扉体を備える隔て板及び隔て板に扉体を設置する方法
【課題】隔て板が備える破壊可能な機能を損なわずに、メンテナンス工事等で必要な場合には、ベランダを通路として使用可能な扉体を簡単に設置可能とする扉体を備える隔て板を提供する。
【解決手段】マンション等の集合住宅のベランダにおける隣家間の境界部分に設置される隔て板1において、隔て板1を構成する枠材5と、枠材5内に嵌め込まれる破壊可能な材料からなる板材6と、板材6に設けられた開口部7内に配設され、開口部7との間に介設される回転軸40によって開口部7を開閉可能な扉体8と、扉体8の自由端部における両側面部に、該扉体8の自由端部が位置する板材6の開口部側と係脱可能に係合する錠50とを備える。これにより、非常時には、蹴破って板材6を破壊することができる。また、メンテナンス工事等を行う場合には、扉体8を開放して開口部7をベランダの通路として使用することができる。
【解決手段】マンション等の集合住宅のベランダにおける隣家間の境界部分に設置される隔て板1において、隔て板1を構成する枠材5と、枠材5内に嵌め込まれる破壊可能な材料からなる板材6と、板材6に設けられた開口部7内に配設され、開口部7との間に介設される回転軸40によって開口部7を開閉可能な扉体8と、扉体8の自由端部における両側面部に、該扉体8の自由端部が位置する板材6の開口部側と係脱可能に係合する錠50とを備える。これにより、非常時には、蹴破って板材6を破壊することができる。また、メンテナンス工事等を行う場合には、扉体8を開放して開口部7をベランダの通路として使用することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えばマンションなどの集合住宅におけるベランダ等に使用される扉体を備える隔て板及び隔て板に扉体を設置する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、マンション等の集合住宅においては、プライバシー保護等のために、バルコニーやベランダ〈以下に、ベランダ等という〉における隣家間の境界部分に隔て板が設置されている。
【0003】
この隔て板は、火災発生等の避難が必要となったとき、蹴破って避難装置のある所まで行くことができるように定められている。
【0004】
ところが、ベランダ等の空間のメンテナンス(防水、塗装等)が必要となったときは、隔て板を破壊する訳にはいかないので、足場に梯子のようなものを設けてベランダ手摺を乗り越える必要があるが、高所での作業のため、危険性を伴う作業となる。
【0005】
そこで、従来では、隔て板の一部を構成する着脱部材に開口部を設け、該開口部を開閉可能な開閉部材を備える構造のものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
また、特許文献1記載のものにおいては、上記着脱部材及び又は開閉部材に、破壊可能な脆弱部が設けられており、火災発生等の避難が必要となったとき、脆弱部を破壊して人が通り抜けることができるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008−163583号公報(特許請求の範囲、図1,図5)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1記載の構造のものにおいては、メンテナンスが必要なときに、既存の隔て板の一部を取り除いて、開閉部材と脆弱部とを有する着脱部材を取り付けて使用する構造であるため、隔て板の除去と着脱部材の取付に多くの労力を要すると共に、コストが嵩むという懸念がある。
【0009】
また、火災発生等の避難が必要となったときは、脆弱部を蹴破って破壊することが可能であるが、脆弱部は例えば断続的なスリットで形成されているため、非常時の動揺している状態では、脆弱部又は脆弱部付近を的確に蹴飛ばして破壊することは難しいという懸念もある。
【0010】
この発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、隔て板が備える破壊可能な機能を損なわずに、メンテナンス工事等で必要な場合には、ベランダを通路として使用可能な扉体を簡単に設置可能とする扉体を備える隔て板及び隔て板に扉体を設置する方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するため、この発明に係る隔て板は、マンション等の集合住宅のベランダにおける隣家間の境界部分に設置される隔て板であって、隔て板を構成する枠材と、該枠材内に嵌め込まれる破壊可能な材料からなる板材と、該板材に設けられた開口部内に配設され、開口部との間に介設される回転軸によって上記開口部を開閉可能な扉体と、上記扉体の自由端部における両側面部に、該扉体の自由端部が位置する上記板材の開口部側と係脱可能に係合する錠とを備え、非常時には、上記板材が人力により破壊可能に形成されている、ことを特徴とする。
【0012】
このように構成することにより、隔て板を構成する破壊可能な材料からなる板材に設けられた開口部内に扉体を開閉可能に取り付けることができ、ベランダ等の空間のメンテナンス(防水、塗装等)時には、扉体を開放して作業者の通行を可能にする。また、火災等の非常時には、板材を蹴破って破壊することができ、避難装置のある所まで行くことができる。
【0013】
また、平常時には、錠を施錠状態にすることができ、ベランダ等の空間のメンテナンス(防水、塗装等)時には、錠を解錠状態にし、扉体を開放して作業者の通行を可能にすることができる。
【0014】
この発明において、上記錠は、上記扉体を挟持した状態で固定されるU字状の取付部材と、該取付部材の両面に対して回動可能に装着される一対の係止部材とを具備し、上記両係止部材の先端部により上記板材を挟み込むように係合して施錠状態を保持するように形成してなる方が好ましい。また、上記錠は、上記各係止部材を貫通して上記取付部材に螺合する固定ねじ部材を更に具備し、上記固定ねじ部材を上記取付部材に螺合した状態で上記係止部材の解錠方向の回動を阻止するように形成する方が好ましい。なお、この場合、固定ねじ部材の頭部を特殊な構造にして、特殊な工具のみでしか固定ねじ部材の螺合操作を行えない構造としてもよい。
【0015】
このように構成することにより、錠を構成する一方の係止部材と板材との係合を解除することにより、解除した係止部材と反対側の他方の係止部材を有する側に扉体を開放する。また、各係止部材を貫通して取付部材に螺合する固定ねじ部材を更に具備することにより、固定ねじ部材を取付部材に螺合した状態で係止部材の解錠方向の回動を阻止することができるので、扉体が不用意に開閉することがない。
【0016】
また、この発明において、上記回転軸は、上記扉体の外周縁部に嵌合固定されるU字状の第1の支持部材と、上記板材の開口部の内周縁部に嵌合固定されるU字状の第2の支持部材との背中合わせ部に回転自在に取り付けられている構造とする方が好ましい。
【0017】
このように構成することにより、扉体の外周縁部に第1の支持部材を嵌合固定し、板材の開口部の内周縁部に第2の支持部材を嵌合固定して、開口部内に扉体を開閉可能に取り付けることができる。
【0018】
また、この発明において、上記板材の開口部の内周縁に嵌合固定される内枠と、上記扉体の外周縁に嵌合固定される外枠と、上記内枠及び外枠のいずれか一方の対向面に設けられた周溝内に嵌挿されて他方の対向面に密接可能なパッキン材とを更に具備する方が好ましい。
【0019】
このように構成することにより、扉体が閉じた状態において、板材の開口部の内周縁に嵌合固定される内枠と扉体の外周縁に嵌合固定される外枠との間に介在されるパッキン材が隙間を閉塞することができる。
【0020】
また、この発明に係る隔て板に扉体を設置する方法は、マンション等の集合住宅のベランダにおける隣家間の境界部分に設置される隔て板を構成する破壊可能な材料からなる板材に扉体を設置する方法であって、上記板材の中間部を無端状に切り取って、上記板材に開口部を形成すると共に、上記開口部の内周より若干小さい外周を有する扉体を取り出し、回転軸により背中合わせに連結されると共に、回転軸の径方向に回転自在なU字状の第1及び第2の支持部材を有する回転部材を用意し、上記回転部材の第1の支持部材を上記扉体の外周縁部に嵌合固定すると共に、上記第2の支持部材を上記板材の開口部の内周縁部に嵌合固定して、上記板材に形成された上記開口部内に、上記板材から切り取られた扉体を開閉可能に取り付けるようにした、ことを特徴とする。
【0021】
このように構成することにより、隔て板を構成する破壊可能な材料からなる板材を切り取って形成される開口部内に、同じく板材から切り取られた扉体を開閉可能に設置することができる。
【発明の効果】
【0022】
この発明によれば、上記のように構成されているので、以下のような優れた効果が得られる。
【0023】
(1)隔て板が備える破壊可能な機能を損なわずに、メンテナンス工事等で必要な場合には、ベランダを通路として使用可能な扉体を簡単に設置可能とすることができる。
【0024】
(2)扉体の自由端部における両側面部に、該扉体の自由端部が位置する板材の開口部側と係脱可能に係合する錠を具備することにより、平常時には、錠を施錠状態にすることができるので、隣家間のプライバシーの保護が図れる。また、ベランダ等の空間のメンテナンス(防水、塗装等)時には、錠を解錠状態にし、扉体を開放して作業者の通行を可能にすることができるので、メンテナンス作業を容易に行うことができる。この場合、錠を構成する各係止部材を貫通して取付部材に螺合する固定ねじ部材を更に具備することにより、固定ねじ部材を取付部材に螺合した状態で係止部材の解錠方向の回動を阻止することができ、扉体が不用意に開閉することがないので、更に隣家間のプライバシーの保護が図れる。
【0025】
(3)回転軸を、扉体の外周縁部に嵌合固定されるU字状の第1の支持部材と、板材の開口部の内周縁部に嵌合固定されるU字状の第2の支持部材との背中合わせ部に回転自在に取り付けることにより、扉体の外周縁部に第1の支持部材を嵌合固定し、板材の開口部の内周縁部に第2の支持部材を嵌合固定して、開口部内に扉体を開閉可能に取り付けることができる。したがって、開口部内に扉体を簡単かつ確実に開閉可能に設置することができる。
【0026】
(4)板材の開口部の内周縁に嵌合固定される内枠と、扉体の外周縁に嵌合固定される外枠と、内枠及び外枠のいずれか一方の対向面に設けられた周溝内に嵌挿されて他方の対向面に密接可能なパッキン材とを更に具備することにより、扉体が閉じた状態において、板材の開口部の内周縁に嵌合固定される内枠と扉体の外周縁に嵌合固定される外枠との間に介在されるパッキン材が隙間を閉塞することができるので、開口部と扉体の隙間から風が吹き抜けるのを防止することができると共に、風圧や外部からの振動等によって扉体が振動するのを防止することができる。
【0027】
(5)この発明に係る隔て板に扉体を設置する方法によれば、隔て板を構成する破壊可能な材料からなる板材を切り取って形成される開口部内に、同じく板材から切り取られた扉体を開閉可能に設置することができるので、既設の隔て板の一部を利用して隔て板に扉体を設置することができる。したがって、部材の削減が図れると共にコストの低廉化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】この発明に係る扉体を備える隔て板の設置状態を示す正面図(a)及び(a)のA部拡大図(b)である。
【図2】図1のI−I線に沿う拡大断面図である。
【図3】図1のII−II線に沿う拡大断面図である。
【図4】この発明における回転軸及び回転部材を示す断面斜視図である。
【図5】上記回転軸及び回転部材の扉体と板材への取付手順を示す断面図である。
【図6】図1のIII−III線に沿うこの発明における錠の拡大断面図である。
【図7】上記錠の解錠状態を示す拡大断面図である。
【図8】この発明における扉体の施錠状態、解錠状態及び開放状態を示す要部斜視図である。
【図9】上記錠の施錠状態を示す斜視図(a)及び解錠状態を示す斜視図(b)である。
【図10】上記錠の取付部材の一部を断面で示す斜視図である。
【図11】上記錠の係止部材を示す斜視図である。
【図12】この発明における板材を切り取って扉体を取り出した状態を示す概略正面図(a)、開口部に内枠を取り付ける状態を示す概略正面図(b)及び扉体に外枠を取り付ける状態を示す概略正面図(c)である。
【図13】内枠を取り付けた開口部と外枠及びパッキン材を取り付けた扉体を示す分解断面斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下に、この発明に係る隔て板の実施形態を添付図面に基づいて詳細に説明する。
【0030】
この発明に係る隔て板1は、図1に示すように、マンション等の集合住宅のベランダ2における隣家間の境界部分の建物の躯体3とベランダ2のスラブ4に設置固定されて、隔て板1を構成する方形状に形成された枠材5と、枠材5内に嵌め込まれる例えばフレキシブルボード(繊維強化セメント板)のような破壊可能な材料からなる板材6と、板材6に設けられた開口部7内に配設され、開口部7との間に介設される回転軸40によって開口部7を開閉可能な扉体8とを備えている。この場合、扉体8は板材6と同様の材料すなわち例えばフレキシブルボード(繊維強化セメント板)のような破壊可能な材料にて形成されており、非常時には、板材6が破壊可能に形成されている。なお、この場合、少なくとも板材6が破壊すれば、扉体8が開口部7から外れるため、扉体8は必ずしも破壊可能である必要はない。
【0031】
上記板材6に形成される開口部7は、四隅に凹状円弧部7aを有する略矩形状に形成されており、開口部7の内周縁部には、例えばアルミニウム製あるいは合成樹脂製の断面コ字状(チャンネル状)の内枠10が嵌合固定されている(図2参照)。
【0032】
一方、上記扉体8は、開口部7の内周より若干小さい外周を有する四隅に凸状円弧部8aを有する略矩形状に形成されており、扉体8の外周縁部には、例えばアルミニウム製あるいは合成樹脂製の外枠20が嵌合固定されている。この場合、図2に示すように、外枠20は、断面コ字状の嵌合溝部21と、嵌合溝部21の外周壁22と、外周壁22の両側から外方に向かって起立する一対の側壁23とからなる周溝24とを具備している。そして、周溝24には、例えば合成ゴム製の断面円形状の環状のパッキン材30が嵌装されている。
【0033】
上記回転軸40は、図3及び図4に示すように、扉体8の外周縁部に嵌合固定される略U字状の第1の支持部材41と、板材6の開口部7の内周縁部に嵌合固定される略U字状の第2の支持部材42との背中合わせ部に回転自在に取り付けられて、回転部材43を構成している。この場合、回転軸40は、両端に大径頭部40aと外向きフランジ部40bとを有する中空段付き軸ピンによって形成されており、第1の支持部材41の背中合わせ部である外壁41aに設けられた貫通孔41bと、第2の支持部材42の背中合わせ部である外壁42aに設けられた貫通孔42bに回転自在に嵌挿されている。このように形成することによって、回転軸40を介して第1の支持部材41と第2の支持部材42は、互いに回転軸40の径方向すなわち回転軸40を中心として回転自在に連結される。
【0034】
また、第1の支持部材41は、外枠20を内包する凹状基部41cの両側壁41dの先端側に屈曲段部41eを介して凹状基部41cの開口幅より狭い開口幅を形成する一対の外部側壁41fが延在されている。なお、外部側壁41fには第1の支持部材41を扉体8に固定する固定ねじ45の取付孔41gが穿設されている。
【0035】
また、第2の支持部材42は、内枠10を内包する凹状基部42cの両側壁42dの先端側に屈曲段部42eを介して凹状基部42cの開口幅より狭い開口幅を形成する一対の外部側壁42fが延在されている。なお、外部側壁42fには第2の支持部材42を扉体8に固定する固定ねじ45の取付孔42gが穿設されている。
【0036】
上記のように形成される第1の支持部材41と第2の支持部材42は、例えばステンレス鋼製板材を折り曲げ加工やプレス加工等によって形成されており、外部側壁41f,42fが外方に向かって広がり変形可能になっている。
【0037】
上記のように形成される回転部材43を扉体8及び板材6に取り付けるには、図5に示すようにして行うことができる。すなわち、まず第2の支持部材42の両外部側壁42fを広げて、内枠10が装着された板材6の開口部7の内周縁部に嵌装する(図5(a)参照)。次に、広げられていた両外部側壁42fの拘束力を解いて、両外部側壁42fを板材6に嵌合して、第2の支持部材42に設けられた取付孔42gと板材6に設けられた貫通孔6a(取付の際に設けてもよい)に固定ねじ45を挿通し、固定ねじ45の突出部に固定ナット46を螺合して、第2の支持部材42を板材6に固定する(図5(b)参照)。第2の支持部材42を板材6に嵌合固定した後、第1の支持部材41の外部側壁41fを広げて、外枠20及びパッキン材30が装着された扉体8の外周縁部に嵌装する(図5(b)参照)。次に、広げられていた両外部側壁41fの拘束力を解いて、両外部側壁41fを扉体8に嵌合して、第1の支持部材41に設けられた取付孔41gと扉体8に設けられた貫通孔8b(取付の際に設けてもよい)に固定ねじ45を挿通し、固定ねじ45の突出部に固定ナット46を螺合して、第1の支持部材41を扉体8に固定する(図5(c)参照)。なお、第1の支持部材41を扉体8に嵌合固定した状態では、第1の支持部材41の外壁41aによってパッキン材30は圧縮変形する。
【0038】
なお、回転部材43を構成する第1及び第2の支持部材41,42は、回転軸40を中心として径方向に回転自在に形成されているので、第2の支持部材42を板材6に取り付ける際、又は、第1の支持部材41を扉体8に取り付ける際には、第1の支持部材41と第2の支持部材42の位置を互いに変位させて取り付けることができるので、取付作業を容易にすることができる。
【0039】
上記のようにして、扉体8の一側端側の上下2箇所と開口部7の一側端側の同一鉛直線上の上下2箇所に回転部材43を取り付けることにより、扉体8が開口部7内に開閉可能に取り付けられる。
【0040】
なお、上記説明では、回転部材43の第2の支持部材42を板材6に嵌合固定した後に、第1の支持部材41を扉体8に嵌合固定する場合について説明したが、回転部材43の取付手順は必ずしもこれに限定されるものではない。すなわち、まず、第1の支持部材41を扉体8に嵌合固定した後に第2の支持部材42を板材6に嵌合固定してもよいし、あるいは、上下の一方の回転部材43の第1の支持部材41を扉体8に嵌合固定し、他方の回転部材43の第2の支持部材42を板材6に嵌合固定した後、一方の回転部材43の第2の支持部材42を板材6に嵌合固定し、他方の回転部材43の第1の支持部材41を扉体8に嵌合固定してもよい。
【0041】
一方、扉体8の自由端部における両側面部には、扉体8の自由端部が位置する板材6の開口部側と係脱可能に係合する錠50が設けられている。
【0042】
錠50は、図6ないし図9に示すように、扉体8を挟持した状態で取付ねじ52によって固定されるU字状の取付部材51と、この取付部材51の両側片51aに取り付けられた枢支ピン53を介して取付部材51の側面に対して回動可能に装着される一対の係止部材であるラッチ54とを具備し、両ラッチ54の先端部により板材6の内周縁部を挟み込むように係合して施錠状態を保持するように形成されている。なお、枢支ピン53は、取付部材51の側片51aに設けられた貫通孔51bとラッチ54に設けられた貫通孔54aを貫通する段付きのリベットにて形成されており、取付部材51とラッチ54を貫通した突出部をかしめて、取付部材51に対してラッチ54を回動可能に連結している(図6及び図7参照)。また、ラッチ54の先端部の内側すなわち対向面には、それぞれ板材の内周縁部の表面との隙間を塞いでガタツキを防止するための緩衝板56が固設されている。
【0043】
また、錠50は、各ラッチ54に設けられた貫通孔54bを貫通して取付部材51に設けられたねじ孔51hに螺合する固定ねじ部材であるロックねじ55を更に具備し、ロックねじ55を取付部材51に螺合した状態でラッチ54の解錠方向の回動を阻止するように形成されている。なお、ロックねじ55には抜け止め用板片56が一体に取り付けられている。この場合、ロックねじ55は通常のねじとは異なり、通常のプラス又はマイナスドライバーや六角レンチ等の工具では操作できない特殊ねじ例えば頭部55aに特殊工具のみ操作可能な2つ穴55bを有する特殊ねじにて形成されている(図9参照)。このようにロックねじ55を特殊ねじにて形成することにより、悪戯によって錠50が不用意に解錠されるのを防止することができる。
【0044】
なお、錠50の取付部材51は、図6、図7及び図10に示すように、一対の側片51aを有するU字状基部51eと、このU字状基部51eの両側片51aの先端に、互いに近接方向に屈曲して先端側に延在する先端側片51fとを有している。また、取付部材51の側片51aには、枢支ピン53の貫通孔51bが設けられると共に、バーリング部51dにロックねじ55が螺合可能なねじ孔51hが設けられている。また、一方の先端側片51fには取付ねじ52が貫通可能な貫通孔51iが穿設されており、他方の先端側片51fのバーリング部51gには取付ねじ52が螺合可能な取付ねじ孔51cが設けられている。
【0045】
上記のように構成される錠50を備えることにより、平常時には、錠50を施錠状態にすることができる。この状態では、ロックねじ55を取付部材51に螺合した状態でラッチ54の解錠方向の回動が阻止されているので、扉体8が不用意に開閉することがない(図6及び図8(a)参照)。
【0046】
また、ベランダ2の空間のメンテナンス(防水、塗装等)時には、図7に示すように、ロックねじ55を緩めて取付部材51との螺合を解いて解錠状態にし、扉体8を開放して作業者の通行を可能にすることができる。この場合、錠50を構成する一方のラッチ54と板材6との係合を解除することにより、解除したラッチ54と反対側の他方のラッチ54を有する側に扉体8を開放することができる(図8参照)。したがって、どちら側からも扉体8が開放可能となる。また、プライバシー保護のために、板材6と扉体8との間(特に錠50の部分)に封緘などを設けてもよい。これにより、扉体8の不法な開放が視覚的にわかるようになり、防犯対策とすることができる。
【0047】
上記のように構成される扉体8を備える隔て板1は、扉体8を取り付ける板材6が破壊可能な材料例えば繊維強化コンクリート板にて形成されているので、火災等の非常時には、板材6と扉体8の連結部例えば回転部や施錠部を蹴破ることによって板材6及び扉体8を破壊することができる。なお、この場合、少なくとも板材6が破壊すれば、扉体8が開口部7から外れることによって破壊される。
【0048】
なお、板材6と扉体8の破壊を更に容易にするために、扉体8の回転部において、扉体8に取り付けられる回転部材43の第1の支持部材41の扉体8に接触する幅方向の面積と、第2の支持部材42が板材6に接触する幅方向の面積とのいずれか一方をより大きくする方がよい。このような構造とすることにより、扉体8の回転部を蹴破る時の力が小面積の支持部材41,42側に集中して板材6を容易に破壊することができる。
【0049】
次に、この発明に係る隔て板に扉体を設置する方法について説明する。ここでは、既設の隔て板に扉体を設置する場合について説明する。
【0050】
まず、隔て板1を構成する破壊可能な板材の中間部を無端状に切り取って、板材6に四隅が凹状円弧状の略矩形状の人が通り抜け可能な開口部7を形成すると共に、開口部7の内周より若干小さい外周を有する四隅が凸状円弧状の略矩形状の扉体8を取り出す(図12(a)参照)。この場合、例えば開口部7の形状に形取った型紙を板材6に貼った状態で、開口部7の輪郭に沿って複数の貫通孔をあけ、これら貫通孔を貫通する鋸やカッタを用いて開口部7を形成すると共に、扉体8を取り出すことができる。
【0051】
次に、板材6に形成された開口部7の内周縁部に内枠10を嵌合固定する〈図12(b)参照〉。この場合、内枠10は両端が当接される略矩形状に形成されており、図12(b)に想像線で示すように、両端部を当接せずに内方側に屈曲させた状態で開口部7の内周縁部に嵌合して行き、最後に両端部を開口部7の内周縁部に嵌合、もしくは接着等の固定手段により固定する。
【0052】
一方、取り出された扉体8の外周縁部には外枠20を嵌合固定する(図12(c)参照)。この場合、外枠20は両端が当接される略矩形状に形成されており、図12(c)に想像線で示すように、両端部を当接せずに外方側に屈曲させた状態で扉体8の外周縁部に嵌合して行き、最後に両端部を扉体8の外周縁部に嵌合して固定する。扉体8に外枠20を嵌合固定した後、外枠20の周溝24にパッキン材30を嵌装する(図13参照)。
【0053】
次に、回転軸40により背中合わせに連結されると共に、回転軸40の径方向に回転自在なU字状の第1及び第2の支持部材41,42を有する2個の回転部材43を用意する。そして、一方の回転部材43の第2の支持部材42を板材6の開口部7の一側端側の上部の内周縁部に嵌合固定すると共に、第1の支持部材41を扉体8の一側端側の上部の外周縁部に嵌合固定し、また、他方の回転部材43の第2の支持部材42を板材6の開口部7の一側端側の下部の内周縁部に嵌合固定すると共に、第1の支持部材41を扉体8の一側端側の下部の外周縁部に嵌合固定する。これにより、扉体8は、回転軸40を中心として開口部7内に開閉可能に設置される。
【0054】
なお、扉体8の自由端側の外周縁部に錠50が取り付けられる。錠50の扉体8への取付は、錠50を構成する取付部材51を扉体8の自由端部側の外周縁部に嵌合(嵌装)した状態で、取付ねじ52を取付部材51の一方の先端側片51fに設けられた貫通孔51iと扉体8に設けられた貫通孔8b(取付の際に設けてもよい)に貫通し、他方の先端側片51fも外方肉厚部51gに設けられた取付ねじ孔51cに螺合して取り付けることができる。
【0055】
上記のように、既設の隔て板1を構成する板材6の一部を切り取って開口部7を形成すると共に、切り取られた板材からなる扉体8を回転部材43を用いて開口部7に開閉可能に設置することにより、構成部材の削減が図れると共に、設置作業を容易にすることができ、かつ、コストの低廉化を図ることができる。
【0056】
なお、上記実施形態では、既設の隔て板1を構成する板材6を切り取って扉体8を設置する場合について説明したが、設置前の隔て板1を構成する破壊可能な板材6を切り取って同様に開口部7を形成すると共に、扉体8取り出し、上記実施形態と同様の手順で板材6の開口部7に回転部材43を用いて扉体8を開閉可能に設置してもよい。
【0057】
なお、隔て板1の設置寸法が変わる場合があるので、予め板材6の寸法を大きめにしておき、設置現場において、設置される枠材5に合わせて板材6を切断する方がよい。
【0058】
なお、上記実施形態では、扉体8の外周縁部に嵌合固定される外枠20にパッキン材8を取り付けたが、開口部7の内周縁部に嵌合固定される内枠10に周溝24を形成して、この周溝24にパッキン材8を嵌挿させて取り付けてもよい。
【符号の説明】
【0059】
1 隔て板
2 ベランダ
5 枠材
6 板材
7 開口部
8 扉体
10 内枠
20 外枠
24 周溝
30 パッキン材
40 回転軸
41 第1の支持部材
42 第2の支持部材
43 回転部材
50 錠
51 取付部材
53 枢支ピン
54 ラッチ(係止部材)
55 ロックねじ(固定ねじ部材)
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えばマンションなどの集合住宅におけるベランダ等に使用される扉体を備える隔て板及び隔て板に扉体を設置する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、マンション等の集合住宅においては、プライバシー保護等のために、バルコニーやベランダ〈以下に、ベランダ等という〉における隣家間の境界部分に隔て板が設置されている。
【0003】
この隔て板は、火災発生等の避難が必要となったとき、蹴破って避難装置のある所まで行くことができるように定められている。
【0004】
ところが、ベランダ等の空間のメンテナンス(防水、塗装等)が必要となったときは、隔て板を破壊する訳にはいかないので、足場に梯子のようなものを設けてベランダ手摺を乗り越える必要があるが、高所での作業のため、危険性を伴う作業となる。
【0005】
そこで、従来では、隔て板の一部を構成する着脱部材に開口部を設け、該開口部を開閉可能な開閉部材を備える構造のものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
また、特許文献1記載のものにおいては、上記着脱部材及び又は開閉部材に、破壊可能な脆弱部が設けられており、火災発生等の避難が必要となったとき、脆弱部を破壊して人が通り抜けることができるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008−163583号公報(特許請求の範囲、図1,図5)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1記載の構造のものにおいては、メンテナンスが必要なときに、既存の隔て板の一部を取り除いて、開閉部材と脆弱部とを有する着脱部材を取り付けて使用する構造であるため、隔て板の除去と着脱部材の取付に多くの労力を要すると共に、コストが嵩むという懸念がある。
【0009】
また、火災発生等の避難が必要となったときは、脆弱部を蹴破って破壊することが可能であるが、脆弱部は例えば断続的なスリットで形成されているため、非常時の動揺している状態では、脆弱部又は脆弱部付近を的確に蹴飛ばして破壊することは難しいという懸念もある。
【0010】
この発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、隔て板が備える破壊可能な機能を損なわずに、メンテナンス工事等で必要な場合には、ベランダを通路として使用可能な扉体を簡単に設置可能とする扉体を備える隔て板及び隔て板に扉体を設置する方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するため、この発明に係る隔て板は、マンション等の集合住宅のベランダにおける隣家間の境界部分に設置される隔て板であって、隔て板を構成する枠材と、該枠材内に嵌め込まれる破壊可能な材料からなる板材と、該板材に設けられた開口部内に配設され、開口部との間に介設される回転軸によって上記開口部を開閉可能な扉体と、上記扉体の自由端部における両側面部に、該扉体の自由端部が位置する上記板材の開口部側と係脱可能に係合する錠とを備え、非常時には、上記板材が人力により破壊可能に形成されている、ことを特徴とする。
【0012】
このように構成することにより、隔て板を構成する破壊可能な材料からなる板材に設けられた開口部内に扉体を開閉可能に取り付けることができ、ベランダ等の空間のメンテナンス(防水、塗装等)時には、扉体を開放して作業者の通行を可能にする。また、火災等の非常時には、板材を蹴破って破壊することができ、避難装置のある所まで行くことができる。
【0013】
また、平常時には、錠を施錠状態にすることができ、ベランダ等の空間のメンテナンス(防水、塗装等)時には、錠を解錠状態にし、扉体を開放して作業者の通行を可能にすることができる。
【0014】
この発明において、上記錠は、上記扉体を挟持した状態で固定されるU字状の取付部材と、該取付部材の両面に対して回動可能に装着される一対の係止部材とを具備し、上記両係止部材の先端部により上記板材を挟み込むように係合して施錠状態を保持するように形成してなる方が好ましい。また、上記錠は、上記各係止部材を貫通して上記取付部材に螺合する固定ねじ部材を更に具備し、上記固定ねじ部材を上記取付部材に螺合した状態で上記係止部材の解錠方向の回動を阻止するように形成する方が好ましい。なお、この場合、固定ねじ部材の頭部を特殊な構造にして、特殊な工具のみでしか固定ねじ部材の螺合操作を行えない構造としてもよい。
【0015】
このように構成することにより、錠を構成する一方の係止部材と板材との係合を解除することにより、解除した係止部材と反対側の他方の係止部材を有する側に扉体を開放する。また、各係止部材を貫通して取付部材に螺合する固定ねじ部材を更に具備することにより、固定ねじ部材を取付部材に螺合した状態で係止部材の解錠方向の回動を阻止することができるので、扉体が不用意に開閉することがない。
【0016】
また、この発明において、上記回転軸は、上記扉体の外周縁部に嵌合固定されるU字状の第1の支持部材と、上記板材の開口部の内周縁部に嵌合固定されるU字状の第2の支持部材との背中合わせ部に回転自在に取り付けられている構造とする方が好ましい。
【0017】
このように構成することにより、扉体の外周縁部に第1の支持部材を嵌合固定し、板材の開口部の内周縁部に第2の支持部材を嵌合固定して、開口部内に扉体を開閉可能に取り付けることができる。
【0018】
また、この発明において、上記板材の開口部の内周縁に嵌合固定される内枠と、上記扉体の外周縁に嵌合固定される外枠と、上記内枠及び外枠のいずれか一方の対向面に設けられた周溝内に嵌挿されて他方の対向面に密接可能なパッキン材とを更に具備する方が好ましい。
【0019】
このように構成することにより、扉体が閉じた状態において、板材の開口部の内周縁に嵌合固定される内枠と扉体の外周縁に嵌合固定される外枠との間に介在されるパッキン材が隙間を閉塞することができる。
【0020】
また、この発明に係る隔て板に扉体を設置する方法は、マンション等の集合住宅のベランダにおける隣家間の境界部分に設置される隔て板を構成する破壊可能な材料からなる板材に扉体を設置する方法であって、上記板材の中間部を無端状に切り取って、上記板材に開口部を形成すると共に、上記開口部の内周より若干小さい外周を有する扉体を取り出し、回転軸により背中合わせに連結されると共に、回転軸の径方向に回転自在なU字状の第1及び第2の支持部材を有する回転部材を用意し、上記回転部材の第1の支持部材を上記扉体の外周縁部に嵌合固定すると共に、上記第2の支持部材を上記板材の開口部の内周縁部に嵌合固定して、上記板材に形成された上記開口部内に、上記板材から切り取られた扉体を開閉可能に取り付けるようにした、ことを特徴とする。
【0021】
このように構成することにより、隔て板を構成する破壊可能な材料からなる板材を切り取って形成される開口部内に、同じく板材から切り取られた扉体を開閉可能に設置することができる。
【発明の効果】
【0022】
この発明によれば、上記のように構成されているので、以下のような優れた効果が得られる。
【0023】
(1)隔て板が備える破壊可能な機能を損なわずに、メンテナンス工事等で必要な場合には、ベランダを通路として使用可能な扉体を簡単に設置可能とすることができる。
【0024】
(2)扉体の自由端部における両側面部に、該扉体の自由端部が位置する板材の開口部側と係脱可能に係合する錠を具備することにより、平常時には、錠を施錠状態にすることができるので、隣家間のプライバシーの保護が図れる。また、ベランダ等の空間のメンテナンス(防水、塗装等)時には、錠を解錠状態にし、扉体を開放して作業者の通行を可能にすることができるので、メンテナンス作業を容易に行うことができる。この場合、錠を構成する各係止部材を貫通して取付部材に螺合する固定ねじ部材を更に具備することにより、固定ねじ部材を取付部材に螺合した状態で係止部材の解錠方向の回動を阻止することができ、扉体が不用意に開閉することがないので、更に隣家間のプライバシーの保護が図れる。
【0025】
(3)回転軸を、扉体の外周縁部に嵌合固定されるU字状の第1の支持部材と、板材の開口部の内周縁部に嵌合固定されるU字状の第2の支持部材との背中合わせ部に回転自在に取り付けることにより、扉体の外周縁部に第1の支持部材を嵌合固定し、板材の開口部の内周縁部に第2の支持部材を嵌合固定して、開口部内に扉体を開閉可能に取り付けることができる。したがって、開口部内に扉体を簡単かつ確実に開閉可能に設置することができる。
【0026】
(4)板材の開口部の内周縁に嵌合固定される内枠と、扉体の外周縁に嵌合固定される外枠と、内枠及び外枠のいずれか一方の対向面に設けられた周溝内に嵌挿されて他方の対向面に密接可能なパッキン材とを更に具備することにより、扉体が閉じた状態において、板材の開口部の内周縁に嵌合固定される内枠と扉体の外周縁に嵌合固定される外枠との間に介在されるパッキン材が隙間を閉塞することができるので、開口部と扉体の隙間から風が吹き抜けるのを防止することができると共に、風圧や外部からの振動等によって扉体が振動するのを防止することができる。
【0027】
(5)この発明に係る隔て板に扉体を設置する方法によれば、隔て板を構成する破壊可能な材料からなる板材を切り取って形成される開口部内に、同じく板材から切り取られた扉体を開閉可能に設置することができるので、既設の隔て板の一部を利用して隔て板に扉体を設置することができる。したがって、部材の削減が図れると共にコストの低廉化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】この発明に係る扉体を備える隔て板の設置状態を示す正面図(a)及び(a)のA部拡大図(b)である。
【図2】図1のI−I線に沿う拡大断面図である。
【図3】図1のII−II線に沿う拡大断面図である。
【図4】この発明における回転軸及び回転部材を示す断面斜視図である。
【図5】上記回転軸及び回転部材の扉体と板材への取付手順を示す断面図である。
【図6】図1のIII−III線に沿うこの発明における錠の拡大断面図である。
【図7】上記錠の解錠状態を示す拡大断面図である。
【図8】この発明における扉体の施錠状態、解錠状態及び開放状態を示す要部斜視図である。
【図9】上記錠の施錠状態を示す斜視図(a)及び解錠状態を示す斜視図(b)である。
【図10】上記錠の取付部材の一部を断面で示す斜視図である。
【図11】上記錠の係止部材を示す斜視図である。
【図12】この発明における板材を切り取って扉体を取り出した状態を示す概略正面図(a)、開口部に内枠を取り付ける状態を示す概略正面図(b)及び扉体に外枠を取り付ける状態を示す概略正面図(c)である。
【図13】内枠を取り付けた開口部と外枠及びパッキン材を取り付けた扉体を示す分解断面斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下に、この発明に係る隔て板の実施形態を添付図面に基づいて詳細に説明する。
【0030】
この発明に係る隔て板1は、図1に示すように、マンション等の集合住宅のベランダ2における隣家間の境界部分の建物の躯体3とベランダ2のスラブ4に設置固定されて、隔て板1を構成する方形状に形成された枠材5と、枠材5内に嵌め込まれる例えばフレキシブルボード(繊維強化セメント板)のような破壊可能な材料からなる板材6と、板材6に設けられた開口部7内に配設され、開口部7との間に介設される回転軸40によって開口部7を開閉可能な扉体8とを備えている。この場合、扉体8は板材6と同様の材料すなわち例えばフレキシブルボード(繊維強化セメント板)のような破壊可能な材料にて形成されており、非常時には、板材6が破壊可能に形成されている。なお、この場合、少なくとも板材6が破壊すれば、扉体8が開口部7から外れるため、扉体8は必ずしも破壊可能である必要はない。
【0031】
上記板材6に形成される開口部7は、四隅に凹状円弧部7aを有する略矩形状に形成されており、開口部7の内周縁部には、例えばアルミニウム製あるいは合成樹脂製の断面コ字状(チャンネル状)の内枠10が嵌合固定されている(図2参照)。
【0032】
一方、上記扉体8は、開口部7の内周より若干小さい外周を有する四隅に凸状円弧部8aを有する略矩形状に形成されており、扉体8の外周縁部には、例えばアルミニウム製あるいは合成樹脂製の外枠20が嵌合固定されている。この場合、図2に示すように、外枠20は、断面コ字状の嵌合溝部21と、嵌合溝部21の外周壁22と、外周壁22の両側から外方に向かって起立する一対の側壁23とからなる周溝24とを具備している。そして、周溝24には、例えば合成ゴム製の断面円形状の環状のパッキン材30が嵌装されている。
【0033】
上記回転軸40は、図3及び図4に示すように、扉体8の外周縁部に嵌合固定される略U字状の第1の支持部材41と、板材6の開口部7の内周縁部に嵌合固定される略U字状の第2の支持部材42との背中合わせ部に回転自在に取り付けられて、回転部材43を構成している。この場合、回転軸40は、両端に大径頭部40aと外向きフランジ部40bとを有する中空段付き軸ピンによって形成されており、第1の支持部材41の背中合わせ部である外壁41aに設けられた貫通孔41bと、第2の支持部材42の背中合わせ部である外壁42aに設けられた貫通孔42bに回転自在に嵌挿されている。このように形成することによって、回転軸40を介して第1の支持部材41と第2の支持部材42は、互いに回転軸40の径方向すなわち回転軸40を中心として回転自在に連結される。
【0034】
また、第1の支持部材41は、外枠20を内包する凹状基部41cの両側壁41dの先端側に屈曲段部41eを介して凹状基部41cの開口幅より狭い開口幅を形成する一対の外部側壁41fが延在されている。なお、外部側壁41fには第1の支持部材41を扉体8に固定する固定ねじ45の取付孔41gが穿設されている。
【0035】
また、第2の支持部材42は、内枠10を内包する凹状基部42cの両側壁42dの先端側に屈曲段部42eを介して凹状基部42cの開口幅より狭い開口幅を形成する一対の外部側壁42fが延在されている。なお、外部側壁42fには第2の支持部材42を扉体8に固定する固定ねじ45の取付孔42gが穿設されている。
【0036】
上記のように形成される第1の支持部材41と第2の支持部材42は、例えばステンレス鋼製板材を折り曲げ加工やプレス加工等によって形成されており、外部側壁41f,42fが外方に向かって広がり変形可能になっている。
【0037】
上記のように形成される回転部材43を扉体8及び板材6に取り付けるには、図5に示すようにして行うことができる。すなわち、まず第2の支持部材42の両外部側壁42fを広げて、内枠10が装着された板材6の開口部7の内周縁部に嵌装する(図5(a)参照)。次に、広げられていた両外部側壁42fの拘束力を解いて、両外部側壁42fを板材6に嵌合して、第2の支持部材42に設けられた取付孔42gと板材6に設けられた貫通孔6a(取付の際に設けてもよい)に固定ねじ45を挿通し、固定ねじ45の突出部に固定ナット46を螺合して、第2の支持部材42を板材6に固定する(図5(b)参照)。第2の支持部材42を板材6に嵌合固定した後、第1の支持部材41の外部側壁41fを広げて、外枠20及びパッキン材30が装着された扉体8の外周縁部に嵌装する(図5(b)参照)。次に、広げられていた両外部側壁41fの拘束力を解いて、両外部側壁41fを扉体8に嵌合して、第1の支持部材41に設けられた取付孔41gと扉体8に設けられた貫通孔8b(取付の際に設けてもよい)に固定ねじ45を挿通し、固定ねじ45の突出部に固定ナット46を螺合して、第1の支持部材41を扉体8に固定する(図5(c)参照)。なお、第1の支持部材41を扉体8に嵌合固定した状態では、第1の支持部材41の外壁41aによってパッキン材30は圧縮変形する。
【0038】
なお、回転部材43を構成する第1及び第2の支持部材41,42は、回転軸40を中心として径方向に回転自在に形成されているので、第2の支持部材42を板材6に取り付ける際、又は、第1の支持部材41を扉体8に取り付ける際には、第1の支持部材41と第2の支持部材42の位置を互いに変位させて取り付けることができるので、取付作業を容易にすることができる。
【0039】
上記のようにして、扉体8の一側端側の上下2箇所と開口部7の一側端側の同一鉛直線上の上下2箇所に回転部材43を取り付けることにより、扉体8が開口部7内に開閉可能に取り付けられる。
【0040】
なお、上記説明では、回転部材43の第2の支持部材42を板材6に嵌合固定した後に、第1の支持部材41を扉体8に嵌合固定する場合について説明したが、回転部材43の取付手順は必ずしもこれに限定されるものではない。すなわち、まず、第1の支持部材41を扉体8に嵌合固定した後に第2の支持部材42を板材6に嵌合固定してもよいし、あるいは、上下の一方の回転部材43の第1の支持部材41を扉体8に嵌合固定し、他方の回転部材43の第2の支持部材42を板材6に嵌合固定した後、一方の回転部材43の第2の支持部材42を板材6に嵌合固定し、他方の回転部材43の第1の支持部材41を扉体8に嵌合固定してもよい。
【0041】
一方、扉体8の自由端部における両側面部には、扉体8の自由端部が位置する板材6の開口部側と係脱可能に係合する錠50が設けられている。
【0042】
錠50は、図6ないし図9に示すように、扉体8を挟持した状態で取付ねじ52によって固定されるU字状の取付部材51と、この取付部材51の両側片51aに取り付けられた枢支ピン53を介して取付部材51の側面に対して回動可能に装着される一対の係止部材であるラッチ54とを具備し、両ラッチ54の先端部により板材6の内周縁部を挟み込むように係合して施錠状態を保持するように形成されている。なお、枢支ピン53は、取付部材51の側片51aに設けられた貫通孔51bとラッチ54に設けられた貫通孔54aを貫通する段付きのリベットにて形成されており、取付部材51とラッチ54を貫通した突出部をかしめて、取付部材51に対してラッチ54を回動可能に連結している(図6及び図7参照)。また、ラッチ54の先端部の内側すなわち対向面には、それぞれ板材の内周縁部の表面との隙間を塞いでガタツキを防止するための緩衝板56が固設されている。
【0043】
また、錠50は、各ラッチ54に設けられた貫通孔54bを貫通して取付部材51に設けられたねじ孔51hに螺合する固定ねじ部材であるロックねじ55を更に具備し、ロックねじ55を取付部材51に螺合した状態でラッチ54の解錠方向の回動を阻止するように形成されている。なお、ロックねじ55には抜け止め用板片56が一体に取り付けられている。この場合、ロックねじ55は通常のねじとは異なり、通常のプラス又はマイナスドライバーや六角レンチ等の工具では操作できない特殊ねじ例えば頭部55aに特殊工具のみ操作可能な2つ穴55bを有する特殊ねじにて形成されている(図9参照)。このようにロックねじ55を特殊ねじにて形成することにより、悪戯によって錠50が不用意に解錠されるのを防止することができる。
【0044】
なお、錠50の取付部材51は、図6、図7及び図10に示すように、一対の側片51aを有するU字状基部51eと、このU字状基部51eの両側片51aの先端に、互いに近接方向に屈曲して先端側に延在する先端側片51fとを有している。また、取付部材51の側片51aには、枢支ピン53の貫通孔51bが設けられると共に、バーリング部51dにロックねじ55が螺合可能なねじ孔51hが設けられている。また、一方の先端側片51fには取付ねじ52が貫通可能な貫通孔51iが穿設されており、他方の先端側片51fのバーリング部51gには取付ねじ52が螺合可能な取付ねじ孔51cが設けられている。
【0045】
上記のように構成される錠50を備えることにより、平常時には、錠50を施錠状態にすることができる。この状態では、ロックねじ55を取付部材51に螺合した状態でラッチ54の解錠方向の回動が阻止されているので、扉体8が不用意に開閉することがない(図6及び図8(a)参照)。
【0046】
また、ベランダ2の空間のメンテナンス(防水、塗装等)時には、図7に示すように、ロックねじ55を緩めて取付部材51との螺合を解いて解錠状態にし、扉体8を開放して作業者の通行を可能にすることができる。この場合、錠50を構成する一方のラッチ54と板材6との係合を解除することにより、解除したラッチ54と反対側の他方のラッチ54を有する側に扉体8を開放することができる(図8参照)。したがって、どちら側からも扉体8が開放可能となる。また、プライバシー保護のために、板材6と扉体8との間(特に錠50の部分)に封緘などを設けてもよい。これにより、扉体8の不法な開放が視覚的にわかるようになり、防犯対策とすることができる。
【0047】
上記のように構成される扉体8を備える隔て板1は、扉体8を取り付ける板材6が破壊可能な材料例えば繊維強化コンクリート板にて形成されているので、火災等の非常時には、板材6と扉体8の連結部例えば回転部や施錠部を蹴破ることによって板材6及び扉体8を破壊することができる。なお、この場合、少なくとも板材6が破壊すれば、扉体8が開口部7から外れることによって破壊される。
【0048】
なお、板材6と扉体8の破壊を更に容易にするために、扉体8の回転部において、扉体8に取り付けられる回転部材43の第1の支持部材41の扉体8に接触する幅方向の面積と、第2の支持部材42が板材6に接触する幅方向の面積とのいずれか一方をより大きくする方がよい。このような構造とすることにより、扉体8の回転部を蹴破る時の力が小面積の支持部材41,42側に集中して板材6を容易に破壊することができる。
【0049】
次に、この発明に係る隔て板に扉体を設置する方法について説明する。ここでは、既設の隔て板に扉体を設置する場合について説明する。
【0050】
まず、隔て板1を構成する破壊可能な板材の中間部を無端状に切り取って、板材6に四隅が凹状円弧状の略矩形状の人が通り抜け可能な開口部7を形成すると共に、開口部7の内周より若干小さい外周を有する四隅が凸状円弧状の略矩形状の扉体8を取り出す(図12(a)参照)。この場合、例えば開口部7の形状に形取った型紙を板材6に貼った状態で、開口部7の輪郭に沿って複数の貫通孔をあけ、これら貫通孔を貫通する鋸やカッタを用いて開口部7を形成すると共に、扉体8を取り出すことができる。
【0051】
次に、板材6に形成された開口部7の内周縁部に内枠10を嵌合固定する〈図12(b)参照〉。この場合、内枠10は両端が当接される略矩形状に形成されており、図12(b)に想像線で示すように、両端部を当接せずに内方側に屈曲させた状態で開口部7の内周縁部に嵌合して行き、最後に両端部を開口部7の内周縁部に嵌合、もしくは接着等の固定手段により固定する。
【0052】
一方、取り出された扉体8の外周縁部には外枠20を嵌合固定する(図12(c)参照)。この場合、外枠20は両端が当接される略矩形状に形成されており、図12(c)に想像線で示すように、両端部を当接せずに外方側に屈曲させた状態で扉体8の外周縁部に嵌合して行き、最後に両端部を扉体8の外周縁部に嵌合して固定する。扉体8に外枠20を嵌合固定した後、外枠20の周溝24にパッキン材30を嵌装する(図13参照)。
【0053】
次に、回転軸40により背中合わせに連結されると共に、回転軸40の径方向に回転自在なU字状の第1及び第2の支持部材41,42を有する2個の回転部材43を用意する。そして、一方の回転部材43の第2の支持部材42を板材6の開口部7の一側端側の上部の内周縁部に嵌合固定すると共に、第1の支持部材41を扉体8の一側端側の上部の外周縁部に嵌合固定し、また、他方の回転部材43の第2の支持部材42を板材6の開口部7の一側端側の下部の内周縁部に嵌合固定すると共に、第1の支持部材41を扉体8の一側端側の下部の外周縁部に嵌合固定する。これにより、扉体8は、回転軸40を中心として開口部7内に開閉可能に設置される。
【0054】
なお、扉体8の自由端側の外周縁部に錠50が取り付けられる。錠50の扉体8への取付は、錠50を構成する取付部材51を扉体8の自由端部側の外周縁部に嵌合(嵌装)した状態で、取付ねじ52を取付部材51の一方の先端側片51fに設けられた貫通孔51iと扉体8に設けられた貫通孔8b(取付の際に設けてもよい)に貫通し、他方の先端側片51fも外方肉厚部51gに設けられた取付ねじ孔51cに螺合して取り付けることができる。
【0055】
上記のように、既設の隔て板1を構成する板材6の一部を切り取って開口部7を形成すると共に、切り取られた板材からなる扉体8を回転部材43を用いて開口部7に開閉可能に設置することにより、構成部材の削減が図れると共に、設置作業を容易にすることができ、かつ、コストの低廉化を図ることができる。
【0056】
なお、上記実施形態では、既設の隔て板1を構成する板材6を切り取って扉体8を設置する場合について説明したが、設置前の隔て板1を構成する破壊可能な板材6を切り取って同様に開口部7を形成すると共に、扉体8取り出し、上記実施形態と同様の手順で板材6の開口部7に回転部材43を用いて扉体8を開閉可能に設置してもよい。
【0057】
なお、隔て板1の設置寸法が変わる場合があるので、予め板材6の寸法を大きめにしておき、設置現場において、設置される枠材5に合わせて板材6を切断する方がよい。
【0058】
なお、上記実施形態では、扉体8の外周縁部に嵌合固定される外枠20にパッキン材8を取り付けたが、開口部7の内周縁部に嵌合固定される内枠10に周溝24を形成して、この周溝24にパッキン材8を嵌挿させて取り付けてもよい。
【符号の説明】
【0059】
1 隔て板
2 ベランダ
5 枠材
6 板材
7 開口部
8 扉体
10 内枠
20 外枠
24 周溝
30 パッキン材
40 回転軸
41 第1の支持部材
42 第2の支持部材
43 回転部材
50 錠
51 取付部材
53 枢支ピン
54 ラッチ(係止部材)
55 ロックねじ(固定ねじ部材)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マンション等の集合住宅のベランダにおける隣家間の境界部分に設置される隔て板であって、
隔て板を構成する枠材と、該枠材内に嵌め込まれる破壊可能な材料からなる板材と、該板材に設けられた開口部内に配設され、開口部との間に介設される回転軸によって上記開口部を開閉可能な扉体と、上記扉体の自由端部における両側面部に、該扉体の自由端部が位置する上記板材の開口部側と係脱可能に係合する錠とを備え、非常時には、上記板材が人力により破壊可能に形成されている、ことを特徴とする扉体を備える隔て板。
【請求項2】
請求項1記載の扉体を備える隔て板において、
上記錠は、上記扉体を挟持した状態で固定されるU字状の取付部材と、該取付部材の両面に対して回動可能に装着される一対の係止部材とを具備し、上記両係止部材の先端部により上記板材を挟み込むように係合して施錠状態を保持するように形成してなる、ことを特徴とする扉体を備える隔て板。
【請求項3】
請求項2記載の扉体を備える隔て板において、
上記錠は、上記各係止部材を貫通して上記取付部材に螺合する固定ねじ部材を更に具備し、上記固定ねじ部材を上記取付部材に螺合した状態で上記係止部材の解錠方向の回動を阻止するように形成してなる、ことを特徴とする扉体を備える隔て板。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかに記載の扉体を備える隔て板において、
上記回転軸は、上記扉体の外周縁部に嵌合固定されるU字状の第1の支持部材と、上記板材の開口部の内周縁部に嵌合固定されるU字状の第2の支持部材との背中合わせ部に回転自在に取り付けられている、ことを特徴とする扉体を備える隔て板。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれかに記載の扉体を備える隔て板において、
上記板材の開口部の内周縁に嵌合固定される内枠と、上記扉体の外周縁に嵌合固定される外枠と、上記内枠及び外枠のいずれか一方の対向面に設けられた周溝内に嵌挿されて他方の対向面に密接可能なパッキン材とを更に具備する、ことを特徴とする扉体を備える隔て板。
【請求項6】
マンション等の集合住宅のベランダにおける隣家間の境界部分に設置される隔て板を構成する破壊可能な材料からなる板材に扉体を設置する方法であって、
上記板材の中間部を無端状に切り取って、上記板材に開口部を形成すると共に、上記開口部の内周より若干小さい外周を有する扉体を取り出し、
回転軸により背中合わせに連結されると共に、回転軸の径方向に回転自在なU字状の第1及び第2の支持部材を有する回転部材を用意し、上記回転部材の第1の支持部材を上記扉体の外周縁部に嵌合固定すると共に、上記第2の支持部材を上記板材の開口部の内周縁部に嵌合固定して、上記板材に形成された上記開口部内に、上記板材から切り取られた扉体を開閉可能に取り付けるようにした、
ことを特徴とする隔て板に扉体を設置する方法。
【請求項1】
マンション等の集合住宅のベランダにおける隣家間の境界部分に設置される隔て板であって、
隔て板を構成する枠材と、該枠材内に嵌め込まれる破壊可能な材料からなる板材と、該板材に設けられた開口部内に配設され、開口部との間に介設される回転軸によって上記開口部を開閉可能な扉体と、上記扉体の自由端部における両側面部に、該扉体の自由端部が位置する上記板材の開口部側と係脱可能に係合する錠とを備え、非常時には、上記板材が人力により破壊可能に形成されている、ことを特徴とする扉体を備える隔て板。
【請求項2】
請求項1記載の扉体を備える隔て板において、
上記錠は、上記扉体を挟持した状態で固定されるU字状の取付部材と、該取付部材の両面に対して回動可能に装着される一対の係止部材とを具備し、上記両係止部材の先端部により上記板材を挟み込むように係合して施錠状態を保持するように形成してなる、ことを特徴とする扉体を備える隔て板。
【請求項3】
請求項2記載の扉体を備える隔て板において、
上記錠は、上記各係止部材を貫通して上記取付部材に螺合する固定ねじ部材を更に具備し、上記固定ねじ部材を上記取付部材に螺合した状態で上記係止部材の解錠方向の回動を阻止するように形成してなる、ことを特徴とする扉体を備える隔て板。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかに記載の扉体を備える隔て板において、
上記回転軸は、上記扉体の外周縁部に嵌合固定されるU字状の第1の支持部材と、上記板材の開口部の内周縁部に嵌合固定されるU字状の第2の支持部材との背中合わせ部に回転自在に取り付けられている、ことを特徴とする扉体を備える隔て板。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれかに記載の扉体を備える隔て板において、
上記板材の開口部の内周縁に嵌合固定される内枠と、上記扉体の外周縁に嵌合固定される外枠と、上記内枠及び外枠のいずれか一方の対向面に設けられた周溝内に嵌挿されて他方の対向面に密接可能なパッキン材とを更に具備する、ことを特徴とする扉体を備える隔て板。
【請求項6】
マンション等の集合住宅のベランダにおける隣家間の境界部分に設置される隔て板を構成する破壊可能な材料からなる板材に扉体を設置する方法であって、
上記板材の中間部を無端状に切り取って、上記板材に開口部を形成すると共に、上記開口部の内周より若干小さい外周を有する扉体を取り出し、
回転軸により背中合わせに連結されると共に、回転軸の径方向に回転自在なU字状の第1及び第2の支持部材を有する回転部材を用意し、上記回転部材の第1の支持部材を上記扉体の外周縁部に嵌合固定すると共に、上記第2の支持部材を上記板材の開口部の内周縁部に嵌合固定して、上記板材に形成された上記開口部内に、上記板材から切り取られた扉体を開閉可能に取り付けるようにした、
ことを特徴とする隔て板に扉体を設置する方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2011−174308(P2011−174308A)
【公開日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−39609(P2010−39609)
【出願日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【出願人】(000110479)ナカ工業株式会社 (125)
【出願人】(502266205)大和ライフネクスト株式会社 (4)
【公開日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【出願人】(000110479)ナカ工業株式会社 (125)
【出願人】(502266205)大和ライフネクスト株式会社 (4)
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