説明

手持ち式ピペット装置

手持ち可能なピペットハウジングと、シリンジのシリンジシリンダの締付け部のための少なくとも1つの収容部と、シリンジのシリンジプランジャのプランジャ締付け部のための、収容本体に有する少なくとも1つのプランジャ収容部と、収容部の締付け部およびプランジャ収容部のプランジャ締付け部を着脱可能に保持する締付け手段と、変位チャンバおよび変位チャンバを制限する可動チャンバ壁を備えた、流体を移動させるための少なくとも1つの変位装置と、ピペットポイントを着脱可能に保持するための少なくとも1つのシートと、シートの孔を変位チャンバに接続するためのチャネルと、収容部に対して収容本体を、かつ/または変位チャンバに対してチャンバ壁を移動させるための、収容本体および/またはチャンバ壁に接続され、かつ/または結合可能な少なくとも1つの駆動装置とを有する、手持ち式ピペット装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体を計量する手持ち式ピペット装置に関する。
【背景技術】
【0002】
手持ち式ピペット装置またはピペットは、それぞれ手持ち可能な計量装置であり、特に液体を計量するために実験室で使用される。
【0003】
エアクッションピペットは、ピペットポイントを着脱可能に保持するためのシートを有する。気体用の変位装置がピペットに一体化されており、シートの孔を通ってチャネルを介してピペットポイントと連通接続されている。エアクッションが変位装置によって移動するので、エアクッションの変位方向に従って液体がピペットポイントのポイント開口部を通って吸引され、そこから排出される。変位装置は主に、移動可能なプランジャを備えたシリンダである。プランジャは、駆動装置によって駆動する。
【0004】
直接変位式ピペットは、シリンジと協働する。シリンジは、シリンジシリンダと、中で移動可能なシリンジプランジャとを有する。シリンジは直接変位式ピペットと連結されていてもよく、シリンジはピペットから着脱可能である。ここでは、シリンジシリンダは直接変位式ピペットに保持され、シリンジプランジャは、駆動装置によって移動可能な収容本体に保持されている。駆動装置によってシリンジプランジャが往復移動するので、液体はそれぞれ、シリンジの孔から吸引されたり、シリンジの孔から排出されたりする。
【0005】
好ましくは、ピペットポイントまたはシリンジはそれぞれ、プラスチック材料から作製され、使用後に廃棄可能であり、あるいは、新規のピペットポイントまたはシリンジと交換可能である(「使い捨て製品」)。
【0006】
手動式および電気機械式の駆動装置を備えたエアクッションピペットおよび直接変位式ピペットが知られている。加えて、固定容積および調節可能な容積を備えたエアクッションピペットおよび直接変位式ピペットがある。さらに、1つの単一ピペットポイントまたはシリンジだけでの使用のためのシングルチャネルピペット、あるいは複数のマルチチャネルを同時に使用するためのマルチチャネルピペットがある。
【0007】
直接変位式ピペットに比べて、エアクッションピペットの利点は、少量の液体での高度の計量精度と、低蒸気圧または低粘度を有する液体で機能する場合とのそれぞれに見られうる。さらに、作動のために必要な力が小さいことや、シリンジに比べてピペットポイントが低価格であることに見られ得る。しかし、エアクッションピペットでは、液体がチャネルを通ってピペットに入り、ピペットを汚染する可能性がある。したがって、特にピペットの汚染を回避する必要がある場合には、直接変位式ピペットが使用される。さらに、高蒸気圧(たとえばエタノールまたはアセトン)または高粘度(たとえばグリコール)の液体を計量しなければならない場合、直接変位式ピペットはエアクッションピペットよりも計量誤差が少なくなる。
【0008】
独国特許第35 88 071 T2号から、異なる変位装置を備えることのできるエアクッションピペットが知られており、変位装置は、シリンダと、中に長手方向に移動可能に配置されているプランジャとをそれぞれ有する。変位装置には、ピペットポイント用のシートがある。
【0009】
独国特許第43 41 229 C2号および独国特許公開公報第10 2005 023 203A1号から、異なるシリンジを備えることのできる直接変位式ピペットが知られている。
【0010】
独国特許第102 38 564 B4号は、膜ポンプとして実施される変位装置を備えたピペットを開示している。変位装置は、エアクッションピペットまたは直接変位式ピペットのいずれかとして実施される。
【0011】
したがって、実験室で保管され、洗浄され、保守され較正されなければならない計量作業に応じて、ユーザはエアクッションピペットまたは直接変位式ピペットを用いる。
【0012】
このことから、本発明は、ユーザによるエアクッションピペットおよび直接変位式ピペットの使用を容易にするという目的に基づくものである。
【特許文献1】ドイツ国特許第35 88 071 T2号
【特許文献2】ドイツ国特許第43 41 229 C2号
【特許文献3】ドイツ国特許第102 38 564 B4号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本目的は、請求項1の特徴を備えた手持ち式ピペット装置によって解決される。有利な解決策の実施形態は、従属項に示されている。
【0014】
本発明の手持ち式ピペット装置は、
手持ち可能なピペットハウジングと、
シリンジのシリンジシリンダの締付け部のための少なくとも1つの収容部と、
シリンジのシリンジプランジャのプランジャ締付け部のための、収容本体に有する少なくとも1つのプランジャ収容部と、
収容部の締付け部およびプランジャ収容部のプランジャ締付け部を着脱可能に保持する締付け手段と、
変位チャンバおよび変位チャンバを制限する可動チャンバ壁を備えた、流体を移動させるための少なくとも1つの変位装置と、
ピペットポイントを着脱可能に保持するための少なくとも1つのシートと、
シートの孔を変位チャンバに接続するためのチャネルと、
収容部に対して収容本体を、かつ/または変位チャンバに対してチャンバ壁を移動させるための、収容本体および/またはチャンバ壁に接続され、かつ/または結合可能な少なくとも1つの駆動装置と、
を有する。
【0015】
本発明によると、最初に、シリンジならびにピペットポイントを備えることのできる手持ち式ピペット装置を設ける。これをシリンジとともに使用するために、手持ち式ピペット装置は、収容部と、プランジャ収容部と、シリンジの締付け部およびプランジャ締付け部を着脱可能に保持する締付け手段とを有する。これをピペットポイントとともに使用するために、適切なシートを備えている。したがって、ユーザは、適用分野によって、直接変位式ピペットとして、あるいはエアクッションピペットとして、手持ち式ピペット装置を使用することができる。したがって、本発明によって、ユーザはより少ない数の手持ち式ピペット装置だけで済むようになる。したがって、投資費用が削減される。実験室でのワークフローが改善される。特に、エアクッションピペットから直接変位式ピペットに切り替えるために費やされる時間が軽減する。各計量作業において、ユーザは、エアクッションピペットまたは直接変位式ピペットの利点をそれぞれ容易に利用することができる。さらに、ユーザが熟練していなければならないのは、1つのシングル手持ちピペット装置を用いて作業するときだけであるという点で、液体の計量が容易になる。手持ち式ピペット装置を洗浄し保守し較正するのための費用が低減される。
【0016】
収容部、プランジャ収容部、および締付け手段は、欧州特許第0 656 229B1号による収容部、プランジャ収容部、および把持装置のように実施されるのが好ましく、これに該当するその説明を引用によって本願に組み込む。好ましくは、シートは、ピペットポイントに締着するための円すい形および/または円筒形の取付け部であるか、またはピペットポイントに締付けるための盲穴であり、ここでは、盲穴には、盲穴をチャネルに接続する孔が底部に有する。
【0017】
好ましい実施態様によると、変位装置は、片側に、収容部に締付けるための締付け部を備えたアダプタハウジングと、可動チャンバ壁に接続されている、プランジャ収容部へ挿入するための作動部材とを有し、反対側に少なくとも1つのシートを有する。シリンジの代わりに、変位装置を収容部およびプランジャ収容部に挿入することができる。シートは、ピペットポイントを備えていてもよい。収容本体を移動させることにより、チャンバ壁が移動し、アダプタハウジングに設定されたピペットポイントがそれぞれ、液体を充填されるかまたは空にされる。本実施形態において、直接変位式ピペットはまた、アダプタハウジングの取付け後にエアクッションピペットとして使用可能である。本実施形態によると、手持ち式ピペット装置または直接変位式ピペットは、アダプタハウジングを備えた手持ち式ピペットシステムを形成する。手持ち式ピペットシステムの第1の使用方法では、手持ち式ピペット装置をシリンジと結合することが可能であり、第2の使用方法では、手持ち式ピペット装置を少なくとも1つのピペットポイントと結合することの可能なアダプタハウジングとも結合する。
【0018】
手持ち式ピペット装置およびアダプタハウジングの手持ち式ピペットシステムによって、シリンジならびにピペットポイントを用いて、計量分配する、すなわち複数のシングルステップで吸い取られた量の液体を吐出することができるようになり、同様に、ピペット計量する、すなわち1つのシングルステップで吸い取られた量の液体を吐出することができるようになる。
【0019】
一実施形態によると、アダプタハウジングは、本質的に円筒形であり、一方の前方側に締付け部および作動部材を有し、他方の前方側にシートを有する。これは、簡潔な設計を奨励しているので、手持ち式ピペット装置がアダプタハウジングを備えている場合に、手持ち式ピペット装置の取扱い特性を最小限度に変更するだけである。
【0020】
手持ち式ピペットが手動である一実施形態によると、アダプタハウジングは、少なくとも1つのばね装置を有し、これに対して、変位チャンバから流体を移動させるために、動作の最終段階で作動部材および/またはプランジャ収容部が押圧する。作動要素および/またはプランジャ収容部のばね装置との接触位置が吸引行程の始点を定め、ここで規定の液体容積(計測量)がピペットポイントに吸引される。作動部材またはプランジャ収容部がそれぞれ再びばね装置と当たるか、あるいはばね装置と再度接触するまで、液体はまず逆方向に吐出される。さらに、ばね装置のばね力を克服することによって、作動部材および/またはプランジャ収容部が移動可能となる。この力の閾値によって、ユーザは計測量が本質的に吐出されたことがわかる。さらに作動させることによって、ピペットポイントの中またはピペットポイントに付着するわずかな残留量の液体を吹出すことができる。吹出し行程によって、液体が実際に完全に吐出される。さらに、ピペットポイントをアダプタハウジングに有するシートから分離する排出装置の作動を、さらなる排出行程によって制御することができる。この目的のために、アダプタハウジングの作動要素は、作動要素の移動終了後に作動要素とともに排出スリーブをとることによって、外側でアダプタハウジングに案内される排出スリーブと協働する支持部を備えていてもよい。シートからピペットポイントを押出すために、排出スリーブはその下端部でピペットポイントの上縁部を押圧してもよい。
【0021】
一実施形態によると、変位チャンバから流体を移動させる動作の最終段階の第1の部分では、作動部材および/またはプランジャ収容部がばね装置を押圧し、動作の最終段階の第2の部分では、さらなるばね装置を押圧する。このことによって、異なる力の閾値を実現することができ、これを超えることによって、ユーザは、残留した液体を吹出す吹出し行程かピペットポイントを排出する排出行程かどちらをその者が実行するのかを確認する。
【0022】
一実施形態によると、ばね装置は、上蓋に孔を備えたプランジャ収容部を挿入するケージに、少なくとも1つのコイルばねと、上蓋とコイルばねとの間に配置されているディスクとを有し、ディスクはプランジャ収容部を押圧するために孔に対して内側で半径方向に突出している。
【0023】
プランジャ収容部は、孔を通ってディスクに向かって移動することができる。プランジャ収容部をさらに移動させることによって、コイルばねが圧縮される。場合によっては、さらなるコイルばねを備えたさらなるばね装置をケージに配置してもよい。さらなるばねは最初に述べたコイルばねよりも短く、さらなるばねの内径は、最初に述べたコイルばねの外径よりも大きいので、さらなるばねを最初に述べたばねの周囲に配置することができる。加えて、さらなるコイルばねの上端部を、ケージの肩部の下のさらなるディスクに支持することができる。このさらなるディスクは、内側に向かって半径方向に突出しているので、プランジャ収容部が移動すると最初に述べたコイルばねをも圧縮するために、最初に述べたディスクの外側に向かって半径方向に突出している領域が、最初に述べたコイルばねをいくぶん圧縮した後でさらなるディスクに当たる。
【0024】
別の実施形態によると、収容部、プランジャ収容部、および締付け手段を含むシリンジモジュールハウジングを備えたシリンジモジュールが、駆動装置を含むピペットハウジングと着脱式に接続可能であり、プランジャ収容部を有する収容本体を駆動装置と結合することができる。さらに、変位装置およびシートを含みピペットポイントモジュールハウジングを有するピペットポイントモジュールが、ピペットハウジングと着脱式に接続可能であり、変位装置のチャンバ壁を駆動装置と結合することができる。使用に応じて、ユーザがシリンジモジュールまたはピペットポイントモジュールをピペットハウジングと接続する。ここでは、ピペットハウジングは、従来のディスペンサまたは従来のピペットの駆動装置を特徴としていてもよい。従来の手動式ピペットの駆動装置では、液体をピペットポイントまたはシリンジに吸引するためのチャンバ壁は昇降ばねによって動かされ、この昇降ばねは、液体がピペットポイントまたはシリンジに吐出される場合、予応力が与えられている。吸引行程では、昇降ばねが駆動装置をその開始位置に押し戻す。昇降ばねをピペットハウジングに配置してもよいし、同様に、シリンジモジュールハウジングあるいはピペットポイントハウジングにそれぞれ配置してもよい。
【0025】
次に、手持ち式ピペット装置のあらゆる組立部品を、ピペットハウジングの中あるいはピペットハウジングに取り外せないように配置することの可能な実施形態に続く。
【0026】
一実施形態によると、手持ち式ピペット装置は、ピペットハウジングの異なる位置に収容部およびシートを有する。ここでは、プランジャ収容部が収容部に関連づけられており、締付け手段が収容部とプランジャ収容部とに関連づけられている。たとえば、収容部およびシートは、ピペットハウジングの異なる端部に設置されるか、あるいはピペットハウジングの同じ端部に並んで設置されている。ユーザは、意図する使用に応じて、手持ち式ピペット装置にシリンジまたはポイントを装備する。ここでは、同一あるいは異なる駆動装置によって、変位装置の収容本体およびチャンバ壁を駆動することができる。その収容本体およびチャンバ壁を同じ駆動装置によって駆動することができる場合、これらを駆動装置と取り外せないように結合してもよいので、収容本体およびチャンバ壁は常に同時に移動可能となる。また、計量時の力の消費を減少させるために、シリンジかピペットポイントかいずれを使用するかに応じて、収容本体およびチャンバ壁を同一の駆動装置と選択的に結合することのできる実施形態が可能である。
【0027】
別の実施形態によると、シートおよび収容本体が、互いに同心状に配置されている。たとえば、収容本体は、収容本体を外側で取り囲むスリーブ状の本体である。手持ち式ピペット装置がエアクッションピペットとして作動することを目的とする場合、シートは、ピペットハウジングに対して外側に収容本体よりも遠くに押圧される。手持ち式ピペット装置が直接変位式ピペットとして作動することを目的とする場合、収容本体は、ピペットハウジングに対して外側にシートよりも遠くに押圧される。この目的のために、たとえば、収容本体がピペットハウジングに固定されているシートに対して移動可能であるか、シートがピペットハウジングに対して移動可能であるかのどちらかである。シートが移動可能な場合、たとえば、可撓管によって、または、伸縮はめ合管によって、チャネルは可撓性となる。直接変位式ピペットとして使用するために、収容本体を駆動装置と結合してもよい。チャンバ壁を、駆動装置と取り外せないように結合することができる。直接変位式ピペットとして適用する時に計量のための力の消費を減少させるべく、チャンバ壁が駆動装置から分離可能であってもよい。エアクッションピペットとして使用する場合、収容本体を駆動装置から分離し、場合によっては、チャンバ壁を駆動装置と結合する。異なる駆動装置を収容本体およびチャンバ壁に設け、それぞれの使い捨て部分に関連づけられた駆動装置を作動させることもまた可能であるので、内外で結合しなくなる。
【0028】
たとえば、可動チャンバ壁は可撓膜であり、変位チャンバの1つの壁を形成し、変位チャンバの少なくとも1つのさらなる壁とその縁部側で密封接続されている。好ましい実施態様によると、変位装置は、シリンダと、長手方向に中で可動に配置され作動部材を有するプランジャとを有する。本実施形態は、円筒形のアダプタハウジングに一体化されることができ、そうすることによって空間を節約する。さらにまた、変位装置は有利なリニア駆動装置によって駆動されることができる。この駆動装置は、変位装置のプランジャならびにシリンジのシリンジプランジャを駆動させる。
【0029】
一実施形態によると、プランジャは、シリンダに外側に位置するシールを有する。結果として、プランジャはその外側でシールを支持し、シールはシリンダの内部を密封する。外側のシールは、特に容易に動く。このことによって、変位装置を作動するための力の消費を極めて減少することができる。そうすることによって、使い勝手が良く、手動で手持ち可能な手持ち式ピペット装置、またはエネルギ消費がわずかな電動駆動型手持ち式ピペット装置が可能となる。
【0030】
一実施形態によると、駆動装置は、手動式および/または(たとえば電動モータを備えた)電気駆動装置を有する。特に、手持ち式ピペット装置は、単なる手動式駆動装置として、または単なる電気駆動装置として、あるいは複合の手動式および電気駆動装置を有する装置として実施されることができ、後者は特に、手動のサーボ・アシスト・ドライブが存在する場合である。
【0031】
さらなる一実施形態によると、手持ち式ピペット装置は、固定容積のピペットであるか、調節可能な容積のピペットである。
【0032】
さらなる一実施形態によると、手持ち式ピペット装置は、シングルチャネルまたはマルチチャネルの装置である。すなわち、手持ち式ピペット装置は、1つの単一のピペットポイントまたはシリンジのみを備えていてもよく、あるいは複数のピペットポイントまたはシリンジを同時に備えていてもよい。
【0033】
さらなる実施形態によると、シリンジまたはアダプタハウジング、および/またはピペットポイント上のタグを読み取る読出装置が、収容部および/またはシートに関連付けられており、かつ/または、手持ち式ピペット装置が、シリンジおよび/またはアダプタハウジング、および/またはピペットポイントのタグに入力する入力装置を有し、かつ、読出装置および/または入力装置が、ピペットハウジングに配置されている電子分析装置に接続されている。電子分析装置は、読出装置によって読み出され、かつ/または入力装置を用いて入力されたタグに依存してピペット装置の動作状況および/または設定(たとえば計量パラメータ)を示す電子表示装置に接続され、かつ/または、読出装置によって読み出され、かつ/または入力装置を用いて入力されたタグによってピペット装置を制御するために、電気駆動装置の電子制御装置に接続されている。
【0034】
たとえば、本実施形態によって、タグを備えているシリンジおよび/またはアダプタハウジングおよび/またはピペットポイントを使用することができるようになる。このタグは、シリンジまたはピペットポイントの登録情報を含むものであり、たとえば、定格容積および/または型式(たとえば形状や寸法)、および/または材料、および/または純度グレード、および/または製造業者、および/または製造年月日、および/またはシリンジおよび/またはアダプタハウジングおよび/またはピペットポイントの使用である。たとえば、タグは、ここにデータが書込まれ、かつ/または書込み可能であり、読出し装置によって読出されることのできるマイクロチップおよび/またはRFIDである。
【0035】
好ましくは、シリンジの上縁部、および/またはアダプタハウジング、および/またはピペットポイントの上縁部に有する少なくとも1つの隆起またはくぼみによって、タグが実装される。好ましくは、タグは、上縁部の環状フランジに存在する。特定のコードは、少なくとも1つの隆起またはくぼみの存在によって、あるいは隆起またはくぼみのそれぞれの特定の配置によって行われる。読出し装置は、収容部の底部またはシートの基底それぞれに感圧センサ(たとえばピエゾセンサ)を有し、隆起またはくぼみをそれぞれ走査する。結果として、分析装置は、シリンジまたはアダプタハウジングまたはピペットポイントの1つまたはいずれかが挿入されるかを決定することができる。したがって、シリンジまたはアダプタハウジングまたはピペットポイントがアダプタハウジングのシート上に配置された場合に、分析装置または制御装置は、それぞれ挿入されたシリンジまたはアダプタハウジングまたはピペットポイントの特性を検出することができる。たとえば、これによって、表示装置によって直ちに設定される計量容積を示すことができ、あるいは電気駆動装置を制御することができるので、常に所望の計量した容量を採取したり吐出したりする。特に、シリンジのプランジャまたは変位装置の異速度、加速および遅延を、シリンジまたはピペットポイントに従って制御することができる。
【0036】
読出し装置およびタグを、欧州特許第0 657 216B1号による走査表面や走査デバイスのように形成してもよく、これに該当する開示を引用によって本願に組み込む。
【0037】
一実施形態によると、シートに関連付けられた読出し装置を、アダプタハウジングの伝達装置を介して、収容部と関連付けられた読出し装置と結合してもよい。ここでは、シートに関連付けられた読出し装置によって取り出されるタグに関する情報が、収容部に関連付けられた読出し装置に伝達される。
【0038】
一実施形態によると、シートに関連付けられた読出し装置およびアダプタハウジングの伝達装置は、ピペットポイントの上縁部の隆起および/またはくぼみを走査するための、長手方向に移動可能となるように配置されたスライドを有し、スライドの端部はシートに関連付けられており、スライドのさらなる端部は感圧センサを作動させるためのものである。特に、スライドを、アダプタハウジング内で湾曲したガイドに沿って走行することの可能なワイヤとして実現することができる。このことによって可能となるのは、比較的小さな直径を備えたピペットポイントの上縁部に有する隆起またはくぼみをそれぞれ走査することと、比較的大きな直径のシリンジの端部に有する隆起またはくぼみのそれぞれを取得するための読出し装置に走査を伝達することとである。
【0039】
少なくとも1つの読出し装置の代わりに、あるいは読出し装置に加えて、入力装置が存在してもよい。入力装置によって、タグの手動入力が可能になる。
最も簡潔な場合において、入力装置は、少なくとも2つの異なるシリンジまたはピペットポイントとの間で、あるいはシリンジからピペットポイントに切換ができるスイッチである。入力装置を、キーボードとして、またはタッチスクリーンとして実現してもよい。
【0040】
シリンジによって、プランジャによって移動する液柱がプランジャに直接的に付着するので、測定された液体の容積は、駆動装置を用いてプランジャを移動させることにリニアに依存する。これに反して、ピペットポイントでは、プランジャまたは変位装置の別の可動式チャンバ壁と液柱との間に、ガスクッションの膨張による容積誤差が生じる。特に、容積誤差は、ピペットポイントの内側の幾何学的形状と、測定された液体の濃度と、ピペットポイントにおける液柱のそれぞれの高さとに依存し、作業場の地理的高さに左右される。液柱の高さは、計測量に依存する。
【0041】
電気駆動装置を備えた電子制御式ピペットでは、あらゆる一定の計測量で一定の修正容積だけプランジャをさらに移動させることによって、修正が可能である。作動ボタンまたはプランジャまたは可動チャンバ壁間にあるリニア駆動歯車をそれぞれ備えた手動駆動型手持ち式ピペット装置では、駆動歯車の歯車比および/または計測容積の指示装置を選択することによって、計量可能な液体の調節範囲全体にわたる計測誤差を最小限に抑えることが可能である。このような誤差を最小化に抑えることの詳細については、特に欧州特許第0 562 358 B2号を、特に請求項および3頁第53行から6頁第49行の実施形態を参照のこと。欧州特許第0 562 358 B2号の内容を引用によって本願に組み込む。
【0042】
以下の実施形態は、シリンジおよびピペットポイントで選択的に扱う場合に、計測誤差を最小限に抑えるか、あるいは減少させるのに役立つものである。
【0043】
手動駆動型手持ち式ピペット装置の簡潔な実施形態によると、シリンジでの計測容積の表示をピペットポイントでの計測容積の表示に切り替えることを可能にするスイッチが存在する。たとえば、スイッチは機械式歯車のスイッチであってもよく、これを作動させることによって、機械的表示装置(たとえば機械的計数器)を制御するための機械式歯車の種々の歯車比を設定することができる。さらに、これは、分析装置または制御装置の動作を切り替えるための電気スイッチであってもよい。
【0044】
手持ち式ピペット装置の別の実施形態によると、ピペットポイントの読出しおよび/または入力タグに依存して、電子分析装置が計測容積の表示の修正を制御する。タグが自動的に読み出される場合、切り替えを自動的に行ってもよい。シリンジのタグが入力されるかまたは読み出される場合、原則として修正を省略してもよい。しかし、必要に応じて、修正をシリンジで行ってもよい。
【0045】
電気的に駆動する手持ち式ピペット装置の一実施形態によると、ピペットポイントの読出しおよび/または入力タグに依存して、制御装置が電気駆動装置を用いて可動チャンバ壁の行程の修正を制御する。タグが自動的に読込まれる場合、修正を自動的に行ってもよい。シリンジのタグが入力されるかまたは読み出される場合、原則として修正を省略してもよい。しかし、必要に応じて、修正をシリンジで行ってもよい。
【0046】
電気的に駆動する手持ち式ピペット装置の一実施形態によると、ピペットポイントの読出しおよび/または入力タグに依存して、制御装置が、電気分析装置を用いて、可動チャンバ壁の初期位置を、完全に流体を吐出するために残りの行程だけ端位置から離れている位置にするのを制御する。このようにして、電気的駆動型手持ち式ピペット装置の吹出し行程および/または排出行程が可能となる。ピペットポイントのタグが読み出されるかまたは入力される場合、ピペットポイントから残りの液体を吹き出すために、かつ/またはピペットポイントを排出するために使用可能な残りの行程が可能となる位置に、制御装置がプランジャを移動させる。
【0047】
さらなる実施形態によると、手持ち式ピペット装置は、電気駆動装置を特徴とする駆動装置と、滴定モードで計量装置を作動させるためにそれに接続されている電子制御装置とを有する。
【0048】
滴定分析または滴定は、化学分析論の定量法であり、ここでは測定される溶存物質(滴定剤または滴定される溶液)はまた、たいてい溶解状態にあり、終点、当量点、また頂点(以下、まとめて「終点」と呼ぶ)まで他の既知濃度の物質(滴定剤(Titrans)、滴定液、標準溶液)と反応する。測定手順は、滴定と呼ばれている。終点は、たとえばインジケータシステムによって、または電気化学的方法で、あるいは沈降反応を用いて示される。使用する計量装置によって、正確な終点の認識を促すことができる。特に、シリンジおよびピペットポイントを選択的に使用することによって、最適化が可能になる。本発明の手持ち式ピペット装置は、シリンジおよびピペットポイントの最適な使用を促進し、これによって、正確な終点の測定を促進する。
【0049】
滴定モードでは、終点に可能な限り正確に到達するために、制御装置が、各吐出ステップで1レベルだけ自動的に、シリンジプランジャまたはチャンバ壁それぞれの速度を減少させることができる。最終的に、速度は、最低レベルで一定の状態を維持することができる。
【0050】
さらに、手持ち式ピペット装置が、読出し装置によって、シリンジおよび/またはアダプタハウジングおよび/またはピペットポイントのタグを取得し、制御装置が、取得されたタグに応じて、シリンジプランジャおよび/またはチャンバ壁の動作と、任意選択で作動装置の作動とを制御する、滴定モードの一実施形態が可能である。ここでは、手持ち式ピペット装置を、独国特許出願第10 2006 009 816.1号の請求項1から9および22から30のいずれか一項による計量装置のように実現することができ、その開示を引用によって本願に組み込む。
【0051】
別の実施形態によると、制御装置は、滴定モードの最初の排出段階において大量の液体を吐出するために、シリンジプランジャおよび/またはチャンバ壁の動作を制御することができ、制御装置は、入力装置の作動によって、または、最初の吐出段階の終わりに到達することによって起動して、第2の吐出段階において少なくとも少量で規定量の液体を吐出するために、プランジャの動作を制御することができる。ここでは、手持ち式ピペット装置を、独国特許出願第10 2006 009 816.1号の請求項10から30のいずれか一項によるように実現することができ、その開示を引用によって本願に組み込む。
【0052】
さらなる実施形態によると、手持ち式ピペット装置は、滴定モードを含む一群の運転モードから1つの運転モードを選択するために、電子制御装置に接続されている入力装置(たとえばキーボードまたはタッチスクリーン)を有する。
【0053】
さらなる実施形態によると、一群の運転モードが、ピペット操作モード、および/または計量分配モード、および/または経時的計量分配モード、および/または吸引モードを含む。
【0054】
一実施形態によると、手持ち式ピペット装置が、以下の特徴を有する。
電気駆動装置を有する駆動装置、
駆動装置のためのプログラム制御された電子制御および/または調節装置、
少なくとも1つの不揮発性ライトリードメモリ、
特に電気駆動装置ならびに電子制御および/または調節装置のための電源、
外部データ処理デバイスのデータ転送装置と接続するために、電子制御および/または調節装置に接続されるデータインタフェース、
データ処理ユニットによって、プログラム制御された電子制御および/または調節装置が戻る手持ち式ピペット装置の作動過程を実行するためのルーチンが、データインタフェースを介してライトリードメモリに書き込まれることができるように、プログラム制御された電子制御および/または調節装置が設計される。
【0055】
本発明によると、手持ち式ピペット装置のライトリードメモリは、外部データ処理デバイスによってアクセス可能である。このことによって、プログラム制御された電子制御および/または調節装置は同じルーチンに戻るように、外部データ処理デバイスを用いて、手持ち式ピペット装置のライトリードメモリへの作動過程を実行するためのルーチンを設定することができる。これらのルーチンは、ユーザによって作成されることができ、特にルーチンを繰り返し実行しなければならない場合に、これらのルーチンは複数の作動ステップからなる作動過程を制御するのに役立つ。たとえば、このような「短いプログラム」を用いて、一定量の液体の収集、混合、および吐出を、あるいは希釈の順番を制御することができ、ここでは1つの希釈ステップから次の希釈ステップまで吐出された計測容積が半分に低減する。このことによって、ルーチンの使用がユーザにとって容易になる。また、データ処理ユニットに保存されたルーチンを手持ち式ピペット装置に複製することも可能である。
【0056】
さらにまた、プログラム制御された電子制御および/または調節装置のプログラムは、外部データ処理デバイスによってライトリードメモリに書き込まれることができ、任意選択で、ライトリードメモリから読出されることができる。この目的のために、メモリはプロセッサのフラッシュメモリであることが好ましい。フラッシュメモリを備えたプロセッサは、製造業者によってプログラムを記録されて実装され、インタフェースを介してデータ交換の通信を開始することができる。これによって、部分的にまたは完全に異なるプログラムを、外側からデータインタフェースを介して各手持ちピペット装置に伝達するか、あるいは、完全にまたは部分的にプログラムをそれぞれ変更することが可能である。
【0057】
加えて、プログラム制御された電子制御および/または調節装置が作動ステップを実行する場合に戻る作動パラメータを変更することが可能である。
【0058】
さらにまた、外部データ処理デバイスによって、手持ち式計量装置を遠隔制御することが可能である。
【0059】
手持ち式ピペット装置から、特にPCであってもよいデータ処理ユニットへ、および逆のデータ転送を、赤外線インタフェースを介して行うことができる。手持ち式ピペット装置は、赤外線インタフェースから一定の距離範囲で配置されるときに、自動的にPCによって認識され登録されることができる。ついで、手持ち式ピペット装置の一定の作業サイクルは、PCによって制御されることができる(たとえば決まった作動、ピペット操作、計量分配、電気駆動モータの個々のステップなど)。これは、サービス目的のために、および/または手持ち式ピペット装置の遠隔制御のために、使用可能である。さらに、ルーチンおよび/またはパラメータは、手持ち式ピペット装置のライトリードメモリに書き込まれることができ、かつ/または、PCによってライトリードメモリから読出すことができる。
【0060】
データ転送は、対応する用途に世界的に許容されている、例えば2.40から2.48GHzの範囲の周波数で、無線を介して行われてもよい。データ転送は、プロトコル、特にBluetooth、無線LAN(Wlan)またはZigBeeを使用してもよい。
【0061】
手持ち式ピペット装置のさらなる実施形態は、従属項14から16に示されている。
【0062】
さらに、手持ち式ピペット装置および外部データ処理デバイスの対応する計量システムの可能な実施形態は、欧州特許第0 999 432 B1号にみられる。このことに関する説明を、本文献を引用することによって本願に組み込む。
【0063】
最後に、本発明は、請求項1から25のいずれかに記載の特徴を備えた手持ち式ピペット装置で使用するための、請求項2から25のいずれかに記載のアダプタハウジングの特徴を有するアダプタハウジングに関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0064】
本発明を、それを実現する例の添付図面を用いて、以下にさらに詳細に説明する。
【0065】
「底部」、「下部」、「頂部」、「上部」の記述は、シリンジまたはピペットポイントをそれぞれ底面に向けて保持して使用する場合の、ピペットの向きに関するものである。
【0066】
以下の本発明を実現する種々の実施形態の説明では、互いに対応する構成要素を、同一の参照番号によって示す。
【0067】
図1および図2によると、手持ち式ピペット装置は、本質的に円筒形のハウジング下部3を備えた、手持ち可能でグリップ形状のピペットハウジング2を有する。ハウジング下部3の下端部領域に、シリンジ6のシリンジフランジ5のための収容部4が配置されている。シリンジフランジ5は、シリンジ6の締付け部である。ハウジング下部3の下端部に、収容部4が軸方向開口部7を有し、これを通って、収容部4に保持されているシリンジ6がそのシリンジシリンダ8とともに突出している。
【0068】
収容部4には、ばね付勢された当接部9が配置されており、これに対してシリンジフランジ5の上側を押圧することができる。当接部9は、シリンジフランジ5の上側に、図示されていないそれぞれ隆起またはくぼみの形でのコードを走査するための図示されないセンサを有する。
【0069】
収容本体10が、ハウジング下部3に配置され、プランジャ収容部11を備えており、この中に、頂部に向かって突出しているシリンジ6のシリンジプランジャ12の端部を挿入することができる。ここでは、シリンジプランジャ12が突出して、プランジャ収容部11の軸方向開口部13を通って収容本体10に入る。シリンジプランジャ12の上端部は、プランジャ収容部11の底部によって形成されているプランジャ停止部に当たる。
【0070】
収容本体10は、プランジャ調節装置15に接続されている昇降ロッド14に固定されている。たとえば、プランジャ調節装置15は、独国特許第29 26 691 C2号または独国特許第43 41 229 C2号から知られていているように、反復機構を備えた、手動でまたは電気機械的に駆動するリニア駆動装置またはプランジャ調節装置15である。反復機構の説明に関しては、前述の2つの文献を参照のこと。
【0071】
昇降ロッド14は、ハウジング下部3の軸方向スリット17から外側に突出している後動レバー16と接続されている。したがって、後動レバー16を作動させることによって、収容本体10をハウジング下部3内で軸方向に移動させることができる。
【0072】
シリンジフランジ5を収容部4に固定するために、シリンジ把持レバー19は、ハウジング下部3の旋回軸20で収容部4の両側の直径方向に向かい合うベアリング18に支えられている。シリンジ把持レバー19は、ハウジング2によって囲まれている。シリンジ把持レバー19は、フック状の把持端部21を備えており、シリンジフランジ5が収容部4内に設定され、当接部9の近くに位置する場合、これによって、シリンジ把持レバー19はシリンジフランジ5の底面の下を把持することができる。
【0073】
シリンジ把持レバー19は、把持アーム22を備えた旋回軸20の下に配置されている。シリンジ把持レバー19の作動アーム23は、旋回軸20の上に位置している。
【0074】
ハウジング下部3の内側シェルには2つの板ばね24が配置されており、板ばね24はハウジング下部3にそれらの上端部で固定されている。板ばね24の下端部は、シリンジ把持レバー19の内側を押圧する。
【0075】
結果として、シリンジ把持レバー19は、シリンジ把持レバー19がシリンジフランジ5の下を把持する位置方向に予め応力を与えられる。
【0076】
その作動アーム23の内側に、シリンジ把持レバー19は、収容本体10に向いている、それぞれごとに解錠カム25を有する。
【0077】
収容本体10は、互いに直径方向に向かい合う両側に切断トラフ26を備えている。これらの切断トラフ26には、プランジャ把持レバー28が収容本体10の旋回軸27に取り付けられている。プランジャ把持レバー28は、プランジャカラー29として形成されている、シリンジプランジャ12の最外端部に有するプランジャ締付け部の下を把持することができる。この目的のために、これらは略くさび形の把持端部30を有し、旋回軸27の上に配置されている。旋回軸27の下に、作動端部31を有する。概して、プランジャ把持レバー28は、菱形のような輪郭をしている。
【0078】
把持レバー19,28は、それぞれ等長のレバーアームを有する。しかし、プランジャ把持レバー28はシリンジ把持レバー19よりも短い。
【0079】
プランジャ把持レバー28の旋回軸27に、ばね32が配置されており、これらは、プランジャカラー29の後方で把持する位置方向にプランジャ把持レバー28に予め付勢する。プランジャ把持レバー28の作動端部31の外側は、このロック位置において、これがシリンジ把持レバー19の内側の解錠カム25の旋回領域に位置するように成形される。シリンジ把持レバー19へのプランジャ把持レバー28の正確な向きは、後動レバー16を軸方向スリット17に案内することによって確保される。
【0080】
解放レバー33が、シリンジ把持レバー19の作動アーム23の内側から内部に向かって突出している。解放レバー33は、作動アーム23の上端部に接続されており、シリンジプランジャ12の軸に対して鋭角に傾斜している。
【0081】
解放レバー33が、これらの端部に丸みを有する湾曲部34を有する。
【0082】
伝達要素35が、ピペットハウジング2に配置されている。伝達要素35は、シリンジプランジャ12の軸と平行に配置されている複数のロッド36を有し、これらはピペットハウジング2のガイド37に案内される。ロッド36は、端部でブリッジ要素38,39によって接続されている。ブリッジ要素39は、底部に停止面40を有する。伝達要素35をガイド37で移動させることによって、停止面40を解放レバー33の湾曲部34近くに位置させることが可能となる。
【0083】
ブリッジ要素38は、プランジャ12の軸と平行に向いているほぞ41を有する。コイルばね42が、ほぞ41に案内されている。コイルばね42はブリッジ要素38の底面に載置されており、他端で当接部43に支持されており、ハウジングに固定されている。
【0084】
伝達要素35は頂部で、ピペットハウジング2の内側に沿って案内されている作動ロッド44に接続されている。作動ロッド44は頂部で上部ケーシング部45に有する側方に突出した解放ボタン46に接続されている。凹部47を通って、解放ボタン46は、ピペットハウジング2から外側に向かって側方に突出している。解放ボタン46は、ピペットハウジング2の上端部近くに配置され、これによって、例えばプランジャ調節装置15の、あるいは、例えば計測量のための図示されない作動要素のさらに近くに配置される。
【0085】
図3によると、頂部が円筒形であるアダプタハウジング48が、手持ち式ピペット装置1に配置されている。この頂部には、アダプタハウジング48は外側に円周溝49を有する。この上にアダプタフランジ50を有し、その寸法はシリンジフランジ5の寸法に対応している。アダプタフランジ50は、その上側に隆起およびくぼみの形をした、詳細に図示されず、当接部9でセンサを用いて走査可能なコードも備えている。収容部4で少なくとも1つのガイドノーズと協働するし、アダプタフランジ50の外周に存在する3角形の突起51が、アダプタハウジング48を正確な回転位置に向けるのに役立つので、隆起およびくぼみがセンサに向かって正確に向けられる。シリンジフランジ5は、対応する3角形の突起をその外周に備えている。
【0086】
アダプタハウジング48には、シリンダ53およびプランジャ54を備え、中で長手方向に可動の変位装置52を有する。プランジャ54は頂部に、プランジャロッド形状の作動部材55を備えており、その上端部領域でプランジャ収容部11に挿入されることができる。
【0087】
アダプタハウジング48は、円筒形または円すい形のアダプタハウジング部に続いて底部に向かってテーパをつけている。アダプタハウジング48は下端部に、上に差し込む円すい形状のシート56を有する。アダプタハウジング48は、第1の端表面に孔57を有する。孔57は、チャネル58を介してシリンダ52の底部の孔と接続されている。
【0088】
アダプタハウジング48は、アダプタフランジ50の頂部がばね付勢された当接部9を押圧するように収容部4に設定される。シリンジ把持レバー19は、これらのフック状の把持端部21によってアダプタフランジ50の保持を保つ。作動部材55の上部領域は、プランジャ把持レバー28によってプランジャ収容部11内に保持される。
【0089】
ピペットポイント59は、全長にわたり軸方向に延びるチャネル61を有する複数の円すい形部を備えたパイプ状のポイント本体60を有し、ポイント本体60の下端部にポイント開口部62と、ポイント本体60の上端部に空気流路開口部63とを有する。空気流路開口部63によって、ピペットポイント59をシート56に締着することができる。
【0090】
手持ち式ピペット装置1は、以下のように使用される。
【0091】
図1および図2から、直接変位式ピペットとしての動作をまず記載する。
【0092】
後動レバー16によって、アダプタ収容本体10が収容部4に向かって可能な限り遠くに移動する。シリンジプランジャ12およびフランジ5の上端部を前進させて、シリンジ6が軸方向開口7を通って収容部4に挿入される。そうすることによって、シリンジプランジャ12の上端部が、収容本体10のプランジャ収容部11に押し込み、シリンジフランジ5がばね付勢された当接部9に押圧される。ここでは、シリンジ把持レバー19およびプランジャ把持レバー28が、ばね作用に抗して外側に押圧され、ついで、ばね作用によって、シリンジ把持レバー19およびプランジャ把持レバー28は、これらの把持端部21を用いてシリンジフランジ5の後方、および把持端部30を用いてプランジャカラー29の後方で、スナップ嵌めする。その後で、シリンジ6は収容部に固定される(図1を参照)。
【0093】
後動レバー16を上側に移動させることによって、液体をシリンジ6内に吸引することができる。適切な調節装置によって、計測量を設定する。プランジャ調節装置15を作動させることによって、シリンジプランジャ12が下方に移動し、所望の液体量を吐出する。
【0094】
シリンジ6が空になると、プランジャ収容部10は最下位置になり、ここではシリンジ把持レバー19を作動させることによってプランジャ把持レバー28が作動可能である。
【0095】
計測が行われたあと、解放ボタン46を作動させることによってシリンジ6を排出することができる。この目的のために、ユーザによって解放ボタン46を下方に押出す(図2を参照)。そうすることによって、作動ロッド44およびそれに接続されている伝達要素35が、コイルばね42の作用に抗して下方へ移動する。停止面40が解放レバー33に当たると、シリンジ把持レバー19がこれらの把持端部21で外側に旋回して、シリンジフランジ5を自由にする。作動アーム23の内側に有する解錠カム25は、作動端部31に外側に当たり、プランジャ把持レバー28の把持端部30を外側に旋回させるので、解錠カム25はプランジャカラー29を自由にする。ばね付勢された当接部9は、シリンジフランジ5を下方に押出し、シリンジ6をピペットから排出する。
【0096】
解放ボタン46を解放した後、解放機構35,44,46および把持レバー19,28は、ばね42,24,32の作用によってそれらの開始位置に戻る(図1を参照)。
【0097】
ついで、手持ち式ピペット装置1は、新品のシリンジ6を採用する準備ができている。
【0098】
ピペット1がエアクッションピペットとして作動する場合、シリンジ6の代わりにアダプタハウジング48が収容部4に設定される。ここでは、アダプタ収容本体10は再び収容部4に向かって可能な限り遠くに移動する。アダプタフランジ50および締付け部を前進させて、アダプタハウジング48は、軸方向開口部7を通って収容部4に挿入される。ここでは、作動部材55がプランジャ収容部11に潜り込む。シリンジ把持レバー19およびプランジャ把持レバー28は、アダプタフランジ50および作動部材55をしっかりと締着する。
【0099】
ピペットポイント59は、その空気流路開口部63でシート56に押圧されるので、ピペットポイント59はそこでしっかりと締着される。
【0100】
後動レバー16をプランジャ54とともに上方に移動させることによって、液体をピペットポイント59内に吸引することができる。適切な調節装置を介して、計測量を設定することができる。プランジャ調節装置15を作動させることによって、プランジャ54が下方に移動して、所望の液体量がピペットポイント59から吐出される。
【0101】
その後、ピペットポイント59を取り外し、新品のピペットポイント59と交換することができる。
【0102】
手持ち式ピペット装置1が直接変位式ピペットとして使用される場合、アダプタハウジング48をピペットハウジングから分離する。このことは、上述の方法でシリンジ6の分離のように行われる。
【0103】
図4の実施形態は、作動部材55が案内されている流路孔64’を有する螺合されたキャップ64によってアダプタハウジング48が上方に閉止している点において、上述のものと特に異なる。
【0104】
キャップ64は円筒形のケージ65を支え、この中に、小さな直径の長いコイルばね66と、大きな直径の短いコイルばね67とが配置されている。ディスク68を介して、長いコイルばね66は、孔70を有するケージ65の蓋69に支持されている。
【0105】
短いコイルばね67は、さらなるディスク71によってケージ65の内側肩部に支持されている。
【0106】
第1のディスク68の外径は、さらなるディスク71の内径よりも大きく、これは反対に長いコイルばね66の外径を超える。
【0107】
コイルばね66,67は、ケージ65とキャップ64との間に予応力を加えた状態で保たれるのが好ましい。
【0108】
作動部材55をプランジャ収容部11に収容し、プランジャ把持レバー28によって中に保持される収容本体10は、孔70を通ってケージ65に挿入されることができるので、収容本体10がその下端部で第1のディスク68に当たる。プランジャ収容部11をさらに下方に移動するのに、ユーザはより大きな力を加えなければならない。このことによって、シート56についたピペットポイント60から収容された液体の残量を吹出すだけの役割を果たす吹出し行程をユーザが実行することを認識する。
【0109】
このことによって、第1のディスク68がさらなるディスク71に当たり、これとともにさらなるディスク71を受けるまで、第1のディスク68が下方に移動する。結果として、短いコイルばね67もまた圧縮されるので、ユーザがさらなる力の閾値を克服しなければならない。このことは、ユーザがピペットポイントを排出させることを示している。
【0110】
スリーブ状の排出器72は、外側でアダプタハウジング48に案内され、ここで排出器72は軸方向に移動することができる。下縁部では、排出器はピペットポイント60の上縁部の近くに位置する。第2の力閾値に到達するとすぐに、作動部材55にある図示されない支持部が、これらとともに排出器72を受ける。
【0111】
さらに、図4の実施形態では、プランジャ54は、その内部でシリンダ53の近くに位置する外部シール73を備えている。外部シールは、特に低抵抗で動くので、外部シールは力をセーブする方法で作動することができる。
【0112】
特徴としては、図5および図6の実施形態は、好ましくは弾力のあるワイヤの形をした複数のスライド74を有し、スライド74は、アダプタハウジング48の下端部から上端部まで湾曲したチャネル75を通って案内される。ワイヤ74は、図示されないばね装置によって予応力を与えられるので、これらはアダプタハウジング48の下端部に押圧される。これらは、隆起およびくぼみを備えたピペットポイントの上縁部に位置する。結果として、くぼみに位置するワイヤ74は、ばね装置によって、隆起に位置するこれらのワイヤ74よりも下方により遠くに押圧される。
【0113】
ワイヤの上端部は、ピペットハウジング2に有する図示しない走査デバイスに関連付けられている。走査デバイスは、感圧センサを備えたカラーを有する。ピペットポイントのくぼみに関連付けられているワイヤ74は、感圧センサを押圧しない。隆起に位置するワイヤ74が、関連する感圧センサを作動させる。結果として、ポイントの上縁部のコードが、ワイヤ74を用いてピペットハウジング1に有する走査デバイスの感圧センサに伝達される。
【0114】
感圧センサによって供給された信号は、分析装置に転送され、分析装置は、たとえば採取されたピペットポイントのそれぞれの計測容量を正確に示すように、表示装置を制御する。ピペットで加えられた液柱の重量によるエアクッションの変位に起因する容量誤差を、ここで自動的に修正することができる。アダプタハウジング48が取り外されて、シリンジ6が収容部4内に設定される場合には、この容量誤差は重要とならない。すなわち、シリンジによって測定された容量は、シリンジプランジャの転位にリニアに依存する。
【0115】
図7の実施形態は、ピペットポイント60のためのシート56ならびにその下端部に有するシリンジ6のための収容部4を有するピペットハウジング2を有するので、この手持ち式ピペット装置は、計測方法を変更することなく、ピペットポイント60またはシリンジ6を任意選択で備えることができる。
【0116】
手持ち式ピペット装置のピペットハウジング2は、さらに昇降ロッド76を介してシリンダ53に配置されているプランジャ54と結合されている、手動式または電気駆動式の装置44を備えている。プランジャ54およびシリンダ53を備えたこの変位装置52は、ピペットハウジング2にも配置されている。
【0117】
シリンダ53はその底部に流路孔77を有し、これにわたって昇降ロッド14が密封案内される。昇降ロッド14は下側で、プランジャ収容部11を支え、この中で締付け手段28によってシリンジ6のプランジャのプランジャ締付け部29を固定することができる。
【0118】
さらに、収容部4には、シリンジ6のシリンダ8の上縁部にフランジ5を保持するシリンジ把持レバー19が存在する。
【0119】
シリンダ53はその底部に、チューブまたは別のチャネル79を介してそれぞれピペットポイント60のためのシート56のチャネル58に接続されるさらなる流路孔78を有する。
【0120】
手持ち式ピペット操作装置は、ピペットポイント60またはシリンジ6のどちらかを備えている。駆動装置44を用いて変位装置53を作動させることによって、液体をピペットポイント60またはシリンジ6に吸引することができたり、あるいは液体からピペットポイント60またはシリンジ6に吐出したりすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0121】
【図1】中に保持されている縦断面図でのシリンジ(左半分)と、半分が除去されているハウジング(右半分)とを備えた、手持ち式ピペット装置。
【図2】縦断面図での作動した締付け手段および分離したシリンジ(左半分)とあり、半分が除去されているハウジング(右半分)とを備えた、同じ手持ち式ピペット装置。
【図3】中に保持されているアダプタハウジングを備えた、手持ち式ピペット装置の下部領域およびアダプタハウジングの部分拡大断面図での、同じ手持ち式ピペット装置。
【図4】中に保持されているアダプタハウジングを備えた、部分拡大断面図での手持ち式ピペット装置。
【図5】ピペットポイント用の走査機器を有するアダプタハウジングを備えた、縦断面図での手持ち式ピペット装置。
【図6】部分拡大断面図での図5の手持ち式ピペット装置の走査機器。
【図7】ピペットハウジングにシートおよび収容部を備えた、概略縦断面図での手持ち式ピペット装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を計量する手持ち式ピペット装置であって、
手持ち可能なピペットハウジング(1)と、
シリンジ(6)のシリンジシリンダ(8)の締付け部(5)のための少なくとも1つの収容部(4)と、
前記シリンジ(6)のシリンジプランジャ(12)のプランジャ締付け部のための、収容本体(10)に有する少なくとも1つのプランジャ収容部(11)と、
前記収容部(4)の前記締付け部(6)および前記プランジャ収容部(11)の前記プランジャ締付け部(29)を着脱可能に保持する締付け手段(19,28)と、
変位チャンバ(53)および変位チャンバを制限する可動チャンバ壁(54)を備えた、流体を移動させるための少なくとも1つの変位装置(52)と、
ピペットポイントを着脱可能に保持する少なくとも1つのシート(56)と、
前記シート(56)の孔(57)を変位チャンバ(53)に接続するチャネル(58)と、
前記収容部(4)に対して前記収容本体(10)を、かつ/または前記変位チャンバ(53)に対して前記チャンバ壁(54)を移動させるための、前記収容本体(10)および/または前記チャンバ壁に接続され、かつ/または結合可能な少なくとも1つの駆動装置(44)と、
を有する手持ち式ピペット装置。
【請求項2】
前記変位装置(50)が片側に、前記収容部(4)に締付けるための締め付け部(50)を備えたアダプタハウジング(48)と、前記可動チャンバ壁(54)に接続されている、前記プランジャ収容部(11)へ挿入するための作動部材(55)とを有し、反対側に少なくとも1つのシート(56)を、有する請求項1に記載の手持ち式ピペット装置。
【請求項3】
前記アダプタハウジング(48)が、本質的に円筒形であり、一方の前方側に前記締付け部(50)および前記作動部材(55)を有し、他方の前方側に前記シートを有する、請求項2に記載の手持ち式ピペット装置。
【請求項4】
手動で駆動し、前記アダプタハウジングが、少なくとも1つのばね装置を有し、これに対して、前記変位チャンバから流体を移動させる動作の最終段階で前記作動部材および/または前記プランジャ収容部が押圧する、請求項3に記載の手持ち式ピペット装置。
【請求項5】
前記動作の最終段階の第1の部分では、前記作動部材および/または前記プランジャ収容部が第1のばね装置を押圧し、前記動作の最終段階の第2の部分では、第2のばね装置を押圧する、請求項4に記載の手持ち式ピペット装置。
【請求項6】
前記ばね装置が、上蓋(69)に孔(70)を備えた前記プランジャ収容部(10)を挿入するケージ(65)に少なくとも1つのコイルばね(66,67)と、前記上蓋(69)と前記コイルばね(66,67)との間に配置されているディスク(68,71)とを有し、前記ディスクは前記プランジャ収容部(10)を押圧するために前記孔(70)に対して内側で半径方向に突出している、請求項4または5に記載の手持ち式ピペット装置。
【請求項7】
前記変位装置(52)が、シリンダ(53)と、長手方向に中で可動に配置され作動部材(55)を有するプランジャ(54)とを有する、請求項1から6のいずれかに記載の手持ち式ピペット装置。
【請求項8】
前記プランジャ(54)が、前記シリンダ(53)に外側に位置するシール(73)を有する、請求項7に記載の手持ち式ピペット装置。
【請求項9】
前記駆動装置(44)が、手動式および/または電気駆動装置である、請求項1から8のいずれかに記載の手持ち式ピペット装置。
【請求項10】
固定容積のピペットまたは調節可能な容積を備えたピペットである、請求項1から9のいずれかに記載の手持ち式ピペット装置。
【請求項11】
シングルチャネルまたはマルチチャネルの装置である、請求項1から10のいずれかに記載の手持ち式ピペット装置。
【請求項12】
シリンジ(6)またはアダプタハウジング(48)、および/またはピペットポイント(59)上のタグを読むための少なくとも1つの読出装置が、前記収容部(4)および/または前記シート(56)に関連付けられており、かつ/または、シリンジおよび/またはアダプタハウジング、および/またはピペットポイントのタグに入力する入力装置を有し、かつ、前記読出装置および/または前記入力装置が、前記ピペットハウジング(1)に配置されている電子分析装置に接続されており、前記電子分析装置は、前記読出装置によって読み出され、かつ/または前記入力装置を用いて入力されたタグに依存して、前記ピペット装置の動作状況および/または設定を示す電子表示装置に接続され、かつ/または、前記読出装置によって読み出され、かつ/または前記入力装置を用いて入力されたタグに依存してピペット装置を制御するために、前記電気駆動装置(44)の電子制御装置に接続されている、請求項1から11のいずれかに記載の手持ち式ピペット装置。
【請求項13】
前記シートに関連付けられた前記読出し装置が、前記アダプタハウジング(48)の伝達装置(74)を介して、前記収容部(4)と関連付けられた前記読出し装置(74)と結合されてもよい、請求項12に記載の手持ち式ピペット装置。
【請求項14】
前記シートに関連付けられた前記読出し装置および前記アダプタハウジングの前記伝達装置が、前記ピペットポイント(60)の上縁部の隆起および/またはくぼみを走査するための、長手方向に移動可能となるように配置されたスライド(74)を有し、前記スライド(74)の端部が前記シートに関連付けられており、前記スライド(74)のさらなる端部が前記収容部に関連付けられている、請求項12に記載の手持ち式ピペット装置。
【請求項15】
手動で駆動し、ピペットポイント(60)の読出しおよび/または入力タグに依存して、前記分析装置が計測容積の表示の修正を制御する、請求項12から14のいずれかに記載の手持ち式ピペット装置。
【請求項16】
電気的に駆動し、ピペットポイント(60)の読出しおよび/または入力タグに依存して、前記制御装置が前記電気駆動装置を用いて可動チャンバ壁(54)の行程の修正を制御する、請求項12から14のいずれかに記載の手持ち式ピペット装置。
【請求項17】
電気的に駆動し、ピペットポイント(60)の読出しおよび/または入力タグに依存して、前記制御装置が前記電気分析装置を用いて、前記可動チャンバ壁(54)の初期位置を、完全に流体を吐出するために残りの行程だけ端位置から離れている位置にするのを制御する、請求項12から14のいずれか、または16に記載の手持ち式ピペット装置。
【請求項18】
電気駆動装置を有する駆動装置と、滴定モードで計量装置を作動させるためにそれに接続されている電子制御装置とを有する、請求項12から17のいずれかに記載の手持ち式ピペット装置。
【請求項19】
滴定モードを含む一群の運転モードから1つの運転モードを選択するために、前記電子制御装置に接続されている入力装置を有する、請求項18に記載の手持ち式ピペット装置。
【請求項20】
一群の運転モードが、ピペット操作モード、および/または計量分配モード、および/または経時的計量分配モード、および/または吸引モードを備える、請求項19に記載の手持ち式ピペット装置。
【請求項21】
前記入力装置が、キーボードおよび/またはタッチスクリーンを備える、請求項19または20に記載の手持ち式ピペット装置。
【請求項22】
電気駆動装置を有する駆動装置と、
前記駆動装置のためのプログラム制御された電子制御および/または調節装置と、
少なくとも1つの不揮発性ライトリードメモリと、
特に前記電気駆動装置ならびに前記電子制御および/または調節装置のための電源と、
外部データ処理デバイスのデータ転送装置と接続するために、前記電子制御および/または調節装置に接続されるデータインタフェースと、
を有し、
データ処理ユニットによって、前記プログラム制御された電子制御および/または調節装置が戻る前記手持ち式ピペット装置の作動過程を実行するためのルーチンが、前記データインタフェースを介して前記ライトリードメモリに書き込まれることができるように、前記プログラム制御された電子制御および/または調節装置が設計される、請求項1から21のいずれかに記載の手持ち式ピペット装置。
【請求項23】
対応する外部データ処理ユニットのデータ転送装置の送信器および/または受信器と通信するために、前記データインタフェースが、無線送信器および/または無線受信器および/または赤外線送信器および/または受信器を有する、請求項22に記載の手持ち式ピペット装置。
【請求項24】
前記不揮発性ライトリードメモリが、マイクロコンピュータまたはマイクロコントローラのフラッシュメモリである、請求項22または23に記載の手持ち式ピペット装置。
【請求項25】
モデル依存プログラムおよび/またはモデル依存パラメータおよび/またはユーザパラメータが、ライトリードメモリに書き込まれることができ、またはライトリードメモリから読み出されることができ、かつ/または前記手持ち式ピペット装置が遠隔制御されることができる、請求項22から24のいずれかに記載の手持ち式ピペット装置。
【請求項26】
請求項1から25のいずれかの特徴を有する手持ち式ピペット装置のための、請求項2から25のいずれかに記載のアダプタハウジング(48)の特徴を有するアダプタハウジング。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2010−520039(P2010−520039A)
【公表日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−551143(P2009−551143)
【出願日】平成20年3月3日(2008.3.3)
【国際出願番号】PCT/EP2008/001670
【国際公開番号】WO2008/107147
【国際公開日】平成20年9月12日(2008.9.12)
【出願人】(591121683)エッペンドルフ アクチエンゲゼルシャフト (23)
【氏名又は名称原語表記】Eppendorf AG
【住所又は居所原語表記】Barkhausenweg 1, D−22339 Hamburg, Germany
【Fターム(参考)】