説明

所在情報管理システム

【課題】所要の物品等を必要なときに容易に取り出すことができ、物品の整理収納を容易に行うことができる所在情報管理システムを提供する。
【解決手段】所定領域に収容される管理対象の所在を管理する所在情報管理システム1は、領域特定情報が記録されたRFIDタグと、上記RFIDタグと交信できる交信手段を備えるモバイル機器と、データベース21と、上記モバイル機器に設けられるとともに、情報を入出力できる管理手段3とを備えて構成されており、上記管理手段は、上記管理対象が上記所定領域に持ち込まれたときに、管理対象特定情報と領域特定情報とを関連付けた所在情報を生成するとともに、上記管理対象が上記所定領域から持ち出されたときに、上記管理対象の不所在情報を生成するとともに、上記交信手段を介して上記データベースに記録する不所在情報記録手段24と、上記データベースの所要の情報を検索できる検索手段25とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、所在情報管理システムに関する。詳しくは、管理対象が所定の領域に所在しているか否かを容易に検索することができる所在情報管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
たとえば、家庭内にある物品を整理して、必要なときに必要なものを取り出せるのが望ましい。ところが、上記物品を整理して収納するのは、手間がかかるため面倒である。また、物品が充分に整理して収納されているとしても、いずれの収納場所に所在するか思い出せない場合も多い。
【0003】
特に、高齢化にともなって物忘れの程度が高まり、身の周りの物を管理するのが困難となる。また、過去に購買した物品を、重ねて購買してしまう場合も多い。
【0004】
上記問題を解決するために、種々の整理収納用具が提供されている。たとえば、特許文献1においては、物品移動収納装置が提案されている。上記物品移動収納装置は、エンドレス状のレール体に、物品収納体を移動可能に取り付け、各物品収納体に、台所用品、家庭用小物、靴等の物品を区分けして収納するように構成されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のような大掛かりな収納装置を設けることにより、家庭内の物品を効率よく整理収納することができる。しかしながら、一般の家庭内に、上記特許文献に記載されているような収納装置を設けるのは、スペースや費用の面から考えて現実的ではない。
【0006】
また、上記収納装置に種々の物品を区分けして収納したとしても、所要の物品がいずれの収納体に収納されているかを認識するのは非常に困難である。このため、所要の物品を取り出すのに、全ての収納体を探す必要が生じる場合も多い。
【0007】
すなわち、従来の収納方法で、各物品を整理して収納できたとしても、特定の物品がいずれの収納場所に収納されているかを利用者自身が認識しておく必要がある。このため、家庭内のすべての物品を完全に把握して整理収納し、短時間に所要の物品を取り出すのは非常に困難な場合が多い。
【0008】
また、物品を収納する際、所定の物品がいずれの収納場所に収納されていたかを思い出すのが困難な場合も多い。このため、同種の物品が分散されて収納される場合も多くなる。その結果、所要の物品がいずれの収納場所に所在するのか判らなくなり、物品を取り出すのがさらに困難になる場合も多い。
【0009】
本願発明は、家庭内に限らず、所要の物品等の所在を確認して必要なときに必要なものを容易に取り出すことができるとともに、物品の整理収納を容易に行うことができる所在情報管理システムを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1に記載された発明は、所定領域に収容される管理対象の所在を管理する所在情報管理システムであって、上記所定領域に配置され、少なくとも上記所定領域に関する領域特定情報が記録されるとともに、記録された情報を発信できる領域識別手段と、上記領域識別手段と交信できる交信手段を備えるモバイル機器と、上記領域識別手段又は/及び上記モバイル機器に設けたデータベースと、上記モバイル機器に設けられるとともに、上記データベースに記録される情報を入出力できる管理手段とを備えて構成されている。上記管理手段は、上記管理対象が上記所定領域に持ち込まれたときに、管理対象特定情報と上記領域識別手段の領域特定情報とを関連付けた所在情報を生成するとともに、上記データベースに記録する所在情報記録手段と、上記管理対象が上記所定領域から持ち出されたときに、上記管理対象の不所在情報を生成するとともに、上記データベースに記録する不所在情報記録手段と、上記データベースの所要の情報を検索できる検索手段とを備えて構成されている。
【0011】
本願発明に係る上記領域の種類や構成は特に限定されることはない。たとえば、家庭内収納であれば、各部屋、タンス、本棚、押入れ等の、種々の物品が所在しうる領域に対して適用することができる。なお、本願発明は、家庭内の収納に限定されることはなく、種々の領域における所在検索に適用することができる。
【0012】
上記管理対象も特に限定されることはない。たとえば、本、被服、靴等所在するあらゆる物品に適用することができる。さらに、病院に入院している患者等の人を管理対象として適用することもできる。
【0013】
上記領域識別手段として、種々の固体識別手段を採用することができる。上記領域識別手段は、少なくとも書き込まれた情報を読み出すことができるものであればよく、たとえば、バーコード、磁気テープ等の、モバイル機器によって読み出し可能な情報が記録された記録媒体を採用できる。請求項2に記載した発明のように、RFIDタグ(Radio Frequency Identification)を用いるのが好ましい。上記RFIDタグとして、種々のタグを採用できる。たとえば、モバイル機器の交信手段からの電波をエネルギ源として動作するパッシブタグのみならず、電源を有するアクティブタグを採用することもできる。
【0014】
また、本願発明に採用されるRFIDタグは、タグの固体識別情報のみ書き込まれた狭義のRFIDタグのみならず、上記交信手段を介して書き込み及び読み出し可能なメモリ領域を有する広義のRFIDタグが含まれる。また、RFIDタグの外観形態も特に限定されることはなく、貼り付けタイプのRFIDタグのみならず、カード等の種々の形態を備えるRFIDタグを採用することができる。
【0015】
上記RFIDタグの記録容量等も特に限定されることはない。たとえば、上記RFIDタグに上記データベースを設ける場合において、家庭の収納領域において、所在する管理対象の数が少ない場合等には、小さな記録容量のICチップを搭載したRFIDタグを採用することができる。一方、ビルの各フロア等を対象領域とする場合には、記憶容量の大きなICチップを搭載したRFIDタグを採用するのが好ましい。
【0016】
RFIDタグ等の領域識別手段には、少なくとも領域特定情報が書き込まれている。領域を特定するのみであれば、バーコード等の固体識別情報を所定の領域特定情報に対応させて利用することができる。また、固体識別手段としてRFIDタグを採用する場合には、RFIDタグメモリ領域に、領域に関する情報や所在情報、上記領域に出入りした日時や、管理対象の特性等を書き込んで、データベースを構築することもできる。
【0017】
本願発明では、上記領域識別手段と交信できるモバイル機器が採用される。上記交信手段は特に限定されることはない。たとえば、上記領域識別手段としてバーコードを採用した場合には、画像認識手段によって上記バーコードの情報を読み取ることができる。また、RFIDタグを採用した場合、上記交信手段として電波による交信手段が採用される。上記RFIDタグとの交信は、国際規格に準じたものを採用することもできるし、本願特有の交信手段を採用することもできる。上記モバイル機器の種類も特に限定されることはなく、請求項8に記載した発明のように、上記モバイル機器として、携帯電話を採用することができる。また、専用の情報端末を採用することもできる。
【0018】
本願発明では、上記領域識別手段又は/及び上記モバイル機器にデータベースが設けられる。上記データベースには、少なくとも、管理対象特定情報と上記RFIDタグの領域特定情報とを関連付けた所在情報及び不所在情報が記録される。上記データベースの形態は特に限定されることはなく、管理対象及び領域に応じて設定することができる。たとえば、請求項3に記載した発明のように、上記所定領域を階層構造を備える領域として構成するとともに、上記各領域及び上記各階層に対して上記領域識別手段をそれぞれ配置し、上記データベースを、上記領域の階層構造に対応する階層を有するフォルダを備えて構成することができる。
【0019】
たとえば、ビルの各階を第1の領域区分として各階に所定の領域識別手段を設け、上記各階の各部屋を第2の領域区分として各部屋に所定の領域識別手段を設け、さらに、上記各部屋の各棚等の収容スペースを第3の領域区分として各スペースに領域識別手段を設けることができる。この場合、上記各領域区分は、階層構造を構成している。
【0020】
一方、上記データベースとして、上記階層構造に応じたフォルダを設け、上記各管理対象の出入り等を、上記階層構造を備える領域に応じて管理することができる。この構成を採用することにより、多数の領域にある管理対象を一元的に管理することが可能となる。
【0021】
上記データベースを含む本願発明に係るシステムを管理するため、上記モバイル機器に設けられるとともに、上記データベースに記録される情報を生成して入出力できる管理手段が設けられる。
【0022】
上記管理手段は、上記管理対象が上記所定領域に持ち込まれたときに、管理対象特定情報と上記RFIDタグの領域特定情報とを関連付けた所在情報を生成するとともに、上記交信手段を介して上記データベースに記録する所在情報記録手段と、上記管理対象が上記所定領域から持ち出されたときに、上記管理対象の不所在情報を生成するとともに、上記交信手段を介して上記データベースに記録する不所在情報記録手段とを備えて構成される。上記管理手段は、具体的には、上記モバイル機器において作動するソフトウエアプログラムをインストールして構成することができる。
【0023】
上記モバイル機器を介して、上記データベースに記録された所在情報及び不所在情報が更新されて、所定の領域に管理対象が存在するか否かが記録される。なお、新たに管理対象を加える場合は、所定の形式に従って管理対象の登録が行われ、この管理対象に対して上記領域に関連付けられた所在情報及び不所在情報が、上記交信手段を介して上記データベースに記録される。
【0024】
上記データべースは、上記領域識別手段と上記モバイル機器の一方に設けることもできるし、請求項7に記載された発明のように、上記領域識別手段と上記モバイル機器の双方に設けることもできる。上記双方にデータベースを設ける場合には、上記領域識別手段としてRFIDタグが採用されるとともに、上記データベースに記録されたデータを上記交信手段を介して同期させるように構成するのが好ましい。この構成を採用すると、特定のモバイル機器のみならず、種々のモバイル機器によって上記所在情報を管理することも可能となる。また、一方のデータベースが破損した場合にも、容易に復元することができる。
【0025】
上記管理手段は、上記データベースの所要の情報を検索できる検索手段を備えて構成される。上記検索は、所定の管理対象がいずれの領域に所在しているかを検索できるのみならず、新たな管理対象をいずれの領域に収納すべきかを検索することができるように構成するのが好ましい。たとえば、請求項4に記載した発明のように、上記検索手段を、所定領域に所在する管理対象及び不所在の管理対象に係る管理対象特定情報をリストアップして、上記モバイル機器の画面に表示するリストアップ手段を備えて構成するのが好ましい。これによって、上記モバイル機器を操作するだけで、管理対象を容易に検出して、所定の領域から取り出すことができるとともに、特定の管理対象が、いずれの領域に所在すべきかを容易に判断して、収納することができる。このため、種々の物品の整理収納を極めて容易に、かつ確実に行うことができる。
【0026】
上記所在情報管理システムは、人間の記憶に頼るものではないため、利用者以外の者も容易に利用することができる。このため、多数の者によっても、整理収納を確実に行うことが可能となる。
【0027】
請求項5に記載した発明のように、上記管理対象特定情報を、上記各管理対象に関する特性情報を含んで構成することができる。
【0028】
上記特性情報は特に限定されることはない。たとえば、茶碗、花器、絵画、古文書等の骨董品等を管理対象として採用する場合、各管理対象の、時代、作者、購入日時等の特性を記録しておくことができる。一方、上記管理手段を用いて、上記特性情報から、取り出したい管理対象の所在を検索することができる。
【0029】
上記特性情報は、上記データベースに記録することができる。上記データベースに記録しておくことにより、上記モバイル機器から上記管理対象の所在を確認して取り出すことができるばかりでなく、収集資料の整理等に利用することも可能となる。
【0030】
請求項6に記載した発明は、各管理対象に、これら管理対象を特定できる管理対象特定情報及び所在情報が書き込まれた個別領域識別手段が設けられているとともに、各領域に、領域内に所在する管理対象に設けられた上記個別領域識別手段に書き込まれた上記情報を読み出して、各領域に配置された上記領域識別手段にそれぞれ記録できる領域管理装置が設けられているものである。
【0031】
本請求項に記載した発明は、管理手段や領域に対応した領域識別手段によって所在情報を管理するのに加えて、各々の管理対象に個別領域識別手段を設けて、所在情報の管理を行うものである。この場合、上記個別領域識別手段及び上記領域識別手段としてRFIDタグを用いるのが好ましい。
【0032】
上記管理対象が収容される領域には、各管理対象に設けられた上記個別領域識別手段に書き込まれた上記情報を読み出して、上記各領域に設けられた上記領域識別手段に記録できる領域管理装置が設けられている。
【0033】
上記領域管理装置は、各領域に存在する個別領域識別手段を検出するとともに、それに書き込まれた情報を読み出す。そして、上記情報を上記領域に設けられる領域識別手段に伝送する。これにより、管理対象に関する所在情報を、各領域の領域識別手段に設けたデータベースに自動的に書き込むことが可能となる。したがって、所在情報管理システムを自動化することも可能となる。
【発明の効果】
【0034】
所要の物品等の所在を確認して必要なときに必要なものを容易に取り出すことができるとともに、物品の整理収納を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本願発明の第1の実施形態に係る所在情報管理システムの概要を示す図である。
【図2】図1に示す所在情報管理システムの構成を示すブロック図である。
【図3】本願発明の第2の実施形態に係る所在情報管理システムの領域の構成を示す図である。
【図4】図3に示す領域について、データベースの構造を示す図である。
【図5】第3の実施形態に係る所在情報管理システムの概要を示す図である。
【図6】第4の実施形態に係る所在情報管理システムの概要を示す図である。
【図7】図6に示す所在情報管理システムの構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、本願発明の実施形態を図に基づいて説明する。本願発明では、家庭における種々の物品に係る所在情報管理システムに本願発明を適用したものである。なお、本実施形態は、領域識別手段としてRFIDタグを採用したものである。
【0037】
図1に示すように、本実施形態に係る所在情報管理システム1は、管理対象として種々の物品(10a〜10h)を区分けして収納できる複数の領域(領域A、領域B、領域C)と、上記各領域に設けられたRFIDタグ(タグa、タグb、タグc)と、上記RFIDタグa,b,cに情報を書き込み及び読み出すことができる携帯電話2とを備えて構成される。
【0038】
本実施形態では、上記領域Aは居間に対応し、メガネ等の物品(10a〜10c)が所在している。また、上記領域Bは玄関に対応し、靴、傘等(10d、10e)が所在している。また、上記領域Cは、台所に対応し、鍋ややかん(10f〜10h)が所在している。
【0039】
上記領域A、領域B、領域Cには、それぞれ、タグa、タグb、タグcが設けられている。上記タグはいわゆるICタグであり、各タグの固体識別情報が、上記各領域に対応した領域特定情報に対応するように構成されている。また、図2に示すように、上記各タグは、情報記録領域を備えて構成されており、上記物品(管理対象)の所在情報及び不所在情報が、データベース21に上記領域特定情報に関連付けて記録される。すなわち、上記物品が上記領域に所在する場合には、上記物品に関する所在情報が書き込まれる。また、上記領域に所在すべき管理対象であるが、不所在であるは場合には、不所在情報が書き込まれる。
【0040】
上記各タグa,b,cへの書き込みは、上記携帯電話2を用いて行われる。すなわち、上記各物品を上記領域内へ持ち込んだ際に、上記携帯電話2によって上記物品が上記領域に所在する旨の所在情報が対応する各タグa,b,cのデータベース21に書き込まれる。一方、上記物品を持ち出す際には、上記各物品が上記領域に存在しない旨の不所在情報が領域に対応するタグのデータベース21に書き込まれる。上記各タグの領域情報の読み出し及び所在情報等の書き込みは、携帯電話2に付属する交信手段26を介して行われる。上記交信手段の形式等は特に限定されることはなく、従来のRFIDタグで用いられているもののみならず、独自の形式の交信手段を用いることもできる。
【0041】
上記携帯電話2には、上記所在情報を管理する管理手段3が設けられている。上記管理手段3として、上記物品の情報を管理できるソフトウエアを採用できる。
【0042】
上記管理手段3は、上記各タグa,b,cに設けられたデータベースの情報を、上記交信手段26を介して読み出す読み出し手段22と、上記各物品が上記所定領域A,B,Cに持ち込まれたときに、物品特定情報と上記読み出し手段によって読み出した領域特定情報とを関連付けた所在情報を生成するとともに、上記データベース21に記録する所在情報記録手段23と、上記各物品が上記所定領域から持ち出されたときに、上記物品に係る不所在情報を生成するとともに、上記データベース21に記録する不所在情報記録手段24とを備えて構成されている。
【0043】
上記データベース21には、上記各領域に収容される物品に対応した記憶領域が設定されており、物品の持ち込みあるいは持ち出しに対応して、上記所在情報が書き込みあるいは上記不所在情報が書き込まれる。
【0044】
上記管理手段3には、検索手段25が設けられている。上記検索手段25は、上記構成を備える所在情報管理システム1において、所要の物品がいずれの領域に所在するかを、上記携帯電話2の管理手段3を用いて検索することができるように構成されている。すなわち、物品名等の物品特定情報を上記携帯電話2に入力することにより、いずれの領域に所在しているかを容易に知ることができる。あるいは、所定領域に所在する物品及び不所在の物品の一覧を携帯電話2の画面にリスト表示することができる。このため、必要な物品を迅速に見つけ出して使用することが可能となる。また、持ち出し等によって所在しない場合も容易に確認することができるため、探す必要がないことを早期に判断することができる。
【0045】
一方、所定の物品をいずれの領域に収納するのかを、容易に識別することができる。たとえば、物品名を携帯電話に入力することにより、いずれの収納領域に収納すべきかを知ることができる。このため、特定の物品を特定の領域に確実に収納することが可能となる。また、新たに購入した物品をいずれの領域に収納すべきかを容易に決定することができる。
【0046】
上記所在情報管理システム1は、人間の記憶に頼るものではないため、物品の管理を確実に行うことができる。また、携帯電話2とRFIDタグa,b,cがあれば容易に構成することができるため、多大な費用が生じることもない。さらに、記憶力が低下した高齢者家庭においても、物品等の管理を確実に行うことが可能となる。
【0047】
図3は、4階建のビルを収納領域として種々の物品を整理収納する場合に、本願発明に係る所在情報管理システムを適用したものである。
【0048】
上記ビルIには、タグIが設けられている。上記タグIには、建物の収納領域に関する情報のみならず、住所や管理者等の情報等を書き込むことができる。
【0049】
上記ビルIの各階(1F、2F、3F、4F)には、それぞれ各階に関する情報が書き込まれるタグ(タグ1、タグ2、タグ3、タグ4)が設けられている。
【0050】
また、上記各階に存在する各室に、タグ(1A、1B、2A、2B、3A、3B、4A、4B)が設けられている。上記タグには、少なくとも、上記各室に存在する棚に関する情報が記録される。
【0051】
さらに、上記各室には、複数の棚(1a〜1d、2a〜2d、3a〜3d、4a〜4d)が設けられており、各棚に、タグ(タグ1a〜タグ1d、タグ2a〜タグ2d、タグ3a〜タグ3d、タグ4a〜タグ4d)が設けられている。上記各タグには、上記棚に収容する物品の情報が記録されている。なお、図3においては、各棚に収容された物品は示していない。
【0052】
上記ビルIの各階の各棚に物品を持込み、あるいは持ち出す場合には、上記各タグに出入りの情報が記録される。
【0053】
図3に示すように、本実施形態では、収納領域が、上記ビルIを頂点とする階層構造を構成している。そして、上記各階層の各領域に対応したタグがそれぞれ設けられている。
【0054】
図4に、上記図3に示すビルIの所在情報管理システムに用いられるデータベースのフォルダ構造を示す。なお、本実施形態に係るデータベースは、上記タグIと携帯電話とに設けるのが好ましい。
【0055】
図4に示すように、上記フォルダ構成は、上記ビルIに対応するフォルダIを頂点とする階層構造を備えており、各階(1F、2F、3F、4F)に対応する階フォルダ(フォルダ1、フォルダ2、フォルダ3、フォルダ4)の下に、各部屋に対応する室フォルダ(タグ1A、1B、2A、2B、3A、3B、4A、4B)が設けられている。また、各部屋に所在する棚についての棚フォルダ(1a〜1d、2a〜2d、3a〜3d、4a〜4d)が設けられている。そして、管理対象となる各物品の所在情報が、上記棚フォルダに書き込まれる。
【0056】
図3及び図4に示す、所在情報管理システム101においては、所在領域が階層構造を備えるとともに、携帯電話等のモバイル機器及び/又は最上層の上記タグIに、所在領域に対応した階層構造を備えるフォルダを備えるデータベースが設けられている。このため、上記各フォルダに、所要の物品の所在情報を書き込むことにより、物品の所在を確実に管理することができる。一方、上記階層構造を利用して、所要の物品を所要の領域に確実に収納することも可能となる。
【0057】
図5に、本願発明の第3の実施形態を示す。この実施形態は、管理対象である物品自体(物品a、物品b、物品c、物品d)に、それぞれ識別タグ(タグa、タグb、タグc、タグd)を設けたものである。
【0058】
一方、上記物品が収納される領域(室A)に、上記タグの情報を読み出すことができる、領域管理装置205が設けられている。上記領域管理装置205は、少なくとも管理領域に所在するタグa〜dの情報を読み出すことができるように構成されている。
【0059】
上記領域管理装置205によって読み出された情報は、上記室Aに設けられたタグAに記録できるように構成される。
【0060】
上記構成を採用することにより、所定の領域内に所在すべき管理対象の有無を確実に把握することができる。
【0061】
また、領域が階層構造を有する場合、末端の階層にある領域の情報を上位の階層に設けられた階層のタグに、自動的に記録するように構成することにより、各階層における管理対象の所在を確実に把握することが可能となる。
【0062】
図6及び図7に、本願発明の第4の実施形態を示す。
【0063】
第4の実施形態は、各収容領域に配置された各タグA,B,Cにはデータベースが設けられておらず、上記領域情報に対応する固体識別情報のみ記録されている。一方、上記携帯電話302には、管理手段303と、データベース321が設けられている。
【0064】
本実施形態では、上記管理手段303の読み出し手段322は、上記各タグA,B,Cの固体識別情報を交信手段326を介して領域情報として読み出し、物品特定情報と関連付けた所在情報あるいは不所在情報を生成し、上記データベース321に記録するように構成されている。すなわち、上記各物品が上記所定領域a,b,cに持ち込まれたときに、物品特定情報を上記読み出し手段によって各タグから読み出された領域特定情報と関連付けた所在情報を生成するとともに、上記データベース321に記録する所在情報記録手段323と、上記各物品が上記所定領域から持ち出されたときに、上記物品に係る不所在情報を生成するとともに、上記データベース321に記録する不所在情報記録手段324とを備えて構成されている。なお、他の構成は第1の実施形態と同様であるので説明は省略する。
【0065】
上記構成を採用すると、各領域に固体識別情報のみ記録されたタグA,B,Cを配置する一方、携帯電話302側に、管理手段303とデータベース321を設けることにより、所在情報管理システムを構築することができる。これにより、各収容領域に設けられたタグが破損等した場合にも、領域特定情報のみ変更すればよく、容易に対応することが可能となる。なお、第4の実施形態の場合、RFIDタグに代えて、バーコード等を領域識別手段として採用することができる。この場合、上記携帯電話のカメラ機能及び画像認識機能を利用してバーコード等の情報を読み出すように構成することができる。
【0066】
なお、上述した実施形態では、データベースをタグと携帯電話の一方のみに設けたが、データベースをタグと携帯電話の双方に設け、交信手段によって記録データを同期させるように構成することにより、携帯電話あるいはタグが損傷した場合にも容易に対応することが可能となる。
【0067】
本願発明の範囲は、上述の実施形態に限定されることはない。今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって、制限的なものでないと考えられるべきである。本願発明の範囲は、上述した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0068】
所要の物品等の所在を確認して必要なときに必要なものを容易に取り出すことができるとともに、物品の整理収納を容易に行うことができる。
【符号の説明】
【0069】
A 領域
B 領域
C 領域
10a 物品(管理対象)
10b 物品(管理対象)
10c 物品(管理対象)
10d 物品(管理対象)
10e 物品(管理対象)
10f 物品(管理対象)
10g 物品(管理対象)
10h 物品(管理対象)
a タグ(RFIDタグ)
b タグ(RFIDタグ)
c タグ(RFIDタグ)
2 モバイル機器(携帯電話)
3 管理手段
21 データベース
23 所在情報記録手段
24 不所在情報記録手段
25 検索手段
26 交信手段


【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定領域に収容される管理対象の所在を管理する所在情報管理システムであって、
上記所定領域に配置され、少なくとも上記所定領域に関する領域特定情報が記録されるとともに、記録された情報を発信できる領域識別手段と、
上記領域識別手段と交信できる交信手段を備えるモバイル機器と、
上記領域識別手段又は/及び上記モバイル機器に設けたデータベースと、
上記モバイル機器に設けられるとともに、上記データベースに記録される情報を入出力できる管理手段とを備えて構成されており、
上記管理手段は、
上記管理対象が上記所定領域に持ち込まれたときに、管理対象特定情報と上記領域識別手段の領域特定情報とを関連付けた所在情報を生成するとともに、上記データベースに記録する所在情報記録手段と、
上記管理対象が上記所定領域から持ち出されたときに、上記管理対象の不所在情報を生成するとともに、上記データベースに記録する不所在情報記録手段と、
上記データベースの所要の情報を検索できる検索手段とを備える、所在情報管理システム。
【請求項2】
上記領域識別手段がRFIDタグである、請求項1に記載の所在情報管理システム。
【請求項3】
上記所定領域が階層構造を備える領域として構成されているとともに、上記各領域及び上記各階層に対して上記領域識別手段がそれぞれ配置される一方、
上記データベースは、上記領域の階層構造に対応する階層を有するフォルダを備えて構成されている、請求項1又は請求項2に記載の所在情報管理システム。
【請求項4】
上記検索手段は、所定領域に所在する管理対象及び不所在の管理対象に係る管理対象特定情報をリストアップして、上記モバイル機器の画面に表示するリストアップ手段を備える、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の所在情報管理システム。
【請求項5】
上記管理対象特定情報は、上記各管理対象に関する特性情報を含んで構成されている、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の所在情報管理システム。
【請求項6】
各管理対象に、これら管理対象を特定できる管理対象特定情報及び所在情報が書き込まれた個別領域識別手段が設けられているとともに、
各領域に、領域内に所在する管理対象に設けられた上記個別領域識別手段に書き込まれた上記情報を読み出して、各領域に配置された上記領域識別手段にそれぞれ記録できる領域管理装置が設けられている、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の所在情報管理システム。
【請求項7】
上記領域識別手段と上記モバイル機器の双方に、上記データベースが設けられているとともに、上記データベースに記録されたデータが上記交信手段を介して同期させられる、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の所在情報管理システム。
【請求項8】
上記モバイル機器が、携帯電話である、請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の所在情報管理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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