説明

扉付き折戸装置

【課題】 枠体に2枚のパネルを繋いで縦桟に折畳み可能に取付けた折戸と1枚パネルを反対側縦桟に揺動可能に取付けた扉とが組み合わされた扉付き折戸装置の提供。
【解決手段】 折戸2の先端には戸車16を設けて枠体1の上下桟のガイドに沿ってスライドすることが出来、そして、扉3は先端側にアーム19を連結すると共に該アーム先端は上桟又は下桟に設けたガイドに沿ってスライドすることが出来、さらに折戸2及び扉3が閉じた際には互いに噛み合う凹部12及び凸部13を先端框8と扉框11に形成している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は扉と折戸を組合せたもので、通常の開閉時には折戸が用いられた扉付き折戸装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
折戸とは2枚のパネルが継手を介して折畳まれて間口を開口することが出来るように構成され、扉は継手を介して揺動できるようにしている。図5は従来の一般的な扉付き折戸装置を表している外観図であり、折戸(イ)と扉(ロ)は長方形をした枠体(ハ)に装着されている。そして、同図の(a)は折戸(イ)及び扉(ロ)が閉じている場合、(b)は折戸(イ)及び扉(ロ)が開いている場合をそれぞれ示している。
【0003】
上記折戸(イ)は2枚のパネル(ニ)、(ニ)が継手(ホ)を介して折畳み出来るように連結した構造であり、片方のパネル(ニ)は枠体(ハ)の縦桟(ヘ)に継手を介して取付けられ、また、扉(ロ)は枠体(ハ)の反対側縦桟(ヘ)に継手を介して取付けられている。その為に、折戸(イ)及び扉(ロ)はそれぞれが独立して間口(ト)の一部を開閉することが出来る。
【0004】
一般に間口(ト)に折戸(イ)を用いる場合には左右対を成して装着される。その為に、間口幅寸法が大きな場合はよいが、間口幅寸法が小さくなった場合には折戸(イ)を構成する各パネル(ニ)、(ニ)・・・の幅寸法を小さくしなくてはならない。その結果、パネル(ニ)に嵌っているガラスの面積が少なくなり、すなわち、パネル(ニ)が細く成って折戸全体が窮屈に感じる。
【0005】
そのような理由からしても、間口(ト)に対をなして折戸(イ)、(イ)を装着するよりも、図5に示すように折戸(イ)と扉(ロ)を組み合わせた構造の方が窮屈感がなくて好ましい。図6(a)はサッシ幅が広い間口(ト)に一対の折戸(イ)、(イ)を装着した場合、(b)はサッシ幅が狭い間口(ト)に一対の折戸(イ)、(イ)を装着した場合、そして(c)はサッシ幅が狭い間口(ト)に折戸(イ)と扉(ロ)を装着した場合の概略横断面を示している。
【0006】
このような3タイプを比較すると、(c)に示すサッシ幅が狭い間口(ト)であっても折戸(イ)と扉(ロ)を組み合わせて装着することで、各パネル(ニ)のガラス面積は(a)に示す場合のようにサッシ幅が大きな間口(ト)の場合と同じと成って窮屈感は解消される。
【0007】
図7は同じサッシ幅の間口寸法として折戸(イ)又は扉(ロ)を開いた場合の開口度を示している。図7(a)は間口(ト)に折戸(イ)と扉(ロ)を組み合わせた構造であって、扉(ロ)を開いている場合、(b)は間口(ト)に折戸(イ)、(イ)を対を成して装着し、片方の折戸(イ)を開いた場合、(c)は間口(ト)に折戸(イ)と扉(ロ)を組み合わせて装着し、折戸(イ)を折り畳んで開いた場合をそれぞれ示している。このような場合、間口(ト)の開口度はa<b<cとなる。
【0008】
すなわち、同じ幅の間口(ト)であれば折戸(イ)と扉(ロ)の組合せ構造にすると共に、折戸(イ)を折り畳んで開く方が開口度は最も大きく取れる。しかし、常日頃開閉するには扉(ロ)の方が便利である為に、開口度が狭くても扉(ロ)が使用される場合も多い。そこで、折戸(イ)と扉(ロ)を組み合わせた構造の場合、折戸(イ)を開閉する為のハンドル(チ)を取付け、扉(ロ)にも開閉操作ハンドル(リ)とロック機構を操作するロックツマミ(ヌ)が備わっている。図8は折戸(イ)と扉(ロ)に設けたハンドル(チ)、(リ)及びロックツマミ(ヌ)を示している。
【0009】
例えば、特開2002−339663号に係る「折戸および建具」は、出入りに支障を生ずることなく、必要に応じて出入口を広狭自在に且つ簡単に開放することができるようにしている。そこで、枠体と、枠体に開閉自在に取り付けられた折戸本体と、枠体に開閉自在に取り付けられると共に、折戸本体に対し親子扉関係を為す子扉体とを備え、折戸本体は、枠体の左右一方の縦枠側端を基端として室内側に折り込まれることで開放され、子扉体は枠体の左右他方の縦枠側端を基端として室内側に回動することで開放される。
【0010】
特開平11−303518号に係る「浴室構造」も折戸と扉を組み合わせて構成している。
【特許文献1】特開2002−339663号に係る「折戸および建具」
【特許文献2】特開平11−303518号に係る「浴室構造」
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
このように、折戸と扉を組み合わせた間口の開閉装置は色々知られている。ところで、従来の扉付き折戸の場合、通常では折戸が開閉されて必要に応じて扉を開くといった使い方と成っているが、普通は開かない扉はロックされ、該ロック機構のツマミは外に露出している。本発明が解決しようとする課題はこの問題点であり、扉にロック機構を取付けなくても折戸を閉じることでロックされ、また扉にロック機構を取付けた場合であってもロックツマミが外に露出しない構造とした扉付き折戸装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係る扉付き折戸装置は、その基本構造は従来と同じく折戸と扉を組み合わせて構成され、四角形の枠体に装着されている。該折戸は2枚のパネルが継手を介して折畳み出来るように連結された状態で枠体の片側縦桟に継手を介して取付けられている。そして扉は1枚のパネルで構成されて枠体の反対側縦桟に取付けられている。
【0013】
本発明の扉付き折戸装置では、折戸が伸長して閉じるならば扉が開かないようにロックされ、その為に折戸の先端側パネルの框と扉の先端框とが互いに係合することが出来るように凹部と凸部を形成している。従って、凹部と凸部が互いに係合することで扉の揺動が阻止されて開かないようになる。また、扉にロック機構を備える場合には扉先端の框にロック機構の操作部が嵌って外部に露出しない構造としている。
【0014】
ここで、操作部は指で操作することでロック機構が上下動することが出来る構造とし、降下することで下桟に設けたロック穴に嵌って扉は開かないようにロックされる。ただし、具体的なロック機構並びに操作部の構造は限定しないことにする。一方、折戸の先端側パネルには戸車が取付けられ、この戸車は枠体の上下桟に形成したガイドに嵌ってガイドされるが、扉を開く際の開き度を規制する為に連結して取付けたアーム先端のスライダーはこのガイド溝に嵌って移動出来るようにしている。
【発明の効果】
【0015】
本発明の扉付き折戸装置は折戸と扉が組み合わされて枠体に装着され、該折戸が伸長するならば、扉の框と係合することで該扉を開くことが出来なくなる。すなわち、扉に特別なロック機構を取付けなくても単独では開かないようにロックされ、折戸が折り畳まれない限り扉を開くことは出来ない。従って、扉にはロック機構を取付けない為に、少なくともその分だけは簡素化されて製作コスト並びに取付けコストは安くなる。
【0016】
また、扉にロック機構及びその操作部を取付けることも出来、この場合には、折戸とは別に独立してロックすることが出来るように構成可能であるが、この場合、例えば扉框に凸部を設け、該凸部に操作部を嵌めるならば、ロック機構の操作部が外に露出することはなく、扉付き折戸の外観はスッキリする。そして、扉の開き度を規制する為に連結するアームは折戸が開閉するレール溝にスライダーが遊嵌することで、別のガイドを設ける必要はない。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】扉付き折戸装置の外観を示す横断面図で、(a)は折戸と扉が閉じている場合、(b)は折戸が僅かに折畳まれた場合を示している。
【図2】(a)折戸の先端框と扉框が互いに係合している場合、(b)は折戸の先端框が扉框から離れた場合。
【図3】扉框の凸部に操作部を嵌めて取付けた場合であって、(a)は折戸の先端框と扉框が互いに係合して場合、(b)は折戸の先端框が扉框から離れた場合。
【図4】折戸と扉の開閉機構。
【図5】従来の一般的な扉付き折戸装置。
【図6】間口に折戸を対をなして装着した場合と折戸と扉を装着した場合の概略横断面図。
【図7】(a)は扉付き折戸装置において扉を開いた場合の開口度、(b)は折戸を対をなして装着した場合で、片方の折戸を折畳んで開いた場合の開口度、(c)は扉付き折戸装置の折戸を折畳んで開いた場合の開口度の比較を示している。
【図8】折戸と扉に取付けたハンドルとロックツマミ。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1は本発明の扉付き折戸装置の概略を示す横断面図である。その基本構造並びに基本形態は前記図5に示した扉付き折戸装置と同じであって、四角形の枠体1には折戸2と扉3が装着されている。同図の(a)は折戸2が伸長し、扉3が閉じている場合で、枠体1で構成される間口5は閉じている。また、同図の(b)は折戸2を一部折畳まれている状態を示している。
【0019】
ところで、折戸2は2枚のパネル4a,4bが継手6を介して折畳み出来るように連結して構成され、そして、片方のパネル4aは枠体1の縦桟7に継手を介して繋がっている。そこで、折戸2が折畳まれる時は両パネル4a,4bを繋いでいる継手6が外へはみ出し、先端側パネル4bの先端框8は上下桟に設けているガイド溝に沿ってスライドすることが出来る。その為に上下端には戸車が取付けられ、この戸車は上下桟のガイド溝に遊嵌されている。一方、扉3は1枚パネル9にて構成されて枠体1の縦桟10に継手を介して揺動可能に取付けられている。ここで、扉3を構成するパネル9は折戸2のパネル4を兼用することも可能である。
【0020】
本発明の扉付き折戸装置では、該扉3は通常閉じており、折戸2が伸長して閉じるならば、図1(a)のように先端框8は扉框11に当接する。図2(a)は折戸2の先端框8と扉框11とが当接した場合で、図1のA部拡大図を示しているが、先端框8に設けた凹部12には扉框11に形成した凸部13が嵌合している。従って、扉3が揺動して開くことは出来なくなる。図2(b)に示すように折戸2が折畳まれるならば、先端框8は矢印方向へ後退し、凹部12は凸部13から外れることになり、その結果、扉3は矢印方向へ揺動して開くことが出来る。
【0021】
図3は扉框11に設けた凸部13にロック機構14の操作部15を取付けた場合である。勿論、先端框8には凹部12が設けられ、扉框11の凸部13は凹部12に嵌るように成っているが、この扉框11の凸部13にロック機構14の操作部15が取付けられているが、外からは見えない構造としている。該操作部15は指で上下動することが出来、扉3を閉じて下方へ押し下げるならばロック機構14の下端は枠体1の下桟に形成しているロック穴に嵌ることが出来、該扉3は開かないようにロックされる。
【0022】
ただし、本発明はロック機構14の並びに操作部15の具体的な構造は特に限定することはしない。例えば、操作部15にバネ力を付勢したツメを取付けることで、扉3を開いた時にロック機構14が落下しないように出来る。このように、扉3にロック機構14を取付けないで折戸2を閉じると同時にロックされ、またロック機構14を取付けた場合であっても、操作部15が外に露出しない構造とすることで大きな防犯効果が得られる。
【0023】
ところで、図3においてロック機構14の操作部15を扉框11に取付ける場合には凸部13としているが、扉框11を凹部12とし、ロック機構14の操作部15を設けることは自由である。すなわち、扉側と折戸側で凹部12と凸部13が互いに係合することで扉3が開かないようにロックされる。
【0024】
図4は枠体1に装着されている折戸2及び扉3が開閉する際のガイド機構を表している具体例である。同図は折戸2が折畳まれ、扉3は開いた状態で間口5は大きく開口している。ところで、折戸2の先端框8にはその上下端に戸車16が取付けられ、この戸車16は枠体1の上桟及び下桟17に形成したガイド溝18に遊嵌している。すなわち、戸車16がガイド溝18に沿ってスライドすることで折戸2は開閉することが出来る。同図の(b)は(a)のB部拡大図を示している。
【0025】
また、扉3は縦桟に継手を介して取付けられて揺動することが出来るが、扉3にはアーム19が連結し、該アーム先端にはスライダー20が取付けられている。そして、このスライダー20は枠体1の下桟17に設けた上記ガイド溝18に遊嵌してスライドすることが出来る。スライダー20の移動範囲を規制することで、扉3の開き度は該アーム19によって拘束される。このガイド溝18は折戸2の戸車16が遊嵌するガイド溝18が兼用され、別にガイド溝を形成しないことで全体の意匠性は良くなる。
【符号の説明】
【0026】
1 枠体
2 折戸
3 扉
4 パネル
5 間口
6 継手
7 縦桟
8 先端框
9 パネル
10 縦桟
11 扉框
12 凹部
13 凸部
14 ロック機構
15 操作部
16 戸車
17 下桟
18 ガイド溝
19 アーム
20 スライダー

















【特許請求の範囲】
【請求項1】
枠体に2枚のパネルを繋いで縦桟に折畳み可能に取付けた折戸と1枚パネルを反対側縦桟に揺動可能に取付けた扉とが組み合わされた扉付き折戸装置において、上記折戸の先端にはスライダーを設けて枠体の上下桟のガイドに沿ってスライドすることが出来、そして、扉にはアームを連結すると共に該アーム先端は上桟又は下桟に設けたガイドに沿ってスライドすることが出来、さらに折戸及び扉が閉じた際には互いに噛み合う凹部及び凸部を先端框に形成したことを特徴とする扉付き折戸装置。
【請求項2】
上記扉の先端側框にロック機構の操作部を取付けた請求項1記載の扉付き折戸装置。









【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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