説明

手書き文字入力装置

【課題】大きい手書き文字のイメージを入力し小さく表示する。
【解決手段】レーザーペン30を使用してプロジェクタスクリーン60上の入力エリア3020内をレーザ光で照射することにより手書き文字のイメージを入力する。入力された手書き文字のイメージはパソコン10で縮小され、プロジェクタ20を介してプロジェクタスクリーン60上の描画エリア3000に表示のために投影される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、イメージを投影するプロジェクタシステム、特にコンピュータの表示器に表示されたイメージと同じイメージをプロジェクタにより物体の表面(以下、プロジェクタスクリーンと称する)に投影するプロジェクタシステムや、タッチパネル表示器を介して手書き文字入力を行う情報処理機器に好適な手書き文字入力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のプロジェクタシステムは、パソコンなどのコンピュータで作成した図、文書などをプロジェクタスクリーンに投影することができるので、講演会など広い場所でプレゼンテーションに用いられてきた。
【0003】
このようなプロジェクタシステムでは、説明者が投影イメージを指し示す場合には、長い棒を使用してプロジェクタスクリーン上の特定の位置を指し示さなければならない。このため、投影するイメージのページめくりなどのためにパソコンを操作する者と、説明を行う者の2人がプレゼンテーションに必要であった。
【0004】
このような不具合を解消するために、レーザーペンと呼ばれる携帯型の赤外線発光装置を使用して遠隔で、プロジェクタスクリーン上にレーザ光を発射し、特定色のスポット(丸い点)の形態で投影することで、プロジェクタスクリーン上の任意の位置を閲覧者に知らせるプロジェクタシステムが提案されている(特許文献1)。
【0005】
このような従来例のシステム構成を図1に示す。図1において、10は統制するイメージを発生するパーソナルコンピュータ(以下、パソコンと略記する)である。パソコン10は表示器に表示する1画面分のイメージの画像データを格納するメモリ(RAM)を有している。この画像データは1画面を構成する画素、それぞれについての輝度データと色成分データ(RGBデータ)である。
【0006】
パソコン10にはイメージ表示用ソフトウェアプログラム(ワープロソフト、作画ソフトなど、以下表示用ソフトと略記する)と共に、プロジェクタ20を制御するためのプロジェクタ用ソフトウェア(以下、プロジェクタ用ソフトと略記する)が搭載されている。プロジェクタソフトをパソコン内のCPUが実行することによりメモリに格納された画像データ(一般に画像信号と呼ばれる)の形態の投影用イメージがパソコン10からプロジェクタ20に送られる。
【0007】
20はプロジェクタであり、液晶表示器(LCD)および光源を有する。液晶表示器の裏から3原色(RGB)の光源の光を照射すると、液晶表示器の画素の中で開となっている画素は光を通過させて、その後、3原色の透過光は、合成光学系を経てプロジェクタスクリーン60に透過光50が投影される。液晶表示器の各画素(1画素についてRGB3つの画素)を上述の画像データにより開閉すると共に、3原色の光源の輝度を画像データに基づいて調整することでパソコンから送られた画像データ形態のイメージがプロジェクタスクリーン60上に可視のイメージとして投影される。
【0008】
30はレーザ光60を発射する光学手段であり、一般的にはレーザーペンという名称がいきわたっているので、本願明細書では以下、レーザーペン30と呼ぶことにする。40は受光器であり、1画面分の光センサを有する受光器、たとえば、CCDと呼ばれる受光器を使用することができる。受光器40はレーザーペン30からの反射光70のみを透過させ、プロジェクタ20から投影される光の反射光を遮断するフィルタを有する。受光器40のCCDの受光画面の中の特定画素に反射光70が入射すると、CCDは各画素の光センサへの入射光を電気信号(光電変換信号)に変換して出力する。
【0009】
各画素から出力される光電変換信号の電圧が、その画素入射光の輝度を表す。各画素の光電変換信号はアナログ信号であるので、受光器40内のA/D変換器により電圧を数値で表すデジタル信号に変換する。このようにして受光器40が発生した1画面分のデジタル信号(以下撮影イメージと称する)はパソコン10に送られる。パソコン10のプロジェクタソフトは、受信した撮影イメージの中の各画素の画像データの示す輝度値を、予め定めた閾値と比較し、閾値より大きい輝度値を有する画素位置を検出する。
【0010】
検出された画素位置と対応する、投影用イメージを記憶するメモリ上の画素位置周辺に特定図形、たとえば、青の丸や矢印図形などカーソル用図形イメージを、記憶されている投影用イメージと、メモリ上でプロジェクタソフトにより合成する。
【0011】
この合成処理により、カーソル用図形イメージもプロジェクタ20によりプロジェクタスクリーン60上に投影される。
【0012】
以上の処理を繰り返すと、説明者がレーザーペン30を操作して、プロジェクタスクリーン60上の指定位置Pを動かすと、その移動に応じて、プロジェクタスクリーン60上に表示されるカーソル用図形イメージも移動する。
【0013】
また、説明者がレーザーペンの電源オフによりレーザ光の照射を中止するとプロジェクタスクリーン60上からカーソル図形用イメージも消失する。
【0014】
上述したプロジェクタシステムにより、説明者はパソコン10を操作しながら、レーザーペン30を操作して、プロジェクタスクリーン60上に投影されたイメージの任意位置を指定することができるようになってきた。
【0015】
また、プロジェクタスクリーン60で、レーザーペン30により位置指定しながらカーソル用図形イメージを移動させて、あたかもカーソル用図形イメージにより線を引く操作を行い、レーザーペン30の反射光を受光器40で受光し、パソコン10に対してレーザーペン30の指示した線イメージを入力するようなプロジェクタシステムもすでに実施されている。このプロジェクタシステムでは、パソコン10に入力された線イメージを投影の対象となっているイメージに合成することで、プロジェクタスクリーン60上にも線イメージを表示する。この機能を使用して、説明者はレーザーペン30を使用して手書き文字のイメージも入力できるようになってきた。
【0016】
【特許文献1】特開平11−85395号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
しかしながら、説明者がプロジェクタスクリーン60上で、レーザーペン30で手書き文字を描画しようとする場合、手ぶれ等が原因で小さい文字は描画しにくいという問題がある。このような問題は表示画面上に透明タッチパネルを配置し、透明タッチパネルから手書き文字(のイメージ)を入力する情報処理機器についても有する問題である。
【0018】
そこで、本発明の目的は、大きい文字で手書き文字のイメージを入力し、小さい文字のイメージで表示することの可能な手書き文字入力装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0019】
このような目的を達成するために、本発明は、イメージを表示する表示画面(60)上の位置をポインティングデバイス(30)により指定することにより手書き文字のイメージの入力を行う手書き文字入力装置(40および10)において、
前記表示画面上に、前記手書き文字のイメージの入力を行うための入力エリア3020)と、該入力エリアより小さい描画エリアであって、前記入力エリアで入力された手書き文字の縮小イメージを表示するための描画エリア(3000)とを設け、
前記入力エリアで入力された手書き文字のイメージから前記描画エリアに表示するための縮小イメージを作成する画像処理手段(S200を実行するパソコン10のCPU)と、
該画像処理手段により作成された縮小イメージを前記描画エリアに表示すると共に前記入力エリアで入力された手書き文字のイメージを前記入力エリアに表示する表示制御手段(S210を実行するパソコン10のCPU)と
を備えたことを特徴とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。
(第1の実施形態)
本発明第1の実施形態のハードウェアに関するプロジェクタシステムの構成は図1の従来技術とほぼ同様とすることでき、本願明細書の背景技術で説明しているので、ここでは詳細な説明を省略する。
【0021】
本発明を説明するために、図1のパソコン10の内部構成を簡単に説明する。パソコン10に限らず、CPUを使用した情報処理機器、あるいは論理演算回路を組み合わせた電子回路などもパソコン10として使用することができる。
【0022】
1000はパソコン10のハードディスク1030に搭載されたプログラムを実行するCPUである。
【0023】
1010はシステムメモリであり、ROMやRAMで構成される。システムメモリ1010内には、CPU1000が実行するプログラムをロードするための記憶領域、ディスプレイ1020に表示するイメージを記憶するための記憶領域、CPU1000が情報処理を実行するときに使用する種々の情報を記憶する記憶領域が設けられている。本願発明に関する記憶領域、具体的には、後述するが、図3の入力エリア3020に表示するための手書き文字のイメージ、図3の描画エリア3000に表示するための縮小された手書き文字のイメージおよびこれらの手書き文字のイメージと投影すべき他のイメージを合成したプロジェクタスクリーン表示(投影)用のイメージをそれぞれ記憶する記憶領域が設けられている。また、本実施形態では描画エリア3000はレーザーペン30の指示でプロジェクタスクリーン60上を移動可能であるので、描画エリア3000のプロジェクタスクリーン60上の位置(図3のx1、y1)および大きさを記憶する記憶領域もシステムメモリ1010内に設けられている。
【0024】
1020はディスプレイであり、プロジェクタ20により投影する投影用イメージと同じイメージを表示する。
【0025】
1030は後述(図3)のプログラムを保存するためのハードディスクである。CPU1000が実行するプログラムはハードディスク1030からシステムメモリ1010にロードされた後CPU1000により実行される。
【0026】
1040は入出力インターフェースであり、受光器10からの撮影イメージを入力する。また、入出力インターフェース1040から投影用イメージをプロジェクタ20に送信する。入出力インターフェース1040にはマウスやキーボードなど従来周知の入出力デバイスも接続可能である。
【0027】
図3は本発明第1の実施形態において、パソコン10に搭載するソフトウェアの構成を示す。図2において、2000はプロジェクタ用プログラムであり、投影用イメージ発生プログラム(後述)2010により作成した投影用イメージをプロジェクタ20へ送信するためのプログラムである。このための機能は従来と同様である。本発明第1の実施形態では、従来のプロジェクタ用プログラムの機能に加えて、図4のアイコン3010のレーザーペン30の操作による、マウスのクリックボタンに相当する操作(以下、クリックボタン操作と総称する)を検知し、CPU1000を本発明の文字入力装置として機能させる文字入力モードに切り替える機能を有する。
【0028】
2010は投影用イメージ発生プログラムであり、投影すべきイメージを作成する周知のプログラムである。たとえば、ワープロソフト、帳票処理ソフト、作画ソフト、プレゼンテーション用コンテンツ作成ソフトなどがよく知られている。これらソフトにより作成された投影用イメージは、パソコン10の表示器に表示するために使用される内部メモリに格納されるので、この内部メモリを介して投影用イメージがプロジェクタ用プログラム2000に引き渡される(プロジェクタ用プログラム2000が内部メモリから読み出す)。
【0029】
2020は、たとえば、マイクロソフト社のウィンドウズ(登録商標)などのオペレーティングシステム2020であり、オペレーティングシステム上で上述のプログラムが稼動する。
【0030】
図4は、プロジェクトスクリーン60上に投影(表示)され、本発明に係る表示内容を示す。図4において、3000は描画エリアであり、入力エリア3020より小さい。描画エリア3000は入力エリア3020で入力された手書き文字のイメージを縮小表示する。3010はアイコンであり、入力エリア3020おおび描画エリア3000を使用する文字入力モードへ切り替えるためのアイコンである。レーザーペン30によるアイコン3010の位置の指定により文字入力モードに切り替わり、2回目の位置指定により、文字入力モード解除される。
【0031】
3020は入力エリアであり、このエリア内でレーザーペン30によりレーザ光を照射することにより、手書き文字のイメージを受光器40に入力する。入力された手書き文字のイメージは受光器10からパソコン10に送られ、パソコン10内において、縮小のイメージが作成される。作成された縮小のイメージおよび入力された手書き文字のイメージがこれまでの投影用イメージと合成されて、プロジェクタ20を介して描画エリア3000および入力エリア3020にそれぞれ表示(投影)される。
【0032】
描画エリア3000はレーザーペン30の指定位置(正確にはレーザ光による指定位置)を符号3030で示す描画エリアの位置に移動すると、描画エリア3000の表示も移動する。
【0033】
また、本発明第1の実施形態では入力エリア3020内に、1回の入力では入力しきれない長い手書き文字列を入力できるように配慮されている。
【0034】
図4の入力エリアは、これの例では3つに予め分割されており、説明者がレーザーペン30で手書き文字列「こんに」のイメージをと入力した後、指定位置を第1番目(先頭)の分割エリア内に戻すと、図4に示すように入力エリア3020内の表示が消去される。なお、描画エリア3000は図5に示すように表示領域が横手方向に拡大され、新たに入力エリア3020で入力される手書き文字のイメージをこれまでの縮小表示に続けて縮小表示する。
【0035】
以上述べた手書き文字の入力、縮小表示処理をパソコン10に実行させるためのプログラムの詳細手順を図6に示す。このプログラムは図3のプロジェクタ用プログラム内に組み込まれている。
【0036】
以下、図6のプログラムを説明しながら、本発明に係る文字入力装置の動作を説明する。
【0037】
図6のプログラムは、説明者がプロジェクタスクリーン60上の図4の文字入力アイコン3010をレーザーペン30により位置指定したときに起動される。
【0038】
パソコン10のCPU1000(以下、CPUと略記する)はS10のループ処理を繰り返し、受光器40からの入力イメージを監視し、プロジェクタスクリーン60に対応する領域にレーザーペン30からの反射光のイメージがあるか否かを判定することにより、プロジェクタスクリーン内にレーザーペン30による入力があったか否かを判定する(S10)。
【0039】
YES判定が得られた場合には、CPUは手順をS10からS20に進める。CPUは入力があった位置が入力エリア30内であるか否かを、入力エリア3020の矩形領域の角の座標位置(あるいは受光器40の入力イメージ上の入力エリア3020に相当する座標位置)とプロジェクタスクリーン上のレーザーペンの照射位置(あるいは受光器40の入力イメージ上のレーザーペン30の照射イメージの位置)との大小比較により判定する。
【0040】
レーザーペン30による入力エリア3020内への入力があった場合(YES判定)には、手順はS20からS30に進む。
【0041】
CPUはS30で,入力エリア3020内に過去に描画があったかを否かを判定する。このためにCPUはシステムメモリ内の1010内の受光器40からの入力イメージを記憶しておく記憶領域を走査し、現在位置とは異なるレーザーペンによる入力エリア3020内の位置の指定の有無を判定すればよい。現在位置とは異なるレーザーペン30による位置指定がない場合(NO判定)には、初めての入力エリア3020への位置指定(説明者による手書文字の書き出し開始)であるので、手順はS40からS200に進む。CPUは描画エリア3000および入力エリア3020に表示するイメージ(レーザーペン30により入力される手書き文字のイメージの最初の部分の点イメージ)を作成するべく、入力エリア3020上の入力位置に対応する描画エリア3000上の位置(コントロールポイントと称することがある)を計算する。CPUはシステムメモリ30101上の投影用イメージを記憶しておく記憶領域上の、入力エリア3020上のレーザーペン30の入力位置に相当する位置に、表示のための点イメージを書き込む。
【0042】
S210で、投影用イメージをCPUにより従来と同様にして読み出し、プロジェクタ20に送るプロジェクタ20によりプロジェクタスクリーン40上の描画エリア3000および入力エリア3020には、レーザーペン30により入力された手書き文字の最初の点部分のイメージが表示(投影)される。
【0043】
説明者が入力エリア3020内で手書き文字のイメージの入力を続けると、手順はS10→S20→S30へと進む。ここで、上述したようにすでに入力エリア3020には入力(描画)があるので、S30の判定処理はYES判定となり、CPUの実行手順はS100に進む。S100は描画エリア3000を拡大すると共に入力エリア3020の表示を消去すべきか否かを判定するための処理である。この例では、図4の入力エリア3020内の第2番目の分割領域あるいは第3番目の分割領域内でのレーザーペン30による位置指定が行われた後、第1の分割領域内での分割領域内での位置指定が行われたときに、説明者から描画エリア3000の拡大および入力エリア3020の表示を消去の指示があったと判定する。具体的な処理の一例としては、S210で、投影用イメージに書き込む際に、システムメモリ1010内の作業領域に、入力エリア3020にその時点で最後に表示した点イメージが属する入力エリア3020の分割領域の識別情報を記憶すればよい。S100ではこの識別情報の示す分割領域が第2番目または第3番目の分割領域であるか否かおよび、今回位置指定が行われた分割領域が第1番目の分割領域であるか否かを判定し、双方がYES判定となったときに、説明者から描画エリア3000の拡大および入力エリア3020の表示を消去の指示があったと判定する。
【0044】
説明者が入力エリア3020の第1番目の分割領域内で手書き文字のイメージをレーザーペン30により描き(入力)続けている間はS100の判定処理はNOとなるので、手順は、S10〜S30→S100→S200→S210→S10の処理が繰り返し実行される。S100からS200へ手順が移行すると、CPUは新たにレーザーペン30により指定された入力エリア3020内の位置および描画エリア3000に点イメージを表示すべくコントロールポイントを計算する。
【0045】
引き続きCPUは、レーザーペン30により前に(この段階では第1番目)に指定された位置と今回(この段階では2番目)に指定された位置を使用して2つの点を結ぶ線イメージを入力エリアおよび描画エリア用に投影イメージ記憶領域上で作成する。この例ではベジェ曲線を作成する。この作成方法については、周知技術であり、詳細な説明を要しないであろう。この処理を行うときのCPUが本発明の画像処理手段として機能する。
【0046】
S210ではCPUはシステムメモリ1010内の投影イメージ記憶領域の投影用イメージを読み出してプロジェクタ20に送るので、プロジェクタスクリーン60にはレーザーペン30により指示された1番目および2番目で指示された点を結ぶベジェ曲線が入力エリア3020内の第1番目の分割領域およびその縮小イメージが描画エリア3000上の第1の分割領域に表示(投影)される。このときのCPUおよびプロジェクタ20が本発明の画像制御手段として機能する。
【0047】
説明者が図4に示すように入力エリア3020内でレーザーペンにより「こんに」の手書き文字列のイメージを入力するまでは、S10〜S30→S100→S200→S210→S10の処理が繰り返し実行されて、入力エリア3020には入力イメージと同じイメージ、描画エリア3020は縮小イメージが表示される。
【0048】
説明者がレーザーペン30による指示位置を入力エリア3020内のいずれかの位置に移動させると、S100で入力エリア3020内の第3の分割領域から第1の分割領域へ位置指定の移動が検出され、CPUは、入力エリア3020の表示の消去および描画エリア3000の領域の拡大の指示があったと、判定する(YES)。S110でCPUは、システムメモリ内の描画エリア3000の位置および大きさを記憶しておく記憶領域の大きさ情報を更新する。一例としては長さを二倍に返納すればよい。入力エリア3020の表示を消去するためには、投影用イメージ記憶領域内の入力エリア3020対応する領域を白紙イメージに書き換えることで消去を実現できる。以下、説明者が新たに入力エリア3020内でレーザーペン30により手書き文字のイメージを入力すると、手順はSS10〜S30→S100→S200→S210→S10の処理が繰り返し実行されて、入力エリア3020にはレーザーペン30による入力の手書き文字のイメージが表示(投影)され、描画エリア3000にはその縮小イメージがこれまで表示に続いて(追加して)、表示される。このときのCPUが本発明の検知手段および請求項3の表示制御手段として機能する。
【0049】
説明者が描画エリアの表示をプロジェクタスクリーン60上の他の位置に移動させたい場合にはレーザーペン30により移動したい位置を指定する。
【0050】
移動したい位置は入力エリア3020の外であることがS20で検出され(NO判定)される。手順は、S300へと移動する。CPUは投影用イメージの中の入力エリアの表示用イメージを投影用イメージ記憶領域内で消去するとともに、描画用イメージ(この時点は「こんに」のイメージ(図4参照)を符号3040で示す位置に対応する位置に投影用イメージ記憶領域内で移動する。このときのCPUが本発明の移動制御手段として機能する。
【0051】
この処理により、プロジェクタスクリーン60上の入力エリア内の表示が消去され、描画用エリア3000上の縮小イメージも移動表示される。この後、文字入力アイコン3010に対してレーザーペン30により2回目の位置指定が行われると、文字入力が開放(終了)とCPU30はS310で判定し図6の処理手順を終了する。
【0052】
(第2の実施形態)
第1の実施形態は、本発明をプロジェクタシステムに適用する例を紹介した。
【0053】
本発明を透明タッチパネルを使用する手書き文字入力装置にも適用できる。この場合には、液晶表示装置がプロジェクタ20の機能を果たし、透明タッチパネル(液晶表示器の表示画面上に配置され、透明の圧電素子を配置した位置入力デバイス)が第1の実施形態の受光器40の機能を果たす。また、タッチパネルにより入力された手書き文字のイメージを使用して、液晶パネルに手書き文字のイメージを入力する制御回路が第1の実施形態のパソコン10の機能を果たす。
【0054】
(その他の実施形態)
1)第1の実施形態では、入力エリア3020内の指示位置を第1番目の分割領域に戻すことで、描画エリアの拡大を指示していたが、専用のアイコンを表示させ、このアイコンの指示で描画エリアの拡大を指示してもよい。また、入力エリア3020の消去の指示についても同様にアイコンを使用してもよい。この形態は表示画面(プロジェクタスクリーン)60が大きい場合に好適である。第1の実施形態は表示画面が小さい場合に、表示画面を有効利用できるという効果を有する。
2)描画エリアに表示する縮小イメージの作成方法には、第1の実施形態で作成したベジェ曲線を使用する方法の他、画素の間引きなど、種々の画像処理方法が知られているので、表示用デバイスの性能に合わせて適宜、好適な画像処理方法を使用するとよい。第1の実施形態で海事した画像処理方法は、位置入力デバイスの位置検知画素センサの密度が粗い場合に好適である。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】従来例のハードウェア構成を示すブロック図である。
【図2】本発明第1の実施形態のパソコン10のハードウェアの概略の構成を示すブロック図である。
【図3】本発明第1の実施形態のソフトウェアの構成を示すブロック図である。
【図4】本発明第1の実施形態の表示内容を示す説明図である。
【図5】描画エリアの拡大処理を説明するための説明図である。
【図6】第1の実施形態のCPUの処理手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0056】
1000 CPU
1010 システムメモリ
1020 ディスプレイ
1030 ハードディスク
1040 入出力インターフェース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
イメージを表示する表示画面上の位置をポインティングデバイスにより指定することにより手書き文字のイメージの入力を行う手書き文字入力装置において、
前記表示画面上に、前記手書き文字のイメージの入力を行うための入力エリアと、該入力エリアより小さい描画エリアであって、前記入力エリアで入力された手書き文字の縮小イメージを表示するための描画エリアとを設け、
前記入力エリアで入力された手書き文字のイメージから前記描画エリアに表示するための縮小イメージを作成する画像処理手段と、
該画像処理手段により作成された縮小イメージを前記描画エリアに表示すると共に前記入力エリアで入力された手書き文字のイメージを前記入力エリアに表示する表示制御手段と
を備えたことを特徴とする手書き文字入力装置。
【請求項2】
請求項1に記載の手書き文字入力装置において、前記ポインティング装置により指定された位置に前記描画エリアを移動させる移動制御手段をさらに有することを特徴とする手書き文字入力装置。
【請求項3】
請求項1に記載の手書き文字入力装置において、前記入力エリア内の特定の領域内の位置が前記ポインティングデバイスにより指定されたことを検知する検知手段をさらに有し、当該検知に応じて、前記表示制御手段は前記入力エリアに表示された手書き文字入力のイメージを消去し、前記描画エリアを拡大して前記入力エリアに新たに入力された手書き文字のイメージを拡大された描画エリアに追加表示することを特徴とする手書き文字入力装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−225555(P2008−225555A)
【公開日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−58727(P2007−58727)
【出願日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【出願人】(305060039)株式会社タクラム・デザイン・エンジニアリング (7)
【Fターム(参考)】