R≠Hの場合)
どちらもラセミ混合物または純エナンチオマー対として



8(R=HまたはCHまたはCHCH
cisまたはtrans。どちらもラセミ混合物または純エナンチオマー対として



9(R=HまたはCHまたはCHCH
cisまたはtrans(R≠Hの場合)
どちらもラセミ混合物または純エナンチオマー対として



10(R=HまたはCHまたはCHCH
cisまたはtrans(R≠Hの場合)



11(R=HまたはCHまたはCHCH



12(R=HまたはCHまたはCHCH



13(R=HまたはCHまたはCHCH)、および


14
から成る群から選択される、請求項149に記載の組成物。
【請求項151】
A30が
(a)結合、
(b)天然GRFペプチドの30〜44位に対応するアミノ酸配列、および
(c)C末端から1〜14のアミノ酸を欠損している該(b)のアミノ酸配列
からなる群から選択される、請求項149または150に記載の組成物。
【請求項152】
該GRFペプチドは、
(a)配列番号3のアミノ酸配列を含むポリペプチド、
(b)配列番号5のアミノ酸配列を含むポリペプチド、および
(c)C末端から1〜14のアミノ酸を欠損している(a)のポリペプチド
からなる群から選択される、請求項149または150に記載の組成物。
【請求項153】
該GRF類似体が(ヘキセノイルtrans−3)hGRF(1−44)NHである、請求項148〜152のいずれか1つに記載の組成物。
【請求項154】
該GRF類似体が用量約0.0001〜2mgで投与されるよう適合されている、請求項148〜153のいずれか1つに記載の組成物。
【請求項155】
該GRF類似体が約1mgと約2mgから成る群から選択された用量で投与されるよう適合されている、請求項154に記載の組成物。
【請求項156】
該薬剤が静脈投与、経口投与、経皮投与、皮下投与、粘膜投与、筋内投与、鼻腔内投与、肺内投与、非経口投与、直腸内投与、局所性投与からなる群から選択した経路で投与されるよう適合されている、請求項124〜155のいずれか1つに記載の組成物。
【請求項157】
該薬剤が皮下経路で投与されるよう適合されている、請求項156に記載の組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【公表番号】特表2008−516994(P2008−516994A)
【公表日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−537087(P2007−537087)
【出願日】平成17年10月20日(2005.10.20)
【国際出願番号】PCT/CA2005/001611
【国際公開番号】WO2006/042408
【国際公開日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【出願人】(504236259)セラテクノロジーズ、インコーポレイテッド (3)
【氏名又は名称原語表記】THERATECHNOLOGIES INC.
【Fターム(参考)】