説明

手動式バルブ開閉装置の携帯型補助装置

【課題】複数のバルブの開閉に使用可能な手動式のバルブ開閉装置の携帯型補助装置を提供する。
【解決手段】手動式バルブ開閉装置5の携帯型補助装置1のハンドル回転軸廻し装置2は、2つの端部を有するスプラインソケット7を有する。ハンドル回転軸廻し装置2は更に、入出力軸を有する減速機と、回転軸を有するエアモータと、エアモータを回転するように、エアモータにエアを送り込むエア導入口と、送り込まれたエアを排出するエア排出口と、を有している。そして、スプラインソケット7の第一端部は、手動式バルブ開閉装置5のハンドル回転軸6に連結され、スプラインソケット7の第二端部は、減速機の出力軸に連結され、減速機の入力軸はエアモータの回転軸に連結される。エアボンベは、エアを放出するエア放出口を有し、エアホース4は、ハンドル回転軸廻し装置2のエア導入口と、エアボンベ3のエア放出口21とをレギュレータ22を介して連結する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パイプライン等で使用される手動式のバルブ開閉装置のハンドル回転軸を回転するエアモータで駆動される、携帯型補助装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、パイプライン等で使用されるバルブを開閉する装置としては、特許文献1に記載されているような、バルブ7に搭載された、エアモータ式のバルブ開閉装置1がある。この装置は、エアモータ2により弁棒10を上下させて、バルブを開閉するものである。更に特許文献2で記載されているような、バルブ開閉装置もある。この装置は、バルブ300を開閉するのに、油圧または空気圧等のガスを使用する流体圧駆動装置200を有するだけでなく、バルブ300を手動で開閉することが可能な手動操作装置100も有している。そのため、油圧または空気圧等が使用できない場合に、手動操作装置100を操作してバルブ300を開閉することが可能である。
【0003】
【特許文献1】特開2000−146000号公報
【特許文献2】特開2006−22893号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1のバルブ開閉装置1は、バルブ7に搭載されているため、他のバルブを開閉するために移設することはできない。したがって、このバルブ開閉装置1をパイプラインの全てのバルブに設置するために、多額な費用が必要であった。更に、特許文献2の流体圧駆動装置200もバルブ300に搭載されているため、他のバルブを開閉するために、移設することはできない。したがって、特許文献1と同様、全てのバルブに設置するために、多額の費用が必要であった。また、流体駆動装置200が使用できない場合に、手動操作装置100を使用してバルブを開けることが可能であるが、手動操作装置100のハンドルを200〜700回位回転させなければならず、バルブを開閉するのに30分位時間を要すると共に、開閉する人間に多大な労力を強いていた。
【0005】
本発明の目的は、複数のバルブの開閉に使用可能な手動式のバルブ開閉装置の携帯型補助装置を提供することにある。本発明の他の目的は、手動式のバルブ開閉装置のバルブの開閉時間を短縮すると共に、開閉する人間への負担を軽減することを可能にする、手動式のバルブ開閉装置の携帯型補助装置を提供することにある。本発明の更なる目的は、コストパフォーマンスに優れたバルブ開閉装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、ハンドル回転軸廻し装置と、エアボンベと、エアホースと、を有する、手動式バルブ開閉装置のハンドル回転軸を回転する、手動式バルブ開閉装置の携帯型補助装置であって、上記ハンドル回転軸廻し装置は、2つの端部を有する連結部と、入力軸と出力軸とを有する減速機と、上記ハンドル回転軸廻し装置を固定するようにされた把持部と、回転軸を有するエアモータと、上記エアモータを回転するように上記エアモータにエアを送り込むエア導入口と、送り込まれたエアを排出するエア排出口と、を有し、上記連結部の第一端部は、上記手動式バルブ開閉装置のハンドル回転軸を回転するように上記手動式バルブ開閉装置に連結され、上記連結部の第二端部は、上記減速機の上記出力軸に連結され、上記減速機の上記入力軸は上記エアモータの上記回転軸に連結されており、上記エアボンベは、エアを放出するエア放出口を有し、上記エアホースは、上記ハンドル回転軸廻し装置の上記エア導入口と、上記エアボンベの上記エア放出口とを連結することを特徴とする携帯型補助装置を提供する。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の携帯型補助装置において、上記連結部はスプラインソケットであって、上記手動式バルブ開閉装置のハンドルを上記ハンドル回転軸から取り外し、上記スプラインソケットの上記第一端部が、上記ハンドル回転軸に直接連結されることを特徴とする携帯型補助装置を提供する。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の携帯型補助装置において、上記手動式バルブ開閉装置のハンドルは、上記ハンドル回転軸と連結する軸受け部分に凹部を有しており、上記ハンドルを上記ハンドル回転軸と連結すると、上記ハンドル回転軸の先端部分が上記凹部に突出し、上記スプラインソケットの上記第一端部が、更なる連結部材を介して、上記ハンドル回転軸の先端部分と連結されることを特徴とする携帯型補助装置を提供する。
【0009】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか一項の携帯型補助装置において、上記減速機の出力軸の出力トルクが25〜100Nmの範囲内であることを特徴とする携帯型補助装置を提供する。
【発明の効果】
【0010】
本発明の携帯型補助装置を手動式のバルブ開閉装置に使用することで、複数の人間により30分位要していた手動式の開閉装置によるバルブの開閉時間を短縮することができると共に、バルブ開閉作業を一人の人間で行うことが可能となる。更に、本発明の携帯型補助装置を使用することにより、油圧式または空圧式の開閉装置をバルブごとに設置する必要がなく、バルブには手動式の開閉装置を設置すればよいので、コストを削減することが可能となるという効果を奏する。更に、特許文献2のような流体圧駆動装置200、及び手動操作装置100を有する開閉装置においても、装置200の動力源が寸断されたときのような非常事態のときに、本発明の携帯型補助装置を手動操作装置100に使用することができるので、あらゆるタイプの手動式の開閉装置に使用することができるという効果を奏する。
【0011】
本発明の他の実施例によれば、上記の効果と共に、ハンドルを取り外さなくても、携帯型補助装置でバルブを開閉できるので、更に容易にバルブを開閉することができるという効果を奏する。
【0012】
更に、本発明の他の実施例によれば、簡単な構成でバルブの大きさ等に応じて出力トルクを調整でき、バルブに適した出力トルクを選択できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施例1における携帯型補助装置1の使用状態を示す。
【図2】携帯型補助装置1の縦断面図である。
【図3】携帯型補助装置1の平面図である。
【図4】手動式バルブ開閉装置5を示す。
【図5】本発明の実施例2における携帯型補助装置101の使用状態を示す。
【図6】図5のハンドル119の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態を詳細に説明する。図面において、同一又は類似の構成要素には共通の参照符号を付す。
図面を参照すると、図1は本発明の実施例1における手動式バルブ開閉装置5の携帯型補助装置1の使用状態を示し、携帯型補助装置1を手動式バルブ開閉装置5のハンドル回転軸6に直接連結したときの側面図である。パイプライン12部分は透視図となっている(図4、及び図5においても同様)。図2は、携帯型補助装置1の縦断面図であり、図3は携帯型補助装置1の平面図である。図4は手動式バルブ開閉装置5を示す。図5は本発明の実施例2における携帯型補助装置101の使用状態を示し、携帯型補助装置101を、手動式バルブ開閉装置105のハンドル回転軸6にハンドル119が取り付けられた状態で、更なる連結部材27を介して、ハンドル回転軸6の先端部分26に連結したときの部分断面、一部透視図であり、図6はハンドル119を図5のハンドル119の拡大図である。
【実施例1】
【0015】
図1には、ハンドル回転軸廻し装置2と、エアボンベ3と、エアホース4と、を有する、手動式バルブ開閉装置5のハンドル回転軸6を回転する、手動式バルブ開閉装置5の携帯型補助装置1が示されている。ハンドル回転軸廻し装置2は、2つの端部を有する連結部を有している。第1実施例では、連結部はスプラインソケット7である。ハンドル回転軸廻し装置2は、更に入力軸8と出力軸9とを有する減速機10と、ハンドル回転軸廻し装置2を固定するようにされた把持部11とを有している(図2、及び図3参照のこと)。把持部11は、図1のように携帯型補助装置1を手動式バルブ開閉装置5に連結して、パイプライン12のバルブ13を開閉する際に、人間により把持され、ハンドル回転軸廻し装置2が、ハンドル回転軸6を回転する際に受ける反力により、回転しないようにするために使用される。ハンドル回転軸廻し装置2は、回転軸14を有するエアモータ15と、エアモータ15を回転するようにエアモータ15にエアを送り込むエア導入口16と、送り込まれたエアを排出するエア排出口17と、を更に有している。そして、スプラインソケット7の第一端部18は、前記手動式バルブ開閉装置5のハンドル回転軸6を回転するように手動式バルブ開閉装置5に連結され、実施例1では、ハンドル19をハンドル回転軸6から外してから(図4参照のこと)、スプラインソケット7の第一端部18がハンドル回転軸6に連結されている。スプラインソケット7の第二端部20は、減速機10の出力軸9に連結され、減速機10の入力軸8はエアモータ15の回転軸14に連結されている。エアボンベ3は、エアを放出するエア放出口21を有し、エアホース4は、前記ハンドル回転軸廻し装置2の前記エア導入口16と、エアボンベ3のエア放出口21とをレギュレータ22を介して連結している。なお、エアモータ15、及び減速機10は一般的なものを使用しているため、特に詳述しない。
【0016】
次に使用方法について説明する。まず、上記のように携帯型補助装置1を手動式バルブ開閉装置5に連結する。開いているバルブ13を閉じるには、レギュレータ22を開いて(出力圧力を調節しながら)、エアボンベ3内のエア(酸素、窒素等)をエア放出口21からエアホース4に送る。次に携帯型補助装置1の回転方向切り替えレバー23を正回転(時計回り)側に切り替えて、速度目盛24により回転速度を設定したら、把持部11を把持して携帯型補助装置1を固定しながら回転ボタン(図示せず)を押す。そうすると、ハンドル回転軸6が時計周りに回転し、バルブ13を閉位置まで移動させる。なお、これとは反対に閉じたバルブ13を開くには、回転方向切り替えレバー23を負回転(反時計回り)側に切り替えることを除いて、上記と同様の工程を行えばよい。なお、回転方向切り替えレバー23、及び速度目盛24は、一般的なものを使用しているので特に詳述しない。
【0017】
携帯型補助装置1を実施例1のように手動式のバルブ開閉装置5と連結することで、複数の人間により30分位要していた手動式のバルブ開閉装置5によるバルブ13の開閉時間を短縮することができると共に、バルブ開閉作業を一人の人間で行うことが可能となる。更に、本発明の携帯型補助装置1を使用することにより、油圧式または空圧式の開閉装置をバルブ13ごとに設置する必要がなく、バルブ13には手動式の開閉装置5を設置すればよいので、コストを削減することが可能となるという効果を奏する。更に、特許文献2のような流体圧駆動装置200、及び手動操作装置100を有する開閉装置においても、装置200の動力源が寸断されたときのような非常事態のときに、本発明の携帯型補助装置1を手動操作装置100に使用することができるので、あらゆるタイプの手動式の開閉装置に使用することができるという効果を奏する。
【実施例2】
【0018】
図5には、実施例2に係る携帯型補助装置101が示されている。手動式バルブ開閉装置105のハンドル119は、ハンドル119のハンドル回転軸6と連結する軸受け部分に凹部25を有している。ハンドル119をハンドル回転軸6と連結すると、ハンドル回転軸6の先端部分26が凹部25に突出し(図6参照のこと)、スプラインソケット7の第一端部18が、更なる連結部材27を介して、ハンドル回転軸6の先端部分26と連結されている。更なる連結部材27は、実施例1のスプラインソケット7をそのまま用いても、ハンドル回転軸6と連結できないために用いられているものであるので、スプラインソケット7の長手方向の長さを長くして、第一端部18の形状を凹部25に挿入可能な形状にして、ハンドル回転軸6とハンドル回転軸廻し装置2とを上記のように改造したスプラインソケット7で連結してもよい。
【0019】
実施例2によれば、実施例1の効果と共に、ハンドル119を取り外さなくても、携帯型補助装置101でバルブ13を開閉できるので、更に容易にバルブ13を開閉することができるという効果を奏する。
【実施例3】
【0020】
更に、本発明の携帯型補助装置1、101においては、レギュレータ22の開度を調整することにより、エアボンベ3の出力圧力を調整して、ハンドル回転軸廻し装置2の出力トルクを調整することが可能である。たとえば、エアボンベ3の出力圧力を0.4MPa、0.5Mpa、0.6Mpaと切り替えることにより、ハンドル廻し装置2の出力トルクを、25Nm、40Nm、50Nmに切り替えることができる。更に速度目盛24を1、2、3と切り替えることにより、出力トルクを、切り替えることができ、出力圧力0.4Mpaの出力トルクは、25Nm、37.5Nm、50Nmと切り替えることができ、出力圧力0.5Mpaの出力トルクは、40Nm、60Nm、80Nmと切り替えることができる。更に、出力圧力0.6Mpaの出力トルクは、50Nm、75Nm、100Nmと切り替えることができる。
【0021】
実施例3によれば、簡単な構成でバルブ13の大きさ等に応じて出力トルクを調整でき、バルブ13に適した出力トルクを選択できるという効果を奏する。更に、トルクを25Nm以上100Nm以下の範囲に設定したのは、25Nmより小さいとバルブ13の開閉に時間がかかったり、バルブ13を開閉できなかったりするからであり、100Nmより大きいと、バルブ開閉時にハンドル回転軸廻し装置2が受ける反力に人間が耐えられず、ハンドル回転軸廻し装置2自体が回転する虞があるからである。
【符号の説明】
【0022】
1 携帯型補助装置
2 ハンドル回転軸廻し装置
3 エアボンベ
4 エアホース
5 手動式バルブ開閉装置
6 ハンドル回転軸
7 スプラインソケット
8 入力軸
9 出力軸
10 減速機
11 把持部
12 パイプライン
13 バルブ
14 回転軸
15 エアモータ
16 エア導入口
17 エア排出口
18 第一端部
19 ハンドル
20 第二端部
21 エア放出口
22 レギュレータ
23 回転方向切り替えレバー
24 速度目盛
25 凹部
26 先端部分
27 連結部材
101 携帯型補助装置
105 手動式バルブ開閉装置
119 ハンドル


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハンドル回転軸廻し装置と、エアボンベと、エアホースと、を有する、手動式バルブ開閉装置のハンドル回転軸を回転する、手動式バルブ開閉装置の携帯型補助装置であって、
前記ハンドル回転軸廻し装置は、2つの端部を有する連結部と、入力軸と出力軸とを有する減速機と、前記ハンドル回転軸廻し装置を固定するようにされた把持部と、回転軸を有するエアモータと、前記エアモータを回転するように該エアモータにエアを送り込むエア導入口と、送り込まれたエアを排出するエア排出口と、を有し、前記連結部の第一端部は、前記手動式バルブ開閉装置のハンドル回転軸を回転するように前記手動式バルブ開閉装置に連結され、前記連結部の第二端部は、前記減速機の前記出力軸に連結され、前記減速機の前記入力軸は前記エアモータの前記回転軸に連結されており、
前記エアボンベは、エアを放出するエア放出口を有し、
前記エアホースは、前記ハンドル回転軸廻し装置の前記エア導入口と、前記エアボンベの前記エア放出口とを連結することを特徴とする、携帯型補助装置。
【請求項2】
前記連結部はスプラインソケットであって、前記手動式バルブ開閉装置のハンドルを前記ハンドル回転軸から取り外し、前記スプラインソケットの前記第一端部が、前記ハンドル回転軸に直接連結されることを特徴とする、請求項1に記載の携帯型補助装置。
【請求項3】
前記手動式バルブ開閉装置のハンドルは、前記ハンドル回転軸と連結する軸受け部分に凹部を有しており、前記ハンドルを前記ハンドル回転軸と連結すると、該ハンドル回転軸の先端部分が前記凹部に突出し、
前記スプラインソケットの前記第一端部が、更なる連結部材を介して、前記ハンドル回転軸の先端部分と連結されることを特徴とする、請求項1に記載の携帯型補助装置。
【請求項4】
前記減速機の出力軸の出力トルクが25〜100Nmの範囲内であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の携帯型補助装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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