説明

戸車及び建具

【課題】上下方向に沿った寸法の増大を抑え、かつ下枠が撓んだ場合にも車輪を確実に接地させて耐荷重を増やすこと。
【解決手段】車輪支持体10の第一側壁11には第二側壁21に向けて突出する支持突部15を設け、戸車本体20の第二側壁21にはそれぞれ支持突部15と係合することにより車輪支持体10及び戸車本体20を互いに回転可能に支持する当接係合面23を設け、支持突部15は第一側壁11の互いに対向する位置に形成し、当接係合面23は第二側壁21の互いに対向する位置に互いに同一の向きに傾斜して延在し、車輪支持体10と戸車本体20との間にはナットブロック40に螺合し、回転した場合に車輪支持体10に対して戸車本体20を左右方向に沿って移動させる調整ボルト42と、車輪支持体10に対して戸車本体20を左右方向に沿って移動した場合に当接係合面23に対する支持突部15の係合位置を変更するガイド機構14,50を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、戸車及び建具に関するもので、障子の下框に対して車輪の位置を調整することのできる戸車及び建具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
引き違い窓や引き戸等の建具に適用される戸車には、障子の下框に対して車輪の位置を調整することができるように構成されたものが提供されている。例えば、特許文献1では、2つの車輪を保持する車輪支持体に連結ピンが設けられ、この連結ピンがアジャスターに設けられた斜状孔とカバーに設けられた垂直孔に挿通されている。また、カバーとアジャスターとの間には、調整ボルトが設けられている。
【0003】
この戸車は、カバーを介して下框の内部に取り付けられる。下框の内部に取り付けられた状態で調整ボルトを回すと、カバーとアジャスターとが相対的に移動し、斜状孔に対する連結ピンの位置が変化する。このため、カバーに対してアジャスターが上下方向に移動することになり、下框に対して車輪の高さ方向の位置を調整することができる。また、カバー及びアジャスターに対して車輪支持体が連結ピンの軸心回りに回転可能であり、下框に対する2つの車輪の姿勢を変更することが可能となる。従って、例えば下枠が撓んでいた場合にも、車輪の高さ方向の位置及び2つの車輪の姿勢を適宜調整することにより、下枠に設けたレールに対して2つの車輪を確実に接地させることができ、2つの車輪が障子の荷重を均等に負担できるようになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特公昭60−7115号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、大きな開口に適用される建具にあっては、障子の寸法が大きくなるため、適用する戸車にも大きな耐荷重が要求される。戸車の耐荷重を増大する方法としては、車輪の数を増やしたり、車輪を大径化して対応することが考えられる。しかしながら、車輪の数を増やしたり、車輪を大径化した場合には、車輪支持体において車輪の専有面積が増えるため、連結ピンを配設する位置、つまり下框に対する車輪の回転中心が著しく制限されることになる。例えば、車輪支持体に3つの車輪を並設した場合には、中央の車輪との干渉を避けるために連結ピンの位置を上方に移動せざるを得ず、戸車の上下方向に沿った寸法が大きく増大する事態を招来することになる。尚、車輪の車軸に連結ピンの機能を兼用させることも考えられるが、この場合には、複数の車輪に均等に荷重を負担させることが困難となり、耐荷重の点で問題を招来する恐れがある。
【0006】
本発明は、上記実情に鑑みて、上下方向に沿った寸法の増大を抑え、かつ下枠が撓んだ場合にも車輪を確実に接地させて耐荷重を増やすことのできる戸車及び建具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明に係る戸車は、一対の第一側壁の間に車軸を介して車輪を回転可能に支持する車輪支持体と、前記一対の第一側壁に対向する部位にそれぞれ第二側壁を有し、前記車輪支持体に対して移動可能に配設した戸車本体とを備え、これら第一側壁及び第二側壁を互いに係合させることにより前記車輪支持体及び前記戸車本体を介して障子の下框に車輪を配設する戸車であって、前記第一側壁及び前記第二側壁の一方には、それぞれ他方に向けて突出する一対の支持突部を設ける一方、前記第一側壁及び前記第二側壁の他方には、それぞれ前記支持突部と係合することにより前記車輪支持体及び前記戸車本体を互いに回転可能に支持するとともに前記車輪支持体に対する前記戸車本体の下方への移動を規制する一対の当接係合面を設け、前記一対の支持突部は前記一対の第一側壁もしくは前記一対の第二側壁の互いに対向する位置に形成し、前記一対の前記当接係合面は前記一対の第一側壁もしくは前記一対の第二側壁の互いに対向する位置において互いに同一の向きに傾斜して延在し、さらに前記車輪支持体と前記戸車本体との間には前記当接係合面に対する前記支持突部の係合位置を規定する係合位置規定手段を設けたことを特徴とする。
【0008】
この発明によれば、支持突部を当接係合面に係合させるようにしているため、戸車本体と車輪支持体との相対回転中心を車輪に対向する位置に設定することができる。
【0009】
また、本発明は、上述した戸車において、前記車輪支持体は、前記一対の第一側壁の間に同一外径を有した3つの車輪を互いに車軸が平行となる状態で相互に並設して支持し、かつ個々の第一側壁において中央に配置した車輪の側面に対向する部位に前記支持突部を設けたものであり、前記戸車本体は、前記第二側壁の下面から形成した係合用切欠を有し、この係合用切欠の上縁に前記当接係合面を形成したことを特徴とする。
【0010】
この発明によれば、中央の車輪の側面に対向する部位を中心として3つの車輪の高さ位置及び姿勢を調整することができる。
【0011】
また、本発明は、上述した戸車において、前記係合位置規定手段は、前記戸車本体に支持されたナットブロックと、先端面が前記車輪支持体に当接した状態で前記ナットブロックに螺合し、前記ナットブロックに対して回転した場合に前記戸車本体に対する前記車輪支持体の左右方向に沿った相対位置を変更する調整ボルトと、前記戸車本体に対して前記車輪支持体の左右方向に沿った相対位置が変更した場合に前記当接係合面に対する前記支持突部の係合位置を変更するガイド機構とを備えたことを特徴とする。
【0012】
この発明によれば、調整ボルトを回転させることにより、当接係合面に対する支持突部の係合位置を変更することができる。
【0013】
また、本発明は、上述した戸車において、前記第一側壁及び前記第二側壁の一方には、前記支持突部の両側においてそれぞれ前記支持突部よりもわずかに下方となる高さ位置に規制用突部を設ける一方、前記第一側壁及び前記第二側壁の他方には、前記当接係合面の両側においてそれぞれ前記当接係合面と同じ高さ位置に当接規制面を形成し、前記車輪支持体及び前記戸車本体が互いに回転した場合にいずれか一方の規制用突部と当接規制面とを互いに係合させることを特徴とする。
【0014】
この発明によれば、規制用突部と当接規制面とが当接することにより、車輪支持体と戸車本体との回転範囲が規制される。
【0015】
また、本発明に係る建具は、上述したいずれかの戸車を下框の両端部に配設したことを特徴とする。
【0016】
この発明によれば、支持突部を当接係合面に係合させるようにしているため、戸車本体と車輪支持体との相対回転中心を車輪に対向する位置に設定した建具を得ることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、支持突部を当接係合面に係合させるようにしているため、戸車本体と車輪支持体との相対回転中心を車輪に対向する位置に設定することができ、下枠が撓んだ場合にも車輪を確実に接地させることができる。従って、戸車本体と車輪支持体との相対回転中心の位置に関わらず車輪の数を増やしたり、車輪を大径化することができ、上下方向に沿った寸法の増大を抑えた上で、耐荷重を増やすことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図1は、本発明の実施の形態である戸車を示したもので、戸車本体に対して車輪支持体を上方に配置した状態の側面図である。
【図2】図2は、図1に示した戸車において、戸車本体に対して車輪支持体を下方に移動させた状態の側面図である。
【図3】図3は、図1に示した戸車の要部横断面図である。
【図4】図4は、図1に示した戸車の縦断面図である。
【図5】図5は、図1に示した戸車の分解斜視図である。
【図6】図6は、図1に示した戸車を適用した建具を示す図である。
【図7】図7は、図6に示した建具の要部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、添付図面を参照しながら本発明に係る戸車及び建具の好適な実施の形態について詳細に説明する。
【0020】
図1及び図2は、本発明の実施の形態である戸車を示したものである。ここで例示する戸車1は、図6及び図7に示すように、障子aの下框bに内蔵され、開口枠Aの下枠Bに設けたレールCに沿って障子aを左右にスライドさせるようにした建具に適用するもので、車輪支持体10及び戸車本体20を備えている。
【0021】
車輪支持体10は、図1〜図5に示すように、板状を成す一対の第一側壁11と、これらの第一側壁11が互いに平行となる状態で第一側壁11の上端部間を連結する第一上壁12とを一体に形成したもので、第一側壁11の間に3つの車輪30を備えている。第一側壁11は、上下方向に比べて左右方向の長さが大きい略矩形状を成すものである。車輪30は、互いに車軸31が平行となる状態で、車軸31の両端部を介して車輪支持体10の第一側壁11に回転可能に支持させてある。3つの車輪30は、互いに同一の外径を有しており、第一側壁11の下面からの突出量が相互に同一となる状態で車輪支持体10の左右方向に沿って等間隔に配設してある。図からも明らかなように、車輪支持体10の第一上壁12には、それぞれの車輪30に対応する部位に、車輪30との干渉を避けるための逃げ開口12aが設けてある。
【0022】
この車輪支持体10は、一対の第一側壁11において一方の端部に押圧板13を有しているとともに、車輪30の相互間となる2位置にそれぞれ一対のガイド溝(ガイド機構)14を有している。押圧板13は、第一側壁11の端部を互いに重なるように折り曲げて形成した折曲部11aの外表面に取り付けた板状部材であり、一対の第一側壁11の間を閉塞するように配置してある。ガイド溝14は、第一上壁12に対して互いに同一の向きに傾斜するように形成した細幅の開口であり、それぞれの第一側壁11の上方部において互いに対向する部位に設けてある。本実施の形態では、押圧板13から離隔するに従って漸次下方に傾斜するようにそれぞれのガイド溝14が設けてある。
【0023】
戸車本体20は、板状を成す一対の第二側壁21と、これらの第二側壁21が互いに平行となる状態で第二側壁21の上端部間を連結する第二上壁22とを一体に形成したものである。第二側壁21は、左右方向の長さが車輪支持体10よりも十分に長く、相互間隔が車輪支持体10の幅とほぼ等しく形成してあり、第二側壁21の相互間に車輪支持体10を移動可能に収容することが可能である。
【0024】
また、戸車本体20には、第二側壁21の相互間にナットブロック40が配設してある。ナットブロック40は、第二側壁21の相互間に嵌合する大きさに形成した板状部材であり、左右方向の移動が規制された状態でブロック支持体41を介して戸車本体20の一端部に配設してある。このナットブロック40には、調整ボルト42が設けてある。調整ボルト42は、ナットブロック40に形成したネジ孔40aに螺合し、戸車本体20の左右方向に沿って延在したもので、ナットブロック40に対して回転させた場合に、ナットブロック40からの先端面の突出量を変化させることが可能である。ブロック支持体41には、調整ボルト42の延長上に位置する部位に工具を挿入するための調整用開口41aが設けてある。
【0025】
上述の構成を有した戸車本体20には、押圧板13をナットブロック40に対向させ、かつ第一上壁12を第二上壁22に対向させる向きで、第二側壁21の相互間に車輪支持体10が配置される。さらに第一側壁11に形成したガイド溝14に貫通する状態で第二側壁21の間にガイドピン(ガイド機構)50を保持させることにより、戸車本体20と車輪支持体10とがユニットとして一体化される。ガイドピン50は、ガイド溝14の幅よりもわずかに小さい外径を有した柱状を成すもので、ガイド溝14の長手に交差する方向に沿ってわずかに移動することが可能である。
【0026】
一方、本実施の形態の戸車1には、車輪支持体10に一対の支持突部15が設けてある一方、戸車本体20に一対の当接係合面23が設けてある。支持突部15は、一対の第一側壁11において中央に配置した車輪30の側面に対向する高さ位置の外表面からそれぞれ第二側壁21に向けて突出したもので、第一側壁11と一体に形成してある。支持突部15は、側面視が半円弧状を成すもので、各円弧が第一上壁12に対して斜めとなる状態で第一側壁11に設けてある。具体的には、上方に向かうに従って漸次押圧板13から離隔するように傾斜する姿勢で第一側壁11の互いに対向する部位に支持突部15が構成してある。当接係合面23は、第二側壁21の下面から形成した係合用切欠24の上縁に構成したもので、車輪支持体10に形成したガイド溝14の傾斜方向に沿って傾斜している。当接係合面23の長さは、ガイドピン50がガイド溝14に沿って移動した場合の車輪支持体10と戸車本体20との相対移動に伴う支持突部15の移動を許容できる寸法に設定してある。
【0027】
図中の符号16は、車輪支持体10において両側に配設した車輪30の側面に対向する高さ位置に設けた規制用突部である。これら規制用突部16は、支持突部15と同じ形状に形成してあるが、その高さが支持突部15よりもわずかに下方となる位置に配設してある。また、符号25は、戸車本体20において係合用切欠24の両側となる位置に形成した規制用切欠である。これらの規制用切欠25は、係合用切欠24と同じ形状、同じ寸法に形成してあり、その上縁に当接規制面26を構成している。当接規制面26は、当接係合面23と同じ高さ位置に同じ傾斜角度をもって形成してあり、車輪支持体10の第一上壁12と戸車本体20の第二上壁22とが互いに平行に配置された場合に、それぞれ規制用突部16の半円弧状を成す上部からわずかに離隔されるように設けてある。また、当接規制面26の長さは、ガイドピン50がガイド溝14に沿って移動した場合の車輪支持体10と戸車本体20との相対移動に伴う規制用突部16の移動を許容できる寸法に設定してある。
【0028】
上記のように構成した戸車1は、図6及び図7に示すように、戸車本体20を介して障子aの下框bに取り付けられる。戸車1を取り付ける位置は、例えば、下框bの両端部である。それぞれの戸車1は、ブロック支持体41が互いに外側に向く姿勢で配設してあり、下框bに取り付けた状態のまま、調整用開口41aを介して工具を挿入することにより調整ボルト42を回転操作することが可能である。
【0029】
いま、調整ボルト42の先端面をもっとも退行させた状態で車輪30を介してレールCに接地させると、図1に示すように、障子aの重量及び戸車本体20の自重により、戸車本体20が車輪支持体10に対して下動し、左右の支持突部15がそれぞれ当接係合面23に係合した状態で車輪支持体10に支持される。このとき、ガイドピン50がガイド溝14の下端に位置した状態となり、車輪支持体10は、押圧板13が戸車本体20のナットブロック40にもっとも接近した位置に配置された状態にある。
【0030】
この状態から、調整ボルト42を回転させてナットブロック40からの先端面の突出量を増大すると、調整ボルト42の先端面が押圧板13を押圧することにより、戸車本体20に対して車輪支持体10が左右方向に沿ってナットブロック40から離隔する向きに移動する。車輪支持体10が左右方向に沿ってナットブロック40から離隔する向きに移動すると、傾斜するガイド溝14に沿ってガイドピン50が上方に案内されるため、車輪支持体10に対して戸車本体20が相対的に上方に移動し、車輪30の車軸31から戸車本体20の第二上壁22までの寸法を拡大することができる。逆に、調整ボルト42の先端面の突出量を減少させると、再び戸車本体20が車輪支持体10に対して下動し、車輪30の車軸31から戸車本体20の第二上壁22までの寸法を減少させることができる。従って、調整ボルト42を適宜操作すれば、下框bの下面からの車輪30の突出量を変更することができる。
【0031】
これらの間、車輪支持体10に対して戸車本体20の高さ位置が変化した場合にも、常に支持突部15の円弧状を成す上部が当接係合面23に係合し、戸車本体20が車輪支持体10に支持された状態を維持する。しかも、ガイドピン50はガイド溝14の長手に交差する方向に沿ってわずかに移動可能であり、車輪支持体10に設けた2つの規制用突部16はそれぞれ当接規制面26に対して離隔した位置に配置されている。つまり、上述の戸車1においては、いずれか一方のガイドピン50がガイド溝14に当接するまでの間、あるいは、いずれか一方の規制用突部16が当接規制面26に当接するまでの間、支持突部15と当接係合面23の係合点を中心として、戸車本体20が車輪支持体10に対して回転可能であり、戸車本体20に対して車輪支持体10の姿勢を変更することができる。
【0032】
従って、下框bの下面からの車輪30の突出量を調整した状態で車輪30をレールCに当接させれば、車輪支持体10に対して戸車本体20が適宜回転し、それぞれの戸車1において3つの車輪30すべてがレールCに確実に接地されることになり、3つの車輪30が障子aの荷重を均等に負担できるようになる。しかも、車輪支持体10の各第一側壁11に設けた支持突部15を戸車本体20の当接係合面23に係合させるようにしているため、戸車本体20と車輪支持体10との相対回転中心を、中央に配設した車輪30に対向した位置に設定することができ、上下方向に沿った寸法の増大を抑えた上で、耐荷重を増やすことが可能となる。さらに、戸車本体20と車輪支持体10との相対回転中心を車軸31とは別に設けているため、戸車本体20と車輪支持体10とが別体となった状態においても車輪支持体10に車輪30が支持された状態となる。従って、組立作業やメインテナンス作業を容易化することが可能となる。
【0033】
尚、上述した実施の形態では、車輪支持体10に支持突部15を設け、かつ戸車本体20に当接係合面23を設けるようにしているが、車輪支持体に当接係合面を設け、かつ戸車本体に支持突部を設けるようにしても良い。この場合、車輪支持体の当接係合面は、上方に向いた面となり、支持突部が上方から載置された状態で両者が係合する形態となる。
【0034】
また、上述した実施の形態では、ガイド機構として車輪支持体10にガイド溝14を設ける一方、戸車本体20にガイドピン50を設けるようにしているが、車輪支持体にガイドピンを設け、戸車本体にガイド溝を設けるようにしても良い。
【0035】
さらに、上述した実施の形態では、車輪支持体10に3つの車輪30を設けたものを例示したが、車輪30の数は必ずしも3つである必要はなく、複数であれば2つや4つ以上であっても構わない。
【0036】
またさらに、上述した実施の形態では、車輪支持体10と戸車本体20とが互いに回転した場合に規制用突部16と当接規制面26とが当接するように構成しているため、車輪支持体10と戸車本体20とが必要以上に回転することがなく、開口枠Aに対して障子aを建て込む際の作業を容易化することが可能となる。しかも、開口枠Aに対して障子aを建て込む際に車輪30や車輪支持体10に衝撃が加えられた場合には、支持突部15と当接係合面23とが当接するばかりでなく、一方の規制用突部16と当接規制面26とが当接することによっても衝撃力を受けることができ、損傷を来す恐れが無くなる等、耐衝撃性の点で有利となる。
【符号の説明】
【0037】
1 戸車
10 車輪支持体
11 第一側壁
12 第一上壁
13 押圧板
14 ガイド溝
15 支持突部
16 規制用突部
20 戸車本体
21 第二側壁
22 第二上壁
23 当接係合面
24 係合用切欠
25 規制用切欠
26 当接規制面
30 車輪
31 車軸
40 ナットブロック
42 調整ボルト
50 ガイドピン
A 開口枠
B 下枠
C レール
a 障子
b 下框

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の第一側壁の間に車軸を介して車輪を回転可能に支持する車輪支持体と、
前記一対の第一側壁に対向する部位にそれぞれ第二側壁を有し、前記車輪支持体に対して移動可能に配設した戸車本体と
を備え、これら第一側壁及び第二側壁を互いに係合させることにより前記車輪支持体及び前記戸車本体を介して障子の下框に車輪を配設する戸車であって、
前記第一側壁及び前記第二側壁の一方には、それぞれ他方に向けて突出する一対の支持突部を設ける一方、前記第一側壁及び前記第二側壁の他方には、それぞれ前記支持突部と係合することにより前記車輪支持体及び前記戸車本体を互いに回転可能に支持するとともに前記車輪支持体に対する前記戸車本体の下方への移動を規制する一対の当接係合面を設け、
前記一対の支持突部は前記一対の第一側壁もしくは前記一対の第二側壁の互いに対向する位置に形成し、前記一対の前記当接係合面は前記一対の第一側壁もしくは前記一対の第二側壁の互いに対向する位置において互いに同一の向きに傾斜して延在し、
さらに前記車輪支持体と前記戸車本体との間には前記当接係合面に対する前記支持突部の係合位置を規定する係合位置規定手段を設けたことを特徴とする戸車。
【請求項2】
前記車輪支持体は、前記一対の第一側壁の間に同一外径を有した3つの車輪を互いに車軸が平行となる状態で相互に並設して支持し、かつ個々の第一側壁において中央に配置した車輪の側面に対向する部位に前記支持突部を設けたものであり、
前記戸車本体は、前記第二側壁の下面から形成した係合用切欠を有し、この係合用切欠の上縁に前記当接係合面を形成したことを特徴とする請求項1に記載の戸車。
【請求項3】
前記係合位置規定手段は、
前記戸車本体に支持されたナットブロックと、
先端面が前記車輪支持体に当接した状態で前記ナットブロックに螺合し、前記ナットブロックに対して回転した場合に前記戸車本体に対する前記車輪支持体の左右方向に沿った相対位置を変更する調整ボルトと、
前記戸車本体に対して前記車輪支持体の左右方向に沿った相対位置が変更した場合に前記当接係合面に対する前記支持突部の係合位置を変更するガイド機構と
を備えたことを特徴とする請求項1に記載の戸車。
【請求項4】
前記第一側壁及び前記第二側壁の一方には、前記支持突部の両側においてそれぞれ前記支持突部よりもわずかに下方となる高さ位置に規制用突部を設ける一方、前記第一側壁及び前記第二側壁の他方には、前記当接係合面の両側においてそれぞれ前記当接係合面と同じ高さ位置に当接規制面を形成し、前記車輪支持体及び前記戸車本体が互いに回転した場合にいずれか一方の規制用突部と当接規制面とを互いに係合させることを特徴とする請求項1に記載の戸車。
【請求項5】
請求項1〜請求項4のいずれか一つに記載した戸車を下框の両端部に配設したことを特徴とする建具。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate