説明

手ぶれ補正装置及び手ぶれ補正プログラム

【課題】特別な手ぶれ補正機構を必要とせず、また画質の低下も起きないようにする。
【解決手段】手ぶれ補正装置は、イメージセンサ1と、映像生成部2と、映像バッファメモリ3と、ずれ量検出器4と、CPU5とを備えている。映像生成部2は、ゲイン調整部11と、A/D変換器12と、WB調整部13と、3版化処理部14とを有する。手ぶれ補正モードが設定されると、自動的にシャッタ速度をn倍速くして感度もn倍高くし、撮影者が一度シャッタボタンを押すと、自動的に連続してnコマ分の撮影を行い、各コマの撮影画像に対応するデジタル画像データのずれ量を検出し、検出されたずれ量分だけ各デジタル画像データを補正した後に合成して1コマ分のデジタル画像データを生成するため、最終的に生成されたデジタル画像データはノイズ量が不変で、かつ手ぶれ量が1/nに軽減される。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、デジタルカメラ等の撮像装置で撮影を行う際に生じた手ぶれを補正する手ぶれ補正装置及び手ぶれ補正プログラムに関する。
【0002】
【従来の技術】
最近、デジタルカメラが急速な勢いで普及しており、従来型の銀塩カメラよりも販売台数が上回るようになった。これに比例して、デジタルカメラの性能に対する要求も高くなり、強力なズーム機能と高画素数のCCD(Charge Coupled Device)を備えたデジタルカメラも数多く販売されている。
【0003】
ところが、ズームレンズを望遠側に設定して撮影を行うと、手ぶれが起きやすくなる。特に、デジタルカメラは、銀塩カメラよりもボディが軽量なものが多いため、銀塩カメラよりも手ぶれが起きやすい。
【0004】
この種の手ぶれを防止する手法として、光学的に手ぶれを補正する手法と、デジタル的に手ぶれを補正する手法が従来から提案されている。前者の場合、ジャイロセンサーで手ぶれを検知し、レンズを移動させて手ぶれを補正する(特許文献1参照)。また、後者の場合、CCDの撮像領域を手ぶれに応じてずらして手ぶれを補正する。
【0005】
【特許文献1】
特許公報3348461号
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
光学的に手ぶれを補正するには、ジャイロセンサや手ぶれ補正機構を予めレンズに組み込んでおかなければならず、レンズの小型化が困難になるとともに、コストアップの要因にもなる。
【0007】
また、デジタルビデオカメラ等で採用されているデジタル的な手ぶれ補正機能は、動画の連続したコマ間のブレによる微小な動きを抑制するものであり、1コマの画像のブレ自体を除去するものではない。
【0008】
本発明は、このような点に鑑みてなされたものであり、その目的は、特別な手ぶれ補正機構を必要とせず、また画質の低下も起きない手ぶれ補正装置及び手ぶれ補正プログラムを提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上述した課題を解決するために、本発明は、撮像装置から出力されたアナログ画像データのゲイン調整を行うゲイン調整手段と、前記ゲイン調整手段でゲイン調整されたアナログ画像データをデジタル画像データに変換するA/D変換手段と、連続して撮影されたn(nは2以上の整数)コマ分の前記デジタル画像データを順に格納する撮影データ格納手段と、前記撮影データ格納手段に格納されたnコマ分の前記デジタル画像データのうち、最初に撮影された先頭デジタル画像データと、その後に撮影された(n−1)コマの後続デジタル画像データそれぞれとのずれ量を検出するずれ量検出手段と、前記ずれ量検出手段で検出されたずれ量に基づいて、前記後続デジタル画像データそれぞれを補正するデータ補正手段と、前記先頭デジタル画像データと、前記データ補正手段で補正された前記後続デジタル画像データとを合成して、最終的な1コマ分のデジタル画像データを生成するデータ合成手段と、を備える。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る手ぶれ補正装置及び手ぶれ補正プログラムについて、図面を参照しながら具体的に説明する。
【0011】
図1は本発明に係る手ぶれ補正装置の一実施形態の概略構成を示すブロック図であり、デジタルカメラやビデオカメラ等の静止画像を撮影する機器に内蔵されるものである。図1の手ぶれ補正装置は、CCD等からなるイメージセンサ1と、イメージセンサ1で撮像されたアナログ画像データをデジタル画像データに変換する映像生成部2と、デジタル画像データを格納する映像バッファメモリ3と、ずれ量検出器4と、CPU5とを備えている。図1の手ぶれ補正装置には、手ぶれ補正された最終的なデジタル画像データを格納する映像記録メディア6(例えば、CFカード等の各種メモリカードなど)が着脱可能に接続される。
【0012】
映像生成部2は、イメージセンサ1で撮像されたアナログ画像データのゲイン調整を行うゲイン調整部11と、ゲイン調整されたアナログ画像データをデジタル画像データに変換するA/D変換器12と、A/D変換器12で変換されたデジタル画像データのホワイトバランスを調整するWB調整部13と、デジタル画像データを構成する各色成分データを揃える処理を行う3版化処理部14とを有する。
【0013】
WB調整部13は、デジタル画像データを構成するRGBの各色成分ごとにデジタル的にゲイン調整を行ってホワイトバランスを調整する。この処理は、異なる色温度の光源のそれぞれについて、白を白として再現できるようにするために行われる。
【0014】
3版化処理部14は、RGBの各色成分データを揃えるために、周辺ピクセルのピクセル値に基づいて補完処理を行う。
【0015】
映像バッファメモリ3は、連続して撮影されたn(nは2以上の整数)コマ分のデジタル画像データを順に異なる領域に格納する。ずれ量検出器4は、映像バッファメモリ3に格納されたnコマ分のデジタル画像データのうち、最初に撮影された先頭デジタル画像データと、その後に撮影された(n−1)コマの後続デジタル画像データそれぞれとのずれ量を検出する。
【0016】
なお、図1では、映像バッファメモリ3の格納場所をスイッチ15で選択するようにしているが、映像バッファメモリ3に設けられた不図示のイネーブル端子をCPU5で制御して影像バッファメモリ3の格納場所を選択してもよい。
【0017】
CPU5は、ずれ量検出器4で検出されたずれ量に基づいて、後続デジタル画像データそれぞれを補正し、補正された後続デジタル画像データと先頭デジタル画像データとを合成して最終的なデジタル画像データを生成する。
【0018】
図2は手ぶれを説明する図である。手ぶれは、シャッタボタンを押している間にカメラの光軸が移動することにより生じる。例えば、シャッタ速度を1秒として、この1秒の間に、図2(a)の光軸j1からj2まで光軸が移動したとする。この場合、図2(b)の幅w1だけ撮影画像が流れる。
【0019】
手ぶれ量を同じにし、シャッタ速度を2倍の0.5秒にして、1秒の間に2コマの撮影を行うと、各撮影時点での光軸のずれは、図3(a)に示すように図2(a)の半分になり、各撮影画像のぶれ量w2も、図3(b)及び図3(c)に示すように図2(b)の半分になる。
【0020】
ところが、シャッタ速度が図2よりも2倍速くなった分だけ、イメージセンサ1に入る光量が減り、ノイズ量が2倍に増えてしまう。
【0021】
同様に、手ぶれ量を同じにして、シャッタ速度を0.25秒にすると、1秒の間に4コマの撮影が行われ、各撮影時点での光軸のずれは、図4(a)に示すように図2(a)の1/4になり、各撮影画像のぶれ量w3も、図4(b)〜図4(e)に示すように図2(b)の1/4になる。
【0022】
この場合、シャッタ速度が図2よりも4倍速くなった分だけ、イメージセンサ1に入る光量が1/4に減少し、ノイズ量が4倍に増えてしまう。
【0023】
このように、シャッタ速度が速いほど、手ぶれの影響を受けにくくなるが、その分、イメージセンサ1から出力されるアナログ画像データのノイズ量が増えてしまう。
【0024】
そこで、本実施形態では、手ぶれ補正モードが選択されると、撮影者が1回シャッタボタンを押したときに、撮影者の設定した感度のn倍の感度を自動設定した上で、撮影者の設定したシャッタ速度よりも高速のシャッタ速度でn(nは2以上の整数)コマの撮影を連続して行い、得られたnコマの撮影画像を合成して1コマの撮影画像を生成する。
【0025】
図5は本実施形態の処理を模式的に示した図である。図示のように、4コマの撮影画像g1,g2,g3,g4を合成したデジタル画像データg5を生成して手ぶれを除去する。
【0026】
図5に示すように、感度を4倍にして4倍のシャッタ速度で4コマ連続して撮影を行い、各撮影画像を合成すると、各撮影画像の4ピクセルが平均化されて1ピクセルになり、ノイズ量は1/4になる。すなわち、本実施形態によれば、手ぶれ量が1/4で、ノイズ量は4×1/4=1倍になり、手ぶれ量のみを軽減できる。
【0027】
以下、本実施形態の処理手順についてより詳細に説明する。
図6は本実施形態の手ぶれ補正装置の処理手順を示すフローチャートである。このフローチャートは、本実施形態の手ぶれ補正装置を内蔵するデジタルカメラ等において、撮影者が手ぶれ補正モードを選択した場合に実行される。
【0028】
図6の処理は、デジタル画像データを構成するRGBの各色ごとに行う必要はなく、いずれか一色(例えば、緑Gのみ)のデータのみについて行えばよい。あるいは、RGBの各色成分のデータを足し合わせたモノクロデータについて図6の処理を行ってもよい。
【0029】
まず、撮影者が設定したシャッタ速度(露出時間)と感度を変更する(ステップS1)。例えば、手ぶれ補正時にnコマの撮影画像の合成を行う場合は、シャッタ速度をn倍速くし、かつ感度もn倍高くする。
【0030】
この状態で、撮影者がシャッタボタンを押すと、最初の1コマ目の撮影画像に対応するデジタル画像データ(以下、先頭デジタル画像データ)を映像バッファメモリ3に格納する(ステップS2)。その後、nコマ分のデジタル画像データを映像バッファメモリ3に格納するまで、自動的に連続して撮影を行ってステップS2の処理を行う(ステップS3)。以下では、2コマ目からnコマ目までのデジタル画像データを後続デジタル画像データと呼ぶ。
【0031】
nコマ分の撮影が終了すると、次に、先頭デジタル画像データと後続デジタル画像データとのずれ量を検出する(ステップS4)。この処理については、後に詳述する。
【0032】
次に、検出されたずれ量分だけ、後続デジタル画像データを補正する(ステップS5)。次に、先頭デジタル画像データと補正後の後続デジタル画像データとを合成して、1コマ分のデジタル画像データを生成する(ステップS6)。このステップS6で生成されたデジタル画像データは、手ぶれが軽減されたものであり、このデータを最終的なデータとして映像記録メディア6に記録する(ステップS7)。
【0033】
図7は図6のステップS4の詳細処理を示すフローチャートである。まず、後続デジタル画像データのピクセル値の累積ずれ量最小値の初期値を無限大に設定する(ステップS21)。
【0034】
次に、座標変換パラメータdx,dyに所定のパラメータ候補を代入する(ステップS22)。次に、積分カウンタ8の計測値をリセットする(ステップS23)。次に、ずれ量を検出する対象である調査領域内のまだ調査していないピクセル座標を変数座標(X,Y)に代入する(ステップS24)。
【0035】
ここで、調査領域は、図8の斜線部20で示すように、撮像領域内に一つまたは複数設定される。本実施形態は、処理を簡略化するために、調査領域20内で検出されたずれ量に基づいて、その調査領域20を一部に含む画像データのずれ量を決定する。なお、画像データのサイズが小さい場合や、高速の演算機能を持つCPU5で処理を行う場合などは、調査領域20を設定せずに、撮影領域全体についてずれ量を検出してもよい。
【0036】
また、後続デジタル画像データのそれぞれごとに個別に調査領域20を設定してずれ量を決定する。
【0037】
次に、座標変換パラメータdx,dyを利用して後続デジタル画像データの座標変換を行う(ステップS25)。ここで、変換前の座標を(X,Y)、変換後の座標を(X’,Y’)=f(X,Y)とする。f()は、座標変換パラメータを含む変換関数であり、より具体的には、例えば以下の(1)式および(2)式で表される。なお、座標変換パラメータdx,dyは、例えば「1」ずつ可変可能な値とする。
X’=X+dx …(1)
Y’=Y+dy …(2)
【0038】
ステップS25では、上述の(1)式および(2)式に基づいて後続デジタル画像データの座標変換を行う。次に、座標変換後の座標(X’,Y’)のピクセル値を求める(ステップS26)。
【0039】
なお、座標変換パラメータdx,dyの値として、整数以外の実数を採用した場合には、ピクセル値を求める際に補間処理を行えばよい。
【0040】
座標変換後の座標位置でのピクセル値が求まると、次に、先頭デジタル画像データと後続デジタル画像データの両ピクセル値を比較してずれ量を検出する(ステップS27)。次に、ステップS27で検出したずれ量を積分カウンタ8で累積加算する(ステップS28)。
【0041】
次に、調査領域20内の全ピクセルについてずれ量検出を行ったか否かを判定し(ステップS29)、まだずれ量検出を行っていないピクセルがあれば、ステップS24以降の処理を繰り返す。
【0042】
全ピクセルについてのずれ量検出処理が終了すると、次に、積分カウンタ8の計測値が累積ずれ量最小値より小さいか否かを判定する(ステップS30)。小さい場合には、現時点における積分カウンタ8の計測値を累積ずれ量最小値に設定するとともに、現時点における座標変換パラメータdxを後続デジタル画像データ用の座標変換パラメータに設定する(ステップS31)。
【0043】
ステップS30で小さくないと判定された場合、あるいはステップS31の処理が終了した場合には、座標変換パラメータdxのすべてのパラメータ候補についてステップS22以降の処理を行ったか否かを判定し(ステップS32)、まだ処理を行っていないdxの候補があれば、dxを「1」だけ大きくして(ステップS33)、ステップS23以降の処理を繰り返す。
【0044】
座標変換パラメータdxのすべてのパラメータ候補についての処理が終了すれば、次に、座標変換パラメータdyのすべてのパラメータ候補についてステップS23以降の処理を行ったか否かを判定し(ステップS34)、まだ処理を行っていないdyの候補があれば、dyを「1」だけ大きくして(ステップS35)、ステップS23以降の処理を繰り返す。
【0045】
ステップS34の判定がYESになると、その時点でステップS31に設定されている座標変換パラメータdx,dyを最終的な後続デジタル画像データの座標変換パラメータとし、図6のステップS5の処理を行う。
【0046】
図9は図6のステップS5の詳細な処理手順を示すフローチャートである。まず、まだ補正していない後続デジタル画像データのピクセル座標を変数座標(X,Y)に代入する(ステップS41)。次に、図7のステップS31で求めた座標変換パラメータdx,dyを利用して、変数座標(X,Y)に対応する変換座標(X’,Y’)=f(X,Y)を計算する(ステップS42)。ここで、f()は、座標変換パラメータを含む変換関数であり、例えば、上述した(1)式および(2)式で表される。
【0047】
次に、変換座標(X’,Y’)のピクセル値を求める(ステップS43)。ここで、もし補間処理を行う場合は、ステップS42で計算された変換座標(X’,Y’)に対応するピクセル値は映像バッファメモリ3に格納されていない可能性が高い。この場合は、上述した線形補間法などの補間処理を行うことにより、変換座標(X’,Y’)の周辺のピクセル値に基づいて、変換座標(X’,Y’)のピクセル値を決定する。
【0048】
次に、映像バッファメモリ3に格納された後続デジタル画像データのすべての補正を行ったか否かを判定し(ステップS44)、まだ補正していないデータがあれば、ステップS41以降の処理を繰り返す。
【0049】
次に、図6のステップS6の処理について詳述する。ステップS6では、先頭デジタル画像データと補正後の後続デジタル画像データとを併せたnコマの画像データについて、対応画素ごとに、各色別に、例えば平均化処理を行う。
【0050】
例えば、1コマ目のある画素の値をR1,G1,B1とし、2コマ目の同じ画素の画素値をR2,G2,B2とし、nコマ目の同じ画素の画素値をRn,Gn,Bnとすると、合成後の同じ画素のピクセル値R,G,Bは、以下の(3)〜(5)式で表される。
R = (R1 + R2 + … + Rn)/n …(3)
G = (G1 + G2 + … + Gn)/n …(4)
B = (B1 + B2 + … + Bn)/n …(5)
(R1,R2,…,Rn)、(G1,G2,…,Gn)、(B1,B2,…,Bn)はそれぞれ、上述したある画素のデータであるため、(3)〜(5)式により平均化されてノイズ量が1/nになる。
【0051】
ただし、図6のステップS6の合成処理は必ずしも平均化処理である必要はない。例えば、4コマ撮影の場合、最大ピクセル値と最小ピクセル値の2つを除外して、残りの2個の画像データを平均化することも考えられる。
【0052】
一方、nが大きい場合には、ピクセル値を大きい順に並べて、(n/2−1)番目から(n/2+1)番目までの3画素の平均を取ったり、あるいは、(n/2−2)番目から(n/2+2)番目までの5画素の平均を取ることで、より高いノイズ除去効果が得られる。
【0053】
例えば、n=4の場合、4つのピクセル値R1,R2,R3,R4の大小関係が、R2>R3>R1>R4であれば、合成後のピクセル値Rは、R=(R3+R1)/2となる。
【0054】
上述したように、合成を行う手法は、必ずしも平均化処理に限らず、ノイズ量を低減できるすべての処理が適用可能である。
【0055】
このように、本実施形態では、手ぶれ補正モードが設定されると、自動的にシャッタ速度をn倍速くして感度もn倍高くし、撮影者が一度シャッタボタンを押すと、自動的に連続してnコマ分の撮影を行い、各コマの撮影画像に対応するデジタル画像データのずれ量を検出し、検出されたずれ量分だけ各デジタル画像データを補正した後に合成して1コマ分のデジタル画像データを生成するため、最終的に生成されたデジタル画像データはノイズ量が1/nになり、かつ手ぶれ量も1/nに軽減される。
【0056】
これにより、撮影画像の画質を低下させずに、また、特別な手ぶれ補正機構を設けることなく、手ぶれ量を軽減できる。
【0057】
上述した実施形態で説明した手ぶれ補正装置は、ハードウェアで構成してもよいし、ソフトウェアで構成してもよい。ソフトウェアで構成する場合には、手ぶれ補正装置の少なくとも一部の機能を実現するプログラムをフロッピーディスクやCD−ROM等の記録媒体に収納し、コンピュータに読み込ませて実行させてもよい。記録媒体は、磁気ディスクや光ディスク等の携帯可能なものに限定されず、ハードディスク装置やメモリなどの固定型の記録媒体でもよい。
【0058】
また、手ぶれ補正装置の少なくとも一部の機能を実現するプログラムを、インターネット等の通信回線(無線通信も含む)を介して頒布してもよい。さらに、同プログラムを暗号化したり、変調をかけたり、圧縮した状態で、インターネット等の有線回線や無線回線を介して、あるいは記録媒体に収納して頒布してもよい。
【0059】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、本発明によれば、撮影者がシャッタボタンを押したときに、連続してnコマの撮影を行い、そのうちの先頭デジタル画像データと後続デジタル画像データとのずれ量に基づいて後続デジタル画像データを補正し、補正された後続デジタル画像データと先頭デジタル画像データとを合成して最終的なデジタル画像データを生成するため、撮影画像の画質を低下させずに、また、特別な手ぶれ補正機構を設けることなく、手ぶれ量を軽減できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る手ぶれ補正装置の一実施形態の概略構成を示すブロック図。
【図2】手ぶれを説明する図。
【図3】シャッタ速度を図2の2倍にした場合の手ぶれを説明する図。
【図4】シャッタ速度を図2の4倍にした場合の手ぶれを説明する図。
【図5】本実施形態の処理を模式的に示した図。
【図6】本実施形態の手ぶれ補正装置の処理手順を示すフローチャート。
【図7】図6のステップS4の詳細処理を示すフローチャート。
【図8】調査領域を説明する図。
【図9】図6のステップS5の詳細な処理手順を示すフローチャート。
【符号の説明】
1 イメージセンサ
2 映像生成部
3 映像バッファメモリ
4 ずれ量検出器
5 CPU
6 映像記録メディア
11 ゲイン調整部
12 A/D変換器
13 WB調整部
14 3版化処理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像装置から出力されたアナログ画像データのゲイン調整を行うゲイン調整手段と、
前記ゲイン調整手段でゲイン調整されたアナログ画像データをデジタル画像データに変換するA/D変換手段と、
連続して撮影されたn(nは2以上の整数)コマ分の前記デジタル画像データを順に格納する撮影データ格納手段と、
前記撮影データ格納手段に格納されたnコマ分の前記デジタル画像データのうち、最初に撮影された先頭デジタル画像データと、その後に撮影された(n−1)コマの後続デジタル画像データそれぞれとのずれ量を検出するずれ量検出手段と、
前記ずれ量検出手段で検出されたずれ量に基づいて、前記後続デジタル画像データそれぞれを補正するデータ補正手段と、
前記先頭デジタル画像データと、前記データ補正手段で補正された前記後続デジタル画像データとを合成して、最終的な1コマ分のデジタル画像データを生成するデータ合成手段と、を備える手ぶれ補正装置。
【請求項2】
前記ずれ量検出手段、前記データ補正手段及び前記データ合成手段は、撮影者がシャッタボタンを押すたびに前記nコマの撮影を連続して行う手ぶれ補正モードに設定された場合のみ、各処理を行うことを特徴とする請求項1に記載の手ぶれ補正装置。
【請求項3】
前記ずれ量検出手段、前記データ補正手段及び前記データ合成手段は、前記デジタル画像データを構成する特定の色成分データ、あるいは前記デジタル画像データを足し合わせたモノクロデータに対して、各処理を行うことを特徴とする請求項または2に記載の手ぶれ補正装置。
【請求項4】
前記ゲイン調整手段は、撮影者が設定した撮影感度の前記n倍の感度が得られるようにゲイン調整を行うことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の手ぶれ補正装置。
【請求項5】
前記データ補正手段は、前記先頭デジタル画像データのピクセル値と前記後続デジタル画像データそれぞれのピクセル値とのずれ量が最小になるように、前記後続デジタル画像データそれぞれのピクセル座標の座標変換を行うことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の手ぶれ補正装置。
【請求項6】
前記データ補正手段は、前記撮像装置の撮影領域に含まれる一部の領域を対象として、前記ずれ量が最小になるように座標変換を行うことを特徴とする請求項5に記載の手ぶれ補正装置。
【請求項7】
前記データ補正手段は、
値を可変可能な座標変換パラメータに基づいて、前記後続デジタル画像データそれぞれのピクセル座標の座標変換を行う新規座標計算手段と、
前記後続デジタル画像データそれぞれごとに、前記新規座標計算手段で計算されたピクセル座標のピクセル値を計算するピクセル値計算手段と、
基準座標のそれぞれについて、前記先頭デジタル画像データのピクセル値と前記後続デジタル画像データそれぞれの前記ピクセル値計算手段で計算されたピクセル値とのずれ量を計算するずれ量計算手段と、
基準座標のそれぞれについて前記ずれ量計算手段で計算されたずれ量を、前記後続デジタル画像データそれぞれごとに累積加算する累積加算手段と、
前記累積加算手段で累積加算された累積加算値が最小になるように、前記後続デジタル画像データそれぞれごとに前記座標変換パラメータを変更するパラメータ変更手段と、を有することを特徴とする請求項5または6に記載の手ぶれ補正装置。
【請求項8】
前記データ合成手段は、前記先頭デジタル画像データと、前記データ補正手段で補正された前記後続デジタル画像データとの少なくとも一部のデータの平均化処理を行って前記最終的なデジタル画像データを生成することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の手ぶれ補正装置。
【請求項9】
撮像装置から出力されたアナログ画像データのゲイン調整を行うステップと、
ゲイン調整されたアナログ画像データをデジタル画像データに変換するステップと、
連続して撮影されたn(nは2以上の整数)コマ分の前記デジタル画像データを順に格納するステップと、
格納されたnコマ分の前記デジタル画像データのうち、最初に撮影された先頭デジタル画像データと、その後に撮影された(n−1)コマの後続デジタル画像データそれぞれとのずれ量を検出するステップと、
前記検出されたずれ量に基づいて、前記後続デジタル画像データそれぞれを補正するステップと、
前記先頭デジタル画像データと、前記データ補正手段で補正された前記後続デジタル画像データとを合成して、最終的な1コマ分のデジタル画像データを生成するステップと、を実行させるための手ぶれ補正プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2004−266648(P2004−266648A)
【公開日】平成16年9月24日(2004.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2003−56078(P2003−56078)
【出願日】平成15年3月3日(2003.3.3)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
フロッピー
【出願人】(596046118)株式会社市川ソフトラボラトリー (19)
【Fターム(参考)】